JP5245055B2 - 懸吊具 - Google Patents

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Description

この発明は懸吊具に関するものである。懸吊具は、種々の物品を吊るして収納するためのものである。
懸吊具は公知である。それは例えば特開平2−140109号公報に記載されている。この公報に記載されている懸吊具は、図1に示したように、係止板Aと係止具Bとで構成されている。
係止板Aは、多数の等しい正方形の孔Cが、等しい間隔をおいて縦及び横に並んで穿設されたものである。係止板Aは、垂直に立てて使用される。
係止具Bは、図2に示したように、正方形の基板Dの正面がわに1個の引掛棒Eを突出させ、裏面がわに爪片Fが突設されたものである。爪片Fは基板D上に起立するL字状体で、先が下向きになって開口している。爪片Fは係止板Aの孔C内へ挿入されて、基板Dを係止板Aに固定する役目を果たすものである。
係止具Bでは基板Dの四隅にそれぞれ1個ずつの爪片Fが付設されているが、この公報の発明では爪片Fは上下に並ぶ2個の爪片が一組あれば充分だとされている。これは、固定方法として爪片Fを下に向けて孔C内に挿入し、その後係止具Bを下方ヘズラして、基板Dと爪片Fとの間に孔Cの下縁を挟み込むことによって、固定することだけを考えているからである。
引掛棒Eの先端は、引掛けた物品の落下を防ぐために、先端が上向きに傾斜している。上述のように係止具Bでは爪片が孔Cの下縁に係止されることだけを考えているから、引掛棒Eの先端は爪片Fの向く方向と常に逆向きに傾斜していればよい。従って、引掛棒Eは基板Dに初めから固定されていて、これを外す必要は全くない。
係止具Bでは、1つの基板D上に唯1つの引掛棒が付設されているだけである。これでは、多くの物品を効率よく吊るすことができない。そこで、1つの係止具に複数個の引掛棒を付設する試みが現れた。
1つの係止具に複数個の引掛棒を付設するとなると、引掛棒を縦に並べるか、それとも横に並べるかが問題となる。引掛棒を縦に並べると、上の引掛棒に吊るした物品が下の引掛棒に吊るすのを妨げることになる。また、引掛棒を横に並べると、上述のような妨げは発生しないが、多くの物品を吊るすことができない。このため、係止具は引掛棒が横並びのものと、縦並びのものとの2種類のものを用意する必要が起きる。しかし、2種類の固定具を用意し、必要に応じて区別して使用しなければならないというのは、甚だ煩瑣である。
特開平2−140109号公報
この発明は、上述の煩瑣を解消しようとしてなされたものである。すなわち、引掛棒を縦に並べた係止具と、横に並べた係止具との2種類の係止具を使用しないで、ただ1種類の係止具を用意しただけで、引掛棒を横に並べることもでき、縦に並べることもできるようにして、上述の煩瑣を解消しようとするものである。
この発明者は、上述の係止具を作る場合、引掛棒は別にして、爪片を基板とともに硬質の合成樹脂で一体に成形するようにすると、爪片の基板に接続する部分の肉厚を増すことが容易となるため、爪片を基板に容易に強固に固定できることとなり、従って、係止具の固定方法として爪片を横向きにして係止板の孔内に挿入して、充分安定に固定できることを見出した。また、これまで爪片を基板と一体に硬質合成樹脂を材料として作られてきた係止具の大部分は、爪片を下に向けた状態だけでなく、爪片を横に向けた状態でも係止板に固定できることを見出した。従って、このような係止具では爪片を縦に向けても横に向けても係止板に安定に固定できるから、1つの基板に引掛棒を縦に並べたものと、横に並べたものとの2種類を用意する必要がなく、1つの係止具で足りることを見出した。この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
但し、引掛棒の先端が斜め上向きに傾斜している場合には、この引掛棒の向きを変える必要がある。このために、引掛棒は、基板から取り外しできるようにして、引掛棒を90度回転させた状態でも、簡単に基板に固定できるようにする必要がある。
そのための手段として、引掛棒は基板への挿通部外面を非円形にし、他方、基板には引掛棒の挿通部を通過させる貫通孔を設け、貫通孔を正規の状態で挿通して固定できることは言うまでもなく、引掛棒を90度回転させた状態でも挿通して固定できるようにすることとした。ここで、正規の状態と言うのは、引掛棒の先端の傾斜する方向が、爪の向く方向と正反対になっている状態を指している。また引掛棒の挿通部外面を非円形にすると言うのは、挿通部を断面正方形にしたり、丸棒の外面に直径方向に突出した回り止めを付設することである。
これに対応して、基板では貫通孔を同じ断面正方形にしたり、丸孔の周りに十字状の切り込みを設けることによって、引掛棒を90度だけ回転させた状態で、引掛棒を挿通し固定することができる。
引掛棒が基板から抜けることを防ぐために、引掛棒の挿通部の端にはねじを切り、ナットをはめて基板に固定する。
また係止具が爪片を横に向けて係止板に固定されているときは、係止具を固定時とは逆方向に横へ移動させると、係止具が係止板から離脱することになる。このために基板に止め孔を設け、この孔に止めねじを差し込んで、ねじの先を係止板の孔内へ突出させて、係止具の移動を防ぐこととする。
この発明は、多数の孔が等間隔に縦横に並んで穿設されている係止板と、孔に係止される爪片を少なくとも2個備えた係止具とからなる懸吊具において、係止具を基板と引掛棒とで構成し、基板は1つの面上に上記爪片を同じ方向に向けて突出させた状態で、硬質の合成樹脂を材料として一体に成形されたものであり、基板は貫通孔を備えて引掛棒を取り外し可能に挿通させており、引掛棒の挿通部外面を非円形にし、基板の貫通孔を引掛棒が正規の状態と、これから90度だけ回転した状態との2つの状態で挿通固定できる形状にして、爪片を下に向けた状態でも横に向けた状態でも係止板に固定可能とし、基板には止め孔を設けて爪片が横に向いた状態のとき、止め孔にねじを通して係止板の孔内に突出させて移動止めとすることを特徴とする、懸吊具を提供するものである。
また、この発明は、懸吊具における係止具を提供するものである。その係止具は、基板と引掛棒とで構成される係止具であって、基板は1つの面上に少なくとも2個の爪片を同じ方向に向けて突出させた状態で、硬質の合成樹脂を材料として一体に成形したものであり、基板は貫通孔を備えて引掛棒を取り外し可能に挿通させており、引掛棒の挿通部外面を非円形にし、基板の貫通孔を引掛棒が正規の状態と、これから90度かで回転した状態との2つの状態で、挿通固定できる形状にするとともに、基板には止め孔を設けたことを特徴とするものである。
この発明では、2個以上の爪片が基板の1つの面上で、先を同じ方向に向けて突出した状態で、硬質の合成樹脂を材料として一体に成形されたものを係止具とするから、爪片を強固に基板に付設することができる。そのため、爪片を下に向けた状態だけでなく、爪片を横に向けた状態にしても、爪片を係止板の孔に安定な状態で強固に固定することができる。従って、係止具に複数個の引掛棒を付設すると、同じ係止具で引掛棒を縦並びにも、横並びにもすることができる。これにより引掛棒に効率よく、容易に色々な物品を吊るしておくことができる。
また、この発明では、引掛棒を基板から取り外し可能にし、引掛棒の基板への挿通部外面を非円形にし、基板には引掛棒の挿通部を通過させる貫通孔を設け、貫通孔を引掛棒が正規の状態でも、またこれから90度回転した状態でも、挿通可能にしたから、必要により、引掛棒を基板から取り外して、引掛棒の先を上方に向かって傾斜させることができる。従って、引掛棒は横並びにも縦並びにも適応した状態に容易に変えることができる。
また、この発明では引掛棒の挿通部の端にねじを設けたから、これにナットを嵌めることにより、引掛棒が基板から抜け出ることを防ぐことができる。また、この発明では基板に止め孔を設け、止め孔に移動防止の止めねじを設けることとしたから、爪片を横に向けて係止板の孔に固定しても、係止具が係止板から外れることがない。
公知の懸吊具の傾斜図である。 図1で用いられている係止具の裏面がわの斜視図である。 この発明に係る懸吊具の一部切欠斜視図である。 この発明に係る係止具の斜視図である。 図4におけるP−P線断面図である。 図4及び図5の係止具で用いられている引掛棒の斜視図である。 図6に示した引掛棒3を挿通させるために基板に設けられた貫通孔の形状を示した斜視図である。 図4に示した係止具の爪片6を横向きにして係止板1に固定したときの係止板裏側の斜視図である。 この発明で用いることのできる他の引掛棒の斜視図である。 この発明で用いることのできる他の係止具の斜視図である。
この発明に係る懸吊具は、図3に示したように係止板1と係止具3とで構成される。そのうちの係止板1は、多数の正方形の孔2が等しい間隔をおいて、縦と横とに並んで穿設されている金属板である。係止板1はパンチングメタル板と言われているものである。この発明で用いる係止板1は従来の係止板と変りがない。係止板1は、壁に固定されることが多いが、また作業台上に直立させたり、ワゴンの側面に付設したりして使用される。
この発明で用いられる係止具3は、図4に示したように基板4と、少なくとも2個の引掛棒5とで構成される。引掛棒5は、何れも基板4に取り外し可能に挿通されて、基板4の表面側へ突出している。また、基板4は裏側では1つの面上に少なくとも2個の爪片6を突出させている。爪片6は互いに等しい大きさのL字状体で、先を同じ方向に向けて基板4と一体に硬質合成樹脂で成形されている。
硬質の合成樹脂としては、硬質塩化ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン等を用いることができる。
図4に示した係止具3は、基板4と引掛棒5とで構成されている。基板4は長方体の箱形とされ、箱の開口面にあたる平面の長手方向の両端に樹脂で一体に成形された爪片6、6を備えている。2つの爪片6、6は何れも同形同大のL字状からなり、同じ方向に向き、箱の長手方向に向かって開いている。箱の底にあたる部分には、引掛棒5を挿通するための孔があけられ、箱の内部には引掛棒5の端を止めるためのナット52が付設できるようになっている。
係止板1に穿設された正方形の孔2の1辺の長さをXとすると、図4に示す爪片6の幅Wは0.7〜0.95Xの範囲内にあることが好ましい。また、爪片6の長さLは0.3〜0.7Xの範囲内にあることが好ましい。また、爪片6と基板4との間の間隔Mは、係止板1の厚みをTとすると1.3〜2Tの間にあることが好ましい。また、基板4につながる爪片6の基部の厚みは係止板の厚みTの2倍以上にすることが必要であって、4倍以下とすることが好ましく、とくに3倍以下とすることが好ましい。
図4において、引掛棒5の中心軸を通り、基板4の長手方向に垂直な平面Pで基板4を切断すると、その切断面は図5に示したようになっている。引掛棒5は基板4を貫通して延び、引掛棒5の挿通端に設けられたねじ51にはナット52が付設されて、引掛棒5の脱出を防いでいる。ナット52を外すことにより、引掛棒5は基板4から取り外しできるようになっている。
引掛棒5は、図6に示したような構造とされる。引掛棒5は丸棒で構成され、基板4への挿通端にはねじ51が切られている。ねじ51に近接して丸棒の直径方向に突出する1対の回り止め53が付設されている。回り止め53は丸棒をプレスで押圧して形成することが好ましい。また、引掛棒5の他端にはキャップ54が付設されて、引掛けられた物品が引掛棒から落下することを防いでいる。
基板4には引掛棒5を貫通させるために孔が設けられている。その孔は図7に示したように、引掛棒5の丸棒部分を貫通させるための円形孔41と、円形孔41の中心を通る十字状の切り込み42とで構成されている。切り込み42は引掛棒5の回り止め53を挿通させて、引掛棒が基板4に対して回転することを防いでいる。切り込み42は十字状にされているから、引掛棒を正規の状態から90度だけ回転させた状態で同じ孔に挿通することができ、この状態で引掛棒を固定することができる。
こうして、図4に示した係止具3は、引掛棒5が横に並んだ横長の状態にして、爪片6を係止板1の孔2内に挿入し、基板4を爪片6の開いている方向へズラして、爪片6と基板4との間へ孔2の縦縁を挟み込むことにより、係止板1に固定して図3中符号3で示した状態で固定することができる。但し、この場合には、さきにズラしたのと反対方向に基板を移動させると、係止具3は係止板1から外れる恐れがある。
そこで、外れるのを防ぐために基板4には図4に示したように爪片6に近接して止め孔43を設けておく。爪片6を横方向に向けて基板4をズラしたときは、係止板1の裏面では係止具3は図8に点線で示した位置にあって、爪片6は孔2内で左寄りの位置を占め、爪片6の右側は基板4の裏面が露出している。止め孔43は丁度この露出部分に設けられているので、止め孔43に止めねじ44を嵌め、ねじ44の先端を孔2内に突出させることにより、爪片6が孔2から脱出するのを防ぐようにする。こうして係止具3を係止板1に安定した状態で固定することができる。
図4に示した係止具3を縦長にして、図3に符号3´で示した状態にして使用するには次のようにする、まず、図5に示したナット52を外し、引掛棒5を基板4から抜いて、引掛棒5をその軸の回りに90度だけ回転させて、キャップ54を爪片6が開いている方向と逆向きに傾斜させてナット52を付設する。その後、爪片6を係止板1の孔2内に挿入し、爪片6と基板との間に孔2の下縁を挿入することにより、係止具3を縦長にして容易に係止板1に固定することができる。
こうして図4に示した係止具は、引掛棒を横並びの状態にして、また縦並びの状態にして使用することができる。従って、図4に示した係止具3は、2種類の固定具を用意する必要がないので便利である。
引掛棒は図6に示したもののほか、図9に示した引掛棒50を使用することができる。図9の引掛棒50は、横断面が正方形の棒で構成されている。一端にねじ51が切られ、他端にキャップ54が被せられている。図9に示した引掛棒50が使用されるときは、基板4の挿通孔41は断面を正方形の孔とすべきとは言うまでもない。
また、係止具は図4に示したもののほか、図10に示した係止具30を用いることができる。係止具30では、基板40に2組の上下に並ぶ爪片6が突設され、また基板40には三角形の頂点にあたるところに各々1個の引掛棒5が挿通できるようになっている。係止具30は、上述の点で異なるだけで、その他の点では係止具3と同じである。なお、図10中44は爪片6を横向きにして係止具30を係止板に固定したとき、爪片6が孔2から外れることを防止するための止めねじである。
A、1 係止板
B、3、30 係止具
C、2 孔
D、4、40 基板
E、5、50 引掛棒
F、6 爪片
41 円形孔
42 切り込み
43 止め孔
44 止めねじ
51 ねじ
52 ナット
53 回り止め
54 キャップ
X 孔2の一辺の長さ
W 爪片6の幅
L 爪片6の長さ
M 爪片6と基板4との間隔
N 爪片6の基部の厚み
T 係止板1の厚み

Claims (6)

  1. 多数の孔が等間隔に縦横に並んで穿設されている係止板と、孔に係止される爪片を少なくとも2個備えた係止具とからなる懸吊具において、係止具を基板と引掛棒とで構成し、基板は1つの面上に上記爪片を同じ方向に向けて突出させた状態で、硬質の合成樹脂を材料として一体に成形されたものであり、基板は貫通孔を備えて引掛棒を取り外し可能に挿通させており、引掛棒の挿通部外面を非円形にし、基板の貫通孔を引掛棒が正規の状態と、これから90度だけ回転した状態との2つの状態で挿通固定できる形状にして、爪片を下に向けた状態でも横に向けた状態でも係止板に固定可能とし、基板には止め孔を設けて爪片が横に向いた状態のとき、止め孔にねじを通して係止板の孔内に突出させて移動止めとすることを特徴とする懸吊具。
  2. 上記引掛棒の挿通部が断面正方形とされ、上記基板の貫通孔が同じ断面正方形とされていることを特徴とする、請求項1に記載の懸吊具。
  3. 上記引掛棒の挿通部が、丸棒の外面に直径方向に突出した回り止めを付設することによって非円形とされ、上記基板の貫通孔が丸孔の周りに十字状の切り込みを設けたものとされていることを特徴とする、請求項1に記載の懸吊具。
  4. 基板と引掛棒とで構成される係止具であって、基板は1つの面上に少なくとも2個の爪片を同じ方向に向けて突出させた状態で、硬質の合成樹脂を材料として一体に成形したものであり、基板は貫通孔を備えて引掛棒を取外し可能に挿通させており、引掛棒の挿通部外面を非円形にし、基板の貫通孔を引掛棒が正規の状態と、これから90度だけ回転した状態との2つの状態で挿通固定できる形状にするとともに、基板には止め孔を設けたことを特徴とする、懸吊具における係止具。
  5. 上記引掛棒の挿通部が断面正方形とされ、上記基板の貫通孔が同じ断面正方形とされていることを特徴とする、請求項4に記載の係止具。
  6. 上記引掛棒の挿通部が丸棒の外面に直径方向に突出した回り止めを付設することによって非円形とされ、上記基板の貫通孔が丸孔の周りに十字状の切り込みを設けたものとされていることを特徴とする、請求項4に記載の係止具。
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