JP5242480B2 - 広帯域バイアス回路 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波信号を増幅する増幅器に用いられるバイアス回路に関するもので、特に広帯域なパルス信号等の増幅に好適な増幅器に用いられる広帯域バイアス回路の技術分野に関するものである。
携帯電話等の高周波機器では、高周波信号を増幅するための高周波増幅器が用いられており、このような高周波増幅器では、増幅回路の出力端子側に直流のバイアス電流を供給するバイアス回路が備えられている(例えば特許文献1)。従来の高周波機器では、比較的狭帯域な信号を対象としており、これに対応してバイアス回路も比較的狭い周波数帯で好適に動作するように構成されていた。
一方、近年は広帯域な周波数帯を用いて形成されるパルス信号を用いた高周波機器の利用が進められている。一例として、距離測定や角度測定等の精度を高めるために、パルス信号を用いて測定を行うレーダ装置の開発が進められている。このようなレーダ装置では、例えばパルス幅1ns程度のパルス信号を1MHz程度の繰り返し周期で送受信したとする場合、1MHz〜3GHz程度の広帯域な周波数帯が必要となる。上限の周波数はパルス信号であるため3倍波までを含めた値としている。
このような広帯域な信号を用いる高周波機器では、信号増幅に用いられる高周波増幅器でも、広帯域にわたって良好な特性を有することが要求される。高周波増幅器の概略構成として、ブロック図の一例を図8に示す。同図に示す高周波増幅器900は、増幅回路901とバイアス回路902を備えており、バイアス回路902は増幅回路901の出力側に接続されている。バイアス回路902は、インダクタ902a等で構成され、電源903から増幅回路901に直流のバイアス電流を供給している。また、一般的にバイアス回路902の電源側にはバイアス回路902と電源903の間の線路のインピーダンスを下げる目的でコンデンサ904が接続される。
図8に示すような構成の高周波増幅器900では、増幅回路901側から電源903側に高周波信号が漏洩しないように、バイアス回路902によって信号漏洩が抑えられている。信号が電源側へ漏洩すると他回路の動作に影響を与えることがある。このバイアス回路の入力端905からバイアス回路の電源入力端906への信号漏洩を防ぐ性能を以降ではアイソレーションと呼ぶ。また、バイアス回路902が高周波信号に影響してその特性を劣化させることのないようにする必要がある。バイアス回路の入力端905から入った高周波信号がバイアス回路の出力端907へ通過する際の信号の損失を以降は挿入損失と呼び、伝送する高周波信号の各周波数における遅延時間を群遅延特性と呼ぶ。バイアス回路902は、電源側から増幅回路901に直流電流を供給するとともに電源側とのアイソレーションを高くするために、例えばインダクタとコンデンサを組み合わせたLCフィルタの構成とすることができる。また、インダクタを多数用いることで、広帯域な信号に対応可能なバイアス回路を構成することができる。なお、バイアス回路902を増幅回路901の出力側に接続された例について説明したが、入力側、または入力側と出力側の両方に接続される場合もある。
特開平5-175757号公報
しかしながら、インダクタとコンデンサを組み合わせて、例えば図9に示すようなバイアス回路911を構成した場合には、フィルタとしての電源側へのアイソレーション特性は高まるが、対象とする広帯域な周波数帯でバイアス回路の挿入損失特性や群遅延特性を平坦に保つことは困難であり、高周波信号に対する悪影響が生じてしまう。図9は、インダクタ911a、911b、911cとコンデンサ911d、911eを有するバイアス回路911を備えた高周波増幅器910を示しており、インダクタ911aと911bとの間にコンデンサ911dが接続されている。このように、インダクタ911bの手前にコンデンサ911dを接続すると、その手前のインダクタ911aとコンデンサ911dとで形成される共振周波数において、バイアス回路の挿入損失特性及び群遅延特性に極が形成されてしまうといった問題がある。高周波信号の使用帯域内で挿入損失特性及び群遅延特性に極ができ、平坦性が損なわれると、高周波信号の波形が崩れるなどの悪影響が現れる。コンデンサ911eにおいても同様の理由により極が生じ、問題となる場合がある。
また、図10に示す高周波増幅器920に設けられた広帯域バイアス回路921のように、多数のインダクタ921a〜921fを用いることでアイソレーション特性を広帯域に亘って大きくしようとすると、対象とする広帯域な周波数帯の中でバイアス回路の挿入損失特性や群遅延特性に極が現れないようにすることが難しく、高周波信号に対して悪影響を生じるといった問題があった。このような極を回避するには、各インダクタのインダクタンスを適切に決定する必要があるが、その決定方法がこれまで知られておらず、すべてのインダクタンスが決定されるまでに多大の時間を要していた。
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、広帯域な高周波信号を増幅する高周波増幅器に用いられ、広帯域に亘って電源側とのアイソレーションを高くするとともに、伝送する高周波信号への影響を低減したバイアス回路を提供することを目的とする。
本発明の広帯域バイアス回路の第1の態様は、一端が電源に接続され、他端が所定の周波数帯を使用する広帯域な高周波信号を増幅する増幅回路に接続され、直流のバイアス電流を供給する広帯域バイアス回路であって、前記増幅回路の入力側、出力側の少なくともいずれか一つに接続され前記増幅回路の接続点から直列に接続された3段以上のインダクタを備え、前記3段以上のインダクタのうち、前記接続点に最も近い1段目のインダクタのインダクタンスを最小とし、2段目以降のインダクタのインダクタンスを同じか順次大きくし、前記3段以上のインダクタのうち1段目から最後段より2段前までのそれぞれのインダクタは、該インダクタの持つアイソレーション特性と該インダクタの後段に隣接するインダクタの持つアイソレーション特性とが交差する周波数が、前記隣接する2つのインダクタの自己共振周波数の間となるようにそれぞれのインダクタンスが決定されていることを特徴とする。
本発明の広帯域バイアス回路の他の態様は、前記3段以上のインダクタのうち1段目から最後段より1段前までのインダクタは、前記最後段のインダクタと比較して、Q値が低くインダクタの持つ自己共振周波数近傍におけるアイソレーション特性の変化が緩やかとなっていることを特徴とする。
本発明の広帯域バイアス回路の他の態様は、前記3段以上のインダクタを直列接続したアイソレーション特性は、前記所定の周波数帯において25dBより大きいことを特徴とする。
本発明の広帯域バイアス回路の他の態様は、挿入損失特性において、前記所定の周波数帯における変動幅が0.4dB以下となるように前記3段以上のインダクタの各々のインダクタンスが決定されていることを特徴とする。
本発明の広帯域バイアス回路の他の態様は、群遅延特性において、前記所定の周波数帯あるいはそれより狭い別の周波数帯における遅延時間が100ps以下となるように前記3段以上のインダクタの各々のインダクタンスが決定されていることを特徴とする。
本発明の広帯域バイアス回路の他の態様は、前記所定の周波数帯は、1MHz以上3GHz以下であることを特徴とする。
本発明のバイアス回路によれば、所定のインダクタンスを有するインダクタを3段以上直列に接続することで、広帯域に亘って高いアイソレーション特性を有するとともに高周波信号への影響を低減することが可能となり、広帯域な高周波信号を増幅する高周波増幅器に用いることができる。
本発明の第1の実施形態の広帯域バイアス回路を備えた高周波増幅器の構成を示すブロック図である。 1段のインダクタを備えたバイアス回路を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性の一例を示すグラフである。 2段のインダクタを備えたバイアス回路を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性の一例を示すグラフである。 第1の実施形態の広帯域バイアス回路を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性の一例を示すグラフである。 比較例1の広帯域バイアス回路を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性、及び群遅延特性の一例を示すグラフである。 比較例2の広帯域バイアス回路を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性、及び群遅延特性の一例を示すグラフである。 第1の実施形態と比較例3の広帯域バイアス回路のアイソレーション特性、挿入損失特性、群遅延特性を比較するグラフである。 従来の高周波増幅器の概略構成の一例を示すブロック図である。 従来の高周波増幅器の概略構成の別の一例を示すブロック図である。 従来の高周波増幅器の概略構成のさらに別の一例を示すブロック図である。
本発明の好ましい実施の形態における広帯域バイアス回路について、図面を参照して詳細に説明する。同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。本発明は、広帯域な高周波信号を増幅する増幅器に用いるのに好適な広帯域バイアス回路に関するものである。広帯域バイアス回路は、一端を電源に接続し、他端を増幅回路の入力側及び出力側の少なくともいずれか一方に接続して電源から直流のバイアス電流を供給するように構成したものである。以下では、広帯域バイアス回路を増幅回路の出力側に接続した実施形態について説明するが、広帯域バイアス回路を増幅回路の入力側に接続した場合、あるいは入力側と出力側の両方に接続した場合でも、以下で説明するのと同等の効果を得ることができる。以下では、広帯域な高周波信号として、1MHz〜3GHzの帯域を用いる信号を一例に説明する。
このような広帯域バイアス回路では、電源側から増幅回路の出力側に直流電流を供給する一方、増幅回路側から電源側に高周波信号が漏れるのをできるだけ低減する必要がある。そのためには、広帯域バイアス回路において、高周波信号に対する高いアイソレーション特性が必要になる。また、増幅回路から出力される高周波信号に対しては、広帯域バイアス回路がその特性に影響するのをできるだけ低減する必要がある。広帯域バイアス回路が影響を与える可能性のある特性として、バイアス回路の挿入損失特性や群遅延特性があり、これらの特性を対象とする広帯域な周波数帯で平坦な特性とする事が好ましく、平坦性が損なわれると広帯域信号の波形が崩れるなどの悪影響が現れる。
上記のアイソレーション特性、挿入損失特性、及び群遅延特性に対し、それぞれが適切であると判定されるための条件として、本発明では以下のような特性毎の条件を設定している。
(1)アイソレーション特性を、略25dB以上とする、
(2)挿入損失特性として、1MHzから3GHzの帯域において変動が0.4dB以内の平坦な特性値が確保される、
(3)群遅延特性として、50MHz〜3GHzの帯域において遅延時間が100ps以内の平坦な特性値が確保される。
本発明の第1の実施の形態に係る広帯域バイアス回路を図1を用いて以下に説明する。図1は、本実施形態の広帯域バイアス回路110を備えた高周波増幅器100の構成を示すブロック図である。高周波増幅器100は、増幅回路101の出力側(出力端103側)に本実施形態の広帯域バイアス回路110が接続された構成となっている。また、増幅回路101の入力側(入力端102側)と出力側のそれぞれに直流成分をカットするためのコンデンサ104、105が設けられている。また、一般的にバイアス回路110の電源側には、バイアス回路110と電源120の間の線路のインピーダンスを下げる目的でコンデンサ114が接続される。
本実施形態の広帯域バイアス回路110は、一端が電源120に接続され、他端が増幅回路101の入力側の接続点106または出力側の接続点107の少なくともいずれか一つに接続されており、電源120から直流のバイアス電流が増幅回路101に供給されている。広帯域バイアス回路110は、接続点106または、107側の少なくともいずれか一つから順に3段のインダクタ111、112、113を備えており、電源120側には一端が接地されたコンデンサ114が設けられている。3段のインダクタ111、112、113は、直列に接続されている。
以下の実施形態では、広帯域バイアス回路が3段のインダクタを備える場合について説明するが、これに限らず、インダクタを4段以上備えるようにしてもよい。また、以下の実施形態では、広帯域バイアス回路110が増幅回路101の出力側の接続点107に接続されている場合について説明するが、広帯域バイアス回路110が増幅回路101の入力側の接続点106に接続される場合、あるいは接続点106、107の両方に接続される場合、のいずれであっても本実施形態と同様の効果を得ることができる。
インダクタ111、112、113は、それぞれが寄生容量を有していることから、各インダクタが有するインダクタンスと寄生容量のキャパシタンスとから決まる周波数(自己共振周波数)で並列共振を起こす。インダクタで実現されるアイソレーション特性は、この自己共振周波数で最も高い値を示す。増幅回路101から狭帯域な信号が出力される場合には、インダクタを1段だけ備えたバイアス回路を用いても、好適なアイソレーション特性を得ることができる。しかしながら、3GHz程度の広帯域な信号に対しては、インダクタを1段だけ備えたバイアス回路では、使用する帯域全体で好適なアイソレーション特性を得るのは困難である。
一例として、1段のインダクタを備えたバイアス回路を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性を図2に示す。アイソレーション特性とは図1におけるバイアス回路の入力端130からバイアス回路の電源入力端131への信号の通過損失であり、挿入損失特性及び群遅延特性とはバイアス回路の入力端130からバイアス回路の出力端132へ通過する信号について示している。ここでは、インダクタンスが15μHのインダクタを1段だけ備えたバイアス回路を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性、及び群遅延特性を、それぞれ図2(a)、(b)、(c)に示している。図2(a)に示すように、アイソレーション特性が25dB以上を確保できる周波数帯は、自己共振周波数を中心に極めて限られた範囲であり、上記の条件(1)を満たしていないことがわかる。また、図2(b)に示す挿入損失特性においても、1GHz近傍では大きく低下しており、上記の条件(2)を満たしていない。
そこで、インダクタを1段追加してバイアス回路を2段構成とし、これを用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性の一例を図3に示す。ここでは、1段目にインダクタンスが1μHのインダクタを配置し、2段目にインダクタンスが15μHのインダクタを配置したバイアス回路を用いている。このようなバイアス回路を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性、及び群遅延特性を、それぞれ図3(a)、(b)、(c)に示している。
図3(a)において、符号91、92はそれぞれ1段目、2段目のインダクタの持つアイソレーション特性を示しており、符号90は2段のインダクタを直列接続したアイソレーション特性を示している。図3(a)に示すインダクタを直列接続したアイソレーション特性90より、1段目と2段目のインダクタの持つアイソレーション特性が交差する周波数近傍において、アイソレーション特性が25dB以上を確保することができず、上記の条件(1)を満たしていないことがわかる。また、図3(b)に示す挿入損失特性においても、上記のインダクタの持つアイソレーション特性が交差する周波数近傍で大きく低下しており、上記の条件(2)を満たしていない。
上記説明のように、1段または2段のインダクタで構成されたバイアス回路を用いた場合には、3GHz程度の広帯域な信号に対して好適な特性が得られるようにすることがきわめて困難であった。一方、図10のように、インダクタを7段、8段といった多段化すれば好適な特性が必ずしも得られる訳ではなく最適な設定が難しいといった問題があった。このような課題に対し発明者は、インダクタを3段とし、それぞれのインダクタンスを所定の条件に従って直列に接続することで、アイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性のいずれもが好適に設定できることを見出した。
図1に示した本実施形態の広帯域バイアス回路110を用いたときのアイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性の一例を図4に示す。本実施形態では、1段目のインダクタ111にインダクタンスが1μHのものを用い、2段目のインダクタ112にインダクタンスが4.7μHのものを用い、3段目のインダクタ113にインダクタンスが15μHのインダクタを用いている。このような3段構成の広帯域バイアス回路110を用いたとき、アイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性は、それぞれ図4(a)、(b)、(c)に示すような好適な特性となる。
図4(a)において、符号11、12、13はそれぞれ1段目、2段目、3段目のインダクタ111、112、113のアイソレーション特性を示しており、符号10は3段のインダクタを直列接続したアイソレーション特性を示している。図4(a)に示すアイソレーション特性10より、3GHzまでの周波数帯域においてアイソレーション特性が25dB以上を確保できていることがわかる。また、図4(b)に示す挿入損失特性では、1MHzから3GHzの帯域における挿入損失特性の変動が0.4dB以内に低減されており、平坦な挿入損失特性が確保されている。さらに、図4(c)に示す群遅延特性では、50MHz〜3GHzの帯域における遅延時間が100ps以内に低減されており、やはり平坦な群遅延特性が確保されている。
上記説明のように、3段のインダクタを好適に配置して構成された本実施形態の広帯域バイアス回路110によれば、広帯域で高いアイソレーション特性を実現するとともに、バイアス回路の挿入損失特性及び群遅延特性の平坦性を確保することが可能となっている。本実施形態の広帯域バイアス回路110を増幅回路101の出力側に接続することで、広帯域な高周波信号を好適に増幅することができる高周波増幅器100を実現することができる。本実施形態のバイアス回路110は、3段のインダクタ111,112,113を直列に接続した簡素な構成となっていることから、低コストな高周波増幅器を提供することができる。なお、上記では広帯域バイアス回路110を増幅回路101の出力側に接続した場合についての特性を説明したが、広帯域バイアス回路110を増幅回路101の入力側に接続した場合でも、上記と同等のアイソレーション特性、挿入損失特性及び群遅延特性が得られる。
本実施形態の広帯域バイアス回路110では、インダクタンスが1μH、4.7μH、及び15μHの3段のインダクタをこの順序に並べ、それぞれを1段目のインダクタ111、2段目のインダクタ112、及び3段目のインダクタ113に用いている。本実施形態では、3段のインダクタ111,112,113を上記のように好適に配置したことにより、図4に示すような好ましい特性を得ることが可能となっている。これに対し、本実施形態と同様に3段のインダクタを用いて構成したバイアス回路であっても、本実施形態のインダクタ111、112,113と異なるインダクタンスのものを用いて異なる配置とする場合には、図4に示すような好ましい特性を得ることはできない。
本実施形態のインダクタ111、112,113とは異なるインダクタンスを有するインダクタを用いたときの、アイソレーション特性、挿入損失特性、及び群遅延特性の一例を図5に示す。ここでは、15μHのインダクタンスを有する3段目のインダクタ113に代えて、100μHのインダクタンスを有する別のインダクタを用いており、このように構成された広帯域バイアス回路を、以下では比較例1の広帯域バイアス回路と称する。
図5(a)において、符号21、22、23はそれぞれ1段目、2段目、3段目のインダクタのアイソレーション特性を示しており、符号20は3段のインダクタを直列接続したアイソレーション特性を示している。比較例1の広帯域バイアス回路では、図5(a)に示すアイソレーション特性20において、各インダクタのアイソレーション特性21、22、23が交わる周波数の付近で上記の条件(1)を満たしていない。特に、3段目と2段目のインダクタのアイソレーション特性23、22が交わる周波数の付近で、アイソレーション特性20が大きく落ち込んでいる。
また、図5(c)に示す群遅延特性においても、50MHz〜3GHzの帯域内に遅延時間が100psを超える大きな変動がみられ、上記の条件(3)を満たしていない。特に、図5(a)で示した3段目と2段目のインダクタのアイソレーション特性23、22が交わる周波数付近では、群遅延特性においても遅延時間が大きく変動して平坦性が損なわれている。
このように、3段のインダクタを直列に接続して広帯域バイアス回路を構成した場合であっても、比較例1のように各インダクタのインダクタンスが適切に選択されていない場合には、上記の条件(1)〜(3)の全てを満足させることはできない。そこで、以下では好適な3段のインダクタの選択方法について説明する。
本実施形態の広帯域バイアス回路110の特性を示す図4と、比較例1の特性を示す図5とを比較すると、アイソレーション特性において、3段目のインダクタの持つアイソレーション特性と2段目のインダクタの持つアイソレーション特性との交わり方に大きな違いがみられる。広帯域バイアス回路110のアイソレーション特性は、2段目のインダクタの持つアイソレーション特性12のピーク(自己共振周波数)が、3段目のインダクタの持つアイソレーション特性13のライン上にほぼ重なっている。その結果、3段目のインダクタの持つアイソレーション特性13と2段目のインダクタの持つアイソレーション特性12とが交わる周波数付近でも、インダクタを直列接続したアイソレーション特性10が大きく落ち込むことはなく、上記の条件(1)を満たすことができる。
これに対し比較例1のアイソレーション特性は、2段目のインダクタの持つアイソレーション特性22のピークが、3段目のインダクタの持つアイソレーション特性23のラインから離れた高周波側に位置している。その結果、3段目のインダクタの持つアイソレーション特性23と2段目のインダクタの持つアイソレーション特性22とが交わる周波数付近で、インダクタを直列接続したアイソレーション特性20が大きく落ち込んで悪化している。上記の結果より、アイソレーション特性において、2段目のインダクタの持つアイソレーション特性の自己共振周波数におけるピークが、3段目のインダクタの持つアイソレーション特性のライン上にほぼ重なるように、2段目及び3段目のインダクタのインダクタンスを選択するのが好ましい。
1段目と2段目のインダクタの持つアイソレーション特性の重ね方では、本実施形態と比較例1とで大きな差は見られず、1段目のインダクタの持つアイソレーション特性の自己共振周波数におけるピークが、2段目のインダクタの持つアイソレーション特性のラインより高周波側に配置されている。しかしながら、1段目のインダクタの持つアイソレーション特性11、21は、2段目のインダクタの持つアイソレーション特性12、22、及び3段目のインダクタの持つアイソレーション特性13、23に比べて、自己共振周波数近傍におけるピークが緩やかに変化している。その結果、1段目のインダクタの持つアイソレーション特性11、21と2段目のインダクタの持つアイソレーション特性12、22とが交わる周波数付近で、インダクタを直列接続したアイソレーション特性10、20の落ち込みが見られるもののその程度が小さくなり、本実施形態におけるインダクタを直列接続したアイソレーション特性10では上記の条件(1)を満たすことが可能となっている。
比較例2として、1段目のインダクタの持つアイソレーション特性の自己共振周波数におけるピークを、2段目のインダクタの持つアイソレーション特性のラインより低周波側に配置するように構成した広帯域バイアス回路の特性を図6に示す。比較例2の広帯域バイアス回路では、3段のインダクタのそれぞれのインダクタンスを2.2μH、4.7μH、15μHとしている。図6(a)、(b)、(c)は、それぞれ比較例2の広帯域バイアス回路のアイソレーション特性、挿入損失特性、及び群遅延特性を示している。比較例2の広帯域バイアス回路では、図6(b)、(c)に示す挿入損失特性及び群遅延特性がともに上記の条件(2)、(3)を満たしているものの、図6(a)に示すアイソレーション特性が1GHz近傍で劣化して上記の条件(1)を満たしていない。
比較例2の広帯域バイアス回路では、本実施形態の広帯域バイアス回路110と比較して、1段目のインダクタの自己共振周波数がより低周波側に位置するものを用いている。その結果、高周波側の1GHz近傍ではアイソレーション特性を25dB以上得る事ができなくなっている。広帯域で好ましいアイソレーション特性を得るためには、3段のインダクタの自己共振周波数を、できるだけ広帯域に分散させるのがよい。また、共振周波数を高周波側に持つインダクタほど、Q値を小さくして自己共振周波数近傍におけるアイソレーション特性を緩やかにしたものを用い、アイソレーション特性が高周波側まで確保されるようにするのが好ましい。とくに、インダクタンスの最も小さい1段目のインダクタには、自己共振周波数におけるアイソレーション特性のピークが緩やかで、かつ自己共振周波数が2段目のインダクタのアイソレーション特性のライン上かそれより高周波側に位置するものを用いるのが好ましい。
次に、3段のインダクタの接続順序について以下に説明する。本実施形態の広帯域バイアス回路110では、1段目のインダクタ111のインダクタンスを最も小さくし、2段目、3段目のインダクタ112、113の順にインダクタンスを大きくしている。異なるインダクタンスを有する3段のインダクタの接続順序が、アイソレーション特性、挿入損失特性、及び群遅延特性に対しどのように影響するかを検討した結果を以下に説明する。以下では、図4にも示している本実施形態であるインダクタンスの小さい方から順に接続した広帯域バイアス回路に対し、これとは逆にインダクタンスの大きい方から順に接続した広帯域バイアス回路を比較例3として比較している。
本実施形態と比較例3の広帯域バイアス回路の各特性を比較した結果を図7に示す。図7(a)は本実施形態と比較例3のそれぞれのアイソレーション特性41、51を示し、図7(b)は本実施形態と比較例3のそれぞれの挿入損失特性42、52を示し、図7(c)は本実施形態と比較例3のそれぞれの群遅延特性43、53を示している。図7(a)より、本実施形態と比較例3のアイソレーション特性41、51はほぼ一致していることがわかる。これより、3段のインダクタを接続する順序は、アイソレーション特性にはほとんど影響しないことが確認できる。また図7(c)に示す群遅延特性43、53でも、本実施形態と比較例3とでほぼ一致している。
これに対し、図7(b)に示す挿入損失特性42、52では、高周波側において本実施形態の挿入損失特性42が緩やかに低下するのに対し、比較例3の挿入損失特性52は急激に低下した後振動しているのが確認できる。このように、1段目にインダクタンスの高いインダクタを接続し、2,3段目の順にインダクタンスが小さくなるようにインダクタを接続していくと、広帯域バイアス回路の挿入損失特性の平坦性が損なわれる可能性があることが確認できる。
以上の結果から、3段のインダクタを接続する順序は、1段目にインダクタンスの最も小さいインダクタを接続し、次に大きなインダクタンスを2段目に接続し、インダクタンスの最も大きいインダクタを3段目に接続するのがよいことが確認できた。
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る広帯域バイアス回路の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における広帯域バイアス回路の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
100 広帯域バイアス回路
101 増幅回路
102 入力端
103 出力端
104、105、114 コンデンサ
106 入力側の接続点
107 出力側の接続点
110 広帯域バイアス回路
120 電源
111、112、113 インダクタ
130 バイアス回路の入力端
131 バイアス回路の電源入力端
132 バイアス回路の出力端

Claims (6)

  1. 一端が電源に接続され、他端が所定の周波数帯を使用する広帯域な高周波信号を増幅する増幅回路に接続され、直流のバイアス電流を供給する広帯域バイアス回路であって、前記増幅回路の入力側、出力側の少なくともいずれか一つに接続され前記増幅回路の接続点から直列に接続された3段以上のインダクタを備え、
    前記3段以上のインダクタのうち、前記接続点に最も近い1段目のインダクタのインダクタンスを最小とし、2段目以降のインダクタのインダクタンスを同じか順次大きくし、
    前記3段以上のインダクタのうち1段目から最後段より2段前までのそれぞれのインダクタは、該インダクタの持つアイソレーション特性と該インダクタの後段に隣接するインダクタの持つアイソレーション特性とが交差する周波数が、前記隣接する2つのインダクタの自己共振周波数の間となるようにそれぞれのインダクタンスが決定されている
    ことを特徴とする広帯域バイアス回路。
  2. 前記3段以上のインダクタのうち1段目から最後段より1段前までのインダクタは、前記最後段のインダクタと比較して、Q値が低くインダクタの持つアイソレーション特性の自己共振周波数近傍における変化が緩やかとなっている
    ことを特徴とする請求項1に記載の広帯域バイアス回路。
  3. 前記3段以上のインダクタを直列接続したアイソレーション特性は、前記所定の周波数帯において25dBより大きい
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の広帯域バイアス回路。
  4. 挿入損失特性において、前記所定の周波数帯における変動幅が0.4dB以下となるように前記3段以上のインダクタの各々のインダクタンスが決定されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の広帯域バイアス回路。
  5. 群遅延特性において、前記所定の周波数帯あるいはそれより狭い別の周波数帯における遅延時間が100ps以下となるように前記3段以上のインダクタの各々のインダクタンスが決定されている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の広帯域バイアス回路。
  6. 前記所定の周波数帯は、1MHz以上3GHz以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の広帯域バイアス回路。
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