JP5250122B2 - スパークプラグの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関等に使用されるスパークプラグの製造方法、及び、その製造装置に関する。
スパークプラグは、例えば、内燃機関(エンジン)に取付けられ、燃焼室内の混合気への着火のために用いられる。一般的にスパークプラグは、軸線方向に延びる筒状の絶縁体と、絶縁体の内部に挿通される中心電極と、絶縁体の外周に設けられる主体金具と、主体金具の先端部に設けられ、中心電極との間で火花放電間隙を形成する接地電極とを備える。また、主体金具と絶縁体とは、主体金具に絶縁体を挿入した上で、所定の金型により主体金具の後端側開口部に対して軸線方向に沿った荷重を加え、前記後端側開口部を径方向内側に向けて屈曲させることで(すなわち、加締め工程を経ることで)固定される。
さらに、主体金具と絶縁体との間における気密性を向上させるべく、主体金具と絶縁体との間に滑石を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
特開2006−92955号公報
ところで、滑石を設けるにあたっては、気密性をより確実に向上させるべく、滑石を押圧し、滑石の充填密度を高めることが好ましい。ここで、滑石の押圧手法としては、絶縁体が挿通された主体金具を筒状の受台により支持した上で、主体金具と絶縁体との間に滑石を配置し、次いで、絶縁体の軸線を筒状の滑石プレス治具の中心軸に一致させた上で、前記滑石プレス治具を軸線方向に沿って下方へと移動させ、滑石プレス治具の先端部により滑石を押圧する手法が考えられる。
しかしながら、絶縁体の軸線と滑石プレス治具の中心軸とに微小ながらも軸ずれが生じていたり、絶縁体自身に僅かな曲がりが生じていたり、周方向に沿って滑石の充填密度に差が生じていたりする等の要因により、滑石の押圧時に、絶縁体が径方向に沿って移動してしまうおそれがある。この場合には、絶縁体の軸線が主体金具の中心軸に対してずれてしまったり、傾いてしまったりするため、絶縁体に過度の応力が加わって絶縁体の破損(割れ等)が生じてしまうおそれがある。また、絶縁体の軸ずれ等に伴いこれに保持される中心電極にも軸ずれ等が生じてしまい、中心電極と主体金具との間で横飛火等の異常な火花放電が生じやすくなってしまうおそれがある。特に、小径化の要求に応えるべく、中心電極と主体金具との間の径方向に沿った距離が比較的小さく設定されたスパークプラグにおいては、軸ずれや傾きが軽微なものであっても、異常な火花放電の発生が懸念される。
尚、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との間の軸ずれ等は、上述した加締め工程において、主体金具の後端側開口部に対して軸線方向に沿った荷重を加える際にも同様に発生し得る。これは、主体金具に対する荷重の印加に伴い、絶縁体に対しても荷重が加わってしまうことによる。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、滑石押圧工程や加締め工程において、絶縁体の径方向に沿った移動を抑制することができ、ひいては絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれ等を効果的に抑制することができるスパークプラグの製造方法及び製造装置を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグの製造方法は、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
前記絶縁体と前記主体金具との間に充填された滑石とを備えたスパークプラグの製造方法であって、
筒状の滑石プレス治具により前記軸線方向に沿って前記滑石を押圧する滑石押圧工程を含み、
前記滑石押圧工程においては、前記滑石プレス治具の内周に配置された筒状の絶縁体支持治具により前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持した上で、前記滑石プレス治具により前記滑石を押圧することを特徴とする。
上記構成1によれば、滑石の押圧時に、絶縁体支持治具により、絶縁体のうち主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周が支持される。従って、滑石の押圧に伴う絶縁体の径方向に沿った移動を抑制することができ、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれや傾きを効果的に抑制することができる。その結果、絶縁体の破損防止や異常放電の発生抑制を図ることができる。
また、滑石プレス治具は絶縁体支持治具の外周に設けられているため、絶縁体支持治具により絶縁体の後端部外周を支持した状態では、滑石プレス治具を軸線方向に移動させたとしても、その先端部は絶縁体の後端に対して非常に接触しにくい。そのため、滑石プレス治具の接触に伴う絶縁体後端の破損をより確実に防止することができる。
構成2.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1において、前記滑石プレス治具の内径と前記絶縁体支持治具の外径との径差が0.05mm以下とされることを特徴とする。
上記構成2によれば、滑石プレス治具の内径と絶縁体支持治具の外径との径差が0.05mm以下とされている。従って、絶縁体支持治具の中心軸に対して、滑石プレス治具の中心軸を精度よく合わせることができ、ひいては、絶縁体支持治具に支持される絶縁体の軸線と滑石プレス治具の中心軸とを精度よく合わせることができる。このため、滑石の押圧に伴い絶縁体に加わる力を周方向に沿ってより均等なものとすることができ、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれや傾きをより効果的に抑制することができる。その結果、絶縁体の破損防止や異常放電の発生抑制を一層確実に図ることができる。
構成3.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1又は2において、前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
前記滑石押圧工程前において、前記軸孔に前記端子電極の先端側が挿通されており、
前記滑石押圧工程において、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面と間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする。
上記構成3によれば、軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、端子電極の外周面と、絶縁体の定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされている。このため、軸線に対して端子電極の中心軸が傾いてしまったり、ずれてしまったりすることをより確実に抑制することができ、結果として、絶縁体から露出する端子電極後端部の中心軸を、軸線と精度よく合わせることができる。従って、絶縁体支持治具により絶縁体を支持する際に、端子電極の後端部に対して絶縁体支持治具が接触してしまうといった事態をより確実に防止することができ、絶縁体支持治具によって絶縁体をより確実に支持することができる。その結果、滑石の押圧に伴う絶縁体の移動をより確実に抑制することができ、軸線と主体金具の中心軸との間における軸ずれ等を一層効果的に抑制することができる。
構成4.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
前記滑石押圧工程において、前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする。
上記構成4によれば、滑石を押圧する際において、端子電極の後端部と絶縁体支持治具との間における最短距離が0.3mm以上とされている。このため、絶縁体支持治具により絶縁体を支持する際に、端子電極の後端部に対して絶縁体支持治具が接触してしまうことをより確実に防止できる。従って、絶縁体支持治具によって絶縁体をより確実に支持することができ、滑石の押圧に伴う絶縁体の移動を一層確実に抑制することができる。その結果、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との間における軸ずれ等の抑制効果をより高めることができる。
構成5.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記絶縁体は、径方向外側に突出し、前記主体金具の内周に配置される大径部を有し、
前記滑石プレス治具の内径と前記絶縁体支持治具の外径との径差をX(mm)とし、前記滑石押圧工程前における、前記大径部の外径と前記主体金具のうち前記大径部の外周に位置する部位の内径との径差をY(mm)としたとき、X<Yを満たすことを特徴とする。
上記構成5によれば、滑石プレス治具と絶縁体支持治具との間に形成される隙間の大きさが、滑石押圧工程前における、絶縁体の大径部とその外周側に位置する主体金具との間に形成される隙間の大きさよりも小さなものとされている。従って、滑石の押圧時に、絶縁体支持治具に対して滑石プレス治具が径方向に沿って移動し、ひいては主体金具に対して絶縁碍子が径方向に沿って移動したとしても、その移動量は、絶縁体の大径部とその外周側に位置する主体金具との間に形成される隙間の大きさよりも小さなものとなる。その結果、滑石の押圧時において、主体金具に対して絶縁体(大径部)が接触してしまうことをより確実に防止でき、主体金具への接触に伴う絶縁体の破損を効果的に防止することができる。
構成6.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至5のいずれかにおいて、前記絶縁体支持治具の先端部内周には、先端側に向けて内径が拡径する拡径部が形成されるとともに、
前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記拡径部が前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周と接触し、
前記滑石押圧工程においては、自身の先端部に対して前記滑石プレス治具の先端部が前記軸線方向先端側に相対移動可能な筒状のプレス治具ガイドにより、前記主体金具の後端部が支持され、
前記絶縁体支持治具による前記絶縁体の支持を、前記プレス治具ガイドによる前記主体金具の支持、及び、前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧の前に行うことを特徴とする。
上記構成6によれば、プレス治具ガイドによる主体金具の支持前において、拡径部が絶縁体に接触することにより、絶縁体支持治具によって絶縁体が支持される。すなわち、絶縁体の後端部における軸ずれや傾きが矯正されるとともに、絶縁体の径方向に沿った移動が規制された上で、プレス治具ガイドにより主体金具の後端部が支持される。従って、プレス治具ガイドにより主体金具を支持する際に、プレス治具ガイドが絶縁体に接触してしまうことをより確実に防止でき、プレス治具ガイドの接触に伴う絶縁体の破損をより確実に防止することができる。
また、上記構成6によれば、滑石プレス治具による滑石の押圧前において、拡径部が絶縁体に接触することにより、絶縁体支持治具によって絶縁体が支持される。すなわち、絶縁体の後端部における軸ずれ等が矯正されるとともに、絶縁体の径方向に沿った移動が規制された上で、滑石プレス治具により滑石が押圧される。従って、滑石の押圧時における、絶縁体に対する滑石プレス治具の接触を防止することができ、滑石プレス治具の接触に伴う絶縁体の破損をより確実に防止することができる。
構成7.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至6のいずれかにおいて、前記滑石押圧工程においては、
前記絶縁体が挿通された前記主体金具を筒状の受台により支持するとともに、
前記絶縁体の先端部が保持され、前記受台に対する前記絶縁体の先端部の径方向に沿った相対移動が規制されることを特徴とする。
上記構成7によれば、滑石押圧工程において、受台に対する絶縁体先端部の径方向に沿った相対移動が規制される。従って、絶縁体の先端部及び後端部の双方の径方向に沿った移動が規制されることとなり、絶縁体の長手方向全域に亘ってその径方向に沿った移動が抑制されることとなる。その結果、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸とを非常に精度よく合わせることができ、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれや傾きをより一層効果的に抑制することができる。また、絶縁体の先端部に軸ずれ等が生じてしまうと異常放電が特に発生しやすくなってしまうが、上記構成7によれば、絶縁体の先端部において、軸ずれ等の発生が極めて効果的に抑制される。そのため、異常放電の発生をより一層確実に防止することができる。
尚、絶縁体の先端部を保持すると、滑石の押圧に伴い絶縁体が径方向に移動してしまった場合に、絶縁体の先端部に応力が加わり、その結果、絶縁体の先端部よりも後端側(例えば、絶縁体の脚長部の後端側)にモーメントが発生して、絶縁体が破損してしまうおそれがある。この点、上記構成1を採用し、絶縁体の径方向に沿った移動を抑制することで、絶縁体の先端部を保持しながらも絶縁体の先端部に加わる応力を低減させることができ、絶縁体の破損をより確実に防止することができる。換言すれば、上記構成1等は、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれ等を抑制するという効果を発揮するとともに、上記構成7を採用し軸ずれ等の抑制効果をさらに向上させる場合には、上記構成7を採用することで懸念される絶縁体の破損を防止するという効果をも発揮する。
構成8.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至7のいずれかにおいて、前記スパークプラグにおいては、前記主体金具の後端部に設けられた径方向内側に屈曲する加締め部により、前記絶縁体と前記主体金具とが固定されており、
前記滑石押圧工程の後において、筒状の金具プレス治具により前記軸線方向に沿って前記主体金具の後端部を押圧し、前記加締め部を形成する加締め工程を含み、
前記加締め工程においては、前記金具プレス治具の内周に配置された筒状の第2絶縁体支持治具により前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持した上で、前記金具プレス治具により前記加締め部を形成することを特徴とする。
上記構成8によれば、主体金具を押圧する際に、第2絶縁体支持治具により、絶縁体のうち主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周が支持される。従って、滑石押圧工程、及び、加締め工程の双方において、絶縁体の径方向に沿った移動を抑制することができ、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれや傾きを効果的に抑制することができる。その結果、絶縁体の破損防止や異常放電の発生抑制をより効果的に実現することができる。
また、金具プレス治具は第2絶縁体支持治具の外周に設けられているため、第2絶縁体支持治具により絶縁体の後端部外周を支持した状態では、金具プレス治具を軸線方向に移動させたとしても、その先端部は絶縁体の後端に対して非常に接触しにくい。そのため、金具プレス治具の接触に伴う絶縁体後端の破損をより確実に防止することができる。
構成9.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成8において、前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
前記加締め工程前において、前記軸孔に前記端子電極の先端側が挿通されており、
前記加締め工程において、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする。
上記構成9によれば、加締め工程において、上記構成3と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成10.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成8又は9において、前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
前記加締め工程において、前記第2絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記第2絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする。
上記構成10によれば、加締め工程において、上記構成4と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成11.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成8乃至10のいずれかにおいて、前記加締め工程においては、
前記絶縁体が挿通された前記主体金具を筒状の受台により支持するとともに、
前記絶縁体の先端部が保持され、前記受台に対する前記絶縁体の先端部の径方向に沿った相対移動が規制されることを特徴とする。
上記構成11によれば、加締め工程において、上記構成7と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成12.本構成のスパークプラグの製造方法は、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具とを備え、
前記主体金具の後端部に設けられた径方向内側に屈曲する加締め部により前記絶縁体と前記主体金具とが固定されたスパークプラグの製造方法であって、
筒状の金具プレス治具により前記軸線方向に沿って前記主体金具の後端部を押圧し、前記加締め部を形成する加締め工程を含み、
前記加締め工程においては、前記金具プレス治具の内周に配置された筒状の絶縁体支持治具により前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持した上で、前記金具プレス治具により前記加締め部を形成することを特徴とする。
上記構成12によれば、加締め部を形成する際に、絶縁体支持治具により、絶縁体のうち主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周が支持される。従って、主体金具の押圧に伴う絶縁体の径方向に沿った移動を抑制することができ、絶縁体の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれや傾きを効果的に抑制することができる。その結果、絶縁体の破損防止や異常放電の発生抑制を図ることができる。
また、絶縁体支持治具により絶縁体の後端部外周を支持した状態では、金具プレス治具を軸線方向に移動させたとしても、その先端部は絶縁体の後端に対して非常に接触しにくい。そのため、金具プレス治具の接触に伴う絶縁体後端の破損をより確実に防止できる。
構成13.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成12において、前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
前記加締め工程前において、前記軸孔に前記端子電極が挿通されており、
前記加締め工程において、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする。
上記構成13によれば、加締め工程において、上記構成3と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成14.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成12又は13において、前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
前記加締め工程において、前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする。
上記構成14によれば、加締め工程において、上記構成4と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成15.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成12乃至14のいずれかにおいて、前記加締め工程においては、
前記絶縁体が挿通された前記主体金具を筒状の受台により支持するとともに、
前記絶縁体の先端部が保持され、前記受台に対する前記絶縁体の先端部の径方向に沿った相対移動が規制されることを特徴とする。
上記構成15によれば、加締め工程において、上記構成7と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成16.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成1乃至15のいずれかにおいて、前記絶縁体支持治具の先端部内周には、先端側に向けて内径が拡径する拡径部が形成されており、
前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記拡径部が前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周と接触することを特徴とする。
上記構成16によれば、絶縁体支持治具の先端部内周には、拡径部が形成されており、絶縁体支持治具により絶縁体の後端部外周を支持する際には、前記拡径部が絶縁体に接触する。従って、絶縁体支持治具により絶縁体を支持した際に、滑石プレス治具や金具プレス治具の中心軸に対する絶縁体の後端部の軸ずれを矯正することができる(すなわち、絶縁体の径方向に沿った移動を招く要因の1つを極力除去することができる)。その結果、滑石の押圧時等における絶縁体の径方向に沿った移動をより一層確実に抑制することができ、絶縁体の破損防止や異常放電の発生抑制を一層効果的に図ることができる。
構成17.本構成のスパークプラグの製造方法は、上記構成16において、前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持している状態において、
前記軸線を含む断面において、前記拡径部のうち前記絶縁体の後端部外周と接触している部位を通る接線と前記軸線とのなす角のうち鋭角の角度をC(°)とし、前記絶縁体のうち前記拡径部に接触している部位を通る接線と前記軸線とのなす角のうち鋭角の角度をC1(°)としたとき、C>C1を満たすことを特徴とする。
上記構成17によれば、絶縁体支持治具により絶縁体を支持した際に、拡径部から絶縁体の後端部に加わる径方向内側に向けた力をより増大させることができる。従って、滑石プレス治具や金具プレス治具の中心軸に対する絶縁体の後端部の軸ずれをより効果的に矯正することができ、軸線と主体金具の中心軸との間における軸ずれ等の抑制効果を一層高めることができる。
構成18.本構成のスパークプラグの製造装置は、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
前記絶縁体と前記主体金具との間に充填された滑石とを備えたスパークプラグの製造装置であって、
前記主体金具を支持する筒状の受台と、
前記軸線方向に沿って移動可能であり、前記滑石を押圧する筒状の滑石プレス治具と、
前記滑石プレス治具の内周に配置され、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持する筒状の絶縁体支持治具と、を備えることを特徴とする。
上記構成18によれば、基本的には上記構成1と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成19.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成18において、前記滑石プレス治具の内径と前記絶縁体支持治具の外径との径差が0.05mm以下とされることを特徴とする。
上記構成19によれば、基本的には上記構成2と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成20.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成18又は19において、前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧前において、前記軸孔に前記端子電極が挿通されており、
前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧時に、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする。
上記構成20によれば、基本的には上記構成3と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成21.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成18乃至20のいずれかにおいて、前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする。
上記構成21によれば、基本的には上記構成4と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成22.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成18乃至21のいずれかにおいて、前記絶縁体は、径方向外側に突出し、前記主体金具の内周に配置される大径部を有し、
前記滑石プレス治具の内径と前記絶縁体支持治具の外径との径差をX(mm)とし、前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧前における、前記大径部の外径と前記主体金具のうち前記大径部の外周に位置する部位の内径との径差をY(mm)としたとき、X<Yを満たすことを特徴とする。
上記構成22によれば、基本的には上記構成5と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成23.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成18乃至22のいずれかにおいて、前記絶縁体支持治具の先端部内周には、先端側に向けて内径が拡径し、前記絶縁体を支持する際に、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周に接触する拡径部が形成され、
自身の先端部に対して前記滑石プレス治具の先端部が前記軸線方向先端側に相対移動可能であり、前記主体金具の後端部を支持する筒状のプレス治具ガイドを備え、
前記絶縁体支持治具による前記絶縁体の支持を、前記プレス治具ガイドによる前記主体金具の支持、及び、前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧の前に行うことを特徴とする。
上記構成23によれば、基本的には上記構成6と同様の作用効果が奏される。
構成24.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成18乃至23のいずれかにおいて、前記スパークプラグにおいては、前記主体金具の後端部に設けられた径方向内側に屈曲する加締め部により、前記絶縁体と前記主体金具とが固定されており、
前記軸線方向に沿って移動可能であり、前記主体金具の後端部を押圧する筒状の金具プレス治具と、
前記金具プレス治具の内周に配置され、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持する第2絶縁体支持治具と、を備えることを特徴とする。
上記構成24によれば、基本的には上記構成8と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成25.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成24において、前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
前記金具プレス治具による前記主体金具の押圧前において、前記軸孔に前記端子電極が挿通されており、
前記金具プレス治具による前記主体金具の押圧時に、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする。
上記構成25によれば、基本的には上記構成9と同様の作用効果が奏される。
構成26.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成24又は25において、前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
前記第2絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記第2絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする。
上記構成26によれば、基本的には上記構成10と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成27.本構成のスパークプラグの製造装置は、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具とを備え、
前記主体金具の後端部に設けられた径方向内側に屈曲する加締め部により前記絶縁体と前記主体金具とが固定されたスパークプラグの製造装置であって、
前記主体金具を支持する筒状の受台と、
前記軸線方向に沿って移動可能であり、前記主体金具の後端部を押圧する筒状の金具プレス治具と、
前記金具プレス治具の内周に配置され、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持する筒状の絶縁体支持治具と、を備えることを特徴とする。
上記構成27によれば、基本的には上記構成12と同様の作用効果が奏される。
構成28.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成27において、前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
前記金具プレス治具による前記主体金具の押圧前において、前記軸孔に前記端子電極が挿通されており、
前記金具プレス治具による前記主体金具の押圧時に、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする。
上記構成28によれば、基本的には上記構成13と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成29.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成27又は28において、前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
前記絶縁体支持治具により前記絶縁体のうち後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする。
上記構成29によれば、基本的には上記構成14と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成30.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成18乃至29のいずれかにおいて、前記絶縁体支持治具の先端部内周には、先端側に向けて内径が拡径し、前記絶縁体を支持する際に、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周に接触する拡径部が形成されていることを特徴とする。
上記構成30によれば、基本的には上記構成16と同様の作用効果が奏される。
構成31.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成30において、前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持している状態において、
前記軸線を含む断面において、前記拡径部のうち前記絶縁体の後端部外周と接触している部位を通る接線と前記軸線とのなす角のうち鋭角の角度をC(°)とし、前記絶縁体のうち前記拡径部に接触している部位を通る接線と前記軸線とのなす角のうち鋭角の角度をC1(°)としたとき、C>C1を満たすことを特徴とする。
上記構成31によれば、基本的には上記構成17と同様の作用効果が奏されることとなる。
構成32.本構成のスパークプラグの製造装置は、上記構成18乃至31のいずれかにおいて、前記絶縁体の先端部を保持し、前記受台に対する前記絶縁体の先端部の径方向に沿った相対移動を規制する絶縁体ガイドを備えることを特徴とする。
上記構成32によれば、基本的には上記構成7と同様の作用効果が奏される。
スパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 端子電極の外周面と定径部の内周面との間の距離D等を説明するための拡大断面図である。 受台や絶縁体ガイド等の構成を示す一部破断正面図である。 滑石押圧工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 滑石押圧工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 滑石プレス治具の内径と絶縁体支持治具の外径との径差を説明するための滑石プレス治具等の拡大断面図である。 滑石押圧前における、絶縁碍子の大径部と主体金具との径差を説明するための絶縁碍子等の拡大断面図である。 滑石押圧工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 角度Cα、角度Cα1、及び、最短距離Fαを説明するための絶縁碍子等の拡大断面図である。 滑石押圧工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 滑石押圧工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 滑石押圧工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 加締め工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 加締め工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 角度Cβ、角度Cβ1、及び、最短距離Fβを説明するための絶縁碍子等の拡大断面図である。 加締め工程における一工程を説明するための一部破断正面図である。 芯出し精度評価試験の試験結果を示すグラフである。 絶縁体支持治具を用いた場合と、絶縁体支持治具を用いなかった場合とにおける、絶縁碍子の破損割合を示すグラフである。 径差Xを種々変更した際において、絶縁碍子の先端部を保持することなく、滑石押圧工程を行った際のずれ量を示すグラフである。 径差Xを種々変更した際において、絶縁碍子の先端部を保持した上で、滑石押圧工程を行った際のずれ量を示すグラフである。 長さEを10mmとした上で、距離Dを種々変更した際における平均ずれ量を示すグラフである。 距離Dを0.2mmとした上で、長さEを種々変更した際における平均ずれ量を示すグラフである。 最短距離Fαを種々変更した際における平均ずれ量を示すグラフである。 径差X及び径差Yの大小関係を種々変更した際における破損割合を示すグラフである。 絶縁体支持治具による絶縁体の支持、プレス治具ガイドによる主体金具の支持、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧の順序を変更した場合における破損割合を示すグラフである。 角度Cα及び角度Cα1の大小関係を種々変更した際における平均ずれ量を示すグラフである。
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されており、一方で、後端側胴部10の大部分は、主体金具3の後端よりも後端側で露出している。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとを備えている。また、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端部分が絶縁碍子2の先端から突出している。
加えて、軸孔4の後端側には、低炭素鋼等の金属により形成された棒状の端子電極6が挿入、固定されている。端子電極6は、その先端部に設けられ、軸孔4の後端側に挿通される脚部6Aと、その後端部に設けられ、絶縁碍子2の外部に露出する頭部6Bとを備えている。
また、本実施形態では、図2に示すように、軸孔4のうち端子電極6(脚部6A)が挿通される部位には、軸線CL1方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部4Aが設けられている。そして、軸線CL1方向に沿って長さE(mm)以上の範囲において、端子電極6の外周面と定径部4Aの内周面との間の距離Dが0.2mm以下とされており、前記長さEは10mm以上とされている。
図1に戻り、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1を内燃機関や燃料電池改質器等の燃焼装置に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側には座部16が外周側に向けて突出形成されており、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられている。また、主体金具3の後端部には、径方向内側に向けて屈曲する加締め部20が設けられている。尚、本実施形態においては、スパークプラグ1の小径化を図るべく、主体金具3が小径化されている。そのため、ねじ部15のねじ径は比較的小径(例えば、M12以下)とされており、その結果、主体金具3の先端内周面と絶縁碍子2の先端部との間の軸線CL1と直交する方向に沿った距離Lが比較的小さなもの(例えば、1.0mm以下)とされている。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3に対してその後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間には滑石(タルク)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及び滑石25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端部26には、略中間部分が曲げ返されて、その先端側側面が中心電極5の先端部と対向する接地電極27が接合されている。中心電極5の先端部と接地電極27の先端部との間には、火花放電間隙28が形成されており、当該火花放電間隙28において、軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われるようになっている。
次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。
まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えば、鉄系素材やステンレス素材)に冷間鍛造加工等を施すことで概形を形成するとともに、貫通孔を形成する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
続いて、主体金具中間体の先端面に、Ni合金からなる直棒状の接地電極27が抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部15が転造によって形成される。これにより、接地電極27の溶接された主体金具3が得られる。尚、得られた主体金具3の後端部は、円筒状(すなわち、加締め部20が未形成の状態)となっており、また、座部16と工具係合部19との間の薄肉部位も円筒状となっている。
次いで、接地電極27の溶接された主体金具3に、亜鉛メッキ或いはニッケルメッキが施される。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用いて、成形用素地造粒物を調製するとともに、当該成形用素地造粒物を用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。そして、得られた成形体に対し、研削加工が施され整形されるとともに、整形されたものが焼成炉で焼成されることにより、絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、中央部に放熱性向上を図るための銅合金等を配置したNi合金に鍛造加工を施すことで中心電極5を作製する。
次に、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9は、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されたものが、抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から前記端子電極6で押圧しつつ、焼成炉内にて加熱されることで焼成される。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10表面には釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。また、軸孔4に挿通された端子電極6においては、上述の通り、軸線CL1方向に沿って10mm以上の範囲において、端子電極6の外周面と前記定径部4Aの内周面との間の距離Dが0.2mm以下とされており、この状態で次述する滑石押圧工程、及び、加締め工程が行われる。
絶縁碍子2に端子電極6等を固定した後、上記のようにそれぞれ作製された絶縁碍子2と主体金具3とが、滑石押圧工程、及び、加締め工程を経ることで固定される。
滑石押圧工程においては、受台31と押圧装置41とを備える滑石プレス装置51(図10等参照)により、絶縁碍子2と主体金具3との間に滑石25が充填される。より詳しくは、まず、図3に示すように、主体金具3に絶縁碍子2を挿入した上で、金属製で筒状をなす受台31により、軸線CL1が鉛直方向にほぼ沿って延びるようにして主体金具3を支持する。このとき、主体金具3は、自身の中心軸が受台31の中心軸と一致するようにして配置される。
尚、受台31は、搬送台32の孔部に挿通された状態で配置されており、前記搬送台32は、所定の搬送方向に沿って移動可能とされている。さらに、受台31の内周下方側には、それぞれ筒状をなす金具ガイド33と絶縁体ガイド35とが取付けられている。
金具ガイド33は、所定の金属材料により形成されるとともに、自身の下方に設けられた鉛直方向に沿って伸縮可能な第1の弾性部材34により上方へと付勢された状態となっている。また、金具ガイド33の上面33Aのうち少なくとも内周側は、外周側に向けて徐々に低くなるテーパ状となっており、受台31で主体金具3を支持した際には、前記上面33Aのテーパ状部分に対して主体金具3の先端部内周が接触する。主体金具3の先端部が、上方に向けて付勢された金具ガイド33の上面33A(テーパ状部分)に接触することで、受台31に対する主体金具3の先端部の径方向に沿った相対移動が規制される。また、主体金具3は、金具ガイド33により支持されることで、座部16が受台31から浮いた状態とされる。尚、金具ガイド33の上面33Aには、接地電極27を収容可能な凹部(図示せず)が設けられており、金具ガイド33により主体金具3を支持する際には、前記凹部に接地電極27が収容される。
絶縁体ガイド35は、自身の中心軸と金具ガイド33の中心軸とが一致した状態で金具ガイド33に挿通されるとともに、所定の樹脂材料により形成されている。また、絶縁体ガイド35の下方には、鉛直方向に沿って伸縮可能な第2の弾性部材36が設けられており、当該第2の弾性部材36により絶縁体ガイド35は上方へと付勢された状態となっている。さらに、絶縁体ガイド35の上面35Aは、外周側に向けて徐々に高くなるテーパ状をなしており、受台31で主体金具3を支持した際には、前記上面35Aに対して絶縁碍子2の先端部外周が接触する。絶縁碍子2の先端部が、上方に向けて付勢された絶縁体ガイド35の上面35Aに接触することで、受台31に対する絶縁碍子2の先端部の径方向に沿った相対移動が規制される。尚、絶縁体ガイド35の下方側であって、金具ガイド33から露出する部位には、径方向外側に向けて突出し、金具ガイド33の内径よりも外径の大きい突出部35Bが設けられている。当該突出部35Bにより、金具ガイド33に対する絶縁体ガイド35の上限位置が設定されている。一方で、金具ガイド33に対する絶縁体ガイド35の下限位置はある程度調節可能となるため、主体金具3の先端に対する絶縁碍子2の先端の突出量が異なるスパークプラグ1を製造する場合であっても、金具ガイド33及び絶縁体ガイド35を共通に利用可能となっている。尚、金具ガイド33の外周面は、受台31に対してほぼ隙間なく接触しており、金具ガイド33及び絶縁体ガイド35は、受台31に対して自身の径方向に沿って相対移動不能となっている。
製造方法の説明に戻り、主体金具3を受台31で支持した後、図4に示すように、絶縁碍子2(後端側胴部10及び大径部11)と主体金具3との間に形成された環状の空間40に、リング部材23、及び、滑石25をこの順序で配置する。次いで、搬送台32を移動させることにより、図5に示すように、押圧装置41の下方へと主体金具3等を搬送し、押圧装置41の中心軸CL2と受台31の中心軸(軸線CL1と一致する)とがほぼ一致した状態で搬送台32を停止させる。
尚、押圧装置41は、筒状をなし前記中心軸CL2を中心軸とする滑石プレス治具42と、その内周に配置された筒状の絶縁体支持治具43と、滑石プレス治具42の外周に配置された筒状のプレス治具ガイド44とを備えている。
滑石プレス治具42は、軸線CL1方向に沿って移動することで、自身の先端部にて滑石25を押圧するものであり、その先端部は、プレス治具ガイド44の内部に配置されている。
絶縁体支持治具43は、滑石プレス治具42の中心軸と自身の中心軸とが一致するようにして配置されており、滑石プレス治具42に対して軸線CL1(鉛直)方向に沿って相対移動可能に構成されている。また、絶縁体支持治具43の先端部内周には、先端側(下方側)に向けて内径が拡径する拡径部43Aが形成されている。
さらに、本実施形態では、図6に示すように、滑石プレス治具42の内径と絶縁体支持治具43の外径との径差Xが0.05mm以下とされており、滑石プレス治具42及び絶縁体支持治具43間に形成される隙間が非常に小さなものとされている。
また、図7に示すように、滑石25の押圧前における、前記大径部11の外径と主体金具3のうち大径部11の外周に位置する部位の内径との径差をY(mm)としたとき、X<Yを満たすように両径差X,Yがそれぞれ設定されている。
図5に戻り、プレス治具ガイド44は、第3の弾性部材45を介して滑石プレス治具42に取付けられている。そして、滑石25を押圧する際には、第3の弾性部材45が圧縮されることで、滑石プレス治具42の先端部がプレス治具ガイド44の先端部に対して軸線CL1方向先端側に相対移動するように構成されている。また、プレス治具ガイド44の先端部内周には、下方側に向けて内径が拡径するテーパ部44Aが設けられている。そして、滑石プレス治具42により滑石25を押圧する際には、テーパ部44Aが主体金具3の工具係合部19に対して接触するようになっている。
滑石25を押圧するにあたっては、まず、図8に示すように、絶縁体支持治具43を下方へと移動させ、絶縁体支持治具43により絶縁碍子2のうち主体金具3の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部(本実施形態では、後端側胴部10の最も後端側に位置し、軸線CL1方向後端側に向けて徐々に縮径する部位の外周)を支持する。このとき、絶縁体支持治具43の拡径部43Aが絶縁碍子2の外周と接触することとなり、滑石プレス治具42に対する絶縁碍子2の後端部の軸ずれが矯正される。
尚、本実施形態では、図9に示すように、絶縁体支持治具43により絶縁碍子2の後端部外周を支持しているときに、軸線CL1を含む断面において、拡径部43Aのうち絶縁碍子2の後端部外周と接触している部位を通る接線TL1と軸線CL1とのなす角のうち鋭角の角度をCα(°)とし、絶縁碍子2のうち拡径部43Aに接触している部位を通る接線TL2と軸線CL1とのなす角のうち鋭角の角度をCα1(°)としたとき、Cα>Cα1を満たすように構成されている。
また、絶縁体支持治具43により絶縁碍子2の後端部外周を支持する際に、端子電極6のうち絶縁碍子2から露出する頭部6Bの外周面と、絶縁体支持治具43の内周面との間の最短距離Fαが0.3mm以上とされている。
絶縁体支持治具43により絶縁碍子2の後端部を支持した後、滑石プレス治具42を軸線CL1方向に沿って主体金具3側へと移動させる。これにより、図10に示すように、滑石プレス治具42とともにプレス治具ガイド44が下方へと移動し、プレス治具ガイド44のテーパ部44Aが工具係合部19に接触することで、プレス治具ガイド44により主体金具3の後端部が支持される。さらに、滑石プレス治具42を下方側へと移動させ続けると、各弾性部材34,36,45が圧縮され、図11に示すように、座部16の先端面が受台31に対して接触する。そして、滑石プレス治具42をさらに下方へと移動させることで第3の弾性部材45が一層圧縮され、図12に示すように、滑石プレス治具42の先端部によって滑石25が押圧される。
すなわち、本実施形態では、滑石押圧工程において、絶縁体支持治具43による絶縁碍子2の支持、プレス治具ガイド44による主体金具3の支持、及び、滑石プレス治具42による滑石25の押圧が、この順序で行われるようになっており、主体金具3の支持、及び、滑石25の押圧の前に、絶縁碍子2の支持が行われるようになっている。
滑石押圧工程の後、図13に示すように、受台31と、押圧装置61とを備える金具プレス装置71を用いて、加締め工程が行われる。
尚、押圧装置61は、それぞれ軸線CL1(鉛直)方向に沿って移動可能な筒状の金具プレス治具62と筒状の第2絶縁体支持治具63とを備えている。金具プレス治具62は、自身の内周面に、加締め部20の形状に対応した湾曲面状をなす加締め形成部62Aを備えている。また、第2絶縁体支持治具63は、金具プレス治具62の中心軸と自身の中心軸とが一致するように金具プレス治具62の内周に配置されており、金具プレス治具62に対して軸線CL1(鉛直)方向に沿って相対移動可能に構成されている。さらに、第2絶縁体支持治具63の先端部内周には、前記絶縁体支持治具43と同様に、先端側に向けて内径が拡径する拡径部63Aが設けられている。
加締め工程においては、滑石25上にリング部材24を配置した上で、押圧装置61の中心軸CL3(金具プレス治具62の中心軸と一致する)と受台31の中心軸(軸線CL1)とがほぼ一致した状態で搬送台32を停止させる。
そして、図14に示すように、第2絶縁体支持治具63を下方へと移動させ、第2絶縁体支持治具63により絶縁碍子2のうち主体金具3の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部(本実施形態では、後端側胴部10の最も後端側に位置し、軸線CL1方向後端側に向けて徐々に縮径する部位の外周)を支持する。このとき、前記拡径部63Aが絶縁碍子2の外周と接触し、金具プレス治具62に対する絶縁碍子2の後端部の軸ずれや軸の傾きが矯正される。
尚、本実施形態では、図15に示すように、第2絶縁体支持治具63により絶縁碍子2の後端部外周を支持しているときに、軸線CL1を含む断面において、拡径部63Aのうち絶縁碍子2の後端部外周と接触している部位を通る接線TL3と軸線CL1とのなす角のうち鋭角の角度をCβ(°)とし、絶縁碍子2のうち拡径部63Aに接触している部位を通る接線TL4と軸線CL1とのなす角のうち鋭角の角度をCβ1(°)としたとき、Cβ>Cβ1を満たすように構成されている。
また、第2絶縁体支持治具63により絶縁碍子2の後端部外周を支持する際に、端子電極6の頭部6Bの外周面と、第2絶縁体支持治具63の内周面との間の最短距離Fβが0.3mm以上とされている。
第2絶縁体支持治具63により絶縁碍子2を支持した後、図16に示すように、金具プレス治具62を下方へと移動させ、加締め形成部62Aを主体金具3の後端部に接触させつつ、主体金具3の後端部に軸線CL1方向に沿った押圧力を加える。これにより、座部16と工具係合部19との間の薄肉部分が径方向外側に向けて膨出変形するとともに、主体金具3の後端側開口部が径方向内側へと屈曲され、加締め部20が形成される。その結果、絶縁碍子2と主体金具3とが固定される。
絶縁碍子2と主体金具3とを固定した後、接地電極27を中心電極5側に屈曲させるとともに、中心電極5及び接地電極27間の火花放電間隙28の大きさを調節することで、上述したスパークプラグ1が得られる。
尚、本実施形態のように主体金具3の先端部と中心電極5の先端部との間の軸線CL1と直交する方向に沿った距離Lが比較的小さなスパークプラグ1においては、絶縁碍子2の軸線CL1(中心電極5の中心軸)が主体金具3の中心軸に対して若干でもずれたり、傾いたりしてしまうことで、中心電極5と主体金具3との間で横飛火等の異常放電が生じてしまいやすい。すなわち、前記距離Lが比較的大きなスパークプラグと比較して、本実施形態のスパークプラグ1は、軸線CL1のずれや傾きが、着火性に悪影響を及ぼしてしまいやすい。しかしながら、本発明を適用することで、軸線CL1のずれや傾きを効果的に抑制できるため、前記距離Lが比較的小さく、軸線CL1のずれや傾きに伴う異常放電の発生が特に懸念されるスパークプラグ1においても、異常放電の発生を効果的に防止することができる。換言すれば、本発明は、前記距離Lが比較的小さなスパークプラグを製造する際に、特に有効である。
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、芯出し精度評価試験を行った。芯出し精度評価試験の概要は次の通りである。すなわち、滑石押圧工程において、滑石プレス治具の下方に主体金具を配置する際に、滑石プレス治具の中心軸と絶縁碍子の軸線とをほぼ一致させた状態で主体金具を配置した。その上で、絶縁碍子の先端部や後端部を特段支持することなく、滑石プレス治具により滑石を押圧した場合(ケース1)と、絶縁碍子の先端部を保持しない一方で、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部外周を支持した上で、滑石を押圧した場合(ケース2)と、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持するとともに、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部外周を支持した上で、滑石を押圧した場合(ケース3)とで、得られたスパークプラグを軸線方向先端側から見たときにおける絶縁碍子の軸線と主体金具の中心軸とのずれ量を測定した。図17に、当該試験の試験結果を示す。
また、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部外周を支持するとともに、絶縁碍子の先端部を絶縁体ガイドにより保持した場合(上記ケース3と同様)と、絶縁碍子の後端部外周を支持することなく、絶縁碍子の先端部を絶縁体ガイドにより保持した場合(ケース4)とにおいて、上記試験と同様に、滑石プレス治具により滑石を押圧する試験を、それぞれのケースで100回ずつ行った。そして、得られたスパークプラグを観察し、滑石の押圧に伴う絶縁碍子における破損の有無を確認するとともに、破損の発生割合(破損割合)を算出した。図18に、両ケースにおける破損割合をそれぞれ示す。
図17に示すように、絶縁碍子の後端部外周を支持することなく、滑石を押圧した場合(ケース1)には、ずれ量が比較的大きくなってしまったが、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部外周を支持した場合(ケース2,3)には、ずれ量を十分に小さくできることが分かった。これは、絶縁体支持治具により絶縁碍子を支持したことで、滑石の押圧に伴う絶縁碍子の径方向に沿った移動が抑制されたことによると考えられる。また特に、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部を支持しつつ、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持した場合(ケース3)には、ずれ量を極めて小さくできることが確認された。
さらに、図18に示すように、絶縁碍子の先端部を保持する一方で、絶縁体支持治具により絶縁碍子を支持しない場合(ケース4)には、絶縁碍子に破損が生じやすくなってしまうことが分かった。これは、絶縁碍子の後端部が径方向に沿って移動してしまったことで、絶縁体ガイドに保持された絶縁碍子の先端部に対して径方向に沿った大きな応力が加わってしまい、その結果、絶縁碍子の脚長部後端側にモーメントが発生してしまったためであると考えられる。
これに対して、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部外周を支持するとともに、絶縁碍子の先端部を絶縁体ガイドにより保持した場合(ケース3)には、絶縁碍子の破損を極めて効果的に抑制できることが分かった。これは、絶縁体支持治具により絶縁碍子の径方向に沿った移動が抑制され、ひいては絶縁碍子の先端部に加わる径方向に沿った応力を十分に小さくできたことによると考えられる。
以上の試験結果より、絶縁碍子の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれや傾きを防止すべく、滑石押圧工程において、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部外周を支持することが好ましく、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部外周を支持しつつ、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持することがより好ましいといえる。また、絶縁体支持治具により絶縁碍子の後端部外周を支持することは、絶縁体ガイドを用いる場合に懸念される絶縁碍子の破損を防止するという点でも有意であるといえる。
尚、軸線方向に沿って筒状のプレス治具を移動させ、絶縁碍子に荷重を加える工程であれば、絶縁体支持治具を用いることによる軸ずれ等の抑制効果を期待できる。従って、滑石押圧工程だけでなく、金具プレス治具により主体金具の後端部を押圧し、加締め部を形成する加締め工程においても、絶縁体支持治具を用いることで絶縁碍子の軸線と主体金具の中心軸との軸ずれ等を防止することができる。また、加締め工程においても、絶縁碍子の先端部を保持することで、軸ずれ等を一層効果的に防止することができる。
次いで、滑石プレス治具の内径と絶縁体支持治具の外径との径差Xを種々変更した装置を用いて滑石押圧工程を行い、各径差Xごとに、滑石押圧工程後における前記ずれ量を計測した。図19に、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持することなく、滑石押圧工程を行った際の径差Xとずれ量との関係を表すグラフを示し、図20に、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持した上で、滑石押圧工程を行った際の径差Xとずれ量との関係を表すグラフを示す。
尚、当該試験においては、軸線方向に沿って10mmの範囲において前記距離Dを0.2mmとし、前記最短距離Fαを0.3mmとし、X>Y(=0.20mm)を満たし、Cα(=30°)>C(=12°30´)を満たすように構成した。また、絶縁体支持治具による絶縁碍子の支持、プレス治具ガイドによる主体金具の支持、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧をこの順序で行った。
図19及び図20に示すように、径差Xを0.05mm以下とした場合に、ずれ量をより小さくすることができ、優れた軸ずれ等の抑制効果を発揮できることが分かった。これは、絶縁体支持治具の中心軸に対して滑石プレス治具の中心軸が精度よく合うこととなったため、絶縁体支持治具により支持される絶縁碍子の軸線と滑石プレス治具の中心軸とが精度よく合い、ひいては滑石の押圧に伴い絶縁碍子に加わる力が周方向に沿ってより均等なものとなったためであると考えられる。
次に、軸線方向に沿って10mmの範囲において、端子電極の外周面と定径部の内周面との間の距離Dを0.1mm、0.2mm、又は、0.3mmとしたスパークプラグのサンプル(サンプルA)と、前記距離Dを0.2mmとした部位の軸線に沿った長さEを7.5mm、10mm、又は、12.5mmとしたスパークプラグのサンプル(サンプルB)とをそれぞれ30本ずつ用意し、各サンプルに対して滑石押圧工程を行った後の前記ずれ量の平均値(平均ずれ量)を計測した。図21に、サンプルAの試験結果を示し、図22に、サンプルBの試験結果を示す。
尚、当該試験においては、前記径差Xを0.029mmとし、前記最短距離Fαを0.3mmとし、X>Y(=0.20mm)を満たし、Cα(=30°)>C(=12°30´)を満たすように構成した。また、絶縁体支持治具による絶縁碍子の支持、プレス治具ガイドによる主体金具の支持、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧をこの順序で行い、滑石の押圧時には、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持した。
図21及び図22に示すように、距離Dを0.2mm以下とするとともに、長さEを10mm以上としたサンプルは、ずれ量がより小さなものとなり、軸ずれの抑制効果に優れることが確認された。これは、距離Dを0.2mm以下としつつ、長さEを10mm以上としたことで、軸線に対する端子電極の中心軸の傾きやずれが抑制されることとなり、その結果、絶縁碍子を支持する際における絶縁体支持治具への端子電極の干渉が防止され、絶縁体支持治具によって絶縁碍子がより確実に支持されたためであると考えられる。
次いで、前記最短距離Fαが0.2mm、0.3mm、又は、0.4mmとなるように端子電極や絶縁体支持治具を構成した場合において、各最短距離Fαごとに30回ずつ滑石押圧工程を行い、前記平均ずれ量を計測した。図23に、最短距離Fαと平均ずれ量との関係を表すグラフを示す。
尚、当該試験においては、前記径差Xを0.029mmとし、軸線方向に沿って10mmの範囲において前記距離Dを0.2mmとし、X>Y(=0.20mm)を満たし、Cα(=30°)>C(=12°30´)を満たすように構成した。また、絶縁体支持治具による絶縁碍子の支持、プレス治具ガイドによる主体金具の支持、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧をこの順序で行い、滑石の押圧時には、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持した。
図23に示すように、最短距離Fαを0.3mm以上とした場合には、ずれ量が一層小さなものとなり、軸ずれ等の抑制効果をより向上できることが明らかとなった。これは、絶縁体支持治具により絶縁碍子を支持する際に、端子電極の後端部(頭部)に対して絶縁体支持治具が接触してしまうことがより確実に防止されたため、絶縁体支持治具により絶縁碍子がより確実に支持されることとなり、その結果、滑石の押圧時における絶縁碍子の径方向に沿った移動が一層確実に抑制されたためであると考えられる。
次に、前記径差Yを0.02mm、0.1mm、又は、0.2mmとしたスパークプラグのサンプルを100本ずつ用意し、前記径差Xを0.029mmとした装置を用いて、各サンプルについて滑石押圧工程を行った。そして、滑石押圧工程後に、絶縁碍子における破損の有無を確認するとともに、破損の生じた本数を特定し、破損の生じた割合(破損割合)を算出した。図24に、径差X,Yの大小関係と破損割合との関係を示すグラフを示す。
尚、当該試験においては、軸線方向に沿って10mmの範囲において前記距離Dを0.2mmとし、Cα(=30°)>C(=12°30´)を満たすように構成した。また、絶縁体支持治具による絶縁碍子の支持、プレス治具ガイドによる主体金具の支持、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧をこの順序で行い、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持することなく、滑石を押圧した。
図24に示すように、X<Yを満たすように構成した場合には、絶縁碍子の破損を極めて効果的に防止できることが分かった。これは、X<Yとしたことで、絶縁体支持治具に対する滑石プレス治具の移動に伴い主体金具に対して絶縁碍子が移動したとしても、主体金具に対して絶縁碍子(大径部)が接触しなくなったためであると考えられる。
次いで、滑石押圧工程において、絶縁体支持治具による絶縁碍子の支持(絶縁碍子支持)、プレス治具ガイドによる主体金具の支持(金具支持)、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧(滑石押圧)をこの順序で行った場合(ケースA)と、絶縁碍子支持、滑石押圧、及び、金具支持をこの順序で行った場合(ケースB)と、金具支持、絶縁碍子支持、及び、滑石押圧をこの順序で行った場合(ケースC)と、滑石押圧、絶縁碍子支持、及び、金具支持をこの順序で行った場合(ケースD)とで、滑石プレス治具により滑石を押圧する試験を、それぞれのケースで100回ずつ行った。その後、各ケースにおいて、絶縁碍子に破損が生じた本数を特定するとともに、前記破損割合を算出した。図25に、各ケースにおける破損割合をそれぞれ示す。
尚、当該試験においては、径差Xを0.029mmとし、軸線方向に沿って10mmの範囲において前記距離Dを0.2mmとし、X>Y(=0.20mm)を満たし、Cα(=30°)>C(=12°30´)を満たすように構成した。また、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持することなく、滑石を押圧した。
図25に示すように、絶縁体支持治具による絶縁碍子の支持を、プレス治具ガイドによる主体金具の支持、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧の前に行った場合(ケースA,B)には、絶縁碍子の破損をより確実に防止できることが分かった。これは、絶縁体支持治具により絶縁碍子の軸ずれ等が矯正されるとともに、絶縁碍子の移動が規制されていたため、プレス治具ガイドにより主体金具を支持するときや、滑石プレス治具により滑石を押圧するときに、プレス治具ガイドや滑石プレス治具が絶縁碍子の後端部に対してより接触しにくくなったためであると考えられる。
次いで、絶縁体支持治具における前記角度Cαを30°、12°30´、又は、7°とした装置を用いて、絶縁碍子における前記角度Cα1を12°30´としたスパークプラグのサンプルに対して、各角度Cαごとに30回ずつ滑石押圧工程を行い、前記平均ずれ量を計測した。図26に、角度Cα,Cα1の大小関係と平均ずれ量との関係を表すグラフを示す。
尚、当該試験においては、径差Xを0.029mmとし、軸線方向に沿って10mmの範囲において前記距離Dを0.2mmとし、X>Yを満たすように構成した。また、絶縁体支持治具による絶縁碍子の支持、プレス治具ガイドによる主体金具の支持、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧をこの順序で行い、滑石の押圧時には、絶縁体ガイドにより絶縁碍子の先端部を保持した。
図26に示すように、Cα>Cα1を満たす場合には、ずれ量を一層小さくできることが確認された。これは、Cα>Cα1としたことで、絶縁体支持治具により絶縁碍子を支持した際に、拡径部から絶縁碍子の後端部に加わる径方向内側に向けた力がより大きなものとなり、ひいては絶縁碍子の後端部における軸ずれが効果的に矯正されたためであると考えられる。
上記各試験の結果より、滑石押圧工程において、軸線と主体金具の中心軸との軸ずれや傾きをより効果的に抑制するという観点から、径差Xを0.05mm以下としたり、軸線方向に沿って10mm以上の範囲において前記距離Dを0.2mm以下としたり、前記最短距離Fαを0.3mm以上としたり、Cα>Cα1を満たすように構成したりすることがより好ましいといえる。
また、滑石押圧工程において、絶縁碍子の破損をより確実に防止するためには、X<Yを満たすように構成したり、絶縁体支持治具による絶縁碍子の支持を、プレス治具ガイドによる主体金具の支持、及び、滑石プレス治具による滑石の押圧の前に行ったりすることがより好ましいといえる。
さらに、滑石押圧工程において軸ずれ等の抑制効果を高める手法のうち、径差Xを0.05mm以下とするもの以外は、加締め工程において、軸線と主体金具の中心軸との軸ずれ等を抑制するという点で有効である。すなわち、加締め工程において、軸線と主体金具の中心軸との軸ずれ等をより効果的に抑制すべく、軸線方向に沿って10mm以上の範囲において前記距離Dを0.2mm以下としたり、前記最短距離Fβを0.3mm以上としたり、前記角度Cβ,Cβ1がCβ>Cβ1を満たすように構成したりすることがより好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、滑石押圧工程及び加締め工程の双方において、絶縁碍子2の後端部外周が、絶縁体支持治具43,63によって支持されているが、両工程のうち一方の工程のみにおいて、絶縁体支持治具により絶縁碍子2の後端部外周を支持することとしてもよい。
(b)上記実施形態では、滑石押圧工程及び加締め工程の双方において、絶縁碍子2の先端部が絶縁体ガイド35によって保持されているが、絶縁碍子2の先端部を保持することなく、滑石押圧工程及び加締め工程を行うこととしてもよい。また、滑石押圧工程及び加締め工程のうちの一方において、絶縁碍子2の先端部を保持することとしてもよい。
(c)上記実施形態における加締め工程は、主体金具3を特段加熱することなく行われているが、通電により主体金具3を加熱した上で、加締め工程を行う場合(いわゆる熱加締めを行う場合)に、本発明の技術思想を適用することとしてもよい。尚、熱加締めを行う場合には、主体金具3から絶縁碍子2に対してより大きな軸力を加えることができ、両者の間の気密性をより一層向上させることができる。従って、リング部材23,24や滑石25を設けないこととしてもよい。尚、リング部材23,24や滑石25を設けない場合には、加締め加工の際に、絶縁碍子2に対してより大きな荷重が加わるため、その径方向に沿った移動がより懸念されるが、本発明を適用することで、絶縁碍子2の径方向に沿った移動を効果的に抑制することができる。換言すれば、本発明は、熱加締めを行う際に、特に有効である。
(d)上記実施形態におけるスパークプラグ1は、主体金具3が比較的小径化され、前記距離Lが比較的小さなものとされているが、本発明を用いて製造可能なスパークプラグは、特に限定されるものではない。従って、例えば、主体金具3のねじ径がM12を超え、前記距離Lが比較的大きなスパークプラグを製造する際に、本発明を採用することとしてもよい。
(e)上記実施形態では、主体金具3の先端部26に、接地電極27が接合される場合について具体化しているが、主体金具の一部(又は、主体金具に予め溶接してある先端金具の一部)を削り出すようにして接地電極を形成する場合についても適用可能である(例えば、特開2006−236906号公報等)。
(f)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
1…スパークプラグ
2…絶縁碍子(絶縁体)
3…主体金具
4…軸孔
4A…定径部
5…中心電極
6…端子電極
11…大径部
20…加締め部
25…滑石
31…受台
35…絶縁体ガイド
42…滑石プレス治具
43…絶縁体支持治具
44…プレス治具ガイド
43A,63A…拡径部
62…金具プレス治具
63…第2絶縁体支持治具
CL1…軸線

Claims (32)

  1. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
    前記絶縁体と前記主体金具との間に充填された滑石とを備えたスパークプラグの製造方法であって、
    筒状の滑石プレス治具により前記軸線方向に沿って前記滑石を押圧する滑石押圧工程を含み、
    前記滑石押圧工程においては、前記滑石プレス治具の内周に配置された筒状の絶縁体支持治具により前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持した上で、前記滑石プレス治具により前記滑石を押圧することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  2. 前記滑石プレス治具の内径と前記絶縁体支持治具の外径との径差が0.05mm以下とされることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。
  3. 前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
    前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
    前記滑石押圧工程前において、前記軸孔に前記端子電極の先端側が挿通されており、
    前記滑石押圧工程において、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面と間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグの製造方法。
  4. 前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
    前記滑石押圧工程において、前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  5. 前記絶縁体は、径方向外側に突出し、前記主体金具の内周に配置される大径部を有し、
    前記滑石プレス治具の内径と前記絶縁体支持治具の外径との径差をX(mm)とし、前記滑石押圧工程前における、前記大径部の外径と前記主体金具のうち前記大径部の外周に位置する部位の内径との径差をY(mm)としたとき、X<Yを満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  6. 前記絶縁体支持治具の先端部内周には、先端側に向けて内径が拡径する拡径部が形成されるとともに、
    前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記拡径部が前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周と接触し、
    前記滑石押圧工程においては、自身の先端部に対して前記滑石プレス治具の先端部が前記軸線方向先端側に相対移動可能な筒状のプレス治具ガイドにより、前記主体金具の後端部が支持され、
    前記絶縁体支持治具による前記絶縁体の支持を、前記プレス治具ガイドによる前記主体金具の支持、及び、前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧の前に行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  7. 前記滑石押圧工程においては、
    前記絶縁体が挿通された前記主体金具を筒状の受台により支持するとともに、
    前記絶縁体の先端部が保持され、前記受台に対する前記絶縁体の先端部の径方向に沿った相対移動が規制されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  8. 前記スパークプラグにおいては、前記主体金具の後端部に設けられた径方向内側に屈曲する加締め部により、前記絶縁体と前記主体金具とが固定されており、
    前記滑石押圧工程の後において、筒状の金具プレス治具により前記軸線方向に沿って前記主体金具の後端部を押圧し、前記加締め部を形成する加締め工程を含み、
    前記加締め工程においては、前記金具プレス治具の内周に配置された筒状の第2絶縁体支持治具により前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持した上で、前記金具プレス治具により前記加締め部を形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  9. 前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
    前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
    前記加締め工程前において、前記軸孔に前記端子電極の先端側が挿通されており、
    前記加締め工程において、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする請求項8に記載のスパークプラグの製造方法。
  10. 前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
    前記加締め工程において、前記第2絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記第2絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする請求項8又は9に記載のスパークプラグの製造方法。
  11. 前記加締め工程においては、
    前記絶縁体が挿通された前記主体金具を筒状の受台により支持するとともに、
    前記絶縁体の先端部が保持され、前記受台に対する前記絶縁体の先端部の径方向に沿った相対移動が規制されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  12. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具とを備え、
    前記主体金具の後端部に設けられた径方向内側に屈曲する加締め部により前記絶縁体と前記主体金具とが固定されたスパークプラグの製造方法であって、
    筒状の金具プレス治具により前記軸線方向に沿って前記主体金具の後端部を押圧し、前記加締め部を形成する加締め工程を含み、
    前記加締め工程においては、前記金具プレス治具の内周に配置された筒状の絶縁体支持治具により前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持した上で、前記金具プレス治具により前記加締め部を形成することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  13. 前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
    前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
    前記加締め工程前において、前記軸孔に前記端子電極が挿通されており、
    前記加締め工程において、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする請求項12に記載のスパークプラグの製造方法。
  14. 前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
    前記加締め工程において、前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする請求項12又は13に記載のスパークプラグの製造方法。
  15. 前記加締め工程においては、
    前記絶縁体が挿通された前記主体金具を筒状の受台により支持するとともに、
    前記絶縁体の先端部が保持され、前記受台に対する前記絶縁体の先端部の径方向に沿った相対移動が規制されることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  16. 前記絶縁体支持治具の先端部内周には、先端側に向けて内径が拡径する拡径部が形成されており、
    前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記拡径部が前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周と接触することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
  17. 前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持している状態において、
    前記軸線を含む断面において、前記拡径部のうち前記絶縁体の後端部外周と接触している部位を通る接線と前記軸線とのなす角のうち鋭角の角度をC(°)とし、前記絶縁体のうち前記拡径部に接触している部位を通る接線と前記軸線とのなす角のうち鋭角の角度をC1(°)としたとき、C>C1を満たすことを特徴とする請求項16に記載のスパークプラグの製造方法。
  18. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
    前記絶縁体と前記主体金具との間に充填された滑石とを備えたスパークプラグの製造装置であって、
    前記主体金具を支持する筒状の受台と、
    前記軸線方向に沿って移動可能であり、前記滑石を押圧する筒状の滑石プレス治具と、
    前記滑石プレス治具の内周に配置され、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持する筒状の絶縁体支持治具と、を備えることを特徴とするスパークプラグの製造装置。
  19. 前記滑石プレス治具の内径と前記絶縁体支持治具の外径との径差が0.05mm以下とされることを特徴とする請求項18に記載のスパークプラグの製造装置。
  20. 前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
    前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
    前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧前において、前記軸孔に前記端子電極が挿通されており、
    前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧時に、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする請求項18又は19に記載のスパークプラグの製造装置。
  21. 前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
    前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造装置。
  22. 前記絶縁体は、径方向外側に突出し、前記主体金具の内周に配置される大径部を有し、
    前記滑石プレス治具の内径と前記絶縁体支持治具の外径との径差をX(mm)とし、前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧前における、前記大径部の外径と前記主体金具のうち前記大径部の外周に位置する部位の内径との径差をY(mm)としたとき、X<Yを満たすことを特徴とする請求項18乃至21のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造装置。
  23. 前記絶縁体支持治具の先端部内周には、先端側に向けて内径が拡径し、前記絶縁体を支持する際に、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周に接触する拡径部が形成され、
    自身の先端部に対して前記滑石プレス治具の先端部が前記軸線方向先端側に相対移動可能であり、前記主体金具の後端部を支持する筒状のプレス治具ガイドを備え、
    前記絶縁体支持治具による前記絶縁体の支持を、前記プレス治具ガイドによる前記主体金具の支持、及び、前記滑石プレス治具による前記滑石の押圧の前に行うことを特徴とする請求項18乃至22のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造装置。
  24. 前記スパークプラグにおいては、前記主体金具の後端部に設けられた径方向内側に屈曲する加締め部により、前記絶縁体と前記主体金具とが固定されており、
    前記軸線方向に沿って移動可能であり、前記主体金具の後端部を押圧する筒状の金具プレス治具と、
    前記金具プレス治具の内周に配置され、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持する第2絶縁体支持治具と、を備えることを特徴とする請求項18乃至23のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造装置。
  25. 前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
    前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
    前記金具プレス治具による前記主体金具の押圧前において、前記軸孔に前記端子電極が挿通されており、
    前記金具プレス治具による前記主体金具の押圧時に、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする請求項24に記載のスパークプラグの製造装置。
  26. 前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
    前記第2絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記第2絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする請求項24又は25に記載のスパークプラグの製造装置。
  27. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    前記軸孔の先端側に設けられた中心電極と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具とを備え、
    前記主体金具の後端部に設けられた径方向内側に屈曲する加締め部により前記絶縁体と前記主体金具とが固定されたスパークプラグの製造装置であって、
    前記主体金具を支持する筒状の受台と、
    前記軸線方向に沿って移動可能であり、前記主体金具の後端部を押圧する筒状の金具プレス治具と、
    前記金具プレス治具の内周に配置され、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周の少なくとも一部を支持する筒状の絶縁体支持治具と、を備えることを特徴とするスパークプラグの製造装置。
  28. 前記軸孔の後端側には、棒状の端子電極の先端部が挿通されており、
    前記軸孔のうち前記端子電極が挿通される部位には、前記軸線方向に沿って10mm以上の長さに亘って一定の内径を有する定径部が設けられ、
    前記金具プレス治具による前記主体金具の押圧前において、前記軸孔に前記端子電極が挿通されており、
    前記金具プレス治具による前記主体金具の押圧時に、前記軸線方向に沿って10mm以上の範囲において、前記端子電極の外周面と前記定径部の内周面との間の距離が0.2mm以下とされることを特徴とする請求項27に記載のスパークプラグの製造装置。
  29. 前記絶縁体の後端には、自身の先端部が前記軸孔の後端側に挿通された端子電極の後端部が露出しており、
    前記絶縁体支持治具により前記絶縁体のうち後端部外周を支持する際に、前記端子電極のうち前記絶縁体から露出する部位の外周面と前記絶縁体支持治具の内周面との間の最短距離が0.3mm以上とされることを特徴とする請求項27又は28に記載のスパークプラグの製造装置。
  30. 前記絶縁体支持治具の先端部内周には、先端側に向けて内径が拡径し、前記絶縁体を支持する際に、前記絶縁体のうち前記主体金具の後端よりも後端側で露出している部分の外周に接触する拡径部が形成されていることを特徴とする請求項18乃至29のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造装置。
  31. 前記絶縁体支持治具により前記絶縁体の後端部外周を支持している状態において、
    前記軸線を含む断面において、前記拡径部のうち前記絶縁体の後端部外周と接触している部位を通る接線と前記軸線とのなす角のうち鋭角の角度をC(°)とし、前記絶縁体のうち前記拡径部に接触している部位を通る接線と前記軸線とのなす角のうち鋭角の角度をC1(°)としたとき、C>C1を満たすことを特徴とする請求項30に記載のスパークプラグの製造装置。
  32. 前記絶縁体の先端部を保持し、前記受台に対する前記絶縁体の先端部の径方向に沿った相対移動を規制する絶縁体ガイドを備えることを特徴とする請求項18乃至31のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造装置。
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