本発明の実施例を、図1〜図4を用いて説明する。ここでは、画素部の画素TFTおよび保持容量と、画素部の周辺に設けられる駆動回路のTFTを同時に作製する方法について工程に従って詳細に説明する。
図1(A)において、基板101にはコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板の他に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)など光学的異方性を有しないプラスチック基板を用いることができる。ガラス基板を用いる場合には、ガラス歪み点よりも10〜20℃程度低い温度であらかじめ熱処理しておいても良い。そして、基板101のTFTを形成する表面に、基板101からの不純物拡散を防ぐために、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜から成る下地膜102を形成する。例えば、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜102aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)、同様にSiH4、N2Oから作製される酸化窒化水素化シリコン膜102bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。ここでは下地膜102を2層構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させて形成しても良い。
酸化窒化シリコン膜は従来の平行平板型のプラズマCVD法を用いて形成する。酸化窒化シリコン膜102aは、SiH4を10SCCM、NH3を100SCCM、N2Oを20SCCMとして反応室に導入し、基板温度325℃、反応圧力40Pa、放電電力密度0.41W/cm2、放電周波数60MHzとした。一方、酸化窒化水素化シリコン膜102bは、SiH4を5SCCM、N2Oを120SCCM、H2を125SCCMとして反応室に導入し、基板温度400℃、反応圧力20Pa、放電電力密度0.41W/cm2、放電周波数60MHzとした。これらの膜は、基板温度を変化させ、反応ガスの切り替えのみで連続して形成することもできる。
このようにして作製した酸化窒化シリコン膜102aは、密度が9.28×1022/cm3であり、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液(ステラケミファ社製、商品名LAL500)の20℃におけるエッチング速度が約63nm/minと遅く、緻密で硬い膜である。このような膜を下地膜に用いると、この上に形成する半導体層にガラス基板からのアルカリ金属元素が拡散するのを防ぐのに有効である。
次に、25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで非晶質構造を有する半導体層103aを、プラズマCVD法やスパッタ法などの公知の方法で形成する。例えば、プラズマCVD法で非晶質シリコン膜を55nmの厚さに形成する。非晶質構造を有する半導体膜には、非晶質半導体層や微結晶半導体膜があり、非晶質シリコンゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。また、下地膜102と非晶質半導体層103aとは両者を連続形成することも可能である。例えば、前述のように酸化窒化シリコン膜102aと酸化窒化水素化シリコン膜102bをプラズマCVD法で連続して成膜後、反応ガスをSiH4、N2O、H2からSiH4とH2或いはSiH4のみに切り替えれば、一旦大気雰囲気に晒すことなく連続形成できる。その結果、酸化窒化水素化シリコン膜102bの表面の汚染を防ぐことが可能となり、作製するTFTの特性バラツキやしきい値電圧の変動を低減させることができる。
そして、結晶化の工程を行い非晶質半導体層103aから結晶質半導体層103bを作製する。その方法としてレーザーアニール法や熱アニール法(固相成長法)、またはラピットサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。前述のようなガラス基板や耐熱性の劣るプラスチック基板を用いる場合には、特にレーザーアニール法を適用することが好ましい。RTA法では、赤外線ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどを光源に用いる。或いは特開平7−130652号公報で開示された技術に従って、触媒元素を用いる結晶化法で結晶質半導体層103bを形成することもできる。結晶化の工程ではまず、非晶質半導体層が含有する水素を放出させておくことが好ましく、400〜500℃で1時間程度の熱処理を行い含有する水素量を5atomic%以下にしてから結晶化させると膜表面の荒れを防ぐことができるので良い。
また、プラズマCVD法で非晶質シリコン膜の形成工程において、反応ガスにSiH4とアルゴン(Ar)を用い、成膜時の基板温度を400〜450℃として形成すると、非晶質シリコン膜の含有水素濃度を5atomic%以下にすることもできる。このような場合において水素を放出させるための熱処理は不要となる。
結晶化をレーザーアニール法にて行う場合には、パルス発振型または連続発光型のエキシマレーザーやアルゴンレーザーをその光源とする。パルス発振型のエキシマレーザーを用いる場合には、レーザー光を線状に加工してレーザーアニールを行う。レーザーアニール条件は実施者が適宣選択するものであるが、例えば、レーザーパルス発振周波数30Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜500mJ/cm2(代表的には300〜400mJ/cm2)とする。そして線状ビームを基板全面に渡って照射し、この時の線状ビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜98%として行う。このようにして図1(B)に示すように結晶質半導体層103bを得ることができる。
そして、結晶質半導体層103b上に第1のフォトマスク(PM1)を用い、フォトリソグラフィーの技術を用いてレジストパターンを形成し、ドライエッチングによって結晶質半導体層を島状に分割し、図1(C)に示すように島状半導体層104〜108を形成する。結晶質シリコン膜のドライエッチングにはCF4とO2の混合ガスを用いる。
このような島状半導体層に対し、TFTのしきい値電圧(Vth)を制御する目的でp型を付与する不純物元素を1×1016〜5×1017atomic/cm3程度の濃度で島状半導体層の全面に添加しても良い。半導体に対してp型を付与する不純物元素には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。その方法として、イオン注入法やイオンドープ法(或いはイオンシャワードーピング法)を用いることができるが、大面積基板を処理するにはイオンドープ法が適している。イオンドープ法ではジボラン(B2H6)をソースガスとして用いホウ素(B)を添加する。このような不純物元素の注入は必ずしも必要でなく省略しても差し支えないが、特にnチャネル型TFTのしきい値電圧を所定の範囲内に収めるために好適に用いる手法である。
ゲート絶縁膜109はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、膜厚を40〜150nmとしてシリコンを含む絶縁膜で形成する。本実施例では、120nmの厚さで酸化窒化シリコン膜から形成する。また、SiH4とN2OにO2を添加させて作製された酸化窒化シリコン膜は、膜中の固定電荷密度が低減されているのでこの用途に対して好ましい材料となる。勿論、ゲート絶縁膜はこのような酸化窒化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。例えば、酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法で、オルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl Ortho-silicate:TEOS)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製された酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
そして、図1(D)に示す様に、ゲート絶縁膜109上にゲート電極を形成するための第1の導電膜110と第2の導電膜111とを形成する。本実施例では、第1の導電膜110をTaで50〜100nmの厚さに形成し、第2の導電膜をWで100〜300nmの厚さに形成する。
Ta膜はスパッタ法で形成し、TaのターゲットをArでスパッタする。この場合、Arに適量のXeやKrを加えると、Ta膜の内部応力を緩和して膜の剥離を防止することができる。また、α相のTa膜の抵抗率は20μΩcm程度でありゲート電極に使用することができるが、β相のTa膜の抵抗率は180μΩcm程度でありゲート電極とするには不向きである。α相のTa膜を形成するために、Taのα相に近い結晶構造をもつ窒化タンタルを10〜50nm程度の厚さでTaの下地に形成しておくとα相のTa膜を容易に得ることができる。
W膜を形成する場合には、Wをターゲットとしたスパッタ法で形成する。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。このことより、スパッタ法による場合、純度99.9999%のWターゲットを用い、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができる。
次に図2(A)に示すように、レジストによるマスク112〜117を形成し、ゲート電極を形成するための第1のエッチング処理を行う。エッチング方法に限定はないが、好適にはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2を混合し、0.5〜2Pa、好ましくは1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して行う。基板側(試料ステージ)にも100WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した場合にはW膜及びTa膜とも同程度にエッチングされる。
上記エッチング条件では、レジストによるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。テーパー部の角度は15〜45°となる。ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。W膜に対する酸化窒化シリコン膜の選択比は2〜4(代表的には3)であるので、オーバーエッチング処理により、酸化窒化シリコン膜が露出した面は20〜50nm程度エッチングされることになる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層118〜123(第1の導電層118a〜123aと第2の導電層118b〜123b)を形成する。130はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層118〜123で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
そして、第1のドーピング処理を行いn型を付与する不純物元素を添加する。ドーピングの方法はイオンドープ法若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層118〜123がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の不純物領域124〜129が形成される。第1の不純物領域124〜129には1×1020〜1×1021atomic/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
次に図3(C)に示すように第2のエッチング処理を行う。同様にICPエッチング法を用い、エッチングガスにCF4とCl2とO2を混合して、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF電力(13.56MHz)を供給し、プラズマを生成して行う。基板側(試料ステージ)には50WのRF(13.56MHz)電力を投入し、第1のエッチング処理に比べ低い自己バイアス電圧を印加する。このような条件によりW膜を異方性エッチングし、かつ、それより遅いエッチング速度で第1の導電層であるTaを異方性エッチングして第2の形状の導電層1118〜1123(第1の導電層1118a〜1123aと第2の導電層1118b〜1123b)を形成する。1130はゲート絶縁膜であり、第2の形状の導電層1118〜1123で覆われない領域はさらに20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
W膜やTa膜のCF4とCl2の混合ガスによるエッチング反応は、生成されるラジカルまたはイオン種と反応生成物の蒸気圧から推測することができる。WとTaのフッ化物と塩化物の蒸気圧を比較すると、Wのフッ化物であるWF6が極端に高く、その他のWCl5、TaF5、TaCl5は同程度である。従って、CF4とCl2の混合ガスではW膜及びTa膜共にエッチングされる。しかし、この混合ガスに適量のO2を添加するとCF4とO2が反応してCOとFになり、FラジカルまたはFイオンが多量に発生する。その結果、フッ化物の蒸気圧が高いW膜のエッチング速度が増大する。一方、TaはFが増大しても相対的にエッチング速度の増加は少ない。また、TaはWに比較して酸化されやすいので、O2を添加することでTaの表面が酸化される。Taの酸化物はフッ素や塩素と反応しないためさらにTa膜のエッチング速度は低下する。従って、W膜とTa膜とのエッチング速度に差を作ることが可能となりW膜のエッチング速度をTa膜よりも大きくすることが可能となる。
そして、図3(D)に示すように第2のドーピング処理を行う。この場合、第1のドーピング処理よりもドーズ量を下げ高加速電圧の条件でn型を付与する不純物元素をドーピングする。例えば、加速電圧を70〜120keVとし、1×1013/cm2のドーズ量で行い、図6(B)で島状半導体層に形成された第1の不純物領域の内側に新たな不純物領域を形成する。ドーピングは、第2の形状の導電層1118〜1123を不純物元素に対するマスクとして用い、第2の導電層1118a〜1123aの下側の領域にも不純物元素が添加されるようにドーピングする。こうして、第2の導電層1118a〜1123aと重なる第3の不純物領域131〜136と、第1の不純物領域と第3の不純物領域との間の第2の不純物領域1131〜1136とを形成する。n型を付与する不純物元素は、第2の不純物領域で1×1017〜1×1019atoms/cm3の濃度となるようにし、第3の不純物領域で1×1016〜1×1018atoms/cm3の濃度となるようにする。このように、第2の不純物領域と、第3の不純物領域と、を併せてLDD領域と呼ぶ。これはボロンを不純物とするP型の場合も同様である。
そして、pチャネル型TFTを形成する島状半導体層104、106にソース領域およびドレイン領域とする高濃度p型不純物領域140、141を形成する。ここでは、ゲート電極1118a、1123aをマスクとしてp型を付与する不純物元素を添加し、自己整合的に高濃度p型不純物領域を形成する。このとき、nチャネル型TFTを形成する島状半導体層105、107、108は、第3のフォトマスク(PM3)を用いてレジストマスク137〜139を形成し全面を被覆しておく。ここで形成される不純物領域140、141はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する。そして、ゲート電極と重ならない高濃度p型不純物領域140a、141aのボロン(B)濃度は、3×1020〜3×1021atomic/cm3となるようにする。また、第一のゲート電極と重なる不純物領域140b、141bは、ゲート絶縁膜と第一のゲート電極を介して不純物元素が添加されるので、実質的に低濃度p型不純物領域として形成され、少なくとも1.5×1019atomic/cm3以上の濃度とする。この高濃度p型不純物領域140a、141aおよび低濃度p型不純物領域140b、141bには、前工程においてリン(P)が添加されていて、高濃度p型不純物領域140a、141aには1×1020〜1×1021atomic/cm3の濃度で、低濃度p型不純物領域140b、141bには1×1016〜1×1019atomic/cm3の濃度で含有しているが、この工程で添加するボロン(B)の濃度をリン(P)濃度の1.5から3倍となるようにすることにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題はな生じなかった。
その後、図4(A)に示すように、ゲート電極およびゲート絶縁膜上から第1の層間絶縁膜142を形成する。第1の層間絶縁膜は酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、またはこれらを組み合わせた積層膜で形成すれば良い。いずれにしても第1の層間絶縁膜142は無機絶縁物材料から形成する。第1の層間絶縁膜142の膜厚は100〜200nmとする。ここで、酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOSとO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。また、酸化窒化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化シリコン膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜で形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2で形成することができる。また、SiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化シリコン膜を適用しても良い。窒化シリコン膜も同様にプラズマCVD法でSiH4、NH3から作製することが可能である。
その後、それぞれの濃度で添加されたn型またはp型を付与する不純物元素を活性化する工程を行う。この工程はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。その他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。熱アニール法では酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜600℃で行うものであり、本実施例では550℃で4時間の熱処理を行った。また、基板101に耐熱温度が低いプラスチック基板を用いる場合にはレーザーアニール法を適用することが好ましい(図4(B))。
活性化の工程に続いて、雰囲気ガスを変化させ、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行い、島状半導体層を水素化する工程を行う。この工程は熱的に励起された水素により島状半導体層にある1016〜1018/cm3のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。いずれにしても、島状半導体層104〜108中の欠陥密度を1016/cm3以下とすることが望ましく、そのために水素を0.01〜0.1atomic%程度付与すれば良かった。
活性化および水素化の工程が終了したら、有機絶縁物材料からなる第2の層間絶縁膜143を1.0〜2.0μmの平均厚を有して形成する。有機樹脂材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用することができる。例えば、基板に塗布後、熱重合するタイプのポリイミドを用いる場合には、クリーンオーブンで300℃で焼成して形成する。また、アクリルを用いる場合には、2液性のものを用い、主材と硬化剤を混合した後、スピナーを用いて基板全面に塗布した後、ホットプレートで80℃で60秒の予備加熱を行い、さらにクリーンオーブンで250℃で60分焼成して形成することができる。
このように、第2の層間絶縁膜を有機絶縁物材料で形成することにより、表面を良好に平坦化させることができる。また、有機樹脂材料は一般に誘電率が低いので、寄生容量を低減することができる。しかし、吸湿性があり保護膜としては適さないので、本実施例のように、第1の層間絶縁膜142として形成した酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜などと組み合わせて用いると良い。
その後、第4のフォトマスク(PM4)を用い、所定のパターンのレジストマスクを形成し、それぞれの島状半導体層に形成されたソース領域またはドレイン領域に達するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの形成はドライエッチング法により行う。この場合、エッチングガスにCF4、O2、Heの混合ガスを用い有機樹脂材料から成る第2の層間絶縁膜143をまずエッチングし、その後、続いてエッチングガスをCF4、O2として第1の層間絶縁膜142をエッチングする。さらに、島状半導体層との選択比を高めるために、エッチングガスをCHF3に切り替えてゲート絶縁膜130をエッチングすることにより、良好にコンタクトホールを形成することができる。
そして、導電性の金属膜をスパッタ法や真空蒸着法で形成し第5のフォトマスクでレジストマスクパターンを形成しエッチングによって、ソース配線とドレイン配線を形成する。ドレイン配線256を例としてこの構成を図6(B)で詳細に説明すると、Ti膜256aを50〜150nmの厚さで形成し、島状半導体層のソースまたはドレイン領域を形成する半導体膜とコンタクトを形成する。そのTi膜256a上に重ねてAl膜256bを300〜400nmの厚さで形成し、さらにTi膜256cまたは窒化チタン(TiN)膜を100〜200nmの厚さで形成して3層またはTiとTiNを組み合わせ、3層以上の層を有する構造とする。その後、第5のフォトマスクによりレジストマスクパターンを形成し、エッチングによってソース配線とドレイン配線256を形成する。このとき、課題を解決する手段で記したように、酸素プラズマを用いた処理、熱酸化処理を行い、Al層の端部に酸化膜258を形成する。その後、透明導電膜を全面に形成し、第6のフォトマスクを用いたパターニング処理およびエッチング処理により画素電極257を形成する。画素電極257は、有機樹脂材料から成る第2の層間絶縁膜上に形成され、画素TFT204のドレイン配線256と重なる部分を設け電気的な接続を形成している。
透明導電膜の材料は、酸化インジウム(In2O3)や酸化インジウム酸化スズ合金(In2O3―SnO2;ITO)などをスパッタ法や真空蒸着法などを用いて形成して用いることができる。このような材料のエッチング処理は塩酸系の溶液により行う。
こうして6枚のフォトマスクにより、同一の基板上に、駆動回路のTFTと画素部の画素TFTとを有した基板を完成させることができる。駆動回路には第1のpチャネル型TFT(A)200a、第1のnチャネル型TFT(A)201a、第2のpチャネル型TFT(A)202a、第2のnチャネル型TFT(A)203a、画素部には画素TFT204、保持容量205が形成されている。本明細書では便宜上このような基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。
駆動回路の第1のpチャネル型TFT(A)200aには、島状半導体層104にチャネル形成領域206、LDD領域207、高濃度p型不純物領域から成るソース領域208、ドレイン領域209を有した構造となっている。第1のnチャネル型TFT(A)201aには、島状半導体層105にチャネル形成領域210、低濃度n型不純物領域で形成されゲート電極119と重なるLDD領域211、高濃度n型不純物領域で形成するソース領域212、ドレイン領域213を有している。チャネル長3〜7μmに対して、ゲート電極119と重なるLDD領域をLovとしてそのチャネル長方向の長さは0.1〜1.5μm、好ましくは0.3〜0.8μmとする。このLovの長さはゲート電極119の厚さとテーパー部の角度θ1から制御する。
このLDD領域について図15を用いて説明する。図15(A)に示すのは、図4(C)の段階のTFTの一部であり、BはTFTの部分拡大図である。第一の不純物領域1901は第二の形状の第二のゲート電極1902のテーパー部に形成され、第二の不純物領域1903は、第二の形状の第一のゲート電極1904のテーパー部の下に形成される。このとき、LDD領域におけるリン(P)の濃度分布は1905の曲線で示されるようにチャネル形成領域1906から遠ざかるにつれて増加する。この増加の割合は、イオンドープにおける加速電圧やドーズ量などの条件、第二のゲート電極のテーパー部の角度θ1及び長さ1907、及び第一のゲート電極のテーパー部の角度θ2及び長さ1908によって異なってくる。このように、ゲート電極の端部をテーパー形状として、そのテーパー部を通して不純物元素を添加することにより、テーパー部の下に存在する半導体層中に、徐々に前記不純物元素の濃度が変化するような不純物領域を形成することができる。nチャネル型TFTにおいてこのようなLDD領域を形成することにより、ドレイン領域近傍に発生する高電界を緩和して、ホットキャリアの発生を防ぎ、TFTの劣化を防止することができる。この形成方法は、pチャネル型TFTにおいても同様である。
図4(C)では、駆動回路のnチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTを一対のソース・ドレイン間に一つのゲート電極を設けたシングルゲートの構造とし、画素TFTをダブルゲート構造としたが、これらのTFTはいずれもシングルゲート構造としても良いし、複数のゲート電極を一対のソース・ドレイン間に設けたマルチゲート構造としても差し支えない。
図7は画素部のほぼ一画素分を示す上面図である。図中に示すA−A'断面が図4(C)に示す画素部の断面図に対応している。画素TFT204は、ゲート電極122は図示されていないゲート絶縁膜を介してその下の島状半導体層108と交差し、さらに複数の島状半導体層に跨って延在してゲート配線を兼ねている。図示はしていないが、島状半導体層には、図4(C)で説明したソース領域、ドレイン領域、LDD領域が形成されている。また、230はソース配線148とソース領域225とのコンタクト部、231はドレイン配線153とドレイン領域227とのコンタクト部である。保持容量205は、画素TFT204のドレイン領域227から延在する半導体層228、229とゲート絶縁膜を介して容量配線123が重なる領域で形成されている。この構成において半導体層228には、価電子制御を目的とした不純物元素は添加されていない。
以上の様な構成は、画素TFTおよび駆動回路が要求する仕様に応じて各回路を構成するTFTの構造を最適化し、半導体装置の動作性能と信頼性を向上させることを可能としている。さらにゲート電極を、耐熱性を有する導電性材料で形成することによりLDD領域やソース領域およびドレイン領域の活性化を容易としている。
さらに、ゲート電極にゲート絶縁膜を介して重なるLDD領域を形成する際に、導電型を制御する目的で添加した不純物元素に濃度勾配を持たせてLDD領域を形成することで、特にドレイン領域近傍における電界緩和効果が高まることが期待できる。
アクティブマトリクス型の液晶表示装置の場合、第1のpチャネル型TFT(A)200aと第1のnチャネル型TFT(A)201aは高速動作を重視するシフトレジスタ回路、バッファ回路、レベルシフタ回路などを形成するのに用いる。図4(C)ではこれらの回路をロジック回路部として表している。第1のnチャネル型TFT(A)201aのLDD領域211はホットキャリア対策を重視した構造となっている。さらに、耐圧を高め動作を安定化させるために、図5(A)で示すようにこのロジック回路部のTFTを第1のpチャネル型TFT(B)200bと第1のnチャネル型TFT(B)201bで形成しても良い。このTFTは、一対のソース・ドレイン間に2つのゲート電極を設けたダブルゲート構造であり、このようなTFTは本実施例の工程を用いて同様に作製できる。
第1のpチャネル型TFT(B)200bには、島状半導体層にチャネル形成領域236a、236b、低濃度p型不純物領域から成りゲート電極118と重なるLDD領域237a、237b、高濃度p型不純物領域から成るソース領域238とドレイン領域239、240を有した構造となっている。第1のnチャネル型TFT(B)201bには、島状半導体層にチャネル形成領域241a、241b、低濃度n型不純物領域で形成されゲート電極119と重なるLDD領域242a、242b、高濃度n型不純物領域で形成するソース領域243とドレイン領域244、245を有している。チャネル長はいずれも3〜7μmとして、ゲート電極と重なるLDD領域をLovとしてそのチャネル長方向の長さは0.1〜1.5μm、好ましくは0.3〜0.8μmとする。
また、アナログスイッチで構成するサンプリング回路には、同様な構成とした第2のpチャネル型TFT(A)202aと第2のnチャネル型TFT(A)203aを適用することができる。サンプリング回路はホットキャリア対策と低オフ電流動作が重視されるので、図5(B)で示すようにこの回路のTFTを第2のpチャネル型TFT(B)202bと第2のnチャネル型TFT(B)203bで形成しても良い。この第2のpチャネル型TFT(B)202bは、一対のソース・ドレイン間に3つのゲート電極を設けたトリプルゲート構造であり、このようなTFTは本実施例の工程を用いて同様に作製できる。第2のpチャネル型TFT(B)202bには、島状半導体層にチャネル形成領域246a、246b、246c、低濃度p型不純物領域から成りゲート電極120と重なるLDD領域247a、247b、247c、高濃度p型不純物領域から成るソース領域249とドレイン領域250〜252を有した構造となっている。第2のnチャネル型TFT(B)203bには、島状半導体層にチャネル形成領域253a、253b、低濃度n型不純物領域で形成されゲート電極121と重なるLDD領域254a、254b、高濃度n型不純物領域で形成するソース領域255とドレイン領域256、257を有している。
このように、TFTのゲート電極の構成をシングルゲート構造とするか、複数のゲート電極を一対のソース・ドレイン間に設けたマルチゲート構造とするかは、回路の特性に応じて実施者が適宣選択すれば良い。そして、本実施例で完成したアクティブマトリクス基板を用いることで透過型の液晶表示装置を作製することができる。
本実施例では、実施例1〜実施例2で示したアクティブマトリクス基板のTFTの活性層を形成する結晶質半導体層の他の作製方法について示す。結晶質半導体層は非晶質半導体層を熱アニール法やレーザーアニール法、またはRTA法などで結晶化させて形成するが、その他に特開平7−130652号公報で開示されている触媒元素を用いる結晶化法を適用することもできる。その場合の例を図8を用いて説明する。
図8(A)で示すように、実施例1と同様にして、ガラス基板1101上に下地膜1102a、1102b、非晶質構造を有する半導体層1103を25〜80nmの厚さで形成する。非晶質半導体層は非晶質シリコン(a−Si)膜、非晶質シリコン・ゲルマニウム(a−SiGe)膜、非晶質炭化シリコン(a−SiC)膜,非晶質シリコン・スズ(a−SiSn)膜などが適用できる。これらの非晶質半導体層は水素を0.1〜40atomic%程度含有するようにして形成すると良い。例えば、非晶質シリコン膜を55nmの厚さで形成する。そして、重量換算で10ppmの触媒元素を含む水溶液をスピナーで基板を回転させて塗布するスピンコート法で触媒元素を含有する層1104を形成する。触媒元素にはニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などである。この触媒元素を含有する層1104は、スピンコート法の他に印刷法やスプレー法、バーコーター法、或いはスパッタ法や真空蒸着法によって上記触媒元素の層を1〜5nmの厚さに形成しても良い。
そして、図8(B)に示す結晶化の工程では、まず400〜500℃で1時間程度の熱処理を行い、非晶質シリコン膜の含有水素量を5atomic%以下にする。
非晶質シリコン膜の含有水素量が成膜後において最初からこの値である場合にはこの熱処理は必ずしも必要でない。そして、ファーネスアニール炉を用い、窒素雰囲気中で550〜600℃で1〜8時間の熱アニールを行う。以上の工程により結晶質シリコン膜から成る結晶質半導体層1105を得ることができる(図8(C))。しかし、この熱アニールによって作製された結晶質半導体層1105は、光学顕微鏡観察により巨視的に観察すると局所的に非晶質領域が残存していることが観察されることがあり、このような場合、同様にラマン分光法では480cm-1にブロードなピークを持つ非晶質成分が観測される。そのため、熱アニールの後に実施例1で説明したレーザーアニール法で結晶質半導体層1105を処理してその結晶性を高めることは有効な手段として適用できる。
図9は同様に触媒元素を用いる結晶化法の実施例であり、触媒元素を含有する層をスパッタ法により形成するものである。まず、実施例1と同様にして、ガラス基板1201上に下地膜1202a、1202b、非晶質構造を有する半導体層1203を25〜80nmの厚さで形成する。そして、非晶質構造を有する半導体層1203の表面に0.5〜5nm程度の酸化膜(図示せず)を形成する。このような厚さの酸化膜は、プラズマCVD法やスパッタ法などで積極的に該当する被膜を形成しても良いが、100〜300℃に基板を加熱してプラズマ化した酸素雰囲気中に非晶質構造を有する半導体層1203の表面を晒しても良いし、過酸化水素水(H2O2)を含む溶液に非晶質構造を有する半導体層1203の表面を晒して形成しても良い。或いは、酸素を含む雰囲気中で紫外線光を照射してオゾンを発生させ、そのオゾン雰囲気中に非晶質構造を有する半導体層1203を晒すことによっても形成できる。
このようにして表面に薄い酸化膜を有する非晶質構造を有する半導体層1203上に前記触媒元素を含有する層1204をスパッタ法で形成する。この層の厚さに限定はないが、10〜100nm程度の厚さに形成すれば良い。例えば、Niをターゲットとして、Ni膜を形成することは有効な方法である。スパッタ法では、電界で加速された前記触媒元素から成る高エネルギー粒子の一部が基板側にも飛来し、非晶質構造を有する半導体層1203の表面近傍、または該半導体層表面に形成した酸化膜中に打ち込まれる。その割合はプラズマ生成条件や基板のバイアス状態によって異なるものであるが、好適には非晶質構造を有する半導体層1203の表面近傍や該酸化膜中に打ち込まれる触媒元素の量を1×1011〜1×1014atom/cm2程度となるようにすると良い。
その後、触媒元素を含有する層1204を選択的に除去する。例えば、この層がNi膜で形成されている場合には、硝酸などの溶液で除去することが可能であり、または、フッ酸を含む水溶液で処理すればNi膜と非晶質構造を有する半導体層1203上に形成した酸化膜を同時に除去できる。いずれにしても、非晶質構造を有する半導体層1203の表面近傍の触媒元素の量を1×1011〜1×1014atom/cm2程度となるようにしておく。そして、図9(B)で示すように、図8(B)と同様にして熱アニールによる結晶化の工程を行い、結晶質半導体層1205を得ることができる(図8(C))。
図8または図9で作製された結晶質半導体層1105、1205から島状半導体層104〜108を作製すれば、実施例1と同様にしてアクティブマトリクス基板を完成させることができる。しかし、結晶化の工程においてシリコンの結晶化を助長する触媒元素を使用した場合、島状半導体層中には微量(1×1017〜1×1019atomic/cm3程度)の触媒元素が残留する。勿論、そのような状態でもTFTを完成させることが可能であるが、残留する触媒元素を少なくともチャネル形成領域から除去する方がより好ましかった。この触媒元素を除去する手段の一つにリン(P)によるゲッタリング作用を利用する手段がある。
この目的におけるリン(P)によるゲッタリング処理は、図4(B)で説明した活性化工程で同時に行うことができる。この様子を図10で説明する。ゲッタリングに必要なリン(P)の濃度は高濃度n型不純物領域の不純物濃度と同程度でよく、活性化工程の熱アニールにより、nチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTのチャネル形成領域から触媒元素をその濃度でリン(P)を含有する不純物領域へ偏析させることができる(図10で示す矢印の方向)。その結果その不純物領域には1×1017〜1×1019atomic/cm3程度の触媒元素が偏析した。このようにして作製したTFTはオフ電流値が下がり、結晶性が良いことから高い電界効果移動度が得られ、良好な特性を達成することができる。
本実施例では実施例1で作製したアクティブマトリクス基板から、アクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工程を説明する。まず、図11(A)に示すように、図4(C)の状態のアクティブマトリクス基板に柱状スペーサから成るスペーサを形成する。スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良いが、ここでは基板全面に樹脂膜を形成した後これをパターニングして形成する方法を採用した。このようなスペーサの材料に限定はないが、例えば、JSR社製のNN700を用い、スピナーで塗布した後、露光と現像処理によって所定のパターンに形成する。さらにクリーンオーブンなどで150〜200℃で加熱して硬化させる。
スペーサの配置は任意に決定すれば良いが、好ましくは、図11(A)で示すように、画素部においてはドレイン配線153(画素電極)のコンタクト部231と重ねてその部分を覆うように柱状スペーサ406を形成すると良い。コンタクト部231は平坦性が損なわれこの部分では液晶がうまく配向しなくなるので、このようにしてコンタクト部231にスペーサ用の樹脂を充填する形で柱状スペーサ406を形成することでディスクリネーションなどを防止することができる。また、駆動回路のTFT上にもスペーサ405a〜405eを形成しておく。このスペーサは駆動回路部の全面に渡って形成しても良いし、図11で示すようにソース配線およびドレイン配線を覆うようにして設けても良い。
その後、配向膜407を形成する。通常液晶表示素子の配向膜にはポリイミド樹脂を用る。配向膜を形成した後、ラビング処理を施して液晶分子がある一定のプレチルト角を持って配向するようにした。画素部に設けた柱状スペーサ406の端部からラビング方向に対してラビングされない領域が2μm以下となるようにした。また、ラビング処理では静電気の発生がしばしば問題となるが、駆動回路のTFT上に形成したスペーサ405a〜405eにより静電気からTFTを保護する効果を得ることができる。また図では説明しないが、配向膜407を先に形成してから、スペーサ406、405a〜405eを形成した構成としても良い。
対向側の対向基板401には、遮光膜402、透明導電膜403および配向膜404を形成する。遮光膜402はTi膜、Cr膜、Al膜などを150〜300nmの厚さで形成する。そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール剤408で貼り合わせる。シール剤408にはフィラー(図示せず)が混入されていて、このフィラーとスペーサ406、405a〜405eによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料409を注入する。液晶材料には公知の液晶材料を用いれば良い。例えば、TN液晶の他に、電場に対して透過率が連続的に変化する電気光学応答性を示す、無しきい値反強誘電性混合液晶を用いることもできる。この無しきい値反強誘電性混合液晶には、V字型の電気光学応答特性を示すものもある。このようにして図11(B)に示すアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。
図12はこのようなアクティブマトリクス基板の上面図を示し、画素部および駆動回路部とスペーサおよびシール剤の位置関係を示す上面図である。実施例1で述べたガラス基板101上に画素部604の周辺に駆動回路として走査信号駆動回路605と画像信号駆動回路606が設けられている。さらに、その他CPUやメモリなどの信号処理回路607も付加されていても良い。そして、これらの駆動回路は接続配線603によって外部入出力端子602と接続されている。画素部604では走査信号駆動回路605から延在するゲート配線群608と画像信号駆動回路606から延在するソース配線群609がマトリクス状に交差して画素を形成し、各画素にはそれぞれ画素TFT204と保持容量205が設けられている。
図11において画素部において設けた柱状スペーサ406は、すべての画素に対して設けても良いが、図12で示すようにマトリクス状に配列した画素の数個から数十個おきに設けても良い。即ち、画素部を構成する画素の全数に対するスペーサの数の割合は20〜100%とすることが可能である。また、駆動回路部に設けるスペーサ405a〜405eはその全面を覆うように設けても良いし各TFTのソースおよびドレイン配線の位置にあわせて設けても良い。図12では駆動回路部に設けるスペーサの配置を610〜612で示す。そして、図12で示すシール剤619は、基板101上の画素部604および走査信号駆動回路605、画像信号駆動回路606、その他の信号処理回路607の外側であって、外部入出力端子602よりも内側に形成する。
このようなアクティブマトリクス型液晶表示装置の構成を図13の斜視図を用いて説明する。図13においてアクティブマトリクス基板は、ガラス基板101上に形成された、画素部604と、走査信号駆動回路605と、画像信号駆動回路606とその他の信号処理回路607とで構成される。画素部604には画素TFT204と保持容量205が設けられ、画素部の周辺に設けられる駆動回路はCMOS回路を基本として構成されている。走査信号駆動回路605と画像信号駆動回路606からは、それぞれゲート配線122とソース配線148が画素部604に延在し、画素TFT204に接続している。また、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)613が外部入力端子602に接続していて画像信号などを入力するのに用いる。FPC613は補強樹脂614によって強固に接着されている。そして接続配線603でそれぞれの駆動回路に接続している。また、対向基板401には図示していない、遮光膜や透明電極が設けられている。
このような構成の液晶表示装置は、実施例1で示したアクティブマトリクス基板を用いて形成することができる。実施例1で示すアクティブマトリクス基板を用いると透過型の液晶表示装置を得ることができる。
本発明を実施して作製されたアクティブマトリクス基板および液晶表示装置並びにEL型表示装置は様々な電気光学装置に用いることができる。そして、そのような電気光学装置を表示媒体として組み込んだ電子機器全てに本発明を適用することがでできる。電子機器としては、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、電子書籍など)、ナビゲーションシステムなどが上げられる。
図17(A)は携帯情報端末であり、本体2201、画像入力部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示装置2205で構成される。本発明は表示装置2205やその他の信号制御回路に適用することができる。
このような携帯型情報端末は、屋内はもとより屋外で使用されることも多い。
長時間の使用を可能とするためにはバックライト使用せず、外光を利用する反射型の液晶表示装置が低消費電力型として適しているが、周囲が暗い場合にはバックライトを設けた透過型の液晶表示装置が適している。このような背景から反射型と透過型の両方の特徴を兼ね備えたハイブリット型の液晶表示装置が開発されているが、本発明はこのようなハイブリット型の液晶表示装置にも適用できる。表示装置2205はタッチパネル3002、液晶表示装置3003、LEDバックライト3004により構成されている。タッチパネル3002は携帯型情報端末の操作を簡便にするために設けている。タッチパネル3002の構成は、一端にLEDなどの発光素子3100を、他の一端にフォトダイオードなどの受光素子3200が設けられ、その両者の間に光路が形成されている。このタッチパネル3002を押して光路を遮ると受光素子3200の出力が変化するので、この原理を用いて発光素子と受光素子を液晶表示装置上でマトリクス状に配置させることにより、入力媒体として機能させることができる。
図17(B)はハイブリット型の液晶表示装置の画素部の構成であり、画素TFT204および保持容量205上の第2の層間絶縁膜上にドレイン配線263と画素電極262が設けられている。このような構成は、実施例1を適用すれば形成することができる。このときドレイン配線は実施例1で示したような積層構造を成し、画素電極を兼ねる構成としている。画素電極262は実施例1で説明した透明導電膜材料を用いて形成する。液晶表示装置3003をこのようなアクティブマトリクス基板から作製することで携帯型情報端末に好適に用いることができる。
図18(A)はパーソナルコンピュータであり、マイクロプロセッサやメモリーなどを備えた本体2001、画像入力部2002、表示装置2003、キーボード2004で構成される。本発明は表示装置2003やその他の信号処理回路を形成することができる。
図18(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示装置2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106で構成される。本発明は表示装置2102やその他の信号制御回路に適用することができる。
図18(D)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示装置2402、スピーカー部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405で構成される。尚、記録媒体にはDVD(Digital Versatile Disc)やコンパクトディスク(CD)などを用い、音楽プログラムの再生や映像表示、ビデオゲームやインターネットを介した情報表示などを行うことができる。本発明は表示装置2402やその他の信号制御回路に好適に利用することができる。
図18(E)はデジタルカメラであり、本体2501、表示装置2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)で構成される。本発明は表示装置2502やその他の信号制御回路に適用することができる。
図19(A)はフロント型プロジェクターであり、光源光学系および表示装置2601、スクリーン2602で構成される。本発明は表示装置やその他の信号制御回路に適用することができる。図19(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、光源光学系および表示装置2702、ミラー2703、スクリーン2704で構成される。本発明は表示装置やその他の信号制御回路に適用することができる。
なお、図19(C)に、図19(A)および図19(B)における光源光学系および表示装置2601、2702の構造の一例を示す。光源光学系および表示装置2601、2702は光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、ビームスプリッター2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は複数の光学レンズで構成される。図19(C)では液晶表示装置2808を三つ使用する三板式の例を示したが、このような方式に限定されず、単板式の光学系で構成しても良い。また、図19(C)中で矢印で示した光路には適宣光学レンズや偏光機能を有するフィルムや位相を調節するためのフィルムや、IRフィルムなどを設けても良い。また、図19(D)は図19(C)における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801はリフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。尚、図19(D)に示した光源光学系は一例であって図示した構成に限定されるものではない。
また、ここでは図示しなかったが、本発明はその他にも、ナビゲーションシステムやイメージセンサの読み取り回路などに適用することも可能である。このように本願発明の適用範囲はきわめて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜4の技術を用いて実現することができる。