以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、本発明に係るコンデンサ素子固定治具より保持されるコンデンサ素子が固体電解コンデンサを構成する例を説明するが、本発明に係るコンデンサ素子固定治具により保持されるコンデンサ素子が固体電解コンデンサを構成するものに限定されるものではなく、外部電極として線形電極材を使用する電子部品、例えばリード線等を外部電極とする従来の電解液を使用した電解コンデンサを構成するものであってもよい。
1. 実施形態1
1.1 コンデンサ素子固定治具
本発明に係る実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具は、固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子を保持する。このコンデンサ素子固定治具は、その長手方向に、所定の間隔を置いて、複数のコンデンサ素子を保持可能に構成される。
図1に、実施形態1におけるコンデンサ素子の一部展開斜視図を示す。
実施形態1におけるコンデンサ素子10は、陽極側の電極箔である陽極箔12と、陰極側の電極箔である陰極箔14と、陽極箔12と陰極箔14との間に挿入されるセパレータ16とが巻回した構造を有している。陽極箔12としては、アルミニウム等の弁金属を材料として、その箔表面を粗面化した後に、陽極酸化法により誘電体酸化膜を形成したものを用いる。陽極箔12には、リード部を有する外部引き出し用電極として陽極端子18が、カシメ又は溶接等により接続されている。陰極箔14としては、アルミニウム等の弁金属からなる箔を粗面化したものが用いられる。陰極箔14にも、リード部を有する外部引き出し用電極として陰極端子20が、カシメ又は溶接等により接続されている。
コンデンサ素子10は、陽極箔12及び陰極箔14の間に、固体化された電解質を有する。この電解質は、モノマー及び重合開始剤による重合反応で得られる導電性ポリマーである。
図2(A)、図2(B)、図2(C)に、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図2(A)は、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図2(B)は、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図2(C)は、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図2(A)〜図2(C)において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具100は、磁力を発生する磁力発生部を有する磁力発生部材110と、磁力発生部材110におけるコンデンサ素子を保持する側の面(以下、保持面)に隔離部材として形成される絶縁部材120とを有する。そして、コンデンサ素子固定治具100は、磁力発生部材110が有する磁力発生部からの磁力により、絶縁部材120を介してコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を保持可能に構成される。図2(A)〜図2(C)では、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120を介して複数のコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみを保持する例を示している。
また、実施形態1では、磁力発生部材110は、部材全体に略一様の磁性を有する磁性体である磁石(永久磁石)であるものとして説明するが、磁力発生部としての磁石が部材の一部に設けられたものであってもよい。更に、実施形態1では、図2(A)〜図2(C)に示すように、磁力発生部材110が有する面のうちコンデンサ素子10の端子のリード部と接する面のみ絶縁部材120が設けられているが、これに限定されるものではない。この絶縁部材120として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリイミド系の樹脂を採用することが望ましい。
このような実施形態1によれば、コンデンサ素子10の端子のリード部の素材が一般的な銅覆鋼線(CP線)のような磁性を有する場合、コンデンサ素子固定治具100が、磁力によりコンデンサ素子10の端子のリード部を保持するようにしたので、溶接等でリード部を接続した場合に溶接跡が残って再利用できないということはなく、コンデンサ素子固定治具100を繰り返し利用できるようになる。更に、コンデンサ素子固定治具100が、コンデンサ素子10の端子のリード部を直に接触させて保持するのではなく、絶縁部材120を介した磁力により保持するようにしたので、コンデンサ素子の保持と取り外しが繰り返された場合であっても、磁力発生部材110に傷がつきにくくなるという効果が得られる。また、コンデンサ素子固定治具100が、絶縁部材120を介した磁力によりコンデンサ素子を保持するようにしたので、磁力による保持力を適度な強さとすることが可能となる。これにより、コンデンサ素子固定治具100からのコンデンサ素子の着脱が容易となるという効果が得られる。また、磁力発生部を有する磁力発生部材の表面のうち保持面を絶縁部材で覆うことにより、磁力発生部材の耐食性を高めることができるようになる。
1.2 コンデンサ素子製造方法(コンデンサ製造方法)
次に、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具100を用いたコンデンサ素子10の製造方法について説明する。
図3に、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具100を用いたコンデンサ素子10(コンデンサ素子10を用いて構成される電解コンデンサ)の製造方法のフロー図を示す。
まず、コンデンサ素子巻回工程において、図1に示すコンデンサ素子10が形成される。このコンデンサ素子10は、粗面化したアルミニウム箔の表面に誘電体酸化皮膜層を形成して、これらを陽極及び陰極の電極箔とし、各電極箔のそれぞれに端子をカシメ又は溶接等により取り付けた後、陽極側及び陰極側の電極箔の間に電解紙をセパレータとして挟み込んだ状態で円筒状に巻回することで得られる。
次に、コンデンサ素子保持工程において、図2(A)〜図2(C)に示したコンデンサ素子固定治具100の長手方向に、ステップS10において形成された複数個のコンデンサ素子10を、所定の間隔を置いて保持させる(ステップS12)。このとき、図2(A)〜図2(C)に示すように、次の工程のために、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみを保持し、陰極端子20のリード部は電気的に絶縁された状態となるように、コンデンサ素子10を保持する。
続いて、再化成処理工程(化成処理工程)において、ステップS10で複数のコンデンサ素子10が保持されたコンデンサ素子固定治具100を、コンデンサ素子製造装置としての化成装置150に装着し、コンデンサ素子10の再化成処理を行う(ステップS14)。
図4に、実施形態1における化成装置150の構成例を示す。図4において、化成装置150には、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具100が装着されている。
図5(A)、図5(B)、図5(C)に、図4の化成装置150に装着されたコンデンサ素子固定治具100の要部の一例を示す。図5(A)は、図4のコンデンサ素子固定治具100がコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図5(B)は、図4のコンデンサ素子固定治具100がコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図5(C)は、図4のコンデンサ素子固定治具100がコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図5(A)〜図5(C)において、図2(A)〜図2(C)及び図4と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
化成装置(広義にはコンデンサ素子製造装置)150は、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具100と、電極部152と、化成槽154と、化成用陰極156、158と、電源160とを含む。化成槽154には、電解液(例えばアジピン酸系)が化成液162として満たされている。化成用陰極156、158は、電源160の陰極側と電気的に接続され、化成液162に電圧を印加するように化成槽154に設置されている。電極部152は、電源160の陽極側と電気的に接続されると共に、図5(A)〜図5(C)に示すようにコンデンサ素子固定治具100により保持される複数のコンデンサ素子10の陽極端子のリード部と接触するように設けられる。電極部152の断面の形状は、略円形であってもよいし、矩形であってもよい。
そして、コンデンサ素子固定治具100により保持された複数のコンデンサ素子10を化成液162に含浸(浸漬)して、コンデンサ素子10の陽極端子18が陽極側、化成液162が陰極側となるように電圧を印加して、陽極酸化法により再化成処理を行う。
これにより、電極箔の切断時、端子の接続時や巻回時のストレスによる面内やその断面において、コンデンサ素子10に形成された誘電体酸化皮膜が受けていた損傷が修復される。
図3に戻って説明を続ける。ステップS14における再化成処理工程が終了すると、洗浄工程において、コンデンサ素子固定治具100に保持された状態で複数のコンデンサ素子10を純水で洗浄する(ステップS16)。
次に、乾燥工程において、200℃に設定された乾燥機内で、コンデンサ素子固定治具100に保持された状態の複数のコンデンサ素子10を30分〜3時間乾燥させる(ステップS18)。
続いて、含浸工程の1つであるモノマー含浸工程(広義には浸漬工程)において、コンデンサ素子固定治具100に保持された状態の複数のコンデンサ素子10を、モノマーとしての例えば3,4エチレンジオキシチオフェンをエチルアルコール等の低沸点溶剤に混合した含浸槽内の混合液中に浸漬する(ステップS20)。このとき、ステップS20では、減圧含浸が望ましい。そして、一度、含浸したコンデンサ素子を、コンデンサ素子固定治具100に保持させた状態で乾燥させる。
その後、含浸工程の1つである重合開始剤含浸工程(広義には浸漬工程)において、コンデンサ素子固定治具100に保持された状態の複数のコンデンサ素子10を、パラトルエンスルホン酸第三鉄等の含浸槽内の重合開始剤中に浸漬する(ステップS22)。このとき、ステップS22では、減圧含浸が望ましい。
なお、図3では、ステップS20及びステップS22のように、モノマーの含浸と重合開始剤の含浸とを別工程にて行っているが、これに限定されるものではなく、モノマーと重合開始剤とを混合させた混合液に含浸させてもよい。
次に、重合反応工程において、コンデンサ素子固定治具100に保持させた状態で、複数のコンデンサ素子10のモノマーの重合反応を行わせる(ステップS24)。これにより、ポリマー状態に移行させて導電性ポリマーを形成することができる。
そして、エージング処理工程において、重合反応後の複数のコンデンサ素子10を、コンデンサ素子製造装置としてのエージング装置に装着し直し、エージング処理を行う(ステップS26)。この際、必要に応じて、コンデンサ素子固定治具100からコンデンサ素子10を一旦取り外した後、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部には、エージング処理用電源の陽極側を電気的に接続すると共に、陰極端子20のリード部にはエージング処理用電源の陰極側を電気的に接続するように、コンデンサ素子固定治具100に複数のコンデンサ素子10を保持させるようにしてもよい。
図6(A)、図6(B)、図6(C)に、エージング装置に装着されたコンデンサ素子固定治具100の要部の一例を示す。図6(A)は、コンデンサ素子を保持しているコンデンサ素子固定治具100が装着されたエージング装置の構成例を表す。図6(B)は、エージング装置に装着されたコンデンサ素子固定治具100がコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図6(C)は、エージング装置に装着されたコンデンサ素子固定治具100がコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図6(A)〜図6(C)において、図2(A)〜図2(C)及び図4と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
エージング装置180は、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具100と、陽極端子18のリード部に陽極が電気的に接続され、陰極端子20のリード部に陰極が電気的に接続される電源186とを含む。エージング装置180は、図6(A)〜図6(C)に示すように、更に電極部182、184を有し、電極部182が陽極端子18のリード部と接触し、電極部184が陰極端子20のリード部と接触するように設けられ、電極部182、184を介して、電源186とコンデンサ素子10の各端子が電気的に接続されるようになっている。電極部182、184の断面の形状は、略円形であってもよいし、矩形であってもよい。
ここで、コンデンサ素子固定治具100により複数のコンデンサ素子10を保持した状態で、コンデンサ素子10の陽極端子18が陽極側、陰極端子20が陰極側となるように電圧を印加してエージング電流を流し、エージング処理を行う。これにより、製造工程中で発生した誘電体酸化皮膜の損傷部分の自己修復を図る。
続いて、図3に示すように、封口工程において、有底筒状の金属ケース内に収納して、金属ケースの開口部を弾性封口体により封口し、巻き締めることにより、固体電解コンデンサを形成し(ステップS28)、一連の工程を終了する(エンド)。実施形態1では、固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子を保持するため、コンデンサ素子固定治具100は、封口工程に先立って行われるエージング処理工程まで、複数のコンデンサ素子を保持したまま製造工程間のコンデンサ素子の移動に用いることができる。
図7に、実施形態1における電解コンデンサの断面図の一例を示す。図7において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図3のステップS28では、エージング処理後のコンデンサ素子10が、有底筒状のアルミニウムケース192に収納された後、アルミニウムケース192の開口部を、弾性封口体としての封口ゴム194で封口している。そして、その開口部を締めることで固体電解コンデンサ190の完成品が得られる。
このような実施形態1によれば、コンデンサ素子固定治具100により、コンデンサ素子又は電解コンデンサの製造工程のうち複数の工程間で、複数のコンデンサをハンドリングすることができる。しかも、再化成処理やエージング処理のような電気化学処理を行う場合であっても、コンデンサ素子固定治具100を繰り返し使うことができ、製造工程の低コスト化に寄与できるようになる。
また、実施形態1によれば、磁力により絶縁部材120を介してコンデンサ素子10の陽極端子を保持するようにしたので、製造工程中においてコンデンサ素子10の着脱が容易になる。これにより、次のような効果を得ることができる。
図8に、実施形態1におけるコンデンサ素子固定治具の効果の説明図を示す。図8において、図1又は図2(A)〜図2(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
コンデンサ素子の製造工程において、例えば各工程間において、コンデンサ素子固定治具100に保持される複数のコンデンサ素子10のうち不良品の有無の検査を行う。実施形態1によれば、製造工程中においてもコンデンサ素子10の取り外しが容易であるため、その後の工程において不良品に対して高価なモノマーや重合開始剤を消費させる必要がなくなる。しかも、製造工程中においても、新しいコンデンサ素子10の固着が容易であるため、不良品として取り外されたコンデンサ素子の保持位置に、別のコンデンサ素子固定治具において良品として認められたコンデンサ素子を固着させることで、効率的な製造工程を実現できるようになる。
更に、磁力発生部材110のコンデンサ素子10の端子の保持面に絶縁部材120として樹脂を形成するようにしたので、直接、磁力発生部材110にコンデンサ素子10を保持する場合に比べて、保持されていたコンデンサ素子10の取り外しが容易になるという効果が得られる。また、コンデンサ素子10の保持と取り外しが繰り返された場合であっても、コンデンサ素子固定治具100が、絶縁部材120を介した磁力によりコンデンサ素子を保持するようにしたので、磁力による保持力を適度な強さとすることが可能となる。これにより、コンデンサ素子固定治具100からのコンデンサ素子の着脱が容易となるという効果が得られる。更に、磁力発生部材110に傷が付きにくくなるという効果が得られる。更にまた、例えば、樹脂により、端子のリード部の保持位置の目印を付けることでリード部を保持する際の位置決めが簡素化されたり、樹脂を変更することで保持位置の間隔をコンデンサ素子の種類によって容易に変更できたりすることが可能となる。
1.3 実施形態1の変形例
実施形態1では、磁力発生部材110の表面のうちコンデンサ素子10と接触する面のみ絶縁部材120が設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。実施形態1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具は、少なくとも磁力発生部材110の長手方向と平行なすべての表面に絶縁部材120が設けられている。
図9(A)、図9(B)、図9(C)に、実施形態1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図9(A)は、実施形態1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図9(B)は、実施形態1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図9(C)は、実施形態1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図9(A)〜図9(C)において、図2(A)〜図2(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具200は、磁力発生部材110と、磁力発生部材110の周囲を覆うようにすべての表面に設けられた絶縁部材120とを有する。そして、コンデンサ素子固定治具200は、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120を介してコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を保持可能に構成される。図9(A)〜図9(C)では、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120を介して複数のコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみを保持する例を示している。
このような実施形態1の変形例によれば、実施形態1の効果に加えて、次のような効果が得られる。即ち、コンデンサ素子固定治具200(磁力発生部材110)自体が絶縁部材120で覆われているため、磁力発生部を有する磁力発生部材110を保護して電解液等に対する耐食性を向上させることができるようになる。また、製造工程の各工程間のハンドリングの際においてコンデンサ素子固定治具200の絶縁性を確保できるため、装置の安全性や安定性、取り扱いの容易性を向上させ、感電による事故防止に寄与できるようになる。
このような実施形態1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具200は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
2. 実施形態2
実施形態1又はその変形例では、コンデンサ素子固定治具が、磁性を有する固定治具が絶縁部材を介してコンデンサ素子の端子のリード部を磁力により保持するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
2.1 コンデンサ素子固定治具
図10(A)、図10(B)、図10(C)に、本発明に係る実施形態2におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図10(A)は、実施形態2におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図10(B)は、実施形態2におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図10(C)は、実施形態2におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図10(A)〜図10(C)において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態2におけるコンデンサ素子固定治具300は、磁力を発生する磁力発生部を有する磁力発生部材110と、磁力発生部材110におけるコンデンサ素子の保持面に形成される絶縁部材120と、絶縁部材120の表面の少なくとも一部に設けられた導電部材310とを有する。そして、コンデンサ素子固定治具300は、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120及び導電部材310を介してコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を保持可能に構成される。図10(A)〜図10(C)では、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120及び導電部材310を介して複数のコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみを保持する例を示している。また、図10(A)〜図10(C)では、絶縁部材120が、磁力発生部材110を覆うように設けられている。
より具体的には、実施形態2では、絶縁部材120に、断面がU字状、V字状又は凹型形状に設けられた溝部に、導電部材310が形成されている(図10(B)では溝部の断面が凹型形状)。この導電部材310もまた、断面がU字状、V字状又は凹型形状に設けられた溝部が形成されている(図10(B)では溝部の断面がV字状)。そして、コンデンサ素子固定治具300は、この導電部材310の溝部において、磁力発生部材110の磁力によりコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部を保持可能に構成されている。
ここで、絶縁部材120は、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部の先端部及び陰極端子20のリード部の先端部の少なくとも一方を当接するための当接部320を含むことが望ましい。図10(A)及び図10(C)では、当接部320には、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部の先端部のみが当接される。
また、図10(A)、図10(C)に示すように、導電部材310は、絶縁部材120の上面及び下面の少なくとも一方に突出するように設けられ、その突出した部分から電気導入できることが望ましい。
また、実施形態1と同様に、磁力発生部材110は、部材全体に略一様の磁性を有する磁性体である磁石(永久磁石)であるものとして説明するが、磁力発生部としての磁石が部材の一部に設けられたものであってもよい。更に、実施形態1と同様に、絶縁部材120として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリイミド系の樹脂を採用することが望ましい。
このような実施形態2によれば、実施形態1又はその変形例の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。即ち、コンデンサ素子固定治具300が、絶縁部材120で覆われた磁力発生部材110のみならず、磁力発生部材110と電気的に絶縁された導電部材310を有するように構成したので、例えば化成処理におけるコンデンサ素子10への電気導入工程において、導電部材310に図5(A)の電極部152として電圧を印加して、導電部材310を通じてコンデンサ素子10に電圧を印加(電気導入)することが可能となる。また、磁力発生部材110と電気的に絶縁された導電部材310を有するように構成したので、コンデンサ素子固定治具300に保持させた状態でコンデンサ素子の製造工程の各工程間において複数のコンデンサ素子をハンドリングすることができるようになる。その上、ハンドリングの際に感電を防ぐことが可能となる。更に、コンデンサ素子固定治具300に導電部材310を設けたので、安定してコンデンサ素子10に電圧を印加できる上に、電圧の印加不良により生じる不具合を大幅に低減することにより、期待された素子性能を得ることができるようになる。
更に、絶縁部材120に設けられた導電部材310の溝部において、コンデンサ素子の端子のリード部を保持するようにしたので、コンデンサ素子を保持する位置の位置決めを容易にすることができる。更にまた、当接部320を設け、コンデンサ素子の端子のリード部の先端部を当接部320に当接させながら、磁力により該リード部を保持するようにしたので、リード線の軸方向におけるコンデンサ素子10の位置を、精度良く、簡単に揃えることができるようになる。
また、例えば導電部材310をコンデンサ素子10毎に独立して設けることで、コンデンサ素子10毎に適切な電圧を印加することが可能となる。更に、例えば導電部材310をコンデンサ素子10毎に独立して設けることで、コンデンサ素子10毎に独立に電気特性を測定することが可能となる。
このような実施形態2におけるコンデンサ素子固定治具300は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
2.2 実施形態2の第1の変形例
実施形態2では、絶縁部材120に溝部を設け、該溝部に導電部材310を形成するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
図11(A)、図11(B)、図11(C)に、実施形態2の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図11(A)は、実施形態2の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図11(B)は、実施形態2の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図11(C)は、実施形態2の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図11(A)〜図11(C)において、図10(A)〜図10(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態2の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具350が実施形態2におけるコンデンサ素子固定治具300と異なる点は、絶縁部材120に溝部が設けられ該溝部に導電部材310が形成されるのではなく、磁力発生部材110と絶縁部材120を介して設けられる導電部材310に溝部が設けられる点である。従って、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部は、磁力により、導電部材310の溝部において保持される。
即ち、コンデンサ素子固定治具350は、磁力を発生する磁力発生部を有する磁力発生部材110と、磁力発生部材110におけるコンデンサ素子10の保持面に形成される絶縁部材120と、絶縁部材120の少なくとも一部の表面に設けられた導電部材310とを有する。そして、コンデンサ素子固定治具350は、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120及び導電部材310を介してコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を保持可能に構成される。図11(A)〜図11(C)では、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120及び導電部材310を介して複数のコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみを保持する例を示している。
実施形態2における第1の変形例においても、導電部材310に設けられる溝部の断面を、U字状、V字状又は凹型形状とすることができる(図11(B)では溝部の断面がV字状)。
更に、実施形態2における第1の変形例においても、絶縁部材120は、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部の先端部及び陰極端子20のリード部の先端部の少なくとも一方を当接するための当接部320を含むことが望ましい。
また、実施形態1と同様に、磁力発生部材110は、部材全体に略一様の磁性を有する磁性体である磁石(永久磁石)であるものとして説明するが、磁力発生部としての磁石が部材の一部に設けられたものであってもよい。更に、実施形態1と同様に、絶縁部材120として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリイミド系の樹脂を採用することが望ましい。
このような実施形態2の第1の変形例によれば、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
また、実施形態2の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具350は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
2.3 実施形態2の第2の変形例
実施形態2では、コンデンサ素子固定治具350がコンデンサ素子10の少なくとも一方の端子を保持するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図12(A)、図12(B)に、実施形態2の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図12(A)は、実施形態2の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図12(B)は、実施形態2の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図12(A)、図12(B)において、図10(A)〜図10(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態2の第2の変形例が実施形態2と異なる点は、実施形態2ではコンデンサ素子固定治具350がコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみ保持していたが、実施形態2の第2の変形例では、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の両方がコンデンサ素子固定治具350によって保持される点である。従って、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部は、磁力により、コンデンサ素子固定治具350の導電部材310の溝部において保持されると共に、該コンデンサ素子10の陰極端子20のリード部は、磁力により、別のコンデンサ素子固定治具350の導電部材310の溝部において保持される。
また、図12(B)に示すように、導電部材310は、絶縁部材120の上面及び下面の少なくとも一方に突出するように設けられ、その突出した部分から電気導入できることが望ましい。
このような実施形態2の第2の変形例によれば、実施形態2の効果に加えて、コンデンサ素子10の陽極端子18のみならず陰極端子20も保持することができるので、製造工程中にコンデンサ素子10を安定して保持できるようになる。
また、実施形態2の第2の変形例においても、コンデンサ素子固定治具350は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
3. 実施形態3
実施形態2又はその変形例では、磁力発生部材110の磁力のみで、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部を保持するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
3.1 コンデンサ素子固定治具
図13(A)、図13(B)、図13(C)に、本発明に係る実施形態3におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図13(A)は、実施形態3におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図13(B)は、実施形態3におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図13(C)は、実施形態3におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図13(A)〜図13(C)において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態3におけるコンデンサ素子固定治具400は、磁力を発生する磁力発生部を有する磁力発生部材110と、磁力発生部材110におけるコンデンサ素子10の保持面に形成される絶縁部材120と、磁力発生部材と電気的に絶縁されるように設けられる導電部材410とを有する。導電部材410は、該導電部材410と磁力発生部材110とにより、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を挟持可能に設けられる。例えば、導電部材410は、磁力発生部材110と電気的に絶縁された状態で図示しない固定部により磁力発生部材110に固定される。
従って、コンデンサ素子固定治具400は、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120及び導電部材310を介してコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方が保持可能に構成されると共に、該リード部が、磁力発生部材110(絶縁部材120)と導電部材410とにより挟持可能に構成される。図13(A)〜図13(C)では、磁力発生部材110、絶縁部材120及び導電部材410が複数のコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみを保持する例を示している。
また、実施形態1と同様に、磁力発生部材110は、部材全体に略一様の磁性を有する磁性体である磁石(永久磁石)であるものとして説明するが、磁力発生部としての磁石が部材の一部に設けられたものであってもよい。更に、実施形態1と同様に、絶縁部材120として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリイミド系の樹脂を採用することが望ましい。
更に、図13(A)〜図13(C)では、導電部材410の断面形状が矩形であるものとして示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば導電部材410の断面形状が略円形であってもよい。
このような実施形態3におけるコンデンサ素子固定治具400は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
実施形態3によれば、実施形態2又はその変形例の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。即ち、コンデンサ素子10の端子に電気的に接続される導電部材410を設け、該端子に電圧を印加できる構成を有すると共に、コンデンサ素子10の端子を、磁力で保持すると共に、磁力発生部材110と導電部材410とにより挟持するようにしたので、コンデンサ素子を保持した状態で、上記の製造工程において電圧を印加でき、その製造工程中にコンデンサ素子10を安定して保持できるようになる。例えば、コンデンサ素子固定治具400に保持させた状態で、コンデンサ素子10の製造工程の各工程間をハンドリングすることができ、例えば、再化成処理工程において、そのまま導電部材410に、図5(A)の電極部152として電圧を印加すればよい。
また、コンデンサ素子10の端子のリード部の素材が非磁性材料からなる場合であっても、溶接等でリード部を接続した場合に溶接跡が残って再利用できないということはなく、コンデンサ素子固定治具400を繰り返し利用できるようになる。
3.2 実施形態3の第1の変形例
実施形態3では、磁力発生部材110の表面のうちコンデンサ素子10の保持面(接触面)のみ絶縁部材120が設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。実施形態3の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具は、磁力発生部材110の長手方向と平行なすべての表面に絶縁部材120が設けられている。
図14(A)、図14(B)、図14(C)に、実施形態3の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図14(A)は、実施形態3の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図14(B)は、実施形態3の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図14(C)は、実施形態3の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図14(A)〜図14(C)において、図13(A)〜図13(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態3の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具430は、磁力発生部材110と、磁力発生部材110の周囲を覆うようにすべての表面に設けられた絶縁部材120と、導電部材410とを有する。導電部材410は、該導電部材410と磁力発生部材110とにより、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を挟持可能に設けられる。例えば、導電部材410は、磁力発生部材110と電気的に絶縁された状態で図示しない固定部により磁力発生部材110に固定される。
従って、コンデンサ素子固定治具430は、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120及び導電部材310を介してコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を保持可能に構成されると共に、該リード部が、磁力発生部材110(絶縁部材120)と導電部材410とにより挟持可能に構成される。図14(A)〜図14(C)では、磁力発生部材110、絶縁部材120及び導電部材410が複数のコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみを保持する例を示している。
このような実施形態3の第1の変形例によれば、実施形態3の効果に加えて、次のような効果が得られる。即ち、コンデンサ素子固定治具430(磁力発生部材110)自体が絶縁部材120で覆われているため、磁力発生部を有する磁力発生部材110を保護して電解液等に対する耐食性を向上させることができるようになる。また、製造工程の各工程間においてコンデンサ素子固定治具430の絶縁性を確保できるため、装置の安全性や安定性、取り扱いの容易性を向上させ、感電による事故防止に寄与できるようになる。
このような実施形態3の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具430は、実施形態3と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
3.3 実施形態3の第2の変形例
実施形態3では、コンデンサ素子固定治具が、絶縁部材120にコンデンサ素子の端子のリード部を接触させて、磁力による保持と、磁力発生部材及び導電部材の挟持とにより、コンデンサ素子の端子のリード部を保持するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図15(A)、図15(B)、図15(C)に、本発明に係る実施形態3の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図15(A)は、実施形態3の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図15(B)は、実施形態3の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図15(C)は、実施形態3の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図15(A)〜図15(C)において、図13(A)〜図13(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態3の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具450が実施形態3におけるコンデンサ素子固定治具400と異なる点は、絶縁部材120に、断面がU字状、V字状又は凹型形状に設けられた溝部460が形成されている点である(図15(B)では溝部の断面がV字状)。そして、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120の溝部460においてコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部が保持されると共に、溝部460にリード部が保持された状態で、磁力発生部材110と導電部材410とにより該リード部を挟持するようになっている。
また、実施形態3と同様に、磁力発生部材110は、部材全体に略一様の磁性を有する磁性体である磁石(永久磁石)であるものとして説明するが、磁力発生部としての磁石が部材の一部に設けられたものであってもよい。更に、実施形態1と同様に、絶縁部材120として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリイミド系の樹脂を採用することが望ましい。
このような実施形態3の第2の変形例によれば、実施形態3の効果に加えて、コンデンサ素子を保持する際の位置決めを容易にすることができるようになる。
このような実施形態3の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具450は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
3.4 実施形態3の第3の変形例
実施形態3の第2の変形例では、絶縁部材120に溝部460を設けるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図16(A)、図16(B)、図16(C)に、本発明に係る実施形態3の第3の変形例におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図16(A)は、実施形態3の第4の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図16(B)は、実施形態3の第3の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図16(C)は、実施形態3の第3の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図16(A)〜図16(C)において、図15(A)〜図15(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態3の第3の変形例におけるコンデンサ素子固定治具480が実施形態3の第2の変形例におけるコンデンサ素子固定治具450と異なる点は、溝部が絶縁部材120に設けられているのではなく、該溝部が絶縁部材120と対向して配置される導電部材410に設けられる点である。即ち、導電部材410は、断面がU字状、V字状又は凹型形状に設けられた溝部490が形成される(図16(B)では溝部の断面がV字状)。そして、コンデンサ素子固定治具480は、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120の溝部490においてコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部が保持可能に構成されると共に、該リード部が、溝部490において磁力発生部材110と導電部材410とにより挟持可能に構成される。
即ち、絶縁部材120及び導電部材410の一方が、陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を保持する位置に設けられた溝部を含み、この溝部において、陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を保持可能に構成される。そのため、実施形態3の第3の変形例によれば、実施形態3の第2の変形例と同様の効果を得ることができる。
4. 実施形態4
実施形態3又はその変形例では、コンデンサ素子固定治具において、導電部材が着脱可能な構成にしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
図17(A)、図17(B)、図17(C)に、本発明に係る実施形態4におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図17(A)は、実施形態4におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図17(B)は、実施形態4におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図17(C)は、実施形態4におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図17(A)〜図17(C)において、図14(A)〜図14(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態4におけるコンデンサ素子固定治具500が実施形態3の第1の変形例におけるコンデンサ素子固定治具430と異なる点は、コンデンサ素子固定治具430が磁力発生部材110から導電部材410が着脱自在となる構成を有しているのに対し、コンデンサ素子固定治具500は導電部材410から磁力発生部材110が着脱自在となる構成を有している点である。
従って、実施形態4は、実施形態3の第1の変形例と同様の効果を得ることができる。なお、実施形態4においても、実施形態3の第3又は第4の変形例と同様に、絶縁部材120又は導電部材410に溝部を設け、該溝部においてコンデンサ素子の端子のリード部を保持するようにしてもよい。
このような実施形態4におけるコンデンサ素子固定治具500は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
5. 実施形態5
上記の実施形態又はその変形例では、主として、コンデンサ素子10の一方の端子のみを保持する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図18(A)、図18(B)、図18(C)に、本発明に係る実施形態5におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図18(A)は、実施形態5におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図18(B)は、実施形態5におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図18(C)は、実施形態5におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図18(A)〜図18(C)において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態5におけるコンデンサ素子固定治具600は、磁力を発生する磁力発生部を有する磁力発生部材110と、少なくとも磁力発生部材の保持面と該保持面の反対側の表面とに設けられた絶縁部材120と、磁力発生部材110と電気的に絶縁されるように設けられる導電部材610とを有する。導電部材610は、該導電部材610と磁力発生部材110とにより、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の少なくとも一方を挟持可能に設けられる。より具体的には、導電部材610が陽極端子18のリード部と電気的に接続された状態で、コンデンサ素子固定治具600は、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120を介して磁力発生部材110の保持面(第1の表面)において陽極端子18のリード部を保持し、絶縁部材120を介して磁力発生部材110の保持面と反対側の面(第2の表面)側において陰極端子20のリード部を保持する。例えば、導電部材610は、磁力発生部材110と電気的に絶縁された状態で図示しない固定部により磁力発生部材110に固定される。
従って、コンデンサ素子固定治具600は、磁力発生部材110の磁力により、絶縁部材120を介してコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部が保持可能に構成されると共に、磁力発生部材110(絶縁部材120)と導電部材410とにより陽極端子18のリード部が挟持可能に構成される。
また、実施形態1と同様に、磁力発生部材110は、部材全体に略一様の磁性を有する磁性体である磁石(永久磁石)であるものとして説明するが、磁力発生部としての磁石が部材の一部に設けられたものであってもよい。更に、実施形態1と同様に、絶縁部材120として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系又はポリイミド系の樹脂を採用することが望ましい。
更に、図18(A)〜図18(C)では、導電部材610の断面形状が矩形であるものとして示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば導電部材610の断面形状が略円形であってもよい。
このような実施形態5におけるコンデンサ素子固定治具600は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
実施形態5によれば、実施形態3の第1の変形例の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。即ち、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部が保持される磁力発生部材110の保持面側とは反対側の表面側において、コンデンサ素子10の陰極端子20のリード部もまた、磁力発生部材110の磁力によって保持されるので、コンデンサ素子を保持した状態で、上記の製造工程において電圧を印加でき、その製造工程中にコンデンサ素子10を安定して保持できるようになる。例えば、コンデンサ素子固定治具600に保持させた状態で、コンデンサ素子10の製造工程の各工程間において複数のコンデンサ素子をハンドリングすることができ、再化成処理工程において、導電部材610に、図5(A)の電極部152として電圧を印加すればよい。
また、コンデンサ素子10の端子のリード部の素材が非磁性材料からなる場合であっても、溶接等でリード部を接続した場合に溶接跡が残って再利用できないということはなく、コンデンサ素子固定治具600を繰り返し利用できるようになる。
5.2 実施形態5の変形例
実施形態5では、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみ、磁力発生部材110と導電部材610とにより挟持していたが、本発明はこれに限定されるものではない。
図19(A)、図19(B)、図19(C)に、本発明に係る実施形態5の変形例におけるコンデンサ素子固定治具の説明図を示す。図19(A)は、実施形態5の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態の斜視図を表す。図19(B)は、実施形態5の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を上面から見た断面図の一例を表す。図19(C)は、実施形態5の変形例におけるコンデンサ素子固定治具において図1のコンデンサ素子を保持している状態を側面から見た断面図の一例を表す。図19(A)〜図19(C)において、図18(A)〜図18(C)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態5の変形例におけるコンデンサ素子固定治具650が実施形態5におけるコンデンサ素子固定治具600と異なる点は、コンデンサ素子固定治具600がコンデンサ素子10の陽極端子18のリード部のみを磁力発生部材110及び導電部材610により挟持していたが、コンデンサ素子固定治具650が、更にコンデンサ素子10の陰極端子20のリード部を磁力発生部材110及び導電部材660により挟持している点である。
即ち、コンデンサ素子固定治具650は、磁力を発生する磁力発生部を有する磁力発生部材110と、少なくとも磁力発生部材の保持面と該保持面の反対側の表面とに設けられた絶縁部材120と、磁力発生部材110と電気的に絶縁されるように設けられる導電部材610、660とを有する。導電部材610は、該導電部材610と磁力発生部材110とにより、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の一方を挟持可能に設けられる。導電部材660は、該導電部材660と磁力発生部材110とにより、コンデンサ素子10の陽極端子18のリード部及び陰極端子20のリード部の他方を挟持可能に設けられる。
従って、コンデンサ素子固定治具650は、コンデンサ素子10の陽極端子18のみならず陰極端子20を挟持して保持できる上に、陰極端子20にも電圧を印加することができる。これにより、上記の製造工程において、複数のコンデンサ素子を保持した状態で、化成装置やエージング装置にもそのまま装着でき、製造工程におけるコンデンサ素子の取り扱いを簡素化できる。
更に、このような実施形態5の変形例は、実施形態5と同様の効果を得ることができる。なお、実施形態5においても、実施形態3の第3又は第4の変形例と同様に、絶縁部材120又は導電部材610に溝部を設け、該溝部においてコンデンサ素子の端子のリード部を保持するようにしてもよい。
このような実施形態5の変形例におけるコンデンサ素子固定治具650は、実施形態1と同様に、図3に示す製造工程に用いることができる。更に、図4や図6(A)に示すコンデンサ素子製造装置の一部として採用することができ、図8に示した効果を得ることができる。
以上、本発明に係るコンデンサ素子固定治具及びコンデンサ素子製造方法を上記の実施形態又はその変形例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記の各実施形態又はその変形例において、磁力発生部材の磁力を永久磁石により発生させるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電磁石によって、磁力発生部材の磁力を発生させてもよい。
(2)上記の各実施形態又はその変形例において、コンデンサ素子固定治具が、図10(A)〜図10(C)又は図11(A)〜図11(C)に示すコンデンサ素子固定治具が有する当接部を有し、これらの当接部と同様の機能を果たす当接部を含むように構成してもよい。
(3)上記の各実施形態又はその変形例において、コンデンサ素子固定治具が、図10(A)〜図10(C)、図11(A)〜図11(C)、図15(A)〜図15(C)又は図16(A)〜図16(C)に示すコンデンサ素子固定治具が有する溝部を有し、これらの溝部と同様の機能を果たす溝部を含むように構成してもよい。
(4)上記の各実施形態又はその変形例において、コンデンサ素子の製造装置(化成装置)又は製造方法において、電圧を印加する例を説明したが、これに限定されるものではなく、電流を印加する場合にも本発明を適用できる。
(5)上記の各実施形態又はその変形例において、コンデンサ素子固定治具が、いわゆる固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子を保持する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係るコンデンサ素子固定治具は、コンデンサ素子のみならず種々の電気化学素子を保持することができる。
(6)上記の各実施形態又はその変形例では、コンデンサ素子固定治具に形成される隔離部材が絶縁材料としての樹脂であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コンデンサ素子固定治具に形成される隔離部材が、化学的に安定な化合物で構成される樹脂(例えば、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等)であってもよい。このように構成することにより、磁性体に対する外部からの反応性物質の保護や、分解等により腐食性化合物を放出しない化合物、又は金属との反応性が小さい化合物で構成され、磁性体やリード線の腐食を抑制することができる。或いは、例えば、コンデンサ素子固定治具に形成される隔離部材が、表面の摩擦抵抗が低い樹脂(例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等)であってもよい。このように構成することにより、リード線の滑りが良くなるため、コンデンサ素子の着脱が更に容易となる。或いはまた、例えば、コンデンサ素子固定治具に形成される隔離部材が、表面がリード線よりも柔らかい樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、シリコーン樹脂等)であってもよい。このように構成することにより、リード線の表面に傷が付くのを防止することができる。