JP5255328B2 - 丁番スペーサ - Google Patents

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本発明は、丁番により連結した部材間の隙間を調整するための丁番スペーサに関する。
二つの部材を丁番で連結する際、丁番の羽板とその取付面の間に板体等を挿入し、二つの部材間の隙間を調整する方法が知られている。特許文献1に記載の発明は、その際に用いる板体に関するもので、板体には丁番の固定用ビスを通す溝を設けてあり、固定用ビスを緩めて羽板と取付面の間に隙間を作り、そこに容易に挿入することができるものである。
実開平3−31674号公報
しかしながら、板体の溝を丁番の軸に直交する向きに形成した場合(文献1の図1、4、5)、丁番の軸や周囲の構造物が障害となって板体を羽板と取付面の間に挿入できない場合があった。とくに、丁番をドアの取り付けに用いる際には、文献1に示すような構成であれば障害はないが、意匠上あるいは防犯上の観点から丁番を隠すように構造物を配置する場合に問題となる。また、板体の溝を丁番の軸に平行する向きに形成した場合(文献1の図6)、長い溝が平行して溝同士の間隔が狭くなってしまう。丁番は取付対象の開閉により繰り返し荷重を受けるため、このような形状では強度不足が懸念される。
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、丁番の羽板と取付面との間に挿入する際に周囲の構造物を回避することができ、尚且つ十分な強度を備える丁番スペーサを提供することを目的とする。
本発明のうち請求項1の発明は、丁番の羽板と取付面との間に挿入するものであって、平板状の基板からなり、基板は羽板を取付面に固定する複数の取付ネジを各々通すために端部が開口した複数の切欠き溝を有し、各切欠き溝は互いに平行であって、丁番の羽板同士を連結する連結軸に対して傾斜しており、取付ネジに対して連結軸に平行する方向から各切欠き溝の傾斜方向平行移動のみさせて丁番の羽板と取付面との間に挿入することを特徴とする。
本発明のうち請求項2の発明は、切欠き溝の開口側端部が拡幅していることを特徴とする。
本発明のうち請求項3の発明は、複数の基板を分離可能に連接してあり、基板同士の接合部で折り畳んだ際に互いの切欠き溝が重なることを特徴とする。
本発明のうち請求項1の発明によれば、取付ネジを通すための切欠き溝を連結軸に対し傾斜させたので、連結軸に対して斜め方向から丁番スペーサを挿入することになり、丁番の連結軸や周囲の構造物を回避することができる。また、連結軸に平行な切欠き溝を形成する場合と比べて、切欠き溝同士の間隔を広くすることができるため、十分な強度が確保できる。
本発明のうち請求項2の発明によれば、拡幅した部分により取付ネジを回避することができ、周囲の障害物との間隔がより小さい場合でも挿入することができる。また、取付ネジに対して溝の入口の幅が広いので、挿入しやすい。
本発明のうち請求項3の発明によれば、連接された基板の一枚のみを切り取って使用してもよいし、接合部で折り畳んだ状態で使用してもよく、一つの丁番スペーサで多段階の調整が可能である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、丁番により建築物にドアを取り付ける場合を例にとる。この場合、図4に示すように、建築物の壁面に固定した縦枠50に、複数個の丁番10を用いてドア60を取り付けるが、建築物の歪みや寸法誤差等の原因により、ドア60の間口(左右)方向の位置調整が必要となる場合があり、本発明の丁番スペーサが用いられる。なお、以下において上下左右方向とは図4の上下左右方向を示し、図4の手前が室内側、奥が室外側である。
まず、本発明の丁番スペーサを用いる丁番について説明する。丁番10は、図1から図3に示すように、一組の羽板11,12と、羽板11,12同士を回動自在に連結する連結軸13からなり、各羽板11,12には取付ネジ16(図1では一本のみ図示)を挿入するための取付孔14を設けてある。取付孔14は、各羽板11,12に四つずつ設け、それぞれ千鳥配置としてあり、各取付孔14に取付ネジ16を挿入して、羽板11,12を縦枠50及びドア60に固定する。なお、縦枠50の取付面51には取付ネジ16を通す貫通孔52が形成されているが、貫通孔52にネジ山は切られておらず、縦枠50の内側にネジ山を切った裏板70を設けてある。裏板70は裏板固定ネジ71で落下しないように取り付けられており、羽板11には裏板固定ネジ71のネジ頭を回避するための中央孔15を設けてある。ここで、ドア60について左右方向の位置調整をするために、羽板11と縦枠50の取付面51の間に本発明の丁番スペーサ1を挿入する。
丁番スペーサ1は、略長方形状の基板2からなり、取付ネジ16を通すための切欠き溝3を形成してある。切欠き溝3は、各取付ネジ16に対応する位置から室外側下方へ伸び、基板の端部で開口している。ただし、室内側上方の取付ネジ16と室外側下方の取付ネジ16及び裏板固定ネジ71は同一の切欠き溝3に通すように形成してある。さらに、この切欠き溝3は、開口端部において端部側へ向けて拡幅しており、基板2の室外側下方角に欠損部4を形成している。
本実施形態のように取付孔が千鳥配置されている場合、従来のように丁番スペーサの切欠き溝を連結軸に対して垂直又は水平に形成すると、切欠き溝同士の間隔が狭くなり強度が不足するおそれがあるが、本発明のように連結軸に対して切欠き溝を傾斜して形成することで、切欠き溝同士の間隔が広くなり、十分な強度を確保できる。
次に、丁番スペーサ1の取り付け方を説明する。丁番スペーサ1は、ドア60を縦枠50に取り付けた後、必要に応じて取り付けるものであり、取付ネジ16及び裏板固定ネジ71を緩め、羽板11と取付面51との間に隙間を作り、そこに挿入する。ここで、図3に示すように、丁番スペーサ1の挿入箇所の室内側には突出部53があり、室外側には連結軸13があるため、丁番スペーサ1を挿入する際の障害となる。しかし、本実施形態の丁番スペーサ1は、切欠き溝3が傾斜しており、しかも開口端部において端部側へ向けて拡幅して欠損部4を形成しているので、それらの障害物を回避して隙間に挿入することができる。すなわち、丁番スペーサ1は羽板11の室内側上方から挿入するが、この際、図2(b)に示すように、欠損部4により室内側上方の取付ネジ16を回避できるので、室内側の取付ネジ16と突出部53との間隔がL以上であれば挿入可能となる。従来のように水平方向から挿入する場合には、室内側の取付ネジ16と突出部53との間隔が丁番スペーサ1の幅以上は必要であり、従来品と比べて周囲の構造物との余裕が小さい場合でも挿入可能であることがわかる。なお、周囲の構造物の配置によっては、丁番スペーサ1を室外側や下方から挿入してもよい。丁番スペーサ1を挿入後、取付ネジ16及び裏板固定ネジ71を締めれば完了であり、挿入した丁番スペーサ1の厚さ分だけドア60が右方向に移動することになる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態の丁番スペーサ100は、図5に示すように、第一実施形態と同形状の基板102及び対称形状の基板202を連接した形状である。そして、接合部80は他所よりも肉厚を薄くして、その部分で容易に折り曲げることができ、さらに折り曲げを繰り返せば容易に分離できる。折り曲げた際には、切欠き溝103と切欠き溝203とが重なる。このように形成した丁番スペーサ100は、接合部80で分離して基板102又は基板202の何れか一方のみを使用してもよいし、接合部80で折り曲げて基板102と基板202を重ねた状態で使用してもよく、一つの丁番スペーサ100で二段階の位置調整が可能となる。
本発明は、上記の実施形態に限定されない。基板の形状や切欠き溝の配置・数は、丁番の形状や取付孔の配置・数によって変化しうる。また、本丁番スペーサは、三枚以上の基板を連接するものであってもよいし、丁番の羽板とドアの間に挿入してもよい。さらに、基板同士を分離可能に連接するには、接合部にミシン目を設けてもよい。また、基板の素材は、樹脂や金属など、丁番の繰り返し動作による荷重に耐えられるものであればどのようなものであってもよい。
本発明の丁番スペーサ及び丁番の分解斜視図である。 (a)は丁番スペーサの正面図であり、(b)は丁番スペーサの挿入の説明図である。 (a)は図4のA−A線断面図であり、(b)は(a)においてドアを開いた状態の断面図である。 ドアの正面図である。 (a)は丁番スペーサの第二実施形態の平面図であり、(b)は正面図である。
符号の説明
1 丁番スペーサ
2 基板
3 切欠き溝
10 丁番
11,12 羽板
13 連結軸
16 取付ネジ
51 取付面
80 接合部

Claims (3)

  1. 丁番の羽板と取付面との間に挿入するものであって、平板状の基板からなり、基板は羽板を取付面に固定する複数の取付ネジを各々通すために端部が開口した複数の切欠き溝を有し、各切欠き溝は互いに平行であって、丁番の羽板同士を連結する連結軸に対して傾斜しており、取付ネジに対して連結軸に平行する方向から各切欠き溝の傾斜方向平行移動のみさせて丁番の羽板と取付面との間に挿入することを特徴とする丁番スペーサ。
  2. 切欠き溝は、開口側端部が拡幅していることを特徴とする請求項1記載の丁番スペーサ。
  3. 複数の基板を分離可能に連接してあり、基板同士の接合部で折り畳んだ際に互いの切欠き溝が重なることを特徴とする請求項1又は2記載の丁番スペーサ。
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