JP5256610B2 - 素子封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 - Google Patents

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Description

本発明は、封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこの成形材料で封止した素子を備えた電子部品装置に関する。
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品封止の分野ではエポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等のバランスがとれているためである。特に、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とノボラック型フェノール硬化剤の組合せはこれらのバランスに優れており、封止用成形材料のベース樹脂の主流になっている。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴い、実装の高密度化が進み、電子部品装置は従来のピン挿入型から、表面実装型のパッケージがなされるようになってきている。半導体装置を配線板に取り付ける場合、従来のピン挿入型パッケージはピンを配線板に挿入した後、配線板裏面から半田付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることはなかった。しかし、表面実装型パッケージでは半導体装置全体が半田バスやリフロー装置などで処理されるため、直接半田付け温度にさらされる。この結果、パッケージが吸湿した場合、半田付け時に吸湿水分が急激に膨張し、接着界面の剥離やパッケージクラックが発生し、実装時のパッケージの信頼性を低下させるという問題があった。
上記の問題を解決する対策として、半導体装置内部の吸湿水分を低減するためにICの防湿梱包や、配線板へ実装する前に予めICを十分乾燥して使用するなどの方法もとられている(例えば、非特許文献1参照。)。
別の対策としては充てん剤の含有量を増加する方法が挙げられるが、この方法では半導体装置内部の吸湿水分は低減するものの、大幅な流動性の低下を引き起こしてしまう問題があった。これまでにエポキシ樹脂成形材料の流動性を損なうことなく充てん剤の含有量を増加する方法として、充てん剤粒度分布を最適化する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
(株)日立製作所半導体事業部編「表面実装形LSIパッケージの実装技術とその信頼性向上」応用技術出版1988年11月16日、254−256頁 特開平06−224328号公報
しかし、ICの防湿梱包や、配線板へ実装する前に予めICを十分乾燥して使用するなどの方法は手間がかかり、コストも高くなる。また、流動性の低下を防ぐために充てん剤粒度分布を最適化する方法では流動性の改善には充分な効果が得られていない。また、封止用エポキシ樹脂成形材料の流動性が低いと成形時に金線流れ、ボイド、ピンホール等の発生といった新たな問題も生じており流動性の向上が求められている。
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、耐半田リフロー性を低下させることなく流動性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供しようとするものである。
本発明は、(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)下記一般式(I)で示されるシラン化合物を含有する封止用エポキシ樹脂成形材料であって、前記(C)シラン化合物の全配合量が封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.03〜0.8質量%である封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
Figure 0005256610
(ここで、Rは置換又は非置換の、炭素数2〜12の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、R〜Rは置換又は非置換の、炭素数1〜12の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、同一でも異なっても良く、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は、複数の炭素数1〜10の2価の炭化水素基が2価又は3価のヘテロ原子を介して結合されて得られた有機基であり、炭化水素基は置換されていてもよく、pは1〜3の整数を示す。)
本発明は、(2)(A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有する上記(1)に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
本発明は、(3)(B)硬化剤がフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂及び共重合型フェノール・アラルキル樹脂の少なくとも1種を含有する上記(1)または(2)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
本発明は、(4)(D)前記(C)一般式(I)で示されるシラン化合物以外のシラン化合物をさらに含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
本発明は、(5)(E)硬化促進剤をさらに含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
本発明は、(6)(F)無機充てん剤をさらに含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
本発明は、(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備える電子部品装置に関する。
本発明によって得られる封止用エポキシ樹脂成形材料は、耐半田リフロー性を低下させることなく流動性に優れる信頼性の高い電子部品装置を得ることができ、その工業的価値は大である。
本発明において用いられる(A)エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上含有するもので特に制限ないが、たとえばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα‐ナフトール、β‐ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、アルキル置換、芳香環置換又は非置換のビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、チオジフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、流動性と硬化性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及び/又はトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、流動性と難燃性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のビスフェノールFのジグリシジルエーテルであるビスフェノールF型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、流動性とリフロー性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のチオジフェノールのジグリシジルエーテルであるチオジフェノール型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、硬化性と難燃性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のフェノールとビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物を含有していることが好ましく、保存安定性と難燃性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のナフトール類とジメトキシパラキシレンから合成されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物を含有していることが好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(II)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、R〜Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0又は1〜3の整数を示す。)
上記一般式(II)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェノール化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(II)中のR〜Rとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert‐ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´‐ビス(2,3‐エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4´‐ビス(2,3‐エポキシプロポキシ)‐3,3´,5,5´‐テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4´‐ビフェノール又は4,4´‐(3,3´,5,5´‐テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4´‐ビス(2,3‐エポキシプロポキシ)‐3,3´,5,5´‐テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては市販品としてジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YX‐4000として入手可能である。上記ビフェニル型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
チオジフェノール型エポキシ樹脂は、たとえば下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、R〜Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0又は1〜3の整数を示す。)
上記一般式(III)で示されるチオジフェノール型エポキシ樹脂は、チオジフェノール化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(III)中のR〜Rとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert‐ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基などが挙げられ、なかでも水素原子、メチル基又はtert‐ブチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´‐ジヒドロキシジフェニルスルフィドのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、2,2´,5,5´‐テトラメチル‐4,4´‐ジヒドロキシジフェニルスルフィドのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、2,2´‐ジメチル‐4,4´‐ジヒドロキシ‐5,5´‐ジ‐tert‐ブチルジフェニルスルフィドのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂等が挙げられ、なかでも2,2´‐ジメチル‐4,4´‐ジヒドロキシ‐5,5´‐ジ‐tert‐ブチルジフェニルスルフィドのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名YSLV‐120TEとして入手可能である。上記チオジフェノール型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、R〜Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0又は1〜3の整数を示す。)
上記一般式(IV)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールF化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(IV)中のR〜Rとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert‐ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4´‐メチレンビス(2,3,6‐トリメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4´‐メチレンビスフェノールのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂等が挙げられ、なかでも4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名YSLV‐80XYとして入手可能である。上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の有機基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(V)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、上記一般式(V)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(V)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、R及びRは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立して選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整数を示す。)
上記一般式(VI)中のRとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などが挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。Rとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などが挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましい。
ナフタレン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
下記一般式(VII)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、m個の構成単位及びn個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。また、下記一般式(VIII)で示されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては特に制限はないが、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましい。
Figure 0005256610
(ここで、R〜Rは水素原子及び炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、m、nはそれぞれ0〜11の整数であって、(m+n)が1〜11の整数でかつ(m+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
Figure 0005256610
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
これらナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上とすることがさらに好ましい。
フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物としては、たとえば下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、R〜Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(IX)で示されるフェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、置換又は非置換のフェノールとビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(IX)中のR〜Rとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、アミノアリール基、ジメチルアミノアリール基、ジエチルアミノアリール基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。また一般式(IX)中のnとしては平均で6以下がより好ましく、そのようなエポキシ樹脂としては、市販品として日本化薬株式会社製商品名NC‐3000Sとして入手可能である。
また、難燃性と耐リフロー性、流動性の両立の観点からは上記一般式(II)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂と併用することが好ましく、なかでも上記一般式(IX)のR〜Rが水素原子で上記一般式(II)のR〜Rが水素原子でn=0であることがより好ましい。また特にその配合質量比は、(II)/(IX)=50/50〜5/95であることが好ましく、40/60〜10/90であるものがより好ましく、30/70〜15/85であるものがさらに好ましい。このような配合質量比を満足する化合物としては、CER−3000L(日本化薬株式会社製)等が市販品として入手可能である。
ナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物としては、たとえば下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(X)で示されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、置換又は非置換のナフトールとジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)から合成されるナフトール・アラルキル樹脂に、エピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(X)中のRとしてはたとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基や環状アルケニル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、基、ジエチルアミノアルキル基、基等のアミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、アミノアリール基、ジメチルアミノアリール基、ジエチルアミノアリール基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
Xは、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、アラルキル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から得られる二価の基、キシリレン基等のアリーレン基を含む二価の基などが挙げられ、なかでも、難燃性と保存安定性の両立の観点からはフェニレン基が好ましい。たとえば下記一般式(XI)又は(XII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物が挙げられる。nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名ESN‐375が挙げられ、下記一般式(XII)で示されるエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名ESN‐175が挙げられる。上記ナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
Figure 0005256610
(ここで、nは0又は1〜10の整数を示す。)
Figure 0005256610
(ここで、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記のビフェニル型エポキシ樹脂、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物及びナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いる場合の配合量は、エポキシ樹脂全量に対して合わせて50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
本発明において用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、チオジフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール・ノボラック構造とフェノール・アラルキル構造がランダム、ブロック又は交互に繰り返された共重合型フェノール・アラルキル樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
なかでも、流動性、難燃性及び耐リフロー性の観点からはフェノール・アラルキル樹脂、共重合型フェノール・アラルキル樹脂及びナフトール・アラルキル樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型フェノール樹脂が好ましく、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XIII)で示される樹脂が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XIII)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基や環状アルケニル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、アミノアリール基、ジメチルアミノアリール基、ジエチルアミノアリール基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
また、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から得られる二価の基、キシリレン基等のアリーレン基を含む二価の基、アラルキル基置換アリーレン基などが挙げられる。なかでも、難燃性と耐リフロー性の両立の観点からは置換又は非置換のビフェニレン基が好ましく、例えば下記一般式(XIV)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が挙げられ、難燃性、流動性と硬化性の両立の観点からは置換又は非置換のフェニレン基が好ましく、例えば下記一般式(XV)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が挙げられる。
nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
Figure 0005256610
(ここで、nは0又は1〜10の整数を示す。)
Figure 0005256610
(ここで、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XIV)で示されるフェノール・アラルキル樹脂としては、市販品として明和化成株式会社製商品名MEH‐7851が挙げられ、一般式(XV)で示されるフェノール・アラルキル樹脂としては、市販品として三井化学株式会社製商品名XLCが挙げられる。上記フェノール・アラルキル樹脂の配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
ナフトール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XVI)で示される樹脂が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XVI)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基や環状アルケニル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、アミノアリール基、ジメチルアミノアリール基、ジエチルアミノアリール基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
また、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から得られる二価の基、キシリレン基等のアリーレン基を含む二価の基、アラルキル基置換アリーレン基などが挙げられる。なかでも、保存安定性と難燃性の観点からは置換又は非置換のフェニレン基及びビフェニレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましく、たとえば下記一般式(XVII)及び(XVIII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂が挙げられる。
nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
Figure 0005256610
(ここで、nは0又は1〜10の整数を示す。)
Figure 0005256610
(ここで、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XVII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、市販品として新日鐵化学株式会社製商品名SN‐475が挙げられ、上記一般式(XVIII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、市販品として新日鐵化学株式会社製商品名SN‐170が挙げられる。上記ナフトール・アラルキル樹脂の配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
上記一般式(XIII)で示されるフェノール・アラルキル樹脂、一般式(XVI)で示されるナフトール・アラルキル樹脂は、難燃性の観点からその一部又は全部がアセナフチレンと予備混合されているアセナフチレン変性硬化剤であることが好ましい。アセナフチレンはアセナフテンを脱水素して得ることができるが、市販品を用いてもよい。また、アセナフチレンの代わりにアセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの共重合物(以下、両重合物を総称してアセナフチレンを含む芳香族オレフィンの重合物ともいう。)を用いることもできる。
アセナフチレンを含む芳香族オレフィンの重合物を得る方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等が挙げられる。また、重合に際しては従来公知の触媒を用いることができるが、触媒を使用せずに熱だけで行うこともできる。この際、重合温度は80〜160℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。得られるアセナフチレンを含む芳香族オレフィンの重合物の軟化点は、60〜150℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。60℃より低いと成形時の染み出しにより成形性が低下する傾向にあり、150℃より高いと樹脂との相溶性が低下する傾向にある。
アセナフチレンと共重合させる他の芳香族オレフィンとしては、スチレン、α‐メチルスチレン、インデン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル又はそれらのアルキル置換体等が挙げられる。また、上記した芳香族オレフィン以外に本発明の効果に支障の無い範囲で脂肪族オレフィンを併用することもできる。脂肪族オレフィンとしては、(メタ)アクリル酸及びそれらのエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、フマル酸及びそれらのエステル等が挙げられる。これら脂肪族オレフィンの使用量は重合モノマー全量に対して20質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましい。
上記一般式(XIII)で示されるフェノール・アラルキル樹脂、一般式(XVI)で示されるナフトール・アラルキル樹脂等の硬化剤の一部又は全部とアセナフチレンとの予備混合の方法としては、硬化剤及びアセナフチレンをそれぞれ微細に粉砕し固体状態のままミキサー等で混合する方法、両成分を溶解する溶媒に均一に溶解させた後、溶媒を除去する方法、硬化剤及び/又はアセナフチレンの軟化点以上の温度で両者を溶融させ、次いで混合する溶融混合方法等で行うことができるが、均一な混合物が得られて不純物の混入が少ない溶融混合法が好ましい。前記の各方法により予備混合物(アセナフチレン変性硬化剤)が、製造される。溶融混合時の温度は、硬化剤及び/又はアセナフチレンの軟化点以上の温度であれば制限はないが、100〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。また、溶融混合の混合時間は両者が均一に混合すれば制限はないが、1〜20時間が好ましく、2〜15時間がより好ましい。硬化剤とアセナフチレンを予備混合する場合、混合中にアセナフチレンが重合もしくは硬化剤と反応しても構わない。前記硬化剤と、アセナフチレン及び/又はアセナフチレンを含む芳香族オレフィンとの予備混合も、同様の方法で行うことができる。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XIX)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(XIX)中のRとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XX)で示されるフェノール樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでも下記一般式(XX)で示されるノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
Figure 0005256610
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、iは0〜3の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(XX)中のRとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、水素原子がより好ましく、nの平均値が0〜8であることが好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
共重合型フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XXI)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
Figure 0005256610
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基及び水酸基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。またXは芳香環を含む二価の有機基を示す。n及びmは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XXI)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基や環状アルケニル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、アミノアリール基、ジメチルアミノアリール基、ジエチルアミノアリール基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
n及びmは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
上記一般式(XXI)中のXとしては、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から得られる二価の基、キシリレン基等のアリーレン基を含む二価の基、アラルキル基置換アリーレン基などが挙げられ、なかでも、置換又は非置換のフェニレン基及びビフェニレン基が好ましい。
一般式(XXI)で示される化合物は、m個の構成単位及びn個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。一般式(XXI)で示される化合物としては、HE−510(住金エア・ウォーター・ケミカル株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。共重合型フェノール・アラルキル樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
上記のフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂及び共重合型フェノール・アラルキル樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いる場合の配合量は、フェノール樹脂全量に対して合わせて50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
本発明において、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわちエポキシ基に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性、耐半田リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
本発明で用いられる(C)成分であるシラン化合物は、下記一般式(I)で示される化合物であれば特に制限は無い。
Figure 0005256610
(ここで、Rは置換又は非置換の、炭素数2〜12の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、R〜Rは置換又は非置換の、炭素数1〜12の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、同一でも異なっても良く、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は、複数の炭素数1〜10の2価の炭化水素基が2価又は3価のヘテロ原子を介して結合されて得られた有機基であり、炭化水素基は置換されていてもよく、pは1〜3の整数を示す。)
上記一般式(I)で示される化合物中のRとしては、たとえば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−エチルプロピル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の直鎖状または分岐状の鎖状アルキル基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルキル基、
ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、
フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、
トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、
メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基などが挙げられ、成形性と流動性の観点からはプロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基が好ましい。
〜Rとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−エチルプロピル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の直鎖状または分岐状の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基などが挙げられ、流動性、接着性及び硬化性のバランスの観点からはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基が好ましい。
としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等のアルキレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、テトラメチルフェニレン基、エチルフェニレン基、ジエチルフェニレン基等のアルキル置換アリーレン基、複数のこれら炭素数1〜10の2価の炭化水素基が、窒素原子又は酸素原子等のヘテロ原子を介して結合された2価の有機基が挙げられる。流動性、接着性及び硬化性のバランスの観点からはエチレン基又はプロピレン基が好ましく、硬化性の観点からはエチレン基とプロピレン基が窒素原子を介して結合した2価の有機基が好ましい。
の炭化水素基の炭素数は1〜6が好ましく、2〜6がより好ましい。pは1〜3の整数を示すが、接着性と硬化性の観点からは2又は3が好ましい。これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる(C)成分である上記一般式(I)で示されるシラン化合物の全配合量は流動性、成形性及び耐リフロー性の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.03〜0.8質量%が好ましく、0.04〜0.75質量%がより好ましく、0.05〜0.7質量%がさらに好ましい。0.03質量%未満では発明の効果が小さくなる傾向にあり、0.8質量%を超える場合には流動性は向上するが耐リフロー性が大幅に低下する傾向がある。
本発明の成形材料は、(D)前記(C)成分のシラン化合物以外のシラン化合物を含有してもよい。(C)上記一般式(I)で示されるシラン化合物とは異なるシラン化合物であれば、特に制限は無く、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物である。
これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルシランジオール、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルシラノール、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、2−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルイミン、3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)−N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−トリエトキシシリルプロピル−β−アラニンメチルエステル、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジヒドロ−3,5−フランジオン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン等のシラン系化合物、
1H−イミダゾール、2−アルキルイミダゾール、2,4−ジアルキルイミダゾール、4−ビニルイミダゾール等のイミダゾール化合物とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランの反応物であるイミダゾール系シラン化合物、
アクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有するシラン化合物の重合物、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アリールエステル、メタクリル酸アリールエステル等のアクリル化合物とアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有するシラン化合物との共重合物等のシラン化合物が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分のシラン化合物の全配合量は成形性及び接着性の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.06〜2質量%が好ましく、0.1〜0.75質量%がより好ましく、0.2〜0.7質量%がさらに好ましい。0.06質量%未満では各種パッケージ部材との接着性が低下する傾向にあり、2質量%を超える場合にはボイド等の成形不良が発生しやすい傾向がある。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には(C)成分及び(D)成分と異なる成分としてアクリル化合物を配合しても良い。たとえば、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アリールエステル、メタクリル酸アリールエステル等のアクリル化合物やその重合物等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。またこれらアクリル化合物の全配合量は成形性及び接着性の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.03〜0.8質量%が好ましく、0.04〜0.75質量%がより好ましく、0.05〜0.7質量%がさらに好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、従来公知のカップリング剤を配合してもよい。たとえば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。またこれらカップリング剤の全配合量は成形性及び接着性の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.06〜2質量%が好ましく、0.1〜0.75質量%がより好ましく、0.2〜0.7質量%がさらに好ましい。0.06質量%未満では各種パッケージ部材との接着性が低下する傾向にあり、2質量%を超える場合にはボイド等の成形不良が発生しやすい傾向がある。
本発明で用いられる(E)硬化促進剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているもので特に限定はないが、たとえば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる、分子内分極を有する化合物、
ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、
2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、
トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる、分子内分極を有するリン化合物、
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムエチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
なかでも、硬化性及び流動性の観点からは第三ホスフィンとキノン化合物との付加物が好ましく、保存安定性の観点からはシクロアミジン化合物とフェノール樹脂との付加物が好ましく、ジアザビシクロウンデセンのノボラック型フェノール樹脂塩がより好ましい。これらの硬化促進剤の配合量は硬化促進剤全量に対して合わせて60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられる第三ホスフィンとしては特に制限はないが、たとえば、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(tert−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン等のアリール基を有する第三ホスフィンが挙げられ、成形性の点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
また、第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられるキノン化合物としては特に制限はないが、たとえば、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられ、耐湿性又は保存安定性の観点からはp−ベンゾキノンが好ましい。
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計量100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましい。0.1質量部未満では短時間で硬化させることが困難となり、10質量部を超えると硬化速度が早すぎて良好な成形品が得られない傾向がある。
本発明で用いられる(F)無機充てん剤は、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上のために成形材料に配合されるものであり、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているものであれば特に制限されるものではないが、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、充てん剤形状は成形時の流動性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。特にコストと性能のバランスの観点からは球状溶融シリカが好ましい。
無機充てん剤の配合量は、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数低減及び強度向上の観点から、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して70〜95質量%が好ましく、吸湿性、線膨張係数低減の観点から85〜95質量%がより好ましい。70質量%未満では、難燃性及び耐リフロー性が低下する傾向があり、95質量%を超えると流動性が不足する傾向がある。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、ICの耐湿性、高温放置特性を向上させる目的で陰イオン交換体を必要に応じて配合することができる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、下記組成式(XXII)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
(化23)
Mg1−XAl(OH)(COX/2・mHO (XXII)
(式(XXII)中、0<X≦0.5、mは正の数)
陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、接着性をより向上させるために、必要に応じて接着促進剤を用いることができる。接着促進剤としては、たとえば、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等及びこれらの誘導体、アントラニル酸、没食子酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アミノフェノール、キノリン等及びこれらの誘導体、脂肪族酸アミド化合物、ジチオカルバミン酸塩、チアジアゾール誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて離型剤を用いてもよい。離型剤としては、酸化型又は非酸化型のポリオレフィンを(A)エポキシ樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.1〜5質量部用いることがより好ましい。0.01質量部未満では離型性が不十分となる傾向があり、10質量部を超えると接着性が低下する傾向がある。酸化型又は非酸化型のポリオレフィンとしては、ヘキスト株式会社製H4やPE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンなどが挙げられる。また、これ以外の離型剤としては、たとえばカルナバワックス、モンタン酸エステル、モンタン酸、ステアリン酸等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。酸化型又は非酸化型のポリオレフィンに加えてこれら他の離型剤を併用する場合、その配合量は合わせて(A)エポキシ樹脂100質量部に対して0.l〜10質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には従来公知の難燃剤を必要に応じて配合することができる。たとえば、ブロム化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、赤リン、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機物及び/又はフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等で被覆された赤リン、
リン酸エステル等のリン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び下記組成式(XXIII)で示される複合金属水酸化物などが挙げられる。
(化24)
p(M )・q(M )・r(M )・mHO (XXIII)
(式(XXIII)で、M、M及びMは互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
上記組成式(XXIII)中のM、M及びMは互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、Mが第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、MがIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、Mがマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、Mが鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、Mがマグネシウム、Mが亜鉛又はニッケルで、r=0のものが好ましい。p、q及びrのモル比は特に制限はないが、r=0で、p/qが1/99〜1/1であることが好ましい。なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期律表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。
また、難燃剤には酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属元素を含む化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
難燃剤の配合量は特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の着色剤を用いても良い。
さらに、その他の添加剤として、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。たとえば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダーなどで混練、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。成形条件に合うような寸法及び質量でタブレット化すると使いやすい。
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料により封止した素子を備えた電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した、電子部品装置などが挙げられる。このような電子部品装置としては、たとえば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は有効に使用できる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記合成例1に従い、本発明に用いる(C)成分であるシラン化合物1を合成した。
合成例1:シラン化合物1の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び環流冷却管を備えた30mlのガラス製反応容器に乾燥窒素を充填し、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(チッソ株式会社製シランカップリング剤、サイラエース(登録商標)S330)1.00g、トリエチルアミン0.492g(和光純薬工業株式会社製)、脱水ヘキサン10ml(和光純薬工業株式会社製)を加えて、均一になるまで撹拌した。次にトリイソプロピルシリルクロリド0.824g(チッソ株式会社製)を10分間かけて滴下した後、25℃で48時間撹拌して反応を終了した。続いて、析出したトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンを留去した。次に減圧蒸留(180℃/67Pa)することにより、下記一般式(XXIV)で示されるN−トリ(イソプロピル)シリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.99gを得た。
Figure 0005256610
合成例2:シラン化合物4の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び環流冷却管を備えた200mlのガラス製反応容器に乾燥窒素を充填し、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(チッソ株式会社製シランカップリング剤、サイラエース(登録商標)S330)11.05g、トリエチルアミン6.14g(和光純薬工業株式会社製)、脱水ヘキサン100ml(和光純薬工業株式会社製)を加えて、均一になるまで撹拌した。次にtert‐ブチルジフェニルクロロシラン13.74g(東京化成工業株式会社製)を10分間かけて滴下した後、加熱還流条件で72時間撹拌して反応を終了した。続いて、析出したトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンを留去した。次に減圧蒸留(180℃/1.3Pa)することにより、下記一般式(XXV)で示されるN−tert‐ブチルジフェニルシリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン11.47gを得た。
Figure 0005256610
合成例3:シラン化合物5の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び環流冷却管を備えた200mlのガラス製反応容器に乾燥窒素を充填し、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン18.11g(東京化成工業株式会社製)、トリエチルアミン11.36g(和光純薬工業株式会社製)、脱水ヘキサン100ml(和光純薬工業株式会社製)、tert‐ブチルジフェニルクロロシラン27.55g(東京化成工業株式会社製)を加えて、均一になるまで撹拌した。次に加熱還流条件で50時間撹拌して反応を終了した。続いて、析出したトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンを留去した。次に減圧蒸留(155℃/1.3Pa)することにより、下記一般式(XXVI)で示されるN−tert‐ブチルジフェニルシリル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン18.56gを得た。
Figure 0005256610
合成例4:シラン化合物6の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び環流冷却管を備えた300mlのガラス製反応容器に乾燥窒素を充填し、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン18.10g(東京化成工業株式会社製)、トリエチルアミン11.49g(和光純薬工業株式会社製)、脱水ヘキサン350ml(和光純薬工業株式会社製)、トリフェニルクロロシラン30.10g(東京化成工業株式会社製)を加えて、25℃で24時間撹拌して反応を終了した。続いて、析出したトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンを留去した。次に減圧蒸留(165℃/2.3Pa)することにより、下記一般式(XXVII)で示されるN−トリフェニルシリル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン18.56gを得た。
Figure 0005256610
合成例5:シラン化合物7の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び環流冷却管を備えた300mlのガラス製反応容器に乾燥窒素を充填し、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン18.10g(東京化成工業株式会社製)、トリエチルアミン11.49g(和光純薬工業株式会社製)、脱水ヘキサン350ml(和光純薬工業株式会社製)を加えて、均一になるまで撹拌した。次にトリイソプロピルシリルクロリド21.02g(チッソ株式会社製)を10分間かけて滴下した後、25℃で48時間撹拌して反応を終了した。続いて、析出したトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンを留去した。次に減圧蒸留(180℃/67Pa)することにより、下記一般式(XXVIII)で示されるN−トリ(イソプロピル)シリル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン21.55gを得た。
Figure 0005256610
合成例6:シラン化合物8の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び環流冷却管を備えた300mlのガラス製反応容器に乾燥窒素を充填し、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(チッソ株式会社製シランカップリング剤、サイラエース(登録商標)S330)11.05g、トリエチルアミン11.49g(和光純薬工業株式会社製)、脱水ヘキサン350ml(和光純薬工業株式会社製)を加えて、均一になるまで撹拌した。次にトリイソブチルシリルクロリド12.21g(チッソ株式会社製)を10分間かけて滴下した後、25℃で48時間撹拌して反応を終了した。続いて、析出したトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンを留去した。次に減圧蒸留(180℃/67Pa)することにより、下記一般式(XXIX)で示されるN−トリ(イソブチル)シリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン21.55gを得た。
Figure 0005256610
(実施例1〜26、比較例1〜19)
以下の成分をそれぞれ表1〜表8に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例1〜26及び比較例1〜19の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
(A)エポキシ樹脂としてはエポキシ当量200、軟化点67℃のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1、住友化学工業株式会社製商品名ESCN−190)、
エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YX−4000H)、
エポキシ当量176、融点111℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YL−6121H)、
エポキシ当量242、融点118℃のチオジフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂4、新日本製鐵化学株式会社製商品名YSLV−120TE)、
エポキシ当量264、軟化点64℃のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂5、大日本インキ化学工業株式会社製商品名HP−7200)、
エポキシ当量217、軟化点72℃のナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂6、日本化薬株式会社製商品名NC−7300)、
エポキシ当量170、軟化点65℃のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂7、日本化薬株式会社製商品名EPPN−502H)、
エポキシ当量192、融点79℃のビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂8、新日本製鐵化学株式会社製商品名YSLV−80XY)、
エポキシ当量241、軟化点96℃のビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂9、日本化薬株式会社製商品名CER−3000L)、
エポキシ当量265、軟化点66℃のβ‐ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂10、新日鐵化学株式会社商品名ESN‐175S)、
エポキシ当量375、軟化点80℃、臭素含有量48質量%のビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂(エポキシ樹脂11)を使用した。
(B)硬化剤としては水酸基当量199、軟化点89℃のフェノール・アラルキル樹脂(硬化剤1、明和化成株式会社製商品名MEH−7851)、
水酸基当量176、軟化点70℃のフェノール・アラルキル樹脂(硬化剤2、三井化学株式会社製商品名ミレックスXLC)、
水酸基当量183、軟化点79℃のナフトール・アラルキル樹脂(硬化剤3、新日鐵化学株式会社製商品名SN−170)、
水酸基当量104、軟化点83℃のトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤4、明和化成株式会社製商品名MEH−7500)、
水酸基当量106、軟化点64℃のノボラック型フェノール樹脂(硬化剤5、明和化成株式会社製商品名H−4)、
水酸基当量156、軟化点83℃のノボラック型フェノール樹脂(硬化剤6、住金エア・ウォーター・ケミカル株式会社製商品名HE−510)を使用した。
(C)シラン化合物としてはN−トリ(イソプロピル)シリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(上記合成例1で合成したシラン化合物1)、
N−tert−ブチルジフェニルシリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(上記合成例2で合成したシラン化合物4)、
N−tert−ブチルジフェニルシリル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(上記合成例3で合成したシラン化合物5)、
N−トリフェニルシリル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(上記合成例4で合成したシラン化合物6)、
N−トリ(イソプロピル)シリル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(上記合成例5で合成したシラン化合物7)、
N−トリ(イソブチル)シリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(上記合成例6で合成したシラン化合物8)を、
また、比較のためにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン化合物2)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(シラン化合物3)を使用した。
(E)硬化促進剤としてはトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとのベタイン型付加物(硬化促進剤1)、トリブチルホスフィンとp−ベンゾキノンとのベタイン型付加物(硬化促進剤2)、(F)無機充てん剤としては平均粒径17.5μm、比表面積3.8m/gの球状溶融シリカ、その他の添加成分としてはカルナバワックス、三酸化アンチモン、カーボンブラックを使用した。
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実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を、次の(1)〜(7)の各種特性試験により評価した。評価結果を表9〜16に示す。なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、トランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は180℃で5時間行った。
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ成形材料を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)円板フロー
200mm(W)×200mm(D)×25mm(H)の上型と200mm(W)×200mm(D)×15mm(H)の下型を有する円板フロー測定用平板金型を用いて、上皿天秤にて秤量した封止用エポキシ樹脂成形材料5gを180℃に加熱した下型の中心部にのせ、5秒後に180℃に加熱した上型を閉じて、荷重78N、硬化時間90秒の条件で圧縮成形し、ノギスで成形品の長径(mm)及び短径(mm)を測定して、その平均値(mm)を円板フローの値とした。
(3)接着保持率
上記条件で30μmのアルミ箔上に封止用エポキシ樹脂成形材料を成形、後硬化して試験片を作製し、PCT処理(121℃、0.2MPa、100時間)前後で試験片の90度方向のピール強度(N/m)を測定し、接着保持率(%)=PCT処理後アルミピール強度/PCT処理前アルミピール強度×100で評価した。
(4)耐半田リフロー性
42アロイリードフレーム上に8×10mmのシリコーンチップを搭載した外形寸法20×14×2mmの80ピンフラットパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、85℃、85%RHの条件で加湿して所定時間ごとに240℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの発生の有無を観察し、試験パッケージ数(10)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(5)吸水率
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板を成形、上記条件で後硬化し、85℃、85%RHの条件下で72時間放置し、放置前後の質量変化を測定して、吸水率(質量%)={(放置後の円板質量−放置前の円板質量)/放置前の円板質量}×100で評価した。
(6)ガラス転移温度(Tg)
上記条件で19mm×3mm×3mmの形状に封止用エポキシ樹脂成形材料を成形、後硬化して試験片を作製し、株式会社リガク製の熱機械分析装置(TMA−8140、TAS−100)により、昇温速度5℃/minの条件で測定を行い、線膨張曲線の屈曲点からガラス転移温度(Tg、単位:℃)を求めた。
(7)難燃性
厚さ1/16インチ(約1.6mm)の試験片を成形する金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形して後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
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表9〜13に見られるように実施例1〜26では、良好な特性を示している。例えば実施例1〜17は(C)一般式(I)で示されるシラン化合物以外は同一樹脂組成の比較例1〜17と比べてスパイラルフロー及び円板フローにおいて良好な特性を示している。また72時間吸湿後のリフロー処理においてほぼ不良は無く、また48時間吸湿後のリフロー処理においてもパッケージクラックが無く耐半田リフロー性に優れている。
特に、実施例2に示すようにエポキシ樹脂としてエポキシ樹脂2(ビフェニル型エポキシ樹脂)、硬化剤として硬化剤2(フェノール・アラルキル樹脂)を併用した場合、及び実施例12に示すようにエポキシ樹脂8(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、硬化剤として硬化剤1(フェノール・アラルキル樹脂)及び硬化剤4(トリフェニルメタン型フェノール樹脂)を併用した場合は流動性に優れる。
また、実施例1に示すようにエポキシ樹脂としてエポキシ樹脂1(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、硬化剤として硬化剤5(ノボラック型フェノール樹脂)を併用した場合、及び実施例5、10、12に示すように硬化剤として硬化剤4(トリフェニルメタン型フェノール樹脂)を使用した場合は高いTgを示し、中でもエポキシ樹脂としてエポキシ樹脂7(トリフェニルメタン型エポキシ樹脂)を併用した実施例10は特にTgが高いため耐熱性に優れることがわかる。
一方、本発明と異なり(C)成分を含まない組成の比較例では本発明の目的を満足しない。例えば表14〜16に示される比較例1〜17では、流動性が低く、また48時間吸湿後のリフロー処理においてもパッケージクラックが発生し、さらに72時間吸湿後のリフロー処理において50%以上ものパッケージクラックが殆どの比較例で発生しており、耐半田リフロー性に劣る。

Claims (7)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)下記一般式(I)で示されるシラン化合物を含有する封止用エポキシ樹脂成形材料であって、前記(C)シラン化合物の全配合量が封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.03〜0.8質量%である素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
    Figure 0005256610

    (ここで、Rはアリール基置換、アルキル基置換、アルコキシ基置換又は非置換の、炭素数2〜12の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、R〜Rはアリール基置換、アルキル基置換、アルコキシ基置換又は非置換の、炭素数1〜12の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール基であり、同一でも異なっても良く、Rは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、pは1〜3の整数を示す。)
  2. (A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1記載の素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
  3. (B)硬化剤がフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂及び共重合型フェノール・アラルキル樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1または2のいずれかに記載の素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
  4. (D)前記(C)一般式(I)で示されるシラン化合物以外のシラン化合物をさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
  5. (E)硬化促進剤をさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載の素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
  6. (F)無機充てん剤をさらに含有する請求項1〜5のいずれかに記載の素子封止用エポキシ樹脂成形材料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の素子封止用エポキシ樹脂成形材料により封止された素子を備える電子部品装置。
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