JP5256199B2 - アルブミン−インスリン融合タンパク質 - Google Patents

アルブミン−インスリン融合タンパク質 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2006年10月10日に提出された米国仮特許出願第60/850,545号、および2006年8月7日に提出された米国仮特許出願第60/835,976号の恩典を主張し、それらの開示内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
背景
本発明は一般に、アルブミンまたはアルブミンの断片もしくは変異体と融合した、インスリン、インスリン活性を有するインスリン類似体、インスリン断片またはそれらの変異体を含む、治療用タンパク質に関する。本発明は、治療用アルブミン-インスリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、治療用アルブミン-インスリン融合タンパク質、組成物、薬学的組成物、製剤およびキットを範囲に含む。治療用アルブミン-インスリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによる形質転換を受けた宿主細胞も本発明の範囲に含まれ、これらのポリヌクレオチドおよび/または宿主細胞を用いて本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質を作製する方法も同様である。
アルブミンは血清の浸透圧のかなりの割合に寄与しており、内因性および外因性のリガンドの担体としても機能する。ヒト血清アルブミン(HSAまたはHA)は、その成熟型では585アミノ酸のタンパク質である(図1A〜Dに示されている)。現在のところ、臨床的使用のためのHAはヒト血液からの抽出によって生産されている。微生物における組換えHA(rHA)の生産は、EP 330 451(特許文献1)およびEP 361 991(特許文献2)に開示されている。
ネイティブな状態にある、または組換え的に生産された場合のインスリンなどの治療用タンパク質は、典型的には、短い貯蔵寿命を示す不安定な分子であり、水溶液として製剤化された場合は特にそうである。投与用に製剤化された場合のこれらの分子の不安定性は、分子の多くを貯蔵期間中に常に凍結乾燥させて冷蔵しなければならないことを要求し、それにより、分子を輸送/貯蔵することを困難にする。貯蔵の問題は、医薬製剤を院外環境で貯蔵して調合しなければならない場合には特に重大である。
また、組換え的に生産されたインスリンなどの治療用タンパク質は、インビボで、例えば患者に投与された後に、短い半減期を示すこともある。インビボでより長寿命の活性を示すインスリンなどの治療用タンパク質は、それらが患者におけるより長い投薬間期間を可能にすることから望ましい。
不安定なタンパク質分子の貯蔵の問題に対する実際的な解決策はこれまでほとんど提案されていない。したがって、容易に調合することができ、好ましくは最小限の貯蔵後操作しか必要としない単純な製剤形態を備えた、インスリンなどのタンパク性治療分子の安定した長期持続性製剤に対しては需要がある。さらに、患者に対して投与された後により長寿命の活性を示す、インスリンなどの治療用タンパク質に対しても需要がある。
EP 330 451 EP 361 991
本発明は、インスリン活性を有する治療用タンパク質を含む、アルブミン-インスリン融合タンパク質を範囲に含む。本発明はまた、アルブミンまたはアルブミンの断片(部分)もしくは変異体と融合したインスリン活性を有する治療用タンパク質をコードする核酸分子を含むかそれらからなるポリヌクレオチドも範囲に含む。アルブミンは、インスリン活性を有する治療用タンパク質のN末端、C末端または両末端に融合してよい。本発明はまた、治療用タンパク質の貯蔵寿命を延長させる、ならびに/またはインビトロおよび/もしくはインビボで溶液中(もしくは薬学的組成物中)での治療用タンパク質および/またはその活性を安定化するのに十分な、アルブミンまたはアルブミンの断片(部分)もしくは変異体と融合したインスリン活性を有する治療用タンパク質を含むタンパク質をコードする核酸分子を含むかそれらからなるポリヌクレオチドも範囲に含む。アルブミン-インスリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって形質転換された宿主細胞も本発明の範囲に含まれ、本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質を作製する方法、ならびに本発明のこれらのポリヌクレオチド、および/または宿主細胞を用いる方法も同様である。
本明細書に記載したアルブミン-インスリン融合タンパク質は、一般にインスリン活性を示す。例えば、アルブミン-インスリン融合タンパク質はインスリン受容体と結合して、インスリン受容体を保有する細胞におけるグルコース取り込みを賦活化する。一般に、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、連結配列によってインスリンのA鎖と融合されたインスリンのB鎖を含む。例えば、アルブミン-インスリンは、式-B(1-30)-X-A(1-21)-を有する、インスリン類似体のN末端、C末端または両末端と融合したアルブミンまたはその変異体を含むことができ、式中、Xはポリペプチド連結配列である。いくつかの態様において、連結配列は6〜30アミノ酸長である。一般に、連結配列は、インスリン活性を有する分子の形成に至るB鎖およびA鎖の適正なフォールディングを可能にするか、または促進する。
インスリン類似体の連結配列は天然の配列でも人工的な配列でもよい。典型的には、連結配列は4〜50アミノ酸、好ましくは6〜30アミノ酸のポリペプチドである。人工的配列を作り出すために天然の配列がアミノ酸の置換、付加または欠失によって改変されてもよい。好ましくは、連結配列は、ヒト血液中に存在し、それ故に免疫応答を誘発する可能性の低い天然ヒトタンパク質のアミノ酸配列を含みうる。天然の配列の例には、ネイティブ型インスリンC-ペプチド連結配列(
Figure 0005256199
)、IGF-I C-ペプチド連結配列(
Figure 0005256199
)、およびアルブミンの断片が含まれる(図1A〜D)。いくつかの態様において、連結配列は、インスリンの完全長C-ペプチド連結配列を含まない。他の態様において、連結配列は、IGF-IのC-ペプチド連結配列の少なくとも一部分を含む。任意で、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、アルブミン-インスリン融合タンパク質がIGF-I受容体と結合しないか、またはIGF-Iよりも低い親和性で結合するように、1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加または欠失を含むように改変されたIGF-IのC-ペプチド連結配列を含んでもよい。いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、IGF-I受容体に対するIGF-Iの親和性を基準として約80%、約60%、約40%、約20%、約10%または約5%を超えない相対的親和性で、IGF-I受容体と結合する。いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、第2位のチロシンがチロシン以外のアミノ酸(例えば、アラニン、グリシンまたはセリン)によって置き換えられるように修飾されたIGF-IのC-ペプチド連結配列を含む。好ましくは、アルブミン-インスリン融合タンパク質はマイトジェン活性を示さないか、またはIGF-Iを基準として約50%未満(もしくは好ましくはIGF-Iを基準として約30%、もしくはより好ましくはIGF-Iを基準として約10%未満)のマイトジェン活性を示す。いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質のマイトジェン活性は、適切な細胞培養株(例えば、L6細胞株)においてインビトロで評価することができる。
連結配列は、特定のアミノ酸を包含または除外するように選択することができる。いくつかの態様において、連結配列は、KK、KR、RKおよびRRからなる群より選択される、連続した2つの塩基性アミノ酸残基の配列を含まない。連結配列は、リジン残基またはアルギニン残基を含まないように選択することができる。連結配列を、チロシン残基を含まないように選択することもできる。
アルブミン-インスリン融合タンパク質は、インスリンポリペプチドまたは類似体のN末端、C末端、またはN末端およびC末端の両方と融合したアルブミンを含みうる。例えば、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、式-B(1-30)-X-A(1-21)-を有する、インスリン類似体のN末端、C末端、またはN末端およびC末端の両方と融合したアルブミンまたはその変異体を含むことができ、式中、XはインスリンのB鎖およびA鎖に対する連結配列である。
アルブミン-インスリン融合タンパク質はさらに、N末端リーダー配列またはシグナル配列を含んでもよい。N末端リーダー配列またはシグナル配列の例には、アルブミンリーダー配列、インスリンリーダー配列、MPIF-1シグナル配列、スタニオカルシンシグナル配列、インベルターゼシグナル配列、酵母接合因子αシグナル配列、K.ラクティス(K. lactis)キラー毒素リーダー配列、免疫グロブリンIgシグナル配列、フィビュリン(Fibulin)B前駆体シグナル配列、クラスタリン前駆体シグナル配列、インスリン様増殖因子結合タンパク質4シグナル配列、酸ホスファターゼ(PHO5)リーダー、MFoz-1のプレ配列、Oグルカナーゼ(BGL2)のプレ配列、S.ディアスタティクス(S. diastaticus)グルコアミラーゼII分泌リーダー配列;S.カルルスベルゲンシス(S. carlsbergensis)αガラクトシダーゼ(MEL1)分泌リーダー配列;カンジダグルコアミラーゼリーダー配列;バキュロウイルス発現系に用いるためのgp67シグナル配列;およびS.セレビシエ(S. cerevisiae)インベルターゼ(SUC2)リーダーが含まれる。N末端リーダー配列またはシグナル配列のそのほかの例には、ハイブリッドシグナル配列
Figure 0005256199
);HSA/MFα-1ハイブリッドシグナル配列(
Figure 0005256199
);K.ラクティスキラー/MFα-1融合リーダー配列(
Figure 0005256199
);HSAのプレ-プロ領域の変異体(
Figure 0005256199
);HSAのプレ-プロ領域の変異体(
Figure 0005256199
);HSAのプレ-プロ領域の変異体(
Figure 0005256199
);HSAのプレ-プロ領域の変異体(
Figure 0005256199
);改変HSAリーダー(
Figure 0005256199
);改変HSAリーダー(
Figure 0005256199
);改変HSA(A14)リーダー(
Figure 0005256199
);改変HSA(S14)リーダー(
Figure 0005256199
)、改変HSA(G14)リーダー(
Figure 0005256199
);改変HSA(G14)リーダー(
Figure 0005256199
);コンセンサスシグナル配列(
Figure 0005256199
);K.ラクティスキラー毒素プレプロ配列(
Figure 0005256199
);イヌリナーゼ配列(
Figure 0005256199
)が含まれる。
いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、式-B(1-30)-X-A(1-21)-を有するインスリン類似体を含み、式中、Xはアルブミンの断片(例えば、約6〜約30アミノ酸の断片)を含むポリペプチドである。例えば、アルブミンの断片は、
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列(Linking Sequence)No.1)、
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.2)および
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.3)から選択することができる。
他の態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、式-B(1-30)-X-A(1-21)-を有するインスリン類似体のN末端またはC末端と融合したアルブミンまたはその変異体を含み、式中、Xは、KK、KR、RKおよびRRからなる群より選択される連続した2つの塩基性アミノ酸残基の配列を含まないポリペプチドである。いくつかの態様において、Xはリジン残基またはアルギニン残基を含まないポリペプチドである。典型的には、Xは約6〜約30アミノ酸長のポリペプチドである。好ましくは、融合タンパク質はIGF-I受容体と結合しないか、またはIGF-Iよりも低い親和性で結合する。いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質はIGF-I受容体と、IGF-I受容体に対するIGF-Iの親和性を基準として約80%、約60%、約40%、約20%、約10%もしくは約5%を超えない相対的親和性で結合する。
さらなる態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、式-B(1-30)-X-A(1-21)-を有するインスリン類似体のN末端またはC末端と融合したアルブミンまたはその変異体を含み、式中、XはIGF-I C-ペプチドの断片(例えば、 6〜30アミノ酸の断片)を含むポリペプチドである。典型的には、融合タンパク質であるアルブミン-インスリン融合タンパク質はIGF-I受容体と結合しないか、またはIGF-Iよりも低い親和性で結合する。いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質はIGF-I受容体と、IGF-I受容体に対するIGF-Iの親和性を基準として約80%、約60%、約40%、約20%、約10%もしくは約5%を超えない相対的親和性で結合する。いくつかの態様において、Xは、チロシン残基(例えば、ポリペプチドはアミノ酸2位にチロシン残基を含まない)または塩基性アミノ酸残基(例えば、ポリペプチドは連続したリジンまたはアルギニンを含まない)などの選択されたアミノ酸を含まないポリペプチドである。
追加的な態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、式-B(1-30)-X-A(1-21)-を有するインスリン類似体のN末端またはC末端と融合したアルブミンまたはその変異体を含み、式中、Xは配列-G-Z1-G-Z2 n-を有するポリペプチドである;Z1はチロシンではない;Z2はn=0〜10であるアミノ酸である;かつ、融合タンパク質はIGF-I受容体と結合しないか、またはIGF-Iよりも低い親和性で結合する。いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質はIGF-1受容体と、IGF-I受容体に対するIGF-Iの親和性を基準として約80%、約60%、約40%、約20%、約10%もしくは約5%を超えない相対的親和性で結合する。いくつかの態様において、Xは配列-G-Z1-G-Z2 n-P-Q-T-を有するポリペプチドであり、約6〜約30個のアミノ酸を含む。Xの例には、
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.5)および
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.6)が含まれうる。
さらなる態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、式-B(1-30)-X-A(1-21)-を有するインスリン類似体のN末端またはC末端と融合したアルブミンまたはその変異体を含み、式中、Xは完全長インスリンC-ペプチドを含まないポリペプチド(例えば、約6〜約30個のアミノ酸を含むC-ペプチドの断片)である。インスリンC-ペプチドの選択された部分は、特定のアミノ酸を含まなくともよい(例えば、その部分は連続した2つの塩基性アミノ酸残基を含まない)。Xの例には、アミノ酸配列
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No. 7)を有するポリペプチドが含まれる。好ましくは、アルブミン-インスリン融合タンパク質はIGF-1受容体と結合しないか、またはIGF-Iよりも低い親和性で結合する。いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質はIGF-1受容体と、IGF-I受容体に対するIGF-Iの親和性を基準として約80%、約60%、約40%、約20%、約10%もしくは約5%を超えない相対的親和性で結合する。
本発明はまた、本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質と薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む医薬製剤も範囲に含む。そのような製剤はキットまたは容器内にあってもよい。そのようなキットまたは容器は、治療用タンパク質の延長された貯蔵寿命に関する説明書とともにパッケージ化することもできる。そのような製剤は、患者、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトにおける疾患または疾患症状を治療、予防、緩和または診断する方法であって、医薬製剤を患者に投与する段階を含む方法に用いることができる。いくつかの態様において、患者は、インスリン欠乏と関連のある疾患(例えば、インスリン依存性糖尿病)を有するか、またはそれを発症するリスクがある。
本明細書に記載したアルブミン-インスリン融合タンパク質は、アルブミンと融合していないインスリンポリペプチドと比べて延長されたインスリン活性を示しうる。例えば、アルブミン-インスリン融合タンパク質はインビトロまたはインビボで延長されたインスリン活性を示しうる。
同じく開示されるのは、アルブミン-インスリン融合タンパク質と少なくとも1つの薬学的添加剤とを含む薬学的組成物である。薬学的組成物は、ヒト患者および非ヒト患者(例えば、イヌ、ネコ、ウマ)を含む、それを必要とする任意の患者に投与することができる。薬学的組成物は、インスリンによる治療が有益である任意の代謝性疾患または症候群を治療または予防するために投与することができる。いくつかの態様において、薬学的組成物は、インスリン依存性糖尿病、インスリン非依存性糖尿病または多嚢胞卵巣症候群を治療するために、それを必要とする患者に投与される。
アルブミン-インスリン融合タンパク質の医薬製剤にはエアロゾル製剤が含まれうる。適したエアロゾル製剤には、本質的にすべての吸入粒子がアルブミン-インスリン融合タンパク質を含む、肺送達、鼻送達またはその両方のための水性製剤、噴射剤を利用する製剤、または噴射剤を利用しない製剤が含まれうる。アルブミン-インスリン融合タンパク質の適したエアロゾル製剤には、乾燥粉末エアロゾル製剤(例えば、乾燥粉末、噴射剤を利用するエアロゾル製剤)が含まれうる。アルブミン-インスリン融合タンパク質は、エアロゾル製剤中に任意の適した濃度または濃度範囲で存在しうる。水性エアロゾル製剤に関しては、アルブミン-インスリン融合タンパク質は例えば、約0.05mg/mL、約0.1mg/mL、約2mg/mL、約40mg/mLまたは約100mg/mLから約600mg/mLまで、約0.05mg/g、約0.1mg/g、約2mg/g、約40mg/gまたは約100mg/gから約990mg/gまでの濃度範囲(または0.1mg/mLから最大600mg/mLまでの間の1mg/g刻みの任意の増分)で存在しうる。アルブミン-インスリン融合タンパク質のエアロゾル製剤は、肺内腔、鼻内腔またはその両方の適切な領域へのアルブミン-インスリン融合タンパク質の有効な送達を与えることができる。いくつかの態様において、エアロゾル製剤は、約120秒未満、好ましくは約60秒未満、より好ましくは約30秒未満、最も好ましくは約15秒未満で、肺にアルブミン-インスリン融合タンパク質の有効濃度を送達することができる。
[請求項101]
インスリン活性を有し、かつ、インスリン類似体のN末端、C末端、または両末端と融合したアルブミンまたはその変異体を含む融合タンパク質であって、インスリン類似体が以下からなる群より選択される式を有する、融合タンパク質:
(a)-B( 1-30 )-X-A( 1-21 )-、式中、Xはアルブミンの断片を含むポリペプチドであり、アルブミンの断片は約6〜約30アミノ酸長である;
(b)-B( 1-30 )-X-A( 1-21 )-、式中、Xは、KK、KR、RK、およびRRからなる群より選択される連続した2つの塩基性アミノ酸残基の配列を含まないポリペプチドである;
(c)-B( 1-30 )-X-A( 1-21 )-、式中、Xは完全長インスリンC-ペプチドを含まないポリペプチドである;
(d)-B( 1-30 )-X-A( 1-21 )-、式中、XはIGF-I C-ペプチドの断片を含むポリペプチドであり、ここで、Xは約6〜約30アミノ酸長のポリペプチドである;および
(e)-B( 1-30 )-X-A( 1-21 )-、式中、Xは配列-G-Z 1 -G-Z 2 n -を有するポリペプチドであって;Z 1 はチロシンではなく;Z 2 はn=0〜10のアミノ酸である。
[請求項102]
アルブミンの断片が、
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.1)、
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.2)および
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.3)からなる群より選択される、請求項101(a)記載の融合タンパク質。
[請求項103]
Xが、アミノ酸配列
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.7)を有するポリペプチドである、請求項101(c)記載の融合タンパク質。
[請求項104]
Xが、
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.5)および
Figure 0005256199
(CoGenesys連結配列No.6)からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項101(e)記載の融合タンパク質。
[請求項105]
Xがチロシン残基を含まないポリペプチドである、請求項101(d)または101(e)記載の融合タンパク質。
[請求項106]
Xが、ポリペプチドのアミノ酸2位にチロシン残基を含まないポリペプチドである、請求項101(d)または101(e)記載の融合タンパク質。
[請求項107]
Xが、配列-G-Z 1 -G-Z 2 n -P-Q-T-を有するポリペプチドである、請求項101(e)記載の融合タンパク質。
[請求項108]
アルブミンの断片またはXポリペプチドが、KK、KR、RK、およびRRからなる群より選択される連続した2つの塩基性アミノ酸残基の配列を含まない、請求項101(a)、101(c)、101(d)、または101(e)記載の融合タンパク質。
[請求項109]
101(a)におけるアルブミンの断片、または101(b)におけるXポリペプチドが、リジン残基またはアルギニン残基を含まない、請求項101〜108のいずれか一項記載の融合タンパク質。
[請求項110]
Xが約6〜約30アミノ酸長のポリペプチドである、請求項101(b)、101(c)、または101(e)記載の融合タンパク質。
[請求項111]
(a)IGF-I受容体と結合しないか、もしくは、IGF-Iよりも低い(例えば、IGF-I受容体に対するIGF-Iの親和性を基準として約80%、約60%、約40%、約20%、約10%、もしくは約5%を超えない)親和性で結合する;または
(b)マイトジェン活性を示さないか、もしくは、IGF-Iを基準として約50%を超えない(もしくは、好ましくはIGF-Iを基準として約30%を超えない、もしくは、より好ましくはIGF-Iを基準として約10%を超えない)マイトジェン活性を示す、
請求項101〜110のいずれか一項記載の融合タンパク質。
[請求項112]
アルブミンまたはその変異体が、インスリン類似体のN末端と融合されている、請求項101〜111のいずれか一項記載の融合タンパク質。
[請求項113]
アルブミンまたはその変異体が、インスリン類似体のC末端と融合されている、請求項101〜112のいずれか一項記載の融合タンパク質。
[請求項114]
アルブミンまたはその変異体が、インスリン類似体のN末端およびC末端と融合されている、請求項101〜113のいずれか一項記載の融合タンパク質。
[請求項115]
N末端リーダー配列またはシグナル配列をさらに含む、請求項101〜114のいずれか一項記載の融合タンパク質。
[請求項116]
N末端リーダー配列またはシグナル配列が、アルブミンリーダー配列、インスリンリーダー配列、MPIF-1シグナル配列、スタニオカルシンシグナル配列、インベルターゼシグナル配列、酵母接合因子αシグナル配列、K.ラクティス(K. lactis)キラー毒素リーダー配列、免疫グロブリンIgシグナル配列、フィビュリン(Fibulin)B前駆体シグナル配列、クラスタリン前駆体シグナル配列、インスリン様増殖因子結合タンパク質4シグナル配列、酸ホスファターゼ(PHO5)リーダー、MFoz-1のプレ配列、Oグルカナーゼ(BGL2)のプレ配列、S.ディアスタティクス(S. diastaticus)グルコアミラーゼII分泌リーダー配列;S.カリスベルゲンシス(S. carisbergensis)αガラクトシダーゼ(MEL1)分泌リーダー配列;カンジダグルコアミラーゼリーダー配列;バキュロウイルス発現系に用いるためのgp67シグナル配列;およびS.セレビシエ(S. cerevisiae)インベルターゼ(SUC2)リーダーからなる群より選択される、請求項115記載の融合タンパク質。
[請求項117]
N末端リーダー配列またはシグナル配列が、
(
Figure 0005256199
);HSA/MFα-1ハイブリッドシグナル配列
(
Figure 0005256199
);K.ラクティスキラー/MFα-1融合リーダー配列
(
Figure 0005256199
);HSAのプレ-プロ領域の変異体
(
Figure 0005256199
);HSAのプレ-プロ領域の変異体
(
Figure 0005256199
);HSAのプレ-プロ領域の変異体
(
Figure 0005256199
);HSAのプレ-プロ領域の変異体
(
Figure 0005256199
);改変HSAリーダー
(
Figure 0005256199
);改変HSAリーダー
(
Figure 0005256199
);改変HSA(A14)リーダー
(
Figure 0005256199
);改変HSA(S14)リーダー
(
Figure 0005256199
)、改変HSA(G14)リーダー
(
Figure 0005256199
);改変HSA(G14)リーダー
(
Figure 0005256199
);コンセンサスシグナル配列
(
Figure 0005256199
);K.ラクティスキラー毒素プレプロ配列
(
Figure 0005256199
);および、イヌリナーゼ配列
(
Figure 0005256199
)からなるハイブリッドシグナル配列の群より選択される、請求項115記載の融合タンパク質。
[請求項118]
請求項101〜117のいずれか一項記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[請求項119]
請求項118記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
[請求項120]
請求項119記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
[請求項121]
請求項120記載の宿主細胞を発酵させる段階を含む、アルブミン-インスリン融合タンパク質を調製するための方法。
[請求項122]
請求項101〜117のいずれか一項記載の融合タンパク質と薬学的添加剤とを含む、薬学的組成物。
[請求項123]
請求項101〜117のいずれか一項記載の融合タンパク質と薬学的添加剤とを含む、薬学的エアロゾル組成物。
[請求項124]
鼻送達、肺送達、またはその両方のために製剤化されている、請求項123記載の薬学的エアロゾル組成物。
[請求項125]
液体エアロゾルまたは乾燥粉末エアロゾルである、請求項124記載の薬学的エアロゾル組成物。
[請求項126]
液体エアロゾルが、以下からなる群より選択される平均直径を有する液滴を含む、請求項125記載の薬学的エアロゾル組成物:
(a)約2〜約10ミクロン;
(b)約2〜約6ミクロン;
(c)約2ミクロン未満;
(d)約5〜約100ミクロン;および
(e)30〜約60ミクロン。
[請求項127]
乾燥粉末エアロゾルが、噴霧乾燥粉末エアロゾルまたは凍結乾燥粉末エアロゾルである、請求項125記載の薬学的エアロゾル組成物。
[請求項128]
請求項101〜117のいずれか一項記載の融合タンパク質を含む、噴射剤を利用するpMDIに用いるための薬学的エアロゾル組成物。
[請求項129]
噴射剤が非CFC噴射剤である、請求項128記載の薬学的エアロゾル組成物。
[請求項130]
医用薬剤を調製するための、請求項122記載の薬学的組成物の使用であって、医用薬剤が代謝障害の治療において有用である、使用。
[請求項131]
代謝障害が糖尿病である、請求項130記載の方法。
図1A〜Dは、成熟型のヒトアルブミンのアミノ酸配列およびそれをコードするポリヌクレオチドを示している。 pPPC0005クローニングベクターATCC寄託物PTA-3278の制限地図を示している。 pSAC35酵母S.セレビシエ(S. cerevisiae)発現ベクター(Sleep et al., BioTechnology, 8:42 (1990))の制限地図を示している。 インスリン、IGF-I、グラルギン(ランタス(Lantus)(登録商標)、Aventis)またはアルブミン-インスリン融合タンパク質(IN101NHYおよびIN100NHY)に反応したL6細胞の増殖を示している。 種々の濃度のインスリン、グラルギン(Lantus(登録商標)、Aventis)またはアルブミン-インスリン融合タンパク質(IN01NHYおよびIN100NHY)に反応した、肝細胞におけるSREBPの賦活化(左のグラフ)および肝細胞におけるFASの賦活化(右のグラフ)を示している。 グラルギン(Lantus(登録商標)、Aventis)またはアルブミン-インスリン融合タンパク質(IN101NHYおよびIN100NHY)に反応した、BalbCマウスにおける血漿グルコースレベルを示している。 皮下投薬後のマウスにおけるアルブリン(Albulin)(IN101NHY)の薬物動態を示している。 48時間毎の皮下投薬後のヒトにおけるアルブリン(IN1O1NHY)の予測される薬物動態を示している。 マウスにおける血糖に対するアルブリン(lN1O1NHY)およびレベミル(Levemir)の等モル投薬の比較を示している。 静脈内(IV)または吹送経路によるアルブリン-Gの投薬後の平均±SD血清濃度を示している。 血糖の最大低下率をアルブリン-Gの最高血清中薬物濃度と対比して示している。 血糖の最大低下率をアルブリン-GのAUC0-∞と対比して示している。 アルブリン-GのCmaxを血清グルコースに関するAUECと対比して示している。 AUCアルブリン-Gを血清グルコースに関するAUECと対比して示している。 1mg/kgの単回IV投薬後の血清アルブリン濃度時間曲線を示している。 3mg/kgの単回IV投薬後の血清アルブリン濃度時間曲線を示している。 3mgの単回IS投薬後(454/66)の血清アルブリン濃度時間曲線を示している。 3mgの単回IS投薬後(454/73.1)の血清アルブリン濃度時間曲線を示している。 3mgの単回IS投薬後(454/73.2)の血清アルブリン濃度時間曲線を示している。
好ましい態様の詳細な説明
生物活性のあるタンパク質およびペプチドとヒト血清アルブミンとの融合は、医学的用途のある新たなタンパク質産物を作り出すために非常に役立つことが判明している。生物活性のある構成要素に対して加えられる半減期の延長は現実に明白であるように思われるが(アルブミンは長い半減期を有するため)、この概念は予測可能というにはほど遠いことが判明している。アルブミン融合タンパク質の半減期はアルブミンよりも短いことが常であり、アルブミン融合タンパク質の血漿中半減期はタンパク質組成、さらには製造のために用いた宿主系によっても大きく異なる。例えば、酵母で製造された場合には、エリスロポエチン-HSAは短い半減期(EPO単独よりもそれほど長くはない)を有するが、哺乳動物細胞で製造された場合にはEPO-HSAはより長い半減期を有する。
アルブミン融合タンパク質の中には半減期がヒトでの週1回またはそれ未満の頻度での投与に十分に対応しうるほど長いものもあるが(例えば、インターフェロン-α、成長ホルモンおよびGLP-1との融合物)、他のタンパク質(例えば、インスリン)では、半減期がより短く、それ故により高い頻度での投薬が必要になる。融合タンパク質の中には半減期が非常に長いので安全でない可能性のあるものもあれば、医学的用途のためには半減期が短かすぎるものもある。さらに、組成および配向の影響はアルブミン融合タンパク質の予測不能な特徴であることが判明している。あるものはHSAのN末端に対して十分に作用し、また別のものはC末端に対して作用する。タンパク質の中には、N末端、C末端または両末端でアルブミンと融合された場合のいずれも全く機能しないものもある(以下の表Aにおける例)。
(表A)アルブミン融合物として製造された場合に活性のないタンパク質の例
Figure 0005256199
この技術の最も驚くべき特質は、タンパク質を血液中により長く存続させ、このため患者にとってより便利にするという単純な概念を超える幅広い医学的有用性を実証した。例えば、アルブミン融合物は、治療指数(有益な作用と有害効果との間の有効範囲(window))を予測不能な様式で改善することができる。アルブリンはこの一例である。毎日の投与は、標的治療レベルに向かって各患者で微調整することのできる、極めて平坦な曝露プロフィールをもたらす。現行のインスリン療法の実世界での有効性を制約するインスリン曝露の大きなピーク-トラフ変動(peak-to-trough variation)を回避することにより、アルブリンの特有な薬物動態プロフィールは、望ましくないインスリンレベルのスパイクに伴う危険な低血糖発作という危険を冒すことなく、患者が標的インスリンレベル(そしてそれ故に標的血糖レベル)を達成することを可能にする。
なお、アルブミン融合物はタンパク質の組織分布プロフィールを変化させる。インスリンの皮下送達は、肝臓でよりも末梢(筋肉および脂肪)においてより高いインスリンレベルをもたらす。その結果、低血糖および体重増加のリスクはより大きくなる。アルブミンはそれが回復するように体内に定常濃度プロファイルで存在し、肝臓は末梢よりも高いレベルに曝露される。アルブミン融合物はインスリンにより高度の肝曝露プロファイルを付与し、それ故に糖尿病におけるインスリンの所望の作用に対して、有効性の改善、重症低血糖のリスクの減少、および体重増加の減少を伴うさらなる改善を導く可能性がある。
定義
以下の定義は、本明細書の全体を通じて使用される特定の用語の理解を容易にするために提供される。
本明細書で用いる場合、「ポリヌクレオチド」とは、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸分子のことを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、インスリン活性を有する少なくとも1つの治療用タンパク質とインフレームで連結されたアルブミン(その断片または変異体)の少なくとも1つの分子を含む、またはそれらからなる融合タンパク質をコードすることができる。
本明細書で用いる場合、「アルブミン融合構築物」とは、インスリン活性を有する治療用タンパク質の少なくとも1つの分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに対してインフレームで連結されたアルブミン(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードするポリヌクレオチドを含む、または代替的にはそれらからなる核酸分子;実施例に記載されたようにして作製される、インスリン活性を有する治療用タンパク質(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに対してインフレームで連結されたアルブミン(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードするポリヌクレオチドを含む、または代替的にはそれらからなる核酸分子;または、インスリン活性を有する治療用タンパク質(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに対してインフレームで連結されたアルブミン(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードするポリヌクレオチドを含む、または代替的にはそれらからなる核酸分子であって、さらに例えば、以下のエレメント:(1)機能的自己複製ベクター(シャトルベクター、発現ベクター、組み込みベクターおよび/または複製系を非限定的に含む)、(2)転写開始のための領域(例えば、プロモーター領域、例えば、調節可能プロモーターまたは誘導性プロモーター、構成的プロモーターなど)、(3)転写終結のための領域、(4)リーダー配列、および(5)選択マーカーのうち1つまたは複数を含む核酸分子のことを指す。インスリン活性を有する治療用タンパク質およびアルブミンタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ひとたびアルブミン融合構築物の一部となれば、それぞれ、アルブミン融合構築物の「一部分(a portion)」「領域」または「部分(moiety)」と称することができる。
本発明は一般に、アルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド;アルブミン融合タンパク質;およびアルブミン融合タンパク質またはアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて疾患または障害を治療、予防または緩和する方法に関する。本明細書で用いる場合、「アルブミン融合タンパク質」とは、アルブミン(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子と、インスリン活性を有する治療用タンパク質(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子との融合によって形成されるタンパク質のことを指す。本発明のアルブミン融合タンパク質は、インスリン活性を有する治療用タンパク質の少なくとも断片または変異体およびヒト血清アルブミンの少なくとも断片または変異体を含み、それらは遺伝子融合によって互いに結びついている(すなわち、アルブミン融合タンパク質は、インスリン活性を有する治療用タンパク質の全体または一部分をコードするポリヌクレオチドがアルブミンの全体または一部分をコードするポリヌクレオチドとインフレームに連結された核酸の翻訳によって生成される)。インスリン活性を有する治療用タンパク質およびアルブミンタンパク質は、ひとたびアルブミン融合タンパク質の一部となれば、それぞれ、アルブミン融合タンパク質の「一部分」「領域」または「部分」(例えば、「インスリン活性を有する治療用タンパク質の一部分」または「アルブミンタンパク質の一部分」)と称することができる。1つの非常に好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、インスリン活性を有する治療用タンパク質またはその断片もしくは変異体(インスリン活性を有する治療用タンパク質の成熟形態を非限定的に含む)の少なくとも1つの分子、およびアルブミンまたはその断片もしくは変異体(アルブミンの成熟形態を非限定的に含む)の少なくとも1つの分子を含む。
1つのさらなる好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は宿主細胞によってプロセシングされ、周りの培地中に分泌される。発現のために用いられる宿主の分泌経路において生じる新生アルブミン融合タンパク質のプロセシングには、シグナルペプチド切断;ジスルフィド結合の形成;適正なフォールディング;糖質の付加およびプロセシング(例えば、N結合型グリコシル化およびO結合型グリコシル化);特異的タンパク質切断;および多量体タンパク質への集成が非限定的に含まれうる。本発明のアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、プロセシングされた形態にある。1つの最も好ましい態様において、「アルブミン融合タンパク質のプロセシングされた形態」とは、本明細書において成熟アルブミン融合タンパク質とも称する、N末端シグナルペプチド切断を受けたアルブミン融合タンパク質産物のことを指す。
さらなる態様において、本発明は、インスリン活性を有する治療用タンパク質、ならびに血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。さらなる態様において、本発明は、インスリン活性を有する治療用タンパク質、ならびに血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な変異体を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい態様において、アルブミン融合タンパク質のインスリン活性を有する治療用タンパク質部分は、インスリン活性を有する治療用タンパク質の成熟部分である。1つのさらなる好ましい態様において、アルブミン融合タンパク質のインスリン活性を有する治療用タンパク質部分は、インスリン活性を有する治療用タンパク質の細胞外可溶性ドメインである。1つの代替的な態様において、アルブミン融合タンパク質のインスリン活性を有する治療用タンパク質部分は、インスリン活性を有する治療用タンパク質の活性形態である。本発明はさらに、これらのアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドも範囲に含む。
さらなる態様において、本発明は、インスリン活性を有する治療用タンパク質の生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片もしくは変異体、ならびに血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片もしくは変異体を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい態様において、本発明は、インスリン活性を有する治療用タンパク質の成熟部分および血清アルブミンの成熟形態を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。本発明はさらに、これらのアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドも範囲に含む。
治療用タンパク質
上述したように、本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは遺伝的融合によって互いに結びついている、治療用タンパク質の少なくとも断片もしくは変異体、およびヒト血清アルブミンの少なくとも断片もしくは変異体を含む、または代替的にはそれらからなるタンパク質をコードする。好ましい治療用タンパク質はインスリンまたはインスリン類似体である。インスリン(110アミノ酸)は、アミノ酸配列:
Figure 0005256199
を有する。B鎖(
Figure 0005256199
)はアミノ酸25〜54位に存在する。A鎖(
Figure 0005256199
)はアミノ酸90〜110位に存在する。B鎖およびA鎖を連結するC-ペプチド(
Figure 0005256199
)はアミノ酸55〜89位に存在する。本明細書に開示される治療用タンパク質には、インスリンのC-ペプチドまたは別の天然もしくは人工的な配列によって連結されたインスリンのB鎖およびA鎖が含まれうる。B鎖およびA鎖を連結するために用いられる天然の配列を、アミノ酸の置換、付加または欠失を含むように修飾してもよい。本明細書に開示される治療用タンパク質には、一本鎖インスリン分子が含まれうる。
1つの追加的な態様は、化学結合によって互いに連結された、インスリン活性を有する治療用タンパク質の少なくとも断片または変異体およびヒト血清アルブミンの少なくとも断片または変異体を含む、または代替的にはそれらからなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む。
本明細書で用いる場合、「インスリン活性を有する治療用タンパク質」とは、インスリンポリペプチドまたはその断片もしくは変異体、またはインスリン類似体のことを指し、これには「一本鎖インスリン」が含まれうる。本明細書で用いる場合、「一本鎖インスリン」とは、インスリンのB鎖およびA鎖が、本明細書に開示されるインスリンC-ペプチドまたはC-ペプチド類似体が含まれうる連結ペプチドまたは接続ペプチドによって連続したポリペプチド鎖として連結されている、インスリンの活性を有するタンパク質のことである。例えば、「一本鎖インスリン」には、連結配列によってインスリンのA鎖(アミノ酸1〜21位)と連結したインスリンのB鎖(アミノ酸1〜30位)が含まれうる。連結配列には、インスリンの完全長C-ペプチドリンカーまたはその変異体の断片(例えば、1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加または欠失を有する変異体)が含まれうる。連結配列には、インスリンのC-ペプチドリンカー以外の天然または人工的な配列(例えば、IGF-I C-ペプチド、アルブミンまたはそれらの断片)が含まれうる。他の天然の配列が、修飾(例えば、1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加または欠失)を含んでもよい。
「インスリン活性を有する治療用タンパク質」には、ヒトまたは非ヒトのインスリンポリペプチド(例えば、イヌ、ネコまたはウマのインスリン)またはその断片もしくは変異体、またはインスリン類似体(例えば、イヌ、ネコまたはウマのインスリン類似体)を含めることができ、それには「一本鎖インスリン」が含まれうる。
本明細書で用いる場合、ペプチド、タンパク質およびポリペプチドという用語は互換的に用いられる。「インスリン活性を有する治療用タンパク質」という用語は、インスリンの断片、変異体および類似体を範囲に含むことを特に想定している。したがって、本発明のタンパク質には、インスリンの少なくとも断片、変異体または類似体が含まれうる。
「治療活性」を呈するポリペプチド、または「治療活性のある」タンパク質とは、本明細書に記載したアルブミン-インスリン融合タンパク質または当技術分野で公知の他のもののうち1つまたは複数のように、治療用タンパク質に付随する1つまたは複数の公知の生物活性および/または治療活性を有するポリペプチドのことを指す。非限定的な一例として、「治療用アルブミン-インスリン融合タンパク質」は、インスリン欠乏と関連のある疾患、病状または障害を治療、予防または緩和するために有用なタンパク質である。非限定的な一例として、「治療用アルブミン-インスリン融合タンパク質」は、インスリン受容体と特異的に結合して、その受容体を保有する細胞(例えば、脂肪細胞)によるグルコース取り込みを賦活化するものであってよい。
本明細書で用いる場合、「治療活性」または「活性」とは、その効果が、ヒトにおける所望の治療結果と一致するか、または非ヒト哺乳動物または他の種もしくは生物において所望の効果に一致する活性のことを指す。治療活性はインビボまたはインビトロで測定しうる。例えば、所望の効果を細胞培養物中でアッセイすることもできる。一例として、インスリンまたはインスリン類似体が治療用タンパク質である場合には、実施例に記載したようなグルコース取り込みまたはプロモーター活性の賦活化に対するインスリンの効果を、治療活性が測定されるエンドポイントとして用いることができる。このようなインビトロアッセイまたは細胞培養物アッセイは、インスリンに関して一般に入手可能である。
いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質はIGF-I受容体と結合しないか、またはIGF-Iよりも低い親和性で結合する。例えば、アルブミン-インスリン融合タンパク質はIGF-I受容体と、IGF-I受容体に対するIGF-Iの親和性を基準として約80%、約60%、約40%、約20%、約10%もしくは約5%を超えない相対的親和性で結合する。IGF-I受容体に対するIGF-Iの親和性と比較したIGF-I受容体に対するアルブミン-インスリン融合タンパク質の相対的親和性は、当技術分野で公知なように決定することができる。例えば、生理的イベントに関して最大(例えば、アルブミン-インスリン融合タンパク質の存在下でL6細胞に関して観察される最大の細胞増殖)の50%が観察されるアルブミン-インスリン融合タンパク質の有効濃度、または「EC50」を、IGF-Iに関するEC50と比較してもよい。
タンパク質を発現させるためのベクターは当技術分野で公知であり、市販されているか他所に記載されている。例えば、実施例に記載されているように、(1)所与のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、(2)リーダー配列、(3)プロモーター領域、および(4)転写ターミネーターのうち1つまたは複数を含む、または代替的にはそれらからなる「発現カセット」を、都合の良いクローニングベクター中に構築し、引き続いて、例えば酵母発現ベクターまたは哺乳動物発現ベクターを含む発現ベクターなどの代替的なベクターに移す。1つの態様においては、S.セレビシエ(S.cerevisiae)における発現のために、アルブミン融合タンパク質をコードする核酸分子を含む、または代替的にはそれからなる発現カセットを、pSAC35中にクローニングする。もう1つの態様においては、CHO細胞における発現のために、アルブミン融合タンパク質をコードする核酸分子を含む、または代替的にはそれからなる発現カセットを、pC4中にクローニングする。1つのさらなる態様においては、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分をコードする核酸分子を含む、または代替的にはそれからなるポリヌクレオチドを、pC4:HSA中にクローニングする。なおさらなる1つの態様においては、NSO細胞における発現のために、アルブミン融合タンパク質をコードする核酸分子を含む、または代替的にはそれからなる発現カセットを、pEE12中にクローニングする。他の有用なクローニングおよび/または発現ベクターは当業者に公知であると考えられ、本発明の範囲内にある。
本出願において開示されるいくつかのアルブミン-インスリン融合構築物は、ATCC(商標)に寄託されている:pSAC35:HSA.INSULIN(GYG)(pSAC35.HSA.INSUL1N(GYG).F1-N62とも命名)、ATCC No. PTA-3916、2001年12月07日に寄託;pSAC35:lNSULIN(GYG).HSA(pSAC35.INSULIN(GYG).F1-N62.HSAとも命名)、ATCC No. PTA-3917、2001年12月07日に寄託;pSAC35:HSA.INSULIN(GGG)(pSAC35.HSA.INSULIN(GGG).F1-N58とも命名)、ATCC No. PTA-3918、2001年12月07日に寄託。
本発明の1つのさらなる態様においては、(1)所与のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、(2)リーダー配列、(3)プロモーター領域、および(4)転写ターミネーターのうち1つまたは複数を含む、または代替的にはそれらからなる「発現カセット」を、1つのベクターから別のものに移すこと、または「サブクローニング」することができる。サブクローニングしようとする断片は、当該技術分野で周知の方法、例えば、PCR増幅および/または制限酵素消化によって作製することができる。
好ましい態様において、本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質は、アルブミン融合タンパク質のインスリン部分のインスリン活性に対応する治療活性および/または生物活性を有しうる。
インスリンの非ヒトアルブミン融合タンパク質
1つの態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、ヒトまたは非ヒト動物種の1つまたは複数の血清アルブミンタンパク質が、N末端またはC末端で同じ非ヒト動物種の1つまたは複数のインスリンタンパク質とタンデムまたはインフレームに融合されたものを含みうる。非ヒトの血清アルブミンおよびインスリンタンパク質は当技術分野で周知であり、公開データベースで入手可能である。1つの特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、1つまたは複数のウシ(Bos taurus)血清アルブミンタンパク質が、N末端またはC末端で、1つまたは複数のインスリンタンパク質とタンデムまたはインフレームに融合されたものを含む。
非ヒト血清アルブミンの断片または変異体、例えば血清アルブミンの成熟形態などを含む融合タンパク質も、本発明の範囲に含まれる。インスリンタンパク質の断片または変異体、例えばインスリンの成熟形態の一本鎖等価物などを含む融合タンパク質も、本発明の範囲に含まれる。好ましくは、インスリンの成熟形態の一本鎖等価物はインスリン活性を保っている、すなわち(インスリン受容体と結合して、その表面に受容体を保有する細胞内へのグルコースの取り込みを生じさせる)。
本発明のポリヌクレオチドは、上記のヒトまたは非ヒトのアルブミン融合タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸分子を含む、または代替的にはそれからなる。
上記の非ヒトアルブミン融合タンパク質は本発明の範囲に含まれ、これらのポリヌクレオチドを含む宿主細胞およびベクターも同様である。1つの態様において、上記のようなポリヌクレオチドによってコードされる非ヒトアルブミン融合タンパク質は、延長された貯蔵寿命を有する。1つの追加的な態様において、上記のポリヌクレオチドによってコードされる非ヒトアルブミン融合タンパク質は、対応する融合していない治療用分子よりも、インビトロおよび/もしくはインビボで、より長い血清半減期、および/または溶液中(もしくは薬学的組成物中)でのより安定化した活性を有する。
非ヒト血清アルブミンには、以下が含まれうる。
ウシ(Bos taurus)ABBOS、CAA76847、P02769、CAA41735、229552、AAF28806、AAF28805、AAF28804、AAA51411
イノシシ(Sus scrofa)P08835、CAA30970、AAA30988
ウマ(Equus caballus)ABHOS、AAG40944、P35747、CAA52194
ヒツジ(ovis aries)ABSHS、P14639、CAA34903
サケ(Salmo salar)ABONS2、ABONS2、CAA36643、CAA43187
ニワトリ(Gallus gallus)ABCHS、P19121、CAA43098
イエネコ(Felis catus)P49064、S57632、CAA59279、JC4660
イヌ(Canis)P49822、S29749、CAB64867、イエイヌ(familiaris)CAA76841、AAB30434
ポリペプチドおよびポリヌクレオチド 断片および変異体
断片
本発明はさらに、本発明の治療用タンパク質(例えば、インスリンまたはインスリン類似体)、アルブミンタンパク質、および/またはアルブミン融合タンパク質の断片も対象とする。本発明はまた、本発明の治療用タンパク質(例えば、インスリンまたはインスリン類似体)、アルブミンタンパク質、および/またはアルブミン融合タンパク質の断片をコードするポリヌクレオチドも対象とする。
タンパク質のN末端からの1つまたは複数のアミノ酸の欠失が、本発明の治療用タンパク質(例えば、インスリンまたはインスリン類似体)、アルブミンタンパク質、および/または本発明のアルブミン融合タンパク質の1つまたは複数の生物学的機能の改変または喪失をもたらすとしても、他の治療活性および/または機能的活性(例えば、生物活性、多量体化する能力、受容体と結合する能力)はなお保たれうる。
したがって、本発明のアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対応する治療用タンパク質(インスリンまたはインスリン類似体)の断片には、完全長タンパク質のほかに、1つまたは複数の残基が参照ポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ末端から欠失しているポリペプチドが含まれる。
加えて、本発明のアルブミン融合タンパク質のアルブミンタンパク質部分に対応する血清アルブミンポリペプチドの断片には、完全長タンパク質のほかに、1つまたは複数の残基が参照ポリペプチドのアミノ酸配列のアミノ末端から欠失しているポリペプチドも含まれる。
さらに、本発明のアルブミン融合タンパク質の断片には、完全長アルブミン融合タンパク質のほかに、1つまたは複数の残基がアルブミン融合タンパク質のアミノ末端から欠失しているポリペプチドも含まれる。
同じく上述したように、参照ポリペプチド(例えば、本発明の治療用タンパク質;血清アルブミンタンパク質;またはアルブミン融合タンパク質)のN末端またはC末端からの1つまたは複数のアミノ酸の欠失が、そのタンパク質の1つまたは複数の生物学的機能の改変または喪失を生じるとしても、他の機能的活性(例えば、生物活性、多量体化する能力、リガンドと結合する能力)および/または治療活性はなお保たれうる。参照ポリペプチドのN末端および/またはC末端の残基を欠く特定のポリペプチドが治療活性を保っているか否かは、本明細書に記載したルーチン的な方法および/または当技術分野で公知の他のものによって容易に判定することができる。
本発明はさらに、本発明のアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対応する治療用タンパク質(例えば、インスリンまたはインスリン類似体)のアミノ酸配列のカルボキシ末端から1つまたは複数の残基が欠失しているポリペプチドも提供する。加えて、本発明は、本発明のアルブミン融合タンパク質のアルブミンタンパク質部分に対応するアルブミンタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ末端から1つまたは複数の残基が欠失しているポリペプチドも提供する。
加えて、上記のN末端欠失物またはC末端欠失物の任意のものを組み合わせて、N末端およびC末端が欠失した参照ポリペプチドを作製することもできる。本発明はまた、アミノ末端およびカルボキシ末端の両方から1つまたは複数のアミノ酸が欠失しているポリペプチドも提供する。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは本発明の範囲に含まれる。
本出願はまた、本明細書に示された参照ポリペプチド配列(例えば、インスリンポリペプチドまたはインスリン類似体、または本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質の治療用タンパク質部分、または本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質のアルブミンタンパク質部分)に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一なポリペプチド、またはそれらの断片を含むタンパク質も対象とする。好ましい態様において、本出願は、上記のようなN末端欠失物およびC末端欠失物のアミノ酸配列を有する参照ポリペプチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一なポリペプチドを含むタンパク質も対象とする。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは本発明の範囲に含まれる。
本発明の好ましいポリペプチド断片は、そのアミノ酸配列が断片である治療用タンパク質または血清アルブミンタンパク質のポリペプチド配列の治療活性および/または機能的活性(例えば、生物活性)を示すアミノ酸配列を含む、または代替的にはそれらからなる断片である。例えば、インスリンの好ましい断片はインスリン受容体結合活性を有し、かつ任意で、望ましくない活性、例えばIGF-I受容体結合活性を有しなくてもよい。
他の好ましいポリペプチド断片には、生物活性のある断片がある。生物活性のある断片とは、本発明のポリペプチドの活性と同一である必要はないが類似する活性を示すものである。断片の生物活性には、所望の活性の改善または所望でない活性の低下が含まれうる。
変異体
「変異体」とは、参照の核酸またはポリペプチドとは異なるものの、その必須な特性を保っているポリヌクレオチドまたは核酸のことを指す。一般に、変異体は全体としてその参照の核酸またはポリペプチドに対して非常に類似しており、多くの領域では同一である。
本明細書で用いる場合、「変異体」とは、本発明のアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分、本発明のアルブミン融合タンパク質のアルブミン部分、または本発明のアルブミン融合タンパク質であって、それぞれ治療用タンパク質、アルブミンタンパク質および/またはアルブミン融合タンパク質とは配列が異なるが、本明細書中に別記されているかまたは当該技術分野で公知であるような少なくとも1つの機能特性および/または治療特性を保っているもののことを指す。一般に、変異体は全体としては、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対応する治療用タンパク質、アルブミン融合タンパク質のアルブミンタンパク質部分に対応するアルブミンタンパク質および/またはアルブミン融合タンパク質のアミノ酸配列に非常に類似しており、多くの領域ではそれらと同一である。これらの変異体をコードする核酸も本発明の範囲に含まれる。例えば、インスリンの好ましい変異体は、インスリン受容体結合活性を有し、かつ任意で、望ましくない活性、例えばIGF-I受容体結合活性を有しなくてもよい。
本発明はまた、例えば、本発明のアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対応する治療用タンパク質のアミノ酸配列;または、ポリヌクレオチドまたはアルブミン融合構築物によってコードされるアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分のアミノ酸配列またはその断片もしくは変異体、本発明のアルブミン融合タンパク質のアルブミンタンパク質部分に対応するアルブミンタンパク質のアミノ酸配列(例えば、ポリヌクレオチドまたはアルブミン融合構築物によってコードされるアルブミン融合タンパク質のアルブミンタンパク質部分のアミノ酸配列;または図1A〜Dに示されたアミノ酸配列;またはそれらの断片もしくは変異体)、および/またはアルブミン融合タンパク質のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、または代替的にはそれらからなるタンパク質も対象とする。これらのポリペプチドの断片も提供される(例えば、本明細書中に記載の断片)。本発明の範囲に含まれるさらなるポリペプチドには、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でフィルターに結合させたDNAと約45℃でハイブリダイズさせ、続いて約50〜65℃、0.2×SSC、0.1%のSDS中で1回または複数回洗浄する)、よりストリンジェントな条件下(例えば、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でフィルターに結合させたDNAと約45℃でハイブリダイズさせ、続いて約68℃、0.1×SSC、0.2%のSDS中で1回または複数回洗浄する)、または当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、Ausubel, F. M. et al., eds., 1989 Current protocol in Molecular Biology, Green publishing associates, Inc., and John Wiley & Sons Inc., New York, ページ6.3.16.3.6および2.10.3)で、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードする相補的な核酸分子とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドがある。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。
クエリー(query)アミノ酸配列に対して例えば少なくとも95%「同一」なアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、対象ポリペプチドのアミノ酸配列が、対象ポリペプチド配列がクエリーアミノ酸配列の100アミノ酸毎に最大5個までのアミノ酸の変更を含みうる点を除き、そのクエリー配列と同一であることを意図している。換言すれば、クエリーアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、対象配列のアミノ酸残基の最大5%までを挿入、欠失または他のアミノ酸と置換してもよい。参照配列のこれらの変更は、参照アミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端の位置で生じてもよく、またはそのような末端位置の間のいずれかに、参照配列中の残基間に個々に散在するか、もしくは参照配列内部の1つまたは複数の連続した群として散在するように生じてもよい。
実際的な問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、本発明のアルブミン融合タンパク質またはその断片(例えば、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分またはアルブミン融合タンパク質のアルブミン部分など)のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログラムを用いて慣例的に判定することができる。クエリー配列(本発明の1つの配列)と対象配列との間の全体として最も良好なマッチを決定するための好ましい方法は、グローバルシークエンスアラインメントとも呼ばれ、Brutlagら(Brutlag et al. (Comp. App. Biosci. 6:237-245 (1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを用いて決定することができる。配列アラインメントにおいて、クエリー配列および対象配列はいずれもヌクレオチド配列であるか、またはいずれもアミノ酸配列である。前記グローバルシークエンスアラインメントの結果は、パーセント一致度(percent identity)として表わされる。FASTDBアミノ酸アラインメントに用いられる好ましいパラメーターは以下の通りである:マトリックス(Matrix)=PAM 0、k-tuple=2、ミスマッチペナルティ(Mismatch Penalty)=1、ジョイニングペナルティ(Joining Penalty)=20、ランダム化グループ長(Randomization Group Length)=0、カットオフスコア(Cutoff Score)=1、ウインドウサイズ(Window Size)=配列の長さ、ギャップペナルティ(Gap Penalty)=5、ギャップサイズペナルティ(Gap Size Penalty)=0.05、ウインドウサイズ=500または短い方の対象アミノ酸配列の長さ。
対象配列が内部での欠失のためではなくN末端またはC末端の欠失が原因でクエリー配列よりも短いならば、結果に対して手作業での補正を行わなければならない。これはFASTDBプログラムが全体的なパーセント一致度を計算する際に対象配列のN末端およびC末端の短縮を考慮しないためである。クエリー配列に比してN末端およびC末端で短縮している対象配列については、パーセント一致度は、対象配列のN末端およびC末端にあって対応する対象残基とマッチ/アラインメントしないクエリー配列の残基数をクエリー配列の全塩基に占めるパーセントとして計算することによって補正される。残基がマッチ/アラインメントしているか否かは、FASTDB配列アラインメントの結果によって決定される。続いて、このパーセンテージを、指定のパラメーターを用いて上記のFASTDBプログラムによって計算したパーセント一致度から差し引いて、最終的なパーセント一致度スコアを導く。この最終的なパーセント一致度スコアが本発明の目的に用いられるものである。クエリー配列とマッチ/アラインメントしない対象配列のN末端およびC末端に対する残基のみが、パーセント一致度スコアを手作業で補正するために考慮される。すなわち、対象配列のN末端およびC末端残基の最も遠い位置にあるものの外側にあるクエリー残基の位置のみである。
例えば、90個のアミノ酸残基の対象配列を100個の残基のクエリー配列とアラインメントさせて、パーセント一致度を決定する。対象配列のN末端に欠失が生じており、そのためFASTDBアラインメントはN末端の最初の10個の残基にマッチング/アラインメントを示さない。この10個の対をなさない残基は配列の10%に相当し(マッチしなかったN末端およびC末端の残基数/クエリー配列の残基の総数)、そのためFASTDBプログラムによって計算されたパーセント一致度スコアから10%が差し引かれる。残りの90個の残基が完全にマッチしているならば、最終的なパーセント一致度は90%になると考えられる。もう1つの例では、90個の残基の対象配列を100個の残基のクエリー配列と比較する。この場合、欠失は内部の欠失であるため、クエリー配列とマッチ/アラインメントしないような対象配列のN末端またはC末端の残基はない。この場合には、FASTDBによって計算されたパーセント一致度は手作業では補正しない。この場合も同じく、FASTDBアラインメントによって示された対象配列のN末端およびC末端の最後の残基の外側に位置する残基で、クエリー配列とマッチ/アラインメントしないものについてのみ手作業で補正する。他の手作業での補正はいずれも本発明の目的には行われない。
変異体は通常、その変異体と同じ長さである正常なHAまたは治療用タンパク質と少なくとも75%(好ましくは少なくとも約80%、90%、95%または99%)の配列同一性を有すると考えられる。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列レベルでの相同性または同一性は、配列類似性検索のために適合化されたblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxプログラム(Karlin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2264-2268 (1990)およびAltschul, J. Mol. Evol. 36: 290-300 (1993)、これらは参照によりすべて組み入れられる)で用いられているアルゴリズムを用いたBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)分析によって決定される。
BLASTプログラムで用いられるアプローチは、まずクエリー配列とデータベース配列との間の類似のセグメントを考慮し、次いで同定されたすべてのマッチの統計学的有意性を評価し、そして最終的に、あらかじめ選択した有意性の閾値を満たすマッチのみをまとめることである。配列データベースの類似性検索における基本的事項の考察については、参照によりすべて組み入れられる、Altschulら(Nature Genetics 6: 119-129 (1994))を参照。ヒストグラムに関する検索パラメーター、記述、アラインメント、期待値(expect)(すなわち、データベース配列に対するマッチを報告するための統計学的有意性の閾値)、カットオフ、マトリックスおよびフィルターはデフォルト設定とする。blastp、blastx、tblastnおよびtblastxで用いられるデフォルトのスコアリングマトリックスはBLOSUM62マトリックス(Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919 (1992)、これは参照によりすべて組み入れられる)である。blastnについては、スコアリングマトリックスはM(すなわち、マッチしている残基のペアについての報酬(reward)スコア)対N(すなわち、ミスマッチの残基についてのペナルティースコア)の比率によって設定され、ここでMおよびNのデフォルトスコアはそれぞれ5および-4である。4つのblastnパラメーターを以下のように調整してもよい:Q=10(ギャップクリエーションペナルティ);R=10(ギャップエクステンションペナルティ);wink=1(クエリー配列に沿ってwinkthの位置ごとにワードヒットを生成する);およびgapw=16(ウインドウ幅を設定し、その中にギャップ化されたアラインメントを生成する)。等価なBlastpパラメーターの設定はQ=9;R=2;wink=1;およびgapw=32であった。GCGパッケージバージョン10.0で利用可能な配列間のベストフィット比較は、DNAパラメーターGAP=50(ギャップクリエーションペナルティ)およびLEN=3(ギャップエクステンションペナルティ)を用いており、タンパク質の比較における等価な設定は、GAP=8およびLEN=2である。
本発明のポリヌクレオチド変異体は、コード領域、非コード領域またはその両方に変化を含みうる。特に好ましいものは、サイレントな置換、付加または欠失を生成するが、コードされるポリペプチドの特性または活性を変化させない変化を含むポリヌクレオチド変異体である。遺伝暗号の縮重に起因するサイレントな置換によって生じるヌクレオチド変異体が好ましい。さらに、任意の組合せにおいて50個未満、40個未満、30個未満、20個未満、10個未満、または5〜50個、5〜25個、5〜10個、1〜5個または1〜2個のアミノ酸が置換、欠失または付加されたポリペプチド変異体も好ましい。ポリヌクレオチド変異体は、例えば、特定の宿主に関するコドン発現を最適化するため(ヒトmRNAにおけるコドンを、酵母または大腸菌などの細菌宿主に好ましいコドンに変化させる)といった、さまざまな理由で作製することができる。
1つの好ましい態様において、アルブミン融合タンパク質のアルブミン部分をコードする本発明のポリヌクレオチドは、酵母細胞または哺乳動物細胞における発現のために最適化される。1つのさらなる好ましい態様において、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分をコードする本発明のポリヌクレオチドは、酵母細胞または哺乳動物細胞における発現のために最適化される。1つのなおさらなる好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、酵母細胞または哺乳動物細胞における発現のために最適化される。
1つの代替的な態様において、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分をコードするコドン最適化ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるようなストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下では、治療用タンパク質をコードする野生型ポリヌクレオチドとハイブリダイズしない。1つのさらなる態様において、アルブミン融合タンパク質のアルブミン部分をコードするコドン最適化ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、アルブミンタンパク質をコードする野生型ポリヌクレオチドとハイブリダイズしない。もう1つの態様において、アルブミン融合タンパク質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、治療用タンパク質部分またはアルブミンタンパク質部分をコードする野生型ポリヌクレオチドとハイブリダイズしない。
1つの追加的な態様において、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分をコードするポリヌクレオチドは、その治療用タンパク質の天然に存在する配列を含まない、または代替的にはその配列からなるのではない。1つのさらなる態様において、アルブミン融合タンパク質のアルブミンタンパク質部分をコードするポリヌクレオチドは、アルブミンタンパク質の天然に存在する配列を含まない、または代替的にはそれらからなるのではない。1つの代替的な態様において、アルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、治療用タンパク質部分またはアルブミンタンパク質部分の天然に存在する配列を含まない、または代替的にはそれらからなるのではない。
天然に存在する変異体は「対立遺伝子変異体」と呼ばれ、これは生物の染色体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの代替的な形態のうちの1つのことを指す(Genes II, Lewin, B., ed., John Wiley & Sons, New York (1985))。これらの対立遺伝子変異体はポリヌクレオチドレベルおよび/またはポリペプチドレベルで異なってよく、本発明に含まれる。または、天然に存在しない変異体を、突然変異誘発法によって、または直接的な合成によって作製することもできる。
タンパク質工学および組換えDNA技術の公知の方法を用いて、本発明のポリペプチドの特性を改善または変化させるために、変異体を作製することができる。例えば、生物学的機能の実質的な損失を伴わずに、1つまたは複数のアミノ酸を、本発明のポリペプチドのN末端またはC末端から欠失させることができる。一例として、Ronら(J. Biol. Chem. 268: 2984-2988 (1993))は、3個、8個または27個のアミノ末端のアミノ酸残基を欠失させた後でさえもヘパリン結合活性を有する変異体KGFタンパク質を報告している。同様に、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシ末端から8〜10個のアミノ酸残基を欠失させた後に最大で10倍のより高い活性を示した(Dobeli et al., J. Biotechnology 7:199-216 (1988))。
さらに、豊富な証拠から、変異体が天然に存在するタンパク質の生物活性に類似する活性をしばしば保っていることが実証されている。例えば、Gayleおよび共著者ら(J. Biol. Chem. 268:22105-22111 (1993))は、ヒトサイトカインIL-1aの広範囲にわたる変異分析を実施した。彼らはランダム突然変異誘発を用いて、分子の全長にわたって変異体当たり平均2.5アミノ酸の変化になる3,500種を超える個々のIL-1a変異体を作製した。複数の突然変異が、可能性のあるすべてのアミノ酸の位置で試験された。この研究者らは、「分子の大部分は、[結合活性または生物活性]のいずれに対してもほとんど影響を伴わずに変更しうる」ことを見いだした。実際、試験した3,500種を超えるヌクレオチド配列のうち、野生型と活性が有意に異なるタンパク質が生じたのは、わずか23種の独特なアミノ酸配列のみであった。
さらに、ポリペプチドのN末端またはC末端からの1つまたは複数のアミノ酸の欠失が、1つまたは複数の生物学的機能の改善または喪失をもたらすとしても、他の生物活性はなお保たれうる。タンパク質のN末端またはC末端残基を欠損する特定のポリペプチドが、このような免疫原性活性を保っているか否かは、本明細書に記載したルーチン的な方法、および当技術分野で公知の他のものによって容易に判定することができる。
したがって、本発明は、機能的活性(例えば、生物活性および/または治療活性)を有するポリペプチド変異体をさらに含む。1つの態様において、本発明は、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対応する治療用タンパク質の1つまたは複数の生物活性および/または治療活性に対応する機能的活性(例えば、生物活性および/または治療活性)を有するアルブミン融合タンパク質の変異体を提供する。もう1つの態様において、本発明は、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対応する治療用タンパク質の1つまたは複数の生物活性および/または治療活性に対応する機能的活性(例えば、生物活性および/または治療活性)を有するアルブミン融合タンパク質の変異体を提供する。そのような変異体は、当技術分野で公知の通則に従って、活性に対してほとんど影響を及ぼさないように選択される、欠失、挿入、反転、反復および置換を含む。そのような変異体をコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。
好ましい態様において、本発明の変異体は保存的置換を有する。「保存的置換」とは、以下のようなグループ内の交換のことを意図している:脂肪族または疎水性のアミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの置換;ヒドロキシル残基SerおよびThrの置換;酸性残基AspおよびGluの置換;アミド残基AsnおよびGlnの置換、塩基性残基Lys、ArgおよびHisの置換;芳香族残基Phe、TyrおよびTrpの置換、ならびに小型のアミノ酸Ala、Ser、Thr、MetおよびGlyの置換。
表現型の上でサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関する指針は、例えば、Bowie et al., "Deciphering the Message in Protein Sequences: Tolerance to Amino Acid Substitutions," Science 247:1306-1310 (1990)に提供されており、そこで著者らは、変化に対するアミノ酸配列の寛容性を検討するためには2つの主要な戦略があることを指摘している。
第1の戦略は、進化の過程での自然選択によるアミノ酸置換の寛容性を利用する。異なる種におけるアミノ酸配列を比較することにより、保存的なアミノ酸を同定することができる。これらの保存的なアミノ酸は、タンパク質の機能にとって重要な可能性が高い。これとは対照的に、置換が自然選択によって寛容されたアミノ酸の位置は、これらの位置がタンパク質の機能にとって決定的ではないことを示す。したがって、アミノ酸置換を寛容する位置は、タンパク質の生物活性をなお維持しながらも改変しうると考えられる。
第2の戦略は、タンパク質機能にとって決定的な領域を同定する目的で、クローン化された遺伝子の特定の位置でのアミノ酸変化を導入するために遺伝子工学を用いる。例えば、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発(分子中の各残基毎への単一のアラニン突然変異の導入)を用いることができる。Cunningham and Wells, Science 244:1081-1085 (1989)を参照。続いて、得られた変異体分子を生物活性に関して検査することができる。
著者らが言及しているように、これらの2つの戦略はタンパク質がアミノ酸置換に驚くほど寛容であることを明らかにした。著者らはさらに、どのアミノ酸変化がタンパク質中の特定のアミノ酸位置で許容される可能性が高いかを示している。例えば、(タンパク質の三次構造内で)ほとんど埋没しているアミノ酸残基は非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖の特徴は一般にほとんど保存されない。さらに、寛容される保存的なアミノ酸置換は、脂肪族または疎水性アミノ酸のAla、Val、LeuおよびIleの置換;ヒドロキシル残基のSerおよびThrの置換;酸性残基のAspおよびGluの置換;アミド残基のAsnおよびGlnの置換、塩基性残基のLys、ArgおよびHisの置換;芳香族残基のPhe、TyrおよびTrpの置換、ならびに小型のアミノ酸のAla、Ser、Thr、MetおよびGlyの置換を含む。保存的なアミノ酸置換に加えて、本発明の変異体には、(i)1つまたは複数の非保存的なアミノ酸残基の置換を含むポリペプチド、ここで置換されるアミノ酸残基は遺伝暗号によってコードされるアミノ酸残基であってもそうでなくてもよい、または(ii)置換基を有する1つまたは複数のアミノ酸残基の置換を含むポリペプチド、または(iii)別の化合物、例えばポリペプチドの安定性および/もしくは可溶性を高めるための化合物(例えば、ポリエチレングリコール)などと融合もしくは化学的に結合したポリペプチド、(iv)追加的なアミノ酸(例えば、IgG Fc融合領域ペプチド)を含むポリペプチド、が含まれる。そのような変異体ポリペプチドは、本明細書における開示から当業者の範囲内にあると考えられる。
例えば、他の荷電アミノ酸または中性アミノ酸による荷電アミノ酸のアミノ酸置換を含むポリペプチド変異体は、より少ない凝集性といった改善された特性を有するタンパク質を生じうる。医薬製剤の凝集は、凝集体の免疫原活性に起因して、活性の低下およびクリアランスの増加の両方をもたらす。Pinckard et al., Clin. Exp. Immunol. 2:331-340 (1967);Robbins et al., Diabetes 36: 838-845 (1987);Cleland et al., Crit. Rev. Therapeutic Drug Carrier Systems 10:307-377 (1993)を参照。
特定的な態様において、本発明のポリペプチドは、アルブミン融合タンパク質のアミノ酸配列、治療用タンパク質および/またはヒト血清アルブミンのアミノ酸配列の断片または変異体を含む、または代替的にはそれらからなり、ここで断片または変異体は、参照アミノ酸配列と比較した場合に約1〜約5個、約5〜約10個、約5〜約25個、約5〜約50個、約10〜約50個または約50〜約150個のアミノ酸残基の付加、置換および/または欠失を有する。好ましい態様において、このアミノ酸置換は保存的である。これらのポリペプチドをコードする核酸も本発明に含まれる。
本発明のポリペプチドは、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、すなわちペプチドアイソスターによって互いに連結されたアミノ酸から構成されることができ、遺伝子がコードする20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドは、翻訳後プロセシングなどの天然のプロセスによって、または当技術分野で周知の化学修飾技術によって修飾されうる。そのような修飾は、基本的な教科書およびより詳細な研究論文、ならびに多くの研究文献に十分に記載されている。修飾はペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含む、ポリペプチドのいずれの箇所にも生じうる。同じ型の修飾が所定のポリペプチド中のいくつかの部位で同じまたは種々の程度で存在しうることは理解されるであろう。また、所定のポリペプチドが多くの型の修飾を含んでもよい。ポリペプチドは、例えばユビキチン化の結果として分枝状であってもよく、ポリペプチドは分枝を含むかまたは含まない環状であってもよい。環状、分枝状および分枝した環状のポリペプチドは、天然の翻訳後プロセスから生じることもあり、または合成方法によって作製することもできる。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸の転移RNAを介した付加、およびユビキチン化が含まれる。(例えば、PROTEINS-STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES, 2nd Ed., T. E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York (1993);POST-TRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, B. C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, pgs. 1-12 (1983);Seifter et al., Meth. Enzymol. 182:626-646 (1990);Rattan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 663:48-62 (1992)を参照)。
機能的活性
「機能的活性を有するポリペプチド」とは、ある治療用タンパク質の完全長のもの、プロタンパク質、および/または成熟形態に付随する1つまたは複数の公知の機能的活性を示しうるポリペプチドのことを指す。そのような機能的活性には、生物活性、抗原性[抗ポリペプチド抗体と結合する(またはあるポリペプチドが結合することと競合する)能力]、免疫原性(本発明の特定のポリペプチドと結合する抗体を生じさせる能力)、本発明のポリペプチドと多量体を形成する能力、およびポリペプチドの受容体またはリガンドと結合する能力が含まれる。
「生物活性を有するポリペプチド」とは、特定の生物学的アッセイによる測定で、本発明の治療用タンパク質の活性と必ずしも同一である必要はないが類似した活性を示す、成熟形態を含むポリペプチドのことを指し、用量依存性はあってもそうでなくてもよい。用量依存性が存在する場合には、それはポリペプチドのそれと同一である必要はなく、本発明のポリペプチドと比較したときに所定の活性における用量依存性と実質的に類似していればよい(すなわち、候補ポリペプチドは本発明のポリペプチドと比較してより強い活性を示すか、または約25分の1以上、好ましくは約10分の1以上、最も好ましくは約3分の1以上の活性を示すと考えられる)。
好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、治療用タンパク質部分(またはその断片もしくは変異体)がアルブミンと融合していない場合にその治療用タンパク質に付随する生物活性および/もしくは治療活性の少なくとも1つを有するものである。
本発明のアルブミン融合タンパク質は、その機能的活性(例えば生物活性)について、当技術分野では公知のアッセイ法、ならびに本明細書に記載したアッセイ法を用いて、またはルーチン的に改変して用いてアッセイすることができる。さらに、当業者は、本発明のアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対応する治療用タンパク質の断片をルーチン的にアッセイすることができる。さらに、当業者は、本発明のアルブミン融合タンパク質のアルブミンタンパク質部分に対応するアルブミンタンパク質の断片を、当技術分野で公知の、および/または下記の実施例の項に記載したようなアッセイを用いて、活性に関してルーチン的にアッセイすることができる。
治療用タンパク質の結合パートナー(例えば、受容体またはリガンド)が同定されている1つの好ましい態様において、その治療用タンパク質を融合物の治療用タンパク質部分として含むアルブミン融合タンパク質による、その結合パートナーとの結合は、例えば当技術分野で周知の手段、例えば、還元および非還元ゲルクロマトグラフィー、タンパク質アフィニティークロマトグラフィーおよびアフィニティーブロッティングによってアッセイすることができる。全般的には、Phizicky et al., Microbiol. Rev. 59:94-123 (1995)を参照。もう1つの態様においては、アルブミン融合タンパク質の生理的相関物が、融合物の治療用タンパク質部分に対応する治療用ポリペプチドの基質と結合する能力を、当技術分野で公知の手法を用いてルーチン的にアッセイすることができる。
アルブミン融合タンパク質が多量体化する能力を評価する1つの代替的な態様において、多量体の他の構成要素との会合は、例えば、当技術分野で周知の手段、例えば、還元および非還元ゲルクロマトグラフィー、タンパク質アフィニティークロマトグラフィーおよびアフィニティーブロッティングを用いてアッセイすることができる。全般的には、Phizickyら、前記を参照のこと。
治療用タンパク質の受容体に対するアルブミン融合タンパク質の結合親和性およびアルブミン融合タンパク質-受容体相互作用の解離速度(off-rate)は、競合結合アッセイによって決定することができる。競合結合アッセイの一例はラジオイムノアッセイであり、これは種々の増加する量の非標識融合タンパク質の存在下における、標識アルブミン融合タンパク質(例えば、3Hまたは125I)と治療用タンパク質に対する受容体とのインキュベーション、および受容体に結合した融合タンパク質の検出を含む。特定の受容体に対するアルブミン融合タンパク質の親和性および結合の解離速度を、スキャッチャード(Scatchard)プロット分析によるデータから決定することができる。アルブミン融合タンパク質と同じ受容体と結合する第2のタンパク質との競合を、ラジオイムノアッセイを用いて決定することもできる。この場合には、タンパク質、抗原またはエピトープを、標識化合物(例えば、3Hまたは125I)と結合させたアルブミン融合タンパク質とともに、本発明のアルブミン融合タンパク質と同じタンパク質、抗原またはエピトープと結合する非標識二次タンパク質の存在下でインキュベートする。
1つの好ましい態様においては、BIAcore動態分析を用いて、タンパク質、抗原またはエピトープに対する本発明のアルブミン融合タンパク質の結合速度および解離速度を決定する。BIAcore動態分析は、固定化された特定のポリペプチド、抗原もしくはエピトープまたはアルブミン融合タンパク質をそれぞれその表面に有するチップとの、アルブミン融合タンパク質または特定のポリペプチド、抗原もしくはエピトープの結合および解離を分析することを含む。
アルブミン
上記のように、本発明のアルブミン融合タンパク質は治療用タンパク質の少なくとも断片または変異体およびヒト血清アルブミンの少なくとも断片または変異体を含み、それらは好ましくは遺伝子融合または化学的結合によって互いに結びついている。
追加的な態様は、治療用タンパク質の少なくとも1つの断片または変異体、および、ヒト血清アルブミンの少なくとも1つの断片または変異体を含み、これらは化学的結合により互いに連結される。
ヒト血清アルブミン(HSA)およびヒトアルブミン(HA)という用語は本明細書において互換的に用いられる。「アルブミン」および「血清アルブミン」という用語はより広義であり、ヒト血清アルブミン(およびその断片および変異体)ならびに他の種由来のアルブミン(およびその断片および変異体)を範囲に含む。
本明細書で用いる場合、「アルブミン」とは、アルブミンタンパク質またはアミノ酸配列、またはアルブミン断片もしくは変異体であって、アルブミンの1つまたは複数の機能的活性(例えば、生物活性)を有するもののことを指す。詳細には、「アルブミン」とはヒトアルブミンもしくはその断片であって(例えば、EP 201 239、EP 322 094、WO 97/24445、WO 95/23857を参照)、特に図1A〜Dに示されたようなヒトアルブミンの成熟形態、または他の脊椎動物由来のアルブミンもしくはその断片、またはこれらの分子またはその断片の類似体もしくは変異体のことを指す。
好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質に用いられるヒト血清アルブミンタンパク質は、アルブミンの配列(図1A〜D)を参照して述べれば以下のセットの点突然変異のうち一方または両方を含む:Leu-407をAlaに、Leu-408をValに、Val-409をAlaに、およびArg-410をAlaに;またはArg-410をAに、Lys-413をGlnに、およびLys-414をGlnに(例えば、国際公開公報第WO 95/23857号を参照のこと。これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。さらにより好ましい態様において、上記の点突然変異の一方または両方を含む本発明のアルブミン融合タンパク質は、酵母Yap3pタンパク分解による切断に対して安定性/抵抗性が改良されており、そのために酵母宿主細胞で発現される組換えアルブミン融合タンパク質の産生の増加が可能となる。
本明細書で用いる場合、治療用タンパク質の治療活性または貯蔵寿命を長引かせるために十分なアルブミンの一部分とは、そのアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分の貯蔵寿命が、非融合状態の貯蔵寿命と比較して長引かされるか延長されるように、そのタンパク質の治療活性を安定化または長引かせるために十分な長さもしくは構造を有するアルブミンの一部分のことを指す。アルブミン融合タンパク質のアルブミン部分は、上記のHA配列の全長のものを含んでもよく、またはその治療活性を安定化もしくは長引かせることのできるHA配列の1つもしくは複数の断片を含んでもよい。そのような断片は10アミノ酸長またはそれ以上であってよく、またはHA配列からの約15、20、25、30、50個もしくはそれ以上の連続したアミノ酸を含んでもよく、またはHAの特定のドメインの一部もしくはすべてを含んでもよい。例えば、HAの最初の2つの免疫グロブリン様ドメインにまたがるHAの1つまたは複数の断片を用いることができる。1つの好ましい態様において、HA断片はHAの成熟形態である。
本発明のアルブミン融合タンパク質のアルブミン部分は正常HAの変異体であってよい。本発明のアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分はまた、本明細書に記載の治療用タンパク質の変異体であってもよい。「変異体」という用語には、保存的でも非保存的でもよい挿入、欠失および置換が含まれ、そのような変化は、コロイド浸透圧(oncotic)、有用なリガンド結合性およびアルブミンの非免疫原性、または治療用タンパク質の治療活性を付与する活性部位もしくは活性ドメインのうち1つまたは複数を実質的に変化させない。
特に、本発明のアルブミン融合タンパク質はヒトアルブミンの天然に存在する多型変異体およびヒトアルブミンの断片、例えばEP 322 094に開示されている断片(すなわちHA(Pn)、ここでnは369〜419である)が含まれうる。アルブミンは任意の脊椎動物、特に任意の哺乳動物、例えばヒト、ウシ、ヒツジまたはブタ由来のものであってよい。非哺乳動物のアルブミンには、ニワトリおよびサケのものが非限定的に含まれる。アルブミン融合タンパク質のアルブミン部分は治療用タンパク質部分とは異なる動物由来のものであってよい。
一般的に述べれば、HA断片または変異体は少なくとも100アミノ酸長であり、好ましくは少なくとも150アミノ酸長であると考えられる。HA変異体は、例えばドメイン1(アルブミン(図1A〜D)のアミノ酸1〜194)、ドメイン2(アルブミン(図1A〜D)のアミノ酸195〜387)、ドメイン3(アルブミン(図1A〜D)のアミノ酸388〜585)、ドメイン1および2(アルブミン(図1A〜D)の1〜387位)、ドメイン2および3(アルブミン(図1A〜D)の195〜585位)、またはドメイン1および3(アルブミン(図1A〜D)のアミノ酸1〜194位およびアルブミン(図1A〜D)のアミノ酸388〜585位)といった、HAの少なくとも1つのドメイン全体からなる、または代替的にはそれを含むことができる。各ドメインそれ自体は2つの相同なサブドメイン、すなわち1〜105、120〜194、195〜291、316〜387、388〜491および512-585から構成され、Lys106からGlu119まで、Glu292からVal315まで、およびGlu492からAla511までの残基を含む柔軟なサブドメイン間リンカー領域を有する。
好ましくは、本発明のアルブミン融合タンパク質のアルブミン部分は、HAの少なくとも1つのサブドメインもしくはドメイン、またはその保存的改変物を含む。融合物がサブドメインに基づく場合には、好ましくは、隣接するリンカーのいくつかまたはすべてが治療用タンパク質部分に連結させるために用いられる。
治療的/予防的な投与および組成物
本発明は、対象に対する本発明の化合物または薬学的組成物の有効量の投与による治療、抑制および予防の方法を提供する。好ましい態様において、化合物は実質的に精製される(例えば、その効果を制限するかまたは望ましくない副作用を生じる物質を実質的に含まない)。対象は好ましくは動物であり、これにはウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどの動物が非限定的に含まれ、好ましくは好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
さまざまな送達系が公知であり、本発明の化合物を投与するために用いることができる。導入の方法には、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路が非限定的に含まれる。化合物または組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば注入またはボーラス注射によって、上皮または粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)を通しての吸収によって投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することもできる。投与は、全身的でも局所的でもありうる。
1つの特定的な態様においては、本発明の薬学的化合物または組成物を、治療が必要な領域に局所的に投与することが望ましいと考えられる;これは例えば、限定的ではないものの、手術中の局部注入、局所適用、例えば手術後に創傷ドレッシング材と組み合わせることにより、注射により、カテーテルにより、坐剤により、またはシアラスティック(sialastic)膜のような膜または繊維を含む、多孔性、非多孔性、または膠様材料であるインプラントにより達成することができる。好ましくは、抗体を含む本発明のタンパク質を投与する際には、タンパク質が吸収されない材料を用いるように注意が払われなければならない。
さらにもう1つの態様において、化合物または組成物を、制御放出系において送達することもできる。1つの態様において、ポンプを用いてもよい(Langer、前記;Sefton, CRC Crit. Ref Biomed. Eng. 14:201 (1987);Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980);Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574 (1989)を参照)。もう1つの態様においては、ポリマー材料を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Fla. (1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984);Ranger and Peppas, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61 (1983)を参照;同じくLevy et al., Science 228:190 (1985);During et al., Ann. Neurol. 25:351 (1989);Howard et al., J. Neurosurg. 71:105 (1989)も参照のこと)。さらにもう1つの態様においては、制御放出系を治療標的の近接部、例えば脳内に配置することができ、したがって全身投与量のわずかな割合しか必要でない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, 前記, vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照)。他の制御放出系が、Langer(Science 249:1527-1533 (1990))による総説において考察されている。
本発明はまた、薬学的組成物も提供する。そのような組成物は、治療有効量の化合物と薬学的に許容される担体とを含む。1つの特定的な態様において、「薬学的に許容される」という用語は、動物における、そしてさらに特にヒトにおける使用に関して、連邦規制当局もしくは米国政府により承認されたか、または米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に列記されていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬とともに投与される、希釈剤、アジュバンド、賦形剤または媒体のことを指す。そのような薬学的な担体は、水および油、例えば石油起源、動物起源、植物起源、または合成起源の油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む油などの滅菌液体でありうる。水は、薬学的組成物が静脈内に投与される場合に好ましい担体である。食塩液ならびにデキストロースおよびグリセロールの水溶液を、特に注射可能な溶液のために液体担体として用いることもできる。適した薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、フラワー、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールが含まれる。組成物はまた、所望されるならば、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでもよい。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤などの形態をとりうる。この組成物は、従来の結合剤およびトリグリセリドのような担体とともに坐剤として製剤化することができる。経口製剤には、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような標準的な担体が含まれうる。適した薬学的担体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、治療有効量の化合物を、好ましくは精製された形態で、患者への適切な投与のための形態を提供する適した量の担体とともに含む。製剤は、投与形態に適しているべきである。
1つの好ましい態様において、組成物は、ルーチン的な手順に従って、ヒトへの静脈内投与のために適合化された薬学的組成物として製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液の溶液である。必要な場合には、組成物はまた、可溶化剤および注射の部位での痛みを緩和するリグノカインのような局部麻酔を含みうる。一般に、成分は別々に、または単位投薬形態として一緒に混合されるかのいずれかで、例えば、活性薬剤の量を表示したアンプルまたは小袋(sachette)のような密封された容器内の凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給される。組成物を注入によって投与しようとする場合には、組成物は、滅菌された薬学的等級の水または食塩水を含む注入ボトルに分配することができる。組成物が注射によって投与される場合には、成分を投与の前に混合しうるように、注射用滅菌水または食塩水のアンプルを提供することができる。
本発明の化合物は、中性または塩の形態として製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもののようなアニオンとともに形成される塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するもののようなカチオンとともに形成される塩が含まれる。
治療用タンパク質の異常な発現および/または活性と関連する疾患または障害の治療、抑制および予防において有効と考えられる、本発明の化合物の量は、標準的な臨床手法によって決定することができる。さらに、インビトロアッセイを、任意に、最適な投薬量の範囲を同定するのを補助するために用いることもできる。製剤中に使用されるべき正確な用量は、投与の経路、および疾患または障害の重篤さにも依存すると考えられ、医師の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。有効用量を、インビトロまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線から外挿することもできる。
アルブミン融合タンパク質
本発明は一般に、アルブミン融合タンパク質、および疾患または障害を治療する、予防する、または緩和する方法に関する。本明細書で用いる場合、「アルブミン融合タンパク質」とは、アルブミン(またはその断片または変異体)の少なくとも1つの分子と、治療用タンパク質(またはその断片または変異体)の少なくとも1つの分子との融合によって形成されるタンパク質のことを指す。本発明のアルブミン融合タンパク質には、好ましくは遺伝子融合によって互いに、または互いと結びついた、治療用タンパク質の少なくとも1つの断片または変異体、およびヒト血清アルブミンの少なくとも1つの断片または変異体が含まれる(すなわち、アルブミン融合タンパク質は、治療用タンパク質の全体または一部分をコードするポリヌクレオチドがアルブミンの全体または一部分をコードするポリヌクレオチドとインフレームに連結された核酸の翻訳によって生成される)。治療用タンパク質およびアルブミンタンパク質は、ひとたびアルブミン融合タンパク質の一部となれば、それぞれアルブミン融合タンパク質の「一部分」「領域」または「部分」と称することができる。
好ましい態様において、本発明は、ポリヌクレオチドまたはアルブミン融合構築物によってコードされたアルブミン融合タンパク質を提供する。これらのアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。
本発明の好ましいアルブミン融合タンパク質には、治療用タンパク質の少なくとも1つの分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドとインフレームで連結されたアルブミン(またはその断片または変異体)の少なくとも1つの分子をコードするポリヌクレオチドを含む、または代替的にはそれからなる核酸分子;実施例に記載されたようにして作製される、治療用タンパク質(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに対してインフレームで連結されたアルブミン(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードするポリヌクレオチドを含む、または代替的にはそれらからなる核酸分子;または、治療用タンパク質(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに対してインフレームで連結されたアルブミン(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子をコードするポリヌクレオチドを含む、または代替的にはそれらからなる核酸分子であって、さらに例えば、以下のエレメント:(1)機能的自己複製ベクター(シャトルベクター、発現ベクター、組み込みベクターおよび/または複製系を非限定的に含む)、(2)転写開始のための領域(例えば、プロモーター領域、例えば、調節可能プロモーターまたは誘導性プロモーター、構成的プロモーターなど)、(3)転写終結のための領域、(4)リーダー配列、および(5)選択マーカーのうち1つまたは複数を含む核酸分子によってコードされるアルブミン融合タンパク質が非限定的に含まれる。
1つの態様において、本発明は、治療用タンパク質(例えば、インスリンまたはインスリン類似体)および血清アルブミンタンパク質を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。他の態様において、本発明は、治療用タンパク質の生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片、ならびに血清アルブミンタンパク質を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。他の態様において、本発明は、治療用タンパク質の生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な変異体、ならびに血清アルブミンタンパク質を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい態様において、アルブミン融合タンパク質の血清アルブミンタンパク質成分は血清アルブミンの成熟部分である。
さらなる態様において、本発明は、治療用タンパク質、ならびに血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。さらなる態様において、本発明は、治療用タンパク質、ならびに血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な変異体を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい態様において、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分は、治療用タンパク質の成熟部分である。
さらなる態様において、本発明は、治療用タンパク質の生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体、ならびに血清アルブミンの生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な断片または変異体を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。好ましい態様において、本発明は、治療用タンパク質の成熟部分および血清アルブミンの成熟部分を含む、または代替的にはそれらからなるアルブミン融合タンパク質を提供する。
好ましくは、アルブミン融合タンパク質は、N末端部分としてHAを、C末端部分として治療用タンパク質を含む。または、C末端部分としてHAを、N末端部分として治療用タンパク質を含むアルブミン融合タンパク質を用いることもできる。
他の態様において、アルブミン融合タンパク質は、アルブミンのN末端およびC末端の両方に融合した治療用タンパク質を有する。1つの好ましい態様において、N末端およびC末端で融合した治療用タンパク質は、同一の治療用タンパク質である。1つの代替的な好ましい態様において、N末端およびC末端で融合した治療用タンパク質は、異なる治療用タンパク質である。もう1つの好ましい態様において、N末端およびC末端で融合した治療用タンパク質は、同一の、または関連した疾患、障害または病状を治療または予防するために用いうる異なる治療用タンパク質である。もう1つの好ましい態様において、N末端およびC末端で融合した治療用タンパク質は、患者において同時に、同時発生的に、もしくは連続して発生する頻度が高いこと、または患者において互いに関連して発生する頻度が高いことが当技術分野で公知である疾患または障害を治療、緩和または予防するために用いることのできる、異なる治療用タンパク質である。
本発明のアルブミン融合タンパク質は、本発明のアルブミン融合タンパク質のN末端もしくはC末端と、および/またはアルブミンもしくはその変異体のN末端および/もしくはC末端と融合した、所定の治療用タンパク質Xまたはその変異体の1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の分子を含むタンパク質を含む。所定の治療用タンパク質Xまたはその変異体の分子は、「頭部-頭部」の配向(例えば、治療用タンパク質Xの1つの分子のN末端が、治療用タンパク質Xの別の分子のN末端と融合されている)、または「頭部-尾部」の配向(例えば、治療用タンパク質Xの1つの分子のC末端が、治療用タンパク質Xの別の分子のN末端と融合されている)を非限定的に含む、任意のさまざまな配向にあってよい。1つの態様においては、インスリン活性を有する1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のタンデムに配向した治療用分子が、アルブミンまたはその変異体のN末端および/またはC末端と融合される。
本発明のアルブミン融合タンパク質にはさらに、本発明のアルブミン融合タンパク質のN末端もしくはC末端と、および/またはアルブミンまたはその変異体のN末端および/またはC末端と融合した、インスリン活性を有する所定の治療用タンパク質またはその変異体の1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の分子を含むタンパク質も範囲に含まれ、ここで分子はペプチドリンカーによって連結されている。その例には、米国特許第5,073,627号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されたペプチドリンカーが含まれる。ペプチドリンカーによって隔てられた、インスリン活性を有する複数の治療用タンパク質を含むアルブミン融合タンパク質を、従来の組換えDNA技術を用いて作製することもできる。分子リンカーは、小さなペプチドを大きなHAS分子と融合させる場合に特に重要である。ペプチドそれ自体がペプチドのタンデムコピーを融合させることによるリンカーであることもでき、または他の公知のリンカーを用いることもできる。リンカーを組み入れた構築物は実施例に記載されている。1つの態様においては、インスリン活性を有する1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のタンデムに配向した治療用分子が、アルブミンまたはその変異体のN末端またはC末端と融合される。
さらに、本発明のアルブミン融合タンパク質を、分子内および/または分子間の多量体形態の形成が可能になるような様式で、治療用タンパク質Xまたはその変異体をアルブミンまたはその変異体のN末端および/またはC末端と融合させることによって作製することもできる。本発明の1つの態様において、アルブミン融合タンパク質は、単量体または多量体の形態(すなわち、二量体、三量体、四量体およびそれ以上の多量体)であってもよい。本発明の1つのさらなる態様において、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分は、単量体形態または多量体形態(すなわち、二量体、三量体、四量体およびそれ以上の多量体)であってもよい。1つの特定的な態様において、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分は、多量体形態(すなわち、二量体、三量体、四量体およびそれ以上の多量体)であり、かつアルブミンタンパク質部分は単量体形態である。
アルブミン部分が治療用タンパク質部分のN末端および/またはC末端と融合されているアルブミン融合タンパク質に加えて、本発明のアルブミン融合タンパク質を、関心対象の治療用タンパク質またはペプチドをHAの内部領域に挿入することによって作製することもできる。例えば、HA分子のタンパク質配列内には多数のループまたはターンがα-へリックスの終点と始点との間に存在し、それらはジスルフィド結合によって安定化されている。HAの結晶構造から決定されるようなループ(PDB識別子1AO6、1BJ5、1BKE、1BMO、1E7E〜1E71および1UOR)は大部分が分子本体から離れるように伸びる。これらのループは、特定の生物活性を有するアルブミン分子を本質的に生成させるための、治療活性のあるペプチド、特に機能するために二次構造を必要とするもの、または治療用タンパク質の挿入または内部融合のために有用である。
ペプチドまたはポリペプチドが挿入されて本発明のアルブミン融合タンパク質を生成しうるヒトアルブミン構造内のループには、以下が含まれる:Val54-Asn61、Thr76-Asp89、A1a92-Glu1OO、Gln170-Ala176、His247-Glu252、Glu266-Glu277、Glu280-His288、Ala362-Glu368、Lys439-Pro447、Val462-Lys475、Thr478-Pro486およびLys560-Thr566。より好ましい態様において、ペプチドまたはポリペプチドは、成熟ヒトアルブミンのVal54-Asn61、Gln170-Ala176、および/またはLys560-Thr566ループ内に挿入される(図1A〜D)。
挿入しようとするペプチドは、特定の生物活性についてスクリーニングされたファージディスプレイもしくは合成ペプチドのいずれかに、または所望の機能を有する分子の活性部分に由来しうる。さらに、特定のループ内に、またはランダム化したペプチドをHA分子の特定のループ内へ挿入することにより、アミノ酸のすべての可能な組み合わせが提示されるようなランダムペプチドライブラリーを作製することもできる。
そのようなライブラリーは、以下の方法の1つにより、HAまたはHAのドメイン断片上に作製することができる:HAまたはHAドメイン断片の1つまたは複数のペプチドループ内でのアミノ酸のランダム突然変異。このようにして、1つのループ内の1つ、複数またはすべての残基を突然変異させることができる;1つまたは複数のループへの、長さXn(式中、Xはアミノ酸であり、nは残基の数である)の1つまたは複数のランダム化ペプチドのHAまたはHAのドメイン断片(すなわち、内部融合物)の置換または挿入;(a)および/または(b)に加えて、N末端、C末端、またはN末端およびC末端でのペプチド/タンパク質融合。
また、HAまたはHAドメイン断片を、異なる標的に対する異なるループの異なるスクリーニングに由来するペプチドを、同じHAまたはHAのドメイン断片中にグラフトすることにより、多機能化してもよい。
好ましい態様において、ヒト血清アルブミンのループ内に挿入されるペプチドは、治療用タンパク質のペプチド断片またはペプチド変異体である。より詳細には、本発明は、ヒト血清アルブミンのループ内に挿入された、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35または少なくとも40アミノ酸長のペプチド断片またはペプチド変異体を含むアルブミン融合タンパク質を範囲に含む。本発明はまた、ヒト血清アルブミンのN末端と融合された、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35または少なくとも40アミノ酸長のペプチド断片またはペプチド変異体を含むアルブミン融合タンパク質も範囲に含む。本発明はまた、ヒト血清アルブミンのC末端と融合された、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35または少なくとも40アミノ酸長のペプチド断片またはペプチド変異体を含むアルブミン融合タンパク質も範囲に含む。
一般に、本発明のアルブミン融合タンパク質は、1つのHA由来領域および1つの治療用タンパク質由来領域を有しうる。しかし、タンパク質の複数の領域を、本発明のアルブミン融合タンパク質を作製するために用いてもよい。同様に、複数の治療用タンパク質を、本発明のアルブミン融合タンパク質を作製するために用いてもよい。例えば、治療用タンパク質をHAのN末端およびC末端の両方に融合させてもよい。このような形態では、治療用タンパク質部分は同じ治療用タンパク質分子であっても異なる治療用タンパク質分子であってもよい。二重機能性アルブミン融合タンパク質の構造はX-HA-YまたはY-HA-Xとして表しうる。
また、二重機能性または多機能性アルブミン融合タンパク質を、HAの反対側の末端にあるタンパク質またはペプチドを介して、融合物の治療用タンパク質部分を標的の器官または細胞型にターゲティングさせるために調製することもできる。
公知の治療用分子の融合物の代替物として、ペプチドを、典型的には6個、8個、12個、20個もしくは25個、またはXn(式中、Xはアミノ酸(aa)であり、nは残基の数に等しい)個のランダム化アミノ酸からなる、HAのN末端、C末端、またはN末端およびC末端、またはHAのドメイン断片との融合物として構築された、アミノ酸のすべての可能な組み合わせが提示されたライブラリーをスクリーニングすることによって得ることもできる。このアプローチの特に有利な点は、ペプチドをHA分子上でインサイチューで選択することができ、このためペプチドの特性を、任意の他の方法によって得た上でHAに結合されたペプチドの場合のように改変するのではなく、むしろ選択しうることである。
さらに、本発明のアルブミン融合タンパク質は、部分間の物理的距離を増加させ、それ故に例えばコグネイト受容体に対する結合のために治療用タンパク質部分の接近性を最大化するために、融合部分の間にリンカーペプチドを含んでもよい。リンカーペプチドは、それが柔軟であるかより剛性となるようなアミノ酸からなってよい。
リンカー配列は、プロテアーゼまたは化学的に切断されて、治療用分子関連部分を生じるものでもよい。好ましくは、プロテアーゼは、宿主によって天然に生じるものであり、例えばS.セレビシエのプロテアーゼkex2または等価なプロテアーゼである。
したがって、上記のように、本発明のアルブミン融合タンパク質は、以下の式:R1-L-R2;R2-L-R1;またはR1-L-R2-L-R1を有してもよく、式中、R1は少なくとも1つの治療用タンパク質、ペプチドまたはポリペプチド配列であり、必ずしも同じ治療用タンパク質である必要はなく、Lはリンカーであり、R2は血清アルブミン配列である。例えば、R1にはインスリン、インスリン類似体、またはインスリン活性を有するインスリンの断片もしくは変異体が含まれうる。
好ましい態様において、治療用タンパク質を含む本発明のアルブミン融合タンパク質は、アルブミンと融合されていない同じ治療用タンパク質の貯蔵寿命に比べて延長された貯蔵寿命を有する。貯蔵寿命とは、典型的には、溶液中またはいくつかの他の貯蔵製剤中の治療用タンパク質の治療活性が、治療活性の過度の損失を伴うことなく安定である期間のことを指す。多くの治療用タンパク質は、非融合状態において非常に不安定である。以下に述べるように、これらの治療用タンパク質の典型的な貯蔵寿命は、本発明のアルブミン融合タンパク質中に組み込まれると著しく延長される。
「延長された」または「拡大された」貯蔵寿命を有する本発明のアルブミン融合タンパク質は、同じ貯蔵条件および取扱い条件に曝された標準物と比較して、より高い治療活性を示す。標準物は、融合されていない完全長の治療用タンパク質であってもよい。アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分が類似体、変異体であるか、または別の様式で改変されている、またはそのタンパク質に関する完全な配列を含まない場合、代替的には、治療活性の延長を、その類似体、変異体、改変ペプチドまたは不完全な配列の融合されていない等価物と比較してもよい。一例として、本発明のアルブミン融合タンパク質は、所定の時点で比較した場合、標準物と同じ貯蔵条件および取扱い条件に曝された標準物の治療活性の約100%を上回る治療活性、または約105%、110%、120%、130%、150%もしくは200%を上回る治療活性を保ちうる。
貯蔵寿命を、貯蔵後に残存する治療活性に関して評価し、貯蔵開始時の治療活性に関して標準化することもできる。延長または拡大された治療活性によって示されるような、延長または拡大された貯蔵寿命を有する本発明のアルブミン融合タンパク質は、同じ条件に曝された場合に融合されていない等価な治療用タンパク質の治療活性の約50%を上回る治療活性、約60%、70%、80%または90%またはそれ以上の高い治療活性を保ちうる。例えば、実施例38で考察されているように、完全長HA配列と融合されたhGHを含む本発明のアルブミン融合タンパク質は、溶液中でのその元の活性の約80%またはそれ以上を、さまざまな温度条件下で最長5週間またはそれ以上にわたって保ちうる。
インスリン-アルブミン融合タンパク質
糖尿病の治療のための臨床評価に適した一本鎖インスリン/アルブミン融合タンパク質が同定されている。リードの選択には、適した薬理活性、安全性プロファイル(マイトジェン性)および商業規模での製造が実施可能な生産収量を備えた組成物の同定が必要とされた。リードの選択は、40種を上回る異なる組成物を評価した、非常に大規模なスクリーニングの取り組みの結果であった。活性、生産収量および潜在的毒性(マイトジェン活性)はいずれも、組成物が異なれば大きく異なった。
酵母はプロ-インスリンのインスリンへのプロセシングのために必要な酵素を産生しないため、この系では一本鎖インスリン融合タンパク質のみを製造することができる。したがって、現に、野生型インスリンとアルブミンとの結合は、プロセシングされていない完全長のインスリンを含むものである不活性タンパク質をもたらすため、インスリンとアルブミンとの融合が、活性を有する活性タンパク質を生じるということは予想外のことである。この問題を克服するために、8種の異なる非切断性C-ペプチド組成物を、インスリンアルブミン融合タンパク質の一部として評価した。これらのタンパク質の収量およびそれらの代謝活性、ならびにマイトジェン活性は大きく異なった(表C)。
(表B)評価したアルブリン成分
Figure 0005256199
選択された最終的な産物は(N末端からC末端の順に)以下の通りであった:HSAシグナルペプチド、RSLDKRリーダーペプチド、ネイティブ性B鎖、GGGPGKR C-ペプチド、ネイティブ性A鎖、HSA。このタンパク質は高収量で生産され、インビボでの低いマイトジェン活性と高い代謝活性を兼ね備えていた。マイトジェン活性はC-ペプチド組成による影響を受けており、マイトジェン活性は安全性(癌)のリスクとみなされるため、低いマイトジェン活性が望ましい。
(表C)評価したインスリン-HSA変異体
Figure 0005256199
*10mg/kg;**20mg/kg
ND、試験されず;CID、構築物ID、AUEC(グルコースに関する効果曲線下面積、媒体と処置との比較に関する曲線下面積の差)
融合タンパク質の発現
本発明のアルブミン融合タンパク質は、酵母、細菌などの微生物、またはヒトもしくは動物の細胞株からの分泌により、組換え分子として生産することができる。好ましくは、ポリペプチドは宿主細胞から分泌される。
本発明の1つの特定の態様は、酵母における分泌を導くのに有効なシグナル配列、特に、酵母由来のシグナル配列(特に、酵母宿主に相同的なもの)と、本発明の第1の局面の融合分子とをコードするDNA構築物を含み、シグナルと成熟ポリペプチドとの間には酵母由来のプロ配列はない。
サッカロミセス-セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)インベルターゼシグナルは、酵母由来シグナル配列の好ましい一例である。
個別に調製したポリペプチドを化学的架橋によって連結する、Poznanskyら(FEBS Lett. 239:18 (1988))によって調製された種類の結合物は想定していない。
本発明はまた、本発明のアルブミン融合タンパク質を発現するように形質転換された細胞、好ましくは酵母細胞も含む。形質転換された宿主細胞自体に加えて、本発明はまた、栄養培地中のそのような細胞の培養物、好ましくはモノクローナル(クローン的に均一な)培養物、またはモノクローナル培養物由来の培養物も想定している。ポリペプチドが分泌される場合には、培地は細胞とともにポリペプチドを含むと考えられ、それらが濾過または遠心分離により除去された場合には細胞を含まないと考えられる。多くの発現系が公知であって用いることができ、これには細菌(例えば、大腸菌および枯草菌(Bacillus subtilis))、酵母(例えば、サッカロミセス-セレビシエ、クルイベロミセス-ラクティス(Kluyveromyces lactis)およびピキア-パストリス(Pichia pastoris)、糸状真菌(例えば、アスペルギルス属)、植物細胞、動物細胞および昆虫細胞が含まれる。
アルブミン融合タンパク質の生産に用いるのに好ましい酵母株は、D88、DXY1およびBXP10である。D88[leu2-3、leu2-122、can1、pra1、ubc4]は、親株AH22his+の派生物である(DB1としても知られる;例えば、Sleep et al. Biotechnology 8:42-46 (1990)を参照)。この株は、LEU2遺伝子を含む2ミクロンベースのプラスミドの栄養要求性選択を可能にするleu2突然変異を含む。D88はまた、グルコース過剰におけるPRB1の脱抑制も示す。PRB1プロモーターは通常、グルコースレベルおよび成長段階をモニターする2つのチェックポイントにより制御される。このプロモーターは野生型酵母において、グルコースが欠乏し、定常期に入ると活性化する。株D88はグルコースによる抑制を示すが、定常期に入ると誘導を維持する。PRA1遺伝子は酵母液胞プロテアーゼであるYscAエンドプロテアーゼAをコードし、それはERに局在する。UBC4遺伝子はユビキチン化経路に存在し、ユビキチン依存性分解のための短寿命および異常なタンパク質のターゲティングに関与する。このubc4突然変異の分離は、細胞中の発現プラスミドのコピー数を増加させ、プラスミドから発現される所望のタンパク質の発現レベルを増加させることが見いだされている(例えば、国際公開公報第WO 99/00504号を参照。これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
D88の派生物であるDXY1は、以下の遺伝子型を有する:[leu2-3、leu2-122、can1、pra1、ubc4、ura3::yap3]。D88において分離された突然変異のほかに、この株は、YAP3プロテアーゼのノックアウトも有する。このプロテアーゼは、ほとんど二塩基性の残基(RR、RK、KR、KK)の切断を引き起こすが、タンパク質における一塩基性残基での切断も促進することができる。このyap3突然変異の分離は、完全長HSA生産レベルの上昇をもたらした(例えば、米国特許第5,965,386号およびKerry-Williams et al., Yeast 14:161-169 (1998)を参照。これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
BXP10は以下の遺伝子型を有する:leu2-3、leu2-122、can1、pra1、ubc4、ura3、yap3::URA3、lys2、hsp150::LYS2、pmt1::URA3。DXY1において分離した突然変異のほかに、この株はPMT1遺伝子およびHSP150遺伝子のノックアウトも有する。PMT1遺伝子は、ドリキル-ホスフェート-D-マンノースタンパク質O-マンノシルトランスフェラーゼ(Pmt)の進化において保存されたファミリーのメンバーである。Pmt1pの膜貫通トポロジーから、これはO-連結グリコシル化に役割を果たす小胞体の膜内在タンパク質であることが示唆される。この突然変異は、HSA融合物のO-連結グリコシル化を低下/排除する働きをする(例えば、国際公開公報第WO 00/44772号を参照。これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。諸研究により、イオン交換クロマトグラフィーでは、rHAからのHsp150タンパク質の分離が非効率的であることが判明している。HSP150遺伝子における突然変異は、標準的な精製法では除去が困難であることが実証されている潜在的混入物を除去させる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,783,423号を参照。
所望のタンパク質は、従来の様式で、例えば、宿主染色体に挿入された、または遊離プラスミド上にあるコード配列から生産される。酵母は、通常のいずれかの様式で、例えば、電気穿孔により、所望のタンパク質のコード配列によって形質転換される。電気穿孔による酵母の形質転換法は、Becker & Guarente (1990) Methods Enzymol. 194, 182に開示されている。
首尾良く形質転換された細胞、すなわち、本発明のDNA構築物を含む細胞は、公知の手法によって同定することができる。例えば、発現構築物の導入によって得られる細胞を増殖させて、所望のポリペプチドを生産させることができる。細胞を収集し、溶解させた後に、Southern (1975) J. Mol. Biol. 98, 503またはBerent et al. (1985) Biotech. 3, 208によって記載されたもののような方法を用いて、そのDNA内容物を分析してDNAの存在を調べることができる。または、抗体を用いて、上清中のタンパク質の存在を検出することもできる。
有用な酵母プラスミドベクターにはpRS403-406およびpRS413-416が含まれ、これらはStratagene Cloning Systems(La Jolla, Calif. 92037, USA)から一般に入手可能である。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405およびpRS406は、酵母組込みプラスミド(YIp)であり、酵母選択マーカーHIS3、7RP1、LEU2およびURA3を含む。プラスミドpRS413〜416は、酵母動原体プラスミド(Ycp)である。
酵母における発現のためのアルブミン融合タンパク質を作製するのに好ましいベクターにはpPPC0005、pScCHSA、pScNHSAおよびpC4:HSAが含まれ、これらについては実施例1で詳述する。図2は、基本ベクターとして用いることができるpPPC0005プラスミドの地図を示しており、このプラスミドの中に、治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドをクローニングすることにより、HA融合物を形成することができる。これは、S.セレビシエのPRB1プロモーター(PRB1p)、融合リーダー配列(FL)、DNAコードHA(rHA)およびS.セレビシエのADH1ターミネーター配列を含む。融合リーダー配列の配列は、ヒト血清アルブミンのシグナルペプチドの最初の19アミノ酸、および接合因子α1プロモーター(SLDKR、欧州特許出願第387,319号を参照。これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)の最後の5アミノ酸からなる。
プラスミドpPPC0005、pScCHSA、pScNHSAおよびpC4:HSAは、American Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Va. 20110-2209に2001年4月11日に寄託され、それぞれアクセッション番号ATCC PTA-3278、PTA-3276、PTA-3279およびPTA-3277を得ている。酵母でアルブミン融合タンパク質を発現するのに有用なもう1つのベクターには、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Sleep et al., BioTechnology 8:42 (1990)に記載されたpSAC35ベクターがある。
アルブミン融合タンパク質を発現させるために用いることのできるもう1つの酵母プロモーターはMET25プロモーターである。例えば、Dominik Mumburg, Rolf Muller and Martin Funk. Nucleic Acids Research, 1994, Vol. 22, No. 25, pp. 5767-5768を参照。Met25プロモーターは383塩基長(塩基-382から-1まで)であり、このプロモーターにより発現される遺伝子は、Met15、Met17およびYLR303Wとしても知られている。1つの好ましい態様は、5'末端のクローニング用のNotI部位、および3'末端のATG開始コドンを含む、以下の配列を用いる:
Figure 0005256199
相補的付着末端を介してベクターにDNAを機能的に連結させるためのさまざまな方法が開発されている。例えば、ベクターDNAに挿入しようとするDNAセグメントに相補的ホモポリマー領域を付加する。続いて、相補的ホモポリマー尾部間の水素結合により、上記ベクターとDNAセグメントを連結して、組換えDNA分子を形成させる。
1つまたは複数の制限部位を含む合成リンカーは、DNAセグメントとベクターとを連結する別の方法を提供する。エンドヌクレアーゼ制限消化により生成されるDNAセグメントを、突出したγ一本鎖末端をその3',5'-エキソヌクレアーゼ活性によって除去し、凹んだ3'末端をその重合活性によって充填する酵素である、バクテリオファージT4DNAポリメラーゼまたは大腸菌DNAポリメラーゼIで処理する。
このため、これらの活性の組み合せにより、平滑末端DNAセグメントが生成される。続いて、平滑末端DNA分子の連結反応を触媒することができる酵素(バクテリオファージT4DNAリガーゼなど)の存在下で、この平滑末端セグメントを、モル大過剰のリンカー分子とともにインキュベートする。したがって、反応の産物は、その末端にポリマーリンカー配列を保有するDNAセグメントである。これらのDNAセグメントを適当な制限酵素で切断した後、DNAセグメントのものと適合する末端を生成する酵素で切断された発現ベクターに連結させる。
種々の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカーが、International Biotechnologies Inc., New Haven, Conn., USAなどの多数の供給元から販売されている。
例えば、HA変異体を調製しようとする場合に、本発明に従ってDNAを修飾するのに望ましい様式は、Saiki et al. (1988) Science 239, 487-491によって開示されているポリメラーゼ連鎖反応を用いるものである。この方法では、酵素により増幅しようとするDNAを2つの特異的オリゴヌクレオチドプライマーと隣接させ、これを増幅DNAに組み込ませる。特異的プライマーは、当業者に公知の方法を用いて発現ベクターにクローニングするのに用いることができる制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含んでいてよい。
本発明の実施において、アルブミン融合タンパク質を発現させるための宿主として有用であると考えられる酵母属の例には、ピキア属(Pichia)(ハンセヌラ属(Hansenula))、サッカロミセス属(Saccharomyces)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、カンジダ属(Candida)、トルロプシス属(Torulopsis)、トルラスポラ属(Torulaspora)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、サイテロミセス属(Citeromyces)、パキソレン属(Pachysolen)、デバロミセス属(Debaromyces)、メチニコウィア属(Metschunikowia)、ロドスポリジウム属(Rhodosporidium)、ロイコスポリジウム属(Leucosporidium)、ボトリオアスクス属(Botryoascus)、スポリディオボルス属(Sporidiobolus)、エンドミコプシス属(Endomycopsis)などがある。好ましい属は、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、クルイベロミセス属、ピキア属およびトルラスポラ属である。サッカロミセス属種の例には、S.セレビシエ、S.イタリカス(S. italicus)およびS.ロウキシ(S. rouxii)がある。
クルイベロミセス属の例には、K.フラギリス(K.fragilis)、K.ラクティス(K.lactis)およびK.マリキシアヌス(K.marxianus)がある。好適なトルラスポラ種はT.デルブルエキ(T.delbrueckii)である。ピキア属(ハンセヌラ属)の例には、P.アングスタ(P.angusta)(以前は、H.ポリモルファ(H.Polymorpha)、P.アノマラ(P.anomala)(以前はH.アノマラ(H.anomala))、およびP.パストリス(P.pastoris)がある。S.セレビシエの形質導入のための方法は、EP 251 744、EP 258 067およびWO 90/01063に概要が開示されており、これはすべて参照により本明細書に組み入れられる。
サッカロミセス属の好ましい種の例には、S.セレビシエ、S.イタリカス、ジアスタチクス(S.diastaticus)およびジゴサッカロミセスロウキシ(Zygosaccharomyces rouxii)が含まれる。クルイベロミセス属の好ましい種の例には、K.フラギリスおよびK.ラクティスが含まれる。ハンセヌラの好ましい例示的な種には、H.ポリモルファ(H.polymorpha)(現在はピキア-アングスタ(Puchia angusta)、H.アノマラ(H.anomala)(現在は、ピキア-アノマラ(Pichia anomala)、およびピキア-カプスラタ(Pichia capsulata))が含まれる。ピキア属のさらに好ましい例示的な種には、P.パストリス(P.pastoris)が含まれる。アスペルギルス属の好ましい例示的な種には、A.ニゲル(A.niger)およびA.ニデュランス(A.nidulans)が含まれる。ヤロヴィア属(Yarrowia)の好ましい例示的な種には、Y.リポリチカ(Y.lipolytica)が含まれる。多くの好ましい酵母種は、ATCCより入手可能である。例えば、以下の好ましい酵母種が、ATCCより入手可能であり、アルブミン融合タンパク質の発現にて有用である:サッカロミセス-セレビシエHansen、テレオモルフ株BY4743 yap3突然変異体(ATCCアクセッション番号4022731);サッカロミセス-セレビシエHansen、テレオモルフ種BY4743 hsp150変異体(ATCCアクセッション番号4021266);サッカロミセス-セレビシエHansen、テレオモルフ種BY4743 pmt1変異体(ATCCアクセッション番号4023792);サッカロミセス-セレビシエHansen、テレオモルフ(ATCCアクセッション番号20626;44773;44774および62995);サッカロミセス-ジアスタティクスAndrews et Gilliland ex van der Waltテレオモルフ(ATCCアクセッション番号62987);クルイベロミセス-ラクティス(Dombrowski)van der Waltテレオモルフ(ATCCアクセッション番号76492);ハンセヌラ-ポリモルファde Morais et Maia、テレオモルフとして寄託されたピキア-アングスタ(Teunisson et al.)Kurtzman、テレオモルフ(ATCCアクセッション番号26012);アスペルギルス-ニゲルvan Tieghem、アナモルフ(ATCCアクセッション番号9029);アスペルギルス-ニゲルvan Tieghem、アナモルフ(ATCCアクセッション番号16404);アスペルギルス-ニデュランス(Eidam)Winter、アナモルフ(ATCCアクセッション番号48756);およびヤロヴィアリ-ポリティカ(Wickerham et al.)van der Walt et von Arx、テレオモルフ(ATCCアクセッション番号201847)。
S.セレビシエ用に適したプロモーターには、PGKI遺伝子、GAL1またはGAL10遺伝子、ならびにCYCI、PHO5、TRPI、ADHI、ADH2、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、グルコキナーゼ、α接合因子フェロモン、[接合因子フェロモン]用の遺伝子に関連するもの、PRBIプロモーター、GUT2プロモーター、GPDIプロモーター、5'調節領域の部分とその他のプロモーターの5' 調節領域の部分とのハイブリッドを含む、または上流活性化部位を有するハイブリッドプロモーター(例えば、EP-A-258 067のプロモーター)が挙げられる。
分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)に用いるのに好適な調節性プロモーターには、Maundrell (1990) J. Biol. Chem., 265, 10857-10864記載されているnmt遺伝子に由来するチアミン-抑制プロモーター、ならびにHoffman & Winston (1990) Genetics 124, 807-816に記載されているグルコース抑制性jbpl遺伝子プロモーターがある。
外来遺伝子の発現のためにピキア属を形質転換する方法は、例えば、Creggら(1993)、ならびに、さまざまなフィリップス(Phillips)特許(米国特許第4,857,467号、これは参照により組み入れられる)に開示されており、ピキア属発現キットは、Invitrogen BV, Leek, Netherlands、およびInvitrogen Corp., San Diego, Calif.から市販されている。適したプロモーターには、AOX1およびAOX2が含まれる。Gleeson et al. (1986), J. Gen. Microbiol., 132, 3459-3465にはハンセヌラ属ベクターおよび形質転換に関する情報が記載されており、適したプロモーターはMOX1およびFMD1である;一方、EP 361 991, Fleer et al. (1991)およびRhone-Poulenc Rorerによるその他の出版物には、クルイベロミセス種において外来タンパク質を発現させる方法が開示されており、その際に好適なプロモーターはPGKIである。
転写終結シグナルは、転写終結およびポリアデニル化の適正なシグナルを含む真核生物の遺伝子の3'隣接配列であることが好ましい。適した3'隣接配列は、例えば、用いられる発現制御配列に自然下で連結している遺伝子のもの、すなわちプロモーターと一致するものでよい。または、それらが異なっていてもよく、その場合にはS.セレビシエADHI遺伝子の終結シグナルが好ましい。
所望のアルブミン融合タンパク質を、まず分泌リーダー配列とともに発現させることができ、このリーダー配列は、選択された酵母で有効な任意のリーダーでよい。酵母で有用なリーダーには、以下の任意のものが含まれる:
a)MPIF-1シグナル配列(例えば、GenBankアクセッション番号AAB51134のアミノ酸1-21)
Figure 0005256199
b)スタニオカルシンシグナル配列(
Figure 0005256199

c)HSAシグナル配列のプレ-プロ領域(例えば、
Figure 0005256199

d)HSAシグナル配列のプレ領域(例えば、
Figure 0005256199
)または例えば
Figure 0005256199
などのその変異体
e)インベルターゼシグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

f)酵母接合因子αシグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

g)K.ラクティスキラー毒素リーダー配列 h)ハイブリッドシグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

h)HSA/MFα-1ハイブリッドシグナル配列(HSA/kex2としても知られる)(例えば、
Figure 0005256199

i)K.ラクティスキラー/MFα-1融合リーダー配列(例えば、
Figure 0005256199

j)免疫グロブリンIgシグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

k)フィブリンB前駆体シグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

l)クラスター前駆体シグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

m)インスリン様成長因子-結合タンパク質4シグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

n)HSAシグナル配列のプレ-プロ領域の変異体、例えば、
Figure 0005256199
;改変HSAリーダーHSA
Figure 0005256199
;改変HSAリーダーHSA
Figure 0005256199
;改変HSA(A14)リーダー-
Figure 0005256199
;改変HSA(S14)リーダー-
Figure 0005256199
、改変HSA(G14)リーダー-
Figure 0005256199
o)コンセンサスシグナル配列(
Figure 0005256199

p)酸ホスファターゼ(PH05)リーダー(例えば、
Figure 0005256199

q)MFoz-1のプレ配列
r)Oグルカナーゼ(BGL2)のプレ配列
s)キラー毒素リーダー
t)キラー毒素のプレ配列
u)K.ラクティスキラー毒素プレプロ(29個のアミノ酸;プレの16個のアミノ酸およびプロの13個のアミノ酸)
Figure 0005256199
v)S.ジアスタチクスグルコアミラーゼII分泌リーダー配列
w)S.カールスベルゲンシス(S.carlsbergensis)α-ガラクトシダーゼ(MEL1)分泌リーダー配列
x)カンジダグルコアルニラーゼリーダー配列
y)EP-A-387319(参照により本明細書に組み入れられる)に開示されたハイブリッドリーダー
z)EP-A-387319(参照により本明細書に組み入れられる)に開示されたハイブリッドリーダー
aa)(バキュロウイルス発現系と併せた)gp67シグナル配列(例えば、GenBankアクセッション番号AAA72759のアミノ酸1-19位)または
bb)治療用タンパク質Xの天然のリーダー;
cc)JP 62-096086(911036516として承認、参照により本明細書に組み入れられる)に開示されたS.セレビシエインベルターゼ(SUC2)リーダー;または
dd)イヌリナーゼ-
Figure 0005256199
ee)改変TA57プロペプチドリーダー変異体#1--8
Figure 0005256199
ff)改変TA57プロペプチドリーダー変異体#2--9
Figure 0005256199
アルブミン融合タンパク質の組換えおよび合成による生産のさらなる方法
本発明はまた、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、宿主細胞、ならびに合成および組換え技法によるアルブミン融合タンパク質の生産にも関する。ベクターは、例えば、ファージ、プラスミド、ウイルスまたはレトロウイルスベクターであってよい。レトロウイルスベクターは、複製能を有してもよく、複製能欠損であってもよい。後者の場合、ウイルス増殖は、一般に宿主細胞を補完する場合にしか起こらないと考えられる。
本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、宿主における増殖の選択マーカーを含むベクターに連結させてもよい。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物などの沈殿物または荷電脂質との複合体中に導入される。ベクターがウイルスであるならば、それは適切なパッケージ細胞株を用いてパッケージされ、続いて宿主細胞中に形質導入することができる。
ポリヌクレオチドインサートは、いくつか例を挙げるとファージラムダPLプロモーター、大腸菌lac、trp、phoAおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーターおよびレトロウイルスLTRsのプロモーターといった、適切なプロモーターに機能的に連結される必要がある。他の適したプロモーターは当業者に公知と考えられる。発現構築物はさらに転写開始、終結のための部位を含むと考えられ、転写された領域には翻訳のためのリボソーム結合部位が含まれうる。構築物により発現される転写物のコード部分は、翻訳されるポリペプチドの最初に翻訳開始コドンを、その末端には終止コドン(UAA、UGAまたはUAG)を、適切に配置されて含むことが好ましい。
記載したように、発現ベクターは好ましくは、少なくとも1つの選択マーカーを含むと考えられる。そのようなマーカーには、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、G418、グルタミンシンターゼまたは真核細胞培養物のためのネオマイシン耐性、ならびに大腸菌および他の細菌の培養のためのテトラサイクリン、カナマイシンまたはアンピシリン耐性遺伝子が含まれる。適切な宿主の代表的な例には、細菌細胞、例えば大腸菌、ストレプトミセスおよびネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)細胞;真菌細胞、例えば、酵母細胞(例えば、サッカロミセス-セレビシエまたはピキア-パストリス(ATCCアクセッション番号201178));昆虫細胞、例えば、ショウジョウバエS2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞;動物細胞、例えば、CHO、COS、NSO、293およびBowes黒色腫細胞;ならびに植物細胞が非限定的に含まれる。上記の宿主細胞に関する適切な培地および条件は、当技術分野で公知である。
細菌における使用のために好ましいベクターには、QIAGEN, Inc.から入手可能なpQE70、pQE60およびpQE-9;Stratagene Cloning Systems, Inc.から入手可能なpBluescriptベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A;およびPharmacia Biotech, Inc.から入手可能なptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5が含まれる。好ましい真核ベクターには、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXTIおよびpSG;およびPharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLが含まれる。酵母系における使用のために好ましい発現ベクターは、pYES2、pYDI、pTEFI/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZalph、pPIC9、pPIC3.5、pHIL-D2、pHIL-SI、pPIC3.5K、pPIC9KおよびPAO815(すべてInvitrogen, Carlbad, CAから入手可能である))が非限定的に含まれる。他の適当なベクターは当業者にとって容易に明らかであろう。
1つの態様においては、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、原核または真核細胞の特定の区画への本発明のタンパク質の局在化を導く、および/または原核または真核細胞からの本発明のタンパク質の分泌を導くと考えられるシグナル配列と融合させることができる。例えば、大腸菌では、周辺腔に対するタンパク質の発現を導こうとすることが望まれる可能性がある。細菌の周辺腔に対するポリペプチドの発現を導くために、本発明のアルブミン融合タンパク質と融合させることのできるシグナル配列またはタンパク質(またはその断片)の例には、pelBシグナル配列、マルトース結合タンパク質(MBP)シグナル配列、MBP、ompAシグナル配列、ペリプラズム大腸菌非耐熱性エンテロトキシンB-サブユニットのシグナル配列およびアルカリホスファターゼのシグナル配列が非限定的に含まれる。タンパク質の局在化を導く融合タンパク質を構築するためのいくつかのベクターが市販されており、例えば、ベクターのpMALシリ-ズ(特にpMAL-pシリ-ズ)はNew England Biolabsから入手可能である。特定的な1つの態様において、本発明のポリヌクレオチドアルブミン融合タンパク質は、グラム陰性菌におけるそのようなポリペプチドの発現および精製の効率を高めるために、pelBペクチン酸リアーゼシグナル配列と融合される。その全てが参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,576,195号および第5,846,818号を参照のこと。
哺乳動物細胞におけるその分泌を導くために本発明のアルブミン融合タンパク質と融合させうるシグナルペプチドの例には、以下が非限定的に含まれる:
a)MPIF-1シグナル配列(例えば、GenBankアクセッション番号AAB51134のアミノ酸1-21位)
Figure 0005256199
b)スタニオカルシンシグナル配列(
Figure 0005256199

c)HSAシグナル配列のプレ-プロ領域(例えば、
Figure 0005256199

d)HSAシグナル配列のプレ領域(例えば、
Figure 0005256199
)または例えば、
Figure 0005256199
などのその変異体、
e)インベルターゼシグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

f)酵母接合因子αシグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

g)K.ラクティスキラー毒素リーダー配列
h)ハイブリッドシグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

i)HSA/MFα-1ハイブリッドシグナル配列(HSA/kex2としても知られる)(例えば、
Figure 0005256199

j)K.ラクティスキラー/MFα-I融合リーダー配列(例えば、
Figure 0005256199

k)免疫グロブリンIgシグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

l)フィブリンB前駆体シグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

m)クラスター前駆体シグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

n)インスリン様成長因子-結合タンパク質4シグナル配列(例えば、
Figure 0005256199

o)HSAシグナル配列のプレプロ-領域の変異体、例えば、
Figure 0005256199
、改変HSAリーダー
Figure 0005256199
;改変HSAリーダー
Figure 0005256199
;改変HSA(A14)リーダー-
Figure 0005256199
、改変HSA(S14)リーダー-MKWVTFISLLFLFSGVSG、改変HSA(G14)リーダー-
Figure 0005256199
p)コンセンサスシグナル配列(
Figure 0005256199

q)酸ホスファターゼ(PH05)リーダー(例えば;
Figure 0005256199

r)MFoz-1のプレ配列
s)Oグルカナーゼ(BGL2)のプレ配列
t)キラー毒素リーダー
u)キラー毒素のプレ配列
v)K.ラクティスキラー毒素プレプロ(29個のアミノ酸;プレの16個のアミノ酸およびプロの13個のアミノ酸)
Figure 0005256199
w)S.ジアスタチクスグルコアルニラーゼII分泌リーダー配列
x)S.カールスベルゲンシスα-ガラクトシダーゼ(MEL1)分泌リーダー配列
y)カンジダグルコアルニラーゼリーダー配列
z)EP-A-387319(参照により本明細書に組み入れられる)に開示されたハイブリッドリーダー
aa)(バキュロウイルス発現系と併せた)gp67シグナル配列(例えば、GenBankアクセッション番号AAA72759のアミノ酸1-19位)または
bb)治療用タンパク質Xの天然のリーダー;
cc)JP 62-096086(911036516として特許、参照により本明細書に組み入れられる)に開示されるようなS.セレビシエインベルターゼ(SUC2)リーダー;または
dd)イヌリラーゼ-
Figure 0005256199
ee)改変TA57プロペプチドリーダー変異体#1--12
Figure 0005256199
ff)改変TA57プロペプチドリーダー変異体#2--13
Figure 0005256199
選択マーカーとしてグルタミンシンターゼ(GS)またはDHFRを利用するベクターは、薬剤メチオニンスルホキシミンまたはメトトレキサートのそれぞれの存在下で増幅させることができる。グルタミンシンターゼを基にしたベクターの利点は、グルタミンシンターゼ陰性の細胞株(例えば、ネズミ骨髄腫細胞株、NSO)の利用可能性にある。グルタミンシンターゼ発現系も、内因性遺伝子の機能を阻止するためにさらなる阻害薬を与えることにより、グルタミンシンターゼを発現する細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)において機能しうる。グルタミンシンターゼ発現系およびその構成要素は、PCT公報:W0 87/04462;W0 86/05807;W0 89/01036;W0 89/10404;およびW0 91/06657に詳述されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。さらに、グルタミンシンターゼ発現ベクターは、Lonza Biologics,Inc.(Portsmouth, N.H.)から入手することができる。ネズミ骨髄腫細胞におけるGS発現系を用いるモノクローナル抗体の発現および産生は、Bebbington et al., Bio/technology, 10:169(1992)およびBiblia and Robinson Biotechnol. Prog., 11:1(1995)に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
本発明はまた、本明細書に記載した上記のベクター構築物を含む宿主細胞にも関し、さらに当技術分野で公知の手法を用いて1つまたは複数の異種制御領域(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)と機能的に結びついた本発明のヌクレオチド配列を含む宿主細胞も範囲に含む。宿主細胞は、高等真核細胞、例えば哺乳動物細胞(例えば、ヒトに由来する細胞)、または下等真核細胞、例えば酵母細胞であってもよく、または宿主細胞は、細菌細胞などの原核細胞であってもよい。挿入された遺伝子配列の発現を調節する、または所望される特定の様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主株を選択してもよい。特定のプロモーターに由来する発現を特定の誘導物質の存在下で高めることができる;それ故に遺伝子操作されたポリペプチドの発現を制御することができる。さらに、異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳および翻訳後プロセシングおよび修飾(例えば、リン酸化、切断)のための特徴および特異的な機序を有する。発現される外来タンパク質の所望の修飾およびプロセシングを確実にするために、適切な細胞株を選択することができる。
本発明の核酸および核酸構築物の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストランを介したトランスフェクション、カチオン性脂質を介したトランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によって生じさせることができる。そのような方法は、多くの標準的な実験マニュアル、例えば、Davis et al., Basic Methods In Molecular Biology (1986)などに記載されている。特に、組換えベクターを欠く宿主細胞によって発明のポリペプチドを実際に発現させることが想定される。
本明細書に記載のベクター構築物を含む宿主細胞を範囲に含むことに加えて、本発明はまた、内因性遺伝物質が除去もしくは置換されるように(例えば、治療用タンパク質に対応するコード配列を、治療用タンパク質に対応するアルブミン融合タンパク質によって置換することができる)、および/または遺伝物質を含むように(例えば、治療用タンパク質に対応する本発明のアルブミン融合タンパク質などの異種ポリヌクレオチド配列を含めることができる)操作された、脊椎動物由来の、特に哺乳動物由来の初代、二次および不死化した宿主細胞も範囲に含む。内因性ポリヌクレオチドと機能的に結びつけられた遺伝物質は、内因性ポリヌクレオチドを活性化、改変および/または増幅することができる。
加えて、当技術分野で公知の手法を用いて、相同組換えにより、異種ポリヌクレオチド(例えば、アルブミンタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはその断片もしくは変異体)および/または異種制御領域(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)を、治療用タンパク質をコードする内因性ポリヌクレオチド配列と機能的に結びつけることもできる(例えば、1997年6月24日に発行された米国特許第5,641,670号;国際公開公報第WO 96/29411号;国際公開公報第WO 94/12650号;Koller et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935 (1989);およびZijlstra et al., Nature 342:435-438 (1989)を参照。これらのそれぞれの開示内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
本発明のアルブミン融合タンパク質は、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、疎水性荷電相互作用クロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含む周知の方法により、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために用いられる。
好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、Q-セファロースカラム、DEAEセファロースカラム、ポロス(poros)HQカラム、ポロスDEAEカラム、Toyopearl Qカラム、Toyopearl QAEカラム、Toyopearl DEAEカラム、Resource/Source QカラムおよびResource/Source DEAEカラム、Fractogel QカラムおよびFractogel DEAEカラム上でのクロマトグラフィーを非限定的に含む、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製される。
特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、SP-セファロースカラム、CMセファロースカラム、ポロスHSカラム、ポロスCMカラム、Toyopearl SPカラム、Toyopearl CMカラム、Resource/Source SカラムおよびCMカラム、Fractogel SカラムおよびCMカラム、ならびにそれらの等価物および同等物を非限定的に含む、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製される。
特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、フェニルカラム、ブチルカラム、メチルカラム、オクチルカラム、ヘキシル-セファロースカラム、ポロス(poros)フェニルカラム、ブチルカラム、メチルカラム、オクチルカラム、ヘキシルカラム、Toyopearlフェニルカラム、ブチルカラム、メチルカラム、オクチルカラム、ヘキシルResource/Sourceフェニルカラム、ブチルカラム、メチルカラム、オクチルカラム、ヘキシルカラム、Fractogelフェニルカラム、ブチルカラム、メチルカラム、オクチルカラム、ヘキシルカラム、ならびにそれらの等価物および同等物を非限定的に含む、疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いて精製される。
特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、セファロースS100カラム、S200カラム、S300カラム、スーパーデックス(superdex)樹脂カラム、ならびにそれらの等価物および同等物を非限定的に含む、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製される。
特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、HSAまたは「融合標的」分子のいずれかに対して選択性のあるMimetic Dyeアフィニティーカラム、ペプチドアフィニティーカラムおよび抗体アフィニティーカラムを非限定的に含む、アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製される。
好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、上記の1つまたは複数のクロマトグラフィー法を用いて精製される。他の好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、以下のもの:クロマトグラフィーカラム、QセファロースFFカラム、SPセファロースFFカラム、Qセファロース高速カラム、BlueセファロースFFカラム、Blueカラム、フェニルセファロースFFカラム、DEAEセファロースFF、またはメチルカラムのうち1つまたは複数を用いて精製される。
さらに、本発明のアルブミン融合タンパク質は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、PCT国際公開公報第WO 00/44772号に記載された方法を用いて精製されてもよい。本発明のアルブミン融合タンパク質の精製に用いるために、当業者はそこに記載されている方法を容易に修正しうると考えられる。
本発明のアルブミン融合タンパク質は、以下から回収しうる:化学合成手順の産物;ならびに例えば細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞を含む原核または真核宿主から組換え手法によって生産される産物。組換え生産手順に用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されていてもよくグリコシル化されていなくてもよい。加えて、本発明のアルブミン融合タンパク質はまた、場合によっては宿主を介した過程の結果として、最初のメチオニン残基の修飾も含みうる。このため、翻訳開始コドンによってコードされるN末端メチオニンは、すべての真核細胞において、任意のタンパク質から一般に翻訳後に効率的に除去されることは当技術分野で周知である。ほとんどのタンパク質のN末端メチオニンは、ほとんどの原核生物においても効率的に除去されるが、いくつかのタンパク質については、N末端メチオニンが共有結合しているアミノ酸の性質によっては、この原核生物除去過程は非効率的である。
1つの態様においては、酵母ピキア-パストリス(Pichia pastoris)が、真核細胞系において本発明のアルブミン融合タンパク質を発現させるために用いられる。ピキア-パストリスは、メタノールをその唯一の炭素供給源として代謝しうるメチロトローフ(methylotrophic)酵母である。メタノール代謝経路における主要な段階は、O2を用いてのメタノールのホルムアルデヒドへの酸化である。この反応は、酵素アルコールオキシダーゼによって触媒される。その唯一の炭素供給源としてメタノールを代謝するために、ピキア-パストリスは高レベルのアルコールオキシダーゼを生成しなければならないが、これは一部には、O2に対するアルコールオキシダーゼの比較的低い親和性が原因である。結果的に、主要な炭素供給源としてメタノールに依存する増殖培地中で、2つのアルコールオキシダーゼ遺伝子(AOX1)のうち一方のプロモーター領域は、非常に活性が高い。メタノールの存在下で、AOX1遺伝子から産生されるアルコールオキシダーゼは、ピキア-パストリスにおける総可溶性タンパク質のうち最大でおよそ30%を占める。Ellis, S. B., et al., Mol. Cell. Biol. 5:1111-21(1985);Koutz, P. J, et al., Yeast 5:167-77 (1989);Tschopp, J. F., et al., Nucl. Acids Res. 15:3859-76 (1987)を参照。したがって、例えば本発明のポリヌクレオチドのような、AOX1調節配列のすべてまたは一部の転写調節下にある異種コード配列は、メタノールの存在下で増殖したピキア酵母において非常に高レベルで発現される。
1つの例においては、"Pichia Protocols: Methods in Molecular Biology," D. R. Higgins and J. Cregg, eds. The Humana Press, Totowa, N.J., 1998に本質的に記載されているように、プラスミドベクターpPIC9Kが、ピキア酵母系において、本明細書に示したように本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするDNAを発現させるために用いられる。この発現ベクターは、マルチクローニング部位の上流に位置するピキア-パストリスアルカリホスファターゼ(PHO)分泌シグナルペプチド(すなわち、リーダー)に連結された強力なAOX1プロモーターの効力によって、本発明のポリペプチドの発現および分泌を可能にする。
pYES2、pYD1、pTEF1/Zeo、pYES2/GS、pPICZ、pGAPZ、pGAPZα、pPIC9、pPIC3.5、pHIL-D2、pHIL-S1、pPIC3.5KおよびPAO815といった他の多くの酵母ベクターも、当業者は容易に理解するであろうが、提案された発現構築物が、必要に応じて、インフレームのAUGを含む、転写、翻訳、分泌(所望される場合)などのために適切に配置されたシグナルを提供する限り、pPIC9Kの代わりに用いうると考えられる。
もう1つの態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドのような異種コード配列の高レベルの発現は、本発明の異種ポリヌクレオチドを発現ベクター、例えばpGAPZまたはpGAPZαなどの中にクローニングして、メタノールの非存在下で酵母培養物を増殖させることによって達成しうる。
加えて、本発明のアルブミン融合タンパク質を、当技術分野で公知の技術を用いて化学合成することもできる(例えば、Creighton, 1983, Proteins. Structures and Molecular Principles, W.H. Freeman & Co., N.Y., and Hunkapiller et al., Nature, 310:105111(1984)を参照)。例えば、ポリペプチドの断片に対応するポリペプチドを、ペプチド合成装置の使用によって合成することができる。さらに、所望であれば、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸類似体を、置換物または付加物としてポリペプチド配列に導入することもできる。非古典的アミノ酸には、通常のアミノ酸のD異性体、2,4-ジアミノ酪酸、a-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、g-Abu、e-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、b-アラニン、フルオロアミノ酸、人工的に設計された(designer)アミノ酸、例えばb-メチルアミノ酸、Ca-メチルアミノ酸、Na-メチルアミノ酸、およびアミノ酸類似体全般が非限定的に含まれる。さらに、アミノ酸はD(右旋性)でもL(左旋性)でもありうる。
本発明は、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、抗体分子または他の細胞リガンドとの連結などによって、翻訳の間または後に異なるように修飾された本発明のアルブミン融合タンパク質を範囲に含む。さまざまな化学修飾の任意のものを公知の手法によって実施することができ、これには臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による特異的な化学的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイシンの存在下での代謝合成などが非限定的に含まれる。
本発明の範囲に含まれるこのほかの翻訳後修飾には、例えば、N結合型またはO結合型糖鎖、N末端(またはC末端)のプロセシング、化学成分とアミノ酸骨格との結合、N結合型またはO結合型糖鎖の化学修飾、ならびに原核宿主細胞での発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加または欠失が含まれる。また、アルブミン融合タンパク質を、タンパク質の検出および単離を可能にするために酵素標識、蛍光標識、同位体標識またはアフィニティー標識などの検出可能な標識で修飾することもできる。
適した酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが含まれる;適した補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれる;適した蛍光性物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが含まれる;発光性物質の例にはルミノールが含まれる;生物発光性物質の例にはルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが含まれる;適した放射性物質の例には、ヨウ素(121I、123I、125I、131I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(111In、112In、113mIn、115mIn)、テクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、および97Ruが含まれる。
特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質またはその断片もしくは変異体は、ポリペプチドに対する177Lu、90Y、166Ho、および153Smを非限定的に含む放射性金属イオンと会合する大環状キレート剤と結合される。1つの好ましい態様において、大環状キレート剤と会合する放射性金属イオンは111Inである。もう1つの好ましい態様において、大環状キレート剤と会合する放射性金属イオンは90Yである。特定的な態様において、大環状キレート剤は1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(DOTA)である。もう1つの特定的な態様において、DOTAはリンカー分子を介して本発明の抗体またはその断片と結合される。DOTAをポリペプチドに結合させるために有用なリンカー分子の例は当業者にとって一般に公知であり、例えば、DeNardo et al., Clin Cancer Res., 4(1O):2483-90 (1998);Peterson et al., Bioconjug. Chem., 1O(4):553-7 (1999);およびZimmerman et al, Nucl. Med. Biol., 26(8):943-50 (1999)を参照のこと;これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
上述のように、本発明のアルブミン融合タンパク質を、翻訳後プロセシングのような天然の過程、または当業者に公知の化学修飾法のいずれかによって修飾してもよい。所定のポリペプチド中のいくつかの部位に、同じタイプの修飾が同じまたは異なる度合いで存在してもよいことは理解されるであろう。本発明のポリペプチドは、例えばユビキチン化の結果として分枝状であってもよく、分枝を伴うか伴なわない環状であってもよい。環状、分枝状および分枝環状のポリペプチドは、翻訳後の天然のプロセシングによって生じたものでもよく、合成方法によって作製することもできる。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、結晶化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ化、メチル化、ミリスチル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫化、アルギニル化のような転移RNAを介したタンパク質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化が含まれる(例えば、PROTEINS-STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES, 2nd Ed., T. E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York (1993);POST-TRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, B. C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, pgs. 1-12 (1983);Seifter et al., Meth. Enzymol. 182:626-646 (1990);Rattan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 663:48-62 (1992))を参照)。
治療用タンパク質またはその断片もしくは変異体と結合する本発明のアルブミン融合タンパク質および抗体を、精製を容易にするために、ペプチドなどのマーカー配列と融合させることができる。好ましい態様において、マーカーアミノ酸配列は、pQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, Calif., 91311)中に与えられているタグのようなヘキサ-ヒスチジンペプチド、および他のものが含まれ、それらの多くは市販されている。Gentz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824 (1989)に記載されているように、例えば、ヘキサ-ヒスチジンは融合タンパク質の簡便な精製を可能にする。精製に有用なその他のペプチドタグには、インフルエンザ赤血球凝集素に由来するエピトープに対応する「HA」タグ(Wilson et al., Cell 37:767 (1984))および「フラッグ(flag)」タグが含まれるが、それに限定されない。
さらに、本発明のアルブミン融合タンパク質を、細胞分裂阻害薬または殺細胞薬などの細胞毒、治療薬または放射性金属イオン、例えば213Biなどのα放射体などの治療的部分と結合させることもできる。細胞毒または細胞傷害薬には、細胞に有害な任意の薬剤が含まれる。その例には、パクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびプロマイシン、ならびにそれらの類似体または相同体が含まれる。治療薬には、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロールエタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、ならびに有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれるが、それらに限定されない。
本発明の結合物は、所定の生物学的応答を修飾するために用いることができ、治療薬もしくは薬物部分は古典的な化学的治療薬に限定されるものと見なすべきではない。例えば、薬物部分は所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってよい。そのようなタンパク質には、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素またはジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノゲンアクチベーター、アポトーシス薬、例えばTNF-α、TNF-β、AIM I(国際公開公報第WO 97/33899号を参照)、AIM II(国際公開公報第WO 97/34911号を参照)、Fasリガンド(Takahashi et al., Int. Immunol., 6:1567-1574 (1994))、VEGI(国際公開公報第WO 99/23105号を参照)などのタンパク質;血栓形成薬または血管新生抑制薬、例えばアンジオスタチンまたはエンドスタチン;または、リンフォカイン、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)もしくは他の成長因子などの生物学的応答修飾物質が含まれる。このような治療的部分をタンパク質(例えば、アルブミン融合タンパク質)に結合させる技術は、当技術分野で周知である。
アルブミン融合タンパク質を固体支持体に結合させることもでき、これは本発明のアルブミン融合タンパク質によって結合される、それと結合する、またはそれと会合するポリペプチドのイムノアッセイまたは精製に特に有用である。そのような固体支持体には、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、塩化ポリビニルまたはポリプロピレンが非限定的に含まれる。
同じく本発明によって提供されるものには、ポリペプチドの可溶性、安定性および循環時間の増大、または免疫原性の低下といったさらなる利点を提供しうる、本発明のアルブミン融合タンパク質の化学的に修飾された誘導体がある(米国特許第4,179,337号を参照)。誘導体化のための化学的部位は、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーから選択することができる。アルブミン融合タンパク質は、分子内のランダムな位置で、または分子内のあらかじめ決定された位置で修飾することができ、結合した1つ、2つ、3つまたはそれ以上の化学的部分を含みうる。
ポリマーは任意の分子量のものであってよく、分枝状であっても非分枝状であってもよい。ポリエチレングリコールに関して、好ましい分子量は、取り扱いおよび製造の簡便さのために、約1kDa〜約100kDa(「約」という用語は、ポリエチレングリコールの調製物において、一部の分子は記載した分子量よりも大きく、また一部のものはより小さいことを意味する)である。所望の治療プロファイル(例えば、所望の持続放出時間、存在する場合は生物活性に対する効果、取り扱いの容易さ、抗原性の程度または欠如、およびポリエチレングリコールが治療用タンパク質または類似体に及ぼすその他の公知の影響)に応じて、その他のサイズを用いてもよい。例えば、ポリエチレングリコールは、約200、約500、約1000、約1500、約2000、約2500、約3000、約3500、約4000、約4500、約5000、約5500、約6000、約6500、約7000、約7500、約8000、約8500、約9000、約9500、約10,000、約10,500、約11,000、約11,500、約12,000、約12,500、約13,000、約13,500、約14,000、約14,500、約15,000、約15,500、約16,000、約16,500、約17,000、約17,500、約18,000、約18,500、約19,000、約19,500、約20,000、約25,000、約30,000、約35,000、約40,000、約45,000、約50,000、約55,000、約60,000、約65,000、約70,000、約75,000、約80,000、約85,000、約90,000、約95,000または約100,000kDaの平均分子量を有していてよい。
上記のように、ポリエチレングリコールは分枝構造を有しうる。分枝ポリエチレングリコールについては、例えば、米国特許第5,643,575号;Morpurgo et al., Appl. Biochem. Biotechnol., 56:59-72 (1996);Vorobjev et al., Nucleosides Nucleotides, 18:2745-2750 (1999);およびCaliceti et al., Bioconjug. Chem., 10:638-646 (1999)に記載されており、これらのそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる。
ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、タンパク質の機能ドメインまたは抗原ドメインに対する影響を考慮した上で、タンパク質と結合させるべきである。当業者が利用しうる結合方法は数多くあり、これには例えば、参照により本明細書に組み入れられるEP 0 401 384(PEGとG-CSFとのカップリング)に開示された方法がある;また、塩化トレシルを用いたGM-CSFのペグ化を記載している、Malik et al., Exp. Hematol., 20:1028-1035 (1992)も参照されたい。例えば、ポリエチレングリコールは、遊離アミノ基またはカルボキシル基などの反応基を介してアミノ酸残基を通じて共有結合させることができる。反応基は、活性化ポリエチレングリコール分子が結合しうるものである。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基には、リジン残基およびN末端アミノ酸残基が含まれる;遊離カルボキシル基を有するアミノ酸残基には、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC末端アミノ酸残基が含まれる。また、スルフヒドリル基を、ポリエチレングリコール分子を結合させるための反応基として用いることもできる。治療目的に好ましいのは、N末端またはリジン基での結合のようなアミノ基での結合である。
以上で示したように、ポリエチレングリコールは、さまざまなアミノ酸残基のいずれかとの連結を介して、タンパク質と結合させることができる。例えば、ポリエチレングリコールは、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン残基との共有結合を介してタンパク質に結合させることができる。1つまたは複数の反応化学を用いて、ポリエチレングリコールを、タンパク質の特定のアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはシステイン)と、またはタンパク質の複数の種類のアミノ酸残基(例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインおよびこれらの組み合わせ)と結合させることができる。
特に、N末端で化学的に修飾されたタンパク質が所望される場合もある。ポリエチレングリコールを本発明の組成物の実例として用いて、(分子量、分枝などの点で)さまざまなポリエチレングリコール分子から、反応混合物におけるポリエチレングリコール分子とタンパク質(ポリペプチド)分子の比率、行おうとするペグ化の種類、および選択したN末端ペグ化タンパク質を入手する方法を選択することができる。N末端ペグ化調製物を入手する(すなわち、必要に応じて、この部分を他のモノペグ化部分から分離する)方法は、ペグ化タンパク質分子の集団からN末端ペグ化物質を精製することによるものであってよい。N末端修飾で化学的に修飾された選択的なタンパク質は、特定のタンパク質における誘導体化のために利用しうるさまざまな種類の一次アミノ基の反応性の違い(リジンとN末端との対比で)を利用する還元的アルキル化によって達成することができる。適切な反応条件を用いることで、ポリマーを含むカルボニル基によるN末端でのタンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。
上に述べたように、本発明のアルブミン融合タンパク質のペグ化は、任意のさまざまな手段を用いて達成しうる。例えば、ポリエチレングリコールを直接的に、または介在リンカーにより、アルブミン融合タンパク質と結合させることができる。ポリエチレングリコールをタンパク質と結合させるリンカーなしの系は、Delgado et al., Crit. Rev. Thera. Drug Carrier Sys., 9:249-304 (1992);Francis et al., Intern. J. of Hematol., 68:118 (1998);米国特許第4,002,531号;米国特許第5,349,052号;WO 95/06058;およびWO 98/32466に記載されており、これらのそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる。
介在リンカーなしにポリエチレングリコールをタンパク質のアミノ酸残基と直接結合させるための1つの系は、トレシルクロリド(ClSO2CH2CF3)を用いたモノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)の修飾によって生成されるトレシル化MPEGを利用する。トレシル化MPEGとタンパク質の反応により、ポリエチレングリコールはタンパク質のアミン基に直接結合される。したがって、本発明は、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル基を有するポリエチレングリコール分子と本発明のタンパク質の反応によって生じる、タンパク質-ポリエチレングリコール結合物を含む。
また、ポリエチレングリコールを、多数の異なる介在リンカーを用いてタンパク質と結合させることもできる。例えば、そのすべての開示内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,612,460号は、ポリエチレングリコールをタンパク質と連結させるためのウレタンリンカーを開示している。ポリエチレングリコールがリンカーによってタンパク質に結合されているタンパク質-ポリエチレングリコール結合物を、MPEG-スクシンイミジルスクシネート、1,1'-カルボニルジイミダゾールにより活性化されたMPEG、MPEG-2,4,5-トリクロロペニルカルボナート、MPEG-p-ニトロフェノールカルボナートおよび種々のMPEG-スクシネート誘導体といった化合物とタンパク質の反応によって生成させることもできる。タンパク質にポリエチレングリコールを結合させるためのそのほかの多数のポリエチレングリコール誘導体および反応化学が、国際公開公報第WO 98/32466号に記載されており、そのすべての開示内容は参照により本明細書に組み入れられる。本明細書に記載された反応化学を用いて生成されるペグ化タンパク質産物は本発明の範囲に含まれる。
本発明のアルブミン融合タンパク質のそれぞれに結合されるポリエチレングリコール部分の数(すなわち、置換度)も、さまざまであってよい。例えば、本発明のペグ化タンパク質には、平均して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20個またはそれ以上のポリエチレングリコール分子が連結していてよい。同様に、平均置換度は、例えば、1個のタンパク質分子当たり1〜3、2〜4、3〜5、4〜6、5〜7、6〜8、7〜9、8〜10、9〜11、10〜12、11〜13、12〜14、13〜15、14〜16、15〜17、16〜18、17〜19または18〜20個のポリエチレングリコール部分といった範囲内にある。置換度を決定するための方法は、例えば、Delgado et al., Crit. Rev. Thera. Drug Carrier Sys. 9:249-304 (1992)に記載されている。
本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを非限定的に含む標準的な方法によって、化学合成物および組換え細胞培養物から回収および精製することができる。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために用いられる。単離および/または精製の間にポリペプチドが変性されている場合には、活性コンフォメーションを再生させるために、タンパク質をリフォールディングさせるための周知の手法を用いることができる。
本発明のアルブミン融合タンパク質の存在および量を、当技術分野で周知のイムノアッセイの1つであるELISAを用いて決定することもできる。本発明のアルブミン融合タンパク質を検出/定量するために有用と考えられる1つのELISAプロトコールは、抗ヒト血清アルブミン抗体を用いてELISAプレートをコーティングし、非特異的結合を防ぐためにプレートをブロッキングし、ELISAプレートを洗浄して、本発明のアルブミン融合タンパク質を含む(1つまたは複数の異なる濃度で)溶液を加え、検出可能な標識(本明細書に記載されたような、または当技術分野で公知の他のもの)とカップリングされた抗治療用タンパク質特異的二次抗体を加えて、二次抗体の存在を検出する段階を含む。このプロトコールの代替的なバージョンでは、ELISAプレートを抗治療用タンパク質特異的抗体を用いてコーティングしてもよく、標識された二次試薬が抗ヒトアルブミン特異的抗体であってもよい。
ポリヌクレオチドの使用
本明細書中に特定されたポリヌクレオチドのそれぞれを、さまざまな方法において試薬として用いることができる。以下の記述は例示的と見なされるべきであり、公知の手法を利用している。
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のアルブミン融合タンパク質を生産するために有用である。以下により詳細に記載するように、本発明のポリヌクレオチド(アルブミン融合タンパク質をコードする)を、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるアルブミン融合タンパク質を発現する細胞、細胞株または組織を作製するための遺伝子工学において有用な組換えDNA法に用いることができる。
本発明のポリヌクレオチドは、遺伝子治療においても有用である。遺伝子治療の1つの目標は、遺伝的欠損を是正するために、欠損遺伝子を有する生物体に正常な遺伝子を挿入することである。本発明において開示されたポリヌクレオチドは、そのような遺伝的欠損を非常に正確な様式で標的とする手段を提供する。もう1つの目標は、宿主ゲノム中に存在しない新しい遺伝子を挿入し、それにより、宿主細胞において新しい形質を生じさせることである。本発明の範囲に含まれる遺伝子治療のさらなる非限定的な例は、本明細書中の別の箇所により詳細に記載されている(例えば、「遺伝子治療」と記された項ならびに実施例63および64を参照のこと)。
本発明のアルブミン融合タンパク質は、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるさまざまな障害の診断、治療、予防および/または予後判定のために有用である。そのような障害には、本明細書において以下の「生物活性」の見出しを付した項に記載されたものが非限定的に含まれる。
したがって、本発明は、障害の診断方法を提供し、それは(a)本発明のアルブミン融合タンパク質を用いて、個体の細胞または体液における特定のポリペプチドの発現レベルをアッセイする段階;および(b)アッセイしたポリペプチド発現レベルを標準のポリペプチド発現レベルと比較し、標準の発現レベルと比較しての、アッセイしたポリペプチド発現レベルの上昇または低下によって障害が示される段階を含む。癌に関しては、個体からの生検組織における相対的に多量の転写物の存在によって疾患の発生に関する素因が示されうる、または実際の臨床症状の出現の前に疾患を検出するための方法が得られる。この種のより確定的な診断は、保健専門家がより早く予防的方策または積極的な治療を用い、それによって癌の発生またはさらなる進行を予防することを可能にする。
さらに、本発明のアルブミン融合タンパク質を、例えば神経障害、免疫系障害、筋肉障害、生殖性障害、胃腸障害、肺障害、心血管障害、腎障害、増殖性障害および/または癌性の疾患および病状といった疾患または病状を治療または予防するために用いることもできる。例えば、患者に対して、ポリペプチド(例えばインスリン)の欠如またはレベルの低下を元に戻すため、異なるポリペプチドの欠如またはレベルの低下を補うため(例えばヘモグロビンBに対するヘモグロビンS、SOD、カタラーゼ、DNA修復タンパク質)、ポリペプチド(例えば、癌遺伝子または腫瘍抑制因子)の活性を阻害するため(例えば受容体との結合により)、ポリペプチドの活性を活性化するため(例えば受容体との結合により)、遊離リガンドをめぐって競合させることによって膜結合受容体の活性を低下させるため(例えば炎症を軽減させる際に用いられる可溶性TNF受容体)、または所望の応答を生じさせるため(例えば、血管増殖阻害、増殖性細胞または組織に対する免疫応答の増強)の取り組みにおいて、本発明のポリペプチドを投与することができる。
トランスジェニック生物
本発明のアルブミン融合タンパク質を発現するトランスジェニック生物も本発明に含まれる。トランスジェニック生物は、組換え性、外因性またはクローニングされた遺伝物質が移入された遺伝的改変生物である。そのような遺伝物質はしばしば導入遺伝子と称される。導入遺伝子の核酸配列は、コードされるタンパク質の至適な発現および分泌に必要な可能性のある1つまたは複数の転写調節配列および他の核酸配列、例えばイントロンを含みうる。導入遺伝子は、生物からの、または生物により産生された産物からの、例えば生物の乳、血液、尿、卵、毛もしくは種子からのその回収を容易にする様式で、コードされるタンパク質の発現を導くように設計することができる。導入遺伝子は、標的動物の種と同様の種またはそれとは異なる種のゲノムに由来する核酸配列からなってよい。導入遺伝子は、その特定の核酸配列が通常であれば見いだされないゲノムの座位に、または導入遺伝子の正常な座位のいずれかに組み込むことができる。
「生殖細胞系トランスジェニック生物」という用語は、遺伝子改変または遺伝情報が生殖系細胞に導入され、それによってトランスジェニック生物に遺伝情報を子孫へ伝えうる能力が付与された、トランスジェニック生物のことを指す。そのような子孫がその改変または遺伝情報の一部または全体を実際に有しているならば、それらもトランスジェニック生物である。その改変または遺伝情報は、レシピエントが属する生物の種にとって外来性であってもよく、その特定の個々のレシピエントのみにとって外来性であってもよく、またはレシピエントによってすでに保有された遺伝情報であってもよい。最後の場合には、改変または導入された遺伝子は、ネイティブな遺伝子とは異なるように発現されてもよい。
トランスジェニック生物は、トランスジェニック動物またはトランスジェニック植物でありうる。トランスジェニック動物は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、胚性幹細胞における遺伝子ターゲティング、ならびに組換えウイルス感染および組換えレトロウイルス感染を含む、種々の異なる方法によって作製することができる(例えば、米国特許第4,736,866号;米国特許第5,602,307号;Mullins et al. (1993) Hypertension 22(4):630-633;Brenin et al. (1997) Surg. Oncol. 6(2):99-100;Tuan (ed.), Recombinant Gene Expression Protocols, Methods in Molecular Biology No. 62, Humana Press (1997)を参照)。核酸断片を組換えコンピテント哺乳動物細胞に導入する方法は、複数の核酸分子の共形質転換に好都合な任意の方法であってよい。トランスジェニック動物を作製する詳細な手順を当業者は容易に入手することができ、これには米国特許第5,489,743号および米国特許第5,602,307号における開示内容が含まれる。
多くの組換えマウスまたはトランスジェニックマウスが作製されており、これには、活性化された癌遺伝子配列を発現するもの(米国特許第4,736,866号);サルSV40 T抗原配列を発現するもの(米国特許第5,728,915号);インターフェロン制御因子1(IRF-1)の発現を欠くもの(米国特許第5,731,490号);ドーパミン機能不全を示すもの(米国特許第5,723,719号);血圧調節にかかわる少なくとも1つのヒト遺伝子を発現するもの(米国特許第5,731,489号);自然発症アルツハイマー病に存在する状態とのより大きな類似点を示すもの(米国特許第5,720,936号);細胞接着を媒介する能力が低下したもの(米国特許第5,602,307号);ウシ成長ホルモン遺伝子を保有するもの(Clutter et al. (1996) Genetics 143(4):1753-1760);または十分なヒト抗体応答を生じる能力のあるもの(McCarthy (1997) The Lancet 349(9049):405)が含まれる。
マウスおよびラットは依然としてほとんどのトランスジェニック実験のために選択される動物であるが、場合によっては別の動物種を用いることが好ましく、またはさらには必要とされる。トランスジェニック手順は、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ハムスター、ウサギ、ウシおよびモルモットを含む、さまざまなネズミでない動物において首尾よく利用されている(例えば、Kim et al. (1997) Mol. Reprod. Dev. 46(4):515-526;Houdebine (1995) Reprod. Nutr. Dev. 35(6):609-617;Petters (1994) Reprod. Fertil. Dev. 6(5):643-645;Schnieke et al. (1997) Science 278(5346):2130-2133;およびAmoah (1997) J. Animal Science 75(2):578-585を参照)。
本発明の導入遺伝子によりコードされるタンパク質のトランスジェニック動物の乳中への分泌を導くためには、哺乳動物上皮細胞において選好的に活性化されるプロモーターの制御下にそれを置くとよい。乳タンパク質をコードする遺伝子を制御するプロモーター、例えば、カゼイン、βラクトグロブリン、乳清酸タンパク質またはラクトアルブミンに関するプロモーター(例えば、DiTullio (1992) BioTechnology 10:74-77;Clark et al. (1989) BioTechnology 7:487-492;Gorton et al. (1987) BioTechnology 5:1183-1187;およびSoulier et al. (1992) FEBS Letts. 297:13を参照)が好ましい。選択されるトランスジェニック哺乳動物は、大量の乳汁を産生し、かつ長い乳汁分泌期間を有すると考えられるもの、例えばヤギ、ウシ、ラクダまたはヒツジである。
また、本発明のアルブミン融合タンパク質を、トランスジェニック植物、例えば、DNA導入遺伝子が核またはプラスチドゲノムに挿入された植物において発現させることもできる。植物細胞またはプロトプラストに外来核酸を導入するために用いられる植物形質転換手順は、当技術分野で公知である。全般については、Methods in Enzymology Vol. 153 ("Recombinant DNA Part D") 1987, Wu and Grossman Eds., Academic Pressおよび欧州特許出願第EP 693554号を参照のこと。遺伝子操作された植物の作製のための方法は、米国特許第5,283,184号、米国特許第5,482,852号および欧州特許出願第EP 693 554号にさらに記載されており、そのすべては参照により本明細書に組み入れられる。
薬学的組成物または治療用組成物
本発明のアルブミン融合タンパク質またはその製剤は、非経口的(例えば、皮下または筋内)注入または静脈内注入を含む任意の従来の方法によって投与することができる。治療は、単回投与または一定の期間にわたる複数回の投与からなりうる。
本発明のアルブミン融合タンパク質は単独で投与することが可能であるが、1つまたは複数の許容される担体とともに医薬製剤としてそれを提供することが好ましい。担体は、アルブミン融合タンパク質と適合し、かつそのレシピエントに有害ではないという意味において「許容される」必要がある。典型的には、担体は、無菌であって発熱物質を含まないと考えられる水または生理的食塩水であると考えられる。本発明のアルブミン融合タンパク質は、溶液中でのそれらの拡大された貯蔵寿命が理由で、発熱物質を含まない滅菌水、食塩水または他の等張溶液などの水性担体中にある製剤に十分に適する。例えば、本発明の薬学的組成物は、調合される前に十分に前もって、例えば、投与される数週前または数カ月前またはそれよりも長い期間の前に製剤化することができる。
例えば、アルブミン融合タンパク質を含む製剤は、水性製剤中でのアルブミン融合タンパク質の拡大された貯蔵寿命を考慮して調製することができる。以上に考察したように、これらの治療用タンパク質の多くのものの貯蔵寿命は、HAとの融合の後に著しく増大または延長される。
エアロゾル投与が適切な場合には、本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質を、標準的な手順を用いてエアロゾルとして製剤化することができる。「エアロゾル」という用語は、細気管支または鼻腔経路に吸入されうる本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質の任意のガス担体(gas-borne)懸濁相のことを指す。特にエアロゾルには、本発明のアルブミン-インスリン融合タンパク質の小滴からなるガス担体懸濁物が含まれ、これは定量噴霧式吸入器またはネブライザーまたはミスト噴霧装置で生じさせることができる。エアロゾルにはまた、空気または他の担体ガス中に懸濁させた本発明の化合物の乾燥粉末組成物も含まれ、それは吸入装置からの吹送によって送達することができる。例えば、Ganderton & Jones, Drug Delivery to the Respiratory Tract, Ellis Horwood (1987);Gonda (1990) Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 6:273-313;およびRaeburn et al. (1992) Pharmacol. Toxicol. Methods 27:143-159を参照。
薬学的組成物には、本明細書に記載したアルブミン-インスリン融合タンパク質を含むエアロゾルが含まれうる。エアロゾルは、ガス中に分散され、それによって囲まれた極めて微細な液滴または乾燥粒子と定義することができる。液体および乾燥粉末エアロゾル組成物の両方を想定している。エアロゾルは、乾燥粉末吸入器(「PDI」)または定量噴霧式吸入器(「MDI」)によって投与することができ、これは任意で加圧されていてもよい(「pMDI」)。
アルブミン-インスリン融合タンパク質は、エアロゾル製剤中に任意の適した濃度で存在しうる。液体エアロゾル製剤(例えば、水性エアロゾル製剤)に関しては、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、例えば、約0.05mg/mLから最大で約600mg/mLの濃度で存在しうる。乾燥粉末エアロゾル製剤に関しては、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、所望の投与量に依存して、例えば約0.05mg/gから最大で約990mg/gの濃度で存在しうる。水性エアロゾル製剤についてはアルブミン-インスリン融合タンパク質を約10mg/mLから最大で約600mg/mLまで、乾燥粉末エアロゾル製剤については約10mg/gから最大で約990mg/gまでの濃度で含むものと定義される、アルブミン-インスリン融合タンパク質の濃縮エアロゾルが特に想定される。そのような製剤は、短い投与時間、すなわち約15秒間未満で、肺および/または鼻の内腔の適切な領域への有効な送達を与えることができる。
鼻粘膜への送達を意図したエアロゾルは、鼻を通して吸入される。鼻腔に対する最適な送達のためには、吸入粒径は約5〜約100ミクロンが有用であり、約30〜約60ミクロンの粒径が好ましい。鼻送達のためには、吸入粒径がより大きい方が望まれる。鼻粘膜に対する衝突を最大限にするため、および投与された製剤の肺沈着を最小限にするか防ぐために、より大きな吸入粒径が望まれる。吸入された粒子は、溶解したアルブミン-インスリン融合タンパク質を含む液滴、懸濁化されたアルブミン-インスリン融合タンパク質を含む液滴(融合タンパク質が懸濁媒質中に不溶性である場合)、アルブミン-インスリン融合タンパク質の乾燥粒子、アルブミン-インスリン融合タンパク質の凝集物、または包埋されたアルブミン-インスリン融合タンパク質を含む希釈剤の乾燥粒子、として定義することができる。
上部呼吸器領域への送達のためには、約2〜約10ミクロンの吸入粒径が好ましく、より好ましいのは約2〜約6ミクロンである。深部肺(肺胞)領域に対する送達のためには、約2ミクロン未満の吸入粒径が好ましい。本明細書に記載したアルブミン-インスリン融合タンパク質のエアロゾル製剤は、空気ジェットまたは超音波ネブライザーを用いて形成させることができる。そのようなデバイスの一例はCirculaire(登録商標)(Westmed Corp., Tucson, AZ)である。
いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、肺投与または鼻投与のための乾燥粉末エアロゾル組成物として製剤化することができる。DPIおよびpMDIの両方に用いることのできる乾燥粉末は、アルブミン-インスリン融合タンパク質の溶液または分散体(例えば、水溶液または水性分散体)を噴霧乾燥させることによって作製することができる。または、アルブミン-インスリン融合タンパク質を含む乾燥粉末を、アルブミン-インスリン融合タンパク質の溶液または分散体(例えば、水溶液または水性分散体)を冷凍乾燥させることによって作製することもできる。いくつかの態様においては、噴霧乾燥および冷凍乾燥されたアルブミン-インスリン融合タンパク質薬物粉末の組み合わせをDPIおよびpMDIに用いることができる。乾燥粉末エアロゾル組成物に関しては、アルブミン-インスリン融合タンパク質が、例えば、約0.05mg/g、0.1mg/g、2mg/g、40mg/gまたは100mg/gから約990mg/gまでの濃度範囲で存在してよい。濃縮されたエアロゾル製剤(例えば、アルブミン-インスリン融合タンパク質の濃度が約10mg/gから約990mg/gである乾燥粉末エアロゾル製剤)は、アルブミン-インスリン融合タンパク質の有効濃度を、短期間(例えば、120秒間未満、好ましくは60秒間未満、より好ましくは30秒間未満、最も好ましくは15秒間未満)で肺に送達することができる。
乾燥粉末エアロゾル組成物は、アルブミン-インスリン融合タンパク質の吸入可能な凝集物、またはアルブミン-インスリン融合タンパク質を含む希釈剤の吸入可能な粒子を含みうる。適した希釈剤には糖または糖アルコール(例えば、マンニトール、ラクトースおよびトレハロース)が含まれうる。アルブミン-インスリン融合タンパク質を含む粉末は、噴霧乾燥または冷凍乾燥(凍結乾燥)によって水溶液または分散物を除去することによって、アルブミン-インスリン融合タンパク質の水溶液または水性分散体から調製することができる。乾燥粉末エアロゾル組成物は、DPIおよびpMDIの両方に用いうる。典型的には、「乾燥」とは、水などの液体を約5%未満しか有しない組成物のことを指す。
アルブミン-インスリン融合タンパク質を含む粉末は、アルブミン-インスリン融合タンパク質の溶液または分散体を噴霧乾燥させることによって作製することができる。いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質(および任意で表面改質剤)の溶液または分散体は、任意で、噴霧乾燥された時に、そのそれぞれが包埋されたアルブミン-インスリン融合タンパク質を含む吸入可能な希釈剤粒子を形成する、ラクトースまたはマンニトールのような溶解された希釈剤を含んでもよい。いくつかの態様において、包埋されたアルブミン-インスリン融合タンパク質を有する希釈剤粒子は、深部肺送達のために適した約1〜約2ミクロンの粒径を有しうる。さらに、水性分散体中に溶解された希釈剤の濃度を噴霧乾燥の前に高めることにより、または噴霧乾燥器によって生成される小滴の直径を増大させることにより、上部気管支領域または鼻粘膜といった別の送達部位を標的とするために希釈剤粒径を増大させることもできる。
噴霧乾燥されたアルブミン-インスリン融合タンパク質の粉末は、単独で、または冷凍乾燥されたアルブミン-インスリン融合タンパク質粉末と組み合わせて、DPIまたはpMDIに用いることができる。さらに、噴霧乾燥されたアルブミン-インスリン融合タンパク質粉末を再構成し、ジェット式または超音波式のネブライザーのいずれかに用いて、それぞれの小滴がアルブミン-インスリン融合タンパク質を含む吸引可能な小滴径を有する水性分散体を生成することもできる。濃縮されたアルブミン-インスリン融合タンパク質の溶液または分散体を、噴霧乾燥粉末から調製することもできる。
鼻または肺への送達のために適した粉末を得るために、アルブミン-インスリン融合タンパク質の溶液または分散体を冷凍乾燥させることもできる。そのような粉末は、アルブミン-インスリン融合タンパク質の凝集物を含みうる。任意で、凝集物は、表面改質剤および/または希釈剤(例えば、糖または糖アルコール)を含んでもよい。そのような凝集物は、吸入可能な範囲内、すなわち約2〜約5ミクロンの粒径を有してよい。鼻粘膜といった別の送達部位を標的とさせるために、より大きな凝集粒子径を得ることができる。
凍結乾燥粉末は、単独で、または噴霧乾燥粉末と組み合わせてDPIまたはpMDIに用いることができる。さらに、アルブミン-インスリン融合タンパク質を含む凍結乾燥された粉末を再構成し、ジェット式または超音波式のネブライザーのいずれかに用いて、それぞれの小滴がアルブミン-インスリン融合タンパク質を含む吸引可能な小滴径を有する水性分散体を生成することもできる。濃縮されたアルブミン-インスリン融合タンパク質の溶液または分散体を、噴霧乾燥粉末から調製することもできる。
冷凍乾燥されたアルブミン-インスリン融合タンパク質の凝集物は、鼻または肺への送達のために、乾燥粉末中間体と混ぜ合わせて、または単独でDPIおよびpMDIに用いることができる。
いくつかの態様において、アルブミン-インスリン融合タンパク質は、噴射剤を基にしたシステムのための組成物として製剤化することができる。そのような製剤は、液体噴射剤中にてアルブミン-インスリン融合タンパク質(および任意で表面改質剤)を周囲圧または高圧の条件下で湿式粉砕することによって調製しうる。または、アルブミン-インスリン融合タンパク質を含む乾燥粉末を、アルブミン-インスリン融合タンパク質の溶液または分散物を噴霧乾燥または冷凍乾燥させ(例えば、水溶液または分散物)、その結果得られた粉末を従来のpMDIに用いるのに適した噴射剤中に分散させることによって調製することもできる。そのようなpMDI製剤は、鼻または肺への送達のために用いることができる。濃縮されたエアロゾル製剤をpMDIに用いることもできる。本発明のpMDIは、塩素系または非塩素系の噴射剤を利用することができる。
エアロゾル投与のためのアルブミン-インスリン融合タンパク質組成物は、例えば、(1)粉砕または沈殿によって得られたアルブミン-インスリン融合タンパク質の溶液または分散物(例えば、水溶液または水性分散物)を霧化すること;(2)アルブミン-インスリン融合タンパク質の凝集物の乾燥粉末(任意で表面改質剤または希釈剤を含む)をエアロゾル化すること;または(3)非水性噴射剤中にあるアルブミン-インスリン融合タンパク質の凝集物の懸濁液をエアロゾル化すること、によって作製することができる。アルブミン-インスリン融合タンパク質(任意で表面安定剤および/または希釈剤を含んでもよい)の凝集物は、非加圧式または加圧式の非水性系中にて作製することができる。濃縮されたエアロゾル製剤をこのような方法によって作製することもできる。
いくつかの態様において、エアロゾル組成物は、それを必要とする患者を治療するための方法であって:(1)アルブミン-インスリン融合タンパク質(かつ任意で表面改質剤および/または希釈剤)の溶液または分散物のエアロゾル(液体または粉末)を形成させる段階、および(2)エアロゾルを哺乳動物の肺または鼻の内腔に投与する段階、を含む方法に用いることができる。濃縮されたエアロゾル製剤をそのような方法に用いてもよい。本方法を、代謝性疾患または障害(例えば、糖尿病)を治療するために用いることもできる。
本発明の製剤はまた、一部には適切な種に由来するアルブミン融合タンパク質の成分を用いることから、典型的には非免疫原性でもある。例えば、ヒトへの使用のためには、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分およびアルブミン部分の両方が、典型的にはヒト由来でありうる。どちらかの成分がヒト由来でないいくつかの場合には、特定のエピトープがヒト免疫系にとって外来性ではなくヒトの性質であると思われるように、主要なアミノ酸を置換することによってその成分をヒト化させてもよい。
製剤は便利なように単位投薬形態で提供されてもよく、調剤分野において周知の任意の方法によって調製されてもよい。そのような方法は、アルブミン融合タンパク質を、1つまたは複数の補助成分を構成する担体と結びつける段階を含む。一般に、製剤は、有効成分と液体担体または微粉状の固形担体またはその両方を均一かつ密接に混合し、次いで必要に応じて、製品として成形することによって調製される。
非経口投与に適する製剤には、製剤を意図するレシピエントに適したものにする抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬および溶質を含む水性および非水性滅菌注射液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液が含まれる。製剤は、単位投薬用または多回投薬用容器、例えば密封されたアンプル、バイアルまたはシリンジ中にて提供されてもよく、使用直前に注入用滅菌液体担体、例えば水を添加するだけでよい冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で提供されてもよい。即時調合用の注射液および懸濁液を、滅菌粉末から調製してもよい。投薬製剤は、本発明のアルブミン融合タンパク質の多くが拡大された血清中半減期を示すことから、治療用タンパク質の非融合の標準的製剤と比較して、より低いモル濃度またはより少ない投与量の治療用タンパク質部分を含んでもよい。
製剤または本発明の組成物は、アルブミン融合タンパク質成分の拡大された貯蔵寿命について記載した説明書または添付文書と一緒にパッケージされるか、またはキットに納めることができる。例えば、そのような説明書または添付文書は、本発明のアルブミン融合タンパク質の拡大または延長された貯蔵寿命を考慮した、時間、温度および光などの推奨される貯蔵条件を記載している。そのような説明書または添付文書は、本発明のアルブミン融合タンパク質の特定の利点、例えば、管理された病院、診療所またはオフィス環境以外の現場での使用が必要となりうる製剤についての貯蔵の容易さを記載していてもよい。上記のように、本発明の製剤は、水性形態であってもよく、理想に満たない状況において、治療活性を有意に損なうことなく貯蔵されうる。
本発明のアルブミン融合タンパク質を、栄養補助食品(nutraceutical)に含めることもできる。例えば、特定の本発明のアルブミン融合タンパク質は、アルブミン融合タンパク質を発現するトランスジェニック哺乳動物から得られた乳または乳製品を含む、天然物質中に投与されてもよい。そのような組成物には、アルブミン融合タンパク質を発現するトランスジェニック植物から得られた植物または植物生成物も含まれうる。アルブミン融合タンパク質は、他の公知の添加剤、担体、充填剤および希釈剤を伴って、または伴うことなく、散剤または錠剤の形態でも提供されうる。栄養補助食品は、Scott Hegenhart, Food Product Design, December 1993に記載されている。
本発明は、薬学的に許容される担体中にある、本発明のアルブミン融合タンパク質または本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド(「アルブミン融合ポリヌクレオチド」)の有効量を対象に投与することによる、疾患または障害(例えば、本明細書中に開示した任意の1つまたは複数の疾患または障害など)の治療および/または予防の方法も提供する。
アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、個々の患者の臨床状態(特に、アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチド単独による治療の副作用)、送達部位、投与方法、投与スケジュールおよび当業者に公知の他の要因を考慮して、良好な医療実施にかなうような様式で、製剤化して投薬することができると考えられる。したがって、本明細書の目的における「有効量」はそのような検討事項によって決定される。
一般に提案されるように、非経口投与されるアルブミン融合タンパク質の1用量当たりの総薬学的有効量は、患者体重の約1ug/kg/日〜10mg/kg/日の範囲にあると考えられるが、上記のように、これは治療上の判断に影響されうる。より好ましくは、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日であり、ヒトについて最も好ましくは、ホルモンの場合、約0.01〜1mg/kg/日である。連続投与されるならば、アルブミン融合タンパク質は、典型的には、例えばミニポンプを用いて、1日当たり1〜4回の注射または連続的な皮下注入のいずれかにより、約1ug/kg/時間〜約50ug/kg/時間の投与速度で投与される。静脈用バッグ溶液を用いてもよい。変化を観察するのに必要とされる治療期間および治療から応答が現れるまでの時間は、所望の効果に応じて異なると思われる。
アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、経口、直腸内、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、局所(例えば、散剤、軟膏、ゲル、ドロップまたは経皮パッチによる)、頬側投与されるか、または経口または経鼻噴霧薬として投与されうる。「薬学的に許容される担体」とは、任意の無毒の固形、半固形もしくは液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料または製剤補助剤のことを指す。本明細書で用いる場合、「非経口的」という用語は、静脈内、筋内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内への注射および注入を含む投与様式のことを指す。
本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチはまた、持続放出系によっても適切に投与される。持続放出性アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドの例は、経口、直腸内、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、局所(例えば、散剤、軟膏、ゲル、ドロップまたは経皮パッチによる)、頬側投与されるか、または経口または経鼻噴霧薬として投与される。「薬学的に許容される担体」とは、任意の型の無毒の固形、半固形もしくは液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料または製剤補助剤のことを指す。本明細書において、「非経口的」という用語は、静脈内、筋内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内への注射および注入を含む投与様式のことを指す。持続放出性アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドのさらなる例には、適したポリマー材料(例えば、成型物、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態をした半透性ポリマー材料)、適した疎水性物質(例えば許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂、および難溶性誘導体(例えば、難溶性塩など)が含まれる。
持続放出性マトリックスには、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)、L-グルタミン酸とγーエチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidman et al., Biopolymers 22:547-556 (1983))、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:167-277 (1981)およびLanger, Chem. Tech. 12:98-105 (1982))、エチレンビニルアセテート(Langer et al., 同上)またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が含まれる。
持続放出性アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドには、リポソーム封入された本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドも含まれる(全般については、Langer, Science 249:1527-1533 (1990);Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 317-327および353-365 (1989)を参照)。アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドを含むリポソームは、本質的には公知である用法によって調製される:DE 3,218,121;Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 82:3688-3692 (1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 77:4030-4034 (1980);EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046;EP 143,949;EP 142,641;日本特許出願第83-118008号;米国特許第4,485,045号および第4,544,545号;ならびにEP 102,324。通常、リポソームは、小さな(約200〜800オングストロームの)単層型であり、その脂質含有量は約30molパーセントのコレステロールよりも大きく、選択される割合は最適な治療に対して適合化される。
さらにもう1つの態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、ポンプにより送達される(Langer, 前記;Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987);Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980);Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574 (1989)を参照)。他の放出制御系は、Langerによる報文(Science 249:1527-1533(1990))において考察されている。
非経口投与のために、1つの態様において、アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、一般に、単位用量の注入可能な形態(溶液、懸濁液またはエマルジョン)として、それを所望の純度で薬学的に許容される担体、すなわち用いる投与量および濃度でレシピエントに毒性がなく、かつ製剤の他の成分と適合するものと混合することによって製剤化される。例えば製剤は、好ましくは、酸化剤、および治療に対して有害であることが知られている他の化合物を含まない。
一般に、製剤は、アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドを液体担体または微粉状の固体担体またはその両方と均一かつ密接に接触させることによって調製される。続いて、必要であれば、生成物を所望の製剤として成形する。好ましくは、担体は非経口用担体であり、より好ましくは、レシピエントの血液と等張な溶液である。そのような担体媒体の例には、水、食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が含まれる。固定油およびオレイン酸エチルなどの非水性媒体ならびにリポソームも本明細書において有用である。
担体は添加剤、例えば、等張性および化学安定性を高める物質を少量含むことが好適である。そのような物質は、用いる用量および濃度においてレシピエントに対して毒性がなく、これには緩衝剤、例えばリン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸および他の有機酸またはそれらの塩;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド、例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニン;単糖、二糖およびセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の糖;キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール;対イオン、例えば、ナトリウム;および/または非イオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート、ポリオキサマーまたはPEGが含まれる。
アルブミン融合タンパク質は、典型的には、約0.1mg/ml〜100mg/ml、好ましくは1〜10mg/mlの濃度、約3〜8のpHで、そのような媒体中に製剤化される。特定の前記した賦形剤、担体または安定化剤がポリペプチド塩の形成をもたらしうることは理解されるであろう。
治療投与のために用いられる医薬はいずれも無菌性でありうる。無菌性は、滅菌濾過メンブレン(例えば、0.2ミクロンのメンブレン)を介した濾過によって容易に成し遂げられる。アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、一般に無菌の進入口を有する容器内、例えば、皮下注入針により貫通可能なストッパーを有する静脈溶液用バックまたはバイアル内に配置される。
通常、アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、単位投薬用または多回投薬用容器、例えば、密封されたアンプルまたはバイアル中に、水溶液または再構成のための冷凍乾燥製剤として貯蔵されうる。冷凍乾燥製剤の例としては、10mlのバイアルが、5mlの滅菌濾過された1%(w/v)の水性アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチド溶液で満たされ、その結果得られた混合物が冷凍乾燥される。注入溶液は、静菌注射液を用いて、冷凍乾燥されたアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドを再構成することにより調製される。
特定的かつ好ましい1つの態様において、アルブミン融合タンパク質製剤は、0.01Mのリン酸ナトリウム、0.15mMの塩化ナトリウム、1ミリグラムの融合タンパク質当たり0.16マイクロモルのオクタン酸ナトリウム、15マイクログラム/1ミリリットルのポリソルベート80、pH7.2を含む。もう1つの特定的かつ好ましい態様において、アルブミン融合タンパク質製剤は、0.01Mのリン酸ナトリウム、0.15mMの塩化ナトリウム、1ミリグラムの融合タンパク質当たり0.16マイクロモルのオクタン酸ナトリウム、15マイクログラム/1ミリリットルのポリソルベート80、pH7.2を含む。pHおよび緩衝剤は、生理学的条件に適合するように選択され、張度調節剤として塩が加えられる。オクタン酸ナトリウムは、溶液中のタンパク質の温度安定性を高める能力が報告されていることから選択されている。最後に、溶液の表面張力を低下させ、容器密閉系に対するアルブミン融合タンパク質の非特異的吸着を軽減するポリソルベートが、一般的界面活性剤として加えられる。
本発明はまた、本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドの1つまたは複数の成分が充填された1つまたは複数の容器を含む医薬パックまたはキットも提供する。そのような1つまたは複数の容器は、医用薬剤または生物製剤の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定された形式の注意書きを備えることができる。その注意書きは、当局によるヒトへの投与のための製造、使用または販売の認可を示すものである。加えて、アルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドを他の治療用化合物と組み合わせて用いることもできる。
本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、単独で、またはアジュバントと組み合わせて投与しうる。本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドとともに投与しうるアジュバントには、アラム、アラム+デオキシコール酸塩(ImmunoAg)、MTP-PE(Biocine Corp.)、QS21(Genentech、Inc.)、BCG(例えば、THERACYS(登録商標))、MPLおよびコリネバクテリウム-パルヴム(Corynebacterium parvum)の無生育性(nonviable)調製物が非限定的に含まれる。1つの特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、アラムと組み合わせて投与される。もう1つの特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、QS-21と組み合わせて投与される。本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドとともに投与しうるさらなるアジュバントには、モノホスホリル脂質免疫調製剤、AdjuVax 100a、QS-21、QS-18、CRL1005、アルミニウム塩、MF-59およびヴィロソマル(Virosomal)アジュバント技術が非限定的に含まれる。本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドとともに投与しうるワクチンには、MMR(はしか、おたふく風邪、風疹)、ポリオ、水疱瘡、破傷風/ジフテリア、A型肝炎、B型肝炎、ヘモウイルスインフルエンザB菌、百日咳、肺炎、肝炎、ライム病、ロタウイルス、コレラ、黄熱病、日本脳炎、灰白髄炎、狂犬病、腸チフスおよび百日咳を防御するワクチンが非限定的に含まれる。組み合わせは、例えば混合物として同時発生的に、別々であるが同時またはともに;または連続して投与されてもよい。これは、組み合わせた薬剤を治療混合物としてともに投与する形態、および、組み合わせた薬剤を別々であるが同時に投与する方法、例えば別々の静脈内経路を介して同じ個体に投与する方法を含む。「組み合わせ」投与はさらに、初めに化合物または薬剤の1つを投与し、続いて第2のものを投与する個別的投与を含む。
本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、単独で、または他の治療剤と組み合わせて投与しうる。
1つの追加的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、単独で、または1つもしくは複数の静脈内免疫グロブリン製剤と組み合わせて投与される。本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドとともに投与しうる静脈内免疫グロブリン製剤には、GAMMAR(商標)、IVEEGAM(商標)、SANDOGLOBULIN(商標)、GAMMAGARD S/D(商標)、ATGAM(商標)(抗胸腺細胞グルブリン)およびGAMIMUNE(商標)が非限定的に含まれる。特定的な態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、静脈内免疫グロブリン製剤と組み合わせて、移植治療(例えば、骨髄移植)に際して投与される。
本発明のアルブミン融合タンパク質は、任意の動物、好ましくは哺乳動物および鳥類に対して投与される。好ましい哺乳動物には、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマおよびブタが含まれ、ヒトが特に好ましい。
生物活性
本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、生物活性の1つまたは複数に関する検査のためのアッセイに用いることができる。本発明のアルブミン融合タンパク質および/またはポリヌクレオチドが特定のアッセイで活性を示す場合には、融合タンパク質に対応する治療用タンパク質は、その生物活性と関連のある疾患に関与している可能性が高い。したがって、その融合タンパク質は関連のある疾患を治療するために用いうると考えられる。
好ましい態様において、本発明は、インスリン欠乏または血糖レベル上昇と関連のある疾患または障害を治療する方法であって、そのような治療、予防または緩和が望まれる患者に対して、アルブミン-インスリン融合タンパク質に対応する治療用タンパク質部分をその疾患または障害を治療、予防または緩和するために有効な量で含む、本発明のアルブミン融合タンパク質を投与する段階を含む方法を範囲に含む。
1つのさらなる好ましい態様において、本発明は、インスリン欠乏またはグルコースレベル上昇と関連のある疾患または障害を治療する方法であって、そのような治療、予防または緩和が望まれる患者に対して、実施例における適応症と関係のある治療用タンパク質に対応する治療用タンパク質部分を、その疾患または障害を治療、予防または緩和するために有効な量で含む、本発明のアルブミン融合タンパク質を投与する段階を含む方法を範囲に含む。
好ましい態様において、本発明の融合タンパク質は、インスリン欠乏または血糖レベル上昇と関係のある疾患および/または障害の診断、予後判定、予防および/または治療に用いることができる。
ある態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、本発明の融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対応する遺伝子が発現される組織と関連のある疾患および/または障害の診断および/または予後判定に用いることができる。
したがって、本発明の融合タンパク質、および本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、インスリン欠乏または血糖レベル上昇(例えば、インスリン依存性糖尿病)を非限定的に含む活性と関連のある疾患および/または障害の診断、検出および/または治療において有用である。
加えて、本発明の融合タンパク質および/または本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、糖尿病の発現を治療または予防するためにも用いうると考えられる。一部の島細胞機能が残っている、新たに診断されたI型およびII型の糖尿病の患者において、本発明の融合タンパク質および/または本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、疾患の永続的な症状発現が緩和、遅延または予防されるように糖機能を維持するために用いうると考えられる。また、本発明の融合タンパク質および/または本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、島細胞機能を改善または促進するために、島細胞移植における補助として用いることもできると考えられる。
以上に列挙した用途は、広範な種類の宿主に用いることができる。そのような宿主には、ヒト、ネズミ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、マイクロピッグ、ニワトリ、ヤギ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ヒト以外の霊長動物、およびヒトが非限定的に含まれる。特定的な態様において、宿主はマウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ニワトリ、ラット、ハムスター、ブタ、ヒツジ、イヌまたはネコである。好ましい態様において、宿主は哺乳類である。最も好ましい態様では、宿主はヒトである。
以上、本発明を概括的に説明してきたが、以下の実施例を参照すればそれをさらに容易に理解できると考えられる。ただし、以下の実施例は例証のために与えられるものであって、限定を意図するものではない。
さらなる記載がなくとも、当業者ならば上記の説明および下記の例示的な実施例を用いて、本発明に見いだされる変更を行ったり利用したりすること、および特許請求の範囲の方法を実施したりすることができると考えられる。米国特許を非限定的に含む、本明細書で言及したすべての刊行物は、参照により本明細書に具体的に組み入れられる。したがって、以下の実施例は本発明の好ましい態様を具体的に指摘したものであり、残りの開示内容を限定するものとは決してみなされるべきではない。
実施例
実施例1
pScNHSAおよびpScCHSAの作製
ベクターpScNHSA(ATCC寄託番号PTA-3279)およびpScCHSA(ATCC寄託番号PTA-3276)は、pPPC0005(ATCC寄託番号PTA-3278)の派生物であり、治療用タンパク質またはそれらの断片もしくは変異体をコードするポリヌクレオチドが、ヒト血清アルブミン「HSA」をコードするポリヌクレオチドに隣接して翻訳フレーム内に挿入されるクローニングベクターとして用いられる。pScCHSAは、治療用タンパク質-HSA融合物を作製するために用いることができ、一方、pScNHSAはHSA-治療用タンパク質融合物を作製するために用いることができる。
pScCHSAの作製:治療用部分とアルブミン部分C末端とのアルブミン融合物
成熟アルブミンタンパク質をコードするDNAに対する治療用タンパク質N末端をコードするDNAのクローニングを容易にするためのベクターを、pPPC0005におけるキメラ性HSAシグナルペプチドをコードする核酸配列がXho I部位およびCla I部位を含むように変更することによって作製した。
まず、pPPC0005に固有のXho I部位およびCla I部位(ADH1終結配列の3'側に位置する)を、Xho IおよびCla IでpPPC0005を消化することによって排除し、T4 DNAポリメラーゼで突出末端を充填し、平滑末端を再び連結させてpPPC0006を作製した。
第2に、2回のPCRを用いて、pPPC0006中の、HSAのシグナルペプチド(HSAリーダーと接合因子α「MAF」からのkex2部位とのキメラ)をコードする核酸配列中に、Xho IおよびCla I制限部位を人工的に導入した。1回目のPCRで増幅を行った。プライマーは、HSAのシグナルペプチド配列の部分、接合因子αリーダー配列からのkex2部位、およびHSAの成熟形態のアミノ末端の部分をコードする核酸配列を含む。4つの点突然変異が配列中に導入され、以下に示した配列に提示されているように、キメラ性シグナルペプチドおよびHSAの成熟形態の連結部に認められるXho IおよびCla I部位が作り出された。pPPC0005中で、これらの4つの位置にあるヌクレオチドは、5'から3'の順にT、G、TおよびGである。
Figure 0005256199
。続いて、2回目のPCRを、上流隣接プライマー
Figure 0005256199
、下流隣接プライマー
Figure 0005256199
を用いて実施した。その結果得られたPCR産物を続いて精製して、Afl IIおよびXba Iで消化し、pPPC0006中の同一の部位内に連結させてpScCHSAを作製した。その結果得られたプラスミドは、単一の配列内に人工的に導入されたXho IおよびCla I部位を有する。Xho I部位の存在により、シグナル配列の末端でLDKRからLEKRへの単一アミノ酸変化が生じる。このDからEへの変化は、5' Sal I部位(Xho I部位と適合性がある)および3'Cla I部位を有する、アルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸配列が、pScCHSAのXho I部位およびCla I部位に連結された場合には、最終的なアルブミン融合タンパク質発現プラスミド中には存在しない。Sal IのXho Iとの連結は、シグナルペプチド配列の元のアミノ酸配列を回復させる。アルブミン融合タンパク質の治療用部分をコードするDNAを、Kex2部位の後(Kex2は、シグナルペプチドの末端にて二塩基アミノ酸配列KRの後で切断する)かつCla I部位の前に挿入してもよい。
pScNHSAの作製:アルブミン部分N末端と治療用部分とのアルブミン融合物
成熟アルブミンタンパク質をコードするDNAに対する治療用タンパク質C末端をコードするDNAのクローニングを容易にするためのベクターを、3つの8塩基対制限部位をpScCHSAに付加することによって作製した。Asc I制限部位、Fse I制限部位およびPme I制限部位を、成熟HSAタンパク質をコードする核酸配列の末端にて、Bsu36 I部位とHind III部位との間に付加した。これは、Asc I制限部位、Fse I制限部位、およびPme I制限部位を含む2つの相補的合成プライマーの使用によって達成した。
Figure 0005256199
。これらのプライマーをアニーリングさせて、Bsu36 IおよびHind IIIで消化し、pScCHSA中の同じ部位に連結させてpScNHSAを作製した。
実施例2
酵母形質転換のための一般的な構築物の作製
ベクターpScNHSAおよびpScCHSAは、治療用タンパク質またはそれらの断片もしくは変異体をコードするポリヌクレオチドを、成熟ヒト血清アルブミン「HSA」をコードするポリヌクレオチドに隣接して挿入するためのクローニングベクターとして用いることができる。pScCHSAは、治療用タンパク質-HSA融合物を作製するために用いられ、一方、pScNHSAは、HSA-治療用タンパク質融合物を作製するために用いることができる。
HSA-治療用タンパク質融合産物を含むアルブミン融合構築物の作製
インスリンタンパク質または類似体をコードするDNAを、融合構築物の作製を容易にするプライマー(例えば、制限部位を付加することにより、継ぎ目のない融合物をコードすることにより、リンカー配列をコードすることにより、など)を用いてPCR増幅することができる。例えば、当業者は、治療用タンパク質をコードするDNAの5'末端に対してHSAの成熟形態の最後の4つのアミノ酸をコードする(かつBsu36I部位を含む)ポリヌクレオチドを付加する5'プライマー;ならびに治療用タンパク質をコードする配列の3'末端に終止コドンおよび適切なクローニング部位を付加する3'プライマーを設計することができる。例えば、治療用タンパク質をコードするDNAを増幅するために用いられる順方向プライマーは、Bsu36I部位を含む、配列
Figure 0005256199
を有することができ、ここで大文字のヌクレオチドは、成熟HSAタンパク質の最後の4つのアミノ酸(ALGL)をコードし、(N)15は、関心対象の治療用タンパク質をコードする最初の15ヌクレオチドと同一である。同様に、治療用タンパク質をコードするDNAを増幅するのに用いられる逆方向プライマーは、Pme I部位、Fse I部位、Asc I部位、2つのタンデム終止コドンの逆相補物を含む、配列
Figure 0005256199
を有することができ、ここで(N)15は、関心対象の治療用タンパク質をコードする最後の15のヌクレオチドの逆相補物と同一である。ひとたびPCR産物が増幅されると、それはBsu36Iおよび(Asc I、Fse IまたはPme I)の1つで切断されて、pScNHSA中に連結される。
HSAキメラ性リーダー配列におけるXho I部位の存在により、キメラ性シグナル配列、すなわちHSA-kex2シグナル配列の末端に、LDKRからLEKRへの単一アミノ酸変化が作り出される。
遺伝子-HSA融合産物を含むアルブミン融合構築物の作製
上記の方法と同様に、治療用タンパク質をコードするDNAを、以下のプライマーを用いてPCR増幅することができる:治療用タンパク質をコードするDNAの5'末端に、Sal I部位を含みかつHSAリーダー配列の最後の3つのアミノ酸DKRをコードするポリヌクレオチドを付加する5'プライマー;および、治療用タンパク質をコードするDNAの3'末端に、Cla I部位を含みかつ成熟HSAの最初のいくつかのアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを付加する3'プライマー。例えば、治療用タンパク質をコードするDNAを増幅するために用いられる順方向プライマーは、Sal I部位を含む、配列
Figure 0005256199
を有することができ、ここで大文字のヌクレオチドは、HSAリーダー配列の最後の3つのアミノ酸(DKR)をコードし、(N)15は関心対象の治療用タンパク質をコードする最初の15ヌクレオチドと同一である。同様に、治療用タンパク質をコードするDNAを増幅するために用いられる逆方向プライマーは、Cla I部位、およびHSAの成熟形態の最初の9アミノ酸をコードするDNAの逆相補物を含む、配列
Figure 0005256199
を有することができ、(N)15は関心対象の治療用タンパク質をコードする最後の15ヌクレオチドの逆相補物である。ひとたびPCR産物が増幅されれば、この産物をSal IおよびCla Iで切断して、Xho IおよびCla Iで消化されたpScCHSA中に連結させることができる。異なるシグナル配列またはリーダー配列を所望することもでき、これには例えば、インベルターゼ「INV」(Swiss-ProtアクセッションP00724)、交配因子α「MAF」(GenbankアクセッションAAA18405)、MPIF(Geneseq AAF82936)、フィビュリンB(Swiss-ProtアクセッションP23142)、クラステリン(Swiss-ProtアクセッションP10909)、インスリン様増殖因子結合タンパク質4(Swiss-ProtアクセッションP22692)があり、HSAリーダー配列の順列置換物を、当技術分野で公知の標準的な方法によって適切なベクター中にサブクローニングすることができる。
酵母S.セレビシエにおける発現に適合性のあるアルブミン融合構築物の作製
続いて、pScNHSAまたはpScCHSAから作製されたN末端またはC末端アルブミン融合タンパク質のいずれかをコードするDNAを含むNot I断片を、LEU2選択マーカーを有するpSAC35のNot I部位にクローニングすることができる。続いて、結果的に得られたベクターは、酵母S.セレビシエ発現系の形質転換に用いられる。
実施例3
酵母S.セレビシエにおける一般的発現
酵母での発現に適合性のある発現ベクターを、酢酸リチウム形質転換、エレクトロポレーション、または当技術分野で公知の、およびまたはSambrook, Fritsch, and Maniatis. 1989. "Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition," volumes 1-3およびAusubel et al. 2000. Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School "Current Protocols in Molecular Biology," volumes 1-4に記載されたような他の方法により、酵母S.セレビシエに形質転換導入することができる。発現ベクターを形質転換によって酵母S.セレビシエ株DXY1、D88、またはBXP10に導入し、個々の形質転換体を、例えば、10mL YEPD(1%w/v酵母抽出物、2%w/vペプトン、2%w/vデキストロース)中にて30℃で3日間増殖させ、細胞を60時間の増殖の後に定常期の段階で収集することができる。上清は、3000gで10分間、細胞を除去することによって収集される。
pSAC35(Sleep et al., 1990, Biotechnology 8:42および図3を参照)は、LEU2選択マーカーに加えて、複製機能、PRB1プロモーターおよびADH1終止シグナルを提供する酵母2μmプラスミドの全体を含む。
実施例4
酵母S.セレビシエにおけるアルブミン融合物から発現されるアルブミン融合タンパク質の一般的精製
好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、治療用タンパク質またはその部分の成熟形態(例えば、インスリンまたはインスリン類似体の成熟形態)のN末端またはC末端のいずれかと融合されたHSAの成熟形態を含む。本発明の1つの態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質はさらに、発現のために用いられる宿主の分泌経路において新生融合ポリペプチドを導くシグナル配列を含む。1つの好ましい態様においては、シグナル配列によってコードされるシグナルペプチドが除去され、成熟アルブミン融合タンパク質が培地中に直接分泌される。本発明のアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、MAF、INV、Ig、フィビュリンB、クラステリン、インスリン様増殖因子結合タンパク質4、キメラ性HSA/MAFリーダー配列を非限定的に含む変異体HSAリーダー配列、または当技術分野で公知である他の異種シグナル配列を非限定的に含む、異種シグナル配列(例えば、特定の治療用タンパク質の非ネイティブ性シグナル配列)を含む。好ましい態様において、本発明の融合タンパク質はさらに、N末端メチオニン残基を含む。断片および/または改変体を含む、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。
上記のように酵母内で発現されたアルブミン融合タンパク質は、以下のようにしてDyaxペプチドアフィニティーカラムにより小規模で精製することができえる。容積を減らし、色素を除去するために、アルブミン融合タンパク質を発現する酵母からの上清を、3mMリン酸緩衝液pH6.2、20mM NaClおよび0.01% Tween20に対してダイアフィルトレートする。続いて、この溶液を0.22μmデバイスを通して濾過する。この濾液を、Dyaxペプチドアフィニティーカラム上にローディングする。このカラムを100mM Tris/HCl、pH8.2緩衝液で溶出させる。タンパク質を含むピーク画分を収集し、5倍に濃縮した後にSDS-PAGE上で分析する。
大規模な精製のためには、以下の方法を利用することができる。2Lを超える上清をダイアフィルトレートし、20mM Tris/HCl pH8.0中にて500mLに濃縮する。濃縮されたタンパク質溶液を、あらかじめ平衡化した50mL DEAE-Sepharose Fast Flowカラム上にローディングし、このカラムを洗浄して、タンパク質を、20mM Tris/HCl、pH8.0における0〜0.4M NaClからのNaClの直線的勾配で溶出させる。タンパク質を含むこれらの画分をプールし、0.5Mリン酸ナトリウム(NaH2PO4)を有するpH6.8に調節する。最終濃度0.9Mの(NH4)2SO4をタンパク質溶液に加え、溶液全体を、あらかじめ平衡化した50mL Butyl650Sカラム上にローディングする。このタンパク質を、硫酸アンモニウム(0.9〜0Mの(NH4)2SO4)の直線的勾配で溶出させる。アルブミン融合を有するこれらの画分を再びプールし、10mM Na2HPO4/クエン酸緩衝液pH5.75に対してダイアフィルトレートし、50mLのあらかじめ平衡化したSP-Sepharose Fast Flowカラム上にローディングする。このタンパク質を、0-0.5MのNaCl直線勾配で溶出させる。関心対象のタンパク質を含む画分を合わせ、この緩衝液をAmicon濃縮器で10mM Na2HPO4/クエン酸pH6.25に変え、その伝導率を2.5mS/cmより低くする。このタンパク質溶液を、15mLのあらかじめ平衡化されたQ-Sepharose高性能カラム上にローディングし、カラムを洗浄して、このタンパク質を0〜0.15M NaClのNaCl直線勾配で溶出させる。続いて、この精製されたタンパク質を、緩衝液交換により特異的な緩衝液組成物中にて製剤化することができる。
実施例5
哺乳動物細胞トランスフェクションのための一般的構築物の作製
哺乳動物細胞株における発現に適合性のあるアルブミン融合構築物の作製
アルブミン融合構築物を、哺乳動物細胞培養系において用いるための発現ベクター中に作製することができる。当技術分野で公知の標準的方法(例えば、PCR増幅、制限酵素消化および連結)により、哺乳動物発現ベクター中のHSAのN末端またはC末端に、治療用タンパク質をコードするDNAをクローニングすることができる。ひとたび発現ベクターが構築されれば、哺乳動物発現系へのトランスフェクションを行うことができる。適したベクターは当技術分野で公知であり、これには例えば、pC4ベクター、および/またはLonza Biologics,Inc.(Portsmouth, NH)より入手可能なベクターが非限定的に含まれる。
ヒト血清アルブミンをコードするDNAを、哺乳動物培養系に適したpC4ベクター中にクローニングし、プラスミドpC4:HSA(ATCC寄託番号PTA-3277)が作り出されている。このベクターは、メトトレキサートの存在下での選択を可能にするジヒドロ葉酸還元酵素「DHFR」遺伝子を有する。
pC4:HSAベクターは、CHO細胞におけるアルブミン融合タンパク質の発現に適している。他の哺乳動物細胞培養系における発現のためには、アルブミン融合タンパク質をコードするDNAを含む、または代替的にはそれからなる断片を、別の発現ベクターにサブクローニングすることが望ましい。例えば、成熟アルブミン融合タンパク質をコードするDNAを含む、または代替的にはそれからなる断片を、本明細書に記載した哺乳動物発現ベクターのいずれかを非限定的に含む別の発現ベクターにサブクローニングすることができる。
好ましい態様において、アルブミン融合構築物をコードするDNA構築物は、NS0細胞における発現のために、当技術分野で公知の方法により、Lonza Biologics,Inc.(Portsmouth, N.H.)により提供されるベクター中にサブクローニングされる。
HSA-治療用タンパク質融合産物を含むアルブミン融合構築物の作製
pC4:HSA(ATCC寄託番号PTA-3277)を用いて、治療用タンパク質部分が成熟アルブミン配列に対してC末端にあるアルブミン融合構築物を作製することができる。例えば、治療用タンパク質またはその断片もしくは変異体をコードするDNAを、ベクターのBsu 36I制限酵素認識部位とAsc I制限酵素認識部位との間にクローニングすることができる。Bsu 36IおよびAsc Iにクローニングする際には、酵母ベクター系へのクローニングに用いるのと同じプライマーデザインを利用することができる(実施例2参照)。
遺伝子-HSA融合産物を含むアルブミン融合構築物の作製
pC4:HSA(ATCC寄託番号PTA-3277)を用いて、治療用タンパク質部分が成熟アルブミン配列のN末端にクローニングされたアルブミン融合構築物を作製することができる。例えば、それ自体のシグナル配列を有する治療用タンパク質をコードするDNAを、pC4:HSAのBam HI(または、Hind III)部位とCla I部位との間にクローニングすることができる。Bam HI部位またはHind III部位のいずれかにクローニングする場合には、治療用タンパク質をコードするDNAの翻訳開始コドンの前にコザック配列(
Figure 0005256199
)を含めることが好ましい。治療用タンパク質がシグナル配列を有しないならば、治療用タンパク質をコードするDNAは、pC4:HSAのXho I部位とCla I部位の間にクローニングされてもよい。Xho I部位を用いる場合には、以下の例示的な5'および3' PCRプライマーを用いることができる:
Figure 0005256199
5'プライマーはXho I部位を含む;そのXho I部位およびXho I部位の次のDNAが、天然ヒト血清アルブミンのリーダー配列の最後の7アミノ酸をコードする。「(N)18」は、関心対象の治療用タンパク質をコードする最初の18ヌクレオチドと同一なDNAを指す。3'プライマーはCla I部位を含む;そのCla I部位およびその次のDNAが成熟HSAタンパク質の最初の10アミノ酸をコードするDNAの逆相補物である。「(N)18」は、関心対象の治療用タンパク質をコードする最後の18ヌクレオチドをコードするDNAの逆相補物を指す。これらの2つのプライマーを用いて、関心対象の治療用タンパク質をPCR増幅し、PCR産物を精製し、それをXho IおよびCla I制限酵素で消化して、pC4:HSAベクター中のXho IおよびCla I部位にクローニングすることができる。
別のリーダー配列が所望であれば、当技術分野で公知の標準的方法により、ネイティブ性アルブミンリーダー配列を、キメラ性アルブミンリーダー、すなわちHSA-kex2シグナルペプチド、または代替的なリーダーによって置き換えることができる(例えば、当業者は、通常、代替的なリーダーをPCR増幅し、リーディングフレームを維持しながらアルブミンリーダーの代わりにPCR産物をアルブミン融合構築物中にサブクローニングすることができる)。
実施例6
哺乳動物細胞株における一般的発現
哺乳動物細胞株における発現に適合性のある発現ベクター中に作製したアルブミン融合構築物を、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクタミン、エレクトロポレーション、または当技術分野で公知の、および/またはSambrook, Fritsch, and Maniatis. 1989. "Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition"およびAusubel et al. 2000. Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School "Current Protocols in Molecular Biology," volumes 14に記載された他のトランスフェクション法により、適切な細胞株にトランスフェクトすることができる。続いて、発現ベクター中の選択マーカーによって決定されるスクリーニング因子の存在により、トランスフェクトされた細胞を選択する。
pC4発現ベクター(ATCCアクセッション番号209646)は、pSV2-DHFR(ATCCアクセッション番号37146)の派生物である。pC4は、ラウス肉腫ウイルスの強力プロモーター長末端反復配列「LTR」(Cullen et al., March 1985, Molecular and Cellular Biology, 438-447)およびサイトメガロウイルス「CMV」-エンハンサーの断片(Boshart et al., 1985, Cell 41: 521-530)を含む。このベクターはまた、ラットプレプロインスリン遺伝子の3'イントロン、ポリアデニル化シグナルおよび終結シグナル、ならびにSV40初期プロモーターの制御下にあるマウスDHFR遺伝子も含む。チャイニーズハムスター卵巣「CHO」細胞、または活性なDHFR遺伝子を欠く他の細胞株がトランスフェクションのために用いられる。当技術分野で公知の方法による、pC4中のアルブミン融合構築物のCHO細胞へのトランスフェクションにより、CHO細胞におけるアルブミン融合タンパク質の発現が可能になり、その後にリーダー配列の切断、上清への分泌が起こる。続いて、さらに上清からアルブミン融合タンパク質を精製する。
pEE12.1発現ベクターは、Lonza Biologics,Inc.(Portsmouth, N.H.)より提供され、pEE6(Stephens and Cockett, 1989, Nucl. Acids Res. 17:7110)の派生物である。このベクターは、ヒトサイトメガロウイルスの主要初期遺伝子「hCMV-MIE」(国際公開公報第WO 89/01036号)のプロモーター、エンハンサーおよび完全な5'-非翻訳領域、目的配列の上流、ならびに選択的メチオニンスルホキシミン含有培地中でのトランスフェクト細胞の選択のためのグルタミンシンテターゼ遺伝子(Murphy et al., 1991, Biochem J. 227: 277-279;Bebbington et al., 1992, Bio/Technology 10:169-175;米国特許第5,122,464号)を含む。当技術分野で公知の方法による、pEE12.1中に作製されたアルブミン融合構築物のNS0細胞へのトランスフェクション(国際公開公報番号第WO 86/05807号)により、NS0細胞におけるアルブミン融合タンパク質の発現が可能になり、その後にリーダー配列の切断、および上清への分泌が起こる。続いて、本明細書に記載した手法または当技術分野で公知の他のものを用いて、さらに上清からアルブミン融合タンパク質を精製する。
アルブミン融合タンパク質の発現は、例えば、SDS-PAGEおよびウエスタンブロット、逆相HPLC分析、または当技術分野で公知の他の方法によって分析することができる。
アルブミン融合構築物がトランスフェクトされた安定なCHOおよびNS0細胞株を、当技術分野で公知の方法(例えば、リポフェクタミントランスフェクション)によって作製し、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素「DHFR」遺伝子を選択マーカーとして有するベクターについては、100nMのメトトレキサートを用いて、またはグルタミン非存在下での増殖によって選択する。発現レベルは、例えば、まず抗HSA血清を一次抗体とし、続いて、一次抗体としての所定のアルブミン融合タンパク質の治療用タンパク質部分に対する抗体を含有する血清を二次抗体として用いるイムノブロット法によって調べることができる。
発現レベルは、一次抗体として抗HSA血清を用いるイムノブロット検出によって調べる。比産生率(specific productivity rate)は、捕獲抗体がアルブミン融合物の治療用タンパク質部分に対するモノクローナル抗体であって、検出抗体がモノクローナル抗HSAビオチン化抗体であり(またはその反対)、その後に西洋ワサビペルオキシダーゼ/ストレプトアビジンを結合させて製造元のプロトコールに従って分析する、ELISAによって決定される。
実施例7
哺乳動物細胞株におけるアルブミン融合構築物から発現されたアルブミン融合タンパク質の一般的精製
好ましい態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質は、治療用タンパク質またはその部分の成熟形態(例えば、インスリンまたはインスリン類似体の成熟形態)のN末端またはC末端のいずれかと融合したHSAの成熟形態を含む。本発明の1つの態様において、本発明のアルブミン融合タンパク質はさらに、発現のために用いられる宿主の分泌経路において新生融合ポリペプチドを導くシグナル配列を含む。1つの好ましい態様においては、シグナル配列によってコードされるシグナルペプチドが除去され、成熟アルブミン融合タンパク質が培地中に直接分泌される。本発明のアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、MAF、INV、Ig、フィビュリンB、クラステリン、インスリン様増殖因子結合タンパク質4、キメラ性HSA/MAFリーダー配列を非限定的に含む変異体HSAリーダー配列、または当技術分野で公知である他の異種シグナル配列を非限定的に含む、異種シグナル配列(例えば、特定の治療用タンパク質の非ネイティブ性シグナル配列)を含む。好ましい態様において、本発明の融合タンパク質はさらに、N末端メチオニン残基を含む。断片および/または改変体を含む、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。
用いた発現系に依存して異なるプロトコールに従って、哺乳動物細胞株の上清からのアルブミン融合タンパク質を精製する。
CHO細胞株および293T細胞株からの精製
CHO細胞上清または一過性トランスフェクションを受けた293T細胞上清からのアルブミン融合タンパク質の精製は、リン酸ナトリウム緩衝液およびリン酸塩濃度勾配溶出を用いた陰イオン性HQ樹脂による最初の捕獲、それに続く塩勾配溶出を用いたBlue SepharoseFFカラムでのアフィニティークロマトグラフィーを含む。Blue Sepharose FFは、主なBSA/フェチュイン混入物を除去する。リン酸塩勾配を用いたPoros PI 50樹脂によるさらなる精製により、エンドトキシン混入物を除去および低下させること、ならびにアルブミン融合タンパク質を濃縮することができる。
NS0細胞株からの精製
NS0細胞上清由来のアルブミン融合タンパク質の精製は、Q-Sepharose陰イオン交換クロマトグラフィー、それに続く段階溶出を用いたSP-セファロース精製、その後の段階溶出を用いたPhenyl-650M精製、最終的にはダイアフィルトレーションを含みうる。
続いて、精製されたタンパク質を緩衝液交換によって製剤化することができる。
実施例8
構築物ID 2250、HSA-Insulin(GYG)の作製
構築物ID 2250、pSAC35.HSA.INSULIN(GYG).F1-N62は、酵母S.セレビシエ発現ベクターpSAC35中にクローニングされた、32位にTyrを有する合成一本鎖長時間作用型インスリン類似体(INSULIN(GY32G))のアミノ末端と融合されたネイティブ性HSAリーダー配列を含む完全長HSAを含むHSA-INSULIN(GYG)融合タンパク質をコードする。
構築物2250に関するINSULIN(GYG)cDNAのクローニング
INSULIN(GYG)の合成一本鎖形態をコードするDNAを、4つの部分的に重複するプライマーを用いてPCRで作製した。プロインスリンのプロセシングの必要性をなくし、かつ一本鎖タンパク質の適正なフォールディングを確実にするために、プロインスリンcDNAの中間領域のC-ペプチドに対応する配列を、インスリン成長因子1(「IGF-1」)のC-ドメイン(
Figure 0005256199
)によって置き換えた。この配列を酵母S.セレビシエにおける発現のためにコドン最適化した。このPCR断片を消化し、Bsu 36I/Asc Iで消化したpScNHSA中にサブクローニングした。続いて、Not I断片をpSAC35プラスミド中にサブクローニングした。構築物ID番号2250は、合成一本鎖形態のINSULIN(GYG)のアミノ末端と融合した完全長HSA(ネイティブなHSAリーダー配列を含む)をコードする。
INSULIN(GYG)、INSULIN(GYG)-1およびINSULIN(GYG)-2の合成一本鎖形態をコードするポリヌクレオチドのPCR増幅のために適した4つの部分的に重複するオリゴヌクレオチドの5'プライマーおよび3'プライマーを合成した:
32 INSULIN(GYG)-1
Figure 0005256199
INSULIN(GYG)-1は、Bsu 36Iクローニング部位を組み込んでおり、INSULIN(GYG)の合成一本鎖形態のORFの最初の21アミノ酸をコードする。INSULIN(GYG)-2はAsc I部位を組み込んでいる。INSULIN(GYG)-2は、INSULIN(GYG)の合成一本鎖形態のアミノ酸残基Cys-49からAsn-63までをコードする最後の49ヌクレオチドの逆相補物も含む。これらの2つのプライマーを用いて、INSULIN(GYG)の合成一本鎖形態をPCR増幅した。アニーリングおよび伸長の温度および時間は、それぞれの特異的なプライマー対およびテンプレートに対して経験的に決定しなければならない。
PCR産物を精製し(例えば、Wizard PCR Preps DNA Purification System(Promega Corp)を用いて)、続いてBsu36IおよびAscIで消化した。ゲル電気泳動によるBsu36I-AscI断片のさらなる精製の後に、この産物をBsu36I/AscIで消化したpScNHSA中にクローニングした。さらにNot I断片をpSAC35中にサブクローニングして、構築物ID番号2250を得た。
発現されたアルブミン融合タンパク質のN末端のアミノ酸シークエンシングによるさらなる分析により、予想される成熟HSA配列の存在が確認されるはずである(以下を参照のこと)。
本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、INSULINの合成一本鎖類似体(すなわち、Phe-1〜Asn-62)のN末端またはC末端のいずれかに融合されたHSAの成熟形態(すなわち、Asp-25〜Leu-609)を含む;プロインスリンcDNAの中間領域のCペプチドに対応する配列は、インスリン成長因子1(「IGF-1」)のCドメイン(
Figure 0005256199
)によって置き換えられた。本発明の1つの態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、さらに、発現のために用いられる宿主の分泌経路において新生融合ポリペプチドを導くシグナル配列を含む。1つのさらに好ましい態様においては、シグナル配列によってコードされるシグナルペプチドが除去され、成熟INSULINアルブミン融合タンパク質が培地中に直接分泌される。本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、MAF、INV、Ig、フィビュリンB、クラステリン、インスリン様増殖因子結合タンパク質4、キメラ性HSA/MAFリーダー配列を非限定的に含む変異体HSAリーダー配列、または当技術分野で公知である他の異種シグナル配列を非限定的に含む、異種シグナル配列を含む。1つの好ましい態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質はさらに、ネイティブ性INSULINを含む。さらなる好ましい態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、さらにN末端メチオニン残基を含む。その断片および/または改変体を含む、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも、本発明の範囲に含まれる。
構築物ID 2250の発現および精製
酵母S.セレビシエにおける発現
構築物2250は、当技術分野で公知の方法によって酵母S.セレビシエ中に形質転換導入することができる(実施例3を参照)。発現レベルは、一次抗体として抗HSA血清を用いるイムノブロット検出によって調べることができる。
酵母S.セレビシエ細胞上清からの精製
酵母S.セレビシエにおいて、構築物ID番号2250から発現された分泌性のINSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質を含む細胞上清を、実施例4において記載したように精製することができる。このアルブミン融合タンパク質のN末端シークエンシングにより、HSAの成熟形態のアミノ末端に対応する配列DAHKSが得られるはずである。
構築物2250によってコードされるアルブミン融合タンパク質の存在下におけるインビトロでの[3H]-2-デオキシグルコース取り込みアッセイ
方法
構築物2250によってコードされるINSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質の存在下における3T3-L1脂肪細胞でのグルコース取り込みを測定するためのインビトロアッセイを、以下に記載したように実施した。INSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質を試験するために用いうる当技術分野で公知の他のアッセイには、グリコーゲン合成キナーゼ-3(GSK-3)を介したL6ラット筋芽細胞増殖アッセイ、ならびにラットリンゴ酸デヒドロゲナーゼプロモーター(rMEP)-SEAPレポーター、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)-SEAPレポーター、脂肪酸合成(FAS)-SEAPレポーター、およびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)-SEAPレポーターを含むH4IIeレポーターアッセイが非限定的に含まれる。
結果
構築物2250によってコードされるインスリンアルブミン融合タンパク質を発現する形質転換された酵母S.セレビシエに由来する上清により、3T3-L1脂肪細胞におけるグルコース取り込み/輸送活性が実証された(図18を参照)。
構築物2250によってコードされるアルブミン融合タンパク質の存在下におけるインビトロでの膵細胞株増殖アッセイ
方法
構築物2250によってコードされるINSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質の存在下における、膵管上皮膵臓ARIP細胞株のインスリン産生β細胞への分化および増殖を測定するため、および/またはインスリン産生RIN-M β細胞株の増殖を測定するためのインビトロアッセイは、以下に見出し「膵臓細胞株への[3H]チミジン取り込みのインビトロアッセイ」を付して述べたようにして実施することができる。
構築物2250によってコードされるアルブミン融合タンパク質の活性は、糖尿病NODおよび/またはNIDDMマウスモデルを用いてインビボでアッセイすることができる。
構築物2250によってコードされるINSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質の活性は、以下に見出し「NODマウスにおける糖尿病の発生」、「NODマウスの組織学的検査」および「NIDDMのインビボマウスモデル」を付して述べたようにして測定することができる。
実施例9
構築物ID 2255、Insulin(GYG)-HSAの作製
構築物ID 2255、pSAC35.INSULIN(GYG).F1-N62.HSAは、酵母S.セレビシエ発現ベクターpSAC35中にクローニングされた、32位にTyrを有する合成一本鎖長時間作用型インスリン類似体(INSULIN(GY32G))のアミノ末端と融合され、さらに、成熟型HSAと融合されたHSAキメラリーダー配列を含むINSULIN(GYG)-HSA融合タンパク質をコードする。
構築物2255に関するINSULIN(GYG)cDNAのクローニング
INSULIN(GYG)の合成一本鎖形態をコードするDNAを、4つの部分的に重複するプライマーを用いてPCRで作製した。プロインスリンのプロセシングの必要性をなくし、かつ一本鎖タンパク質の適正なフォールディングを確実にするために、プロインスリンcDNAの中間領域のCペプチドに対応する配列を、インスリン成長因子1(「IGF-1」)のCドメイン(GY32GSSSRRAPQT)によって置き換えた。この配列を酵母S.セレビシエにおける発現のためにコドン最適化した。このPCR断片をSal I/Cla Iで消化し、Xho I/Cla Iで消化したpScCHSA中にサブクローニングした。続いて、Not I断片をpSAC35プラスミド中にサブクローニングした。構築物ID番号2255は、合成一本鎖形態のINSULIN(GYG)のアミノ末端の後にHSAの成熟形態が続いて融合した、HSAのキメラ性リーダー配列をコードする。
INSULIN(GYG)、INSULIN(GYG)-3およびINSULIN(GYG)-4の合成一本鎖形態をコードするポリヌクレオチドのPCR増幅のために適した4つの部分的に重複するオリゴヌクレオチドの5'プライマーおよび3'プライマーを合成した:
33 INSULIN(GYG)-3
Figure 0005256199
INSULIN(GYG)-3は、Sal Iクローニング部位、およびINSULIN(GYG)の合成一本鎖形態のORFの最初の21アミノ酸をコードするDNAを組み込んでいる。INSULIN(GYG)-4はCla I部位を組み込んでいる;このCla I部位およびそれに続くDNAは、成熟HSAタンパク質の最初の10アミノ酸をコードするDNAの逆相補物である。INSULIN(GYG)-4はまた、INSULIN(GYG)の合成一本鎖形態の最後の15個のアミノ酸残基Cys-49からAsn-63をコードする46ヌクレオチドの逆相補物も含む。これらの2つのプライマーを用いて、アニーリング、アニーリングさせたプライマーの伸長、Sal IおよびCla Iによる消化、ならびにXho I/Cla Iで消化したpScCHSA中へのサブクローニングにより、合成一本鎖INSULIN(GYG)タンパク質を作製した。続いて、このクローンからのNot I断片をpSAC35のNot I部位に連結させて、構築物ID 2255を作製した。構築物ID #2255は、キメラ性リーダー配列、INSULIN(GYG)の合成一本鎖形態およびHSAの成熟形態を含むアルブミン融合タンパク質をコードし、これは別に「IN101NHY」とも称される。
発現されたアルブミン融合タンパク質のN末端のアミノ酸シークエンシングによるさらなる分析により、予想されるINSULIN(GYG)配列の存在が確認されるはずである(以下を参照のこと)。
本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、INSULINの合成一本鎖類似体、すなわちPhe-1〜Asn-62のN末端またはC末端のいずれかに融合されたHSAの成熟形態、すなわちAsp-25〜Leu-609を含む;プロインスリンcDNAの中間領域のCペプチドに対応する配列は、インスリン成長因子1(「IGF-1」)のCドメイン(
Figure 0005256199
)によって置き換えられた。本発明の1つの態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質はさらに、発現のために用いられる宿主の分泌経路において新生融合ポリペプチドを導くシグナル配列を含む。1つのさらに好ましい態様においては、シグナル配列によってコードされるシグナルペプチドが除去され、成熟INSULINアルブミン融合タンパク質が培地中に直接分泌される。本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、MAF、INV、Ig、フィビュリンB、クラステリン、インスリン様増殖因子結合タンパク質4、キメラ性HSA/MAFリーダー配列を非限定的に含む変異体HSAリーダー配列、または当技術分野で公知である他の異種シグナル配列を非限定的に含む、異種シグナル配列を含む。1つの好ましい態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質はさらに、ネイティブなINSULINを含む。さらなる好ましい態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、さらにN末端メチオニン残基を含む。その断片および/または改変体を含む、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも、本発明の範囲に含まれる。
構築物ID 2255の発現および精製
酵母S.セレビシエにおける発現
構築物2255は、当技術分野で公知の方法によって酵母S.セレビシエ中に形質転換導入することができる(実施例3を参照)。発現レベルは、一次抗体として抗HSA血清を用いるイムノブロット検出によって調べることができる。
酵母S.セレビシエ細胞上清からの精製
酵母S.セレビシエにおいて、構築物ID番号2255から発現された分泌性のINSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質を含む細胞上清を、実施例4において記載したように精製することができる。発現および精製されたアルブミン融合タンパク質のN末端シークエンシングにより、合成一本鎖長時間作用型インスリン類似体(INSULIN(GY32G))のアミノ末端に対応するFVNQHが得られるはずである。
構築物2255によってコードされるアルブミン融合タンパク質の存在下におけるインビトロでの[3H]-2-デオキシグルコース取り込みアッセイ
方法
構築物2255によってコードされるINSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質の存在下における3T3-L1脂肪細胞でのグルコース取り込みを測定するためのインビトロアッセイを、以下に記載したように実施した。INSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質を試験するために用いうる当技術分野で公知の他のアッセイには、グリコーゲン合成キナーゼ-3(GSK-3)を介したL6ラット筋芽細胞増殖アッセイ、ならびにラットリンゴ酸デヒドロゲナーゼプロモーター(rMEP)-SEAPレポーター、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)-SEAPレポーター、脂肪酸合成(FAS)-SEAPレポーター、およびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)-SEAPレポーターを含むH4IIeレポーターアッセイが非限定的に含まれる。
構築物2255によってコードされるアルブミン融合タンパク質の存在下におけるインビトロでの膵細胞株増殖アッセイ
方法
構築物2255によってコードされるINSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質の存在下における、膵管上皮膵臓ARIP細胞株のインスリン産生β細胞への分化および増殖を測定するため、および/またはインスリン産生RIN-M β細胞株の増殖を測定するためのインビトロアッセイは、以下に見出し「膵臓細胞株への[3H]チミジン取り込みのインビトロアッセイ」を付して述べたようにして実施することができる。
構築物2255によってコードされるアルブミン融合タンパク質の活性は、糖尿病NODおよび/またはNIDDMマウスモデルを用いてインビボでアッセイすることができる。
構築物2255によってコードされるINSULIN(GYG)アルブミン融合タンパク質の活性は、以下に見出し「NODマウスにおける糖尿病の発生」、「NODマウスの組織学的検査」および「NIDDMのインビボマウスモデル」を付して述べたようにして測定することができる。
実施例10
構築物ID 2276、HSA-インスリン(GGG)の作製
構築物ID 2276、pSAC35.HSA.INSULIN(GGG).F1-N58は、酵母S.セレビシエ発現ベクターpSAC35中にクローニングされた、32位にGlyを有する合成一本鎖長時間作用型インスリン類似体(INSULIN(GG32G))のアミノ末端と融合されたネイティブなHSAリーダー配列を含む完全長HSAを含む、HSA-INSULIN(GGG)融合タンパク質をコードする。
構築物2276に関するINSULIN(GGG)cDNAのクローニング
INSULIN(GGG)の合成一本鎖形態をコードするDNAを、4つの部分的に重複するプライマーを用いてPCRで作製した。プロインスリンのプロセシングの必要性をなくし、かつ一本鎖タンパク質の適正なフォールディングを確実にするために、プロインスリンcDNAの中間領域のCペプチドに対応する配列を、合成リンカーGG32GPGKRによって置き換えた。この配列を酵母S.セレビシエにおける発現のためにコドン最適化した。このPCR断片を消化し、Bsu 36I/Asc Iで消化したpScNHSA中にサブクローニングした。続いて、Not I断片をpSAC35プラスミド中にサブクローニングした。構築物ID番号2276は、合成一本鎖形態のINSULIN(GGG)のアミノ末端と融合したネイティブなHSAリーダー配列を含む完全長HSAをコードする。
INSULIN(GGG)、INSULIN(GGG)-1およびINSULIN(GGG)-2の合成一本鎖形態をコードするポリヌクレオチドのPCR増幅のために適した4つの部分的に重複するオリゴヌクレオチドの5'プライマーおよび3'プライマーを合成した:
34 INSULIN(GGG)-5
Figure 0005256199
INSULIN(GGG)-6
Figure 0005256199
INSULIN(GGG)-5は、Bsu 36Iクローニング部位を組み込んでおり、INSULIN(GGG)の合成一本鎖形態のORFの最初の21アミノ酸をコードする。INSULIN(GGG)-6はAsc I部位を組み込んでいる。INSULIN(GGG)-6は、INSULIN(GGG)の合成一本鎖形態のアミノ酸残基Cys-44からAsn-58までをコードする最後の49ヌクレオチドの逆相補物も含む。これらの2つのプライマーを用いて、INSULIN(GGG)の合成一本鎖形態をPCR増幅した。アニーリングおよび伸長の温度および時間は、それぞれの特異的なプライマー対およびテンプレートに対して経験的に決定しなければならない。
PCR産物を精製し(例えば、Wizard PCR Preps DNA Purification System(Promega Corp)を用いて)、続いてBsu36IおよびAscIで消化した。ゲル電気泳動によるBsu36I-AscI断片のさらなる精製の後に、この産物をBsu36I/AscIで消化したpScNHSA中にクローニングした。さらにNot I断片をpSAC35中にサブクローニングして、構築物ID番号2276を得た。
さらに、発現されたアルブミン融合タンパク質のN末端のアミノ酸シークエンシングによる分析により、予想される成熟HSA配列の存在が確認されるはずである(以下を参照のこと)。
本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、INSULINの合成一本鎖類似体、すなわちPhe-1〜Asn-58のN末端またはC末端のいずれかに融合されたHSAの成熟形態、すなわちAsp-25〜Leu-609を含む;プロインスリンcDNAの中間領域のCペプチドに対応する配列は、合成リンカー(GG32GPGKR)によって置き換えられた。本発明の1つの態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、さらに、発現のために用いられる宿主の分泌経路において新生融合ポリペプチドを導くシグナル配列を含む。1つのさらに好ましい態様においては、シグナル配列によってコードされるシグナルペプチドが除去され、成熟INSULINアルブミン融合タンパク質が培地中に直接分泌される。本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、MAF、INV、Ig、フィビュリンB、クラステリン、インスリン様増殖因子結合タンパク質4、キメラ性HSA/MAFリーダー配列を非限定的に含む変異体HSAリーダー配列、または当技術分野で公知である他の異種シグナル配列を非限定的に含む、異種シグナル配列を含む。1つの好ましい態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質はさらに、ネイティブなINSULINを含む。さらなる好ましい態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、さらにN末端メチオニン残基を含む。その断片および/または改変体を含む、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも、本発明の範囲に含まれる。
構築物ID 2276の発現および精製
酵母S.セレビシエにおける発現
構築物2276は、当技術分野で公知の方法によって酵母S.セレビシエ中に形質転換導入することができる(実施例3を参照)。発現レベルは、一次抗体として抗HSA血清を用いるイムノブロット検出によって調べることができる。
酵母S.セレビシエ細胞上清からの精製
酵母S.セレビシエにおいて、構築物ID番号2276から発現された分泌性のINSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質を含む細胞上清を、実施例4において記載したように精製することができる。N末端シークエンシングにより、HSAの成熟形態のアミノ末端に対応する配列DAHKSが得られるはずである。
構築物2276によってコードされるアルブミン融合タンパク質の存在下におけるインビトロでの[3H]-2-デオキシグルコース取り込みアッセイ
方法
構築物2276によってコードされるINSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質の存在下における3T3-L1脂肪細胞でのグルコース取り込みを測定するためのインビトロアッセイを、以下に記載したように実施した。INSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質を試験するために用いうる当技術分野で公知の他のアッセイには、グリコーゲン合成キナーゼ-3(GSK-3)を介したL6ラット筋芽細胞増殖アッセイ、ならびにラットリンゴ酸デヒドロゲナーゼプロモーター(rMEP)-SEAPレポーター、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)-SEAPレポーター、脂肪酸合成(FAS)-SEAPレポーター、およびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)-SEAPレポーターを含むH4IIeレポーターアッセイが非限定的に含まれる。
結果
構築物2276によってコードされるインスリンアルブミン融合タンパク質を発現する形質転換された酵母S.セレビシエに由来する上清により、3T3-L1脂肪細胞におけるグルコース取り込み/輸送活性が実証された(図18を参照)。
構築物2276によってコードされるアルブミン融合タンパク質の存在下におけるインビトロでの膵細胞株増殖アッセイ
方法
構築物2276によってコードされるINSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質の存在下における、膵管上皮膵臓ARIP細胞株のインスリン産生β細胞への分化および増殖を測定するため、および/またはインスリン産生RIN-M β細胞株の増殖を測定するためのインビトロアッセイは、以下に見出し「膵臓細胞株への[3H]チミジン取り込みのインビトロアッセイ」を付して述べたようにして実施することができる。
構築物2276によってコードされるアルブミン融合タンパク質の活性は、糖尿病NODおよび/またはNIDDMマウスモデルを用いてインビボでアッセイすることができる。
構築物2276によってコードされるINSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質の活性は、以下に見出し「NODマウスにおける糖尿病の発生」、「NODマウスの組織学的検査」および「NIDDMのインビボマウスモデル」を付して述べたように、NODおよび/またはNIDDMマウスモデルを用いて測定することができる。
実施例11
構築物ID 2278、インスリン(GGG)-HSAの作製
構築物ID 2278、pSAC35.INSULIN(GGG).HSAは、酵母S.セレビシエ発現ベクターpSAC35中にクローニングされた、32位にGlyを有する合成一本鎖長時間作用型インスリン類似体(INSULIN(GG32G))のアミノ末端と融合されたHSAのHSAキメラ性リーダー配列を含む、INSULIN(GGG)-HSA融合タンパク質をコードする。
構築物2278に関するINSULIN(GGG)cDNAのクローニング
INSULIN(GGG)の合成一本鎖形態をコードするDNAを、4つの部分的に重複するプライマーを用いてPCRで作製した。プロインスリンのプロセシングの必要性をなくし、かつ一本鎖タンパク質の適正なフォールディングを確実にするために、プロインスリンcDNAの中間領域のCペプチドに対応する配列を、合成リンカー(GG32GPGKR)によって置き換えた。この配列を酵母S.セレビシエにおける発現のためにコドン最適化した。このPCR断片をSal I/Cla Iで消化し、Xho I/Cla Iで消化したpScCHSA中にサブクローニングした。続いて、Not I断片をpSAC35プラスミド中にサブクローニングした。構築物ID番号2278は、合成一本鎖形態のINSULIN(GGG)のアミノ末端の後にHSAの成熟形態が続いて融合した、HSAのキメラ性リーダー配列をコードする。
INSULIN(GGG)、INSULIN(GGG)-7およびINSULIN(GGG)-8の合成一本鎖形態をコードするポリヌクレオチドのPCR増幅のために適した4つの部分的に重複するオリゴヌクレオチドの5'プライマーおよび3'プライマーを合成した:35 INSULIN(GGG)-7、
Figure 0005256199
、INSULIN(GGG)-8、
Figure 0005256199
INSULIN(GGG)-7は、Sal Iクローニング部位、およびINSULIN(GGG)の合成一本鎖形態のORFの最初の21アミノ酸をコードするDNAを組み込んでいる。INSULIN(GGG)-8はCla I部位を組み込んでいる;このCla I部位およびそれに続くDNAは、成熟HSAタンパク質の最初の10アミノ酸をコードするDNAの逆相補物である。INSULIN(GGG)-8はまた、INSULIN(GGG)の合成一本鎖形態の最後の15個のアミノ酸残基Cys-44からAsn-58までをコードする46ヌクレオチドの逆相補物も含む。これらの2つのプライマーを用いて、アニーリング、アニーリングさせたプライマーの伸長、Sal IおよびCla Iによる消化、ならびにXho I/Cla Iで消化したpScCHSA中へのサブクローニングにより、合成一本鎖INSULIN(GGG)タンパク質を作製した。続いて、このクローンからのNot I断片をpSAC35のNot I部位に連結させて、構築物ID 2278を作製した。構築物ID #2278は、キメラ性リーダー配列、INSULIN(GGG)の合成一本鎖形態およびHSAの成熟形態を含むアルブミン融合タンパク質をコードし、これは別に「IN100NHY」とも称される。
さらに、発現されたアルブミン融合タンパク質のN末端のアミノ酸シークエンシングによる分析により、予想されるINSULIN(GGG)配列の存在が確認されるはずである(以下を参照のこと)。
本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、INSULINの合成一本鎖類似体、すなわちPhe-1〜Asn-58のN末端またはC末端のいずれかに融合されたHSAの成熟形態、すなわちAsp-25〜Leu-609を含む;プロインスリンcDNAの中間領域のCペプチドに対応する配列は、合成リンカー(GG32GPGKR)によって置き換えられた。本発明の1つの態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質はさらに、発現のために用いられる宿主の分泌経路において新生融合ポリペプチドを導くシグナル配列を含む。1つのさらに好ましい態様においては、シグナル配列によってコードされるシグナルペプチドが除去され、成熟INSULINアルブミン融合タンパク質が培地中に直接分泌される。本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、好ましくは、MAF、INV、Ig、フィビュリンB、クラステリン、インスリン様増殖因子結合タンパク質4、キメラ性HSA/MAFリーダー配列を非限定的に含む変異体HSAリーダー配列、または当技術分野で公知である他の異種シグナル配列を非限定的に含む、異種シグナル配列を含む。1つの好ましい態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質はさらに、ネイティブなINSULINを含む。さらなる好ましい態様において、本発明のINSULINアルブミン融合タンパク質は、さらにN末端メチオニン残基を含む。その断片および/または改変体を含む、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも、本発明の範囲に含まれる。
構築物ID 2278の発現および精製
酵母S.セレビシエにおける発現
構築物2278は、当技術分野で公知の方法によって酵母S.セレビシエ中に形質転換導入することができる(実施例3を参照)。発現レベルは、一次抗体として抗HSA血清を用いるイムノブロット検出によって調べることができる。
酵母S.セレビシエ細胞上清からの精製
酵母S.セレビシエにおいて、構築物ID番号2278から発現された分泌性のINSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質を含む細胞上清を、実施例4において記載したように精製することができる。発現および精製されたアルブミン融合タンパク質のN末端シークエンシングにより、合成一本鎖長時間作用型インスリン類似体(INSULIN(GG32G))のアミノ末端に対応するFVNQHが得られるはずである。
構築物2278によってコードされるアルブミン融合タンパク質の存在下におけるインビトロでの[3H]-2-デオキシグルコース取り込みアッセイ
方法
構築物2278によってコードされるINSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質の存在下における3T3-L1脂肪細胞でのグルコース取り込みを測定するためのインビトロアッセイを、以下に記載したように実施した。INSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質を試験するために用いうる当技術分野で公知の他のアッセイには、グリコーゲン合成キナーゼ-3(GSK-3)を介したL6ラット筋芽細胞増殖アッセイ、ならびにラットリンゴ酸デヒドロゲナーゼプロモーター(rMEP)-SEAPレポーター、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)-SEAPレポーター、脂肪酸合成(FAS)-SEAPレポーター、およびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)-SEAPレポーターを含むH4IIeレポーターアッセイが非限定的に含まれる。
構築物2278によってコードされるアルブミン融合タンパク質の存在下におけるインビトロでの膵細胞株増殖アッセイ
方法
構築物2278によってコードされるINSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質の存在下における、膵管上皮膵臓ARIP細胞株のインスリン産生β細胞への分化および増殖を測定するため、および/またはインスリン産生RIN-M β細胞株の増殖を測定するためのインビトロアッセイは、以下に見出し「膵臓細胞株への[3H]チミジン取り込みのインビトロアッセイ」を付して述べたようにして実施することができる。
構築物2278によってコードされるアルブミン融合タンパク質の活性は、糖尿病NODおよび/またはNIDDMマウスモデルを用いてインビボでアッセイすることができる。
構築物2278によってコードされるINSULIN(GGG)アルブミン融合タンパク質の活性は、以下に見出し「NODマウスにおける糖尿病の発生」、「NODマウスの組織学的検査」および「NIDDMのインビボマウスモデル」を付して述べたように、NODおよび/またはNIDDMマウスモデルを用いて測定することができる。
実施例12
インスリンアルブミン融合タンパク質に関する適応症
上記のインビトロアッセイからの結果は、インスリンアルブミン融合タンパク質が、高血糖症、インスリン抵抗性、インスリン欠乏、高脂血症、高ケトン血症、ならびに糖尿病、1型および2型の糖尿病の治療、予防および/または診断のために有用であることを示している。
実施例13
寄託された試料からの選択されたcDNAクローンの単離
本発明のアルブミン融合構築物の多くは、表3に示されているようにATCCに寄託されている。アルブミン融合構築物は、以下の発現ベクターのいずれか1つを含みうる:酵母S.セレビシエ発現ベクターpSAC35、哺乳動物発現ベクターpC4、または哺乳動物発現ベクターpEE12.1。
pSAC35ベクター(Sleep et al., 1990, Biotechnology 8:42)、pC4ベクター(ATCCアクセッション番号209646;Cullen et al., Molecular and Cellular Biology, 438-447 (1985);Boshart et al., Cell 41: 521-530 (1985))およびpEE12.1ベクター (Lonza Biologics, Inc.; Stephens and Cockett, NucI. Acids Res. 17: 7110 (1989);国際公開公報第WO 89/01036号;Murphy et al., Biochem. J. 227: 277-279 (1991);Bebbington et al., Bio/Technology 10:169-175 (1992);米国特許第5,122,464号;国際公開公報第WO 86/05807号)は、細菌細胞の増殖のためのアンピシリン耐性遺伝子を含む。これらのベクターおよび/またはそれらを含むアルブミン融合構築物は、Hanahanのような当技術分野で記載された手法を用いて、大腸菌株、例えばStratagene XL-1 Blue(Stratagene Cloning Systems,Inc., 11011 N. Torrey Pines Road, La Jolla, Calif., 92037)中に形質転換導入して、100μg/mLアンピシリンを含むLuria-Broth寒天プレート上に播いて、37℃で一晩増殖させることができる。
任意の所定のアルブミン融合構築物について、表3に引用したATCC寄託番号を割り当てられた試料における寄託材料は、それぞれが異なるアルブミン融合タンパク質をコードする、1つまたは複数のさらなるアルブミン融合構築物を含むことができる。したがって、同じATCC寄託番号を有する寄託物は、少なくとも、表3の対応する列において特定されたアルブミン融合構築物を含む。
表3にアルブミン融合構築物について引用したプラスミドDNAの寄託された試料由来の特定のアルブミン融合構築物を単離するために、2つのアプローチを用いることができる。
方法1:スクリーニング
第1に、当技術分野で公知の方法を用いて、構築物の配列に対応するポリヌクレオチドプローブを用いて寄託されたプラスミドDNAの試料をスクリーニングすることによって、アルブミン融合構築物を直接単離することができる。例えば、30〜40ヌクレオチドを有する特定のポリヌクレオチドを、報告された配列に従ってApplied Biosystems DNA合成装置を用いて合成することができる。オリゴヌクレオチドは、例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて32P-γ-ATPで標識し、ルーチン的な方法に従って精製することができる(例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring, N.Y. (1982))。所定のATCC寄託物からのアルブミン融合構築物を、上述したように、例えば、ベクター供給業者によって提供されるか、または上に引用した関連刊行物もしくは特許中に提供される、当業者に公知の手法を用いて適切な宿主(例えば、XL-1 Blue(Stratagene))に形質転換導入する。その形質転換体を、プレート当たり約150個の形質転換体(コロニー)の密度になるまで、1.5%寒天プレート(適切な選択薬剤(例えば、アンピシリン)を含む)上にプレーティングする。これらのプレートを、細菌コロニースクリーニングのためのルーチン的な方法(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edit., (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press, ページ1.93から1.104まで)または当業者に公知の他の技術に従って、ナイロン膜を用いてスクリーニングする。
方法2:PCR
または、所定のアルブミン融合タンパク質をコードするDNAを、例えば、所定のアルブミン融合タンパク質をコードするDNAに対する5'側および3'側の寄託されたアルブミン融合構築物に対してハイブリダイズする17〜20ヌクレオチドの2つのプライマーを使用することによって、寄託されたアルブミン融合構築物の試料から増幅させることもできる。ポリメラーゼ連鎖反応は、ルーチン的な条件下で、例えば、0.5μgの上記cDNAテンプレートとの25μlの反応混合物中で実施する。好都合な反応混合物は、1.5〜5mM MgCl2、0.01%(w/v)ゼラチン、各20μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、25pmolの各プライマーおよび0.25単位のTaqポリメラーゼである。35サイクルのPCR(94℃、1分間の変性;55℃、1分間のアニーリング;72℃、1分間の伸長)を、Perkin-Elmer Cetus自動化サーマルサイクラーを用いて行う。増幅産物をアガロースゲル電気泳動によって分析し、予想される分子量を有するバンドを切り出して精製する。PCR産物が選択された配列であることを、サブクローニングおよびDNA産物のシークエンシングによって検証する。
寄託されたクローン中に存在しない可能性のある遺伝子の5'非コード部分または3'非コード部分の同定のためには、いくつかの方法が利用可能である。これらの方法には、フィルタープロービング(filter probing)、特定のプローブを使用するクローン富化、ならびに当技術分野で公知の5'「RACE」プロトコールおよび3'「RACE」プロトコールに類似するかまたは同一のプロトコールが非限定的に含まれる。例えば、5'RACEに類似の方法を、所望の完全長転写物の欠けている5'末端を生成させるために利用することができる(Fromont-Racine et al., Nucleic Acids Res., 21(7):1683-1684 (1993))。
手短に述べると、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、完全長遺伝子RNA転写物を含むと思われるRNAの集団の5'末端に連結させる。連結されたRNAオリゴヌクレオチドに対して特異的なプライマーおよび関心対象の遺伝子の公知の配列に対して特異的なプライマーを含むプライマーセットを、所望の完全長遺伝子の5'部分をPCR増幅するために用いる。続いて、この増幅された産物のシークエンシングを行い、完全長遺伝子を生成させるために用いることができる。
この上記の方法は、所望の供給源から単離された全RNAで開始するが、ポリ-A+RNAを用いることもできる。続いて、後のRNAリガーゼの段階と干渉する可能性のある、分解されたRNAまたは損傷したRNA上の5'リン酸基を除去するために、RNA調製物を必要に応じてホスファターゼで処理する。続いて、ホスファターゼを不活性化するべきであり、メッセンジャーRNAの5'末端に存在するキャップ構造を除去するために、RNAをタバコ酸ピロホスファターゼで処理する。この反応により、キャップ切断されたRNAの5'末端に5'リン酸基が残り、これをT4 RNAリガーゼを用いてRNAオリゴヌクレオチドと連結させることができる。
この改変されたRNA調製物を、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを用いる第1鎖cDNA合成のためのテンプレートとして用いる。第1鎖合成反応は、連結されたRNAオリゴヌクレオチドに対して特異的なプライマーおよび関心対象の遺伝子の公知の配列に対して特異的なプライマーを用いる所望の5'末端のPCR増幅のためのテンプレートとして用いられる。続いて、5'末端配列が所定の遺伝子に属することを確認するために、その結果得られた産物のシークエンシングおよび分析を行う。
実施例14
[3H]-2-デオキシグルコース取り込みアッセイ
脂肪、骨格筋および肝臓はインスリン感受性組織である。インスリンは、これらの組織へのグルコース取り込み/輸送を賦活化させることができる。脂肪および骨格筋の場合には、インスリンは、特化した細胞内区画から細胞表面へのグルコース輸送体4分子(GLUT4)のトランスロケーションを最終的に導くシグナル伝達を惹起する。ひとたび細胞表面上に達すると、GLUT4はグルコース取り込み/輸送を可能にする。
[3H]-2-デオキシグルコース取り込み
多くの脂肪関連細胞株および筋肉関連細胞株を、糖尿病の治療に関して列挙された任意の1つまたは複数の治療薬の組み合わせの非存在下または存在下において、グルコース取り込み/輸送活性について試験することができる。特に、3T3-L1マウス線維芽細胞およびL6マウス骨格筋細胞は、それぞれ3T3-L1脂肪細胞および筋管に分化させて、[3H]-2-デオキシグルコース取り込みアッセイのための適切なインビトロモデルとして役立てることができる(Urso et al., J Biol Chem, 274(43): 30864-73 (1999);Wang et al.,J Mol Endocrinol, 19(3): 241-8 (1997);Haspel et al., J Membr Biol, 169 (1): 4553 (1999);Tsakiridis et al., Endocrinology, 136(10): 4315-22 (1995))。手短に述べると、2×105細胞/100μLの脂肪細胞または分化L6細胞を、分化後培地中にある、処理された、すなわち50μg/mLのポリ-L-リジンでコートされた96ウェル組織培養「TC」プレートに移し、5%CO2中にて37℃で一晩インキュベートする。細胞をまず無血清低グルコースDMEM培地で1回洗浄し、続いて1nMのインスリンの非存在下または存在下で、100μL/ウェルの同じ培地および100μL/ウェルの緩衝液または糖尿病の治療に関して列挙された任意の1つまたは複数の治療薬、例えば、1nM、10nM、および100nMという種々の濃度の本発明の治療薬の組み合わせのいずれかとともに37℃で16時間欠乏状態におく。プレートを100μL/ウェルのHEPES緩衝食塩水で3回洗浄する。10μMの標識[3H]-2-デオキシグルコース(Amersham,#TRK672)および10□Mの非標識2-デオキシグルコース(SIGMA, D-3179)の存在下で、インスリンをHEPES緩衝化食塩水に添加して37℃で30分間おく。対照として、インスリンの非存在下であることを除いて同じ条件を実施する。非特異的な取り込みを測定するために、別のウェルに最終濃度10μMのサイトカラシンB(SIGMA,C6762)を100μL/ウェルで添加する。細胞をHEPES緩衝化食塩水で3回洗浄する。標識性、すなわち10μMの[3H]-2-デオキシグルコース、および非標識性、すなわち10μMの2-デオキシグルコースを室温で添加して10分間おく。細胞を冷リン酸緩衝食塩水「PBS」で3回洗浄する。0.2N NaOHを150μL/ウェルで添加し、続いて室温で20分間振盪しながらインキュベートすることによって細胞を溶解させる。続いて、試料をシンチレーションバイアルに移し、それに5mLのシンチレーション液を添加する。バイアルをβ-シンチレーション計数器で計数する。インスリンが存在しないか存在するかに違いのある二通りの条件における取り込みを、以下の式を用いて決定する:[(1分間当たりのインスリン計数「cpm」-非特異的cpm)/(インスリンなしのcpm-非特異的cpm)]。平均応答は、脂肪細胞および筋管に対する対照のそれぞれ約5倍および3倍の限度内に含まれる。
細胞の分化
細胞を、T-75cm2フラスコ中で完全に集密化させる。培地を除去し、25mLの分化前培地に交換して48時間おく。細胞は5%CO2、湿度85%にて37℃でインキュベートする。48時間後に分化前培地を除去し、25mLの分化培地に交換して48時間おく。細胞を再び5%CO2、湿度85%にて37℃でインキュベートする。48時間後に培地を除去し、30mLの分化後培地に交換する。分化後培地は、14〜20日間、または完全な分化が達成されるまで維持する。培地は2〜3日毎に交換する。ヒト脂肪細胞はZen-Bio, INC(#SA-1096)から購入することができる。
実施例15
膵臓細胞株への[3H]チミジン取り込みのインビトロアッセイ
GLP-1は時間依存的および用量依存的な様式でラット膵臓管上皮細胞株ARIPの分化を誘導し、それに伴ってIslet Duodenal Homeobox-1(IDX-1)およびインスリンのmRNAレベルも上昇することが最近示されている(Hui et al., 2001, Diabetes, 50(4): 785-96)。続いてIDX-1は、GLP-1レセプターのmRNAレベルを上昇させる。
被験細胞種
RIN-M細胞
これらの細胞は、American Type Tissue Culture Collectionから入手可能である(ATCC細胞株番号CRL-2057)。RIN-M細胞株は、放射線照射により誘導された移植可能なラット島細胞腫瘍に由来する。この株は腫瘍のヌードマウス異種移植片から樹立された。この細胞は、島ポリペプチドホルモンを産生および分泌し、L-ドーパデカルボキシラーゼ(アミン前駆体の取り込みおよび脱炭酸化、すなわちAPUD活性を有する細胞に関するマーカー)を産生する。
ARIP細胞
これらは、American Type Tissue Culture Collectionから入手可能な上皮形態を有する膵臓外分泌細胞である(ATCC細胞株番号CRL-1674)。参考文献:Jessop, N. W. and Hay, R. J., "Characteristics of two rat pancreatic exocrine cell lines derived from transplantable tumors," In Vitro 16: 212, (1980);Cockell, M. et al., "Identification of a cell-specific DNA-binding activity that interacts with a transcriptional activator of genes expressed in the acinar pancreas," Mol. Cell. Biol. 9: 24642476, (1989);Roux, E., et al. "The cell-specific transcription factor PTF1 contains two different subunits that interact with the DNA" Genes Dev. 3: 1613-1624, (1989);およびHui, H., et al., "Glucagon-like peptide 1 induces differentiation of islet duodenal homeobox-1-positive pancreatic ductal cells into insulin-secreting cells," Diabetes 50: 785-796 (2001)も参照されたい。
細胞の調製
RIN-M細胞株は、10%ウシ胎仔血清(Hyclone, #SH30088.03)を含むRPMI 1640培地(HyClone, #SH300027.01)中で増殖させ、6〜8日毎に1:3〜1:6の比で継代する。培地は3〜4日毎に交換する。
ARIP(ATCC#CRL-1674)細胞株は、1.5g/Lの重炭酸ナトリウムおよび10%ウシ胎仔血清を含むように調製された、2mM L-グルタミンを含むハムF12K培地(ATCC#30-2004)中で増殖させる。ARIP細胞株は週2回ずつ1:3〜1:6の比で継代する。培地は3〜4日毎に交換する。
アッセイプロトコール
細胞を、96ウェルプレート中に4000個/ウェルで播種し、集密度50%になるまで48〜72時間培養する。細胞を100μL/ウェルの血清を含まない培地に交換する。48〜72時間のインキュベーションの後に、血清および/または本発明の治療薬(例えば、本発明のアルブミン融合タンパク質ならびにそれらの断片および変異体)をウェルに加える。インキュベーションをさらに36時間継続する。[3H]-チミジン(5〜20Ci/mmol)(Amersham Pharmacia, #TRK120)を、1マイクロキュリー/Sマイクロリットルに希釈する。36時間のインキュベーションの後に、1ウェル当たり5マイクロリットルを加えてさらに24時間おく。冷リン酸緩衝食塩水「PBS」で1回穏やかに洗浄することによって反応を終結させる。続いて、100マイクロリットルの10%氷冷TCAによって細胞を4℃で15分間固定する。PBSを除去し、200マイクロリットルの0.2N NaOHを加える。プレートを、撹拌しながら室温で1時間インキュベートする。溶液をシンチレーションバイアルに移し、水溶液に適合性のある5mLのシンチレーション液を加えて激しく混合する。バイアルをβシンチレーション計数器で計数する。陰性対照としては緩衝液のみを用いる。陽性対照としては胎仔子ウシ血清を用いる。
実施例16
糖尿に関するアッセイ
糖尿(すなわち、尿中の過剰な糖分)は、糖尿病の疾病状態の指標を得るために容易にアッセイすることができる。正常な患者試料と比較した場合の患者試料における過剰な尿は、IDDMおよびNIDDMの症状である。IDDMおよびNIDDMを有する患者の治療の有効性は、その結果として尿中の過剰なグルコースの量が減少することによって示される。IDDMおよびNIDDMのモニタリングに関する1つの好ましい態様においては、当技術分野で公知の手法を用いて、患者からの尿試料をグルコースの存在についてアッセイする。ヒトにおける糖尿は、100ml当たり100mgを超える尿中グルコース濃度によって定義される。糖尿を示す患者における過剰な糖レベルは、血液試料を採取して血清グルコースをアッセイすることによって、さらにより正確に測定することができる。
実施例17
NODマウスにおける糖尿病の発生
雌性NOD(非肥満性糖尿病)マウスは、ヒトで認められるものに類似した経過をたどるIDDMを示すことによって特徴づけられるが、この疾患は雄性NODマウスよりも雌性NODマウスにおいてより顕著である。本明細書では以後、他に指定する場合を除き、「NODマウス」という用語は、雌性NODマウスのことを指す。NODマウスは、慢性自己免疫疾患によって引き起こされるβ細胞の進行性の崩壊を有する。このため、NODマウスは正常血糖(euglycemia)または正常な血糖レベルを有して生を始める。しかし、約15〜16週齢までにはNODマウスは高血糖になり始め、このことはそのマウスの大部分の膵臓β細胞の崩壊、およびそれに対応して膵臓が十分なインスリンを産生できなくなったことを示す。したがって、この疾患の原因および進行はいずれもヒトIDDM患者と同様である。
免疫処置レジメンの有効性に関するインビボアッセイを、雌性NOD/LtJマウス(The Jackson Laboratory, Bar Harbor, Meより販売)において評価することができる。文献には、雌性マウスの80%で24週齢までに糖尿病が発症し、6〜8週齢の間に膵島炎の発現が始まることが報告されている。NODマウスは同系交配され、種々の免疫調節戦略に対する反応性が高い。成体NODマウス(6〜8週齢)の平均重量は20〜25gである。
これらのマウスは、未処置であるか(対照)、または単独でもしくは上記の他の治療用化合物と併用して、本発明の治療薬(例えば、本発明のアルブミン融合タンパク質ならびにそれらの断片および変異体)によって治療される。糖尿病の進行に対するこれらの種々の治療の効果は、以下のように測定することができる。
14週齢の時点で、雌性NODマウスを耐糖能に従って表現型判定することができる。耐糖能は腹腔内耐糖能検査(IPGTT)によって測定することができる。手短に述べると、0分およびグルコース腹腔内注射(体重1kg当たり1g)の60分後に、血液を眼窩近傍叢(paraorbital plexus)から採取する。正常な耐糖能は、0分で144mg%未満の血漿グルコース、または60分で160mg%未満の血漿グルコースとして定義される。血糖レベルはGlucometer Elite装置を用いて決定される。
この表現型分析に基づき、動物個体を異なる実験グループに割り付けることができる。詳細には、より高度に血糖レベルが上昇した動物個体は耐糖能障害群に割り付けることができる。これらのマウスには食餌を自由摂取させ、酸性化した水(pH2.3)を与えることができる。
耐糖能のあるマウスおよび耐糖能低下マウスをさらに、対照群、本発明のアルブミン融合タンパク質群、およびアルブミン融合タンパク質/治療用化合物併用群に細分することができる。対照群のマウスは、週当たり6回、媒体の腹腔内注射を毎日受ける。アルブミン融合物群のマウスは、週当たり6回、媒体中にある本発明の治療薬(例えば、本発明のアルブミン融合タンパク質ならびにその断片および変異体)の腹腔内注射を受ける。アルブミン融合タンパク質/治療用化合物併用群のマウスは、アルブミン融合タンパク質および上記の治療用化合物の組み合わせの両方を受ける。
NODマウスにおける尿中グルコースレベルは、Labstix(Bayer Diagnostics, Hampshire, England)を用いて隔週ベースで測定することができる。体重および液体摂取量も隔週ベースで測定することができる。糖尿病の発現は、2回の連続した測定で糖尿が出現していることによって定義される。10週間の治療後にもう1回IPGTTを実施して、動物個体をその翌日に殺処理する。
10週間の治療の経過で、耐糖能群および耐糖能低下群の両方の対照動物は、それぞれ60%および86%の割合で糖尿病を発症する(Grossらの米国特許第5,866,546号を参照)。したがって、最初には耐糖能のあるNODマウスにおいてさえ、治療介入がなされなければ高い割合で糖尿病が起こる。
結果は、治療の前および後にNODマウスにおける血糖レベルを測定することによって確認することができる。記載したすべての群において、耐糖能マウスおよび耐糖能低下マウスの両方における血糖レベルは上記のように測定される。
1つの代替的な態様においては、本発明の治療薬を分光分析を用いて定量し、注射の前に、適切なタンパク質の量を1回の投与当たり50μlのリン酸緩衝食塩水(PBS)中に再懸濁させることができる。2回の注射を1週間間隔で、各マウスの背側の皮下に皮下投与することができる。モニタリングは、免疫処置の前の2つの別々の機会に行うことができ、治療期間中は毎週行い、それ以降も継続することができる。尿をグルコースに関して毎週検査することができ(Keto-Diastix(登録商標);Miles Inc., Kankakee, Ill.)、糖尿マウスを血清グルコースについて調べることができる(ExacTech(登録商標), MediSense, Inc., Waltham, Mass.)。空腹時血糖値が2.5g/Lを上回る場合には糖尿病と診断される。
実施例18
NODマウスの組織学的検査
NODマウスからの組織試料の組織学的検査により、本発明の組成物および/または本発明の組成物と糖尿病に対する他の治療薬との併用が、膵臓内のβ細胞の相対濃度を高める能力を実証することができる。実験方法は以下の通りである:
上記のマウスを治療期間の最後に殺処理し、その膵臓から組織試料を取り出す。これらの試料を0.9%食塩水中にある10%ホルマリンで固定して、ワックスの中に包埋する。免疫標識のために、5枚の連続した5μm切片の2セットを、150μmの切り出し間隔で切り出す。切片をインスリン(モルモット抗インスリン抗血清、1:1000希釈、ICN Thames U.K.)およびグルカゴン(ウサギ抗グルカゴン抗血清、1:2000希釈)に関して免疫標識し、ペルオキシダーゼ結合抗ハムスター抗血清(Dako, High Wycombe, U.K.)またはペルオキシダーゼ結合抗ウサギ抗血清(1:50希釈、Dako)を用いて検出する。
本発明の組成物は、耐糖能のある動物および耐糖能低下動物において、β細胞の可視的な量(visible mass)に対して、糖尿病の臨床症状に対して及ぼすのと同じような強い効果を有する可能性もあれば、有しない可能性もある。
実施例19
インスリン作用における関与を立証するインビトロH4IIe-SEAPレポーターアッセイ
さまざまなH4IIeレポーター
H4IIe/rMEP-SEAP:ラットから単離されたリンゴ酸酵素プロモーター(rMEP)は、インスリン経路にあるPPAR-γエレメントを含む。このレポーター構築物は、肝臓H4Ile細胞株に安定にトランスフェクトされる。
H4IIe/SREBP-SEAP:ステロール制御エレメント結合タンパク質(SREBP-1c)は、多数のインスリン応答性遺伝子、例えば、脂肪酸シンテターゼ(FAS)のプロモーターに作用し、かつ線維芽細胞、脂肪細胞および肝細胞における脂肪酸代謝の主要な遺伝子の発現を制御する転写因子である。脂肪細胞決定分化因子1(ADD-1)としても知られるSREBP-1cは、脂肪細胞における遺伝子発現に対するインスリンの効果の主要メディエーターとみなされている。その活性はインスリン、ステロールおよびグルコースレベルによって調節される。このレポーター構築物は肝臓H4Ile細胞株に安定にトランスフェクトされる。
H4IIe/FAS-SEAP:この脂肪酸シンテターゼレポーター構築物は、最小SREBP応答性FASプロモーターを含む。このレポーター構築物は肝臓H4IIe細胞株に安定にトランスフェクトされる。
H4IIe/PEPCK-SEAP:ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)プロモーターは、PEPCK活性を調節するPEPCK遺伝子転写のホルモン性調節の主な部位である。PEPCKは肝の糖新生において、決定付けられている律速段階を触媒するため、血糖レベルが正常な範囲内に維持されるよう注意深く制御しなければならない。このレポーター構築物は肝臓H4IIe細胞株に安定にトランスフェクトされる。
これらのレポーター構築物は、3T3-L1線維芽細胞およびL6筋芽細胞にも安定にトランスフェクトすることができる。続いて、これらの安定な細胞株を、以前に記載された通りに3T3-L1脂肪細胞およびL6筋管に分化させる。続いて、分化した細胞株を、以下に記載するSEAPアッセイに用いることができる。
増殖培地およびアッセイ培地
増殖培地は、10%ウシ胎仔血清(FBS)、10%仔ウシ血清、1% NEAA、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、および0.75mg/mLのG418(H4IIe/rFAS-SEAPおよびH4IIe/SREBP-SEAPの場合)または0.50mg/mLのG418(H4IIe/rMEP-SEAPの場合)を含む。H4IIe/PEPCK-SEAPの場合、増殖培地は10% FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、15mMのHEPES緩衝食塩水および0.50mg/mLのG418からなる。
アッセイ培地は、H4IIe/rFAS-SEAPレポーター、H4IIe/SREBP-SEAPレポーター、H4IIe/rMEP-SEAPレポーターの場合、低グルコースDMEM培地(Life Technologies)、1% NEAA、1×ペニシリン/ストレプトマイシンからなる。H4IIe/PEPCK-SEAPレポーターの場合のアッセイ培地は、0.1% FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび15mMのHEPES緩衝食塩水からなる。
方法
96ウェルプレートに対して、100μL/ウェルの増殖培地中にある細胞75,000個/ウェルを播種し、対数増殖期の細胞が接着するまでおく。増殖培地を200μL/ウェルのアッセイ培地に置き換えることによって細胞を48時間、欠乏状態におく(H4IIe/PEPCK-SEAP細胞の場合は、0.5μMデキサメサゾンを含むアッセイ培地を100μL/ウェルで加え、約20時間インキュベートする)。その後にアッセイ培地を100μL/ウェルの新鮮なアッセイ培地と交換し、本発明の治療薬(例えば、本発明のアルブミン融合タンパク質ならびにその断片および変異体)を発現する、トランスフェクトさせた細胞株から得た細胞上清の50μLアリコートをそのウェルに加える。エンプティベクターをトランスフェクトさせた細胞株からの上清を陰性対照として用いる。ウェルに10nMおよび/または100nMのインスリンを添加したものを陽性対照として用いる。48時間のインキュベーション後に馴化培地を収集して、SEAP活性を測定する(Phospha-Light Systemプロトコール、Tropix #BP2500)。手短に述べると、希釈緩衝液中に試料を1:4で希釈して、内因性の非胎盤形態のSEAPを不活性化するために65℃で30分間インキュベートする。希釈した試料の50μLアリコートを、非胎盤性SEAPアイソザイムに対して活性のある阻害薬の混合物を含む50μLのSEAPアッセイ緩衝液と混合し、さらに5分間インキュベートする。Emerald発光増強剤中に1:20に希釈したCSPD化学発光基質の50μLアリコートをその混合物に加えて、15〜20分間インキュベートする。Dynexプレート照度計でプレートを読み取る。
実施例20
HA-ホルモン融合タンパク質(インスリン、LH、FSHなど)の調製
インスリンなどの関心対象のホルモンのcDNAは種々の手段によって単離することができ、これには限定的ではないが、いずれも標準的な方法を用いる、cDNAライブラリーからのもの、一連の部分的に重複する合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いるRT-PCRによる、またはPCRによるものが含まれる。これらのタンパク質のヌクレオチド配列はいずれも公知であり、例えばGenBankなどの公開データべースで入手可能である。cDNAは、HAのcDNAを含むベクター中へのcDNAのクローニングのために、オリゴヌクレオチドリンカーを用いうるような制限部位が作製されるように、5'末端および3'末端で調整することができる。これはN末端にあってもC末端にあってもよく、スペーサー配列を用いても用いなくともよい。ホルモンcDNAをpPPC0005(図2)、pScCHSA、pScNHSAまたはpC4:HSAなどのベクター中にクローニングし、続いてそこから完全な発現カセットを切り出して、酵母におけるアルブミン融合タンパク質の発現が可能になるようにプラスミドpSAC35中に挿入する。続いて、酵母から分泌されたアルブミン融合タンパク質を培地から収集し、精製して、その生物活性について試験することができる。哺乳動物細胞株における発現のためには、用いる発現カセットが哺乳動物プロモーター、リーダー配列およびターミネーターを利用する点を除き、同様の手順を採用する(実施例1を参照)。続いて、この発現カセットを切り出して、哺乳動物細胞株のトランスフェクションに適したプラスミド中に挿入する。
実施例21
アルブミン融合タンパク質の細菌発現
細菌シグナル配列を含む、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、挿入断片を合成するために、DNA配列の5'末端および3'末端に対応するPCRオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅する。インサートをコードするポリヌクレオチドを増幅するために用いられるプライマーは、増幅産物を発現ベクター中にクローニングするために、好ましくは、BamHIおよびXbaIなどの制限部位をプライマーの5'末端に含むべきである。例えば、BamHIおよびXbaIは、細菌発現ベクターpQE-9(Qiagen,Inc., Chatsworth, Calif.)の制限酵素部位に対応する。このプラスミドベクターは、抗生物質耐性(Ampr)、細菌の複製起点(ori)、IPTG調節性プロモーター/オペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RBS)、6-ヒスチジンタグ(6-His)および制限酵素クローニング部位をコードする。
pQE-9ベクターをBamHIおよびXbaIで消化し、増幅された断片を、細菌RBSで始まるリーディングフレームを維持しながらpQE-9ベクター中に連結させる。続いて、この連結混合物を、lacIリプレッサーを発現し、かつカナマイシン耐性(Kanr)も付与するプラスミドpREP4の多コピーを含む大腸菌株M15/rep4(Quiagen,Inc.)に形質転換導入する。形質転換体をLBプレート上で増殖する能力によって同定し、アンピシリン/カナマイシン耐性コロニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、制限分析によって確認する。
所望の構築物を含むクローンを、アンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシン(25μg/ml)の両方を加えたLB培地中での液体培養下で一晩(O/N)増殖させる。このO/N培養物を用いて、大量の培地に1:100から1:250までの比で接種する。細胞を光学密度600(O.D.600)が0.4〜0.6となるまで増殖させる。続いて、IPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド)を最終濃度1mMで添加する。IPTGはlacIリプレッサーを不活性化することによってP/Oを開放された状態に誘導し、遺伝子発現の増加を招く。
細胞をさらに3〜4時間増殖させる。続いて、細胞を遠心(6000×g、20分間)によって収集する。細胞のペレットを、カオトロピック試薬である6MのグアニジンHCl中にて、または好ましくは8M尿素および0.14Mを上回る濃度の2-メルカプトエタノール中にて4℃で3〜4時間攪拌することによって可溶化する(例えば、Burton et al., Eur. J. Biochem. 179:379-387 (1989)を参照)。細胞片を遠心によって除去し、ポリペプチドを含む上清をニッケル-ニトリロ三酢酸(「Ni-NTA」)アフィニティー樹脂カラム(QIAGEN, Inc、前記より入手可能)上にローディングする。6×Hisタグを有するタンパク質はNi-NTA樹脂に高親和性で結合し、単純な一段階手順で精製することができる(詳細については、The QIAexpressionist (1995) QIAGEN, Inc.、前記を参照のこと)。
手短に述べると、6Mグアニジン-HCl、pH8の入ったカラムに上清をローディングする。まずカラムを10倍容積の6Mグアニジン-HCl(pH8)で洗浄し、続いて10倍容積の6Mグアニジン-HCl pH6で洗浄し、最後に6Mグアニジン-HCl、pH5でポリペプチドを溶出させる。
続いて、精製されたタンパク質を、リン酸緩衝食塩水(PBS)または50mM酢酸ナトリウム、pH6緩衝液+200mM NaClに対して透析することによって再生させる。または、Ni-NTAカラム上に固定化された状態でタンパク質を首尾良くリフォールディングさせることもできる。例示的な条件は以下の通りである:プロテアーゼ阻害剤を含む500mM NaCl、20%グリセロール、20mM Tris/HCl pH7.4中の直線的な6M〜1M尿素勾配を用いた再生。再生は1.5時間またはそれ以上の期間にわたって行うべきである。再生の後に、250mMイミダゾールの添加によってタンパク質を溶出させる。PBSまたは50mM酢酸ナトリウムpH6緩衝液+200mM NaClに対する最終透析段階によってイミダゾールを除去する。精製されたタンパク質は4℃で保存するか-80℃で凍結させる。
上記の発現ベクターに加えて、本発明にはさらに、pHE4a(ATCCアクセッション番号209645、1998年2月25日寄託)と呼ばれる、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドと機能的に連結されたファージオペレーターおよびプロモーターエレメントを含むpHE4a(ATCCアクセッション番号209645、1998年2月25日寄託)と呼ばれる発現ベクターも含まれる。このベクターは、1)選択マーカーとしてのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、2)大腸菌複製起点、3)T5ファージプロモーター配列、4)2つのlacオペレーター配列、5)シャイン-ダルガーノ配列、および6)ラクトースオペロンリプレッサー遺伝子(lacIq)を含む。複製起点(oriC)は、pUC19(LTI, Gaithersburg, Md)に由来する。プロモーター配列およびオペレーター配列は、合成により作製される。
NdeIとXbaI、BamHI、XhoIまたはAsp718を用いてベクターを制限切断し、制限切断された産物をゲル上で泳動させ、より大きな断片を単離することにより(スタッファー断片は約310塩基対でなければならない)、DNAをpHE4a中に挿入することができる。DNAインサートは、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知のPCRプロトコールに従って、NdeI(5'プライマー)およびXbaI、BamHI、XhoIまたはAsp718(3'プライマー)に対する制限部位を有するPCRプライマーを用いて作製する。PCRインサートをゲル精製し、適合する酵素で制限切断する。標準的なプロトコールに従ってインサートとベクターを連結させる。
操作されたベクターを上記のプロトコールで代用して、細菌系でタンパク質を発現させることができる。
実施例22
哺乳動物細胞におけるアルブミン融合タンパク質の発現
本発明のアルブミン融合タンパク質を哺乳動物細胞において発現させることができる。典型的な哺乳動物発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーターエレメント、タンパク質コード配列、ならびに転写の終了および転写産物のポリアデニル化のために必要なシグナルを含む。そのほかのエレメントには、エンハンサー、コザック配列、ならびにRNAスプライシングのための供与部位と受容部位に挟まれた介在配列が含まれる。高効率の転写は、SV40由来の初期および後期プロモーター、レトロウイルス(RSV、HTLVI、HIVIなど)由来の長末端反復配列(LTR)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーターにより達成される。しかし、細胞エレメントを使用することもできる(例えば、ヒトアクチンプロモーター)。
本発明を実施する際に用いられる適した発現ベクターには、例えば、pSVLおよびpMSG(Pharmacia, Uppsala, Sweden)、pRSVcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146)、pBC12MI(ATCC 67109)、pCMVSport 2.0およびpCMVSport 3.0といったベクターが含まれる。用いうると考えられる哺乳動物宿主細胞には、ヒトHela、293、H9およびJurkat細胞、マウスNIH3T3およびC127細胞、Cos1、Cos7およびCVI、ウズラQC1-3細胞、マウスL細胞ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が非限定的に含まれる。
または、アルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを染色体に組み込まれた状態で含む安定な細胞株において、アルブミン融合タンパク質を発現させることもできる。DHFR、gpt、ネオマイシンまたはハイグロマイシンといった選択可能なマーカーとのコトランスフェクションにより、トランスフェクトされた細胞の同定および単離が可能になる。
融合タンパク質をコードするトランスフェクトされたポリヌクレオチドを増幅することにより、コードされる融合タンパク質を大量に発現させることもできる。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、関心対象の遺伝子の数百またはさらには数千のコピーを保有する細胞株を確立するために有用である(例えば、Alt et al., J. Biol. Chem. 253:1357-1370 (1978);Hamlin et al., Biochem. et Biophys. Acta, 1097:107-143 (1990);Page et al., Biotechnology 9:64-68 (1991)を参照)。もう1つの有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphy et al., Biochem. J. 227:277-279 (1991);Bebbington et al., Bio/Technology 10:169175 (1992)。これらのマーカーを用いて、哺乳動物細胞を選択培地中で増殖させ、最大の耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体中に組み込まれた増幅遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細胞は、タンパク質の生産のためにしばしば用いられる。
プラスミドpSV2-dhfr(ATCCアクセッション番号37146)、発現ベクターpC4(ATCCアクセッション番号209646)およびpC6(ATCCアクセッション番号209647)の派生物は、ラウス肉腫ウイルスの強力なプロモーター(LTR)(Cullen et al., Molecular and Cellular Biology, 438-447 (March, 1985))とCMV-エンハンサーの断片(Boshart et al., Cell 41:521-530(1985))とを含む。マルチクローニング部位、例えば、制限酵素開裂部位BamHI、XbaIおよびAsp718を有するマルチクローニング部位は、関心対象の遺伝子のクローニングを容易にする。このベクターはまた、3'イントロン、ラットプレプロインスリン遺伝子のポリアデニル化シグナルおよび終結シグナル、ならびにSV40初期プロモーターの制御下にあるマウスDHER遺伝子を含む。
具体的には、例えばプラスミドpC6を適切な制限酵素で消化し、続いて当技術分野で公知の手順によって仔ウシ腸ホスフェートを用いて脱リン酸化する。続いて、1%アガロースゲルからベクターを単離する。
本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを当技術分野で公知の方法を用いて作製し、このポリヌクレオチドを当技術分野で公知のPCR技術を用いて増幅する。本発明の融合タンパク質を生産するために天然のシグナル配列を用いる場合には、ベクターは第2のシグナルペプチドを必要としない。または、天然のシグナル配列を用いない場合には、異種シグナル配列が含まれるようにベクターを改変することができる(例えば、国際公開公報第WO 96/34891号を参照)。
本発明の融合タンパク質をコードする増幅断片を、市販のキット("Geneclean," BIO 101 Inc., La Jolla, Calif.)を用いて1%アガロースゲルから単離する。続いて、断片を適切な制限酵素で消化し、再び1%アガロースゲルを用いて精製する。この場合には、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードする増幅断片を同一の制限酵素で消化し、1%アガロースゲルを用いて精製する。続いて、単離された断片と脱リン酸化されたベクターをT4 DNAリガーゼで連結させる。続いて、大腸菌HB 101細胞またはXL-1 Blue細胞を形質転換し、プラスミドpC6中に挿入された断片を含む細菌を、例えば制限酵素分析を用いて同定する。
活性DHFR遺伝子を欠失したチャイニーズハムスター卵巣細胞をトランスフェクションに用いる。リポフェクチンを用いて0.5vgのプラスミドpSVneoとともに5μgの発現プラスミドpC6またはpC4をコトランスフェクトする(Felgner et al., 前記)。プラスミドpSV2-neoは、優性選択マーカーである、G418を含む一群の抗生物質に対する耐性を付与する酵素をコードするTn5由来のneo遺伝子を含む。1mg/mlのG418を添加したアルファマイナスMEMに細胞を接種する。2日後に細胞をトリプシン処理し、10、25または50ng/mlメトトレキサート+1mg/ml G418を加えたアルファマイナスMEMを入れたハイブリドーマクローニングプレート(Greiner, Germany)に接種する。約10〜14日後に、シングルクローンをトリプシン処理し、続いて種々の濃度のメトトレキサート(50nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を用いて6ウェルペトリ皿または10mlフラスコに接種する。続いて、最高濃度のメトトレキサートで増殖するクローンを、さらに高濃度のメトトレキサート(1μM、2μM、5μM、10mM、20mM)を含む新しい6ウェルプレートに移す。100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得られるまで、同一の手順を繰り返す。所望の融合タンパク質の発現は、例えばSDS-PAGEおよびウェスタンブロットによって、または逆相HPLC分析によって分析される。
実施例23
トランスジェニック動物
本発明のアルブミン融合タンパク質を、トランスジェニック動物において発現させることもできる。マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ブタ、ミニブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシならびに非ヒト霊長動物、例えばヒヒ、サルおよびチンパンジーを非限定的に含む任意の種の動物を用いて、トランスジェニック動物を作製することができる。1つの特定的な態様においては、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の別の手法を用いて、遺伝子治療プロトコールの一部としてヒトにおいて本発明の融合タンパク質を発現させる。
当技術分野で公知の任意の技術を用いて、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを動物に導入して、トランスジェニック動物のファウンダー系統を作製することができる。そのような技術には、前核マイクロインジェクション(Paterson et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 40:691-698 (1994);Carver et al., Biotechnology (NY) 11:1263-1270 (1993);Wright et al., Biotechnology (NY) 9:830-834 (1991);およびHoppe et al., 米国特許第4,873,191号(1989));生殖細胞系へのレトロウイルスを介した遺伝子移入(Van der Putten et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA 82:6148-6152 (1985))、胚盤胞または胚へのレトロウイルスを介した遺伝子移入;胚性幹細胞における遺伝子ターゲティング(Thompson et al., Cell 56:313-321 (1989));細胞または胚のエレクトロポレーション(Lo, 1983, Mol Cell. Biol. 3:1803-1814 (1983));遺伝子銃を用いた本発明のポリヌクレオチドの導入(例えば、Ulmer et al., Science 259:1745 (1993)を参照);多能性胚性幹細胞への核酸構築物の導入および胚盤胞へのその幹細胞の戻し移入;ならびに精子を介した遺伝子移入(Lavitrano et al., Cell 57:717-723 (1989);などが非限定的に含まれる。このような方法の概説に関しては、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、Gordon, "Transgenic Animals," Intl. Rev. Cytol. 115:171-229 (1989)を参照のこと。
当技術分野で公知の任意の方法を用いて、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むトランスジェニッククローンを作製することができ、そのような方法には例えば、除核した卵母細胞への、静止期に誘導された培養胚細胞、胎児細胞または成体細胞からの核の核移入がある(Campell et al., Nature 380:64-66 (1996);Wilmut et al., Nature 385:810-813 (1997))。
本発明は、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドをすべての細胞中に保有するトランスジェニック動物、ならびにすべての細胞中ではなく一部の細胞中にこれらのポリヌクレオチドを保有する動物、すなわち、モザイク動物またはキメラ動物を提供する。導入遺伝子は、単一の導入遺伝子として、または頭部-頭部タンデム、頭部-尾部タンデムなどのコンカテマーのような複数コピーとして組み込むことができる。また、導入遺伝子を、例えば、Laskoら(Lasko et al. (Lasko et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-6236 (1992))の開示に従って特定の細胞種に選択的に導入して、そこで活性化させることもできる。そのような細胞種特異的な活性化に必要な調節配列は、関心対象の特定の細胞種に依存すると考えられ、当業者には明らかであると考えられる。本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、本発明の融合タンパク質の治療用タンパク質部分またはアルブミン部分に対応する内因性遺伝子の染色体部位に組み込むことが望まれる場合には、遺伝子ターゲティングが好ましい。手短に述べると、そのような手法を利用する場合には、染色体配列との相同組換えによって内因性遺伝子のヌクレオチド配列中に組み込んでその機能を破壊する目的で、その内因性遺伝子に相同ないくつかのヌクレオチド配列を含むベクターを設計する。また、例えば、Guら(Gu et al., Science 265:103-106(1994))の開示に従うことにより、導入遺伝子を特定の細胞種に選択的に導入して、その結果としてその細胞種のみにおいて内因性遺伝子を不活性化することもできる。そのような細胞種特異的な不活性化に必要な調節配列は、関心対象の特定の細胞種に依存すると考えられ、当業者には明らかであると考えられる。
ひとたびトランスジェニック動物が作製されたならば、標準的な手法を利用して、組換え遺伝子の発現をアッセイすることができる。サザンブロット分析またはPCR法によって最初のスクリーニングを行って動物組織を分析し、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの組み込みが起こったことを確認することができる。トランスジェニック動物の組織中における本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドのmRNA発現のレベルを、動物から得られた組織試料のノーザンブロット分析、インサイチューハイブリダイゼーション分析、逆転写酵素-PCR(rt-PCR)を非限定的に含む手法を用いて評価することもできる。融合タンパク質を発現する組織の試料を、融合タンパク質に対して特異的な抗体を用いて免疫細胞化学的または免疫組織化学的に評価することもできる。
ひとたびファウンダー動物が作製されれば、それらを交配、同系交配、異系交配または異種交配して、特定の動物のコロニーを作製することができる。そのような交配戦略の例には、以下のものが非限定的に含まれる:別個の系統を樹立するために、複数の組み込み部位を有するファウンダー動物を異系交配すること;それぞれの導入遺伝子の相加的発現の効果によってより高レベルで導入遺伝子を発現する複合トランスジェニック動物を作製するために、別個の系統を同系交配すること;発現を増大させ、かつDNA分析による動物のスクリーニングの必要性をなくすべく、所与の組み込み部位に関してホモ接合である動物を作製するために、ヘテロ接合性トランスジェニック動物を交配すること;複合ヘテロ接合系統またはホモ接合系統を作製するために、別個のホモ接合系統を交配すること;および、関心対象の実験モデルに適した明確なバックグラウンドに導入遺伝子(すなわち、本発明のアルブミン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド)が配置されるように交配すること。
本発明のトランスジェニック動物は、本発明の融合タンパク質ならびに本発明の融合タンパク質の治療用タンパク質成分および/またはアルブミン成分の生物学的機能を詳細に検討すること、正常でない発現と関連のある病状および/または障害を検討すること、およびそのような病状および/または障害を緩和するために有効な化合物をスクリーニングすることにおいて有用な動物モデル系を非限定的に含む、用途を有する。
実施例24
インスリン、IGF-I、グラルギンおよびアルブミン-インスリン融合タンパク質(IN101NHYおよびIN100NHY)のマイトジェン活性をL6細胞において評価した。L6細胞(ATCC、CRL-1458)を、96ウェルプレートに、0.5%FBS DMEM培地中にて0.1x105個/100μLウェルでプレーティングした。指定濃度のインスリン、IGF-I、グラルギン(Lantus(登録商標)、Aventis)およびアルブミン融合タンパク質を添加して、37℃で2日間インキュベートした。細胞数は、CellTiter-Glo(商標)(Promega, Madison, WI, USA)を製造元の指示に従って用いて測定した。すべての処置は3回ずつ行い、データはPrizm(登録商標)(GraphPad, San Diego, CA)を用いて解析した。結果は図4に提示されている。最大の増殖の50%が観察される有効濃度(EC50)を算出した。結果は表1に提示されている。これらの実験の結果は、B鎖/A鎖連結配列がアルブミン-インスリン融合タンパク質のマイトジェン活性に影響を及ぼすことを示している。
(表1)インスリン-HSA融合タンパク質のIGF様活性のB鎖/A鎖連結配列への依存性
Figure 0005256199
実施例25
レポーター活性によって測定したインスリン受容体結合活性は、脂肪酸シンターゼプロモーター(FAS)のインスリン受容体賦活化に依存しており、ステロール応答性(およびインスリン応答性)エンハンサー結合タンパク質(SREBP)をインスリン、グラルギンおよびアルブミン-インスリン融合タンパク質(IN101NHYおよびIN100NHY)に関して評価した。
FASレポーター構築物は、ヒト脂肪酸シンターゼプロモーターの-444〜+8を含む断片を、G418選択カセットが以前に付加されているpSEAP2-Basic(Clontech)中に組み入れることによって作製した。SREBPレポーター構築物は、反復性SREBPエレメント(
Figure 0005256199
)を、G418選択カセットが以前に付加されているpSEAP2-プロモーター(Clontech)に組み入れることによって作製した。H4IIE細胞(ATCC, CRL-1548)にこれらのレポーターをトランスフェクトし、G418耐性ならびにインスリン応答性SEAP活性に関してスクリーニングした。アッセイのためには、細胞を18〜24時間にわたって血清欠乏状態におき、続いて、治療用化合物をさまざまな濃度で含む新鮮な培地を添加した。48時間のインキュベーション後に、馴化培地を収集し、Phospha-LIGHTTMシステム(Applied Biosystems)を製造元の指示に従って用いてSEAP活性を測定した。すべての処置は3回ずつ行い、データはPrizm(登録商標)(GraphPad, San Diego, CA)を用いて解析した。結果は図5に提示されており、これはアルブミン融合タンパク質がインスリンおよびグラルギンと同様の結合活性を示すことを示している。
実施例26
グラルギンならびにアルブミン融合タンパク質IN100NHYおよびIN101NHYを、皮下注射によって6週齡BalbCマウス(n=8/群)に投与した。血糖レベルは手持ち式Freestyle(商標)血糖モニターを用いて所定の時間に測定し、その結果は図6に提示されている。実験期間を通じてマウスには食餌を自由摂取させた。グラルギンと比較して、アルブミン-インスリン融合タンパク質はより長寿命のインスリン活性を示し、これは注射から約2〜36時間後の期間にグルコースレベルがより低いことによって示されている。
実施例27
実施例1〜11に記載した方法を用いて、表2の中の以下のB鎖/A鎖連結配列を含む、アルブミン-インスリン融合タンパク質の発現のためのベクターを調製した。
(表2)一本鎖インスリン/アルブミン融合タンパク質のためのB鎖/A鎖連結配列
Figure 0005256199
実施例28
アルブリン(IN100NHY、C-ペプチド=GGGPGKR)のマイトジェン活性を、ネイティブなインスリンおよび他のインスリン類似体のマイトジェン活性と比較した(表3)。
(表3)インスリン、IGF-Iおよびインスリン類似体についてのマイトジェン活性の比較
Figure 0005256199
アルブリン(IN100NHY)は、ネイティブなインスリンに比してマイトジェン性がほぼ5〜10分の1であり、グラルギンおよびレベミルを含む、FDAに承認された他のインスリン類似体よりもマイトジェン性が低いことが観察された。アルブリン(IN100NHY)のC-ペプチド領域が、そのマイトジェン活性の低下に影響を及ぼすことが観察された。インスリンのA鎖とB鎖との間のIGF-IからのC-ペプチドを有するアルブリン(IN101NHY)は、インスリン(すなわち、いくつかの細胞種ではほぼ3倍の高さ)およびアルブリン(IN100NHY)(すなわち、いくつかの細胞種では20倍の高さ)に比して高いマイトジェン活性を示した。
実施例29
アルブリン(IN100NHY)の薬物動態をマウスにおいて評価した(図7)。マウスにおけるアルブリンの半減期はほぼ6時間であることが観察された。ヒトにおいて予想されるアルブリン(IN100NHY)の薬物動態プロファイルを、48時間毎の投薬を基にしてモデル化した(図8)。この投薬間隔により、アルブリン(IN100NHY)の血漿レベルの低いピーク/トラフ比が達成されると考えられる。投薬開始から約10日後までには、定常状態レベルが達成される。薬物のそれ以上の蓄積は観察されるべきでない。
実施例30
正常マウスにおいてアルブリン(IN100NHY)の薬力学をレベミルと比較した。等モル量のレベミルまたはアルブリン(IN100NHY)を皮下投与した(0.25mg/kgレベミルに対して3mg/kgアルブリン(IN100NHY)、または1.25mg/kgレベミルに対して15mg/kgアルブリン(IN100NHY))。アルブリン(IN100NHY)の長時間持続する効果が観察された(図9)。アルブリン(IN100NHY)の単回皮下投与は、ほぼ1時間までに血糖値を低下させ、この効果は8〜12時間持続したが、レベミルの等モル皮下投与は血糖のより急峻な低下およびより急速なリバウンドを引き起こした。アルブリン(IN100NHY)およびレベミルの等モル投与によって観察された最大の血糖低下はおよそ同じであったが、アルブリン(IN100NHY)の観察された効果はほぼ3倍長く持続した。
実施例31
ラットにおける肺吹送および静脈内投薬後のアルブリン-Gの薬物動態および薬力学について決定した。
この検討の目的は、Sprague Dawleyラットにおける静脈内投薬および肺吹送後のアルブリン-Gの薬物動態および薬力学活性を特徴づけることであった。
アルブリン-Gは、そのC末端で組換えヒト血清アルブミン(HSA)のN末端と遺伝的に融合されたヒトインスリンの改変形態である。表Cを参照、評価したインスリン-HSA変異体、前記、CID No. 2278、名称=IN100NHY1、C-ペプチド配列=GGGPGKR、およびリーダーペプチド=HAS-RKex2。この実験は、Sprague Dawleyラットにおける静脈内投薬および肺吹送後のアルブリン-Gの薬物動態および薬力学活性に関する予備的評価として行った。ラットをこの試験のために選んだのは、それが標準的な薬理学的評価のために慣例的に選択される種であり、アルブリン-Gに対する薬理学的応答性があるためであった。
試験デザインを以下にまとめる。3〜5匹のラットからなる各群に対して、静脈内経路または肺吹送(Technosphere製剤)のいずれかによってアルブリン-Gの単回投与を行った。薬物動態を評価するために血清濃度時間プロファイルを追跡した。薬力学活性を評価するために血清血糖プロファイルを追跡した。実験デザインは以下の表4にまとめられている。
(表4)実験デザイン
Figure 0005256199
アルブリン-Gは、Technosphereにより肺吹送(IS)用に製剤化された;用量レベルは吹送前の粉末の重量およびアルブリン-Gとして推算される重量の%を示している。
血液試料を、PK(薬物動態)分析のために血清アルブリン-G濃度を決定する目的で採取した。血液試料は以下の時点で採取した:投薬の0.083、0.5、1、2、4、8、12、18、24、36および48時間後。
ELISAプロトコール:血清アルブリン-G濃度は、インスリン捕獲抗体および検出用にヒト血清アルブミン抗体を用いるサンドイッチELISAを用いて決定した。アッセイはアルブリン-Gに対して特異的であり、インスリンとは交差反応しない。
薬物動態パラメーターは、ノンコンパートメント法および非線形回帰プログラムWinNonlin(バージョン5.0.1)を用いて算出した。IS投薬の評価のためには血管外投薬モデルを用い、IV(静脈内)データを、ボーラス投入を仮定し、1/p2の重みづけ(式中、pは観察に関する予測値である)を用いる1コンパートメントモデルと適合させた。
結果
薬物動態:平均血清濃度時間プロファイルは図10に提示されている。すべての動物個体に関して、mg/kgベースで実際に投与された用量を薬物動態分析に用いた。平均薬物動態パラメーターは、IV(静脈内)群については表5に、IS(肺吹送)群については表6に提示されている。
(表5)アルブリン-GのIV投薬後の平均(±SD)薬物動態パラメーター
Figure 0005256199
A 終期パラメーターの決定のための試料が得られたのは1匹の動物個体のみであった。Cmax=最高血清中濃度;Cl=クリアランス;Vss=定常状態での分布容積の推算値;Vz=分布容積;AUC0-∞=ゼロ時間から無限時間までの血清中濃度曲線下面積。
第4〜6群のすべてのラットには、肺吹送により、アルブリン-Gがロードされたテクノスフェア(technosphere)の規格上の3mg用量が投与された。スフェア上にロードされたアルブリン-Gの量は投与群に応じて15〜30%の間でさまざまであった。投与された実際の用量はmg/kgベースで以下の通りに算出した:
[(Wt投薬前の充填チャンバー−Wt投薬後のチャンバー)×%ロード]÷BWT(kg)
(表6)アルブリン-Gの吹送後の平均(±SD)薬物動態パラメーター
Figure 0005256199
a 動物20、1.08mg/kgの推定用量を受けた。該動物のPKを解析したが、用量群に対する平均およびSDの算出には含めていない。
C1/F=血管外投与後の見かけのクリアランス、Vz/F=見かけの分布容積、F=生物学的利用能、MRT=平均滞留時間。
肺吹送の後にアルブリン-Gは急速に吸収され、最高血清中濃度は投薬から平均2.4〜2.8時間後に生じた。クリアランス(CL/F)は71〜100mL/h/kgの範囲であった。平均消失半減期は9〜14時間の範囲であった。分布容積は大きかった(平均で922〜1626mL/kg)。
3mg/kg IVの用量は絶食ラットにおける忍容性がなかった。6匹の動物個体のうち5匹が投薬8時間以内に死亡した。1匹はグルコース介入により生存した。図10に提示したプロファイルは、生存した唯一の動物個体の、8時間後のすべての時点でのものである。1mg/kgの単回IV投薬では3匹のラットがすべて生き残った。IV注射後の個々の動物プロファイルの検討により、動物番号8(1mg/kg)では用量の少なくとも一部が血管外にあったことが示されている。薬物動態パラメーターをこの動物についても算出したが、このデータは平均薬物動態パラメーターの算出からは除外した。平均消失半減期は、3mg/kg投与群のラット1匹および1mg/kg投与群のラット2匹から得られたデータによればIV注射後5.6時間であった。アルブリン-Gのクリアランスは5.9〜7.6ml/h/kgであった。分布容積は48.5〜61.1ml/kgであった。これは推算血漿容積を上回るが、細胞外容積よりは小さい。
生物学的利用能:AUC0-∞を算出するための十分な終期血清中濃度データが得られているのはIV投与群の3匹の動物個体であった。これらの動物個体は2種類の異なる用量レベルにあった。このため、吹送後の生物学的利用能は以下の通りに推算した:
平均AUC 0-∞ /各用量レベルでの吹送後の用量
平均AUC0-∞/すべての用量レベルでの静脈内注射後の用量
吹送後の生物学的利用能は各投与群について別々に算出したが、これは用いた製剤およびロード量が異なるためである。結果は以下の表7に提示されている。AUC0-∞/用量を各動物について算出し、生物学的利用能の計算の前に、その個々の動物に投与された用量に関して標準化した。図15は、1mg/kgの単回IV投薬後の血清アルブミン濃度時間曲線を示している;図16は、3mg/kgの単回IV投薬後の血清アルブミン濃度時間曲線を示している;図17は、3mgの単回IS投薬後(454/66)の血清アルブミン濃度時間曲線を示している;図18は、3mgの単回IS投薬後(454/73.1)の血清アルブミン濃度時間曲線を示している;図19は、3mgの単回IS投薬後(454/73.2)の血清アルブミン濃度時間曲線を示している。
(表7)肺吹送後の生物学的利用能の推算値
Figure 0005256199
生物学的利用能は第4群では7%、第5群では8.2%であり、第6群では9.8%であった。
薬力学分析:アルブリン-G曝露と血糖濃度との間の関係を調べるために、薬物動態/薬力学分析を行った。以下の具体的な問題について取り扱った。
1)アルブリン-Gのより高いCmaxは、より大きな血糖低下率(より大きなEmax)の予測となるか?。
2)アルブリン-Gに関するより大きなAUC0-∞はより大きなEmaxの予測となるか。
3)アルブリン-Gのより高いCmaxは、効果に関するより大きなAUC(アルブリン-Gに起因する血清グルコース時間濃度曲線の低下(AUEC))の予測となるか?
4)アルブリン-Gのより大きなAUC0-8hはより大きなAUECの予測となるか?
血糖の低下率は以下の式によって算出した:
[(グルコース(時間)−グルコース(投与前))/グルコース(投与前)]*100
CmaxとEmax(血糖変化率)の比較:各動物個体に関する血糖の最大低下率を、各動物個体において達成されたアルブリン-G Cmaxに対してプロットした。この分析についてはIV投与群および吹送投与群をまとめた。結果は図11に提示されている。サンプル数が少ないため、CmaxとEmaxとの相関の度合いを評価するためにノンパラメトリック分析(Spearman)を行った。より高いCmaxは、血清グルコース濃度のより大きな低下と相関した。相関係数は-0.8748であり、またはr2は0.7650であった。
AUCとEmaxとの比較:アルブリン-Gに関するAUC0-∞を血糖の最大の変化と比較した。例えば、血糖の最大低下率とアルブリン-G AUC0-∞を対比して示している図12を参照のこと。試験を生き延びなかった動物個体についてはAUC0-∞を算出することが不可能であったため、この分析のためのデータポイントはさらに少なかった。これらの動物の損失は分析にバイアスを与えるが、これはそれらが試験の中でAUCが最大であったためである。これは曲線の低い方の部分を取り除く。より高いAUCはより大きなEmaxと相関する。相関係数は-0.7930であり、r2は0.6288である。
CmaxとAUECとの比較:これらの分析では、血糖の経時的な全体的低下(AUEC)が、アルブリン-Gに関するCmaxまたはAUCと相関するか否かを調べる。AUECを算出するために、まず血糖データをベースラインからの変化率に換算し、続いて0から8時間までのAUCを算出した。8時間以後に得られた血清グルコースデータは分析に用いなかったが、これは食餌を動物に戻したためである。この分析の結果は図13にプロットされており、これはアルブリン-G Cmaxと血清グルコースに関するAUECの対比を示している。アルブリン-Gに関するより高いCmaxはより大きなAUECと相関した(Spearmanの係数は0.7713、またはr2は0.5942)。
AUCアルブリンとAUECとの比較:最後の分析は、アルブリンのより高度の曝露(AUCにより測定)が、AUECグルコースの増加と相関するか否かを評価するためのものであった。結果は図14にプロットされており、これはAUCアルブリン-Gと血清グルコースに関するAUECとの対比を示している。アルブリン-Gに関するより高いAUCは、より大きなAUECグルコース、より大きなAUECと相関した(Spearmanの係数は0.8150、またはr2は0.6642)。
表8は、アルブリンG投薬後の血清中濃度を示しており、表9および表10は個々の動物によるPKパラメーターを示しており、表11は投与した用量を示している。
(表8)静脈内または吹送経路によるアルブリンの投薬後の血清アルブミン濃度
Figure 0005256199
NS‐試料が得られず
<LLOQ‐定量下限の4.11ng/mL未満
(表9)個々の動物別のPKパラメーター;吹送によるアルブリンの投薬後の算出された薬物動態パラメーター
Figure 0005256199
a この群の動物個体20には誤投与があり、この動物個体からの結果は平均の算出から除外されている。
(表10)静脈内注射によるアルブリンの投薬後の算出された薬物動態パラメーター
Figure 0005256199
b この動物個体からのデータは、血清中濃度曲線からこの用量の少なくとも一部は血管外にあったことが示されたため、大部分のPK算出に含めなかった。消失半減期を推算するのに十分なポイントがあり、これはこの用量で他の動物個体で認められるものと並行するように思われる。
NC-算出せず
(表11)投与した用量
Figure 0005256199
結論:アルブリン-Gは肺吹送後に循環路に入った。肺吹送後の生物学的利用能は、異なる複数の製剤に関して7、8および10%(IV投薬を基準として)であった。Cmaxは肺吹送から2.4〜2.8時間後に生じた。消失半減期はIV注射から6時間後、肺吹送から9〜14時間後であった。アルブリン-Gに関するCmaxおよびAUCはいずれも血糖の最大低下および血清グルコースに関する効果曲線下面積と相関した。アルブリン-Gの3mg/kg IVの用量は、絶食ラットにおいて重症低血糖および死亡をもたらした。1mg/kgのIV投与は忍容性があり、臨床徴候がみられなかった。
本発明を、以上の説明および実施例に具体的に記載されている以外の方法を用いて実施しうることは明らかであろう。本発明の多くの修正および変更が上記の開示に鑑みて可能であり、従って、それらは添付した特許請求の範囲内にある。
引用された各文書(特許、特許出願、特許公報、雑誌論文、要約、実験マニュアル、書籍または他の開示物を含む)ならびに本出願で言及されているGenBank、GeneSeqまたはCAS Registryなどのデータベースに特有の識別番号を介して入手可能な情報のすべての開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
さらに、以下の米国特許出願のそれぞれの明細書および配列表も、その全体が参照により本明細書に組み入れられる:2001年12月21日に提出された米国特許出願第60/341,811号;2002年2月28日に提出された米国特許出願第60/360,000号;2002年5月10日に提出された米国特許出願第60/378,950号;2002年7月24日に提出された米国特許出願第60/398,008号;2002年9月18日に提出された米国特許出願第60/411,355号;2002年10月2日に提出された米国特許出願第60/414,984号;2002年10月11日に提出された米国特許出願第60/417,611号;2002年10月23日に提出された米国特許出願第60/420,246号;2002年11月5日に提出された米国特許出願第60/423,623号;2002年1月24日に提出された米国特許出願第60/350,358号;2002年2月26日に提出された米国特許出願第60/359,370号;2002年3月27日に提出された米国特許出願第60/367,500号;2002年8月9日に提出された米国特許出願第60/402,131号;2002年8月13日に提出された米国特許出願第60/402,708;2002年1月28日に提出された米国特許出願第60/351,360号;2002年5月24日に提出された米国特許出願第60/382,617号;2002年5月28日に提出された米国特許出願第60/383,123号;2002年6月5日に提出された米国特許出願第60/385,708号;2002年7月10日に提出された米国特許出願第60/394,625号;2002年9月18日に提出された米国特許出願第60/411,426号;2002年4月8日に提出された米国特許出願第60/370,227号;2002年12月23日に提出された国際出願第PCT/US02/40891号;および2002年12月23日に提出された国際出願第PCT/US02/40892号。さらに、WO 03/59934を基にして、2004年2月11日に提出された米国特許出願、Human Genome Sciences, Inc.の代理人整理番号PF574の明細書および配列表も、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (14)

  1. インスリン活性を有し、かつ、インスリン類似体のN末端、C末端、または両末端と融合したアルブミンまたはその変異体を含む融合タンパク質であって、インスリン類似体が式-B(1-30)-X-A(1-21)-を有し、式中、XはGGGPGKRであるアミノ酸配列を有するポリペプチドである、融合タンパク質
  2. マイトジェン活性を示さないか、もしくは、IGF-Iを基準として50%を超えないマイトジェン活性を示す、請求項1記載の融合タンパク質。
  3. (a)アルブミンまたはその変異体が、インスリン類似体のN末端と融合されている;
    (b)アルブミンまたはその変異体が、インスリン類似体のC末端と融合されている;または、
    (c)アルブミンまたはその変異体が、インスリン類似体のN末端およびC末端と融合されている、
    請求項1〜2のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  4. N末端リーダー配列またはシグナル配列をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  5. N末端リーダー配列またはシグナル配列が、
    (a)アルブミンリーダー配列、インスリンリーダー配列、MPIF-1シグナル配列、スタニオカルシンシグナル配列、インベルターゼシグナル配列、酵母接合因子αシグナル配列、K.ラクティス(K. lactis)キラー毒素リーダー配列、免疫グロブリンIgシグナル配列、フィビュリン(Fibulin)B前駆体シグナル配列、クラスタリン前駆体シグナル配列、インスリン様増殖因子結合タンパク質4シグナル配列、酸ホスファターゼ(PHO5)リーダー、MFoz-1のプレ配列、Oグルカナーゼ(BGL2)のプレ配列、S.ディアスタティクス(S. diastaticus)グルコアミラーゼII分泌リーダー配列;S.カールスベルゲンシス(S. carlsbergensis)αガラクトシダーゼ(MEL1)分泌リーダー配列;カンジダグルコアミラーゼリーダー配列;バキュロウイルス発現系に用いるためのgp67シグナル配列;およびS.セレビシエ(S. cerevisiae)インベルターゼ(SUC2)リーダーからなる群より選択される;または、
    (b)
    ハイブリッドシグナル配列

    Figure 0005256199
    );HSA/MFα-1ハイブリッドシグナル配列

    Figure 0005256199
    );K.ラクティスキラー/MFα-1融合リーダー配列

    Figure 0005256199
    );HSAのプレ-プロ領域の変異体

    Figure 0005256199
    );HSAのプレ-プロ領域の変異体

    Figure 0005256199
    );HSAのプレ-プロ領域の変異体

    Figure 0005256199
    );HSAのプレ-プロ領域の変異体

    Figure 0005256199
    );改変HSAリーダー

    Figure 0005256199
    );改変HSAリーダー

    Figure 0005256199
    );改変HSA(A14)リーダー

    Figure 0005256199
    );改変HSA(S14)リーダー

    Figure 0005256199
    )、改変HSA(G14)リーダー

    Figure 0005256199
    );改変HSA(G14)リーダー

    Figure 0005256199
    );コンセンサスシグナル配列

    Figure 0005256199
    );K.ラクティスキラー毒素プレプロ配列

    Figure 0005256199
    );および、イヌリナーゼ配列

    Figure 0005256199
    )からなる群より選択される、
    請求項4記載の融合タンパク質。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  7. 請求項6記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  8. 請求項7記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  9. 請求項8記載の宿主細胞を発酵させる段階を含む、アルブミン-インスリン融合タンパク質を調製するための方法。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項記載の融合タンパク質と薬学的添加剤とを含む、薬学的組成物。
  11. (a)エアロゾル投薬形態;
    (b)鼻送達のために製剤化されているエアロゾル投薬形態;
    (c)肺送達のために製剤化されているエアロゾル投薬形態;
    (d)鼻送達および肺送達のために製剤化されているエアロゾル投薬形態;
    (e)液体エアロゾル投薬形態;
    (f)乾燥粉末エアロゾル投薬形態;
    (g)噴射剤を利用するpMDIに用いるために製剤化されているエアロゾル投薬形態;
    (h)非CFC噴射剤である噴射剤を利用するpMDIに用いるために製剤化されているエアロゾル投薬形態;
    (i)噴霧乾燥粉末エアロゾル;
    (j)凍結乾燥粉末エアロゾル;または、
    (k)これらの任意の組み合わせ
    からなる群より選択される投薬形態へ製剤される、請求項10記載の薬学的組成物。
  12. 液体エアロゾルが、以下からなる群より選択される平均直径を有する液滴を含む、請求項11記載の薬学的エアロゾル組成物:
    (a)2〜10ミクロン;
    (b)2〜6ミクロン;
    (c)2ミクロン未満;
    (d)5〜100ミクロン;および
    (e)30〜60ミクロン。
  13. 医用薬剤を調製するための、請求項11記載の薬学的組成物の使用であって、医用薬剤が代謝障害の治療において有用である、使用。
  14. 代謝障害が糖尿病である、請求項13記載の使用。
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