JP5255287B2 - 多孔膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔膜の製造方法、当該方法で得られる多孔膜、および当該多孔膜を含む反射シートに関する。更に詳しくは、液晶ディスプレイや表示体のバックライト光源に、又は携帯電話、PDAなどに供されるLEDや冷陰極管を光源とする薄型パネル用のバックライトユニットに好適に用いられる反射シート及び当該反射シートを構成する主要部分である多孔膜を好ましく提供する方法に関する。
近年、反射シートは様々な分野で用いられてきている。特に、携帯電話、パーソナルコンピュータ、テレビジョン等の液晶表示装置の主要部品として数多く使用されている。中でも、携帯電話に用いられる液晶表示装置は、薄型化、省電力化、軽量化できるものであることが重要である。また、液晶表示装置の表示品位の向上も望まれており、このためには大容量の光を液晶部分に供給することが必要とされる。このような要求を満たすために、光源から供給する光量を多くすることが必要であり、反射シートとして反射効率が高く、高輝度が得られるものが求められている。
液晶表示装置のバックライトユニットには、光源を直接液晶部の下部に置く方式と、光源を透明な導光板の横に置く方式がある。反射体としては前者の方式では液晶部の下部にランプの光を反射するように配置され、後者の方式ではランプを覆うように導光板の横か或いは導光板の光を反射するように導光板直下に配置される。これらの反射シートには高反射効率を有することに加え、生産性も配慮して、反射シートに優れた打抜き性、曲げ加工性を備えることも要求される。
従来、この反射シートとしては、アルミニウム等の金属板あるいは高分子フィルムの表面に銀を主成分とする金属薄膜層を有する反射シートを貼り合わせたもの、白色顔料を塗工したアルミニウム等の金属板あるいは白色ポリエチレンテレフタレートシートが用いられている(特許文献1および2参照)。また、ポリエチレンテレフタレートシート以外にポリオレフィン系の反射シートも報告されている(特許文献3参照)。
さらに、特許文献4および5には、ポリオレフィンとして汎用のポリオレフィン樹脂を用いた、フィラーを含む光反射体が開示されている。具体的には実施例に厚さ100μmを超える比較的厚い積層体が開示されている。
また、特許文献6には、溶媒に溶解したバインダー溶液をゲル化温度以上の温度で中間体に変換し、該中間体をゲル化温度以下に急冷し、その間に延伸し且つ45容量%以上の無機物質を加えて薄い自立性の未加工圧縮物を製造する方法が開示されている。
近年、微細気泡を有するシート、特定量の無機充填剤を含む多孔シート、及びそれらの積層シートからなる反射シートが幾つか報告されている(特許文献7、8、9参照)。これは反射シートの表面のみならず、その内部に反射層を多数含有していることでより優れた光線反射性を実現するものである。
しかしながら、上記特許文献に記載された発明において、反射シートとしての反射特性をさらに高めようとすると、シート自体の厚みを大きくしたり、空孔数を多くしたり、無機充填剤を増量化する必要がある。そして、そのような試みを行った結果を特許出願している(特許文献10)。もっとも、不活性粒子を多量に含むポリオレフィン組成物の場合、製膜・延伸の製造過程において、この様な反射シートは、或いは機械的強度の低下を招いて破断を生じる懸念があり、或いは充分な延伸加工が為しえない結果、薄膜化の達成が困難となる傾向がある。かような事情から製品品質の向上及び歩留の向上といった製造工程の更なる改善が要望されている。
上述のポリオレフィン組成物の製造手段において、従来方法ではポリオレフィンの溶媒として揮発性のテトラリンやデカリンと非揮発性のパラフィン油や鉱油との混合溶媒を用いていた。すなわち、ポリオレフィン押出物の延伸加工処理の後、パラフィン油やパラフィン蝋は揮発しないので、ヘキサンやヘプタンの如き抽出溶剤を用い、抽出処理を施してパラフィン類を成型物より除去していた。この従来技術では反射シートに占める空孔率は通常60〜70%であり、得られた極限値は82%であった。
さらに不活性粒子含有ポリオレフィン組成物シートとして、その光反射性、曲げ加工性、耐剥離性に関し、それら特性を維持するか又は更に向上せしめると共に、空孔の生成量を増やして空孔率を高め、薄型化を図ることが商品設計の多様性をもたらすうえで要望されている。
特開平2−13925号公報 特開昭59−8782号公報 実開昭57−60119号公報 特開2005−4195号公報 特開2005−307730号公報 WO91/01346号公報 特開平7−230004号公報 特開2002−98811号公報 実開2003−136619号公報 WO2006/112425号公報
本発明の課題の一つは、曲げ加工性、耐剥離性に優れた反射シートに好適な性質を備えてなる、空孔率の高い多孔膜の製造技術であって、多量の不活性微粒子を含む組成物となるうえに、空孔率の一層高い多孔膜を得ることにより、優れた光反射性(反射率/固形分率)を提供することにある。
本発明の別の課題は、充分な光反射特性を持ちながら、薄型化且つ軽量化された反射シートを提供することにある。
従来技術では、ポリオレフィンに膨潤作用をもたらすパラフィン油やパラフィン蝋の存在下に多孔膜の製膜・延伸等を行う方法が行われていたが、本発明者らは、ポリオレフィンと不活性微粒子、なかでもポリオレフィンが超高分子量ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの適当な量比の配合物である場合に、パラフィン類の実質的な不存在下においても、円滑な押出物の延伸成形を実施でき、しかも多量に含有する不活性粒子をポリエチレン成分によって確実に担持できる条件を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、粘度平均分子量が200万〜700万の超高分子量ポリエチレン70〜98重量%と、密度が0.930〜0.995g/ccであり粘度平均分子量が10万〜80万の高密度ポリエチレン2〜30重量%との混合物からなるポリオレフィンと平均粒径が0.01〜10μmである不活性微粒子とを含み、ポリオレフィンと不活性微粒子との重量比が25〜2:75〜98である組成物5〜70重量部と、大気圧における沸点が200℃未満の揮発性溶媒30〜95重量部からなり、パラフィン類が実質的に存在しない溶液を調製し、前記溶液をポリオレフィン組成物の融点乃至融点+60℃の温度範囲においてダイより押出して押出物を得、ついで前記押出物を冷却してゲル状の成形物を成形し、更に前記ゲル状成形物に含まれる溶媒の全部又は一部を乾燥除去し、しかる後、乾燥処理された成形物を延伸することからなる空孔率が70〜95体積%の多孔膜の製造方法である。
本発明方法によれば、曲げ加工性、耐剥離性に優れた反射シートに好適な空孔率の高い多孔膜が得られる。すなわち、従来技術よりも多量の不活性微粒子を含んで、さらに高い空孔率を備えた多孔膜を得ることが可能である。その結果、多孔膜単独又は他の機能部材と貼合することにより優れた反射性(反射率/固形分率)を有する反射シートを具現できる。
さらに、従来方法ではパラフィン系低分子量化合物を用いた系よりパラフィン類を抽出除去することにより多孔膜を得ていた。それ故、抽出処理に伴う生産コストが膨らむうえに、パラフィン類の存在による膨潤効果によって、多孔膜の空孔率の従来技術の最高値は82%であったが、本発明では更に品質に優れるものが提供でき、本発明方法により反射シートとしての光反射性、曲げ加工性、耐剥離性に関し一層改善され、、高品質並びに低コストの製品が得られる。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。
本発明は、ポリオレフィンと不活性微粒子とを含み、ポリオレフィンと不活性微粒子との重量比が25〜2:75〜98である組成物5〜70重量部と、大気圧における沸点が200℃未満の揮発性溶媒30〜95重量部からなる溶液を調製し、前記溶液をポリオレフィン組成物の融点乃至融点+60℃の温度範囲においてダイより押出して押出物を得、ついで前記押出物を冷却してゲル状の成形物を成形し、更に前記ゲル状成形物に含まれる溶媒の全部又は一部を乾燥除去し、しかる後、乾燥処理された成形物を延伸することからなる空孔率が70〜95体積%の多孔膜の製造方法、および当該方法で得られる多孔膜、および当該多孔膜を含む反射シートである。本発明の製造技術の特徴は、パラフィン油、パラフィン蝋の如き非揮発性の溶媒を使用することなく、ポリオレフィン系多孔膜を延伸成型するものである。
多孔膜シートに用いるポリオレフィンとしては、ポリエチレンから実質的に構成されるが、ポリエチレン以外の成分として、少量の1種類またはそれ以上の他種ポリマー、特にポリプロピレン、ポリブチレン、またはポリプロピレンと少量のポリエチレンとの共重合体などのアルケン−1−ポリマーを含有させてもよい。またポリオレフィンとして性質の相互に異なるポリオレフィンを用いる、すなわち相互に相溶性の乏しい重合度や分岐性の異なる、換言すれば結晶性や延伸性・分子配向性を異にするポリオレフィンを組み合わせて用いることが好ましい。
またポリオレフィンとして好ましくは粘度平均分子量が少なくとも200万超のポリエチレンを用いることが好ましい。
なかでも本発明方法において、ポリオレフィンが粘度平均分子量が200万〜700万の超高分子量ポリエチレン70〜98重量%と、密度が0.930〜0.995g/ccであり粘度平均分子量が10万〜80万の高密度ポリエチレン2〜30重量%との混合物である。さらには超高分子量がポリエチレン80〜98重量%であることが好ましい。2種以上のポリオレフィンを適量配合することによって、延伸時のフィブリル化に伴うネットワーク網状構造を形成させ、空孔発生率を増加させ、不活性粒子の担持効果を増強させる効用がある。
上記の如く、好ましくは重合度や分岐性を異にするポリオレフィン、不活性粒子およびデカリンの如き揮発性溶剤からなる熱可逆的ゾル・ゲル溶液を準備し、この溶液(成型原液)、すなわち、熱可逆的ゾル・ゲル溶液をダイから押出してゲル化シートを形成し、次いで上記ゲル化シートから溶剤を除去したのち延伸することにより製造される。
溶媒としては、大気圧における沸点が200℃未満の揮発性溶媒が用いられる。好ましくはデカリン、ヘキサン、キシレン等が用いられる。これらは2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記熱可逆的ゾル・ゲル溶液は、ミリング装置等を用いて、不活性粒子を適当なゲル化溶剤中に分散させた後、結着剤としてのポリオレフィンと適当な上記ゲル化溶媒をさらに加えて次いで、該ポリオレフィンを該溶剤に加熱溶解させることによりゾル化させ、製膜作業の準備することができる。
このようにして得られたゾル・ゲル化溶液を前記溶液をポリオレフィン組成物の融点乃至融点+60℃の温度範囲においてダイより押出して押出物を得、ついで前記押出物を冷却してゲル状の成形物を成形する。成形物としてはシート状に賦形することが好ましい。
ついで前記ゲル状成形物に含まれる溶媒の全部又は一部を乾燥除去し、しかる後、乾燥処理された成形物を延伸する。
延伸はポリオレフィンの二次転移点以上の温度で1軸或いは2軸に延伸し、その後熱固定することが好ましい。延伸は、乾燥を制御し、ある程度溶剤を残存した状態で行うことも出来る。
延伸方法としては縦横方向に、逐次2軸延伸、縦横同時2軸延伸、縦1軸延伸逐次横1軸延伸する方法が挙げられる。反射光の方向性や光強度分布を制御し良好な反射特性を得る為には縦横同時2軸延伸、または縦横逐次2軸延伸が好ましく、更に生産性やコスト面を考慮すると縦横逐次2軸延伸が最も好ましい。本発明方法では従来のパラフィンを用いる方法では必須の工程であった脱溶媒工程を必要としない。そのため従来方法では空孔を形成しても一部の空孔は脱溶媒に伴い潰れてしまうか、空孔が縮退することがあったのに対し、形成した空孔を維持し、あるいは成長させながら延伸処理を行うことができるので高空孔率の多孔膜を提供することが可能である。
本発明は従来方法で溶媒として用いられていたパラフィン類の実質的な不存在下で多孔膜を製造する方法である。本発明方法の好ましい態様において混練された2種のポリエチレンは、成型の際に、相互に滑りあって、フィブリル状のネットワークを形成し、材料の機械的強度と多量に添加されている不活性粒子に対する担持機能を発現する。この2種のポリエチレンは延伸、殊に2軸延伸において、パラフィン系非揮発性溶媒の実質的な不存在下で顕著な空孔を形成する特長がある。
本発明は、上記の方法により得られるポリオレフィンと不活性微粒子とを含む組成物からなり、空孔率が70〜95体積%の独立又は連続してなる空孔を有する多孔性のシート状物の多孔膜である。
本発明の多孔膜は好ましくは、該シート状物を構成する前記ポリオレフィンと前記不活性微粒子における固形分率と前記シート状物の反射率とから下記式(1)で求められるRが少なくとも3.0であり、かつパラフィン含有量が0〜1000ppmの範囲であることを特徴とする多孔膜である。
R=反射率/固形分率 (1)
ここで、反射率(%)は波長550nmにおける反射率であり、
固形分率(%)=100−空孔率(%)であり、
空孔率(%)=(ρ0−ρ)/ρ0×100
(ρ0:前記ポリオレフィンと前記不活性微粒子との合計量より求められるシート材料の理論密度、ρ:見掛けのシート状物の密度)
Rの値は好ましくは3〜20であり、より好ましくは5〜20である。
反射率とは、分光光度計に積分球を取り付け、BaSO白板を100%としたときの測定光入射(反射)角5゜、波長550nmでの反射率より求められる。反射率は、通常80〜105%である。本発明の多孔膜において、硫酸バリウム標準白板よりも輝度が大きくなり、反射率が100%超となる場合がある。該反射率が80%未満であると、反射シートが液晶ディスプレイのバックライト反射板用基材に用いられたとき、充分な明るさを得ることが出来ない。また反射率が105%あれば充分な反射特性を有するものであって、それ以上に反射率を高めるためには、反射シートの重さ、嵩に影響を与えることがある。
空孔率はポリオレフィンと前記不活性微粒子との合計量より求められるシート材料の理論密度と、見掛けのシート状物の密度とから算出することにより求められる。
本発明の多孔膜は、空孔率が70〜95体積%である。ここで、多孔膜の空孔率が70体積%未満であると、反射が起こるシートの樹脂層と空気層との界面の絶対量(実質界面積)が減少するため、反射シートとして反射特性に劣るものとなる。一方、95体積%を超えるとポリオレフィン樹脂組成物の成形性、延伸性等に問題が生じる。多くの場合、作業性の低下か、製品歩留の低下として現れる。本発明における多孔膜の空孔は反射シート内に形成された実質的な連続気孔にある。詳しく述べれば、本発明における多孔質とは独立空孔が多数存在するのではなく、フィブリル状のポリオレフィンが、網状のネットワークを形成して、網目状に絡み合い、不活性粒子を包み込むと共に、全体として空隙・空孔を多く含む特異なフィブリル状態の構造を呈している。
本発明の多孔膜、又はその用途となる反射シートはポリオレフィンと不活性微粒子から構成される。ポリオレフィンは材料としての形態維持機能及び機械的強度を備えるのみならず、多量の不活性粒子を担持する機能をも有する。しかも高度の輝度や反射率を得るため組成物として70〜95体積%の空隙・空孔を保ちながら、多孔膜としての自立性、形態保持が要求されるものである。
本発明の多孔膜はパラフィン含有量が0〜1000ppmの範囲である。上記のとおり本発明の製造方法はパラフィンを用いないことを特徴とし、当該方法で製造した場合、パラフィンの含有量は実質0となるが、以下に述べる測定方法の検出限界からみてパラフィンの含有量は1000ppm未満となる。
パラフィン含有量の測定方法はパラフィンを多量に含む場合には、N−ヘキサンの如き溶媒を用い、試験片(ポリオレフィン膜、シート状物等)を浸漬することでパラフィンを抽出した後、試験片を乾燥させることで、抽出前後の重量測定からパラフィン含有量を求めることができる。また微量のパラフィンを分析する場合にはソックスレー抽出装置で充分な時間抽出処理を施し、抽出溶液をマスクロマトグラフィー等で分析することによって精密に測定し得る。
分析方法の具体例は、対象となるポリオレフィン膜をヘキサンのようなパラフィン溶解性の溶媒により抽出して抽出液を得る抽出処理工程と抽出液を分析してパラフィンの種類の同定及びパラフィンの添加量の定量を行う分析工程とからなる。
抽出液の定性・定量分析方法としてとして例えばマスクロマトグラフィにより質量スペクトルを測定する方法や熱天秤−質量(重量)分析直結法によって、パラフィンの定量・定性分析を行うことが可能である。
同様に、ガスクロマトグラフィ−質量分析直結法によってもパラフィンの定量・定性分析を行うことが可能である。
本発明の多孔膜は多量の不活性粒子を含有することを特徴とし、本発明の多孔膜を構成するポリオレフィンと不活性微粒子の重量比は25〜2:75〜98であることが好ましい。より好ましくは17〜2:83〜98、より好ましくは15〜2:85〜98である。不活性粒子の重量比が98より高い場合は不活性粒子の多孔膜からの脱落、多孔膜自体の機械的強度に問題が生じる場合がある。逆に不活性粒子の重量比がが75より少ない場合は、熱可塑性樹脂層に占める空孔層が少ないことに起因して、多孔膜の粒子の存在に基づく反射層や光散乱界面の絶対量が減少するため、反射膜としての充分な反射特性が得られない。
多孔膜を構成する粒子は主に無機物質又は耐熱性、耐溶剤性を有する有機物質であり、いわゆる不活性粒子であれば使用することができ、無機粒子、有機粒子あるいは有機ポリマーで被覆された無機粒子あるいは無機有機複合粒子等であることができる。
無機粒子としては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化チタン、タルク、クレイ、シリカ、アルミノシリケート、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、チタン酸鉛、酸化ジルコニア、硫化バリウム、チタン酸ストロンチウム、マイカなどが挙げられる。
また、有機粒子としては、例えばシリコン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリアミドまたはアクリル樹脂などからなる有機高分子架橋粒子が挙げられる。反射効率やコスト、シートを廃棄処理する観点から無機粒子を用いるのが好ましい。これらのうち、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカ、アルミノシリケート、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、チタン酸鉛、酸化ジルコニア、硫化バリウム、チタン酸ストロンチウムおよびマイカが好ましく、就中、粒子の屈折率が1.9以上の無機粒子である、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、チタン酸鉛、酸化ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、硫化バリウム、チタン酸ストロンチウム、マイカがさらに好ましい。反射効率やコスト、シートを廃棄処理する観点から、とりわけ酸化チタン、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、および酸化ジルコニアが特に好ましい。さらにまた、有機物系の不活性粒子としては、シリコーン樹脂や架橋ポリスチレンなどが挙げられる。汎用のガラスも好適なものであって、例えば、PbO−B−SiO−CaO−Al系ガラス、またはBi−ZnO−B−SiO−CaO系ガラスなども例示できる。
本発明では多孔膜を、反射シート、或いは液晶ディスプレイや表示体のバックライト光源に、或いは携帯電話、PDAなどに供されるLEDや冷陰極管を光源とする薄型パネル用のバックライトユニットに好用いられ、反射シート及び当該反射シートを構成部材とする反射筐体に用いる。従って、反射率や輝度の高い粒子が選択される。
また、これらの不活性粒子の平均粒径は0.01〜10μmである。平均粒径が0.01μm未満では反射性能に欠けてしまうので好ましくない。また10μmを超えてしまうとシートの製造中に破れを生じて生産性が低下したり、拡散反射成分が増えてしまって従来の白色フィルムと同等以下の反射特性となってしまったりするので好ましくない。不活性粒子の平均粒径は、さらに好ましくは0.1〜5μmである。
また、本発明の多孔膜は自立性を備えている。ここで、自立性とはカバーフィルムあるいはベースフィルムを用いることなくシート状物・フィルムとしてハンドリング可能であることを意味する。多孔膜はその厚みが200μm以下であることが好ましい。薄型化の観点からも多孔膜の厚みは好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜120μmである。厚さが200μmより厚い場合には、反射シートの柔軟性が損なわれることがある。厚さが10μm未満の場合は、ハンドリング等の問題が生じる恐れがある。
本発明の反射シートは、上記の如く、少なくとも1軸方向に延伸されてなることが好ましい。延伸することにより、層状の構造が発現し反射界面が増える。その結果、高い反射率を達成しつつギラツキを抑えることができる。
[反射シートの加工]
本発明の反射シートは自立性を有するため、多孔膜単独で反射シートとして使用できるが、反射シートの裁断を補助する目的や、液晶バックライトパネルへの挿入または設置を簡素化する目的として、別の基材フィルムに積層ないし貼合して基材付反射シートとして用いることもできる。これにより無機充填剤の脱離を防止することもでき好ましい。基材フィルムは機能部材とすることも可能である。他の機能部材または機材フィルムとは、透明、半透明又は不透明の、要すれば自立性(自己支持性)を有するプラスチックスの如き有機薄板、ガラスやセラミックの如き無機薄板、ステンレス鋼の如き金属薄板・金属箔・金属薄膜からなり本発明の多孔膜と積層可能なものを云う。
このような基材フィルムは、多孔膜の片面上あるいは両面上に存在させることができる。両面に設ける場合、例えば反射シートの一方の面上の基材フィルムが透明フィルムでありそして他方の面上の基材フィルムが透明ないし半透明・不透明フィルムとすることができる。例えば、基材フィルムとしてのアルミニウム製やスチール鋼製の金属板、または他のプラスチックシート(例えば、ポリエチレン製、ポリエチレンテレフタレート製、ポリプロピレン製、ポリカーボネート製等)は、反射シートの片面に接着剤や両面テープを用いて貼付し基材付複合反射シートとして取り扱うことも可能である。
本発明の反射シートは、本発明の目的を奏する範囲内であれば、必要に応じて滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等の機能性を付与する添加剤を含有せしめることができる。
以下、本発明の具体例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例中の値は以下の方法で測定した。
(1)反射率:
分光光度計(株式会社島津製作所製の商品名「UV−3101PC」)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%としたときの測定光入射(反射)角5゜で反射率を波長400〜800nmにわたって測定する。波長550nmの反射率(%)をもって比較を行った。
(2)空孔率:
測定したシート材料の密度ρと空孔のないシート材料の理論密度ρから以下の式により求めた。
空孔率 = (ρ−ρ) / ρ × 100 (%)
(3)シート材料の厚さ:
ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A、測定子寸法3mmφ円柱形、測定子荷重0.01Nで測定した。
(4)シート材料の比重:
既知容量のシート材料片の重量を測定することにより決定した。
(5)無機粒子の屈折率:
屈折率の異なる液体を試験管に入れ、それに無機粒子を加えて充分振とうし、透明になった液体の屈折率で示した。
(6)平均分子量:
ウベローデ粘度計を用いて、デカリン希釈溶液を135℃で測定した結果から極限粘度数を導き、極限粘度数と粘度平均分子量の下記関係式により決定した。
分子量 M = 53700 × 極限粘度数 〔η〕1.49
(7)パラフィン量測定
サンプルを切り出し、ヘキサンに浸漬した状態で還流器を用いて、65℃で1時間加熱をしながらヘキサン抽出液を得た。得られた抽出液をポリジメチルシロキサンを充填したカラムを備えたガスクロマトグラフ質量分析計(横河アナリティカル HP5973)を用いて測定した。パラフィン特有の質量イオンピークでモニタリングを行いながら、ガスクロマトグラフにて検出されたピークからパラフィン量を定量した。パラフィン量の検出限界は1000ppmである。
(8)フィラーの粒径の測定
酸化チタンなどの粒子を配合した際の当該粒子の粒径の測定には、デカリンにフィラーを分散剤の存在下において分散せしめ、調合された状態で、、日機装株式会社製のMICROTRAC HRA MODEL 9320−X100装置で計測したものである。
[実施例1]
デカリン(新日鐵化学(株)製 デカヒドロナフタレン)29重量部に、超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)4.5重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)0.5重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン粒子(堺化学工業(株)製「TITONE」A160:フィラー平均径0.6μm、フィラー密度3.9g/cc)64重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出用ダイを介して160℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で15分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。この未延伸シート厚みは1100μmであった。
この未延伸シートを、延伸温度110℃で機械方向(MD)に4.5倍、120℃で幅方向(TD)に14倍に逐次2軸延伸し、125℃で2秒間熱固定処理を行い、厚み方向に層状構造を有する本発明の多孔膜を得た。本発明の多孔膜の空孔率は84%であった。このときの多孔膜の厚さは100μmであり、反射率は97.2%であった。得られた多孔膜の固形分率は16%であったから、反射率/固形分率は6.1に相当した。パラフィン含有量は検出限界の1000ppm未満であった。
[実施例2]
デカリン(新日鐵化学(株)製 デカヒドロナフタレン)30重量部に、超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)4重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)1重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン粒子(堺化学工業(株)製「TITONE」A160)62重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて185℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して165℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で20分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。この未延伸シート厚みは1500μmであった。
このシートを、延伸温度115℃でMD(方向)に4.0倍、125℃でTD方向に12倍に逐次2軸延伸し、130℃で3秒間熱固定処理を行い、厚み方向に層状構造を有する本発明の多孔膜を得た。かようにして得られた多孔膜の空孔率は83%であった。このときの多孔膜の厚さは180μmであり、反射率は98.5%であった。得られた多孔膜の固形分率は17%であったから、反射率/固形分率は5.8に相当した。パラフィン含有量は検出限界の1000ppm未満であった。
[実施例3]
実施例1と同様に、同一銘柄のデカリン28重量部に、同一銘柄の超高分子量ポリエチレン4.7重量部と高密度ポリエチレン0.3重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン微粒子67重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して155℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で10分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。このシート未延伸厚みは400μmであった。
このシートを、延伸温度110℃でMD方向に5.0倍、120℃でTD方向に13倍に逐次2軸延伸し、125℃で2秒間熱固定処理を行い、厚み方向に層状構造を有する本発明の多孔膜を得た。この多孔膜の空孔率は79%であった。このときの多孔膜の厚さは45μmであり、反射率は96.0%であった。得られた多孔膜の固形分率は21%であったから、反射率/固形分率は4.6に相当した。パラフィン含有量は検出限界の1000ppm未満であった。
[実施例4]
実施例1と同様に、同一銘柄のデカリン34重量部に、同一銘柄の超高分子量ポリエチレン3.6重量部と高密度ポリエチレン1.5重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン微粒子65重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて175℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して165℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを70℃で15分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。このシート未延伸厚みは1100μmであった。
このシートを、延伸温度115℃でMD方向に5.0倍、125℃でTD方向に14倍に逐次2軸延伸し、130℃で2秒間熱固定処理を行い、厚み方向に層状構造を有する本発明の多孔膜を得た。この多孔膜の空孔率は75%であった。このときの多孔膜の厚さは80μmであり、反射率は96.5%であった。得られた多孔膜の固形分率は25%であったから、反射率/固形分率は3.9に相当した。パラフィン含有量は検出限界の1000ppm未満であった。
[実施例5]
デカリン(新日鐵化学(株)製 デカヒドロナフタレン)29重量部に、超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4022;平均分子量400万)4.0重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「X−143」;平均分子量30万)1.0重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化チタン粒子(堺化学工業(株)製「TITONE」A160:フィラー平均径0.6μm、フィラー密度3.9g/cc)63重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出用ダイを介して165℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で20分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。この未延伸シート厚みは600μmであった。
この未延伸シートを、延伸温度115℃で機械方向(MD)に4.0倍、120℃で幅方向(TD)に10倍に逐次2軸延伸し、125℃で2秒間熱固定処理を行い、厚み方向に層状構造を有する本発明の多孔膜を得た。このときの多孔膜の厚さは65μmであり、反射率は96.3%であった。得られた多孔膜の空孔率は76%(固形分率24%)であったから、反射率/固形分率は4.0に相当する。パラフィン含有量は検出限界の1000ppm未満であった。
[実施例6]
実施例1と同一銘柄のデカリン22重量部に、同一銘柄の超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)3.5重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)1.0重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業;UEP:平均粒径0.5μm;密度5.6g/cc)微粒子75重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて175℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して155℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で10分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。このシート未延伸厚みは800μmであった。
このシートを、延伸温度115℃でMD方向に4.5倍、125℃でTD方向に13倍に逐次2軸延伸し25℃で2秒間熱固定処理を行い、厚み方向に層状構造を有する本発明の多孔膜を得た。この多孔膜の空孔率は77%であった。このときの多孔膜の厚さは60μmであり、反射率は96.5%であった。得られた多孔膜の固形分率は23%であったから、反射率/固形分率は4.2に相当した。パラフィン含有量は検出限界の1000ppm未満であった。
[実施例7]
実施例6と同一銘柄のデカリン20重量部に、同一銘柄の超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)4重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)1.5重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここにチタン酸バリウム(共立マテリアル;BT=HP)DX:平均粒径0.4μm;密度5.9g/cc)微粒子77重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して155℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを80℃で10分間乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。このシート未延伸厚みは1000μmであった。
このシートを、延伸温度110℃でMD方向に5倍、125℃でTD方向に13倍に逐次2軸延伸し25℃で2秒間熱固定処理を行い、厚み方向に層状構造を有する本発明の多孔膜を得た。この多孔膜の空孔率は82%であった。このときの多孔膜の厚さは85μmであり、反射率は97.2%であった。したがって、反射率/固形分率は5.4に相当する。パラフィン含有量は検出限界の1000ppm未満であった。
[実施例8]
実施例1で得た多孔膜(厚み100μm、反射率97.2%)の両面にOPP透明フィルム(王子特殊製紙,「アルファンEM501」;厚み8μm)を塗膜し、厚さ2μmとなるようにアクリル系接着剤(東洋インキ製造品「BPS5977」)により貼り合せた。作業性に何らの問題が無く、反射率はそのまま97.2%に維持できた。
コーターを用いて高分子基材を貼合する際、離形フィルムに代えて、例えば公知の粘着剤(東洋紡(株)製SP−PET−01−25BU)を使用し、これを多孔膜処理面に塗布し、その後、80℃で10秒間の乾燥を施し、厚さ(ドライ厚み)2μm程度の粘着剤層を設けてもよい。その後、上述の粘着層の露出した面に、上述の離形フィルムとは種類の異なる離形フィルム(東洋紡(株)製SP−PET−03−25BU)を繰り出し、常温雰囲気下において、ラミネーター(線圧25kg/m)にて貼り合わせた後に巻き取り、粘着剤のシート状物を予め準備し刷ることも可能である。
[実施例9]
実施例8と同様に実施例1で得た多孔膜の両面にポリエチレンテレフタレート透明フィルム(帝人デュポン製,「NS12」;厚み12μm)を塗膜し、厚さ2μmとなるようにアクリル系接着剤(東洋インキ製造「BPS5977」)により貼り合せた。この場合も作業性に何らの問題がなく、反射率はほぼ維持できた。
[実施例10]
実施例1で得た多孔膜(厚み100μm、反射率97.2%)の片面にステンレス鋼の薄板(日本金属,「SUS304;BA材」;厚み100μm)を塗膜し、厚さ2μmとなるようにアクリル系接着剤(東洋インキ製造品「BPS5977」)により貼り合せた。作業性に何らの問題が無く、反射率は略完全に維持できた。
粘着剤のシート状物から、一方の面の離形フィルムを剥しながら、厚さ100μmのステンレス鋼薄板(SUS304 BA材)の表面に粘着面を繰り出し、常温雰囲気下においてラミネーター(線圧20kg/m)を用いて貼りあわせ、その後、粘着剤のシート状物のもう一方の面の離形フィルムを剥しながら、粘着剤表面に上述の多孔膜を繰り出し、常温雰囲気下において、ラミネーター(線圧20kg/m)にて貼り合わせて、本発明の反射シートを得たることができた。
[実施例11]
実施例10のステンレス鋼薄板に代えて、アルミニウム箔(日本軽金属製「1N30H18」;厚さ80μm)を実施例1で得た多孔膜の片面に2μmの厚さのアクリル樹脂を介して貼合したところ反射性に優れた反射シートが得られた。
[実施例12]
実施例1で得た多孔膜(厚み100μm、反射率97.2%)の表面にOPPフィルムを、裏面に金属薄板を貼合するものである。OPPフィルムの積層には実施例8の手段、ステンレス鋼箔の積層には実施例10の手法を用いた。そしてOPPには王子特殊製紙,「アルファンEM501」の厚み8μmのものを、裏面のステンレス鋼薄板には日新製鋼製「SUS304;BA材」の厚み100μmのものを塗膜厚さ2μmとなるようにアクリル系接着剤(東洋インキ製造品「BPS5977」)により貼り合せた。この場合も作業性に何らの問題もなく、反射率は略完全に維持できた。
[比較例1]
ポリオレフィンの溶媒として、デカリンに非揮発性のパラフィンを更に添加した従来技術を比較例として開示する。デカリン(新日鐵化学(株)製 デカヒドロナフタレン)15重量部に、パラフィン油(Shell社製 「Shell Ondina Oil 68」)6重量部と超高分子量ポリエチレン(Ticona社製「GUR」4032;平均分子量440万)2.4重量部と高密度ポリエチレン(Ticona社製「GUR」2105;平均分子量20万)1重量部を加え、該混合物をタンク内で攪拌しながら、ここに酸化ジルコニウム粒子(第一稀元素化学工業製「UEP」粒径0.6μm、密度5.6g/cc)75重量部を加えて分散させた。この分散液を、2軸混練押出機を用いて180℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して160℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の冷水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型された未延伸シートを60℃で20分乾燥させることにより、シート内のデカリンを除去した。この未延伸シート厚みは700μmであった。
パラフィン油がシート中に残留したこのパラフィン油含有シートを、延伸温度115℃でMD方向に3.0倍、120℃でTD方向に10倍に逐次2軸延伸し、140℃で2秒間熱固定処理を行った。その後延伸シートを塩化メチレンによりパラフィン油の抽出除去を施し、60℃で1分間乾燥し、110℃で10秒間熱固定することにより、厚み方向に層状構造を有する多孔膜を得た。
抽出処理された多孔膜の厚みは70μm、空孔率は65%であった。この多孔膜の、反射率は96%であった。したがって、反射率/固形分率は2.7と低く、またパラフィン含有量は3000ppmであった。塩化メチレン抽出によりこの試料多孔膜の空孔率が低減したものと推測される。
[比較例2]
デカリン9重量部に、パラフィン油22重量部および超高分子量ポリエチレン5重量部と高密度ポリエチレン1重量部を加えた。ここに酸化チタンは実施例1で用いた堺化学のものであって、配合量は63重量部であり、これらを分散させた。この分散液を2軸混練押出機を用いて175℃で溶解させてゾル化し、該ゾル化物をフラットフィルム押出ダイを介して155℃で押出した。ついで、該押出物を20℃の水浴を通過させて冷却し、ゲル化させた。この様にして成型されたシート状物を70℃で20分間乾燥させることにより、デカリンを除去した。この未延伸シート厚みは1500μmであった。
パラフィン油がシート中に残留したこのパラフィン油含有シートを、延伸中の温度を110℃でMD方向に3倍、120℃でTD方向に14倍に逐次2軸延伸し、140℃で3秒間熱固定処理を行った。その後塩化メチレンを用いてパラフィン油をシートから抽出し、60℃で1時間乾燥し、120℃で3分間熱固定した。得られたこのシートは厚み方向に層状構造を有する多孔質であり、100μmの厚さを有し、空孔率は62%、反射率は97.2%であった。したがって、反射率/固形分率は2.6と低く、またパラフィン含有量は10000ppmであった。この比較例もパラフィン油抽出に伴い、空孔空孔率が減少する傾向があり、製膜当初からパラフィン類を添加せずに多孔膜を形成する方法が空孔率の向上・維持のためには好ましいことが判る。
本発明の多孔膜又は他の機能部材との複合材は、高い空孔率に起因して充分な反射特性を備え、しかも薄型化、軽量化でき、反射シートとして液晶ディスプレイ、表示体のバックライト光源、携帯電話、PDAなどに供されるLEDや冷陰極管を光源とする薄型パネル用途に適する。

Claims (2)

  1. 粘度平均分子量が200万〜700万の超高分子量ポリエチレン70〜98重量%と、密度が0.930〜0.995g/ccであり粘度平均分子量が10万〜80万の高密度ポリエチレン2〜30重量%との混合物からなるポリオレフィンと平均粒径が0.01〜10μmである不活性微粒子とを含み、ポリオレフィンと不活性微粒子との重量比が25〜2:75〜98である組成物5〜70重量部と、大気圧における沸点が200℃未満の揮発性溶媒30〜95重量部からなり、パラフィン類が実質的に存在しない溶液を調製し、前記溶液をポリオレフィン組成物の融点乃至融点+60℃の温度範囲においてダイより押出して押出物を得、ついで前記押出物を冷却してゲル状の成形物を成形し、更に前記ゲル状成形物に含まれる溶媒の全部又は一部を乾燥除去し、しかる後、乾燥処理された成形物を延伸することからなる空孔率が70〜95体積%の多孔膜の製造方法。
  2. 前記不活性微粒子が酸化チタン、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、および酸化ジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の多孔膜の製造方法
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