JP5252732B2 - 円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法 - Google Patents
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最初に、図14で示すように、地中Gに削孔したボーリング孔1に円筒状弾性部材付きパイプ(たとえば、塩化ビニル管)2を、円筒状弾性部材付きパイプ2の先端がボーリング孔1の先端(切羽)1fに達するように配置する。
円筒状弾性部材付きパイプ2の外周には、所定のピッチで複数の逆止弁3が配置されている。逆止弁3は、スリーブ状(円筒状)の弾性部材(図示の例ではゴム製)で構成されている。
注入用ロッド4は、ロッド先端4f近傍に1対のパッカ5、5が、注入ロッド4の外周を覆うように装着されている。
1対のパッカ5、5は、当該1対のパッカ5、5により、先端側(切羽1f側)から2番目の円筒状の逆止弁3(3B)を跨ぐ距離に配置される。
ここで、注入用ロッド4における、1対のパッカ5、5によって挟まれた領域Sには、図示では明示していないが、注入孔が形成されている。当該注入孔は、瞬結性の固化材を注入するための注入孔と、緩結性の固化材を注入するための注入孔とを有している。
注入孔から注入された瞬結性の固化材は、円筒状弾性部材付きパイプ2の外周2oに配置された逆止弁3を経由して、ボーリング孔1内に流入する。ボーリング孔1内に流入した固結材は、2液混合タイプのものであれば直ちに混合されて瞬時に固まり、円筒状弾性部材付きパイプ2の外周2oとボーリング孔1との間に、シールグラウト(プラグ)6を形成する。
当該シールグラウト6は、図19で後述するように、円筒状弾性部材付きパイプ2の外側に注入された注入材が、羽口側(矢印1r側)に流出しないように、円筒状弾性部材付きパイプ外周2oとボーリング孔1との間の空間を閉塞するシール材として作用する。
図19の工程では、注入用ロッド4に形成された複数の注入孔から、地山Gを安定させる注入材Mを、円筒状弾性部材付きパイプ2の内部に注入する。
円筒状弾性部材付きパイプ2の内部に注入した注入材(緩結性注入材)Mは、逆止弁3(3A)からボーリング孔1を経由して、土壌Gに浸透する。この際に、シールグラウト6により、注入材Mが羽口側(矢印1r側)に漏出することは防止される。
注入材Mを地山Gに浸透させた後、図20の工程では、1対のパッカ5を収縮させて、注入用ロッド4を羽口側(矢印1r側)に移動し(戻し)、1対のパッカ5、5を、切羽1f側から4番目の円筒状の逆止弁3(3D)を挟む様に配置する。
そして、図16〜図19で説明したのと同様に施工する。
しかし、当該4工程を有するため、従来技術では施工が煩雑となり、時間もかかる。
そして複数の領域で、「パッカの膨張(図16の工程)」、「シールグラウトの充填(図17の工程)」、「パッカの(再度の)膨張(図18の工程)」、「注入材の注入(図19の工程)」の4工程を行わなければならないので、施工の煩雑さ、施工時間の長期化が非常に大きな問題となる。
しかし、羽口1rのみをシールグラウトする施工では、施工領域の全域に亘って地層が変化する我国の地盤(複層地盤)については、適切な対処が困難であるという問題を有している。
図21では、注入用ロッド4にパッカ5が3箇所(5A、5B、5C)設けられている。
係る工法では、「パッカの膨張」、「シールグラウトの充填及び注入材の注入」に際して、3つのパッカが同時に膨張するように構成している。
切羽1f側の2つのパッカ(パッカ5A、5B)間の領域では、注入用ロッド4の注入材系統を介して注入材Mを噴射し、施工するべき地盤Gに注入材Mが注入される。注入材Mは、切羽1f側の2つのパッカ5A、5Bの間に位置する円筒状弾性部材付きパイプの逆止弁3Aを介して、施工するべき地盤(地山)G中に注入材Mが注入される。
そのため、シールグラウトの充填及び注入材Mの注入と、パッカの膨張の2工程で、注入工法を実施することが出来る。
すなわち、図21で示す注入用ロッド4では、注入材を1系統、シールグラウトを2系統(通常は2液混合タイプの固化材を使用するため)、パッカの膨張用流体が1系統と、最低でも合計4系統が必要となる。
そのため、図21で示す様な注入用ロッド4を使用した場合には、当該ロッド4の構造が複雑なことに起因して、注入工法の施工が煩雑化してしまい、施工コストの高騰を招いてしまう。
しかし、従来の注入は、逆止弁3(3A)の孔のみから注入材が地山に注入される。
そのため、注入ロッド4の長手方向について、均一に注入材を注入することは困難であった。
しかし、係る従来技術(特許文献1)では、パッカの膨張、シールグラウトの充填、注入材の注入を、同時に行うという要請に応えることは出来ない。そして、シールグラウトの充填と注入材の注入を同時に行うためには、複雑な構成を有する機器を使用しなければならない。
また、係る従来技術では、所定の領域の全域に亘って均一に注入材を注入することが出来ない。
及び/又は、第1の円筒状弾性部材(32)の厚さ寸法(弾性部材の半径方向寸法)を、第2の円筒状弾性部材(31)の厚さ寸法(弾性部材の半径方向寸法)よりも小さく(例えば、1/10程度)することが可能である。
さらに、第1の貫通孔(23)の数が第2の貫通孔(22)よりも多く、及び/又は、第1の貫通孔(23)の大きさが第2の貫通孔(22)よりも大きいことが好ましい。
それに加えて、パイプ(21)の第1の円筒状弾性部材(32)で被覆されている領域に形成された第1の貫通孔(23)には、逆止弁(8)が設けられているのが好ましい。
長手方向に間隔を空けて取り付けられた2個のパッカ(5A、5B)を有するロッド(パッカ挿入ロッド7)を前記円筒状弾性部材付きパイプ(20)内に挿入する工程(図4)と、
第1の円筒状弾性部材(32)で被覆されたパイプ(21)の領域に形成された第1の貫通孔(23)と、第2の円筒状弾性部材(31)で被覆されたパイプ(21)の領域に形成された第2の貫通孔(22)が、2個のパッカ(5A、5B)の間となる位置までパッカ(5A、5B)を移動し、当該位置でパッカ(5A、5B)を膨張するパッカ膨張工程(図5)と、
前記ロッド(2個のパッカを有するロッド:パッカ挿入ロッド7)の2個のパッカ(5A、5B)の間の領域から注入材を前記円筒状弾性部材付きパイプ(20)内に供給する注入材供給工程(図6)と、
供給された注入材(M)が第1の貫通孔(23)を介して第1の円筒状弾性部材(32)内に充填されて第1の円筒状弾性部材(32)を膨張し、膨張した第1の円筒状弾性部材(32)がボーリング孔(1)の内壁面(1i)と密着する円筒状弾性部材膨張工程(図6)と、
供給された注入材(M)が第2の貫通孔(22)を介して第2の円筒状弾性部材(31)と前記円筒状弾性部材付きパイプ(20)外壁面(20o)との境界を流れ、第2の円筒状弾性部材(31)に形成された複数の開口(311)を介して地山(G)に注入される注入工程(図7)を有し、
圧損の差に起因して、第2の円筒状弾性部材(31)の複数の開口(311)を介して注入材(M)が地山(G)に注入されるのは(注入工程:図7)、第1の円筒状弾性部材(32)が膨張する(円筒状弾性部材膨張工程:図6)よりも後になることを特徴としている。
ここで、円筒状弾性部材付きパイプ(20)のパイプ(21)内に(パッカ挿入ロッド7を介して)注入材が供給されてから第1の円筒状弾性部材(32)が膨張するまでの圧損に比較して、パイプ(21)内に注入材が供給されてから第2の円筒状弾性部材(31)の開口(311)から注入材(M)が流出するまでの圧損の方が大きい。
そのため、第1の円筒状弾性部材(32)の膨張は、第2の円筒状弾性部材(31)から注入材(M)が流出することに対して、常に先行することになる。
また、注入材は複数の開口(311)から注入されるので、従来技術の様に単一の注入材注入用孔から注入する場合に比較して、第2の円筒状弾性部材31の開口311からの注入材の流出する際に、注入するべき領域全体に亘って注入材を均一に注入することが可能となる。
先ず、図1〜図9を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
第1実施形態においては、先ず、図1と図2を参照して、円筒状弾性部材付きパイプ20について説明する。
図1では、円筒状弾性部材付きパイプ本体21の先端21fが、地山Gに削孔されたボーリング孔1の切羽1f側近傍まで挿入された状態が示されている。そして、長い円筒状ラバー部材31が切羽1f側に配置され、短い円筒状ラバー部材32が羽口側(矢印1r側)に配置されている。
円筒状弾性部材付きパイプ本体(パイプ)21における長い円筒状ラバー部材31に覆われた領域には、貫通孔22(第2の貫通孔)が形成されている。
ここで、長い円筒状ラバー部材31を設けた箇所において、複数の注入材注入用の孔311と、パイプ21の複数の貫通孔22とは、整合していない。すなわち、孔311と貫通孔22は、長手方向或いは周方向において、その位置は同一ではない。
短い円筒状ラバー部材32は、その内部に注入材を注入すると膨張して(図2参照)、切羽側と羽口側とを遮断してシールする作用(パッカやシールグラウトと同様な作用)を奏するように構成されている。
なお、図2において、短い円筒状ラバー部材32に覆われた領域の貫通孔23に、符号8で示す様な弾性材(例えば、ゴム製)の逆止弁を設けても良い。
パッカ挿入ロッド7には、先端近傍にパッカ5Aが配置され、パッカ5Aから羽口側(符号1r側)に所定距離だけ離れた位置に、パッカ5Bが設けられている。
長い円筒状ラバー部材31と短い円筒状ラバー部材32との距離は、当該ラバー部材31、32が、二つのパッカ5A、5Bに挟まれるように設定されている。
図2において、二つのパッカ5A、5Bに、例えばパッカ挿入ロッド7の供給系統(図示せず)から、パッカ膨張用の流体(例えば高圧エア)を供給して、パッカ5A、5Bを膨張させる。パッカ5A、5Bを膨張することにより、パイプ21内におけるパッカ5A、5B間の領域Sを、パイプ21内のその他の領域から区画している。
貫通孔23を介してパイプ21外に流出した注入材は、短い円筒状ラバー部材32内に流入する。
ここで短い円筒状ラバー部材32には、貫通孔やスリットの類が形成されていないため、パイプ21の貫通孔23を流れる注入材により、短い円筒状ラバー部材32は膨張する。短い円筒状ラバー部材32が膨張することにより、ボーリング孔1内壁に短い円筒状ラバー部材32が密接し、パイプ21とボーリング孔1の内壁との環状空間を、長手方向についてシールする。係る状態は、従来技術において、「シールグラウトをかけた」状態に相当する。
図2において、符号Fmの矢印線は、パイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を流れる注入材の流線を示している。
その理由を以下に詳述する。
第1に、パイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を注入材が流れる際の抵抗或いは圧損は、パイプ21に形成された貫通孔23を介して短い円筒状ラバー部材32に注入材が流入する際の抵抗(圧損)に比較して、遥かに大きい。
第2に、明確には図示されていないが、長い円筒状ラバー部材32の変形し易さのパラメータは、短い円筒状ラバー部材31の変形し易さのパラメータよりも小さく(例えば、1/10程度)、変形し難い。そのため、パイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を注入材が流れようとしても、長い円筒状ラバー部材31は変形し難いため、圧損が大きいのである。
第4に、明確には図示されていないが、長い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔22の数は、短い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔23よりも少ないため、貫通孔22を注入材が流れる際の圧損及び抵抗が大きい。
第5に、長い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔22の断面積は、短い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔23の断面積よりも小さいため、貫通孔22を注入材が流れる際の圧損及び抵抗が大きい。
短い円筒状ラバー部材32が膨張してから、長い円筒状ラバー部材31の注入材注入用孔311を介して注入材がボーリング孔1内に流出するまでの時間的遅れは、無制限に長くするのではなく、施工現場の仕様その他に起因して、最適な値が存在する。
係る時間的遅れを最適にするために、長い円筒状ラバー部材32の変形し易さのパラメータと短い円筒状ラバー部材31の変形し易さのパラメータとを等しく、或いは、長い円筒状ラバー部材32の変形し易さのパラメータを短い円筒状ラバー部材31の変形し易さのパラメータよりも大きくして(例えば、10倍程度)、長い円筒状ラバー部材32を変形し易くすることもあり得る。
さらに、長い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔22の数を、短い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔23以下にすることも有り得る。
同様に、長い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔22の断面積を、短い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔23の断面積以上にすること可能性も存在する。
従って、注入材がパイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を流れて開口部311から地山Gに注入されるまでの時間に比較して、貫通孔23から短い円筒状ラバー部材32に注入された注入材によって短い円筒状ラバー部材32が膨張するのに必要な時間は、遥かに短くて済む。
そのため、短い円筒状ラバー部材32が膨張してから、長い円筒状ラバー部材31の注入材注入用孔311を介して注入材が流出するまでに、時間的遅れが生じる。係る時間的遅れにより、短い円筒状ラバー部材32が膨張してボーリング孔1を長手方向について閉塞した後に、長い円筒状ラバー部材31の開口部311から注入材が流出するのである。
すなわち、地上側において、「円筒状ラバー部材32を膨張させる」という特別な操作を行わなくても、短い円筒状ラバー部材32が膨張してボーリング孔1を長手方向について閉塞し、「円筒状ラバー部材32の膨張後、長い円筒状ラバー部材31の開口部311から注入材を地山Gに注入する」という特別な操作を行わなくても、切羽1fと短い円筒状ラバー部材32が膨張した個所との間の領域Eに注入材が注入される。
そのため、第1実施形態によれば、地上側では、「パッカ膨張用の高圧流体の供給」および「注入材の供給」と言う2工程のみを行えば、羽口側(矢印1r側)に注入材が漏出すること無く、地山Gに注入材が注入される。地上側では、「シールグラウト」、「土壌に注入材注入」という2つの操作を行う必要がない。
そのため、逆止弁3の孔1箇所のみから注入材が地山に注入されている従来技術(例えば、図19参照)に比較すれば明らかなように、図2で示す第1実施形態によれば、注入材を注入するべき範囲全域において、均等な間隔にて、複数箇所から注入材が注入され、注入材が確実に且つ均一に地山Gに浸透する。
そのため、第1実施形態では、パッカ挿入ロッド7の構成を複雑にすることなく、「シールグラウト」、「土壌に注入材注入」という2つの工程を、「パッカ挿入ロッド7を介して注入材を供給する」という単一の操作により、確実に実行することが出来る。
これに対して、図2で示すように、短い円筒状ラバー部材32内に逆支弁8を設ければ、短い円筒状ラバー部材の弾性反撥力により、注入材が円筒状弾性部材付きパイプ21内に逆流することを防止出来る。
第1実施形態に係る注入工法では、先ず、図3で示す工程において、地山Gに削孔したボーリング孔1に、図1で示す円筒状弾性部材付きパイプ20を、切羽1f側まで挿入する。
なお、円筒状弾性部材付きパイプ20は、図1、図2で説明した長い円筒状ラバー部材31及び短い円筒状ラバー部材32を、複数備えている。(長い円筒状ラバー部材31と短い円筒状ラバー部材32の組を、複数設けている。)
図5で示す工程では、パッカ5A、5Bを、例えば高圧エアの様な流体によって膨張させる。
図6で示す工程では、パッカ5A、5Bが膨張して円筒状弾性部材付きパイプ20内を閉塞した後、パッカ挿入ロッド7におけるパッカ5A、5Bの間の領域から注入材を供給する。なお、パッカ5A、5Bの間の領域における注入材供給機構の図示は省略している。
前述したように、貫通孔23から流出して短い円筒状ラバー部材32を膨張する際における注入材の圧損は、貫通孔22から長い円筒状ラバー部材31の開口部311から注入材が流出する際における圧損よりも、遥かに小さい。
そのため、先ず、貫通孔23から短い円筒状ラバー部材32内に流入する注入材によって、当該短い円筒状ラバー部材32が膨張し、ボーリング孔1内を閉塞する。
開口部311から流出した注入材Mは、ボーリング孔1の内壁部1iにおける切羽1f側と閉塞箇所とで仕切られた領域において、地山Gに浸透、注入される。
図8の工程で、パッカ5A、5Bが、切羽側1rから数えて2番目の長い円筒状ラバー部材31及び短い円筒状ラバー部材32を挟む様な位置まで、パッカ挿入ロッド7を後退させたならば、図9で示すように、図5〜図8と同様の要領で施工して、切羽1fから1つ目の短い円筒状ラバー部材32と2つ目の短い円筒状ラバー部材32との間の領域で、地山Gに注入材を浸透、注入させる。
以下、切羽1f側から羽口側1rへ戻る方向へ(図3〜図9において、左側から右側へ向かって)、順次、施工する。
ただし、図示はされていないが、羽口側1rから切羽1f側へ向かって、パッカ挿入ロッド7を押し込む方向へ順次施工することも可能である。
なお、図7の工程で供給された注入材Mの一部は、パイプ21内部に残留する。パイプ21内部に残留した当該注入材は、図8、図9において、パイプ21内の多数のドットで表現されている。
図1〜図9の第1実施形態は、ボーリング孔1が水平方向に掘削されている。
それに対して、図10の第2実施形態は、ボーリング孔1Vが垂直方向に掘削されている場合の実施形態である。
図10において、垂直方向下方が切羽側1Vfであり、垂直方向上方が羽口側(矢印1Vr側)である。
注入材の密度をρ、重力加速度をg、貫通孔22Aと23Aとの距離(図9では深度差)をhとすれば、貫通孔22Aにおける圧力は、貫通孔23Aにおける圧力よりも、ρghだけ高圧となる。
Δ>ρgh でない場合には、短い円筒状ラバー部材32が膨張してパッカとして作用する以前の段階で、長い円筒状ラバー部材31に設けられた噴射孔311から注入材が地山Gに注入されてしまう可能性がある。その場合には、短い円筒状ラバー部材32が膨張してパッカとして作用してはいないので、羽口側1rに注入材が漏出する可能性がある。
Δ=ΔP22−ΔP23 であり、 ΔP22−ΔP23>ρgh となる様に、構成する必要がある。
第1実施形態、第2実施形態では、直線状のボーリング孔に沿って、注入作業を実行している。
それに対して、図11〜図13の第3実施形態は、湾曲したボーリング孔11を削孔し、当該湾曲したボーリング孔11に沿って注入作業を行っている。
そして、図12で示す工程において、可撓性を有する小径の掘削ロッド9の、内径側の空間に、図1、図2を参照して説明した円筒状弾性部材付きパイプ20を挿入する。
この場合、円筒状弾性部材付きパイプ20も可撓性を有する材料で製造されている。
この場合、地山Gが安定しており、ボーリング孔11が崩落しないのであれば(ボーリング孔11が自立しているのであれば)、可撓性を有する小径の掘削ロッド9を地上側1rに完全に引き抜くことが出来る。
そして、図3〜図9或いは図10で説明したのと同様な態様で、注入作業を切羽1f側から地上側の羽口側1rに向かって行う。
1f・・・切羽側
1r・・・羽口側
5・・・パッカ
7・・・パッカ挿入ロッド
20・・・円筒状弾性部材付きパイプ
21・・・円筒状弾性部材付きパイプ本体
22、23・・・貫通孔
31・・・長い円筒状ラバー部材/第2の円筒状弾性部材
32・・・短い円筒状ラバー部材/第1の円筒状弾性部材
311・・・開口部/注入材注入用孔
Claims (2)
- パイプと、該パイプの長手方向に間隔をあけて配置された第1及び第2の円筒状弾性部材と、パイプが第1の円筒状弾性部材で被覆されている領域に穿孔された第1の貫通孔と、パイプが第2の円筒状弾性部材で被覆されている領域に穿孔された第2の貫通孔とを備え、第2の円筒状弾性部材には複数の開口が形成されており、パイプ内に注入材が供給されてから第1の円筒状弾性部材が膨張するまでの圧損に比較して、パイプ内に注入材が供給されて第2の円筒状弾性部材の開口から注入材が流出するまでの圧損の方が大きいことを特徴とする円筒状弾性部材付きパイプ。
- 請求項1の円筒状弾性部材付きパイプを用いて行われる注入工法において、
施工地盤に掘削されたボーリング孔に前記円筒状弾性部材付きパイプを挿入する工程と、
長手方向に間隔を空けて取り付けられた2個のパッカを有するロッドを前記円筒状弾性部材付きパイプ内に挿入する工程と、
第1の円筒状弾性部材で被覆されたパイプの領域に形成された第1の貫通孔と、第2の円筒状弾性部材で被覆されたパイプの領域に形成された第2の貫通孔が、2個のパッカの間となる位置までパッカを移動し、当該位置でパッカを膨張するパッカ膨張工程と、
前記ロッドの2個のパッカの間の領域から注入材を前記円筒状弾性部材付きパイプ内に供給する注入材供給工程と、
供給された注入材が第1の貫通孔を介して第1の円筒状弾性部材内に充填されて第1の円筒状弾性部材を膨張し、膨張した第1の円筒状弾性部材がボーリング孔の内壁面と密着する円筒状弾性部材膨張工程と、
供給された注入材が第2の貫通孔を介して第2の円筒状弾性部材と前記円筒状弾性部材付きパイプ外壁面との境界を流れ、第2の円筒状弾性部材に形成された複数の開口を介して地山に注入される注入工程を有し、
圧損の差に起因して、第2の円筒状弾性部材の複数の開口を介して注入材が地山に注入されるのは、第1の円筒状弾性部材が膨張するよりも後になることを特徴とする注入工法。
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