JP5254554B2 - 油の分解装置及び油の分解方法、並びに油汚染地下水の浄化方法 - Google Patents

油の分解装置及び油の分解方法、並びに油汚染地下水の浄化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5254554B2
JP5254554B2 JP2007025186A JP2007025186A JP5254554B2 JP 5254554 B2 JP5254554 B2 JP 5254554B2 JP 2007025186 A JP2007025186 A JP 2007025186A JP 2007025186 A JP2007025186 A JP 2007025186A JP 5254554 B2 JP5254554 B2 JP 5254554B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
ozone
water
contaminated
groundwater
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007025186A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008188526A (ja
Inventor
成雄 日野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Eco Systems Co Ltd
Original Assignee
Dowa Eco Systems Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Eco Systems Co Ltd filed Critical Dowa Eco Systems Co Ltd
Priority to JP2007025186A priority Critical patent/JP5254554B2/ja
Publication of JP2008188526A publication Critical patent/JP2008188526A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5254554B2 publication Critical patent/JP5254554B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)

Description

本発明は、短時間で効率良く油を分解して除去することができる油の分解装置及び油の分解方法、並びに該油の分解方法を用いた油汚染地下水の浄化方法に関する。
従来より、石油の貯蔵所、石油の精製所、ガソリンスタンド等の石油類を取り扱う各種事業所、石油類を原燃料として使用している工場等においては、地下貯留タンクの老朽化、配管の亀裂、配管の破損などの様々な原因により、少量であっても長期間に亘って地中に油が漏れ出てしまう危険性がある。また、工場等で使用する切削油及び潤滑油の管理が不適切な場合にも油による土壌汚染が生じる可能性がある。このようなことから、近年、油により汚染された土壌及び汚染された地下水が深刻な社会問題となってきている。
そこで、油汚染土壌及び油汚染地下水の浄化方法としては、例えば汚染油を分離する溶剤抽出法及び熱脱着法、汚染油を分解する焼却法などがある。しかし、前記溶剤抽出法及び熱脱着法では、分離後の再生処理が必要となる。前記焼却法及び熱脱着法では、補助燃料が必要となり、処理コストが高くなる。また、前記焼却法では、燃焼により有害な窒素酸化物が発生するという問題がある。
これらの方法に対して、微生物を用いた生物的処理法であるバイオレメディエーション法は、環境にやさしい浄化方法であることが知られている。例えば特許文献1には、汚染土壌に窒素源とリン源とを水溶液として添加した後、その供給を一旦停止し、土壌中の窒素濃度を1kg当り0.01g以下にまで減少させた後、供給を再開する方法が提案されている。また、特許文献2には、汚染土壌にピートモスを添加し、混合させて、必要に応じて該混合を繰り返す方法が提案されている。
しかし、前記バイオレメディエーション法は、汚染土壌及び汚染地下水を浄化するために非常に長い時間を要するという課題がある。
特開2001−212552号公報 特開2003−10834号公報
本発明は、従来技術における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、油の分解処理による有害物質の発生がなく、また、油の分解処理に特別な再生処理及び補助燃料を必要とせず、短時間で効率良く油を分解して除去することができる油の分解装置及び油の分解方法、並びに該油の分解方法を用い、迅速かつ安全に油で汚染された地下水を浄化することができる油汚染地下水の浄化方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 油を処理可能な油処理手段と、該油処理手段にオゾンを供給可能なオゾン供給手段とを有することを特徴とする油の分解装置である。
該油の分解装置においては、油を処理可能な油処理手段と、該油処理手段にオゾンを供給可能なオゾン供給手段とを有するので、油の分解処理による有害物質の発生がなく、また、油の分解処理に特別な再生処理及び補助燃料を必要とせず、短時間で効率良く油を分解して除去することができる。
<2> 油処理手段が、透水材を充填してなる充填体である前記<1>に記載の油の分解装置である。
該油の分解装置においては、油処理手段が、透水材を充填してなる充填体であるので、短時間で効率良く油を分解処理することができる。
<3> 透水材が、粒径0.1mm〜100mmの砂及び砕石の少なくともいずれかである前記<2>に記載の油の分解装置である。
該油の分解装置においては、透水材として所定の粒径の砂及び砕石を用いるので、透水性が良好であり、接触効率が向上し、短時間で効率よく油を分解処理することができる。
<4> オゾン供給手段が、微細気泡オゾンを供給する前記<1>から<3>のいずれかに記載の油の分解装置である。
該油の分解装置においては、オゾンとして微細気泡オゾンを用いることにより、界面総面積が大きくなり、汚染油を吸着し易くなる。また、気液界面が大きくなり、オゾンの溶解性が向上し、微細気泡オゾンは浮上速度が遅いため、吸着した汚染油を話しにくい。したがって、短時間で効率良く、油を分解処理することができる。
<5> 油が汚染油である前記<1>から<4>のいずれかに記載の油の分解装置である。該油の分解装置は、汚染油、特に油で汚染された地下水の油の分解に好適に用いられる。
<6> オゾンを供給した透水材を充填してなる充填体に、油を透過させることを特徴とする油の分解方法である。
該油の分解方法においては、オゾンを供給した透水材を充填してなる充填体に、油を透過させることにより、油の分解処理による有害物質の発生がなく、また、油の分解処理に特別な再生処理及び補助燃料を必要とせず、短時間で効率良く油を分解して除去することができる。
<7> 透水材が、粒径0.1mm〜100mmの砂及び砕石の少なくともいずれかである前記<6>に記載の油の分解方法である。
該油の分解方法においては、透水材として所定の粒径の砂及び砕石を用いるので、透水性が良好であり、短時間で効率よく油を分解処理することができる。
<8> オゾンが、微細気泡オゾンである前記<6>から<7>のいずれかに記載の油の分解方法である。
該油の分解方法においては、オゾンとして微細気泡オゾンを用いることにより、界面総面積が大きくなり、汚染油を吸着し易くなる。また、気液界面が大きくなり、オゾンの溶解性が向上し、微細気泡オゾンは浮上速度が遅いため、吸着した汚染油を話しにくい。したがって、短時間で効率良く油を分解処理することができる。
<9> 油が汚染油である前記<6>から<8>のいずれかに記載の油の分解方法である。該油の分解方法は、汚染油、特に油で汚染された地下水の油の分解に好適に用いられる。
<10> 前記<6>から<9>のいずれかに記載の油の分解方法を用いた油汚染地下水の浄化方法であって、
油で汚染された地下水が油処理手段内を通流するように該油処理手段を地中に造成し、オゾンを供給した油処理手段に該油で汚染された地下水を通過させることを特徴とする油汚染地下水の浄化方法である。
該油汚染地下水の浄化方法においては、本発明の前記油の分解方法を用い、迅速かつ安全に油で汚染された地下水を浄化することができる。
<11> 油処理手段が、透過反応壁である前記<10>に記載の油汚染地下水の浄化方法である。
該油汚染地下水の浄化方法においては、油処理手段として透過反応壁を用いることにより、迅速かつ安全に油で汚染された地下水を浄化することができる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、油の分解処理による有害物質の発生がなく、また、油の分解処理に特別な再生処理及び補助燃料を必要とせず、短時間で効率良く油を分解して除去することができる油の分解装置及び油の分解方法、並びに該油の分解方法を用い、迅速かつ安全に油で汚染された地下水を浄化することができる油汚染地下水の浄化方法を提供することができる。
(油の分解装置及び油の分解方法)
本発明の油の分解装置は、油処理手段と、オゾン供給手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明の油の分解方法は、オゾンを供給した透水材を充填してなる充填体に、油を透過させる工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の油の分解方法は、本発明の油の分解装置により好適に実施することができる。以下、本発明の油の分解装置及び油の分解方法について詳細に説明する。
<油処理手段>
前記油処理手段としては、油を分解する処理のための手段であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば透水材を充填してなる充填体などが好適に挙げられる。前記充填体は、地下、又は地上に設置してもよく、輸送用車両に積載し、移動可能な油処理装置であってもよい。
−透水材−
前記透水材としては、特に制限はなく、目的に応じてその種類、形状、大きさなどについては適宜選択することができる。
前記透水材の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば砂、砂利、砂礫、砕石、又はこれらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、砂又は砕石が特に好ましい。前記砕石又は砂は、形状、大きさにばらつきがある。このため、充填体としたとき、砕石同士の間に形成される隙間が、規則的な一定の隙間とならず、複雑な形状の隙間を形成する。この隙間によって水とオゾンガスの流れは制限され、この隙間でオゾンガスと油の接触を促し、分解を促進させることができる。
前記透水材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば粒状、砂状、砕石状、不定形状、などが挙げられる。
前記透水材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば粒径0.1mm〜100mmが好ましく、0.35mm〜100mmがより好ましい。前記粒径が0.1mm未満であると、透水性が低下することがあり、前記粒径が100mmを超えると、接触効果が弱まり、分解性能が低下することがある。
前記透水材は、油処理手段として透過反応壁を用いる場合には、該透過反応壁を造成する地下水層の地質、地下水の流速、地下水層の幅、長さなどに応じて、透水材の粒径、使用量、などを適宜選定することができる。また、前記透水材は、透過反応壁を造成する周囲の土質と同等か、又はこれよりも高い透水係数のものを用いることが好ましい。
−充填体−
前記充填体としては、前記透水材を充填し、油を処理可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)透水材を充填した容器、(2)透水材を充填したカラム、(3)透過反応壁(Permeable Reactive Barrier;PRB)などが挙げられる。これらの中でも、油汚染地下水を浄化する場合には透過反応壁(PRB)が特に好ましい。このように充填体は、透水材がなんらかの容器、又は空間に収納され、透水材が極端に分散されないように充填されて、透水可能な状態なものである。
前記透過反応壁は、帯水層中の地下水の流路に設けられ、地下水が透過反応壁を通過する間に、地下水中の汚染油を分解し除去する。
このような透過反応壁は、まず、汚染された地下水が流れる帯水層中の流路に、地下水が流れる方向と垂直に帯水層下の不(難)透水層まで至る溝を掘削し、該溝に透水材を地上で予め水と混合したスラリーを充填して、透過反応壁を形成する。
また、汚染された地下水が流れる帯水層中の流路に溝を掘削して上記のように透過反応壁(gate)を形成し、流路の他の部分に地下水を堰き止めるように不透水性の矢板を打ち込んで遮水壁(funnel)を作製する。いわゆるfunnel&gate法を採用してもよい。この場合、前記遮水壁によって地下水の流れを一ヶ所に集中させて、そこに配置した透過反応壁を通過させることで、油を除去することができるので、透過反応壁を設ける手間を最小限に抑えることができる。
前記透過反応壁の造成は、連続した壁体とすることもできるが、柱状のものを複数本連接させて設けたり、間隔を開けてたて込む方法(例えば平面的に見たときに円柱状の反応層を千鳥状に配置する)でもよく、このような柱状の埋設物は、ボーリングマシーン等を利用して設けることができる。
−油−
前記油としては、汚染油が該当する。ここで、前記汚染油とは、ガソリン、軽油、重油、灯油、原油、機械油、潤滑油の石油系炭化水素等であって、土壌、地下水などを汚染している油を意味する。
このような汚染油は、石油の貯蔵所、石油の精製所、ガソリンスタンド跡地等において、貯蔵施設の腐食や事故による油の漏洩などが主原因となり、工場移転、土地の転売、再開発などにより顕在化してきている。
前記汚染油に含まれる汚染規制対象成分としては、例えばベンゼン、p−キシレン、フェノール、ナフタレン、PCE、TCE、cis−DCEなどが挙げられる。この場合、ベンゼン濃度が0.01mg/L未満となることが目標である。
<オゾン供給手段>
前記オゾン供給手段としては、前記油処理手段にオゾンを供給可能な手段であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば(1)酸素源とオゾン発生器とを有するオゾン発生装置からなる手段、(2)酸素源とオゾン発生器とを有するオゾン発生装置と、該オゾン発生装置とを連結した注入管からなる手段、(3)酸素源とオゾン発生器とを有するオゾン発生装置と、微細気泡発生装置と、該微細気泡発生装置とを連結した注入管からなる手段、などが挙げられる。
前記オゾンの前記油処理手段への供給方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば充填体が透水材を充填したカラムの場合には、カラムの下部からオゾンガスを供給する方法が挙げられる。また、充填体が透水材を充填した容器の場合には、オゾン発生装置を連結した注入管を容器の下部乃至側面に配置し、オゾンガスを供給する方法が挙げられる。また、充填体が透過反応壁の場合には、オゾン発生装置を連結した注入管を容器の下部乃至側面に配置し、オゾンガスを供給する方法が挙げられる。なお、オゾン微細気泡を使用する場合も同様である。
−オゾン−
前記オゾンとしては、特に制限はなく、市販のオゾン発生器を用いて供給することができる。オゾンの投入は、気体が好ましい。これは気体である方が透過反応壁内での分散が良いためである。オゾンの投入量は、分解対象である油の量に応じて適宜設定することができる。
前記オゾンの酸化反応には、オゾンにより直接反応と、オゾンから生じたOHラジカルによる酸化反応とがあり、間接反応を積極的に利用する場合には、H、紫外線などを併用することが好ましい。
前記オゾンは、例えば酸素源と、オゾン発生器とを備えた装置などにより生成することができる。
前記酸素源としては、例えば酸素ボンベ、PSA(濃縮酸素)などが挙げられる。
前記オゾン発生器におけるオゾン発生方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば紫外線、電気分解、低温放電などが挙げられる。
前記低温放電としては、例えば2枚の電極平板から構成され、電極表面に高い誘電率を有するホウケイ酸ガラス、雲母などのような絶縁体で被覆した低温放電装置を用い、交流高電圧を電極にかけると無声放電が起こり、電極平板間に流した酸素分子が解離し、他の酸素分子と再結合することによって、オゾンが発生する。
前記電気分解としては、例えば陰極に黒鉛電極、陽極に白金電極を用い、希硫酸を電気分解することによってオゾンが生成される。また同様に、固体高分子膜を白金を用いた陰極と、二酸化鉛を用いた陽極とで挟み、これを用いて水を電気分解することによりオゾン生成できる。
前記オゾンは、微細気泡の形態で用いられることが好ましい。このような微細気泡オゾンによれば、界面総面積が大きくなり、汚染油を吸着しやすくなる。また、気液界面が大きくなり、オゾン溶解性が向上する。更に、微細気泡オゾンは浮上速度が遅いため、吸着した油を離しにくい。
前記微細気泡オゾンの直径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100μm以下が好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。前記直径が100μmを超えると、オゾン自体の自己分解が早まること、浮上速度が遅くなり、気泡に吸着した油を離しやすくなることがある。
なお、オゾンが微細気泡であれば、油、又は油で汚染された汚染水の中を自由に浮遊させることができ、十分に分解が促進されるが、更に前記透水材と組み合わせることにより、分解の拡散や、前記隙間による制限、透水材に油が付着し油自体の拡散を抑制することによって接触確率を高め、オゾンの微細気泡と汚染油との接触がより積極的なものとなり、反応効率が向上する。
前記微細気泡オゾンの発生方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば加圧溶解法、超音波法、圧壊法、乱流法、電気分解法などが挙げられる。これらの中でも、加圧溶解法が特に好ましい。
前記加圧溶解法としては、例えば微細気泡発生装置を用いることができる。具体的には、水と同時にオゾンガスをポンプに吸い込み、加圧してオゾンガスを水に溶かす。その後、大気解放することで、直径20μm以下の微細気泡オゾンを極めて高濃度に生成することができる。
<その他の手段>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばオゾンガスを用いるため、環境基準を満たすように廃オゾンガス処理装置が必要となる。
前記廃オゾンガス処理装置としては、オゾンガスを廃棄除去できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、廃オゾン方法としては、例えば活性炭による吸着、電気分解法、加熱法などが挙げられる。
本発明の油の分解装置及び油の分解方法においては、汚染油の分解除去を必要とする油汚染土壌や油汚染地下水の浄化などの各種用途に好適に用いることができるが、特に以下に説明する汚染地下水の浄化方法に好適に用いられる。
(油汚染地下水の浄化方法)
本発明の油汚染地下水の浄化方法は、本発明の前記油の分解方法を用いたものであり、油で汚染された地下水が油処理手段内を通流するように該油処理手段を地中に造成し、オゾンを供給した油処理手段に該油で汚染された地下水を通過させる。
前記油処理手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透過反応壁(PRB)が特に好ましい。前記透過反応壁としては、上述したものを用いることができる。
前記透過反応壁は、地下水が該透過反応壁に供給されるオゾンガスと接することができるように設置するが、それには、汚染を受けている土壌深部の地下水の易透過層をカバーするように、そして易透過層下方に位置する難透過層にまで反応壁下縁が達するか、または埋設されるように該反応壁を地中に設置するのが好ましい。また、透過反応壁の透水係数が近隣の土質と比較して同じレベルか、若しくはそれより高くなるように透水性の良好な反応壁に構成するのが好ましい。
ここで、図1は、本発明の油汚染地下水の浄化方法に用いる油処理手段の一例としての透過反応壁(Permeable Reactive Barrier;PRB)を示した概略図、図2は、透過反応壁の構造を示す図である。
図1に示すように、油汚染源1からの汚染した汚染地下水2の流れの下流域に該地下水の流れを横切るように、透過反応壁10を造成する。汚染地下水は透過反応壁10を通過する際に、地下水中の汚染油がオゾンで分解されて、浄化され、浄化された地下水となる。
透過反応壁10は、まず、油で汚染された地下水が流れる帯水層中の流路に、地下水が流れる方向と垂直に帯水層下の不(難)透水層まで至る溝を掘削し、該溝に、透水材を地上で予め水と混合したスラリーを充填して、透過反応壁10を形成する。これにより、油汚染源1から地下水中に混入した汚染油は、図中矢印で示す地下水の流れに乗って透過反応壁10内を通過し、その際、透過反応壁10内のオゾンガスと接して油を分解する。この地下水の流れを透過反応壁10の方向に導くため、矢板等による案内壁を必要に応じて設けたり、また、透過反応壁10の背後(地下水が反応壁を通過した側)に井戸を設けて地下水を汲み上げ、その負背圧で汚染地域の地下水を透過反応壁10に流れ込むようにすることもできる。
図2に示すように、油で汚染された地下水2が流れる帯水層中の流路に造成された透過反応壁10内にオゾンガスを供給するための注入管5を透過反応壁10の下部に設け、該注入管5にオゾン供給手段からオゾンガスを供給することにより、透過反応壁内にオゾンを充分に導入する。この透過反応壁10に油で汚染された地下水を通過させることにより、短時間で効率良く油を分解することができる。この場合、オゾンガスとして、直径20μm以下の微細気泡状態のオゾンを用いると、更に短時間で効率よく油を分解することができる。
また、透過反応壁での地下水面には、油が浮遊することも予想され、該浮遊した油は別途ポンプなどで汲み上げることによって地下水からの油の分離が可能となり、地下水の浄化を補助することができる。
本発明の油汚染地下水の浄化方法によれば、本発明の前記油の分解方法により、短時間で効率良く油を分解除去でき、浄化された地下水中のベンゼン濃度が0.01mg/L未満であり、油膜及び油臭がなく、全石油系炭化水素(TPH)が5mg/L未満の基準を達成することができる。
また、本発明の油汚染地下水の浄化方法によれば、汚染物質が雑多に高く、透過反応壁にて十分に浄化できない場合でも、特殊な薬剤等を用いないため、他の浄化方法にて連続して処理可能であり、あらゆる汚染現場に適応可能である。
以下、本発明の実施例について図面を用いて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
参考例1)
−オゾンによる油分分解効果の確認−
図3に示すように、イオン交換水1Lに軽油10μL(8.2mg/L)を添加した油汚染サンプルを反応容器9内に入れ、スターラー11で攪拌しながら、オゾン発生装置4から供給されるオゾンガスによりオゾンガス処理を実施した。漏れ出したオゾンガスは、廃オゾン処理装置12で廃棄処理した。なお、KIによる滴定法により測定した注入した入り口側のオゾンガス濃度は38.4g/mであった。
油汚染サンプルの油分濃度を、四塩化炭素(CCl)抽出し、IRで測定した結果を図4に示す。
図4の結果から、オゾンにより油(軽油)が効率良く分解されることがわかった。
(実施例2)
−油処理手段に供給したオゾンマイクロバブルの油分解効果の確認−
図5に示すように、7号砕石(粒径5mm〜20mm)の砕石を透水材として充填し、充填体を形成した容器(ステンレス製、内容積100L)内に、軽油1,380gと水とを混合して40Lとした油汚染水を入れ、オゾン発生装置4からオゾンマイクロバブル(バブル直径:25μm以下)を容器内の下部から供給して、オゾンマイクロバブル処理を行った。なお、漏れ出したオゾンガスは、廃オゾン処理装置12で廃棄処理した。処理時間は8時間とした。
オゾンマイクロバブルを容器内に供給すると、液中の油は分解されるが、液面に浮上する油もある。この油は、液面にて回収した。結果を図6に示す。
8時間の処理によって、液面に浮上した分解残りの軽油を回収した軽油回収量は492gとなった。また、容器内に残った油の量を、分析により求めたところ、410gであった。即ち、本実施により478gの油が分解できた(油全量1300g−回収量492g−残量410g)。差分から計算すると、オゾンマイクロバブル処理による軽油分解速度は59.7g/hrであった。
なお、サンプルの採取はドラム缶の液高さの中心付近から行った。また、油分回収は、油水分離槽13から行った。
実施例1及び実施例2の結果から、オゾンとマイクロバブルを併用することにより、オゾンによる軽油分解速度が飛躍的に向上することが認められた。即ち、オゾンマイクロバブル処理の方が短時間で軽油回収量が最大になっていることが認められた。これは、オゾンを微細気泡する処理により、オゾンと油の接触効率が向上し、油を酸化しやすくなったためであると考えられる。更に、砕石に油が付着して油が移動し難くなったため、オゾンと接触し易くなったことも考えられる。
(参考例
参考例1において、ガスをオゾンからエアーに変えて、同様の処理を8時間行った。その結果、油回収量は534g、油残量は410gであった。この処理により、356gの油が分解できた(油全量1300g−回収量534g−残量410g)。差分から計算すると、この処理による軽油分解速度は44.5g/hrであった。
(参考例
参考例1では、容器内の状態が観察できないため、円筒状の長さ1m、容積40Lの透明ガラスカラムを用いて油の分解状態を観察した。観察は、参考例1と同様の砕石である透水材を透明ガラスカラムに充填し充填体を形成し、参考例1と同様濃度の油と水の汚染液を充填体より上部にある透明ガラスカラムの空間まで液を入れ、ガスをカラム下部から導入し、透明ガラスカラムにてガスを回収した以外は、参考例1と同様に行った。油の浮上、充填体及び液の状態を、透明ガラスカラムを目視することにより観察した。その結果、透明ガラスカラム内においては、液面には油が浮上し、その液面周辺は濁っていた。充填体の部分については、液の濁りはなく、気泡等の残存も見られなかった。
(参考例
参考例において、オゾンガスをエアーとして同様に観察した。その結果、透明ガラスカラム内においては、液面には油が浮上し、その液面周辺は濁っていた。充填体の部分にも液の濁りがあり、気泡等の残存も見られた。この気泡が油の浮上を抑制し、充填体への残留を促していると思われた。
参考例及び参考例の結果から、充填体とエアーとマイクロバブル処理を併用することによって、液面以下において油の分解が十分になされていることがわかった。また、油の充填体への吸着も低下していることがわかった。
本発明の油の分解装置及び油の分解方法は、有害物質の発生がなく、再生処理及び補助燃料を必要とせず、短時間で効率良く油を分解して除去することができるので、特に油汚染地下水の浄化に好適である。
図1は、本発明の油汚染地下水の浄化方法に用いる透過反応壁の一例を説明するための説明図である。 図2は、本発明の油汚染地下水の浄化方法に用いる透過反応壁の他の一例を説明するための説明図である。 図3は、実施例1で用いたオゾン発生装置を示す概略図である。 図4は、実施例1における処理時間と油分濃度の関係を示すグラフである。 図5は、実施例2で用いた油分解装置の一例を示す概略図である。 図6は、実施例2の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 汚染源
2 油汚染地下水
4 オゾン発生装置
5 オゾン注入管
6 オゾンバブル
7 オゾン発生器
8 酸素源(酸素ボンベ)
9 反応容器
10 透過反応壁(PRB)
11 スターラー
12 廃オゾン処理装置
13 油水分離槽

Claims (6)

  1. 粒径0.1mm〜100mmの砂及び砕石の少なくともいずれかである透水材を充填してなる充填体を有する汚染油を処理可能な油処理手段と、
    水と同時にオゾンガスをポンプに吸い込み、加圧してオゾンガスを水に溶かした後大気開放する加圧溶解法により直径25μm以下の微細気泡オゾンを発生させ、前記発生させた微細気泡オゾンを前記油処理手段に供給するオゾン供給手段とを有し、
    前記汚染油が、ガソリン、軽油、重油、灯油、及び原油の少なくともいずれかであることを特徴とする油の分解装置。
  2. 加圧溶解法が、水と同時にオゾンガスをポンプに吸い込み、加圧してオゾンガスを水に溶かした後大気開放して、直径20μm以下の微細気泡オゾンを発生させる請求項1に記載の油の分解装置。
  3. 水と同時にオゾンガスをポンプに吸い込み、加圧してオゾンガスを水に溶かした後大気開放する加圧溶解法により、直径25μm以下の微細気泡オゾンを発生させ、前記発生させた微細気泡オゾンを充填体に供給し、前記微細気泡オゾンを供給した粒径0.1mm〜100mmの砂及び砕石の少なくともいずれかである透水材を充填してなる充填体に、ガソリン、軽油、重油、灯油、及び原油の少なくともいずれかである汚染油を透過させることを特徴とする油の分解方法。
  4. 加圧溶解法が、水と同時にオゾンガスをポンプに吸い込み、加圧してオゾンガスを水に溶かした後大気開放して、直径20μm以下の微細気泡オゾンを発生させる請求項3に記載の油の分解方法。
  5. ガソリン、軽油、重油、灯油、及び原油の少なくともいずれかである汚染油で汚染された地下水が、透過反応壁内を通流するように該透過反応壁を地中に造成し、
    水と同時にオゾンガスをポンプに吸い込み、加圧してオゾンガスを水に溶かした後大気開放する加圧溶解法により、直径25μm以下の微細気泡オゾンを発生させ、前記発生させた微細気泡オゾンを前記透過反応壁に供給し、前記微細気泡オゾンを供給した前記透過反応壁に、前記汚染油で汚染された地下水を通過させることを特徴とする油汚染地下水の浄化方法。
  6. 加圧溶解法が、水と同時にオゾンガスをポンプに吸い込み、加圧してオゾンガスを水に溶かした後大気開放して、直径20μm以下の微細気泡オゾンを発生させる請求項5に記載の油汚染地下水の浄化方法。
JP2007025186A 2007-02-05 2007-02-05 油の分解装置及び油の分解方法、並びに油汚染地下水の浄化方法 Active JP5254554B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007025186A JP5254554B2 (ja) 2007-02-05 2007-02-05 油の分解装置及び油の分解方法、並びに油汚染地下水の浄化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007025186A JP5254554B2 (ja) 2007-02-05 2007-02-05 油の分解装置及び油の分解方法、並びに油汚染地下水の浄化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008188526A JP2008188526A (ja) 2008-08-21
JP5254554B2 true JP5254554B2 (ja) 2013-08-07

Family

ID=39749139

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007025186A Active JP5254554B2 (ja) 2007-02-05 2007-02-05 油の分解装置及び油の分解方法、並びに油汚染地下水の浄化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5254554B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023159283A1 (pt) * 2022-02-25 2023-08-31 Coelho Silton Raimundo Nonato Processo de desoleificação de água e efluentes, usos de um subprocesso de condicionamento eletromagnético e/ou um subprocesso de geração de microbolhas para dissolução do ozônio e seus métodos

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2672200B2 (ja) * 1991-05-24 1997-11-05 株式会社クボタ オゾン接触反応槽
US5698092A (en) * 1995-08-07 1997-12-16 Chen; Youzhi In-situ oxidizing zone remediation system for contaminated groundwater
JP4112122B2 (ja) * 1999-06-28 2008-07-02 前澤工業株式会社 地下水中有害物質の除去方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008188526A (ja) 2008-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101278088B1 (ko) 토양 및 지하수 오염 정화용 화학적 생물학적 복합처리형 투수성 반응벽체
WO2014138062A1 (en) Method and apparatus for treating perfluoroalkyl compounds
JP2007253059A (ja) 油汚染土壌の原位置浄化方法
WO2019113268A1 (en) Enhanced system and method for treatment of soil and groundwater contaminated with pfas
US7666316B2 (en) Permanganate-coated ozone for groundwater and soil treatment with in-situ oxidation
WO2021091840A1 (en) A method and apparatus for in-situ removal of per- and poly-fluoroalkyl substances
JP2007260610A (ja) 汚染土壌の浄化方法
JP5430056B2 (ja) 汚染土壌の処理方法
CN205347057U (zh) 一种油田三次采油废水处理系统
KR100341957B1 (ko) 석유계 기름 오염토양의 정화방법 및 장치
KR100983532B1 (ko) 오염 토양 및 지하수의 정화 방법 및 그 장치
KR100708396B1 (ko) 유수 분리장치
JP2010075887A (ja) 汚染土壌および地下水の浄化方法
JP5254554B2 (ja) 油の分解装置及び油の分解方法、並びに油汚染地下水の浄化方法
CN112661353A (zh) 一种撬装式石油烃污染场地修复的污水处理装置
JP2010110681A (ja) 揮発性炭化水素の回収処理装置
JP2009233630A (ja) 汚染物質の分離方法及びそのための設備
JP2005279548A (ja) 汚染土壌の浄化方法
CN212198810U (zh) 一种利用气浮装置修复含石油烃的复合污染地下水的系统
JP2016168579A (ja) 水処理装置および水処理方法
JP2012035181A (ja) 汚染土壌及び汚染地下水の原位置浄化処理方法
JP2004025107A (ja) 汚染浄化システム
JP5183538B2 (ja) 余剰汚泥減量装置
JP2010075883A (ja) 汚染土壌および地下水の浄化方法
KR100377911B1 (ko) 지하수 거동에 따른 유류오염원의 확산방지 및 처리를 위한 통합적인 유로 유도형 오염처리장치 및 그설치방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110916

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120228

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20120307

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20120330

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130418

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5254554

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160426

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250