JP5254676B2 - 軌道狂い検測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軌道狂いを検測する技術に関する。
鉄道車両を安全で快適に走行させるためには、鉄道軌道を常に良好な状態に保守管理する必要があり、このためにはレールの不整量(軌道狂い)の測定が不可欠である。軌道狂いの測定は主に、高速軌道検測車または簡易な軌道検測装置により行われている。このうち高速軌道検測車は測定専用の車両で、効率良く軌道狂いを測定するため、営業列車と同等の速度で運行され、主に本線の軌道狂いを測定する。一方の簡易軌道検測装置は、手押しまたは牽引により極低速で移動するトロリーで、副本線や基地線など高速軌道検測車の走行しない箇所の測定、軌道狂い整正作業直後の仕上がり確認、等に利用されている。
現存する軌道検測車および簡易軌道検測装置は、その大多数が「正矢(せいや)法」と呼ばれる測定原理により、鉛直方向の軌道不整(高低狂い)および、水平方向の軌道不整(通り狂い)を測定している。この正矢法は、複数点の相対変位により軌道狂いを測定する「差分法」の一種で、任意の2点間に水糸を張り、その中点とレールとの距離を測定するものである。現存する主な可搬式軌道検測装置は1〜3mの基準の梁(弦:測定の基線)をレールに押し当て、その梁の中央点とレールとの相対変位を変位計で測定している。
また、軌道狂いの検測手法として慣性測定法が知られている。この慣性測定法とは、加速度を2階積分すると位置が計算できるという物理法測を利用して、軸箱や車体に取り付けた加速度計の出力から軌道狂いを計算する方法である。そしてこうして得られた軌道狂いデータに対し、従来から検測作業者が扱い馴れた上述の正矢法(主として10m弦正矢法)の検測特性を持たせるべくフィルタ回路による処理を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
このように慣性測定法は、加速度を2階積分して「位置」、つまり加速度計が空間に描く軌跡を求める方法である。例えば、鉛直方向成分の軸箱加速度を2階積分することで、軸箱の軌跡(高低狂い)を知ることができる。しかしながら、完全な積分器の特性は0Hzで無限大の利得を持つため、入力信号にわずかでもオフセットがあると、アナログ積分器の出力はやがて電源電圧付近で完全に飽和し、積分器として機能しなくなる。そこで、これを回避するため、積分器にハイパスフィルタ(以下HPF)の特性を持たせて不完全積分を行う。このハイパスフィルタ特性は、速度に応じて遮断周波数を可変することで、距離領域で遮断波長が一定になるよう調整される。
特開2001−063570号公報(第6頁、図1)
ところで、営業列車での軌道状態監視など、リアルタイム警報(アラーム)が必要なシステムでは上述のような波形ひずみを許容できない。
しかしながら、上述のようなアナログハイパスフィルタは線形位相特性の実現が難しく、遮断波長付近での位相遅れが顕著なため、必然的に波形ひずみを生じ、装置の出力波形は実際の軌道形状と一致しない。また、測定方向によって出力波形が異なる。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、波形ひずみを生じることなく、様々な弦長の正矢波形がリアルタイムに出力される軌道狂い検測技術を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る軌道狂い検測装置は、車両が走行する軌道の軌道狂いを検測する軌道狂い検測装置であって、前記車両の水平方向の加速度を2階積分することで通り狂い量としての前記車両の水平方向の位置を算出する通り狂い算出部を備え、前記通り狂い算出部は、前記車両の水平方向の加速度を、正矢特性を持つ軌道狂いに変換するための直線位相特性を持つフィルタと、前記車両の走行速度に応じて距離領域で前記フィルタの正矢特性を保持するように調整する制御部と、を有し、前記車両の左レール側の水平方向の加速度を、左レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の左レール側の水平方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、左レールと左レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで左レール側の通り狂い量を算出するとともに、前記車両の右レール側の水平方向の加速度を、右レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の右レール側の水平方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、右レールと右レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで右レール側の通り狂い量を算出すること特徴とする。
このように構成された軌道狂い検測装置によれば、通り狂い算出部では、制御部が、車両の走行速度に応じてフィルタのゲインおよび遮断周波数を調整し、調整後のフィルタは、車両の水平方向の加速度の位相特性を変化させないので、波形ひずみを生じることがない。したがって、軌道狂い検測時に、波形ひずみを生じることなく、様々な弦長の正矢波形をリアルタイムに出力することができる。
また、上記課題を解決するためになされた請求項2に係る軌道狂い検測装置は、車両が走行する軌道の軌道狂いを検測する軌道狂い検測装置であって、前記車両の鉛直方向の加速度を2階積分することで高低狂い量としての前記車両の鉛直方向の位置を算出する高低狂い算出部を備え、前記高低狂い算出部は、前記車両の鉛直方向の加速度を、正矢特性を持つ軌道狂いに変換するための直線位相特性を持つフィルタと、前記車両の走行速度に応じて距離領域で前記フィルタの正矢特性を保持するように調整する制御部と、を有し、前記車両の左レール側の鉛直方向の加速度を、左レール側の鉛直加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の左レール側の鉛直方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、左レールと左レール側の鉛直加速度計との間の鉛直方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで左レール側の高低狂い量を算出するとともに、前記車両の右レール側の鉛直方向の加速度を、右レール側の鉛直加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の右レール側の鉛直方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、右レールと右レール側の鉛直加速度計との間の鉛直方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで右レール側の高低狂い量を算出することを特徴とする。
このように構成された軌道狂い検測装置によれば、高低狂い算出部では、制御部が、車両の走行速度に応じてフィルタのゲインおよび遮断周波数を調整し、調整後のフィルタは、車両の鉛直方向の加速度の位相特性を変化させないので、波形ひずみを生じることがない。
したがって、軌道狂い検測時に、波形ひずみを生じることなく、様々な弦長の正矢波形をリアルタイムに出力することができる。
また、請求項3に係る軌道狂い検測装置は、請求項2に記載の軌道狂い検測装置において、さらに、前記車両の水平方向の加速度を2階積分することで通り狂い量としての前記車両の水平方向の位置を算出する通り狂い算出部を備え、前記通り狂い算出部は、前記車両の水平方向の加速度を、正矢特性を持つ軌道狂いに変換するための直線位相特性を持つフィルタと、前記車両の走行速度に応じて距離領域で前記フィルタの正矢特性を保持するように調整する制御部と、を有し、前記車両の左レール側の水平方向の加速度を、左レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の左レール側の水平方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、左レールと左レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで左レール側の通り狂い量を算出するとともに、前記車両の右レール側の水平方向の加速度を、右レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の右レール側の水平方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、右レールと右レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで右レール側の通り狂い量を算出することを特徴とする。
このように構成された軌道狂い検測装置によれば、通り狂い算出部では、制御部が、車両の走行速度に応じてフィルタのゲインおよび遮断周波数を調整し、調整後のフィルタは、車両の水平方向の加速度の位相特性を変化させないので、波形ひずみを生じることがない。また、高低狂い算出部においても、制御部が、車両の走行速度に応じてフィルタのゲインおよび遮断周波数を調整し、調整後のフィルタは、車両の鉛直方向の加速度の位相特性を変化させないので、波形ひずみを生じることがない。
したがって、軌道狂い検測時に、波形ひずみを生じることなく、様々な弦長の正矢波形をリアルタイムに出力することができる。
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
図1は、軌道狂い検測装置の構成を示すブロック図である。また、図2は、ベッセルフィルタを用いた慣性測定演算を示すブロック図である。
[1.軌道狂い検測装置1の構成の説明]
図1に示すように、軌道狂い検測装置1は、CPUやROM、RAMなどによって構成された通常のコンピュータなどであり、鉄道車両などの車両が走行する軌道の軌道狂いを検測する機能を有する。なお、CPUが特許請求の範囲における通り狂い算出部および高低狂い算出部に該当する。
この軌道狂い検測装置1が搭載される鉄道車両には、速度計とともに、左レールおよび右レールそれぞれに対応して、図示しないジャイロ、水平方向の加速度計、鉛直方向の加速度計、水平方向の変位計および鉛直方向の変位計が取り付けられており、軌道狂い検測装置1には、これら各種計測機器から、左レール側での水平方向の加速度、左レールと左レール側の水平加速度計との間の相対変位、左レール側の水平加速度計の傾斜角、右レール側での水平方向の加速度、右レールと右レール側の水平加速度計との間の相対変位、右レール側の水平加速度計の傾斜角、左レール側での鉛直方向の加速度、左レールと左レール側の鉛直加速度計との間の相対変位、左レール側の鉛直加速度計の傾斜角、右レール側での鉛直方向の加速度、右レールと右レール側の鉛直加速度計との間の相対変位、右レール側の鉛直加速度計の傾斜角、および車両の走行速度が入力される。
軌道狂い検測装置1は、各センサのデータを用いて、左レール側の10m弦通り狂い量、右レール側の10m弦通り狂い量、左レール側の10m弦高低狂い量、および右レール側の10m弦高低狂い量を算出する。以下に順に説明する。
(1)左レール側の10m弦通り狂い量の算出方法について
(1−1)まず、軌道狂い検測装置1は、左レール側の水平方向の加速度を、左レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行う。
(1−2)続いて、軌道狂い検測装置1は、補正後の左レール側の水平方向の加速度および車両の走行速度に基づき、ベッセル特性のフィルタ回路(以下ベッセルフィルタ)を用いた慣性測定演算を行う。
ベッセルフィルタは、図2に示すように、4個の2次状態可変フィルタを直列に接続した8次のアナログフィルタであり、入力される加速度を正矢特性に変換するための直線位相特性を持つよう設計される。各2次状態可変フィルタは、それぞれ次のような構造を有している。すなわち、制御部からの制御信号に基づき抵抗値を変更可能な2個の可変抵抗(DAC)が直列に接続され、上流側には入力端子が接続され、下流側にはアンプのプラス側の入力端子が接続されている。また、アンプのプラス側の入力端子とマイナス側の入力端子との間にはコンデンサC1が接続されるとともに、アンプのマイナス側の入力端子は接地されている。さらに、2個の可変抵抗(DAC)の間にはコンデンサC2の一端が接続され、コンデンサC2の他端はアンプの出力端子に接続されている。
また、ベッセルフィルタの上流側には入力アンプが接続され、下流側には可変ゲインアンプが接続されている。このうち入力アンプは、入力信号を一定の倍率で増幅して出力する機能を有している。また、可変ゲインアンプは、入力信号を増幅して出力する倍率を変更可能なアンプであり、次のような構造を有している。すなわち、制御部からの制御信号に基づき抵抗値を変更可能な可変抵抗(DAC)の上流側には入力端子が接続され、下流側にはアンプのプラス側の入力端子が接続されている。また、アンプのマイナス側の入力端子は接地されている。さらに、可変抵抗(DAC)とアンプのプラス側の入力端子との間には抵抗R2の一端が接続され、抵抗R2の他端はアンプの出力端子に接続されている。
制御部は、車両の走行速度を示す車輪パルス信号を用いて各2次状態可変フィルタの可変抵抗の値と可変ゲインアンプとを調整し、車両の走行速度に応じて8次ベッセルフィルタのフィルタ特性を可変する。このように、車両の走行速度に応じて8次ベッセルフィルタのゲインと遮断周波数を可変すれば、波形ひずみを生じない慣性測定結果が得られる。
なお、上述のように構成された正規化ベッセルフィルタの特性は次の式(1)および式(2)で表される。ここで、変数sは複素変数(2πfi)であり、係数nはフィルタ次数(8次の場合にはn=8)である。
また、変数sを、s→s/ω0(ω0は遮断角周波数)と変数変換して遮断周波数を選定することで様々な弦長の正矢特性に対応させることができる。
そして、補正後の左レール側の水平方向の加速度は、入力アンプで増幅された後にベッセルフィルタに入力され、ベッセルフィルタにて10m弦正矢通り狂い特性に変換された後に、可変ゲインアンプにて増幅されて出力される。
(1−3)次に、軌道狂い検測装置1は、左レールと左レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位と、ベッセルフィルタから出力される信号とをA/D変換する。
(1−4)さらに、軌道狂い検測装置1は、左レールと左レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算する。
(1−5)そして、軌道狂い検測装置1は、上述の相対変位を正矢演算した演算結果と上述の慣性測定演算の演算結果とを加算することで左レール側の通り狂い量(本実施形態では左レール側の10m弦通り狂い量)を算出する。
(2)右レール側の10m弦通り狂い量の算出方法について
(2−1)まず、軌道狂い検測装置1は、右レール側の水平方向の加速度を、右レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行う。
(2−2)続いて、軌道狂い検測装置1は、補正後の右レール側の水平方向の加速度および車両の走行速度に基づき、上述のベッセルフィルタを用いた慣性測定演算を行う。
(2−3)次に、軌道狂い検測装置1は、右レールと右レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位と、ベッセルフィルタから出力される信号とをA/D変換する。
(2−4)さらに、軌道狂い検測装置1は、右レールと右レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算する。
(2−5)そして、軌道狂い検測装置1は、上述の相対変位を正矢演算した演算結果と上述の慣性測定演算の演算結果とを加算することで右レール側の通り狂い量(本実施形態では右レール側の10m弦通り狂い量)を算出する。
(3)左レール側の10m弦高低狂い量の算出方法について
(3−1)まず、軌道狂い検測装置1は、左レール側の鉛直方向の加速度を、左レール側の鉛直加速度計の傾斜角だけ補正を行う。
(3−2)続いて、軌道狂い検測装置1は、補正後の左レール側の鉛直方向の加速度および車両の走行速度に基づき、上述のベッセルフィルタを用いた慣性測定演算を行う。
−3)次に、軌道狂い検測装置1は、左レールと左レール側の鉛直加速度計との間の鉛直方向の相対変位と、ベッセルフィルタから出力される信号とをA/D変換する。
−4)さらに、軌道狂い検測装置1は、左レールと左レール側の鉛直加速度計との間の鉛直方向の相対変位を正矢演算する。
−5)そして、軌道狂い検測装置1は、上述の相対変位を正矢演算した演算結果と上述の慣性測定演算の演算結果とを加算することで左レール側の高低狂い量(本実施形態では左レール側の10m弦高低狂い量)を算出する。
(4)右レール側の10m弦高低狂い量の算出方法について
(4−1)まず、軌道狂い検測装置1は、右レール側の鉛直方向の加速度を、右レール側の鉛直加速度計の傾斜角だけ補正を行う。
(4−2)続いて、軌道狂い検測装置1は、補正後の右レール側の鉛直方向の加速度および車両の走行速度に基づき、上述のベッセルフィルタを用いた慣性測定演算を行う。
(4−3)次に、軌道狂い検測装置1は、右レールと右レール側の鉛直加速度計との間の鉛直方向の相対変位と、ベッセルフィルタから出力される信号とをA/D変換する。
(4−4)さらに、軌道狂い検測装置1は、右レールと右レール側の鉛直加速度計との間の鉛直方向の相対変位を正矢演算する。
−5)そして、軌道狂い検測装置1は、上述の相対変位を正矢演算した演算結果と上述の慣性測定演算の演算結果とを加算することで右レール側の高低狂い量(本実施形態では右レール側の10m弦高低狂い量)を算出する。
[2.第一実施形態の効果]
このように第一実施形態の軌道狂い検測装置1によれば、次のような作用効果を奏する。車両の水平方向の加速度を2階積分することで通り狂い量としての車両の水平方向の位置を算出する際に、車両の走行速度に応じてベッセルフィルタのゲインおよび遮断周波数を調整し、調整後のベッセルフィルタは、車両の水平方向の加速度の位相特性を変化させないので、波形ひずみを生じることがない。また、車両の鉛直方向の加速度を2階積分することで高低狂い量としての車両の鉛直方向の位置を算出する際に、車両の走行速度に応じてベッセルフィルタのゲインおよび遮断周波数を調整し、調整後のベッセルフィルタは、車両の鉛直方向の加速度の位相特性を変化させないので、波形ひずみを生じることがない。したがって、軌道狂い検測時に、波形ひずみを生じることなく、様々な弦長の正矢波形をリアルタイムに出力することができる。
(2)また、第一実施形態の軌道狂い検測装置1によれば、上述のように、変数sを、s→s/ω0(ω0は遮断角周波数)と変数変換して遮断周波数を選定することで様々な弦長の正矢特性に対応させることができる。
[3.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
(1)上記実施形態では、ベッセルフィルタを用いた慣性測定演算を行っているが、これには限られず、入力される加速度を正矢特性に変換するための直線位相特性を持つよう設計されるアナログフィルタであれば、他のフィルタを用いて慣性測定演算を行ってもよい。このようにしても上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
(2)本発明は、上記実施形態のような鉄道車両が走行する軌道に生じる軌道狂いを検測する場合だけではなく、鉄道車両以外の車両が走行する軌道の軌道狂いを検測する場合にも適用することが可能である。例えば、本発明を、車両としての自動車が走行する軌道としての道路に生じる狂いを検測する場合や、車両としてのモノレールが走行する軌道としてのガイドウェイに生じる狂いを検測する場合、車両としての磁気浮上鉄道が走行する軌道としてのガイドウェイに生じる狂いを検測する場合などである。
軌道狂い検測装置の構成を示すブロック図である。 ベッセルフィルタを用いた慣性測定演算を示すブロック図である。
符号の説明
1…軌道狂い検測装置

Claims (3)

  1. 車両が走行する軌道の軌道狂いを検測する軌道狂い検測装置であって、
    前記車両の水平方向の加速度を2階積分することで通り狂い量としての前記車両の水平方向の位置を算出する通り狂い算出部を備え、
    前記通り狂い算出部は、
    前記車両の水平方向の加速度を、正矢特性を持つ軌道狂いに変換するための直線位相特性を持つフィルタと、
    前記車両の走行速度に応じて距離領域で前記フィルタの正矢特性を保持するように調整する制御部と、を有し、
    前記車両の左レール側の水平方向の加速度を、左レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の左レール側の水平方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、左レールと左レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで左レール側の通り狂い量を算出するとともに、前記車両の右レール側の水平方向の加速度を、右レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の右レール側の水平方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、右レールと右レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで右レール側の通り狂い量を算出すること
    を特徴とする軌道狂い検測装置。
  2. 車両が走行する軌道の軌道狂いを検測する軌道狂い検測装置であって、
    前記車両の鉛直方向の加速度を2階積分することで高低狂い量としての前記車両の鉛直方向の位置を算出する高低狂い算出部を備え、
    前記高低狂い算出部は、
    前記車両の鉛直方向の加速度を、正矢特性を持つ軌道狂いに変換するための直線位相特性を持つフィルタと、
    前記車両の走行速度に応じて距離領域で前記フィルタの正矢特性を保持するように調整する制御部と、を有し、
    前記車両の左レール側の鉛直方向の加速度を、左レール側の鉛直加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の左レール側の鉛直方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、左レールと左レール側の鉛直加速度計との間の鉛直方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで左レール側の高低狂い量を算出するとともに、前記車両の右レール側の鉛直方向の加速度を、右レール側の鉛直加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の右レール側の鉛直方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、右レールと右レール側の鉛直加速度計との間の鉛直方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで右レール側の高低狂い量を算出すること
    を特徴とする軌道狂い検測装置。
  3. 請求項2に記載の軌道狂い検測装置において、
    さらに、
    前記車両の水平方向の加速度を2階積分することで通り狂い量としての前記車両の水平方向の位置を算出する通り狂い算出部を備え、
    前記通り狂い算出部は、
    前記車両の水平方向の加速度を、正矢特性を持つ軌道狂いに変換するための直線位相特性を持つフィルタと、
    前記車両の走行速度に応じて距離領域で前記フィルタの正矢特性を保持するように調整する制御部と、を有し、
    前記車両の左レール側の水平方向の加速度を、左レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の左レール側の水平方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、左レールと左レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで左レール側の通り狂い量を算出するとともに、前記車両の右レール側の水平方向の加速度を、右レール側の水平加速度計の傾斜角だけ補正を行い、補正後の右レール側の水平方向の加速度および前記車両の走行速度に基づき、前記フィルタを用いた慣性測定演算を行い、右レールと右レール側の水平加速度計との間の水平方向の相対変位を正矢演算し、相対変位を正矢演算した演算結果と慣性測定演算の演算結果とを加算することで右レール側の通り狂い量を算出すること
    を特徴とする軌道狂い検測装置。
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