JP5242646B2 - エンジンの停止位置検出装置 - Google Patents
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Description
例えば、エンジンをアイドルストップ状態から再始動させる場合、始動の応答性を高めるため、燃料噴射を早期に実施することが望まれるが、上記のように、停止位置の検出精度が、回転センサのパルス信号の発生間隔角度に依存する場合には、初回の燃料噴射が遅れてしまう場合があった。
また、本願発明は、エンジンの出力軸の正転と逆転とで異なるパルス信号を出力する回転センサを備えたエンジンにおける停止位置検出装置であって、前記パルス信号の周期の変化と、前記出力軸の回転方向と、圧縮上死点の間における位置とに基づき、前記出力軸の回転が停止するまでの回転角を求め、前記回転角と前記パルス信号が示す回転位置とから前記出力軸の停止位置を求めるようにした。
図1は、本願発明に係る停止位置検出装置を適用する車両用エンジン(内燃機関)101の構成図である。尚、本実施形態においては、エンジン101は、直列4気筒エンジンであるものとする。
そして、吸気行程で吸気バルブ105が開弁することで、燃焼室106内に空気を吸入する。
燃焼室106内の燃料は、図示省略した点火プラグによる火花点火によって着火燃焼し、燃焼後のガスは、排気バルブ107を介して排気管111内に排出され、排気管111に設けたフロント触媒コンバータ108及びリア触媒コンバータ109を通過した後、大気中に放出される。
吸気カムシャフト134には、可変バルブタイミング機構113を設けてある。可変バルブタイミング機構113は、クランクシャフト120(出力軸)に対する吸気カムシャフト134の回転位相を変化させることで、吸気バルブ105のバルブタイミング(作用角の中心位相)を変化させる機構である。
ECU114は、マイクロコンピュータを内蔵し、予め記憶するプログラムに従って各種センサからの検出信号を演算処理することによって、電子制御スロットル104,可変バルブタイミング機構113,燃料噴射弁131の操作信号を出力する。
更に、ECU114は、エンジン101の運転・停止のメインスイッチであるイグニションスイッチ124のオン・オフ信号や、スタータスイッチ125のオン・オフ信号を入力する。
クランク角センサ117は、クランクシャフト120に軸支され、周囲に被検出部としての突起部151を形成したシグナルプレート152と、エンジン101側に固定され、突起部151を検出して単位クランク角毎(クランク角10deg毎)の単位角パルス信号POSを出力する回転検出装置153とを含む。
シグナルプレート152の突起部151は、クランク角10degのピッチで等間隔に形成されるが、突起部151を2つ連続して欠落させた部分を、クランクシャフト120の中心を挟んで対向する2箇所に設けてある。尚、突起部151の欠落は、1個であっても良いし、3つ以上連続して欠落させることも可能である。
従って、欠落後の最初の単位角パルス信号POSから次の欠落後の最初の単位角パルス信号POSまでは、クランク角180degになり、このクランク角180degは、本実施形態の4気筒エンジン101における気筒間の行程位相差(点火間隔)に相当する。
尚、本実施形態では、単位角パルス信号POSが、各気筒の上死点前60deg(BTDC60deg)及び上死点前70deg(BTDC70deg)の2箇所で欠落するように設定してある。
回転検出装置159は、突起部157を検出するピックアップと共に、波形整形回路などを含む各種の処理回路を備えている。
そして、カムセンサ133(回転検出装置159)は、カム角パルス信号CAMを、図3に示すように、カム角90deg(クランク角180deg)毎に、1個単独、3個連続、4個連続、2個連続に出力する。
カム角パルス信号CAMが連続して出力される数は、気筒番号を示す。即ち、本実施形態の4気筒エンジン101において、気筒間における行程の位相差がクランク角180degであり、点火順が第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒であることから、前述のように、1個単独、3個連続、4個連続、2個連続にカム角パルス信号CAMを出力し、次に上死点となる気筒が何番気筒であるかを、カム角パルス信号CAMの連続出力数に基づき判別できるようにしてある。
上記の単位角パルス信号POSとカム角パルス信号CAMとの位相関係は、可変バルブタイミング機構113がクランクシャフト120に対する吸気カムシャフト134の回転位相を変更することで変化する。
そして、ECU114は、エンジン101の運転状態(エンジン負荷・エンジン回転速度など)に基づいて目標の回転位相を演算し、実際の回転位相が目標値に近づくように、可変バルブタイミング機構113の操作量を演算する。
即ち、単位角パルス信号POSは、クランクシャフト120の回転位置の測定信号を兼ね、単位角パルス信号POSの欠落部分或いは欠落部分を基準に検出される基準クランク角位置REFからの単位角パルス信号POSの発生数を計数することで、クランクシャフト120の回転位置を10deg単位で検出することができる。
但し、エンジン101が停止する直前には、筒内の圧縮圧などによってエンジン101(クランクシャフト120)が逆方向に回転する場合があり、係る逆転時にも正転時と同様に単位角パルス信号POSの発生数を計数すると、クランクシャフト120の停止位置の検出に誤差を生じることになる。
本実施形態では、図4に示すように、正転時の単位角パルス信号POSのパルス幅WIPOSを45μsに設定し、逆転時の単位角パルス信号POSのパルス幅WIPOSを正転時の2倍の90μsに設定してある。
回転軸の回転方向によってパルス幅の異なるパルス信号を発生させるための方法としては、例えば特開2001−165951号公報に開示される方法を用いる。具体的には、シグナルプレート152の突起部151の検出パルス信号として、相互に位相がずれた2つの信号を発生させ、これらの信号を比較することで正転・逆転を判定し、異なるパルス幅として生成される2つのパルス信号のいずれか一方を、正転・逆転の判定結果に基づいて選択して出力させるようにする。
ECU114は、単位角パルス信号POSのパルス幅(又は振幅)を計測し、この計測値と、正転・逆転の判定閾値である閾値SLとを比較することで、エンジン101の出力軸であるクランクシャフト120が正転しているか逆転しているかを判断する。
上記のように、正転・逆転を判別してクランクシャフト120の停止位置の検出を行えば、エンジン101の停止直前にクランクシャフト120が逆転することがあっても、クランクシャフト120の停止位置、換言すれば、停止時における各気筒のピストン位置を精度よく判断することができ、再始動時に早期に燃料噴射・点火を開始させることができ、始動の応答性を高めることができる。
本実施形態では、ECU114が、エンジン101のアイドル運転状態で自動停止条件が成立するとエンジン101を自動停止させ、エンジン101を自動停止させた後に再始動条件が成立すると、エンジン101を自動的に再始動させるアイドルストップ制御機能を有しており、エンジン101を自動的に再始動させる際に、燃料噴射・点火の開始を早期に行えれば、エンジン101の再始動性(発進応答性)を向上させることができる。
上記の設定回転速度は、アイドル運転状態を判断するための値であり、目標アイドル回転速度よりも僅かに高く設定され、また、設定温度は、エンジン101の完暖状態(暖機後の状態)を判断するための値である。
尚、エンジン101をアイドルストップ状態から再始動させる場合には、スタータモータを用いてエンジン101を回転させ始めることができ、また、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備える場合には、燃焼室内での燃料の燃焼によってエンジン101を回転させ始めることができる。
図5のフローチャートに示すルーチンは、単位角パルス信号POSの出力毎に実行され、まず、ステップS501では、単位角パルス信号POSの出力周期TPOS(ms)及び単位角パルス信号のパルス幅WIPOS(ms)を計測する。
単位角パルス信号POSのパルス幅WIPOSの計測は、例えば、単位角パルス信号POSの立ち上がりから立ち下りまでの時間として計測され、後述するように、クランクシャフト120の正転・逆転の判別に用いる。
エンジン101の停止直前以外は正転状態を継続することになり、正転状態であれば、ステップS503へ進む。
単位角パルス信号POSは、欠落部分以外では、クランク角10deg毎に出力されるが、欠落部分では、単位角パルス信号POSの発生間隔角度が30degとなり、エンジン回転速度が増減変化する過渡運転中であっても、欠落部分での周期TPOSは、欠落部分以外での周期TPOSに対して明確に大きい。
ステップS503で、今回計測した周期TPOSが、単位角パルス信号POSの欠落部分を計測したものでなく、欠落部分以外の10deg間隔部分を計測した場合には、ステップS505へ進み、欠落判定フラグFに1がセットされているか否かを判断する。欠落判定フラグFの初期値は0である。
一方、ステップS503で、今回計測した周期TPOSが、単位角パルス信号POSの欠落部分を計測したものであると判断すると、ステップS504へ進んで、欠落判定フラグFに1をセットした後に、ステップS508へ進んで、カウンタCの値を、前回までの値よりも1だけ増大させ、増大後の値を更新記憶させる。
ここで、本ルーチンの前回実行時において、欠落判定フラグFに1をセットしたので、ステップS505で欠落判定フラグF=1であると判断し、ステップS506へ進み、欠落判定フラグFを0にリセットした後、ステップS507で、カウンタCの値を0にリセットし、カウンタC=0を更新記憶させる。
ここで、単位角パルス信号POSが欠落する位置が既知であって、本実施形態の場合、カウンタCが0にリセットされるのが上死点前40deg(BTDC40deg)であるので、カウンタCは、上死点前40degからの回転角を10deg単位で示すことになる。
尚、単位角パルス信号POSの欠落部分を検出した場合に、カウンタCを前回値+3に更新してもよい。
但し、エンジン101の停止直前にクランクシャフト120が逆転する場合があり、その場合には、ステップS502において、単位角パルス信号POSのパルス幅WIPOSに基づき逆転していると判断することで、ステップS509に進む。
上記のようなカウンタCの処理によって、エンジン101の停止時におけるクランクシャフト120の回転位置(ピストン位置)を検出することができるが、カウンタCの値を用いた回転位置の検出においては、単位角パルス信号POSの出力間隔角度(10deg)を下回る精度での停止位置の検出が行えない。
係る周期TPOSの時間的離散データは、図6のフローチャートに示すルーチンで用いられ、周期TPOSの時間的離散データに基づき、単位角パルス信号POSの出力間隔角度(10deg)を下回る精度で停止位置を検出する。
ステップS603では、図5のフローチャートに示すルーチンのステップS510で記憶させた周期T1,T2(ms)に基づき、角速度N1,N2(ラジアンrad/秒min)を演算する。尚、単位角パルス信号POSの欠落部分以外では、クランク角10degだけ回転するのに周期TPOSだけ要したものとして、角速度Nを演算させるが、欠落部分で計測した周期TPOSについては、クランク角30degだけ回転するのに要した時間として、角速度Nを演算させる。
また、ステップS605では、エンジン101の温度を代表する冷却水温度TWに基づき、前記ΔNを補正するための係数(ゲイン)K1を設定する。
これは、エンジン101のフリクションが大きくなるほどエンジン101が停止し易くなるためであり、標準温度TWSTよりも冷却水温度TWが低い低温状態で、係数K1として1.0よりも高い値を与えることで、前記ΔNがより大きな値に補正され、その結果、後述するように最後の単位角パルス信号POSからより近い位置をエンジン101の停止位置として検出することになる。一方、標準温度TWSTよりも冷却水温度TWが高い高温状態で、係数K1として1.0よりも低い値を与えることで、前記ΔNがより小さい値に補正され、その結果、後述するように最後の単位角パルス信号POSからより遠い位置をエンジン101の停止位置として検出することになる。
エンジン101の停止し易さは、カム反力や圧縮圧に影響されて変化し、例えば、圧縮上死点位置を停止し易さの標準とすると、正転時には、圧縮上死点を過ぎるとエンジン101は回転し易い状態となり、その後、圧縮上死点よりも停止し易い状態になり、再度圧縮上死点位置での標準状態に戻る。
そこで、前記係数K2は、図8に示すように、圧縮上死点位置を標準状態として1.0に設定し、正転時には、圧縮上死点を過ぎると1.0よりも小さい値になり、その後、1.0を横切って1.0よりも大きな値になり、圧縮上死点位置で1.0に戻ることで、圧縮上死点間隔の180deg期間の前半で極小値を示し、後半で極大値を示すような特性に設定する。
ステップS607では、最後に角速度Nを求めた回転位置から停止位置までの回転角α(deg)を、下式に従って算出する。
回転角α=N2/(ΔN×K1×K2)
そして、ステップS608では、前記回転角αに基づき、エンジン101の停止位置を算出する。
換言すれば、角速度N2は、エンジン停止前の最後の単位角パルス信号POSが出力された時点での瞬時角速度と、その前の単位角パルス信号POSが出力された時点での瞬時角速度との平均値であり、該平均値は、2つの単位角パルス信号POSで挟まれる角度領域の中心付近での瞬時角速度であるから、回転角αの基点を、前記中心点とする。
カウンタCの値に基づき、クランクシャフト120の停止位置を検出する場合、例えば、カウンタC=4であれば、ピストンの上死点TDCで停止したと判断することになるが、実際には、上死点TDCから10deg未満の角度だけ回転している場合があり、係る10deg未満の回転を検出できない。
ステップS608で求めたエンジン101の停止位置は、最終的なカウンタCの値と共に記憶され、アイドルストップ状態からエンジン101を再始動させる場合には、ステップS608で求めた停止位置のデータに基づき、燃料噴射の開始タイミングなどを判断する。
但し、イグニションスイッチ124のオフ操作によってエンジン101が停止される場合には、クランクシャフト120の停止位置と、再始動時におけるクランクシャフト120の回転位置にずれが生じる場合があるので、係る再始動時には、前記停止位置のデータ及び停止時におけるカウンタCの値を用いずに、単位角パルス信号POSの欠落領域(基準クランク角位置)の検出を待って、カウンタCのカウントアップによる回転位置の検出を開始させることが好ましい。
また、回転角αの演算において、係数K1と係数K2とのいずれか一方を用いても良いし、又は、係数K1及び係数K2を用いずに回転角αを演算させても良く、更に、係数K1,K2でΔNを補正する代わりに、回転角α=N2/ΔNとして求めた回転角αを補正してもよい。
また、単位角パルス信号POSの周期は10degに限定されず、また、単位角パルス信号POSが欠落なく一定の角度間隔で出力される信号であっても良い。単位角パルス信号POSを欠落なく出力させる回転センサを用いる場合には、別途、基準クランク角位置を検出するための基準角センサを設け、この基準角センサが出力するパルス信号に基づき検出した基準クランク角位置でカウンタCをリセットさせるようにすればよい。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの停止位置検出装置において、
前記パルス信号の周期から角速度を演算し、該角速度の時間的離散値から、単位角度当たりの角速度の低下速度を算出し、停止直前に計測した周期から演算した角速度と、前記低下速度とから、前記回転角を演算するエンジンの停止位置検出装置。
上記発明によると、単位角度当たりの角速度の低下速度と、停止直前に計測した周期から演算した角速度とから、角速度が0になるまでの回転角を求めることができ、前記角速度を示した回転位置と前記回転角とから停止位置を検出できる。
エンジンの温度が低いほど、前記回転角を小さく変更するエンジンの停止位置検出装置。
上記発明によると、エンジン温度が低くエンジンフリクションが大きい場合には、エンジンが停止し易くなるので、回転角を小さく変更し、フリクションによる停止位置の変化に対応する。
前記パルス信号が設定角度位置で欠落を生じるように前記回転センサが設定され、前記欠落部分を基準として、前記パルス信号の発生数を計数し、該計数値に基づき求めた回転位置と前記回転角とから停止位置を検出するエンジンの停止位置検出装置。
上記発明によると、パルス信号を一部で欠落させることで、1つのセンサ信号から基準位置の検出と、単位角の回転とを検出することができ、基準位置からのパルス信号の発生数は、基準位置からの回転角を示し、そのときの回転位置を検出することができる。
Claims (3)
- エンジンの出力軸の正転と逆転とで異なるパルス信号を出力する回転センサを備えたエンジンにおける停止位置検出装置であって、
前記パルス信号の周期の変化と、前記出力軸の回転方向と、前記パルス信号が示す回転位置とに基づき、前記出力軸の回転が停止するまでの回転角を求め、エンジンの停止直前に出力されたパルス信号とその前のパルス信号とで挟まれる角度領域の中心点から前記回転角だけ回転した位置を前記出力軸の停止位置として求める、エンジンの停止位置検出装置。 - エンジンの出力軸の正転と逆転とで異なるパルス信号を出力する回転センサを備えたエンジンにおける停止位置検出装置であって、
前記パルス信号の周期の変化と、前記出力軸の回転方向と、圧縮上死点の間における位置とに基づき、前記出力軸の回転が停止するまでの回転角を求め、前記回転角と前記パルス信号が示す回転位置とから前記出力軸の停止位置を求める、エンジンの停止位置検出装置。 - 圧縮上死点から次の気筒の圧縮上死点までの間で、前半で前記回転角を小さく変更し、後半で前記回転角を大きく変更する、請求項2記載のエンジンの停止位置検出装置。
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