JP5257041B2 - 鋼材溶接部におけるTi系析出物の分析方法 - Google Patents

鋼材溶接部におけるTi系析出物の分析方法 Download PDF

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本発明は、厚鋼板などの溶接部、すなわち溶接金属部や溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)の靭性に大きく影響するTi系析出物を大きさ別に分析する方法に関するものである。
厚鋼板の溶接部の靭性を向上させるひとつの手段として、溶接における高温加熱時のγ粒の粗大化の抑制があげられる。γ粒成長の抑制方法の一つとして、析出物や介在物によるγ粒ピニング法が利用されている。このときのピニングする介在物・析出物としては、1300℃以上の高温でも母材中に固溶しないTi系析出物(Tiの窒化物やその一部がC、Nb、Mo、V等に置換してなる析出物を総称したものを指す、以下同様。)が広く利用されている。このTi系析出物のピンニング効果は、その析出量や大きさに強く依存することが知られている。このため、走査電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)により析出物の析出量や大きさの測定がなされているが、観察領域が狭いことや、研摩条件によってエッチング条件が異なることなどのため、精度よく測定することが困難である。また、抽出残渣による析出量の測定も行われているが、大きさに対する知見が得られない。さらに、SEMもしくはTEMによる大きさの測定と、抽出残さによる析出量の測定を組み合わせた手法も検討されているが、測定場所を完全に一致させる事が不可能であるため、測定精度が低下したり、測定操作の煩雑さも増加するなどの問題がある。
一方、金属中の析出物や介在物を大きさ別に分析する方法として、特許文献1には、鋼材試料を電解液槽中に浸漬して非金属介在物を化学的に抽出し、そのままポリテトラフルオロエチレン製の網に収納し、50〜1000μmの大きさの非金属介在物を分離回収し、分析する方法が提案されている。しかし、析出物や介在物は、大きさが小さくなるほど液体中で凝集する傾向があるため、特許文献1に記載された方法では、フィルタ孔径より小さい非金属介在物も捕集されることになり、大きさ別の分析を正確に行うことはできない。特に、鋼材溶接部の靭性向上の観点から重要なサブミクロンメートルからナノメートルサイズ(溶接部の靭性制御の点からは、大きさ1μm以下、より望ましくは大きさ200nm以下)のTi系析出物の場合は、液体中で容易に凝集してしまい、大きさ別に分析を行うことができない。
特許文献2には、液体中に抽出した析出物や介在物に超音波を付与しながらろ過することで、析出物や介在物の凝集を防止して分離する技術が提案されている。しかし、この技術においても、特許文献1の場合と同様に、凝集乖離が容易な1μm以上の析出物や介在物を対象としており、サブミクロンメートルからナノメートルサイズの領域の析出物や介在物に適用するのは困難である。
特許文献3には、フィルタ孔径1μm以下の有機質フィルタで超音波振動によるろ過によって1μm以下の析出物や介在物を分離する技術が提案されている。しかし、この技術においても、超音波による1μm以下の微細な析出物や介在物の凝集を完全に防止するのは困難である。
非特許文献1には、銅合金中の析出物や介在物を抽出して、フィルタ孔径の異なるフィルタによって2回ろ過して、析出物や介在物を大きさ別に分ける技術が開示されている。しかし、凝集に関する問題が解決されておらず、フィルタ孔径より小さい析出物や介在物が捕集されて、大きさ別の正確な分析を阻害している。
特開昭59-141035号公報 特公昭56-10083号公報 特開昭58-119383号公報 日本金属学会「まてりあ」第45巻第1号52頁(2006)
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたもので、鋼材溶接部におけるTi系析出物を大きさ別に分析可能な方法を提供することを目的とする。
発明者らは、溶接部におけるTi系析出物を大きさ別に分析する方法について鋭意検討を行った結果、溶接金属部やHAZの少なくとも1以上の領域より試料を採取し、Br-メタノール溶液を用いて溶解後ろ過し、捕集したTi系析出物を分散性を有する溶液中に回収して、分別フィルタにてろ過して、分別フィルタ上またはろ液中に回収されたTi系析出物を分析すれば、Ti系析出物を大きさ別に分析できることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、具体的には以下の通りである。
[1]溶接された、または溶接に相当する熱処理を受けたTi系析出物を含む鋼材において、溶接金属部、溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)の少なくとも1つの部位の領域より試料を採取する工程と、
前記採取した試料を、Br−メタノール溶液を用いて溶解する工程と、
前記試料を溶解した後に得られたBr−メタノール溶液から捕集用フィルタを用いてろ過し、Ti系析出物を捕集する工程と、
前記ろ過後の捕集用フィルタを酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、正リン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムを分散剤とする分散性を有する溶液中に浸漬して超音波を照射し、前記捕集用フィルタ上に分離したTi系析出物を前記分散性を有する溶液中に回収する工程と、
前記分離されたTi系析出物を含んだ分散性を有する溶液を、直孔(一定の開口形状でフィルタ面を貫通しているフィルタ孔)を有し、かつ4%以上の空隙率を有する分別フィルタにて1段以上ろ過し、分別フィルタ上またはろ液中に回収されたTi系析出物を分析する工程と、
を有することを特徴とする鋼材溶接部におけるTi系析出物の分析方法
]分散性を有する溶液は、Ti系析出物に対するゼータ電位の絶対値が30mV以上であることを特徴とする[1]に記載の鋼材溶接部におけるTi系析出物の分析方法。
本発明の分析方法によれば、鋼材溶接部におけるTi系析出物を大きさ別に分析できるようになった。また、この分析結果を利用すれば、溶接部の靭性を向上させるための溶接条件や鋼材の製造条件の最適化が図れる。
図1および図2に、本発明である鋼材溶接部におけるTi系析出物の分析方法のフローチャートを示す。ここで、図2は、図1のステップ(4)からステップ(8)へ移行する前に、ステップ(5)とステップ(6)により分散性を有する溶液を最適化するためのフローチャートを示している。以下に、これらのフローチャートの各ステップについて詳細に説明する。
ステップ(1):溶接線などを基準とした溶接部の任意の位置から試料を採取する。このとき、溶接線から等距離にある領域のある幅領域について、分析を行うことで、熱影響によるTi系析出物の大きさの違いについて評価できることがわかった。具体的には、溶接線が直線に近い場合には、切り出し等により溶接線から等距離の約10x10mm平面について厚さ約1mmの薄片試料の切り出しを行う。また、溶接線が曲線の場合には、曲線の法線方向から任意の距離の領域において、ドリル等で加工した試料について分析すれば、同様の結果を得られることがわかった。領域の大きさとしては、分析精度と空間分解能のバランスから1x1mm2の領域について、10〜20mm程度の深さとすれば、分析精度、分析時間、空間分解能の点で問題が少ないことがわかった。なお、試料採取は、放電加工機や超音波加工機による打ち抜きや、ドリルで対象領域を削り、その切粉を用いればよい。何れの方法でも、0.01〜1g程度の試料の重量が必要である。幅については1mmとしたが、分析精度と空間分解能のバランスにより適宜変更してもよい。この幅が広くなると、試料採取やハンドリングに有利であるが空間分解能が減少し、幅を狭くすると、空間分解能は向上するが、試料作製が困難となるため実際的ではない。以上のように、溶接線からの距離、分析領域の大きさを決定し、以下の分析で行う。
ステップ(2):次の試料を電解液にて溶解する前に、Ti系析出物の分離用として、分散性を有する溶液を準備する。なお、分散性を有する溶液については、後述する。
ステップ(3):試料を溶解液にて所定量だけ溶解する。ここで、所定量とは、適宜設定されるものであり、後述するゼータ電位の測定や元素分析を行える程度の量のことである。また、溶解液としては、Ti系析出物を優先的に溶液中に取り出すことが可能なBr-メタノール溶液を用いる。このとき、10vol%Br-メタノール溶液を用いることが望ましいが、試料の溶解性やTi系析出物の性質によって濃度を変化させることも可能である。
ステップ(4):Br-メタノール溶液中のTi系析出物がある程度の凝集体を形成した後、捕集用フィルタを用いて溶解液のろ過を行い、固液分離し、Ti系析出物を捕集する。次に、捕集用フィルタを分散性を有する溶液に浸漬して、フィルタ上に分離したTi系析出物を分散性を有する溶液中に回収する。このとき、分散性を有する溶液中に浸漬したまま超音波を照射することが好ましい。これは、超音波を照射することでフィルタ表面に付着しているTi系析出物を剥離して、より効率よく分散性を有する溶液中に回収できるためである。ここで、捕集用フィルタは、後述する分別フィルタとは異なり、Br-メタノール溶液中の凝集したTi系析出物をすべて捕集する必要がある。孔径の大きいフィルタを用いればろ過に要する時間は短くできるが、ろ過漏れの懸念が大きくなるので、時間とろ過漏れ防止の両者を満足するには、孔径が小さく、かつ空隙率(全体積に対するフィルタ孔の体積割合)の大きい捕集用フィルタが好ましい。捕集用フィルタとしては、有機質フィルタやアルミナフィルタを用いて行えば、化学的に不安定な析出物等を溶解液中に溶解させることなく捕集することができる。また、後の工程で析出物等を大きさ別に分別するため、捕集した析出物等は、分散性溶液中に分散させる必要がある。よって、析出物等が強固にフィルタに付着しないことも重要な要素である。すなわち、他のフィルタと比較して極めて短時間でろ過操作を行えるため、化学的に不安定なTi系析出物を溶解液に溶解させることなく捕集することができる。また、後の工程でTi系析出物を大きさ別に分別するため、捕集したTi系析出物は、分散性溶液中に分散させる必要がある。よって、Ti系析出物が強固にフィルタに付着しないことも重要な要素であり、アルミナフィルタはこの観点から好ましい。
ステップ(5):ステップ(4)後のTi系析出物を含んだ分散性を有する溶液のゼータ電位を計測する。このとき、試料からTi系析出物を分離した分散性を有する溶液のTi系析出物に対するゼータ電位を計測する。
ステップ(6):ステップ(5)で計測したゼータ電位の絶対値が30mVに満たない場合には、分散剤の種類や濃度を変えてステップ(2)からステップ(6)までを繰り返す。一方、ゼータ電位の絶対値が30mV以上に達した場合には、その時の分散剤と濃度を、Ti系析出物に対する分散性を有する溶液の最適条件と決定し、操作を終了する。なお、図2においては、ゼータ電位を測定し、ゼータ電位が30mV以上に達した場合に、その時の分散剤と濃度を、Ti系析出物に対する分散性を有する溶液の最適条件と決定したが、本発明の分析方法においては、Ti系析出物が分散性を有する溶液中で凝集することなく十分に分散していれば問題ないので、分散性を有する溶液の最適化の指標としては、ゼータ電位に限定されるものではない。また、分散性を有する溶液とゼータ電位に関して、詳細は後述する。
ステップ(7):図2の操作で最適化された分散性を有する溶液を用い、図2と同様なステップ(1)〜(4)によりTi系析出物を分散性を有する溶液に分離する。
ステップ(8):Ti系析出物を含む分散性を有する溶液を、1つ以上の分別フィルタでろ過して、フィルタ上に捕集された残渣とろ液を回収する。Ti系析出物を(n+1)の区分の大きさに分別する場合には、n個のフィルタ孔径の異なる分別フィルタを用い、フィルタ孔径の大きい分別フィルタからフィルタ孔径の小さい分別フィルタで順次n回ろ過を行って、各回ごとに捕集されたフィルタ上の残渣とn回目のろ液を回収する。例えば、フィルタ孔径D1とD2の分別フィルタを用いてろ過する場合、このフィルタ孔径D1の分別フィルタ上に残ったTi系析出物が大きさD1以上であり、フィルタ孔径D1を通過しかつフィルタ孔径D2のフィルタ上に残ったTi系析出物が大きさD1未満、D2以上であり、さらにフィルタ孔径D2の分別フィルタをろ液と共に通過したTi系析出物が大きさD2未満である。なお、分別フィルタとしては、目詰まりせずに析出物等の大きさに応じた分別が行えればよく、特に限定しない。しかし、比較的大きなTi系析出物により分別フィルタのフィルタ孔の閉塞が進行し、本来通過するべき大きさのTi系析出物がこの分別フィルタを通過せずに捕集されることがある。このような状態での分析結果は、正しい分析値より、分別フィルタに捕集されたTi系析出物の分析値の場合高く、反対にろ液の分析値の場合低くなる。そこで、分別フィルタとして、直孔(一定の開口形状でフィルタ面を貫通しているフィルタ孔)を有し、かつ4%以上の空隙率を有する分別フィルタを用いることで、フィルタ孔径より小さいTi系析出物が捕集されることなく、より正確なTi系析出物の大きさ別分離が可能となり、より好適な結果が得られる。
ステップ(9):ステップ(8)の操作で得られたフィルタ上に捕集された残渣とろ液を、それぞれ酸で溶解し、元素分析を行い、大きさ別に分別されたTi系析出物に含有される元素の含有量を測定する。このとき、ろ過後のフィルタ上の残渣とろ液に対しては、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、ICP質量分析法、および原子吸光分析法等から適宜選択して分析し、各大きさ毎に含まれるTi系析出物を形成するTiの含有量を求める。なお、Br-メタノール溶液で溶解した試料の量は、溶解前の試料重量とする。
このように、図1および図2に示す手順により、Ti系析出物の大きさ別の組成に関する分析結果が得られる。そして、得られた分析結果と溶接部の靭性を関連付ければ、靭性を向上する上での指針に大いに役立つことになる。
なお、ここで、上記における分散性を有する溶液について、補足する。大きさ1μm以下(特に200nm以下)のオーダーの微細なTi系析出物については、上述したように、現在、公知技術として、溶液中に凝集させずに分離する明確な方法は無い。そのため、例えば粒径が1μm以上の粒子等に実際に使用されている分散剤を水溶液化した物を順番に試すことで分散性を有する溶液についての知見を得ようと試みた。その結果、分散剤の種類と濃度については、Ti系析出物の組成や粒径、液中のTi系析出物の密度等との間に明確な相関は得られなかった。例えば、水溶液系の分散剤としては、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、正リン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどが好適であり、分散性をよくするために適切な濃度を調整する。この場合、適切濃度を超えた添加はTi系析出物の分散に逆効果であるという知見が得られた。
以上より、本発明において、分散性を有する溶液は、Ti系析出物が当該溶液中にあるときに、凝集することなく分散していればよく、特に限定しない。そして、分散性を有する溶液を決定するにあたっては、Ti系析出物の性質や密度、あるいはその後の分析手法に応じて分散性を有する溶液の種類や濃度を適宜最適化することとする。ここで、分散性を有する溶液についてさらに検討する中で、分散性を有する溶液の溶媒が水の場合には、Ti系析出物の表面電荷と分散性には密接な相関があるため、例えば、ゼータ電位計などを利用してTi系析出物表面の電荷状態を把握すると、最適な分散性を有する溶液の条件(分散剤の種類や適切な添加濃度等)を確定することができることがわかった。このとき、ゼータ電位計の測定値が、概ね絶対値で30mV程度以上の値であれば、凝集が防止でき、正確な分析が行えることがわかった。
表1に示す成分の鋼A、Bを溶製し、鋳造によりスラブを作製した。スラブを1150℃に加熱後、950〜850℃で熱間圧延を行い、板厚25mmの鋼板を製造した。熱間圧延後は、鋼板を750℃から450℃まで約10℃/sで冷却した。冷却後の鋼板から、図3に示すような12×12×120mmの試料を複数個作製し、グリーブル試験により試料の中央部(図3の0mm部)に、鋼Aの試料については60kJ/cm、鋼Bの試料については40kJ/cmの入熱量で溶接に相当する熱処理を施した。そして、熱処理後の試料の中央部(0mm)および中央部から2、5、および10mm離れた箇所からシャルピー試験用のVノッチを入れた試験片を作製し、試験片1〜8とした。試験片1〜4については−20℃で、試験片5〜8については−10℃でシャルピー試験を行い、吸収エネルギーを測定した。また、鋼Aについてはグリーブル試験片の中央部および中央部から2、5および10mm離れた位置から1×10×10mmの分析用試験片を作製し、また、鋼Bについては、上記と同様な位置からφ1mm×10mmの円柱状の試験片を放電加工機で作製し、10vol%Br−メタノール溶液中で全量溶解させ、溶液中に残存するTi系析出物の分析を以下の手順で行った。分析前に試験片の質量を測定し、溶解後のBr-メタノール溶液を捕集用フィルタにてろ過し、捕集用フィルタ上にTi系析出物を捕集した。捕集用フィルタとして、孔径0.2μmの有機質フィルタを用いた。捕集後は、捕集用フィルタを500mg/lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液(SHMP)に浸漬し、捕集用フィルタ上に捕集したTi系析出物をヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に回収した。このTi系析出物を含んだSHMP水溶液を、フィルタ孔径200nm、100nm、50nm、20nmの分別フィルタで順次ろ過を行い、各残渣を分別フィルタ上に捕集した。各残渣を分別フィルタとともに、硝酸、過塩素酸並びに硫酸の混合溶液で加熱溶解して溶液化したのち、ICP発光分光分析装置で分析して残渣中のTi絶対量を測定した。各残渣中のTi絶対量を溶解重量で除して、分別フィルタを通過しなかった、すなわち大きさ200nm以上、100nm以上200nm未満、50nm以上100nm未満、20nm以上50nm未満のTi系析出物におけるそれぞれのTi含有量を得た。次に、全分別フィルタを通過したろ液を、80℃のホットプレート上で加温して乾燥させた。乾燥後に残った乾燥残留物を、硝酸、過塩素酸並びに硫酸の混合溶液で加熱溶解して溶液化したのち、ICP発光分光分析装置およびICP質量分析装置でろ液中のTi絶対量を測定した。ろ液中のTi絶対量を溶解重量で除して、大きさ20nm未満のTi系析出物におけるTi含有量を得た。
表2に、各試験片のシャルピー吸収エネルギーと、析出Ti量およびTi系析出物における大きさ別Ti含有量を示す。HAZの位置によって析出Ti量およびTi系析出物における大きさ別Ti含有量に変化が観察され、析出Ti量が多く、かつ小さなTi系析出物が多いものほどシャルピーの吸収エネルギーが高いことが確認された。よって、本発明法によるTi系析出物の大きさ別分析により、溶接部の靭性向上に対し有意義な指針が得られることわかる。
Figure 0005257041
Figure 0005257041
本発明である溶接部におけるTi系析出物の分析方法のフローチャートの一例を示す図である。 本発明である分散性を有する溶液を最適化するフローチャートの一例を示す図である。 実施例で用いた試験片の採取位置を示す図である。

Claims (2)

  1. 溶接された、または溶接に相当する熱処理を受けたTi系析出物を含む鋼材において、溶接金属部、溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)の少なくとも1つの部位の領域より試料を採取する工程と、
    前記採取した試料を、Br−メタノール溶液を用いて溶解する工程と、
    前記試料を溶解した後に得られたBr−メタノール溶液から捕集用フィルタを用いてろ過し、Ti系析出物を捕集する工程と、
    前記ろ過後の捕集用フィルタを酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、正リン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムを分散剤とする分散性を有する溶液中に浸漬して超音波を照射し、前記捕集用フィルタ上に分離したTi系析出物を前記分散性を有する溶液中に回収する工程と、
    前記分離されたTi系析出物を含んだ分散性を有する溶液を、直孔(一定の開口形状でフィルタ面を貫通しているフィルタ孔)を有し、かつ4%以上の空隙率を有する分別フィルタにて1段以上ろ過し、分別フィルタ上またはろ液中に回収されたTi系析出物を分析する工程と、
    を有することを特徴とする鋼材溶接部におけるTi系析出物の分析方法。
  2. 分散性を有する溶液は、Ti系析出物に対するゼータ電位の絶対値が30mV以上であることを特徴とする請求項1に記載の鋼材溶接部におけるTi系析出物の分析方法。
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