JP5241083B2 - インクカートリッジ - Google Patents
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Description
本発明のインクは、珪素の窒化物又は酸化物、炭化物を含む材質によって形成された保護層と長期間接触していた場合においても保護層の溶解を効果的に抑制することができる。本発明者らは、保護層の溶解を抑制するために、インクの構成成分に着目して鋭意検討を行った。その結果、珪素とキレート化合物を形成する物質が保護層に含まれる珪素をイオン化してインクに溶解し、保護層が侵食されて層厚が低下することを見出した。本発明者らが珪素とキレート化合物を形成しやすい化合物に関して検討を行った結果、多価カルボン酸やその塩をインクに含有させた場合、物流保存中に著しく珪素を溶解することが判明した。
(色材)
本発明にかかるインクに含有させる色材の好ましい例を以下に挙げるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
C.I.アシッドイエロー:1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99等;
C.I.フードイエロー:3等;
C.I.ピグメントイエロー:1、2、3、12、13、14、15、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、114、128、138、180等;
C.I.アシッドレッド:6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289等;
C.I.フードレッド:87、92、94等;
C.I.ダイレクトバイオレット:107等;
C.I.ピグメントレッド:2、5、7、12、48:2、48:4、57:1、112、122、123、168、184、202等;
C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、112、117、127、138、158、161、203、204、221、244等;
C.I.ピグメントブルー:1、2、3、15、15:2、15:3、15:4、16、22、60等;
C.I.アシッドレッド:111、114、266、374等;
C.I.ダイレクトオレンジ:26、29、34、39、57、102、118等;
C.I.フードオレンジ:3等;
C.I.リアクティブオレンジ:1、4、5、7、12、13、14、15、16、20、29、30、84、107等;
C.I.ディスパースオレンジ:1、3、11、13、20、25、29、30、31、32、47、55、56等;
C.I.ピグメントオレンジ:43等;
C.I.ピグメントレッド:122、170、177、194、209、224等;
C.I.ダイレクトグリーン:26、59、67等;
C.I.フードグリーン:3等;
C.I.リアクティブグリーン:5、6、12、19、21等;
C.I.ディスパースグリーン:6、9等;
C.I.ピグメントグリーン:7、36等;
C.I.リアクティブブルー:49等;
C.I.アシッドバイオレット:17、19、48、49、54、129等;
C.I.ダイレクトバイオレット:9、35、47、51、66、93、95、99等;
C.I.リアクティブバイオレット:1、2、4、5、6、8、9、22、34、36等;
C.I.ディスパースバイオレット:1、4、8、23、26、28、31、33、35、38、48、56等;
C.I.ピグメントブルー:15:6等;
C.I.ピグメントバイオレット:19、23、37等;
C.I.アシッドブラック:2、48、51、52、110、115、156等;
C.I.フードブラック:1、2等;
カーボンブラック。
(上記一般式(1)中、mは、それぞれ独立に1又は2を示す。M1は、それぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アミンのカチオン又はアンモニウムイオンを示す。)
(上記一般式(3)中、R1は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノ又はジアルキルアミノアルキル基及びシアノ低級アルキル基のいずれかを示し、Yは、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基(該アルキル基の部分に、スルホン酸基、カルボキシル基及びヒドロキシル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい)のいずれかを示し、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基及びカルボキシル基(但し、R2、R3、R4、R5及びR6のすべてが水素原子である場合を除く。)のいずれかを示す。)
(上記一般式(6)中、R1及びR2は、独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜4のアルキル基、及び、炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれかを示し、R3及びR4は、独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基・炭素数1〜4のアルコキシ基・スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、及び、アルキル基若しくはアシル基によって置換されているアミノ基のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
(上記式(7)中、R5、R6、R7及びR8は、独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基・炭素数1〜4のアルコキシ基・スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基、カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、及び、フェニル基・アルキル基・若しくはアシル基によって置換されているアミノ基のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
本発明にかかるインクは、上記したような色材と、特定量の前記した多価カルボン酸及びその塩の少なくとも一方とを、水系媒体中に溶解或いは分散させることで調製できる。この際に用いる水系媒体としては、水と水溶性有機溶剤との混合媒体を用いることが好ましい。又、どのような水溶性有機溶剤が含まれるかについては特に限定されず、任意で各種水溶性有機溶剤を用いることができる。水溶性有機溶剤には、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒等が挙げられる。下記に、本発明のインクで使用することができる水溶性有機溶剤について例示するが、これらの水溶性有機溶剤に限定されるものではない。
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;
アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;
エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;
グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
本発明のインクカートリッジの好ましい1つの形態は、インクカートリッジが、複数のインクを収容しており、それぞれのインク中の多価カルボン酸及びその塩の合計含有量の最大値と最小値との差が、0.3mmol/l以下となるように組み合わされたものである。この場合に使用する複数のインクのセットとしては、同一インクタンク内において複数のインクを組み合わせたものが好ましい形態である。しかし、インク色の組み合わせに関しては同一色のものを組み合わせてもよいし、又、異なる色相のインクを組み合わせてもよく、特に制限はない。具体的なインクセットの一例としては、シアン、マゼンタ、イエローの基本3色のインクセットや、ブラック、濃度の薄いシアン、濃度の薄いマゼンタ(所謂、淡シアンインクや淡マゼンタインク)による写真画像出力に適したインクセットが挙げられる。又、レッド、グリーン、ブルーの特色インクセット、ブラック、濃度の薄いブラック、更に濃度の薄いブラック(所謂、グレーインク、ライトグレーインク)等が挙げられるが、本発明では特にこれに限定されるものではない。
次に、本発明のインクカートリッジについて、図面を参照して説明する。本発明のインクカートリッジは、吐出口からインクを吐出するための熱エネルギーを発生する発熱部が設けられたサーマルインクジェットヘッドを具備し、且つ、インクを収容する収容部を有するが、上記発熱部が、インクと接する面に、珪素の、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有する保護層を有するものである。本発明のインクカートリッジは、かかる構成を有するものであればよく、他の構成はいずれのものであってもよい。例えば、添付した図面に記載された構成のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。図1〜図6は、本発明が実施又は適用される好適な記録ヘッドを説明するための説明図である。以下、これらの図面を参照して各構成要素について説明する。
〔記録ヘッド(インクカートリッジ)〕
本実施例における記録ヘッド(インクカートリッジ)H1001は、電気信号に応じてインクに膜沸騰を生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッドである。この記録ヘッドは、電気熱変換体とインク吐出口とが対向するように配置された、いわゆるサイドシュータ型の記録ヘッドである。本発明においては、普通紙への高画質出力と高速印刷の観点から、150個以上のノズルが300dpi以上のピッチ間隔で配置され、各ノズルの吐出量が30pl以下のノズル列を有するヘッドであることが好ましい。更にフォト画質と高速印刷との両立の観点から、吐出量が6pl以下のノズルが100個以上、600dpi以上のピッチ間隔で配置されたノズル列を有するヘッドであることが好ましい。
記録ヘッド(インクカートリッジ)H1001はシアン、マゼンタ、イエローの3色のインクを吐出させるためのものであり、図2の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1101、電気配線テープH1301、インク供給保持部材H1501を具備する。更に、フィルタH1701、H1702、H1703、インク吸収体H1601、H1602、H1603、蓋部材H1901及びシール部材H1801を具備する。
図3は、記録素子基板H1101の構成を説明するために一部破断して示す斜視図であり、シアン、マゼンタ、イエロー用の3個のインク供給口H1102が並列して形成されている。それぞれのインク供給口H1102を挟んでその両側に電気熱変換素子H1103と吐出口H1107とが一列に並んで千鳥状に配置されて形成されている。そして、シリコン基板H1110上には電気配線、ヒューズ、電極部H1104等が形成されている。その上に樹脂材料でフォトリソグラフィ技術によって、インク流路壁H1106や吐出口H1107が形成されており、電気配線に電力を供給するための電極部H1104には、Au等のバンプH1105が形成されている。
図4は、本発明にかかるインクを適用するインクジェットヘッドに設けられたノズル部分を模式的に示した図である。図4(a)は、ノズルの吐出口側から見た時のノズル形状を示した図である。図4(b)は図4(a)の破線X−Yに沿って切断した時の断面を示した図である。図4(b)において、H2101はシリコン基板、H2102は熱酸化層からなる蓄熱層を示す。又、H2103は、蓄熱を兼ねる珪素の酸化物層或いは窒化物層等からなる層間層であり、H2104は発熱抵抗層、H2105はAl、Al−Si及びAl−Cu等の金属材料からなる配線としての金属配線層である。そして、H2106は、珪素の酸化物層、窒化物層及び炭化物層等からなる絶縁層としても機能する保護層を示す。とりわけこの保護層H2106は、インクと直に接するために、アルカリ等に対して化学的にも安定で、且つ、物理的衝撃に対しても十分な耐性が求められると共に、電気的な絶縁性も兼ね備える必要性が高い。このため、特に、形成材料としては、珪素の窒化層若しくは炭化物層を好適に用いることができる。又、H2107は発熱部であり、発熱抵抗層H2104の発熱抵抗体で発生した熱がインクに作用する。本発明は、このような、保護層が珪素の酸化物層、窒化物層及び炭化物層であるインクカートリッジにおいて顕著に生じる技術課題を、特定のインクを用いることで解決したものである。
電気配線テープH1301は、記録素子基板H1101に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成するものであり、記録素子基板を組み込むための開口部が形成されている。この開口部の縁付近には、記録素子基板の電極部H1104に接続される電極端子H1304が形成されている。又、電気配線テープH1301には、本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1302が形成されており、電極端子H1304と外部信号入力端子H1302は連続した銅箔の配線パターンでつながれている。
インク供給保持部材H1501は、樹脂成形により形成されており、構成材料としては、例えば射出成形、圧縮成形、或いは熱成形等により成型が可能な、熱可塑性樹脂材料を好適に用いることができる。適切な熱可塑性樹脂は、限定されることはないが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、並びにそれらの混合物や改質物であることが好ましい。中でも、ポリフェニレンエーテルであることが好ましく、特にはポリフェニレンエーテルとスチレン系材料とのアロイであることが好ましい。樹脂材料には、形状的剛性の向上やガス透過性抑制の観点から充填材を5〜40質量%混入した熱可塑性樹脂材料を使用することが好ましい。好ましい充填剤としては、無機質に限定されることはないが、ガラス、シリカ或いはグラファイト(黒鉛)が挙げられる。耐インク性や溶着性、又、本実施形態のようにインク供給保持部材に記録ヘッドを直に実装するような構成の場合では、接着剤との接着性や熱による線膨張性等も高いレベルで要求される。これらの要求性能のバランスの観点より、ポリフェニレンエーテルとスチレン系材料とのアロイに充填剤を混入させた樹脂材料が特に好ましい。
蓋部材H1901は、インク供給保持部材H1501の上部開口部に溶着されることで、インク供給保持部材H1501内部の独立した空間をそれぞれ閉塞するものである。但し、蓋部材H1901は、インク供給保持部材H1501内部の各部屋の圧力変動を逃がすための細口H1911、H1912、H1913と、それぞれに連通した微細溝H1921、H1922、H1923を有している。微細溝H1921及びH1922の他端は微細溝H1923の途中に合流している。更に、細口H1911、H1912、H1913と微細溝H1921、H1922、及び微細溝H1923のほとんどをシール部材H1801で覆い、微細溝H1923の他端部を開口することで大気連通口を形成している。このような迷路構造の大気連通口を形成することにより、大気連通口からのインク揮発成分の蒸発を効果的に抑制することができるため好ましい。又、蓋部材H1901は記録ヘッドをインクジェット記録装置に固定するための係合部H1930を有している。
図1に示すように、記録ヘッドH1001は、インクジェット記録装置本体のキャリッジの装着位置に案内するための装着ガイドH1560及びヘッドセットレバーによりキャリッジに装着固定するための係合部H1930を具備する。更に、キャリッジの所定の装着位置に位置決めするためのX方向(キャリッジスキャン方向)の突き当て部H1570、Y方向(記録メディア搬送方向)の突き当て部H1580、Z方向(インク吐出方向)の突き当て部H1590を具備する。上記突き当て部により位置決めされることで、電気配線テープH1300及びH1301上の外部信号入力端子H1302がキャリッジ内に設けられた電気接続部のコンタクトピンと正確に電気的接触を行う。
図4のヘッドの金属配線層H2105にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板H2104の発熱部H2107が急速に発熱し、この表面に接しているインクに気泡が発生する。この気泡の圧力でメニスカスが突出し、インクがヘッドの吐出口H2109を通して吐出し、インク小滴となり、記録媒体に向かって飛翔する。
E=P×V2/R (A)
この時、バブルジェットヘッドがぎりぎり吐出できる最低限必要なヒータへのエネルギーをEthとし、実際に駆動を行う時の投入エネルギーをEopとすれば、γ値は、下記式(B)で与えられる。
γ=Eop/Eth (B)
そして、バブルジェットヘッドの駆動条件からγ値を求める方法としては、実用上、以下の方法がある。
γ=Pop/Pth (C)
α(%)=100×(Pth1−Pth0)/Pth0 (D)
次に、上述したようなカートリッジタイプの記録ヘッドを搭載可能な液体吐出記録装置について説明する。図7は、本発明の液体吐出記録ヘッドを搭載可能な記録装置の一例を示す説明図である。図7に示す記録装置において、図1に示した記録ヘッドH1001がキャリッジ102に位置決めして交換可能に搭載されており、キャリッジ102には、記録ヘッドH1001上の外部信号入力端子を介して各吐出部に駆動信号等を伝達するための電気接続部が設けられている。
(シアン染料1)
下記の式で表されるシアン染料1を、以下のようにして作製した。
(l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3、但し、l+m+n=3〜4、m≧1、置換基の置換位置は、4若しくは4’位であり、MはNaである。)
下記構造を有するマゼンタ染料1を、下記(A)〜(C)の工程によって製造した。
(B):上記で得られたモノアゾ化合物を、塩化シアヌル懸濁液にpH4〜6、温度0〜5℃を保持しながら加えて、数時間反応を行う。次いで、室温にてアルカリ性にならないように、2−アミノ安息香酸(アントラニル酸)水溶液を加えて数時間縮合反応を行う。次いで、25%水酸化ナトリウム水溶液を50〜60℃にて加え、強アルカリ性とし、加水分解反応を行い、反応を完結させる。
(C):冷却後、塩化ナトリウムで塩析する。
上記で得たシアン染料1を使用して、下記表2−1及び表2−2に記載の各種成分を表中の所定量添加し、総量が100部になるように水で調整した。これらの成分を混合し、十分に撹拌して溶解させた。その後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、シアンC1〜シアンC9の各インクを調製した。
(インクカートリッジの作成)
表2−1及び表2−2に記載のシアンインクC1〜C9をそれぞれ図1に記載のインクカートリッジに収容して、参考例1〜7及び比較例1〜2のインクカートリッジを作成した。これらの実施例及び比較例にて使用するインクカートリッジのヘッドは、1色に付き1ドットあたり5plのノズルH2112が600dpiの間隔で192個一直線状に配置されたノズル列を具備している。更に、1ドットあたり2plのノズルH2112が600dpiの間隔で192個一直線状に配置されたノズル列を具備している。これらのノズル列が、共通液室H2111の両端に対向するように配置された、2列一体のノズル列を3色分並列に配置したヘッドを用いた。その際、各ノズル部分の保護層のインクが接している表面積に対する各ノズルのインク液室の容積は、5pl、2plのいずれのノズルも14μm3/μm2であった。上述のヘッドの保護層は、窒化珪素を主体とする材質で構成されているものであり、保護層の層厚が300nmのものを用いた。又、インク供給保持部材H1501の材質は、スチレン系材料とポリフェニレンエーテルのアロイであり、インク吸収体H1601、H1602、H1603の材質は、ポリプロピレンであった。表3に、参考例及び比較例のインクカートリッジに収容されたそれぞれのインクに含有される多価カルボン酸塩の濃度を記載した。
これら参考例1〜7及び比較例1、2のインクカートリッジに関して、図7の記録装置を用いてそれぞれ吐出が可能となる駆動パルスの計測を行い、駆動パルスPth0とした。このPth0に対して1.2倍のパルス幅を持つ駆動パルスPopが各ノズルにかかるようにパルス設定をして、初期のノズルチェックパターン印字を行った。その後、更に、吐出口が配置されている面にシールテープでシーリングをし、ブリスターパックの物流容器に密閉されるように収容し、温度60℃の恒温槽に30日間保管した。保管後、同様に吐出が可能となる駆動パルスの計測を行い駆動パルスPth1とした。その後、駆動パルスPopが各ノズルにかかるようにパルス設定をして保存後のノズルチェックパターンを印字し、初期印字に対して印字ヨレがないかを調べた。更に、同駆動条件でインクタンク中のインクを使い切るまで7.5%Dutyの画像の連続印字を行い、100枚毎に全ノズルのチェックパターンを印刷して、タンク内のインクを使い切るまでの間において、印字かすれや印字ヨレが発生するかを調べた。上述の保存前後における駆動パルスの変化率α及び保存後の印字ヨレや印字耐久性を以下の基準で判定し、表4にその結果をまとめた。
下記式(D)に従って駆動パルスの変化率αを求め、以下の基準で判定をした。
α(%)=100×(Pth1−Pth0)/Pth0 (D)
A:保存前後の変化率αが20%未満。
B:保存前後の変化率αが20%以上30%未満。
C:保存前後の変化率αが30%以上。
下記の基準で判定をした。
A:初期印字に対して印字ヨレがほとんどなし。
B:初期印字に対して僅かな印字ヨレがある。
C:初期印字に対して印字ヨレが発生。
下記の基準で判定をした。
A:インクタンク中のインクを使い切るまで印字かすれなし。
C:インクタンク中のインクを使い切る前に印字かすれ発生。
下記の基準で判定をした。
A:インクタンク中のインクを使い切るまで印字ヨレなし。
B:インクタンク中のインクを使い切るまでに僅かな印字ヨレがある。
C:インクタンク中のインクを使い切る前に印字ヨレが発生。
下記表5に記載の各種成分を表中の所定量添加し、総量が100部になるように水で調整した。これらの成分を混合し、十分に撹拌して溶解させた。その後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、マゼンタインクM1とイエローインクY1の各インクを調製した。
表2−1及び表2−2に記載の各シアンインク(C1、C5、C7、C9)と、表5に記載のマゼンタインクM1及びイエローインクY1とをそれぞれ表6のように組み合わせて、図1に記載のインクカートリッジに収容して、実施例8、9及び参考例8、比較例3のインクカートリッジを作成した。本実施例及び比較例にて使用するインクカートリッジのヘッドは、1色に付き1ドットあたり5plのノズルH2112が600dpiの間隔で192個一直線状に配置されたノズル列を具備している。更に、1ドットあたり2plのノズルH2112が600dpiの間隔で192個一直線状に配置されたノズル列を具備している。これらのノズル列が、共通液室H2111の両端に対向するように配置された、2列一体のノズル列を3色分並列に配置したヘッドを用いた。その際、各ノズル部分の保護層のインクが接している表面積に対する各ノズルのインク液室の容積は5pl、2plのいずれのノズルも、14μm3/μm2であった。上述のヘッドの保護層は、窒化珪素を主体とする材質で構成されているものであり、保護層の層厚が300nmのものを用いた。又、インク供給保持部材H1501の材質は、スチレン系材料とポリフェニレンエーテルのアロイであり、インク吸収体H1601、H1602、H1603の材質は、ポリプロピレンであった。
下記の基準で判定をした。
A:保存試験前後におけるグレースケールの変化がほとんどない。
B:保存試験前後におけるグレースケールの変化が僅かにある。
C:保存試験前後におけるグレースケールの変化がある。
前述のシアンインクC1、マゼンタインクM1及びイエローインクY1を組み合わせて、インクセットとした。得られたインクセットの各インクを、インク液室容積と保護層の表面積との関係や保護層の層厚が表7のようになるようなノズル構造を有するヘッドを実装した図1と同型のインクカートリッジにそれぞれ収容して、実施例10〜14及び参考例15のインクカートリッジを作成した。本実施例10〜14及び参考例15にて使用するインクカートリッジのヘッドは、1色に付き600dpiの間隔で192個一直線状に配置されたノズル列が共通液室H2111の両端に対向するように配置された、2列一体のノズル列を3色分並列に配置したヘッドを用いた。又、インクジェットヘッドの保護層が、窒化珪素を主体とする材質で構成されているものを用いた。又、インク供給保持部材H1501の材質は、スチレン系材料とポリフェニレンエーテルのアロイであり、インク吸収体H1601、H1602、H1603の材質は、ポリプロピレンであった。
下記の基準で判定をした。
A:印字直後の温度が60℃未満。
B:印字直後の温度が60℃以上70℃未満。
C:印字直後の温度が70℃以上。
Claims (3)
- 吐出口からインクを吐出するための熱エネルギーを発生する発熱部と、インク液室とが設けられたサーマルインクジェットヘッドを具備し、且つ、色相の異なるインクの組み合わせを含む複数のインクを収容するインクカートリッジであって、
該吐出口と該発熱部とが対向するように配置されており、
該発熱部が該インクと接する面に、珪素の窒化物及び珪素の炭化物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有する保護層を有し、
該保護層の該インクと接する部分の表面積に対する該インク液室の容積の割合が50μm3/μm2以下であり、
該複数のインクが、多価カルボン酸及びその塩の少なくとも一方を含有し、該多価カルボン酸及びその塩の含有量が0.001mmol/l以上0.5mmol/l以下であり、かつ、該多価カルボン酸及びその塩の含有量の最大値を示すインクと最小値を示すインクとの含有量の差が0.3mmol/l以下であることを特徴とするインクカートリッジ。 - 前記保護層の厚さが50nm以上500nm以下であり、且つ、前記インク中の多価カルボン酸及びその塩の含有量の合計が0.01mmol/l以上0.2mmol/l以下である請求項1に記載のインクカートリッジ。
- 前記多価カルボン酸及びその塩がクエン酸及びその塩である請求項1又は2に記載のインクカートリッジ。
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