JP5255287B2 - 多孔膜の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の別の課題は、充分な光反射特性を持ちながら、薄型化且つ軽量化された反射シートを提供することにある。
本発明は、ポリオレフィンと不活性微粒子とを含み、ポリオレフィンと不活性微粒子との重量比が25〜2:75〜98である組成物5〜70重量部と、大気圧における沸点が200℃未満の揮発性溶媒30〜95重量部からなる溶液を調製し、前記溶液をポリオレフィン組成物の融点乃至融点+60℃の温度範囲においてダイより押出して押出物を得、ついで前記押出物を冷却してゲル状の成形物を成形し、更に前記ゲル状成形物に含まれる溶媒の全部又は一部を乾燥除去し、しかる後、乾燥処理された成形物を延伸することからなる空孔率が70〜95体積%の多孔膜の製造方法、および当該方法で得られる多孔膜、および当該多孔膜を含む反射シートである。本発明の製造技術の特徴は、パラフィン油、パラフィン蝋の如き非揮発性の溶媒を使用することなく、ポリオレフィン系多孔膜を延伸成型するものである。
またポリオレフィンとして好ましくは粘度平均分子量が少なくとも200万超のポリエチレンを用いることが好ましい。
ついで前記ゲル状成形物に含まれる溶媒の全部又は一部を乾燥除去し、しかる後、乾燥処理された成形物を延伸する。
R=反射率/固形分率 (1)
ここで、反射率(%)は波長550nmにおける反射率であり、
固形分率(%)=100−空孔率(%)であり、
空孔率(%)=(ρ0−ρ)/ρ0×100
(ρ0:前記ポリオレフィンと前記不活性微粒子との合計量より求められるシート材料の理論密度、ρ:見掛けのシート状物の密度)
Rの値は好ましくは3〜20であり、より好ましくは5〜20である。
同様に、ガスクロマトグラフィ−質量分析直結法によってもパラフィンの定量・定性分析を行うことが可能である。
本発明の反射シートは自立性を有するため、多孔膜単独で反射シートとして使用できるが、反射シートの裁断を補助する目的や、液晶バックライトパネルへの挿入または設置を簡素化する目的として、別の基材フィルムに積層ないし貼合して基材付反射シートとして用いることもできる。これにより無機充填剤の脱離を防止することもでき好ましい。基材フィルムは機能部材とすることも可能である。他の機能部材または機材フィルムとは、透明、半透明又は不透明の、要すれば自立性(自己支持性)を有するプラスチックスの如き有機薄板、ガラスやセラミックの如き無機薄板、ステンレス鋼の如き金属薄板・金属箔・金属薄膜からなり本発明の多孔膜と積層可能なものを云う。
なお、実施例中の値は以下の方法で測定した。
分光光度計(株式会社島津製作所製の商品名「UV−3101PC」)に積分球を取り付け、BaSO4白板を100%としたときの測定光入射(反射)角5゜で反射率を波長400〜800nmにわたって測定する。波長550nmの反射率(%)をもって比較を行った。
測定したシート材料の密度ρと空孔のないシート材料の理論密度ρ0から以下の式により求めた。
空孔率 = (ρ0−ρ) / ρ0 × 100 (%)
ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A、測定子寸法3mmφ円柱形、測定子荷重0.01Nで測定した。
既知容量のシート材料片の重量を測定することにより決定した。
屈折率の異なる液体を試験管に入れ、それに無機粒子を加えて充分振とうし、透明になった液体の屈折率で示した。
ウベローデ粘度計を用いて、デカリン希釈溶液を135℃で測定した結果から極限粘度数を導き、極限粘度数と粘度平均分子量の下記関係式により決定した。
分子量 M = 53700 × 極限粘度数 〔η〕1.49
サンプルを切り出し、ヘキサンに浸漬した状態で還流器を用いて、65℃で1時間加熱をしながらヘキサン抽出液を得た。得られた抽出液をポリジメチルシロキサンを充填したカラムを備えたガスクロマトグラフ質量分析計(横河アナリティカル HP5973)を用いて測定した。パラフィン特有の質量イオンピークでモニタリングを行いながら、ガスクロマトグラフにて検出されたピークからパラフィン量を定量した。パラフィン量の検出限界は1000ppmである。
酸化チタンなどの粒子を配合した際の当該粒子の粒径の測定には、デカリンにフィラーを分散剤の存在下において分散せしめ、調合された状態で、、日機装株式会社製のMICROTRAC HRA MODEL 9320−X100装置で計測したものである。
デカリン(新日鐵化学(株)製 デカヒドロナフタレン)29重量部に、超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)4.5重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)0.5重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン粒子(堺化学工業(株)製「TITONE」A160:フィラー平均径0.6μm、フィラー密度3.9g/cc)64重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出用ダイを介して160℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で15分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。この未延伸シート厚みは1100μmであった。
デカリン(新日鐵化学(株)製 デカヒドロナフタレン)30重量部に、超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)4重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)1重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン粒子(堺化学工業(株)製「TITONE」A160)62重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて185℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して165℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で20分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。この未延伸シート厚みは1500μmであった。
実施例1と同様に、同一銘柄のデカリン28重量部に、同一銘柄の超高分子量ポリエチレン4.7重量部と高密度ポリエチレン0.3重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン微粒子67重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して155℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で10分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。このシート未延伸厚みは400μmであった。
実施例1と同様に、同一銘柄のデカリン34重量部に、同一銘柄の超高分子量ポリエチレン3.6重量部と高密度ポリエチレン1.5重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン微粒子65重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて175℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して165℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを70℃で15分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。このシート未延伸厚みは1100μmであった。
デカリン(新日鐵化学(株)製 デカヒドロナフタレン)29重量部に、超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4022;平均分子量400万)4.0重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「X−143」;平均分子量30万)1.0重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン粒子(堺化学工業(株)製「TITONE」A160:フィラー平均径0.6μm、フィラー密度3.9g/cc)63重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出用ダイを介して165℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で20分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。この未延伸シート厚みは600μmであった。
実施例1と同一銘柄のデカリン22重量部に、同一銘柄の超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)3.5重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)1.0重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業;UEP:平均粒径0.5μm;密度5.6g/cc)微粒子75重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて175℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して155℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で10分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。このシート未延伸厚みは800μmであった。
実施例6と同一銘柄のデカリン20重量部に、同一銘柄の超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)4重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)1.5重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここにチタン酸バリウム(共立マテリアル;BT=HP)DX:平均粒径0.4μm;密度5.9g/cc)微粒子77重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して155℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で10分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。このシート未延伸厚みは1000μmであった。
実施例1で得た多孔膜(厚み100μm、反射率97.2%)の両面にOPP透明フィルム(王子特殊製紙,「アルファンEM501」;厚み8μm)を塗膜し、厚さ2μmとなるようにアクリル系接着剤(東洋インキ製造品「BPS5977」)により貼り合せた。作業性に何らの問題が無く、反射率はそのまま97.2%に維持できた。
実施例8と同様に実施例1で得た多孔膜の両面にポリエチレンテレフタレート透明フィルム(帝人デュポン製,「NS12」;厚み12μm)を塗膜し、厚さ2μmとなるようにアクリル系接着剤(東洋インキ製造「BPS5977」)により貼り合せた。この場合も作業性に何らの問題がなく、反射率はほぼ維持できた。
実施例1で得た多孔膜(厚み100μm、反射率97.2%)の片面にステンレス鋼の薄板(日本金属,「SUS304;BA材」;厚み100μm)を塗膜し、厚さ2μmとなるようにアクリル系接着剤(東洋インキ製造品「BPS5977」)により貼り合せた。作業性に何らの問題が無く、反射率は略完全に維持できた。
実施例10のステンレス鋼薄板に代えて、アルミニウム箔(日本軽金属製「1N30H18」;厚さ80μm)を実施例1で得た多孔膜の片面に2μmの厚さのアクリル樹脂を介して貼合したところ反射性に優れた反射シートが得られた。
実施例1で得た多孔膜(厚み100μm、反射率97.2%)の表面にOPPフィルムを、裏面に金属薄板を貼合するものである。OPPフィルムの積層には実施例8の手段、ステンレス鋼箔の積層には実施例10の手法を用いた。そしてOPPには王子特殊製紙,「アルファンEM501」の厚み8μmのものを、裏面のステンレス鋼薄板には日新製鋼製「SUS304;BA材」の厚み100μmのものを塗膜厚さ2μmとなるようにアクリル系接着剤(東洋インキ製造品「BPS5977」)により貼り合せた。この場合も作業性に何らの問題もなく、反射率は略完全に維持できた。
ポリオレフィンの溶媒として、デカリンに非揮発性のパラフィンを更に添加した従来技術を比較例として開示する。デカリン(新日鐵化学(株)製 デカヒドロナフタレン)15重量部に、パラフィン油(Shell社製 「Shell Ondina Oil 68」)6重量部と超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)2.4重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)1重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化ジルコニウム粒子(第一稀元素化学工業製「UEP」粒径0.6μm、密度5.6g/cc)75重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して160℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを60℃で20分乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。この未延伸シート厚みは700μmであった。
デカリン9重量部に、パラフィン油22重量部および超高分子量ポリエチレン5重量部と高密度ポリエチレン1重量部を加えた。ここに酸化チタンは実施例1で用いた堺化学のものであって、配合量は63重量部であり、これらを分散させた。この分散液を2軸混練押出機を用いて175℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して155℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型されたシート状物を70℃で20分間乾燥させることにより、デカリンを除去した。この未延伸シート厚みは1500μmであった。
Claims (2)
- 粘度平均分子量が200万〜700万の超高分子量ポリエチレン70〜98重量%と、密度が0.930〜0.995g/ccであり粘度平均分子量が10万〜80万の高密度ポリエチレン2〜30重量%との混合物からなるポリオレフィンと平均粒径が0.01〜10μmである不活性微粒子とを含み、ポリオレフィンと不活性微粒子との重量比が25〜2:75〜98である組成物5〜70重量部と、大気圧における沸点が200℃未満の揮発性溶媒30〜95重量部からなり、パラフィン類が実質的に存在しない溶液を調製し、前記溶液をポリオレフィン組成物の融点乃至融点+60℃の温度範囲においてダイより押出して押出物を得、ついで前記押出物を冷却してゲル状の成形物を成形し、更に前記ゲル状成形物に含まれる溶媒の全部又は一部を乾燥除去し、しかる後、乾燥処理された成形物を延伸することからなる空孔率が70〜95体積%の多孔膜の製造方法。
- 前記不活性微粒子が酸化チタン、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、および酸化ジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の多孔膜の製造方法。
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