JP4026778B2 - 扉用傾き補正具 - Google Patents

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Description

本発明は、プレハブ式冷蔵庫等において扉が吊元側を基点として垂れ下がったとき、扉の
傾きを解消するために使用される扉用傾き補正具に関する。
蝶番によって庫本体等の固定枠体に装着された扉は、蝶番の枢軸ピンを通る鉛直線を中心
として開閉回転するように設定されているが、蝶番の回転側部材が扉の左右一方のエッジ
部に装着され、蝶番の固定側部材が当該エッジ部に近接する固定枠体のエッジ部に装着さ
れ、扉は片持ち支持構造になっているので、蝶番には扉の全荷重が負荷される。
そのため、扉荷重が大きい場合には、蝶番の装着個数を増やして荷重を分散支持すること
が考えられるが、複数の蝶番を使用したときには、各蝶番の枢軸ピンを同一鉛直線上に整
列させる必要があるため、蝶番の装着個数が増えると、その分だけ蝶番の装着に過分の手
間がかかることになる。
上記のように蝶番には扉荷重に応じた曲げトルクが常にかかっていること、もともと蝶番
には製作誤差や装着誤差が不可避的に存在すること、長年の使用による蝶番構成部材の摩
耗や変形が避けられないこと、また、固定枠体や扉自身の製作誤差や変形もあり得ること
などによって、扉が蝶番によって片持ち支持された前記吊元側を基点として、扉の自由端
側が低くなるように垂れ下がることがある。
このように扉が垂れ下がったときには、扉の実際の回転中心軸線は、蝶番の枢軸ピンを通
る鉛直線(本来の回転中心軸線)に対して傾いた状態にあり、枢軸ピンの外周面と回転側
部材の内周面間に大きな側圧抵抗が生じて、扉が円滑に開閉回転しないことになる。
このような扉の垂れ下がり防止対策として、扉の中央部であって内側面上部にL型ブラケ
ットを突設し、固定枠体側の天板部下面に支持ローラを備えたローラ台を取り付け、扉閉
鎖時にL型ブラケットをローラ台と支持ローラの間に挿入して、扉の荷重を支持ローラで
支持することが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1の技術によれば、扉閉鎖中は扉の荷重は蝶番だけでなく扉中央部でも支持され
ているのであるが、L型ブラケットが支持ローラに係合していないとき、すなわち扉の開
閉回転の途中、あるいは物品の出納や人の出入りのために扉を開け放して置くときには、
扉の全荷重は専ら蝶番のみに負荷されるものであり、垂れ下がり発生要因は残されている

また、この技術は扉の垂れ下がりそれ自体を解消したり補償するものではないから、上記
要因により扉の垂れ下がりが一旦発生してしまったときには、前記側圧抵抗が蝶番部材間
に作用し、扉の円滑な開閉回転が妨げられることになる。
扉の上下方向、左右方向および前後方向に微調整のできる蝶番として、扉枠に固定した凾
体内部に受け片を設置し、前記受け片に載置される調整片を有する扉枠側羽根の支持部に
長さの調節のできる回動軸を挿入固定し、前記回動軸の突出部に扉側羽根の凹陥部を嵌着
して扉を開閉できるようにし、前記受け片の略中央に回動軸野軸線に平行な突陵を突設し
その両側に螺子孔を穿設し、前記受け片に載置された調整片には前記螺子孔に対応する長
孔を穿設し、前記長孔を貫通した螺子が前記螺子孔に螺着されるようにし、前記螺子の螺
着を緩やかにした状態で前記受け片と前記調整片の間に扉の左右方向と前後方向のズレを
発生させることによって扉の正しい取付位置を検出し、その位置を確保した状態で前記螺
子を強固に締め上げて前記受け片と前記調整片を固定するようにしたものがある(特許文
献2参照)。
しかしながら、特許文献2の技術による蝶番は、調整方向が三方向であるため形状構造が
複雑であり、その製作組立にコストがかかとともに、調整作業において煩雑な手順を踏む
必要があるため使い勝手が悪いものであった。
特開平6−2464号公報 特開平5−222878号公報
本発明の課題は、製作がコスト安く行えると共に、煩雑な手順を踏む必要なく簡単に使用
できるとともに、挿入後の抜脱がない扉用傾き補正具を提供することである。
本発明の扉用傾き補正具は、左右一方の端部の蝶番によって固定枠体に対して吊持ち支持
されている扉が吊元側を基点にして垂れ下がり、扉の実際の回転中心軸線が前記蝶番の枢
軸ピンを通る鉛直線に対して傾いたとき、前記蝶番の回転側部材の装着基底面と扉のエッ
ジ面との間に挿入される薄板状の傾き補正具であって、前記回転側部材の装着用ボルトが
嵌合する幅寸法を有して板厚方向に貫通しているボルト逃げ溝を、挿入方向に沿って横向
きに一直線に形成し、前記ボルト逃げ溝の内端部の上辺側に、前記装着用ボルトが係合す
る直径及び長さのストッパー用切り込み部を板厚方向に貫通して上向き孤立状に形成して
あり、前記ボルト逃げ溝の内端部にまで前記装着用ボルトが到達した挿入の最終段階にお
いて、前記装着用ボルトを前記ボルト逃げ溝の内端部より脱出させて上向き孤立状の前記
ストッパー用切り込み部に係合させるようにしたものである。
本発明の扉用傾き補正具は、蝶番の装着ボルトの逃げ溝を形成した薄板状部材であるから
、製作は極めて簡単かつ安価に行える。また、使用に当たっては、前記ボルト逃げ溝の入
口部と前記装着用ボルトの位置合せをしてから、蝶番の回転側部材の装着基底面と扉のエ
ッジ面間の隙間に挿入するだけであるから、作業手順が極めて簡略化されており、扉の傾
きの補正操作が容易に行えるとともに、挿入方向に沿って横向きに一直線に形成された前
記ボルト逃げ溝の内端部の上辺側に、前記装着用ボルトが係合する直径及び長さのストッ
パー用切り込み部を板厚方向に貫通して上向き孤立状に形成してあり、前記ボルト逃げ溝
に前記装着用ボルトを通過させて傾き補正具を前記回転側部材の装着基底面と前記扉のエ
ッジ面との間に挿入し、前記ボルト逃げ溝の内端部にまで前記装着用ボルトが到達した挿
入の最終段階において、前記装着用ボルトを前記ボルト逃げ溝の内端部より脱出させて上
向き孤立状の前記ストッパー用切り込み部に係合させるようにしたものであるから、傾き
補正具の抜脱が阻止される。
扉用傾き補正具は、金属板やエンジニアリングプラスチックなどの剛体材料によって薄板
状に製作される。扉の実際の回転中心軸線が前記蝶番の枢軸ピンを通る鉛直線に対してど
の程度傾いているかによって、傾き補正具は一枚単独にて又は複数枚重ね合わせて使用さ
れる。また、傾き補正具の板厚を適宜に増減変更して、複数種類の板厚のものを用意して
置き、最適な板厚のものを単独または組み合わせて使用することもできる。
使用に当たっては、扉の実際の回転中心軸線が前記蝶番の枢軸ピンを通る鉛直線に整列す
るように扉の自由端側を引き上げ移動させ、この引き上げ移動によって蝶番の回転側部材
の装着基底面と扉のエッジ面との間に発生した隙間に挿入される。この挿入過程において
、蝶番の装着用ボルトは見掛け上、前記ボルト逃げ溝を通過し、傾き補正具の挿入は前記
装着用ボルトに妨害されずに的確になされる。
図示した本発明の一実施例では、傾き補正具1は金属薄板製であり、傾き補正具1の外
周輪郭は、蝶番3の回転側部材4の装着基底面5の外周輪郭に整合させてある。本実施例
では、蝶番3の装着用ボルト9は上中下三本となっているので、傾き補正具1にはボルト
逃げ溝2を横方向に三本形成してある。
この傾き補正具1は、回転側部材4の装着基底面5と扉6のエッジ面7との間に出来た隙
間8に蝶番3の側面方向から挿入される。この挿入過程において、回転側部材4の三本の
装着用ボルト9は見掛け上、傾き補正具1の各ボルト逃げ溝2内を通過する。
本実施例では、各ボルト逃げ溝2の内端部の上辺側にはストッパー用切り込み部10が
向き孤立状に形成されている。傾き補正具1の外周輪郭が回転側部材4の装着基底面5の
外周輪郭にほぼ重なる最終位置まで傾き補正具1を挿入した段階で、傾き補正具1を若干
斜めに押し上げると、各ボルト逃げ溝2の内端部上辺側の上向き孤立状のストッパー用
り込み部10に装着用ボルト9が係合するため、傾き補正具1の抜脱が阻止される。必要
に応じて、装着用ボルト9を締め付けることによって、傾き補正具1を回転側部材4の装
着基底面5と扉6のエッジ面7の間に挟持することもできる。
蝶番3は自動せり上がり式の蝶番であり、固定側部材11には下位カム体12が嵌合され
、下位カム対12は固定側部材11に相対回転不能に固定されている。下位カム体12の
軸孔13には枢軸ピン14の下方部分が回転可能に挿入されている。枢軸ピン14の中間
部分には上位カム15が嵌合され、上位カム体15には枢軸ピン14が相対回転不能に固
定されている。上位カム体15は固定側部材11に回転可能に嵌合され、上位カム体15
の下部傾斜カム面16は、下位カム体12の上部傾斜カム面17に当接している。枢軸ピ
ン14の上方部分は、回転側部材4の軸孔18に相対回転不能に嵌合されている。
上記のカム機構の組み込みによって、扉の開放回転時に扉6は定高さまで自動的にせり上
がり、扉の閉鎖回転時に自動的に下降する。
回転側部材4の装着用ボルト9は、回転側部材4の正面開放部19から座金板20を通
して回転側部材4の取付孔21に挿入され、装着用ボルト9の螺子軸部は扉6の外郭壁2
2の透孔23を通して扉6の内側空間に挿入される。前記螺子軸部は外郭壁22の内面に
埋設固定されたナット体24の螺子孔25に螺合される。外郭壁22で包囲された扉6の
内側空間には常法によって発泡スチロールなどの充填材26が充填される。回転側部材4
の正面開放部19は、回転側部材4の装着完了後、カバー体27の弾性的嵌め込みによっ
て閉塞される。
固定側部材11の装着用ボルト28は、固定側部材11の取付孔29に挿入され、装着用
ボルト28の螺子軸部は固定枠体30の外郭壁31の透孔32を通して固定枠体30の内
側空間に挿入される。前記螺子軸部は外郭壁31の内面に埋設固定されたナット体33の
螺子孔34に螺合される。外郭壁31で包囲された固定枠体30の内側空間には常法によ
って発泡スチロールなどの充填材35が充填される。
尚、蝶番の構造及び作動形式は上記ものに限定されず、本発明の扉用傾き補正具は種々の
蝶番と扉の装着部に適用することができる。
本発明の一実施例に係る扉用傾き補正具の正面図である。 図1の傾き補正具を使用した蝶番と扉及び固定枠体の斜視図である。 図1の傾き補正具と蝶番、扉及び固定枠体の水平断面図である。 図3のA−A線断面図である。
符号の説明
1 傾き補正具
2 ボルト逃げ溝
3 蝶番
4 蝶番の回転側部材
5 回転側部材の装着基底面
6 扉
7 エッジ面
8 隙間
9 回転側部材の装着用ボルト
10 ボルト逃げ溝の内端部上辺側のストッパー用切り込み部
11 蝶番の固定側部材
12 蝶番の下位カム体
13 下位カム体の軸孔
14 蝶番の枢軸ピン
15 蝶番の上位カム体
16 上位カム体の下部傾斜カム面
17 下位カム体の上部傾斜カム面
18 回転側部材の軸孔
19 回転側部材の正面開放部
20 座金板
21 回転側部材の取付孔
22 扉の外郭壁
23 外郭壁の透孔
24 ナット体
25 ナット体の螺子孔
26 充填材
27 カバー体
28 固定側部材の装着用ボルト
29 固定側部材の取付孔
30 固定枠体
31 固定枠体の外郭壁
32 外郭壁の透孔
33 ナット体
34 螺子孔
35 充填材

Claims (1)

  1. 左右一方の端部の蝶番によって固定枠体に対して吊持ち支持されている扉が吊元側を基点
    にして垂れ下がり、扉の実際の回転中心軸線が前記蝶番の枢軸ピンを通る鉛直線に対して
    傾いたとき、前記蝶番の回転側部材の装着基底面と扉のエッジ面との間に挿入される薄板
    状の傾き補正具であって、前記回転側部材の装着用ボルトが嵌合する幅寸法を有して板厚
    向に貫通しているボルト逃げ溝を、挿入方向に沿って横向きに一直線に形成し、前記ボル
    ト逃げ溝の内端部の上辺側に、前記装着用ボルトが係合する直径及び長さのストッパー用
    切り込み部を板厚方向に貫通して上向き孤立状に形成してあり、前記ボルト逃げ溝の内端
    部にまで前記装着用ボルトが到達した挿入の最終段階において、前記装着用ボルトを前記
    ボルト逃げ溝の内端部より脱出させて上向き孤立状の前記ストッパー用切り込み部に係合
    させるようにした扉用傾き補正具。
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