JP2017165713A - 血清アルブミン−20k成長ホルモン融合タンパク質 - Google Patents

血清アルブミン−20k成長ホルモン融合タンパク質 Download PDF

Info

Publication number
JP2017165713A
JP2017165713A JP2017044728A JP2017044728A JP2017165713A JP 2017165713 A JP2017165713 A JP 2017165713A JP 2017044728 A JP2017044728 A JP 2017044728A JP 2017044728 A JP2017044728 A JP 2017044728A JP 2017165713 A JP2017165713 A JP 2017165713A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino acid
acid sequence
amino acids
seq
fusion protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017044728A
Other languages
English (en)
Inventor
高橋 健一
Kenichi Takahashi
健一 高橋
彩 吉岡
Aya YOSHIOKA
彩 吉岡
友理 越村
Yuri Koshimura
友理 越村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JCR Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
JCR Pharmaceuticals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JCR Pharmaceuticals Co Ltd filed Critical JCR Pharmaceuticals Co Ltd
Publication of JP2017165713A publication Critical patent/JP2017165713A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/575Hormones
    • C07K14/61Growth hormone [GH], i.e. somatotropin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/76Albumins
    • C07K14/765Serum albumin, e.g. HSA
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/22Hormones
    • A61K38/27Growth hormone [GH], i.e. somatotropin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/30Macromolecular organic or inorganic compounds, e.g. inorganic polyphosphates
    • A61K47/42Proteins; Polypeptides; Degradation products thereof; Derivatives thereof, e.g. albumin, gelatin or zein
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/31Fusion polypeptide fusions, other than Fc, for prolonged plasma life, e.g. albumin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

【課題】22Kヒト成長ホルモンと比較して,プロラクチン様活性が抑制され,且つ血中での半減期が長い持続型のヒト成長ホルモン製剤を有効成分として含有してなる薬剤を提供すること。【解決手段】ヒト血清アルブミン部と20Kヒト成長ホルモン部を有する融合タンパク質であって,成長促進活性を有する融合タンパク質。特に,ヒト成長ホルモン部のC末端側にリンカー配列を介して20Kヒト成長ホルモン部が結合したものである,融合タンパク質。【選択図】図1

Description

本発明は,血清アルブミンと20K成長ホルモンとを結合させた融合タンパク質に関し,例えば,直接又はリンカー配列を介してヒト血清アルブミンのC末端と20Kヒト成長ホルモンのN末端とを結合させた融合タンパク質及び当該融合タンパク質を有効成分として含む低身長症等の治療剤に関する。
ヒト血清アルブミン(HSA)は,その成熟型が585個のアミノ酸からなるタンパク質である。HSAは,血漿タンパク質の中では最も多い成分で,血漿中での半減期が14〜20日と長い。HSAは,血中に含まれる脂肪酸等の内因性の物質及び薬剤等の外因性の物質を結合して,これらを運搬する機能を有する。薬剤等の低分子物質は,各種臓器に取り込まれて代謝・排泄される。しかし,HSAと結合した物質は,一般的に臓器に取り込まれ難くなり,血中をより長時間循環できるようになる。
ヒト血清アルブミン(HSA)には,天然のバリアントが複数あることが知られている。ヒト血清アルブミンRedhillはその一つである(非特許文献1,2)。ヒト血清アルブミンRedhillは,585個のアミノ酸からなる上記の通常のヒト血清アルブミンのアミノ酸配列と比べて,そのN末端側から320番目のアミノ酸残基がアラニンでなくトレオニンであり,且つそのN末端にアルギニン残基が一つ付加している点で異なり,586個のアミノ酸からなる。上記のアラニンのトレオニンへの変化により,アルブミンRedhillではそのアミノ酸配列中にAsn−Tyr−Thrで表される配列が生じ,この配列中のAsn(アスパラギン)残基がN−結合型グリコシド化される。このためアルブミンRedhillは,上記の通常のヒト血清アルブミンと比較して分子量が2.5kDa程大きく観察される。
酵素等のタンパク質をHSAと融合させることにより,タンパク質の血漿中での安定性を増加させる方法が報告されている(非特許文献1,特許文献1,2)。HSAと酵素等との融合タンパク質は,HSAをコードする遺伝子と,酵素等をコードする遺伝子とをインフレームに結合させたDNA断片を発現ベクターに組み込み,この発現ベクターを導入した形質転換細胞を培養することにより,培地中又は細胞内に組換えタンパク質として作製される。
ヒト血清アルブミン(HSA)と融合させて血漿中での安定性を増加させたタンパク質の例としては,HSAとG−CSFとの融合タンパク質(特許文献3),HSAとインターフェロンとの融合タンパク質(特許文献4),HSAとGLP−1との融合タンパク質(特許文献5),HSAとインスリンとの融合タンパク質(特許文献6)等がある。
ヒト成長ホルモン(hGH)は,視床下部の制御下で前脳下垂体から分泌される分子量が約22kDのタンパク質であり,内部で二つのジスルフィド結合により架橋された191個のアミノ酸からなる単鎖のポリペプチドである。hGHは,軟骨形成促進,タンパク質同化促進等の成長促進活性を示すほか,体組成及び脂質代謝改善作用を示す。hGHの分泌が少ない小児は,健常児と比較して低身長を呈する成長ホルモン分泌不全性低身長症を発症する。
hGH遺伝子を導入した大腸菌を用いて組換えタンパク質として製造された分子量が約22kDのhGHを有効成分として含有する製剤(hGH製剤)が,成長ホルモン分泌不全性低身長症,ターナー症候群における低身長,骨端線閉鎖を伴わないSGA(Small-for-Gestational Age)性低身長症,慢性腎不全による低身長症,プラダーウィリー症候群における低身長症,軟骨異栄養症における低身長症の治療剤として広く臨床応用されている。hGH製剤は,皮下又は筋肉内に投与され,血中を循環し,その成長促進活性により患者の成長を促進する効果を発揮する。また,hGH製剤は,成人成長ホルモン分泌不全症の治療剤としても広く臨床応用されている。成人成長ホルモン分泌不全症の患者では,脂質代謝異常等の異常が認められるが,hGH製剤の投与により,患者の脂質代謝等が正常化する等して,患者のQOLが改善される。成長ホルモン分泌不全性低身長症,成人成長ホルモン分泌不全症等のhGH製剤としては,例えば,グロウジェクト(登録商標)がある。
視床下部の制御下で前脳下垂体から分泌されるhGHには,分子量が約22kDのhGH(22KhGH)の他に,22KhGHを構成する191個のアミノ酸のうち,アミノ酸配列のN末端から数えて32番目〜46番目の15個のアミノ酸が欠失した,分子量が約20kDのバリアント(20KhGH)がある。血中での20KhGHの全hGH中における存在比率は概ね5〜15%である。また,20KhGHは22KhGHと同等の成長促進活性を示すことが知られている。
hGHに関しても,ヒト血清アルブミン(HSA)と融合させることにより,血漿中での安定性が増加する(特許文献4,5及び7〜10)。但し,これらの報告は,いずれもHSAと22KhGHとの融合タンパク質に関するものである。
hGHの血漿中での安定性を増加させる試みは,臨床上の要請によるものである。hGHの血漿中における半減期は20分未満とされており,患者に投与されたhGHは,速やかに血中から消失する。このため,hGHの薬効を患者で実質的に発揮させるには,hGHを週に3回筋肉内に又は毎日皮下に投与する必要がある。このような頻繁な投与は患者の負担となっている。従って,hGHの血漿中における安定性を増加させて半減期を延長させることにより患者へのhGHの投与回数を減らすことができれば,患者の負担を大幅に軽減させることができ,好ましい。
特表平7−503368号公報 特開平3−178998号公報 特表平7−503844号公報 特表2003−530838号公報 特表2005−514060号公報 特表2010−500031号公報 特表2000−502901号公報 特表2008−518615号公報 特表2013−501036号公報 特表2013−518038号公報
Poznansky MJ. et al., FEBS Letter. 239, 18-22 (1988)
上記背景の下で,本発明の一目的は,ヒト血清アルブミン部と20Kヒト成長ホルモン(20KhGH)部とを有する融合タンパク質を有効成分として含む,プロラクチン様活性の低い,成長促進活性を有する薬剤を提供することである。
上記目的に向けた研究において,本発明者らは,ヒト血清アルブミンのC末端と20KhGHのN末端とを結合させた融合タンパク質のプロラクチン様活性が,22KhGHのそれと比較して低いこと等を,見出し本発明を完成した。すなわち,本発明は以下を提供する。
(1)ヒト血清アルブミン部と20Kヒト成長ホルモン部とを有する融合タンパク質であって,成長促進活性を有する融合タンパク質。
(2)該20Kヒト成長ホルモン部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,上記1に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の8個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の8個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に8個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の4個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の4個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に4個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;及び,
(c)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
(3)該20Kヒト成長ホルモン部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,上記1に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の1〜8個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の1〜8個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
(c)配列番号1で示されるアミノ酸配列に1〜8個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
(4)該20Kヒト成長ホルモン部が,配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むものである,上記1に記載の融合タンパク質。
(5)該ヒト血清アルブミン部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,上記1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質:
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に10個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;及び,
(c)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
(6)該ヒト血清アルブミン部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,上記1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質:
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の1〜10個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の1〜10個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
(c)配列番号2で示されるアミノ酸配列に1〜10個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
(7)該ヒト血清アルブミン部が,配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むものである,上記1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質。
(8)該ヒト血清アルブミン部が,配列番号2で示されるアミノ酸配列において,N末端から319番目のアミノ酸残基のチロシンがプロリン以外のアミノ酸残基に置換され,且つN末端から320番目のアミノ酸残基のアラニンがトレオニン又はセリンに置換されたアミノ酸配列を含むものである,上記1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質。
(9)該ヒト血清アルブミン部が,配列番号46で示されるアミノ酸配列を含むものである,上記1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質。
(10)該ヒト血清アルブミン部と該20Kヒト成長ホルモン部が,リンカー部を介して結合しているものである,上記1乃至9のいずれかに記載の融合タンパク質。
(11)該リンカー部が,非ペプチドリンカー又はペプチドリンカーからなるものである,上記10に記載の融合タンパク質。
(12)該リンカー部が非ペプチドリンカーからなるものであり,該非ペプチドリンカーが,ポリエチレングリコール又はその誘導体からなるものである,上記11に記載の融合タンパク質。
(13)一本鎖ポリペプチドである,上記1乃至9のいずれかに記載の融合タンパク質。
(14)該ヒト血清アルブミン部が,該成長ホルモン部のN末端側に位置するものである,上記13に記載の融合タンパク質。
(15)該成長ホルモン部が,該ヒト血清アルブミン部のN末端側に位置するものである,上記13に記載の融合タンパク質。
(16)一本鎖ポリペプチドであって,該ヒト血清アルブミン部と該20Kヒト成長ホルモン部が,リンカー部を介して結合してなるものである,上記1乃至9のいずれかに記載の融合タンパク質。
(17)該ヒト血清アルブミン部のC末端と該リンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合してなるものである,上記16に記載の融合タンパク質。
(18)該20Kヒト成長ホルモン部のC末端と該リンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該ヒト血清アルブミン部のN末端がペプチド結合により結合してなるものである,上記16に記載の融合タンパク質。
(19)該リンカー部が,1〜50個のアミノ酸からなるペプチドリンカーからなるものである,上記16乃至18のいずれかに記載の融合タンパク質。
(20)該リンカー部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,上記19に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号4で示されるアミノ酸配列が2〜10回反復したアミノ酸配列;
(b)配列番号4で示されるアミノ酸配列が2〜6回反復したアミノ酸配列;及び,
(c)配列番号4で示されるアミノ酸配列が3〜5回反復したアミノ酸配列。
(21)該リンカー部が,以下の(a)又は(b)のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,上記19に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号4で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
(b)配列番号4で示されるアミノ酸配列中の1個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の1個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に1個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
(22)該リンカー部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,上記19に記載の融合タンパク質:
(a)該配列番号4で示されるアミノ酸配列中の1又は2個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
(b)該配列番号4で示されるアミノ酸配列中の1又は2個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
(c)該配列番号4で示されるアミノ酸配列に1又は2個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
(23)該リンカー部が,配列番号4で示されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,上記19に記載の融合タンパク質。
(24)該リンカー部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,上記19に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
(b)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;及び,
(c)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
(25)該リンカー部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,上記19に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の1〜5個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
(b)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
(c)配列番号5で示されるアミノ酸配列に1〜5個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
(26)該リンカー部が,配列番号5で示されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,上記19に記載の融合タンパク質。
(27)該ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合するものであり,該リンカー部がペプチドリンカーからなるものである,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる,上記1に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に10個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
(b)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;及び,
(c)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
(28)該ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合するものであり,該リンカー部がペプチドリンカーからなるものである,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる,上記1に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の1〜10個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
(b)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の1〜10個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
(c)配列番号36で示されるアミノ酸配列に1〜10個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
(29)該ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合するものであり,該リンカー部がペプチドリンカーからなるものである,配列番号36で示されるアミノ酸配列からなる,上記1に記載の融合タンパク質。
本発明によれば,20Kヒト成長ホルモンをヒト血清アルブミンと融合させることにより,22Kヒト成長ホルモンと比較してプロラクチン様活性が低減された,成長ホルモン分泌不全性低身長症等の治療剤として使用することのできる持続型成長ホルモン製剤を提供することができる。
N末端側から順に,HSA部,リンカー部及び20KhGH部を有する一本鎖ポリペプチドの融合タンパク質を模式的に示す図。図中,Aはヒト血清アルブミン部,Bはリンカー部,Cは20KhGH部,N-はN末端,-CはC末端をそれぞれ示す。 pE−neoベクターの構築方法を示す流れ図。 pE−hygrベクターの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−IRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 pE−mIRES−GS−puroの構築方法を示す流れ図。 HSA−22KhGH発現用ベクター(pE-mIRES-GS-puro(HSA-22KhGH))の構築方法を示す流れ図。 HSA−20KhGH発現用ベクター(pE-mIRES-GS-puro(HSA-20KhGH))の構築方法を示す流れ図。 HSA−[linker]−20KhGH発現用ベクター(pE-mIRES-GS-puro(HSA−[linker]−20KhGH))の構築方法を示す流れ図。 BaF3/hGHR細胞を用いた細胞増殖活性の測定結果を示す図。縦軸は490nmの吸光度,横軸は各検体の濃度(nM)を示す。 BaF3/hPRLR細胞を用いたプロラクチン(PRL)様活性の測定結果を示す図。縦軸は490nmの吸光度,横軸は各検体の濃度(nM)を示す。 細胞増殖活性に対するhGHBPの阻害活性を測定した結果を示す図。縦軸はhGHBPが非添加のときの測定値を100%としたときの490nmの吸光度,横軸はhGHBPの濃度(nM)を示す。 カニクイザルを用いたHSA-hGH融合タンパク質の薬物動態解析の結果を示す図。縦軸はカニクイザル血漿中のHSA−hGH融合タンパク質の濃度(ng/mL),横軸はHSA−hGH融合タンパク質を投与後の経過時間(日)を示す。図内の縦棒は標準偏差を示す。 カニクイザルを用いたHSA−hGH融合タンパク質の薬効解析の結果を示す図。縦軸はHSA−hGH融合タンパク質を投与前の濃度を100%としたときの,カニクイザル血漿中のIGF−1の濃度(%),横軸はHSA−hGH融合タンパク質を投与後の経過時間(日)を示す。図内の縦棒は標準偏差を示す。
本発明は,ヒト血清アルブミン又はその変異体を含むポリペプチドと,20Kヒト成長ホルモン又はその変異体を含むポリペプチドとを結合させた,融合タンパク質に関する。ここで,「ポリペプチドを融合させる」というときは,直接又はリンカー部を介して間接的に,共有結合により異なるポリペプチドを結合させることをいう。
2つの異なるポリペプチドを結合させる方法としては,例えば,一方のポリペプチドをコードする遺伝子の下流に,インフレームで他方のポリペプチドをコードする遺伝子を結合させたDNA断片を組み込んだ発現ベクターを作製し,この発現ベクターを用いて形質転換させた宿主細胞を培養することにより,組換えタンパク質として発現させる方法が一般的である。得られた組換えタンパク質は,2つのポリペプチドが,直接又は別のアミノ酸配列を介してペプチド結合した,一本鎖ポリペプチドである。
その他,2つの異なるポリペプチドを結合させる方法としては,2つのポリペプチドを,例えば組換えタンパク質として別々に作製し,次いで,これら2つのポリペプチドを,非ペプチドリンカー又はペプチドリンカーを介して結合させる方法がある。非ペプチドリンカーとしては,例えば,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体,ポリオキシエチル化ポリオール,ポリビニルアルコール,多糖類,デキストラン,ポリビニルエーテル,生分解性高分子,脂質重合体,キチン類,及びヒアルロン酸,又はこれらの誘導体,若しくはこれらを組み合わせた化合物を用いることができる。
本発明において,「ヒト血清アルブミン」又は「HSA」というときは,配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する585個のアミノ酸からなる野生型のヒト血清アルブミンに加え,血中の内因性の物質及び薬剤等の外因性の物質を結合して運搬する機能等のヒト血清アルブミンとしての機能を有するものである限り,配列番号2で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸が決失,他のアミノ酸へ置換等されたHSAの変異体も含まれる。アミノ酸を決失させる場合,決失させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。アミノ酸を他のアミノ酸へ置換させる場合,置換させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。例えば,配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末端又はC末端のアミノ酸が決失した,584個のアミノ酸からなるものも,ヒト血清アルブミンに含まれる。また,これらアミノ酸の置換と決失を組み合わせて,所望のHSAの変異体とすることもできる。更には,野生型のHSA又はその変異体のアミノ酸配列中若しくはN末端側又はC末端側に,1個又は複数個のアミノ酸が付加されたものも,血中の内因性の物質及び薬剤等の外因性の物質を結合して運搬する機能等のヒト血清アルブミンとしての機能を有するものである限り,本発明におけるHSAに含まれる。このとき付加されるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせて,所望のHSAの変異体とすることもできる。
これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせたHSAの変異体としては,配列番号2で示されるアミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に10個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが好ましく,配列番号2で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましく,配列番号2で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが更に好ましい。
なお,本明細書中において,アミノ酸の他のアミノ酸への置換は,保存的又は非保存的アミノ酸置換のいずれであってもよい。保存的アミノ酸置換は,アミノ酸の極性,電荷,溶解度,疎水性,親水性及び/又は両親媒性の性質の類似性に基づいて行われる。例えば,保存的アミノ酸置換としては,芳香族アミノ酸(Phe, Trp, Tyr),脂肪族アミノ酸(Ala, Leu, Ile, Val),極性アミノ酸(Gln, Asn),塩基性アミノ酸(Lys, Arg, His),酸性アミノ酸(Glu, Asp),水酸基を有するアミノ酸(Ser, Thr)などの同じグループに分類されるアミノ酸への置換が挙げられる。更に,保存的アミノ酸置換としては,疎水性アミノ酸(Ala, Leu, Ile, Val, Pro, Phe, Trp, Met),極性中性アミノ酸(Gly, Ser, Thr, Cys, Tyr, Gln, Asn),ペプチド鎖の配向に影響を及ぼし得るアミノ酸(Pro, Gly)などの同じグループに分類されるアミノ酸への置換が挙げられる。
ヒト血清アルブミンの変異体の好ましい一形態として,配列番号2で示される585個のアミノ酸からなる野生型のヒト血清アルブミンのアミノ酸配列に対して,N末端から320番目のアミノ酸のアラニンがトレオニン又はセリンに置換されたものが挙げられる。また,配列番号2で示される野生型のヒト血清アルブミンのアミノ酸配列に対して,N末端から319番目のアミノ酸残基のチロシンがプロリン以外のアミノ酸残基に置換され,且つN末端から320番目のアミノ酸残基のアラニンがトレオニン又はセリンに置換されたものも,HSAの変異体の好ましい一形態である。これら変異体では,アミノ酸の置換によりAsn−X−Ser又はAsn−X−Thr(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)で表わされるトリペプチド配列が生じる。このトリペプチド配列中のアスパラギン残基は,これら変異体をコードする遺伝子を発現ベクターに組み込み哺乳動物細胞等の真核細胞で発現させたとき,N−結合型糖鎖によりグリコシル化され得る。
本発明において,「ヒト血清アルブミンRedhill」(HSA−Redhill)の語は,ヒト血清アルブミンのバリアントであって,配列番号46で示される586個のアミノ酸残基からなるものを意味する。ヒト血清アルブミンRedhillは,配列番号2で示される585個のアミノ酸からなる野生型のヒト血清アルブミンのアミノ酸配列に対して,N末端から320番目のアミノ酸残基がアラニンでなくトレオニンであり且つN末端にアルギニン残基が一つ付加したものに相当する。アルブミンRedhillでは,このようにアラニンがトレオニンとなることにより,そのアミノ酸配列中にAsn−Tyr−Thrで表される配列が生じ,この配列中のAsn(アスパラギン)残基がN−結合型グリコシド化される。このためアルブミンRedhillは,通常の野生型アルブミン(配列番号2)と比較して分子量が2.5kDa程大きく観察される。本発明において「ヒト血清アルブミン」又は「HSA」というときは,このHSA−Redhillも含まれる。
ヒト脳下垂体から分泌されるヒト成長ホルモンには,主に22Kヒト成長ホルモンと20Kヒト成長ホルモンの分子量の異なる2種類がある。22K成長ホルモンは,配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する,191個のアミノ酸から構成されるタンパク質である。通常,「ヒト成長ホルモン」又は「hGH」というときは,この22K成長ホルモンのことを意味するが,以下の本明細書中において,単に「ヒト成長ホルモン」又は「hGH」というときは,22Kヒト成長ホルモンと20Kヒト成長ホルモンのいずれもが含まれる。
野生型の20Kヒト成長ホルモンは,配列番号3で示される22K成長ホルモンを構成する191個のアミノ酸のうち,アミノ酸配列のN末端から数えて32番目〜46番目の15個のアミノ酸が欠失した,配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する176個のアミノ酸から構成される,成長促進活性を有するタンパク質である。但し,本発明において,「20Kヒト成長ホルモン」又は「20KhGH」というときは,配列番号1で示される野生型の20KhGHに加え,配列番号1で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸が,決失,他のアミノ酸へ置換等された20KhGHの変異体であって成長促進活性を有するものも含まれる。アミノ酸を決失させる場合,決失させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜8個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1又は2個である。アミノ酸を他のアミノ酸へ置換させる場合,置換させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜8個であり,より好ましくは1〜4個であり,更に好ましくは1又は2個である。これらアミノ酸の置換と決失を組み合わせて,所望の20KhGHの変異体とすることもできる。
更には,野生型の20Kヒト成長ホルモン又はその変異体のアミノ酸配列中若しくはN末端側又はC末端側に,1個又は複数個のアミノ酸が付加されたものであって成長促進活性を有するものも,本発明における20Kヒト成長ホルモン(20KhGH)に含まれる。このとき付加されるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜8個であり,より好ましくは1〜4個であり,更に好ましくは1又は2個である。これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせて,所望の20KhGHの変異体とすることもできる。
これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせた20Kヒト成長ホルモンの変異体としては,配列番号1で示されるアミノ酸配列中の8個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の8個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に8個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが好ましく,配列番号1で示されるアミノ酸配列中の4個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の4個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に4個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましく,配列番号1で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが更に好ましい。
本発明の融合タンパク質は,ヒト血清アルブミンと20KhGHとを融合させた融合タンパク質であり,ヒト血清アルブミン部と20Kヒト成長ホルモン部の各部を有する。
ここで,「ヒト血清アルブミン部」又は「HSA部」というときは,当該融合タンパク質において,HSAに由来するアミノ酸配列を含む部分であって,血中に含まれる内因性の物質及び薬剤等の外因性の物質を結合して運搬する機能等のヒト血清アルブミンとしての機能を発揮する部分のことをいう。ここで,「HSAに由来するアミノ酸配列」とは,配列番号2で示される585個のアミノ酸からなる野生型のヒト血清アルブミンのアミノ酸配列に加え,配列番号2で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸が,決失,他のアミノ酸へ置換等されたHSAの変異体のアミノ酸配列も含まれる。アミノ酸を決失させる場合,決失させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。アミノ酸を他のアミノ酸へ置換させる場合,置換させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。例えば,配列番号2で示されるアミノ酸配列のN末端又はC末端のアミノ酸が決失した,584個のアミノ酸からなるものも,HSAに由来するアミノ酸配列に含まれる。また,これらアミノ酸の置換と決失を組み合わせて,所望のHSAの変異体のアミノ酸配列とすることもできる。
更には,野生型のHSA又はその変異体のアミノ酸配列中若しくはN末端側又はC末端側に,1個又は複数個のアミノ酸が付加されたものも,HSAに由来するアミノ酸配列に含まれる。このとき付加されるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせて,所望のHSAの変異体とすることもできる。但し,下記に詳述するリンカー部を有する一本鎖ポリペプチドとして融合タンパク質を作製した場合,リンカー部に属すべきとされ得るアミノ酸配列は,優先的にリンカー部に属するものとし,HSA部には属さないものとする。
これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせたHSAの変異体としては,配列番号2で示されるアミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に10個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが好ましく,配列番号2で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましく,配列番号2で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが更に好ましい。
ヒト血清アルブミン部として用いることのできるヒト血清アルブミンの変異体の好ましい一形態として,配列番号2で示される585個のアミノ酸からなる野生型のヒト血清アルブミンのアミノ酸配列に対して,N末端から320番目のアミノ酸のアラニンがトレオニン又はセリンに置換されたものが挙げられる。また,配列番号2で示される野生型のヒト血清アルブミンのアミノ酸配列に対して,N末端から319番目のアミノ酸残基のチロシンがプロリン以外のアミノ酸残基に置換され,且つN末端から320番目のアミノ酸残基のアラニンがトレオニン又はセリンに置換されたものも,HSAの変異体の好ましい一形態としてヒト血清アルブミン部として用いることができる。これら変異体では,アミノ酸の置換によりAsn−X−Ser又はAsn−X−Thr(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)で表わされるトリペプチド配列が生じる。このトリペプチド配列中のアスパラギン残基は,融合タンパク質をコードする遺伝子を発現ベクターに組み込み哺乳動物細胞等の真核細胞で発現させたとき,N−結合型糖鎖によりグリコシル化され得る。配列番号46で示される586個のアミノ酸からなるヒト血清アルブミンRedhill(HSA−Redhill)もヒト血清アルブミン部として用いることができる。
また該融合タンパク質において,「20Kヒト成長ホルモン部」又は「20KhGH部」というときは,20KhGHに由来するアミノ酸配列を含む部分であって,成長促進活性を有する部分のことをいう。ここで,「20KhGHに由来するアミノ酸配列」とは,配列番号1で示される176個のアミノ酸からなる野生型の20Kヒト成長ホルモンのアミノ酸配列に加え,配列番号1で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸が,決失,他のアミノ酸へ置換等された20KhGHの変異体のアミノ酸配列も含まれる。アミノ酸を決失させる場合,決失させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜8個であり,より好ましくは1〜4個であり,更に好ましくは1又は2個である。アミノ酸を置換させる場合,置換させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜8個であり,より好ましくは1〜4個であり,更に好ましくは1又は2個である。これらアミノ酸の置換と決失を組み合わせて,所望の20KhGHに由来するアミノ酸配列とすることもできる。
更には,野生型の20Kヒト成長ホルモン又はその変異体のアミノ酸配列中若しくはN末端側又はC末端側に,1個又は複数個のアミノ酸が付加されたものも,20KhGHに由来するアミノ酸配列に含まれる。このとき付加させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜8個であり,より好ましくは1〜4個であり,更に好ましくは1又は2個である。これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせて,所望の20Kヒト成長ホルモンの変異体のアミノ酸配列とすることもできる。但し,下記に詳述するリンカー部を有する一本鎖ポリペプチドとして融合タンパク質を作製した場合,リンカー部に属すべきとされ得るアミノ酸配列は,優先的にリンカー部に属するものとし,20KhGH部には属さないものとする。
これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせた20Kヒト成長ホルモンの変異体としては,配列番号1で示されるアミノ酸配列中の8個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の8個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に8個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが好ましく,配列番号1で示されるアミノ酸配列中の4個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の4個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に4個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましく,配列番号1で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが更に好ましい。
本発明の融合タンパク質において,ヒト血清アルブミン部と20KhGH部は,直接又はリンカー部を介して結合される。ここで,「リンカー部」というときは,ペプチド鎖又はペプチド以外の長鎖状の分子,若しくはこれらの誘導体からなる,ヒト血清アルブミン部と20KhGH部のいずれにも属さない部分のことをいう。リンカー部がペプチド鎖又はその誘導体であるとき,リンカー部はペプチドリンカーからなるといい,リンカー部がペプチド鎖又はその誘導体以外の長鎖状の分子又はその誘導体であるとき,リンカー部は非ペプチドリンカーからなるという。リンカー部は,種々の機能を有する。その機能には,HSA部と20KhGH部との間にあって両部を結合する機能の他,両部の融合タンパク質分子内での距離を離すことにより,両部の相互の干渉を低減させる機能,HSA部と20KhGH部との間にあって,両部を連結するヒンジとなって,融合タンパク質の立体構造に柔軟性を与える機能等が含まれる。融合タンパク質の分子内において,リンカー部は,これら機能の少なくとも一つを発揮する。
HSA部と20KhGH部を有する融合タンパク質は,HSAをコードする遺伝子の下流又は上流に,インフレームでhGHをコードする遺伝子を結合させたDNA断片を組み込んだ発現ベクターを作製し,この発現ベクターを導入して形質転換させた宿主細胞を培養することにより,組換えタンパク質として作製することができる。このようにして組換えタンパク質として作製される融合タンパク質は,一本鎖ポリペプチドからなる。また,本発明において,組換えタンパク質として作製された融合タンパク質のことを,組換え融合タンパク質という。
組換え融合タンパク質として融合タンパク質を作製する場合,HSAをコードする遺伝子の下流にインフレームで20KhGHをコードする遺伝子を結合させることにより,HSA部のC末端側に20KhGH部を有する融合タンパク質が得ることができる。逆に,HSAをコードする遺伝子の上流にインフレームで20KhGHをコードする遺伝子を結合させることにより,HSA部のN末端側に20KhGH部を有する融合タンパク質が得られる。いずれの場合においても,組換え融合タンパク質として作製される融合タンパク質は,一本鎖ポリペプチドである。
なお,本発明において,「一本鎖ポリペプチド」というときは,一つのN末端と一つのC末端を有するポリペプチドであって,枝分かれするペプチド鎖のないポリペプチドのことをいう。この条件を満たす限り,分子内ジスルフィド結合を有するもの,糖鎖,脂質,リン脂質等で修飾されたものも一本鎖ポリペプチドである。また,一本鎖ポリペプチドが非共有結合によりダイマー等の複合体を形成した場合にあっては,当該複合体を形成する個々のペプチド鎖は一本鎖ポリペプチドと理解され,当該複合体自体は,一本鎖ポリペプチドの集合体であると理解される。
本発明において,融合タンパク質の一本鎖ポリペプチド内において,HSA部は20KhGH部のN末端側又はC末端側のいずれかに位置することになるが,HSA部は20KhGH部のN末端側に位置することが好ましい。
融合タンパク質の一本鎖ポリペプチド内で,HSA部が20KhGH部のN末端側に位置する場合,HSA部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端が,ペプチド結合により直接,又はリンカー部を介して結合される。ここで「リンカー部」とは,当該一本鎖ポリペプチド内において,HSA部のC末端と20KhGH部のN末端との間に存在する,HSA部及び20KhGH部のいずれにも属さないアミノ酸配列を有する部分のことをいう。図1にN末端側からHSA部,リンカー部及び20KhGH部を順に有する一本鎖ポリペプチドの融合タンパク質を模式的に示す。この場合のリンカー部は,ペプチドリンカーからなるものであり,融合タンパク質はヒト血清アルブミン部のC末端と該リンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合したものである。
また,当該一本鎖ポリペプチド内で,20KhGH部がHSA部のN末端側に位置する場合,20KhGH部のC末端とHSA部のN末端が,ペプチド結合により直接,又はリンカー部を介して結合される。ここで「リンカー部」とは,当該一本鎖ポリペプチド内において,20KhGHのC末端及びHSA部のN末端との間に存在する,HSA部及び20KhGH部のいずれにも属さないアミノ酸配列を有する部分のことをいう。この場合のリンカー部も,ペプチドリンカーからなるものであリ,融合タンパク質は20Kヒト成長ホルモン部のC末端と該リンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該ヒト血清アルブミン部のN末端がペプチド結合により結合したものである。
ペプチドリンカーのアミノ酸配列は,融合タンパク質分子の中にあって,リンカー部としての機能が発揮されるものである限り特に限定はない。また,ペプチドリンカーの長さにも,融合タンパク質分子の中にあって,リンカー部としての機能が発揮されるものである限り特に限定はない。ペプチドリンカーは一個又は複数個のアミノ酸から構成されるものである。ペプチドリンカーが複数個のアミノ酸から構成される場合,そのアミノ酸の個数は,好ましくは2〜50個であり,より好ましくは5〜30個であり,更に好ましくは10〜25個である。ペプチドリンカーの好適な例として,Gly−Ser,Gly−Gly−Ser,又は配列番号4で示されるアミノ酸配列(これらをあわせて基本配列という)からなるもの,及びこれらを含むものが挙げられる。例えば,ペプチドリンカーは,基本配列が2〜10回反復したアミノ酸配列を含むものであり,基本配列が2〜6回反復したアミノ酸配列を含むものであり,基本配列が3〜5回反復したアミノ酸配列を含むものである。ペプチドリンカーのアミノ酸配列の好ましい一例として,配列番号4が4回反復した配列番号5で示されるアミノ酸配列が挙げられる。
リンカー部のアミノ酸配列は,配列番号4で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸が,決失,他のアミノ酸へ置換等されたものであってもよい。アミノ酸を決失させる場合,決失させるアミノ酸の個数は,好ましくは1又は2個である。アミノ酸を他のアミノ酸へ置換させる場合,置換させるアミノ酸の個数は,好ましくは1又は2個である。これらアミノ酸の置換と決失を組み合わせて,所望のリンカー部のアミノ酸配列とすることもできる。
また,リンカー部のアミノ酸配列は,配列番号4で示されるアミノ酸配列中若しくはN末端側又はC末端側に,1個又は複数個のアミノ酸が付加されたものであってもよい。このとき付加されるアミノ酸の個数は,好ましくは1又は2個である。これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせて,所望のリンカー部のアミノ酸配列とすることもできる。
これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせたリンカー部のアミノ酸配列としては,配列番号4で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが好ましく,配列番号4で示されるアミノ酸配列中の1個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の1個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に1個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましい。
リンカー部のアミノ酸配列は,配列番号5で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸が,決失,他のアミノ酸へ置換等されたものであってもよい。アミノ酸を他のアミノ酸へ置換させる場合,置換させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜5個であり,より好ましくは1〜3個であり,更に好ましくは1又は2個である。アミノ酸を決失させる場合,決失させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜5個であり,より好ましくは1〜3個であり,更に好ましくは1又は2個である。これらアミノ酸の置換と決失を組み合わせて,所望のリンカー部のアミノ酸配列とすることもできる。
また,リンカー部のアミノ酸配列は,配列番号5で示されるアミノ酸配列中若しくはN末端側又はC末端側に,1個又は複数個のアミノ酸が付加されたものであってもよい。このとき付加されるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜5個であり,より好ましくは1〜3個であり,更に好ましくは1又は2個である。これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせて,所望のリンカー部のアミノ酸配列とすることもできる。
これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせたリンカー部のアミノ酸配列としては,配列番号5で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが好ましく,配列番号5で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましく,配列番号5で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましい。
ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,リンカー部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合する,本発明の融合タンパク質の一実施形態として,配列番号36で示されるアミノ酸配列を有する,781個のアミノ酸からなる融合タンパク質であるHSA−[linker]−20KhGHがある。配列番号36で示されるアミノ酸配列において,N末端側から1〜585番目までの585個のアミノ酸からなる部分がヒト血清アルブミン部であり,N末端側から586〜605番目までの20個のアミノ酸からなる部分がリンカー部であり,N末端側から606〜781番目までのアミノ酸からなる部分が20Kヒト成長ホルモン部である。
HSA−[linker]−20KhGHにおいて,融合タンパク質の各部,すなわちヒト血清アルブミン部,20Kヒト成長ホルモン部及びリンカー部が,それぞれの機能を発揮するものである限り,適宜,配列番号36で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸を,決失,他のアミノ酸へ置換等させてもよい。アミノ酸を決失させる場合,決失させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。アミノ酸を他のアミノ酸へ置換させる場合,置換させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。これらアミノ酸の置換と決失を組み合わせて,所望の融合タンパク質とすることもできる。
更には,融合タンパク質の各部,すなわちヒト血清アルブミン部,20Kヒト成長ホルモン部及びリンカー部が,それぞれの機能を発揮するものである限り,適宜,配列番号36で示されるアミノ酸配列中若しくはN末端側又はC末端側に,1個又は複数個のアミノ酸を付加させてもよい。このとき付加されるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせて,所望の融合タンパク質とすることもできる。
これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせた所望の融合タンパク質としては,配列番号36で示されるアミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に10個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが好ましく,配列番号36で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましく,配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが更に好ましい。
また,該ヒト血清アルブミン部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端が,リンカー部を介さずにペプチド結合により結合する,本発明の融合タンパク質の一実施形態として,配列番号29で示されるアミノ酸配列を有する,761個のアミノ酸からなる融合タンパク質であるHSA−20KhGHがある。配列番号29で示されるアミノ酸配列において,N末端側から1〜585番目までの585個のアミノ酸からなる部分がヒト血清アルブミン部であり,N末端側から586〜761番目までのアミノ酸からなる部分が20Kヒト成長ホルモン部である。
HSA−20KhGHにおいて,融合タンパク質の各部,すなわちヒト血清アルブミン部及び20Kヒト成長ホルモン部が,それぞれの機能を発揮するものである限り,適宜,配列番号29で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸を,置換,決失等させてもよい。アミノ酸を置換させる場合,置換させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。アミノ酸を決失させる場合,決失させるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。これらアミノ酸の置換と決失を組み合わせて,所望の融合タンパク質とすることもできる。
更には,融合タンパク質の各部,すなわちヒト血清アルブミン部及び20Kヒト成長ホルモン部が,それぞれの機能を発揮するものである限り,適宜,配列番号29で示されるアミノ酸配列中若しくはN末端側又はC末端側に,1個又は複数個のアミノ酸を付加させてもよい。このとき付加されるアミノ酸の個数は,好ましくは1〜10個であり,より好ましくは1〜5個であり,更に好ましくは1〜3個である。これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせて,所望の融合タンパク質とすることもできる。
これらアミノ酸の付加,置換及び決失を組み合わせた所望の融合タンパク質としては,配列番号29で示されるアミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に10個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが好ましく,配列番号29で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものがより好ましく,配列番号29で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を決失させるとともに,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸を他のアミノ酸へ置換させ,更に該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸を付加させたアミノ酸配列を有するものが更に好ましい。
本発明のHSA部と20KhGH部を有する融合タンパク質は,HSAをコードする遺伝子の下流又は上流に,インフレームで20KhGHをコードする遺伝子を結合させた融合タンパク質をコードするDNA断片を組み込んだ発現ベクターを用いて形質転換させた宿主細胞を培養することにより,組換えタンパク質として製造することができる。
本発明のHSA部と20KhGH部とをリンカー部を介して結合させた融合タンパク質を製造する場合は,HSAをコードする遺伝子と20KhGHをコードする遺伝子とを,リンカー部を構成するペプチド鎖をコードするDNA断片を介してインフレームで結合させた融合タンパク質をコードするDNA断片を作製する。このDNA断片を組み込んだ発現ベクターを用いて形質転換させた宿主細胞を培養することにより,組換えタンパク質として融合タンパク質を製造することができる。
融合タンパク質をコードするDNA断片を組み込んだ発現ベクターは,宿主細胞内に導入される。このとき用いることのできる宿主細胞は,発現ベクターを導入することにより融合タンパク質を発現させることができるものである限り特に制限はなく,哺乳動物細胞,酵母,植物細胞,昆虫細胞等の真核生物細胞,大腸菌,枯草菌等の原核細胞のいずれであってもよいが,哺乳動物細胞が好適である。また,使用する宿主細胞に応じて,適宜,好適な発現ベクターが選択される。
哺乳動物細胞を宿主細胞として使用する場合,該哺乳動物細胞の種類について特に限定はないが,ヒト,マウス,チャイニーズハムスター由来の細胞が好ましく,特にチャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞,マウス骨髄腫に由来するNS/0細胞,ヒトの繊維芽細胞,及びアフリカミドリザルの腎線維芽細胞に由来するCOS細胞が好ましい。またこのとき,融合タンパク質をコードするDNA断片を組み込んで発現させるために用いる発現ベクターは,哺乳動物細胞内に導入させたときに,該遺伝子を発現させるものであれば特に限定なく用いることができる。発現ベクターに組み込まれた該遺伝子は,哺乳動物細胞内で遺伝子の転写の頻度を調節することができるDNA配列(遺伝子発現制御部位)の下流に配置される。本発明において用いることのできる遺伝子発現制御部位としては,例えば,サイトメガロウイルス由来のプロモーター,SV40初期プロモーター,ヒト伸長因子−1アルファ(EF-1α)プロモーター,ヒトユビキチンCプロモーター等が挙げられる。
このような発現ベクターが導入された哺乳動物細胞は,発現ベクターに組み込まれているタンパク質を発現するようになるが,その発現量は個々の細胞により異なり一様ではない。従って,融合タンパク質を効率よく生産するためには,発現ベクターが導入された哺乳動物細胞から,目的のタンパク質の発現レベルが高い細胞を選択するステップが必要となる。この選択ステップを行うために,発現ベクターには選択マーカーとして働く遺伝子が組み込まれている。
選択マーカーとして最も一般的なものはピューロマイシン,ネオマイシン等の薬剤を分解する酵素(薬剤耐性マーカー)である。哺乳動物細胞は一定濃度以上の上記薬剤の存在下で死滅する。しかし,薬剤耐性マーカー遺伝子の組み込まれた発現ベクターが導入された哺乳動物細胞は,発現ベクターに組み込まれた薬剤耐性マーカー遺伝子の発現により上記薬剤を分解し,これを無毒化又は弱毒化することができるので,上記薬剤存在下でも生存可能となる。選択マーカーとして薬剤耐性マーカーが組み込まれた発現ベクターを哺乳動物細胞に導入し,その薬剤耐性マーカーに対応する薬剤を含有する選択培地中で,その薬剤の濃度を徐々に上昇させながら培養を続けると,より高濃度の薬剤存在下でも増殖可能な細胞が得られる。このようにして選択された細胞では,薬剤耐性マーカーとともに,一般に,発現ベクターに組み込まれた目的のタンパク質をコードする遺伝子の発現量も増加するので,結果として目的のタンパク質の発現レベルの高い細胞が選択される。
また,選択マーカーとして,グルタミン合成酵素(GS)を用いることもできる。グルタミン合成酵素は,グルタミン酸とアンモニアからグルタミンを合成する酵素である。哺乳動物細胞を,グルタミン合成酵素の阻害剤,例えばメチオニンスルホキシミン(MSX)を含有し,且つグルタミンを含有しない選択培地中で培養すると,細胞は死滅する。しかし,選択マーカーとしてグルタミン合成酵素が組み込まれた発現ベクターを哺乳動物細胞に導入すると,該細胞では,グルタミン合成酵素の発現レベルが上昇するようになるので,より高濃度のMSX存在下でも増殖可能となる。このとき,MSXの濃度を徐々に上昇させながら培養を続けると,より高濃度のMSX存在下でも増殖可能な細胞が得られる。このようにして選択された細胞では,グルタミン合成酵素とともに,一般に,発現ベクターに組み込んだ目的のタンパク質をコードする遺伝子の発現量も増加するので,結果として目的のタンパク質の発現レベルの高い細胞が選択される。
また,選択マーカーとして,ジヒドロ葉酸レデクターゼ(DHFR)を用いることもできる。DHFRを選択マーカーとして用いる場合,発現ベクターを導入した哺乳動物細胞は,メトトレキセート,アミノプテリン等のDHFR阻害剤を含有する選択培地中で培養される。DHFR阻害剤の濃度を徐々に上昇させながら培養を続けると,より高濃度のDHFR阻害剤存在下でも増殖可能な細胞が得られる。このようにして選択された細胞では,DHFRとともに,一般に,発現ベクターに組み込まれた目的のタンパク質をコードする遺伝子の発現量も増加するので,結果として目的のタンパク質の発現レベルの高い細胞が選択される。
目的のタンパク質をコードする遺伝子の下流側に内部リボソーム結合部位(IRES:internal ribosome entry site)を介して,選択マーカーとしてグルタミン合成酵素(GS)を配置させた発現ベクターが知られている(国際特許公報WO2012/063799,WO2013/161958)。これら文献に記載された発現ベクターは,本発明の融合タンパク質の製造に特に好適に使用することができる。
例えば,タンパク質を発現させるための発現ベクターであって,遺伝子発現制御部位,並びに,その下流に該タンパク質をコードする遺伝子,更に下流に内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ,該遺伝子発現制御部位の又は「該遺伝子発現制御部位」とは別の遺伝子発現制御部位の下流にジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子又は薬剤耐性遺伝子を更に含んでなる,発現ベクターは,本発明の融合タンパク質の製造に好適に使用できる。この発現ベクターにおいて,遺伝子発現制御部位又は別の遺伝子発現制御部位としては,サイトメガロウイルス由来のプロモーター,SV40初期プロモーター,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター(hEF-1αプロモーター),ヒトユビキチンCプロモーターが好適に用いられるが,hEF-1αプロモーターが特に好適である。
また,内部リボソーム結合部位としては,ピコルナウイルス科のウイルス,口蹄疫ウイルス,A型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス,コロナウイルス,ウシ腸内ウイルス,サイラーのネズミ脳脊髄炎ウイルス,コクサッキーB型ウイルス,ヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質遺伝子,ショウジョウバエアンテナペディア遺伝子,ショウジョウバエウルトラビトラックス遺伝子からなる群から選択されるウイルス又は遺伝子の5’非翻訳領域に由来するものが好適に用いられるが,マウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位が特に好適である。マウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位を用いる場合,野生型のもの以外に,野生型の内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものも好適に使用できる。また,この発現ベクターにおいて,好適に用いられる薬剤耐性遺伝子は,好ましくはピューロマイシン又はネオマイシン耐性遺伝子であり,より好ましくはピューロマイシン耐性遺伝子である。
また,例えば,タンパク質を発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流に該タンパク質をコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流にジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子を更に含む発現ベクターであって,該内部リボソーム結合部位が,野生型の内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである発現ベクターは,本発明の融合タンパク質の製造に好適に使用できる。このような発現ベクターとして,WO2013/161958に記載された発現ベクターが挙げられる。
また,例えば,タンパク質を発現させるための発現ベクターであって,ヒト伸長因子−1アルファプロモーター,その下流に該タンパク質をコードする遺伝子,更に下流にマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位,及び更に下流にグルタミン合成酵素をコードする遺伝子を含み,且つ別の遺伝子発現制御部位及びその下流に薬剤耐性遺伝子を更に含む発現ベクターであって,該内部リボソーム結合部位が,野生型の内部リボソーム結合部位に含まれる複数の開始コドンのうちの一部が破壊されたものである発現ベクターは,本発明の融合タンパク質の製造に好適に使用できる。このような発現ベクターとして,WO2012/063799に記載されたpE−mIRES−GS−puro及びWO2013/161958に記載されたpE−mIRES−GS−mNeoが挙げられる。
野生型のマウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位の3’末端には,3つの開始コドン(ATG)が存在しており,その3つの開始コドンを含む配列は配列番号6(5'-ATGataatATGgccacaaccATG-3':開示コドンのATGを大文字で示す)で示される。配列番号6に含まれる開始コドンのうちの一部が破壊されたものとしては,例えば,配列番号7(5'-atgataagcttgccacaaccatg-3')で示されるものがある。上記のpE−mIRES−GS−puro及びpE−mIRES−GS−mNeoは,開始コドンのうちの一部が破壊された配列番号7で示される配列を含むIRESを有する発現ベクターである。
本発明の一実施形態において,融合タンパク質をコードするDNA断片を組み込んだ発現ベクターが導入された哺乳動物細胞は,組換え融合タンパク質の発現レベルの高い細胞を選択するために,選択培地中で選択培養される。
選択培養において,DHFRを選択マーカーとして使用する場合,選択培地に含まれるDHFR阻害剤の濃度を段階的に上昇させる。その最大濃度は,DHFR阻害剤がメトトレキセートの場合,好ましくは0.25〜5μMであり,より好ましくは0.5〜1.5μMであり,更に好ましくは約1.0μMである。
GSを選択マーカーとして使用する場合,選択培地に含まれるGS阻害剤の濃度を段階的に上昇させる。その最大濃度は,GS阻害剤がMSXの場合,好ましくは100〜1000μMであり,より好ましくは200〜500μMであり,更に好ましくは約300μMである。またこのとき,一般的にグルタミンを含有しない培地が選択培地として用いられる。
ピューロマイシンを分解する酵素を選択マーカーとして使用する場合,選択培地に含まれるピューロマイシンの最大濃度は,好ましくは3〜30μg/mLであり,より好ましくは5〜20μg/mLであり,更に好ましくは約10μg/mLである。
ネオマイシンを分解する酵素を選択マーカーとして使用する場合,選択培地に含まれるG418の最大濃度は,好ましくは0.1mg〜2mg/mLであり,より好ましくは0.5〜1.5mg/mLであり,更に好ましくは約1mg/mLである。
また,哺乳動物細胞の培養のための培地としては,選択培養で用いる培地,後述する組換え融合タンパク質を産生させるために用いる培地(組換え融合タンパク質産生用培地)ともに,哺乳動物細胞を培養して増殖させることのできるものであれば,特に限定なく用いることができるが,好ましくは無血清培地が用いられる。
選択培養により選択された組換え融合タンパク質の発現レベルの高い細胞は,組換え融合タンパク質産生細胞として,組換え融合タンパク質の生産に用いられる。組換え融合タンパク質の生産は,組換え融合タンパク質産生細胞を組換え融合タンパク質産生用培地中で培養することにより行われる。この培養を生産培養という。
本発明において,組換え融合タンパク質産生用培地として用いられる無血清培地としては,例えば,アミノ酸を3〜700mg/L,ビタミン類を0.001〜50mg/L,単糖類を0.3〜10g/L,無機塩を0.1〜10000mg/L,微量元素を0.001〜0.1mg/L,ヌクレオシドを0.1〜50mg/L,脂肪酸を0.001〜10mg/L,ビオチンを0.01〜1mg/L,ヒドロコルチゾンを0.1〜20μg/L,インシュリンを0.1〜20mg/L,ビタミンB12を0.1〜10mg/L,プトレッシンを0.01〜1mg/L,ピルビン酸ナトリウムを10〜500mg/L,及び水溶性鉄化合物を含有する培地が好適に用いられる。所望により,チミジン,ヒポキサンチン,慣用のpH指示薬及び抗生物質等を培地に添加してもよい。
組換え融合タンパク質産生用培地として用いられる無血清培地として,DMEM/F12培地(DMEMとF12の混合培地)を基本培地として用いてもよく,これら各培地は当業者に周知である。更にまた,無血清培地として,炭酸水素ナトリウム,L−グルタミン,D−グルコース,インスリン,ナトリウムセレナイト,ジアミノブタン,ヒドロコルチゾン,硫酸鉄(II),アスパラギン,アスパラギン酸,セリン及びポリビニルアルコールを含むものである,DMEM(HG)HAM改良型(R5)培地を使用してもよい。更には市販の無血清培地,例えば,CD OptiCHOTM培地,CHO−S−SFM II培地又はCD CHO培地(Thermo Fisher Scientific社),EX−CELLTM302培地又はEX−CELLTM325−PF培地(SAFC Biosciences社)等を基本培地として使用することもできる。
HSA部と20KhGH部を有する融合タンパク質は,HSA部と20KhGH部とを組換えタンパク質として別々に作製し,これらをペプチドリンカー又は非ペプチドリンカーのいずれかを介して結合させることにより製造することもできる。ここで,「ペプチドリンカー」とは,ペプチド結合した1〜50個のアミノ酸から構成されるペプチド鎖若しくはその誘導体であって,そのN末端とC末端が,それぞれHSA又は20KhGHのいずれかと共有結合を形成することにより,HSAと20KhGHとを結合させてHSA部と20KhGH部を有する融合タンパク質を形成させるものである。ペプチドリンカーとしては,Gly−Ser,Gly−Gly−Ser,又は配列番号4で示されるアミノ酸配列(これらをあわせて基本配列という)からなるもの,及びこれらを含むものを使用することができ,例えば,基本配列が2〜10回反復したアミノ酸配列を含むもの,基本配列が2〜6回反復したアミノ酸配列を含むもの,基本配列が3〜5回反復したアミノ酸配列を含むもの等が使用できる。ペプチドリンカーのアミノ酸配列の好ましい一例として,配列番号5で示されるアミノ酸配列が挙げられる。また,ペプチドリンカーのアミノ酸配列は,配列番号4又は配列番号5で示されるアミノ酸配列中の1個又は複数個のアミノ酸が,決失,付加,他のアミノ酸に置換等されたものであってもよい。
「非ペプチドリンカー」とは,ポリエチレングリコール(PEG),ポリプロピレングリコール,エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体,ポリオオキシエチル化ポリオール,ポリビニルアルコール,多糖類,デキストラン,ポリビニルエーテル,生分解性高分子,脂質重合体,キチン類,及びヒアルロン酸,又はこれらの誘導体,若しくはこれらを組み合わせたものから選択されるものであり,その分子内の官能基を介してHSA及び20KhGHの両方と共有結合することにより,HSA部と20KhGH部を有する融合タンパク質を形成させるものである。
非ペプチドリンカーとしてPEG用いてHSAと20KhGHとを結合させた融合タンパク質は,特に,HSA-PEG-20KhGHという。HSA-PEG-20KhGHは,HSAとPEGを結合させてHSA-PEGを作製し,次いでHSA-PEGと20KhGHとを結合させることにより製造することができる。又は,HSA-PEG-20KhGHは,20KhGHとPEGとを結合させて20KhGH-PEGを作製し,次いで20KhGH-PEGとHSAを結合させることによっても製造することができる。PEGをHSA及び20KhGHと結合させる際には,カーボネート,カルボニルイミダゾール,カルボン酸の活性エステル,アズラクトン,環状イミドチオン,イソシアネート,イソチオシアネート,イミデート,又はアルデヒド等の官能基で修飾されたPEGが用いられる。これらPEGに導入された官能基が,主にHSA及び20KhGH分子内のアミノ基と反応することにより,PEGとHSA及び20KhGHが共有結合する。このとき用いられるPEGの分子量及び形状に特に限定はないが,その平均分子量(MW)は,好ましくはMW=500〜60000であり,より好ましくはMW=500〜20000である。例えば,平均分子量が約300,約500,約1000,約2000,約4000,約10000,約20000等であるPEGは,非ペプチドリンカーとして好適に使用することができる。
例えば,HSA-PEGは,HSAとアルデヒド基を官能基として有するポリエチレングリコール(ALD-PEG-ALD)とを,HSA:ALD-PEG-ALDのモル比が1:1,1:2.5,1:5,1:10,1:20等になるように混合し,これにNaCNBH等の還元剤を添加して反応させることにより得られる。次いで,HSA-PEGを,NaCNBH等の還元剤の存在下で,20KhGHと反応させることにより,HSA-PEG-20KhGHが得られる。逆に,先に20KhGHとALD-PEG-ALDとを結合させて20KhGH-PEGを作製し,次いで20KhGH-PEGとHSAを結合させることによっても,HSA-PEG-20KhGHを得ることができる。
本発明のヒト血清アルブミン部と20Kヒト成長ホルモン部を有する融合タンパク質は,成長促進活性を有する。成長促進活性は,実施例9に記載のBaF3/hGHR細胞を用いた測定法により,細胞増殖活性として測定できる。当該融合タンパク質は,実施例9に記載のBaF3/hGHR細胞を用いた測定法により測定したときに,22KhGHと比較して同等若しくは低い細胞増殖活性を示すものである。より具体的には,当該融合タンパク質は,実施例9に記載の測定法により得られるED50の値が,22KhGHのそれと比較して,好ましくは1.0〜6.0倍であるものであり,より好ましくは1.5〜2.5倍であるものであり,更に好ましくは約1.6〜2.3倍であるものであり,更により好ましくは1.6〜2.0倍であるものである。実施例9に記載の測定法によれば,このED50の値が大きい程,細胞増殖活性は低い。
本発明の一実施形態である,ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,このリンカー部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質も,細胞増殖活性を有する。当該融合タンパク質は,実施例9に記載のBaF3/hGHR細胞を用いた測定法により測定したときに,22KhGHと比較して同等若しくは低い細胞増殖活性を示すものである。より具体的には,当該融合タンパク質は,実施例9に記載の測定法により得られるED50の値が,22KhGHのそれと比較して,好ましくは1.0〜2.5倍であるものであり,より好ましくは1.5〜2.5倍であるものであり,更に好ましくは約1.6〜2.3倍であるものであり,更により好ましくは1.6〜2.0倍であるものである。
配列番号29で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質は,ヒト血清アルブミン部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質の一実施形態である。当該融合タンパク質の場合,実施例9に記載の測定法により得られるED50の値は,約4.3×10−3nMである。この値は22KhGHのED50の値の5.0〜6.0倍である。
配列番号36で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質は,ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,このリンカー部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質の一実施形態である。当該融合タンパク質の場合,実施例9に記載の測定法により得られるED50の値は,約1.5×10−3nMである。この値は22KhGHのED50の値の1.6〜2.0倍である。
本発明の融合タンパク質は,プロラクチン様活性を有する。当該融合タンパク質は,実施例11に記載のBaF3/hPRLR細胞を用いた測定法により測定したときに,22KhGHと比較して低いプロラクチン(PRL)様活性を示すものである。より具体的には,本発明の融合タンパク質は,実施例11に記載の測定法により得られるED50の値が,22KhGHのそれと比較して,好ましくは5〜22倍であるものであり,より好ましくは10〜18倍であるものであり,更に好ましくは12〜15倍であるものである。実施例11に記載の測定法によれば,ED50の値が大きい程,プロラクチン様活性は低い。
本発明の一実施形態である,ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,このリンカー部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質も,プロラクチン様活性を有する。当該融合タンパク質は,実施例11に記載のBaF3/hPRLR細胞を用いた測定法により測定したときに,22KhGHと比較して低いプロラクチン(PRL)様活性を示すものである。より具体的には,当該融合タンパク質は,実施例11に記載の測定法により得られるED50の値が,22KhGHのそれと比較して,好ましくは5〜22倍であるものであり,より好ましくは5〜20倍であるものであり,更に好ましくは約10〜18倍であるものであり,更により好ましくは12〜15倍であるものである。
配列番号29で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質は,ヒト血清アルブミン部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質の一実施形態である。当該融合タンパク質の場合,実施例11に記載の測定法により得られるED50の値は,約1.5nMである。この値は22KhGHのED50の値の20〜22倍である。
配列番号36で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質は,ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,このリンカー部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質の一実施形態である。当該融合タンパク質の場合,実施例11に記載の測定法により得られるED50の値は,約9.6×10−1nMである。この値は22KhGHのED50の値の12〜15倍である。
本発明のヒト血清アルブミン部と20Kヒト成長ホルモン部を有する融合タンパク質は,ヒト成長ホルモン結合タンパク質(hGHBP)への親和性を有する。当該融合タンパク質は,実施例12に記載の測定法により測定したときに,22KhGHと比較して低いhGHBPへの親和性を示すものである。より具体的には,当該融合タンパク質は,実施例12に記載の測定法により得られるIC50の値が,22KhGHのそれと比較して,好ましくは2.5〜10倍であるものであり,より好ましくは3.0〜7.0倍であるものであり,更に好ましくは3.0〜6.0倍であるものである。実施例12に記載の測定法によれば,IC50の値が大きい程,hGHBPへの親和性は低い。なお,実施例12に使用されたhGHBPは,大腸菌を用いて作製された組換えhGHBPであり,糖鎖を有しないものである。
本発明の一実施形態である,ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,このリンカー部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質も,ヒト成長ホルモン結合タンパク質(hGHBP)への親和性を有する。当該融合タンパク質は,実施例12に記載の測定法により測定したときに,22KhGHと比較して低いhGHBPへの親和性を示すものである。より具体的には,当該融合タンパク質は,実施例12に記載の測定法により得られるIC50の値が,22KhGHのそれと比較して,好ましくは2.5〜10倍であるものであり,より好ましくは3.0〜7.0倍であるものであり,更に好ましくは3.0〜6.0倍であるものである。
配列番号29で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質は,ヒト血清アルブミン部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質の一実施形態である。当該融合タンパク質の場合,実施例12に記載の測定法により得られるIC50の値は,22KhGHのIC50の値の3.0〜6.0倍である。
配列番号36で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質は,ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,このリンカー部のC末端と20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合した一本鎖ポリペプチドである融合タンパク質の一実施形態である。当該融合タンパク質の場合,実施例12に記載の測定法により得られるIC50の値は,22KhGHのED50の値の3.0〜6.0倍である。
すなわち,本発明の融合タンパク質は,22KhGHと比較して,hGHBPへの親和性が低いため,ヒトに投与したときに血中でhGHBPと結合せずに存在するものの割合が増加することが期待される。ヒト成長ホルモンは,hGHBPと結合することにより,標的細胞の表面に存在するヒト成長ホルモン受容体への結合が阻害される。従って,hGHBPへの親和性が低い本発明の融合タンパク質は,ヒトに投与したときに,hGHBPによる影響が少なく,比較的高い成長促進活性を示すことができると予想される。また,本発明の融合タンパク質は,ヒト血清アルブミン部の存在により,血中における安定性が増加することから,ヒトに投与したときに体内において,高い成長促進活性を持続的に示すことができる。
hPRLRを介した細胞内への強いシグナル伝達は乳がん細胞を増殖させることが知られている。ヒト成長ホルモンは,hPRLRを介したプロラクチン様活性を有する。22KhGHを有効成分として含有する既存のヒト成長ホルモン製剤は,ヒトに投与したときに速やかに代謝されるので,その活性が体内で持続的に高く維持されることはなく,乳がんを誘発する危険性はない。しかし,ヒトに投与したときに体内で高い成長促進活性を持続的に示すことのできる持続型のヒト成長ホルモン製剤の場合,そのプロラクチン様活性も体内で高く維持されることになるので,乳がんを誘発する可能性が生じる。ところが,本発明の融合タンパク質は,ヒトに投与したときに体内で高い成長促進活性を持続的に示すことができる一方,プロラクチン様活性が低いので,乳がんを誘発させる危険性をほとんど除去できるか,又は低減することができる。
本発明のヒト血清アルブミン部と20Kヒト成長ホルモン部とを有する融合タンパク質は,種々の低身長症の治療剤として使用することができる。該低身長症には,成長ホルモン分泌不全性低身長症,ターナー症候群における低身長症,SGA性低身長症,慢性腎不全による低身長症,プラダーウィリー症候群における低身長症,軟骨異栄養症における低身長症,SHOX欠損症による低身長症,又はヌーナン症候群における低身長であって,何れも骨端線閉鎖を伴わないものが含まれる。また,本発明の融合タンパク質は,種々の成長ホルモン分泌不全症の治療剤として使用することができる。該成長ホルモン分泌不全症には,成人成長ホルモン分泌不全症等が含まれる。その他,AIDSによる消耗,及び拒食症による消耗を対象疾患とする医薬として使用することができるが,これに限らず,成長ホルモンの有する軟骨形成促進,タンパク質同化促進等の成長促進活性,体組成及び脂質代謝改善作用等の生理活性を,長期に渡って作用させることにより症状が改善され得る疾患の治療剤として使用することができる。
本発明の融合タンパク質を有効成分として含有する治療剤は,凍結乾燥品として,又は水性液剤として医療機関に供給することができる。水性液剤の場合,当該融合タンパク質を,安定化剤,緩衝剤,等張化剤を含有する溶液に予め溶解したものを,バイアル又は注射器に封入した製剤として供給できる。注射器に封入された製剤は,一般にプレフィルドシリンジ製剤と呼称される。また,本発明の融合タンパク質を有効成分として含有する治療剤は,例えば,皮下又は筋肉内に注射することにより,ヒトに投与することができる。
以下,実施例を参照して本発明を更に詳細に説明するが,本発明が実施例に限定されることは意図しない。
〔実施例1〕pE-mIRES-GS-puroの構築
pEF/myc/nucベクター(インビトロジェン社)を,制限酵素(KpnI及びNcoI)で消化し,EF-1αプロモーター及びその第一イントロンを含むDNA断片を切り出し,このDNA断片をT4DNAポリメラーゼで平滑末端化処理した。別に,pCI-neo(インビトロジェン社)を,制限酵素(BglII及びEcoRI)で消化して,CMVのエンハンサー/プロモーター及びイントロンを含む領域を切除した後に,T4 DNAポリメラーゼで平滑末端化処理した。これに,上記のEF-1αプロモーター及びその第一イントロンを含む領域(平滑末端化処理後のもの)を挿入して,pE-neoベクターを構築した(図2)。
pE-neoベクターを,制限酵素(SfiI及びBstXI)で消化し,ネオマイシン耐性遺伝子を含む約1kbpの領域を切除した(図3)。pcDNA3.1/Hygro(+)(インビトロジェン社)を鋳型にしてプライマーHyg-Sfi5’(配列番号8)及びプライマーHyg-BstX3’(配列番号9)を用いて,PCR反応によりハイグロマイシン遺伝子を増幅した(図3)。増幅したハイグロマイシン遺伝子を,制限酵素(SfiI及びBstXI)で消化し,上記のpE-neoベクターに挿入して,pE-hygrベクターを構築した(図3)。
発現ベクターpPGKIH(Miyahara M. et.al., J. Biol. Chem. 275,613−618(2000))を制限酵素(XhoI及びBamHI)で消化し,マウス脳心筋炎ウイルス(EMCV)に由来する内部リボソーム結合部位(IRES),ハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygr遺伝子)及びマウスホスホグリセリン酸キナーゼ(mPGK)のポリアデニル化領域(mPGKpA)を含む塩基配列IRES-Hygr-mPGKpA(配列番号10:5’末端から,塩基1〜6からなる領域が「XhoIサイト」,塩基120〜715及びこれに続く塩基716〜718(atg)からなる領域が「マウス脳心筋炎ウイルスの5’非翻訳領域に由来する内部リボソーム結合部位を含む塩基配列」,該塩基716〜718(atg)を含む塩基716〜1741からなる領域が「ハイグロマイシン耐性遺伝子をコードする塩基配列」,塩基1747〜2210からなる領域が「マウスホスホグリセリン酸キナーゼ(mPGK)のポリアデニル化領域を含む塩基配列」,及び3’末端の6個の塩基(塩基2211〜2216)からなる領域が「BamHIサイト」である。)よりなるDNA断片を切り出した(なお,Hygr遺伝子に対応するアミノ酸配列は,配列番号11で示されたものである。)。このDNA断片をpBluescript SK(−)(Stratagene社)のXhoI及びBamHIサイト間に挿入し,これをpBSK(IRES-Hygr-mPGKpA)とした(図4−1)。
pBSK(IRES-Hygr-mPGKpA)を鋳型とし,プライマーIRES5’(配列番号12)及びプライマーIRES3’(配列番号13)を用いて,PCRによりEMCVのIRESの一部を含むDNA断片を増幅させた。このDNA断片を制限酵素(XhoI及びHindIII)で消化し,pBSK(IRES−Hygr−mPGKpA)のXhoI及びHindIIIサイト間に挿入し,これをpBSK(NotI-IRES-Hygr-mPGKpA)とした(図4−2)。pBSK(NotI-IRES-Hygro-mPGKpA)を制限酵素(NotI及びBamHI)で消化し,pE-hygrベクターのNotI及びBamHIサイト間に挿入し,これをプラスミドpE-IRES-Hygrとした(図4−3)。
発現ベクターpPGKIHを鋳型とし,プライマーmPGKP5’(配列番号14)及びプライマーmPGKP3’(配列番号15)を用いて,PCRによりmPGKのプロモーター領域(mPGKp)含む塩基配列(配列番号16:5’末端から,塩基4〜9が「BglIIサイト」,これに続く塩基10〜516からなる領域が「マウスホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子のプロモーター領域を含む塩基配列」,これに続く塩基524〜529からなる領域が「EcoRIサイト」である。)よりなるDNA断片を増幅させた。このDNA断片を制限酵素(BglII及びEcoRI)で消化し,pCI-neo(プロメガ社)のBglII及びEcoRIサイト間に挿入し,これをpPGK-neoとした(図4−4)。pE-IRES-Hygrを制限酵素(NotI及びBamHI)で消化してDNA断片(IRES-Hygr)を切り出し,pPGK-neoのNotI及びBamHIサイト間に挿入し,これをpPGK-IRES-Hygrとした(図4−5)。
CHO-K1細胞からcDNAを調製し,このcDNAを鋳型とし,プライマーGS5’(配列番号17)及びプライマーGS3’(配列番号18)を用いて,PCRによりGS遺伝子を含むDNA断片を増幅させた。このDNA断片を制限酵素(BalI及びBamHI)で消化し,pPGK-IRES-HygrのBalI及びBamHIサイト間に挿入し,これをpPGK-IRES-GS-ΔpolyAとした(図4−6)。
pCAGIPuro(Miyahara M. et.al., J. Biol. Chem. 275,613−618(2000))を鋳型とし,プライマーpuro5’(配列番号19)及びプライマーpuro3’(配列番号20)を用いて,PCRによりピューロマイシン耐性遺伝子(puro遺伝子)を含む塩基配列(配列番号21:5’末端から,塩基2〜7からなる領域が「AflIIサイト」,これに続く塩基8〜607からなる領域が「ピューロマイシン耐性遺伝子(puro遺伝子)をコードする塩基配列」,及び,その次の塩基608〜619からなる領域が「BstXIサイト」である。)よりなるDNA断片を増幅させた(なお,puro遺伝子に対応するアミノ酸配列は,配列番号22で示されたものである。)。このDNA断片を制限酵素(AflII及びBstXI)で消化し,発現ベクターpE-neoのAflII及びBstXIサイト間に挿入し,これをpE-puroとした(図4−7)。
pE-puroを鋳型とし,プライマーSV40polyA5’(配列番号23)及びプライマーSV40polyA3’(配列番号24)を用いて,PCRによりSV40後期ポリアデニル化領域を含むDNA断片を増幅させた。このDNA断片を制限酵素(NotI及びHpaI)で消化し,発現ベクターpE-puroのNotI及びHpaIサイト間に挿入し,これをpE-puro(XhoI)とした(図4−8)。pPGK-IRES-GS-ΔpolyAを制限酵素(NotI及びXhoI)で消化し,IRES-GS領域を含むDNA断片を切り出し,このDNA断片を発現ベクターpE-puro(XhoI)のNotI及びXhoIサイト間に挿入し,これをpE-IRES-GS-puroとした(図4−9)。
発現ベクターpE-IRES-GS-puroを鋳型とし,プライマーmIRES-GS5’(配列番号25)及びプライマーmIRES-GS3’(配列番号26)を用いて,PCRにより,EMCVのIRESからGSにかけての領域を増幅させ,EMCVのIRESの5’側から2番目に位置する開始コドン(ATG)に変異を加えて破壊したDNA断片を増幅させた。発現ベクターpE-IRES-GS-puroを鋳型として,このDNA断片と上記のプライマーIRES5’を用いて,PCRによりIRESからGSにかけての上記領域を含むDNA断片を増幅させた。このDNA断片を制限酵素(NotI及びPstI)で消化し,切り出されたDNA断片を,発現ベクターpE-IRES-GS-puroのNotI及びPstIサイト間に挿入し,これを哺乳動物細胞用の発現ベクターであるpE-mIRES-GS-puroとした(図5)。
〔実施例2〕HSA-22KhGH発現用ベクターの構築
HSAのC末端と22KhGHのN末端とを融合させた,配列番号27に示されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質を,HSA-22KhGHとした。配列番号27に示されるアミノ酸配列において,1〜585番目のアミノ酸がHSAのアミノ酸配列に相当し,586〜776番目のアミノ酸が22KhGHのアミノ酸配列に相当する。HSA-22KhGHをコードする遺伝子(HSA-22KhGH遺伝子)を含む配列番号28で示される塩基配列を有するDNAを化学的に合成し,このDNAを制限酵素(MluI及びNotI)で消化し,実施例1で作製したpE-mIRES-GS-puroのMluIとNotIの間に組み込むことにより,HSA-22KhGH発現用ベクターであるpE-mIRES-GS-puro(HSA-22KhGH)を構築した。図6に,pE-mIRES-GS-puro(HSA-22KhGH)の構造を模式的に示す。
〔実施例3〕HSA−20KhGH発現用ベクターの構築
HSAのC末端と20KhGHのN末端とを融合させた,配列番号29に示されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質を,HSA-20KhGHとした。配列番号29に示されるアミノ酸配列において,1〜585番目がHSAのアミノ酸配列に相当し,586〜761番目が20KhGHのアミノ酸配列に相当する。実施例2で構築したpE-mIRES-GS-puro(HSA-22KhGH)を鋳型として,プライマーYA055(配列番号30)及びプライマーYA056(配列番号31)を用いてPCRを実施した。得られたPCR産物をアガロース電気泳動に供し,増幅された目的のDNA断片をQIAEX II(QIAGEN社)にて精製し,このDNA断片をメガプライマーとした。続いて,pE-mIRES-GS-puro(HSA-22KhGH)を鋳型として,プライマーYA036(配列番号32)とメガプライマーを用いてPCRを行い,HSA-20KhGHをコードする遺伝子(HSA-20KhGH遺伝子)を含む配列番号33で示される塩基配列を有するDNA断片を増幅した。得られたPCR産物を制限酵素(MluI及びNotI)で消化し,実施例1で作製したpE-mIRES-GS-puroのMulIとNotIの間に組み込み,HSA-20KhGH発現用ベクターであるpE-mIRES-GS-puro(HSA-20KhGH)を構築した。図7に,pE-mIRES-GS-puro(HSA-20KhGH)の構造を模式的に示した。
〔実施例4〕HSA-[linker]-20KhGH発現ベクターの構築
配列番号5に示されるアミノ酸配列を有するペプチドリンカーを介して,HSAのC末端と20KhGHのN末端とを融合させた,配列番号36に示されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質を,HSA-[linker]-20KhGHとした。配列番号36に示されるアミノ酸配列において,1〜585番目がHSAのアミノ酸配列に相当し,586〜605番目がペプチドリンカーのアミノ酸配列に相当し,606〜781番目が20KhGHのアミノ酸配列に相当する。pE-mIRES-GS-puro(HSA-20KhGH)を鋳型として,プライマーYA036(配列番号32)及びプライマーYA065(配列番号34)を用いてPCRを行い,HSA-[linker]部をコードする遺伝子を含むDNA断片を増幅した。得られたPCR産物を制限酵素(MluI及びBamHI)で消化後,アガロース電気泳動に供し,HSA-[linker]部をコードする遺伝子を含むDNA断片をQIAEX II(QIAGEN社)にて精製した。また,pE-mIRES-GS-puro(HSA-20KhGH)を鋳型として,プライマーYA066(配列番号35)及びプライマーYA056(配列番号31)を用いてPCRを行い,20KhGH遺伝子を含むDNA断片を増幅した。得られたPCR産物を制限酵素(BamHI及びNotI)で消化後,アガロース電気泳動に供し,20KhGH遺伝子を含むDNA断片をQIAEX IIにて精製した。
このようにして調製したHSA-[linker]部をコードする遺伝子を含むDNA断片と20KhGH遺伝子を含むDNA断片とを,予め制限酵素(MluI及びNotI)で消化したpE-mIRES-GS-puroと混合してライゲーション反応させることにより,HSA-[linker]部をコードする遺伝子を含むDNA断片の下流に20KhGH遺伝子を含むDNA断片が結合した,HSA-[linker]-20KhGH遺伝子を含む配列番号36に示される塩基配列を有するDNA断片を,実施例1で作製したpE-mIRES-GS-puroのMulIとNotIの間に組み込み,HSA-[linker]-20KhGH発現用ベクターであるpE-mIRES-GS-puro(HSA-[linker]-20KhGH)を構築した。図8に,pE-mIRES-GS-puro(HSA-[linker]-20KhGH)の構造を模式的に示した。
実施例2〜4で作製したpE-mIRES-GS-puro(HSA-22KhGH),pE-mIRES-GS-puro(HSA-20KhGH)及びpE-mIRES-GS-puro(HSA-[linker]-20KhGH)を総称して,HSA-hGH発現用ベクターとした。
〔実施例5〕HSA-hGH融合タンパク質発現用細胞の作製
チャイニーズハムスターの卵巣に由来する細胞であるCHO−K1細胞に,Gene Pulser Xcell エレクトロポレーションシステム(Bio Rad社)を用いて,実施例2〜4で作製した,HSA-22KhGH発現用ベクターであるpE-mIRES-GS-puro(HSA-22KhGH),HSA-20KhGH発現用ベクターであるpE-mIRES-GS-puro(HSA-20KhGH),及びHSA-[linker]-20KhGH発現用ベクターであるpE-mIRES-GS-puro(HSA-[linker]-20KhGH)をそれぞれ導入した。発現ベクターを導入した細胞を,メチオニンスルホキシミン(SIGMA社)及びピューロマイシン(SIGMA社)を含むCD OptiCHOTM培地(Thermo Fisher Scientific社)を用いて選択培養を行い,HSA-22KhGH発現細胞,HSA-20KhGH発現細胞及びHSA-[linker]-20KhGH発現細胞をそれぞれ確立した。選択培養の際には,メチオニンスルホキシミン及びピューロマイシンの濃度を段階的に上昇させて,最終的にメチオニンスルホキシミンの濃度を300μM,ピューロマイシンの濃度を10μg/mLとして,より高い薬剤耐性を示す細胞を選択的に増殖させた。
得られたHSA-22KhGH発現用細胞,HSA-20KhGH発現用細胞及びHSA-[linker]-20KhGH発現用細胞を総称して,HSA-hGH融合タンパク質発現用細胞とした。また,HSA-hGH融合タンパク質発現用細胞を培養することにより得られるHSAとhGHとの融合タンパク質を総称して,HSA-hGH融合タンパク質とした。
〔実施例6〕HSA-hGH融合タンパク質発現用細胞の培養
CD OptiCHOTM培地(Thermo Fisher Scientific社)に,メチオニンスルホキシミとピューロマイシンとを,それぞれ300μM及び10μg/mLの濃度となるように添加して,細胞培養用培地を調製した。実施例5で作製したHSA-22KhGH発現細胞,HSA-20KhGH発現細胞及びHSA-[linker]-20KhGH発現細胞を,それぞれ2×10個/mLの細胞密度となるように5mLの細胞培養用培地に添加し,5%CO存在下37℃で培養した。5日毎に,2×10個/mLの細胞密度となるように,細胞を新しい培養用培地に添加して,継代培養を行った。
〔実施例7〕HSA-hGH融合タンパク質の精製
HSA-22KhGH発現細胞,HSA-20KhGH発現細胞及びHSA-[linker]-20KhGH発現細胞を,それぞれ細胞培養用培地に全量が240mLとなるように2×10個/mLの密度で懸濁した。この細胞懸濁液を30mLずつ,径15cmのシャーレ8枚に加えて,5日間,5%CO存在下,37℃で培養した。培養終了後に培地を回収し,膜フィルター(孔径0.22μm,Millipore社)でろ過して,培養上清とした。次いで,各培養上清に,1M Tris-HCl(pH8.0)又は酢酸を加えて,pHを7.0〜7.2に調整した。
ポリプロプレン製のカラム(ポリプレップTMカラム,バイオラッド社)に,5mLの抗ヒト成長ホルモン抗体を結合させた樹脂(Capture SelectTM anti hGH resin,Thermo Fisher Scientific社)を充てんし,カラム体積の5倍容の500mM NaClを含有する10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で樹脂を平衡化させた。次いで,pHを調整した上記の培養上清を,カラムに約2.5mL/分の流速で負荷し,HSA-hGH融合タンパク質をそれぞれ樹脂に吸着させた。引き続き,同流速で,カラム体積の5倍容の500mM NaClを含有する10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)でカラムを洗浄した。次いで,カラム体積の5倍容の0.1M グリシン緩衝液(pH3.0)でHSA-hGH融合タンパク質をそれぞれ樹脂から溶出させた。HSA-hGH融合タンパク質を含む溶出画分を回収し,直ちに2M NaClを含有する1M HEPES緩衝液(pH8.0)を添加して,pHを約6.5に調整した。溶出画分に含まれるHSA-hGH融合タンパク質の濃度を,PierceTM BCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific社)を用いて,BSAを標準物質として測定した。
〔実施例8〕BaF3/hGHR細胞の作製
ヒトGH受容体(hGHR)遺伝子をマウスBaF3細胞に導入することによりGH依存性増殖能を獲得させたBaF3/hGHR細胞を,以下の通りにして作製した。配列番号38に示される塩基配列を有するhGHR ECD人工合成遺伝子(hGHRの細胞外領域をコードするhGHR遺伝子の5’側断片)を鋳型として,プライマーYA034(配列番号39)及びプライマーYA035(配列番号40)を用いてPCRを行った。得られたPCR産物をアガロース電気泳動に供し,QIAEX II(QIAGEN社)を用いて精製した。このDNA断片をメガプライマーとした。ヒト肺由来cDNAを鋳型として,プライマーK708(配列番号41)及びプライマーK709(配列番号42)を用いてPCRを行い,hGHR遺伝子の全長を含むDNA断片を増幅した。得られたPCR産物をアガロース電気泳動に供し,QIAEX II(QIAGEN社)を用いて精製した。次いで,精製したhGHR遺伝子の全長を含むDNA断片を鋳型として,上記メガプライマー及びプライマーK709(配列番号42)を用いてPCRを行い,5’側にhGHR ECD人工合成遺伝子配列を有するhGHRの全長をコードする遺伝子を含む,配列番号43に示される塩基配列を有するDNA断片を増幅した。このDNA断片を制限酵素(MluI及びNotI)で消化し,レトロウイルスベクターであるpMX-II(Ono Y., Oncogene. 19. 3050−8(2000))のMluIとNotIの間に組み込み,これをhGHR発現用レトロウイルスベクター(hGHR/pMX-II)とした。
10mLの10%FBSを含むDMEMに6×10個の293細胞(大日本住友製薬社)を懸濁させ,これを細胞培養用10cmディッシュに添加し,5%CO存在下,37℃で24時間培養した。なお,ここで用いた293細胞は,アデノウイルスのE1遺伝子により形質転換されたヒト胎児腎細胞である。
500μLのOpti-MEMITM(Thermo Fisher Scientific社)に,15μLのX−tremeGENE 9 DNA Transfection Reagent(Roche社)を加えて混合し,これに更に5μgのレトロウイルスパッケージングベクターであるpCL−Eco(IMGENEX社)と,5μgのhGHR/pMX−IIを加えて混合した。この混合液を,室温にて15分間静置した後,上記の293細胞を24時間培養させた10cmディッシュに添加した。次いで,細胞を5%CO存在下,37℃で24時間培養した後,培地を3000rpmで5分間遠心して上清を回収した。回収した上清をhGHR発現レトロウイルス液とした。
WEHI−3細胞(理化学研究所)を10%FBS含有RPMI1640培地で培養した後,培地を3000rpmで5分間遠心して上清を回収した。2mLのhGHR発現レトロウイルス液に,500μLのWEHI−3細胞の培養上清と2.5mLの10%FBS含有RPMI1640培地とを加えて混合した。この混合液を,2×10個のIL−3依存性細胞株であるBaF3細胞(理化学研究所)に添加して細胞を懸濁させた。この細胞懸濁液を75cm培養フラスコに移し,細胞を5%CO存在下,37℃で8時間培養し,更に,500μLのWEHI−3細胞の培養上清と2.5mLの10%FBS含有RPMI1640培地を加えて16時間培養した。培養終了後,細胞を遠心して回収し,PBSで3回洗浄した。回収した細胞に100ng/mLの22KhGHを含む10%FBS含有RPMI1640培地を5mL添加して細胞を懸濁させ,次いで,この細胞懸濁液を培養フラスコに移し,5%CO存在下,37℃で培養し,hGHR遺伝子が発現することによりhGH依存的増殖能を獲得したBaF3細胞を得た。この細胞をBaF3/hGHR細胞とした。
〔実施例9〕BaF3/hGHR細胞を用いた細胞増殖活性の測定
HSA-hGH融合タンパク質の細胞増殖活性は,マウスBaF3細胞にヒトGH受容体(hGHR)遺伝子を導入してGH依存性増殖能を獲得させた実施例8に記載の方法で作製したBaF3/hGHR細胞を用いて評価した。
対数増殖期にあるBaF3/hGHR細胞をPBSで3回洗浄した後,1%ウマ血清を含む15mLのRPMI1640培地で1×10個/mLになるように希釈し,5%CO存在下37℃で16時間培養した。培養後,細胞を3×10個/mLになるよう同培地で希釈し,96ウェル培養プレートの各ウェルに100μLずつ播種した。0.1%BSAを含むPBSを用いて,22KhGH(グロウジェクトTM,JCRファーマ社),20KhGH(ATGen社),及び実施例7で精製した3種のHSA-hGH融合タンパク質(HSA-22KhGH,HSA-20KhGH,及びHSA-[linker]-20KhGH)をそれぞれ希釈し,表1に示す濃度範囲で8段階の検体希釈液をそれぞれ調製した。
Figure 2017165713
こうして調製した検体希釈液を,BaF3/hGHR細胞を添加した96ウェル培養プレートの各ウェルに20μLずつ添加し,プレートシェーカーを用いて混合した後,細胞を5%CO存在下37℃で22時間培養した。従って,培地中における最終的な各検体の濃度範囲は,表1に示したものの約0.167倍となった。培養後,生細胞数を測定する比色定量分析用試薬であるCellTiter 96TM Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay試液(プロメガ社)を24μLずつ各ウェルに加えて混和し,さらに3時間培養した。次いで,プレートリーダーを用いて各ウェルの490nmにおける吸光度を測定した。縦軸に490nmにおける吸光度,横軸に各検体のモル濃度(nM)をとり,測定値をプロットした。490nmにおける吸光度は,生細胞数の相対値を示すことから,測定値をプロットして得られた検量線は,検体の濃度と細胞の増殖量との相関を示すものであり,この検量で求められる細胞の増殖量の最大値に対して,細胞の増殖量が50%であるときの検体の濃度をED50として求めた。なお,全ての測定は二重検定で行った。
〔実施例10〕BaF3/hPRLR細胞の作製
ヒトプロラクチン受容体(hGHR)遺伝子をマウスBaF3細胞に導入することによりプロラクチン依存性増殖能を獲得させたBaF3/hPRLR細胞を,以下の通りにして作製した。ヒト脾臓由来cDNAを鋳型として,プライマーYA001(配列番号44)及びプライマーYA002(配列番号45)を用いてPCRを行い,hPRLR遺伝子を増幅した。得られたPCR産物を制限酵素(SalI及びNotI)で消化し,レトロウイルスベクターpMX-IIのSalIとNotIの間に組み込み,これをhPRLR発現用レトロウイルスベクター(hPRLR/pMX-II)とした。
10mLの10%FBSを含むDMEMに6×10個の293細胞を懸濁させ,これを細胞培養用10cmディッシュに添加し,5%CO存在下,37℃で24時間培養した。
500μLのOpti-MEMITMに,15μLのX−tremeGENE 9 DNA Transfection Reagent(Roche社)を加えて混合し,これに更に5μgのpCL-Eco(IMGENEX社)と5μgのhPRLR/pMX-IIとを加えて混合した。この混合液を,室温にて15分間静置した後,上記の293細胞を24時間培養した10cmディッシュに添加した。次いで,細胞を5%CO存在下,37℃で24時間培養した後,培地を3000rpmで5分間遠心して上清を回収した。回収した上清をhPRLR発現レトロウイルス液とした。
2mLのhPRLR発現レトロウイルス液に,500μLのWEHI-3細胞の培養上清と2.5mLの10%FBS含有RPMI1640培地とを加えて混合した。この混合液を,2×10個のIL-3依存性細胞株であるBaF3細胞に添加して細胞を懸濁させた。この細胞懸濁液を75cm培養フラスコに移し,細胞を5%CO存在下,37℃で8時間培養し,更に,500μLのWEHI-3細胞の培養上清と2.5mLの10%FBS含有RPMI1640培地を加えて16時間培養した。培養終了後,細胞を遠心して回収し,PBSで3回洗浄した。回収した細胞に100ng/mLのhPRLを含む10%FBS含有RPMI1640培地を5mL添加して細胞を懸濁させ,次いで,この細胞懸濁液を培養フラスコに移し,5%CO存在下,37℃で培養し,hPRLRが発現することによりhPRLR依存性増殖能を獲得したBaF3細胞を得た。この細胞をBaF3/hPRL細胞とした。
〔実施例11〕BaF3/hPRLR細胞を用いたプロラクチン(PRL)様活性の測定
各HSA融合hGHのプロラクチン(PRL)様活性は,マウスBaF3細胞にヒトプロラクチン受容体(hPRLR)遺伝子を導入してPRL依存性増殖能を獲得させた,実施例10に記載の方法で作製したBaF3/hPRLR細胞を用いた方法により評価した。
対数増殖期にあるBaF3/hPRLR細胞をPBSで3回洗浄した後,5%FBSを含む15mLのRPMI1640培地で1×10個/mLになるように希釈し,5%CO存在下37℃で16時間培養した。培養後,細胞を3×10個/mLになるよう同培地で希釈し,96ウェル培養プレートの各ウェルに100μLずつ播種した。0.1%BSAを含むPBSを用いて,22KhGH(グロウジェクトTM,JCRファーマ社),20KhGH(ATGen社),及び実施例7で精製した3種のHSA−hGH融合タンパク質(HSA−22KhGH,HSA−20KhGH,及びHSA−[linker]−20KhGH)をそれぞれ希釈し,表2に示す濃度範囲で7段階の検体希釈液をそれぞれ調製した。また,陽性コントロールとして,ヒトプロラクチン(hPRL,R&D System社)を希釈したものを調製した。
Figure 2017165713
こうして調製した検体希釈液を,BaF3/hPRLR細胞を添加した96ウェル培養プレートの各ウェルに20μLずつ添加し,プレートシェーカーを用いて混合した後,細胞を5%CO存在下37℃で22時間培養した。従って,培地中における最終的な各検体の濃度範囲は,表2に示したものの約0.167倍となった。培養後,CellTiter 96TM Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay試液(プロメガ社)を24μLずつ各ウェルに加えて混和し,さらに3時間培養した。次いで,プレートリーダーを用いて各ウェルの490nmにおける吸光度を測定した。縦軸に490nmにおける吸光度,横軸に各検体のモル濃度(nM)をとり,測定値をプロットした。490nmにおける吸光度は,生細胞数の相対値を示すことから,測定値をプロットして得られた検量線は,検体の濃度と細胞の増殖量との相関を示すものであり,この検量線で求められる細胞の増殖量の最大値に対して,細胞の増殖量が50%であるときの各検体の濃度をED50として求めた。なお,全ての測定は二重検定で行った。
〔実施例12〕細胞増殖活性に対するhGHBPの阻害活性の測定
対数増殖期にあるBaF3/hGHR細胞をPBSで3回洗浄した後,1%ウマ血清を含む15mLのRPMI1640培地で1×10個/mLになるように希釈し,5%CO存在下37℃で16時間培養した。
培養後,細胞を3×10個/mLになるよう同培地で希釈し,96ウェル培養プレートの各ウェルに100μLずつ播種した。0.1%BSAを含むPBSを用いて,22KhGH(グロウジェクトTM,JCRファーマ社),及び実施例7で精製したHSA−20KhGH及びHSA-[linker]-20KhGHをそれぞれ希釈し,0.1nMの濃度の検体希釈液を調製した。
こうして調製した検体希釈液を,BaF3/hGHR細胞を添加した96ウェル培養プレートの各ウェルに20μLずつ添加した。更に,組換えヒト成長ホルモン結合タンパク質(rhGHBP,BioVision社)を,0.1%BSAを含むPBSに溶解して,1,10,及び100nMの濃度に調整し,これを各ウェルに20μLずつ添加した。従って,培地中のhGHBPの濃度は,0.143,1.43,14.3nM濃度となった。プレートシェーカーを用いて96ウェル培養プレート内の溶液を混合した後,細胞を5%CO存在下37℃で22時間培養した。培養後,プレートリーダーを用いて各ウェルの490nmにおける吸光度を測定した。縦軸に490nmにおける吸光度,横軸にhGHBPのモル濃度(nM)をとり,測定値をプロットした。490nmにおける吸光度は,生細胞数の相対値を示すことから,測定値をプロットして得られた検量線は,hGHBPの濃度と細胞の増殖量との相関を示すものであり,この検量線で求められる細胞の増殖量の最大値に対して,細胞の増殖量が50%であるときのrhGHBPの濃度をIC50として求めた。なお,全ての測定は二重検定で行った。なお,本測定法により測定されるIC50の値が大きいものほど,hGHBPに対する親和性が低い。
〔実施例13〕カニクイザルを用いた薬物動態及び薬効解析
実施例7で精製したHSA−22KhGH及びHSA−20KhGHを,それぞれ,4.0mg/kgの用量で雄性カニクイザルに単回皮下投与した。HSA−22KhGH及びHSA−20KhGHの投与はそれぞれ3匹のカニクイサルを用いて行った。
薬物動態解析用に,投与15分後,1,4,8,12,24,48,72,120,168,及び216時間後に動物の末梢血を採取した。血液をEDTA2カリウム入り採血管に採り,氷冷した後,遠心分離(1700×g,5分間,4℃)して血漿を分離した。調製した血漿中に含まれるHSA−hGH融合タンパク質の濃度を実施例14で詳述する方法により測定し,縦軸にHSA-hGH融合タンパク質の濃度を,横軸に投与後の時間をプロットすることによりCmax,AUC0-216h,AUC0-inf及びt1/2βを求めて薬物動態解析を行った。
また,IGF−1分泌促進を指標とし,HSA-hGH融合タンパク質の薬効を次のようにして解析した。HSA-hGH融合タンパク質投与前,投与6,12時間後,1,2,3,4,5,6,7,8,及び9日後に末梢血を採血し,上記の手法により末梢血より血漿を調製した。血漿中に含まれるIGF−1の濃度を実施例15で詳述する方法により測定し,縦軸にIGF−1の濃度を,横軸に投与後の時間をプロットすることにより薬効解析を行った。また,コントロールとして更に1匹のカニクイザルを準備して,これに0.3mg/kgの用量で22KhGH(グロウジェクト(登録商標))を7日間連続して皮下投与し,血漿中のIGF−1の濃度を同様にして測定した。
〔実施例14〕血漿中のHSA-hGH融合タンパク質の定量
マウス抗HSAモノクローナル抗体及びマウス抗hGH抗体を,当業者に周知の手法により,HSA又はhGHで免疫したマウスの脾細胞をそれぞれミエローマ細胞と融合させて得たハイブリドーマ細胞を培養して得た。マウス抗hGHモノクローナル抗体を,0.1M NaHCO溶液(pH9)で透析した後,溶液中の抗体濃度をNanoDrop(Thermo Scientific社)を用いて測定した。次いで,5mg/mLの濃度でDMSOに溶解したEZ-LinkTM NHS-LC-Biotin(Thermo Fisher Scientific社)を,1mgの抗体当たり60μgのNHS-LC-Biotinの比率で抗体溶液に添加し,室温で2時間反応させた後,反応溶液をPBSで透析し,ビオチン化マウス抗hGHモノクローナル抗体を得た。下記の定量法において,マウス抗HSAモノクローナル抗体を一次抗体,ビオチン化マウス抗hGHモノクローナル抗体を二次抗体として使用した。
血漿中のHSA-hGH融合タンパク質の濃度は,Sector Imager 6000(Meso Scale Diagnostics社)を用いて,電気化学発光(ECL)イムノアッセイ法により測定した。ECLイムノアッセイ法は,ルテニウム錯体であるSULFO-TAGでラベルした二次抗体にプレート上で電気化学的刺激を与え,SULFO-TAGの電解酸化・還元による波長620nmの発光をCCDカメラで検出することにより,検体を定量する方法である。
測定は,Sector Imager 6000の使用説明書に従って,概ね下記のとおり実施した。マウス抗HSAモノクローナル抗体をHigh Bind Plate(Meso Scale Diagnostics社)に添加し,1時間静置して抗HSA抗体(一次抗体)をプレートに固定した。次いで,Superblock Blocking buffer in PBS(Thermo Fisher Scientific社)をプレートに添加して1時間振盪し,プレートをブロッキングした。プレートをPBST(0.05% Tween20を含有するPBS)で洗浄した後,検体を添加して1時間振盪した。プレートをPBSTで洗浄した後,ビオチン化マウス抗hGHモノクローナル抗体(二次抗体)を添加して1時間振盪した。プレートをPBSTで洗浄した後,SULFO-Tag-Streptavidin(Meso Scale Diagnostics社)を添加して1時間振盪した。プレートをPBSTで洗浄した後,Read buffer T(Meso Scale Diagnostics社)を添加し,Sector Imager 6000(Meso Scale Diagnostics社)で波長620nmの発光を測定した。同様にして同一プレート上で既知濃度のHSA-hGH融合タンパク質を定量して標準曲線を求め,これに検体の測定値を内挿し,血漿中のHSA-hGH融合タンパク質及び22KhGHの濃度を求めた。
〔実施例15〕血漿中のIGF−1の定量
血漿中に含まれるIGF−1の定量は,Human IGF-I Quantikine ELISA kit(R&D systems社)を用いて,ELISA法により行った。
〔実施例16〕結果と考察(BaF3/hGHR細胞を用いた細胞増殖活性の測定)
図9は,縦軸に490nmにおける吸光度,横軸に各検体のモル濃度(nM)をとり測定値をプロットした,BaF3/hGHR細胞を用いた細胞増殖活性の測定結果を示す図である。この図から,各検体のED50を求めた(表3)。
Figure 2017165713
表3に示されるとおり,22KhGHと20KhGHのED50は,それぞれ8.0×10−4nMと8.4×10−4nMであり,22KhGHと20KhGHの細胞増殖活性はほぼ同等である。また,HSA-22KhGHとHSA-20KhGHのED50は,それぞれ4.9×10−3nMと4.3×10−3nMであり,HSA-20KhGHの細胞増殖活性は,HSA-22KhGHと比較して,若干高い。しかし,HSA-22KhGHのED50(4.9×10−3nM)は,野生型である22KhGHのED50(8.0×10−4nM)の約6倍であり,またHSA-20KhGHのED50(4.3×10−3nM)は,野生型である20KhGHのED50(8.4×10−4nM)の約5倍である。すなわち,22KhGHと20KhGHのいずれも,リンカーを介さずに融合タンパク質とした場合,野生型のものと比較して細胞増殖活性が低下する。
一方,20個のアミノ酸からなる配列番号5で示されるリンカー部を介してHSAのC末端と20KhGHのN末端とを融合させたHSA-[linker]-20KhGHのED50は1.5×10−3nMであり,HSA-[linker]-20KhGHは,リンカーを介さずにHSAのC末端と20KhGHのN末端とを融合させたHSA-20KhGH(ED50:4.3×10−3nM)と比較して,高い細胞増殖活性を示す。また,HSA-[linker]-20KhGHのED50は1.5×10−3nMと,22KhGHのED50(8.0×10−4nM)の約1.9倍である。すなわち,HSA-[linker]-20KhGHは,22KhGHと比較して細胞増殖活性が若干低いものの,成長ホルモン分泌不全性低身長症等の治療剤として好適に使用し得る程度の細胞増殖活性を保持している。
〔実施例17〕結果と考察(BaF3/hPRLR細胞を用いたプロラクチン(PRL)様活性の測定)
図10は,縦軸に490nmにおける吸光度,横軸に各検体のモル濃度(nM)をとり測定値をプロットした,BaF3/hPRLR細胞を用いたプロラクチン(PRL)様活性の測定結果を示す図である。この図から,各検体のED50を求めた(表4)。まず,陽性コントロールとしておいたヒトプロラクチンのED50は,2.1×10−3nMであり,BaF/hPRLR細胞を用いた本測定法により,プロラクチン(PRL)様活性が定量的に測定できることが示された。
Figure 2017165713
表4に示されるように,22KhGHと20KhGHのED50を比較すると,22KhGHと20KhGHのED50は,それぞれ,7.2×10−2nMと2.7×10−1nMであり,20KhGHは22KhGHと比較してプロラクチン様活性が低い。
また,HSA-22KhGHとHSA-20KhGHのED50は,それぞれ5.2×10−1nMと1.5nMであり,HSA-20KhGHは,HSA-22KhGHと比較して,野生型の22KhGHと20KhGHとを比較したときと同様に,プロラクチン様活性が低い。
また,20個のアミノ酸からなるリンカー部を介してHSAのC末端と20KhGHのN末端とを融合させたHSA-[linker]-20KhGHでは,ED50が9.6×10−1nMである。すなわち,HSA-[linker]-20KhGHは,リンカー部を介さずにHSAと20KhGHを結合させたHSA-20KhGH(ED50:1.5nM)と比較してプロラクチン様活性が高い。但し,ヒト成長ホルモン製剤である22KhGHとプロラクチン様活性を比較した場合,HSA-[linker]-20KhGHのED50(9.6×10−1nM)は,22KhGHのED50(7.2×10−2nM)の約13倍である。これらの結果は,HSA-[linker]-20KhGHは,HSA-20KhGHと同様に,野生型の22KhGHと比較して極めて低いプロラクチン様活性を有することを示すものである。
〔実施例18〕結果と考察(細胞増殖活性に対するhGHBPの阻害活性)
図11は,縦軸に490nmにおける吸光度,横軸にhGHBPのモル濃度(nM)をとり測定値をプロットした,BaF3/hPRLR細胞を用いたプロラクチン(PRL)様活性の測定結果を示す図である。なお,縦軸の490nmは,hGHBPの濃度がゼロのときの測定値を100%としたときの相対値(%)を示す。hGHBPの22KhGHに対するIC50は60〜80nMの範囲であり,一方,hGHBPのHSA−20KhGH及びHSA-[linker]-20KhGHに対するIC50は,外挿によりともに250nM〜350nMと求められる。これらの結果は,HSA−20KhGHとHSA-[linker]-20KhGHは,いずれも22KhGHと比較して極めて低いhGHBPとの親和性を有することを示すものである。
〔実施例19〕結果と考察(カニクイザルを用いた薬物動態解析)
図12は,縦軸にカニクイザル血清中のHSA-hGH融合タンパク質(HSA−20KhGH及びHSA−22KhGH)の濃度,横軸にHSA-hGH融合タンパク質を投与後の経過時間をプロットした,HSA-hGH融合タンパク質の薬物動態解析の結果を示す図である。この図から,各検体のCmax,AUC0-216h,AUC0-inf及びt1/2βを求めた結果を表5に示す。
Figure 2017165713
表5に示されるとおり,HSA−20KhGHとHSA−22KhGHのAUC0-infは,それぞれ872±115μg・時/mL,752±55μg・時/mLである。また,図12に示されるとおり,投与後9日目においても,HSA−20KhGHとHSA−22KhGHは血中において検出されている。通常の22kGHが投与後速やかに分解されて投与1日後には血中で検出されなくなることと併せて考えると,これらのデータは,HSAのC末端側にhGHを結合させることにより,hGHを血中で安定化できることを示している。
〔実施例20〕結果と考察(カニクイザルを用いた薬効解析)
図13は,縦軸に血漿中のIGF−1の濃度を,横軸に22KhGH及びHSA-hGH融合タンパク質(HSA−20KhGH及びHSA−22KhGH)の投与後の経過時間をプロットした,HSA-hGH融合タンパク質の薬効解析の結果を示す図である。IGF−1は成長ホルモンによって分泌が誘導される骨成長促進作用等の活性を有するポリペプチドであり,hGHの生理活性の一部はIGF−1を介して発揮されることが知られている。
図13に示されるように,ヒト血清アルブミンのC末端側に20KhGHを連結させたものであるHSA−20KhGHを投与した動物,及びHSA−22KhGHを投与した動物のいずれにおいても,血漿中IGF−1濃度は,投与後3日目に最大値を示している。しかし,その値はHSA−20KhGH投与動物のほうがHSA−22KhGH投与動物と比較して10%以上高い。また,HSA−22KhGH投与動物では投与後6日目に血漿中IGF−1濃度がほぼ投与前の濃度までに戻るのに対し,HSA−20KhGH投与動物では,投与後9日目においても血漿中IGF−1濃度が投与前の濃度と比較して高く維持されている。なお,図13で22KhGH投与動物の血漿中IGF−1の濃度は,2日目から上昇し,その後測定最終日である9日目までの間,投与前の値よりも高い値を示しているが,これは,22KhGHのみ7日間連続投与を行ったことにより,22KhGHの効果が蓄積して表れたためと考えられる。
〔実施例21〕結果と考察(まとめ)
以上の結果から,HSA-[linker]-20KhGHは,成人成長ホルモン分泌不全症等の治療剤として使用されている22KhGHと比較した場合,成長促進活性が低いものの,hGHBPへの親和性が低いので,ヒトに投与したときに血中でhGHBPと結合することにより活性がマスクされる割合が低下すると考えられる。従って,HSA-[linker]-20KhGHは,ヒトに投与したときに,成人成長ホルモン分泌不全症等の治療剤として使用できるレベルの成長促進活性を発揮できると考えられる。また,HSA部の存在により,HSA-[linker]-20KhGHは,血中において野生型の22KhGHと比較して安定であることから,HSA-[linker]-20KhGHでは,22KhGHと比較して,ヒトに投与したときに成長促進活性を長期に持続させることができる。ヒトに投与したときに高い成長促進活性を持続的に示すことのできる持続型のヒト成長ホルモンの場合,これをヒトに投与したとき,そのプロラクチン様活性も体内で高く維持されることにより,乳がんが誘発される可能性が生じる。ところが,HSA-[linker]-20KhGHの場合,これをヒトに投与したとき,長期に渡り体内で高い成長促進活性を持続的に示すことができる一方で,プロラクチン様活性が低いので,乳がんが誘発される危険性をほとんど回避できる。
また,HSA-20KhGHも,HSA-[linker]-20KhGHと同様に,成人成長ホルモン分泌不全症等の治療剤として使用されている22KhGHと比較した場合,成長促進活性が低いものの,hGHBPへの親和性が低いので,ヒトに投与したときに血中でhGHBPと結合することにより活性がマスクされる割合が低下すると考えられる。従って,HSA-20KhGHは,ヒトに投与したときに体内において,成人成長ホルモン分泌不全症等の治療剤として使用できるレベルの成長促進活性を発揮できると考えられる。また,HSA部の存在により,HSA-20KhGHは,ヒトの血中において22KhGHと比較して安定であることから,ヒトに投与したときの体内における成長促進活性は,22KhGHでは急速に消失するが,HSA-20KhGHでは,その活性を長期に持続させることができる。また,ヒトに投与したときに体内で高い成長促進活性を持続的に示すことのできる持続型のヒト成長ホルモンの場合,これをヒトに投与したとき,そのプロラクチン様活性も体内で高く維持されることにより,乳がんが誘発される可能性が生じる。一方,HSA-20KhGHの場合,これをヒトに投与したとき,長期に渡り体内で高い成長促進活性を持続的に示すことができる一方で,プロラクチン様活性が低いので,乳がんが誘発される危険性をほとんど回避できる。
本発明によれば,野生型の22KhGHと比較してプロラクチン様活性が低く且つ血中での安定性の高い,持続型の成長ホルモン分泌不全性低身長症等の治療剤として用いることのできる,新規な薬剤を提供することができる。
1 ヒト血清アルブミン部
2 リンカー部
3 20KhGH部
4 LacZプロモーター
5 mPGKプロモーター
6 配列番号6に示す塩基配列を含む野生型マウス脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム結合部位の部分配列
6a 配列番号7に示す塩基配列を含む変異型マウス脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム結合部位の部分配列
7 mPGKのポリアデニル化領域(mPGKpA)
8 EF−1p及び第一イントロンを含む塩基配列
9 SV40後期ポリアデニル化領域
10 SV40初期プロモーターを含む領域
11 合成ポリアデニル化領域
12 サイトメガロウイルスプロモーターを含む領域
13 グルタミン合成酵素遺伝子
14 ヒト血清アルブミンをコードする領域
15 22KhGHをコードする領域
15a 20KhGHをコードする領域
16 リンカーをコードする領域
配列番号4:リンカー部の基本アミノ酸配列
配列番号5:リンカー部のアミノ酸配列の一例
配列番号7:変異型マウス脳心筋炎ウイルス由来の内部リボソーム結合部位の部分配列,合成配列
配列番号8:プライマー Hyg−Sfi5’,合成配列
配列番号9:プライマー Hyg−BstX3’,合成配列
配列番号10:IRES−Hygr−mPGKpA,合成配列
配列番号11:ハイグロマイシン耐性遺伝子に対応するアミノ酸配列
配列番号12:プライマー IRES5’,合成配列
配列番号13:プライマー IRES3’,合成配列
配列番号14:プライマー mPGKP5’,合成配列
配列番号15:プライマー mPGKP3’,合成配列
配列番号16:mPGKp,合成配列
配列番号17:プライマー GS5’,合成配列
配列番号18:プライマー GS3’,合成配列
配列番号19:プライマー puro5’,合成配列
配列番号20:プライマー puro3’,合成配列
配列番号21:ピューロマイシン耐性遺伝子を含む塩基配列,合成配列
配列番号22:ピューロマイシン耐性遺伝子に対応するアミノ酸配列
配列番号23:プライマー SV40polyA5’,合成配列
配列番号24:プライマー SV40polyA3’,合成配列
配列番号25:プライマー mIRES−GS5’,合成配列
配列番号26:プライマー mIRES−GS3’,合成配列
配列番号27:HSA−22KhGHのアミノ酸配列
配列番号28:HSA−22KhGH遺伝子を含む塩基配列,合成配列
配列番号29:HSA−20KhGHのアミノ酸配列
配列番号30:プライマーYA055,合成配列
配列番号31:プライマーYA056,合成配列
配列番号32:プライマーYA036,合成配列
配列番号33:HSA−20KhGH遺伝子を含む塩基配列,合成配列
配列番号34:プライマーYA065,合成配列
配列番号35:プライマーYA066,合成配列
配列番号36:HSA−[linker]−20KhGHのアミノ酸配列
配列番号37:HSA−[linker]−20KhGH遺伝子を含む塩基配列,合成配列
配列番号38:hGHR ECDをコードする人工合成遺伝子の塩基配列,合成配列
配列番号39:プライマーYA034,合成配列
配列番号40:プライマーYA035,合成配列
配列番号41:プライマーK708,合成配列
配列番号42:プライマーK709,合成配列
配列番号43:hGHRをコードする人工合成遺伝子の塩基配列,合成配列
配列番号44:プライマーYA001,合成配列
配列番号45:プライマーYA002,合成配列

Claims (29)

  1. ヒト血清アルブミン部と20Kヒト成長ホルモン部とを有する融合タンパク質であって,成長促進活性を有する融合タンパク質。
  2. 該20Kヒト成長ホルモン部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,請求項1に記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の8個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の8個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に8個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の4個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の4個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に4個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
  3. 該20Kヒト成長ホルモン部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,請求項1に記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の1〜8個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列中の1〜8個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号1で示されるアミノ酸配列に1〜8個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
  4. 該20Kヒト成長ホルモン部が,配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むものである,請求項1に記載の融合タンパク質。
  5. 該ヒト血清アルブミン部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,請求項1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に10個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
    (b)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
  6. 該ヒト血清アルブミン部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,請求項1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の1〜10個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
    (b)配列番号2で示されるアミノ酸配列中の1〜10個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号2で示されるアミノ酸配列に1〜10個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
  7. 該ヒト血清アルブミン部が,配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むものである,請求項1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質。
  8. 該ヒト血清アルブミン部が,配列番号2で示されるアミノ酸配列において,N末端から319番目のアミノ酸残基のチロシンがプロリン以外のアミノ酸残基に置換され,且つN末端から320番目のアミノ酸残基のアラニンがトレオニン又はセリンに置換されたアミノ酸配列を含むものである,請求項1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質。
  9. 該ヒト血清アルブミン部が,配列番号46で示されるアミノ酸配列を含むものである,請求項1乃至4のいずれかに記載の融合タンパク質。
  10. 該ヒト血清アルブミン部と該20Kヒト成長ホルモン部が,リンカー部を介して結合しているものである,請求項1乃至9のいずれかに記載の融合タンパク質。
  11. 該リンカー部が,非ペプチドリンカー又はペプチドリンカーからなるものである,請求項10に記載の融合タンパク質。
  12. 該リンカー部が非ペプチドリンカーからなるものであり,該非ペプチドリンカーが,ポリエチレングリコール又はその誘導体からなるものである,請求項10に記載の融合タンパク質。
  13. 一本鎖ポリペプチドである,請求項1乃至9のいずれかに記載の融合タンパク質。
  14. 該ヒト血清アルブミン部が,該成長ホルモン部のN末端側に位置するものである,請求項13に記載の融合タンパク質。
  15. 該成長ホルモン部が,該ヒト血清アルブミン部のN末端側に位置するものである,請求項13に記載の融合タンパク質。
  16. 一本鎖ポリペプチドであって,該ヒト血清アルブミン部と該20Kヒト成長ホルモン部が,リンカー部を介して結合してなるものである,請求項1乃至9のいずれかに記載の融合タンパク質。
  17. 該ヒト血清アルブミン部のC末端と該リンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合してなるものである,請求項16に記載の融合タンパク質。
  18. 該20Kヒト成長ホルモン部のC末端と該リンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該ヒト血清アルブミン部のN末端がペプチド結合により結合してなるものである,請求項16に記載の融合タンパク質。
  19. 該リンカー部が,1〜50個のアミノ酸からなるペプチドリンカーからなるものである,請求項16乃至18のいずれかに記載の融合タンパク質。
  20. 該リンカー部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むものである,請求項19に記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号4で示されるアミノ酸配列が2〜10回反復したアミノ酸配列;
    (b)配列番号4で示されるアミノ酸配列が2〜6回反復したアミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号4で示されるアミノ酸配列が3〜5回反復したアミノ酸配列。
  21. 該リンカー部が,以下の(a)又は(b)のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,請求項19に記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号4で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
    (b)配列番号4で示されるアミノ酸配列中の1個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の1個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に1個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
  22. 該リンカー部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,請求項19に記載の融合タンパク質:
    (a)該配列番号4で示されるアミノ酸配列中の1又は2個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
    (b)該配列番号4で示されるアミノ酸配列中の1又は2個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
    (c)該配列番号4で示されるアミノ酸配列に1又は2個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
  23. 該リンカー部が,配列番号4で示されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,請求項19に記載の融合タンパク質。
  24. 該リンカー部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,請求項19に記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
    (b)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の2個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に2個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
  25. 該リンカー部が,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,請求項19に記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の1〜5個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
    (b)配列番号5で示されるアミノ酸配列中の1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号5で示されるアミノ酸配列に1〜5個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
  26. 該リンカー部が,配列番号5で示されるアミノ酸配列を含むペプチドリンカーからなるものである,請求項19に記載の融合タンパク質。
  27. 該ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合するものであり,該リンカー部がペプチドリンカーからなるものである,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる,請求項1に記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に10個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;
    (b)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の5個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に5個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が決失し,該アミノ酸配列中の3個以下のアミノ酸が他のアミノ酸へ置換され,且つ該アミノ酸配列に3個以下のアミノ酸が付加した,アミノ酸配列。
  28. 該ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合するものであり,該リンカー部がペプチドリンカーからなるものである,以下の(a)〜(c)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる,請求項1に記載の融合タンパク質:
    (a)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の1〜10個のアミノ酸が決失したアミノ酸配列;
    (b)配列番号36で示されるアミノ酸配列中の1〜10個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列;及び,
    (c)配列番号36で示されるアミノ酸配列に1〜10個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列。
  29. 該ヒト血清アルブミン部のC末端とリンカー部のN末端がペプチド結合により結合し,該リンカー部のC末端と該20Kヒト成長ホルモン部のN末端がペプチド結合により結合するものであり,該リンカー部がペプチドリンカーからなるものである,配列番号36で示されるアミノ酸配列からなる,請求項1に記載の融合タンパク質。
JP2017044728A 2016-03-14 2017-03-09 血清アルブミン−20k成長ホルモン融合タンパク質 Pending JP2017165713A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016049102 2016-03-14
JP2016049102 2016-03-14

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017165713A true JP2017165713A (ja) 2017-09-21

Family

ID=59850693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017044728A Pending JP2017165713A (ja) 2016-03-14 2017-03-09 血清アルブミン−20k成長ホルモン融合タンパク質

Country Status (4)

Country Link
US (1) US10968267B2 (ja)
EP (1) EP3431508A4 (ja)
JP (1) JP2017165713A (ja)
WO (1) WO2017159540A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021075526A1 (ja) * 2019-10-17 2021-04-22 Jcrファーマ株式会社 血清アルブミンと成長ホルモンの融合蛋白質の製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4059512A4 (en) 2019-10-30 2023-12-06 JCR Pharmaceuticals Co., Ltd. AQUEOUS PHARMACEUTICAL COMPOSITION CONTAINING SERUM ALBUMIN FUSION PROTEIN AND GROWTH HORMONE

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09216832A (ja) * 1995-06-29 1997-08-19 Mitsui Toatsu Chem Inc 成人用ヒト成長ホルモン剤
JP2000502901A (ja) * 1995-12-30 2000-03-14 デルタ、バイオテクノロジー、リミテッド 成長ホルモンおよび血清アルブミンに対する組換え融合タンパク質
JP2005514060A (ja) * 2001-12-21 2005-05-19 ヒューマン ジノーム サイエンシーズ, インコーポレイテッド アルブミン融合タンパク質
JP2007532515A (ja) * 2004-04-07 2007-11-15 アレス トレーディング ソシエテ アノニム 成長ホルモン液剤

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2650598B1 (fr) 1989-08-03 1994-06-03 Rhone Poulenc Sante Derives de l'albumine a fonction therapeutique
FR2686900B1 (fr) 1992-01-31 1995-07-21 Rhone Poulenc Rorer Sa Nouveaux polypeptides ayant une activite de stimulation des colonies de granulocytes, leur preparation et compositions pharmaceutiques les contenant.
FR2686899B1 (fr) 1992-01-31 1995-09-01 Rhone Poulenc Rorer Sa Nouveaux polypeptides biologiquement actifs, leur preparation et compositions pharmaceutiques les contenant.
JP2003530838A (ja) 2000-04-12 2003-10-21 ヒューマン ゲノム サイエンシズ インコーポレイテッド アルブミン融合タンパク質
US20080167238A1 (en) * 2001-12-21 2008-07-10 Human Genome Sciences, Inc. Albumin Fusion Proteins
NZ548612A (en) * 2004-02-09 2009-11-27 Human Genome Sciences Inc Albumin fusion proteins comprising tandem GLP-1
US7998930B2 (en) 2004-11-04 2011-08-16 Hanall Biopharma Co., Ltd. Modified growth hormones
JP5256199B2 (ja) 2006-08-07 2013-08-07 テヴァ バイオファーマシューティカルズ ユーエスエー,インコーポレーティッド アルブミン−インスリン融合タンパク質
JP4983148B2 (ja) * 2006-08-18 2012-07-25 ニプロ株式会社 糖鎖含有アルブミン、その製造方法およびその用途
US7943570B2 (en) * 2007-10-16 2011-05-17 Nipro Corporation Sugar chain-containing albumin, production method thereof and use thereof
US8841249B2 (en) 2009-08-06 2014-09-23 Novo Nordisk A/S Growth hormones with prolonged in-vivo efficacy
MX345736B (es) 2010-01-22 2017-02-14 Novo Nordisk Healthcare Ag Hormonas de crecimiento con eficacia in vivo prolongada.
WO2016011281A1 (en) * 2014-07-17 2016-01-21 Teva Pharmaceutical Industries Ltd. FORMULATIONS OF AN ALBUMIN-hGH FUSION PROTEIN
CN114591445B (zh) 2015-09-08 2024-04-23 Jcr制药股份有限公司 新型人血清白蛋白突变体

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09216832A (ja) * 1995-06-29 1997-08-19 Mitsui Toatsu Chem Inc 成人用ヒト成長ホルモン剤
JP2000502901A (ja) * 1995-12-30 2000-03-14 デルタ、バイオテクノロジー、リミテッド 成長ホルモンおよび血清アルブミンに対する組換え融合タンパク質
JP2005514060A (ja) * 2001-12-21 2005-05-19 ヒューマン ジノーム サイエンシーズ, インコーポレイテッド アルブミン融合タンパク質
JP2007532515A (ja) * 2004-04-07 2007-11-15 アレス トレーディング ソシエテ アノニム 成長ホルモン液剤

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
岩尾康範: "遺伝子組換え型機能性アルブミン分子の設計と評価", 薬剤学, vol. 69(4), JPN6021009586, 2009, pages 267 - 271, ISSN: 0004550015 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021075526A1 (ja) * 2019-10-17 2021-04-22 Jcrファーマ株式会社 血清アルブミンと成長ホルモンの融合蛋白質の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20190010205A1 (en) 2019-01-10
WO2017159540A1 (ja) 2017-09-21
US10968267B2 (en) 2021-04-06
EP3431508A4 (en) 2019-08-14
EP3431508A1 (en) 2019-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7403595B2 (ja) 新規なヒト血清アルブミン変異体
CN107759694B (zh) 双特异性抗体及其制备方法与用途
JP6696915B2 (ja) Mic−1融合タンパク質及びその使用
JP2000507456A (ja) 拮抗的特性を有する血管内皮細胞増殖因子の変異体
US10023624B2 (en) Long-acting recombinant human follicle-stimulating hormone-Fc fusion protein
WO2007047829A2 (en) Novel heterodimeric proteins and uses thereof
JP2002534962A (ja) Fc融合タンパク質としての抗肥満症タンパク質の発現および輸送
JP2002536018A (ja) グリコシル化レプチン組成物および関連する方法
US10968267B2 (en) Serum albumin-20K growth hormone fusion protein
KR20220095204A (ko) 혈청 알부민과 성장 호르몬의 융합 단백질을 함유하는 수성 의약 조성물
JP2013529900A (ja) B細胞活性化因子の拮抗物質、その調製方法及び利用法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210604

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210810