JP2002173625A - 水性インク、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、インクセットおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

水性インク、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、インクセットおよびインクジェット記録装置

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JP2002173625A
JP2002173625A JP2001261287A JP2001261287A JP2002173625A JP 2002173625 A JP2002173625 A JP 2002173625A JP 2001261287 A JP2001261287 A JP 2001261287A JP 2001261287 A JP2001261287 A JP 2001261287A JP 2002173625 A JP2002173625 A JP 2002173625A
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Yuko Takada
祐子 高田
Mikio Sanada
幹雄 真田
Tomonari Watanabe
智成 渡邉
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カチオン性自己分散型カーボンブラックの特
徴を維持したまま、印字の休止後の吐出安定性にも優れ
た水性インク、高品位なプリント物を安定して得られる
インクジェット記録方法、高品位なプリント物を安定し
て形成できるインクジェット記録装置、記録ユニット、
インクカートリッジ、インクセットを提供すること課題
とする。 【解決手段】 本発明により、少なくとも1つのカチオ
ン性基が直接もしくは他の原子団を介してカーボンブラ
ック表面に結合しているカチオン性自己分散型カーボン
ブラック、水溶性有機溶剤、および水を含有し、水に溶
解した際に解離しうるプロトンをその構造内に有し、そ
のうち少なくとも1つのプロトンの解離度が1未満であ
る解離段をもつ酸性化合物を含有する水性インクが、こ
の水性インクを用いたインクジェット記録方法、記録ユ
ニット、インクカートリッジ、インクセット、および、
インクジェット記録装置が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インク、特に
インクジェット記録に適している水性インクに関する。
また本発明は、インクジェット記録方法、記録ユニッ
ト、インクカートリッジ、インクセットおよびインクジ
ェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、高電圧印加
による静電吸引方式、圧電素子を用いて着色インクに機
械的振動または変位を与える方式、インクを加熱して発
泡させる圧力を利用する方式等、種々のインク吐出方式
によりインクの小滴を発生させ、これを飛翔させて紙等
の被記録材に付着させ、インクドットを形成させて記録
を行なうものであり、騒音の発生が少なく、高速印字、
多色印字を行なえる記録方式である。
【0003】この方式で用いられるインクに求められる
性能としては、高精細な画像フェザリングや滲みのない
こと、また得られる画像の堅牢性として、耐水性、耐擦
過性等が良好であることなどが挙げられる。
【0004】また特に文字が主体の画像を形成する黒色
インクには良好な文字品位、高い画像濃度や黒色再現性
が求められる。
【0005】しかし水溶性染料を用いた黒色インクで
は、耐水性や黒色再現性が十分ではない。そこで、色材
としてカーボンブラックが用いられるようになってい
る。カーボンブラックを水性インクとして使用するため
には、水性媒体中にカーボンブラックを安定して分散さ
せることが必要である。特開平3−210373号公報
には分散剤として水溶性樹脂を使用する方法が開示され
ている。このように一般的には分散剤を用いて分散させ
る方法がとられている。
【0006】しかしながら、上記の分散剤を使用したイ
ンクをインクジェット記録で用いた場合には、分散剤を
形成している樹脂によって、目詰まりやインクの不吐出
が生じる場合がある。また分散剤を用いた水性顔料イン
クは粘ちょうであり、長時間にわたる連続吐出および高
速印字を行う際に、吐出が不安定になる場合があるとい
う問題があった。
【0007】これに対して、上記の問題を解決するため
に分散剤を使用しない分散方法が、特開平5−1867
04号公報、特開平8−3498号公報、国際公開特許
WO96/18688号、WO96/18689号、WO96/18696号等に開示さ
れている。カーボンの表面に水溶性基を導入することに
よって、水性媒体中に安定に分散させる方法である。自
己分散型カーボンブラックは、その表面の親水基によっ
てカチオン性もしくはアニオン性に帯電しており、その
イオンの反発によって水分散性を有し、またその親水基
により親水性が向上している。そのため長期間保存され
ても水性媒体中に安定して分散された顔料インクが得ら
れる。このカーボンブラックを色材として用いた水性黒
色インクによると、良好な文字品位、高い画像濃度を得
ることができ、形成する画像の耐水性、耐擦過性等が良
好である。
【0008】中でも、国際公開特許WO96/18688号、WO96
/18689号、WO96/18696号には親水性基がカチオン性であ
るカーボンブラックが開示されており、 特にWO96/1869
5号にはカチオン性カーボンブラックを色材として用い
たインクジェット用インクが開示されている。また特開
平10-183046号公報ではこのようなカチオン性カーボン
ブラックを着色剤として用いた黒色インクと、アニオン
性物質を含んだカラーインクと組み合わせることによっ
て、色間にじみを防ぐことができることが開示されてい
る。
【0009】ところで上記した先行技術、例えばWO96/1
8696号には、表面官能基としてアミンを有している自己
分散型カーボンブラックの水性媒体中での分散安定性
が、該水性媒体を酸性化することで向上することが記載
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
の先行技術に開示されている種々の技術事項を踏まえ
て、自己分散型カーボンブラックを含有しているインク
の検討を重ねてきた結果、表面官能基がアミンの場合に
限らず、表面官能基としてカチオン性基を有している自
己分散型カーボンブラックを含有しているインクは、そ
のpHを酸性側に調整することによって、当該自己分散
型カーボンブラックのインク中での分散性がより安定化
するとの知見を得た。カチオン性自己分散カーボンブラ
ックを含有しているインクのpHを酸性に調整した場合
に、当該カーボンブラックの分散性がより安定である理
由としては、当該カーボンブラックのカチオン性がイン
ク中において安定に維持され、カーボンブラック同士の
間で電気的な斥力が働き、凝集し難いためであると考え
られる。
【0011】ところで、さらなる検討の結果、カチオン
性自己分散型カーボンブラックを含有しているインクを
用いて高品位な画像をより安定に形成する上で、ぜひと
も解決すべき技術課題があることを本発明者らは見出し
た。すなわち、当該インクを用いて空白部分が存在する
文書や画像の印字した場合、印字中に、当該空白に対応
して、ノズルからのインク吐出が一時的に休止される期
間ができる。その後、そのノズルからのインク吐出が再
開されるときに、吐出されるべきインクが吐出されなか
ったり、インク吐出が乱れる、などの問題が生じる場合
があった。
【0012】そこで本発明の目的は、カチオン性自己分
散型カーボンブラックの特徴、例えばインクジェット記
録装置において、画像が高い文字品位、画像濃度を有
し、さらにアニオン性のカラーインクとの間でのブリー
ドが少ないという特徴を維持したまま、印字の一時休止
後の吐出安定性にも優れた水性インクを提供することに
ある。
【0013】また本発明は、高品位なプリント物を安定
して得ることのできるインクジェット記録方法を提供す
ることをも目的とする。
【0014】また本発明は、高品位なプリント物を安定
して形成することのできるインクジェット記録装置、記
録ユニットおよびインクカートリッジを提供することを
も目的とする。
【0015】また本発明は、高品位なプリント物の形成
に用いることのできるインクセットを提供することをさ
らに他の目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に鑑み、様々なインクについて検討を重ねたところ、黒
色インクとして、カチオン性自己分散型カーボンブラッ
ク、水溶性有機溶剤、水を含有する水性顔料インクにお
いて、水に溶解した際に解離しうるプロトンをその構造
内に有し、そのうち少なくとも1つのプロトンの解離度
が1未満である解離段をもつ酸性化合物を含有するイン
クを用いることにより、高い文字品位、画像濃度を得る
ことができ、さらにカラーインクとのブリードが少ない
という特徴を維持したまま、印字の一時休止後の優れた
吐出安定性が得られることを見いだし、本発明に至っ
た。
【0017】本発明の一実施態様によれば、少なくとも
1つのカチオン性基が直接もしくは他の原子団を介して
顔料表面に結合しているカチオン性自己分散型顔料、水
溶性有機溶剤、および水を含有している水性インクであ
って、水に溶解した際に解離し得るプロトンをその構造
内に有し、そのうち少なくとも1つのプロトンの解離定
数が1未満である解離段を持つ酸性化合物を含有する水
性インクが提供される。
【0018】本発明の他の実施態様によれば、少なくと
も1つのカチオン性基が直接もしくは他の原子団を介し
てカーボンブラック表面に結合しているカチオン性自己
分散型カーボンブラック、水溶性有機溶剤、および水を
含有している水性インクであって、水に溶解した際に解
離しうるプロトンをその構造内に有し、そのうち少なく
とも1つのプロトンの解離定数が1未満である解離段を
もつ酸性化合物を含有することを特徴とする水性インク
が提供される。
【0019】本発明の他の実施態様によれば、インクを
記録信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録材に
記録を行う工程を有するインクジェット記録方法におい
て、該インクが、少なくとも1つのカチオン性基が直接
もしくは他の原子団を介してカーボンブラック表面に結
合しているカチオン性自己分散型カーボンブラック、水
溶性有機溶剤、および水を含有し、かつ水に溶解した際
に解離しうるプロトンをその構造内に有し、そのうち少
なくとも1つのプロトンの解離定数が1未満である解離
段をもつ酸性化合物を含有しているインクジェット用水
性インクであることを特徴とするインクジェット記録方
法が提供される。
【0020】本発明の他の実施態様によれば、インクを
収容しているインク収容部および該インクをインク滴と
して吐出させるためのヘッド部を備えた記録ユニットに
おいて、該インクが、少なくとも1つのカチオン性基が
直接もしくは他の原子団を介してカーボンブラック表面
に結合しているカチオン性自己分散型カーボンブラッ
ク、水溶性有機溶剤、および水を含有し、かつ水に溶解
した際に解離しうるプロトンをその構造内に有し、その
うち少なくとも1つのプロトンの解離定数が1未満であ
る解離段をもつ酸性化合物を含有しているインクジェッ
ト用水性インクであることを特徴とする記録ユニットが
提供される。
【0021】本発明の他の実施態様によれば、例えば、
インクを収容しているインク収容部を具備しているイン
クカートリッジであって、該インクが上記のインクであ
ることを特徴とするインクカートリッジが提供される。
【0022】本発明のさらに他の実施態様によれば、イ
ンクを収容しているインク収容部と該インクを吐出させ
るためのヘッド部とを有している記録ユニットを具備し
ているインクジェット記録装置において、該インクが、
少なくとも1つのカチオン性基が直接もしくは他の原子
団を介してカーボンブラック表面に結合しているカチオ
ン性自己分散型カーボンブラック、水溶性有機溶剤、お
よび水を含有し、かつ水に溶解した際に解離しうるプロ
トンをその構造内に有し、そのうち少なくとも1つのプ
ロトンの解離定数が1未満である解離段をもつ酸性化合
物を含有しているインクジェット用水性インクであるこ
とを特徴とするインクジェット記録装置が提供される。
【0023】また本発明の他の実施態様によれば、イン
クを吐出するための記録ヘッド、インクを収容している
インク収容部を有するインクカートリッジおよびこのイ
ンクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給するた
めのインク供給部を具備しているインクジェット記録装
置であって、前記インクが少なくとも1つのカチオン性
基が直接もしくは他の原子団を介してカーボンブラック
表面に結合しているカチオン性自己分散型カーボンブラ
ック、水溶性有機溶剤、および水を含有し、かつ水に溶
解した際に解離しうるプロトンをその構造内に有し、そ
のうち少なくとも1つのプロトンの解離定数が1未満で
ある解離段をもつ酸性化合物を含有しているインクジェ
ット用水性インクであるインクジェット記録装置が提供
される。
【0024】また本発明のさらに他の実施態様によれ
ば、第1の水性インクと第2の水性インクとを具備して
いるインクセットであって、該第1の水性インクは、少
なくとも1つのカチオン性基が直接もしくは他の原子団
を介してカーボンブラック表面に結合しているカチオン
性自己分散型カーボンブラック、水溶性有機溶剤、およ
び水を含有し、さらに水に溶解した際に解離しうるプロ
トンをその構造内に有するとともに、そのうち少なくと
も1つのプロトンの解離定数が1未満である解離段をも
つ酸性化合物を含有することを特徴とするインクセット
が提供される。
【0025】ここで、第2の水性インクとしてアニオン
性の色材を用いるとともに、第1のインクと記録媒体上
で共に液体の状態で接触させることで、第1および第2
のインクとを反応させることができ、色材の定着性のよ
り一層の向上を図ることができる。また、ここで、第2
のインクを第1のインクと異なる色調のカラーインクと
した場合、第1の水性インクと第2の水性インクとが記
録媒体上に隣接して付与された場合にもその境界領域に
おけるブリードを有効に防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明は、カチオン性自己分散型
カーボンブラック、水溶性有機溶剤、水を含有する水性
インクであって、水に溶解した際に解離しうるプロトン
をその分子構造内に有し、そのうち少なくとも1つのプ
ロトンの解離定数(Ka)が1未満である解離段をもつ酸性
化合物を含有するものであり、このインクを用いること
によって高い文字品位、画像濃度を得ることができ、さ
らにカラーインクとのブリードが少ないというカチオン
性自己分散型カーボンブラックの特徴を維持したまま、
印字の休止後の優れた吐出安定性が得られる。
【0027】本発明において、水に溶解した際に解離し
うるプロトンをその構造内に有し、そのプロトンが1未
満の解離段をもつ酸性化合物とは、解離しうるプロトン
が1つしかない1プロトン酸の場合、その解離定数が1未
満である酸性化合物、解離しうるプロトンが2つ以上あ
る多プロトン酸の場合、その2つ以上の解離段の中に1未
満の解離定数をもつ酸性化合物を指す。
【0028】ここでいう解離度とは、解離した分子数と
もとの全分子数との比のことであり、解離段とはnプロ
トン酸のHnAを例にとると、HnA → Hn-1A + H+の解離段
を第1段、Hn-1A→ Hn-2A + H+の解離段を第2段と定義す
る。
【0029】例えば、硫酸H2SO4は解離段を2つ持ち、1
段目でH+とHSO4 -に解離し、HSO4 -がさらに2段目でSO4 2-
とH+ に解離する。ここで硫酸の1段目の解離定数は非常
に大きいが、2段目の解離定数が1未満であるので、上記
酸性化合物に含まれる。一方、構造内(分子内)にプロ
トンを有している他の化合物として、例えば水酸化物イ
オンやアンモニア等が挙げられるが、これらは、水中で
プロトンを放出する酸性化合物ではないので本発明の酸
性化合物には該当しない。
【0030】本発明にかかる水性インクが、上記したよ
うな効果を奏する理由は明らかではないが、本発明にか
かるインクは、解離定数が1もしくは1を超える解離段
のみを与える酸性物質を含んでいるインクと比較する
と、ノズル先端におけるインクからの水分の蒸発によっ
てインク組成が変化したときにも、インク中のイオン濃
度変化が比較的緩やかであり、インク中のイオン濃度の
上昇による塩析が生じ難いためであると考えられる。す
なわち、解離定数が1未満の解離段を有する酸性化合物
は、緩衝作用を備えているため、インク組成変化を打ち
消す方向にその平衡状態が移動する。具体的には、例え
ばインク中の水分の蒸発によってインク中のイオン濃度
が高くなると、イオン濃度が低下する方向に平衡状態が
移動する。そのため、ノズル先端部分において、本発明
にかかるインクは、解離定数が1もしくは1を超える解
離段のみを与える酸性物質を含んでいるインクと比較し
て、イオン濃度の上昇が緩やかであり、インク中のイオ
ン濃度の増加によって生じやすくなる顔料の分散安定性
の低下を有効に抑えることができると考えられる。
【0031】また前記自己分散型カーボンブラックにお
いて、その表面に結合されているカチオン性基と対とな
る陰イオン(カウンターイオン)としては、弱酸の共役塩
基であることが好ましく、この弱酸とは、解離定数が1
未満の酸とする。
【0032】カーボンブラックの表面に結合されている
カチオン性基と対となる陰イオンが弱酸の共役塩基であ
る時、上記の酸性化合物と組み合わせることにより、イ
オン濃度の変化に対する緩衝作用はさらに大きくなるた
め、カチオン性自己分散型カーボンブラックを含有する
インクの分散安定性をさらに向上させることができる。
つまりノズル先端でインク中の水分が蒸発した際にも、
分散安定性を損なわないので、印字一時休止後の吐出が
より一層安定する。
【0033】添加する酸性化合物とカウンターイオンの
関係において、そのpKaの差は5以内であることが好まし
い。これは、カーボンブラックの表面に結合されている
カチオン性基と対となるカウンターイオンとなりうるイ
オンを供給することができ、このためインク中のカウン
ターイオン量が増大し、さらなる分散安定性の向上が図
れるからである。
【0034】この時、カウンターイオンの酸の解離定数
と比較される酸性化合物の解離定数とは、その化合物中
の持つ解離段の中でもプロトンの解離定数が1未満の解
離段で、最も大きいものを意味する。
【0035】ここでKaとは、酸の解離における平衡定数
を示す酸解離定数である。pKaとは酸解離定数の逆数の
対数値であり、以下のように定義される。 pKa=−logKa pKaの大きな酸は解離定数が小さい酸であり、強酸のpKa
は小さい値である。ここでの弱酸とはpKaが0より大き
い、つまり酸解離定数が1未満の酸を示す。そしてpKaの
差が5以内であるとは、酸解離定数の比が100000以内で
あることを示す。
【0036】以下、本発明の好ましい実施の態様をあげ
て本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらに限定
されるものではない。
【0037】本発明にかかるインクは、インクジェット
記録方式で記録するインクジェット記録方法に使用する
黒色インクにおいて、該黒色インクが、少なくとも1つ
のカチオン性基が直接もしくは他の原子団を介してカー
ボンブラック表面に結合しているカチオン性自己分散型
カーボンブラック、水溶性有機溶剤、水を含有する水性
インクにおいて、水に溶解した際に解離しうるプロトン
をその構造内に有し、そのうち少なくとも1つのプロト
ンの解離度が1未満である解離段をもつ酸性化合物を含
むことを特徴とする。
【0038】該インクにおいて使用されるカチオン性自
己分散型カーボンブラックとは、カーボンブラック表面
にカチオン性基が直接もしくは他の原子団を介して結合
された自己分散型カーボンブラックである。
【0039】本発明においては、カーボンブラックの表
面に直接もしくは他の原子団を介して結合されている親
水性基が、例えば、フェニル基、ヘ゛ンシ゛ル基、フェナシル基、
ナフチル基等の少なくとも1つの芳香族基、またはヒ゜リシ
゛ル基等の複素環基と、少なくとも1つのカチオン性基とから
なっていることが好ましい。さらに好ましくは、カーボ
ンブラック表面に結合されているカチオン性基が、第4
級アンモニウム基であることが好ましい。また第4級ア
ンモニウム基のかわりに第4級ホスホニウム基を有する
ものも用いられる。
【0040】本発明において好ましく使用されるカーボ
ンブラックの表面に直接もしくは他の原子団を介して結
合されるカチオン性親水性基としては、具体的には、下
記に挙げる構造を有するものが挙げられる。
【0041】
【化2】 上記式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、置換もし
くは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のナフチ
ル基を表わす。ここで、フェニル基やナフチル基の置換
基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素
原子、シュウ素原子等)や炭素数1〜6の直鎖状もしく
は分岐鎖状のアルキル基などが挙げられる。
【0042】このようにカーボンブラック表面へのカチ
オン性基の導入によってカチオン性に帯電させたカーボ
ンブラックは、イオンの反発によって優れた水分散性を
有するため、水性インク中に含有させた場合にも分散剤
等を添加しなくても安定した分散状態を維持する。
【0043】上記した種々のカチオン性基は、カーボン
ブラックの表面に直接結合させてもよい。あるいは他の
原子団をカーボンブラック表面とカチオン性基との間に
介在させ、該カチオン性基をカーボンブラック表面に間
接的に結合させてもよい。ここで他の原子団としては炭
素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、
置換もしくは未置換のフェニレン基、または置換もしく
は未置換のナフチレン基が好ましい。ここで、フェニレ
ン基およびナフチレン基の置換基としては例えば炭素数
1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ
る。
【0044】カチオン性基のカウンターイオンとしては
塩酸、硝酸、フッ化水素、臭化水素、酢酸、ク゛ルコン酸、安
息香酸、乳酸、ギ酸等の各種酸の共役塩基が用いられる
が、本発明で使用する自己分散型カーボンブラックのカ
ウンターイオンとしては酢酸等の弱酸の共役塩基である
ことが好ましい。ここで弱酸とは酸解離定数が1未満、
つまりpKaが0より大きいものとする。
【0045】このようなカーボンブラックは公知の方法
で製造すればよい。
【0046】前記カーボンブラックのインク中の含有量
は、特に限定はされないが、インク全重量の0.1〜1
5重量%の範囲、さらに好ましくは1〜10重量%の範
囲とした場合、十分な画像濃度を得ることができ、また
インク中での顔料の分散性も安定なものとすることがで
きる。
【0047】カーボンブラックは1種を用いても2種以上
を併用してもよい。
【0048】本発明にかかる水性顔料インクに添加す
る、水に溶解した際に解離しうるプロトンをその構造内
に有し、そのうち少なくとも1つのプロトンの解離度が
1未満である解離段をもつ酸性化合物としては、解離定
数が1未満、好ましくは10-1 0より大きく1より小さい
もの、さらに好ましくは10-6より大きく1より小さいも
の、つまりpKaが0より大きいもの、好ましくは0より大
きく10より小さいもの、さらに好ましくは0より大きく6
より小さいものが適当である。
【0049】具体的な酸性化合物を以下に示す。1プロ
トン酸としては、アクリル酸、、アニス酸、アミノ酪
酸、安息香酸、イソ吉草酸、イソ酪酸、オクタン酸、ギ酸、
吉草酸、グリコール酸、ク゛ルコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、酢
酸、シクロヘキサンカルホ゛ン酸、ナフトエ酸、乳酸、ヒ゛ニル酢酸、フェニル酢
酸、フ゜ロヒ゜オン酸、ヘキサン酸、酪酸等が挙げられる。また多
プロトン酸としては、アジピン酸、アスコルビン酸、ア
ゼライン酸、硫酸、燐酸、クエン酸、グルタミン酸、コハ
ク酸、サリチル酸、シュウ酸、酒石酸、ヒドロキシ安息
香酸、ピメリン酸、フタール酸、フマル酸、ホウ酸、マ
レイン酸等が挙げられる。
【0050】酸性化合物は2種以上を併用してもよい。
【0051】本発明に好適に用いるカウンターイオンの
共役酸と添加する酸性化合物の組み合わせとしては、こ
れらのpKaの差が5以内であることが好ましい。
【0052】この時、カウンターイオンの酸の解離定数
と比較される酸性化合物の解離定数とは、その化合物中
の持つ解離段の中でもプロトンの解離定数が1未満の解
離段で、最も大きいものを意味する。
【0053】これらの酸性化合物の添加量としては、酸
の種類、カチオン性自己分散型カーボンブラックの種
類、濃度等から適宜選択すればよいが、インクのpHが
酸性、より具体的には、インクのpHが6以下、さらには3
〜6となるように添加することが好ましい。
【0054】また酸性化合物のインク中の濃度として
は、0.1mol/l以下、さらに好ましくは0.05mol/l以下で
あることが好ましい。このような濃度であれば、インク
中のイオン強度が大きくなり、自己分散型カーボンブラ
ックの分散安定性が低下することもなく、また本発明の
効果を十分に享受することが可能である。
【0055】本発明にかかる顔料インクに使用される水
溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等の
ケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ト
リエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、チオジグリコール、へキシレングリコール、ジエチ
レンク゛リコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含
むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリ
コールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ト
リエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エー
テル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N
−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、
ジメチルサルフォオキサイド、2−ピロリドン、ε−カ
プロラクタム等の環状アミド化合物およびスクシンイミ
ド等のイミド化合物等が挙げられる。このような水溶性
有機溶剤は1種を用いても2種以上を併用してもよい。
【0056】これら水溶性有機溶剤のインク中の含有量
としては、一般にはインクの全重量に対して10〜50
重量%が好ましく、より好ましくは15〜40重量%の
範囲である。
【0057】また、水には純水またはイオン交換水が用
いられ、この水のインク中の含有量としては、一般には
インクの全重量に対して30〜80重量%が好ましい。
水があまりに少なくなりすぎると、インク粘度が高くな
ってくる。また、水分があまりに多くなりすぎると、蒸
発成分が多すぎて、蒸発時のインク諸特性に影響が出る
こともある。
【0058】本発明にかかるインクには、この他界面活
性剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、水溶性ポリマ
ー等の添加剤を適宜配合してもよい。
【0059】これまで説明してきた本発明にかかる水性
インクは、他のインクと組み合わせたインクセットとす
ることで、より高品位な画像の形成を行うことも可能で
ある。
【0060】例えば、本発明にかかる水性インクを第1
のインクとし、これと組み合わせる水性インクを第2の
インクとすると、第2のインクをアニオン性の色材を含
む水性インクとすることで、第1および第2のインク
を、例えば記録媒体上で、互いに液体の状態で接触させ
ることで、両者を反応させることができる。
【0061】アニオン性の色材の例としては、例えばア
ニオン性の自己分散型顔料、顔料とそのアニオン性分散
剤、さらにはアニオン性染料を挙げることができる。
【0062】なお、第2の水性インクは、第1の水性イ
ンクと同様に黒色インクとしてもよく、あるいは黒色以
外のカラーインクとしてもよい。第2の水性インクを黒
色インクとした場合には、第1のインクと第2のインク
とを記録媒体上で重ねることによって、より高品位な黒
色のプリントを形成することができる。
【0063】また、第2の水性インクをカラーインクと
した場合には、第1の水性インクと第2の水性インクと
が記録媒体上で互いに隣接して付与したときの境界にお
けるブリードを有効に抑制することができる。もちろ
ん、第2の水性インクがカラーインクであっても、第1
のインクと記録媒体上で重ねることで、第1の水性イン
クの定着性向上を図ることができる。
【0064】次に、本発明にかかる水性インクを用いる
記録方法について説明する。本発明のインクを用いて記
録を行なうのに好適な方法および装置としては、記録ヘ
ッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギー
を与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させるインク
ジェット記録方法およびインクジェット記録装置が挙げ
られる。
【0065】本発明にかかるインクセットを適用し得る
インクジェット記録装置として熱エネルギーを利用した
装置の主要部であるヘッド構成例を図1および図2に示
す。
【0066】図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断
面図であり、図2は図1のA−B線での切断面図である。
ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラ
ス、セラミック、シリコンまたはプラスチック板等と発
熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は
酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成さ
れる保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合
金等で形成される電極17−1、17−2、HfB2、TaN、TaAl
等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化
シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層19、
シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性
のよい材料で形成される基板20より成り立っている。
【0067】上記ヘッドの電極17−1および17−2にパル
ス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで
示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているイ
ンクに気泡が発生し、その発生する圧力でメニスカス23
が突出し、インクがヘッドのノズル14を通して吐出し、
吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録材25
に向かって飛翔する。
【0068】図3には図1に示したヘッドを多数並べた
マルチヘッドの外観図を示す。このマルチヘッドはマル
チノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したもの
と同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0069】図4に、このヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイ
ピング部材としてのブレ−ドであり、その一端はブレ−
ド保持部材によって保持固定されており、カンチレバ−
の形態をなす。ブレ−ド61は記録ヘッド65による記録領
域に隣接した位置に配置され、また、本例の場合、記録
ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0070】62は記録ヘッド65の突出口面のキャップで
あり、ブレ−ド61に隣接するホ−ムポジションに配置さ
れ、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、
インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備
える。さらに、63はブレ−ド61に隣接して設けられるイ
ンク吸収体であり、ブレ−ド61と同様、記録ヘッド65の
移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレ−ド
61、キャップ62およびインク吸収体63によって吐出回復
部64が構成され、ブレ−ド61およびインク吸収体63によ
って吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
【0071】65は、吐出エネルギ−発生手段を有し、吐
出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐
出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載
して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジであ
る。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に系合し、キ
ャリッジ66の一部はモ−タ−68によって駆動されるベル
ト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ
66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド
65による記録領域およびその隣接した領域の移動が可能
となる。51は被記録材を挿入するための給紙部、52は不
図示のモ−タ−により駆動される紙送りロ−ラ−であ
る。
【0072】これらの構成により記録ヘッドの65吐出口
面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行に
つれて排紙ロ−ラ−53を配した排紙部へ排紙される。以
上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホ−ムポ
ジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘ
ッド65の移動経路から退避しているが、ブレ−ド61は移
動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐
出口がワイピングされる。なお、キャップ62が記録ヘッ
ド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャ
ップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動
する。記録ヘッド65がホ−ムポジションから記録開始位
置へ移動する場合、キャップ62およびブレ−ド61は上記
したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結
果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイ
ピングされる。
【0073】上述の記録ヘッドのホ−ムポジションへの
移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘ
ッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔
で記録領域に隣接したホ−ムポジションへ移動し、この
移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0074】図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例
えば、チュ−ブを介して供給されるインクを収容したイ
ンクカ−トリッジ45の一例を示す図である。ここで40は
供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク
袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられてい
る。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、イ
ンク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃
インクを受容するインク吸収体である。インク収容部と
してはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエ
チレンで形成されているものが好ましい。
【0075】本発明に用いることのできるインクジェッ
ト記録装置としては、上述のようにヘッドとインクカ−
トリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すよ
うなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。
図6において、70は記録ユニットであり、この中にはイ
ンクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が
収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数
オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出
される構成になっている。インク吸収体の材料としては
ポリプロピレンを用いることが本発明にとって好まし
い。また、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部
にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよ
い。72はカ−トリッジ内部を大気に連通させるための大
気連通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録
ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ
66に対して着脱自在になっている。
【0076】次に、第二の力学的エネルギーを利用した
インクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを
有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される
圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力
発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により
圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから
吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙
げることができる。
【0077】その記録装置の主要部である記録ヘッドの
構成例を図7に示す。この例のヘッドは、インク室(不
図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク
滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに
直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合
され、電気信号により変位する圧伝素子83と、オリフィ
スプレート81、振動板等を支持固定するための基板84と
から構成されている。
【0078】図7において、インク流路80は、感光性樹
脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレ
ス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ
等により吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、
ニッケル、チタン等の金属フィルムおよび高弾性樹脂フ
ィルム等で形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウ
ム、PZT等の誘電体材料で形成される。
【0079】以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素
子83にパルス状の電圧を与え、ひずみ応力を発生させ、
そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形
させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴
(不図示)をオリフィスプレートの吐出口85より吐出し
て記録を行うように動作する。
【0080】このような記録ヘッドは図4に示したもの
と同様な記録装置に組み込んで使用される。記録装置の
細部の動作は先述と同様に行うもので差しつかえない。
【0081】次に本発明に好適に使用できる記録装置お
よび記録ヘッドの他の具体例を説明する。
【0082】図8は、本発明に係る吐出時に気泡を大気
と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出
ヘッドおよびこのヘッドを用いる液体吐出装置としての
インクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図
である。
【0083】図8においては、インクジェットプリンタ
は、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられ
る記録媒体としての用紙1028を図8に示す矢印Pで
示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送
装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交
する方向Sに略平行に往復運動せしめられる記録部10
10と、記録部1010を往復運動させる駆動手段とし
ての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0084】搬送装置1030は、互いに略平行に対向
配置される一対のローラユニット1022aおよび10
22bと、一対のローラユニット1024aおよび10
24bと、これらの各ローラユニットを駆動させる駆動
部1020とを備えている。これにより、駆動部102
0が作動状態とされるとき、用紙1028が図8に示す
矢印P方向にそれぞれのローラユニット1022aおよ
び1022bと、ローラユニット1024aおよび10
24bにより狭持されて間欠送りで搬送されることとな
る。
【0085】移動駆動部1006は、所定の間隔をもっ
て対向配置される回転軸に配されるプーリ1026aお
よび1026bに巻きかけられるベルト1016と、ロ
ーラユニット1022aおよび1022bに略平行に配
置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連
結されるベルト1016を順方向および逆方向に駆動さ
せるモータ1018とを含んで構成されている。
【0086】モータ1018が作動状態とされてベルト
1016が図8の矢印R方向に回転したとき、記録部1
010のキャリッジ部材1010aは図8の矢印S方向
に所定の移動量だけ移動される。また、モータ1018
が作動状態とされてベルト1016が図8の矢印R方向
とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッ
ジ部材1010aは図8の矢印S方向とは反対の方向に
所定の移動量だけ移動されることとなる。さらに、移動
駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010
aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の
吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録
部1010のインク吐出口配列に対向して設けられてい
る。
【0087】記録部1010は、インクジェットカート
リッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合があ
る)1012Y、1012M、1012Cおよび101
2Bが各色、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよび
ブラックごとにそれぞれ、キャリッジ部材1010aに
対して着脱自在に備えられる。
【0088】図9は上述のインクジェット記録装置に搭
載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。本
例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプの
ものであり、インクジェット記録ヘッド100と、イン
クなどの液体を収容する液体タンク1001とで主要部
が構成されている。インクジェット記録ヘッド100は
液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されてお
り、インクなどの液体は、液体タンク1001から図示
しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共
通液室(図10参照)へと導かれるようになっている。
カートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド1
00と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に
応じて液体タンク1001内に液体を補給できるように
したものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、
液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用す
るようにしてもよい。
【0089】このような構成のインクジェットプリンタ
に搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下に
さらに詳しく説明する。
【0090】図10は本発明の基本的な形態を示す液体
吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図
11〜図13は図10に示した液体吐出ヘッドの吐出口
形状を示す正面図である。なお、電気熱変換素子を駆動
するための電気的な配線などは省略している。
【0091】本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば
図10に示されるような、ガラス、セラミックス、プラ
スチックあるいは金属などからなる基板934が用いられ
る。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、
流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギ
ー発生素子、および後述する液流路,吐出口を形成する
材料層の支持体として、機能し得るものであれば、特に
限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板
(ウエハ)を用いた場合で説明する。吐出口は、レーザ
ー光による形成方法の他、例えば後述するオリフィスプ
レート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、M
PA(Mirror Projection Aligner)などの露光装置に
より形成することもできる。
【0092】図10において934は電気熱変換素子(以
下、ヒータと記述する場合がある)931および共通液室
部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を
備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側
に熱エネルギ発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列
ずつ千鳥状に電気熱変換素子の間隔が、例えば300dp
iで配列されている。この基板934上にはインク流路を形
成するためのインク流路壁936が設けられている。この
インク流路壁936には、さらに吐出口832を備える吐出口
プレート935が設けられている。
【0093】ここで、図10においてはインク流路壁93
6と吐出口プレート935とは、別部材として示されている
が、このインク流路壁936を例えばスピンコートなどの
手法によって基板934上に形成することによりインク流
路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に
形成することも可能である。本例では、さらに、吐出口
面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
【0094】本例では、図8矢印S方向に走査しながら
記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1
200dpiで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、
一つの吐出口では最短時間間隔100μsごとに吐出を
行うことになる。
【0095】また、ヘッドの実例寸法の一例としては、
例えば、図11に示すように、隣接するノズルを流体的
に隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図1
4に示すように、インク流路壁936により形成される発
泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm、N
2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931の
サイズは30μm×30μmでヒータ抵抗値は53Ωで
あり、駆動電圧は10.3Vである。また、インク流路
壁936および隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレ
ート厚は11μmのものが使用できる。
【0096】吐出口832を含む吐出口プレートに設けら
れた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オ
リフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切
断してみた断面の形状は概略星形となっており、鈍角の
角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交
互に配されかつ鋭角の角を有する6つの伏部832bとか
ら概略構成されている。すなわち、吐出口の中心Oから
局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この
領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域と
しての起部832aをその基部として、図10に示すオリフ
ィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に6つの溝
1141が形成されている。
【0097】本例においては、吐出口部940は、例えば
その厚み方向に交差する方向で切断した断面が一辺27
μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合
わせた形状となっており、図12に示すT1は8μmで
ある。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部8
32bの角度はすべて60度である。従って、吐出口の中
心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この
頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心
(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致
するようになっている。本例の吐出口832の開口面積は
400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、こ
の頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面
積)は1つあたり約33μm2となっている。図13は
図12に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模
式図である。
【0098】次に、上述の構成のインクジェット記録ヘ
ッドによる液体の吐出動作について図15〜22を用い
て説明する。図15〜22は、図10〜図14に示した
液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図
であり、図14に示す発泡室1337のX−X断面図であ
る。この断面において吐出口部940のオリフィスプレー
ト厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなってい
る。図15はヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示
し、図16は図15の約1μs後、図17は図15の約
2μs後、図18は図15の約3μs後、図19は図15
の約4μs後、図20は図15の約5μs後、図21は図
15の約6μs後、図22は図15の約7μs後の状態を
それぞれ示している。なお、以下の説明において、「落
下」または「落とし込み」,「落ち込み」とは、いわゆ
る重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り
付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動をい
う。また、図15〜図22において、Iは、インクを表
わす。
【0099】まず、図15に示すように、記録信号など
に基づいたヒータ931への通電に伴いヒータ931上の液流
路1338内に気泡101が生成されると、約2μs間に図
16および図17に示すように急激に体積膨張して成長
する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面
935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分
の1から10数分の1にまで減少している。次に、気泡
101の生成から約2μs後の時点で気泡101は上述
のように最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ
同時にメニスカス102の形成も始まる。このメニスカ
ス102も図18に示すようにヒータ931側への方向に
後退、すなわち落下してゆく。ここで、本例において
は、吐出口部に複数の溝1141を分散させて有しているこ
とにより、メニスカス102が後退する際に、溝1141の
部分ではメニスカス後退方向FMとは反対方向FCに毛管
力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡
101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、
メニスカスの後退時のメニスカスおよび主液滴(以下、
液体またはインクと記述する場合がある)Iaの形状
が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正さ
れる。
【0100】そして、本例では、このメニスカス102
の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、
図19に示すように気泡の生成から約4μs後の時点で
気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。
このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)は
ヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、大気に
連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に
引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101の大気
連通後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持している
からである。ヒータ931側に向かって落ち込んでいった
液体(インク)は、図20に示すように気泡101の生
成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図
21に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がっ
てゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡が
った液体はヒータ931の表面に沿った水平方向のベクト
ルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば垂
直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留ま
ろうとし、それよりも上側の液体、すなわち吐出方向の
速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることにな
る。その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の
液体(主液滴)との間の液体Ibが細くなってゆき、気
泡101の生成から約7μs後の時点で図22に示すよ
うにヒータ1の表面の中央で液体Ibが切断され、吐出
方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaとヒータ931の表面
上に拡がった液体Icとに分離される。このように分離
の位置は液流路1338内部、より好ましくは吐出口832よ
りもヒータ931側が望ましい。主液滴Iaは吐出方向に偏
りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部
分から吐出され、記録媒体の被記録面の所定位置に着弾
される。また、ヒータ931の表面上に拡がった液体I
cは、従来であれば主液滴の後続としてサテライト滴と
なって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留
まり、吐出されない。このようにサテライト滴の吐出を
抑制することができるため、サテライト滴の吐出により
発生しやすいスプラッシュを防止することができ、霧状
に浮遊するミストにより記録媒体の被記録面が汚れるの
を確実に防止することができる。なお図19〜22にお
いて、Idは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、
またIeは液流路内に残存しているインクを表している。
【0101】このように、本例の液体吐出ヘッドでは、
気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐
出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝に
より、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができ
る。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い
液体吐出ヘッドを提供することができる。また、高い駆
動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行
うことができることによる、高速高精細印字を実現する
ことができる。
【0102】特に、気泡の体積減少段階でこの気泡を始
めて大気と連通させることで液体を吐出することによ
り、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生す
るミストを防止できるので、所謂、突然不吐の要因とな
る、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもで
きる。
【0103】また本発明に好適に使用できる、吐出時に
気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施
態様として、例えば日本特許登録第2783647号に記載の
ように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられ
る。
【0104】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記
録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置に
おいて、優れた効果をもたらすものである。
【0105】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(イ
ンク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0106】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第4313124号明細書に記載されている条件を採用
すると、さらに優れた記録を行なうことができる。
【0107】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を
開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含ま
れるものである。
【0108】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギー
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成
としても本発明は有効である。
【0109】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満た
す構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を
一層有効に発揮することができる。
【0110】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けら
れたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも
本発明は有効である。
【0111】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる
予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モード
を行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0112】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってで
もよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフ
ルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極
めて有効である。
【0113】以上説明した本発明の実施例においては、
インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で
固化するインクであって、室温で軟化するもの、もしく
は液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式
ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度
調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように
温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付
与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0114】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで防止するか、またはイン
クの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを
用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号
に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとし
て吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固
化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初め
て液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能で
ある。このような場合インクは、特開昭54−5684
7号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載
されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状ま
たは固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としてもよい。本発明において
は、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述
した膜沸騰方式を実行するものである。
【0115】さらに加えて、本発明に係る記録装置の形
態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報
処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けら
れるものの他、リーダと組み合せた複写装置、さらには
送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの
であってもよい。
【0116】次に、上述した液体吐出ヘッドを搭載する
液体吐出装置の概略について説明する。
【0117】図23は、本発明の液体吐出ヘッドを装着
して適用することのできる液体吐出装置の一例であるイ
ンクジェット記録装置600の概略斜視図である。図2
3において、インクジェットヘッドカートリッジ601
は、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに供
給するインクを保持するインクタンクとが一体となった
ものである。このインクジェットヘッドカートリッジ6
01は、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力
伝達ギア603,604を介して回転するリードスクリ
ュ605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ6
07上に搭載されており、駆動モータ602の動力によ
ってキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢
印a,b方向に往復移動される。被記録材Pは、図示し
ない被記録材搬送手段によってプラテンローラ609上
を搬送され、紙押え板610によりキャリッジ607の
移動方向にわたってプラテンローラ609に対して押圧
される。
【0118】リードスクリュ605の一端の近傍には、
フォトカプラ611,612が配設されている。これら
はキャリッジ607のレバー607aのこの域での存在
を確認して駆動モータ602の回転方向切り換え等を行
うためのホームポジション検知手段である。
【0119】支持部材613は、上述のインクジェット
ヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面(吐出口
面)を覆うキャップ部材614を支持するものである。
また、インク吸引手段615は、キャップ部材614の
内部にインクジェットヘッドカートリッジ601から空
吐出等されて溜まったインクを吸引するものである。
【0120】このインク吸引手段615によりキャップ
内開口部(不図示)を介してインクジェットヘッドカー
トリッジ601の吸引回復が行われる。インクジェット
ヘッドカートリッジ601の吐出口面を払拭するための
クリーニングブレード617は、移動部材618により
前後方向(上記キャリッジ607の移動方向に直交する
方向)に移動可能に設けられている。これらクリーニン
グブレード617および移動部材618は、本体支持体
619に支持されている。クリーニングブレード617
は、この形態に限らず、他の周知のクリーニングブレー
ドであってもよい。
【0121】液体吐出ヘッドの吸引回復操作にあたっ
て、吸引を開始させるためのレバー620は、キャリッ
ジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、
駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の
公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッ
ドカートリッジ601の液体吐出ヘッドに設けられた発
熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を
司ったりするインクジェット記録制御部は装置本体側に
設けられており、ここには図示しない。
【0122】上述の構成を有するインクジェット記録装
置600は、図示しない被記録材搬送手段によりプラテ
ンローラ609上を搬送される被記録材Pに対し、イン
クジェットヘッドカートリッジ601は被記録材Pの全
幅にわたって往復移動しながら記録を行う。
【0123】なお、本発明に使用するインクジェット記
録装置はこれに限らず、その他のインクジェット記録装
置でも同様に利用できる。
【0124】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて、本発明を
さらに具体的に説明する。なお、以下の記載で部、およ
び%とあるものは、特に断りのない限り重量基準であ
る。
【0125】<自己分散型カーボンブラック分散体1の
作成>30gの水にH3N+C6H4 +(CH3)3Cl-・I-が3.08g溶けた
溶液中に、硝酸銀1.69gを攪拌しながら加える。発生し
た沈殿物をろ過により除去し、ろ液を、水70gに比表面
積が230m2/gでDBPAが70ml/100gのカーボンブラック10g
が分散している懸濁液に攪拌しながら加える。次に、2.
25gの濃硝酸を加え、それから水10gに0.83gの亜硝酸ナ
トリウムが溶けた溶液を加える。すると、下記に示す構
造を有するNN+C6H 4N+(CH3)3基を有するジアゾニウム塩
がカーボンブラックと反応して、窒素ガスが発生する。
窒素ガスの泡が止まったら、その分散液を120℃のオー
ブンで乾燥する。この結果、カーボンブラックの表面に
C6H4N+(CH3)3基が付いた生成物が得られた。
【0126】この得られたカーボンブラック粉末を水に
再分散させ、顔料濃度15%の自己分散型カーボンブラッ
ク分散体を得た。
【0127】
【化3】 得られたカーボンブラックのカウンターイオンをイオン
交換樹脂で酢酸の共役塩基に変換し、カーボンブラック
分散体1を得た。
【0128】<自己分散型カーボンブラック分散体2の
作成>上で得られたカーボンブラックのカウンターイオ
ンをイオン交換樹脂で安息香酸の共役塩基に変換し、カ
ーボンブラック分散体2を得た。
【0129】<自己分散型カーボンブラック分散体3の
作成>2.12gの4-アセトアミノフェナシルクロライド、
0.83gのピリジン、6.4gのジメチルスルホキシドの溶液
を一晩攪拌する。追加の0.8gのピリジン、1gのジメチル
スルホキシドを添加した後、溶液をさらに5時間攪拌し
た。50mlのエーテルを加え、アセトアミドフェナシルピ
リジニウムクロライドをろ過により採取した。得られた
アセトアミドフェナシルピリジニウムクロライドを水に
溶かし、その溶液をろ過した後、1.7gの濃硝酸を加え
た。この溶液を1時間煮沸した後、冷ましてアセトンを
加え、4-アミノフェナシルピリジニウムクロライドヒド
ロクロライドをろ過によって得た。得られた4-アミノフ
ェナシルピリジニウムクロライドヒドロクロライド2gを
15gの水に溶かし、4.5gの塩基性イオン交換樹脂(Amberl
ite IRA400-OH)を加える。攪拌後ろ過して、イオン交換
樹脂を除去して4-アミノフェナシルピリジニウムクロラ
イドの水溶液を得た。25gの水に1.3gの4-アミノフェナ
シルピリジニウムクロライドが含有されている水溶液
を、1gの硝酸銀で90分間還流する。発生した沈殿物をろ
過して除去した。比表面積が200m2/g、DBPAが122ml/100
gのカーボンブラック5gを加え、混合物を約80℃に熱し
た。0.52gの濃塩酸を加え、それから、少量の水に亜硝
酸ナトリウムが溶解されている溶液を加えて、分散液を
さらに1.5時間攪拌した。その結果、下記に示す構造を
有するNN+C6H4COCH2(N+C5H5)基を有するジアゾニウム塩
ができ、カーボンブラックと反応する。この結果、カー
ボンブラックの表面にC6H4COCH2(N+C5H5)基の付いた生
成物が得られた。この得られたカーボンブラック粉末を
水に再分散させ、顔料濃度15%の自己分散型カーボンブ
ラック分散体を得た。
【0130】
【化4】 得られたカーボンブラックのカウンターイオンをイオン
交換樹脂で酢酸の共役塩基に変換しカーボンブラック分
散体3を得た。
【0131】実施例 上記カーボンブラック分散体1〜3を各々用いて、下記
に示す成分を混合し、充分攪拌して溶解した後、ポアサ
イズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)に
て加圧濾過し、Bkインク1〜3を得た。 グリセリン 5部 ジエチレングリコール 5部 トリエチレングリコール 7部 上記カーボンブラック分散体1、2または3 5部(固形分) アセチレノールEH (川研ファインケミカル社製) 0.2部 水 残 部 (合計100部)
【0132】こうして得られたBkインク1〜3に対し
て、下記のように酸性化合物を添加して合計100部にな
るように調整し、実施例1〜5のBkインクを調製し
た。実施例1 Bkインク1に酢酸を0.168部添加し、合計100部
とした。実施例2 Bkインク1に硫酸を0.025部添加し、合計100部
とした。実施例3 Bkインク2にグリコール酸を0.1部添加し、合計
100部とした。実施例4 Bkインク3にグリコール酸を0.1部添加し、合計
100部とした。実施例5 Bkインク3に酢酸を0.264部添加し、合計100部
とした。
【0133】比較例としては、酸性化合物を添加してい
ないBkインク1〜3を用いた。比較例1 Bkインク1比較例2 Bkインク2比較例3 Bkインク3
【0134】表1に実施例1〜5および比較例1〜3のB
kインクにおける、カーボンブラックのカウンターイオ
ンの酸とそのpKa、添加した酸性化合物とその解離定数
が1未満の解離段のpKa、インク中の濃度、インクのpHを
示す。
【0135】
【表1】
【0136】評価 実施例1〜5、比較例1〜3のインクをBJF800(キヤノン製)
にて評価した。評価方法としては、連続吐出をさせた後
に一定時間休止させた後、再び吐出させた。評価は安定
した吐出が得られる、最大の休止時間の長さを測定し、
以下の基準で評価した。そしてここでは、評価B以上を
もって、本発明の目的を達成することのできるインクで
あると判断した。なお、安定した吐出とは、着弾したド
ットの乱れがなく、ドットの大きさも均一であることと
した。 A:10秒以上休止しても安定に吐出 (最大休止時間が1
0秒以上)。 B:7〜9秒間休止しても安定に吐出 (最大休止時間が7
〜9秒)。 C:4〜6秒間休止しても安定に吐出 (最大休止時間が4
〜6秒)。 D:3秒以下の休止時間でしか安定に吐出しなかった
(最大休止時間が3秒以下)結果 評価結果を表2に示す。
【0137】
【表2】 なお、文字品位、画像濃度についてもそれぞれ評価を行
ったが、実施例のインクは比較例のインクと比べて遜色
ない結果を得た。
【0138】また、上記各実施例のブラックインクとア
ニオン染料を含んでいるカラーインクとのブリードにつ
いて、カラーとブラックの画像領域が隣接する画像パタ
ーンを印字し、その境界部のブリードを目視で評価し
た。その結果、境界部のにじみはほとんど認められず、
ブリード抑制効果は良好であった。
【0139】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、カ
チオン性自己分散型カーボンブラックの特徴、例えばイ
ンクジェット記録装置において、画像が高い文字品位、
画像濃度を有し、さらにアニオン性のカラーインクとの
間でのブリードが少ないという特徴を維持したまま、印
字の一時休止後の吐出安定性にも優れた水性インクを提
供することができる。
【0140】また、このインクを用いることによって、
高品位なプリント物を安定して得ることのできるインク
ジェット記録方法を提供することができる。
【0141】また、高品位なプリント物を安定して形成
することのできるインクジェット記録装置、記録ユニッ
トおよびインクカートリッジを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの一実施態様
を示す縦断面図である。
【図2】図1のA−B線断面図である。
【図3】マルチヘッドの概略説明図である。
【図4】インクジェット記録装置の一実施態様を示す概
略斜視図である。
【図5】インクカートリッジの一実施態様を示す縦断面
図である。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】インクジェット記録装置のヘッドの他の実施態
様を示す概略断面図である。
【図8】液体吐出ヘッドを搭載しているインクジェット
プリンタの一態様の要部を示す概略斜視図である。
【図9】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカート
リッジの一例を示す概略斜視図である。
【図10】図9に示したインクジェットカートリッジに
用いられている液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的に
示す概略斜視図である。
【図11】図10に示した液体液体吐出ヘッドの一例の
一部を抽出した概念図である。
【図12】図11に示した吐出口の部分の拡大図であ
る。
【図13】図12に示した吐出口の部分のインク付着状
態を示す模式図である。
【図14】図11における主要部の模式図である。
【図15】図14中のX−X矢視断面形状に対応し、図
15〜図22と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経
時的に説明するための概略断面図である。
【図16】図14中のX−X矢視断面形状に対応し、図
15および図17〜図22と共に液体吐出ヘッドの液体
吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図17】図14中のX−X矢視断面形状に対応し、図
15,図16および図18〜図22と共に液体吐出ヘッ
ドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図
である。
【図18】図14中のX−X矢視断面形状に対応し、図
15〜図17および図19〜図22と共に液体吐出ヘッ
ドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図
である。
【図19】図14中のX−X矢視断面形状に対応し、図
15〜図18および図20〜図22と共に液体吐出ヘッ
ドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図
である。
【図20】図14中のX−X矢視断面形状に対応し、図
15〜図19,図21および図22と共に液体吐出ヘッ
ドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図
である。
【図21】図14中のX−X矢視断面形状に対応し、図
15〜図20および図22と共に液体吐出ヘッドの液体
吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図22】図14中のX−X矢視断面形状に対応し、図
15〜図21と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経
時的に説明するための概略断面図である。
【図23】本発明が適用し得るインクジェット記録装置
の構成を示す図である。
【符号の説明】
13 ヘッド 14 インク溝 15 発熱素子基板 16 保護層 17−1、17−2 電極 18 発熱抵抗体層 19 蓄熱層 20 基板 21 インク 22 吐出オリフィス(微細孔) 23 メニスカス 24 インク小滴 25 被記録材 26 マルチノズル 27 ガラス板 28 発熱ヘッド 40 インク袋 42 栓 44 インク吸収体 45 インクカートリッジ 51 給紙部 52 紙送りローラー 53 排紙ローラー 61 ブレード 62 キャップ 63 インク吸収体 64 吐出回復部 65 記録ヘッド 66 キャリッジ 67 ガイド軸 68 モーター 69 ベルト 70 記録ユニット 71 ヘッド部 72 大気連通口 80 インク流路 81 オリフィスプレート 82 振動板 83 圧電素子 84 基板 85 吐出口 600 インクジェット記録装置 601 インクジェットヘッドカートリッジ 602 駆動モータ 603、604 駆動力伝達ギア 605 リードスクリュ 606 螺旋溝 607 キャリッジ 607a レバー 608 ガイド 609 プラテンローラ 610 紙押え板 611、612 フォトカプラ 613 支持部材 614 キャップ部材 615 インク吸引手段 616 キャップ内開口部 617 クリーニングブレード 618 移動部材 619 本体支持体 620 (吸引開始)レバー 621 カム 832 吐出口 832a 起部 832b 伏部 931 電気熱変換素子(ヒータ,インク吐出エネル
ギ発生素子) 933 インク供給口(開口部) 934 基板 935 オリフィスプレート(吐出口プレート) 935a 吐出口面 936 インク流路壁 936a 隔壁 940 吐出口部 1337 発泡室 1338 液流路 1141 溝 1141a 頂部 100 インクジェット記録ヘッド 101 気泡 102 メニスカス 1001 液体タンク 1006 移動駆動部 1008 ケーシング 1010 記録部 1010a キャリッジ部材 1012 カートリッジ 1012Y,M,C,B インクジェットカートリッ
ジ 1016 ベルト 1018 モータ 1020 駆動部 1022a,1022b ローラユニット 1024a,1024b ローラユニット 1026 回復ユニット 1026a,1026b プーリ 1028 用紙 1030 搬送装置 C 濡れインク FM メニスカス後退方向 FC メニスカス後退方向と反対方向 G 重心 I インク Ia 主液滴(液体,インク) Ib,Ic 液体(インク) Id 溝部に付着したインク(溝内のインク) Ie 液流路内に残存しているインク L 液室(インク供給口)から吐出口に向かう線 N1 発泡室の幅寸法 N2 発泡室の長さ寸法 O 吐出口の中心 P 用紙の搬送方向 R ベルトの回転方向 S 用紙の搬送方向と略直交する方向 w 隔壁の幅寸法
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邉 智成 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA04 FA03 FC01 2H086 BA02 BA52 BA53 BA55 BA56 BA60 4J037 AA02 CB16 CB19 FF30 4J039 BA04 BE12 CA03 CA06 EA21 EA42 EA46 EA47 GA24

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つのカチオン性基が直接も
    しくは他の原子団を介して顔料表面に結合しているカチ
    オン性自己分散型顔料、水溶性有機溶剤、および水を含
    有している水性インクであって、 水に溶解した際に解離し得るプロトンをその構造内に有
    し、そのうち少なくとも1つのプロトンの解離定数が1
    未満である解離段を持つ酸性化合物を含有する水性イン
    ク。
  2. 【請求項2】 少なくとも1つのカチオン性基が直接も
    しくは他の原子団を介してカーボンブラック表面に結合
    しているカチオン性自己分散型カーボンブラック、水溶
    性有機溶剤、および水を含有している水性インクであっ
    て、 水に溶解した際に解離しうるプロトンをその構造内に有
    し、そのうち少なくとも1つのプロトンの解離定数が1
    未満である解離段をもつ酸性化合物を含有する水性イン
    ク。
  3. 【請求項3】 前記自己分散型カーボンブラックの表面
    に結合されているカチオン性基と対となる陰イオンが、
    弱酸の共役塩基である請求項2に記載の水性インク。
  4. 【請求項4】 前記他の原子団が、炭素数1〜12の直
    鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、置換もしくは未置
    換のフェニレン基、または置換もしくは未置換のナフチ
    レン基である請求項2または3に記載の水性インク。
  5. 【請求項5】 前記カチオン性基が、下記式で示す基か
    ら選ばれる少なくとも1つである請求項2〜4のいずれ
    かに記載の水性インク。 【化1】 (上記式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、置換も
    しくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のナフ
    チル基を表わす)。
  6. 【請求項6】 前記酸性化合物におけるプロトンの解離
    定数が1未満の解離段のpKaと、前記自己分散型カーボン
    ブラックの表面に結合されているカチオン性基と対とな
    る陰イオンの共役酸のpKaとの差が5以内である請求項2
    〜5のいずれかに記載の水性インク。
  7. 【請求項7】 インクのpHが6以下である請求項2〜6
    のいずれかに記載の水性インク。
  8. 【請求項8】 前記酸性化合物のインク中の濃度が0.1m
    ol/l以下である請求項2〜7のいずれかに記載の水性イ
    ンク。
  9. 【請求項9】 前記酸性化合物のインク中の濃度が0.05
    mol/l以下である請求項8記載の水性インク。
  10. 【請求項10】 インクジェット記録に用いられるもの
    である請求項2〜9のいずれかに記載の水性インク。
  11. 【請求項11】 インクを記録信号に応じてオリフィス
    から吐出させて被記録材に記録を行う工程を有するイン
    クジェット記録方法であって、 前記インクが請求項10に記載の水性インクであるイン
    クジェット記録方法。
  12. 【請求項12】 インクに熱エネルギーを作用させてイ
    ンクを吐出させる請求項11に記載のインクジェット記
    録方法。
  13. 【請求項13】 インクを収容しているインク収容部お
    よびこのインクをインク滴として吐出させるためのヘッ
    ド部を備えた記録ユニットであって、 前記インクが請求項10に記載の水性インクである記録
    ユニット。
  14. 【請求項14】 前記ヘッド部が、インクに熱エネルギ
    ーを作用させてインクを吐出させるヘッドを含む請求項
    13に記載の記録ユニット。
  15. 【請求項15】 インクを収容しているインク収容部を
    具備しているインクカートリッジであって、 前記インクが請求項2〜10のいずれかに記載の水性イ
    ンクであるインクカートリッジ。
  16. 【請求項16】 インクを収容しているインク収容部と
    このインクを吐出させるためのヘッド部とを有している
    記録ユニットを具備しているインクジェット記録装置で
    あって、 前記インクが請求項10に記載の水性インクであるイン
    クジェット記録装置。
  17. 【請求項17】 前記ヘッド部が、インクに熱エネルギ
    ーを作用させてインクを吐出させるヘッドを含む請求項
    16に記載のインクジェット記録装置。
  18. 【請求項18】 インクを吐出するための記録ヘッド、
    インクを収容しているインク収容部を有するインクカー
    トリッジおよびこのインクカートリッジから記録ヘッド
    にインクを供給するためのインク供給部を具備している
    インクジェット記録装置であって、 前記インクが請求項10に記載の水性インクであるイン
    クジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 前記記録ヘッドが、インクに熱エネル
    ギーを作用させてインクを吐出させるヘッドである請求
    項18に記載のインクジェット記録装置。
  20. 【請求項20】 第1の水性インクと第2の水性インク
    とを具備しているインクセットであって、 該第1の水性インクは、少なくとも1つのカチオン性基
    が直接もしくは他の原子団を介してカーボンブラック表
    面に結合しているカチオン性自己分散型カーボンブラッ
    ク、水溶性有機溶剤、および水を含有し、さらに水に溶
    解した際に解離しうるプロトンをその構造内に有すると
    ともに、そのうち少なくとも1つのプロトンの解離定数
    が1未満である解離段をもつ酸性化合物を含有すること
    を特徴とするインクセット。
  21. 【請求項21】 該第2のインクが、色材としてアニオ
    ン性の色材を含んでいる請求項20に記載のインクセッ
    ト。
  22. 【請求項22】 該アニオン性の色材が、アニオン性の
    自己分散型顔料および該顔料のアニオン性分散剤である
    請求項21に記載のインクセット。
  23. 【請求項23】該アニオン性の色材が、アニオン性染料
    である請求項21に記載のインクセット。
  24. 【請求項24】該第1および第2の水性インクが、イン
    クジェット用である請求項20または21に記載のイン
    クセット。
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