JP5241468B2 - シミュレーション方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、シミュレーション方法及びプログラムに関し、特に、分子動力学を用いたシミュレーション方法、及び、それをコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
分子動力学を用いたコンピュータシミュレーションが行われている。分子動力学では、シミュレーションの対象となる系を構成する粒子の運動方程式が、数値的に解かれる。シミュレーション対象の系の粒子数が増大すれば、必要な計算量が増大する。現行のコンピュータの演算能力では、例えば、粒子数10万程度の系のシミュレーションまでしか行うことができない。
シミュレーションに必要な計算量を減らすために、例えば非特許文献1において、分子動力学に繰り込みの手法を応用しようとする試みがなされている。
なお、本願に関連する発明が本願発明者らによってなされ、特許文献1に開示されている。
特開2006−285866号公報 稲村,武澤,社本,「繰り込みの手法に基づく可変スケール分子動力学シミュレーションについて」,日本機械学会論文集(A編),1997年,第63巻,608号,p.202−207
非特許文献1の「3.数値計算法」の欄に記載されているように、非特許文献1のシミュレーション方法では、温度を陽に評価できない。
本発明の一目的は、分子動力学を用いた新規なシミュレーション方法、及びその方法をコンピュータで実行するためのプログラムを提供することである。
本発明の他の目的は、繰り込み群の手法に基づき、温度を陽に評価することが可能なシミュレーション方法、及びその方法をコンピュータで実行するためのプログラムを提供することである。
本発明の一観点によれば、
(a)N個の粒子を含み、各粒子の質量がmであり、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギを、粒子間距離に対する依存性を表す無次元化関数f及び相互作用係数εの積εfで表すことができるシミュレーション対象の粒子系Sに関し、1より大きい第1の繰り込み因子αと、0以上d以下の第2の繰り込み因子γと、0以上の第3の繰り込み因子δとを決定する工程と、
(a1)前記粒子系Sが配置されている空間の次元数d、工程(a)で決定された第1の繰り込み因子α、第2の繰り込み因子γ、及び第3の繰り込み因子δを用いて、繰り込まれた粒子数N´を、変換式N´=N/αにより求め、繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mαδ/αγにより求め、繰り込まれた相互作用係数ε´を、変換式ε´=εαγにより求める工程と、
(b)繰り込まれた粒子数N´個の粒子を含み、各粒子が、繰り込まれた粒子の質量m´を有し、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギが、前記無次元化関数fと、繰り込まれた相互作用係数ε´との積ε´fで表される粒子系S´について、粒子の初期位置及び初期速度と、時間刻み幅とを与えて、分子動力学計算を実行する工程と
(c)前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた位置ベクトルをq´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた運動量ベクトルをp´と表し、前記粒子系
S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた速度ベクトルをv´と表し、前記工程(b)における分子動力学計算におけるある時間間隔をt´と表すとき、前記工程(a)で決定された、前記第1の繰り込み因子α、第2の繰り込み因子γ、及び第3の繰り込み因子δのうちの少なくとも1つを用いて、前記粒子系Sに含まれるある粒子の位置ベクトルqを、変換式q=q´αにより求める計算、前記粒子系Sに含まれるある粒子の運動量ベクトルpを、変換式p=p´/α δ/2 により求める計算、前記粒子系Sに含まれるある粒子の速度ベクトルvを、変換式v=v´α (−γ+δ/2) により求める計算、及び、前記粒子系Sについて実行すると仮定した分子動力学計算におけるある時間間隔tを、変換式t=t´α (1+γ−δ/2) により求める計算のうち、少なくとも1つの計算を実行する工程と
を有するシミュレーション方法が提供される。
また、本発明の他の観点によれば、
(a)N個の粒子を含み、各粒子の質量がmであり、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギを、粒子間距離に対する依存性を表す無次元化関数f及び相互作用係数εの積εfで表すことができるシミュレーション対象の粒子系Sに関し、1より大きい第1の繰り込み因子αと、0以上の第3の繰り込み因子δとを決定する工程と、
(a1)前記粒子系Sが配置されている空間の次元数d、前記工程(a)で決定された第1の繰り込み因子α、及び第3の繰り込み因子δを用いて、繰り込まれた粒子数N´を、変換式N´=N/αにより求め、繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mαδにより求める工程と、
(b)繰り込まれた粒子数N´個の粒子を含み、各粒子が、繰り込まれた粒子の質量m´を有し、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギが、前記無次元化関数fと、前記相互作用係数εとの積εfで表される粒子系S´について、粒子の初期位置及び初期速度と、時間刻み幅とを与えて、分子動力学計算を実行する工程と
(c)前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた位置ベクトルをq´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた運動量ベクトルをp´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた速度ベクトルをv´と表すとき、前記工程(a)で決定された前記第1の繰り込み因子αと前記第3の繰り込み因子δの少なくとも一方を用いて、前記粒子系Sに含まれるある粒子の位置ベクトルqを、変換式q=q´α により求める計算、前記粒子系Sに含まれるある粒子の運動量ベクトルpを、変換式p=p´/α δ/2 により求める計算、及び前記粒子系Sに含まれるある粒子の速度ベクトルvを、変換式v=v´α δ/2 により求める計算のうち、少なくとも1つの計算を実行する工程と
を有するシミュレーション方法が提供される。
更に、本発明の他の観点によれば、
(d)N個の粒子を含み、各粒子の質量がmであり、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギを、粒子間距離に対する依存性を表す無次元化関数f及び相互作用係数εの積εfで表すことができるシミュレーション対象の粒子系Sに関し、前記粒子系Sが配置されている空間にXYZ直交座標系を考えたとき、それぞれが1より大きいX方向の繰り込み因子α、Y方向の繰り込み因子α、及びZ方向の繰り込み因子α 、及び0以上の繰り込み因子δを決定する工程と、
(d1)前記工程(d)で決定された繰り込み因子α 、α 、α 、及びδを用いて、繰り込まれた粒子数N´を、変換式N´=N/(ααα)により求めX方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mα δにより求め、Y方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mα δにより求め、Z方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mα δにより求める工程と、
(e)繰り込まれた粒子数N´個の粒子を含み、各粒子が、繰り込まれた粒子の質量m´を有し、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギが、前記無次元化関数fと、前記相互作用係数εとの積εfで表される粒子系S´について、X方向の運動方程式にはX方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を用い、Y方向の運動方程式にはY方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を用い、Z方向の運動方程式にはZ方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を用いて、粒子の初期位置及び初期速度と、時間刻み幅とを与えて、分子動力学計算を実行する工程と
(f)前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(e)における分子動力学計算で求められた位置ベクトルをq´と表し、該位置ベクトルq´のX、Y及びZ方向それぞれの成分を、q ´、q ´、及びq ´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(e)における分子動力学計算で求められた運動量ベクトルをp´と表し、該運動量ベクトルp´のX、Y及びZ方向それぞれの成分を、p ´、p ´、及びp ´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(e)における分子動力学計算で求められた速度ベクトルをv´と表し、該速度ベクトルv´のX、Y及びZ方向それぞれの成分を、v ´、v ´、及びv ´と表すとき、前記X方向の繰り込み因子α 、Y方向の繰り込み因子α 、Z方向の繰り込み因子α 、及び前記工程(d)で決定された繰り込み因子δを用いて、前記粒子系Sに含まれるある粒子の位置ベクトルqのX、Y及びZ方向それぞれの成分q 、q 、及びq を、それぞれ、変換式q =q ´α 、q =q ´α 、及びq =q ´α により求める計算、前記粒子系Sに含まれるある粒子の運動量ベクトルpのX、Y及びZ方向それぞれの成分p 、p 、及びp を,それぞれ、変換式p =p ´/α δ/2 、p =p ´/α δ/2 、及びp =p ´/α δ/2 により求める計算、及び、前記粒子系Sに含まれるある粒子の速度ベクトルvのX、Y及びZ方向それぞれの成分v 、v 、及びv を,それぞれ、変換式v =v ´α δ/2 、v =v ´α δ/2 、及びv =v ´α δ/2 により求める計算のうち、少なくとも1つの計算を実行する工程と
を有するシミュレーション方法が提供される。
繰り込まれた粒子数N´は、粒子数Nよりも少ない。このため、粒子系Sに対して分子動力学計算を実行するよりも少ない計算量で、粒子系S´に対する分子動力学計算を実行することができる。
また、0以上の繰り込み因子δを任意に決定して計算を行うため、シミュレーションを柔軟に実行することができる。
まず、分子動力学(Molecular Dynamics;MD)について簡潔に説明する。N個の粒子(例えば原子)からなり、ハミルトニアンHが、


・・・(1)

と表される粒子系について考える。ここで、各粒子の質量がmであり、粒子jの運動量ベクトルがpであり、粒子jの位置ベクトル(位置座標)がqであり、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギがφである。
ハミルトニアンHを、ハミルトンの正準方程式に代入することにより、各粒子に対する運動方程式


・・・(2)

及び


・・・(3)

が得られる。ここで式(3)において、vは粒子jの速度ベクトルである。分子動力学では、粒子系を構成する各粒子に対し、式(2)及び(3)で表される運動方程式を数値的に積分して解くことにより、各時刻における各粒子の運動量ベクトル(または速度ベクトル)及び位置ベクトルが求められる。なお、数値積分には、Verlet法が用いられることが多い。Verlet法については、例えば、J.M.Thijssen,“Computational Physics”,Cambridge University Press(1999)のp.175に説明されている。分子動力学計算で得られた各粒子の位置、速度に基づき、系の種々の物理量を算出することができる。
次に、繰り込み群の手法を応用した分子動力学(これを、繰り込み群分子動力学と呼ぶこととする)について、概念的に説明する。
繰り込み群分子動力学では、物理量を求めたい所望の系Sを、系Sよりも少ない粒子数で構成される系(これを、繰り込まれた系S´と呼ぶこととする)に対応付ける。次に、繰り込まれた系S´に対する分子動力学計算を実行する。そして、繰り込まれた系S´に対する計算結果を、所望の系Sに対応付ける。これにより、所望の系Sに対する分子動力学計算を直接的に実行するよりも少ない計算量で、所望の系Sに対する物理量を算出することが可能となる。所望の系Sにおける物理量(例えば、粒子数、各粒子の質量等)と、繰り込まれた系S´における物理量とを互いに対応付けるための変換則を、スケール変換則と呼ぶ。
次に、本願発明者が見出したスケール変換則について説明する。物理量を算出したい所望の粒子系Sが、N個の粒子から構成されるとする。粒子系Sの全ハミルトニアンHが、式(1)に示したように、



と表されるとする。ある粒子jのハミルトニアンHは、


・・・(4)

と表される。
繰り込みの議論のために、相互作用ポテンシャルエネルギφを、粒子間距離に対する依存性を表し、無次元化された関数fと、相互作用の強さを表し、エネルギの次元を持つ係数ε(これを相互作用係数εと呼ぶこととする)との積により、以下の様に表す。


・・・(5)

例えば、不活性原子に対しては、


・・・(6)

という相互作用ポテンシャルが用いられる。ここでrは原子間距離である。相互作用係数ε及び定数σが、原子の種類に対応する値を取る。
次に、ハミルトニアンHから、繰り込まれたハミルトニアンH´を導出する方法について説明する。以下詳細に示すように、繰り込まれたハミルトニアンH´は、粒子系Sに対する分配関数Z(β)における積分の一部を実行し、ハミルトニアンを粗視化し、続いて積分変数を再スケールすることで得られる。
粒子数一定における正準集団(Canonical ensemble)に対する分配関数Z(β)は、粒子系Sに対して、


・・・(7)

と表される。ここで、係数βは、系の温度Tとボルツマン定数kとによりβ=1/(kT)と定義される。dΓは位相空間内の体積要素であり、より詳細には、


・・・(8)

と表される。ここで、Wは、N!h3N(hはプランク定数)である。また、D 及びD をそれぞれ、






と定義している。
調和振動子以外のポテンシャルの繰り込みを議論することは困難である。そこで、鞍点を持つ相互作用ポテンシャルを3つの領域に分けて考える。粒子間距離r→∞とr→0は、固定点であるから繰り込み変換に際しポテンシャルは不変である。そこで、鞍点近傍の繰り込み変換がすべての粒子間距離rについても成立すると仮定する。鞍点の周りをテーラー展開し、2次の揺らぎまで残す。鞍点の位置をrとし、相対変位をδuとすると、δuの1次の項は消えて、


・・・(9)

を得る。従って、粒子jについて、鞍点近傍を記述するハミルトニアンは、


・・・(10)

となる。ここで、u及びuは、それぞれ、粒子i及びjの鞍点からの変位を表す。φ″は、粒子間距離rについての2階微分である。
次に、分配関数Z(β)の粒子間相互作用部分の粗視化について説明する。まず、一次元鎖上に配置された粒子系における粗視化について考察した後、単純立方格子上に配置された粒子系へ拡張する。
図1(A)に示すように、1次元鎖上の格子点(ラティスポイント)に、粒子iとjとが互いに最隣接して配置され、粒子jとkとが互いに最隣接して配置されている。粒子iとkとの中間に、粒子jが配置されている。最隣接する粒子同士の相互作用(二アレストネイバーカップリング)を実線で示す。粒子jを消去し、粗視化することを考える。粒子jが関与する相互作用を書き出し、粒子iとkとの中間にある粒子jの変位uについて積分を実行すれば、粒子jの影響が繰り込まれた後の、粒子iとkとの相互作用ポテンシャルφ´(q−q)について、


・・・(11)

という式を得る。
この粗視化により、格子定数がα(=2)倍になるから、u´=u/αという式でスケール変換された変数u´により、元のポテンシャル関数と同形に表すことができる。つまり、以下の相似則が得られる。


・・・(12)

ただし、ここで、式(12)の2行目へ移るに際して、鞍点近傍以外においても同じ繰り込み変換が成立すると仮定した。αを、第1の繰り込み因子と呼ぶこととする。
d次元単純立方格子における粗視化は、ポテンシャルムービング(Potential Moving)の方法により実現できる。Potential Movingについては、例えば、Leo P.Kadanoff,“STATISTICAL PHYSICS,Statics,Dynamics and Renormalization”,World Scientiffic(1999) の14章に解説されている。
図1(B)を参照して、Potential Movingの考え方について説明する。Potential Movingでは、多次元格子を1次元鎖へ帰着させる。図1(B)には、2次元格子の場合を示す。
図1(B)の上段の図に示すように、2次元正方格子の格子点上に粒子が配置されている。最隣接する粒子同士の相互作用(最隣接間相互作用)を実線で示す。格子の有る辺に平行な方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向とする。
図1(B)の中段の図に示すように、X方向に並んだ粒子について、1つ置きに粒子を積分することを考える(白抜きの丸で示した格子点(ラティスポイントフォーサメイション)上の粒子を積分することを考える)。積分したい(消去したい)粒子を、被積分粒子と呼ぶこととする。被積分粒子同士の最隣接間相互作用を波線で示す。もし被積分粒子同士の最隣接間相互作用が存在しなければ、被積分粒子については、X方向に延在する1次元鎖と見なせる。
Potential Movingでは、図1(B)の下段の図に示すように、被積分粒子同士の最隣接間相互作用を、X方向について被積分粒子の両隣に配置された粒子に振り分ける。振り分けられた相互作用が加算された粒子間相互作用(ダブルカップリング)を、二重線で示す。二重線で示す相互作用は、元の最隣接間相互作用の2倍の強さになる。この様にして、被積分粒子に対して、2次元格子から1次元鎖に変換できる。そこで、被積分粒子に対して、上述した1次元鎖に対する粗視化の方法が実行できる。例えば3次元格子の場合、以上説明したのと同様な手順を、Y、Z方向についても繰り返す。このようにして、多次元格子における粗視化が実行される。
Potential Movingの方法を用いることにより、d次元単純立方格子における分配関数Z(β)の相互作用部分の粗視化について、


・・・(13)

という結果が導かれる。ここで、繰り込まれた粒子数N´及び第1の繰り込み因子αが、






という式で表される。nは正整数であり、粗視化の回数を表す。
次に、分配関数Z(β)の運動エネルギ部分の粗視化について説明する。まずは、1次元鎖において考える。互いに最隣接する粒子対である粒子j−1と粒子jとを、1つの粒子へ粗視化する。Kadanoffのブロックスピン法の考え方を運動量に適用し、粒子jと粒子j−1とからなる粗視化された粒子の運動量gを以下の様に定義する。



また、重み関数T{P,p}を以下の様に定義する。



ここで、δはDiracのδ-関数である。明らかに、



を満たす。この条件から、分配関数の運動エネルギ部分Zへ重み関数T{P,p}を挿入でき、


・・・(14)

という式を得る。δ-関数を積分表示すれば、分配関数の運動エネルギ部分Zは、以下の様に表せる。


・・・(15)

この積分は、以下の公式を使えば容易に実行できる。



ここで、<A,B>は、ベクトルAとBとの内積を表す。この公式を用いると、分配関数の運動エネルギ部分Zは、


・・・(16)

と表すことができる。
この粗視化により、運動エネルギがα(=2)倍になる。なお、2つの粒子の全運動エネルギを重心の運動エネルギと相対運動の運動エネルギへ分け、相対運動量について積分を実行した場合も同様な結果が得られる。
次に、d次元単純立方格子における粗視化について考察する。まず、結晶軸a方向について粗視化すると、粒子の持つ運動エネルギEkinはα倍になる。引き続いてb軸方向において粗視化すると、粒子の持つ運動エネルギEkinαは、(Ekinα)のα倍、即ちEkinαになる。従って、d次元格子ではEkinαになるから、


・・・(17)

という関係式が得られる。n回の粗視化では、α=2となることは自明である。
以上の議論から、粗視化された全ハミルトニアンに対する分配関数Z(β)は、結果に影響しない係数を除いて、


・・・(18)

と表すことができる。
次に、粗視化された系においてもハミルトニアンを同形とするために、“繰り込まれた”変数を導入する。以下のように、繰り込まれた位置ベクトルq´、繰り込まれた運動量ベクトルp´、繰り込まれた質量m´、繰り込まれた相互作用係数ε´、及び、繰り込まれた係数β´を定義する。ハミルトニアンの形が不変となるようにスケール変換する。
















ここで、γは、0以上d以下である。γを、第2の繰り込み因子と呼ぶこととする。また、δは0以上の値をとる。δを第3の繰り込み因子と呼ぶ。
繰り込まれた変数をこのように定めることにより、ハミルトニアンHと同形な、繰り込まれたハミルトニアンH´が得られる。繰り込まれたハミルトニアンH´は、


・・・(19)

と表される。
なお、式(18)から、分配関数は以下の様になる。


・・・(20)

ここで、位相空間の体積素は、結果に影響しない定数を除いて、


・・・(21)

である。
繰り込まれたハミルトニアンH´で記述される系(繰り込まれた粒子系S´)における運動方程式は、正準方程式


・・・(22)

及び


・・・(23)

から与えられ、


・・・(24)

及び


・・・(25)

となる。ここで、繰り込まれた時間t´が、繰り込まれた変数q´、p´、m´及びε´に整合するように、



という式で定められる。運動方程式(24)及び(25)に基づいて、繰り込まれた粒子系S´に対する分子動力学計算を実行することができる。
以上の考察をまとめる。粒子系Sと、繰り込まれた粒子系S´とは、以下の変換式で表されるスケール変換則により対応付けられる。
粒子系Sの粒子数Nと、繰り込まれた粒子系S´の繰り込まれた粒子数N´とは、変換式


・・・(変換式N)

により対応付けられる。粒子系Sのある粒子の位置ベクトルqと、繰り込まれた粒子系S´のある粒子の位置ベクトルq´とは、変換式


・・・(変換式q)

により対応付けられる。粒子系Sのある粒子の運動量ベクトルpと、繰り込まれた粒子系S´のある粒子の運動量ベクトルp´とは、変換式


・・・(変換式p)

により対応付けられる。粒子系Sの各粒子の質量mと、繰り込まれた粒子系S´の各粒子の質量m´とは、変換式



・・・(変換式m)

により対応付けられる。粒子系Sにおける相互作用係数εと、繰り込まれた粒子系S´における相互作用係数ε´とは、変換式


・・・(変換式ε)

により対応付けられる。
粒子系Sに対して運動方程式を解く場合の時間スケールt(粒子系Sに対して実行すると仮定した分子動力学計算におけるある時間間隔t)と、繰り込まれた粒子系S´に対して運動方程式を解く場合の時間スケールt´(繰り込まれた粒子系S´に対して実行する分子動力学計算におけるある時間間隔t´)とは、変換式


・・・(変換式t)

により対応付けられる。
なお、粒子系Sのある粒子の速度ベクトルvと、繰り込まれた粒子系S´のある粒子の速度ベクトルv´とは、速度ベクトルvがv=p/mと表されることから、変換式


・・・(変換式v)

により対応付けられる。
ここで、粒子系Sの配置されている空間の次元数がdである。第1の繰り込み因子αは2(nは正整数)であり、第2の繰り込み因子γは0以上d以下である。また、第3の繰り込み因子δは0以上である。
第2の繰り込み因子γの値が大きく、例えばdに等しいとき、極めて大きな、繰り込まれた相互作用係数ε´と、小さな、繰り込まれた質量m´とが数値計算に現れる。数値計算上、第2の繰り込み因子γは0に設定することが好ましい。このとき更に、第3の繰り込み因子δを0とすれば、時刻tのみが変換され、従来のMDが利用できる。
なお、たとえばδ=2のとき、質量mとバネ定数sを持つ1次元鎖のバネ・マス系を考えたとき、繰り込まれたハミルトニアンから分散関係が以下の様に得られる。


・・・(26)

ここで、角周波数がωであり、波数がkである。平衡状態における原子間距離がaである。なお、第2の繰り込み因子γは0とした。式(26)は、長波長の極限において、


・・・(27)

となり、第1の繰り込み因子αには無関係になる。
次に、繰り込み群分子動力学によるコンピュータシミュレーションの実施例について説明する。
まず、アルミニウムに熱を流入させて昇温させ、融点及び潜熱を算出したシミュレーションについて説明する。第1のシミュレーションでは、比較のため、16000個のアルミニウム原子からなる系に対して、従来の(繰り込みを応用しない)分子動力学計算を行った。アルミニウム原子は3次元空間内に配置されており、次元数dは3である。
第2及び第3のシミュレーションでは、第1のシミュレーションに対応する系を繰り込んだ系に対する分子動力学計算を行った。第1の繰り込み因子αは、第2のシミュレーションでは2と決定し、第3のシミュレーションでは2(=4)と決定した。(変換式N)より、第2のシミュレーションでは、系の粒子数が2000個となり、第3のシミュレーションでは、系の粒子数が250個となる。第2の繰り込み因子γは0と決定した。また、第3の繰り込み因子δは2と決定した。なお、従来の手法(第1のシミュレーション)は、第1の繰り込み因子αを1と設定した場合に対応する。
第1のシミュレーションにおける原子間ポテンシャル(つまり、元の系における粒子間ポテンシャル)として、モース(Morse)ポテンシャルを用いた。このポテンシャルは、


・・・(28)

と表される。ここで、相互作用係数εは1.92×10−20[J]であり、定数Aは2.35×1010[m−1]であり、定数rは2.86×10−10[m]である。粒子間距離がrである。
第2及び第3のシミュレーションにおける粒子間ポテンシャル(つまり、繰り込まれた系における粒子間ポテンシャル)としても、式(28)と同形のものが用いられる。第2及び第3のシミュレーションにおける繰り込まれた相互作用係数は、それぞれ、(変換式ε)より求められる。第2の繰り込み因子γが0であるので、第2及び第3のシミュレーションでの相互作用係数は、双方とも、第1のシミュレーションの相互作用係数εと等しい。定数r及び定数Aは第1のシミュレーションのそれと等しい。
第1のシミュレーションにおけるアルミニウム原子の質量(つまり、元の系における粒子の質量)は、4.48×10−26[kg]である。第2及び第3のシミュレーションにおける粒子の繰り込まれた質量は、それぞれ、(変換式m)より求められる。第2のシミュレーションにおける質量は、第1のシミュレーションでの質量に2(=4)を乗じた17.9×10−26[kg]となり、第3のシミュレーションにおける質量は、第1のシミュレーションでの質量に4(=16)を乗じた71.7×10−26[kg]となる。
次に、粒子の初期配置について説明する。初期において、粒子は面心立方格子の格子点上に配置される。第1のシミュレーションでは、幅方向に20個、奥行き方向に20個の粒子が並んだ層が、40層重なる配置とした。元の系の、幅方向について1/α、奥行き方向について1/α、及び高さ方向について1/αの部分(元の系の1/αの部分)が、繰り込まれた系に対応する。第2のシミュレーションでは、幅方向に10個、奥行き方向に10個の粒子が並んだ層が、20層重なった配置となり、第3のシミュレーションでは、幅方向に5個、奥行き方向に5個の粒子が並んだ層が、10層重なった配置となる。
次に、数値積分の時間刻み幅について説明する。元の系における時間刻み幅をΔtとし、粒子の速さをvとする。時間刻み幅Δtは、例えば



を満たすように定められる(「<<」は、式の左辺が右辺より充分小さいという意)。ここでrは粒子間ポテンシャルにおける定数であり、粒子間距離の目安を与える。繰り込まれた系における時間刻み幅をΔt´とし、粒子の速さをv´とする。(変換式v)よりv´=v/αであるので、繰り込まれた系における時間刻み幅Δt´は、例えば、αΔtに設定される。
数値積分の時間刻み幅は、第1のシミュレーションにおいては5.0[fs]とし、第2のシミュレーションにおいては10[fs]とし、第3のシミュレーションにおいては20[fs]とした。
次に、粒子に与える初期速度について説明する。まず、元の系の温度と、繰り込まれた系の温度との関係について説明する。元の系の温度Tは、


・・・(29)

という式で定義される。ここで、kはボルツマン定数であり、vは粒子iの速度ベクトルであり、vは粒子系の重心の速度ベクトルである。温度は、つまり、速度の“揺らぎ”である。繰り込まれた系の温度T´は、


・・・(30)

という式から定まる。
元の系において、質量がmで速さがvの粒子の運動エネルギは、1/2mvである。繰り込まれた系において、質量がm´で速さがv´の粒子の運動エネルギは、1/2m´v´である。(変換式m)及び(変換式v)から、


・・・(31)

という関係が得られる。よって、元の系の温度Tと、繰り込まれた系の温度T´とは等しくなる。第1〜第3のシミュレーションにおいて、粒子系の温度が300[K]となるように、初期速度が与えられる。
次に、粒子系に熱を流入させる方法について説明する。第1〜第3のシミュレーションでは、粒子系の底面上に配置された粒子に運動エネルギを与えて、系への熱の流入を模擬した。熱の流入する面を加熱面と呼ぶこととする。
まず、第1のシミュレーションにおける熱の流入方法(つまり、元の系における熱の流入方法)ついて説明する。加熱面上の粒子1個当りに、時間刻み幅Δtの間に、運動エネルギΔEが与えられるとする。粒子の運動量ベクトルの変化は、下式(32)より求められる。ここで、ある時刻tにおける運動量ベクトルがpであり、時刻t+Δtにおける運動量ベクトルがpt+Δtである。


・・・(32)

運動エネルギΔEによって、運動量ベクトルがλ倍されるとする。つまり、


・・・(33)

と表されるとする。式(33)を式(32)に代入することにより、λは、


・・・(34)

と表される。時間刻み幅Δtごとに、式(33)により運動量ベクトルを更新することにより、時間刻み幅Δt当たりに運動エネルギΔEが流入するような熱の流入を模擬できる。
加熱面上の粒子数をNとし、加熱面の面積をSとすると、単位面積当たりに流入するパワーfは、


・・・(35)

と表される。第1のシミュレーションでは、加熱面上の粒子数Nが400個であり、加熱面の面積Sが2.83×10−17[m]であり、運動エネルギΔEが4.14×10−24[J]であり、時間刻み幅Δtが5.0[fs]であり、パワーfが1.17×1010[W/m]である。
第2及び第3のシミュレーションにおいて(繰り込まれた系において)、単位面積当たりに流入するパワーf´は、


・・・(36)

という式で与えられる。運動量ベクトルを更新するための係数λ´は、


・・・(37)

という式で与えられる。なお式(31)から、与えられる運動エネルギΔEは元の系と繰り込まれた系とで等しくなる。
次に、図2を参照して、シミュレーション結果について説明する。図2に示すグラフのうち、下段のグラフが第1のシミュレーション(従来の分子動力学計算)の結果を表し、中段のグラフが第2のシミュレーション(繰り込み因子αを2とした繰り込み群分子動力学計算)の結果を表し、上段のグラフが第3のシミュレーション(繰り込み因子αを4とした繰り込み群分子動力学計算)の結果を表す。3つのグラフにおいて、縦軸が温度(単位[K])を示し、横軸が流入した熱量、つまり流入したエネルギ(単位10−16[J])を示す。
まず、下段のグラフを参照して、第1のシミュレーションの結果について説明する。系にエネルギが流入していないとき、系の温度は300[K]である。流入したエネルギが増加するにつれ、系の温度が上昇する。流入エネルギが約5×10−16[J]に達すると、温度の上昇が、約850[K]で一旦止まり、流入エネルギが約9×10−16[J]に達するまで、温度がほぼ一定となる。この温度が、融点を示す。流入エネルギが約9×10−16[J]を超えると、再び温度が上昇する。
温度一定の期間中に系に流入したエネルギが潜熱に対応する。このシミュレーションから求められる潜熱は、14.7[kJ/mol]となる。なお、実験から求められたアルミニウムの融点は933[K]であり、潜熱は11[kJ/mol]である。シミュレーションで得られた値と実験値との相違は、用いた原子間ポテンシャルの精度等に起因すると考えられる。
次に、中段及び上段のグラフを参照して、第2及び第3のシミュレーションの結果について説明する。第2及び第3のシミュレーションの結果も、第1のシミュレーションの結果と同様な傾向を示す。すなわち、流入エネルギが約5×10−16[J]から約9×10−16[J]までの期間中に、温度が850[K]付近でほぼ一定となる傾向を示す。これにより、第2及び第3のシミュレーションからも、融点が約850[K]であり、潜熱が14.7[kJ/mol]であると求めることができる。
粒子系に流入したエネルギは、シミュレーションした期間分だけ流入パワーを積分すれば求められる。繰り込まれた系に流入したエネルギをE´とすると、元の系へ流入したエネルギEは、


・・・(38)

という式から求められる。なお、粒子1つ当たりの流入エネルギは、元の系と繰り込まれた系とで等しい。
繰り込まれた系の温度は、式(30)から求められる。上述の議論より、元の系の温度は、繰り込まれた系の温度と等しい。
なお、上述のシミュレーションでは、元の系における流入エネルギ及び温度を求めたが、元の系における他の物理量、例えば粒子の位置、運動量、速度等も、必要に応じて、上述のスケール変換則に基づいて求めることができる。
以上説明したように、繰り込み群分子動力学では、繰り込む前の系(上記実施例の第1のシミュレーションに対応する系)に対する分子動力学計算で得られると期待される物理量(上記実施例では融点及び潜熱)を、繰り込む前の系よりも粒子数の少ない系に対する分子動力学計算を行うことにより、算出することが可能となる。繰り込み群分子動力学によるシミュレーションに要する種々の計算は、プログラムにより、コンピュータで実行することができる。
なお、上記実施例のシミュレーションにおいて、アルミニウムは面心立方構造を取る。スケール変換則は、単純立方格子上に配置された粒子系に対する考察から導出したが、単純立方構造に限らない他の結晶構造に対しても有効である。
次に、シリコンに熱を流入させて昇温させ、融点及び潜熱を算出したシミュレーションについて説明する。シリコンは、ダイヤモンド構造を取る。アルミニウムに対するシミュレーションと同様に、3つのシミュレーションを行った。第1のシミュレーションは、比較のために行った従来の分子動力学手法によるものである。第2及び第3のシミュレーションにおいて、第1のシミュレーションに対応する系を繰り込んだ系に対する分子動力学計算を行った。繰り込み因子αは、第2のシミュレーションでは2とし、第3のシミュレーションでは2(=4)とした。系の粒子数は、第1のシミュレーションでは8192個であり、第2のシミュレーションでは1024個であり、第3のシミュレーションでは128個である。
第1のシミュレーションにおける原子間ポテンシャル(つまり、元の系における粒子間ポテンシャル)として、S−W(Stillinger−Weber)ポテンシャルを用いた。このポテンシャルは、


・・・(39)

と表される。ここで、



であり、相互作用係数εは、2.167[eV]であり、σは2.095[Å]であり、定数A、B、p、q、a、λ、及びγは、それぞれ、7.05、0.602、4.0、0.0、1.8、21.0、及び1.2である。
また、図3(A)に示すように、粒子i及び粒子kの結合と、粒子i及び粒子jの結合とのなす角がθijkであり、粒子iから粒子jまでの粒子間距離がrijである。第2及び第3のシミュレーションの粒子間ポテンシャルにおける繰り込まれた相互作用係数は、上述のアルミニウムに対するシミュレーションと同様な方法で求められる。
第1のシミュレーションにおけるシリコン原子の質量(つまり、元の系における粒子の質量)は、4.67×10−26[kg]とした。第2及び第3のシミュレーションにおける粒子の繰り込まれた質量は、上述のアルミニウムに対するシミュレーションと同様な方法で求められる。
次に、図3(B)を参照して、シミュレーション結果について説明する。図3(B)に示すグラフのうち、下段のグラフが第1のシミュレーション(従来の分子動力学計算)の結果を表し、中段のグラフが第2のシミュレーション(繰り込み因子αを2とした繰り込み群分子動力学計算)の結果を表し、上段のグラフが第3のシミュレーション(繰り込み因子αを4とした繰り込み群分子動力学計算)の結果を表す。
まず、下段のグラフを参照して、第1のシミュレーションの結果について説明する。流入エネルギが約1.3×10−16[J]から約4.6×10−16[J]に達するまでの期間中、温度が1750[K]程度でほぼ一定となる。潜熱は、25.6[kJ/mol]と求められる。なお、実験から求められたシリコンの融点は1687[K]であり、潜熱は50.6[kJ/mol]である。シミュレーションで得られた値と実験値との相違は、原子間ポテンシャルの精度等に起因すると考えられる。
次に、中段及び上段のグラフを参照して、第2及び第3のシミュレーションの結果について説明する。第2及び第3のシミュレーションの結果も、第1のシミュレーションの結果とほぼ同様な傾向を示す。これにより、第2及び第3のシミュレーションに基づいて、第1のシミュレーションで得られた値に近い融点及び潜熱を得ることができる。
次に、図4を参照して、分散関係を繰り込み群分子動力学で求めたシミュレーションについて説明する。アルミニウムの[111]方向に平行に振動を加えて、[111]方向の波数を算出した。原子間はバネで接続した。バネ定数sは、40.3[N/m]とした。なお、バネ定数sは、アルミニウムの原子間ポテンシャルの最小近傍を2次関数で近似することにより求められる。アルミニウム原子の質量mは、4.48×10−26[kg]とした。原子間距離aは、2.86×10−10[m]とした。分散関係の厳密解(解析的に求められた解)は、加振の角周波数をωとし、[111]方向の波数をkとして、



という式で与えられる。なお、この厳密解は、式(26)においてα=1として求めることができる。
グラフ中の実線Lが、厳密解を示す。点P1が、従来の分子動力学計算(繰り込み因子α=1の場合に対応)の結果を示す。点P2〜点P5が、それぞれ、繰り込み因子αを、2、215、221、及び228とした場合の結果を示す。繰り込み因子αを大きくすることは、元の系(繰り込まれる前の系)のサイズを大きくすることに対応する。繰り込み因子αを大きくすることにより、小さい波数を得ることができる。繰り込み群分子動力学で得られた結果は、厳密解と良く一致している。このように、繰り込み群分子動力学を用いれば、従来の分子動力学で実行するのが困難な長波長域の計算(連続体とみなせるようなマクロな系に対する計算)を、精度良く行うことができる。
粒子系が配置されている空間に、XYZ直交座標系を考える。上述の実施例では、元の系の位置ベクトルqから、繰り込み因子αを用いて、繰り込まれた位置ベクトルq´が、


・・・(変換式q)

と求められた。これは、X、Y及びZのすべての方向に関する空間的なスケール変換が、共通の繰り込み因子αにより行われることを示す。繰り込み因子αを、X、Y及びZの各方向について独立に設定することも可能である。つまり、異方性を有するスケール変換を行うことも可能である。
第2の繰り込み因子γが0、及び第3の繰り込み因子δが2と決定された場合について、異方性を有するスケール変換則は、以下に示すような変換式で表される。X方向の繰り込み因子をαとし、Y方向の繰り込み因子をαとし、Z方向の繰り込み因子をαとする。各繰り込み因子α〜αは、それぞれ、例えば2(nは正整数)である。
粒子系Sの粒子数Nと、繰り込まれた粒子系S´の繰り込まれた粒子数N´とは、変換式


・・・(変換式Na)

により対応付けられる。粒子系Sのある粒子の位置ベクトルqの各成分と、繰り込まれた粒子系S´のある粒子の位置ベクトルq´の各成分とは、変換式


・・・(変換式qa)

により対応付けられる。ここで、ηは、ベクトルのX,Y、Zのいずれかの成分を示す(以下、(変換式pa)、(変換式va)、及び(変換式ma)においても同様である。)。粒子系Sのある粒子の運動量ベクトルpの各成分と、繰り込まれた粒子系S´のある粒子の運動量ベクトルp´の各成分とは、変換式


・・・(変換式pa)

により対応付けられる。
なお、γ=0、δが未決定の場合は、δを決定し、以下の式に代入して対応付けを行う。




粒子系Sのある粒子の速度ベクトルvの各成分と、繰り込まれた粒子系S´のある粒子の速度ベクトルv´の各成分とは、変換式


・・・(変換式va)

により対応付けられる。
なお、γ=0、δが未決定の場合は、δを決定し、以下の式に代入して対応付けを行う。




方向ごとに繰り込み因子が設定されているので、粒子の質量も方向ごとにスケール変換される。粒子系Sの各粒子の質量mと、繰り込まれた粒子系S´の各粒子の、X方向の質量m´、Y方向の質量m´、及びZ方向の質量m´とは、変換式


・・・(変換式ma)

により対応付けられる。繰り込まれた系における運動方程式(25)で、方向ごとに、対応する質量が用いられる。
なお、γ=0、δが未決定の場合は、δを決定し、以下の式に代入して対応付けを行う。




粒子系Sにおける相互作用係数εと、繰り込まれた粒子系S´における相互作用係数ε´とは、変換式


・・・(変換式εa)

により対応付けられ、粒子系Sにおける時間スケールtと、繰り込まれた粒子系S´におけるスケールt´とは、変換式


・・・(変換式ta)

により対応付けられる。
例えば、薄膜に対するシミュレーションについて考える。薄膜は、膜厚方向の寸法に比べて、膜面に平行な方向の寸法が大きい。このため。膜厚に平行な方向について、膜厚方向よりも繰り込み因子を大きくするとよい。例えば、膜厚方向をZ方向とするならば、膜厚方向の繰り込み因子αに比べて、膜面に平行な方向の繰り込み因子α及びαを大きく設定するとよい。
なお、第2のスケーリングパラメータγは、(変換式m)、(変換式ε)、及び(変換式t)に、αγという形で含まれている。γ=0と設定した場合、αγは単に「1」となる。よって、たとえばδ=2と決定された場合、粒子の質量、相互作用係数、及び時間に関して、第2のスケーリングパラメータγを用いずに(γという第2のスケーリングパラメータを導入せずに)、









というスケール変換を施したとしても、第2のスケーリングパラメータγを0と設定したのと同様なスケール変換が行われる。なお、γ=0、δ=2のとき、速度ベクトルについては、



というスケール変換が行われる。
なお、繰り込み因子α、α、α、及びαが、それぞれ1より大きければ、繰り込まれた系における粒子数が元の系の粒子数よりも少なくなる。
なお、必要に応じ、シミュレーション対象の系のある部分と他の部分とで、繰り込み因子(例えばα)を異ならせることも可能である。
なお、上述の実施例では、繰り込み群分子動力学の例として、融点、潜熱及び分散関係を求めた。繰り込み群分子動力学は、これらに限らない種々の物理現象のシミュレーションに用いることができる。繰り込み群分子動力学は、分子動力学を用いるので、分子動力学で扱える様々な問題に適用可能である。例えば、流れ、構造、熱、反応等の問題、さらには、機構、磨耗や潤滑の問題等を扱うことができる。繰り込み群分子動力学は、実際に分子動力学計算を実行する系より粒子数の多い系に対する物理量を求めることを可能にする。よって、本願発明者が見出した繰り込み群分子動力学を用いれば、従来シミュレーションが困難であったスケールの問題に対して、精度良いシミュレーションを行うことが可能となる。なお、繰り込み群分子動力学において実行される分子動力学計算の手法としては、公知の種々のものを用いることができる。
なお、本願明細書の「背景技術」の欄に記載した非特許文献1では、繰り込みの手法を分子動力学に応用する試みがなされている。しかし、非特許文献1では、ハミルトニアンの相互作用部分の繰り込みがなされているのみであり、運動エネルギ部分の繰り込みはなされていない。非特許文献1では、運動量(または速度)に対して、繰り込みではなく、単純平均を取っている。このため、静的な解析に留まっており、温度を陽に考慮できず、強制的にエネルギの散逸を起こさせるための人為的な手法(非特許文献1の「3.数値計算法」の欄に記載の式(23)、(24)、(25))が必要となっている。そのため、有限温度の計算や振動・騒音、相転移が伴う動的な問題へ適用する際、信頼性に欠ける等の課題があった。非特許文献1が開示するスケール変換則は、本願発明のγ=0、δ=3の場合に相当する。
本願発明者のスケール変換則の導出過程においては、ハミルトニアンの運動エネルギ部分の繰り込みもなされている。これにより、運動量ベクトル(または速度ベクトル)の適正なスケール変換則が導かれる。よって、シミュレーションにおいて、温度を陽に考慮することが可能となる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
図1(A)及び図1(B)は、スケール変換則の導出方法を説明するための図である。 繰り込み群分子動力学を用いたアルミニウムに対するシミュレーションの結果を示すグラフである。 図3(A)は、S−Wポテンシャルについて説明するための図であり、図3(B)は、繰り込み群分子動力学を用いたシリコンに対するシミュレーションの結果を示すグラフである。 繰り込み群分子動力学を用いて分散関係を求めたシミュレーションの結果を示すグラフである。
符号の説明
α 第1の繰り込み因子
N 粒子数
N´ 繰り込まれた粒子数

Claims (8)

  1. (a)N個の粒子を含み、各粒子の質量がmであり、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギを、粒子間距離に対する依存性を表す無次元化関数f及び相互作用係数εの積εfで表すことができるシミュレーション対象の粒子系Sに関し、1より大きい第1の繰り込み因子αと、0以上d以下の第2の繰り込み因子γと、0以上の第3の繰り込み因子δとを決定する工程と、
    (a1)前記粒子系Sが配置されている空間の次元数d、工程(a)で決定された第1の繰り込み因子α、第2の繰り込み因子γ、及び第3の繰り込み因子δを用いて、繰り込まれた粒子数N´を、変換式N´=N/αにより求め、繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mαδ/αγにより求め、繰り込まれた相互作用係数ε´を、変換式ε´=εαγにより求める工程と、
    (b)繰り込まれた粒子数N´個の粒子を含み、各粒子が、繰り込まれた粒子の質量m´を有し、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギが、前記無次元化関数fと、繰り込まれた相互作用係数ε´との積ε´fで表される粒子系S´について、粒子の初期位置及び初期速度と、時間刻み幅とを与えて、分子動力学計算を実行する工程と
    (c)前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた位置ベクトルをq´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた運動量ベクトルをp´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた速度ベクトルをv´と表し、前記工程(b)における分子動力学計算におけるある時間間隔をt´と表すとき、前記工程(a)で決定された、前記第1の繰り込み因子α、第2の繰り込み因子γ、及び第3の繰り込み因子δのうちの少なくとも1つを用いて、前記粒子系Sに含まれるある粒子の位置ベクトルqを、変換式q=q´αにより求める計算、前記粒子系Sに含まれるある粒子の運動量ベクトルpを、変換式p=p´/α δ/2 により求める計算、前記粒子系Sに含まれるある粒子の速度ベクトルvを、変換式v=v´α (−γ+δ/2) により求める計算、及び、前記粒子系Sについて実行すると仮定した分子動力学計算におけるある時間間隔tを、変換式t=t´α (1+γ−δ/2) により求める計算のうち、少なくとも1つの計算を実行する工程と
    を有するシミュレーション方法。
  2. 前記第2の繰り込み因子γが0である請求項に記載のシミュレーション方法。
  3. 前記第1の繰り込み因子が、nを正整数として、2である請求項1または2に記載のシミュレーション方法。
  4. 前記次元数dが3である請求項1〜のいずれかに記載のシミュレーション方法。
  5. (a)N個の粒子を含み、各粒子の質量がmであり、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギを、粒子間距離に対する依存性を表す無次元化関数f及び相互作用係数εの積εfで表すことができるシミュレーション対象の粒子系Sに関し、1より大きい第1の繰り込み因子αと、0以上の第3の繰り込み因子δとを決定する工程と、
    (a1)前記粒子系Sが配置されている空間の次元数d、前記工程(a)で決定された第1の繰り込み因子α、及び第3の繰り込み因子δを用いて、繰り込まれた粒子数N´を、変換式N´=N/αにより求め、繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mαδにより求める工程と、
    (b)繰り込まれた粒子数N´個の粒子を含み、各粒子が、繰り込まれた粒子の質量m´を有し、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギが、前記無次元化関数fと、前記相互作用係数εとの積εfで表される粒子系S´について、粒子の初期位置及び初期速度と、時間刻み幅とを与えて、分子動力学計算を実行する工程と
    (c)前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた位置ベクトルをq´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた運動量ベクトルをp´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(b)における分子動力学計算で求められた速度ベクトルをv´と表すとき、前記工程(a)で決定された前記第1の繰り込み因子αと前記第3の繰り込み因子δの少なくとも一方を用いて、前記粒子系Sに含まれるある粒子の位置ベクトルqを、変換式q=q´α により求める計算、前記粒子系Sに含まれるある粒子の運動量ベクトルpを、変換式p=p´/α δ/2 により求める計算、及び前記粒子系Sに含まれるある粒子の速度ベクトルvを、変換式v=v´α δ/2 により求める計算のうち、少なくとも1つの計算を実行する工程と
    を有するシミュレーション方法。
  6. (d)N個の粒子を含み、各粒子の質量がmであり、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギを、粒子間距離に対する依存性を表す無次元化関数f及び相互作用係数εの積εfで表すことができるシミュレーション対象の粒子系Sに関し、前記粒子系Sが配置されている空間にXYZ直交座標系を考えたとき、それぞれが1より大きいX方向の繰り込み因子α、Y方向の繰り込み因子α、及びZ方向の繰り込み因子α 、及び0以上の繰り込み因子δを決定する工程と、
    (d1)前記工程(d)で決定された繰り込み因子α 、α 、α 、及びδを用いて、繰り込まれた粒子数N´を、変換式N´=N/(ααα)により求めX方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mα δにより求め、Y方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mα δにより求め、Z方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を、変換式m´=mα δにより求める工程と、
    (e)繰り込まれた粒子数N´個の粒子を含み、各粒子が、繰り込まれた粒子の質量m´を有し、粒子間の相互作用ポテンシャルエネルギが、前記無次元化関数fと、前記相互作用係数εとの積εfで表される粒子系S´について、X方向の運動方程式にはX方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を用い、Y方向の運動方程式にはY方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を用い、Z方向の運動方程式にはZ方向に関する繰り込まれた粒子の質量m´を用いて、粒子の初期位置及び初期速度と、時間刻み幅とを与えて、分子動力学計算を実行する工程と
    (f)前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(e)における分子動力学計算で求められた位置ベクトルをq´と表し、該位置ベクトルq´のX、Y及びZ方向それぞれの成分を、q ´、q ´、及びq ´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(e)における分子動力学計算で求められた運動量ベクトルをp´と表し、該運動量ベクトルp´のX、Y及びZ方向それぞれの成分を、p ´、p ´、及びp ´と表し、前記粒子系S´に含まれるある粒子の、前記工程(e)における分子動力学計算で求められた速度ベクトルをv´と表し、該速度ベクトルv´のX、Y及びZ方向それぞれの成分を、v ´、v ´、及びv ´と表すとき、前記X方向の繰り込み因子α 、Y方向の繰り込み因子α 、Z方向の繰り込み因子α 、及び前記工程(d)で決定された繰り込み因子δを用いて、前記粒子系Sに含まれるある粒子の位置ベクトルqのX、Y及びZ方向それぞれの成分q 、q 、及びq を、それぞれ、変換式q =q ´α 、q =q ´α 、及びq =q ´α により求める計算、前記粒子系Sに含まれるある粒子の運動量ベクトルpのX、Y及びZ方向それぞれの成分p 、p 、及びp を,それぞれ、変換式p =p ´/α δ/2 、p =p ´/α δ/2 、及びp =p ´/α δ/2 により求める計算、及び、前記粒子系Sに含まれるある粒子の速度ベクトルvのX、Y及びZ方向それぞれの成分v 、v 、及びv を,それぞれ、変換式v =v ´α δ/2 、v =v ´α δ/2 、及びv =v ´α δ/2 により求める計算のうち、少なくとも1つの計算を実行する工程と
    を有するシミュレーション方法。
  7. 前記X方向の繰り込み因子α、Y方向の繰り込み因子α、及びZ方向の繰り込み因子αのうち、少なくとも2つが互いに異なる請求項に記載のシミュレーション方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のシミュレーション方法を、コンピュータで実行するためのプログラム。
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