JP5255294B2 - シート装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のシート(seat)装置に係り、車両が後方からの衝撃を受けた際の衝撃を緩和する技術に関する。
車両に後方からの追突(以下、後突という)が発生した場合、乗員にシートを介して衝撃が加わる。この衝撃は、打撲や頸椎捻挫(むち打ち症)の原因となるので、なるべく衝撃が緩和されるようにすることが望まれる。このシートを介して乗員に加わる衝撃をシートの部分で吸収する工夫として、例えば引用文献1や2に記載された発明が知られている。
引用文献1には、衝撃を受けた際にシートが抵抗を受けつつ車両に対してスライドし、それにより衝撃が吸収されるように、シート取り付けのためのネジ穴を長手形状とする構造が記載されている。この構成によれば、ネジ穴の寸法余裕の分、強い力を受けた際にシートがスライドし、衝撃が吸収されるものとされている。
また、引用文献2には、シートの背もたれの部分に強い力が加わった際に変形可能な帯状のフレームを配置し、衝撃が加わった際にこのフレームが変形することで、乗員に加わる衝撃が緩和される構成が記載されている。
また、引用文献3には、シートの前後位置を検出してエアーバックの展開タイミングや膨らみ具合を調整する発明が記載されている。
特開2002−225608号 特開2004−016708号 特表2002−513356号
ところで、後突を受けた際の衝撃は、シートに座っている乗員の体重によって異なる。例えば、体重が2倍であれば、後突時にシートに座った人に加わる運動量は約2倍となる。衝撃力は、運動量を時間で微分したものであるから、この場合、衝撃が約2倍異なることになる。しかしながら、引用文献1や引用文献2に記載された発明では、衝撃の吸収の程度の設定は固定であるので、体重によっては、その衝撃吸収効果が適切に働かない場合が発生する。
なお、引用文献1や引用文献2に記載された構成において、衝撃吸収の程度を調整することは可能であるが、ボルトの締め具合の調整や部品の交換が必要であり、乗車時に簡単に行うことはできない。
また、引用文献1に記載されているような摩擦力を利用して衝撃を吸収する方法を採用した場合、縦軸に反力、横軸に変位をとった特性を測定すると、最初に急峻な立ち上がりを示した後に反力が急激に低下し、その後変位が増大するに従って一定の反力を示す特性が観察される。これは、静止摩擦状態から動摩擦状態への変化に従って、反力が変化するからである。すなわち、摩擦を利用した衝撃吸収機能の場合、図5の特性404に示されるように、動摩擦に移行した段階で、反力が急激に低下するので、衝撃の吸収能力は、相対的に低い。また、動摩擦に移行する直前は、反力が大きく、次の瞬間に反力が急激に低下するので、着席者の身体に背もたれ部から加わる反力が大きく変動し、これが打撲や頸椎捻挫の発生要因となる。なお、この初期の段階で身体が受ける衝撃を緩和するために、摩擦力を弱めると、動摩擦に移行した状態における衝撃吸収性能が低下し、衝撃が十分に吸収されない。
一方、バネ部材を利用する場合のような部材の弾性変形を利用した場合、弾性変形領域では、変位に正比例した反力が発生するので、変位に伴う反力の増加傾向は緩やかである。また、弾性変形領域を超えると、塑性変形に移行し、反力が急に低下する。すなわち、図5の符号403で示す特性のように、変位があるレベルに到達するまで反力が緩やかに上昇し、その後反力は急に減少する。このため、弾性変形領域で衝撃の吸収が終わった場合は、反発(リバウンド)により着席者の身体に揺り戻しの衝撃が働く。この現象は、頸椎捻挫の要因となり好ましくない。また、弾性領域で衝撃の吸収が終わらなかった場合、衝撃の吸収能力は著しく低下する。
また、引用文献2に記載されているような帯状の部材の変形を利用した方法は、変形の幅を大きく確保することが困難であり、その衝撃の吸収能力は十分なものではない。
このように、従来技術における衝撃の吸収機構には欠点がある。以上のような背景において、本発明は、体重による衝撃吸収性能の違いが是正される構成を有する車両用のシート装置を提供することを目的とする。また本発明は、シートに座った人が受ける衝撃が効果的に吸収され、身体に加わる衝撃が効果的に緩和される機能を有するシート装置を提供することを他の目的とする。
請求項1に記載の発明は、座部と、背もたれ部と、前記背もたれ部に加わった衝撃に応じた反力を発生して該衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、衝撃発生時に発生する反力の値を前記座部の位置または前記背もたれ部のリクライニング角度に基づいて調整する調整手段とを備え、前記衝撃吸収装置は、第1の部材と、前記第1の部材に拘束され、且つ、前記第1の部材から突出する剛体と、前記第1の部材に対して相対的に移動可能であり、前記剛体と接触可能で、前記第1の部材に対して相対的に移動する部分が変位部を構成する第2の部材とを備え、前記第1の部材に対する前記第2の部材の相対的な移動に際して、前記剛体が前記第2の部材に接触し、この接触の部分において前記第2の部材が塑性変形することで前記反力が発生し、前記剛体の前記第1の部材から突出する寸法が変更されることで、前記反力の値の調整が行われることを特徴とするシート装置である。
請求項1に記載の発明によれば、第1の部材に対して第2の部材が相対的に移動すると、剛体が第2の部材にめり込み、その部分で第2部材が塑性変形する。この剛体による第2の部材の塑性変形に要する力が、衝撃吸収装置が発生する反力となる。上記の相対的な移動が引き続いて行われると、剛体による第2の部材の塑性変形がさらに起こり、引き続いてこの塑性変形に必要な力の反作用として衝撃吸収装置が反力を発生する。
なお、剛体というのは、塑性変形を起こさせる相手部材(この場合は、第2の部材)に塑性変形を起こさせる程度の剛性を有することをいう。剛体としては、例えば鋼材、ジルコニウム、バナジウム合金等を利用することができる。剛体の形状は、第2の部材の塑性変形を支障なく安定して行える形状であればよい。
また、請求項2に記載の発明は、座部と、背もたれ部と、前記背もたれ部に加わった衝撃に応じた反力を発生して該衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、衝撃発生時に発生する反力の値を前記座部の位置または前記背もたれ部のリクライニング角度に基づいて調整する調整手段とを備え、前記衝撃吸収装置は、同軸状に配置され、相対的なスライドが可能な第1の筒状構造体および第2の筒状構造体と、前記第1の筒状構造体から突出した状態で前記第1の筒状構造体に拘束され、且つ、前記第2の筒状構造体に接触可能な剛体とを備え、前記剛体の前記第1の筒状構造体からの突出量は、複数の段階からの選択が可能であり、前記複数の段階からの選択が前記調整手段により行われることを特徴とするシート装置である。
請求項2に記載の発明によれば、同軸状に相対的にスライド可能な状態で配置された2つの筒状構造体において、一方の筒状構造体に拘束された剛体が他方の筒状構造体に接触し、両構造体が相対的に動いた際に、剛体が他方の構造体をその接触部分において塑性変形させる。この塑性変形により、衝撃吸収装置から反力が発生する。また、剛体の第1の筒状構造体からの突出量を調整することで、剛体の第2の筒状構造体への食い込み量(食い込む深さ)が調整される。これにより、第2の筒状構造体に塑性変形を発生させた際に発生する反作用に起因する衝撃吸収装置からの反力の大きさを調整することができる。なお、筒状構造体の形状としては、円筒や断面が多角形状の角筒を挙げることができる。
請求項1,2に記載の発明によれば、車両が後突を受けると、後突の衝撃が背もたれ部を介して、当該シートに着座している着席者に伝わる。この際、作用反作用の原理から着席者は、背もたれ部を、受けた衝撃力に比例した力で押す。衝撃吸収装置は、この着席者からの衝撃力が加わると、座部の位置または背もたれ部のリクライニング角度に基づいて調整された値を有する反力を発生させつつ、変位部が変位する。この反力は、変位部が変位し続けている時間の間継続して発生する。すなわち、衝撃吸収装置は、後突の衝撃エネルギーを着席者に伝え切るまでこの所定の反力を発生し続け、その間変位部が所定の距離で変位する。これにより、所定の期間、着席者は、衝撃吸収装置が発生する反力を受け続ける。そして、この反力を変位部の変位した距離で積分した値で求められる仕事により、衝撃のエネルギーが吸収される。
この作用によれば、後突の衝撃がごく短い瞬間的な時間に背もたれから着席者に伝わるのではなく、着席者には、衝撃吸収装置が発生する反力が所定の時間の間で作用し続ける。衝撃の強さは、運動量の伝達が行われる時間が短い程大きくなるので、上記の作用により、着席者が受ける衝撃の強さが緩和される。つまり、後突時に着席者が背もたれから受ける力の最大値が衝撃吸収装置によって制限され、この力が衝撃吸収装置の変位部が変位する時間の間、ある程度の時間をかけて着席者に加わる。これにより、後突に起因して着席者に加わる衝撃力が緩和される。
また、請求項1,2に記載の発明によれば、衝撃吸収装置が発生する反力の値が座部の位置に基づいて調整される。このため、着席者の体重に適した衝撃吸収効果を発揮させることができる。以下、この理由を説明する。すなわち、相対的に体重の軽い人は、後突時にシートの背もたれを押す力の源となる運動量は相対的に小さい。このため、衝撃吸収装置が発生する反力は、その変位部の変位量が確保できる範囲において弱い方が、着席者が背もたれから受ける衝撃が弱くて済む。このことは、着席者に極力負担が加わらないようにする点で好ましい。
一方、この相対的に体重の軽い人に適した設定とされている衝撃吸収装置を備えたシートに相対的に体重の重い人が座った場合、変位部の変位許容範囲内で衝撃のエネルギーが吸収できない可能性が生じる。変位部の変位許容範囲内で衝撃のエネルギーが吸収できないと、変位限界に達した段階で残りの運動エネルギーが極短時間の間に着席者に伝わり、それが着席者に伝わる衝撃となる。したがって、相対的に体重の重い人の場合、変位許容範囲内で変位部の変位が終了するように、後突時に衝撃吸収装置が発生する反力の大きさを調整する必要がある。
請求項1,2に記載の発明では、着席者の体重に応じて、後突時に衝撃吸収装置が発生する反力の大きさを調整する仕組みとして、座部の位置に関する情報を利用する。すなわち、体重の重い人は、体が相対的に大きく、その体の大きさに応じた座部の位置調整を行う傾向が高い。一方、体重の軽い人は、体が相対的に小さく、その体の大きさに応じた座部の位置調整を行う傾向が高い。そして、2つの調整傾向は、互いに逆の内容となる。このことを利用し、請求項1,2に記載の発明では、座部の位置の調整結果と体重との相関関係に基づいて衝撃吸収装置の衝撃吸収能力の調整を行う。これにより、体重の違いによる衝撃の緩和作用の違いを是正することができる。
また、請求項1,2に記載の発明によれば、背もたれ部のリクライニング角度に応じて、後突時に衝撃吸収装置が発生する反力の値が調整されるので、背もたれ部のリクライニングの角度の違いによる衝撃の緩和作用の違いが是正される。
すなわち、背もたれ部が倒されている場合、後突時に着席者から背もたれ部に加わる力は、同じ着席者であれば、背もたれを倒さない場合に比較して小さな値となる。これは、体重が相対的に軽い人が着座した場合と同様であるといえる。したがって、同じ体重の人間が着座している場合であっても、背もたれ部のリクライニングの角度によって、衝撃吸収装置が発生する反力の適切な値は異なる。このため、リクライニングの角度によって衝撃吸収装置が発生する反力を調整することで、背もたれのリクライニングの角度の違いによる衝撃の緩和作用の違いを是正することができる。
請求項に記載の発明は、座部と、背もたれ部と、前記背もたれ部に加わった衝撃加わった衝撃に応じた反力を発生して該衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、着席する者の体格または重量を検出する検出手段と、衝撃発生時に発生する反力の値を調整する調整手段とを備え、前記衝撃吸収装置は、第1の部材と、前記第1の部材に拘束され、且つ、前記第1の部材から突出する剛体と、前記第1の部材に対して相対的に移動可能であり、前記剛体と接触可能で、前記第1の部材に対して相対的に移動する部分が変位部を構成する第2の部材とを備え、前記第1の部材に対する前記第2の部材の相対的な移動に際して、前記剛体が前記第2の部材に接触し、この接触の部分において前記第2の部材が塑性変形することで前記反力が発生し、前記剛体の前記第1の部材から突出する寸法が変更されることで、前記反力の値の調整が行われることを特徴とするシート装置である。
また、請求項4に記載の発明は、座部と、背もたれ部と、前記背もたれ部に加わった衝撃加わった衝撃に応じた反力を発生して該衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、着席する者の体格または重量を検出する検出手段と、衝撃発生時に発生する反力の値を調整する調整手段とを備え、前記衝撃吸収装置は、前記衝撃吸収装置は、同軸状に配置され、相対的なスライドが可能で、スライドする部分が変位部を構成する第1の筒状構造体および第2の筒状構造体と、前記第1の筒状構造体から突出した状態で前記第1の筒状構造体に拘束され、且つ、前記第2の筒状構造体に接触可能な剛体とを備え、前記剛体の前記第1の筒状構造体からの突出量は、複数の段階からの選択が可能であり、前記複数の段階からの選択が前記調整手段により行われることを特徴とするシート装置である。
請求項3,4に記載の発明によれば、当該シート装置に着席する者の体格または体重を検出し、その検出結果に基づいて衝撃吸収装置の衝撃吸収機能の調整が行われる。このため、着席者の体重の違いによる衝撃吸収機能の違いを是正することができる。検出手段としては、撮像装置が撮像した画像を解析し、写された人の体格をソフトウェアー処理よって検出する手段や、座部に配置した圧力センサを用いて、着席者の体重を直接検出する手段を挙げることができる。また、検出手段として、座部の位置に基づいて、所定の電子的あるいは機械的な出力を行う手段を挙げることもできる。この場合、着席者の体重を座部の位置に基づいて間接的に検出し、衝撃吸収装置を調整するための出力が行われる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、調整手段は、座部の前後方向における位置に基づいて所定の力の値を調整することを特徴とする。一般に体重の軽い人は、小柄であり、車両に乗車し、シートに座った状態において、シートの位置を相対的に前方の位置に調整する傾向がある。また、体重の重い人は大柄であり、シートの位置を相対的に後方の位置に調整する傾向がある。このことを利用して、請求項4に記載の発明では、シートの座部の前後位置の調整位置が相対的に前方である場合に、体重の軽い人が着席したものと見なし、体重の軽い人向けに衝撃吸収装置を調整する。逆に、シートの座部の位置調整が相対的に後方である場合に、体重の重い人が着席したものと見なし、体重の重い人向けに衝撃吸収装置を調整する。これにより、簡単な構造により、着席者の体重に応じた衝撃吸収装置の調整が行われる機構が提供される。シート位置の検出は、機械的に行われるのでもよいし電気的に行われるのでもよい。
請求項に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、検出手段は、撮像した画像に基づいて体格を演算によって求める演算手段、または重量を検出する重量センサであることを特徴とする。請求項5に記載の発明において、検出手段として、撮像した画像に基づいて体格を演算によって求める演算手段を採用した場合、撮像された画像データに対する画像解析により、着席者の体格が求められ、体格と体重との相関関係の強さを利用して、着席者の体重に応じた衝撃吸収装置の調整が行われる。請求項5に記載の発明において、検出手段として、重量を検出する重量センサを採用した場合、着席者の体重が直接計測され、その値に基づいて衝撃吸収装置の調整が行われる。
請求項に記載の発明は、請求項2または4に記載の発明において、第1の筒状構造体が相対的に内側に位置し、第2の筒状構造体が相対的に外側に位置し、第2の筒状構造体は、内径が軸方向で変化するテーパ部を有し、剛体は、剛球であり、且つ、前記テーパ部に接触可能であり、第1の筒状構造体の内側には、段階的に異なる外径が設定された複数の円周面を有し、且つ、この複数の円周面の一つで前記剛球を第1の筒状構造体の内側から支持する剛球支持部材が配置され、調整手段による前記複数の段階からの選択は、第1の筒状構造体の内部において、剛球支持部材を軸方向に移動させて剛球の第1の筒状構造体からの突出量を変更することで行われることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、剛球支持部材を軸方向で移動させることで、剛球が第1の筒状構造体から突出する突出量が調整され、それにより動作時における剛球の第2の筒状構造体への食い込み量が調整される。これにより、衝撃吸収装置が発生する反力の大きさの調整を簡単な仕組みで実現することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、座部を車両の前後方向に移動させるシート前後移動手段と、このシート前後移動手段による座部の前後の移動に連動させて、剛球支持部材の軸方向における移動を行う剛球支持部材移動手段とを備えることを特徴とする。請求項に記載の発明によれば、シートの座部を前後に移動させると、それに連動して剛球支持部材が軸方向にいて移動する。これにより、座部の前後位置に対応して、衝撃吸収装置が発生する反力の大きさのレベルの調整が行われる。
前述したように、座部の前後位置と着席者の体重との間には、相関関係がある。請求項2または4に記載の発明は、この相関関係を利用し、着席者による座部の前後位置の調整に連動して、衝撃吸収装置が発生する反力の大きさのレベル設定が行われる。これにより、衝撃吸収装置が発生する反力の大きさが着席者の体重に応じて調整される。この構成において、剛球支持部材の軸方向における移動は、座部の前後位置の調整に連動して機械的に行っても良いし、電子的に行っても良い。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、剛球支持部材移動手段は、座部に固定されたラックと、このラックに噛み合ったピニオンと、このピニオンの回転により回動する回動部材と、一端が回動部材の回動部に係合し、他端が剛球支持部材に係合したワイヤとを備えていることを特徴とする。請求項に記載の発明によれば、座部を前後に移動させると、ピニオンが回転し、回動部材が回動する。この際、回動部材の一端に係合したワイヤが動き、その動きがワイヤの他端に係合した剛球支持部材に伝わり、剛球支持部材が動く。つまり、座部の前後位置を調整させると、機械的な仕組みにより、座部の動きに連動して剛球支持部材が動き、それにより衝撃吸収装置で発生する反力の値が調整される。
請求項10に記載の発明は、請求項に記載の発明において、剛球支持部材移動手段は、座部に固定されたテーパ部材と、一端が前記テーパ部材に係合した回動部材と、一端がこの回動部材の他端側に係合し、他端が剛球支持部材に係合したワイヤとを備えていることを特徴とする。請求項10に記載の発明によれば、座部を前後に移動させると、テーパ部に係合した回動部材が回動する。この回動により、回動部材の他端側に係合したワイヤが動き、その動きがワイヤの他端に係合した剛球支持部材に伝わり、剛球支持部材が動く。つまり、座部の前後位置を調整させると、機械的な仕組みにより、座部の動きに連動して剛球支持部材が動き、それにより衝撃吸収装置で発生する反力の値が調整される。
請求項9や10に記載の発明は、機構的な部品により構成され、またその構成や動作もシンプルであるので、低コストで高信頼性のものを得ることができる。また、占有する面積や空間も大きくないので、従来からある構造に組み込むことが容易である。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の発明において、背もたれ部の一部は、衝撃発生時に背もたれ部に対して相対的に移動が可能であり、この背もたれ部の一部は、衝撃吸収装置を介して背もたれ部に支持されていることを特徴とする。
請求項11に記載によれば、背もたれ部の一部に衝撃吸収装置を介して支持された荷重受け部材が配置される。そして後突時に、この荷重受け部材が着席者からの荷重を受ける。この際、衝撃吸収装置の作用により、着席者が荷重受け部材から受ける力(反力)の値が、着席者の体重に応じた値に制限され、衝撃が伝わりきるまでその値が一定の時間継続して着席者に加わる。これにより、後突時に背もたれ部から受ける衝撃が緩和される。荷重受け部材は、一つであってもよいし、複数であってもよい。また、その場所も着席者の腰部分、背中部分、肩部分、頸椎部分、頭部等から選択された1または複数部分を選択することができる。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の発明において、背もたれ部は、座部にリクライニング可能な状態で固定され、座部は、衝撃吸収装置を介して車両の骨格構造に固定されていることを特徴とする。請求項13に記載の発明によれば、後突時にシート全体が、着席者の後方への荷重を受け止め、その際、衝撃吸収装置の作用により、着席者がシートから受ける力(反力)が、着席者の体重に応じた値に調整される。この際、着席者には、衝撃が伝わりきるまで、所定の値の反力が、一定の時間継続してシートから加わる。これにより、後突時に着席者がシートから受ける衝撃が緩和される。
本発明によれば、着席者の体重による衝撃吸収性能の違いが是正される構成を有する車両用のシート装置を提供することができる。また本発明によれば、シートに座った人が受ける衝撃が効果的に吸収され、身体に加わる衝撃が効果的に緩和される機能を有するシート装置を提供することができる。
(1)第1の実施形態
(実施形態の概略)
図1は、発明が適用されるシート装置の基本構造を簡略化して示したイメージ図である。図1に示すように、発明が適用されるシート装置10は、座部101、背もたれ部102、ヘッドレスト116、前後スライド機構104a、リクライニング機構109aを備えている。シート装置10は、前後スライド機構109aによって前後にスライドさせることが可能な状態で、車体の骨格構造(シャーシ)301に固定されている。前後スライド機構104aの可動部(符号108の部分)は、サイドブラケット115aに固定され、このサイドブラケット115aに座部101が固定されている。また、サイドブラケット115aには、リクライニング動作が可能な状態で背もたれ部102がリクライニング機構109aを介して固定されている。また、背もたれ部102の上部には、ヘッドレスト116が取り付けられている。
図2は、本発明を利用した乗用車のシート装置の概略を示す斜視図である。図2には、シート装置10から表皮、クッション材およびヘッドレスト等を取り除いた状態が示されている。この例において、シート装置10は、運転席の座席であり、図示しない車体の前方向に向かって配置されている。
図2に示すシート装置10は、着席者が座る座部101と、着席者の背中を後方から支え、荷重受け板100を備えた背もたれ部102を備えている。またシート装置10は、背もたれ部102に力が加わった際に、それに対向し所定の力(反力)を発生させつつ変位する変位部を備え、且つ、前記所定の力の値を調整可能な衝撃吸収装置103aおよび103bを備えている。このシート装置10は、衝撃吸収装置103aおよび103bに力が加わった際に、反力として発生する所定の力の値を着席者の体重に基づいて調整する調整手段を備えている。衝撃吸収装置103aおよび103bの詳細、および調整手段の詳細については後述する。
(実施形態の詳細)
(スライド機構)
図2において、座部101は、両サイドの下部が前後スライド機構104aおよび104bによって支えられている。スライド機構104aおよび104bは、基本的に同じ構造であるので、以下、前後スライド機構104aについて説明する。
前後スライド機構104aは、断面が略凹型(U字型)のロアスライドレール105を備えている。ロアスライドレール105は、ブラケット106および107を介して、図示しない車体の骨格構造に固定されている。ロアスライドレール105の凹型の内側には、アッパースライドレール108が、前後(ロアスライドレール105の延在方向)に沿って、ロアスライドレール105に対してスライド可能な状態で支持されている。アッパースライドレール108は、座部101に固定されている。すなわち座部101は、図示しない車体の骨格構造に対して、前後にスライドすることが可能な構造とされている。後述するように、座部101には、背もたれ部102がリクライニング動作可能な状態で固定されているので、座部101と背もたれ部102が一体となって、前後にスライドすることができる。このスライドは、図示省略したモータによって行われる。
また、ロアスライドレール105に対して、アッパースライドレール108が相対的に移動できないようにするロックするロック機構が配置されている。このロック機構は、ロアスライドレール105およびアッパースライドレール108の側面に形成された孔、この孔を貫通するピン、このピンを前記孔に出し入れするピン移動機構により構成されている。このピンをロアスライドレール105およびアッパースライドレール108の側面に形成され孔に同時に貫通させることで、ロックが行われ、ピンを抜くことで、ロック解除が行われる。なお、ピンの移動は、解除レバーの操作や電磁ソレノイドによって行われる。
(リクライニング機構)
座部101の後部左側のサイドには、サイドブラケット115aおよびリクライニング機構109aを介して、背もたれ部102がリクライニング動作可能な状態で固定されている。なお、座部101の後部右側のサイドも同様の構造とされている。
(背もたれ部の構造)
背もたれ部102は、衝撃吸収装置103aおよび103bを介して、取り付けられた荷重受け板100を備えている。後突を受け、着席者の背中が背もたれ部102に押し付けられると、ある段階から荷重受け板100で荷重が受け止められ、衝撃吸収装置103aおよび103bに後述する塑性変形を従った伸び(変位)および反力が生じる。この際、発生する反力×変位で示される仕事により衝撃のエネルギーが吸収される。
背もたれ部102の上部には、ヘッドレスト取り付け部113が配置されている。ヘッドレスト取り付け部113に、図2では図示しないヘッドレストの脚部分を差し込むことで、背もたれ部102へのヘッドレストの取り付けが行われる。
(衝撃吸収装置の構造)
以下、図2に示す衝撃吸収装置103aおよび103bの構造を詳細に説明する。103aおよび103bは、同じ構造を有しているので、ここでは、103aの詳細を説明する。図3は、衝撃吸収装置の一例を示す断面図であり、(A)は、衝撃吸収機能が発現していない定常状態(つまり衝撃を受ける前の状態)を示し、(B)は、衝撃を受け、衝撃吸収機能が発現している状態(あるいは衝撃吸収機能が発現した後の状態)を示す。
図3には、図2に示す衝撃吸収装置103aが示されている。衝撃吸収装置103aは、共に円筒形状を基本構造とした内側筒状構造体201と外側筒状構造体202を備えている。外側筒状構造体202は、その内側に相対的に移動可能な状態で内側筒状構造体201を収めた構造を有している。この例では、外側筒状構造体202の内側で内側筒状構造体201が摺動可能な構造とされている。内側筒状構造体201は、外側筒状構造体202が部分的に塑性変形することで、外側筒状構造体202から引き出される形で相対的に変位することが可能な構造とされている。この内側筒状構造体201が外側筒状構造体202に対して相対的に変位する部分が、本発明の変位部の一例となる。
外側筒状構造体202の側面は、図2に示す背もたれ部102の骨格構造に固定されている。また、内側筒状構造体201の一端は、荷重受け板100に固定されている。ここで、内側筒状構造体201が第1の部材あるいは第1の筒状構造体の一例であり、外側筒状構造体202が第2の部材あるいは第2の筒状構造体の一例である。
内側筒状構造体201の内側には、剛球支持部材の一例であるコントロールリング203が配置されている。コントロールリング203は、内側筒状構造体201の内側にスライド可能な状態で保持されている。コントロールリング203は、外径の異なる円柱部材を外径の寸法順に複数(この例の場合5個)同軸上に軸方向に並べ、それらを一体化した構造を有している。なお、ここで、軸というのは、内側筒状構造体201および外側筒状構造体202の軸のことである。
コントロールリング203を構成する円柱部分のうち、最大径の円柱部分は、内側筒状構造体201の内面に接触し、この内面に対して摺動可能とされている。他の円柱部分は、その円周面で剛球204を軸中心から外側の方向に向かって支えることが可能な構造とされている。剛球204は、軸に対して対称な位置に複数が配置されている。例えば、剛球204は、軸に対して90度の開き角の位置に4個配置されている。
内側筒状構造体201には、剛球204を拘束するための円形の孔205が形成されており、剛球204は、その孔から外側に突出している。この突出する寸法は、コントロールリング203のどの部分の円周面で剛球204が支持されるかによって調整することができる。この例では、剛球204が内側筒状構造体201の外周面から突出する寸法が、4段階に設定可能な構成とされ、図示する状況では、下から2段階目(上から3段階目)とされている。
また、図3(A)に示すように、外側筒状構造体202は、定常状態における剛球204の内側筒状構造体201からの突出量の調整を許容するために内径を拡大した拡径部202aを備えている。また、外側筒状構造体202は、拡径部202aから内側筒状構造体201を摺動可能な状態で保持した部分に向かって、内径が漸次減少するテーパ部202bを備えている。
内側筒状構造体201、外側筒状構造体202および剛球204は、金属により構成され、外側筒状構造体202と剛球204が鋼材により構成されている。
コントロールリング203の図の右方向(X軸負方向)の端面206には、制御ワイヤ207が接続されている。また、この端面206には、他端が内側筒状構造体201の内側に突出した円環状突出部208に接触したコイルバネ209の一端が接触している。コイルバネ209は圧縮状態とされ、コントロールリング203を図の左方向(X軸正方向)に付勢している。
内側筒状構造体201の荷重受け板100に固定された端面側の中心には、制御ワイヤ207を通す孔210が設けられ、その孔に連続して、さらに荷重受け板100にも孔211が形成されている。これらの孔から制御ワイヤ207は、衝撃吸収装置103aの外部に引き出されている。
この構造によれば、制御ワイヤ206を図の右方向(X軸負方向)に引くと、コイルバネ209が縮んで、コントロールリング203が内側筒状構造体201に対して相対的に右方向(X軸負方向)に動き、剛球204はより外径の小さいコントロールリングの円周面の部分で支持される。この結果、内側筒状構造体202からの剛球204の突出量は小さくなる。そして、制御ワイヤ206を図の右方向(X軸負方向)に引く力を緩めると、コイルバネ209の反発力により、コントロールリング203が内側筒状構造体201に対して相対的に左方向(X軸正方向)に動き、剛球204はより径の大きいコントロールリング203の円周面の部分で支持される。この結果、内側筒状構造体202からの剛球204の突出量は、大きくなる。この仕組みにより、内側筒状構造体202からの剛球204の突出量が段階的に調整される。
(調整手段の構造)
以下、衝撃発生時に衝撃吸収装置103aおよび103bが示す衝撃吸収性能の調整を、座部の前後位置に基づいて行う一例を具体的に説明する。図4は、衝撃吸収性能を調整する機構の一部を示す概念図である。図4(A)は、上方(図2のZ軸方向)から見た状態を示し、図4(B)は、前方(図2のX軸方向)から見た状態を示す。
図4に示す機構は、図2の座部101の下部に配置されている。図4には、図2に関連して説明したロアスライドレール105とアッパースライドレール108が示されている。ロアスライドレール105は、断面形状が上方に開放された凹型(U字型)を有し、その内側に断面形状が逆凹型(逆U字型)を有したアッパースライドレール108が収められ、アッパースライドレール108は、ロアスライドレール105に対して摺動し、前後(X軸方向)にスライド可能な構造とされている。ここで、符号301は、車体の骨格構造の一部であり、ロアスライドレール105は、そこに図2に示すブラケット106および107を介して固定されている(図4では、ブラケットは図示省略されている)。
アッパースライドレール108の上面には、連結板302が固定され、連結板302は、ラック(歯竿)303に固定されている。すなわち、アッパースライドレール108とラック303とは、連結板302により連結され一体化されている。ラック303は、ピニオン304と噛み合っている。ピニオン304の軸305は、車体の骨格構造301に回転自在な状態で支持されている。また、軸305のピニオン304の下の部分に、軸305を回転軸とする小径歯車306が固定されている。小径歯車306は、大径歯車307と噛み合っている。大径歯車307の軸308の下部は、車体の骨格構造301に回転自在な状態で支持され、その上部には、回動部材である駆動アーム309が固定されている。駆動アーム309の回動する部分(アームの部分)には、制御ワイヤ207が係合している。制御ワイヤ207は、柔軟性のある金属ワイヤであり、図2の符号103aおよび103bで示す衝撃吸収装置に繋がっている。
この例では、図4に示した機構により、図3に関連して説明した剛球204の内側筒状構造体201からの突出量を調整する機構を機械的に制御し、衝撃吸収装置103aおよび103bが衝撃発生時に発生する反力の値を調整する調整手段が構成されている。すなわち、図4に示した機構により、衝撃吸収装置103aおよび103bの衝撃吸収性能の調整を行う調整手段が構成されている。
(衝撃吸収装置の動作)
以下、衝撃吸収装置103aおよび103bが示す衝撃吸収機能について説明する。いま、図2のシート装置10に人が座った状態で後突が発生した場合を考える。この際、シート装置10が車体と共に前方に押し出され、着席者は、その体重に比例した力で背もたれ部102に押し付けられる。この力の反作用として、衝撃が着席者に加わる。この力があるレベルより弱い場合、その衝撃は、図示省略した背もたれ部102の前面に配置されたクッション材等によって吸収される。これは、後突が極弱い場合に相当する。
後突の衝撃がある程度以上の強さである場合、図示省略したクッション材等の変位や変形では、衝撃が吸収しきれず、着席者が背もたれ部102を押す力は、主に荷重受け板100に加わる。この際、荷重受け板100は、図2および図3のX軸負方向に押され、これにより図3に示す内側筒状構造体201がX軸負方向に移動する。内側筒状構造体201がX軸負方向に移動すると、孔205に拘束された剛球204もそれにつれてX軸負方向に移動し、外側筒状構造体202のテーパ部202bに接触する。
荷重受け板100が受けた力があるレベル以上であると、剛球204が外側筒状構造体202のテーパ部202bに食い込み、外側筒状構造体202を塑性変形させる。この塑性変形は、荷重受け板100が受けた力に応じて、X軸負方向(車体後方の方向)に向かって進行する。この様子の一例が図3(B)に示されている。図3(B)には、符号202cの部分で塑性変形が発生し、外側筒状構造体202が拡管されつつある状態(あるいは拡管が終了した状態)が示されている。この外側筒状構造体202の塑性変形がX軸負方向にある距離にわたって生じることで、後突によって着席者が受けた衝撃のエネルギーが吸収される。
(衝撃吸収性能の評価)
図5は、着席者の背面の背もたれ部に対する変位(X軸負方向への変位)を横軸とし、着席者が背もたれ部から受ける反力を縦軸としたグラフである。なお、このグラフの横軸と縦軸の単位は相対値である。ここで反力は、後突時に着席者が背もたれ部を押す力の反作用として、背もたれ部から着席者が受ける力のことである。
図5の符号401と402の特性が、衝撃吸収装置103aおよび103bを利用した場合である。また、符号403が部材の弾性変形を利用して衝撃を吸収する衝撃吸収装置を利用した場合である。また、符号404が接触させた部材間の摩擦を利用して、衝撃を吸収する衝撃吸収装置を利用した場合である。
衝撃吸収装置103aおよび103bを利用した場合、外側筒状構造体202の塑性変形が生じるまでの間に反力が急激に立ち上がる。そして、塑性変形が生じると、剛体204が外側筒状構造体202に対して相対的に移動しながら、連続的に外側筒状構造体202の壁面を塑性変形させる。この際、塑性変形する領域が移動し、連続的に新たな塑性変形が生じるので、変位に伴って塑性変形に要する力は一定である。したがって、符号401や402で示される特性のように、変位に伴う反力の値はほぼ一定となる。
このような特性は、着席者が、背もたれ部から一定の反力を受けつつ、背もたれ部に少しずつめり込んで行くことを示している。この場合、一定の時間をかけて着席者に反力が加わることになるので、後突に起因して着席者に加わる衝撃は、弱められる。これが、衝撃吸収装置103aおよび103bの衝撃吸収機能の原理である。
この衝撃吸収機能によれば、着席者が受ける衝撃のエネルギーが、剛球204による外側筒状構造体202の塑性変形に要する力と、この塑性変形に伴う剛球の相対的な変位との積によって消費される。このため、後突に起因して、着席者が背もたれ部102を押した後に、着席者が背もたれ部102から反発力(リバウンド)を受け、前方に強く揺り戻される現象が抑えられ、この揺り戻し現象に起因する打撲や頸椎捻挫(むち打ち症)の発生を抑えることができる。
(衝撃吸収性能の調整)
衝撃吸収装置103aおよび103bは、図5に示す反力の値が、着席者の体重に応じて調整される。以下、この仕組みについて説明する。
着席者の体重が相対的に軽い場合、一般的に体格が小柄である場合が多いので、図2に示すシート装置10における座部101の位置は、相対的に前方に調整される。座部101が前方に移動させられると、図4に示すアッパースライドレール108がロアスライドレール105に対して相対的に前方(X軸正方向)に移動する。この結果、ラック303が前方に動き、それに噛み合ったピニオン304およびピニオン304と同軸の小径歯車306が、図4(A)における時計回り方向に回転する。この回転により、小径歯車306に噛み合った大径歯車307が、図4(A)における反時計回り方向に回転し、駆動アーム309が反時計回り方向に回動する。この結果、制御ワイヤ207が、X軸正方向に引かれる。ここで、小径歯車306と大径歯車307のギア比によって、座部101のスライドの移動量が適切な制御ワイヤ207の引き出し量に変換される。
制御ワイヤ207が、X軸正方向に引かれると、図3に示す制御ワイヤ207の他端側は、X軸負方向に移動し、コントロールリング203がX軸負方向に移動する。これにより、剛球204を内側から支える円周面が、外径がより小さな値部分となり、外側筒状構造体202に食い込んだ状態における剛球204の内側筒状構造体201からの突出量が、相対的に小さな値へと変更される。
この突出量が相対的に小さな値とされた場合、衝撃吸収時における外側筒状構造体202の塑性変形の程度(拡管の程度)は相対的に小さくなるので、図5の特性における反力の値が小さくなる。すなわち、図2に示す座部101を前方に移動させることで、図5に示す反力が相対的に小さな値に調整される。
他方において、着席者の体重が相対的に重い場合、一般的に体格が大柄である場合が多いので、図2に示すシート装置10における座部101の位置は、相対的に後方に調整される。座部101が後方に移動させられると、図4に示すアッパースライドレール108がロアスライドレール105に対して相対的に後方(X軸負方向)に移動する。この結果、ラック303が後方に動き、それに噛み合ったピニオン304およびピニオン304と同軸の小径歯車306が、図4(A)における反時計回り方向に回転する。この回転により、小径歯車306に噛み合った大径歯車307が、図4(A)における時計回り方向に回転し、駆動アーム309が時計回り方向に回動する。この結果、この駆動アーム309の回動の分、制御ワイヤ207の図3に示す端部側がX軸正方向に移動可能となる。
コントロールリング203は、コイルバネ209によってX軸正方向に付勢されているので、この付勢力により、上記の駆動アーム309の図4(A)における時計回り方向への回動の範囲で、コントロールリング203が図3のX軸正方向に移動する。これにより、剛球204を内側から支える円周面が、外径がより大きな値部分となり、外側筒状構造体202に食い込んだ状態における剛球204の内側筒状構造体201からの突出量が、相対的に大きな値へと変更される。
この突出量が相対的に大きな値とされた場合、衝撃吸収時における外側筒状構造体202の塑性変形の程度(拡管の程度)は相対的に大きくなるので、図5の特性における反力の値が大きくなる。すなわち、図2に示す座部101を後方に移動させることで、図5に示す反力を相対的に大きな値に調整することができる。
このようにして、体重と体格との相関関係を利用し、図2の座部101の前後位置の調整に応じて、衝撃吸収装置103aおよび103bが発現する衝撃吸収能力が調整される。すなわち、相対的に体重の軽い人の場合は、背もたれ部102を押す力が相対的に小さいので、図5に示す反力の値を小さく設定し、着席者への負担をより軽くした状態で衝撃の吸収が行われる設定(例えば、図5の符号402の特性)とされる。一方、相対的に体重の重い人の場合は、背もたれ部102を押す力が相対的に大きいので、図5に示す反力の値を大きく設定し、より大きな運動エネルギーの吸収が可能となる設定(例えば、図5の符号401の特性)とされる。つまり、着席者の体重に応じて、適切な衝撃の吸収が行われる設定に調整が行われる。
(実施形態の優位性)
本実施形態では、着席者の体重を座部101(図2参照)の前後位置に基づいて、推し量り、図4に示す機械的な制御により、特にそのための操作を行うことなしに体重に応じた衝撃吸収性能の調整が行われる。このため、煩雑な操作を行うことなしに、着席者の体重による衝撃吸収性能の違いが是正される構成が得られる。また、ユーザが衝撃吸収性能の調整を意識して行う必要がないので、調整し忘れ、面倒であるから利用されない傾向がある、といった問題が生じない。
また図3に示すように、剛球204が外側筒状構造体202を塑性変形させつつ、内側筒状構造体201が外側筒状構造体202に対して変位するので、図5の特性401や特性402で示されるような、着席者への負担が軽減され、着席者へのダメージが抑えられた衝撃の吸収が行われる。換言すれば、内側筒状構造体201の外側筒状構造体202に対する変位の許容範囲内で、外側筒状構造体202の塑性変形に要する力と当該変位の距離との積に表される仕事によって、衝撃の吸収が行われるので、着席者への負担が軽減され、着席者へのダメージが抑えられる。
(2)第2の実施形態
以下、第1の実施形態において、図4に示すのとは異なる仕組みで図3のコントロールリング203の位置制御を行う構成の一例を説明する。図6は、衝撃吸収性能を調整する機構の一部を示す概念図である。図6(A)は、上方(図2のZ軸方向)から見た状態を示し、図6(B)は、前方(図2のX軸方向)から見た状態を示す。また、図6において、図4と同じ符号の部分は、図4に関して説明したのと同じである。また、図4の場合と同様に、図6に示す機構は、座部101の下部に収納されている。
図6に示す例では、アッパースライドレール105にガイド板501が固定されている。ガイド板501は、前方に向かってアッパースライドレール108に近付く形で傾斜するテーパ部501aを備えている。このテーパ部に回動アーム502が係合している。すなわち、回動アーム502は、車体の骨格構造301に固定された軸504を回転中心として回動可能であり、その一端に円周面を有した接触部503を備え、さらに他端に制御ワイヤ207が係合している。この例では、制御ワイヤ207は、U字型のガイド管505よって延在方向が180度反転させられている。
図2の座部101を前方に移動させると、図6のアッパースライドレール108が前方に移動し、テーパ部501aに接触した接触部503が図6(A)の時計回り方向に回動し、それに伴い制御ワイヤ207の回動アーム502への係合部が、X軸負方向に動く。これにより、図3に示すコントロールリング203がX軸負方向に移動し、第1の実施形態の場合と同様な作用が得られる。また、図2の座部101を後方に移動させると、上記の場合と逆の動作が行われ、制御ワイヤ207が緩み、図3に示すコイルバネ209の作用により、コントロールリング203がX軸正方向に移動し、やはり第1の実施形態の場合と同様な作用が得られる。
(3)第3の実施形態
第1の実施形態において、座部101の前後位置を電子的に検出し、その検出結果に基づいて制御ワイヤ207を動かすモータを回転させ、それにより、第1の実施形態と同様な機構を実現することもできる。この場合、図4に示すピニオン304の軸305にロータリエンコーダやポテンションメータの回転軸を接続し、それらから得た電気信号に基づいて制御ワイヤ207をX軸正方向に引くモータの動作を制御する構成とすればよい。
(4)第4の実施形態
第1の実施形態において、着席者の体重を体重検出手段によって直接検出し、この検出結果に基づいて図3のコントロールリング203の位置を調整する構成とすることもできる。以下、この構成の一例を説明する。
図7は、本実施形態を実現するための制御系のブロック図である。図7には、図2に示すシート装置10が簡略化されて記載されている。この例では、座部101の着席者の体重が加わる部分に圧力センサ601が配置されている。圧力センサ601は、圧電効果を利用して加わる圧力に比例した電圧を出力する。なお、圧力センサ601は、抵抗変化を利用したものであってもよい。
センサ信号検出回路は、圧力センサ601の出力を適当なデジタル信号に変換し、それを演算部603に出力する。演算部603は、メモリ604に記録された体重の値と図3のコントロールリング203の前後位置に関するデータを参照し、コントロールリング203の位置を決める信号をモータ駆動回路605に出力する。メモリ604には、予め調べておいた体重と図3のコントロールリング203の位置との相関関係を決めるデータおよび図示する制御系を動作させるための動作プログラムが格納されている。モータ駆動回路605は、図3の制御ワイヤ211をX軸負方向に引く制御ワイヤ駆動モータ606の動作を制御する。制御ワイヤ駆動モータ606や制御回路群は、例えば座部101の下部に収納されている。
(実施形態の動作)
以下、図7に示す制御系の動作の一例を説明する。座部101に着席者が座ると、圧力センサ601の出力が変化し、それがセンサ信号検出回路602によって検出される。センサ回路検出回路602の出力は、演算部603に取り込まれ、演算部603は、メモリ604に格納されたデータを参照して、検出した着席者の体重に応じた場所にコントロールリング203が位置するように、制御信号を生成し、それをモータ駆動回路605に送る。この制御信号を受けてモータ駆動回路605は、制御ワイヤ駆動用モータ606の回転を制御し、それにより、図3に示す制御ワイヤ207の端部の位置が図3の右または左方向に移動する。この際、制御ワイヤ駆動モータ606による制御ワイヤ207の巻き取りが行われれば、コントロールリング203が図3のX軸負方向に動き、制御ワイヤ駆動モータ606が制御ワイヤ207を巻き出す方向に回転すると、図3のコイルバネ209の作用により、コントロールリング203が図3のX軸正方向に動く。これにより、衝撃力吸収作用が働く際における剛球204の内側筒状構造体201からの突出量の調整が行われ、図5に示す反力の値の設定が着席者の体重に応じて調整される。
(5)第5の実施形態
第1の実施形態において、着席者を撮像して得た画像に基づいて着席者の体重を算出し、それに基づいて図3のコントロールリング203の位置を調整する構成とすることもできる。以下、この構成の一例を説明する。
図8は、本実施形態を実現するための制御系のブロック図である。図8には、図2に示すシート装置10が簡略化されて記載されている。この例では、シート装置10の前方にシート装置10に座った人を撮像する撮像装置611が配置されている。撮像装置611は、例えばCCDカメラが利用され、運転の障害にならない場所に設置されている。
撮像装置611が撮像した画像の画像データは、画像処理回路612に送られる。画像処理回路612は、画像データに基づいてシート装置10に着席した着席者の体格を抽出し、そのデータを演算部613に送る。演算部613は、メモリ614に記録された体格と、体重および図3のコントロールリング203の前後位置に関するデータを参照し、図3のコントロールリング203の位置を決める信号をモータ駆動回路615に出力する。メモリ614には、撮像した人物の体の大きさを判別するための類型データと体重との関係、さらに体重とコントロールリング203の位置との関係が格納されている。これらのデータは、予め多数のサンプルに対して行われた調査の結果に基づいて作成されている。また、メモリ614には、図示する制御系を動作させるための動作プログラムが格納されている。モータ駆動回路615は、図3の制御ワイヤ211をX軸負方向に引く制御ワイヤ駆動モータ616の動作を制御する。制御ワイヤ駆動モータ606や制御回路群は、例えば座部101の下部に収納されている。
(実施形態の動作)
以下、図7に示す制御系の動作の一例を説明する。座部101に着席者が座ると、撮像装置611が着席者を撮像し、その画像データが画像処理回路612に送られる。画像処理回路612は、画像データに基づいて画像処理を行い着席者の体格を抽出する。例えばこの処理は、人間の体格を複数の類型に分け、その類型に撮像した画像中の人を割り当てる処理を実行することで行われる。
演算部613は、画像処理装置612から出力される体格に関する類型に関するデータを受け取り、それに基づいてメモリ614に格納されたデータを参照して、検出した着席者の体重に応じた場所に図3のコントロールリング203が位置するように、制御信号を生成し、それをモータ駆動回路615に送る。この際、体重が重いと推定される体格の類型の場合は、図3のコントロールリング203をX軸正方向に相対的に移動させ、体重が軽いと推定される体格の類型の場合は、図3のコントロールリング203をX軸負方向に相対的に移動させるように演算が行われる。
演算部613からの制御信号を受けてモータ駆動回路615は、制御ワイヤ駆動用モータ616の回転を制御し、それにより、図3に示す制御ワイヤ207の端部の位置が図3の右または左方向に移動する。この際、制御ワイヤ駆動モータ616による制御ワイヤ207の巻き取りが行われれば、コントロールリング203が図3のX軸負方向に動き、制御ワイヤ駆動モータ616が制御ワイヤ207を巻き出す方向に回転すると、図3のコイルバネ209の作用により、コントロールリング203が図3のX軸正方向に動く。これにより、衝撃力緩衝作用が働く際における剛球204の内側筒状構造体201からの突出量の調整が行われ、図5に示す反力の値の設定が着席者の体重(体格から推定される体重)に応じて調整される。
(6)第6の実施形態
第1の実施形態において、背もたれ部のリクライニングの角度に基づいて、剛球204の内側筒状構造体201からの突出量の調整が行われ、図5に示す反力の値の設定が調整される構成とすることもできる。以下、この構成の一例を説明する。なお、ここで、リクライニングの角度は、背もたれ部102の表面と鉛直線との間のなす角度が基準となる所定の値からどれだけ後方に傾いているかで定義される。
なお、図3および後述する図13では、説明を簡単にするために、基準となる所定の値として、0度の場合が記載されている。一般的には、背もたれ部102の表面と鉛直線との間のなす角度が20度程度の場合をリクライニング角が0度の標準着座状態とし、そこから傾き角がリクライニングの角度とされる。つまり、少し後に倒れた状態を基準とし、そこから更に後方に倒した場合の変位角がリクライニングの角度とされる。なお、背もたれ部102の表面と鉛直線との間のなす角度のことをトルソ角という。したがって、図3および後述する図13には、トルソ角=リクライニング角の場合が示されている。また、上述した一般的な場合には、(トルソ角−所定の角度)=リクライニング角となる。なお、一般に背もたれ部102は完全な平面でないので、背もたれ部102の表面に適当な仮想面を設定し、それと鉛直線との間のなす角度で背もたれ部102のリクライニングの角度が定義される。
この例では、図2に示すシート装置10において、回転支持部109aに、背もたれ部102のリクライニング角(後方への傾斜角)を検出するリクライニング角検出センサ(図2では図示省略)を配置する。図9は、本実施形態の制御系の概要を示すブロック図である。図9には、リクライニング角検出センサ621、センサ信号検出回路622、演算部623、メモリ624、モータ駆動回路625および制御ワイヤ駆動用モータ626が示されている。
リクライニング角検出センサ621は、背もたれ部102のリクライニングの角度を検出する。リクライニング角検出センサとしては、ロータリエンコーダやポテンションメータが利用される。センサ信号検出回路622は、リクライニング角検出センサの出力に基づいて、リクライニングの角度に関するデータを算出する。演算部623は、センサ信号検出回路622から出力されるデータ信号とメモリ624に格納されたデータに基づいて、図3のコントロールリング203の前後位置を決める制御信号を生成し、それをモータ駆動回路623に出力する。
メモリ624には、予め調べておいたリクライニングの角度とコントロールリング203の前後位置との関係を決める相関データおよび図9に示す制御系を動作させるための動作プログラムが格納されている。具体的には、リクライニングの角度が大きい場合(より後方に倒れている場合)に、剛球204の内側筒状構造体201からの突出量を小さく設定する。つまり、リクライニングの角度が大きい場合、図5の反力の値を小さく設定する。逆にリクライニングの角度が小さい場合(より背もたれ部102が起き上がっている場合)に、剛球204の内側筒状構造体201からの突出量を大きく設定する。つまり、リクライニングの角度が小さい場合、図5の反力の値を大きく設定する。このリクライニングの角度とコントロールリング203の前後位置との相関関係については後述する。
なお、モータ駆動回路625は、図8のモータ駆動回路615と同じ構成、同じ役割であり、制御ワイヤ駆動用モータ626も、図8の制御ワイヤ駆動モータ616と同じ構成、同じ役割であるので説明は省略する。
(リクライニングの角度とコントロールリングの前後位置との相関関係)
図10は、リクライニングの角度とコントロールリングの前後位置との相関関係、換言すると、リクライニングの角度と図5の反力の値との相関関係を説明するための概念図である。図10(A)には、相対的にリクライニング角が小さい場合が示され、図10(B)には、相対的にリクライニング角が大きい場合が示されている。具体的にいうと、図10(A)は、背もたれ部102の表面と鉛直線との間のなす角度(トルソ角)が21度の状態を標準着座状態とした場合の一例である。図10(B)は、背もたれ部102の表面と鉛直線との間のなす角度(トルソ角)が50度であり、リクライニング角を50度−21度=29度とした場合の状態である。
後突が生じた場合、背もたれ部102から着席者631に力が加わる。この力は、(A)の場合も(B)の場合も共にF=maである。ここで、mは着席者の体重であり、aは後突時に生じる加速度である。この例では、標準着座状態において、衝撃吸収装置103aが最も効率良く衝撃を吸収するように配置されている。つまりこの例では、(A)の状態において、F=maの方向が、衝撃吸収装置103aの作動方向(内側筒状構造体201が外側筒状構造体202に対して相対的に移動する方向)に一致するようにされている。このため、(A)の状態において、後突が生じると、F=maの力が、衝撃吸収装置103aにより吸収される。
一方において、(B)の状態の場合、F=maの力は、ベクトルF=ma×cos29度とベクトルF=ma×sin29度とに分解される。そして衝撃吸収装置103aには、Fの力が吸収される。このように、(A)の状態に比較して(B)の状態では、着席者631が衝撃吸収装置103aを押す力は小さくなる。つまり、リクライニング角を大きくすると、同じ着席者であっても衝撃吸収装置103aを押す力は小さくなる。
これを実施形態1の着席者の体重の大小に関連して説明した内容に適用すると、リクライニング角が大きい場合は、低体重の着席者の場合と同様に考えることができ、リクライニング角が小さい場合は、高体重の着席者の場合と同様に考えることができる。このような理由により、より効果的に、且つ、着席者への負担を軽減しつつ後突時の衝撃を衝撃吸収装置103aおよび103bで吸収させるには、リクライニング角が大きい場合には、図5に示す反力を小さめに設定し、リクライニング角が小さい場合には、図5に示す反力を大きめに設定することが有利となる。
以上の理由により、図10(B)に示すように、リクライニング角が大きい場合(より後方に倒れている場合)、低体重の場合と同様に剛球204の内側筒状構造体201からの突出量を小さく設定する。逆に、図10(A)に示すように、背もたれ部102のリクライニング角が小さい場合、高体重の場合と同様に剛球204の内側筒状構造体201からの突出量を大きく設定する。
(7)第7の実施形態
(全体の構成)
図2に示す第1の実施形態では、衝撃吸収装置103aおよび103bを背もたれ部102に配置し、荷重受け板100に加わる衝撃荷重を緩和する構成の例を説明した。ここでは、座部と背もたれ部が一体となった部位が、後突時に後退し、その際、衝撃吸収装置によってその後退時の運動エネルギーを吸収する構成の一例を説明する。なお、特に言及がない場合、図2と符号が同じ部分は、図2に関連して説明した内容と同じである。
図11は、本実施形態のシート装置の概要を示す斜視図であり、図12は、側面図である。本実施形態では、座部101の下面に衝撃吸収装置650aおよび650bが取り付けられている。衝撃吸収装置650aおよび650bは、動作原理は図3に示す衝撃吸収装置と基本的に同じであるが、衝撃吸収動作時における内側筒状構造体と外側筒状構造体の相対的な変位の方向が図3の場合と逆方向とされている。衝撃吸収装置650aおよび650bの詳細な構造については後述する。
なお、以下の点において、図11および図12に示す本実施形態は、図2に示す構成と異なっている。すなわち、図11および図12に示す本実施形態では、座部101は、前後スライド機構104aのアッパースライドレール(可動する側のレール)に衝撃吸収装置650aを介して固定され、且つ、前後スライド機構104bのアッパースライドレール(可動する側のレール)に衝撃吸収装置650bを介して固定されている。また、座部101の前部下側は、衝撃吸収装置に固定されたブラケット(例えば、図11の符号661)に前後スライド機構671a(図12参照)を介して固定されている。この構造によれば、後突時に衝撃吸収装置650aと650bとが変位すると、座部101が前後方向にのみ動き、衝撃吸収装置650aおよび650bによる衝撃の吸収が行われる。
(衝撃吸収装置の構造)
以下、衝撃吸収装置650aおよび650bの構造について説明する。衝撃吸収装置650aおよび650bは同じ構造であるので、ここでは、衝撃吸収装置650aについて説明する。図13は、衝撃吸収装置の一例を示す概念図である。図13には、衝撃吸収装置650aが示されている。衝撃吸収装置650aは、共に断面が円形形状の内側筒状構造体651と外側筒状構造体652を備えている。内側筒状構造体651は、外側筒状構造体652が部分的に塑性変形することで、外側筒状構造体652に対して相対的に変位することが可能な構造とされている。この変位する部分が、本発明の変位部の一例となる。
内側筒状構造体651の内部には、コイルバネ652が収められ、更にこのコイルバネ652によりX軸負の方向に付勢されたコントロールリング653が収められている。コントロールリング653は、図3のコントロールリング203と同じものである。コントロールリング653の多段階に設定された円周面の一つは、内側筒状構造体651の内側から剛球655を支持している。コントロールリング653のコイルバネ652型の端面には、制御ワイヤ656が接続されている。
この制御ワイヤ656の役割は、図3の制御ワイヤ207と同じである。制御ワイヤ207の他方の端部は、図4に示す機構に接続され、図4に関連して説明した仕組みにより、内側筒状構造体651内におけるコントロールリング653のX軸上の位置が調整される。なお、制御ワイヤ207の駆動は、図6〜図10に示されている仕組みを利用して行うこともできる。
また、この剛球655を内側筒状構造体561の内側から突出させ、且つ、剛球655を内側筒状構造体651に拘束するための孔654が内側筒状構造体651に設けられている。外側筒状構造体652は、内側に内側筒状構造体651を摺動可能な状態で収容し、さらに内径がX軸方向で漸次変化するテーパ部652aを備えている。また、外側筒状構造体652は、その外周に円筒形状の外側ケース652aが固定され、この外側ケース652aと一体化されている。
内側筒状構造体651を外側筒状構造体652に対して、X軸負方向に移動させると、剛球655が外側筒状構造体652にめり込み、図3(B)に示すような塑性変形を起こしながら、両構造体の相対的な変位が生じる構造とされている。
(衝撃吸収装置の動作)
以下、図13に示す衝撃吸収装置650aの衝撃吸収機能について説明する。図13に示す構成において、外側筒状構造体652内に内側筒状構造体651を相対的に押し込めようとする力が働くと、剛球655がテーパ部652aに接触する。この際、その力があるレベルより大きいと、剛球655がテーパ部652aに食い込み、外側筒状構造体652が、図3(B)の符号202cの部分で示すのと同様に塑性変形し、その塑性変形した部分がX軸の方向に進行する。この際、外側筒状構造体652内に内側筒状構造体651を相対的に押し込めようとする力による仕事が行われ、エネルギーが消費される。この原理は、図3に示す構造の場合と基本的に同じである。
(調整機能)
図13に示す衝撃吸収装置650aは、図3に示す衝撃吸収装置103aと同じ原理の仕組みにより、衝撃吸収性能の調整を行うことができる。図13に示す構成において、制御ワイヤ656をX軸正方向に引くと、コントロールリング653がコイルバネ652の反発力に抗してX軸正方向に動き、剛球655は、コントロールリング653のより外径の小さい外周面の部分で内側筒状構造体651の内側から支えられる状態となる。
この結果、上述した衝撃吸収装置650aの衝撃吸収機能の発現時における剛球655の内側筒状構造体651からの外側への突出量は、相対的に小さなものとなり、剛球655による外側筒状構造体652の塑性変形の程度(拡管の程度)は相対的に小さなものとなる。この場合、図5に示す特性として、例えば符号402で示されるような、相対的に低い反力を示す特性を得る設定となる。
逆に、制御ワイヤ656をX軸正方向に引いていた張力を弱めると、コントロールリング653がコイルバネ652の反発力によってX軸負方向に動き、剛球655は、コントロールリング653のより外径の大きい外周面の部分で内側筒状構造体651の内側から支えられる状態となる。
この結果、上述した衝撃吸収装置650aの衝撃吸収機能の発現時における剛球655の内側筒状構造体651からの外側への突出量は、相対的に大きなものとなり、剛球655による外側筒状構造体652の塑性変形の程度(拡管の程度)は相対的に大きなものとなる。この場合、図5に示す特性として、例えば符号401で示されるような、相対的に高い反力を示す特性を得る設定となる。
(衝撃吸収装置の取り付け構造)
以下、シートの左側の部分を例に挙げ説明するが、シート右側においても同様な構造および機能とされている。図11に示すように、衝撃吸収装置650aの外側筒状構造体652(図13参照)の外側ケース652bは、その端面がブラケット(支持部材)661に固定されている。ブラケット661は、図面では隠れているが、前方に延在しており、その部分がアッパースライドレール108(図2参照)に固定されている。つまり、衝撃吸収装置650aの外側筒状構造体652は、ブラケット661を介して、前後スライド機構104aのアッパースライドレール108(図2参照)に固定されている。
また、座部101の前部下側は、このブラケット661の前方に延在した部分に前後スライド機構671a(図12参照)を介して、前後移動が可能な状態で支持されている。上述したように、ブラケット661は、アッパースライドレール108(図2参照)に固定されている。したがって、座部101は、前後に移動が可能な状態でアッパースライドレール108上にブラケット661を介して支持されている。
一方、衝撃吸収装置650aの内側筒状構造体651の端部は、座部101に固定された支持部材662に固定されている。また、説明は省略するが、衝撃吸収装置650bも同様な構造により、取り付けられている。この構造によれば、座部101は、衝撃吸収装置650aおよび650bを介して車両の骨格構造に固定される。また、座部101および背もたれ部102の重量は、前後スライド機構104aおよび104bによって下方から支えられる。
この構造によれば、座部101または背もたれ部102を後方(X軸負方向)に押すと、その力は、支持部材662を介して内側筒状構造体651に伝わり、衝撃吸収装置650aを介して、スライド機構104aのアッパースライドレール108(図2参照)に伝わる。
図2に示すアッパースライドレール108がロアスライドレール105に対してロックされていれば、スライド機構104aのスライド機能は発現せず、その力は、衝撃吸収装置650aによって受け止められる。これらのことは、衝撃吸収装置650bにおいても同じである。
(シート装置としての衝撃吸収機能)
図11および図12に示す例では、背もたれ部102における衝撃吸収機能は、図示省略したクッション材等で負担することになるが、その機能は限定的である。このため、後突が生じた際には、背もたれ部102の骨格構造が着席者からの衝撃荷重を受け、この衝撃荷重は、座部101を介して、衝撃吸収装置650aおよび650bによって吸収される。以下、この衝撃吸収の仕組みを説明する。
図11および図12に示す例において、後突が生じると、後突の衝撃の反作用として着席者の体が背もたれ部102に押し付けられ、その力は、背もたれ部102および座部101を介して、内側筒状構造体651に伝わる。この力があるレベル以上であれば、図13に示す剛球655が外側筒状構造体652を塑性変形させ、外側筒状構造体652が拡管しつつ、内側筒状構造体651が外側筒状構造体652に入り込む方向への相対的な変位が生じる。この際、背もたれ部102と着席者との間で働く衝撃力が吸収される。なおこの作用は、衝撃吸収装置560bにおいても同様に生じる。
つまり、座部101と背もたれ部102により構成されるシート本体が、一体となって後方に移動し、その際に衝撃吸収装置650aおよび650bにおいて、外側筒状構造体の一部が塑性変形しつつの外側筒状構造体に対する内側筒状構造体の相対的な変位が生じる。この際、上記シート本体および着席者に伝わった衝撃のエネルギーが吸収される。
(8)第8の実施形態
図3に示す衝撃吸収装置103aと同様な衝撃吸収機能および調整機能を有する衝撃吸収装置の一例を説明する。図14は、衝撃吸収装置の他の一例を示す概念図である。図14(A)は、断面構造を示し、(B)および(C)は、一部の部品を正面から見た状態を示す。
図14には、衝撃吸収装置640が示されている。衝撃吸収装置640は、流体の粘性を利用して、図3の衝撃吸収装置103aと同様な衝撃吸収機能を発揮する。衝撃吸収装置640の利用のされ方は、図3の衝撃吸収装置103aと同じである。以下その構成を説明する。
図14(A)に示す衝撃吸収装置640は、シリンダ641とピストン642を備えている。シリンダ641は、図3の外側筒状構造体202に対応し、ピストン642は、内側筒状構造体201に対応する。シリンダ641は、図2に示す背もたれ部102に固定され、その内部641aには、粘性オイルが充填されている。ピストン642は、その軸642が図3の荷重受け板100に固定され、その内側に回転可能な円板部材643および円板部材の中心に固定された軸部材644が収められている。円板部材643は、軸部材644を回転させることで、シリンダ642の内部で回転可能とされている。軸部材644の回転は、図示省略したモータにより行われる。
図14(B)には、ピストン642をX軸負の方向から見た状態が示されている。ピストン642の円板部分には、扇形の開口642aが形成されている。図14(C)には、円板部材643をX軸負の方向から見た状態が示されている。円板部材643には、開口642aと同じ形状で同じ大きさの開口643aが形成されている。
軸部材644を回転させると、開口642aと開口643aとが重なる面積が変化する。この開口が重ねる面積を調整することで、シリンダ641に対してピストン642を動かした際に発生する抵抗力が調整される。この抵抗力が図5に示す反力となる。
すなわち、図3に示す衝撃吸収装置103aでは、コントロールリング203の位置を調整することで図5の反力の値が調整されるが、図14に示す衝撃吸収装置640では、軸部材644を回転させることで図5の反力の値の調整が行われる。
なお、流体として用いる粘性オイルは、温度による粘性の変化、粘性の時間経過に伴う変化があり、またオイル漏れに対する配慮を必要とするので、衝撃吸収性能の安定性、製造コスト、信頼性の点で図3に示す衝撃吸収装置の方が優れている。
(他の実施形態)
制御ワイヤの剛性を高め、引くだけでなく、押しての制御が行えるようにしてもよい。また制御ワイヤを動力制御する場合、モータの代わりに電磁ソレノイドや適当なアクチュエータを利用することもできる。また第1の実施形態において、図示しない制御パネルから着席者の体重や登録情報を入力し、その入力情報に基づいて、図3の、コントロールリング203の位置を調整する構成とすることもできる。この体重データの入力は、キーボード入力やICカードを利用して行うことができる。
着席者の体格を検出する手段として、シートベルトの引き出し長に基づく構成を採用することもできる。この構成では、着席者の体重と、シートベルトの引き出し長との間に相関関係があることを利用し、シートベルトの引き出し長が長ければ、高体重と判定し、逆にシートベルトの引き出し長が短ければ、低体重と判定し、それら判定の結果に基づいて図3のコントロールリング203の位置を調整する。この場合は、シートベルトの引き出し長を電子的に計測し、その結果に基づいてモータを制御し、このモータにより図3の制御ワイヤ207の巻き出し、または巻き上げを行い、それによりコントロールリング203の位置を調整する構成とすればよい。
座部101の上下方向における位置に基づいて衝撃吸収装置103aおよび103bの調整を行っても良い。この場合、座部101を車体に対して上下させる上下移動機構が、座部101の下部に配置される。この上下移動機構は、例えばモータにより座部を上下させる機構である。そして、この上下移動機構による座部101の上下方向への移動に連動して、コントロールリング203の位置を機械的または電気的に調整する。具体的には、相対的に座部101が上昇した場合に図3のコントロールリング203が図の右方向(X軸負方向)に動き、相対的に座部101が下降した場合に図3のコントロールリング203が図の左方向(X軸正方向)に動くように制御装置を構成する。この制御は、体重の軽い人(体格の小さい人)は、座部の高さを低めに設定する傾向が大であり、逆に体重の重い人(体格の大きい人)は、座部の高さを高めに設定する傾向が大である現象に基づいている。
図3に示す剛球204の代わりに、繭型やラクビーボール型の剛体を用いてもよい。図3に示す内側筒状構造体201および外側筒状構造体202の断面形状は、円形に限定されず、楕円形や多角形であってもよい。
第1の部材および/または第2の部材として、筒状ではなく平板形状のものや湾曲形状の物を用いてもよい。この場合、第1の部材に剛球が拘束され、且つ、この剛球の第1の部材からの突出量が調整可能とされる。そして、第1の部材と第2の部材が相対的にすれ違うように移動する際に、剛球が第2の部材に接触する構造とする。この場合、衝撃が発生すると、第1の部材と第2の部材が相対的にすれ違うように移動し、図3(B)に示すのと同様な原理により、剛球が第2の部材を塑性変形させ、その際に上記相対的な動きに対する反力が発生する。そして、図3や図13に示すのと同様な原理により、衝撃の吸収が行われる。
図5の特性401および402には、図3に示す内側筒状構造体201の外側筒状構造体202に対する変位に伴い発生する所定の反力として、その値が変位に従って略一定の場合が示されている。しかしながら、上記変位に伴って反力が変動するように設定することもできる。この設定を実現するには、外側筒状円筒体202の硬度や厚みにX軸方向において分布を持たせ、剛球204のめり込みに伴う塑性変形に要する力がX軸方向で変動するようにすればよい。また、同様の設定は、外側筒状円筒体202における剛球204による塑性変形が生じる可能性のある部分に溝を形成し、その幅や深さをX軸方向で変化させることで実現することもできる。また、同様の設定は、外側筒状円筒体202における剛球204による塑性変形が生じる可能性のある部分に沿って複数の孔や窪みを形成し、その径、深さ、および/または間隔をX軸方向で変化させることで実現することもできる。
図3に示すテーパ部202bや図13に示すテーパ部652aの部分を連続的に内径が変化するテーパ構造ではなく、段階的に内径が変化するテーパ構造とすることもできる。また、図3のコントロールリング203や図13のコントロールリング653を外径が段階的に変化する構造ではなく、外径が滑らかに変化する円錐構造とすることもできる。この場合、図5に示す反力の調整を連続的に行うことができる。
図3または図13に示す衝撃吸収装置では、図3のコントロールリング203や図13のコントロールリング653を軸方向にスライドさせて反力の調整が行われるが、図3のコントロールリング203や図13のコントロールリング653を回転させて反力の調整が行われるようにしてもよい。この場合、コントロールリングを回転させると、剛球の内側筒状構造体からの突出量が変化するように、コントロールリングの断面形状を楕円形やカム形状とすればよい。
図3または図13に示す基本構造において、内側筒状構造体と外側筒状構造体との役割を逆転させてもよい。この場合、剛球が外側筒状構造体に拘束され、衝撃吸収動作時にこの剛球により内側筒状構造体に塑性変形が生じる。
図2に示す例では、荷重受け板100が着席者の腰の上あたりに位置する構造とされているが、他の部分に荷重受け板を配置してもよい。また、荷重受け板を複数配置してもよい。また、荷重受け板を図示省略したヘッドレスト部に配置し、着席者の頭部や頸部に加わる衝撃を吸収する構造とすることもできる。
本発明における衝撃の吸収作用に加えて、図2に示す荷重受け板100の変形を利用しての衝撃の吸収作用を併用することもできる。この場合、例えば衝撃吸収装置103aおよび103bが示す反力より大きな力が加わった際に荷重受け板100が変形するよう荷重受け板100の材質や厚みを設定する。こうすることで、衝撃吸収装置103aおよび103bが変位限界に達した段階で衝撃のエネルギーが吸収しきれていない場合に、荷重受け板100が変形し、それにより着席者に加わる衝撃を緩和することができる。
以上説明した実施形態では、車両として乗用車、シートして運転席を例に挙げ説明をしたが、車両は、バスやトラックであってもよい。適用されるシートの位置は、運転席に限定されず、助手席や後部座席であってもよい。
本発明は、安全装置を備えた車両のシートに利用することができる。
発明が適用されるシート装置の基本構造を簡略化して示したイメージ図である。 発明を利用したシート装置の概要を示す斜視図である。 衝撃吸収装置の概要を示す側断面図である。 衝撃吸収性能を調整する機構の一部を示す概念図である。 衝撃吸収装置の特性を示すグラフである。 衝撃吸収性能を調整する機構の一部を示す概念図である。 実施形態の制御系の概要を示すブロック図である。 実施形態の制御系の概要を示すブロック図である。 実施形態の制御系の概要を示すブロック図である。 リクライニング角と反力の値との相関関係を説明するための概念図である。 発明を利用したシート装置の概要を示す斜視図である。 発明を利用したシート装置の概要を示す側面図である。 衝撃吸収装置の概要を示す側断面図である。 衝撃吸収装置の概要を示す側断面図(A)および一部の構成部品の正面図(A)および(B)である。
符号の説明
10…シート装置、100…荷重受け板、101…座部、102…背もたれ部、103a…衝撃吸収装置、103b…衝撃吸収装置、104a…前後スライド機構、104b…前後スライド機構、105…ロアスライドレール、106…ブラケット、106a…ボルト孔、107…ブラケット、108…アッパースライドレール、109a…リクライニング機構、113…ヘッドレスト取り付け部、201…内側筒状構造体、202…外側筒状構造体、202a…拡径部、202b…テーパ部、203…コントロールリング、204…剛球、205…孔、206…端面、207…制御ワイヤ、208…円環状突出部、209…コイルバネ、301…車体の骨格構造、302…連結板、303…ラック、304…ピニオン、305…軸、306…小径歯車、307…大径歯車、308…軸、309…駆動アーム。

Claims (12)

  1. 座部と、
    背もたれ部と、
    前記背もたれ部に加わった衝撃に応じた反力を発生して該衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、
    衝撃発生時に発生する反力の値を前記座部の位置または前記背もたれ部のリクライニング角度に基づいて調整する調整手段と
    を備え、
    前記衝撃吸収装置は、
    第1の部材と、
    前記第1の部材に拘束され、且つ、前記第1の部材から突出する剛体と、
    前記第1の部材に対して相対的に移動可能であり、前記剛体と接触可能で、前記第1の部材に対して相対的に移動する部分が変位部を構成する第2の部材と
    を備え、
    前記第1の部材に対する前記第2の部材の相対的な移動に際して、前記剛体が前記第2の部材に接触し、この接触の部分において前記第2の部材が塑性変形することで前記反力が発生し、
    前記剛体の前記第1の部材から突出する寸法が変更されることで、前記反力の値の調整が行われることを特徴とするシート装置。
  2. 座部と、
    背もたれ部と、
    前記背もたれ部に加わった衝撃に応じた反力を発生して該衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、
    衝撃発生時に発生する反力の値を前記座部の位置または前記背もたれ部のリクライニング角度に基づいて調整する調整手段と
    を備え、
    前記衝撃吸収装置は、
    同軸状に配置され、相対的なスライドが可能で、スライドする部分が変位部を構成する第1の筒状構造体および第2の筒状構造体と、
    前記第1の筒状構造体から突出した状態で前記第1の筒状構造体に拘束され、且つ、前記第2の筒状構造体に接触可能な剛体と
    を備え、
    前記剛体の前記第1の筒状構造体からの突出量は、複数の段階からの選択が可能であり、
    前記複数の段階からの選択が前記調整手段により行われることを特徴とするシート装置。
  3. 座部と、
    背もたれ部と、
    前記背もたれ部に加わった衝撃に応じた反力を発生して該衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、
    着席する者の体格または重量を検出する検出手段と、
    衝撃発生時に発生する反力の値を調整する調整手段と
    を備え、
    前記衝撃吸収装置は、
    第1の部材と、
    前記第1の部材に拘束され、且つ、前記第1の部材から突出する剛体と、
    前記第1の部材に対して相対的に移動可能であり、前記剛体と接触可能で、前記第1の部材に対して相対的に移動する部分が変位部を構成する第2の部材と
    を備え、
    前記第1の部材に対する前記第2の部材の相対的な移動に際して、前記剛体が前記第2の部材に接触し、この接触の部分において前記第2の部材が塑性変形することで前記反力が発生し、
    前記剛体の前記第1の部材から突出する寸法が変更されることで、前記反力の値の調整が行われることを特徴とするシート装置。
  4. 座部と、
    背もたれ部と、
    前記背もたれ部に加わった衝撃に応じた反力を発生して該衝撃を吸収する衝撃吸収装置と、
    着席する者の体格または重量を検出する検出手段と、
    衝撃発生時に発生する反力の値を調整する調整手段と
    を備え、
    前記衝撃吸収装置は、
    同軸状に配置され、相対的なスライドが可能で、スライドする部分が変位部を構成する第1の筒状構造体および第2の筒状構造体と、
    前記第1の筒状構造体から突出した状態で前記第1の筒状構造体に拘束され、且つ、前記第2の筒状構造体に接触可能な剛体と
    を備え、
    前記剛体の前記第1の筒状構造体からの突出量は、複数の段階からの選択が可能であり、
    前記複数の段階からの選択が前記調整手段により行われることを特徴とするシート装置。
  5. 前記調整手段は、座部の前後方向における位置に基づいて前記所定の力の値を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシート装置。
  6. 前記検出手段は、撮像した画像に基づいて前記体格を演算によって求める演算手段、または重量を検出する重量センサであることを特徴とする請求項3または4に記載のシート装置。
  7. 前記第1の筒状構造体が相対的に内側に位置し、
    前記第2の筒状構造体が相対的に外側に位置し、
    前記第2の筒状構造体は、内径が軸方向で変化するテーパ部を有し、
    前記剛体は、剛球であり、且つ、前記テーパ部に接触可能であり、
    前記第1の筒状構造体の内側には、段階的に異なる外径が設定された複数の円周面を有し、且つ、この複数の円周面の一つで前記剛球を前記第1の筒状構造体の内側から支持する剛球支持部材が配置され、
    前記調整手段による前記複数の段階からの選択は、前記第1の筒状構造体の内部において、前記剛球支持部材を軸方向に移動させて前記剛球の前記第1の筒状構造体からの突出量を変更することで行われることを特徴とする請求項2または4に記載のシート装置。
  8. 前記座部を車両の前後方向に移動させるシート前後移動手段と、
    前記シート前後移動手段による前記座部の前後の移動に連動させて、前記剛球支持部材の前記軸方向における移動を行う剛球支持部材移動手段と
    を備えることを特徴とする請求項に記載のシート装置。
  9. 前記剛球支持部材移動手段は、
    前記座部に固定されたラックと、
    前記ラックに噛み合ったピニオンと、
    前記ピニオンの回転により回動する回動部材と、
    一端が前記回動部材の回動部に係合し、他端が前記剛球支持部材に係合したワイヤと
    を備えていることを特徴とする請求項に記載のシート装置。
  10. 前記剛球支持部材移動手段は、
    前記座部に固定されたテーパ部材と、
    一端が前記テーパ部材に係合した回動部材と、
    一端が前記回動部材の他端側に係合し、他端が前記剛球支持部材に係合したワイヤと
    を備えていることを特徴とする請求項に記載のシート装置。
  11. 前記背もたれ部の一部は、衝撃発生時に前記背もたれ部に対して相対的に移動が可能であり、
    前記一部は、前記衝撃吸収装置を介して前記背もたれ部に支持されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のシート装置。
  12. 前記背もたれ部は、前記座部にリクライニング可能な状態で固定され、
    前記座部は、前記衝撃吸収装置を介して車両の骨格構造に固定されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のシート装置。
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