JP2004273358A - ガラス封着用金属線および管球ならびに電気部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】軟質ガラスとの密着性がよくリークやクラックなどの発生の虞がないとともにPt(白金)などの貴金属を用いても使用量が僅かで材料費の高騰が抑制できる封着作業が容易な気密封着用の金属線およびこの金属線を用いた管球ならびに電気部品を提供することを目的とする。
【解決手段】芯線2と、上記芯線2の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層5とを備えているガラス封着用金属線1A(11)およびこの金属線1A(11)を用いた管球L1ならびに電気部品である。
【選択図】 図2
【解決手段】芯線2と、上記芯線2の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層5とを備えているガラス封着用金属線1A(11)およびこの金属線1A(11)を用いた管球L1ならびに電気部品である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は軟質ガラスに気密封着される封着用金属線、この封着用金属線を封着した軟質ガラスバルブに代表される透光性気密容器内に発光源を封入した電球や蛍光ランプなどの管球あるいは気密容器内に整流素子を封装したダイオードなど、容器内の気密保持をはかるとともに導電機能を必要とする電気部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
管球たとえば電球では、透光性容器を形成するガラスバルブ内にフィラメントの蒸発を抑え発光効率を高めるためアルゴンなどの希ガスを封入し、このバルブ内を気密に保っている。管球を構成するバルブとステムやビーズとは、ほぼ同じ熱膨張率を有するガラスを用いているため融着して容易に気密が保持できるが、フィラメントへの通電を行う導入導体(導入線)としては金属線が必要で、軟質ガラス封着用の金属線としては耐蝕性や耐酸化性に優れガラス部材と熱膨張率が近似した白金線が知られている。
【0003】
しかし、この白金線は高価であるため、これに変わるガラス材質に熱膨張率を近ずけたジュメット線がよく知られ、また、多く用いられている。
【0004】
このジュメット線はガラスに対する熱膨張率および融着性の点から完成されたもので、Fe(鉄)−Ni(ニッケル)合金芯線の上にCu(銅)層が形成され、さらに、このCu(銅)層の表面にはガラスとの融着の際その酸化速度を鈍らせ過度の酸化を防ぐため水分のない硼砂(B4 O7 Na2 )の薄膜が形成、いわゆるボレーション処理がなされている。
【0005】
このボレーション処理したジュメット線と軟質ガラスとの封着は780〜820℃程度で行なわれ、ガラス質の硼砂(B4 O7 Na2 )がステムのガラスと融合するとともに封着用金属線の表面のCu2 O(亜酸化銅)膜がガラス中に拡散してガラスと密着した高気密度の封着を行うことができる。
【0006】
そして、管球の導入導体(導入線)として、たとえば口金付電球などにおいては、バルブ内のフィラメントを保持する内部導入線部分、ガラスとの封着線部分およびバルブ外の口金の端子に接続される外部導入線部分の各部を別部材の3部品で構成し、ガラスとの封着部分に上記封着用金属線(ジュメット線)を用いる場合もあるが、表示用の無口金形の小形電球などの場合は、内部導入線部分および外部導入線部分をも上記封着用の金属線を共通して用いる単一の線材で構成した導入導体(導入線)が多用されている。
【0007】
この導入導体(導入線)を単一の部材で構成する場合、フィラメントは内部導入線に叩き込みあるいは挟み込むクランプなどの手段により継線保持されるのが一般的であるが、最外表面に形成された硼砂(B4 O7 Na2 )は電気絶縁物であり、この硼砂(B4 O7 Na2 )膜を破壊してCu(銅)層などの導電体と直接接触していないとフィラメントと内部導入線との接続が不確実、かつ、不安定であって、この継線部における電気抵抗に瞬間的な変動が起こり易いということがあった。すなわち、導入導体(導入線)に通電してもフィラメントが不所望に点滅することがあった。特に、この点滅は電球に振動が加わったときなどに多く発生していた。
【0008】
また、導入導体(導入線)の内部導入線部分は、ステムやビーズなどに封着線部分を封着する際の加熱で酸化され脆くなることがある。そして、フィラメントとの継線の際に表面の酸化膜や硼砂(B4 O7 Na2 )が剥がれ、これらの脱落物がフィラメントに付着するとフィラメントを短絡して、フィラメントの蒸発が加速されて早期に光束の低下やフィラメント断線を招く不具合がある。
【0009】
また、外部導入線は口金やプリント基板などの端子部と半田付けや溶接などの手段で接続されたり、無口金電球の場合は封着部に添設した外部導入線と端子とが単なる圧接による接続で、導入線の表面に酸化膜や絶縁膜があるとこれまた電気的な接続が不安定で、振動などが加わったときに電球に不所望な点滅を起こすなどの問題があった。
【0010】
また、導入線を内部、外部導入線および封着用金属線の3パーツ(部品)線で構成したものは、互いの端面を突合わせ溶接によって接合しているが、溶接部に硼砂(B4 O7 Na2 )分の混融があると接合強度の低下を招くことがあった。
【0011】
さらに、上記硼砂(B4 O7 Na2 )膜を形成した封着線は、硼砂(B4 O7 Na2 )膜の吸湿性が高いため、保管状態が悪いと変質して気密性の高い封着ができないなど、乾燥庫などでの格別の保管器具を要し長期保管が好ましくないなどのこともある。
【0012】
そこで、電気的な接続部分となる部位に形成された硼砂(B4 O7 Na2 )膜を酸処理により除去することが行われていたが、除去処理や除去した後にメッキ処理などの後処理を行う作業が環境問題などで実施困難な状態にある。
【0013】
また、バルブ内にHg(水銀)を封入した蛍光ランプなどにおいては、上記封着線あるいはボレーション処理を施していない最外層をCu(銅)層とした封着線では還元作用によって表面に清浄なCu(銅)層があらわれ、Hg(水銀)と反応してCu(銅)・Hg(水銀)アマルガムが形成され、このアマルガムの結晶化応力によりCu2 O(亜酸化銅)膜層の剥離が起こり封着線の表面に黒しみができ、これが起因して封着線とガラスとの封着部にリークを発生することがある。
【0014】
さらに、外部導入線として最外層をCu(銅)層とした封着線を用いた場合、Cu(銅)層は酸化し易く、また、化学的にも耐蝕性に劣り上述したと同様に早期に電気的な導通が不具合になることがあった。
【0015】
そこで、上記硼砂(B4 O7 Na2 )を用いた場合の問題を解消するものとして、Fe(鉄)−Ni(ニッケル)合金芯線の表面あるいは芯線上のCu(銅)層の表面にNi(ニッケル)層を形成した封着線が開発、実用化され、このことはたとえば特公昭46−3655号公報や特開昭50−10261号公報に開示されている。
【0016】
このNi(ニッケル)層を形成した封着線もガラスとの封着に際しては、Ni(ニッケル)層を酸化させガラスとの気密封着性をよくするようにしている。
【0017】
しかし、ガラスとの封着作業における加熱により同時にNi(ニッケル)層を有する封着線に酸化膜を形成させることは、加熱条件が微少に変化しても酸化膜の量や質が変わりそのコントロールが難しかった。また、Ni(ニッケル)の酸化物は下地層との密着性が悪いうえにガラス中への拡散がしにくいことから、ガラスに溶解し難くリークなどが発生して気密性が低下するなど、信頼性の高い封着ができないことがあった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を除去し、軟質ガラスとの密着性がよくリークやクラックなどの発生の虞がないとともにPt(白金)などの貴金属を用いても使用量が僅かで材料費の高騰を抑制できる封着作業が容易な気密封着用の金属線およびこの金属線を用いた管球ならびに電気部品を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のガラス封着用金属線は、芯線と、上記芯線の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層とを備えていることを特徴としている。
【0020】
芯線の最外表面にたとえばPt(白金)などの金属層を形成したガラス封着用金属線からなる導入線は、ガラス部材と封着させる際、両者の熱膨脹率が近似していたりあるいはガラスを溶融加熱するバーナ熱がガラスに近接する金属線部分にもおよび、大気中にある金属線の最外表面に緻密な酸化物層を形成して、この酸化物がガラスに拡散していき両者が密着して気密性の高い封着を行うことができる。
【0021】
そして、この封着用金属線の最外表面に形成される金属層は、Pt(白金)に限らず、Au(金)、Ag(銀)またはRu(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Os(オスミウム)やIr(イリジウム)などの白金族元素のうちから選ばれた金属であってもよい。
【0022】
また、芯線の外表面側に形成する上記選ばれた金属からなる金属層は1層に限らず、異種の金属を2層以上の複数層重層形成してもこれらが合金層を形成して不具合はない。
【0023】
なお、本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味はつぎによる。
【0024】
本発明に関わるガラス封着用金属線は、少なくともガラスと封着される部位の最外表面にAu(金)、Ag(銀)あるいはPt(白金)などの上記白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属層からなる、軟質ガラスとその熱膨脹率差が近似しているなじみのよい材料の被層が形成されている。
【0025】
この最外表面の金属層の層厚は、薄過ぎると熱膨脹率差を吸収できなかったりあるいは酸化層が形成できずガラスとの密着力が弱く引張力が加わると封着線が抜けでるものが発生し、また、厚過ぎるとガラス部材と金属層との間が多孔質状となって封着線部周囲からのリークが生じる虞が多くなり、水銀を封入した管球では、この多孔質状部に水銀が浸透拡散してリークを促進して好ましくない。
【0026】
本発明では、上記事情から最外金属層の層厚は0.05μm〜0.7μm程度、好ましくは0.1μm〜0.6μm、ばらつきなどを考慮した実用的には0.1μm〜0.4μmの範囲内であればよい。
【0027】
また、このガラス封着用金属線が気密封着用として適用できるガラス部材は、熱膨張率(30〜300℃)がこの金属線と近似している85〜105×10 −7 /℃ −1 の範囲内にあるソーダライムガラスや鉛ガラスなどの軟質ガラスを用いることができる。
【0028】
さらに、このガラス封着用金属線は、気密容器が軟質ガラスで形成される管球や電気部品に用いられ、管球としては汎用の電球や蛍光ランプ、点灯管、ネオン管などの放電ランプなど種々のランプに、さらにまた、電気部品としては耐塵埃性、耐湿性、耐水性、耐酸化性などが求められるガラス製などの容器内に主要機能部が収容されるダイオード素子、スイッチング素子やセンサなどの密封を行うことができる。
【0029】
本発明の請求項2記載のガラス封着用金属線は、芯線と、上記芯線の表面に形成された銅またはニッケルからなる中間金属層と、上記中間金属層の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層とを備えていることを特徴としている。
【0030】
封着用金属線(導入線)をガラス部材と封着させる際の加熱で、下地層のCu(銅)またはNi(ニッケル)部分が外表面側の薄層のPt(白金)などの金属層に拡散してくる。そして、軟質ガラスとの封着時にCu−Pt合金層やNi−Pt合金層は、Cu(銅)やNi(ニッケル)およびPt(白金)がガラスとの封着性のよい緻密な酸化物すなわちCu2 O(亜酸化銅)やNiO(酸化ニッケル)となってガラス中に拡散していき、気密性の高い封着が行える。
【0031】
また、芯線2の表面にCu(銅)またはNi(ニッケル)からなる中間金属層を介在させることにより芯線とPt(白金)などの金属層との熱膨張率差を吸収でき、芯線表面側に形成した被層に発生し易い剥離などを低減できる作用を奏する。
【0032】
また、中間金属層は一層に限らず、芯線や金属層の保護のため、あるいは熱膨張率差を段階的に合わせるなどのため、さらに第二の中間金属層など、下層の外側表面に順次重層した複数層であってもよい。
【0033】
また、芯線の表面にCu(銅)からなる中間金属層を形成し、この中間金属層の外表面にPt(白金)などの金属層を被層した場合は、最外表面のPt(白金)などの金属層の層厚さがCu(銅)からなる中間金属層の層厚に比べて薄層とすることによって、ガラスとの封着時に封着状態を正確に把握できる。
【0034】
すなわち、封着用金属線(導入線)をガラス部材と封着させる際の加熱で、封着用金属線も最外表面に露出しているPt(白金)などの金属層とともにその下地層のCu(銅)層も加熱される。この加熱によりCu(銅)層のCu(銅)が表面側の薄層のPt(白金)などの金属層に拡散し、さらにこのPt(白金)などの最外表面の金属層がガラス中に拡散して高気密度の封着が行われる。
【0035】
この封着状態の確認は、加熱前の封着用金属線の最外表面がたとえばPt(白金)金属層の場合、表面色が光沢のある灰白色であるのが、良好な封着であれば下層のCu(銅)層の拡散により薄いPt(白金)がCu2 O(亜酸化銅)特有の黄金色または薄桃色したCu(銅)色に変化することにより分かる。
【0036】
そして、ガラス中に封着した金属線の封着線部の表面の色が原色に近いままの略灰白色であれば、加熱が不足していて封着線部はCu(銅)層の拡散がないことを示し、また、封着線部の表面が黒色(CuO)を呈している場合は、逆に加熱し過ぎ酸化したCu(銅)が表面に拡散していることを現し、この色調の変化を限度見本などにより対比し封着状態の判断基準として、気密性に対する良否を判定することができる。
【0037】
本発明の請求項3記載のガラス封着用金属線は、芯線と、上記芯線の表面に形成された銅からなる第1の中間金属層と、上記第1の中間金属層の表面に形成されたニッケルからなる第2の中間金属層と、上記第2の中間金属の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層とを備えていることを特徴としている。
【0038】
下地層のCu(銅)層部分が外表面側のNi(ニッケル)層部分に拡散してNi−Cu合金をつくるとともに外表面側にもCu(銅)が拡散してくる。そして、軟質ガラスとの封着時にNi−Cu合金層は、Cu(銅)がガラスとの封着性のよい緻密な酸化物すなわちCu2 O(亜酸化銅)となってガラス中に拡散していき、気密性の高い封着が行える。また、耐酸化性の高い表面のNi(ニッケル)は薄いのでCu(銅)と合金化することで適度に酸化して、ガラスとの気密封着を阻害することが少ない。
【0039】
本発明の請求項4記載のガラス封着用金属線は、単一線であることを特徴としている。
【0040】
一本のガラス封着用金属線を封着部、内部導入線部および外部導入線部と共通して使用しても、フィラメントや外部端子との接続時に導電的になんら支障が生じない。また、この場合は他の線材との溶接などが不要で製作が容易であるとともに材料も節約できる。
【0041】
本発明の請求項5記載のガラス封着用金属線は、最外側に金、銀または白金族元素からなる金属層が形成されていない部分を有していることを特徴としている。
【0042】
封着部以外の内部導入線部や外部導入線部の最外面に金、銀または白金族元素からなる被層が形成されていなくても、芯線や下地層の金属がそれぞれ電気的な接続部材としての機能を有するとともに上記請求項5に記載したと同様な作用を奏する。
【0043】
本発明の請求項6記載のガラス封着用金属線は、少なくとも一方の端部に内部導入線または/および外部導入線を接続していることを特徴としている。
【0044】
封着線の端面が金属面であるので端部に内部導入線またはおよび外部導入線を溶接等の手段で容易に接続することができる。すなわち、導入線を封着線の端部に内部導入線および外部導入線の3つの線材を接続した3パーツ(部品)線や、封着線と内部導入線を共用しこれに外部導入線を接続したものや封着線と外部導入線を共用しこれに内部導入線を接続した2パーツ(部品)線であってもよい。
【0045】
本発明の請求項7記載のガラス封着用金属線は、芯線が、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Mo−Co−Si合金、Fe−Co合金、Ptから選ばれたものであることを特徴としている。
【0046】
上記材質から選ばれ、線材の半径方向の熱膨張率が85〜105×10 −7 ℃ −1 の範囲内にあり、封着される軟質ガラスの熱膨張率と同じか近似した値のものであればよい。また、被封着物のガラス材質や価格などに応じ種々の芯線や金属層材料を選べばよい。
【0047】
本発明の請求項8記載のガラス封着用金属線は、全体の熱膨張率(30〜300℃)が85〜105×10 −7 /℃ −1 の範囲内にあることを特徴としている。
【0048】
封着線の熱膨張率を封着するガラスの熱膨張率と合わせてあり、これが範囲外となるとリーク発生や歪力大による気密封着および強固な封着部の形成ができなくなる。
【0049】
本発明の請求項9記載の管球は、軟質ガラスからなる透光性容器と、上記透光性容器の端部に封着された上記請求項1ないし請求項8のいずれか一に記載されたガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極とを具備していることを特徴としている。
【0050】
上記請求項1ないし請求項8に記載されたように、このガラス封着用金属線を軟質ガラス製の透光性容器(バルブ)に封着した場合は、気密性の高い封着を行うことができ、管球を長寿命化できる。
【0051】
また、透光性容器(バルブ)に封着される導入線の形態としては、導入線の封着線部が直接に容器(バルブ)のガラスと封着されるものであっても、あるいはバルブのガラスと近似した熱膨張率を有するビーズ(ガラス片)中に一対の導入線の封着線部を貫通して気密封着させたビーズマウントを用いた場合も、本発明は適用されるものである。
【0052】
すなわち、透光性容器(バルブ)にビーズマウントを封着する場合ではなく、フィラメントなど電極を所定間隔で支持させておく必要があるなどのことから一対の導入線をバルブのガラスと近似した熱膨張率を有するビーズ(ガラス片)中に貫通し気密封着させてマウントを構成しておき、このマウントのビーズ部分と容器(バルブ)とを封着することも多く採用されていて、このようにビーズ部分に導入線の封着線部を封着する場合も上述したと同様な作用を奏し、本発明はこのビーズを用いた管球も包含するものである。
【0053】
また、蛍光ランプなどの放電ランプの場合はフィラメントは電極と呼び変えられ、また、フィラメント電極ではなく、金属などの導電体の板、管棒や塊からなる冷陰極であってもよい。また、これらフィラメント(電極)は、封着線に直接継線せずに他の部材を介して電気的接続と機械的な保持がなされていてもよい。
【0054】
本発明の請求項10記載の管球は、軟質ガラスからなる透光性容器と、上記透光性容器の端部に封着されるとともに最外金属層を形成していない部分を封着部外に延在した上記請求項5または6に記載のガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極とを具備していることを特徴としている。
【0055】
上記導入線が封着線部の端部に内部導入線および外部導入線の3つの線材を接続した3パーツ(部品)線や、封着線と内部導入線を共用しこれに外部導入線を接続したものや封着線と外部導入線を共用しこれに内部導入線を接続した2パーツ(部品)線を用いて管球を構成した場合も、上記請求項9記載と同様な作用を奏する。
【0056】
本発明の請求項11記載の管球は、軟質ガラスからなる透光性容器と、上記透光性容器の端部に封止された軟質ガラス製のステムと、上記ステムに封着された上記請求項1ないし8のいずれか一に記載のガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極とを具備していることを特徴としている。
【0057】
軟質ガラス製のステムと気密性の高い封着を行うことができ、管球を長寿命化できる。
【0058】
本発明の請求項12記載の管球は、軟質ガラスからなる透光性容器と、上記透光性容器の端部に封着された軟質ガラス製のステムと、上記ステムに封着されるとともに最外金属層を形成していない部分をステムの封着部外に延在した請求項5または6に記載のガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極とを具備していることを特徴としている。
【0059】
上記3パーツ(部品)線や2パーツ(部品)線を封着したステムを用いて管球を構成した場合も、上記請求項11記載と同様な作用を奏する。
【0060】
本発明の請求項13記載の電気部品は、軟質ガラスからなる容器と、上記容器に封着された上記請求項1ないし8の一に記載されたガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電子部品素子とを具備していることを特徴としている。
【0061】
軟質ガラス製の容器などと気密性の高い封着を行うことができ、電気部品を長寿命化できる。本発明は管球のほか耐塵埃性、耐湿性、耐水性、耐酸化性などガラス製などの容器内に主要機能部が収容されるダイオード素子、スイッチング素子やセンサなどの電子部品の密封に対しても適用ができるものである。そして、上記素子類は封着線に直接あるいは封着線に他の線材や部材を接続した上記3パーツ(部品)線や2パーツ(部品)線などで電気的接続がなされていればよい。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。図1は各種導入線の形態を示す正面図で、(a)図は単一線、(b)図は2パーツ(部品)線、(c)図は3パーツ(部品)線である。また、図2(a)および(b)は被層構造が異なるガラス封着用金属線の図1において矢視a−a線に沿って切断した部分の横断面図、図3は図2に示す封着用金属線を用いた表示用などの小形電球の縦断面図である。
【0063】
図1(a)は単一線からなる導入線1Aで全体がガラス封着用金属線11で構成されている。この導入線1A(ガラス封着用金属線)は図2(a)または(b)に示す断面構造をなす。
【0064】
図2(a)の導入線1A(ガラス封着用金属線11)は、中心にたとえばFe(鉄)50重量%−Ni(ニッケル)50重量%の合金からなる直径約0.25mmで半径方向の熱膨脹率(30〜300℃)が95〜100×10 −7 /℃ − 1 の芯線2を有し、この芯線2の外周囲表面には最外側層としてたとえばPt(白金)からなる層厚が約0.2μmの金属層5が形成してある。
【0065】
また、図2(b)も図2(a)と同様な導入線1A(ガラス封着用金属線11a)で、中心にはたとえばFe(鉄)50重量%−Ni(ニッケル)50重量%の合金からなる直径約0.25mmで半径方向の熱膨脹率(30〜300℃)が95〜100×10 −7 /℃ −1 の芯線2を有し、この芯線2の外周囲表面にはCu(銅)またはNi(ニッケル)、ここではたとえば層厚が約20μmのCu(銅)からなる中間金属層3が形成され、さらに、このCu(銅)層の外側表面にはたとえば層厚が約0.2μmのPt(白金)からなる最外金属層5が重層形成してある。
【0066】
この図2(a)および(b)に示すような構造のガラス封着用金属線11,11aの製造は、外径を所定寸法に仕上げた芯線2の外側表面に直接所定層厚のPt(白金)をめっき(金属線11)またはCu(銅)およびPt(白金)を重層めっき(金属線11a)することによって得たり、あるいは所定寸法より大径の芯線2をPt(白金)製のスリーブやテープで覆ったり(金属線11)、芯線2をCu(銅)製のスリーブやテープで覆うとともにさらにこの上をPt(白金)製のスリーブやテープで覆い(金属線11a)、この被覆された金属部材を圧延することにより所定の径および層厚さを有する線状の封着用金属線11,11aが造られ、これを所定長さで切断することにより単一線からなる導入線1Aが得られる。
【0067】
また、図3は上記導入線1Aを使用してなる小形電球L1で、この電球L1は外径が約5mm、全長が約10mmのソーダライムガラスまたは鉛ガラスなどの軟質ガラス(熱膨脹率(30〜300℃)が85〜105×10 −7 /℃ −1 )製の透光性気密容器を形成するバルブ6を備え、このガラスバルブ6端部の閉塞した封着部61内には一対の上記導入線1Aが封着されている。
【0068】
なお、このガラスバルブ6と導入線1Aとは、導入線1Aを直接にバルブ6と封着することもあるが、フィラメント7を所定間隔で支持させておく必要があるなどのことから一対の導入線1A,1Aをバルブのガラスと近似した熱膨張率を有するビーズ(ガラス片)中に貫通させ気密封着してマウントを構成しておき、このマウントのビーズ部分とバルブ6とを封着することも多く採用されている。
【0069】
上記導入線1A(封着用金属線11,11a)は、全体の熱膨脹率(30〜300℃)がたとえば95〜100×10 −7 /℃ −1 で、所定長さたとえば約15mmに切断され、封着線(被封着部)11(または11a)部分とバルブ6内に延在する内部導入線12部分およびバルブ6外に延在する外部導入線13部分とが共通する単一線からなる。
【0070】
そして、バルブ6内の内部導入線12、12の先端部間には発光源としてタングステン細線を巻回したコイル状のフィラメント7がクランプや溶接などの手段で継線してあるが、最外表面のPt(白金)層5は良好な導電体でありこの間において接触不良とはならず、確実な電気的接続とフィラメント7の保持を果す。
【0071】
また、封着部61からバルブ1外に延出した外部導入線13、13は互いに接触しないよう分けられている。なお、上記バルブ6内にはアルゴンなどの不活性ガスが封入されるか、あるいは真空雰囲気にしてある。
【0072】
上記小形電球L1は、バルブ6の閉塞と導入線1A,1Aを封着(ビーズを用いる場合はビーズと導入線1A.1Aを封着)する作業時に、封着部61においてバルブ6(またはビーズ)を溶融加熱するバーナ熱がバルブ6(またはビーズ)に近接する封着線11(または11a)(被封着部)部分にもおよび、大気中にある導入線1A.1Aの最外表面のPt(白金)金属層5部分をも昇温してバルブ6(またはビーズ)のガラス中に埋没させ両者が密着して気密性の高い封着が行われる。
【0073】
また、図2(b)に示されるガラス封着用金属線11aの場合は、芯線2と最外表面のPt(白金)金属層5との間に、Cu(銅)またはNi(ニッケル)からなる中間金属層3が形成してある。このように芯線2上にCu(銅)などからなる中間金属層3を介在させることにより芯線2とPt(白金)金属層5との熱膨張率差を吸収でき、芯線2表面側に形成した被層に発生し易い剥離などを低減できる作用効果を奏する。
【0074】
また、このガラス封着用金属線11aは、最外表面のPt(白金)の金属層5の下地層としてPt(白金)より耐酸化性および耐蝕性に優れたCu(銅)またはNi(ニッケル)からなる中間金属層3が形成してあるので、大気中における通常の加熱では問題なくPt(白金)の金属層5部分がガラスと融着でき、また、たとえ加熱が強すぎて上記封着線(被封着部)11a部分の最外表面のPt(白金)の金属層5部分が過酸化しても下地層のCu(銅)またはNi(ニッケル)からなる中間金属層3は過酸化されず、ガラスは上記最外表面のPt(白金)金属層5部分およびCu(銅)やNi(ニッケル)からなる中間金属層3に拡散していき高い気密性の封着が行える。
【0075】
また、中間金属層3としてCu(銅)を、最外表面の金属層5としてPt(白金)を重層した封着線(被封着部)11aの場合は、ガラスとの封着状態を封着線(被封着部)11aの最外表面の色調の変化により判断して、良否の判定を容易に行うことができる。
【0076】
そして、この導入線1Aは、封着線(被封着部)11または11a部に形成される最外金属層5がPt(白金)からなり、このPt(白金)の熱膨張率が92.5×10 −7 /℃ −1 であって、封着されるバルブ6のガラスの熱膨張率と近似しているので、生じる応力もないかあっても僅かであり、最外金属層5の形成に際してその層厚は芯線2の熱膨張率に合わせ適宜決めれば、封着部61にリークや歪みによるクラックなどの発生がない。
【0077】
また、上記導入線1Aの封着部61に封着された封着線11または11a部分から封着部61外に延出した外部導入線13部分は、封着作業時などに封着線11または11a部分ほど昇温しないのとPt(白金)を用いていることで、酸化や腐蝕に優れた耐性を有し、この外部導入線13部分を直接に口金や配線基板などの端子部材に圧接させたりあるいはろう付けや溶接などの手段で接続することが可能である。
【0078】
つぎに、上記小形電球L1の構成において、導入線1A部分に関係する種々の強度試験を行った結果を比較用の従来電球と対比して表1に示す。なお、比較用の従来電球に使用した導入線(封着用金属線)は、芯線(Fe(鉄)−Ni(ニッケル)合金)の外表面にCu(銅)層と無水ホウ砂(B4 O7 Na2 )膜とを重層形成したジュメット線で、導入線以外は同一材料で同一構成としてある。
【0079】
試験1)は、電球の封着部を固定し外部導入線13部分を延出方向に2kgf(19.6N)で引張った後の封着線11部分の界面部分におけるリークの発生数を調べた(試験個数100個)。試験2)は、試験1と同じ方法で2kgf(19.6N)で引張った後、封着部61から導入線1Aの封着線11がガラス中から剥がれ抜けでる発生数を調べた(試験個数10個)。試験3)は、試験1と同じ方法で3.5kgf(34.3N)で引張ったときの強度を調べた(封着部破壊とは導入線1Aが切断せず導入線とガラスとの界面から破壊したもの、また、導入線1A切断とは封着部61に破壊が起こらず導入線1Aが切断したものを指す。)。試験4)は、小形電球L1を液温20℃の10%シアン化カリウム(KCN)水溶液中に浸漬してのリーク(検査は高周波による。)の発生数を調べた(試験個数100個)。試験5)は、導入線(封着線11)を大気中で約600℃、3分間加熱経過後の重量変化(%)を測定した(試験個数1000個の平均値)。
【0080】
なお、この試験5)において、加熱後の重量増加は酸化物が生成されたことによるもので、酸化物が存在しているとバルブ内に不純ガスの発生があって好ましくなく、重量変化がないことはガスの吸蔵がないことを示す。また、これらの諸試験1)〜5)の条件は実使用に比べ相当過酷なものである。
【0081】
【表1】
これらの試験1)〜5)の結果から、本発明に係わる電球L1は従来電球と比較して各種強度が向上でき、封着線11部の最外金属層をPt(白金)で形成しても、従来品に比べガラスとの気密封着性に優れていることが確認できた。
【0082】
なお、本発明者等の考察によると上記封着用金属線1Aの最外側表面に形成したPt(白金)層の層厚は、0.05μm〜0.7μm程度、好ましくは0.1μm〜0.6μm、ばらつきなどを考慮した実用的には0.1μm〜0.4μmの範囲内であればよく、層厚が0.7μmを超すと封着線11部分とガラスとの界面からのリークを生じるものがあった。
【0083】
また、図4は本発明に係わるガラス封着用金属線の他の実施の形態を示す横断面図で、図中、図2(b)と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。この実施の形態のものは図2(b)の封着用金属線11aと相違する点は、芯線2の外周囲表面のCu(銅)からなる層厚が約20μmの第1の中間金属層3の外側表面に、さらにたとえばまたはNi(ニッケル)からなる層厚が約0.2μmの第2の中間金属層4を形成し、このNi(ニッケル)からなる中間金属層4の外側表面にたとえば層厚が約0.2μmのPt(白金)からなる最外金属層5が重層形成され封着用金属線11bを構成している。
【0084】
このように芯線2上にCu(銅)およびNi(ニッケル)からなる2層の中間金属層3,4を介在させPt(白金)からなる最外金属層5を形成した封着用金属線11bは、剥離などを低減できる作用効果を奏する。
【0085】
また、上記実施の形態では封着用金属線11,11a,11bの最外金属層5をPt(白金)で形成したが、この最外金属層5はPt(白金)に限らず、Au(金)、Ag(銀)あるいはRu(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Os(オスミウム)やIr(イリジウム)などの白金族元素であっても、上記実施の形態に示したPt(白金)と同様な作用効果を奏する。
【0086】
また、上記実施の形態の小形電球L1では、導入線1Aとして図1(a)に示すガラス封着用金属線11や11aが内外導入線12,13を兼ねる単一線を用いた場合について述べたが、導入線1Aとしては単一線に限らず図1(b)および(c)に示すような構成であってもよい。
【0087】
この図1(b)に示す導入線1Bは、封着線部分と内部導入線部分または外部導入線部分ここでは内部導入線部分とが同じガラス封着用金属線11や11aからなり、封着線11や11aと外部導入線13の各端面が突合わせ溶接により接合一体化して形成された2パーツ(部品)線と呼ばれる2つの線材から構成されている。なお、図中1wは溶接部である。
【0088】
また、図1(c)に示す導入線1Cは、封着線11や11aの一端に内部導入線12を、他端に外部導入線13の端面を突合わせて溶接などの手段で接合一体化して形成された3パーツ(部品)線と呼ばれる3つの線材から構成されている。
【0089】
図5はこの図1(c)に示す導入線1Cを用いた本発明の管球の他の実施の形態を示し、図中図1ないし図3と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。この図5はバルブ端部を閉塞する構造の一般照明用の電球や蛍光ランプなどの管球に用いられるステム8部分を主体に示す、ここでは蛍光ランプL2のバルブ端部の縦断面である。
【0090】
このステム8は、たとえば鉛ガラス製のステムチューブ81の一端をバルブ6の開口部と適合するよう拡開されたフレア部82を有し、他端側の溶融圧潰されたピンチシール部83内には一対の導入線1C、1Cの封着線11や11aを気密に封着している。なお、84は排気管、9はバルブ6の内面に形成された蛍光体膜である。
【0091】
この導入線1Cは3つの線材、すなわち被封着部に埋設される部分のみを封着線11や11aとし、一般的にピンチシール部83や封着部はガラスと金属との異質の部材の接合であり、封着線11や11a部は電流容量などを勘案してできる限り細いものがよい。
【0092】
また、内部導入線12はフィラメントや電極などを支持して振動や衝撃に耐えねばならないのでその抵抗値、外径や材料を選別するなどして強靭性を保たねばならない。また、外部導入線13はそのまま端子部材としてあるいは口金などに接続されランプL2を安全に点灯し、異常発生時には溶断してヒューズ作用をなし他への影響を防止するなど、この導入線1Cにおいては単なる電力供給だけでなく他の役割を備えているものである。
【0093】
そして、この3つの線材からなる導入線1Cのうち、封着線部は図2(a)や(b)に示す構成の線材からなり、内部導入線12はたとえばNi(ニッケル)線で端部にフィラメント7が継線され、外部導入線13はたとえばCu(銅)線からなる。そして、このステム8のピンチシール部83内に封着された導入線1C、1Cの封着線11,11aも上述した実施の形態と同様にステムガラスと高い気密性を保って封着され、そのシール部83にリークやクラックの発生がないとともに内部および外部導入線12、13がフィラメント7の支持および安定した電気的な接続をなさしめる長寿命の蛍光ランプL2を提供できる。
【0094】
また、本発明のガラス封着用金属線は、上記管球のほか耐塵埃性、耐湿性、耐水性、耐酸化性などガラス製などの容器内に主要機能部が収容されるダイオード素子、スイッチング素子やセンサなどの電子部品素子の密封に対しても適用ができるものである。
【0095】
すなわち軟質ガラスからなる容器内に上記封着用金属線を接続した電子部品素子を収容するとともにこの容器を密封し、容器を気密に貫通した金属線を介し内部の電子部品素子と電気的に接続させるなどのことも行え、この場合も高い気密性が得られるので電子部品の劣化を抑制して長寿命化がはかれる。
【0096】
なお、本発明は上記実施の形態に限るものではなく、たとえばガラス封着用金属線およびこの封着用金属線が封着されるガラスの熱膨張率は、85〜105×10 −7 ℃ −1 の範囲内にあるか近似した値のものであれば、熱膨張率差に起因するリークやガラスにクラックの発生がない、高い気密性および強度を有する封着が行われる。
【0097】
また、導入線の各線材は管球や電子部品などの構造、目的、形式、定格、負荷、用途、価格などに応じて適宜選択して決めればよい。
【0098】
さらに、ガラス封着用金属線の封着は、ガラス製容器を圧潰封着(ピンチシール、ボタンステムなど)、焼き細め封着など、その手段は問わない。
【0099】
【発明の効果】
請求項1の発明では、芯線外表面のガラスと封着される部位の最外表面にAu(金)、Ag(銀)あるいはPt(白金)などの上記白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属層を形成しておくことにより、封着される軟質ガラスとの熱膨脹率が近似していて応力が低減できたり、最外金属層が軟質ガラスとの封着性のよい緻密な酸化膜となり、溶融したガラスがよく酸化膜中に拡散して気密性の高い封着が得られる。
【0100】
したがって、封着部にリークやクラックの発生の虞がないとともにPt(白金)や金(Au)などの貴金属を用いても最外金属層のみとしてあるので無空の場合に比べて、その材料使用量が少なく高価になることを抑制できるガラス封着用金属線を提供できる。
【0101】
請求項2および請求項3の発明では、上記請求項1に記載と同様な効果を奏するほか、芯線と最外表面の金属層との間に中間金属層を介在させることにより、芯線と金属層との熱膨張率差を吸収して、被層に発生し易い剥離などを低減できる。
【0102】
請求項4の発明では、封着線の最外表面が金属層であるので、単一の導入線で内部導入線部や外部導入線部を共用させても、フィラメントや外部端子との接続時に作業性や導電性になんら支障を生じることがない。
【0103】
請求項5の発明では、最初から導入線の一部には金属層を形成しておかないかあるいは酸化膜などとなって後での剥離が容易に行え、単一の導入線で内部導入線部や外部導入線部の製作を容易にできる。
【0104】
請求項6の発明では、金属線からなる封着線の端部に、この封着線と異径や強靭性のある内部導入線またはおよび外部導入線を接続でき、容器内のマウントの保持を強固にしたり、容器外の外部導入線にヒューズ機能を持たすことなどができる。
【0105】
請求項7の発明では、ガラス材質や価格などに応じ種々の芯線や金属層材料を選ぶことができる。
【0106】
請求項8の発明では、ガラスおよび封着用金属線の互いの熱膨脹率が合っているので、封着に起因するリークの発生や歪力によるクラックの発生などがなく、信頼性の高い気密封着が得られる。
【0107】
請求項9ないし請求項12の発明では、上記請求項1ないし請求項8に記載した効果を奏する封着用金属線を用いているので、軟質ガラス製の透光性容器やステムと気密性の高い封着を行うことができ、長寿命化した管球を提供できる。
【0108】
請求項13の発明では、上記請求項1ないし請求項8に記載した効果を奏する封着用金属線を用いているので、軟質ガラス製の容器などと気密性の高い封着を行うことができ、長寿命化した密封形の電気部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明に係わる各種導入線の実施の形態を示す正面図である。
【図2】(a)および(b)は、被層構造が異なるガラス封着用金属線の図1において矢視a−a線に沿って切断した部分の横断面である。
【図3】本発明に係わる管球(小形電球)の実施の形態を示す拡大縦断面図である。
【図4】本発明に係わるガラス封着用金属線の他の実施の形態を示す拡大横断面図である。
【図5】本発明に係わる管球(蛍光ランプ)の他の実施の形態を示す要部の一部切欠断面図である。
【符号の説明】
L1:小形電球(管球)
L2:蛍光ランプ(管球)
1A〜1C:導入線
11,11a,11b:ガラス封着用金属線
11:封着線部(被封着部)
12:内部導入線
13:外部導入線
2:芯線
3,4:中間金属層
5:最外金属層
6:バルブ(透光性気密容器)
61:封着部
7:フィラメント(電極)
【発明の属する技術分野】
本発明は軟質ガラスに気密封着される封着用金属線、この封着用金属線を封着した軟質ガラスバルブに代表される透光性気密容器内に発光源を封入した電球や蛍光ランプなどの管球あるいは気密容器内に整流素子を封装したダイオードなど、容器内の気密保持をはかるとともに導電機能を必要とする電気部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
管球たとえば電球では、透光性容器を形成するガラスバルブ内にフィラメントの蒸発を抑え発光効率を高めるためアルゴンなどの希ガスを封入し、このバルブ内を気密に保っている。管球を構成するバルブとステムやビーズとは、ほぼ同じ熱膨張率を有するガラスを用いているため融着して容易に気密が保持できるが、フィラメントへの通電を行う導入導体(導入線)としては金属線が必要で、軟質ガラス封着用の金属線としては耐蝕性や耐酸化性に優れガラス部材と熱膨張率が近似した白金線が知られている。
【0003】
しかし、この白金線は高価であるため、これに変わるガラス材質に熱膨張率を近ずけたジュメット線がよく知られ、また、多く用いられている。
【0004】
このジュメット線はガラスに対する熱膨張率および融着性の点から完成されたもので、Fe(鉄)−Ni(ニッケル)合金芯線の上にCu(銅)層が形成され、さらに、このCu(銅)層の表面にはガラスとの融着の際その酸化速度を鈍らせ過度の酸化を防ぐため水分のない硼砂(B4 O7 Na2 )の薄膜が形成、いわゆるボレーション処理がなされている。
【0005】
このボレーション処理したジュメット線と軟質ガラスとの封着は780〜820℃程度で行なわれ、ガラス質の硼砂(B4 O7 Na2 )がステムのガラスと融合するとともに封着用金属線の表面のCu2 O(亜酸化銅)膜がガラス中に拡散してガラスと密着した高気密度の封着を行うことができる。
【0006】
そして、管球の導入導体(導入線)として、たとえば口金付電球などにおいては、バルブ内のフィラメントを保持する内部導入線部分、ガラスとの封着線部分およびバルブ外の口金の端子に接続される外部導入線部分の各部を別部材の3部品で構成し、ガラスとの封着部分に上記封着用金属線(ジュメット線)を用いる場合もあるが、表示用の無口金形の小形電球などの場合は、内部導入線部分および外部導入線部分をも上記封着用の金属線を共通して用いる単一の線材で構成した導入導体(導入線)が多用されている。
【0007】
この導入導体(導入線)を単一の部材で構成する場合、フィラメントは内部導入線に叩き込みあるいは挟み込むクランプなどの手段により継線保持されるのが一般的であるが、最外表面に形成された硼砂(B4 O7 Na2 )は電気絶縁物であり、この硼砂(B4 O7 Na2 )膜を破壊してCu(銅)層などの導電体と直接接触していないとフィラメントと内部導入線との接続が不確実、かつ、不安定であって、この継線部における電気抵抗に瞬間的な変動が起こり易いということがあった。すなわち、導入導体(導入線)に通電してもフィラメントが不所望に点滅することがあった。特に、この点滅は電球に振動が加わったときなどに多く発生していた。
【0008】
また、導入導体(導入線)の内部導入線部分は、ステムやビーズなどに封着線部分を封着する際の加熱で酸化され脆くなることがある。そして、フィラメントとの継線の際に表面の酸化膜や硼砂(B4 O7 Na2 )が剥がれ、これらの脱落物がフィラメントに付着するとフィラメントを短絡して、フィラメントの蒸発が加速されて早期に光束の低下やフィラメント断線を招く不具合がある。
【0009】
また、外部導入線は口金やプリント基板などの端子部と半田付けや溶接などの手段で接続されたり、無口金電球の場合は封着部に添設した外部導入線と端子とが単なる圧接による接続で、導入線の表面に酸化膜や絶縁膜があるとこれまた電気的な接続が不安定で、振動などが加わったときに電球に不所望な点滅を起こすなどの問題があった。
【0010】
また、導入線を内部、外部導入線および封着用金属線の3パーツ(部品)線で構成したものは、互いの端面を突合わせ溶接によって接合しているが、溶接部に硼砂(B4 O7 Na2 )分の混融があると接合強度の低下を招くことがあった。
【0011】
さらに、上記硼砂(B4 O7 Na2 )膜を形成した封着線は、硼砂(B4 O7 Na2 )膜の吸湿性が高いため、保管状態が悪いと変質して気密性の高い封着ができないなど、乾燥庫などでの格別の保管器具を要し長期保管が好ましくないなどのこともある。
【0012】
そこで、電気的な接続部分となる部位に形成された硼砂(B4 O7 Na2 )膜を酸処理により除去することが行われていたが、除去処理や除去した後にメッキ処理などの後処理を行う作業が環境問題などで実施困難な状態にある。
【0013】
また、バルブ内にHg(水銀)を封入した蛍光ランプなどにおいては、上記封着線あるいはボレーション処理を施していない最外層をCu(銅)層とした封着線では還元作用によって表面に清浄なCu(銅)層があらわれ、Hg(水銀)と反応してCu(銅)・Hg(水銀)アマルガムが形成され、このアマルガムの結晶化応力によりCu2 O(亜酸化銅)膜層の剥離が起こり封着線の表面に黒しみができ、これが起因して封着線とガラスとの封着部にリークを発生することがある。
【0014】
さらに、外部導入線として最外層をCu(銅)層とした封着線を用いた場合、Cu(銅)層は酸化し易く、また、化学的にも耐蝕性に劣り上述したと同様に早期に電気的な導通が不具合になることがあった。
【0015】
そこで、上記硼砂(B4 O7 Na2 )を用いた場合の問題を解消するものとして、Fe(鉄)−Ni(ニッケル)合金芯線の表面あるいは芯線上のCu(銅)層の表面にNi(ニッケル)層を形成した封着線が開発、実用化され、このことはたとえば特公昭46−3655号公報や特開昭50−10261号公報に開示されている。
【0016】
このNi(ニッケル)層を形成した封着線もガラスとの封着に際しては、Ni(ニッケル)層を酸化させガラスとの気密封着性をよくするようにしている。
【0017】
しかし、ガラスとの封着作業における加熱により同時にNi(ニッケル)層を有する封着線に酸化膜を形成させることは、加熱条件が微少に変化しても酸化膜の量や質が変わりそのコントロールが難しかった。また、Ni(ニッケル)の酸化物は下地層との密着性が悪いうえにガラス中への拡散がしにくいことから、ガラスに溶解し難くリークなどが発生して気密性が低下するなど、信頼性の高い封着ができないことがあった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を除去し、軟質ガラスとの密着性がよくリークやクラックなどの発生の虞がないとともにPt(白金)などの貴金属を用いても使用量が僅かで材料費の高騰を抑制できる封着作業が容易な気密封着用の金属線およびこの金属線を用いた管球ならびに電気部品を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のガラス封着用金属線は、芯線と、上記芯線の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層とを備えていることを特徴としている。
【0020】
芯線の最外表面にたとえばPt(白金)などの金属層を形成したガラス封着用金属線からなる導入線は、ガラス部材と封着させる際、両者の熱膨脹率が近似していたりあるいはガラスを溶融加熱するバーナ熱がガラスに近接する金属線部分にもおよび、大気中にある金属線の最外表面に緻密な酸化物層を形成して、この酸化物がガラスに拡散していき両者が密着して気密性の高い封着を行うことができる。
【0021】
そして、この封着用金属線の最外表面に形成される金属層は、Pt(白金)に限らず、Au(金)、Ag(銀)またはRu(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Os(オスミウム)やIr(イリジウム)などの白金族元素のうちから選ばれた金属であってもよい。
【0022】
また、芯線の外表面側に形成する上記選ばれた金属からなる金属層は1層に限らず、異種の金属を2層以上の複数層重層形成してもこれらが合金層を形成して不具合はない。
【0023】
なお、本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味はつぎによる。
【0024】
本発明に関わるガラス封着用金属線は、少なくともガラスと封着される部位の最外表面にAu(金)、Ag(銀)あるいはPt(白金)などの上記白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属層からなる、軟質ガラスとその熱膨脹率差が近似しているなじみのよい材料の被層が形成されている。
【0025】
この最外表面の金属層の層厚は、薄過ぎると熱膨脹率差を吸収できなかったりあるいは酸化層が形成できずガラスとの密着力が弱く引張力が加わると封着線が抜けでるものが発生し、また、厚過ぎるとガラス部材と金属層との間が多孔質状となって封着線部周囲からのリークが生じる虞が多くなり、水銀を封入した管球では、この多孔質状部に水銀が浸透拡散してリークを促進して好ましくない。
【0026】
本発明では、上記事情から最外金属層の層厚は0.05μm〜0.7μm程度、好ましくは0.1μm〜0.6μm、ばらつきなどを考慮した実用的には0.1μm〜0.4μmの範囲内であればよい。
【0027】
また、このガラス封着用金属線が気密封着用として適用できるガラス部材は、熱膨張率(30〜300℃)がこの金属線と近似している85〜105×10 −7 /℃ −1 の範囲内にあるソーダライムガラスや鉛ガラスなどの軟質ガラスを用いることができる。
【0028】
さらに、このガラス封着用金属線は、気密容器が軟質ガラスで形成される管球や電気部品に用いられ、管球としては汎用の電球や蛍光ランプ、点灯管、ネオン管などの放電ランプなど種々のランプに、さらにまた、電気部品としては耐塵埃性、耐湿性、耐水性、耐酸化性などが求められるガラス製などの容器内に主要機能部が収容されるダイオード素子、スイッチング素子やセンサなどの密封を行うことができる。
【0029】
本発明の請求項2記載のガラス封着用金属線は、芯線と、上記芯線の表面に形成された銅またはニッケルからなる中間金属層と、上記中間金属層の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層とを備えていることを特徴としている。
【0030】
封着用金属線(導入線)をガラス部材と封着させる際の加熱で、下地層のCu(銅)またはNi(ニッケル)部分が外表面側の薄層のPt(白金)などの金属層に拡散してくる。そして、軟質ガラスとの封着時にCu−Pt合金層やNi−Pt合金層は、Cu(銅)やNi(ニッケル)およびPt(白金)がガラスとの封着性のよい緻密な酸化物すなわちCu2 O(亜酸化銅)やNiO(酸化ニッケル)となってガラス中に拡散していき、気密性の高い封着が行える。
【0031】
また、芯線2の表面にCu(銅)またはNi(ニッケル)からなる中間金属層を介在させることにより芯線とPt(白金)などの金属層との熱膨張率差を吸収でき、芯線表面側に形成した被層に発生し易い剥離などを低減できる作用を奏する。
【0032】
また、中間金属層は一層に限らず、芯線や金属層の保護のため、あるいは熱膨張率差を段階的に合わせるなどのため、さらに第二の中間金属層など、下層の外側表面に順次重層した複数層であってもよい。
【0033】
また、芯線の表面にCu(銅)からなる中間金属層を形成し、この中間金属層の外表面にPt(白金)などの金属層を被層した場合は、最外表面のPt(白金)などの金属層の層厚さがCu(銅)からなる中間金属層の層厚に比べて薄層とすることによって、ガラスとの封着時に封着状態を正確に把握できる。
【0034】
すなわち、封着用金属線(導入線)をガラス部材と封着させる際の加熱で、封着用金属線も最外表面に露出しているPt(白金)などの金属層とともにその下地層のCu(銅)層も加熱される。この加熱によりCu(銅)層のCu(銅)が表面側の薄層のPt(白金)などの金属層に拡散し、さらにこのPt(白金)などの最外表面の金属層がガラス中に拡散して高気密度の封着が行われる。
【0035】
この封着状態の確認は、加熱前の封着用金属線の最外表面がたとえばPt(白金)金属層の場合、表面色が光沢のある灰白色であるのが、良好な封着であれば下層のCu(銅)層の拡散により薄いPt(白金)がCu2 O(亜酸化銅)特有の黄金色または薄桃色したCu(銅)色に変化することにより分かる。
【0036】
そして、ガラス中に封着した金属線の封着線部の表面の色が原色に近いままの略灰白色であれば、加熱が不足していて封着線部はCu(銅)層の拡散がないことを示し、また、封着線部の表面が黒色(CuO)を呈している場合は、逆に加熱し過ぎ酸化したCu(銅)が表面に拡散していることを現し、この色調の変化を限度見本などにより対比し封着状態の判断基準として、気密性に対する良否を判定することができる。
【0037】
本発明の請求項3記載のガラス封着用金属線は、芯線と、上記芯線の表面に形成された銅からなる第1の中間金属層と、上記第1の中間金属層の表面に形成されたニッケルからなる第2の中間金属層と、上記第2の中間金属の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層とを備えていることを特徴としている。
【0038】
下地層のCu(銅)層部分が外表面側のNi(ニッケル)層部分に拡散してNi−Cu合金をつくるとともに外表面側にもCu(銅)が拡散してくる。そして、軟質ガラスとの封着時にNi−Cu合金層は、Cu(銅)がガラスとの封着性のよい緻密な酸化物すなわちCu2 O(亜酸化銅)となってガラス中に拡散していき、気密性の高い封着が行える。また、耐酸化性の高い表面のNi(ニッケル)は薄いのでCu(銅)と合金化することで適度に酸化して、ガラスとの気密封着を阻害することが少ない。
【0039】
本発明の請求項4記載のガラス封着用金属線は、単一線であることを特徴としている。
【0040】
一本のガラス封着用金属線を封着部、内部導入線部および外部導入線部と共通して使用しても、フィラメントや外部端子との接続時に導電的になんら支障が生じない。また、この場合は他の線材との溶接などが不要で製作が容易であるとともに材料も節約できる。
【0041】
本発明の請求項5記載のガラス封着用金属線は、最外側に金、銀または白金族元素からなる金属層が形成されていない部分を有していることを特徴としている。
【0042】
封着部以外の内部導入線部や外部導入線部の最外面に金、銀または白金族元素からなる被層が形成されていなくても、芯線や下地層の金属がそれぞれ電気的な接続部材としての機能を有するとともに上記請求項5に記載したと同様な作用を奏する。
【0043】
本発明の請求項6記載のガラス封着用金属線は、少なくとも一方の端部に内部導入線または/および外部導入線を接続していることを特徴としている。
【0044】
封着線の端面が金属面であるので端部に内部導入線またはおよび外部導入線を溶接等の手段で容易に接続することができる。すなわち、導入線を封着線の端部に内部導入線および外部導入線の3つの線材を接続した3パーツ(部品)線や、封着線と内部導入線を共用しこれに外部導入線を接続したものや封着線と外部導入線を共用しこれに内部導入線を接続した2パーツ(部品)線であってもよい。
【0045】
本発明の請求項7記載のガラス封着用金属線は、芯線が、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Mo−Co−Si合金、Fe−Co合金、Ptから選ばれたものであることを特徴としている。
【0046】
上記材質から選ばれ、線材の半径方向の熱膨張率が85〜105×10 −7 ℃ −1 の範囲内にあり、封着される軟質ガラスの熱膨張率と同じか近似した値のものであればよい。また、被封着物のガラス材質や価格などに応じ種々の芯線や金属層材料を選べばよい。
【0047】
本発明の請求項8記載のガラス封着用金属線は、全体の熱膨張率(30〜300℃)が85〜105×10 −7 /℃ −1 の範囲内にあることを特徴としている。
【0048】
封着線の熱膨張率を封着するガラスの熱膨張率と合わせてあり、これが範囲外となるとリーク発生や歪力大による気密封着および強固な封着部の形成ができなくなる。
【0049】
本発明の請求項9記載の管球は、軟質ガラスからなる透光性容器と、上記透光性容器の端部に封着された上記請求項1ないし請求項8のいずれか一に記載されたガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極とを具備していることを特徴としている。
【0050】
上記請求項1ないし請求項8に記載されたように、このガラス封着用金属線を軟質ガラス製の透光性容器(バルブ)に封着した場合は、気密性の高い封着を行うことができ、管球を長寿命化できる。
【0051】
また、透光性容器(バルブ)に封着される導入線の形態としては、導入線の封着線部が直接に容器(バルブ)のガラスと封着されるものであっても、あるいはバルブのガラスと近似した熱膨張率を有するビーズ(ガラス片)中に一対の導入線の封着線部を貫通して気密封着させたビーズマウントを用いた場合も、本発明は適用されるものである。
【0052】
すなわち、透光性容器(バルブ)にビーズマウントを封着する場合ではなく、フィラメントなど電極を所定間隔で支持させておく必要があるなどのことから一対の導入線をバルブのガラスと近似した熱膨張率を有するビーズ(ガラス片)中に貫通し気密封着させてマウントを構成しておき、このマウントのビーズ部分と容器(バルブ)とを封着することも多く採用されていて、このようにビーズ部分に導入線の封着線部を封着する場合も上述したと同様な作用を奏し、本発明はこのビーズを用いた管球も包含するものである。
【0053】
また、蛍光ランプなどの放電ランプの場合はフィラメントは電極と呼び変えられ、また、フィラメント電極ではなく、金属などの導電体の板、管棒や塊からなる冷陰極であってもよい。また、これらフィラメント(電極)は、封着線に直接継線せずに他の部材を介して電気的接続と機械的な保持がなされていてもよい。
【0054】
本発明の請求項10記載の管球は、軟質ガラスからなる透光性容器と、上記透光性容器の端部に封着されるとともに最外金属層を形成していない部分を封着部外に延在した上記請求項5または6に記載のガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極とを具備していることを特徴としている。
【0055】
上記導入線が封着線部の端部に内部導入線および外部導入線の3つの線材を接続した3パーツ(部品)線や、封着線と内部導入線を共用しこれに外部導入線を接続したものや封着線と外部導入線を共用しこれに内部導入線を接続した2パーツ(部品)線を用いて管球を構成した場合も、上記請求項9記載と同様な作用を奏する。
【0056】
本発明の請求項11記載の管球は、軟質ガラスからなる透光性容器と、上記透光性容器の端部に封止された軟質ガラス製のステムと、上記ステムに封着された上記請求項1ないし8のいずれか一に記載のガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極とを具備していることを特徴としている。
【0057】
軟質ガラス製のステムと気密性の高い封着を行うことができ、管球を長寿命化できる。
【0058】
本発明の請求項12記載の管球は、軟質ガラスからなる透光性容器と、上記透光性容器の端部に封着された軟質ガラス製のステムと、上記ステムに封着されるとともに最外金属層を形成していない部分をステムの封着部外に延在した請求項5または6に記載のガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極とを具備していることを特徴としている。
【0059】
上記3パーツ(部品)線や2パーツ(部品)線を封着したステムを用いて管球を構成した場合も、上記請求項11記載と同様な作用を奏する。
【0060】
本発明の請求項13記載の電気部品は、軟質ガラスからなる容器と、上記容器に封着された上記請求項1ないし8の一に記載されたガラス封着用金属線と、上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電子部品素子とを具備していることを特徴としている。
【0061】
軟質ガラス製の容器などと気密性の高い封着を行うことができ、電気部品を長寿命化できる。本発明は管球のほか耐塵埃性、耐湿性、耐水性、耐酸化性などガラス製などの容器内に主要機能部が収容されるダイオード素子、スイッチング素子やセンサなどの電子部品の密封に対しても適用ができるものである。そして、上記素子類は封着線に直接あるいは封着線に他の線材や部材を接続した上記3パーツ(部品)線や2パーツ(部品)線などで電気的接続がなされていればよい。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。図1は各種導入線の形態を示す正面図で、(a)図は単一線、(b)図は2パーツ(部品)線、(c)図は3パーツ(部品)線である。また、図2(a)および(b)は被層構造が異なるガラス封着用金属線の図1において矢視a−a線に沿って切断した部分の横断面図、図3は図2に示す封着用金属線を用いた表示用などの小形電球の縦断面図である。
【0063】
図1(a)は単一線からなる導入線1Aで全体がガラス封着用金属線11で構成されている。この導入線1A(ガラス封着用金属線)は図2(a)または(b)に示す断面構造をなす。
【0064】
図2(a)の導入線1A(ガラス封着用金属線11)は、中心にたとえばFe(鉄)50重量%−Ni(ニッケル)50重量%の合金からなる直径約0.25mmで半径方向の熱膨脹率(30〜300℃)が95〜100×10 −7 /℃ − 1 の芯線2を有し、この芯線2の外周囲表面には最外側層としてたとえばPt(白金)からなる層厚が約0.2μmの金属層5が形成してある。
【0065】
また、図2(b)も図2(a)と同様な導入線1A(ガラス封着用金属線11a)で、中心にはたとえばFe(鉄)50重量%−Ni(ニッケル)50重量%の合金からなる直径約0.25mmで半径方向の熱膨脹率(30〜300℃)が95〜100×10 −7 /℃ −1 の芯線2を有し、この芯線2の外周囲表面にはCu(銅)またはNi(ニッケル)、ここではたとえば層厚が約20μmのCu(銅)からなる中間金属層3が形成され、さらに、このCu(銅)層の外側表面にはたとえば層厚が約0.2μmのPt(白金)からなる最外金属層5が重層形成してある。
【0066】
この図2(a)および(b)に示すような構造のガラス封着用金属線11,11aの製造は、外径を所定寸法に仕上げた芯線2の外側表面に直接所定層厚のPt(白金)をめっき(金属線11)またはCu(銅)およびPt(白金)を重層めっき(金属線11a)することによって得たり、あるいは所定寸法より大径の芯線2をPt(白金)製のスリーブやテープで覆ったり(金属線11)、芯線2をCu(銅)製のスリーブやテープで覆うとともにさらにこの上をPt(白金)製のスリーブやテープで覆い(金属線11a)、この被覆された金属部材を圧延することにより所定の径および層厚さを有する線状の封着用金属線11,11aが造られ、これを所定長さで切断することにより単一線からなる導入線1Aが得られる。
【0067】
また、図3は上記導入線1Aを使用してなる小形電球L1で、この電球L1は外径が約5mm、全長が約10mmのソーダライムガラスまたは鉛ガラスなどの軟質ガラス(熱膨脹率(30〜300℃)が85〜105×10 −7 /℃ −1 )製の透光性気密容器を形成するバルブ6を備え、このガラスバルブ6端部の閉塞した封着部61内には一対の上記導入線1Aが封着されている。
【0068】
なお、このガラスバルブ6と導入線1Aとは、導入線1Aを直接にバルブ6と封着することもあるが、フィラメント7を所定間隔で支持させておく必要があるなどのことから一対の導入線1A,1Aをバルブのガラスと近似した熱膨張率を有するビーズ(ガラス片)中に貫通させ気密封着してマウントを構成しておき、このマウントのビーズ部分とバルブ6とを封着することも多く採用されている。
【0069】
上記導入線1A(封着用金属線11,11a)は、全体の熱膨脹率(30〜300℃)がたとえば95〜100×10 −7 /℃ −1 で、所定長さたとえば約15mmに切断され、封着線(被封着部)11(または11a)部分とバルブ6内に延在する内部導入線12部分およびバルブ6外に延在する外部導入線13部分とが共通する単一線からなる。
【0070】
そして、バルブ6内の内部導入線12、12の先端部間には発光源としてタングステン細線を巻回したコイル状のフィラメント7がクランプや溶接などの手段で継線してあるが、最外表面のPt(白金)層5は良好な導電体でありこの間において接触不良とはならず、確実な電気的接続とフィラメント7の保持を果す。
【0071】
また、封着部61からバルブ1外に延出した外部導入線13、13は互いに接触しないよう分けられている。なお、上記バルブ6内にはアルゴンなどの不活性ガスが封入されるか、あるいは真空雰囲気にしてある。
【0072】
上記小形電球L1は、バルブ6の閉塞と導入線1A,1Aを封着(ビーズを用いる場合はビーズと導入線1A.1Aを封着)する作業時に、封着部61においてバルブ6(またはビーズ)を溶融加熱するバーナ熱がバルブ6(またはビーズ)に近接する封着線11(または11a)(被封着部)部分にもおよび、大気中にある導入線1A.1Aの最外表面のPt(白金)金属層5部分をも昇温してバルブ6(またはビーズ)のガラス中に埋没させ両者が密着して気密性の高い封着が行われる。
【0073】
また、図2(b)に示されるガラス封着用金属線11aの場合は、芯線2と最外表面のPt(白金)金属層5との間に、Cu(銅)またはNi(ニッケル)からなる中間金属層3が形成してある。このように芯線2上にCu(銅)などからなる中間金属層3を介在させることにより芯線2とPt(白金)金属層5との熱膨張率差を吸収でき、芯線2表面側に形成した被層に発生し易い剥離などを低減できる作用効果を奏する。
【0074】
また、このガラス封着用金属線11aは、最外表面のPt(白金)の金属層5の下地層としてPt(白金)より耐酸化性および耐蝕性に優れたCu(銅)またはNi(ニッケル)からなる中間金属層3が形成してあるので、大気中における通常の加熱では問題なくPt(白金)の金属層5部分がガラスと融着でき、また、たとえ加熱が強すぎて上記封着線(被封着部)11a部分の最外表面のPt(白金)の金属層5部分が過酸化しても下地層のCu(銅)またはNi(ニッケル)からなる中間金属層3は過酸化されず、ガラスは上記最外表面のPt(白金)金属層5部分およびCu(銅)やNi(ニッケル)からなる中間金属層3に拡散していき高い気密性の封着が行える。
【0075】
また、中間金属層3としてCu(銅)を、最外表面の金属層5としてPt(白金)を重層した封着線(被封着部)11aの場合は、ガラスとの封着状態を封着線(被封着部)11aの最外表面の色調の変化により判断して、良否の判定を容易に行うことができる。
【0076】
そして、この導入線1Aは、封着線(被封着部)11または11a部に形成される最外金属層5がPt(白金)からなり、このPt(白金)の熱膨張率が92.5×10 −7 /℃ −1 であって、封着されるバルブ6のガラスの熱膨張率と近似しているので、生じる応力もないかあっても僅かであり、最外金属層5の形成に際してその層厚は芯線2の熱膨張率に合わせ適宜決めれば、封着部61にリークや歪みによるクラックなどの発生がない。
【0077】
また、上記導入線1Aの封着部61に封着された封着線11または11a部分から封着部61外に延出した外部導入線13部分は、封着作業時などに封着線11または11a部分ほど昇温しないのとPt(白金)を用いていることで、酸化や腐蝕に優れた耐性を有し、この外部導入線13部分を直接に口金や配線基板などの端子部材に圧接させたりあるいはろう付けや溶接などの手段で接続することが可能である。
【0078】
つぎに、上記小形電球L1の構成において、導入線1A部分に関係する種々の強度試験を行った結果を比較用の従来電球と対比して表1に示す。なお、比較用の従来電球に使用した導入線(封着用金属線)は、芯線(Fe(鉄)−Ni(ニッケル)合金)の外表面にCu(銅)層と無水ホウ砂(B4 O7 Na2 )膜とを重層形成したジュメット線で、導入線以外は同一材料で同一構成としてある。
【0079】
試験1)は、電球の封着部を固定し外部導入線13部分を延出方向に2kgf(19.6N)で引張った後の封着線11部分の界面部分におけるリークの発生数を調べた(試験個数100個)。試験2)は、試験1と同じ方法で2kgf(19.6N)で引張った後、封着部61から導入線1Aの封着線11がガラス中から剥がれ抜けでる発生数を調べた(試験個数10個)。試験3)は、試験1と同じ方法で3.5kgf(34.3N)で引張ったときの強度を調べた(封着部破壊とは導入線1Aが切断せず導入線とガラスとの界面から破壊したもの、また、導入線1A切断とは封着部61に破壊が起こらず導入線1Aが切断したものを指す。)。試験4)は、小形電球L1を液温20℃の10%シアン化カリウム(KCN)水溶液中に浸漬してのリーク(検査は高周波による。)の発生数を調べた(試験個数100個)。試験5)は、導入線(封着線11)を大気中で約600℃、3分間加熱経過後の重量変化(%)を測定した(試験個数1000個の平均値)。
【0080】
なお、この試験5)において、加熱後の重量増加は酸化物が生成されたことによるもので、酸化物が存在しているとバルブ内に不純ガスの発生があって好ましくなく、重量変化がないことはガスの吸蔵がないことを示す。また、これらの諸試験1)〜5)の条件は実使用に比べ相当過酷なものである。
【0081】
【表1】
これらの試験1)〜5)の結果から、本発明に係わる電球L1は従来電球と比較して各種強度が向上でき、封着線11部の最外金属層をPt(白金)で形成しても、従来品に比べガラスとの気密封着性に優れていることが確認できた。
【0082】
なお、本発明者等の考察によると上記封着用金属線1Aの最外側表面に形成したPt(白金)層の層厚は、0.05μm〜0.7μm程度、好ましくは0.1μm〜0.6μm、ばらつきなどを考慮した実用的には0.1μm〜0.4μmの範囲内であればよく、層厚が0.7μmを超すと封着線11部分とガラスとの界面からのリークを生じるものがあった。
【0083】
また、図4は本発明に係わるガラス封着用金属線の他の実施の形態を示す横断面図で、図中、図2(b)と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。この実施の形態のものは図2(b)の封着用金属線11aと相違する点は、芯線2の外周囲表面のCu(銅)からなる層厚が約20μmの第1の中間金属層3の外側表面に、さらにたとえばまたはNi(ニッケル)からなる層厚が約0.2μmの第2の中間金属層4を形成し、このNi(ニッケル)からなる中間金属層4の外側表面にたとえば層厚が約0.2μmのPt(白金)からなる最外金属層5が重層形成され封着用金属線11bを構成している。
【0084】
このように芯線2上にCu(銅)およびNi(ニッケル)からなる2層の中間金属層3,4を介在させPt(白金)からなる最外金属層5を形成した封着用金属線11bは、剥離などを低減できる作用効果を奏する。
【0085】
また、上記実施の形態では封着用金属線11,11a,11bの最外金属層5をPt(白金)で形成したが、この最外金属層5はPt(白金)に限らず、Au(金)、Ag(銀)あるいはRu(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Os(オスミウム)やIr(イリジウム)などの白金族元素であっても、上記実施の形態に示したPt(白金)と同様な作用効果を奏する。
【0086】
また、上記実施の形態の小形電球L1では、導入線1Aとして図1(a)に示すガラス封着用金属線11や11aが内外導入線12,13を兼ねる単一線を用いた場合について述べたが、導入線1Aとしては単一線に限らず図1(b)および(c)に示すような構成であってもよい。
【0087】
この図1(b)に示す導入線1Bは、封着線部分と内部導入線部分または外部導入線部分ここでは内部導入線部分とが同じガラス封着用金属線11や11aからなり、封着線11や11aと外部導入線13の各端面が突合わせ溶接により接合一体化して形成された2パーツ(部品)線と呼ばれる2つの線材から構成されている。なお、図中1wは溶接部である。
【0088】
また、図1(c)に示す導入線1Cは、封着線11や11aの一端に内部導入線12を、他端に外部導入線13の端面を突合わせて溶接などの手段で接合一体化して形成された3パーツ(部品)線と呼ばれる3つの線材から構成されている。
【0089】
図5はこの図1(c)に示す導入線1Cを用いた本発明の管球の他の実施の形態を示し、図中図1ないし図3と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。この図5はバルブ端部を閉塞する構造の一般照明用の電球や蛍光ランプなどの管球に用いられるステム8部分を主体に示す、ここでは蛍光ランプL2のバルブ端部の縦断面である。
【0090】
このステム8は、たとえば鉛ガラス製のステムチューブ81の一端をバルブ6の開口部と適合するよう拡開されたフレア部82を有し、他端側の溶融圧潰されたピンチシール部83内には一対の導入線1C、1Cの封着線11や11aを気密に封着している。なお、84は排気管、9はバルブ6の内面に形成された蛍光体膜である。
【0091】
この導入線1Cは3つの線材、すなわち被封着部に埋設される部分のみを封着線11や11aとし、一般的にピンチシール部83や封着部はガラスと金属との異質の部材の接合であり、封着線11や11a部は電流容量などを勘案してできる限り細いものがよい。
【0092】
また、内部導入線12はフィラメントや電極などを支持して振動や衝撃に耐えねばならないのでその抵抗値、外径や材料を選別するなどして強靭性を保たねばならない。また、外部導入線13はそのまま端子部材としてあるいは口金などに接続されランプL2を安全に点灯し、異常発生時には溶断してヒューズ作用をなし他への影響を防止するなど、この導入線1Cにおいては単なる電力供給だけでなく他の役割を備えているものである。
【0093】
そして、この3つの線材からなる導入線1Cのうち、封着線部は図2(a)や(b)に示す構成の線材からなり、内部導入線12はたとえばNi(ニッケル)線で端部にフィラメント7が継線され、外部導入線13はたとえばCu(銅)線からなる。そして、このステム8のピンチシール部83内に封着された導入線1C、1Cの封着線11,11aも上述した実施の形態と同様にステムガラスと高い気密性を保って封着され、そのシール部83にリークやクラックの発生がないとともに内部および外部導入線12、13がフィラメント7の支持および安定した電気的な接続をなさしめる長寿命の蛍光ランプL2を提供できる。
【0094】
また、本発明のガラス封着用金属線は、上記管球のほか耐塵埃性、耐湿性、耐水性、耐酸化性などガラス製などの容器内に主要機能部が収容されるダイオード素子、スイッチング素子やセンサなどの電子部品素子の密封に対しても適用ができるものである。
【0095】
すなわち軟質ガラスからなる容器内に上記封着用金属線を接続した電子部品素子を収容するとともにこの容器を密封し、容器を気密に貫通した金属線を介し内部の電子部品素子と電気的に接続させるなどのことも行え、この場合も高い気密性が得られるので電子部品の劣化を抑制して長寿命化がはかれる。
【0096】
なお、本発明は上記実施の形態に限るものではなく、たとえばガラス封着用金属線およびこの封着用金属線が封着されるガラスの熱膨張率は、85〜105×10 −7 ℃ −1 の範囲内にあるか近似した値のものであれば、熱膨張率差に起因するリークやガラスにクラックの発生がない、高い気密性および強度を有する封着が行われる。
【0097】
また、導入線の各線材は管球や電子部品などの構造、目的、形式、定格、負荷、用途、価格などに応じて適宜選択して決めればよい。
【0098】
さらに、ガラス封着用金属線の封着は、ガラス製容器を圧潰封着(ピンチシール、ボタンステムなど)、焼き細め封着など、その手段は問わない。
【0099】
【発明の効果】
請求項1の発明では、芯線外表面のガラスと封着される部位の最外表面にAu(金)、Ag(銀)あるいはPt(白金)などの上記白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属層を形成しておくことにより、封着される軟質ガラスとの熱膨脹率が近似していて応力が低減できたり、最外金属層が軟質ガラスとの封着性のよい緻密な酸化膜となり、溶融したガラスがよく酸化膜中に拡散して気密性の高い封着が得られる。
【0100】
したがって、封着部にリークやクラックの発生の虞がないとともにPt(白金)や金(Au)などの貴金属を用いても最外金属層のみとしてあるので無空の場合に比べて、その材料使用量が少なく高価になることを抑制できるガラス封着用金属線を提供できる。
【0101】
請求項2および請求項3の発明では、上記請求項1に記載と同様な効果を奏するほか、芯線と最外表面の金属層との間に中間金属層を介在させることにより、芯線と金属層との熱膨張率差を吸収して、被層に発生し易い剥離などを低減できる。
【0102】
請求項4の発明では、封着線の最外表面が金属層であるので、単一の導入線で内部導入線部や外部導入線部を共用させても、フィラメントや外部端子との接続時に作業性や導電性になんら支障を生じることがない。
【0103】
請求項5の発明では、最初から導入線の一部には金属層を形成しておかないかあるいは酸化膜などとなって後での剥離が容易に行え、単一の導入線で内部導入線部や外部導入線部の製作を容易にできる。
【0104】
請求項6の発明では、金属線からなる封着線の端部に、この封着線と異径や強靭性のある内部導入線またはおよび外部導入線を接続でき、容器内のマウントの保持を強固にしたり、容器外の外部導入線にヒューズ機能を持たすことなどができる。
【0105】
請求項7の発明では、ガラス材質や価格などに応じ種々の芯線や金属層材料を選ぶことができる。
【0106】
請求項8の発明では、ガラスおよび封着用金属線の互いの熱膨脹率が合っているので、封着に起因するリークの発生や歪力によるクラックの発生などがなく、信頼性の高い気密封着が得られる。
【0107】
請求項9ないし請求項12の発明では、上記請求項1ないし請求項8に記載した効果を奏する封着用金属線を用いているので、軟質ガラス製の透光性容器やステムと気密性の高い封着を行うことができ、長寿命化した管球を提供できる。
【0108】
請求項13の発明では、上記請求項1ないし請求項8に記載した効果を奏する封着用金属線を用いているので、軟質ガラス製の容器などと気密性の高い封着を行うことができ、長寿命化した密封形の電気部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明に係わる各種導入線の実施の形態を示す正面図である。
【図2】(a)および(b)は、被層構造が異なるガラス封着用金属線の図1において矢視a−a線に沿って切断した部分の横断面である。
【図3】本発明に係わる管球(小形電球)の実施の形態を示す拡大縦断面図である。
【図4】本発明に係わるガラス封着用金属線の他の実施の形態を示す拡大横断面図である。
【図5】本発明に係わる管球(蛍光ランプ)の他の実施の形態を示す要部の一部切欠断面図である。
【符号の説明】
L1:小形電球(管球)
L2:蛍光ランプ(管球)
1A〜1C:導入線
11,11a,11b:ガラス封着用金属線
11:封着線部(被封着部)
12:内部導入線
13:外部導入線
2:芯線
3,4:中間金属層
5:最外金属層
6:バルブ(透光性気密容器)
61:封着部
7:フィラメント(電極)
Claims (13)
- 芯線と;
上記芯線の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層と;
を備えていることを特徴とするガラス封着用金属線。 - 芯線と;
上記芯線の表面に形成された銅またはニッケルからなる中間金属層と;
上記中間金属層の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層と;
を備えていることを特徴とするガラス封着用金属線。 - 芯線と;
上記芯線の表面に形成された銅からなる第1の中間金属層と;
上記第1の中間金属層の表面に形成されたニッケルからなる第2の中間金属層と;
上記第2の中間金属の表面に金、銀または白金族元素のうちから選ばれた少なくとも一種の金属で形成された一層ないしは多層の金属層と;
を備えていることを特徴とするガラス封着用金属線。 - 単一線であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載のガラス封着用金属線。
- 最外側に金、銀または白金族元素からなる金属層が形成されていない部分を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載のガラス封着用金属線。
- 少なくとも一方の端部に内部導入線または/および外部導入線を接続していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載のガラス封着用金属線。
- 芯線が、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Mo−Co−Si合金、Fe−Co合金、Ptから選ばれたものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載のガラス封着用金属線。
- 全体の熱膨張率(30〜300℃)が85〜105×10 −7 /℃ −1 の範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一に記載のガラス封着用金属線。
- 軟質ガラスからなる透光性容器と;
上記透光性容器の端部に封着された上記請求項1ないし請求項8のいずれか一に記載のガラス封着用金属線と;
上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極と;
を具備していることを特徴とする管球。 - 軟質ガラスからなる透光性容器と;
上記透光性容器の端部に封着されるとともに最外金属層を形成していない部分を封着部外に延在した上記請求項5または6に記載のガラス封着用金属線と;
上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極と;
を具備していることを特徴とする管球。 - 軟質ガラスからなる透光性容器と;
上記透光性容器の端部に封止された軟質ガラス製のステムと;
上記ステムに封着された上記請求項1ないし8のいずれか一に記載のガラス封着用金属線と;
上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極と;
を具備していることを特徴とする管球。 - 軟質ガラスからなる透光性容器と;
上記透光性容器の端部に封着された軟質ガラス製のステムと;
上記ステムに封着されるとともに最外金属層を形成していない部分をステムの封着部外に延在した請求項5または6に記載のガラス封着用金属線と;
上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電極と;
を具備していることを特徴とする管球。 - 軟質ガラスからなる容器と;
上記容器に封着された上記請求項1ないし8の一に記載されたガラス封着用金属線と;
上記容器内の封着用金属線に電気的に接続された電子部品素子と;
を具備していることを特徴とする電気部品。
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JP2003065135A JP2004273358A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | ガラス封着用金属線および管球ならびに電気部品 |
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JP2003065135A JP2004273358A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | ガラス封着用金属線および管球ならびに電気部品 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010514098A (ja) * | 2006-12-18 | 2010-04-30 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ | セラミック放電容器を有する高圧放電ランプ |
JP2010535401A (ja) * | 2007-08-01 | 2010-11-18 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 高い動作温度を維持しシェーリングを減らす金属および酸化物界面アセンブリ |
CN113853660A (zh) * | 2019-07-24 | 2021-12-28 | 肖特(日本)株式会社 | 气密端子 |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003065135A patent/JP2004273358A/ja not_active Withdrawn
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