JP5252732B2 - 円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法 - Google Patents

円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法 Download PDF

Info

Publication number
JP5252732B2
JP5252732B2 JP2009167446A JP2009167446A JP5252732B2 JP 5252732 B2 JP5252732 B2 JP 5252732B2 JP 2009167446 A JP2009167446 A JP 2009167446A JP 2009167446 A JP2009167446 A JP 2009167446A JP 5252732 B2 JP5252732 B2 JP 5252732B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastic member
pipe
cylindrical elastic
injection
injection material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009167446A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011021386A (ja
Inventor
川 政 則 粂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chemical Grouting Co Ltd
Original Assignee
Chemical Grouting Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chemical Grouting Co Ltd filed Critical Chemical Grouting Co Ltd
Priority to JP2009167446A priority Critical patent/JP5252732B2/ja
Publication of JP2011021386A publication Critical patent/JP2011021386A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5252732B2 publication Critical patent/JP5252732B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、薬液を注入して地山を安定させる注入工法に関する。より詳細には、本発明は、注入工法に用いられる円筒状弾性部材付きパイプの改良と、当該改良された円筒状弾性部材付きパイプを用いた注入工法に関する。
一般的な円筒状弾性部材付きパイプとパッカを用いた注入工法について、図14〜図20を参照して説明する。
最初に、図14で示すように、地中Gに削孔したボーリング孔1に円筒状弾性部材付きパイプ(たとえば、塩化ビニル管)2を、円筒状弾性部材付きパイプ2の先端がボーリング孔1の先端(切羽)1fに達するように配置する。
円筒状弾性部材付きパイプ2の外周には、所定のピッチで複数の逆止弁3が配置されている。逆止弁3は、スリーブ状(円筒状)の弾性部材(図示の例ではゴム製)で構成されている。
図15の工程では、円筒状弾性部材付きパイプ2内に注入用ロッド4を挿入する。
注入用ロッド4は、ロッド先端4f近傍に1対のパッカ5、5が、注入ロッド4の外周を覆うように装着されている。
1対のパッカ5、5は、当該1対のパッカ5、5により、先端側(切羽1f側)から2番目の円筒状の逆止弁3(3B)を跨ぐ距離に配置される。
図16の工程では、1対のパッカ5に流体、例えば高圧空気が充填され、1対のパッカ5が膨張する。そして、パッカ5の外周5oが円筒状弾性部材付きパイプ2の内周2iに当接して、円筒状弾性部材付きパイプ2における1対のパッカ5、5で挟まれた領域Sは、閉空間となる。
ここで、注入用ロッド4における、1対のパッカ5、5によって挟まれた領域Sには、図示では明示していないが、注入孔が形成されている。当該注入孔は、瞬結性の固化材を注入するための注入孔と、緩結性の固化材を注入するための注入孔とを有している。
図17の工程では、注入用ロッド4の1対のパッカ5、5間に形成された注入孔から、瞬結性の固化材であるシールグラウトが注入される。
注入孔から注入された瞬結性の固化材は、円筒状弾性部材付きパイプ2の外周2oに配置された逆止弁3を経由して、ボーリング孔1内に流入する。ボーリング孔1内に流入した固結材は、2液混合タイプのものであれば直ちに混合されて瞬時に固まり、円筒状弾性部材付きパイプ2の外周2oとボーリング孔1との間に、シールグラウト(プラグ)6を形成する。
当該シールグラウト6は、図19で後述するように、円筒状弾性部材付きパイプ2の外側に注入された注入材が、羽口側(矢印1r側)に流出しないように、円筒状弾性部材付きパイプ外周2oとボーリング孔1との間の空間を閉塞するシール材として作用する。
図18の工程では、注入用ロッド4を、円筒状弾性部材付きパイプ2の先端側に移動して、1対のパッカ5、5を、先端側(切羽1f側)から1番目の逆止弁3(3A)を挟む様に配置して膨張する。
図19の工程では、注入用ロッド4に形成された複数の注入孔から、地山Gを安定させる注入材Mを、円筒状弾性部材付きパイプ2の内部に注入する。
円筒状弾性部材付きパイプ2の内部に注入した注入材(緩結性注入材)Mは、逆止弁3(3A)からボーリング孔1を経由して、土壌Gに浸透する。この際に、シールグラウト6により、注入材Mが羽口側(矢印1r側)に漏出することは防止される。
注入材Mを地山Gに浸透させた後、図20の工程では、1対のパッカ5を収縮させて、注入用ロッド4を羽口側(矢印1r側)に移動し(戻し)、1対のパッカ5、5を、切羽1f側から4番目の円筒状の逆止弁3(3D)を挟む様に配置する。
そして、図16〜図19で説明したのと同様に施工する。
図14〜図20の従来技術では、一箇所で注入材Mを地山Gに浸透させるために、「パッカの膨張(図16の工程)」、「シールグラウトの充填(図17の工程)」、「パッカの(再度の)膨張(図18の工程)」、「注入材の注入(図19の工程)」の4工程が必要である。
しかし、当該4工程を有するため、従来技術では施工が煩雑となり、時間もかかる。
そして複数の領域で、「パッカの膨張(図16の工程)」、「シールグラウトの充填(図17の工程)」、「パッカの(再度の)膨張(図18の工程)」、「注入材の注入(図19の工程)」の4工程を行わなければならないので、施工の煩雑さ、施工時間の長期化が非常に大きな問題となる。
図14〜図20で示した工法とは異なり、羽口近傍のみにシールグラウト6を行うことにより、薬液をシールする場合もある。
しかし、羽口1rのみをシールグラウトする施工では、施工領域の全域に亘って地層が変化する我国の地盤(複層地盤)については、適切な対処が困難であるという問題を有している。
ここで、パッカ挿入ロッドを、例えば図21で示す様に構成すれば、従来は別の工程として行なわれていた「パッカの膨張」、「シールグラウトの充填及び注入材の注入」を、2工程で行うことが可能である。
図21では、注入用ロッド4にパッカ5が3箇所(5A、5B、5C)設けられている。
係る工法では、「パッカの膨張」、「シールグラウトの充填及び注入材の注入」に際して、3つのパッカが同時に膨張するように構成している。
図21で示すように注入用ロッド4を構成すれば、羽口側の2つのパッカ(パッカ5B、5C)の間では、注入用ロッド4のシールグラウト系統を介して、シールグラウト用固化材が噴射される。シールグラウト用固化材は、円筒状弾性部材付きパイプのバルブ(羽口側の2つのパッカ5B、5Cの間に位置する逆止弁3B)を介して、円筒状弾性部材付きパイプ2とボーリング孔内壁1iとの間の空間に、シールグラウトのプラグ6が形成される。
切羽1f側の2つのパッカ(パッカ5A、5B)間の領域では、注入用ロッド4の注入材系統を介して注入材Mを噴射し、施工するべき地盤Gに注入材Mが注入される。注入材Mは、切羽1f側の2つのパッカ5A、5Bの間に位置する円筒状弾性部材付きパイプの逆止弁3Aを介して、施工するべき地盤(地山)G中に注入材Mが注入される。
そのため、シールグラウトの充填及び注入材Mの注入と、パッカの膨張の2工程で、注入工法を実施することが出来る。
しかし、図21で示す様な注入用ロッド4は、その構造が非常に複雑化してしまうという問題を有している。
すなわち、図21で示す注入用ロッド4では、注入材を1系統、シールグラウトを2系統(通常は2液混合タイプの固化材を使用するため)、パッカの膨張用流体が1系統と、最低でも合計4系統が必要となる。
そのため、図21で示す様な注入用ロッド4を使用した場合には、当該ロッド4の構造が複雑なことに起因して、注入工法の施工が煩雑化してしまい、施工コストの高騰を招いてしまう。
また、円筒状弾性部材付きパイプ2内に挿入する注入用ロッド4は、その径寸法を大きくすることが出来ず、しかも、最低でも合計4系統を収納しているため、個々の供給系統の径寸法は非常に小さくなり、そのため、必要に応じて流量を増加することが困難となる。その結果、各供給系統において、適正な流体搬送が難しいという問題を有している。
さらに、注入工法の施工に際して、注入材の注入或いは浸透は、注入材が浸透される領域については、長手方向で均一に行いたい、という要請が存在する。
しかし、従来の注入は、逆止弁3(3A)の孔のみから注入材が地山に注入される。
そのため、注入ロッド4の長手方向について、均一に注入材を注入することは困難であった。
その他の従来技術として、例えば、ケーシングと円筒状弾性部材付きパイプ間にシール材を充填し、円筒状弾性部材付きパイプ内に、一対のパッカとパッカ間に設けられた噴射孔とを有するインジェクションパイプを挿入して、注入材を地山に注入する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)では、パッカの膨張、シールグラウトの充填、注入材の注入を、同時に行うという要請に応えることは出来ない。そして、シールグラウトの充填と注入材の注入を同時に行うためには、複雑な構成を有する機器を使用しなければならない。
また、係る従来技術では、所定の領域の全域に亘って均一に注入材を注入することが出来ない。
特開2007−23704号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、複雑な構成を有する機器を使用することなく、パッカの膨張後、シールグラウトの充填、注入材の注入を同時に行うことが出来て、しかも、所定の領域の全域に亘って均一に注入材を注入することが出来る円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法の提供を目的としている。
本発明の円筒状弾性部材付きパイプ(20)は、パイプ(21)と、該パイプ(21)の長手方向に間隔をあけて配置された第1及び第2の円筒状弾性部材(32、31)と、パイプ(21)が第1の円筒状弾性部材(32:短い円筒状ラバー部材)で被覆されている領域に穿孔された第1の貫通孔(23)と、パイプ(21)が第2の円筒状弾性部材(31)で被覆されている領域に穿孔された第2の貫通孔(22)とを備え、第2の円筒状弾性部材(31:長い円筒状ラバー部材)には複数の開口(311:孔、溝、スリット)が形成されており、(パッカ挿入ロッド7を介して)パイプ(21)内に注入材が供給されてから第1の円筒状弾性部材(32)が膨張するまでの圧損に比較して、パイプ(21)内に注入材が供給されて第2の円筒状弾性部材(31)の開口(311)から注入材が流出するまでの圧損の方が大きいことを特徴としている。
ここで、第2の円筒状弾性部材(31)に形成された複数の開口(311:孔、溝、スリット)と、第2の貫通孔(22)は、長手方向位置が整合していないのが好ましい。パイプ(21)内に注入材が供給されてから、第2の円筒状弾性部材(31)の開口(311)から注入材が流出するまでの圧損を増加して、開口(311)から注入材が流出するタイミングを、第1の円筒状弾性部材(32)の膨張よりも確実に遅らせるためである。
本発明の円筒状弾性部材付きパイプ(20)の実施に際して、(パッカ挿入ロッド7を介して)パイプ(21)内に注入材が供給されてから、第1の円筒状弾性部材(32)が膨張するまでの圧損に比較して、第2の円筒状弾性部材(31)の開口(311)から注入材が流出するまでの圧損を大きくするために、第1の円筒状弾性部材(32)の変形し易さのパラメータを、第2の円筒状弾性部材(31)の変形し易さのパラメータよりも大きく(例えば、10倍程度)設定して、第1の円筒状弾性部材(32)を変形し易く構成するのが好ましい。
及び/又は、第1の円筒状弾性部材(32)の厚さ寸法(弾性部材の半径方向寸法)を、第2の円筒状弾性部材(31)の厚さ寸法(弾性部材の半径方向寸法)よりも小さく(例えば、1/10程度)することが可能である。
さらに、第1の貫通孔(23)の数が第2の貫通孔(22)よりも多く、及び/又は、第1の貫通孔(23)の大きさが第2の貫通孔(22)よりも大きいことが好ましい。
それに加えて、パイプ(21)の第1の円筒状弾性部材(32)で被覆されている領域に形成された第1の貫通孔(23)には、逆止弁(8)が設けられているのが好ましい。
係る円筒状弾性部材付きパイプ(請求項1の円筒状弾性部材付きパイプ20)を用いて行われる本発明の注入工法は、施工地盤(G)に掘削されたボーリング孔(1)に前記円筒状弾性部材付きパイプ(請求項1の円筒状弾性部材付きパイプ20)を挿入する工程(図3)と、
長手方向に間隔を空けて取り付けられた2個のパッカ(5A、5B)を有するロッド(パッカ挿入ロッド7)を前記円筒状弾性部材付きパイプ(20)内に挿入する工程(図4)と、
第1の円筒状弾性部材(32)で被覆されたパイプ(21)の領域に形成された第1の貫通孔(23)と、第2の円筒状弾性部材(31)で被覆されたパイプ(21)の領域に形成された第2の貫通孔(22)が、2個のパッカ(5A、5B)の間となる位置までパッカ(5A、5B)を移動し、当該位置でパッカ(5A、5B)を膨張するパッカ膨張工程(図5)と、
前記ロッド(2個のパッカを有するロッド:パッカ挿入ロッド7)の2個のパッカ(5A、5B)の間の領域から注入材を前記円筒状弾性部材付きパイプ(20)内に供給する注入材供給工程(図6)と、
供給された注入材(M)が第1の貫通孔(23)を介して第1の円筒状弾性部材(32)内に充填されて第1の円筒状弾性部材(32)を膨張し、膨張した第1の円筒状弾性部材(32)がボーリング孔(1)の内壁面(1i)と密着する円筒状弾性部材膨張工程(図6)と、
供給された注入材(M)が第2の貫通孔(22)を介して第2の円筒状弾性部材(31)と前記円筒状弾性部材付きパイプ(20)外壁面(20o)との境界を流れ、第2の円筒状弾性部材(31)に形成された複数の開口(311)を介して地山(G)に注入される注入工程(図7)を有し、
圧損の差に起因して、第2の円筒状弾性部材(31)の複数の開口(311)を介して注入材(M)が地山(G)に注入されるのは(注入工程:図7)、第1の円筒状弾性部材(32)が膨張する(円筒状弾性部材膨張工程:図6)よりも後になることを特徴としている。
本発明において、前記パッカ膨張工程(図5)と、注入材供給工程(図6)と、円筒状弾性部材膨張工程(図6)と、注入工程(図7)は、ボーリング孔(1)の切羽(1f)側から羽口側(矢印1r側)に向かって、順次、繰り返されるのが好ましい。
上述する構成を具備する本発明によれば、注入材は、前記円筒状弾性部材付きパイプ(20)と第2の円筒状弾性部材(31:長い円筒状ラバー部材)との境界を流れて、第2の円筒状弾性部材(31)に形成された複数の開口(311:注入材注入用の孔或いはスリット)を介して、施工するべき地山(G)に注入される。
ここで、円筒状弾性部材付きパイプ(20)のパイプ(21)内に(パッカ挿入ロッド7を介して)注入材が供給されてから第1の円筒状弾性部材(32)が膨張するまでの圧損に比較して、パイプ(21)内に注入材が供給されてから第2の円筒状弾性部材(31)の開口(311)から注入材(M)が流出するまでの圧損の方が大きい。
そのため、第1の円筒状弾性部材(32)の膨張は、第2の円筒状弾性部材(31)から注入材(M)が流出することに対して、常に先行することになる。
そして、第1の円筒状弾性部材(32)が膨張すると、ボーリング孔の孔壁(1i)と密着して、切羽側(1f)と羽口側(1r)とをシールする。そのため、第2の円筒状弾性部材(31)の開口(311)から地山(G)へ注入された注入材(M)が羽口側(1r)に漏出することが防止され、当該注入材(M)は地山(G)中に注入される。換言すれば、第1の円筒状弾性部材(32)が膨張することにより、従来技術におけるシールグラウトと同等の作用効果を奏することが出来る。
本発明において、2個のパッカ(5A、5B)を有するロッド(パッカ挿入ロッド7)における2個のパッカ(5A、5B)の間の領域から、前記円筒状弾性部材付きパイプ(20)内に注入材を供給すると、上述した通り、最初に第1の円筒状弾性部材(32)が膨張し、その後、圧損が大きい分だけ時間的に遅れて、第2の円筒状弾性部材(31)における複数の開口(311)から、注入材(M)が流出し、施工するべき地山(G)に注入される。
すなわち、本発明によれば、2個のパッカ(5A、5B)を有するロッド(7)から円筒状弾性部材付きパイプ(20)内に注入材を供給する、という単一の操作を地上側で行うことにより、従来技術におけるシールグラウトと同様なシール作用(第1の円筒状弾性部材32の膨張)と、第2の円筒状弾性部材(31)の複数の開口(注入材注入用孔311)からの注入材(M)の流出の2工程を、時間差を有して(第1の円筒状弾性部材32の膨張工程を、第2の円筒状弾性部材31の開口311からの注入材の流出に先行させて)実行することが出来る。
そして、実施に際して、2個のパッカ(5A、5B)を有するロッド(7)内には注入材供給系統のみを設ければ良いので、複雑な構成を必要としない。
また、注入材は複数の開口(311)から注入されるので、従来技術の様に単一の注入材注入用孔から注入する場合に比較して、第2の円筒状弾性部材31の開口311からの注入材の流出する際に、注入するべき領域全体に亘って注入材を均一に注入することが可能となる。
本発明の実施形態で用いられる円筒状弾性部材付きパイプを地中に設置した状態を示す断面図である。 図1で示す円筒状弾性部材付きパイプに、パッカ挿入ロッドから注入材を供給した状態を示す断面図である。 本発明の第1実施形態において、ボーリング孔に円筒状弾性部材付きパイプを挿入した状態を示す工程図である。 第1実施形態において、円筒状弾性部材付きパイプ内にパッカ挿入ロッドを挿入した状態を示す工程図である。 第1実施形態において、パッカ挿入ロッドのパッカを膨張させた状態を示す工程図である。 図5の状態から、注入材を注入して、短い円筒状ラバー部材を膨張させた状態を示す工程図である。 図6の状態から、パッカ挿入ロッドから長い円筒状ラバー部材を介して地山に注入材を供給した状態を示す工程図である。 図7の状態から、パッカ挿入ロッドを羽口側に移動した状態を示す工程図である。 図8の状態から、パッカを膨張させて、注入材を供給した状態を示す工程図である。 本発明の第2実施形態を説明する断面図である。 本発明の第3実施形態において、湾曲したボーリング孔を掘削する状態を示す工程図である。 図11の状態から、掘削ロッドの内側に円筒状弾性部材付きパイプを挿入した状態を示す工程図である。 図12の状態から、掘削ロッドを引き抜く状態を示す工程図である。 従来技術において、ボーリング孔に円筒状弾性部材付きパイプを挿入した状態を示す工程図である。 従来技術において、円筒状弾性部材付きパイプ内のシールグラウト充填位置にパッカ挿入ロッドを挿入した状態を示す工程図である。 従来技術において、シールグラウト充填位置に設置されたパッカを膨張させた状態を示す工程図である。 従来技術におけるシールグラウト充填工程を示す図である。 図17の状態から、パッカを注入材注入位置に移動した状態を示す工程図である。 従来技術における注入材注入工程を示す図である。 図19の状態からパッカを移動した状態を示す工程図である。 図14〜図20とは異なる従来技術を説明する断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図9を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
第1実施形態においては、先ず、図1と図2を参照して、円筒状弾性部材付きパイプ20について説明する。
図1において、全体を符号20で示す円筒状弾性部材付きパイプは、円筒状弾性部材付きパイプ本体21、長い円筒状ラバー部材31(第2の円筒状弾性部材)、短い円筒状ラバー部材32(第1の円筒状弾性部材)を有している。ここで、図1の左側(矢印1r側)は、羽口側である。
図1では、円筒状弾性部材付きパイプ本体21の先端21fが、地山Gに削孔されたボーリング孔1の切羽1f側近傍まで挿入された状態が示されている。そして、長い円筒状ラバー部材31が切羽1f側に配置され、短い円筒状ラバー部材32が羽口側(矢印1r側)に配置されている。
ここで、図示の実施形態では、切羽1f側の円筒状ラバー部材(第2の円筒状弾性部材)31の長手方向寸法が長く、羽口側(矢印1r側)の円筒状ラバー部材(第1の円筒状弾性部材)32の長手方向寸法が短いが、両者の長手方向寸法が同じであっても良く、或いは、切羽1f側の円筒状ラバー部材(第2の円筒状弾性部材)31の長手方向寸法を短くして、羽口側(矢印1r側)の円筒状ラバー部材(第1の円筒状弾性部材)32の長手方向寸法を長くすることも可能である。
長い円筒状ラバー部材31には、複数の(多数の)注入材注入用の孔(開口)311が形成されている。
円筒状弾性部材付きパイプ本体(パイプ)21における長い円筒状ラバー部材31に覆われた領域には、貫通孔22(第2の貫通孔)が形成されている。
ここで、長い円筒状ラバー部材31を設けた箇所において、複数の注入材注入用の孔311と、パイプ21の複数の貫通孔22とは、整合していない。すなわち、孔311と貫通孔22は、長手方向或いは周方向において、その位置は同一ではない。
一方、短い円筒状ラバー部材32には、孔或いはスリット等は形成されていない。そして、パイプ21において、短い円筒状ラバー部材32に覆われた領域には、複数の貫通孔23(第1の貫通孔)が形成されている。
短い円筒状ラバー部材32は、その内部に注入材を注入すると膨張して(図2参照)、切羽側と羽口側とを遮断してシールする作用(パッカやシールグラウトと同様な作用)を奏するように構成されている。
なお、図2において、短い円筒状ラバー部材32に覆われた領域の貫通孔23に、符号8で示す様な弾性材(例えば、ゴム製)の逆止弁を設けても良い。
図1、図2では、パッカ挿入ロッド7が、パイプ21の先端21fまで挿入されている。
パッカ挿入ロッド7には、先端近傍にパッカ5Aが配置され、パッカ5Aから羽口側(符号1r側)に所定距離だけ離れた位置に、パッカ5Bが設けられている。
長い円筒状ラバー部材31と短い円筒状ラバー部材32との距離は、当該ラバー部材31、32が、二つのパッカ5A、5Bに挟まれるように設定されている。
図1の状態から、パッカ挿入ロッド7を介して注入材を供給した状態が、図2で示されている。
図2において、二つのパッカ5A、5Bに、例えばパッカ挿入ロッド7の供給系統(図示せず)から、パッカ膨張用の流体(例えば高圧エア)を供給して、パッカ5A、5Bを膨張させる。パッカ5A、5Bを膨張することにより、パイプ21内におけるパッカ5A、5B間の領域Sを、パイプ21内のその他の領域から区画している。
そして、パイプ21内におけるパッカ5A、5B間の領域Sに注入材を注入すると、当該注入材は、パッカ5A、5B間の領域Sから、パイプ21に形成された貫通孔22、23を介して、パイプ21外に流出する。
貫通孔23を介してパイプ21外に流出した注入材は、短い円筒状ラバー部材32内に流入する。
ここで短い円筒状ラバー部材32には、貫通孔やスリットの類が形成されていないため、パイプ21の貫通孔23を流れる注入材により、短い円筒状ラバー部材32は膨張する。短い円筒状ラバー部材32が膨張することにより、ボーリング孔1内壁に短い円筒状ラバー部材32が密接し、パイプ21とボーリング孔1の内壁との環状空間を、長手方向についてシールする。係る状態は、従来技術において、「シールグラウトをかけた」状態に相当する。
一方、貫通孔22から流れた注入材は、パイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を流れ、長い円筒状ラバー部材31の複数の注入材注入用孔311を介して、ボーリング孔1内に流出する。
図2において、符号Fmの矢印線は、パイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を流れる注入材の流線を示している。
ここで、パッカ挿入ロッド7を介して注入材が供給されてから短い円筒状ラバー部材32が膨張するまでの圧損に比較して、注入材が供給されてから長い円筒状ラバー部材31の注入材注入用孔311を介して注入材が流出するまでの圧損の方が大きい。
その理由を以下に詳述する。
第1に、パイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を注入材が流れる際の抵抗或いは圧損は、パイプ21に形成された貫通孔23を介して短い円筒状ラバー部材32に注入材が流入する際の抵抗(圧損)に比較して、遥かに大きい。
第2に、明確には図示されていないが、長い円筒状ラバー部材32の変形し易さのパラメータは、短い円筒状ラバー部材31の変形し易さのパラメータよりも小さく(例えば、1/10程度)、変形し難い。そのため、パイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を注入材が流れようとしても、長い円筒状ラバー部材31は変形し難いため、圧損が大きいのである。
第3に、明確には図示されていないが、長い円筒状ラバー部材31の厚さ寸法(弾性部材の半径方向寸法)は、短い円筒状ラバー部材32の厚さ寸法(弾性部材の半径方向寸法)よりも大きく(例えば、10倍程度)、変形し難いからである。
第4に、明確には図示されていないが、長い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔22の数は、短い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔23よりも少ないため、貫通孔22を注入材が流れる際の圧損及び抵抗が大きい。
第5に、長い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔22の断面積は、短い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔23の断面積よりも小さいため、貫通孔22を注入材が流れる際の圧損及び抵抗が大きい。
ここで、図示の実施形態において、上述した第2の理由〜第5の理由の全てを充足させる必要はない。
短い円筒状ラバー部材32が膨張してから、長い円筒状ラバー部材31の注入材注入用孔311を介して注入材がボーリング孔1内に流出するまでの時間的遅れは、無制限に長くするのではなく、施工現場の仕様その他に起因して、最適な値が存在する。
係る時間的遅れを最適にするために、長い円筒状ラバー部材32の変形し易さのパラメータと短い円筒状ラバー部材31の変形し易さのパラメータとを等しく、或いは、長い円筒状ラバー部材32の変形し易さのパラメータを短い円筒状ラバー部材31の変形し易さのパラメータよりも大きくして(例えば、10倍程度)、長い円筒状ラバー部材32を変形し易くすることもあり得る。
また、長い円筒状ラバー部材31の厚さ寸法と短い円筒状ラバー部材32の厚さ寸法とを等しくして、或いは、長い円筒状ラバー部材31の厚さ寸法を短い円筒状ラバー部材32の厚さ寸法弾性部材の半径方向寸法よりも小さくして(例えば、1/10程度)、変形し易くする場合もある。
さらに、長い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔22の数を、短い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔23以下にすることも有り得る。
同様に、長い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔22の断面積を、短い円筒状ラバー部材31で覆われているパイプ21の領域に形成されている貫通孔23の断面積以上にすること可能性も存在する。
上述した通り、パッカ挿入ロッド7を介して注入材が供給されてから短い円筒状ラバー部材32が膨張するまでの圧損に比較して、注入材が供給されてから長い円筒状ラバー部材31の注入材注入用孔311を介して注入材が流出するまでの圧損の方が大きい。
従って、注入材がパイプ21と長い円筒状ラバー部材31との境界を流れて開口部311から地山Gに注入されるまでの時間に比較して、貫通孔23から短い円筒状ラバー部材32に注入された注入材によって短い円筒状ラバー部材32が膨張するのに必要な時間は、遥かに短くて済む。
そのため、短い円筒状ラバー部材32が膨張してから、長い円筒状ラバー部材31の注入材注入用孔311を介して注入材が流出するまでに、時間的遅れが生じる。係る時間的遅れにより、短い円筒状ラバー部材32が膨張してボーリング孔1を長手方向について閉塞した後に、長い円筒状ラバー部材31の開口部311から注入材が流出するのである。
ここで、図示しない地上側では、単に、パッカ挿入ロッド7を介して、パイプ21内に注入材を供給する作業のみが行われる。地上側からの操作によりパイプ21内に注入材を供給すれば、上述した様に、短い円筒状ラバー部材32が膨張してボーリング孔1を長手方向について閉塞し、その後、長い円筒状ラバー部材31の開口部311から注入材が流出するのである。
すなわち、地上側において、「円筒状ラバー部材32を膨張させる」という特別な操作を行わなくても、短い円筒状ラバー部材32が膨張してボーリング孔1を長手方向について閉塞し、「円筒状ラバー部材32の膨張後、長い円筒状ラバー部材31の開口部311から注入材を地山Gに注入する」という特別な操作を行わなくても、切羽1fと短い円筒状ラバー部材32が膨張した個所との間の領域Eに注入材が注入される。
そのため、第1実施形態によれば、地上側では、「パッカ膨張用の高圧流体の供給」および「注入材の供給」と言う2工程のみを行えば、羽口側(矢印1r側)に注入材が漏出すること無く、地山Gに注入材が注入される。地上側では、「シールグラウト」、「土壌に注入材注入」という2つの操作を行う必要がない。
これに加えて、長い円筒状ラバー部材31には注入材注入用孔(開口部)311が多数形成されている。
そのため、逆止弁3の孔1箇所のみから注入材が地山に注入されている従来技術(例えば、図19参照)に比較すれば明らかなように、図2で示す第1実施形態によれば、注入材を注入するべき範囲全域において、均等な間隔にて、複数箇所から注入材が注入され、注入材が確実に且つ均一に地山Gに浸透する。
図2において、短い円筒状ラバー部材32を膨張させている流体は注入材であるため、パッカ挿入ロッド7に設ける流体供給系統は、注入材供給用の系統とパッカ膨張用の高圧流体のみで良い。
そのため、第1実施形態では、パッカ挿入ロッド7の構成を複雑にすることなく、「シールグラウト」、「土壌に注入材注入」という2つの工程を、「パッカ挿入ロッド7を介して注入材を供給する」という単一の操作により、確実に実行することが出来る。
短い円筒状ラバー部材32において、注入材が短い円筒状ラバー部材32内に流入すると、短い円筒状ラバー部材が弾性反撥力により収縮しようとして、貫通孔23から注入材が円筒状弾性部材付きパイプ21内に逆流する恐れがある。
これに対して、図2で示すように、短い円筒状ラバー部材32内に逆支弁8を設ければ、短い円筒状ラバー部材の弾性反撥力により、注入材が円筒状弾性部材付きパイプ21内に逆流することを防止出来る。
次に、図1、図2を参照して説明した円筒状弾性部材付きパイプ20を用いて、注入工法(第1実施形態に係る注入)を施工する態様について、図3〜図9を参照して説明する。
第1実施形態に係る注入工法では、先ず、図3で示す工程において、地山Gに削孔したボーリング孔1に、図1で示す円筒状弾性部材付きパイプ20を、切羽1f側まで挿入する。
なお、円筒状弾性部材付きパイプ20は、図1、図2で説明した長い円筒状ラバー部材31及び短い円筒状ラバー部材32を、複数備えている。(長い円筒状ラバー部材31と短い円筒状ラバー部材32の組を、複数設けている。)
図4で示す工程では、円筒状弾性部材付きパイプ20内部に、1対のパッカ5A、5Bを備えたパッカ挿入ロッド7を、パイプ先端まで挿入する。パッカ挿入ロッド7については、図1、図2で説明したのと同様である。
図5で示す工程では、パッカ5A、5Bを、例えば高圧エアの様な流体によって膨張させる。
図6で示す工程では、パッカ5A、5Bが膨張して円筒状弾性部材付きパイプ20内を閉塞した後、パッカ挿入ロッド7におけるパッカ5A、5Bの間の領域から注入材を供給する。なお、パッカ5A、5Bの間の領域における注入材供給機構の図示は省略している。
図6において、パッカ挿入ロッド7から供給された注入材は、貫通孔22、23からパイプ21外に流出する。
前述したように、貫通孔23から流出して短い円筒状ラバー部材32を膨張する際における注入材の圧損は、貫通孔22から長い円筒状ラバー部材31の開口部311から注入材が流出する際における圧損よりも、遥かに小さい。
そのため、先ず、貫通孔23から短い円筒状ラバー部材32内に流入する注入材によって、当該短い円筒状ラバー部材32が膨張し、ボーリング孔1内を閉塞する。
当該短い円筒状ラバー部材32が膨張してボーリング孔1を閉塞した後、図7で示す工程において、貫通孔22から流れた注入材が、円筒状弾性部材付きパイプ20の外壁と長い円筒状ラバー部材31との間(境界)を流れ、長い円筒状ラバー部材31に形成された多数の開口部311(図3〜図9では図示を省略)から、注入材Mが流出する。
開口部311から流出した注入材Mは、ボーリング孔1の内壁部1iにおける切羽1f側と閉塞箇所とで仕切られた領域において、地山Gに浸透、注入される。
図7において注入材Mが十分地山に浸透した時点で、図8で示すように、パッカ5A、5Bを収縮させる。そして、1ピッチ分、すなわち、切羽側1rから数えて2番目の長い円筒状ラバー部材31及び短い円筒状ラバー部材32をパッカ5A、5Bが挟む位置まで、パッカ挿入ロッド7を羽口側(矢印1r側)へ後退させる。
図8の工程で、パッカ5A、5Bが、切羽側1rから数えて2番目の長い円筒状ラバー部材31及び短い円筒状ラバー部材32を挟む様な位置まで、パッカ挿入ロッド7を後退させたならば、図9で示すように、図5〜図8と同様の要領で施工して、切羽1fから1つ目の短い円筒状ラバー部材32と2つ目の短い円筒状ラバー部材32との間の領域で、地山Gに注入材を浸透、注入させる。
以下、切羽1f側から羽口側1rへ戻る方向へ(図3〜図9において、左側から右側へ向かって)、順次、施工する。
通常は、図8、図9を参照して説明したように、切羽1f側から羽口側1rへ、パッカ挿入ロッド7を引き戻す方向に、順次施工する。
ただし、図示はされていないが、羽口側1rから切羽1f側へ向かって、パッカ挿入ロッド7を押し込む方向へ順次施工することも可能である。
なお、図7の工程で供給された注入材Mの一部は、パイプ21内部に残留する。パイプ21内部に残留した当該注入材は、図8、図9において、パイプ21内の多数のドットで表現されている。
次に、図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図1〜図9の第1実施形態は、ボーリング孔1が水平方向に掘削されている。
それに対して、図10の第2実施形態は、ボーリング孔1Vが垂直方向に掘削されている場合の実施形態である。
図10において、垂直方向下方が切羽側1Vfであり、垂直方向上方が羽口側(矢印1Vr側)である。
第1実施形態に関連して説明した様に、長い円筒状ラバー部材31に設けられた多数の開口311から注入材が地山Gに注入される以前の段階で、短い円筒状ラバー部材32が膨張してパッカ(或いは、従来技術におけるシールグラウト)として作用するためには、長い円筒状ラバー部材31と円筒状弾性部材付きパイプ本体21との間の境界を注入材が流れる圧損が、短い円筒状ラバー部材32内に注入材が流入する際の圧損よりも大きくなければならない。
しかし、ボーリング孔1Vが垂直方向に掘削されている図10では、長い円筒状ラバー部材31は、短い円筒状ラバー部材32よりも切羽1f側、すなわち垂直方向下方に位置しているので、長い円筒状ラバー部材31と円筒状弾性部材付きパイプ21の間の境界に連通する貫通孔22A(第2の貫通孔)は、短い円筒状ラバー部材32への貫通孔23A(第1の貫通孔)よりも下方に位置している。
注入材の密度をρ、重力加速度をg、貫通孔22Aと23Aとの距離(図9では深度差)をhとすれば、貫通孔22Aにおける圧力は、貫通孔23Aにおける圧力よりも、ρghだけ高圧となる。
従って、注入材がパイプ21に供給されてから長い円筒状ラバー部材31の開口部311から流出するまでの圧損と、貫通孔23Aから短い円筒状ラバー部材32内に流入する圧損との差をΔとすれば、 Δ>ρgh でなければ、短い円筒状ラバー部材32が膨張してパッカとして作用した後に、所定の時間的遅れを伴って、長い円筒状ラバー部材31に設けられた噴射孔311から注入材が地山Gに注入されることは保証されない。
Δ>ρgh でない場合には、短い円筒状ラバー部材32が膨張してパッカとして作用する以前の段階で、長い円筒状ラバー部材31に設けられた噴射孔311から注入材が地山Gに注入されてしまう可能性がある。その場合には、短い円筒状ラバー部材32が膨張してパッカとして作用してはいないので、羽口側1rに注入材が漏出する可能性がある。
換言すれば、注入材がパイプ21に供給されてから長い円筒状ラバー部材31の開口部311から流出するまでの圧損を「ΔP22」、貫通孔23Aから短い円筒状ラバー部材32内に進入する圧損を「ΔP23」とすれば、
Δ=ΔP22−ΔP23 であり、 ΔP22−ΔP23>ρgh となる様に、構成する必要がある。
図10の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図9の第1実施形態と同様である。
図11〜図13を参照して、第3実施形態について説明する。
第1実施形態、第2実施形態では、直線状のボーリング孔に沿って、注入作業を実行している。
それに対して、図11〜図13の第3実施形態は、湾曲したボーリング孔11を削孔し、当該湾曲したボーリング孔11に沿って注入作業を行っている。
第3実施形態の図11で示す工程においては、可撓性を有する中空で小径の掘削ロッド9を装備した自在ボーリングマシン100を用いて、いわゆる「曲がりボーリング」の技術により、施工するべき地山Gに湾曲したボーリング孔11を削孔する。
そして、図12で示す工程において、可撓性を有する小径の掘削ロッド9の、内径側の空間に、図1、図2を参照して説明した円筒状弾性部材付きパイプ20を挿入する。
この場合、円筒状弾性部材付きパイプ20も可撓性を有する材料で製造されている。
図13で示す工程において、可撓性を有する小径の掘削ロッド9の内径に円筒状弾性部材付きパイプ20を挿入したならば、該可撓性を有する掘削ロッド9を地上側に引き抜く。
この場合、地山Gが安定しており、ボーリング孔11が崩落しないのであれば(ボーリング孔11が自立しているのであれば)、可撓性を有する小径の掘削ロッド9を地上側1rに完全に引き抜くことが出来る。
そして、図3〜図9或いは図10で説明したのと同様な態様で、注入作業を切羽1f側から地上側の羽口側1rに向かって行う。
図11〜図13の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図10の実施形態と同様である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
1・・・ボーリング孔
1f・・・切羽側
1r・・・羽口側
5・・・パッカ
7・・・パッカ挿入ロッド
20・・・円筒状弾性部材付きパイプ
21・・・円筒状弾性部材付きパイプ本体
22、23・・・貫通孔
31・・・長い円筒状ラバー部材/第2の円筒状弾性部材
32・・・短い円筒状ラバー部材/第1の円筒状弾性部材
311・・・開口部/注入材注入用孔

Claims (2)

  1. パイプと、該パイプの長手方向に間隔をあけて配置された第1及び第2の円筒状弾性部材と、パイプが第1の円筒状弾性部材で被覆されている領域に穿孔された第1の貫通孔と、パイプが第2の円筒状弾性部材で被覆されている領域に穿孔された第2の貫通孔とを備え、第2の円筒状弾性部材には複数の開口が形成されており、パイプ内に注入材が供給されてから第1の円筒状弾性部材が膨張するまでの圧損に比較して、パイプ内に注入材が供給されて第2の円筒状弾性部材の開口から注入材が流出するまでの圧損の方が大きいことを特徴とする円筒状弾性部材付きパイプ。
  2. 請求項1の円筒状弾性部材付きパイプを用いて行われる注入工法において、
    施工地盤に掘削されたボーリング孔に前記円筒状弾性部材付きパイプを挿入する工程と、
    長手方向に間隔を空けて取り付けられた2個のパッカを有するロッドを前記円筒状弾性部材付きパイプ内に挿入する工程と、
    第1の円筒状弾性部材で被覆されたパイプの領域に形成された第1の貫通孔と、第2の円筒状弾性部材で被覆されたパイプの領域に形成された第2の貫通孔が、2個のパッカの間となる位置までパッカを移動し、当該位置でパッカを膨張するパッカ膨張工程と、
    前記ロッドの2個のパッカの間の領域から注入材を前記円筒状弾性部材付きパイプ内に供給する注入材供給工程と、
    供給された注入材が第1の貫通孔を介して第1の円筒状弾性部材内に充填されて第1の円筒状弾性部材を膨張し、膨張した第1の円筒状弾性部材がボーリング孔の内壁面と密着する円筒状弾性部材膨張工程と、
    供給された注入材が第2の貫通孔を介して第2の円筒状弾性部材と前記円筒状弾性部材付きパイプ外壁面との境界を流れ、第2の円筒状弾性部材に形成された複数の開口を介して地山に注入される注入工程を有し、
    圧損の差に起因して、第2の円筒状弾性部材の複数の開口を介して注入材が地山に注入されるのは、第1の円筒状弾性部材が膨張するよりも後になることを特徴とする注入工法。
JP2009167446A 2009-07-16 2009-07-16 円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法 Active JP5252732B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009167446A JP5252732B2 (ja) 2009-07-16 2009-07-16 円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009167446A JP5252732B2 (ja) 2009-07-16 2009-07-16 円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011021386A JP2011021386A (ja) 2011-02-03
JP5252732B2 true JP5252732B2 (ja) 2013-07-31

Family

ID=43631697

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009167446A Active JP5252732B2 (ja) 2009-07-16 2009-07-16 円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5252732B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108732022B (zh) * 2017-04-25 2021-01-05 中国石油化工股份有限公司 用于封隔器承压测试的装置和方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3275039B2 (ja) * 1999-03-09 2002-04-15 強化土エンジニヤリング株式会社 地盤注入装置及び工法
JP4097671B2 (ja) * 2006-01-17 2008-06-11 強化土エンジニヤリング株式会社 地盤注入工法
JP4358207B2 (ja) * 2006-06-23 2009-11-04 強化土エンジニヤリング株式会社 掘削底盤の地盤強化工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011021386A (ja) 2011-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR200424432Y1 (ko) 그라우팅 구멍이 다수개 일정한 간격을 두고 설치된 강관의내부에 다수개의 패커를 설치한 직천공 동시 주입장치
KR20220053956A (ko) 코킹팩커 모듈을 구비한 그라우팅 강관 및 이를 이용한 그라우팅방법
KR101580961B1 (ko) 터널 보강용 직천공 강관 동시 주입장치 및 주입공법
EP2143876A1 (en) Method for sealing off a water zone in a production well downhole and a sealing arrangement
KR20150097355A (ko) 천공 및 그라우팅 로드장치
KR102012708B1 (ko) 고성능 동시주입에 의한 터널 시공방법
JP5252732B2 (ja) 円筒状弾性部材付きパイプ及びそれを用いた注入工法
JP5140526B2 (ja) シールドトンネル用袋体付きセグメント
JP2009280959A (ja) アンカー構造
JP6474994B2 (ja) コンクリート構造物のせん断補強方法
KR100588606B1 (ko) 장심도 다중 제자리 패커 주입장치 및 장심도 다중 제자리패커 주입장치의 그라우팅 방법
JP2009002154A (ja) 地盤改良薬液の注入方法および装置
JP7075270B2 (ja) 補強工法
JP2785907B2 (ja) パッカーおよびそれを用いた地山固結工法
JP5198992B2 (ja) 地盤注入装置及びそれを用いた地盤改良工法
JP2005314938A (ja) 薬液注入装置およびそれを用いた地盤強化方法
JP2008196261A (ja) グラウチング方法
KR102289869B1 (ko) 다수개의 강관에 동시 그라우팅하는 주입장치
JP2006249657A (ja) パイプ式ロックボルト及びパイプ式ロックボルト施工方法
CN115095364A (zh) 一种锚注结构及锚注方法
JP2006249773A (ja) 鋼管の口元コーキング装置
JP5210921B2 (ja) 地盤改良薬液の注入方法
JP2018131754A (ja) 排水パイプ、地盤補強構造及び地盤補強方法
JP5119132B2 (ja) 地山補強用インサートユニットおよびそれを用いた地山補強工法
KR20160137143A (ko) 수직갱 지반보강 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120319

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130415

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5252732

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160426

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250