JP5249176B2 - 液圧駆動のアクチュエータ、それを組み込んだ液圧駆動のアクチュエータユニット、およびそれらを組み上げた液圧駆動のロボット - Google Patents

液圧駆動のアクチュエータ、それを組み込んだ液圧駆動のアクチュエータユニット、およびそれらを組み上げた液圧駆動のロボット Download PDF

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Description

本発明は、水圧や油圧などの液圧により駆動する液圧駆動のアクチュエータ、それを組み込んだ液圧駆動のアクチュエータユニット、それらを組み上げた液圧駆動のロボットに関する。例えば、アーム型ロボット、管の外壁面を移動するロボット、管内を移動するロボット、垂直壁面を移動するロボット、関節を備えた複数の脚により歩行する歩行型ロボット、複数の体節を備えていわゆる尺取り動作等により移動する体節型ロボットなど多様なロボット分野に関する。一例としては、作業者が立ち入ることが難しい発電設備、工場設備、海中設備、船外設備、災害現場、宇宙空間設備などで作業を行うロボットがある。
近年、発電所や工場等の危険性の高い場所において、無人化が推し進められており、これに伴い、作業員に代わって作業を行うロボットやマニピュレータが種々開発されている。従来のロボットやマニピュレータとしては、サーボモータ等の駆動部が各関節に組み込まれたモータ組み込み方式が主流である。
従来のロボットやマニピュレータは数値制御が基本であり、ロボットやマニピュレータの各部位の正確な位置情報や移動量が入力データとして必要となるため、要所要所にセンサを組み込み、ロボットやマニピュレータの各部位の正確な位置情報や移動量を計測し、計測データに基づいてフィードバック制御技術やフィードフォワード制御技術を駆使して正確にプログラミングした通りの動作を完遂させるものであった。
各サーボモータの回転量を正確に制御することで、複雑に組み上げたロボットやマニピュレータの各部位の移動量、移動方向、回転量などを細かく制御することは理論上では可能であるとされている。
また、近年、数値制御とプログラミングによるロボット操作方法やマニピュレータ操作方法に代え、いわゆるマスタ・スレーブ方式で制御するロボット操作やマニピュレータ操作方法がある。マスタ・スレーブ方式によりロボットやマニピュレータを操作する指示入力の手段として、例えば特開平6−3465号公報に記載されたようなデータグローブを用いた入力装置がある。このデータグローブは、グローブ形をした入力装置の指の関節部分に導電ゲルを装着し、その導電ゲルの電気抵抗値が指の屈伸状態に応じて変化することを利用して、指の屈伸動作を指示するものである。また、腕部の動作指示を与える従来の腕部操作部としては、人間と同様の大きさの腕部構造として、それを肩から担ぐような操作部がある。
また、従来技術において、原子炉補修ロボットなるものが特開2003−161797号公報に開示されている。特開2003−161797号公報記載には、水圧シリンダと水中ポンプとを駆動機構として原子炉シュラウドの壁面を吸着しながら移動するロボットが開示されている。
同公報の図1に示すように、原子炉補修ロボットは、縦長ボックス状のボディ2の上部に吊り耳3を有し、ボディ2の中央位置に推進用のプロペラ4を有している。ボディ2には、上下2段の横長なフレーム2a,2bが設けられている。上部のフレーム2aには横長配置で水圧シリンダ8が配置され、この水圧シリンダ8の両側に突出するピストン9に吸着機構10としての吸盤10a,10bがそれぞれ回動式支持機構14を介して連結されている。下部のフレーム2bにも同様に、水圧シリンダ11が配置され、この水圧シリンダ11の両側に突出するピストン12に吸着機構13としての吸盤13a,13bがそれぞれ回動式支持機構14を介して連結されている。
なお、同公報の図2に示すように、水圧シリンダ8、11は、一つのシリンダと一つのピストンでピストン運動するもののみが開示されている。結局、同公報の図1と併せ見れば、4つのシリンダ・ピストンにより4つの吸盤付きの脚を稼働している。また、同公報の図2に示すように、内部のピストン9部分にリニアセンサ15を具備し、ピストン9の移動量をセンサ用コード16を介して後述するロボット制御装置23に表示して確認することができるようになっている。
特開平6−3465号公報 特開2003−161797号公報
上記従来の数値制御型のロボットやマニピュレータの第1の問題は、多数配置されたセンサからの入力データとプログラミングした数値制御に依存したいわゆる“硬直型の制御”“硬直した動作”となっている点である。センサにより得た入力データと数値制御を用いれば、理論上はさまざまな操作が正しくできるはずである。しかし、現実には使用に耐え得ないのが実情であることは周知の事実である。なぜならば、従来の数値制御型のロボットやマニピュレータは、寸分たがわない既知のデータまたはセンサによる入力データに基づき、これまた寸分たがわないモータの回転量やギアや部材の移動量の制御が可能であるとの仮定により正しい動作となる、いわゆる“硬直型の制御”“硬直した動作”となっている。また、ロボットの構成要素自体も強い剛性を備えた直線状の動きとなっている。現実には、被操作対象物の大きさや角度には必ず製造誤差や取付誤差があり、ましてや被操作対象物に外力が加わって大きな歪みが存在している場合もある。また、モータの回転量やギアや部材の移動量自体にも誤差があり、いくらセンサの検知精度を高めても操作量には多くの誤差要因がある。そのため、数値制御で決められたプログラム通りの動作を行うと現状には合わない操作量となってしまい、制御に失敗することが多い。
例えば、アーム型ロボットで被操作対象物をつかむと圧がかかり過ぎて被対象物を破壊してしまったり、逆に圧が足りなくて被対象物を落としてしまったりする。また、例えば、2つ以上の把持機構を持ち、それぞれの把持機構で管を交互に掴みつついわゆる尺取り動作で管外壁を掴んで登るという動作であれば、1つの把持機構で管を掴んだ状態で残りの把持機構で管を掴んだときに、想定している管の歪みよりも外壁が歪んでいる場合、管を掴み損ねてしまうか、その管をしっかり掴んだためにその歪みがロボット内部の機構に伝わってしまい、機構内部のフレームや素子などが破損してしまうなどの不具合を起こすおそれがある。
そこで、本発明のロボットでは、センサと数値制御に依存した硬い制御ではなく、いわゆる“柔軟な制御”“柔軟な動作”を行うものとする。また、ロボットの構成要素自体も、“ある程度の剛性”を持ちつつ“直線状の動き”も可能としつつ、“柔らかい弾力性”を備えて“曲線状の動き”も可能とした“2面性を同時に兼ね備えた”ものとする。
次に、上記のモータ組み込み方式のロボットやマニピュレータの第2の問題は、モータ駆動機構が各関節に組み込まれるので、ロボットやマニピュレータ全体の重量が大きくなり、作業性に欠けるという問題点である。特に移動型のロボットは自らの重量が動作の制限となってしまい、作業性の低下を招くという問題が生じる。
また、モータ組み込み方式のロボットやマニピュレータの第3の問題は、水中ではモータがショートしてしまい使用できないという問題である。なお、従来技術として水中モータがあるが、特殊なものであり、ロボットの各関節のモータ駆動機構を水中モータ化することは事実上困難でありコストも高くなってしまう。
次に、従来技術のマスタ・スレーブ方式のマニピュレータやロボットは、数値制御とは異なり、人間の感覚を活かした優れた制御方式の一つであるが、作業者がその現場にいて五感を働かせる訳ではなく、やはりセンサに頼った制御とならざるを得ないという問題がある。また、常にマスタ側の作業者が付きっきりで制御せざるを得ず、いわゆる自律的に動作することができないという問題がある。また、特開平6−3465号公報に記載されたようなデータグローブ型の入力装置を用いることとなり、各指の関節にセンサとしての導電ゲルを取り付けたりしなければならないため、脱着が非常に面倒であり、また、気温の高いとき手袋の中で汗をかいたりして操作者に不快感を与えるという問題点を有していた。また、従来の腕部操作部として考えられる構造のものは、人間が肩から担ぐ構造となっていて重く、操作に困難を来すという問題点を有していた。
次に、特開2003−161797号公報に開示された原子炉補修ロボットの問題は、水中で動作するロボットゆえに水圧で駆動するピストン機構が搭載されているものの、多数配置されたセンサからの入力データとプログラミングした数値制御に依存した従来型のいわゆる“硬直型の制御”“硬直した動作”を行うロボットであることである。同公報の図2に示すように、水圧シリンダ8、11は、それぞれ1つのシリンダと1つのピストンのみから構成され、従来型の単純なピストン運動するもののみが開示されており、水圧シリンダ自体は剛性を持ち直線状の動きしかなし得ないものである。同公報の図1と併せ見れば、4つのピストン機構により4つの吸盤付きの脚を独立に稼働するものである。また、同公報の図2に示すように、内部のピストン9部分にリニアセンサ15を具備し、ピストン9の移動量をセンサ用コード16を介して後述するロボット制御装置23に表示して確認することができるようになっており、センサからの入力データとプログラミングした数値制御に依存した従来型のロボットの一態様である。
上記問題点に鑑み、本発明は、センサと数値制御に依存した硬直型の制御ではなく、いわゆる周囲の状況に応じた柔軟な制御、柔軟な動作を行うものとし、構成要素自体も、ある程度の剛性を備えて“直線状の動き”も可能としつつ、可撓性ある弾力性を備えて“曲線状の動き”も可能とした2面性を同時に兼ね備えた液圧駆動のアクチュエータ、それを組み込んだアクチュエータユニット、それらを組み上げたロボットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の液圧駆動のアクチュエータは、シリンダ室内に液媒体が充填される第1のシリンダ体と、シリンダ室内に液媒体が充填される第2のシリンダ体と、一端が前記第1のシリンダ体のシリンダ室内に収まり、他端が前記第2のシリンダ体のシリンダ室内に収まり、前記一端から前記他端まで貫通して液媒体が充填される中空部を備えたピストン体と、前記第1のシリンダ体のシリンダ室と前記ピストン体の中空部と前記第2のシリンダ体のシリンダ室により形成される液媒体空間内に対して制御された液圧を供給する液圧供給機構とを備えた液圧駆動のアクチュエータである。
なお、本発明において“シリンダ”と“ピストン”の組み合わせによるピストン駆動が可能であるが、エンジンのピストン駆動のように激しく単振動を起こすことを目的とした運動ではなく、液圧により移動するアクチュエータの伸縮という動きに合わせた運動が実現できれば良い。
ここで、上記構成において、ピストン体の少なくとも一部の胴部分が可撓性あるチューブ体により形成することが好ましい。ピストン体中のチューブ体が曲がることにより、伸縮駆動をしつつ全体形状を曲げることが可能となる。このようにピストン体が曲がることによりアクチュエータ全体形状が曲がるという優れた特性が得られる。なお、チューブ体は曲がっていてもその中には液媒体が充填されて液圧は伝達されるのでチューブ体がまっすぐでも曲がっても正常な動作が可能である。中に水が充填された可撓性あるチューブ体はある程度の剛性を備えつつ、柔らかい弾力性も備えたものとなり2面性を同時に兼ね備えたものとなる。つまりチューブ体は直線状の動きも可能となり、可撓性があるため曲線状の動きも可能となり“2面性を同時に兼ね備えた”ものとなる。
次に、上記構成において、第1のシリンダと第2のシリンダ間に弾性体を備えた構成が好ましい。弾性体を設けることにより、第1のシリンダと第2のシリンダの相対的移動が、液圧供給機構から液媒体空間へ供給される水圧によって拡がろうとする力と弾性体により縮まろうとする力がバランスする位置で停止することによって全体の長さの伸縮制御を可能となる。つまり、本発明のアクチュエータは、印加した液圧を維持することで、液圧による伸縮と弾性体の弾性力が釣り合った状態で本発明のアクチュエータは姿勢を維持することができる。
なお、弾性体としては、例えばバネ、ゴムがあり得る。バネであれば弾性力が安定しやすい。
また、上記構成において、第1のシリンダにおいて第2のシリンダと対向し合う縁に第1の嵌合縁を備え、第2のシリンダにおいて第1のシリンダと対向し合う縁に第2の嵌合縁を備え、液圧供給機能による液圧が印加されていない状態において弾性体による弾性力により第1のシリンダ体と第2のシリンダ体が当接し、第1の嵌合縁と第2の嵌合縁が嵌合し合うものであるものとすれば、液圧が印加されていない状態でも第1のシリンダ体と第2のシリンダ体が嵌合して支持し合い、アクチュエータが自重で垂れたり曲がったりすることなく、アクチュエータ全体の形状を維持することができる。
また、上記構成において、第1のシリンダ体と第2のシリンダ体の最大間隔を制限する間隔リミッタ機構を備えた構成が好ましい。間隔リミッタ機構を設けることにより、液圧供給機構から液媒体空間へ供給される液圧が印加されて第1のシリンダ体とピストン体と第2のシリンダ体が相互に移動してもピストン体の一端が第1のシリンダ体のシリンダ室内から抜け出ず、ピストン体の他端が第2のシリンダ体のシリンダ室内から抜け出ないように制限することができる。
例えば、上記の間隔リミッタ機構がピストン体の軸に対して平行に第1のシリンダ体と第2のシリンダ体の間を結ぶように設けられたワイヤーであり、当該ワイヤーが張りきることで第1のシリンダ体と第2のシリンダ体の相対的移動が制限されるものとすることが好ましい。このようにピストン軸に対して平行にワイヤーが設けられている場合、第1のシリンダ体と第2のシリンダ体はワイヤーが張りきるまでは移動することができ、ワイヤーが張りきるのは相互に捩じれることなく真っすぐに伸び合った状態である。つまり、第1のシリンダ体と第2のシリンダ体は真っすぐに拡がってゆき、ワイヤーが張りきると制止することとなる。
また、上記の間隔リミッタ機構がピストン体の軸に対して斜め方向に第1のシリンダ体と第2のシリンダ体の間を結ぶように設けられたワイヤーであり、当該ワイヤーが張りきることで第1のシリンダ体と第2のシリンダ体の相対的移動が制限されるものとすることが好ましい。
このように、斜め方向にワイヤーが設けられている場合、第1のシリンダ体と第2のシリンダ体はワイヤーが張りきるまでは移動することができ、ワイヤーが張りきるのは相互に斜め方向に捩じれた状態である。つまり、第1のシリンダ体と第2のシリンダ体はワイヤーの余裕がある方向には伸びることができるので、両者が拡がってゆくと次第に捩じれてゆき、ワイヤーが張りきるまで捩じれて制止することとなる。
次に、第1のシリンダ体と第2のシリンダ体との間にピストン体の外周を覆う1個又は複数個の外装筒体を備えた構成が好ましい。
ピストン体の外周を覆う外装筒体があれば、ピストン体がチューブなど可撓性ある素材である場合、チューブ体が剥き出しになっていると不必要な外力がかかりピストン体が変形してしまうからである。
また、ピストン体の外周を覆う外装筒体があれば、第1のシリンダ体と外装筒体と第2のシリンダ体との間をそれぞれ蝶番構造で接続する構成も可能となる。この蝶番構造により、液圧供給機構から液媒体空間へ供給される液圧によって液媒体空間が膨張した場合に、蝶番構造において屈曲可能な方向が制限される一方、1つのアクチュエータのみへの液圧印加制御のみで一方向への屈曲制御が可能となる。この構成は、例えばロボットアームの指先などのアクチュエータとして適している。
次に、本発明の液圧駆動のアクチュエータを組み込んだアクチュエータユニットは、上記構成のアクチュエータを複数個並列に並べ、第1のベース体に各々の前記第1のシリンダ体を取り付け、第2のベース体に各々の前記第2のシリンダ体を取り付けたユニットに組み上げ、各々の前記液圧供給機構を介して各々の前記アクチュエータの長さの伸縮を独立制御することにより、前記ユニット全体の長さの伸縮制御と前記ユニット全体のあらゆる方向への曲がり制御を可能とするものである。
つまり、本発明の液圧駆動のアクチュエータユニットによれば、個々のアクチュエータが独立して伸縮するが、第1のベース体および第2のベース体に接続されているので、各々のアクチュエータの長さに差があれば第1のベース体と第2のベース体が傾くこととなり、ユニット全体としての伸縮制御やあらゆる方向への曲がり制御が可能となる。
次に、本発明の液圧駆動ロボットは、上記のアクチュエータ、上記のアクチュエータユニットを構成要素に含むものである。例えば、上記のアクチュエータやアクチュエータユニットを直列または並列に組み上げることにより多様な態様のロボットを構成することができる。
例えば、先端にグリッパーを設けた上記構成のアクチュエータを対向させて把持機構を形成し、その把持機構を少なくとも2つ備え、それら把持機構同士の間を結ぶように上記構成のアクチュエータユニットを設けた連結機構を少なくとも1つ備えたものとし、少なくとも1つの把持機構により周囲の物体(例えば、パイプ管)を把持して自重を支えつつ、他の把持機構の把持は停止して開放した状態で、連結機構が伸縮することにより開放状態の把持機構が移動して伸縮移動後の周囲の物体(例えば、パイプ管)を把持することによりパイプ管を移動することができる。この把持機構と連結機構の運動を繰り返すことにより物体の表面または内面を移動する液圧駆動のロボットを得ることができる。
また、例えば、先端にサンクション機構と連動した吸盤部を少なくとも2つ備え、それら吸盤部同士を結ぶように上記構成のアクチュエータユニットを設けた連結機構を少なくとも1つ備えたものとし、少なくとも1つの吸盤部により周囲の壁面に吸着して自重を支えつつ、他の吸盤部の吸着は停止して開放した状態で、連結機構が伸縮することにより開放状態の吸盤部が移動して伸縮移動後の周囲の壁面に吸着することにより壁面を昇降することができる。この吸盤部の吸着と連結機構の運動を繰り返すことにより周囲の壁面を移動する液圧駆動のロボットを得ることができる。
また、例えば、先端にグリッパーを設けた上記構成のアクチュエータを周囲に配した張り出し機構を形成し、その張り出し機構を少なくとも2つ備え、それら張り出し機構同士の間を結ぶように上記構成のアクチュエータユニットを設けた連結機構を少なくとも1つ備えたものとし、少なくとも1つの張り出し機構により周囲の壁面間または物体の内壁面にグリッパーを張り出して自重を支えつつ、他の張り出し機構のグリッパーの張り出しを停止して開放した状態で、連結機構が伸縮することにより開放状態の張り出し機構が移動して伸縮移動後の周囲の壁面間または物体の内壁面にグリッパーを張り出すことにより壁面間または物体の内壁面を移動することができる。この張り出し機構と連結機構の運動を繰り返すことにより周囲の壁面間または物体の内壁面を移動する液圧駆動のロボットを得ることができる。
また、例えば、上記構成のアクチュエータユニットを設けたアーム機構を少なくとも1つ備え、アーム機構の先端に上記構成のアクチュエータを設けたハンド機構を少なくとも1つ備えた構成とすれば、いわゆるロボットアーム型の液圧駆動のロボットを得ることができる。
また、例えば、少なくとも2つの胴部と、前記胴部同士の間を結ぶように上記構成のアクチュエータユニットを設けた連結機構を少なくとも1つ備えた構成とすれば、いわゆる体節が多数あるヘビ型の液圧駆動のロボットを得ることができる。
また、例えば、少なくとも1つの胴部と、少なくとも2つの足部と、胴部と各々の足部との間を各々接続するように設けられた上記構成のアクチュエータユニットを備えた構成とすれば、いわゆる足がたくさんある多足型の液圧駆動のロボットを得ることができる。
また、例えば、少なくとも1つの胴部と、前記胴部から水平に設けられた少なくとも左右一対の足部と、前記胴部と各々の前記足部との間を各々接続するように設けられたアクチュエータユニットを備えた構成とし、接地した足部の先端部を支点として前記アクチュエータユニットの旋回運動により前記胴部が作用点となって前方に移動する第1の動作と、接地した前記胴部を支点として前記アクチュエータユニットの旋回運動により前記足部の先端部が作用点となって前方に移動する第2の動作を繰り返すことにより移動する液圧駆動のロボットとすることができる。
上記例示に限らず、多種多様なロボットの構成が可能である。
本発明にかかる液圧駆動のアクチュエータによれば、ピストン駆動を可能としつつ、ピストン体中のチューブ体が曲がることにより、全体形状を曲げることが可能となる。このようにピストン駆動をするアクチュエータにおいてピストン体が曲がることによりアクチュエータ全体形状が曲がるという優れた特性が得られる。なお、チューブ体は曲がっていてもその中には液媒体が充填されて液圧は印加されるのでチューブ体がまっすぐでも曲がっても正常なピストン駆動が可能である。可撓性あるチューブ体の中には水が充填されているので“ある程度の剛性”を備え、かつ“柔らかい弾力性”も備えたものとなり2面性を同時に兼ね備えたものとなる。また、ある程度剛性もあるチューブ体は“直線状の動き”も可能となり、可撓性があるため“曲線状の動き”も可能となり“2面性を同時に兼ね備えた”ものとなる。
本発明の液圧駆動のアクチュエータユニットによれば、個々のアクチュエータが独立して伸縮するが、第1のベース体および第2のベース体に接続されているので、各々のアクチュエータの長さに差があれば第1のベース体と第2のベース体が傾くこととなり、ユニット全体としての伸縮制御やあらゆる方向への曲がり制御が可能となる。つまり、それぞれのアクチュエータの水圧を制御することで、アクチュエータユニット全体の伸縮、曲がる方向、曲がり量が制御できる。
また、本発明にかかる液圧駆動のロボットは、本発明の液圧駆動のアクチュエータ、アクチュエータユニットを含んだものとすることにより多様な態様のロボットを構成することができる。
以下、本発明の液圧駆動のアクチュエータの実施例を説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に示した具体的な用途や形状・寸法などには限定されない。
以下、本発明に係る液圧駆動のアクチュエータの構成例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下、例えば、液媒体は水とし、水圧駆動のものとして説明するが、他の液媒体、例えば、油媒体でいわゆる油圧で駆動するものであっても良い。
図1(a)は、本発明の実施例1にかかる液圧駆動のアクチュエータ100の一構成例を模式的に示す図である。図1(b)は、液圧駆動のアクチュエータ100の各構成要素を分解して示した図である。また、図2は、各構成要素の構成が分かるように正面図、平面図、背面図、断面図などを示した図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本発明の実施例1にかかる液圧駆動のアクチュエータ100は、第1のシリンダ体10、第2のシリンダ体20、ピストン体30、液圧供給機構40、間隔リミッタ機構50、弾性体60を備えた構成となっている。なお、弾性体60は中央にある第1のシリンダ体10や第2のシリンダ体20やピストン体30が分かりやすいように、左右に1つずつ弾性体60a,弾性体60bのみを示しているが、実際には横断面において中央のピストン体30の周囲に等間隔にn本設けた構成となっている。
また、図1ではアクチュエータ100の外側に被せるカバー類は設けずに中の構造が見えるように示しているが、使用の際にはアクチュエータ100の外側にカバー類を被せておくこともできる。後述する図5に示すようにアクチュエータ100の周囲にカバー類を設けておくことができる。
第1のシリンダ体10は、図2(a)に示すように、鍔部分11、シリンダ筒12、シリンダ室13、弾性体接続部14、第1の嵌合縁15を備えた構造となっている。つまり、一端が閉鎖された筒状の構造物であり中空部分はシリンダ室13となっており、後述するようにピストン体30の一端32が収まる構造となっている。このシリンダ室13内には液媒体が充填され、ピストン体30の摺動によりシリンダ室13内に充填される液体の体積が変化する。なお、この構成例では、弾性体接続部14は弾性体60を取り付けるための輪となっている。また、この構成例では後述するように第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20とが当接する縁に嵌合し合う嵌合形状が設けられており、第1のシリンダ体10側には第1の嵌合縁15が設けられた構造となっている。この例では内側に傾きを持った縁となっている。
第2のシリンダ体20も第1のシリンダ体10同様、鍔部分21、シリンダ筒22、シリンダ室23、弾性体接続部24、第2の嵌合縁25を備えた構造となっており、一端が閉鎖された筒状の構造物であり中空部分はシリンダ室23となっており、後述するようにピストン体30の他端33が収まる構造となっている。このシリンダ室23内には液媒体が充填され、ピストン体30の摺動によりシリンダ室23内に充填される液体の体積が変化する。なお、この構成例では、弾性体接続部24は弾性体60を取り付けるための輪となっている。
第1のシリンダ体10のシリンダ室13内の液体の体積、第2のシリンダ体20のシリンダ室23内の液体の体積は、後述する液媒体空間に印加される液圧と、後述する弾性体により与えられる力が平衡状態となる位置で決まる。
また、この構成例では第2のシリンダ体20側には、上記したように第1のシリンダ体10の第1の嵌合縁15と嵌合する第2の嵌合縁25が設けられた構造となっている。この例では外側に傾きを持った縁となっており、図3(a)に示すように第1の嵌合縁15の中に第2の嵌合縁25が入り込んで嵌合するものとなっている。嵌合された後は両者が固定し合い、図3(a)において横方向や斜め方向に動かなくなる。
ピストン体30は、図2(c)に示すように、可撓性を備えたチューブ体31と、剛性を備えた一端部32、剛性を備えた他端部33を備えている。一端部32が第1のシリンダ体10のシリンダ室13内に収まり、他端部33が第2のシリンダ体20のシリンダ室23内に収まる。
ここで、図2(c)の断面図に示すように、一端部32から他端部33まで貫通した中空部を備え、この中空部の中には液媒体が充填されている。つまり、第1のシリンダ体10のシリンダ室13、ピストン体30の中空部、第2のシリンダ体20のシリンダ23室はつながっており、それらにより液媒体空間が形成される。この液媒体空間はつながっているため、後述する液圧供給機構40により印加された液圧は液媒体空間内全体に印加されることとなる。このように、従来のシリンダ−ピストン機構の構造においては、第1のシリンダ体10−ピストン体30−第2のシリンダ体20という、1つのピストンの両端にそれぞれシリンダが設けられ、さらに、ピストン内部が中空で、両端のそれぞれのシリンダのシリンダ室内と液媒体が連通しているような構造は従来にはまったくない斬新な構造となっている。
さらに、この構成例では、ピストン体30の胴部分が、可撓性あるチューブ体31により形成されている。一例としてチューブ体31は十分な水圧に耐えられる構造強度があるビニル製で出来ているものとする。このようにピストン胴部であるチューブ体31が曲がることができることも従来にはまったくない斬新な構造である。
このようにチューブ体31が曲がり得るものであるため、アクチュエータ100全体形状としても曲がり得るものとなる。後述するように、チューブ体31が曲がっても、ピストン30の胴部であるチューブ体31の内部には液媒体が充填されて所定の液圧がかかるため、チューブ体31が曲がらずにまっすぐな場合と同様に正しい駆動ができるものとなっている。
一端部32は、図2(c)に示すように、チューブ体31の端部を取り囲んでしっかりと固定する筒体32aと、第1のシリンダ体10とピストン体30との間で形成される液体空間の密閉性を確保するパッキン32bと、外側の端面32cと、孔32dを備えた構成となっている。なお、外側の端面32cは、第1のシリンダ体10のシリンダ室13の液圧を受け、ピストン体30の押し出し、引き込みを行う押圧力を受ける面となっている。また、孔32dは第1のシリンダ体10とピストン体30内部の間で液媒体を導通し、液圧供給機構40から印加される液圧を伝達するものとなっている。
次に、液圧供給機構40は、ポンプなど液圧を印加する液圧装置41と液圧装置から液媒体空間内のいずれかの箇所にまで導通した液体供給管42を備えている。なお、図1の構成例はアクチュエータ100が1つのみの基本構造を示す図であるので、液圧供給機構40は1系統しかないが、後述する実施例のように、アクチュエータユニット200としてn個のアクチュエータ100を備えた機構となると、n系統の液圧供給機構40を用意する構成例も可能である。
間隔リミッタ機構50は、第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20の最大間隔を制限するものであり、例えば、第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20の外壁面間を結ぶ第1のワイヤー機構50aと第2のワイヤー機構50bを備えた構成となっている。この構成例では、第1のシリンダ体10の鍔11と第2のシリンダ体20の鍔21間を結ぶようになっている。
ワイヤーの結び方は特に限定されないが、図2(d)はワイヤーで形成した間隔リミッタ機構50のリミッタ動作を模式的に示す図である。この例では、第1のワイヤー機構50aと第2のワイヤー機構50bは交差している。図2(d)左側の状態は、第1のワイヤー機構50aと第2のワイヤー機構50bの間隔がまだ最大間隔に達していない状態で、第1のワイヤー機構50aと第2のワイヤー機構50bの交差部分はまだ弛緩している。図2(d)右側の状態は、液圧供給機構40が印加する液圧が大きくなり、液媒体空間が増大し、ピストン体30を挟んで第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20が離れて行き、間隔リミッタ機構50の第1のワイヤー機構50aと第2のワイヤー機構50bが交差部分で引っ張り合うために移動が制限された様子を示している。ワイヤーの強度が十分なものであれば、液圧供給機構40が印加する液圧により拡がろうとする第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20の最大間隔を制限することとなる。
このように、間隔リミッタ機構50を設けることにより、液圧供給機構40から液媒体空間1へ供給される液圧が大きく印加されてもピストン体30の一端部32が第1のシリンダ体10のシリンダ室13内から抜け出ず、また、ピストン体30の他端部33が第2のシリンダ体20のシリンダ室23内から抜け出ないようにすることができる。
図3は、アクチュエータ100の伸縮が間隔リミッタ機構50で制御される様子を説明する図である。
図3(a)は、液圧供給機構40により印加する液圧がゼロであり、液媒体空間1の体積が縮小し、第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔が最小となっている状態を示している。この状態では、弾性体60の弾性力により第1のシリンダ10と第2のシリンダ20が当接する状態となり、第1の嵌合縁15の内部に第2の嵌合縁25が嵌り込んで両者が横方向や斜め方向には動かないように固定される。
一方、図3(b)は、液圧供給機構40により液圧が印加され、第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔が広がり、間隔リミッタ機構50が作動した状態となっている。
このように、間隔リミッタ機構50の働きにより、ピストン体30が第1のシリンダ体10および第2のシリンダ体20から抜け出るという事故を防ぐことができる。なお、第1の嵌合縁15の内部に第2の嵌合縁25が嵌り込んだ状態から互いに離反する方向であれば嵌合が容易に解け、第1のシリンダ体10および第2のシリンダ体20が離れて行く。
弾性体60は、第1のシリンダ10と第2のシリンダ20間に弾性力を与えるものであり、この構成例ではバネとなっている。バネを第1のシリンダ10の弾性体接続部14と第2のシリンダ20の弾性体接続部24の間に設けることにより、第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔が、液圧供給機構40から液媒体空間へ供給される水圧によって拡がろうとする力と、弾性体60により縮まろうとする力がバランスする間隔で平衡状態となり、全体の長さの伸縮制御が可能となる。つまり、弾性体60のバネがない場合、液媒体空間に流入する液量を正確精密に制御しない限り、液圧供給機構40から加えられた液圧により間隔リミッタ機構50により制限される位置まで第1のシリンダ10と第2のシリンダ20が拡がることとなる。弾性体60のバネを設けることにより、液圧供給機構40で与える液圧の大きさに応じて第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔が決まるので、アクチュエータ100全体の長さの伸縮の制御が可能となる。
なお、弾性体60の本数は複数本設けても良いが弾性力のバランスがとれるように本数を選んで配置することが好ましい。例えば、n本設ける場合、ピストン体30を囲むように均等に、つまり、横断面においてピストン体30の周りにn本を等間隔で配置することが好ましい。
図4は、液圧供給機構40により印加する液圧と弾性体60のバネによるアクチュエータ100の長さの関係を模式的に示す図である。
図4(a)は、液圧供給機構40により印加する液圧がゼロである状態を示している。つまり、液媒体空間の体積が縮小し、第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔が最小となっている。
図4(b)は、液圧供給機構40により印加する液圧がある値であり、その値に応じて第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔がある大きさとなって静止した状態となっている。液圧供給機構40が印加する液圧により液媒体空間の体積が膨張して第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔が拡がるが、その一方、弾性体60であるバネの力が第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔に応じて大きくなり、図4(b)の状態で平衡状態に達して、第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の動きが静止している。この静止状態は、液圧供給機構40により液圧は印加され続けており、また、弾性体60であるバネの力がかかり続けているので、いわばテンションがかかった状態となっている。
図4(c)の状態は、液圧供給機構40により印加する液圧が大きくなり、弾性体60のバネの力に打ち勝ち、第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔がさらに拡がろうとしたため、間隔リミッタ機構50により動きが制限された状態を示している。間隔リミッタ機構50の第1のワイヤー機構50aと第2のワイヤー機構50bの交差部分が引っ張り合ってそれ以上第1のシリンダ10と第2のシリンダ20の間隔が拡がらないように制限されている。
液圧供給機構40の印加できる液圧自体にも上限を設けておくことは好ましい。液圧供給機構40が余りにも強い液圧を印加できるものとすれば、間隔リミッタ機構50の第1のワイヤー機構50aと第2のワイヤー機構50bを引きちぎったり、チューブ体31の壁面を変形させたり破裂させたりするなど、アクチュエータ100の機能を破壊するおそれもあるからである。
なお、チューブ体31はある程度の剛性(チューブ体31の構造的剛性、水圧のテンション)と、ある程度の柔軟性(チューブ体31の可撓性、バネの弾性)が兼ね備えられた状態となっており、例えば、人間が押すと、ある程度の剛性を感じるとともに、曲がり得るというある程度の柔軟性を感じる状態となっている。
なお、ここで、本発明のアクチュエータ100の奏する動きの適応性について説明する。本発明のアクチュエータ100は上記のように印加する水圧を制御することで第1のシリンダ体10−ピストン体30−第2のシリンダ体20間のピストン機構を押し拡げようとする液圧力と、弾性体60の弾性力との釣り合いで伸長する長さが調整されるものである。それゆえ、アクチュエータ100の先に他の物体があったり、壁面があったりしたために外力がかかった場合でも、ピストン機構を押し拡げようとする液圧力と、弾性体60の弾性力と、外力とが釣り合う位置で安定することができる。つまり、従来の数値制御のように、極めて高い精度を求めて制御するのではなく、被操作対象物への操作において、実際の周囲の環境の変化に応じてその姿勢を安定することができ、被操作対象物との位置関係や印加する力などは概ね合わせる程度の精度で行えば良く、アクチュエータ自身の動作をある程度の剛性と柔軟性を兼ね備えた動作とすることでマージンをその動きの中で吸収してしまうことにより、数値制御では制御し切れない誤差さえもその動きの中で吸収してしまうことができる。なお、これらの効果は、後述する実施例において、本発明のアクチュエータ100を適用したロボットなどの説明において具体例を挙げつつ説明する。
最後にカバーについて述べておく。図5は本発明のアクチュエータ100の周囲にカバー類110を設けた例である。本発明のアクチュエータ100は上記のように全体の長さが伸縮したり、後述する実施例2に示すように曲がったりするため、カバーは伸縮・曲がりに対応するものでなければならない。図5(a)の例は、いわゆるジャバラ式のカバーの例である。ジャバラ式であれば伸縮、屈伸とも自由に対応できる。図5(b)の例は、周囲にゴム板を巻き、いわゆる摺動式で動かす例である。この構造例でも伸縮、屈伸とも自由に対応できる。
以上、上記構成のアクチュエータ100において、液圧供給機構40により供給する液圧を制御することにより、アクチュエータ100に適切な剛性と適切な柔軟性という2面を同時に兼ね備えさせつつ、アクチュエータ100の長さの伸縮を制御することが可能であることが理解できよう。
なお、本発明のアクチュエータ100は、従来の数値制御のように、極めて高い精度を求めて制御するのではなく、被操作対象物への操作において、被操作対象物との位置関係や印加する力などは概ね合わせる程度の精度で行い、アクチュエータ自身の動作をある程度の剛性と柔軟性を兼ね備えた動作とすることでマージンをその動きの中で吸収してしまうことにより、数値制御では制御し切れない誤差さえもその動きの中で吸収してしまう事が可能となる。
次に、実施例2として、実施例1に示したアクチュエータ100を複数個並列に並べて、アクチュエータユニット200として組み上げた構成例について説明する。
アクチュエータユニット200は、アクチュエータ100を複数個並列に並べてユニット全体として動きの制御を可能としたものである。複数のアクチュエータ100をユニット化するメリットは様々ある。
第1のメリットは曲げ制御である。実施例1に示したアクチュエータ100だけでは周囲からの外力を加えることなく水圧のみでアクチュエータ100をあらゆる方向に自在に曲げる制御を施すことは困難であるが、アクチュエータ100を複数本集めてアクチュエータユニット200としてユニット化すれば、全方向に自在に曲げを制御することが可能となる点である。実施例1に説明したように、各アクチュエータ100の液圧を制御すれば各アクチュエータ100の長さは調整できるところ、各々のアクチュエータ100の長さの制御を通じてアクチュエータユニット200全体としては屈曲方向と角度が制御できるようになる。
第2のメリットは、ユニット全体としてある程度の剛性を持ちながら、さらに曲げたり伸縮したりすることができる点である。1個のアクチュエータ100のみでは曲げる方向を大きく変える過程においては一旦液圧を大きく減ずる場合もあり、一時的に十分な剛性が維持できない可能性がある。アクチュエータ100を複数本集めてユニット化しておけば、複数のアクチュエータ100のうち幾つかは液圧がかかった状態で剛性を維持しつつ、残りのアクチュエータ100の液圧を変化させ、アクチュエータユニット200全体としての曲がる方向や角度を変えたりできるので、ユニット全体としてある程度の剛性を維持しつつ同時に曲がる方向や伸縮を制御することができる。
図6は、本発明のアクチュエータユニット200の一構成例を模式的に示した図である。図6(a)は、本発明の実施例2にかかるアクチュエータユニット200の一構成例を模式的に示す図である。図6(b)は、アクチュエータユニット200の各構成要素を分解して示した図である。また、図7は、第1のベース体210、第2のベース体220の構成が分かるように正面図、平面図、背面図、断面図などを示した図である。
図6に示すように、n本のアクチュエータ100、アクチュエータ100の第1のシリンダ体10を共通化した第1のベース体210、アクチュエータ100の第2のシリンダ体20を共通化した第2のベース体220、n本のアクチュエータ100の数に対応するn系統の液圧供給機構40、弾性体60を備えている。この構成例では4本のアクチュエータ100a,100b,100c,100dを並列に並べた構成となっている。なお、間隔リミッタ機構50など、実施例1で説明したアクチュエータ100の各構成は設けられている。また、弾性体60は第1のベース210と第2のベース220に接続されている。ここではユニット中央の構成が分かりやすいように手前に位置する弾性体は図示せず、両端に位置する弾性体60のみを図示した。
第1のベース体210はこの構成例では円盤状のものであり、素材としては、アルミニウムやステンレスなどの金属製や、硬質プラスチックなどの樹脂製であっても良い。第1のベース体210には4本のアクチュエータ100a,100b,100c,100dそれぞれの第1のシリンダ体10a,10b,10c,10dが共通して取り付けられるベースとなっている。第1のシリンダ体10a,10b,10c,10dと第1のベース210は螺子止めや溶接などにより構造的に一体化していても良い。図7(a)は第1のベース体210の構成が分かりやすいように、正面図、平面図、底面図、A−A線断面図などを示した図である。図7(a)に示すように、4つの第1のシリンダ体10a,10b,10c,10dがベースとなる鍔211に対して等間隔に配置されている。
第2のベース体220も同様であり、この構成例では円盤状のものであり、第2のベース体220には4本のアクチュエータ100a,100b,100c,100dそれぞれの第2のシリンダ体20a,20b,20c,20dが共通して取り付けられるベースとなっている。素材も同様で良く、アルミニウムやステンレスなどの金属製や、硬質プラスチックなどの樹脂製で良い。第2のシリンダ体20と第2のベース220は螺子止めや溶接などにより構造的に一体化しても良い。図7(b)は第2のベース体220の構成が分かりやすいように、正面図、平面図、底面図、A−A線断面図などを示した図である。図7(b)に示すように、4つの第2のシリンダ体20a,20b,20c,20dがベースとなる鍔221に対して等間隔に配置されている。
第1のシリンダ体10a〜10dの縁にはそれぞれ第1の嵌合縁15a〜15dが設けられ、第2のシリンダ体20a〜20dの縁にはそれぞれ第2の嵌合縁25a〜25dが設けられている点は第1の実施例と同様であり、液圧がかかっていない状態では第1の嵌合縁15a〜15dの中に第2の嵌合縁25a〜25dが嵌り込む状態となる。
弾性体60は、第1のベース体210と第2のベース体220との間に並列に設けられている。この構成例では4本のバネが設けられた例となっている。なお、図6では正面側にある左右2本の弾性体60が図示されている。
各々のアクチュエータ100の液圧供給機構40はそれぞれ独立しており、この構成例ではアクチュエータ100は4つ存在しているので、4系統の液圧供給機構40a,40b,40c,40dが設けられている。図6では正面側から見えるアクチュエータ100a,100b,100cに対応する3つの液体供給機構40a,40b,40cが図示されている。
なお、ピストン体30の長さをある程度長くしつつ、アクチュエータユニット全体としての構造的強度を保つため、第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20との間に外装筒体70を備えた構成も好ましい。外装筒体70は例えばリング状の部材である。第1のシリンダ体10と当接する外装筒体70の縁に第1の嵌合縁15、第2のシリンダ体20と当接する外装筒体70の縁に第2の嵌合縁25を設ける構成も可能である。
以上のような構成にて、複数のアクチュエータ100がアクチュエータユニット200として組み上げられている。
以上のような構成のアクチュエータユニット200の伸縮制御や曲げ制御について説明する。
アクチュエータユニット200は、それぞれの液圧供給機構40a,40b,40c,40dを介して各々のアクチュエータ100a,100b,100c,100dに与える液圧を独立に制御することにより、それらの長さを独立に制御することができるようになっている。
図8および図9は、アクチュエータユニット200の曲がり制御の原理を説明した図である。図8は各々のアクチュエータの状態と第1のベース体および第2のベース体の様子を分かりやすく示したものであり、他の機構の図示は省略した。
図8(a)は第1のベース体210に平行な面で切った断面図である。
まず、図8(a)において下側に曲げる例を説明する。
図8(b)はアクチュエータ100aが上側に来るように示した側面図であり、4つのアクチュエータ100a,100b,100c,100dの長さの変化による曲げ制御が分かりやすいように、4つのピストン体30a,30b,30c,30dおよび模式的に描いた第1のベース体210の底面と第2のベース体の底面のみが示されている。ただし、奥側に隠れているピストン体30dは示されていない。図8(b)の状態では各々のアクチュエータ100a,100b,100c,100dの長さはすべてA=B=C=Dであったとする。
ここで、各々の液圧供給機構40a,40b,40c,40d(図示せず)の調整により、各々のアクチュエータ100a,100b,100c,100dの長さはそれぞれA,B,C,Dになったとする。ここで、B=Dであり、A>B>Cであるとする。各々のアクチュエータの配列と長さの関係より、図8(c)に示すようにアクチュエータユニット200が伸縮するとともに下側に曲がることとなる。つまり各々のアクチュエータ100の長さであるA:B:C:Dの比率に応じて下側へ曲がる角度が調整できる。
なお、ここで、各々の液圧供給機構40a,40b,40c,40d(図示せず)の調整により、各々のアクチュエータ100a,100b,100c,100dの長さを、B=Dで、A<B<Cに変化させると、上記とちょうど逆の関係となり、図8(d)に示すように、アクチュエータユニット200が伸縮するとともにアクチュエータユニット200が上側に曲がることとなる。各々のアクチュエータ100の長さであるA:B:C:Dの比率に応じて上側へ曲がる角度が調整できる。
また、各々の液圧供給機構40a,40b,40c,40d(図示せず)の調整により、各々のアクチュエータ100a,100b,100c,100dの長さを、A=Cで、B<A<Dに変化させると、図9(a)に示すように、アクチュエータユニット200がアクチュエータ100bの方向、つまりアクチュエータユニット200が左側に曲がることとなる。各々のアクチュエータ100の長さであるA:B:C:Dの比率に応じて左側へ曲がる角度が調整できる。
また、各々の液圧供給機構40a,40b,40c,40d(図示せず)の調整により、各々のアクチュエータ100a,100b,100c,100dの長さを、A=Cで、D<A<Bに変化させると、図9(b)に示すように、アクチュエータユニット200がアクチュエータ100cの方向、つまりアクチュエータユニット200が右側に曲がることとなる。各々のアクチュエータ100の長さであるA:B:C:Dの比率に応じて右側へ曲がる角度が調整できる。
上記は上下左右に曲がる原理を説明したが、各々のアクチュエータ100の長さであるA:B:C:Dの比率をもっと自由に変えればあらゆる方向への曲がりが制御できることが理解されよう。
例えば、図10は第1のベース体210に平行な面で切った断面図であるが、図10(a)において、各々のアクチュエータ100の長さを変化させてA<B<C<D、A<B<D<C、B<A<C<D、B<A<D<Cのいずれかとすると、図10に示す左斜め上方向の範囲に曲がることとなる。左斜め上方向の具体的にどの方向かはA:B:C:Dの比率に応じて決まってくる。
また、各々のアクチュエータ100の長さを変化させてA<C<B<D、A<C<D<B、C<A<B<D、C<A<D<Bとすると、図10(b)に示す右斜め上方向に曲がることとなる。右斜め上方向の具体的にどの方向かはA:B:C:Dの比率に応じて決まってくる。
また、各々のアクチュエータ100の長さを変化させてB<D<A<C、B<D<C<A、D<B<A<C、D<B<C<Aとすると、図10(c)に示す左斜め下方向に曲がることとなる。左斜め下方向の具体的にどの方向かはA:B:C:Dの比率に応じて決まってくる。
また、各々のアクチュエータ100の長さを変化させてC<D<A<B、C<D<B<A、D<C<A<B、D<C<B<Aとすると、図10(d)に示す右斜め下方向に曲がることとなる。右斜め下方向の具体的にどの方向かはA:B:C:Dの比率に応じて決まってくる。
このように、アクチュエータユニット200は液圧供給機構による各アクチュエータ100の液圧を制御することによりあらゆる方向への曲がり制御を行うことができる。初期状態ではピストン体30は第1のシリンダ体10および第2のシリンダ体20の内部に入り込んでいるため、各々のアクチュエータ100に対して或る程度の液圧を与えつつ各々のアクチュエータ100の長さの比率A:B:C:Dを所定の比率とすれば、弾性体40とのバランスがとれる或る位置までアクチュエータユニット200が伸びつつあらゆる方向への曲がり制御が可能となる。
次に、第1の嵌合縁15と第2の嵌合縁25による嵌合の効果について説明しておく。図11は、アクチュエータユニット200を2つ直列に並べ、第1の嵌合縁15と第2の嵌合縁25による嵌合の効果を説明する図である。液圧供給部40から液圧がかかっている状態ではアクチュエータユニット200は重力の影響に打ち勝ち、前後左右上下に制御することができる。液圧供給部40からの液圧がなくなった場合、弾性力60により第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20が当接するまで引っ張られ、図11(a)に示すように第1の嵌合縁15の中に第2の嵌合縁25が嵌り込み、図11(a)において上下方向にずれなくなる。そのため、液圧がかかっていない状態でも図11(a)に示すように水平状態が保たれ、ユニット全体の姿勢が維持・制御される。
一方、第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20の縁に第1の嵌合縁15や第2の嵌合縁25が設けられていない場合、液圧供給部40からの液圧がなくなれば重力に逆らって支える部材や構造がなく、図11(b)に示すように先端が下方に垂れ下がってしまう。
このように、第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20の縁に第1の嵌合縁15や第2の嵌合縁25が設けられている場合、液圧がかかっていない状態でもユニット全体の姿勢が維持・制御されるというメリットが得られる。
次に、捩じり制御が可能なアクチュエータユニットの構成例について述べる。
図6に示したアクチュエータユニット200の構成であれば、各々のアクチュエータ100の液圧を制御することによって、図8、図9、図10に示すようにアクチュエータユニット200の全体の伸縮制御と曲がり制御は可能である。しかし、いわゆる捩じり制御はできないものである。
発明者門脇氏は、液圧駆動のロボット制御を研究する中、実施例2のアクチュエータユニット200を改良し、間隔リミッタ機構50の取り付け方向を斜めにするという工夫によって捩じり制御が可能となることを発明した。
図12は、捩じり制御を可能とした本発明のアクチュエータユニット200’の構成例を模式的に示した図である。各々の構成要素は図6に示したものと同じものとなっている。しかし、間隔リミッタ機構50が斜めに掛けられている点が異なっている。
図12(a)はアクチュエータユニット200’の側面図であるが、4つのバネ60a,60b,60c,60dも示されている。図12(b)は4つのバネ60a,60b,60c,60dの図示を省略し、間隔リミッタ50が斜めに掛けられている様子がよく分かるように示した図である。
図12(b)に示すように、本発明のアクチュエータユニット200’は、第1のベース210、第2のベース220、複数個のアクチュエータ100が設けられている点は実施例2の構成例と同じである。この構成例では4本のアクチュエータ100a,100b,100c,100dを並列に並べた構成となっている。ここで、間隔リミッタ機構50a,50b,50c,50dは、第1のシリンダ体10と第2のシリンダ体20の間を斜めに結ぶように掛けられている。なお、アクチュエータ100の弾性体60は、各々のアクチュエータ100の軸に対して平行に、第1のベース210と第2のベース220に接続されている。
図13、図14は、各々のアクチュエータ100a〜100dが伸びたときにアクチュエータユニット200’全体として捩じりが生じる原理を説明する図である。
図13に示すように、アクチュエータユニット200’は或る程度の距離であれば真っすぐに伸縮することが可能である。図13に示すように、それぞれの間隔リミット50a〜50dのワイヤー同士が当接するまで上下真っすぐに伸びることができる。さらに、図14に示すように、間隔リミッタ機構50a〜50dのワイヤー同士が引っ張り合い、それ以上、上下方向への移動は制限される。
しかし、間隔リミッタ機構50a〜50dのワイヤーはまだ斜め方向には移動の余裕がある。そのため、さらに各々のアクチュエータ100a〜100dが伸びたときにアクチュエータユニット200’に捩じりが生じ始める。図14に示すように、各々のアクチュエータ100a〜100dが伸びるに従って間隔リミッタ機構50のワイヤーにより上下方向には移動できないが、まだマージンのある斜め方向に移動が続いていき、アクチュエータユニット200’が捩じれて行く。最後、間隔リミッタ機構50a〜50dのワイヤーが目一杯伸びきるとそこで完全に間隔リミッタ機構50によりアクチュエータユニット200’の動きが制止される。なお、弾性体60は各々のアクチュエータ100の軸に対して平行に設けられているため、弾性体60は斜め方向に弾性力を働かせている。
なお、アクチュエータユニット200’の長さが縮まる過程においては、斜めに働いている弾性体60の弾性力により捩じり運動の逆の動きを辿って戻ってゆき、図14から図13に示す動きの逆の動作となり、元の状態に戻る。
ここで、4本のアクチュエータ100a〜100dの伸縮を個別に制御することにより、それらの長さの比率A:B:C:Dを変えると単に捩じる運動ではなく、捩じりながら斜め方向に動くような複雑な捩じり運動が可能となる。
次に、実施例3として、上記実施例2に示した液圧駆動のアクチュエータユニット200や捩じり制御が可能なアクチュエータユニット200’を組み上げて構成した、パイプ管外壁などを移動するパイプ管昇降ロボット300の構成例を説明する。
なお、液圧駆動のアクチュエータユニット200や捩じり制御が可能なアクチュエータユニット200’を組み合わせてパイプ管外壁を登るロボット300を製作する組み合わせ方は多様であり、この実施例に示す構成には限定されない。
図15および図16は、実施例3のパイプ管昇降ロボット300の外観を模式的に示したものである。図15には正面図、平面図、右側面図が示されている。図16には背面図、底面図、左側面図が示されている。図15および図16に示すように、背面図は正面図と同様、底面図は平面図と同様、左側面図は右側面図と対照になっている。
図15に見るように、パイプ管昇降ロボット300は、中央の連結機構である背骨部310、天板311、底板312、8つの把持機構320a〜320h、1つの把持機構に2つずつ合計16個のアクチュエータ容器330a1〜330h2(内部にアクチュエータ100が内蔵されている)、各アクチュエータ100の先端に設けられている合計16個のグリップ部340a1〜340h2を備えている。なお、パイプ管昇降ロボット300に対して液圧を供給する液圧供給機構や液圧を供給する液圧供給パイプなどの図示は省略した。
連結機構である背骨部310は、いわゆるジャバラで覆われているが、その内部には実施例2で説明した液圧駆動のアクチュエータユニット200’(伸縮、曲がり、捩じりが可能なタイプ)が縦方向に2個直列に組み込まれており、それぞれのアクチュエータユニット200’aおよび200’bの内部には実施例2で説明したように4つのアクチュエータ100が組み込まれており、液圧駆動によりアクチュエータユニット200’は上下方向に伸縮したり、前後左右に曲がったり、左回りや右回りに捩じったりする動作が可能となっているものとする。なお、この構成例では液圧供給機構40は、アクチュエータユニット200’aについて4系統、アクチュエータユニット200’bについても4系統あるので8系統設けられているものとする。背骨部310は上段側の把持機構320a〜320dと下段側の把持機構320e〜320hの間を結ぶように設けられている。
天板311と底板312と8個の把持機構320a〜320hと16個のアクチュエータ容器330a1〜330h2は一体化されている。素材としては、例えば、アルミニウムやステンレス鋼などの金属やプラスチックなど或る程度の剛性を備えたものが採用されており、ロボット300の構造的強度が確保されている。
16個のアクチュエータ容器330a1〜330h2は、内部にアクチュエータ100が内蔵されている。アクチュエータ100の基本的構造は実施例1で説明したアクチュエータ100で良い。図17(a)は把持機構内のアクチュエータ100の水平断面構造を分かりやすく示した図である。アクチュエータ容器330a1〜330h2の内部は中空となっており、その中空部分に実施例1に示したアクチュエータ100が内蔵されている。
グリッパー340はアクチュエータの先端に取り付けられた部材であり、例えば、グリッパー340の内面形状は、パイプ等の円筒外壁面に対応する凹型となっており、パイプ管の外壁面をしっかりとグリップできるように適した内面形状となっている。
対向し合うグリッパー340が近づき合うことでパイプ管外壁面をしっかりとグリップし、両者が離れ合うことでパイプ外壁面を解放する。なお、間隔リミッタ50があるので、グリッパーが近づき合っても衝突することはない。
図17(b)は液圧駆動によりアクチュエータ100を伸縮させてグリップ部340a1〜340h2を押し出した様子を示す図である。つまり、液圧供給機構の液圧制御によりグリップ部340a1〜340h2が押し出されたり引っ込んだりする動きとなる。なお、16個のアクチュエータ100それぞれには実施例1に示したように液圧供給機構40が1つずつ必要であるので16系統の液圧供給機構40が設けられている。
もし、このグリッパー340の間にパイプ等が存在する場合、図17(b)に示すように、各々のグリッパー340はパイプ管をしっかり挟持する。なお、パイプ管の外壁面をグリップし始めるとパイプ管外壁面からの抗力を受け始め、弾力体60の弾性力とパイプの外壁面から受ける抗力の総計がアクチュエータの液圧による押圧力がバランスすると動きが止まる。つまり、パイプの外壁面から受ける抗力Fが得られ、パイプの外壁面とグリッパー331表面との摩擦係数がμとすると“μF”の摩擦力が得られることとなり、しっかりとパイプ外壁面をグリップすることができる。
以下、パイプ管昇降ロボット300の動作の概略を説明する。
この例では平行して配設されている2本のパイプAおよびパイプBの間をグリップしながら上方へ登ってゆく動作を説明する。
なお、ここでは説明を簡単にするために、液圧駆動機構40により与えられる液圧は、後述するようにグリッパー340でパイプAまたはパイプBをしっかりとグリップするに十分な押圧力を生じる液圧“オン”とグリッパー340の押圧力がなくなり弾性体60による弾性力によりグリッパーが引っ込む“オフ”の2値制御として説明する。
図18(a)〜図24(a)は、実施例3のロボット300が、2本平行に並べられたパイプ管の外壁を登る動作の例を示す図である。図18(a)から図21(a)までは1つのパイプ管を左右一方のグリッパー(ここでは左側)によりグリップしつつ上方へ登っていく基本動作を示すものである、図21(b)から図24(a)までは一方のパイプ管から他方のパイプ管に移動する場合の基本動作を示すものである。各図とも、左側にパイプ昇降ロボット300を正面から見た図、右上に上段側の把持機構320およびグリッパー340の状態を平面から見た図、右下に下段側の把持機構320およびグリッパー340の状態を平面から見た図となっている。
まず、図18(a)の状態は初期状態であり、上段の把持機構320aから押し出されたグリッパー340aと把持機構320bから押し出されたグリッパー340bにより左側にあるパイプ管Aを挟持し、また、下段の把持機構320eから押し出されたグリッパー340eと把持機構320fから押し出されたグリッパー340fにより左側にあるパイプ管Aを挟持して自重を支えた状態となっている。把持機構320aと把持機構320bと把持機構320eと把持機構320fに対応する液圧供給回路から液圧が印加されて“オン”の状態であり、図18(a)の右上及び右下の図に示すように、上下段ともパイプ管Aをしっかりとグリップしている状態となっている。
次に、図18(b)の状態に移る。図18(b)の状態は、パイプの上方へ進むために上段の把持機構320aのグリッパー340aおよび把持機構320bのグリッパー340bのグリップを解放した状態である。つまり、図18(b)の状態は下段の把持機構320cから押し出されたグリッパー340cと把持機構320dから押し出されたグリッパー340dのみによりパイプ管を挟持して自重を支えた状態となっている。把持機構320aと把持機構320bに対応する液圧供給回路の液圧印加が停止されて“オフ”状態となり、把持機構320eと把持機構320fに対応する液圧供給回路から液圧が印加された“オン”状態であり、図18(b)の右上の図に示すように、上段はパイプ管Aのグリップを解放しており、図18(a)の右下の図に示すように、下段はパイプ管Aをしっかりとグリップしている状態となっている。なお、この状態では、背骨部310内のアクチュエータユニット200’aおよびアクチュエータユニット200’b内のアクチュエータ100には液圧がかかっていないが、第1の嵌合縁15の中に第2の嵌合縁25が嵌り込んでいるので背骨部310が横方向や斜め方向に曲がったり垂れたりすることはなく直立した状態が維持される。
次に、図19(a)の状態に移る。図19(a)の状態は、背骨部310内のアクチュエータユニット200’aおよびアクチュエータユニット200’b内のアクチュエータ100に対する液圧供給機構40により液圧が均等に加えられ、背骨部310が伸びた状態である。アクチュエータユニット200’aおよびアクチュエータユニット200’bが液圧供給機構により均等な液圧が印加された場合に真っすぐに伸びる原理は実施例2において説明したとおりである。図19(a)左側の図に示すように、背骨部310が伸び、上段側の把持機構の高さが高い位置に到達している。
次に、図19(b)は、上段の把持機構320aのグリッパー340aおよび把持機構320bのグリッパー340bを押し出してパイプ管Aをグリップし直した状態である。つまり、背骨310が伸びて上段の把持機構が到達した箇所をしっかりとグリップする動作である。把持機構320aと把持機構320bに対応する液圧供給回路が液圧を供給して“オン”状態となり、グリッパー340aとグリッパー340bを押し出してパイプ管Aを挟持した状態となる。
次に、図20(a)の状態に移る。図20(a)の状態は、パイプの上方へ進むために下段の把持機構320eのグリッパー340eおよび把持機構320fのグリッパー340fのグリップを解放した状態である。つまり、図20(a)の状態は上段の把持機構320aから押し出されたグリッパー340aと把持機構320bから押し出されたグリッパー340bのみによりパイプ管Aを挟持して自重を支えた状態となっている。つまり把持機構320aと把持機構320bに対応する液圧供給回路の液圧印加が印加された“オン”状態であり、把持機構320eと把持機構320fに対応する液圧供給回路から液圧印加が停止された“オフ”状態であり、図20(a)の右上の図に示すように、上段はパイプ管Aをしっかりとグリップしている状態となり、図20(a)の右下の図に示すように、下段はパイプ管Aのグリップを解放している。
次に、図20(b)の状態に移る。図20(b)の状態は、背骨部310内のアクチュエータユニット200’aおよびアクチュエータユニット200’b内のアクチュエータ100に対する液圧供給機構により液圧印加が停止され、背骨部310が縮んだ状態である。液圧印加が停止されると弾性体60の弾性力によりアクチュエータユニット200’aおよびアクチュエータユニット200’bが縮む原理は実施例2において説明したとおりである。図20(b)左側の図に示すように、背骨部310が縮んで、下段側の把持機構の高さが上に上がる。なお、アクチュエータユニット200’aおよび200’b内のアクチュエータ100において第1の嵌合縁15と第2の嵌合縁25が嵌合し合う。
次に、図21(a)の状態に移る。図21(a)の状態は、下段の把持機構320eから押し出されたグリッパー340eと把持機構320fから押し出されたグリッパー340fにより左側にあるパイプ管Aを挟持し直し、上段下段両方の把持機構320に対する液圧供給機構による液圧が“オン”状態となってグリッパー340によりパイプ管Aを挟持して自重を支えた状態となっている。これは図18(a)の状態と同じ状態である。つまり、パイプ外壁昇降ロボット300は、図18(a)から図21(a)までが1サイクルとなって、いわゆる“尺取り虫”のように上方に登ってゆくことができる。
次に、グリップして登っているパイプ管Aから隣のパイプ管Bへの移動動作について説明する。本発明のパイプ外壁昇降ロボット300に用いている背骨部310は実施例2で説明したアクチュエータユニット200’を採用しており、伸縮制御のみならず、屈曲制御、捩じり制御が可能であるので、グリップしているパイプ管Aの周囲に他のパイプ管があればそのパイプ管に移動することが可能な場合がある。
まず、図21(b)の状態は、パイプの上方へ進むために上段の把持機構320aのグリッパー340aおよび把持機構320bのグリッパー340bのグリップを解放した状態である。つまり、図21(b)の状態は下段の把持機構320cから押し出されたグリッパー340cと把持機構320dから押し出されたグリッパー340dのみによりパイプ管を挟持して自重を支えた状態となっている。把持機構320aと把持機構320bに対応する液圧供給回路の液圧印加が停止されて“オフ”状態となり、把持機構320eと把持機構320fに対応する液圧供給回路から液圧が印加された“オン”状態であり、図21(b)の右上の図に示すように、上段はパイプ管Aのグリップを解放しており、図21(b)の右下の図に示すように、下段はパイプ管Aをしっかりとグリップしている状態となっている。なお、この状態では、背骨部310内のアクチュエータユニット200’aおよび200’b内のアクチュエータ100には液圧がかかっていないが、第1の嵌合縁15の中に第2の嵌合縁25が嵌り込んでいるので背骨部310が横方向や斜め方向に曲がったり垂れたりすることはなく直立した状態が維持される。
次に、図22(a)の状態に移る。図22(a)の状態は、背骨部31の2つのアクチュエータユニット200’aおよび200’bの屈曲制御を行い、上段の把持機構320をパイプ管A側からパイプ管B側へ移動させる。
背骨部310の下側のアクチュエータユニット200’bにおいて、液圧供給機構によって左側に位置するアクチュエータの液圧の方が右側に位置するアクチュエータの液圧よりも大きくなるように印加すれば、アクチュエータユニット200’b内のアクチュエータ100内部において第1の嵌合縁15と第2の嵌合縁25の嵌合が解かれた後、実施例2に説明したように右側に向かって屈曲することとなる。また、背骨部310の上側のアクチュエータユニット200’aにおいて、液圧供給機構によって左側に位置するアクチュエータの液圧よりも右側に位置するアクチュエータの液圧の方が大きくなるように印加すれば、アクチュエータユニット200’a内のアクチュエータ100内部において第1の嵌合縁15と第2の嵌合縁25の嵌合が解かれた後、実施例2に説明したように左側に向かって屈曲することとなる。
ここで、背骨部310の下側のアクチュエータユニット200’bの右側への屈曲量と、背骨部310の上側のアクチュエータユニット200’aの左側への屈曲量とを調整すれば、背骨部310全体の曲がりは図22(a)に示したように制御することは可能であり、上段の把持機構320cのグリッパー340c、把持機構320dのグリッパー340dがパイプ管Bに対面する位置まで移動する。
なお、微調整が必要な場合、アクチュエータユニット200’aやアクチュエータユニット200’a内部の各アクチュエータの液圧を微調整し、屈曲量を調整すれば良い。なお、アクチュエータ内部の液圧の制御時間やピストン体30の曲がりのダンパー的な役割により、パイプ壁面昇降ロボット300の上段全体が緩やかにパイプBの方に移動し、振り子のように勢いよく移動してパイプBにぶつかるということはない。
次に、図22(b)の状態に移る。図22(b)の状態は、把持機構320c,把持機構320dの内部にあるアクチュエータの液圧が“オフ”から“オン”に変化し、内部のアクチュエータ100が伸びてそれぞれのグリッパー340c,340dが前面に押し出され、パイプ管Bをしっかりとグリップした状態である。
次に、図23(a)の状態に移る。図23(a)の状態は、パイプ管Bの方へ下段側の把持機構も移動するために下段の把持機構320eのグリッパー340eおよび把持機構320fのグリッパー340fのグリップを解放した状態である。つまり、図23(a)の状態は上段の把持機構320aから押し出されたグリッパー340aと把持機構320bから押し出されたグリッパー340bのみによりパイプ管Bを挟持して自重を支えた状態となっている。つまり把持機構320aと把持機構320bに対応する液圧供給回路の液圧印加が印加された“オン”状態であり、把持機構320eと把持機構320fに対応する液圧供給回路から液圧印加が停止された“オフ”状態であり、図23(a)の右上の図に示すように、上段はパイプ管Bをしっかりとグリップしている状態となり、図23(a)の右下の図に示すように、下段はパイプ管Aのグリップを解放している。
なお、アクチュエータユニット200’aおよび200’b内部の各アクチュエータ100の液圧は図22の状態と同じ液圧で維持されている限り、背骨部310の屈曲は変化しない。
次に、図23(b)の状態に移る。図23(b)の状態は、背骨部310のアクチュエータユニット200’a、200’bの液圧供給機構による液圧供給が停止され、内部の弾性体60の弾性力によりアクチュエータユニット200’a、200’bが縮んだ状態となっている。背骨部310のアクチュエータユニット200’a、200’bは縮むと図23(b)に示すように短く真っすぐな状態に戻る。なお、アクチュエータ内部の液圧の制御時間やピストン体30の曲がりのダンパー的な役割により、パイプ壁面昇降ロボット300の下段全体が緩やかにパイプBの方に移動し、振り子のように勢いよく移動してパイプBにぶつかるということはない。
なお、この状態では、背骨部310内のアクチュエータユニット200’aおよび200’b内のアクチュエータ100において第1の嵌合縁15の中に第2の嵌合縁25が嵌り込む。
最後に図24(a)に示すように、下段の把持機構320eと把持機構320fに対する液圧供給機構による液圧供給を“オン”状態とし、下段の把持機構320eからグリッパー340eを押し出し、把持機構320fからグリッパー340fを押し出して、パイプ管Bを挟持する。これで図21(b)の状態で左側のパイプ管Aにグリップして自重を支えていたパイプ壁面昇降ロボット300が、右側のパイプ管Bに移動してグリップした状態となる。
以上、パイプ外壁昇降ロボット300は、図21(b)から図24(a)までが1サイクルとなって、パイプA側からパイプB側へ渡るように移動することができる。
なお、この例では、パイプAとパイプBの間隔が、把持機構320の幅よりも広いものであったため、図18(a)から図21(b)の動作例は、いわゆる片側(左側)のグリップだけでいわゆる“尺取り虫”の把持機構ように登ってゆく例であったが、左側把持機構320と右側の把持機構320の間隔とパイプAとパイプBの間隔が合致し合うもので把持機構あれば、グリッパー340a,340b,340e,340fがパイプ管Aをグリップし、グリッパー340c,340d,340g,340hがパイプ管Bを掴みながら、いわゆる両側(左右)のグリップで“尺取り虫”のように登ってゆくことができる。
実施例4として、本発明の液圧駆動のアクチュエータユニット200や200’を組み上げて構成した壁面を吸着しながら移動する壁面移動ロボット400の構成例を説明する。
なお、上記の実施例1に示した液圧駆動のアクチュエータ100や、実施例2に示した液圧駆動のアクチュエータユニット200や200’を組み合わせて壁面を移動する壁面移動ロボット400を製作する組み合わせ方は多様であり、この実施例に示す構成には限定されない。
図25および図26は、実施例4の壁面移動ロボット400の外観を模式的に示した6面図である。図25には平面図、正面図、右側面図が示されており、図26には底面図、背面図、左側面図が示されている。なお、液圧供給機構の図示は省略している。
図25および図26に示すように、壁面移動ロボット400は、連結機構である背骨部410、サンクション機構420、吸盤部430を備えた構造となっている。
連結機構である背骨部410の内部には実施例2に説明したアクチュエータユニット200’が組み込まれており、その動きなどは実施例3のパイプ昇降ロボット300の背骨部310と同様で良くここでの説明は省略する。背骨部410の上端にはシャーシ411、下端にはシャーシ412が設けられており、背骨部410は上段の吸盤部430a〜430bと下段の吸盤部430c〜430dの間に設けられている。
サンクション機構420は内部にエアーを吸引する機構が内蔵されており、図示は簡単に外形のみを示している。この例では円盤形となっている。なお、この構成例ではサンクション機構の駆動はポンプであり、水圧駆動ではない。また、エアーパイプ等のエアーの径路の図示は省略している。
吸盤部430は、例えば、ゴム製の吸盤431であり、サンクション機構420と連通しており、気密性が確保されている。サンクション機構420が吸盤部430内部の気圧を調整することができるものとなっている。サンクション機構420の吸引により吸盤431内部の気圧がさがって生じる吸引力Fにより、吸盤431と壁面の間には摩擦力が生じることとなる。
図25および図26に示すように、この壁面移動ロボット400は、上段下段2つのシャーシ411、412に左右2つずつのサンクション機構420a〜420dと、吸盤部430a〜430dが設けられており、エアー吸引は少なくとも上段下段の2系統、すべての吸盤を個別に制御する場合、4系統の制御となる。
サンクション機構420と吸盤部430により生じる吸引力としては、ロボット400が壁面を移動するために上段のサンクション機構420a,420bの2つの吸盤部430a,430bのみ、または、下段のサンクション機構420c,420dの2つの吸盤部430c,430dにより発生する摩擦力でロボット400の自重を支えられるものであれば良い。後述するように、壁面移動中において一時的に、上段のみのサンクション機構420a,420bの2つの吸盤部430a,430bのみで自重を支えたり、下段のサンクション機構420c,420dの2つの吸盤部430c,430dのみで自重を支えたりする必要があるからである。
以下、壁面移動ロボット400の壁面移動動作の概略を説明する。
この例では垂直な壁面を吸引しながら上方へ登ってゆく動作を説明する。
図27(A)の左図は、吸盤部430a〜430dの内部にあるサンクション機構420a〜420dがエアーを吸引し、各吸盤部430a〜430dにより壁面をしっかりと吸着している状態である。
図27(A)の右図は、上側にある吸盤部430a,430bのサンクション機構430a,430bが吸引を停止して吸着状態から解放した後、背骨部410内部のアクチュエータユニット200’a,200’b内のそれぞれのアクチュエータの液圧が“0”から或る値“Y”になり、背骨部410内部のアクチュエータユニット200’a,200’bが伸びた状態である。なお、下側にある吸盤部430c,430dの内部にあるサンクション機構420c,420dは吸引を維持しており、壁面をしっかりと吸着しており、ここでは、2つの吸盤部430c,430dの吸着力により壁面移動ロボット400の自重を支えられる摩擦力が得られる程度の吸着力であるものとする。
図27(B)左図は、図27(A)右図の後、上段にある吸盤部430a,430bのサンクション機構420a,420bが吸引を開始して上段にある吸盤部430a,430bでしっかりと吸引し、自重を支えられる状態とする。また、下段にある吸盤部430c,430dのサンクション機構420c,420dが吸引を停止して下段にある吸盤部430c,430dを吸着状態から解放した状態である。
図27(B)右図は、背骨部410内部のアクチュエータユニット200’a,200’b内のそれぞれのアクチュエータの液圧が“Y”から“0”になり、背骨部410内部のアクチュエータユニット200’a,200’bが縮んだ状態である。
この図27(A)、図27(B)のサイクルを繰り返すことにより、いわゆる“尺取り虫”のような動きで上方に進み続けたり、逆の動作を繰り返して下方に降りたりする動作が可能である。
また、壁面移動ロボット400は、上方または下方へ進むだけでなく、進行方向を曲げることも可能である。
図28(A)左図は、図27(A)の左図と同様、吸盤部430a〜430dの内部にあるサンクション機構420a〜420dがエアーを吸引し、各吸盤部430a〜430dにより壁面をしっかりと吸着している状態である。
図28(A)右図は、上段にある吸盤部430a,430bのサンクション機構432が吸引を停止して吸着状態から解放した後、背骨部410内部のアクチュエータユニット200’a,200’b内のそれぞれのアクチュエータ100において、左側にあるアクチュエータの液圧が図中右側にあるアクチュエータの液圧より大きい値となり、実施例2で説明したようにアクチュエータユニット200’a,200’b全体として右側に曲がった状態である。
図28(B)左図は、上段にある吸盤部430a,430bの内部にあるサンクション機構の吸引を開始し、2つの吸盤部430a,430bの吸着力により壁面をしっかりとグリップし、ロボット400の自重を支えることができる状態である。また、下段にある吸盤部430c,430dのサンクション機構430c,430dが吸引を停止して吸着状態から解放した状態である。
図28(B)右図は、背骨部410内部のアクチュエータユニット200’a,200’b内のそれぞれのアクチュエータの液圧が“0”になり、背骨部410内部のアクチュエータユニット200’a,200’bが縮んだ状態である。
この図28(A)、図28(B)のサイクルを繰り返すことにより、いわゆる“尺取り虫”のような動きで右側上方や左側上方に曲がって進んだり、逆の動作を繰り返して右側下方や右側下方に曲がって降りたりする動作が可能である。
なお、背骨部410の内部に組み込まれた水圧駆動のアクチュエータユニット200’は実施例2に示したように捩じり動作も可能である。つまり、背骨部410が伸縮・曲がり・捩じり動作を行うことで、理論上、壁面移動ロボット400は、3次元の凹凸曲面を持つ壁面であっても壁面移動を行うことができる。
また、背骨部410内のアクチュエータユニット200’aおよび200’b内のアクチュエータ100には液圧がかかっていない状態では、第1の嵌合縁15の中に第2の嵌合縁25が嵌り込んでいるので背骨部410が横方向や斜め方向に曲がったり垂れたりすることはなく形状が維持されることは実施例3と同様である。
以上のように、サンクション機構420を備えた吸盤部430の吸着力を用いて壁面を吸着して自重を支えることができ、また、水圧駆動のアクチュエータユニット200または200’が組み込まれた背骨部410の伸縮・曲がり・捩じり制御によりロボット400が変形しつつ壁面を移動してゆく壁面移動ロボットを提供することができる。
次に、実施例5として、上記実施例1の液圧駆動のアクチュエータ100や、上記実施例2のアクチュエータユニット200や200’を組み上げて構成したパイプ管内壁を移動するパイプ管内壁移動ロボット500の構成例を説明する。
なお、上記の実施例1に示した液圧駆動のアクチュエータ100や、実施例2に示した液圧駆動のアクチュエータユニット200や200’を組み合わせてパイプ管内壁移動ロボット500を製作する組み合わせ方は多様であり、この実施例に示す構成には限定されない。
図29および図30は、実施例5のパイプ管内壁移動ロボット500の外観を模式的に示したものである。図29には平面図、正面図、右側面図が示されている。図30には底面図、背面図、左側面図が示されている。
図29および図30に示すように、パイプ管内壁移動ロボット500は、連結機構である背骨部510、上段の張り出し機構のアクチュエータ520a〜520c、下段の張り出し機構のアクチュエータ520d〜520f、各々のアクチュエータの先端に設けられているグリッッパー530a〜530fを備えている。
連結機構である背骨部510は、いわゆるジャバラで覆われているが、その内部には実施例2で説明した液圧駆動のアクチュエータユニット200(伸縮、曲がりが可能なタイプ)が例えば1個組み込まれており、アクチュエータユニット200の内部には4つのアクチュエータが組み込まれており、液圧駆動によりアクチュエータユニット200は伸縮したり曲がったりする動作が可能となっている。連結機構である背骨部510は、上段の張り出し機構と下段の張り出し機構との間に設けられている。
上段のシャーシ511は、背骨部510の上部付近に設けられた部材であり、下段のシャーシ512は、背骨部510の下部付近に設けられた部材である。後述するようにパイプ内壁移動ロボット500の自重を支える剛性が必要である。ここでは一例として金属製とし、アルミニウム板材で構成されているものとする。
上段の張り出し機構のアクチュエータ520a〜520fは、実施例1で説明したアクチュエータ100が内部に組み込まれたものであり、上段、下段ともアクチュエータが3つずつ配置された構成例となっている。もちろん、アクチュエータの数は3つずつに限定されず4つずつや5つずつ配置した構成も可能である。各アクチュエータの配置角度は限定されないが、例えば、3つの構成時であれば、図29および図30に示すようにシャーシ511、512上にて互いに120度ずつの角度開いて設けておく構成がある。
この構成例では張り出し機構の各アクチュエータ520a〜520fは、先端のグリッッパー530a〜530fを押し出してパイプ内壁面間に張り出してしっかりとグリップしたり、先端のグリッッパー530a〜530fを引っ込めてパイプ内壁面のグリップを開放したりする動作を行う。ここでは説明を簡単にするために、液圧駆動機構40により与えられる液圧は、後述するようにグリッパー431でパイプ内壁をしっかりとグリップするに十分な押圧力を生じる液圧“X”と“0”の2値制御とするものとして説明する。
張り出し機構の各アクチュエータ520a〜520fの動作として重要な点は、各アクチュエータ520a〜520fが伸張してグリッパーを張り出した場合、従来の数値制御の機械のように直線的、硬直的な動きしかできないのではなく、可撓性のあるピストン体を液圧で押し出してゆくものであるため、先端のグリッッパー530a〜530fが当接しようとするパイプ内壁面の角度や状態に応じて沿うようにグリッッパー530a〜530fが押圧できる点である。パイプ内壁面に多少の凹凸や歪みがあったり、パイプがカーブしていたりしても、ピストン体の可撓性により壁面の角度や状態に応じて曲がりつつ、かつ液圧でしっかりとパイプ内壁面をグリップするように押圧して自重を支えて移動することができる。これは従来の数値制御の硬直的なロボットではなし得ない駆動方法である。
なお、この構成例ではグリッッパー530の出し入れ動作の制御であるので実施例1に示したアクチュエータ100のタイプとしたが、実施例2で示したように、曲げや捩りを制御するアクチュエータユニット200や200’のタイプを用いても良い。
グリッッパー530a〜530fは、上下3個ずつ設けられており、張り出し機構の各アクチュエータ520a〜520fの先端に設けられている。グリッッパー530a〜530fの形はパイプ内壁面に対応する凸型となっており、パイプの内壁面をしっかりとグリップできるように適した形状となっていることが好ましい。グリップ面積が大きくなり、大きな摩擦力が得やすいからである。
以下、パイプ管内壁移動ロボット500の動作の概略を説明する。
図31はグリッッパー530a〜530fの動きを示す図である。図31(A)がパイプ上方から見た図、図31(B)がパイプ内の様子を正面から見た図となっている。パイプの肉厚の図示は省略している。
図31(A)の左図は、液圧駆動機構40(図示せず)に液圧をかけずに張り出し機構の各アクチュエータ520a〜520fが収縮している状態である。
図31(A)の右図は、液圧駆動機構40(図示せず)に液圧を印加し、張り出し機構の各アクチュエータ520a〜520fに圧力を加え、グリッッパー530aが前方に押し出た状態である。今、液圧“X”を加えると、外力を受けない状態ではアクチュエータがまっすぐ伸びて各グリッッパー530a〜530fは図31(A)から図31(B)のようにパイプ内壁面に当接するまで伸びる。なお、各アクチュエータ520a〜520fが伸張できる範囲はピストン体やシリンダ体の長さや弾性体60や間隔リミッタ50との兼ね合いにより限界があるが、ここでは、パイプ内壁移動ロボット500の横方向の大きさが直径“L1”cmとし、各アクチュエータ520a〜520fが伸張した場合の限界距離が“L2”cmとした場合、L1<L3<L2の関係にある“L3”cmのパイプの内部に収められた場合、自然状態ではグリッッパー530a〜530fは“L2”cmまで伸びようとするが、“L2”cmに伸びるまでにパイプ内壁があり、パイプ内壁面から強い抗力を受けて“L3”cmまでしか伸びず、弾力体60の弾性力とパイプCの内壁面から受ける抗力の総計が液圧“X”で発生する押圧力とバランスすることとなる。その際のパイプCの内壁面から受ける抗力Fであり、パイプの内壁面とグリッッパー530表面との摩擦係数がμとすると“μF”の摩擦力が得られることとなる。
なお、グリッパー530の角度と、当接使用とするパイプ内壁面との角度が異なっている場合、ピストン体の可撓性のよりパイプ内壁面の角度に添う形でグリップすることとなる。これは、背骨部510の伸縮の場合も同様であり、背骨部510内部のアクチュエータユニット200や200’に対して液圧を加えると、外力を受けない状態では背骨部510は真っ直ぐ伸びるが、上段(進行方向先端)のアクチュエータ520a〜520fがパイプ内壁からに当たって外力を受けると、背骨部510内のアクチュエータユニット200や200’が曲がり、背骨具510がパイプ経路のいわゆる“道なり”に伸びることとなる。上記の動きが基本動作である。
次に、パイプ内壁移動ロボット500の動作例を説明する。この例では屈曲しているパイプの内壁面をグリップしながら移動してゆく動作を説明する。
図32(A)は、張り出し機構のアクチュエータ520a〜520fすべてのアクチュエータの液圧が“X”であり、内部のアクチュエータ100が伸びてそれぞれのグリッッパー530a〜530fが前方に押し出され、パイプの内壁面を上段3箇所、下段3箇所でグリップしている状態である。パイプのような断面が円形の内壁面に対して略等間隔(略120度ずつ)の3点で適切に押圧するとしっかりと摩擦力を得ることができ、3点の摩擦力(この場合は前方後方の合計6点)によりパイプ内壁移動ロボット500の自重を支えることが可能である。
図32(B)は、アクチュエータ520a〜520fのうち、前方にある張り出し機構のアクチュエータ520a〜520cの液圧が“0”となり、それらが縮んでそれぞれのグリッッパー530a〜530cが引き戻され、パイプの内壁面を解放した状態である。なお、後方にあるアクチュエータ520d〜520fの液圧は“X”のまま維持され、それぞれのグリッッパー530d〜530fはパイプ内壁面をしっかりとグリップしている状態が維持されており、後方の3点の摩擦力によりパイプ内壁移動ロボット500の自重を支えることが可能である。
図33(A)は、背骨部510内部のアクチュエータユニット200または200’内のそれぞれのアクチュエータ100の液圧が“0”から“Z”になり、背骨部510内部のアクチュエータユニット200が伸びた状態である。ここで、後方のシャーシ512はグリッッパー530d〜530fでしっかりとグリップしているので不動であるが、前方のシャーシ511はグリッッパー530a〜530cがグリップしていないので、シャーシ511は自由に移動し、いわゆるパイプ管の“道なり”に進む。アクチュエータの液圧により張り出し機構の各アクチュエータは伸張するが、パイプ管内壁から大きな外力を受けると、ピストン体には可撓性があるのでアクチュエータ全体が曲がるため“管の道なり”に進むこととなる。この例では、パイプ管が上方へ曲がっており、道なりに進んだ結果、前方のシャーシ511はやや斜め上方に進む。
図33(B)は、前方にある張り出し機構のアクチュエータ520a〜520cの内部にあるアクチュエータの液圧が“0”から“X”になり、それぞれのグリッッパー530a〜530cが押し出され、パイプ内壁をしっかりとグリップした状態である。なお、前方にあるグリッッパー530a〜530cが押し出されるとパイプ内壁面に当接することとなるが、その際、背骨部510の先端部分の曲がり具合いがパイプ経路の曲がり具合いと少々ずれている場合であっても、グリッッパー530a〜530cがパイプ内壁面に押し付けられると、それぞれのグリップ部がパイプ内壁面に対して正対するようにシャーシ511が傾いた状態でしっかりとグリップするように背骨部510が曲がる。
図34(A)は、後方にある張り出し機構のアクチュエータ520d〜520fの液圧が“X”から“0”になり、それぞれのグリッッパー530d〜530fが引き込まれ、パイプ内壁面のグリップを解放した状態である。
図34(B)は、背骨部510内部のアクチュエータユニット200または200’内のそれぞれのアクチュエータ100の液圧が“Z”から“0”になり、背骨部510が縮んだ状態である。ここで、前方のシャーシ511はグリッッパー530a〜530cでしっかりとグリップしているので不動であるが、後方のシャーシ512はグリッッパー530d〜530fがグリップしていないので、シャーシ512は自由に移動し、いわゆる“管の道なり”に引かれて行く。
図35(A)は、後方にある張り出し機構のアクチュエータ520d〜520fの液圧が“0”から“X”になり、それぞれのグリッッパー530d〜530fが押し出され、パイプ内壁面をしっかりとグリップした状態である。この状態で図32(A)と同様、前方後方の合計6点によりパイプ内壁移動ロボット500の自重を支える状態となっている。
つまり、実施例5のパイプ内壁移動ロボット500は、図32(A)〜図35(A)が1サイクルとなって、これら動作を繰り返して、いわゆる“尺取り虫”のように道なりに進むことができる。
なお、図35(B)はさらに1サイクル進んだ状態、図36(A)は2サイクル進んだ状態、図36(C)は3サイクル進んだ状態を示す図である。このようにパイプ経路が曲がっていても、事前にその曲率などを考慮した運動制御をしなくても自在にパイプ内壁面を移動することができる。従来の数値制御型のロボットであれば、このようにパイプのカーブ地点を通り抜けるためには正確な曲率などのデータを事前にプログラミングしておかなければ対処できないが、本発明の液圧駆動のアクチュエータを応用したロボットであれば、柔軟に対処することができる。
以上、実施例5のパイプ管内壁移動ロボット500は、本発明の液圧駆動のアクチュエータ100、アクチュエータユニット200や200’を組み合わせた張り出し機構の張り出し・引き込み制御と背骨部の伸縮制御により、パイプ管内壁面を摩擦力でグリップしながら、パイプ管を道なりに進んでゆくことができる。
次に、実施例6として、本発明の液圧駆動のアクチュエータユニット200や200’を組み上げて構成したロボットアーム型のロボット600の構成例を説明する。また、本実施例6では、アーム機構先端のハンド機構に、一方向に屈曲できる構成のアクチュエータ100’を採用した例として説明する。なお、上記の実施例2に示した液圧駆動のアクチュエータユニット200や200’、一方向にしか屈曲しないアクチュエータ100’などを組み合わせてロボットアーム型のロボット600を製作する組み合わせ方は多様であり、この実施例に示す構成には限定されない。
図37は、実施例6のロボットアーム型のロボット600の外観を模式的に示したものである。図37(A)は左側面図である。表面がやわらかいカバー類で覆われており内部の機構系は見えない状態である。図37(B)は表面のカバー類を除いて内部の機構系が見える状態となっている。
図37(B)に見るように、ロボットアーム型のロボット600は、アーム機構として内部にアクチュエータユニット200’が2つ直列に配置され、手にあたるハンド機構には、一方向にしか屈曲しないアクチュエータ100’を備えている。
アーム機構のアクチュエータユニット200’は、実施例2で説明したように上下左右あらゆる方向へ曲がるほか、前後方向への伸張、収縮も可能であり、さらに、捩りも可能となっている。このアクチュエータユニット200’が2段直列に配置されているのでアーム機構先端のハンド機構の到達可能領域が広く確保されている。
次に、一方向にしか屈曲しないハンド機構のアクチュエータ100’について説明する。
図38は、一方向にしか屈曲しないハンド機構のアクチュエータ100’の概略を簡単に示した図である。第1のシリンダ体10’、第2のシリンダ体20’、ピストン体30’、液圧供給機構40’(図示せず)の構造を備えている点は実施例1のアクチュエータ100と同様であるが、実施例1のアクチュエータ100に設けられていた間隔リミッタ50、弾性体60に相当するものは設けられていない。
実施例6のアクチュエータ100’には、第1のシリンダ体10’と第2のシリンダ体20’には蝶番連結部70が設けられた構造となっている。この構成例では第1のシリンダ体10’と第2のシリンダ体20’の間に連結体71が設けられ、第1のシリンダ体10’と連結体71の間、第2のシリンダ体20’と連結体71の間の内側(図中下側)の接合縁2箇所に連結蝶番部70が設けられている。一方、外側(図中上側)の接合縁には連結蝶番部70が設けられていない。第1のシリンダ体10’と第2のシリンダ体20’は連結蝶番部70が設けられている点を中心に回動することとなり、内側に向けて曲がるが外側や横側に向けて反ることはできない。つまり、一方向にしか屈曲しないものとなっている。
このように一方向にしか屈曲しないものとすれば、ロボットアーム型ロボットのハンド部分の指のように掴む、離すという動作は実現できる一方、間隔リミッタ50や弾性体50が省略でき、細く小さなアクチュエータが実現できるメリットが得られる。つまり、伸縮したり上下左右に自在に曲がったりという自由な動きは制約されてしまうが、細く小さなアクチュエータが実現できる。
図38(A)はアクチュエータ100’には液圧が印加されず、弛緩した状態である。ほぼ、全体形状は真っ直ぐなものとなっている。
一方、図38(B)はアクチュエータ100’に液圧が印加され、屈曲した状態である。全体が内側に曲がっている。
次に、ワイヤー機構を設ける工夫について説明する。
上記のように、アクチュエータ100’には弾性体60が設けられていないため、全体形状が曲がった後、元の弛緩時の真っ直ぐな形に戻ろうとする力が弱いおそれがある。そこで、液圧印加により曲がった状態から真っ直ぐな状態にすみやかに戻すため、ワイヤー機構を設けておくという工夫がある。
図39はワイヤー機構を設けた場合の動きを簡単に説明する図である。図39に示すように、内部にワイヤー80が張られ、その先端がいわゆる指先に相当する第2のシリンダ体の端部に接続されて、他端がワイヤー巻取り機構81に巻きつけられた構造となっている。ワイヤー巻取り機構81は例えば小型モータで駆動されるホイールなどである。アクチュエータ100’に液圧を印加する際にはワイヤー巻取り機構81には駆動力を与えず、図39(A)に示すように、アクチュエータ100’の屈曲に応じて従動的にワイヤー80が繰り出される。一方、液圧印加を止めた際にはワイヤー巻取り機構81に駆動力を与え、図39(B)に示すように、ワイヤー80を適度なテンションで巻き取ることにより、アクチュエータ100’の全体形状を弛緩時の真っ直ぐな状態にすみやかに戻すことができるものとなっている。
次に、ロボットアーム型ロボット600の全体の動きを簡単に説明する。
図40(A)(B)に示すように、内部のアクチュエータユニット200’の変化に応じてロボットアーム型ロボット600は上下左右に自在に曲がることができるものとなっている。また、図40(C)に示すように、アーム機構のアクチュエータユニット200’の捩り変化に応じてロボットアーム型ロボット600は捩り運動が可能となっている。また、図41(A)(B)に示すように、アクチュエータユニット200’の伸張変化や収縮変化に応じてロボットアーム型ロボット600全体形状も伸張したり収縮したりすることができる。
なお、図41(B)のように、アクチュエータユニット200’に対して液圧供給機構40からの液圧がかかっていない状態では、各アクチュエータユニット200’が収縮するが、各アクチュエータユニット200’のアクチュエータ100内において、第1のシリンダ体10の第1の嵌合縁15内に第2のシリンダ体20の第2の嵌合縁25が嵌り込んだ状態となり、図41(B)の上下方向には支持されるので、ロボットアームの先端が下方に垂れ下がることはなく、全体が水平に維持される。
次に、上記のロボットアーム型ロボット600を搭載した具体的な装置例を示す。図42(A)は自走式のロボットに対して作業を行うアームとして、実施例6のロボットアーム型ロボット600を搭載した例である。また、図42(B)は、実施例4で示した壁面移動ロボット400の先端付近に作業を行うアームとして、実施例6のロボットアーム型ロボット600を搭載した例である。このような装置例に限らず、多種多様な装置に多種多様な形で搭載することができる。
次に、実施例7として、本発明の液圧駆動のアクチュエータ100やアクチュエータユニット200や200’を組み上げて構成した多体節ヘビ型ロボット700の構成例を説明する。
図43(A)は、実施例7の多体節ヘビ型ロボット700の平面図である。多数の体節710と、それら体節間を結ぶ関節に相当する部分にアクチュエータユニット200’が設けられた構造となっている。この構成例では、胴部は4つあり、それぞれ710a,710b,710c,710dとなっており、それらの間が連結機構であるアクチュエータユニット200’により連結されている。アクチュエータユニット200’は実施例2に示したように、液圧駆動により上下左右に自在に曲がったり捩じったりする動作ができるものであるので、図43(B)に示すように、体節710の間のアクチュエータユニット200’を曲げたり捩じったりしながらヘビや虫のように体をくねらせて進むことができる。なお、図43(C)は多体節ヘビ型ロボット700が体をくねらせて進む様子を右側面から見た図である。
多体節ヘビ型ロボット700が体をくねらせて進む制御は、連結機構の各アクチュエータユニット200’内のアクチュエータ100に対する液圧の印加を制御することで実現できる。
なお、地面の凹凸や歪み、前方に障害物が存在する場合などは、従来の数値制御型のロボットであればセンサ類で地面の凹凸の具合いや歪みの大きさや障害物の有無などのデータを取得し、ロボット全体の動きを正確に割り出す必要があるが、本発明の液圧駆動のアクチュエータ100やアクチュエータユニット200や200’を用いる場合、ピストン体30の可撓性、液圧駆動によるシリンダ−ピストン運動の伸縮により、地面の凹凸の具合いや歪みの大きさや障害物の形に沿いながら、また、外部から受ける抗力などの外力に応じて伸縮・屈曲しながら柔軟に進むことができる。
次に、実施例8として、本発明の液圧駆動のアクチュエータ100やアクチュエータユニット200や200’を組み上げて構成した多足型ロボット800の構成例を説明する。
図44は、実施例8の多足型ロボット800の平面図、正面図、右側面図である。1つの胴820と多数の足810が設けられている。この例では6本の足810a〜810fが設けられており、足810と胴820のつなぎ目の部分に連結機構であるアクチュエータユニット200’が設けられた構造となっている。
アクチュエータユニット200’は実施例2に示したように、液圧駆動により上下左右に自在に曲がったり捩じったりする動作ができるものであるので、図45に示すように、足810と胴820の間のアクチュエータユニット200’を曲げたり捩じったりしながら虫のように歩行することができる。
なお、地面の凹凸や歪み、前方に障害物が存在する場合などは、従来の数値制御型のロボットであればセンサ類で地面の凹凸の具合いや歪みの大きさや障害物の有無などのデータを取得し、足810の動きを正確に割り出す必要があるが、本発明の液圧駆動のアクチュエータ100やアクチュエータユニット200や200’を連結機構として用いる場合、ピストン体30の可撓性、液圧駆動によるシリンダ−ピストン運動の伸縮により、地面の凹凸の具合いや歪みの大きさや障害物の形に沿いながら、足を進めることができ、また、外部から受ける抗力などの外力に応じて伸縮・屈曲しながら柔軟に進むことができる。
次に、実施例9として、本発明の液圧駆動のアクチュエータ100やアクチュエータユニット200や200’を組み上げて構成したユニバーサル型移動ロボット900の構成例を説明する。
図46は、実施例9のユニバーサル型移動ロボット900の平面図、正面図、右側面図を示している。1つの胴部920と多数の足910が設けられている。この例では4本の足910a〜910dが設けられており、足910と胴部920のつなぎ目の部分に連結機構であるアクチュエータユニット200’が設けられた構造となっている。
各々の足910は、胴部920から横方向に略水平に設けられており、足910の先端には直方体の先端部911が設けられている。
ユニバーサル型移動ロボット900の移動動作は、接地した足910の先端部920が支点となりアクチュエータユニット200’の旋回運動により胴部920が作用点として前方に移動する第1の動作と、接地した胴部920が支点となりアクチュエータユニット200’の旋回運動により足910が作用点として前方に移動する第2の動作を繰り返すことにより移動するものである。ユニバーサル型移動ロボット900の移動動作は、この第1の動作と第2の動作を繰り返すことにより、地面の状態や障害物の存在をたやすく乗り越えて行ける動作となっている。
まず、第1の動作は、図46の状態から図48の状態に示すように、接地した足910の先端部911を支点として、アクチュエータ200’を下方に押し、胴920を持ち上げ、さらにアクチュエータ200’を旋回させて後方へ押し出し、胴部920を前方に押し出す。この場合、胴部920は上方からゆっくりと下方に移動するので地面の状態に応じて接地する。
次に、第2の動作は、図48の状態から図49の状態に示すように、接地した胴部920を支点として、アクチュエータ200’を後方から上方を通って前方へ旋回させ、足910の先端部911を後方から前方に回転させて接地させる。この場合、足910の先端部911は上方からゆっくりと下方に移動するので地面の状態に応じて接地する。
この図46から図49の第1の動作と第2の動作を1サイクルとして前方に移動する。図46から図49の動作を逆にすれば後方へ移動することができる。
図50は、図46から図49のサイクルの動作を繰り返して前方に移動する様子を示す図である。この例では前方に階段状のデコボコ状態となっているが、前方に移動してゆく様子が理解されよう。
なお、図46から図49の動作は左右の足910を同じ運動で同時に動かしたが、左右一方の片側の足部910のみを動作させれば進行方向を曲げることができ、また、左右の足の一方を前進、他方を後進の動作とすれば、その場で旋回することも可能となる。さらに、図47のように胴部920を持ち上げた状態は、実施例8にかかる多足型ロボット800のような動作が可能であることは理解されるであろう。
地面の凹凸や歪み、前方に障害物が存在する場合などは、従来の数値制御型のロボットであればセンサ類で地面の凹凸の具合いや歪みの大きさや障害物の有無などのデータを取得し、足910の動きを正確に割り出す必要があるが、本発明の液圧駆動のアクチュエータ100やアクチュエータユニット200や200’を連結機構として用いる場合、ピストン体30の可撓性、液圧駆動によるシリンダ−ピストン運動の伸縮により、地面の凹凸の具合いや歪みの大きさや障害物の形に沿いながら、足を進めることができ、また、外部から受ける抗力などの外力に応じて伸縮・屈曲しながら柔軟に進むことができる。
以上、本発明のアクチュエータ、アクチュエータユニット、それらを組み込んだロボットは、液圧駆動により、いわゆる周囲の状況に応じた“柔軟な制御”“柔軟な動作”を行うことができ、構成要素自体も、ある程度の剛性を備えた“直線状の動き”を可能としつつ、可撓性ある弾力性を備えた“曲線状の動き”も可能とした2面性を同時に兼ね備えたものである。
限定された狭い搬入路と作業スペースにロボットを搬入して各種作業(研磨、研削、ウォータージェットピニング等)を行う場合に、作業目的に応じてロボットには様々な条件が求められる。例えば、小型でシンプルな構造を持ち、軽量ながらも或る程度の剛性があること、簡単な駆動原理による制御が可能であること、移動機構を備えていること、柔軟な構造部分があり振動吸収ができること、移動機構が柔軟であり外界の環境に合わせた道なり動作、障害物から干渉を受けた際の退避動作などが可能であることなどが求められ得る。本発明の液圧駆動のアクチュエータ、アクチュエータユニットそれらを組み込んだロボットは、上記の各条件を満たすことができる。また、ロボットは作業目的によっては大きな重量のものを持ち上げたり動かしたりする動力を発生することが求められ得るが、本発明の液圧駆動のアクチュエータ、アクチュエータユニットそれらを組み込んだロボットは、供給する液圧を大きくしたりすることで大きな動力を発生させることが可能である。
また、作業ロボットにおいて、動作不能に陥った場合の非常時回収ということも重要な課題である。原子力プラントや製造プラントの配管内などでは動作不能に陥った場合の非常時回収は容易ではないところ、本発明の液圧駆動のアクチュエータ、アクチュエータユニットそれらを組み込んだロボットは、液圧供給機構から供給する液圧を小さくすれば、ロボット全体が弛緩するため体積が小さくなる上、関節がフレキシブルになり、ケーブルで引っ張れば容易に搬入路を介して引き出すことができ、非常時回収が確実に可能である。
以上、本発明の液圧駆動のアクチュエータ、アクチュエータユニット、それらを組み込んだロボットの構成例における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
本発明の液圧駆動のアクチュエータ、アクチュエータユニットは、ロボットやシステムなどの駆動機構として広く適用することができる。また、様々な組み合わせ方により、本発明のパイプ管昇降ロボットや、壁面移動ロボットや、パイプ内壁移動ロボット、ロボットアーム型ロボット、多体節ヘビ型ロボット、多足型ロボット、災害救助用などのユニバーサル型移動ロボットなど、多様な産業用ロボットに適用することができる。
本発明の実施例1にかかる液圧駆動のアクチュエータ100の一構成例を模式的に示す図 アクチュエータ100の各構成要素の構成が分かるように正面図、平面図、背面図、断面図などを示した図 アクチュエータ100の伸縮が間隔リミッタ機構50で制御される様子を説明する図 液圧供給機構40により印加する液圧と弾性体60のバネによるアクチュエータ100の長さの関係を模式的に示す図 本発明のアクチュエータ100の周囲にカバー類110を設けた例を示す図 本発明のアクチュエータユニット200の一構成例を模式的に示した図 第1のベース体210、第2のベース体220の構成が分かるように正面図、平面図、背面図、断面図などを示した図 アクチュエータユニット200の曲がり制御の原理を説明した図(その1) アクチュエータユニット200の曲がり制御の原理を説明した図(その2) 第1のベース体210に平行な面で切った断面において曲がり制御を説明する図 アクチュエータユニット200を2つ直列に並べ、第1の嵌合縁15と第2の嵌合縁25による嵌合の効果を説明する図 捩じり制御を可能とした本発明のアクチュエータユニット200’の構成例を模式的に示した図 アクチュエータユニット200’全体として捩じりが生じる原理を説明する図(その1) アクチュエータユニット200’全体として捩じりが生じる原理を説明する図(その2) 実施例3のパイプ管昇降ロボット300の外観を模式的に示した図(その1) 実施例3のパイプ管昇降ロボット300の外観を模式的に示した図(その2) 把持機構内のアクチュエータ100の水平断面構造を分かりやすく示した図 実施例3のロボット300が、2本平行に並べられたパイプ管の外壁を登る動作の例を示す図(その1) 実施例3のロボット300が、2本平行に並べられたパイプ管の外壁を登る動作の例を示す図(その2) 実施例3のロボット300が、2本平行に並べられたパイプ管の外壁を登る動作の例を示す図(その3) 実施例3のロボット300が、2本平行に並べられたパイプ管の外壁を登る動作の例を示す図(その4) 実施例3のロボット300が、2本平行に並べられたパイプ管の外壁を登る動作の例を示す図(その5) 実施例3のロボット300が、2本平行に並べられたパイプ管の外壁を登る動作の例を示す図(その6) 実施例3のロボット300が、2本平行に並べられたパイプ管の外壁を登る動作の例を示す図(その7) 実施例4の壁面移動ロボット400の外観を模式的に示した6面図(その1) 実施例4の壁面移動ロボット400の外観を模式的に示した6面図(その2) 壁面移動ロボット400の壁面移動動作の概略を説明する図(その1) 壁面移動ロボット400の壁面移動動作の概略を説明する図(その2) 実施例5のパイプ管内壁移動ロボット500の外観を模式的に示した図(その1) 実施例5のパイプ管内壁移動ロボット500の外観を模式的に示した図(その2) グリッッパー530a〜530fの動きを示す図 パイプ内壁移動ロボット500の動作例を説明する図(その1) パイプ内壁移動ロボット500の動作例を説明する図(その2) パイプ内壁移動ロボット500の動作例を説明する図(その3) パイプ内壁移動ロボット500の動作例を説明する図(その4) パイプ内壁移動ロボット500の動作例を説明する図(その5) 実施例6のロボットアーム型のロボット600の外観を模式的に示した図 一方向にしか屈曲しないアクチュエータ100’の概略を簡単に示した図 ワイヤー機構を設けた場合の動きを簡単に説明する図 内部のアクチュエータユニット200’の変化に応じてロボットアーム型ロボット600は上下左右に自在に曲がる様子を示す図 アクチュエータユニット200’の伸張変化や収縮変化に応じてロボットアーム型ロボット600全体形状も伸張したり収縮したりする様子を示す図 ロボットアーム型ロボット600を搭載した様々なロボットの例を示す図 実施例7の多体節ヘビ型ロボットの構成例を示す図 実施例8の多足型ロボットの構成例を示す図 実施例8の多足型ロボットが動く様子を示す図 実施例9のユニバーサル型移動ロボット900の平面図、正面図、右側面図において、ユニバーサル型移動ロボット900の移動動作(その1)を示す図 ユニバーサル型移動ロボット900の移動動作(その2)を示す図 ユニバーサル型移動ロボット900の移動動作(その3)を示す図 ユニバーサル型移動ロボット900の移動動作(その4)を示す図 ユニバーサル型移動ロボット900の移動動作例を示す図
10 第1のシリンダ体
11 鍔部分
12 シリンダ筒
13 シリンダ室
14 弾性体接続部
15 第1の嵌合縁
20 第2のシリンダ体
21 鍔部分
22 シリンダ筒
23 シリンダ室
24 弾性体接続部
25 第2の嵌合縁
30 ピストン体
31 チューブ体
32 一端部
33 他端部33
40 液圧供給機構
41 液圧装置
42 液体供給管
50 間隔リミッタ機構
60 弾性体
70 連結蝶番部
71 連結体
80 ワイヤー
81 ワイヤー巻取り機構
100 アクチュエータ
200 アクチュエータユニット
200’アクチュエータユニット
210 第1のベース体
220 第2のベース体
300 パイプ管昇降ロボット
310 背骨部310
311 天板
312 底板
320 把持機構
330 アクチュエータ容器
340 グリップ部
400 壁面移動ロボット
410 背骨部
420 サンクション機構
430 吸盤部
431 吸盤
500 パイプ管内壁移動ロボット
510 背骨部
520 アクチュエータ
530 グリッッパー
600 ロボットアーム型ロボット
700 多体節ヘビ型ロボット
710 胴部
800 多足型ロボット
810 足
820 胴部
900 ユニバーサル型移動ロボット
910 足
911 先端部
920 胴部

Claims (17)

  1. シリンダ室内に液媒体が充填される第1のシリンダ体と、
    シリンダ室内に液媒体が充填される第2のシリンダ体と、
    一端が前記第1のシリンダ体のシリンダ室内に収まり、他端が前記第2のシリンダ体のシリンダ室内に収まり、前記一端から前記他端まで貫通して液媒体が充填される中空部を備えたピストン体と、
    前記第1のシリンダ体のシリンダ室と前記ピストン体の中空部と前記第2のシリンダ体のシリンダ室により形成される液媒体空間内に対して制御された液圧を供給する液圧供給機構とを備え、
    前記ピストン体の少なくとも一部の胴部分が可撓性あるチューブ体により形成されており、前記チューブ体が曲がることにより、前記ピストン体の全体形状が曲がり得るものである液圧駆動のアクチュエータ。
  2. 前記第1のシリンダと前記第2のシリンダ間に弾性体を備え、
    前記第1のシリンダと前記第2のシリンダの相対的移動が、前記液圧供給機構から前記液媒体空間へ供給される水圧によって拡がろうとする力と前記弾性体により縮まろうとする力がバランスする位置で停止することによって全体の長さの伸縮制御を可能とした請求項に記載の液圧駆動のアクチュエータ。
  3. 前記第1のシリンダにおいて前記第2のシリンダと対向し合う縁に第1の嵌合縁を備え、前記第2のシリンダにおいて前記第1のシリンダと対向し合う縁に第2の嵌合縁を備え、前記液圧供給機能による液圧が印加されていない状態において前記弾性体による弾性力により前記第1のシリンダ体と前記第2のシリンダ体が当接し、前記第1の嵌合縁と前記第2の嵌合縁が嵌合し合うものである請求項1または2に記載の液圧駆動のアクチュエータ。
  4. 前記第1のシリンダ体と前記第2のシリンダ体の最大間隔を制限する間隔リミッタ機構を備え、前記液圧供給機構から前記液媒体空間へ供給される液圧が印加されて前記第1のシリンダ体と前記ピストン体と前記第2のシリンダ体が相互に移動しても前記ピストン体の一端が前記第1のシリンダ体のシリンダ室内から抜け出ず、前記ピストン体の他端が前記第2のシリンダ体のシリンダ室内から抜け出ないように制限したことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の液圧駆動のアクチュエータ。
  5. 前記間隔リミッタ機構が、前記ピストン体の軸に対して平行に前記第1のシリンダ体と前記第2のシリンダ体の間を結ぶように設けられたワイヤーであり、前記ワイヤーが張りきることで前記第1のシリンダ体と前記第2のシリンダ体の相対的移動が制限されるものであることを特徴とする請求項に記載の液圧駆動のアクチュエータ。
  6. 前記間隔リミッタ機構が、前記ピストン体の軸に対して斜め方向に前記第1のシリンダ体と前記第2のシリンダ体の間を結ぶように設けられたワイヤーであり、前記ワイヤーが張りきることで前記第1のシリンダ体と前記第2のシリンダ体の相対的移動が制限されるものであることを特徴とする請求項に記載の液圧駆動のアクチュエータ。
  7. 前記第1のシリンダ体と前記第2のシリンダ体との間に前記ピストン体の外周を覆う1個又は複数個の外装筒体を備えたものである請求項1からのいずれか1項に記載の液圧駆動アクチュエータ。
  8. 前記第1のシリンダ体と前記外装筒体と前記第2のシリンダ体との間をそれぞれ蝶番構造で接続し、前記液圧供給機構から前記液媒体空間へ供給される液圧によって前記液媒体空間が膨張した場合に、前記蝶番構造において屈曲可能な方向への屈伸動作が可能である請求項に記載の液圧駆動のアクチュエータ。
  9. 前記アクチュエータを複数個並列に並べ、第1のベース体に各々の前記第1のシリンダ体を取り付け、第2のベース体に各々の前記第2のシリンダ体を取り付けたユニットに組み上げ、
    各々の前記液圧供給機構を介して各々の前記アクチュエータの長さの伸縮を独立制御することにより、前記ユニット全体の長さの伸縮制御と前記ユニット全体のあらゆる方向への曲がり制御とを可能とした、請求項2から8のいずれか1項に記載のアクチュエータを組み込んだ液圧駆動のアクチュエータユニット。
  10. 請求項1からのいずれか1項に記載のアクチュエータと、請求項に記載のアクチュエータユニットを構成要素に含む液圧駆動のロボット。
  11. 先端にグリッパーを設けた請求項1からのいずれか1項に記載のアクチュエータを対向させた把持機構を少なくとも2つ備え、前記把持機構同士の間を結ぶように請求項に記載のアクチュエータユニットを設けた連結機構を少なくとも1つ備え、少なくとも1つの前記把持機構により周囲の物体を把持して自重を支えつつ、前記連結機構が伸縮することにより他の少なくとも1つの把持機構を移動させて移動後の周囲の物体を把持することを繰り返すことにより物体の表面または内面を移動する液圧駆動のロボット。
  12. 先端にサンクション機構と連動した吸盤部を少なくとも2つ備え、前記吸盤部同士を結ぶように請求項に記載のアクチュエータユニットを設けた連結機構を少なくとも1つ備え、少なくとも1つの前記吸盤部により周囲の壁面に吸着して自重を支えつつ、前記連結機構が伸縮することにより他の少なくとも1つの吸盤部を移動させて移動後の周囲の壁面に吸着することを繰り返すことにより周囲の壁面を移動する液圧駆動のロボット。
  13. 先端にグリッパーを設けた請求項1からのいずれか1項に記載のアクチュエータを周囲に配した張り出し機構を少なくとも2つ備え、前記張り出し機構同士の間を結ぶように請求項に記載のアクチュエータユニットを設けた連結機構を少なくとも1つ備え、少なくとも1つの前記張り出し機構により周囲の壁面間または周囲の物体の内壁面に前記グリッパーを張り出して自重を支えつつ、前記連結機構が伸縮することにより他の少なくとも1つの張り出し機構を移動させて移動後の周囲の壁面間または周囲の物体の内壁面に前記グリッパーを張り出すことを繰り返すことにより周囲の壁面間または周囲の物体の内壁面を移動する液圧駆動のロボット。
  14. 請求項に記載のアクチュエータユニットを設けたアーム機構を少なくとも1つ備え、前記アーム機構の先端に請求項に記載のアクチュエータを設けたハンド機構を少なくとも1つ備えた液圧駆動のロボット。
  15. 少なくとも2つの胴部と、前記胴部同士の間を結ぶように請求項に記載のアクチュエータユニットを設けた連結機構を少なくとも1つ備えた液圧駆動のロボット。
  16. 少なくとも1つの胴部と、少なくとも2つの足部と、前記胴部と各々の前記足部との間を各々接続するように設けられた請求項に記載のアクチュエータユニットを備えた液圧駆動のロボット。
  17. 少なくとも1つの胴部と、前記胴部から水平に設けられた少なくとも左右一対の足部と、前記胴部と各々の前記足部との間を各々接続するように設けられた請求項に記載のアクチュエータユニットを備え、接地した足部の先端部を支点として前記アクチュエータユニットの旋回運動により前記胴部が作用点として前方に移動する第1の動作と、接地した前記胴部を支点として前記アクチュエータユニットの旋回運動により前記足部の先端部が作用点として前方に移動する第2の動作を繰り返すことにより移動する液圧駆動のロボット。
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