JP5255271B2 - 高強度コンクリート構造体の強度管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート構造体の強度管理方法、特に100N/mm超の高強度コンクリート構造体の強度管理方法に関するものである。
高強度コンクリートは、普通強度のコンクリートに比べて単位セメント量が大きい。このため、高強度コンクリートを打設した柱の内部は、セメントが水和する反応熱によって外気温よりもかなり高い温度となる。この結果、図2に例を示すように、柱や梁のような高い水和熱を受けた高強度コンクリート構造体の圧縮強度は、初期材齢では、強度管理に用いる例えば20℃水中養生したΦ100×200mmの標準養生供試体の圧縮強度よりも高い。
しかし、8週程度の長期材齢になると両者の関係が逆転し、高強度コンクリート構造体の圧縮強度は、標準養生供試体の圧縮強度を下回るようになる。
「高強度コンクリート施工指針(案)・同解説」日本建築学会、2005年発行では、このような水和熱の影響を考慮して、高強度コンクリートの調合設計や強度管理を行うこととしている。
例えば、図2の実験結果では、材齢91日の標準養生供試体の圧縮強度は120N/mm程度、構造体から採取したコア供試体の圧縮強度は100N/mm程度であるため、両者の強度差は20N/mm程度である。
実際の施工管理では、図1のような構造体から供試体を採取する部材を作ることは困難であるので、簡単に作製できる標準養生供試体の圧縮強度のみを試験で求め、その結果から上記の強度差20N/mmを差し引いて構造体の強度を推定している。
「高強度コンクリート施工指針(案)・同解説」2005年、日本建築学会
この高強度コンクリート施工指針(以下「施工指針」という。)では、標準養生供試体の圧縮強度と構造体コア供試体圧縮強度との間に強度差が生じることを前提とするものであるが、両者をほぼ等しくする試みがなされている。
例えば、特公平01−014539号公報には、マスコンクリートの供試体を水槽内に入れ、実際に施工した実施工マスコンクリートまたはそれに模した模擬マスコンクリートの履歴温度に合わせて、前記水槽の温度を制御するマスコンクリート供試体の管理方法が提案されている。
特公平01−014539号公報
しかし、このマスコンクリート供試体の管理方法は、装置が大がかりで移動が難しいこと、追従養生期間は試験材令までとすることなどから、工事現場で適用することは、手間、場所等の点から困難である。
これを解決するために、高強度コンクリートの供試体を温度制御可能な養生槽内に入れ、部材温度追従養生温度、つまり、実大の構造体内部の温度履歴と同じ条件の温度で供試体を養生する際に、供試体の部材温度追従養生期間を部材が最高温度に達する時間の少なくとも約1.4倍の期間とし、それ以降は現場封緘養生したところの高強度コンクリート供試体でもって判定する高強度コンクリートの構造体強度管理方法が提案されるに至っている。
この管理方法によれば、判定に使用する供試体の強度が完全に部材温度に追従したものと同程度となる、即ち、その強度は部材から採取した強度に近いものになるので、現場で簡易に構造体コンクリートの強度管理を行うことができることとなった。
特開平05−294754号公報
上記の施工指針や特許文献1、2の技術は、圧縮強度が30〜80N/mmといった、いわば100N/mm未満の高強度コンクリートを対象とするもので、材齢91日の標準養生供試体の圧縮強度が、同材齢の構造体コア供試体のそれを上回る強度領域において有効なものである。
しかるに近年、高強度コンクリートが著しく改良され、圧縮強度が120N/mm超の改良された高強度コンクリートが開発されてきている。
この圧縮強度が120N/mmを超えるような領域の改良されたコンクリートでは、図3に示されるように、材齢91日以内の管理期間中に標準養生圧縮強度が構造体の強度を超えることがないことがわかってきた。
このようなケースでは、評価方法がないという理由で、実際の建物で発現しているコンクリート強度を活かすことができない。つまり、図3のケースでは、材齢91日の構造体から採取したコア供試体は160N/mmを超えているが、管理に用いる標準養生圧縮強度が150N/mmよりもやや低い値であるため、140N/mmもしくは145N/mmといったコンクリートとして扱わざるをえない。
ところが、上記施工指針は、実際の施工管理で、標準養生供試体の圧縮強度のみを試験で求め、その結果に強度差を加えて構造体の強度を推定することは禁じている。つまり、実際の施工現場で作製した標準養生供試体の圧縮強度よりも構造体が高い値であると評価することはできない。
以上のとおり、現在の施工指針に基づく上記の改良された高強度コンクリートにて構築された実際の構造体の圧縮強度が、標準養生供試体のそれを上回っているとしても、上記の施工指針により適正に評価することができない。
このことは、高価で有限の資源を必要以上に消費する必要があり、高コストとなるばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
そこで、水結合材比が20%を越えない高強度コンクリートを用いて構築される構造体の強度管理において、構造体の強度のうち標準養生された供試体の強度よりも高い部分を適切に評価する方法を提供し、高強度コンクリートの合理的な調合設計を可能とすることを課題として、強度管理の対象となる構造物と同一の組成であって、水結合材比が20%を越えない高強度コンクリートにより供試体を作製する供試体作製工程と、熱伝導率が0.1W/m・℃以下の断熱層で前記供試体を被覆して、所定期間養生させる保温養生工程と、前記保温養生工程を経た前記供試体の強度を測定する強度測定工程と、を備え、さらに、前記保温養生工程において、前記保温養生中の供試体温度を測定する供試体温度測定工程と、測定した前記供試体温度と、強度管理の対象となる前記構造物の温度とを比較して、養生温度の調節の要否を判定する養生温度判定工程と、前記判定に基づいて養生温度調節手段により供試体の養生温度を調節する養生温度調節工程と、を含むことを特徴とする高強度コンクリート構造物の強度管理方法が提案されるところとなった。
特開2004−294141号公報
しかし、この強度管理方法は、上記特許文献1と同様、装置が複雑、大型となり、工事現場で適用することは、手間,場所等の点から困難という課題を内包しており問題なしとしない。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、実際の改良された高強度コンクリート構造体の設計基準強度を正確に管理可能で、コストを低減するとともに省資源に資することができ、しかも極めて簡易な、改良された高強度コンクリート構造体の強度管理方法を提供することを課題としている。
請求項1に係る発明は、管理用供試体の材齢28日圧縮強度から所定の強度補正値を減ずることにより、構造体コア供試体の材齢91日圧縮強度を推定する高強度コンクリート構造体の強度管理方法において、前記管理用供試体の圧縮強度が、前記構造体コア供試体の前記材齢91日圧縮強度を上回る又は同等となるような値に設定されていることを特徴とする高強度コンクリート構造体の強度管理方法とした。
請求項2に係る発明は、前記高強度コンクリート構造体の強度管理方法において、前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度は、促進養生される温水の水温にて規定されるものであることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、前記請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法において、前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度及び前記強度補正値は、結合材水比のグループに応じて異なる値に設定されていることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、前記請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法において、前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度は、結合材水比のグループに応じて異なる値に設定され、前記強度補正値は、結合材水比毎に異なる値に設定されていることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、前記請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法において、前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度及び前記強度補正値は、結合材水比毎に異なる値に設定されていることを特徴としている。
請求項6に係る発明は、前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法において、前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度は、夏季、冬季、中間季に応じて異なる値に設定されていることを特徴としている。
請求項7に係る発明は、前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法において、前記強度補正値は、夏季、冬季、中間季に応じて異なる値に設定されていることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、構造体を上回る又は同等となるような値の圧縮強度の供試体を作製することで、従来の標準養生供試体では評価することのできなかった高強度コンクリート構造体の強度を推定、管理することが可能となる。
また、請求項2に係る発明によれば、促進養生する温水の水温を調整するという極めて簡単な方法で、管理用供試体の材齢28日圧縮強度を変更することができる。
さらに、請求項3乃至請求項7のいずれかに記載された発明によれば、前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度あるいは前記強度補正値は、結合材水比のグループ毎、結合材水比毎、夏季、冬季、中間季に応じて異なる値に設定されているから、請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された発明に比し、構造体コア供試体の材齢91日圧縮強度を、より精度良く推定することができる。
従来の標準養生よりもコンクリートの強度発現を増強する養生を行うことで、構造体を上回る又は同等となるような値の圧縮強度の供試体を作製し、高強度コンクリート構造体の強度を管理する。
強度発現を増強する養生は、後述する方法で合理的なものを選定する。
ここでの「高強度コンクリート構造体の強度」とは、例えば、前記施工指針に示される「JASS 5T-704-2005 コア供試体による構造体コンクリート強度の推定方法(案)」などによって求められた強度を意味する。
従来の標準養生供試体の養生温度は20℃であるが、本発明はこの管理用の供試体の養生温度を上げることにより、その圧縮強度を実際の構造体コア供試体のそれよりも大きくし、管理用の供試体の構造体コア供試体を上回る強度差を管理用の供試体の圧縮強度から減ずることを基本原理としている。
これにより、高温で養生された促進養生供試体と構造体コア供試体の強度差を減ずる手法を採用することが可能となり、上記の施工指針に適合させることができる。
本発明について、具体的な実施例に基づいて説明する。
本実施例では、圧縮強度が120N/mmを超えるような領域の高強度コンクリートにて構築される構造体を対象として、コンクリートの強度管理を行うため、管理用の供試体の圧縮強度を増強する。
コンクリートの強度発現を促進する方法としては、JISではJIS A 1805「コンクリート生産工程管理用試験方法」が制定されており、また、日本コンクリート工学協会からは、JCI−SE4「温水法(70℃)によるコンクリートの促進強度試験方法」、JCI−SE14「温水法(55℃)によるコンクリートの促進強度試験方法」などが提案されている。
しかし、コンクリートの種類によって、何℃程度の温水で養生することが合理的なのかは異なること、強度発現の促進の度合いが、目標となる構造体の圧縮強度を極端に上回るほど高い圧縮強度となると誤差が大きくて管理できないことなどの技術的な課題があり、詳細な検討が求められる。
そこで本発明者らは先ず、管理用供試体の養生温度の検討に入る前に、標準養生供試体と構造体コンクリートの圧縮強度の関係を整理した。表1に検討に用いたデータの概要を示す。
検討に用いた材料は、いずれもレディーミクストコンクリート工場の実機ミキサを用いて製造したコンクリートで、図1に示す柱構造体モデルを作製するとともに、標準養生した供試体を採取したものである。
いずれのコンクリートも、結合材には普通ポルトランドセメント、スラグせっこう系混和材およびシリカフュームを7:2:1の質量比で混合した高強度結合材を使用している。
ここでは、材齢91日の構造体コンクリート圧縮強度(以下「コア強度」という。)が、材齢28日および91日における標準養生した供試体の圧縮強度(以下「標準養生強度」という。)の何倍程度の範囲にあるかについて、結合材水比で約2.5〜6.7の範囲(水結合材比で約15〜40%の範囲)で、結合材水比(水結合材比)別に検討した。
検討結果を図5に示す。
図5の上段縦軸には、材齢91日のコア強度を材齢28日の標準養生強度で除した値を示し、また、同図下段には、材齢91日のコア強度を材齢91日の標準養生強度で除した値を示している。
図5の横軸は、セメント、混和材、シリカフューム等の結合材と水の比率である結合材水比とその逆数である水結合材比を表している。
設計基準強度150N/mmクラスの強度発現に必要である結合材水比6.7程度(水結合材比15%)では、材齢91日コア強度は、材齢28日標準養生強度の1.0〜1.3倍の範囲、材齢91日標準養生圧縮強度の0.9〜1.2倍の範囲に分布していることがわかる。
このことは、極めて水結合材比が低い領域で標準養生強度を基準として調合設計を行うと、実際に施工した構造材のコア強度は、目標とする設計基準強度の1.2倍から1.3倍程度になることがあるが、このようなことは施工性の確保や水和熱の抑制などの観点から望ましくない。
また、高価で有限の資源を必要以上に消費する必要があり、高コストとなるばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
図5の上段の図と下段の図を各水結合材比別にみると、分母が材齢28日であるか材齢91日であるかによっては、上限値と下限値の差、すなわち、ばらつきにおいて有意の差を認めることができない。
このことは、環境温度を夏期、標準期、冬期に区分しても、同様のことがいえる(図6〜8参照)。
故に本実施例においては、管理期間が短くて作業的に有利な材齢28日の促進養生供試体の圧縮強度を標準とする圧縮強度に設定することとしている。
もちろん、材齢91日の促進養生供試体の圧縮強度を標準とする圧縮強度に設定することとしてもよい。
一方、この図5より、結合材水比が高くなる(水結合材比が低くなる)にしたがって、標準養生強度に対する材齢91日コア強度の比率が高くなることがわかる。
この値が1.0を上回っているということは、コア強度は標準養生強度を上回っているが、上記の施工指針により、実際の施工管理で、標準養生供試体の圧縮強度のみを試験で求め、その結果に強度差を加えて構造体の強度を推定することは禁じられていることから、標準養生強度に強度補正値を加算することはできない。
そこで、この標準養生強度に対する材齢91日コア強度の比率が1.0を下回るように促進養生すれば、管理用供試体となる促進養生供試体の圧縮強度(以下「促進養生強度」という。)は、コア強度を上回ることになる。言い換えれば、縦軸の値は標準養生強度をどの程度増強すれば良いかという目安となり、増強(強度促進)した供試体を管理用供試体とすれば、上記の施工指針に適合させることが可能となる。
ところで、管理用供試体の増強割合を結合材水比毎にきめ細かく設定することも可能であるが、圧縮強度について同様の挙動を示すコンクリートを同一の管理用供試体にて強度管理することも、その作製・管理の煩わしさを勘案すれば合理的と考えられる。
その観点で図5をみると、結合材水比が5超のコア強度の標準養生強度に対する倍率が約1.0〜1.4倍のグループと、結合材水比が3.5超5.0以下の同倍率が0.9〜1.2倍のグループと、結合材水比が3.5以下の同倍率0.8〜1.2倍弱のグループとに分類することができる。
故に本実施例においては、作製する促進養生強度の標準養生強度に対する倍率(以下「促進倍率」という。)を、圧縮強度についてほぼ同一の挙動を示す結合材水比のグループ毎に設定し、各グループに対応する促進養生された管理用供試体を作製することとしている。
なお、促進倍率を結合材水比毎に設定し、結合材水比に対応して促進養生された管理用供試体を作製することとしてもよい。
次いで図6〜8に、図5を夏期、標準期、冬期に区分したものを示す。
図6の夏期についてみると、結合材水比6前後のグループでは促進倍率が1.3倍を越えるものが出現するが、結合材水比が5以下のグループでは促進倍率が1.2倍以下であることがわかる。
また図8の冬期をみると、結合材水比6超で促進倍率が最大約1.3倍のものが表われる一方、結合材水比が5以下のグループでは促進倍率1.0倍のラインを挟んで上下に表われることがわかる。
このように、促進倍率は季節ごとにも異なる。
故に本実施例においては、コンクリートの打設時期に応じてきめ細かく対応するために、促進倍率を季節毎に設定することとしている。
なお、この実施例においては、促進倍率を結合材水比の季節毎及びグループ毎に設定することとしているが、促進倍率を一定にして、一定の促進養生強度からグループ毎に、季節毎に、あるいは結合材水比毎に減ずる強度補正値(詳細は後述。)を対応する値に変更してもよい。
以上のようにして、促進倍率が設定される。
また、促進倍率が結合材水比のグループのコア強度の標準養生強度に対する倍率の最高値に対応して設定されている場合、当該結合材水比におけるコア強度の標準養生強度に対する倍率を上回ることとなる。
例えば、夏期における結合材水比5超のグループの促進倍率を、図6を参照して1.4に設定したとき、水結合材比15%のコア強度の標準養生強度に対する倍率は、図6を参照すると1.2前後に分布しており、促進倍率1.4を下回っている。
このようなときは、夏期におけるコア強度の標準養生強度に対する倍率の最低値である1.2弱になるように補正する必要がある。
このように強度補正値は、本実施例においては水結合材比毎に設定することとしているが、水結合材比のグループ毎に設定してもよい。
次いで、促進養生供試体を何度の温水で養生すべきか検討した。
図9に、標準養生強度に対する促進養生強度の比を水温別に計算した結果を示す。ここでは、養生温度が同じデータすべてを平均してプロットしている。
図5乃至図8より、目標とする管理用供試体の材齢28日促進養生強度は、材齢28日標準養生強度の1.3倍程度であるが、これを満足する温水養生の条件は、図9より材齢28日まで40℃程度で養生するというものであることがわかる。
以上より、促進養生温度は40℃に設定される。
なお、図9より、促進倍率を1.2にしようとするときは、促進養生温度を30℃に、促進倍率を1.4に設定しようとするときは、同温度は50℃にすればよい。
水温40℃で養生した管理用供試体の材齢28日促進養生強度が、実際に材齢28日標準養生強度の1.3倍あるか、また、図1の柱構造体モデルの材齢91日コア強度と同等あるいはそれ以上であるか検証する必要がある。
そこで、実際のレディーミクストコンクリート工場でコンクリートを練り混ぜ、材齢91日までの標準強度と、図1の柱構造体モデルのコア強度と、40℃温水養生を行った供試体の圧縮強度とを比較した。
その結果を図10に示す。
図10から、材齢28日の温水養生を行った供試体の圧縮強度は、ほぼ図1の柱構造体モデルの材齢91日コア強度に匹敵することがわかる。
本実施例のコンクリート強度管理方法は、以下の手順に基づいて実施される。
《手順1》
(促進倍率(強度促進の度合い)及び強度補正値の設定)
先ず、図4の△印で示すような促進養生供試体を作製するにあたり、構造体コア供試体の圧縮強度を上回る、あるいは同程度の圧縮強度とするための促進倍率を設定する。
促進倍率は、あらかじめ作成した実験データベースから、図5のような関係を検討して求める。
具体的には、
a、コンクリート打設時期が、夏期、標準期、冬期のいずれであるかの決定。
b、実験データベースの結合材水比別各データの当該時期におけるコンクリートの圧縮強度の類似性に基づくグルーピング。
c、打設しようとするコンクリートの結合材水比(水結合材比)。
d、当該グループにおける最高のコア強度。
に基づいて促進倍率を設定する。
また、強度補正値は、促進養生強度からコア強度を差し引いた値Shとする。
実際の管理では、コア強度が促進養生強度よりもShだけ低いという仮定のもと、促進養生強度からShを差し引いた値が判定強度(例えば設計基準強度)を満たしているかどうかを確認し、合否を判定する。
ここでは、一例として図5の上段の図と図6〜8を用いて、水結合材比15%のコンクリートの材齢28日標準養生強度と材齢91日構造体コア強度の関係を考える。
すると、この条件で目標とする促進倍率(強度促進の度合い)は、概ね1.0〜1.3倍程度であることがわかる。
言い換えれば、材齢28日標準養生圧縮強度の1.3倍の圧縮強度を持つ促進養生供試体を作製し、これを管理用供試体とすれば、実際の高強度コンクリート構造体の合理的な管理が可能となる。
よって、促進倍率は1.3に決定される。
《手順2》
(目標とする促進倍率を得られる温水温度の設定)
次に、養生温度を種々高温度に設定し、如何なる養生温度条件にて材齢28日標準養生圧縮強度の1.3倍の圧縮強度を持つ促進養生供試体を作製し得るかについて検討する。
図10から材齢28日標準養生供試体の1.3倍の強度は、材齢28日40℃温水養生供試体で得られることがわかる。
よって、管理用供試体の養生水温は40℃に決定される。
《手順3》
(《手順2》で設定した温度条件を用いて作製した供試体の圧縮強度と構造体コンクリート強度の比較)
図10によれば、材齢28日40℃温水養生圧縮強度は、材齢28日標準養生供試体の1.3倍の強度を持っていること、及び材齢91日コア強度と同程度であることから、ほぼ材齢91日の構造体強度を推定できていることがわかる。
この手順は、促進倍率又は強度補正値を新規に規定するとき又は変更する度毎に行い、材齢91日コア強度の推定が正しく行われているか否か検証する。
図1は、柱構造体モデルと採取するコア供試体を示す図である。 図2は、一般的な高強度コンクリートの強度発現の例を示す図である。 図3は、圧縮強度120N/mmを超える高強度コンクリートの強度発現の例を示す図である。 図4は、管理用供試体の増強(強度促進)の例を示す図である。 図5は、促進倍率(強度促進の度合い)を検討するために、実験データベースの各データを、縦軸に材齢91日コア強度を材齢28日標準養生強度で除した値を、横軸に結合材水比(水結合材比)をプロットした図である。 図6は、図5の夏期のデータのみを区分して表した図である。 図7は、図5の標準期のデータのみを区分して表した図である。 図8は、図5の冬期のデータのみを区分して表した図である。 図9は、養生温水温度と促進倍率(強度促進の度合い)を関係を示す図である。 図10は、標準養生強度とコア強度と温水養生強度を材齢別に表したグラフである。

Claims (7)

  1. 管理用供試体の材齢28日圧縮強度から所定の強度補正値を減ずることにより、構造体コア供試体の材齢91日圧縮強度を推定する高強度コンクリート構造体の強度管理方法において、
    前記管理用供試体の圧縮強度が、前記構造体コア供試体の前記材齢91日圧縮強度を上回る又は同等となるような値に設定されていることを特徴とする高強度コンクリート構造体の強度管理方法。
  2. 前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度は、促進養生される温水の水温にて規定されるものであることを特徴とする請求項1に記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法。
  3. 前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度及び前記強度補正値は、結合材水比のグループに応じて異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法。
  4. 前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度は、結合材水比のグループに応じて異なる値に設定され、前記強度補正値は、結合材水比毎に異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法。
  5. 前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度及び前記強度補正値は、結合材水比毎に異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法。
  6. 前記管理用供試体の材齢28日圧縮強度は、夏季、冬季、中間季に応じて異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法。
  7. 前記強度補正値は、夏季、冬季、中間季に応じて異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された高強度コンクリート構造体の強度管理方法。
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