JP5245414B2 - 低降伏比高強度鋼管用鋼板とその製造方法および低降伏比高強度鋼管 - Google Patents

低降伏比高強度鋼管用鋼板とその製造方法および低降伏比高強度鋼管 Download PDF

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Description

本発明は、建築構造物等に用いられる、高強度かつ低降伏比で高い靭性を有する鋼管用鋼板とその製造方法、および、その鋼板を用いた低降伏比高強度鋼管に関するものである。ここで、本発明における高強度とは、降伏応力YSが650MPa以上、低降伏比とは、降伏比YRが90%以下、高靭性とは、0℃におけるシャルピー吸収エネルギーvEが100J以上であることを意味する。また、本発明における鋼板は、板厚が9mm以上の厚鋼板のことを意味する。
近年、建築構造物等の大型化、長スパン化に伴い、それらに使用される鋼材の厚肉化、高強度化が進められている。また、それらの鋼材には、鋼構造物の地震に対する安全性を確保する観点から、高い許容応力を有すると共に、降伏比が低いことが要求されている。
鋼材の降伏比を低くすると、降伏応力以上の荷重が付加されても、破壊までに許容される応力が大きくなり、また、一様伸びも大きくなるため、塑性変形能に優れた鋼材となる。しかし、引張強さTSが780MPaを超えるような高強度鋼材では、強度確保のために合金成分を多量に添加するため、降伏比が上昇し、それに伴って延性や靭性も低下する傾向にある。
また最近では、建築構造物の意匠性を重視する観点から、また、梁の取付けなどの構造設計上の自由度を高める観点から、円形断面を持つ鋼管柱の使用が拡大している。円形鋼管の製造方法としては、遠心鋳造法で製造する方法と厚鋼板を冷間成形あるいは温間成形して製造する方法が一般的である。
前者の遠心鋳造法で製造する鋼管は、耐震性の確保に重要な破壊靭性が低く、生産性や寸法精度、溶接性の面で問題がある。また、後者の冷間成形して製造する鋼管は、破壊靭性や生産性の面では有利であるが、引張強さが780MPaを超えるような高強度の厚肉鋼板から製造するには、変形負荷が大きいために、プレス機への負担が増大したり、寸法精度が低下したりする。この点、温間成形して製造する鋼管は、破壊靭性や溶接性の面で優れているほか、寸法精度の面でも有利である反面、造管時の加熱によって焼戻しを受けて引張強さが低下し、これに伴って降伏比YRが上昇し、耐震性が低下するという問題点がある。
また、造管時の歪量の指標としては、一般に、素材の板厚をt(mm)、鋼管の外径をD(mm)としたとき、(t/D)×100(%)で表される管厚比が用いられる。この値が大きくなるのに伴い加工硬化量が大きくなるため、鋼管軸方向の降伏比YRが上昇し、耐震性の低下を招く。そのため、低降伏比の鋼管を得るには、温間加工時の加熱による焼戻しの影響と、成形歪による加工硬化量とを考慮し、造管前における鋼板の降伏比を十分に低くしておくことが必要となる。
従来、低降伏比でかつ高強度の特性を有する鋼板は、フェライトを主体とし、硬質第2相としてベイナイトあるいはマルテンサイトを分散させたミクロ組織を有するものが一般的であった。そのため、上記鋼板は、フェライトの体積分率が多い場合には、温間成形後の鋼管の母材特性を、降伏応力YSが650MPa以上の高強度でかつ降伏比YRが90%以下の低降伏比とすることが難しいという欠点があった。
そこで、高い靭性を有する低降伏比高強度鋼管を安定して得るために、より低降伏比でかつ高強度、高靭性の鋼管用素材(鋼板)の開発が要望され、この要求に応えるための種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、平均粒径20μm以上のフェライト組織中に、ベイナイトおよびマルテンサイトを1〜15%含ませた鋼管用素材の厚鋼板を冷間成形し、鋼管とすることにより、高強度と低降伏比とを達成する技術が記載されている。また、特許文献2には、ベイナイト組織の面積率を90%以上とすることにより、降伏応力650MPa以上を維持しながら冷間曲げ加工性を向上させた技術が記載されている。また、特許文献3には、化学成分を適正範囲に制御すると共に、素材のマルテンサイト比率を80%以上とすることにより、冷間成形後も高強度と低降伏比を達成する技術が記載されている。さらに、特許文献4および特許文献5には、冷間成形後の鋼管を再加熱して焼きならすことにより、高強度と低降伏比を達成する技術が記載されている。
特開2007−039811号公報 特開2007−100190号公報 特開2006−283117号公報 特開平06−128641号公報 特開平06−049541号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、フェライトの体積分率が高いため、造管後に安定して降伏応力YS:650MPa以上を達成することは難しい。また、特許文献2および特許文献3に記載された技術では、造管時の冷間成形による加工硬化によって、造管後に降伏比YR90%以下を達成することが困難であるとともに、延性、靭性等の低下が懸念される。さらに、特許文献4および特許文献5に記載された技術では、冷間成形後の鋼管を、高温で焼きならし処理することが必要であるため、鋼管の表面性状の低下や、製造コストの上昇、リードタイムの延長等の問題がある。
そこで、本発明の目的は、温間成形した鋼管における母材の降伏応力YSが650MPa以上、降伏比YRが90%以下を安定して達成することができる高靭性の低降伏比高強度鋼管用鋼板とその製造方法、および、その鋼板を温間成形した低降伏比高強度鋼管を提供することにある。
発明者らは、上記課題を達成するため、温間成形して製造する鋼管における強度、降伏比および靭性に及ぼす各種要因について検討を進め、従来技術では、脆くて母材の延性や靭性を低下させることから積極的に利用されていなかった島状マルテンサイトに着目し、さらに研究を重ねた。その結果、温間成形して製造する鋼管において、母材の降伏応力YS:650MPa以上と降伏比YR:90%以下を安定して達成するには、鋼管の素材となる鋼板の成分組成を適正範囲に制御した上で、さらに鋼板の組織をベイナイトと島状マルテンサイトの混合組織からなるミクロ組織とし、それぞれの体積分率および硬さを適正範囲に制御することが重要であることを見出した。また、上記ミクロ組織を有する鋼板を得るためには、成分組成を適正範囲に制御した鋼素材を熱間圧延終了後、冷却速度と冷却停止温度を適正化した冷却処理を施し、その後さらに、昇温速度と再加熱温度を適正化した再加熱処理を施すことが重要であることを見出した。本発明は、上記知見に、さらに検討を加えてなされたものである。
すなわち、本発明は、C:0.03〜0.10mass%、Si:0.15〜0.50mass%、Mn:1.4〜3.0mass%、P:0.02mass%以下、S:0.0050mass%以下、Al:0.1mass%以下、N:0.0070mass%以下を含有し、さらに、Cu:0.1〜1.0mass%およびNi:0.1〜2.0mass%のうちの1種または2種を含有し、さらに、Cr:0.1〜1.0mass%、Mo:0.1〜1.0mass%およびV:0.01〜0.1mass%のうちの1種または2種以上を含有し、さらに、上記Si,Mn,Cr,MoおよびV下記(1)式;
Si+Mn+Cr+3Mo+6V≧2.95(mass%) ・・・(1)
満たすよう、かつ、上記C,Si,Mn,Cr,VおよびVが下記(4)式;
Ceq(mass%)=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(4)
で表される炭素当量Ceqで0.47mass%超となるよう含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、ビッカース硬さHvが180〜280のベイナイトと、体積分率が5〜20%でビッカース硬さHvが500〜650の島状マルテンサイトとの混合組織からなるミクロ組織を有することを特徴とする低降伏比高強度鋼管用鋼板である。ただし、上記(1)および(4)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(mass%)を示す。
本発明の上記鋼板は、上記成分組成に加えてさらに、Nb:0.1mass%以下、Ti:0.03mass%以下およびB:0.005mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上、あるいはさらに、上記成分組成に加えてさらに、Ca:0.005mass%以下、REM:0.02mass%以下およびMg:0.005mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明は、上記の成分組成を有する鋼片を1000〜1250℃に加熱し、800℃以上の温度で熱間圧延を終了後、Ar変態点以上の温度から(Ar変態点−50℃〜Ar変態点−250℃)の温度まで5〜100℃/secの冷却速度で冷却し、その後、600℃〜Ac変態点の温度まで0.5℃/sec以上の昇温速度で再加熱し、空冷することを特徴とする低降伏比高強度鋼管用鋼板の製造方法。
また、本発明は、上記鋼板あるいは上記方法によって得られた鋼板を、450〜650℃に再加熱した後、300℃以上の温度域で、下記(2)式;
t/D×100≦10(%) ・・・(2)
ここで、t:板厚(mm)、D:鋼管外径(mm)
の関係を満たすよう温間成形した鋼管であって、降伏応力YSが650MPa以上で降伏比YRが90%以下の特性を示すものである低降伏比高強度鋼管である。
本発明によれば、温間成形で造管した鋼管母材の降伏応力YSが650MPa以上で、降伏比が90%以下の低降伏比高強度鋼管を安定して製造することができるので、鋼構造物の大型化や耐震性の向上、施工能率向上に大きく寄与することができる。
まず、本発明の低降伏比高強度鋼管用鋼板の特徴であるミクロ組織について説明する。
本発明の鋼板のミクロ組織は、ベイナイトを主体とし、これに硬質第2相として島状マルテンサイトを含むことが特徴である。ここで、上記ベイナイトは、ビッカース硬さHvが180〜280の範囲にあることが必要である。ベイナイトの硬さHvが180未満では、温間成形後の鋼管母材の降伏応力:650MPa以上を安定して得ることができず、一方、Hvが280超えでは、温間成形時の加熱と成形歪によって鋼管母材の降伏応力が上昇し、降伏比90%以下を満たさなくなる他、母材の延性、靭性が低下するからである。ベイナイトの硬さは、好ましくはHv:190〜260の範囲である。
一方、島状マルテンサイトは、ビッカース硬さHvが500〜650の範囲にあり、かつその分率は、体積分率で5〜20%であることが必要である。島状マルテンサイトは、Cが濃縮し、母相(ベイナイト)と比べて硬いため、母材の引張強さTSを高める一方、転位密度が高いため、多量に導入された可動転位によって、母材の降伏応力YSの上昇を抑制する作用があり、高強度と低降伏比の両特性を実現するには、不可欠の組織である。しかし、島状マルテンサイトの硬さHvが500未満では、温間成形時の加熱により母材の引張強さが低下したり、降伏比を90%以下とすることが難しくなったりする。一方、Hvが650を超えると、温間成形後の母材の延性、靭性が低下するようになる。よって、島状マルテンサイトの硬さHvは500〜650の範囲とする。好ましくは、Hv520〜630の範囲である。
さらに、島状マルテンサイトの分率が、体積分率で5%未満では、造管後の鋼管母材を高強度と低降伏比とを兼備する特性とすることができず、一方、20%を超えると、鋼管母材の延性、低温靭性が低下する。よって、島状マルテンサイトの分率は、体積分率で5〜20%の範囲とする。好ましくは、6〜18%の範囲である。
なお、上記島状マルテンサイトの体積分率は、鋼板試料の圧延方向断面の板厚断面をレペラ腐食(JOURNAL OF METALS、March、1980、p.38−39)し、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察し、撮影した組織写真を画像解析して、面積分率を求め、これを体積分率とみなすことにより求めることができる。
また、ベイナイトおよび島状マルテンサイトの硬さは、鋼板試料の圧延方向断面の1/2tにおける各相の硬さを、微小ビッカース硬さ計を用いて、荷重:9.8×10−3N(1gf)〜2.94×10−1N(30gf)、好ましくは4.9×10−2N(5gf)の条件で、各相少なくとも10粒以上測定し、その平均値を各相の硬さとする。この条件では、試験条件による誤差を無視することができる。
なお、ベイナイトおよび島状マルテンサイトの組織が非常に細かく、微小ビッカース硬さ計を用いて測定できない場合には、ナノインデンテーション法(押込み法)を用いてもよい。この場合には、荷重:4.9×10−4N(50mgf)〜4.9×10−3N(500mgf)、好ましくは9.8×10−4N(100mgf)の条件で押込み硬さHITを測定し、この値から下記(3)式;
Hv=0.91HIT ・・・(3)
ここで、HIT:ナノインデンテーション法による押込み硬さ
を用いて、ビッカース硬さHvに換算することができる。
本発明の鋼板のミクロ組織は、上記ベイナイトおよび島状マルテンサイト以外の残部は、パーライトおよびセメンタイトからなる。ただし、これらの組織は、強度の低下をもたらすため、体積分率にして5%以下であることが好ましい。体積分率で5%以下であれば、鋼板強度に及ぼす悪影響はほぼ無視できるからである。
次に、本発明の鋼板が有すべき成分組成について説明する。
C:0.03〜0.10mass%
Cは、鋼の強度を高める効果が大きく、構造用鋼材として必要な強度を確保するのに必要な元素である。Cが0.03mass%未満では、島状マルテンサイトの体積分率5%以上および島状マルテンサイトの硬さHv500以上とすることができないため、温間成形後の鋼管母材の降伏応力650MPa以上および降伏比90%以下を達成することができない。一方、Cが0.10mass%を超えると、島状マルテンサイトの体積分率20%以下および島状マルテンサイトの硬さHv650以下とすることができなくなるほか、鋼管母材および溶接部の靭性を低下させたり、耐溶接割れ性を劣化させたりする。よって、Cは0.03〜0.10mass%の範囲とする。好ましくは、0.04〜0.09mass%の範囲である。
Si:0.15〜0.50mass%
Siは、脱酸剤として添加される元素であり、また、温間成形時の加熱による焼戻し軟化を抑制し、強度の低下と降伏比の上昇を抑制する効果を有する元素である。これらの効果を得るためには、Siを0.15mass%以上添加する必要がある。しかし、0.50mass%を超えて添加すると、鋼管母材および溶接部の靭性が低下するとともに、溶接性も低下するようになる。よって、Siは0.15〜0.50mass%の範囲とする。好ましくは、0.20〜0.45mass%である。
Mn:1.4〜3.0mass%
Mnは、鋼の強度を高めるとともに、オーステナイトを安定化させる効果があることから、島状マルテンサイトの生成を促進し、温間成形後の鋼管母材の降伏応力650MPa以上と降伏比90%以下を達成するために必要な元素である。斯かる効果を得るためには、Mnを1.4mass%以上添加する必要がある。一方、3.0mass%超え添加すると、母材の靭性および溶接熱影響部の靭性が低下する。よって、Mnは1.4〜3.0mass%の範囲とする。好ましくは、1.5〜2.8mass%である。
P:0.02mass%以下
Pは、鋼の強度を高める効果があるが、靭性を低下させる有害な不純物元素でもあるため、できるかぎり低減するのが望ましい。特に、Pは、0.02mass%を超えて含有すると、この影響が顕著となるため、上限を0.02mass%とする。一方、過度の低減は、精錬コストの上昇を招くため、下限は0.005mass%程度とするのが望ましい。
S:0.0050mass%以下
Sは、鋼材の低温靭性を低下させる有害な不純物元素であり、できるだけ低減することが望ましい。特に、Sを0.0050mass%を超えて含有すると、上記弊害が顕著となる。よって、Sは0.0050mass%以下とする。
Al:0.1mass%以下
Alは、脱酸剤として添加される元素であり、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスに於いて、最も汎用的に使用されている。また、鋼中のNをAlNとして固定し、鋼管母材の靭性向上にも寄与する。このような効果は、Al:0.005mass%以上の添加で認められる。しかし、0.1mass%を超えると、母材の靭性が低下すると共に、溶接時に溶接金属に混入し、溶接部の靭性を低下させる。よって、Alは0.1mass%以下とする。好ましくは、0.01〜0.07mass%の範囲である。
N:0.0070mass%以下
Nは、不可避的不純物として鋼中に含まれる元素であり、特に、0.0070mass%を超えて含有すると、母材および溶接部の靭性が低下する。よって、Nは0.0070mass%以下とする。
本発明の鋼板は、上記成分に加えてさらに、Cu,Niのうちから選ばれる1種または2種を下記範囲で含有する必要がある。
Cu:0.1〜1.0mass%
Cuは、固溶強化能が大きく、母材の高強度化に寄与する。また、オーステナイトを安定化し、オーステナイト中に優先的に濃化することによって焼入れ性を高め、島状マルテンサイトの安定生成に寄与する。したがって、Cuは、高強度と低降伏比を両立させる上で重要な元素である。このような効果を得るには、Cuを0.1mass%以上添加する必要がある。しかし、1.0mass%を超えると、熱間脆性を起こして鋼板の表面性状を劣化させる。よって、Cuは0.1〜1.0mass%の範囲で添加する。好ましくは、0.2〜0.7mass%の範囲である。
Ni:0.1〜2.0mass%
Niは、Cuと同様、本発明では重要な元素であり、オーステナイトを安定化し、オーステナイト中に優先的に濃化することによって焼入れ性を高め、島状マルテンサイトの安定生成に寄与するので、高強度と低降伏比を両立させるのに有用な成分でもある。また、固溶強化により母材を高強度化する効果を有すると共に、低温靭性を改善する成分である。このような効果を得るには、Niを0.1mass%以上添加する必要がある。しかし、2.0mass%を超えて添加しても、その効果が飽和し、添加量に見合う効果が得られず、原料コストが上昇するだけである。よって、Niは0.1〜2.0mass%の範囲とする。好ましくは0.2〜1.7mass%の範囲である。
本発明の鋼板は、鋼の強度向上を目的として、上記基本成分に加えてさらに、Cr,MoおよびVのうちから選ばれる1種または2種以上を添加する必要がある。
Cr:0.1〜1.0mass%
Crは、高温加熱時に炭化物を形成して析出し、強度低下を抑制する効果を有し、温間成形後の高強度化を可能とする。この効果を得るには、0.1mass%以上添加する必要がある。しかし、1.0mass%を超える添加は、母材および溶接部の靭性を低下させる。よって、Crは0.1〜1.0mass%の範囲で添加する。好ましくは、0.2〜0.8mass%の範囲である。
Mo:0.1〜1.0mass%
Moは、高温加熱時に炭化物を形成して析出し、強度低下を抑制する効果を有し、温間成形後の高強度化を可能とする。この効果を得るには、0.1mass%以上添加する必要がある。しかし、1.0mass%を超える添加は、母材および溶接部の靭性を低下させる。よって、Moは0.1〜1.0mass%の範囲で添加する。好ましくは、0.2〜0.8mass%の範囲である。
V:0.01〜0.1mass%
Vは、高温加熱時に炭化物を形成して析出し、強度低下を抑制する効果を有し、温間成形後の高強度化を可能とする。この効果を得るには、0.01mass%以上添加する必要がある。しかし、0.1mass%を超える添加は、母材および溶接部の靭性を低下させる。よって、Vは0.01〜0.1mass%の範囲で添加する。好ましくは、0.02〜0.07mass%の範囲である。
以上が本発明の鋼板が含有すべき必須成分であるが、Si,Mn,Cr,MoおよびVは、上記組成範囲を満たしていること意外に、さらに下記(1)式;
Si+Mn+Cr+3Mo+6V≧2.8mass% ・・・(1)
ここで、各元素記号は、それぞれの元素の含有量(mass%)
を満たして含有することが必要である。ここで、上記(1)式左辺は、温間成形時の加熱による焼戻し軟化抵抗性を示す指標を表すパラメータ式であり、上記(1)式左辺が、2.8mass%未満では、温間加熱時の焼戻し効果によって、強度が低下し、温間成形後の鋼管母材の降伏応力:650MPa以上および降伏比:90%以下を満たすことができない。よって、本発明では、上記(1)式左辺の値を2.8mass%以上とする。好ましくは、2.9mass%以上である。
さらに、本発明の鋼板においては、上記必須成分は、下記(4)式;
Ceq(mass%)=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(4)
ここで、各元素記号は、それぞれの元素の含有量(mass%)
で定義される炭素当量Ceqが0.47mass%超えとなるよう含有することが好ましい。Ceqを0.47mass%超えとすることによって、温間成形後の鋼管母材の降伏応力YSをより安定して650MPa以上の高強度とすることができるからである。
本発明の鋼板は、鋼の強度向上を目的として、上記必須成分に加えてさらに、Nb,TiおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
Nb:0.1mass%以下
Nbは、鋼の強度向上に有効な成分であり、この効果を得るには、0.005mass%以上添加することが好ましい。しかし、0.1mass%を超える添加は、母材および溶接部の靭性を低下させるため、0.1mass%以下とするのが好ましい。
Ti:0.03mass%以下
Tiは、Nとの親和力が強く、凝固時にTiNとして析出し、溶接部の高靭性化に寄与する元素である。しかし、0.03mass%を超えると、母材の靭性が低下するため、0.03mass%以下とすることが好ましい。
B:0.005mass%以下
Bは、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を増加させる効果を有する。しかし、0.005mass%を超える添加は、焼入れ性を著しく高めて、母材の靭性、延性の低下をもたらす。よって、Bは0.005mass%以下とするのが好ましい。
本発明の鋼板は、靭性の向上を目的として、上記成分に加えてさらに、Ca,REMおよびMgのうちから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
Ca:0.005mass%以下
Caは、結晶粒の微細化を介して靭性を向上させる効果がある。この効果を得るためには、0.001mass%以上添加するのが好ましい。しかし、0.005mass%超え添加しても、その効果は飽和する。よって、Caは0.005mass%以下とするのが好ましい。
REM:0.02mass%以下
REMは、Caと同様、結晶粒の微細化を介して靭性を向上させる効果がある。この効果を得るためには、0.002mass%以上添加するのが好ましい。しかし、0.02mass%超え添加しても、その効果は飽和する。よって、REMは0.02mass%以下とするのが好ましい。
Mg:0.005mass%以下
Mgは、Caと同様、結晶粒の微細化を介して靭性を向上させる効果がある。この効果を得るためには、0.001mass%以上添加するのが好ましい。しかし、0.005mass%超え添加しても、その効果が飽和する。よって、Mgは0.005mass%以下とするのが好ましい。
本発明の鋼板は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。しかし、本発明の効果を害さない範囲であれば、上記以外の成分の含有を拒むものではない。
次に、本発明の鋼板の製造方法について説明する。なお、以降の説明における温度は、鋼板板厚の1/2部の温度のことである。
鋼素材の加熱温度:1000〜1250℃加熱
上述した成分組成を有する鋼を、転炉や電気炉、真空溶解炉等の常法を用いて溶製し、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で鋼素材(スラブ)とし、この鋼素材を1000〜1250℃の温度に加熱し、熱間圧延する。ここで、上記加熱温度が1000℃未満では、熱間圧延での変形抵抗が高くなり、1パス当たりの圧下量を大きくできないため、圧延パス数が増加して圧延能率の低下を招くと共に、スラブ中に存在する鋳造欠陥を圧着できなくなる可能性がある。一方、加熱温度が1250℃を超えると、加熱時のスケール生成量が増加して表面痕が発生しやすく、圧延後の鋼板表面の手入れ負荷が増大する。よって、鋼素材の加熱温度は1000〜1250℃の範囲とする。
熱間圧延
加熱した鋼素材は、その後、熱間圧延し、板厚が9mm以上の鋼板とする。この際、熱間圧延は、圧延終了温度を800℃以上とする必要がある。圧延終了温度が800℃未満では、変形抵抗が高く、圧延荷重が増大するため、圧延機の負担が増大する。その他の熱延条件については特に制限はなく、所定の板厚および形状を満足できればよい。なお、板厚が80mmを超える極厚鋼板の場合には、鋼素材内部のザクを圧着するため、圧下率が15%以上の圧延を、少なくとも1パス以上行うことが望ましい。また、極厚鋼板の場合、圧延温度を低下させるために、圧延途中で待機することが必要となり、生産性を阻害する。この観点からも、圧延終了温度を800℃以上とする。
熱間圧延後の冷却条件
熱間圧延を終了した鋼板は、Ar変態点以上の温度から(Ar変態点−250℃〜Ar変態点−50℃)の冷却停止温度まで、5〜100℃/secの平均冷却速度で加速冷却する必要がある。本発明の製造方法においては、上記冷却停止温度は、特に重要な制御因子であり、冷却停止温度が(Ar変態点−250℃)よりも低くなると、ベイナイトのビッカース硬さがHv280以下を満たさなくなるだけでなく、冷却停止時の残留オーステナイト量が不足し、その後の再加熱、空冷時に残留オーステナイトから生成する島状マルテンサイトの分率を体積分率で5%以上とすることができず、温間成形後の鋼管母材の降伏比を90%以下とすることができなくなる。一方、冷却停止温度が(Ar変態点−50℃)よりも高くなると、ベイナイトのビッカース硬さHv180以上を満たさなくなるだけでなく、残留オーステナイトへのCの拡散が進行しないため、ビッカース硬さHv500以上の島状マルテンサイトが生成せず、温間成形後の鋼管母材の降伏応力650MPa以上、降伏比90%以下を達成することができなくなる。また、熱間圧延終了後の冷却速度が5℃/sec未満では、冷却後のミクロ組織がフェライト主体の組織となるため、温間成形して得た鋼管母材の降伏応力を650MPa以上とすることができなくなる。一方、冷却速度が100℃/secを超えると、鋼板内位置による温度ムラが発生し、均一な温度制御が困難となるため、材質のばらつきが大きくなる。
再加熱処理
加速冷却終了後の鋼板は、一旦冷却を中断し、その後、600℃〜Ac変態点の温度域まで0.5℃/sec以上の昇温速度で再加熱し、空冷する熱処理を施す必要がある。
というのは、上記のように、熱間圧延終了後、Ar変態点以上の温度域から(Ar変態点−250℃〜Ar変態点−50℃)の温度までを5〜100℃/secで加速冷却した場合、冷却直後の鋼板組織は、ベイナイト主体の組織中に残留オーステナイトが微細に分散したミクロ組織となる。さらにその後、0.5℃/sec以上の速度で600℃〜Ac変態点までの温度範囲に再加熱し、空冷することにより、微細分散した残留オーステナイト中にCが拡散して濃化し、島状マルテンサイトが生成し、ベイナイトと島状マルテンサイトの混合組織からなる、本発明が目的とするミクロ組織が得られる。その結果、温間成形後の鋼管母材を、降伏応力650MPa以上でかつ降伏比90%以下の特性とすることができる。
上記再加熱における昇温速度が0.5℃/sec未満では、パーライト変態が生じるため、島状マルテンサイトが生成せず、温間成形後の母材の降伏比を90%以下とすることができなくなる。また、目的とする温度まで再加熱する時間が長くなるため、製造効率が低下する。また、再加熱温度が600℃未満では、残留オーステナイトへのCの濃化が遅くなるため、体積分率5%以上かつビッカース硬さHv500以上の島状マルテンサイトが生成せず、温間成形後の鋼管母材を降伏応力650MPa以上、降伏比90%以下とすることができなくなる。一方、再加熱温度がAc変態点を超えると、ベイナイトが軟化し、ビッカース硬さHvが180以上とならず、温間成形後の鋼管母材の降伏応力を650MPa以上とすることができなくなる。なお、上記再加熱温度は、残留オーステナイトへのCの拡散を促進させるため、冷却停止温度より100℃以上高温とするのが好ましい。また、再加熱温度での保持時間は、生産性を阻害しないため、15min程度以下とするのが好ましい。再加熱する方法としては、雰囲気炉による加熱、ガス炎による加熱、誘導加熱等を利用できるが、経済性、制御性等を考慮した場合、誘導加熱が好ましい。
なお、上記Ar変態点およびAc変態点は、いずれも成分組成と相関があり、下記(5)式および(6)式で求めることができる。
Ar変態点(℃)=868−396C+25Si−68Mn−21Cu−36Ni−25Cr−30Mo ・・・(5)
Ac変態点(℃)=751−27C+18Si−12Mn−23Cu−23Ni+24Cr+23Mo−40V−6Ti+233Nb−169Al−895B ・・・(6)
ここで、上記各元素記号は、それぞれの含有量(mass%)を意味する。
次に、本発明の鋼板を用いた低降伏比高強度鋼管の製造方法について説明する。なお、ここで説明する温度は、板厚1/2t部の温度である。
本発明の低降伏比高強度鋼管は、上記のようにして得た鋼板を、450〜650℃の温度に再加熱し、その後、300℃以上の温度域で、板厚t(mm)および鋼管外径D(mm)が、下記(2)式;
t/D×100≦10(%) ・・・(2)
の関係式を満たす寸法に温間成形するところに特徴がある。
再加熱温度を450℃〜650℃の範囲とする理由は、450℃未満では、温間成形中の温度低下によって変形抵抗が高くなり、プレス機の負担が大きくなるだけでなく、寸法精度が低下する。一方、650℃を超えると、焼戻し軟化により、造管後の鋼管母材の引張強さが低下し、90%以下の低降伏比を満たせなくなるからである。なお、再加熱温度での保持時間は、鋼板温度を均一化できればよく、好ましくは10min以上である。また、保持時間の上限は、生産性を阻害しないために、120min程度が好ましい。また、鋼管への成形は、300℃以上の温度で行う必要がある。成形温度が300℃未満になると、変形抵抗が高くなり、プレス機への負担が大きくなるだけでなく、寸法精度が低下するからである。
また、本発明の鋼管が、上記(2)式を満たす必要がある理由は、t/D×100が10%を超えると、素材の鋼板が加工硬化して、延性や靭性が低下するとともに、降伏比90%以下を満たすことができなくなるためである。
以上説明したように、上記成分組成を満たす鋼素材を、上記熱延条件、冷却条件および再加熱、空冷条件を満たして鋼板とすることにより、適正な硬さと分率を有するベイナイトと島状マルテンサイトの混合組織からなるミクロ組織を有する鋼板を得ることができる。そして、この鋼板を適正な条件で温間成形して鋼管とすることにより、母材の降伏応力が650MPa以上で降伏比が90%以下の特性を有する低降伏比高強度鋼管を得ることができる。
表1に示した成分組成を有する鋼を転炉、取鍋精錬で溶製し、その鋼を連続鋳造して鋼素材とし、その後、表2に示した条件で熱間圧延し、加速冷却し、再加熱して所定時間保持後、空冷し、板厚が25〜65mmの鋼板とした。上記のようにして得た鋼板の板厚1/2位置から、JIS Z2202(1998)の規定に準拠してVノッチ衝撃試験片を採取し、JIS Z2242(1998)の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、0℃における吸収エネルギー(vE)を測定し、鋼管の素材となる鋼板の靭性を評価した。
また、得られた各鋼板の圧延方向断面をレペラ腐食し、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍でミクロ組織を観察して、組織の構成を調べると共に、撮影した組織写真を画像解析して島状マルテンサイトの体積分率を求めた。また、ベイナイトおよび島状マルテンサイトの硬さHvを、微小ビッカース硬さ計とナノインデンテーション法(押込み法)で測定した。
次いで、上記鋼板を表3に示した条件で温間成形して、同じく表3に示した(t/D)の寸法の鋼管としたのち、その鋼管から管軸方向に平行にJIS12B号引張試験片を採取し、JIS Z2241(1998)の規定に準拠して引張試験を実施し、降伏応力YS、引張強さTSおよび伸びElを測定し、降伏比YRを求めた。
Figure 0005245414
Figure 0005245414
上記測定結果を表2および表3に示した。これらの結果から、本発明に適合する発明例の鋼板は、いずれもミクロ組織がベイナイトと島状マルテンサイトからなり、シャルピー吸収エネルギーvEが100Jを超える高い靭性を有するとともに、その鋼板を温間成形して得られた鋼管は、降伏応力YSが650MPa以上、引張強さTSが780MPa以上、降伏比YRが90%以下、全伸びElが16%以上の高強度、高延性かつ低降伏比の母材特性を有するものとなる。
これに対して、本発明の条件を外れる比較例の鋼板は、ミクロ組織が本発明の条件を満たさず、その結果、鋼板の靭性が劣っているか、あるいは、造管後の鋼管母材の降伏応力YS、降伏比YRのうちのいずれか1以上の特性が目標特性を満たしていない。
Figure 0005245414
本発明の低降伏比高強度鋼管は、高強度かつ低降伏比で高い靭性を有するので、建築構造物のほか、ラインパイプや橋梁、鉄塔、海洋構造物等に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. C:0.03〜0.10mass%、
    Si:0.15〜0.50mass%、
    Mn:1.4〜3.0mass%、
    P:0.02mass%以下、
    S:0.0050mass%以下、
    Al:0.1mass%以下、
    N:0.0070mass%以下を含有し、さらに、
    Cu:0.1〜1.0mass%およびNi:0.1〜2.0mass%のうちの1種または2種を含有し、さらに、
    Cr:0.1〜1.0mass%、Mo:0.1〜1.0mass%およびV:0.01〜0.1mass%のうちの1種または2種以上を含有し、さらに、
    上記Si,Mn,Cr,MoおよびV下記(1)式を満たすよう、かつ、上記C,Si,Mn,Cr,VおよびVが下記(4)式で表される炭素当量Ceqで0.47mass%超となるよう含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、ビッカース硬さHvが180〜280のベイナイトと、体積分率が5〜20%でビッカース硬さHvが500〜650の島状マルテンサイトとの混合組織からなるミクロ組織を有することを特徴とする低降伏比高強度鋼管用鋼板。

    Si+Mn+Cr+3Mo+6V≧2.95(mass%) ・・・(1)
    Ceq(mass%)=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(4)
    ただし、各元素記号は、それぞれの元素の含有量(mass%)を示す。
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Nb:0.1mass%以下、Ti:0.03mass%以下およびB:0.005mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の低降伏比高強度鋼管用鋼板。
  3. 上記成分組成に加えてさらに、Ca:0.005mass%以下、REM:0.02mass%以下およびMg:0.005mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の低降伏比高強度鋼管用鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分組成を有する鋼片を1000〜1250℃に加熱し、800℃以上の温度で熱間圧延を終了後、Ar変態点以上の温度から(Ar変態点−50℃〜Ar変態点−250℃)の温度まで5〜100℃/secの冷却速度で冷却し、その後、600℃〜Ac変態点の温度まで0.5℃/sec以上の昇温速度で再加熱し、空冷することを特徴とする低降伏比高強度鋼管用鋼板の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板を、450〜650℃に再加熱した後、300℃以上の温度域で、板厚t(mm)と鋼管外径D(mm)とが、下記(2)式の関係を満たすよう温間成形した鋼管であって、降伏応力YSが650MPa以上で降伏比YRが90%以下の特性を示すものである低降伏比高強度鋼管。

    t/D×100≦10(%) ・・・(2)
    ここで、t:板厚(mm)、D:鋼管外径(mm)
  6. 上記鋼管用鋼板は、請求項4に記載の方法によって得られたものであることを特徴とする請求項5に記載の低降伏比高強度鋼管。
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