JP5248766B2 - 冷陰極蛍光ランプ用電極部材組 - Google Patents

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本発明は、一つの冷陰極蛍光ランプを製造する際に利用される、複数の電極部材からなる電極部材組、この組の製造方法、及びこの組を用いた冷陰極蛍光ランプの製造方法に関するものである。特に、ガラス管の封止部分からのガス漏れを防止することができる電極部材組に関するものである。
冷陰極蛍光ランプは、複写機やイメージスキャナなどの原稿照射用光源、パソコンの液晶モニタや液晶テレビなどの液晶表示装置(液晶ディスプレイ)のバックライト用光源といった種々の光源に利用されている。代表的には、内壁面に蛍光体層を有する円筒状のガラス管と、ガラス管の両端に配置される一対の電極とを具え、ガラス管内に希ガス及び水銀が封入される(例えば、特許文献1,2参照)。電極は、カップ状(有底筒状)が代表的であり、底端面にリード線が接合され、リード線を介して電圧が印加される。リード線は、例えば、ガラス管内に固定されるインナーリード線と、インナーリード線に接合され、ガラス管外に配置されるアウターリード線とを具える。インナーリード線の代表的な構成材料には、ガラスと熱膨張係数が近いコバール(Fe,Co,Niの合金)が挙げられる。
従来、特に、長寿命で高品質であることが要求される蛍光ランプには、インナーリード線の外周にガラスビーズを予め固定したものが利用される。このガラスビーズとガラス管とを溶融することで、インナーリード線とガラス管との密着性を高められ、品質の向上を図ることができる。また、ガラスビーズとインナーリード線との密着性を更に高めるために、ガラスビーズの固定前に、インナーリード線の外周に酸化膜を形成することが行われている(特許文献1参照)。
以下、リード線にガラスビーズを接合した部材を用いて冷陰極蛍光ランプの製造手順の一例を示す。
I. インナーリード線とアウターリード線とを接合し、リード線を製造する。
II. リード線に酸化膜を形成する。
III. 酸化膜を有するインナーリード線にガラスビーズを挿通配置する。
IV. インナーリード線の一端とカップ状電極の底端面とを接合する。
V. ガラスビーズを加熱して溶融し、インナーリード線の外周にガラスビーズを接合する。
上記I〜Vの工程により、電極とリード線とガラスビーズとからなる電極部材が得られる。このような電極部材を一対用意する。なお、上記工程順序に限らず、例えば、リード線に電極を接合した後、酸化膜を形成し、ガラスビーズを接合することでも、電極部材が得られる。
VI. 内壁面に蛍光体層を有する円筒状のガラス管を用意し、一方の開口部に一方の電極部材を挿通して管内に電極を配置し、開口部近傍にガラスビーズを配置する。そして、ガラスビーズ、及びガラス管におけるガラスビーズとの接触箇所を加熱してガラスを溶融し、この開口部を封止すると共に、リード線を固定する。上記加熱は、通常、ガラス管内が大気である状態で行う。
VII. ガラス管の他方の開口部から真空引きを行った後、管内のガスを所定のガス(例えば、水銀や希ガス)に置換する。
VIII. 他方の開口部に他方の電極部材を挿通して管内に電極を配置し、開口部近傍にガラスビーズを配置する。そして、ガラスビーズ、及びガラス管におけるガラスビーズとの接触箇所を加熱してガラスを溶融し、ガラス管を封止すると共に、リード線を固定する。上記加熱は、通常、ガラス管内が真空である状態で行う。
上記工程により、冷陰極蛍光ランプが得られる。
特開平11-238489号公報 特開2003-229060号公報
従来の冷陰極蛍光ランプは、ガラス管の封止部分から管内のガスが漏洩する恐れがある。
特許文献1には、リード線に酸化膜を形成することで、リード線とガラスビーズとの密着性を高め、ガスの漏洩を防止できることが記載されている。しかし、本発明者らが検討した結果、酸化膜を形成していても、後述するようにガスが漏洩することがあるとの知見を得た。ガスが漏洩すると、例えば、発光に必要な紫外線が十分に放射されなくなり、蛍光ランプの寿命が短くなる。
そこで、本発明の主目的は、冷陰極蛍光ランプのガラス管の封止部分からガス漏れを防止することができる電極部材組を提供することにある。また、本発明の他の目的は、この電極部材組に適した製造方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、この電極部材組を用いた冷陰極蛍光ランプの製造方法を提供することにある。
一つの冷陰極蛍光ランプを形成する場合、一つのガラス管に複数の電極部材を用いる。同一のガラス管に固定する各電極部材は、通常、リード線に形成した酸化膜の厚さが等しい。しかし、これら電極部材は、ガラス管に固定するときの条件が異なることがある。具体的には、複数の電極部材のうち、少なくとも一つの電極部材(通常、一つの電極部材)は、ガラス管内が真空である状態で固定するのに対し、残りの電極部材は、管内が大気である状態で固定することがある。
ガラス管内外が大気である状態でガラス管に電極部材を固定する場合、ガラス管やガラスビーズが変形し難く、加熱時間が比較的長い。一方、内部が真空であるガラス管に電極部材を固定する場合、管内の圧力は、大気状態である管外よりも低いことから、ガラス管の端部が管の内側に引き込まれるように変形し易いため、リード線を固定し易く、大気中で固定する場合と比較して、加熱時間が短い。このように固定時の条件が異なることで、全ての電極部材の酸化膜を同じ厚さにすると、少なくとも一つの封止部分からガスが漏洩する恐れがある。
例えば、全ての電極部材の酸化膜を比較的厚く形成した場合を考える。このとき、内部が大気であるガラス管に固定する電極部材(以下、電極部材aとする)の酸化膜は、十分に加熱されることで、膜中の空隙(ポア)が非常に低減される。ここで、酸化膜は、膜形成後において空隙が多い状態であるが、ガラスビーズを接合する際の加熱やガラス管を封止する際の加熱により形態が変化して空隙が低減される。しかし、内部が真空のガラス管に固定する電極部材(以下、電極部材bとする)の酸化膜は、加熱時間が短いため、ガラス管封止時の加熱による膜の変化が少なく、空隙が多数残る。従って、ガラス管においてこの電極部材bで封止された側は、上記多数の空隙を伝ってガスが漏洩する恐れがある。また、この側は、比較的厚い酸化膜が存在することで酸化膜自体が剥離して、リード線とガラスとの間に隙間が生じる恐れがある。
逆に、全ての電極部材の酸化膜を比較的薄く形成した場合を考える。このとき、電極部材a,bの双方とも、ガラスビーズの接合時の加熱やガラス管封止時の加熱により、酸化膜中の空隙が低減される。しかし、電極部材aは、封止時の加熱時間が長いことで、ガラスと反応して酸化膜が消失し、リード線の構成材料がガラス側に拡散して、リード線におけるガラス部分近傍に空隙が生じる恐れがある。そのため、ガラス管において電極部材aで封止された側は、生じた空隙を伝ってガスが漏洩する恐れがある。
上述のように全ての電極部材に対して、酸化膜の厚さを等しくすると、ガラス管のいずれかの封止部分からガスが漏洩する恐れがある。そこで、本発明は、内部が大気であるガラス管に固定される電極部材と内部が真空であるガラス管に固定される電極部材とで、酸化膜の厚さを変える。具体的には、本発明冷陰極蛍光ランプ用電極部材組は、電極部と、リード部とを有する電極部材を複数具える。リード部は、電極部の端部に接続され、その表面の少なくとも一部に酸化膜を有する。そして、この電極部材組は、複数の電極部材のうち、いずれか一の電極部材の酸化膜が他の一の電極部材の酸化膜よりも薄いことを最大の特徴とする。
本発明電極部材組に属する電極部材のうち、酸化膜が厚い電極部材は、内部が大気であるガラス管に固定する側に配置し、酸化膜が薄い電極部材は、内部が真空であるガラス管に固定する側に配置する。このように本発明電極部材組に属する電極部材をガラス管に固定する際に使い分けることで、リード部からガラス管までの構成部材を十分に密着させて、ガラス管の封止部分近傍に空隙が存在することを低減し、ガラス管の封止部分から管内のガスが漏洩することを効果的に防止する。従って、本発明電極部材組を用いた蛍光ランプは、ガラス管内に十分なガス(特に、水銀)が存在するため、寿命が長くなる。また、このランプは、十分なガス(同)が存在するため、高輝度を維持でき、輝度の低下により寿命が短くなることも抑制される。
本発明電極部材組は、以下の本発明製造方法により製造することができる。本発明冷陰極蛍光ランプ用電極部材組の製造方法は、電極部の端部にリード部を有する電極部材を複数製造する方法であり、以下の酸化工程を具える。
[酸化工程] リード部の外周を酸化性雰囲気中でバーナーを用いて加熱し、リード部の表面に酸化膜を形成する。
但し、複数の電極部材のうち、いずれか一の電極部材の酸化膜は、以下の厚膜条件で形成し、他の一の電極部材の酸化膜は、以下の薄膜条件で形成する。
<厚膜条件> 加熱温度:900〜1200℃、加熱時間:10〜12秒
<薄膜条件> 加熱温度:900〜1200℃、加熱時間:3〜5秒
上記本発明製造方法によれば、主としてリード部の加熱時間を調整することで、酸化膜の厚さが異なる電極部材を容易に形成することができ、本発明電極部材組を簡単に製造できる。以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明電極部材組は、冷陰極蛍光ランプの構成材料に利用される複数の電極部材の集まりである。各電極部材は、放電に利用される電極部と、電極部に電力を供給するリード部とを具える。特に、長寿命で高品質であることが要求される冷陰極蛍光ランプに用いられる電極部材は、上記電極部、リード部に加えて、電極部を蛍光ランプのガラス管に固定する際に接着剤として機能すると共に、ガラス管の封止部材となるガラス部を具えることが好ましい。
リード部は、例えば、インナーリード部とアウターリード部とを具えるものが利用できる。インナーリード部は、一端に電極部が接続されると共に、ガラス管の内部に固定される部分であり、アウターリード部は、インナーリード部に接合されて、ガラス管の外部に露出される部分である。インナーリード部とアウターリード部とは、溶接などにより接合する。接合部分に溶接コブを設けた場合、溶接コブを後述するガラスビーズのあたり止めとして利用することで、ガラス部の位置ずれを防止できる。
アウターリード部は、例えば、ニッケル(Ni)からなる線材、MnNiといったニッケル合金からなる線材、ジュメットからなる線材などが利用できる。これらの線材は、ニッケルメッキ層などのメッキ層を具えていてもよい。
インナーリード部は、外周にガラス管やガラスビーズからなるガラス部といったガラスが接合されるため、熱膨張係数がガラスに近い材料からなる線材が好適に利用できる。また、インナーリード部は、導電性に優れる材料からなる線材が好適に利用できる。このような特性を満たす線材としては、例えば、Feを含む金属、特に、コバールと呼ばれるFeにCo,Niを配合した合金(その他Si,Mnなどを含む)からなる線材、銅(Cu)からなる芯材と、その外周に設けられるコバール層とを有する線材などが挙げられる。インナーリード部の表面の少なくとも一部には、予め酸化膜を形成する。より具体的には、インナーリード部の表面においてガラス管又はガラス部で覆われる箇所に酸化膜を形成する。そのため、本発明電極部材組に属する各電極部材がリード部の外周に接合されるガラス部を有する場合、各電極部材は、ガラス部とインナーリード部との境界近傍に酸化膜が存在する。
特に、本発明電極部材組は、酸化膜が厚い電極部材と薄い電極部材とを有する。酸化膜の厚さは、代表的には、リード部の加熱時間を調整することで変化させることができ、厚膜の場合は、加熱時間を長めに、薄膜の場合は、加熱時間を短めにする。電極部材に有する酸化膜の具体的な厚さは、ガラス部の有無に係わらず、厚膜の場合、5μm以上10μm以下、薄膜の場合、1μm以上5μm未満が好ましい。但し、ガラス部を有する電極部材とする場合、リード部に形成した酸化膜は、ガラス部接合時の加熱により、酸化膜を構成する元素がガラス側に拡散して厚さが薄くなる。従って、ガラス部を形成した後の電極部材の酸化膜の厚さが上記範囲となるように、ガラス部を形成する前のリード部に形成する酸化膜は、上記範囲よりも厚く形成する。具体的には、厚膜の場合、12〜20μm程度、薄膜の場合、6〜12μm程度が好ましい。ガラス部形成前の酸化膜の厚さは、適宜調整するとよく、ガラス部形成後の酸化膜の厚さが上記範囲を満たせばよい。
電極部材に有する厚膜の酸化膜が5μm未満である、及び薄膜の酸化膜が1μm未満であると、ガラス管に固定する際の加熱により、酸化膜の厚さが薄くなり易く、酸化膜が消失する恐れがある。厚膜の酸化膜が10μm超である、及び薄膜の酸化膜が5μm以上であると、ガラス管に固定するための加熱を行っても膜中に多数の空隙が残存する恐れがある。より好ましい酸化膜の厚さは、厚膜:6μm以上9μm以下、薄膜:1μm以上4μm以下である。酸化膜の厚さは、リード部の大きさ(直径)やガラス管の大きさ(内径)に応じて調整することができる。リード部の直径が0.4〜1.2mm程度の場合、酸化膜の厚さは上記範囲が好ましい。リード部の直径がより大きい場合は、酸化膜の厚さを上記範囲よりも大きくすることができる。
酸化膜の形成にあたりリード部の加熱は、バーナーや電気炉が利用できる。特に、バーナーは、燃焼用ガスの調整が容易であり、燃焼用ガスを適切に調整することで、所望の厚さの酸化膜を安定して形成することができる。バーナーを利用する場合、加熱温度:900〜1200℃、加熱時間:3〜12秒から選択する。具体的には、厚膜の酸化膜を形成するための条件(厚膜条件)は、加熱温度:900〜1200℃、加熱時間:10〜12秒、薄膜の酸化膜を形成するための条件(薄膜条件)は、加熱温度:900〜1200℃、加熱時間:3〜5秒が挙げられる。より好ましい加熱温度は、いずれも950〜1150℃である。このような条件により、厚膜条件では、12〜20μm程度の厚さの酸化膜が形成でき、薄膜条件では、6〜12μm程度の厚さの酸化膜を形成できる。厚膜条件及び薄膜条件は、いずれも酸化性雰囲気とする。酸化性雰囲気は、酸素を含んでいればよく、例えば、大気雰囲気が挙げられる。一方、電気炉を利用する場合の厚膜条件は、加熱温度:750〜1000℃、加熱時間:2〜8分、薄膜条件は、650〜800℃、加熱時間:2〜8分が挙げられる。この電気炉を利用する際の条件において、厚膜と薄膜とを同じ加熱温度で形成する場合、厚膜形成の際の加熱時間を薄膜形成の際の加熱時間よりも長くし、厚膜と薄膜とを同じ加熱時間で形成する場合、厚膜形成の際の加熱温度を薄膜形成の際の加熱温度よりも高くする。なお、バーナー及び電気炉のいずれを用いる場合も加熱時間を上記範囲よりも短くすることで、酸化膜をより薄くすることができる。
酸化膜は、リード部の構成元素が酸化してできた酸化物で構成される。インナーリード部の少なくとも表面側が鉄含有金属、例えば、コバールから構成される場合、酸化膜は、実質的に酸化鉄で構成され、上述した厚膜条件や薄膜条件で形成すると、三酸化二鉄(Fe2O3)と四酸化三鉄(Fe3O4)とで構成される。酸化膜を形成する際の加熱温度が高いほど、Fe2O3の割合が高くなる傾向にある。
更に、Fe2O3及びFe3O4に加えて、一酸化鉄(FeO)を含有する酸化膜は、ガラスとの密着性が高くなり易い。FeOの含有量が多いほど密着性が高くなり易く、具体的な含有量は、ガラス部の有無に係わらず、電極部材に有する酸化膜全体を100%とするとき、体積比で1%以上、特に10%以上が好ましい。但し、リード部に形成した酸化膜は、ガラス部を接合する際の加熱やガラス管に固定する際の加熱により、構成する化合物の割合が変化する。具体的には、FeOの含有量は、上記加熱により低減する傾向にある。そこで、ガラス部を有する電極部材とする場合、ガラス部を形成した後の電極部材において酸化膜中のFeOの含有量が体積比で1%以上となるように、ガラス部を形成する前のリード部において酸化膜中のFeOの含有量が体積比で1%超となるようにリード部に酸化膜を形成する。具体的には、リード部に具える酸化膜中のFeOの含有量が体積比で10%以上、好ましくは50%以上となるように酸化膜を形成する。酸化膜中のFeOの有無や膜全体の酸化物種の体積比率は、例えば、XRDで測定することができる。
Fe2O3及びFe3O4に加えてFeOを含有した酸化膜を作製するには、例えば、膜形成時の加熱を二段階に分けて行うことが挙げられる。具体的には、一段階目の加熱は、酸化性雰囲気で上述したようにバーナーや電気炉を用いて行い、Fe2O3やFe3O4を形成し、二段階目の加熱は、非酸化性雰囲気で行い、FeOを生成する。酸化性雰囲気の加熱では、酸素(O)とインナーリード部の構成材料中の鉄(Fe)とが結合し、Fe2O3やFe3O4といった酸素の結合量が多い酸化鉄が生成され、FeOが生成されない。一方、酸素が実質的に存在しない雰囲気で加熱すると、酸化膜の厚さが実質的に増加せず、一段階目の加熱により形成された酸化膜中にリード部の構成元素であるFeが拡散される。この拡散により酸化膜中のFeの原子比率が高められて、膜中にFeOを生成することができる。
非酸化性雰囲気は、酸素を実質的に含んでいなければよく、窒素(N2)やアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガスからなる不活性雰囲気が挙げられる。上記不活性ガスに水素などの還元性ガスを含有する還元性雰囲気としてもよい。この加熱は、非酸化性雰囲気で加熱を行うため、電気炉を用いることが好ましい。また、この加熱は、酸化膜を構成する化合物を変化させるのに必要なだけ行うとよく、具体的な加熱条件は、加熱温度:900〜1100℃、加熱時間:3〜5分が挙げられる。なお、上述したようにこの加熱は、酸化膜の厚さがほとんど変化しないため、一段階目の加熱で所望の厚さの酸化膜を形成しておく。
電極部の形成材料は、例えば、ニッケル(純Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などが利用できる。純Niは、加工性や経済性に優れる。WやMoは、純Niと比較して非常に高融点であり、電極部の消費や輝度の低下を低減できる。その他、形成材料は、純Niに添加元素を添加してなるNi合金が利用できる。具体的には、Ti,Hf,Zr,V,Fe,Nb,Mo,Mn,W,Sr,Ba,B,Th,Be,Si,Al,Y及び希土類元素(Yを除く)から選ばれる1種以上の元素を合計で0.001質量%以上5.0質量%以下含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi合金が挙げられる。特に、Be,Si,Al,Y及び希土類元素(Yを除く)から選択される1種以上の元素を合計で0.001質量%以上3.0質量%以下含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなるNi合金としてもよい。このようなNi合金は、1.純Niよりも仕事関数が小さいため放電し易い、2.スパッタリングし難い(スパッタリング速度又はエッチングレートが小さい)、3.アマルガムを形成し難い、4.酸化膜を形成し難いため、放電が阻害され難い、といった様々な利点を有する。特に、Yを含有するNi合金は、耐スパッタリング性を高められる。
電極部の代表的な形状は、カップ状(有底筒状)が挙げられる。カップ状の電極部は、板状材をプレス加工することで容易に形成できる。カップ状の電極部は、ホローカソード効果により、スパッタリングを抑制できる。
ガラス部を具える電極部材とする場合、ガラス部は、筒状のガラスビーズを上記酸化膜が形成されたリード部(インナーリード部)の外周に挿通配置して加熱し、変形することで形成する。また、この加熱により、インナーリード部の外周にガラス部を接合する。ガラスビーズは、例えば、ホウケイ酸ガラスやアルミノシリケートガラスからなるものなどが利用できる。
ガラス部の形成のための加熱により、リード部も加熱されて、リード部や酸化膜を構成する元素がガラス側に拡散して、ガラス部の成分とリード部の成分とが混合したイオン拡散層がガラス部、特に、ガラス部において酸化膜と接する側に生成される。イオン拡散層は、ガラス部の他の部分と熱膨張係数が異なるため、厚過ぎるとガラス部やガラス管(封止部分近傍)の割れの原因となる。また、ガラス管の封止のための加熱によっても、イオン拡散層が生成される、或いは厚くなる。従って、電極部材のイオン拡散層は、できるだけ薄いことが好ましく、厚さが15μm以下、特に、12μm以下が好ましい。
ガラス部の形成は、バーナーや電気炉を利用して行うとよい。例えば、還元性雰囲気中でガラスビーズを加熱して、変形及び接合すると同時に、リード部においてガラス部で覆われない箇所(露出箇所)の酸化膜を還元する方法が利用できる。ここで、リード部とガラス部との接合強度を高めるためには、加熱温度を高温とする、或いは加熱時間を長くして、ガラス部を十分に溶融して酸化膜に対する濡れ性を高めることが効果的である。しかし、加熱温度が高い、或いは加熱時間が長いと、ガラスビーズがリード部の酸化膜に沿って伸びるように変形し、所望の形状となり難い。一方、加熱温度を低くする、或いは加熱時間を短くすると、ガラスビーズを所望の形状に変形し易いものの十分に接合できない。そこで、一度の加熱で変形と接合とを行うのではなく、後述するように二段階の加熱とすることで、ガラスビーズを所望の形状に変形できると共に、ガラスビーズとリード部とを十分に接合でき、かつイオン拡散層の厚膜化を防止できて好ましい。
具体的には、以下の変形工程と接合工程とを具えるガラス溶融工程を行うことが好適である。
[ガラス溶融工程] 酸化膜が形成されたリード部の外周にガラスビーズを配置し、ガラスビーズを加熱して変形することでガラス部を形成すると共に、ガラス部をリード部に接合する。
[変形工程] 非酸化性雰囲気中で、加熱温度:700〜800℃、加熱時間:3〜5分
[接合工程] 還元性雰囲気中で、加熱温度:900〜1100℃、加熱時間:3〜5分
変形工程は、主としてガラスビーズの変形を行うための加熱工程である。非酸化性雰囲気は、例えば、窒素やアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスからなる不活性雰囲気が挙げられる。非酸化性雰囲気とすることから、この加熱は、電気炉を用いて行うことが好ましい。また、電気炉は、一度に多くのガラスビーズを変形させることができ、量産性に優れる。より好ましい条件は、加熱温度:750〜800℃、加熱時間:3.5〜4分である。変形工程は、比較的低温としているため、イオン拡散層がほとんど形成されない。
接合工程は、主として変形したガラスビーズとリード部とを接合するための加熱工程である。還元性雰囲気は、例えば、窒素やアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスに水素といった還元性ガスを含有した雰囲気が挙げられる。加熱は、電気炉を用いると、上記変形工程に連続して行える。より好ましい条件は、加熱温度:950〜1000℃、加熱時間:3.5〜4分である。また、接合工程は、還元性雰囲気であるため、バーナーを用いて加熱することができる。この場合、加熱温度:1000〜1200℃、加熱時間:5〜10秒が好ましい。
接合工程では、イオン拡散層が形成されるものの、上記条件とすることでイオン拡散層の厚さを15μm以下とすることができる。また、このときの加熱により、酸化膜中に存在する空隙を低減することができる。特に、酸化膜が薄い電極部材は、膜中の空隙が非常に低減され、ガラス管を封止した後、膜中の空隙により管内のガスが漏洩することを防止できる。一方、酸化膜が厚い電極部材は、接合工程後も膜中の空隙が比較的多く存在するが、ガラス管を封止するときの加熱により、上記空隙が低減される。従って、本発明電極部材組を用いた蛍光ランプは、いずれの封止部分においても、管内のガスの漏洩を防止できる。更に、この加熱により、リード部においてガラス部で覆われない箇所の酸化膜を還元して除去することができる。
その他、イオン拡散層の厚膜化を抑制するためには、電極部材の酸化膜の厚さを調整することが効果的である。リード部に形成された酸化膜が薄過ぎると、リード部の構成元素がガラス側に拡散し易く、イオン拡散層が厚くなり易い。そのため、電極部材の酸化膜の厚さは、1μm以上とする。
上述したリード部、電極部、任意でガラス部を有する複数の電極部材を集めた本発明電極部材組は、冷陰極蛍光ランプの構成部材に好適に利用することができる。具体的には、以下のようにして冷陰極蛍光ランプを製造する。
(1) 複数の開口部を有するガラス管を準備する。このガラス管の内壁面には、蛍光体層を設けておく。
(2) ガラス管の少なくとも一つの開口部を除く各開口部に酸化膜が厚い電極部材を挿入し、開口部近傍にリード部(ガラス部)を配置し、ガラス管においてリード部との接触箇所(電極部材がガラス部を有する場合、ガラス管においてガラス部との接触箇所及びガラス部)を加熱してガラスを溶融し、各開口部を封止すると共に、電極部材を固定する。開口部の封止作業は、大気中で行う。また、このときの加熱は、ガラス管内が大気である状態で行う。
(3) 残りの未封止の開口部から真空引きし、この開口部に、酸化膜が薄い電極部材を挿入し、開口部近傍にリード部(ガラス部)を配置し、ガラス管においてリード部との接触箇所(電極部材がガラス部を有する場合、ガラス管においてガラス部との接触箇所及びガラス部)を加熱してガラスを溶融し、ガラス管を封止すると共に、電極部材を固定する。このときの加熱は、ガラス管内が真空である状態で行う。
ガラス管は、I字状のものが代表的であり、その他、L字状やT字状などがある。I字状のガラス管は、各端部にそれぞれ一つの開口部を有するものが代表的である。開口部を二つ有するガラス管を用いて蛍光ランプを形成する場合、酸化膜が厚い電極部材と酸化膜が薄い電極部材との合計二つの電極部材を具える電極部材組を用いる。L字状のガラス管は、長辺の端部及び短辺の端部にそれぞれ一つの開口部を有するものや、長辺と短辺とがつくる角部に更に開口部を一つ有し、合計三つの開口部を有するものがある。T字状のガラス管は、三つの端部にそれぞれ一つずつ開口部を有する。開口部を三つ有するガラス管は、酸化膜が厚い電極部材を二つと酸化膜が薄い電極部材を一つとの合計三つの電極部材を具える電極部材組を用いる。
ガラス管に有する複数の開口部のうち、例えば、最後に封止する開口部を除く全ての開口部は、酸化膜が厚い電極部材を配置して、ガラス管内が大気である状態で加熱し封止する。この加熱は、加熱時間が比較的長いため、上述のように酸化膜中に存在する空隙が低減されると共に、酸化膜がガラスと反応して薄くなる。具体的には、2〜6μm程度になる。また、このときの加熱によりイオン拡散層は、若干厚くなる傾向にあるが、電極部材のときのイオン拡散層の厚さを15μm以下とすることで、封止後でも、ガラス管に割れなどが生じ難い。一方、最後の一つの開口部は、酸化膜が薄い電極部材を配置して、ガラス管内が真空である状態で加熱し封止する。この加熱は、加熱時間が短いため、酸化膜は、ガラスとほとんど反応せず、電極部材のときの厚さと概ね同じであり、1〜4μm程度である。イオン拡散層についても同様である。従って、得られた冷陰極蛍光ランプは、ガラス管のいずれの封止部分からも管内のガスが漏洩しにくく、長寿命、高輝度が期待できる。また、このランプは、イオン拡散層が薄いことで、封止部分近傍で割れなども生じ難い。ガラス管内が真空状態のときに封止する開口部は、複数でもよく、各開口部には、酸化膜が薄い電極部材を配置する。
なお、本発明電極部材組に属する各電極部材は、酸化膜の厚さが異なる。しかし、ガラス管に封止する際の加熱条件が異なることで、ガラス管に封止後の酸化膜の厚さは、ガラス管内が大気のときに固定した側が若干厚いか、概ね等しくなる。
本発明冷陰極蛍光ランプ用電極部材組は、ガラス管の封止部分からのガス漏れを防止することができ、ランプの長寿命化に寄与することが期待できる。
(実施例1)
酸化膜が厚い電極部材Aと、酸化膜が薄い電極部材Bとを作製し、各電極部材について酸化膜の状態、イオン拡散層の状態を調べた。
[電極部材の構成]
図1は、電極部材の概略構成を示す部分断面図である。作製した電極部材は、いずれも図1に示す電極部材10と同様の構成である。電極部材10は、カップ状の電極部11と、電極部11の底端面に接合されるリード部12と、リード部12の外周に接合されるガラス部13とを具える。リード部12は、冷陰極蛍光ランプのガラス管に固定されるインナーリード部12iと、管の外部に露出して配されるアウターリード部12oとからなる。インナーリード部12iは、その表面においてガラス部13で覆われる箇所に酸化膜12sを具える。このような電極部材は、以下のように作製した。
[電極部材の製造手順]
1.電極部及びリード部の形成
電極部11は、ニッケル板をプレス加工によりカップ状に形成した。リード部12は、コバール(Ni:28〜30質量%、Co:16〜18質量%、残部Fe)からなる線材(直径φ0.8mm)の一端面と、ニッケル合金(MnNi)からなる線材の一端面とを溶接して形成した。コバール線材部分がインナーリード部12iであり、ニッケル合金線材部分がアウターリード部12oである。両線材の接合部分には、溶接コブ(図示せず)を形成した。得られたリード部12にバレル研磨、化学研磨などの表面処理を行った。
2.酸化膜の形成
インナーリード部12iの外周(溶接コブよりもインナーリード部側の外周)を大気中でバーナーにより加熱し、インナーリード部12iの表面に酸化膜12sを形成した。電極部材Aに利用するリード部LAは、950℃で12秒加熱した後、大気中で冷却し、電極部材Bに利用するリード部LBは、950℃で5秒加熱した後、大気中で冷却した。
《リード部の酸化膜》
冷却後、リード部LA,LBに形成した酸化膜の厚さを調べた。図2は、リード部の表面近傍を示す顕微鏡写真(明視野)であり、(I)がリード部LA、(II)がリード部LBを示す。図2の写真において上側の黒色部分は背景、下側の灰色部分はリード部、黒色部分と灰色部分とで挟まれる濃い灰色部分が酸化膜である。濃い灰色中に存在する黒色部分は、空隙である。
酸化膜は、円柱状のリード部の外周に沿って円弧状に形成されている。各写真の左側に付した平行な二線は、写真中心部の酸化膜の接線であり、矢印で挟まれる距離が酸化膜の厚さを示す。この点は、図3,4についても同様である。
リード部に形成された酸化膜の厚さは、リード部LAが15.3μm、リード部LBが6.9μmであった。また、各酸化膜は、図2に示すように空隙を多数有していた。
リード部に形成した酸化膜を構成する化合物の割合(体積比率)を調べた。測定は、XRDで行った。その結果、リード部LAは、体積比でFe3O4:64%、Fe2O3:36%、リード部LBは、Fe3O4:87%、Fe2O3:13%であり、双方ともFeOが検出されなかった。
次に、上記酸化膜を形成したインナーリード部12iの外周にガラスビーズを挿通する。ガラスビーズは、SiO2を主成分とし、Na2Oなどを含むホウケイ酸ガラス(BFK)からなる中空の円筒状体であり、端面に貫通孔を有する。貫通孔は、インナーリード部12iの外径よりも若干大きい。そのため、インナーリード部12iにガラスビーズを挿通した際、ガラスビーズの内周面とインナーリード部12iの外周面との間に隙間が生じる。ガラスビーズは、インナーリード部12iに挿通した際、溶接コブにより、インナーリード部12iの長手方向の所定位置に容易に位置決めされる。
3.電極部の接合
インナーリード部12iの他端面(溶接コブが無い側の面)に、カップ状の電極部11の底端面をレーザー溶接で接合した。ガラスビーズの溶融前(ガラス部形成前)に電極部11をリード部12に接合することで、電極部を接合するときの加熱により、インナーリード部12iが加熱されて、酸化膜の構成元素がガラス側に拡散することを抑制できる。電極部の接合は、後述するガラスビーズの溶融後に行うこともできる。
4.ガラス部の形成
(1) 変形工程
電極部11を接合し、ガラスビーズを配置したリード部12を電気炉に配置し、窒素雰囲気中で加熱温度:800℃、加熱時間:4分で加熱して、ガラスビーズを変形させると共に、酸化膜に付着させた。具体的には、ガラスビーズは、加熱により角部が丸まると共に、収縮するように変形し、貫通孔の内周面が酸化膜に付着する。この変形により、ガラスビーズからガラス部13を形成する。
(2) 接合工程
電気炉中に水素ガスを混入して、(窒素+水素)雰囲気とし(水素割合:16体積%)、この還元性雰囲気中で加熱温度:980℃、加熱時間:4分で加熱して、ガラス部13と酸化膜12sとを密着させる。つまり、酸化膜12sの一部をガラス部13に拡散させる。また、この加熱により、インナーリード部12iにおいて、ガラス部13で覆われず、露出した部分の酸化膜を還元して除去する。
[電極部材の酸化膜]
上記1〜4の工程により、ガラス部を有し、酸化膜が厚い電極部材Aと、酸化膜が薄い電極部材Bとが得られた。得られた各電極部材A,Bについて、酸化膜の厚さを調べた。図3は、リード部とガラス部との境界近傍を示す顕微鏡写真(明視野)であり、(I)が電極部材A、(II)が電極部材Bを示す。図3の写真において上側の黒色部分はイオン拡散層及びガラス部、下側の灰色部分はリード部、黒色部分と灰色部分とで挟まれる濃い灰色部分が酸化膜である。
酸化膜の厚さは、電極部材Aが6.3μm、電極部材Bが3.0μmであり、いずれも形成した直後の酸化膜よりも薄くなっていた。また、各酸化膜は、図3に示すように空隙が低減されていた。
[電極部材の酸化膜近傍の元素]
得られた両電極部材A,Bの酸化膜近傍において、元素の含有状態をEPMA(Electron
Probe Micro-Analysis)を用いて調べた。その結果、電極部材A,Bのいずれも、ガラス部に由来すると考えられるSiの濃度がリード部側に向かって徐々に低下し、リード部に由来すると考えられる金属を含有する領域、即ち、リード部を構成していた金属イオンがガラス部に拡散(侵入)している領域を有していた。この領域はイオン拡散層と考えられる。また、電極部材A,Bのいずれも、ガラス部に由来すると考えられるSi、酸化膜やガラス部に由来すると考えられるO、リード部に由来すると考えられる金属の濃度が激しく変化している領域を有していた。この領域は、酸化物とガラスとが混ざった層、つまり、酸化膜と考えられる。また、電極部材Aは、ガラス部に由来すると考えられるSiが無いものの、Oが存在し、Oがリード部側に向かって減少している領域を有していた。この領域も酸化膜と考えられ、酸化膜のうち、ガラスと反応していない部分であると考えられる。従って、酸化膜が厚い電極部材Aは、リード部に形成した酸化膜のうち、一部はガラスと反応し、残りはガラスと未反応であると考えられる。一方、酸化膜が薄い電極部材Bは、リード部に形成した酸化膜のほぼ全てがガラスと反応したと考えられる。なお、電極部材Aと同様の条件で複数の電極部材を作製し、各電極部材の酸化膜近傍において、同様にして元素の含有状態を調べたところ、ガラス部に由来すると考えられるSiが無く、Oがリード部側に向かって減少している領域を有していないものも存在していた。
[電極部材のイオン拡散層]
得られた各電極部材A,Bについて、イオン拡散層の厚さを調べた。図4は、リード部とガラス部との境界近傍を示す顕微鏡写真(暗視野)であり、(I)が電極部材A、(II)が電極部材Bを示す。図4の写真において上側の薄い灰色部分はガラス部、下側の黒色部分はリード部、薄い灰色部分と黒色部分とで挟まれる濃い灰色部分がイオン拡散層である。
イオン拡散層の厚さは、電極部材Aが10.9μm、電極部材Bが8.8μmであり、いずれの電極部材とも15μm以下であった。
[冷陰極蛍光ランプの作製]
得られた電極部材A,Bを用いて、冷陰極蛍光ランプを作製し、後述する寿命試験を行った。冷陰極蛍光ランプは、以下のように作製した。開口部を二つ有するI字状のガラス管を用意する。ガラス管には、内壁面に蛍光体層としてハロリン酸塩蛍光体層を予め形成する。このガラス管の一端側の開口部に、酸化膜が厚い電極部材Aを挿入し、開口部近傍にガラス部が位置するように配置する。この状態(ガラス管内:大気)で、ガラス部及びガラス管においてガラス部との接触箇所を加熱して、ガラス部とガラス管の一端側とを溶融して、開口部を封止すると共に、リード部を固定する。この加熱により、酸化膜は、ガラスと未反応だった部分もガラスと反応し、厚さが4μm程度に薄くなる。また、酸化膜中の空隙が低減される。一方、イオン拡散層は、若干厚さが増すものの11μm程度であった。
次に、ガラス管の他端側の開口部から真空引きを行ってから、水銀とアルゴンとの混合ガスを管内に導入した後、同開口部に酸化膜が薄い電極部材Bを挿入して、上述した電極部材Aと同様に開口部にガラス部が位置するように配置する。この状態(ガラス管内:真空)でガラス部及びガラス管においてガラス部との接触箇所を加熱して、ガラス管の封止及びリード部の固定を行う。この加熱は短時間であるため、酸化膜及びイオン拡散層は、概ね厚さが変わらない。このようにガラス管の各端部に電極部材A,Bを配置した蛍光ランプを実施例ランプとする。また、ガラス管の両端部共に電極部材Aを配置した蛍光ランプを比較例ランプA、両端部共に電極部材Bを配置した蛍光ランプを比較例ランプBとする。
[耐久試験]
得られた実施例ランプ、比較例ランプA,Bについて、耐久試験を行った。冷陰極蛍光ランプの輝度は、点灯開始(初期)から1000時間(初期1000時間)で大きく劣化し、その後の劣化は小さい。そこで、初期の輝度の値を100%とし、1000時間後の輝度が初期の輝度の80%以上であれば、耐久性有りと評価する。その結果、実施例ランプは、95%であり、耐久性に問題ないことが分かった。一方、比較例ランプAは、70%、比較例ランプBは、78%であった。また、比較例ランプA,Bはいずれも、点灯中、ガス漏れが検出されたのに対し、実施例ランプは、ガス漏れが無かった。このことから、実施例ランプが耐久性有りとなったのは、リード線からガラス管までの間の構成部材同士が十分に密着して、ガラス管内のガスが十分に存在したことが一因であると考えられる。また、耐久性に優れることから、実施例ランプは、長寿命であると考えられる。
(実施例2)
酸化膜の形成条件を変えて電極部材Cを作製し、接合強度を調べた。電極部材Cは、利用するリード部LCに対して、以下のように二段階の加熱を行って、酸化膜を形成した(リード部LCの直径:φ0.8mm)。
(1) 第一加熱:電気炉を用いて大気雰囲気で、加熱温度:800℃、加熱時間:4分で加熱した。
(2) 第二加熱:引き続いて電気炉を用いて窒素雰囲気で、加熱温度:980℃、加熱時間:4分で加熱した後、冷却した。
酸化膜を形成後、顕微鏡写真を利用して、リード部LCの酸化膜の厚さを調べたところ、3.7μmであった。また、この酸化膜は、空隙を多数有していた。更に、リード部LCの酸化膜を構成する化合物をXRDにより測定したところ、FeOが検出され、体積比で90%がFeOであり、残りがFe3O4及びFe2O3であった。
酸化膜の形成以外の工程は、上記実施例1と同様の手順により電極部材Cを得た。得られた電極部材Cについて、酸化膜の厚さを調べたところ、2.5μmであった。また、この酸化膜は、空隙が低減されていた。更に、電極部材Cの酸化膜を構成する化合物をXRDにより測定したところ、体積比で1%以上のFeOを含有しており、残りがFe3O4及びFe2O3であった。加えて、電極部材Cのイオン拡散層の厚さを調べたところ、7.2μmであった。
実施例1の電極部材B及び上記電極部材Cを同様の条件で複数作製し、これら電極部材の接合強度を調べた。接合強度は、図5に示すようにリード部が挿通可能で、ガラス部が挿通不可能な大きさを有する貫通孔を設けた治具200に電極部材を固定し、アウターリード部を荷重を加えて引っ張った際、ガラス部が破壊するときの力(N)を調べた。電極部材B,Cは、ガラス部が破壊する前にアウターリード部が破断するため、インナーリード部120にガラス部130を形成した代替部材100を同様の条件で作製し、この代替部材100を用いて接合強度を調べた。比較例は、インナーリード部をW(タングステン)で作製し、ガラス部を設けた部材である。比較例に用いたガラス部及びガラス管は、Wに熱膨張係数が近いものとした。その結果を表1に示す。
Figure 0005248766
表1に示すように、電極部材B,Cは、いずれも接合強度に優れることがわかる。従って、このような電極部材を用いて冷陰極蛍光ランプを形成した場合、リード部からガラス管までの間の構成部材が十分に密着することができ、ガラス管の封止部分からガスが漏れることを防止できると予想される。特に、二段階の加熱によりFeOを含む酸化膜を形成した電極部材Cは、電極部材Bよりも接合強度が高く、接合強度のばらつきも小さい。
更に、電極部材B,Cについて、インナーリード部に曲げを加えて、ガラス部の割れ状態を調べる試験(曲げ試験)を行った。すると、いずれの電極部材も、リード部から剥がれて破片が脱落するように割れたりせず、リード部に付着していて形が残っていたが、ガラス部の径方向にひびが多数生じていた。このことから、いずれの電極部材も、ガラス部がリード部の外周に沿って満遍なく密着していると考えられる。
なお、上述した実施例1,2は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
本発明電極部材組は、冷陰極蛍光ランプの構成部材に好適に利用できる。本発明電極部材組の製造方法は、本発明電極部材組の製造に好適に利用できる。本発明冷陰極蛍光ランプの製造方法は、蛍光ランプの製造に好適に利用できる。得られた冷陰極蛍光ランプは、例えば、液晶ディスプレイのバックライト用光源、小型ディスプレイのフロントライト用光源、複写機やスキャナなどの原稿照射用光源、複写機のイレイサー用光源といった種々の電気機器の光源として好適に利用できる。
電極部材の概略構成を示す部分断面図である。 実施例1におけるリード部の酸化膜近傍を明視野で撮影した顕微鏡写真であり、(I)は、酸化膜が厚いリード部、(II)は、酸化膜が薄いリード部を示す。 実施例1における電極部材の酸化膜近傍を明視野で撮影した顕微鏡写真であり、(I)は、酸化膜が厚い電極部材、(II)は、酸化膜が薄い電極部材を示す。 実施例1における電極部材の酸化膜近傍を暗視野で撮影した顕微鏡写真であり、(I)は、酸化膜が厚い電極部材、(II)は、酸化膜が薄い電極部材を示す。 接合強度試験を説明する説明図である。
符号の説明
10 電極部材 11 電極部 12 リード部 12i インナーリード部
12o アウターリード部 12s 酸化膜 13 ガラス部
100 代替部材 120 インナーリード部 130 ガラス部 200 治具

Claims (7)

  1. 電極部と、電極部の端部に接続されるリード部とを有する電極部材を複数具える冷陰極蛍光ランプ用電極部材組であって、
    各電極部材のリード部は、その表面の少なくとも一部に酸化膜を有しており、
    複数の電極部材のうち、いずれか一の電極部材の酸化膜は、他の一の電極部材の酸化膜よりも薄く、
    酸化膜が厚い電極部材は、冷陰極蛍光ランプ用のガラス管に固定するとき、当該ガラス管においてその内部が大気である状態で固定する側に配置されるものであり、
    酸化膜が薄い電極部材は、冷陰極蛍光ランプ用のガラス管に固定するとき、当該ガラス管においてその内部が真空である状態で固定する側に配置されるものであることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用電極部材組。
  2. 酸化膜が薄い電極部材は、酸化膜の厚さが1μm以上5μm未満であり、
    酸化膜が厚い電極部材は、酸化膜の厚さが5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極部材組。
  3. 各電極部材は、リード部の少なくとも表面側が鉄含有金属から構成され、酸化膜がFeOを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極部材組。
  4. 各電極部材は、更に、リード部の外周に接合されるガラス部を具え、リード部の表面においてガラス部で覆われる箇所に酸化膜を有しており、ガラス部において酸化膜に接する側にイオン拡散層を有しており、
    イオン拡散層は、厚さが15μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極部材組。
  5. 電極部の端部にリード部を有する電極部材を複数製造する冷陰極蛍光ランプ用電極部材組の製造方法であって、
    リード部の外周を酸化性雰囲気中でバーナーを用いて加熱し、リード部の表面に酸化膜を形成する酸化工程を具え、
    複数の電極部材のうち、いずれか一の電極部材は、前記酸化工程を以下の厚膜条件で行って酸化膜を形成し、他の一の電極部材は、前記酸化工程を以下の薄膜条件で行って酸化膜を形成することを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用電極部材組の製造方法。
    [厚膜条件] 加熱温度:900〜1200℃、加熱時間:10〜12秒
    [薄膜条件] 加熱温度:900〜1200℃、加熱時間:3〜5秒
    厚膜条件を行った電極部材は、冷陰極蛍光ランプ用のガラス管に固定するとき、当該ガラス管においてその内部が大気である状態で固定する側に配置されるものであり、薄膜条件を行った電極部材は、冷陰極蛍光ランプ用のガラス管に固定するとき、当該ガラス管においてその内部が真空である状態で固定する側に配置されるものとする。
  6. 更に、リード部の外周に接合されるガラス部を有する電極部材を作製する場合、酸化膜が形成されたリード部の外周にガラスビーズを配置し、ガラスビーズを加熱して変形することでガラス部を形成すると共に、ガラス部をリード部に接合するガラス溶融工程を具え、
    ガラス溶融工程は、以下の変形工程と接合工程とを具えることを特徴とする請求項5に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極部材組の製造方法。
    [変形工程] 非酸化性雰囲気中で、加熱温度:700〜800℃、加熱時間:3〜5分
    [接合工程] 還元性雰囲気中で、加熱温度:900〜1100℃、加熱時間:3〜5分
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極部材組を用いて冷陰極蛍光ランプを製造する冷陰極蛍光ランプの製造方法であって、
    複数の開口部を有するガラス管を準備する工程と、
    大気中で、ガラス管の少なくとも一つの開口部を除く各開口部に、酸化膜が厚い電極部材を挿入し、開口部近傍にリード部を配置して開口部近傍を加熱して溶融し、各開口部を封止すると共に、電極部材を固定する工程と、
    真空中で、残りの未封止の各開口部に、酸化膜が薄い電極部材を挿入し、開口部近傍にリード部を配置して開口部近傍を加熱して溶融し、各開口部を封止すると共に、電極部材を固定する工程とを具えることを特徴とする冷陰極蛍光ランプの製造方法。
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