本発明において用いられる(A)エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上含有するもので特に制限ないが、たとえばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα‐ナフトール、β‐ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの、アルキル置換、芳香環置換又は非置換のビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、チオジフェノール等のジグリシジルエーテル、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、流動性と硬化性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、硬化性の観点からはノボラック型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、耐熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹脂及び/又はトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、流動性と難燃性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のビスフェノールFのジグリシジルエーテルであるビスフェノールF型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、流動性とリフロー性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のチオジフェノールのジグリシジルエーテルであるチオジフェノール型エポキシ樹脂を含有していることが好ましく、硬化性と難燃性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のフェノールとビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物を含有していることが好ましく、保存安定性と難燃性の両立の観点からはアルキル置換、芳香環置換又は非置換のナフトール類とジメトキシパラキシレンから合成されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物を含有していることが好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
(ここで、R
1〜R
8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0又は1〜3の整数を示す。)
上記一般式(V)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェノール化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(V)中のR1〜R8としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´‐ビス(2,3‐エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4´‐ビス(2,3‐エポキシプロポキシ)‐3,3´,5,5´‐テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4´‐ビフェノール又は4,4´‐(3,3´,5,5´‐テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4´‐ビス(2,3‐エポキシプロポキシ)‐3,3´,5,5´‐テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては市販品としてジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YX‐4000として入手可能である。上記ビフェニル型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
チオジフェノール型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
(ここで、R
1〜R
8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0又は1〜3の整数を示す。)
上記一般式(VI)で示されるチオジフェノール型エポキシ樹脂は、チオジフェノール化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(VI)中のR1〜R8としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基などが挙げられ、なかでも水素原子、メチル基又はtert−ブチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´‐ジヒドロキシジフェニルスルフィドのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、2,2´,5,5´‐テトラメチル‐4,4´‐ジヒドロキシジフェニルスルフィドのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、2,2´‐ジメチル‐4,4´‐ジヒドロキシ‐5,5´‐ジ‐tert‐ブチルジフェニルスルフィドのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂等が挙げられ、なかでも2,2´‐ジメチル‐4,4´‐ジヒドロキシ‐5,5´‐ジ‐tert‐ブチルジフェニルスルフィドのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名YSLV‐120TEとして入手可能である。上記チオジフェノール型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
(ここで、R
1〜R
8は水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0又は1〜3の整数を示す。)
上記一般式(VII)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールF化合物にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(VII)中のR1〜R8としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素数1〜10のアルケニル基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4´‐メチレンビス(2,3,6‐トリメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4´‐メチレンビスフェノールのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂等が挙げられ、なかでも4,4´‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。そのようなエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名YSLV‐80XYとして入手可能である。上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(VIII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、上記一般式(VII)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(VIII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましい。
ナフタレン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
下記一般式(IX)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、m個の構成単位及びn個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。また、下記一般式(X)で示されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては特に制限はないが、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂が好ましい。
(ここで、R
1〜R
3は水素原子及び炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、これらは全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、m、nはそれぞれ0〜11の整数であって、(m+n)が1〜11の整数でかつ(m+p)が1〜12の整数となるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整数、kは0〜4の整数を示す。)
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の整数を示す。)
これらナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中、合わせて20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上とすることがさらに好ましい。
フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物としては、たとえば下記一般式(XI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
(ここで、R
1〜R
9は水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XI)で示されるビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、アルキル置換、芳香環置換又は非置換のフェノールとビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(XI)中のR1〜R9としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基、水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。また一般式(XI)中のnとしては平均で6以下がより好ましく、そのようなエポキシ樹脂としては、市販品として日本化薬株式会社製商品名NC‐3000Sが入手可能である。
また、難燃性と耐リフロー性、流動性の両立の観点からは上記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂を含有していることが好ましく、なかでも上記一般式(XI)のR1〜R8が水素原子で上記一般式(V)のR1〜R8が水素原子でn=0であることがより好ましい。また特にその配合質量比は、(V)/(XI)=50/50〜5/95であることが好ましく、40/60〜10/90であるものがより好ましく、30/70〜15/85であるものがさらに好ましい。このような配合質量比を満足する化合物としては、CER−3000L(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
ナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物としては、たとえば下記一般式(XII)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
Xは、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、アラルキル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から得られる二価の基、キシリレン基等のアリーレン基を含む二価の基などが挙げられ、なかでも、難燃性及び保存安定性の両立の観点からはフェニレン基、ビフェニレン基が好ましい。
上記一般式(XII)で示されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、アルキル置換、芳香環置換又は非置換のナフトールとジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるナフトール・アラルキル樹脂にエピクロルヒドリンを公知の方法で反応させることによって得られる。一般式(XII)中のRとしてはたとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましく、たとえば下記一般式(XIII)又は(XIV)で示されるナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物が挙げられる。nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。下記一般式(XIII)で示されるエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名ESN‐375が挙げられ、下記一般式(XIV)で示されるエポキシ樹脂としては市販品として新日鐵化学株式会社製商品名ESN‐175が挙げられる。上記ナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物の配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量中20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
(ここで、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
(ここで、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記のビフェニル型エポキシ樹脂、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物及びナフトール・アラルキル樹脂のエポキシ化物は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いる場合の配合量は、エポキシ樹脂全量中合わせて50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
本発明において用いられる(B)硬化剤は、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているもので特に制限はないが、たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、チオジフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、フェノール・ノボラック構造とフェノール・アラルキル構造がランダム、ブロック又は交互に繰り返された共重合型フェノール・アラルキル樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。
なかでも、流動性、難燃性及び耐リフロー性の観点からはフェノール・アラルキル樹脂、共重合型フェノール・アラルキル樹脂及びナフトール・アラルキル樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型フェノール樹脂が好ましく、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XV)で示される樹脂が挙げられる。
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XV)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
また、Xは芳香環を含む基を示し、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から得られる二価の基、アラルキル基置換アリーレン基、キシリレン基等のアリーレン基を含む二価の基などが挙げられる。なかでも、難燃性、流動性と硬化性の両立の観点からは置換又は非置換のフェニレン基が好ましく、例えば下記一般式(XVI)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が挙げられ、難燃性と耐リフロー性の両立の観点からは置換又は非置換のビフェニレン基が好ましく、例えば下記一般式(XVII)で示されるフェノール・アラルキル樹脂が挙げられる。nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
上記一般式(XVI)で示されるフェノール・アラルキル樹脂としては、市販品として三井化学株式会社製商品名XLCが挙げられ、一般式(XVII)で示されるビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル樹脂としては、市販品として明和化成株式会社製商品名MEH‐7851が挙げられる。上記フェノール・アラルキル樹脂の配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量中20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
ナフトール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XVIII)で示される樹脂が挙げられる。
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。iは0又は1〜3の整数を示し、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XVIII)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましい。
また、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、アラルキル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から得られる二価の基、キシリレン基等のアリーレン基を含む二価の基などが挙げられ、なかでも、保存安定性と難燃性の観点からは置換又は非置換のフェニレン基及びビフェニレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましく、たとえば下記一般式(XIX)及び(XX)で示されるナフトール・アラルキル樹脂が挙げられる。nは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
(ここで、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
(ここで、Xは芳香環を含む二価の有機基を示し、nは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XIX)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、市販品として新日鐵化学株式会社製商品名SN‐475が挙げられ、上記一般式(XX)で示されるナフトール・アラルキル樹脂としては、市販品として新日鐵化学株式会社製商品名SN‐170が挙げられる。上記ナフトール・アラルキル樹脂の配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量中20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。
上記一般式(XV)で示されるフェノール・アラルキル樹脂、一般式(XX)で示されるナフトール・アラルキル樹脂は、難燃性の観点からその一部又は全部がアセナフチレンと予備混合されていることが好ましい。アセナフチレンはアセナフテンを脱水素して得ることができるが、市販品を用いてもよい。また、アセナフチレンの代わりにアセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物として用いることもできる。アセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物を得る方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等が挙げられる。また、重合に際しては従来公知の触媒を用いることができるが、触媒を使用せずに熱だけで行うこともできる。この際、重合温度は80〜160℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。得られるアセナフチレンの重合物又はアセナフチレンと他の芳香族オレフィンとの重合物の軟化点は、60〜150℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。
60℃より低いと成形時の染み出しにより成形性が低下する傾向にあり、150℃より高いと樹脂との相溶性が低下する傾向にある。アセナフチレンと共重合させる他の芳香族オレフィンとしては、スチレン、α‐メチルスチレン、インデン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル又はそれらのアルキル置換体等が挙げられる。また、上記した芳香族オレフィン以外に本発明の効果に支障の無い範囲で脂肪族オレフィンを併用することもできる。脂肪族オレフィンとしては、(メタ)アクリル酸及びそれらのエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、フマル酸及びそれらのエステル等が挙げられる。これら脂肪族オレフィンの使用量は重合モノマー全量中20質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましい。
硬化剤の一部又は全部とアセナフチレンとの予備混合の方法としては、硬化剤及びアセナフチレンをそれぞれ微細に粉砕し固体状態のままミキサー等で混合する方法、両成分を溶解する溶媒に均一に溶解させた後、溶媒を除去する方法、硬化剤及び/又はアセナフチレンの軟化点以上の温度で両者を溶融混合する方法等で行うことができるが、均一な混合物が得られて不純物の混入が少ない溶融混合法が好ましい。前記の方法により予備混合物(アセナフチレン変性硬化剤)が、製造される。溶融混合は、硬化剤及び/又はアセナフチレンの軟化点以上の温度であれば制限はないが、100〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。また、溶融混合は両者が均一に混合すれば混合時間に制限はないが、1〜20時間が好ましく、2〜15時間がより好ましい。硬化剤とアセナフチレンを予備混合する場合、混合中にアセナフチレンが重合もしくは硬化剤と反応しても構わない。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XXI)で示されるフェノール樹脂等が挙げられる。
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(XXI)中のRとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。トリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量中30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえば下記一般式(XXII)で示されるフェノール樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでも下記一般式(XXII)で示されるノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
(ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、iは0〜3の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。)
上記一般式(XXII)中のRとしては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜10の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、水素原子がより好ましく、nの平均値が0〜8であることが好ましい。ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量中30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
共重合型フェノール・アラルキル樹脂としては、たとえば下記一般式(XXIII)で示されるフェノール樹脂が挙げられる。
(ここで、Rは水素原子、炭素数1〜12の置換又は非置換の一価の炭化水素基及び水酸基から選ばれ、すべてが同一でも異なっていてもよい。またXは芳香環を含む二価の基を示す。n及びmは0又は1〜10の整数を示す。)
上記一般式(XXIII)中のRとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基、メトキシ基置換アルキル基、エトキシ基置換アルキル基、ブトキシ基置換アルキル基等のアルコキシ基置換アルキル基、アミノアルキル基、ジメチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基等のアミノ基置換アルキル基水酸基置換アルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の無置換アリール基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ジメチルナフチル基等のアルキル基置換アリール基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、メトキシナフチル基等のアルコキシ基置換アリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基置換アリール基、水酸基置換アリール基などが挙げられ、なかでも水素原子又はメチル基が好ましく、またn及びmは0又は1〜10の整数を示し、平均で6以下がより好ましい。
上記一般式(XXIII)中のXとしては、たとえばフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、トリレン基等のアルキル基置換アリーレン基、アルコキシル基置換アリーレン基、アラルキル基置換アリーレン基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から得られる二価の基、キシリレン基等のアリーレン基を含む二価の基などが挙げられ、なかでも、保存安定性と難燃性の観点からは置換又は非置換のフェニレン基及びビフェニレン基が好ましい。一般式(XXIII)で示される化合物としては、HE−510(エア・ウォーター株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。共重合型フェノール・アラルキル樹脂を用いる場合、その配合量はその性能を発揮するために硬化剤全量中30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
上記のフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂及び共重合型フェノール・アラルキル樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いる場合の配合量は、フェノール樹脂全量中合わせて50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
本発明において、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当量比、すなわちエポキシ基に対する硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより好ましい。成形性、耐半田リフロー性に優れる封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
本発明で用いられる(C)アクリル化合物は、下記一般式(I)、(II)及び(III)で示される重合性不飽和化合物を、(I)及び(II)の質量比(I)/(II)が0以上9未満、(III)及び(II)の質量比(III)/(II)が0.01以上9以下の比率で重合して得られる化合物であれば特に制限は無い。(C)アクリル化合物は、下記一般式(I)、(II)及び(III)それぞれに示される化合物から得られる構成単位から成る共重合体で、各構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これら共重合体のいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組合わせて用いてもよい。またアクリル化合物の末端構造は水素原子及びメルカプト基含有化合物等、従来公知の連鎖移動剤等で修飾されていてもよい。
(式(I)で、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2はケイ素原子を含まない一価の有機基を示す。)
(式(II)で、R
3は水素原子又はメチル基を示し、R
4は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、R
5は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、pは1〜3の整数を示す。)
(式(III)で、R
6は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基及びアリール基を示し、置換されていても良い。)
前記一般式(I)中のR2は、下記一般式(IV)で示される基、−CO−NH2基、−CN基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルデヒド基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミド構造により結合された炭素数1〜6の炭化水素基、一価の複素環基、2価又は3価のヘテロ原子を介して結合された有機基、及び炭化水素基が2価又は3価のヘテロ原子を介して有機基に結合された基のうちのいずれかであるのが好ましい。また、これらの基は置換されていてもよい。
(ここで、R
7は水素原子、アルカリ金属原子または炭素数1〜22の置換又は非置換の有機基を示す。)
さらに、前記一般式(IV)中のR7は、水素原子の少なくとも一部が、塩素原子、フッ素原子、アミノ基、アミン塩類、アミド基、イソシアネート基、アルキルオキサイド基、グリシジル基、アジリジン基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アセトキシ基、またはアセトアセトキシ基で置換されていてもよい、炭化水素基であるのが好ましい。
R2の「アミド構造により結合された炭素数1〜6の炭化水素基」とは、−CO−NH−Rまたは−CO−N=Rで示される基であり、ここでRは上記炭化水素基であって、一価でも二価でもよく、置換されていてもよい。
上記一般式(I)で示される化合物の具体例としては、アクリル酸及びアクリル酸アルカリ金属塩等の塩、メタクリル酸及びメタクリル酸アルカリ金属塩などの塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アリールエステル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル等のアクリル酸アルコキシアルキル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸エトキシプロピル等のメタクリル酸アルコキシアルキル、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート等のアセトアセトキシ構造を持つエステル化合物などが挙げられる。
また、置換又は非置換の二価以上のアルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルとして、エチレングリコールのジアクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジアクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、プロピレングリコールのジアクリル酸エスエル、ジプロピレングリコールのジアクリル酸エスエル、トリプロピレングリコールのジアクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールのジアクリル酸エステル、エチレングリコールのジメタクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジアクリル酸エステル、プロピレングリコールのジメタクリル酸エスエル、ジプロピレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジメタクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールのジメタクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリアクリル酸エステル等の多価アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリメタクリル酸エステル等の多価メタクリル酸エステルが挙げられる。
さらに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有化合物、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル化合物、1−プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のアルキル基置換ビニル化合物、スチレン、ビニルトルエン等のアリール基置換ビニル化合物、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の脂環式アルコールのエステル化合物、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性化合物、アクリロイルアジリジン、メタクリロイルアジリジン、アクリル酸−2−アジリジニルエチル、メタクリル酸−2−アジリジニルエチル等のアジリジン基含有重合性化合物、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテル、メタクリル酸−2−エチルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル化合物、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸又はメタクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類とアクリル酸−2−ヒドロキシエチル又はメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの開環付加重合した付加物等のヒドロキシル基含有ビニル化合物、フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニル化合物、アクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸−2−クロロエチル等のハロゲン化ビニル化合物、2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニル等の反応性ハロゲン含有ビニル化合物、メタクリル酸及びアクリル酸を除く、式(I)の構造を満たす不飽和カルボン酸、左記の不飽和カルボン酸の塩、エステル化合物、酸無水物等の誘導体、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のアミド構造含有ビニル化合物、エチリデンノルボルネン、イソプレン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、クロロプレン、ブタジエン、メチルブタジエン、シクロブタジエン等のジエン化合物、ラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等が挙げられる。これらの重合性不飽和化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
上記一般式(I)で示される化合物の中でも、流動性と硬化性の両立の観点からはアクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、流動性と低吸湿性の両立の観点からはアクリル酸アリールエステル及びメタクリル酸アリールエステルが好ましい。
上記一般(II)で示される化合物の具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン及びγ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。これらの重合性不飽和化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
流動性、硬化性及び接着性のバランスの観点から、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランがより好ましい。
上記一般(III)で示される化合物の具体例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、N−(p−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(p−ヒドロキシブチル)マレイミド、N−エトキシエチルマレイミド、N−ブトキシエチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−トリル)マレイミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(p−カルボキシフェニル)マレイミド、N−(p−メトキシフェニル)マレイミド、N−(p−ニトロフェニル)マレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−アミノフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド等が挙げられる。これらの重合性不飽和化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。重合性の観点からはマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドが好ましく、流動性、硬化性及び接着性のバランスの観点からはN−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド及びN−ベンジルマレイミドが好ましい。
本発明で用いられる(C)アクリル化合物は、上記一般式(I)、(II)及び(III)で示される化合物を、(I)及び(II)の質量比(I)/(II)が0以上9未満、(III)及び(II)の質量比(III)/(II)が0.01以上9以下の比率で重合して得られる化合物であれば特に制限は無く、質量比(I)/(II)が小さいほど硬化性に優れ、質量比(I)/(II)が大きいほど流動性に優れ、質量比(III)/(II)が小さいほど流動性に優れ、(III)/(II)が大きいほど接着性に優れる傾向にある。中でも流動性及び成形性のバランスの観点から質量比(I)/(II)の値は0.1〜8が好ましく、1.5〜7.6がより好ましく、質量比(III)/(II)の値は0.05〜8.5が好ましく、0.1〜5がより好ましい。質量比(I)/(II)の値が9以上または質量比(III)/(II)の値が9を超える場合には、アクリル化合物の製造が困難となるとともに、得られたアクリル化合物を用いても十分な効果が得られない。また質量比(III)/(II)の値が0の場合はアクリル化合物の製造は可能だが十分な効果が得られない。化合物(I)、(II)又は(III)を複数種用いる場合には、(I)/(II)値又は(III)/(II)値は平均値から換算する。
また本発明で用いられる(C)アクリル化合物の分子量は本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限は無いが、アクリル化合物のハンドリング性、封止用エポキシ樹脂成形材料の流動性及び硬化性の両立の観点から重量平均分子量(Mw)は5000以下が好ましく、3000以下がなお好ましい。ここで、Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定することで得られる。本発明において、上記Mwは、GPCとしてポンプ(株式会社日立製作所製L−6200型)、カラム(TSKgel−G5000HXLおよびTSKgel−G2000HXL、いずれも東ソー株式会社製商品名)、検出器(株式会社日立製作所製L−3300RI型)を用い、テトラヒドロフランを溶離液として温度30℃、流量1.0ml/minの条件で測定した結果を参照する。
本発明で用いられる(C)アクリル化合物の製造方法は本発明の効果が達成される範囲内であれば特に制限は無いが、分子量制御の観点からメタロセン化合物及び分子中に反応性シリル基を有するチオール類の存在下、上記一般式(I)、(II)及び(III)で示される重合性不飽和化合物を重合する方法が好ましい。メタロセン化合物の例としては、チタノセン化合物、ジルコノセン化合物、ジシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスペンタメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Ru−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Cr−クロライド等が挙げられる。また反応性シリル基を有するチオール類としては例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルフェニルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルモノメチルジエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン及び3−メルカプトブチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また本発明で用いられる(C)アクリル化合物を合成する際には、重合速度や重合度の調整を目的にエチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、β-メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノール、チオフェノール、トリチオグリセリン、ペンタエリスリトールをβ−メルカプトプロピオン酸にてエステル化した多官能チオール化合物、ポリサルファイド系ポリマー等のチオール化合物、ジエチルトリスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラスルフィド、ビス(3−ヒドロキシプロピル)トリスルフィド、ビス(3−カルボキシプロピル)トリスルフィド、ビス(3−カルボキシプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−プロピルトリメトキシシラン)ジスルフィド、ビス(3−プロピルトリエトキシシラン)テトラスルフィド等のスルフィド化合物を併用することもでき、これらのいずれか1種を単独で用いても2種以上組合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる(C)アクリル化合物の全配合量は流動性、成形性及び耐リフロー性の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料中0.03〜0.8質量%が好ましく、0.04〜0.75質量%がより好ましく、0.05〜0.7質量%がさらに好ましい。0.03質量%未満では発明の効果が小さくなる傾向にあり、0.8質量%を超える場合には流動性は向上するが耐リフロー性が大幅に低下する傾向がある。
本発明の成形材料は、(D)シラン化合物を含有してもよい。(D)シラン化合物とは、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物であり、なお、(D)シラン化合物は、前記(C)アクリル化合物と重複するシラン系化合物を除くものとする。
これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルシランジオール、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルシラノール、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、2−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルイミン、3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)−N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−トリエトキシシリルプロピル−β−アラニンメチルエステル、3−(トリエトキシシリルプロピル)ジヒドロ−3,5−フランジオン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン等のシラン系化合物、1H−イミダゾール、2−アルキルイミダゾール、2,4−ジアルキルイミダゾール、4−ビニルイミダゾール等のイミダゾール化合物とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のγ−グリシドキシプロピルアルコキシシランの反応物であるイミダゾール系シラン化合物が挙げられる。これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)シラン化合物の全配合量は成形性及び接着性の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料中0.06〜2質量%が好ましく、0.1〜0.75質量%がより好ましく、0.2〜0.7質量%がさらに好ましい。0.06質量%未満では各種パッケージ部材との接着性が低下する傾向にあり、2質量%を超える場合にはボイド等の成形不良が発生しやすい傾向がある。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、従来公知のカップリング剤を配合してもよい。たとえば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。またこれらカップリング剤の全配合量は成形性及び接着性の観点から封止用エポキシ樹脂成形材料中0.06〜2質量%が好ましく、0.1〜0.75質量%がより好ましく、0.2〜0.7質量%がさらに好ましい。0.06質量%未満では各種パッケージ部材との接着性が低下する傾向にあり、2質量%を超える場合にはボイド等の成形不良が発生しやすい傾向がある。
本発明の成形材料は、(E)硬化促進剤を含有してもよい。本発明で用いられる(E)硬化促進剤としては、封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているもので特に限定はない。たとえば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類及びこれらの誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2―フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムエチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
なかでも、硬化性及び流動性の観点からは第三ホスフィンとキノン化合物との付加物が好ましく、保存安定性の観点からはシクロアミジン化合物とフェノール樹脂との付加物が好ましく、ジアザビシクロウンデセンのノボラック型フェノール樹脂塩がより好ましい。これらの硬化促進剤の配合量は硬化促進剤全量中合わせて60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられる第三ホスフィンとしては特に制限はないが、たとえば、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(tert−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメチル−4−エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−エトキシフェニル)ホスフィン等のアリール基を有する第三ホスフィンが挙げられ、成形性の点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
また、第三ホスフィンとキノン化合物との付加物に用いられるキノン化合物としては特に制限はないが、たとえば、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられ、耐湿性又は保存安定性の観点からはp−ベンゾキノンが好ましい。
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の合計量100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましい。0.1質量部未満では短時間で硬化させることが困難となり、10質量部を超えると硬化速度が早すぎて良好な成形品が得られない傾向がある。
本発明の成形材料は、(F)無機充てん剤を含有してもよい。本発明で用いられる(F)無機充てん剤は、吸湿性、線膨張係数低減、熱伝導性向上及び強度向上のために成形材料に配合されるものであり、封止用エポキシ樹脂成形材料に一般に使用されているものであれば特に制限されるものではないが、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、充てん剤形状は成形時の流動性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。特にコストと性能のバランスの観点からは球状溶融シリカが好ましい。
無機充てん剤の配合量は、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数低減及び強度向上の観点から、封止用エポキシ樹脂成形材料中70〜95質量%が好ましく、吸湿性、線膨張係数低減の観点から85〜95質量%がより好ましい。70質量%未満では、難燃性及び耐リフロー性が低下する傾向があり、95質量%を超えると流動性が不足する傾向がある。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、ICの耐湿性、高温放置特性を向上させる目的で陰イオン交換体を必要に応じて配合することができる。陰イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができるが、たとえば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスから選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、下記組成式(XXIV)で示されるハイドロタルサイトが好ましい。
陰イオン交換体の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉できる十分量であれば特に限定されるものではないが、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、接着性をより向上させるために、必要に応じて接着促進剤を用いることができる。接着促進剤としては、たとえば、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等の誘導体、アントラニル酸、没食子酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アミノフェノール、キノリン等及びこれらの誘導体、脂肪族酸アミド化合物、ジチオカルバミン酸塩、チアジアゾール誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、必要に応じて離型剤を用いてもよい。離型剤としては、酸化型又は非酸化型のポリオレフィンを(A)エポキシ樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.1〜5質量部用いることがより好ましい。0.01質量部未満では離型性が不十分となる傾向があり、10質量部を超えると接着性が低下する傾向がある。酸化型又は非酸化型のポリオレフィンとしては、ヘキスト株式会社製商品名H4やPE、PEDシリーズ等の数平均分子量が500〜10000程度の低分子量ポリエチレンなどが挙げられる。また、これ以外の離型剤としては、たとえばカルナバワックス、モンタン酸エステル、モンタン酸、ステアリン酸等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。酸化型又は非酸化型のポリオレフィンに加えてこれら他の離型剤を併用する場合、その配合量は合わせて(A)エポキシ樹脂100質量部に対して0.l〜10質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には従来公知の難燃剤を必要に応じて配合することができる。たとえば、ブロム化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、赤リン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機物及び/又はフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等で被覆された赤リン、リン酸エステル等のリン化合物、メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び下記組成式(XXV)で示される複合金属水酸化物などが挙げられる。
(式(XXV)で、M
1、M
2及びM
3は互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
上記組成式(XXV)中のM1、M2及びM3は互いに異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、M1が第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、M2がIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、M1がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、M2が鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、M1がマグネシウム、M2が亜鉛又はニッケルで、r=0のものが好ましい。p、q及びrのモル比は特に制限はないが、r=0で、p/qが1/99〜1/1であることが好ましい。なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期律表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。また、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄等の金属元素を含む化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよい。難燃剤の配合量は特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。
また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の着色剤を用いても良い。さらに、その他の添加剤として、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練した後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。たとえば、上述した成分の所定量を均一に撹拌、混合し、予め70〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダーなどで混練、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。成形条件に合うような寸法及び質量でタブレット化すると使いやすい。
本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形材料により封止した素子を備えた電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止した、電子部品装置などが挙げられる。このような電子部品装置としては、たとえば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール、裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は有効に使用できる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記合成例に従い、本発明に用いる(C)アクリル化合物1〜9を合成し、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
合成例1:アクリル化合物1の合成
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計及び環流冷却管を備えたフラスコに、ベンジルメタクリレート60gと、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10g、N−フェニルマレイミド30g、ルテノセンジクロライド0.1gを仕込み窒素雰囲気下80℃まで昇温した。次に、窒素雰囲気下3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン17.5gを撹拌下にフラスコ内に一気に添加し、フラスコ内の内容物の温度を80℃に保持して4時間撹拌し、さらに窒素雰囲気下3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン17.5gを撹拌下に5分かけてフラスコ内に滴下し、フラスコ内の内容物の温度を90℃に保持して4時間撹拌した。続いてフラスコ内の内容物の温度を室温(25℃)に戻しベンゾキノン溶液(95質量%THF溶液)20gを添加した後に、反応混合物を加熱減圧(80℃/13hPa)により低沸点成分を除去することでアクリル化合物1(黄色透明液体、収率75%、(I)/(II)が質量比で約6、(III)/(II)が質量比で約3、Mw=1230、Mw/Mn=2.39、25℃における粘度=100Pa・S)を得た。
合成例2:アクリル化合物2の合成
N−フェニルマレイミドの代わりにN−シクロヘキシルマレイミドを用いた以外は上記合成例1と同様にして、アクリル化合物2(無色透明液体、収率79%、(I)/(II)が質量比で約6、(III)/(II)が質量比で約3、Mw=980、Mw/Mn=2.41、25℃における粘度=42Pa・S)を得た。
合成例3:アクリル化合物3の合成
ベンジルメタクリレート60gの代わりにラウリルメタクリレートを75g、N−フェニルマレイミド30gの代わりにN−フェニルマレイミド15gを用いた以外は上記合成例1と同様にして、アクリル化合物3(淡黄色透明液体、収率83%、(I)/(II)が質量比で約7.5、(III)/(II)が質量比で約1.5、Mw=1600、Mw/Mn=1.35、25℃における粘度=0.18Pa・S)を得た。
合成例4:アクリル化合物4の合成
ベンジルメタクリレートの代わりにラウリルメタクリレートを用いた以外は上記合成例1と同様にして、アクリル化合物4(淡黄色透明液体、収率77%、(I)/(II)が質量比で約6、(III)/(II)が質量比で約3、Mw=1600、Mw/Mn=1.41、25℃における粘度=0.98Pa・S)を得た。
合成例5:アクリル化合物5の合成
ベンジルメタクリレート60gの代わりにn−ブチルアクリレート75g、N−フェニルマレイミド30gの代わりにN−フェニルマレイミド15gを用いた以外は上記合成例1と同様にして、アクリル化合物5(淡黄色透明液体、収率81%、(I)/(II)が質量比で約7.5、(III)/(II)が質量比で約1.5、Mw=1140、Mw/Mn=1.42、25℃における粘度=0.20Pa・S)を得た。
合成例6:アクリル化合物6の合成
ベンジルメタクリレートの代わりにn−ブチルアクリレートを用いた以外は上記合成例1と同様にして、アクリル化合物6(淡黄色透明液体、収率80%、(I)/(II)が質量比で約6、(III)/(II)が質量比で約3、Mw=1150、Mw/Mn=1.43、25℃における粘度=0.88Pa・S)を得た。
合成例7:アクリル化合物7の合成
ベンジルメタクリレート60gの代わりに2−エチルヘキシルアクリレート75g、N−フェニルマレイミド30gの代わりにN−フェニルマレイミド15gを用いた以外は上記合成例1と同様にして、アクリル化合物7(淡黄色透明液体、収率82%、(I)/(II)が質量比で約7.5、(III)/(II)が質量比で約1.5、Mw=1130、Mw/Mn=1.34、25℃における粘度=0.19Pa・S)を得た。
合成例8:アクリル化合物8の合成
ベンジルメタクリレート60gの代わりにベンジルメタクリレート30gとラウリルメタクリレート30gを用いた以外は上記合成例1と同様にして、アクリル化合物8(淡黄色透明液体、収率79%、(I)/(II)が質量比で約6、(III)/(II)が質量比で約3、Mw=1550、Mw/Mn=1.84、25℃における粘度=6.15Pa・S)を得た。
合成例9:アクリル化合物9の合成
ベンジルメタクリレート60gの代わりにベンジルメタクリレート30gとラウリルメタクリレート30g、N−フェニルマレイミドの代わりにN−シクロヘキシルマレイミドを用いた以外は上記合成例1と同様にして、アクリル化合物9(淡黄色透明液体、収率81%、(I)/(II)が質量比で約6、(III)/(II)が質量比で約3、Mw=1390、Mw/Mn=1.77、25℃における粘度=2.7Pa・S)を得た。
(実施例1〜35、比較例1〜15)
以下の成分をそれぞれ下記表1〜表8に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例1〜35及び比較例1〜15の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。なお表中の空欄は配合無しを表す。
(A)エポキシ樹脂としては、エポキシ当量200、軟化点67℃のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂1、住友化学工業株式会社製商品名ESCN−190)、
エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂2、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YX−4000H)、
エポキシ当量176、融点111℃のビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂3、ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名YL−6121H)、
エポキシ当量242、融点118℃のチオジフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂4、新日鐵化学株式会社製商品名YSLV−120TE)、
エポキシ当量217、軟化点72℃のナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂5、日本化薬株式会社製商品名NC−7300)、
エポキシ当量170、軟化点65℃のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂6、日本化薬株式会社製商品名EPPN−502H)、
エポキシ当量192、融点79℃のビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂7、新日鐵化学株式会社製商品名YSLV−80XY)、
エポキシ当量241、軟化点96℃のビフェニレン骨格含有フェノール・アラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂8、日本化薬株式会社製商品名CER−3000L)、
エポキシ当量265、軟化点66℃のβ‐ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂9、新日鐵化学株式会社商品名ESN‐175S)、
エポキシ当量375、軟化点80℃、臭素含有量48質量%のビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂(エポキシ樹脂10)を使用した。
(B)硬化剤としては、水酸基当量199、軟化点89℃のフェノール・アラルキル樹脂(硬化剤1、明和化成株式会社製商品名MEH−7851)、
水酸基当量176、軟化点70℃のフェノール・アラルキル樹脂(硬化剤2、三井化学株式会社製商品名ミレックスXLC)、
水酸基当量183、軟化点79℃のナフトール・アラルキル樹脂(硬化剤3、新日鐵化学株式会社製商品名SN−170)、
水酸基当量104、軟化点83℃のトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤4、明和化成株式会社製商品名MEH−7500)、
水酸基当量106、軟化点64℃のノボラック型フェノール樹脂(硬化剤5、明和化成株式会社製商品名H−4)、
水酸基当量156、軟化点83℃のフェノール樹脂(硬化剤6、エア・ウォーター株式会社製商品名HE−510)を使用した。
(C)アクリル化合物としては上記で合成したアクリル化合物1〜9、(D)シラン化合物としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン化合物1)、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(シラン化合物2)、(E)硬化促進剤としてはトリフェニルホスフィンとp−ベンゾキノンとのベタイン型付加物(硬化促進剤1)、トリブチルホスフィンとp−ベンゾキノンとのベタイン型付加物(硬化促進剤2)、(F)無機充てん剤としては平均粒径17.5μm、比表面積3.8m2/gの球状溶融シリカ、その他の添加成分としてはカルナバワックス、三酸化アンチモン、カーボンブラックを使用した。
実施例及び比較例の封止用エポキシ樹脂成形材料を、次の(1)〜(8)の各種特性試験により評価した。評価結果を下記表9〜16に示す。なお、封止用エポキシ樹脂成形材料の成形は、明記しない限りトランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。また、後硬化は180℃で5時間行った。
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ成形材料を上記条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
(2)円板フロー
200mm(W)×200mm(D)×25mm(H)の上型と200mm(W)×200mm(D)×15mm(H)の下型を有する円板フロー測定用平板金型を用いて、上皿天秤にて秤量した封止用エポキシ樹脂成形材料5gを180℃に加熱した下型の中心部にのせ、5秒後に180℃に加熱した上型を閉じて、荷重78N、硬化時間90秒の条件で圧縮成形し、ノギスで成形品の長径(mm)及び短径(mm)を測定して、その平均値(mm)を円板フローの値とした。
(3)熱時硬度
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計(株式会社上島製作所製HD−1120(タイプD))を用いて測定した。
(4)接着保持率
上記条件で30μmのアルミ箔上に封止用エポキシ樹脂成形材料を成形、後硬化して試験片を作製し、PCT処理(121℃、0.2MPa、100時間)前後で試験片の90度方向のピール強度(N/m)を測定し、接着保持率(%)=PCT処理後アルミピール強度/PCT処理前アルミピール強度×100で評価した。
(5)耐半田リフロー性(1)
42アロイリードフレーム上に8×10mmのシリコーンチップを搭載した外形寸法20×14×2mmの80ピンフラットパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、85℃、85%RHの条件で加湿して所定時間ごとに240℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの発生の有無を観察し、試験パッケージ数(10)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
(6)耐半田リフロー性(2)
42アロイリードフレームの代わりに銅リードフレーム(C194)を用いた以外は(5)と同様に評価した。
(7)吸水率
上記(3)で成形した円板を上記条件で後硬化し、85℃、85%RHの条件下で72時間放置し、放置前後の質量変化を測定して、吸水率(質量%)={(放置後の円板質量−放置前の円板質量)/放置前の円板質量}×100で評価した。
(8)ガラス転移温度(Tg)
上記条件で19mm×3mm×3mmの形状に封止用エポキシ樹脂成形材料を成形、後硬化して試験片を作製し、株式会社リガク製の熱機械分析装置(TMA−8140、TAS−100)により、昇温速度5℃/minの条件で測定を行い、線膨張曲線の屈曲点からガラス転移温度(Tg、単位:℃)を求めた。
表9〜13から以下のことがわかった。実施例1〜35では、(C)アクリル化合物を含まず、かつ(D)シラン化合物が一部異なる以外は同一樹脂組成の比較例と比べてスパイラルフロー及び円板フロー、接着保持率において良好な特性を示している。例えば、比較例2は実施例2、32、33、34又は35、比較例3は実施例3、16、20〜26、比較例6は実施例6又は17、比較例13は実施例13、19、27〜31に対応させた組成である。
またアクリル化合物を好ましい範囲、0.03〜0.8質量%で含有した実施例1〜33では72時間吸湿後のリフロー処理においてほぼ不良は無く、また48時間吸湿後のリフロー処理においてもパッケージクラックが無く耐半田リフロー性に優れている。特に、実施例2、32又は33に示すようにエポキシ樹脂としてエポキシ樹脂2(ビフェニル型エポキシ樹脂)、硬化剤として硬化剤2(フェノール・アラルキル樹脂)を併用した場合、及び実施例10又は18に示すようにエポキシ樹脂7(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、硬化剤として硬化剤1(フェノール・アラルキル樹脂)及び硬化剤4(トリフェニルメタン型フェノール樹脂)を併用した場合は流動性に優れる。
また、実施例1に示すようにエポキシ樹脂としてエポキシ樹脂1(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、硬化剤として硬化剤5(ノボラック型フェノール樹脂)を併用した場合、及び実施例4、8、10又は18に示すように硬化剤として硬化剤4(トリフェニルメタン型フェノール樹脂)を使用した場合は高いTgを示し、中でもエポキシ樹脂としてエポキシ樹脂6(トリフェニルメタン型エポキシ樹脂)を併用した実施例8は特に耐熱性に優れる。
一方、本発明と異なる組成の比較例では本発明の目的を満足しない。すなわち表14〜16に示される比較例1〜15では、流動性、接着保持率が低く、ほとんどの比較例で、72時間吸湿後のリフロー処理において50%以上ものパッケージクラックが発生し、さらに48時間吸湿後のリフロー処理においてもパッケージクラックが発生しており耐半田リフロー性に劣る。