JP5241057B2 - L2c信号追尾装置およびこれを用いたgps受信機 - Google Patents

L2c信号追尾装置およびこれを用いたgps受信機 Download PDF

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Description

この発明は、異なる擬似雑音符号であるCMコードとCLコードとを時分割多重してなるL2C信号の捕捉、追尾を行うL2C信号追尾装置、およびこれを用いて測位を行うGPS受信機に関するものである。
現在、GPS信号は、一般に公開された(民生用の)C/Aコードを用いたL1周波数信号と、一般には公開されていない(軍事用の)P(Y)コードを用いたL2周波数信号とからなる。そして、GPS受信機はこれらL1周波数信号とL2周波数信号とを用いて、測位を行っている。
しかしながら、GPS現代化計画により、L2周波数信号に、新たに民生用の2つのコードである、CMコードとCLコードとを用いたL2C信号を利用する計画がある。
これらCMコードとCLコードとは異なる擬似雑音符号であり、CMコードには航法メッセージ等のデータが載せられており、CLコードにはデータが載せられていない。
図20は、L2C信号のコード構成を示す概念図である。
図20に示すように、L2C信号は、CMコードとCLコードとをチップバイチップで多重化する構造であり、CMコードとCLコードとが時系列で交互に現れる構造となっている。すなわち、L2C信号は時分割多重コード信号である。
このように、L2C信号は従来のGPS信号とは構造が異なり、その構造および特徴は非特許文献1に示されている。
L2C信号は、CMコードとCLコードとを時分割多重化してなるため、CMコード、CLコードのそれぞれがL2C信号の総電力の半分を占める。このため、CMコードまたはCLコードを単独に追尾する場合、従来のC/Aコードのような単一コードで信号の総電力の全体を示す場合よりも、信号追尾性能が3dB劣る可能性を有する。一方で、CLコードにはデータが載せられていないので、シンプルなPLLを用いることにより、実質的にL2C信号のキャリア位相は追尾することができる。ここで、シンプルなPLLは、従来のデータが載せられたC/Aコードの追尾に通常利用されるコスタスループと比較して追尾性能が6dB改善される。したがって、CLコードがL2C信号の総電力の半分であっても、従来よりも追尾性能を3dB改善することができる。
そして、このような構造のL2C信号を追尾する場合、概ね次に示す方法で行う。
まず、シンプルなPLLでCLコード信号を用いて、キャリア位相の測定(キャリア追尾)を行う。次に、CLコード信号を用いて前記キャリア追尾でキャリア位相をロックしながら、CMコード信号を捕捉追尾してコヒーレントにメッセージ(データ)を復調する。次に、コード追尾の追尾ループバンド幅を狭めて、コード追尾ループの動的な応答特性を維持しながら、追尾性能を向上させる。このように、L2C信号の追尾にはCLコードとCMコードとを分けて用いる。
LCDRRichard D. Fontana, Wai Cheung, Paul M. Novak, Thomas A. Stansell, Jr. 著, 「The New L2 CivilSignal」,ION GPS2001,The Institute of Navigation, Sept.11 2001
しかしながら、シンプルなPLLが、コスタスループよりも追尾性能を6dB改善させることができるのは、C/N(Carrier-to-Noise Ratio:信号総電力対雑音平均電力密度の比)が弱い場合であり、C/Nが強くなるにつれて、シンプルなPLLとコスタスループとの間で追尾性能に殆ど差はない。このため、C/Nが強ければ、前述の単にCLコードとCMコードとを分けてL2C信号を追尾する方式では、従来と比較して追尾性能が3dB劣ってしまう。そして、このように追尾性能が低下すると、キャリア位相の測定精度も低下して、相対測位の精度にも悪影響を及ぼす。さらに、キャリア位相の測定精度が低下することで、整数バイアスの初期決定時間も長くなり、相対測位の初期化時間が長くなってしまう。
したがって、本発明の目的は、L2C信号の受信状態に関わらず、L2C信号を確実に追尾するL2C信号追尾装置およびこれを用いたGPS受信機を構成することにある。
この発明は、CMコードおよびCLコードの2つの異なる擬似雑音符号を用いて位相変調され、これらが時分割多重化されてなるL2C信号の追尾を行うL2C信号追尾装置において、L2C信号の信号レベルを推定する信号レベル推定部と、推定した信号レベルとノイズレベルに応じて重み付けを行ったCMコードとL2C信号の同相成分の相関信号と、CMコードとL2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果とCLコードの相関信号とを加算した結果に基づいて、キャリア位相を追尾するキャリア追尾処理部と、備えたことを特徴としている。
この構成では次に示す原理によりキャリア位相が追尾される。
GPS受信機で受信したL2C信号をr(t)とすると、L2C信号r(t)は次式(式(1a)、式(1b))で表される。
Figure 0005241057
ここで、Aは受信したL2C信号の振幅、w(t)はホワイト・ガウシアン・ノイズ、D(t)はメッセージデータ、C(t)はL2C信号の前半チップ分のCMコード、C(t)はL2C信号の後半チップ分のCLコード、ωはドップラ周波数を含むL2信号のキャリア周波数に対応する角速度(角周波数)、τは信号の伝搬遅延、θはキャリア位相である。
次に、CMコードに対応するC(t)とCLコードに対応するC(t)とを図21に示す波形とする。
図21は、CLコードとC(t)との関係、およびCMコードとC(t)との関係を示す波形図である。
図21に示すように、CLコードに対応するC(t)はL2C信号の前半チップ分が必ず「0」となる。そして、CLコードが「0」の場合にはC(t)のL2C信号の後半チップ分が「−1」となり、CLコードが「1」の場合にはC(t)のL2C信号の後半チップ分が「+1」となる。
また、CMコードに対応するC(t)はL2C信号の後半チップ分が必ず「0」となる。そして、CMコードが「0」の場合にはC(t)のL2C信号の前半チップ分が「−1」となり、CMコードが「1」の場合にはC(t)のL2C信号の前半チップ分が「+1」となる。なお、図では、CMコードにメッセージデータが載せられていない状態を示したが、メッセージデータが載せられれば、これに応じてCMコードの0,1が反転するので、C(t)も−1,+1が反転した波形となる。
式(1a)における伝搬遅延τの推定値をτとし、角周波数ωの推定値をωとし、さらに、メッセージデータD(t)の時間平均が「0」であり、瞬時値が「+1」、「−1」のいずれかのランダム値であるとする。
キャリア位相θを未知のパラメータとして最尤法(Likelifood関数)を用いると、式(1a)、式(1b)より、式(2)が導かれる。
Figure 0005241057
ここで、Nはノイズw(t)の平均電力密度であり、事前に他の方法で測定可能である。
したがって、次に示す式(3)を演算することで、キャリア位相θのLikelifood方程式である式(4)が導かれる。
Figure 0005241057
Figure 0005241057
このLikelifood方程式を解くことで、キャリア位相θが最尤法により推定演算される。
また、この発明は、CMコードおよびCLコードの2つの異なる擬似雑音符号を用いて位相変調され、これらが時分割多重化されてなるL2C信号の追尾を行うL2C信号追尾装置において、L2C信号の信号レベルを推定する信号レベル推定部と、推定した信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行ったCMコードとL2C信号の同相成分の相関信号と、CMコードとL2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果とCLコードの相関信号とを加算した結果に基づいて、コード位相を追尾するコード追尾処理部を備えたことを特徴としている。
この構成では、次に示す原理によりコード位相が追尾される。
式(1a)におけるキャリア位相θの推定値をθとし、角周波数ωの推定値をωとし、さらに、メッセージデータD(t)の時間平均が「0」であり、瞬時値が「+1」、「−1」のいずれかのランダム値であるとする。
コード位相すなわち伝搬遅延τを未知のパラメータとして最尤法(Likelifood関数)を用いると、式(1a)、式(1b)より、式(5)が導かれる。
Figure 0005241057
したがって、次に示す式(6)を演算することで、コード位相τのLikelifood方程式である式(7)が導かれる。
Figure 0005241057
Figure 0005241057
ここで、C’L(t−τ)、およびC’M(t−τ)は、
Figure 0005241057
であり、この微分式を差分式で近似すると、式(9a)、式(9b)が得られる。なお、本発明では、微分により表される式および演算をハードウェアまたはソフトウェアで実現するため、微分を差分に置き換えて処理を行う。
Figure 0005241057
ここで、C(t−τ+d/2)は、C(t−τ)よりd/2チップ分進んだCLコードの波形C(t)であり、C(t−τ−d/2)は、C(t−τ)よりd/2チップ分遅れたCLコードの波形C(t)である。また、C(t−τ+d/2)は、C(t−τ)よりd/2チップ分進んだCLコードの波形C(t)であり、C(t−τ−d/2)は、C(t−τ)よりd/2チップ分遅れたCLコードの波形C(t)である。
この、式(9a)、(9b)を式(7)に適用し、Likelifood方程式を解くことで、コード位相τが最尤法により推定演算される。
また、この発明のL2C信号追尾装置は、推定した信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った前記CMコードとL2C信号同相成分の相関信号と、CMコードとL2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果とCLコードの相関信号とを加算した結果に基づいて、コード位相を追尾する統合追尾処理部を備えたことを特徴としている。
この構成では、前述の最尤法によるキャリア位相の追尾を行いながら、同じく最尤法を用いてコード位相の追尾が行われる。
また、この発明のL2C信号追尾装置のキャリア追尾処理部は、キャリア位相誤差に基づきキャリア位相を生成するキャリアNCOと、キャリア位相を用いて得られるベースバンドのL2C信号をそれぞれ同相成分と直交成分とに分けてCMコードと相関処理するとともにベースバンドのL2C信号の直交成分にCLコードを相関処理し、CMコードとL2C信号の同相成分の相関信号に信号レベルおよびノイズレベルに応じた重み付けを行った上で、CMコードとL2C信号の同相成分の相関信号と、CMコードとL2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果とCLコードとL2C信号の直交成分の相関信号を加算することで、L2C信号のキャリア位相誤差の演算を行うキャリア位相誤差演算手段と、該キャリア位相誤差演算手段からのキャリア位相誤差をフィルタリングして前記キャリアNCOに出力するキャリアループフィルタと、を備え、キャリアNCOと、キャリア位相誤差演算手段と、キャリアループフィルタとで前記L2C信号のキャリア位相推定演算ループを形成したことを特徴としている。
この構成では、キャリア位相誤差演算手段を含むキャリア位相推定演算ループにより、式(4)に示すLikelifood方程式が実現されて、キャリア位相が追尾される。
また、この発明のL2C信号追尾装置は、CMコードの遅延とCLコードの遅延とを生成する遅延手段を備え、L2C信号をそれぞれ同相成分と直交成分とに分けて、CMコード、CMコードの遅延と相関処理するとともに、L2C信号の直交成分にCLコード、およびCLコードの遅延を相関処理し、CMコードとL2C信号の同相成分の相関信号と、CMコードとL2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果にCLコードとL2C信号の直交成分の相関信号およびのCLコードの遅延とL2C信号の直交成分の相関信号を加算することで、L2C信号のキャリア位相誤差を演算し、キャリアNCOと、キャリア位相誤差演算手段と、キャリアループフィルタとでL2C信号のキャリア周波数推定演算ループを形成したことを特徴としている。
この構成では、前述のキャリア位相誤差演算手段に、さらに、CMコードの遅延とCLコードの遅延とを用いてキャリア位相誤差を演算する手段を備えることで、キャリア周波数推定演算が実現される。そして、このキャリア周波数推定演算を備えるキャリア周波数推定演算ループを用いることにより、キャリア周波数が捕捉・追尾される。
また、この発明のL2C信号追尾装置は、コードクロックイネーブル信号を生成するコードNCO、該コードNCOの出力に基づくCMコードおよび微分CMコードとコードNCOの出力に基づくCLコードおよび微分CLコードを生成するコード生成手段と、ベースバンドのL2C信号をそれぞれ同相成分と直交成分とに分けて、CMコード、微分CMコード相関処理するとともに、ベースバンドのL2C信号の直交成分にCLコードおよび微分CLコードを相関処理し、CMコードとL2C信号の同相成分の相関信号と、CMコードとL2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、微分CMコードとL2C信号の同相成分の相関信号と、微分CMコードとL2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、各乗算結果とCLコードとL2C信号の直交成分の相関信号および微分CLコードとL2C信号の直交成分の相関信号を加算することで、L2C信号のコード位相誤差を演算するコード位相誤差演算手段と、該コード位相誤差演算手段から出力されるコード位相誤差をフィルタリングして、コード生成手段に出力するコードループフィルタと、を備え、コード生成手段と、コード位相誤差演算手段と、コードループフィルタとでL2C信号のコード位相推定演算ループを形成したことを特徴としている。
この構成では、コード位相誤差演算手段を含むコード位相推定演算ループにより、式(7)に示すLikelifood方程式が実現されて、コード位相が追尾される。
また、この発明のL2C信号追尾装置のキャリア位相誤差演算手段は、
中間周波数のL2C信号からキャリア位相を用いて、ベースバンドのL2C信号の同相成分および直交成分を生成するベースバンド信号生成手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分とCMコードとの相関処理を行うCMコード同相相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の直交成分とCMコードとの相関処理を行うCMコード直交相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の直交成分とCLコードとの相関処理を行うCLコード直交相関処理手段と、
CMコード同相相関処理手段から出力されるCMコード同相相関信号に、信号レベルに比例した重みとノイズレベルに反比例した重みとを乗算し、該乗算されたCMコード同相相関信号の双曲正接関数信号を出力する第1CMコード同相相関信号変換手段と、
該第1CMコード同相相関信号変換手段からの出力信号と、CMコード直交相関処理手段からの出力信号とを乗算し、この乗算信号とCLコード直交相関処理手段からの出力信号とを加算することでキャリア位相誤差を生成してキャリアループフィルタに出力する乗加算手段と、を備え、
ャリア位相追尾ループ処理を行うことを特徴としている。
この構成では、フェーズローテータにより、式(4)のcos成分(同相成分)およびsin成分(直交成分)が実現される。次に、CMコード同相相関処理手段により、式(4)の左辺第2項前半部の積分演算が実現され、第1CMコード同相相関信号変換手段により、式(4)の左辺第2項前半部の重み付け(2A/N)演算、すなわち、信号の振幅と雑音比とによる重み付け演算、および双曲正接関数演算(tanh演算)が実現される。また、CMコード直交相関処理手段により、式(4)の左辺第2項後半部の積分演算が実現される。また、CLコード直交相関処理手段により、式(4)の左辺第1項の積分演算が実現される。そして、乗加算手段により、式(4)の左辺第2項前半部と左辺第2項の後半部との乗算が実現され、この乗算結果と左辺第1項との加算が実現される。そして、これらがループ処理されることで、全体として式(4)が実現される。
また、この発明のL2C信号追尾装置のキャリア位相誤差演算手段は、
中間周波数のL2C信号からキャリア位相を用いて、ベースバンドのL2C信号の同相成分および直交成分を生成するベースバンド信号生成手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分とCMコードとの相関処理を行うCMコード同相相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の直交成分とCMコードとの相関処理を行うCMコード直交相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の直交成分と前記CLコードとの相関処理を行うCLコード直交相関処理手段と、
CMコード同相相関処理手段から出力される信号レベルとノイズレベルに応じて決定されたCMコード同相相関信号のシグモイド関数信号を出力する第2CMコード同相相関信号変換手段と、
該第2CMコード同相相関信号変換手段からの出力信号と、CMコード直交相関処理手段からの出力信号とを乗算し、この乗算信号をCLコード直交相関処理手段からの出力信号とを加算することでキャリア位相誤差を生成してキャリアループフィルタに出力する乗加算手段と、
を備えてキャリア位相追尾ループ処理を行うことを特徴としている。
この構成では、双曲正接関数(tanh関数)の引数が十分に大きい場合、すなわち、C/Nが大きい場合に、シグモイド関数(sign関数)に近似することができることを利用して、前記請求項7に記載の構成における正接双曲関数を用いる第1CMコード同相相関信号変換手段を、シグモイド関数を用いる第2CMコード同相相関信号変換手段で置き換える。この場合、シグモイド関数が「−1,+1」のみを取りうる関数であるので、振幅による重み付け等の処理が省略される。
また、この発明のL2C信号追尾装置のキャリア位相誤差演算手段は、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分とCLコードとの相関処理を行うCLコード同相相関処理手段と、
CMコード同相相関処理手段、CMコード直交相関処理手段、CLコード同相相関処理手段、および、CLコード直交相関処理手段のそれぞれから出力される信号を遅延処理する遅延手段と、
CMコード同相相関処理手段からのCMコード同相相関信号とCMコード直交相関処理手段からのCMコード直交相関信号とからなるCMコード信号対と、遅延手段からのCMコード同相相関遅延信号とCMコード直交相関遅延信号とからなるCMコード遅延信号対とを用いて内積処理を行ってCMコード内積処理信号を出力するCMコード内積処理手段と、
CMコード信号対とCMコード遅延信号対とを用いて外積処理を行ってCMコード外積処理信号を出力するCMコード外積処理手段と、
CLコード同相相関処理手段からのCLコード同相相関信号とCLコード直交相関処理手段からのCLコード直交相関信号とからなるCLコード信号対と、遅延手段からのCLコード同相相関遅延信号とCLコード直交相関遅延信号とからなるCLコード遅延信号対とを用いて外積処理を行ってCLコード外積処理信号を出力するCLコード外積処理手段と、
CMコード内積処理信号に、信号レベルに比例した重みと、ノイズレベルに反比例した重みとを乗算し、該乗算されたCMコード内積処理信号の双曲正接関数信号を出力する第1CMコード内積処理信号変換手段と、
該第1CMコード内積処理信号変換手段からの出力信号と、CMコード外積処理信号とを乗算し、この乗算信号とCLコード外積信号とを加算することでキャリア位相誤差を生成してキャリアループフィルタに出力する乗加算手段と、を備え、
ャリア周波数追尾ループ処理を行うことを特徴としている。
この構成では、前述の請求項7に記載のキャリア位相を推定演算するループのCMコード同相相関処理手段とCMコード直交相関処理手段との後段に、遅延手段、CMコード内積処理手段、CMコード外積処理手段を備える。また、CLコード同相相関処理手段と前述の請求項7に記載のキャリア位相を推定演算するループのCLコード直交相関処理手段との後段に、遅延手段、CLコード内積処理手段を備える。また、CMコード内積処理手段の後段に信号の振幅および雑音比に応じた重み付けと正接双曲関数を用いた第1CMコード内積処理信号変換手段を備え、乗加算手段で、第1CMコード内積処理信号変換手段からの出力信号と、CMコード外積処理信号とを乗算し、該乗算信号を前記CLコード外積信号に加算する。これにより、請求項7に記載のキャリア位相を推定するループとキャリア周波数を推定するループ(FLL)とが同時に実現される。
また、この発明のL2C信号追尾装置のキャリア位相誤差演算手段は、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分とCLコードとの相関処理を行うCLコード同相相関処理手段と、
CMコード同相相関処理手段、CMコード直交相関処理手段、CLコード同相相関処理手段、および、CLコード直交相関処理手段のそれぞれから出力される信号を遅延処理する遅延手段と、
CMコード同相相関処理手段からのCMコード同相相関信号とCMコード直交相関処理手段からのCMコード直交相関信号とからなるCMコード信号対と、遅延手段からのCMコード同相相関遅延信号とCMコード直交相関遅延信号とからなるCMコード遅延信号対とを用いて内積処理を行ってCMコード内積処理信号を出力するCMコード内積処理手段と、
CMコード信号対とCMコード遅延信号対とを用いて外積処理を行ってCMコード外積処理信号を出力するCMコード外積処理手段と、
CLコード同相相関処理手段からのCLコード同相相関信号とCLコード直交相関処理手段からのCLコード直交相関信号とからなるCLコード信号対と、遅延手段からのCLコード同相相関遅延信号とCLコード直交相関遅延信号とからなるCLコード遅延信号対とを用いて外積処理を行ってCLコード外積処理信号を出力するCLコード外積処理手段と、
信号レベルとノイズレベルに応じて決定されたCMコード内積処理信号のシグモイド関数信号を出力する第2CMコード内積処理信号変換手段と、
該第2CMコード内積処理信号変換手段からの出力信号と、CMコード外積処理信号とを乗算し、この乗算信号とCLコード外積信号とを加算することでキャリア位相誤差を生成してキャリアループフィルタに出力する乗加算手段と、
を備えて、キャリア周波数追尾ループ処理を行うことを特徴としている。
この構成では、双曲正接関数(tanh関数)の引数が十分に大きい場合、すなわち、C/Nが大きい場合に、シグモイド関数(sign関数)に近似することができることを利用して、前記請求項9に記載の構成における正接双曲関数を用いる第1CMコード内積処理信号変換手段を、シグモイド関数を用いる第2CMコード内積処理信号変換手段で置き換える。この場合、シグモイド関数が「−1,+1」のみを取りうる関数であるので、振幅による重み付け等の処理が省略される。
また、この発明のL2C信号追尾装置は、
CMコード、該CMコードを微分した微分CMコード、CLコード、および該CLコードを微分した微分CLコードを生成するコード生成手段と、
コード位相誤差をフィルタリングして、コード生成手段に出力するコードループフィルタと、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分と微分CMコードとの相関処理を行う微分CMコード同相相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分と微分CLコードとの相関処理を行う微分CLコード同相相関処理手段と、
第1CMコード同相相関信号変換手段からの出力信号に信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った信号と、微分CMコード同相相関処理手段からの出力信号とを乗算し、この乗算信号と微分CLコード同相相関処理手段からの出力信号とを加算して、コードループフィルタに出力する乗加算手段と、
を備えて、コード追尾ループ処理を行うことを特徴としている。
この構成では、ベースバンド信号生成手段により、式(7)のcos成分(同相成分)が実現される。また、CMコード生成手段によりCMコード、微分CMコード、微分CLコードが実現される。次に、CMコード同相相関処理手段により、式(4)の左辺第2項前半部の積分演算が実現され、第1CM同相相関信号変換手段により、式(4)の左辺第2項前半部の重み付け(2A/N)演算、すなわち、信号の振幅と雑音比とによる重み付け演算、および双曲正接関数演算(tanh演算)が実現される。また、コードループフィルタで設定される周期を利用した微分CMコード同相相関処理手段により、式(7)の左辺第2項後半部の積分演算が実現される。また、CLコード同相相関処理手段により、式(7)の左辺第1項の積分演算が実現される。そして、乗加算手段により、式(7)の左辺第2項前半部と左辺第2項の後半部との乗算が実現され、この乗算結果と左辺第1項との加算が実現される。そして、これらがループ処理されることで、全体として式(7)が実現される。
また、この発明のL2C信号追尾装置は、
CMコード、該CMコードを微分した微分CMコード、CLコード、および該CLコードを微分した微分CLコードを生成するコード生成手段と、
コード位相誤差をフィルタリングして、コード生成手段に出力するコードループフィルタと、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分と微分CMコードとの相関処理を行う微分CMコード同相相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分と微分CLコードとの相関処理を行う微分CLコード同相相関処理手段と、
第2コードCM同相相関信号変換手段からの出力信号に信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った信号と微分CMコード同相相関処理手段からの出力信号とを乗算し、この乗算信号と微分CLコード同相相関処理手段からの出力信号とを加算して、コードループフィルタに出力する乗加算手段と、
を備えて、コード追尾ループ処理を行うことを特徴としている。
この構成では、双曲正接関数(tanh関数)の引数が十分に大きい場合、すなわち、C/Nが大きい場合に、シグモイド関数(sign関数)に近似することができることを利用して、前記請求項11に記載の構成における正接双曲関数を用いる第1CMコード同相相関信号変換手段を、シグモイド関数を用いる第2CMコード同相相関信号変換手段で置き換える。この場合、シグモイド関数が「−1,+1」のみを取りうる関数であるので、振幅による重み付け等の処理が省略される。
また、この発明のL2C信号追尾装置は、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分と微分CMコードとの相関処理を行う微分CMコード同相相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の直交成分と微分CMコードとの相関処理を行う微分CMコード直交相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の同相成分と微分CLコードとの相関処理を行う微分CLコード同相相関処理手段と、
サンプリング周波数により設定される周期を基準として、ベースバンドのL2C信号の直交成分と微分CLコードとの相関処理を行う微分CLコード直交相関処理手段と、
CMコード同相相関処理手段から出力されるCMコード同相相関信号に信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った信号と微分CMコード同相相関処理手段から出力される微分CMコード同相相関信号とを乗算する乗算器と、CMコード直交相関処理手段から出力されるCMコード直交相関信号と微分CMコード直交相関処理手段から出力される微分CMコード直交相関信号とを乗算する乗算器と、CLコード同相相関処理手段から出力されるCLコード同相相関信号と微分CLコード同相相関処理手段から出力される微分CLコード同相相関信号とを乗算する乗算器と、CLコード直交相関処理手段から出力されるCLコード直交相関信号と微分CLコード直交相関処理手段から出力される微分CLコード直交相関信号とを乗算する乗算器と、これら4つの乗算器の出力を加算して、コードループフィルタに出力する乗加算手段と、
を備え、コード追尾ループ処理を行うことを特徴としている。
この構成では、CMコード同相相関信号と微分CMコード同相相関信号との乗算信号と、CMコード直交相関信号と微分CMコード直交相関信号との乗算信号と、CLコード同相相関信号と微分CLコード同相相関信号との乗算信号と、CLコード直交相関信号と微分CLコード直交相関信号との乗算信号とを加算する処理を、コードループフィルタにより設定される周期に準じて行う。このループ処理により、式(1a)、式(1b)におけるキャリア位相θを区間[−π〜+π]で一様分布するランダム変数とした場合で、且つL2C信号の振幅が小さい、すなわち、C/Nが小さい場合でのコード位相τのLinkelifood方程式が実現される。これにより、キャリア位相θを追尾していない状態(ノンコヒーレント)でのコード位相τの追尾が実現される。
この発明のGPS受信機は、測位衛星からのL2C信号を受信するアンテナと、該アンテナからのL2C信号を中間周波数に変換する高周波処理手段と、中間周波数のL2C信号に基づきコード位相およびキャリア位相を推定演算する信号処理手段と、コード位相およびキャリア位相に基づき、測位演算を行う測位演算手段と、測位演算の結果を表示するとともに操作入力を受け付ける表示操作手段とを備え、信号処理手段に、前述のL2C信号追尾装置を用いることを特徴としている。
この構成では、前述のL2C信号追尾装置を用いることで、キャリア位相、キャリア周波数、コード位相が確実に追尾されて、L2C信号による相対測位演算結果が得られる。
この発明によれば、L2C信号の追尾に最尤法を用いることにより、キャリア位相、およびコード位相を、従来よりも低損失な状態を維持しながら追尾するL2C信号追尾装置を構成することができる。
また、この発明によれば、前記L2C信号追尾装置を備えることで、従来よりも確実に相対測位を行うGPS受信機を構成することができる。
第1の実施形態に係るL2C信号追尾装置について図を参照して説明する。
図1は本実施形態のL2C信号追尾装置のキャリア位相追尾回路を示すブロック図である。
キャリア位相追尾回路は、キャリア位相誤差演算部1、キャリアNCO2、キャリアループフィルタ3、CMコード発生器10a、CLコード発生器10bを備える。キャリア位相誤差演算部1は、キャリアNCO2から入力されたキャリア位相と、CMコード発生器10aから入力されたCMコード信号と、CLコード発生器10bから入力されたCLコード信号とに基づき、キャリア位相誤差をキャリアループフィルタ3に出力する。キャリアループフィルタ3は、このキャリア位相誤差に付随する不要成分を除去してキャリアNCO2に出力する。キャリアNCO2は、このキャリア位相誤差に基づきキャリア位相を演算してキャリア位相誤差演算部1に出力する。このように、キャリア位相誤差演算部1、キャリアループフィルタ3、キャリアNCO2からなるループ回路で、キャリア位相誤差およびキャリア位相を順次演算し続けることにより、キャリア位相が追尾される。
キャリア位相誤差演算部1は、フェーズローテータ11と、3つの相関器12a〜12cと、信号変換回路13と、乗加算器14とを備える。
フェーズローテータ11は、前段の高周波処理部から中間周波数のL2C信号の同相成分(中間I信号)と直交成分(中間Q信号)とが入力されるとともに、キャリアNCO2からキャリア位相が入力される。フェーズローテータ11は、中間I信号と中間Q信号とキャリア位相とをアドレスにするLUT(Look-Out-Table)で実現され、このLUTに従い、ベースバンドの同相成分(I信号)と直交成分(Q信号)とを出力する。これにより、フェーズローテータ11は、実質的に中間周波数のL2C信号に含まれる周波数オフセットとドップラ周波数成分とを除去して、ベースバンドのL2C信号を出力する。ここで、このフェーズローテータ11が本発明の「ベースバンド信号生成手段」に相当する。
フェーズローテータ11から出力されたI信号は相関器12aに入力され、Q信号は相関器12b,12cに入力される。
相関器12aはミキサ121aと積算器122aとからなる。ミキサ121aは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCMコード発生器10aから出力された正確なタイミングのCMコード信号(図21に示すC(t))とをミキシングして、CMコード同相信号を積算器122aに出力する。積算器122aは、前記高周波処理部から中間I信号および中間Q信号とともに入力されたサンプリングクロックに基づく周期に応じて、入力されるCMコード同相信号を積算することで相関処理を行い、CMコード同相相関信号を信号変換回路13に出力する。このような相関器12aを用いることで、キャリア位相に関するLikelifood方程式(式(4))の左辺第2項前半部の積分演算部が形成される。ここで、この相関器12aが本発明の「CMコード同相相関処理手段」に相当する。
相関器12bはミキサ121bと積算器122bとからなる。ミキサ122bは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCMコード発生器10aから出力された正確なタイミングのCMコード信号(図21に示すC(t))とをミキシングして、CMコード直交信号を積算器122bに出力する。積算器122bは、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて、入力されるCMコード直交信号を積算することで相関処理を行い、CMコード直交相関信号を乗加算器14に出力する。このような相関器12bを用いることで、キャリア位相に関するLikelifood方程式(式(4))の左辺第2項後半部の積分演算部が形成される。ここで、この相関器12bが本発明の「CMコード直交相関処理手段」に相当する。
相関器12cはミキサ121cと積算器122cとからなる。ミキサ122cは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCLコード発生器10bから出力された正確なタイミングのCLコード信号(図21に示すC(t))とをミキシングして、CLコード直交信号を積算器122cに出力する。積算器122cは、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて、入力されるCLコード直交信号を積算することで相関処理を行い、CLコード直交相関信号を乗加算器14に出力する。このような相関器12cを用いることで、キャリア位相に関するLikelifood方程式(式(4))の左辺第1項の積分演算部が形成される。ここで、この相関器12cが本発明の「CLコード直交相関処理手段」に相当する。
信号変換回路13はミキサ131と双曲正接関数(tanh関数)演算器132とからなる。ミキサ131は、相関器12aから入力されたCMコード同相相関信号と、実時間で推定した相関後の信号レベル(振幅)と予め推定した相関後のノイズレベル(分散)の逆数とからなる重み付け信号(図におけるA/σ )とをミキシングして双曲正接関数演算器132に出力する。双曲正接関数演算器132は、ミキサ131から出力された信号を双曲正接関数演算処理(tanh関数処理)して双曲正接化CMコード同相相関信号を乗加算器14に出力する。このような信号変換回路13を用いることで、キャリア位相に関するLikelifood方程式(式(4))の左辺第2項前半部が形成される。ここで、この信号変換回路13が本発明の「第1CMコード同相相関信号変換手段」に相当する。
乗加算器14は、ミキサ(乗算器)141と加算器142とからなる。ミキサ141は、信号変換回路13から入力される双曲正接化CMコード同相相関信号と、相関器12bから入力されるCMコード直交相関信号とをミキシング(乗算)してCMコード相関信号を加算器142に出力する。加算器142は、ミキサ141から入力されるCMコード相関信号と、相関器12cから入力されるCLコード直交相関信号とを加算して出力する。このようなミキサ141を用いることで、キャリア位相に関するLikelifood方程式(式(4))の左辺第2項が形成され、このような乗加算器14を用いることで、キャリア位相に関するLikelifood方程式(式(4))の左辺が形成される。そして、この出力信号はCMコード相関信号とCLコード直交相関信号との加算信号であるので、実質的にL2C信号のキャリア位相誤差に相当する。
すなわち、このような構成のキャリア位相誤差演算部1を用いることにより、CMコードとCLコードとを統合してキャリア位相誤差を推定演算することができる。
そして、このキャリア位相誤差演算部1と、キャリアNCO2およびキャリアループフィルタ3とでループ回路を形成することにより、CMコードとCLコードとを統合してキャリア位相誤差を継続的に推定演算して、キャリア位相を追尾することができる。
ところで、前記双曲正接関数(tanh関数)は、引数が大きい場合に、シグモイド関数に置き換えることができる。このシグモイド関数とは符号関数であり、「−1」または「+1」の値のみをとる。
ここで、C/Nが強いL2C信号の場合、前記引数が大きいと見なすことができる。したがって、前述の双曲正接関数をシグモイド関数に置き換えることが可能となる。
図2は本実施形態のL2C信号追尾装置のキャリア位相追尾回路の他の構成を示すブロック図である。具体的には、信号変換器13がシグモイド関数演算器150からなる信号変換回路15に置き換わったものであり、他の構成は図1に示したキャリア位相追尾回路と同じである。ここで、信号変換回路15が本発明の「第2CMコード同相相関信号変換手段」に相当する。
このような構成としても、L2C信号をC/Nの強い状態で受信できれば、キャリア位相を追尾することができる。
図3は、本実施形態のキャリア位相追尾回路の追尾ループ性能を示すグラフであり、横軸をC/Nとし、縦軸を信号対雑音比SNR(Signal to Noise Ratio)の損失としたものである。また、図3において、CTMC最適で表される特性曲線は本実施形態の図1に示すキャリア位相追尾回路を用いた場合を表し、Decision-Directedで表される特性曲線は本実施形態の図2に示すキャリア位相追尾回路を用いた場合を表す。また、図3において、Costas-Simple PLLで表される特性曲線は従来のコスタスループと従来のシンプルPLLとの単純な結合ループを用いた場合を表し、ATAN2で表される特性曲線は従来の逆正接関数(arctan関数)を用いてCMコード、CLコードにおけるキャリア位相誤差を推定演算する方法を利用し、これらの演算結果を総合的なキャリア位相誤差とするキャリア位相追尾回路を用いた場合を表す。なお、CTMCとはConcurrent Tracking for Multiplexed Codeの略である。
図4は、本実施形態に示す図1のキャリア位相追尾回路の追尾ループ性能を従来のキャリア追尾回路と比較した結果を示す図であり、図3と同様に、横軸をC/Nとし、縦軸を信号対雑音比SNR(Signal to Noise Ratio)の損失としたものである。また、図4において、CTMC最適で表される特性曲線は本実施形態の図1に示すキャリア位相追尾回路を用いた場合を表し、L2CL Simple PLLで表される特性曲線は、L2C信号のCLコード信号をシンプルPLLで追尾した場合を表し、L2C/A Costasで表される特性曲線は、擬似的にL2C信号に現状のC/Aコードを用い、コスタスループで追尾した場合を表す。
図3に示すように、本実施形態の図1に示すキャリア位相追尾回路を用いることで、C/Nが強い場合にSNR損失を殆ど無くして、C/Nが弱い場合にSNR損失を約3dB(従来のC/Aコードをコスタスループで追尾する場合の損失に相当)とすることができる。一方、従来のコスタスループとシンプルPLLとの単純な結合ループ回路では、C/Nが弱い場合に約5dBの損失が生じ、C/Nが強くても約3dBの損失が生じる。また、従来の逆正接関数を組み合わせた回路では、C/Nが強い場合に殆ど損失を無くし、C/Nが弱い場合に約3dB強の損失とすることができる。しかし、この方法では、C/Nが中間値、すなわちC/Nが20dB〜40dBの範囲では、本実施形態の図1に示すキャリア位相追尾回路の方が常時低損失となる。
また、図4に示すように、L2C信号のCLコード信号のみをシンプルPLLで追尾する場合にはC/Nに関係なく常時約3dBの損失が生じる。さらに、L2C信号に擬似的にC/Aコードをのせた場合には、C/Nが強ければ損失は無くなるが、C/Nが弱くなると3dBを超える大幅に損失が生じる。
このように、本実施形態の図1に示す構成を用いることで、L2C信号の受信状態に関わらず、常に約3dB未満のSNR損失となり、従来の各方法およびこれらを単に組み合わせた方法よりも追尾状態が良好なキャリア位相追尾回路を実現することができる。
また、本実施形態の図2に示すキャリア位相追尾回路を用いることで、C/Nが強い場合にSNR損失を殆ど無くすことができる。すなわち、C/Nが強い状態でL2C信号を受信する場合には、図2に示すキャリア位相追尾回路を用いても、図1に示すキャリア位相追尾回路と同じく、良好なキャリア位相追尾を実現することができる。そして、この図2に示すキャリア位相追尾回路は、図1に示すキャリア位相追尾回路よりも回路構成および制御が簡素であるので、良好なキャリア位相追尾を実現するキャリア位相追尾回路を簡素な構造で実現することができ、且つ容易な制御でキャリア位相追尾を実現することができる。
次に、第2の実施形態に係るキャリア周波数追尾回路について、図を参照して説明する。
図5は本実施形態に係るL2C信号追尾装置のキャリア周波数追尾回路の構成を示すブロック図である。
図5に示すキャリア周波数追尾回路は、図1に示すキャリア位相追尾回路のキャリア位相誤差演算部1に、相関器12d、遅延部16a〜16d、Cross演算器17a,17c、Dot演算器17bを追加してなるキャリア周波数誤差演算部4を用いたものであり、他の構成は同じである。以下、図5に示すキャリア周波数誤差演算部4が、図1に示すキャリア位相誤差演算部1と異なる点についてのみ詳述し、同じ点については説明を省略する。
相関器12aはCMコード同相相関信号をCross演算器17a、Dot演算器17b、および遅延部16aに出力し、相関器12bはCMコード直交相関信号をCross演算器17a、Dot演算器17b、および遅延部16bに出力する。
相関器12cのミキサ122cは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCLコード発生器10bから出力された正確なタイミングのCLコード信号とをミキシングして、CLコード同相信号を積算器122cに出力する。積算器122cは、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて、入力されるCLコード同相信号を積算することで相関処理を行い、CLコード同相相関信号をCross演算器17cおよび遅延部16cに出力する。ここで、相関器12cが本発明の「CLコード同相相関処理手段」に相当する。
相関器12dはミキサ121dと積算器122dとからなる。ミキサ122dは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCLコード発生器10bから出力された正確なタイミングのCLコード信号とをミキシングして、CLコード直交信号を積算器122dに出力する。積算器122dは、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて、入力されるCLコード直交信号を積算することで相関処理を行い、CLコード直交相関信号をCross演算器17cおよび遅延部16dに出力する。ここで、相関器12dが本発明の「CLコード直交相関処理手段」に相当する。
遅延部16a〜16dは入力された信号を1チップ時間分遅延させて出力する。
Cross演算器17aは、相関器12aから入力されたCMコード同相相関信号Icmと、相関器12bから入力されたCMコード直交相関信号Qcmと、遅延部16aから入力された遅延CMコード同相相関信号Icmlと、遅延部16bから入力された遅延CMコード直交相関信号Qcmlとを用い、次式に示す演算を行って出力する。
Qcm・Icml−Icm・Qcml −(10)
これは、遅延処理を行わないCMコード同相相関信号とCMコード直交相関信号との信号群と、遅延処理を行った遅延CMコード同相相関信号と遅延CMコード直交相関信号との信号群との外積演算に相当する。そして、Cross演算器17aはこの演算結果であるCMコード外積処理信号を乗加算器14に出力する。ここで、このCross演算器17aが本発明の「CMコード外積処理手段」に相当する。
Dot演算器17bは、相関器12aから入力されたCMコード同相相関信号Icmと、相関器12bから入力されたCMコード直交相関信号Qcmと、遅延部16aから入力された遅延CMコード同相相関信号Icmlと、遅延部16bから入力された遅延CMコード直交相関信号Qcmlとを用い、次式に示す演算を行って出力する。
Icm・Icml+Qcm・Qcml −(11)
これは、遅延処理を行わないCMコード同相相関信号とCMコード直交相関信号との信号群と、遅延処理を行った遅延CMコード同相相関信号と遅延CMコード直交相関信号との信号群との内積演算に相当する。そして、Dot演算器17bはこの演算結果であるCMコード内積処理信号を信号変換回路13に出力する。ここで、このDot演算器17bが本発明の「CMコード内積処理手段」に相当する。
Cross演算器17cは、相関器12cから入力されたCLコード同相相関信号Iclと、相関器12dから入力されたCLコード直交相関信号Qclと、遅延部16cから入力された遅延CLコード同相相関信号Icllと、遅延部16dから入力された遅延CLコード直交相関信号Qcllとを用い、次式に示す演算を行って出力する。
Qcl・Icll−Icl・Qcll −(12)
これは、遅延処理を行わないCLコード同相相関信号とCLコード直交相関信号との信号群と、遅延処理を行った遅延CLコード同相相関信号と遅延CLコード直交相関信号との信号群との外積演算に相当する。そして、Cross演算器17cはこの演算結果であるCLコード外積処理信号を乗加算器14に出力する。ここで、このCross演算器17cが本発明の「CLコード外積処理手段」に相当する。
信号変換回路13のミキサ131は、Dot演算器17bから入力されたCMコード内積処理信号と、実時間で推定した相関後の信号レベル(振幅)と予め推定した相関後のノイズレベル(分散)の逆数とからなる重み付け信号(図におけるA/σ )とをミキシングして双曲正接関数演算器132に出力する。双曲正接関数演算器132は、ミキサ131から出力された信号を双曲正接関数演算処理(tanh関数処理)して双曲正接化CMコード内積処理信号を乗加算器14に出力する。ここで、この信号変換回路13が本発明の「第1CMコード内積処理信号変換手段」に相当する。
乗加算器14のミキサ141は、信号変換回路13から入力される双曲正接化CMコード内積処理信号と、Cross演算器17aから入力されるCMコード外積処理信号とをミキシング(乗算)してCMコード相関信号を加算器142に出力する。加算器142は、ミキサ141から入力されるCMコード相関信号と、Cross演算器17cから入力されるCLコード外積処理信号とを加算して出力する。そして、このような処理はFLLのキャリア周波数誤差の演算処理に相当するので、出力信号はキャリア周波数誤差に対応する。すなわち、図5に示す構造を用いることにより、図1に示すキャリア位相誤差演算部1をベースとしたFLLを構成することができる。
そして、このキャリア周波数誤差演算部4と、キャリアNCO2およびキャリアループフィルタ3とでループ回路を形成することにより、CMコードとCLコードとを統合してキャリア周波数誤差を継続的に推定演算して、キャリア周波数を追尾することができる。
ところで、前記双曲正接関数(tanh関数)は、第1の実施形態と同様に、引数が大きい場合に、シグモイド関数に置き換えることができる。したがって、前述の双曲正接関数をシグモイド関数に置き換えることが可能となる。
図6は本実施形態のL2C信号追尾装置のキャリア周波数追尾回路の他の構成を示すブロック図である。具体的には、信号変換器13がシグモイド関数演算器150からなる信号変換回路15に置き換わったものであり、他の構成は図5に示したキャリア周波数追尾回路と同じである。ここで、この信号変換回路15が本発明の「第2CMコード内積処理信号変換手段」に相当する。
このような構成としても、L2C信号をC/Nの強い状態で受信できれば、キャリア周波数を追尾することができる。
図7は、本実施形態のキャリア周波数追尾回路の追尾ループ性能を示すグラフであり、横軸をC/Nとし、縦軸を信号対雑音比SNR(Signal to Noise Ratio)の損失としたものである。また、図7において、CTMCで表される特性曲線は本実施形態の図5に示すキャリア位相追尾回路を用いた場合を表し、CTMC DDで表される特性曲線は本実施形態の図6に示すキャリア周波数追尾回路を用いた場合を表す。また、図7において、L2CLFLLで表される特性曲線は従来のシンプルFLLを用いた場合を表し、L2C/A DDで表される特性曲線はL2C信号に替えて従来のC/AコードをL2波に用い、本実施形態の図6に示すキャリア周波数追尾回路を用いた場合を表す。
図7に示すように、本実施形態の図5に示すキャリア周波数追尾回路を用いることで、C/Nが強い場合にSNR損失を殆ど無くして、従来のシンプルなFLLを用いるよりも良好なキャリア周波数追尾性能を得ることができる。また、C/Nが弱い場合にも従来のFLLと略同等のキャリア周波数追尾性能を得ることができる。
このように、本実施形態の図5に示す構成を用いることで、L2C信号の受信状態に関わらず、従来の各方法およびこれらを単に組み合わせた方法よりも追尾状態が良好なキャリア周波数追尾回路を実現することができる。
また、本実施形態の図6に示すキャリア周波数追尾回路を用いることで、C/Nが強い場合にSNR損失を殆ど無くすことができる。すなわち、C/Nが強い状態でL2C信号を受信する場合には、図6に示すキャリア周波数追尾回路を用いても、図5に示すキャリア周波数追尾回路と同じく、良好なキャリア周波数追尾を実現することができる。そして、この図6に示すキャリア周波数追尾回路は、図5に示すキャリア周波数追尾回路よりも回路構成および制御が簡素であるので、良好なキャリア周波数追尾を実現するキャリア周波数追尾回路を簡素な構造で実現することができ、且つ容易な制御でキャリア周波数追尾を実現することができる。
次に、第3の実施形態に係るコード位相追尾回路について図を参照して説明する。
図8は本実施形態のL2C信号追尾装置のコード位相追尾回路を示すブロック図である。
コード位相追尾回路は、コード位相誤差演算部5、コードNCO7、コードループフィルタ6、CMコード発生器10a、CLコード発生器10b、キャリアNCO2を備える。コード位相誤差演算部5は、キャリアNCO2から入力されたキャリア位相と、CMコード発生器10aから入力された正規タイミングのCMコード信号および該正規タイミングのCMコード信号を微分した微分CMコード信号と、CLコード発生器10bから入力された正規タイミングのCLコード信号を微分した微分CLコード信号とに基づき、コード位相誤差をコードループフィルタ6に出力する。コードループフィルタ6は、このコード位相誤差に付随する不要成分を除去してコードNCO7に出力する。コードNCO7は、このコード位相誤差に基づきコードイネーブルクロックを生成して、CMコード発生器10aおよびCLコード発生器10bに出力する。このように、コード位相誤差演算部5、コードループフィルタ7、コードNCO6、CMコード発生器10a、およびCLコード発生器10bからなるループ回路で、コード位相誤差およびコード位相を順次演算し続けることにより、コード位相が追尾される。すなわち、擬似距離観測が継続される。
コード位相誤差演算部5は、フェーズローテータ11から出力されるI信号が相関器12a〜12cに入力され、相関器12bにCMコード発生器10aから微分CMコード信号が入力され、相関器12cにCLコード発生器10bから微分CLコード信号が入力される。他の構成は、第1の実施形態の図1に示したキャリア位相誤差演算部1と同じである。
CMコード発生器10aは、コードNCO7から入力されるコードイネーブル信号に基づいて、正規タイミングのCMコード信号CMp(図21に示すC(t))と、正規タイミングのCMコード信号CMpを微分した微分CMコード信号CMelとを生成し、正規タイミングのCMコード信号CMpを相関器12aに出力し、微分CMコード信号CMelを相関器12bに出力する。また、CLコード発生器10bは、コードNCO7から入力されるコードイネーブル信号に基づいて、正規タイミングのCLコード信号を微分した微分CLコード信号Clelを生成し、相関器12cに出力する。ここで、微分CMコード信号および微分CLコード信号は、それぞれ前述の式(8a)、式(8b)で表される信号であるが、コード位相誤差演算部5においてディジタル信号で相関処理を行うことから、それぞれ近似的に前述の式(9a)、式(9b)で表される差分による信号で形成されている。これらCMコード発生器10a、CLコード発生器10bが本発明の「コード生成手段」に相当する。
フェーズローテータ11にはキャリアNCO2からキャリア位相追尾処理によりロックされた状態のキャリア位相が入力され、フェーズローテータ11はこのキャリア位相によりベースバンドのI信号およびQ信号を出力する。すなわち、以下に説明するコード位相追尾はキャリア位相がロックされた状態(コヒーレント)での処理である。
相関器12aのミキサ121aは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCMコード発生器10aから出力された正確なタイミングのCMコード信号CMpとをミキシングして、CMコード同相信号を積算器122aに出力する。積算器122aは、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて、入力されるCMコード同相信号を積算することで相関処理を行い、CMコード同相相関信号を信号変換回路13に出力する。このような相関器12aを用いることで、コード位相に関するLikelifood方程式(式(7))の左辺第2項前半部の積分演算部が形成される。
相関器12bのミキサ122bは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCMコード発生器10aから出力された微分CMコード信号CMelとをミキシングして、微分CMコード同相信号を積算器122bに出力する。積算器122bは、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて、入力される微分CMコード同相信号を積算することで相関処理を行い、微分CMコード同相相関信号を乗加算器14に出力する。このような相関器12bを用いることで、コード位相に関するLikelifood方程式(式(7))の左辺第2項後半部の積分演算部が形成される。ここで、この相関器12bが本発明の「微分CMコード同相相関処理手段」に相当する。
相関器12cのミキサ122cは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCLコード発生器10bから出力された微分CLコード信号CLelとをミキシングして、微分CLコード同相信号を積算器122cに出力する。積算器122cは、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて、入力される微分CLコード同相信号を積算することで相関処理を行い、微分CLコード同相相関信号を乗加算器14に出力する。このような相関器12cを用いることで、コード位相に関するLikelifood方程式(式(7))の左辺第1項の積分演算部が形成される。ここで、この相関器12cが本発明の「微分CLコード同相相関処理手段」に相当する。
信号変換回路13のミキサ131は、相関器12aから入力されたCMコード同相相関信号と、実時間で推定した相関後の信号レベル(振幅)と予め推定した相関後のノイズレベル(分散)の逆数とからなる重み付け信号(図におけるA/σ )とをミキシングして双曲正接関数演算器132に出力する。双曲正接関数演算器132は、ミキサ131から出力された信号を双曲正接関数演算処理(tanh関数処理)して双曲正接化CMコード同相相関信号を乗加算器14に出力する。このような信号変換回路13を用いることで、コード位相に関するLikelifood方程式(式(7))の左辺第2項前半部が形成される。
乗加算器14のミキサ141は、信号変換回路13から入力される双曲正接化CMコード同相相関信号と、相関器12bから入力される微分CMコード同相相関信号とをミキシング(乗算)して加算器142に出力する。加算器142は、ミキサ141から入力されるCMコード相関信号と、相関器12cから入力される微分CLコード同相相関信号とを加算して出力する。このようなミキサ141を用いることで、コード位相に関するLikelifood方程式(式(7))の左辺第2項が形成され、このような乗加算器14を用いることで、コード位相に関するLikelifood方程式(式(7))の左辺が形成される。そして、この出力信号はCMコード同相相関信号と微分CMコード同相相関信号との相関信号(CMコード相関信号)と、CLコード直交相関信号との加算信号であるので、実質的にL2C信号のコード位相誤差に相当する。
すなわち、このような構成のコード位相誤差演算部5を用いることにより、CMコードとCLコードとを統合してコード位相誤差を推定演算することができる。
そして、このコード位相誤差演算部5と、コードNCO7、CMコード発生器10a、CLコード発生器10b、およびコードループフィルタ6とでループ回路を形成することにより、CMコードとCLコードとを統合して、コヒーレントで継続的にコード位相誤差を推定演算して、コード位相を追尾することができる。すなわち、コヒーレントで継続的に擬似距離を観測することができる。
このようなコード位相誤差追尾回路においても、前述のキャリア位相誤差追尾回路と同様に、信号のC/Nが強い場合に双曲正接関数演算をシグモイド関数演算に置き換えることができる。
図9は本実施形態のL2C信号追尾装置のコード位相追尾回路の他の構成を示すブロック図である。具体的には、信号変換器13がシグモイド関数演算器150からなる信号変換器15に置き換わったものであり、他の構成は図8に示したコード位相追尾回路と同じである。
このような構成としても、L2C信号をC/Nの強い状態で受信できれば、コード位相を追尾することができる。
なお、前述の2つのコード位相追尾回路はキャリア位相に関してコヒーレントの場合にコード位相追尾処理を行う回路であるが、例えば、GPS受信機の立ち上げ時(初期動作時)等の場合、キャリア位相がコヒーレントでない、すなわちロックされていない。このような場合にでもコード位相の追尾は必要であるため、次に、キャリア位相がロックされていない(ノンコヒーレント)状態で用いるコード位相追回路について説明する。
図10はノンコヒーレントのコード位相追尾回路の構成を示すブロック図である。
ノンコヒーレントのコード位相追尾回路は、ノンコヒーレントコード位相誤差演算部8、コードNCO7、コードループフィルタ6、CMコード発生器10a、CLコード発生器10b、キャリアNCO2を備える。ノンコヒーレントコード位相誤差演算部8は、キャリアNCO2から入力されたキャリア位相と、CMコード発生器10aから入力された正規タイミングのCMコード信号および該正規タイミングのCMコード信号を微分した微分CMコード信号と、CLコード発生器10bから入力された正規タイミングのCLコード信号および該正規タイミングのCLコード信号を微分した微分CLコード信号とに基づき、コード位相誤差をコードループフィルタ6に出力する。コードループフィルタ6は、このコード位相誤差に付随する不要成分を除去してコードNCO7に出力する。コードNCO7は、このコード位相誤差に基づきコードイネーブルクロックを生成して、CMコード発生器10aおよびCLコード発生器10bに出力する。このように、コード位相誤差演算部5、コードループフィルタ7、コードNCO6、CMコード発生器10a、およびCLコード発生器10bからなるループ回路で、コード位相誤差およびコード位相を順次演算し続けることにより、ノンコヒーレントにコード位相が追尾される。
コード位相誤差演算部8は、フェーズローテータ11と、相関器12a〜12hと、4つのミキサ161a〜161dおよび加算器162からなる乗加算器160とを備える。
CMコード発生器10aは、コードNCO7から入力されるコードイネーブル信号に基づいて、正規タイミングのCMコード信号CMpと、正規タイミングのCMコード信号CMpを微分した微分CMコード信号CMelとを生成し、正規タイミングのCMコード信号CMpを相関器12a,12eに出力し、微分CMコード信号CMelを相関器12b,12fに出力する。また、CLコード発生器10bは、コードNCO7から入力されるコードイネーブル信号に基づいて、正規タイミングのCLコード信号CLpと、正規タイミングのCLコード信号CLpを微分した微分CLコード信号Clelを生成し、正規タイミングのCLコード信号CLpを相関器12c,12gに出力し、微分CLコード信号CLelを相関器12d,12hに出力する。ここで、微分CMコード信号および微分CLコード信号は、前述のように、それぞれ近似的に前述の式(9a)、式(9b)で表される差分による信号で形成されている。
フェーズローテータ11にはキャリアNCO2から予め所定値に設定されたキャリア位相が入力され、フェーズローテータ11はこの所定値に設定されたキャリア位相によりベースバンドのI信号およびQ信号を出力する。ここで、キャリア位相は、式(1)において、区間[−π〜+π]で一様分布に従うランダム変数としてその平均が前記所定値となるように設定されている。
フェーズローテータ11から出力されたI信号は相関器12a〜12dに入力され、Q信号は相関器12e〜12hに入力される。
相関器12aは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCMコード発生器10aから出力された正確なタイミングのCMコード信号CMpとをミキシングして、CMコード同相信号を生成する。そして、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じてCMコード同相信号を積算することで相関処理を行うことでCMコード同相相関信号を乗加算器160に出力する。
相関器12bは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCMコード発生器10aから出力された微分CMコード信号CMelとをミキシングして、微分CMコード同相信号を生成する。そして、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて微分CMコード同相信号を積算することで相関処理を行うことで微分CMコード同相相関信号を乗加算器160に出力する。この相関器12bが本発明の「微分CMコード同相相関処理手段」に相当する。
相関器12cは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCLコード発生器10bから出力された正確なタイミングのCLコード信号CLpとをミキシングして、CLコード同相信号を生成する。そして、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じてCLコード同相信号を積算することで相関処理を行うことでCLコード同相相関信号を乗加算器160に出力する。
相関器12dは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCLコード発生器10bから出力された微分CLコード信号CLelとをミキシングして、微分CLコード同相信号を生成する。そして、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて微分CLコード同相信号を積算することで相関処理を行うことで微分CLコード同相相関信号を乗加算器160に出力する。この相関器12dが本発明の「微分CLコード同相相関処理手段」に相当する。
相関器12eは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCMコード発生器10aから出力された正確なタイミングのCMコード信号CMpとをミキシングして、CMコード直交信号を生成する。そして、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じてCMコード直交信号を積算することで相関処理を行うことでCMコード直交相関信号を乗加算器160に出力する。
相関器12fは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCMコード発生器10aから出力された微分CMコード信号CMelとをミキシングして、微分CMコード直交信号を生成する。そして、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて微分CMコード直交信号を積算することで相関処理を行うことで微分CMコード直交相関信号を乗加算器160に出力する。この相関器12fが本発明の「微分CMコード直交相関処理手段」に相当する。
相関器12gは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCLコード発生器10bから出力された正確なタイミングのCLコード信号CLpとをミキシングして、CLコード直交信号を生成する。そして、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じてCLコード直交信号を積算することで相関処理を行うことでCLコード直交相関信号を乗加算器160に出力する。
相関器12hは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCLコード発生器10bから出力された微分CLコード信号CLelとをミキシングして、微分CLコード直交信号を生成する。そして、前記サンプリングクロックに基づく周期に応じて微分CLコード直交信号を積算することで相関処理を行うことで微分CLコード直交相関信号を乗加算器160に出力する。この相関器12hが本発明の「微分CLコード直交相関処理手段」に相当する。
乗加算器160は、乗算器161aでCMコード同相相関信号と微分CMコード同相相関信号とをミキシングして第1CMコード相関信号を出力し、乗算器161bでCLコード同相相関信号と微分CLコード同相相関信号とをミキシングして第1CLコード相関信号を出力し、乗算器161cでCMコード直交相関信号と微分CMコード直交相関信号とをミキシングして第2CMコード相関信号を出力し、乗算器161dでCLコード直交相関信号と微分CLコード直交相関信号とをミキシングして第2CLコード相関信号を出力し、加算器162で、これら、第1、第2CMコード相関信号、第1、第2CLコード相関信号を加算して出力する。このように加算された信号はコード位相誤差に相当する。
すなわち、このような構成のコード位相誤差演算部8を用いることにより、CMコードとCLコードとを統合してノンコヒーレントにコード位相誤差を推定演算することができる。
そして、このコード位相誤差演算部8と、コードNCO7、CMコード発生器10a、CLコード発生器10b、およびコードループフィルタ6とでループ回路を形成することにより、CMコードとCLコードとを統合して、ノンコヒーレントで継続的にコード位相誤差を推定演算してコード位相を追尾することができる。すなわち、ノンコヒーレントで継続的に擬似距離を観測することができる。
図11は本実施形態のコード位相追尾回路の追尾ループ性能を示すグラフであり、横軸をC/Nとし、縦軸を信号対雑音比SNR(Signal to Noise Ratio)の損失としたものである。また、図11において、コヒーレントCTMC準最適で表される特性曲線は本実施形態の図8に示すコード位相追尾回路を用いた場合を表し、コヒーレントDDで表される特性曲線は本実施形態の図9に示すキャリア位相追尾回路を用いた場合を表し、ノンコヒーレントCTMCで表される特性曲線は本実施形態の図10に示すコード位相追尾回路を用いた場合を表す。また、図11において、L2CLコヒーレントで表される特性曲線は従来のコヒーレントのコード追尾方法を用いてL2C信号のCLコードを追尾した場合を表し、L2C/Aノンコヒーレントで表される特性曲線はL2Cコードに代えてL2波にC/Aコードをのせて従来のノンコヒーレントのコード追尾方法を用いた場合を表す。
図11に示すように、本実施形態の図8に示すコヒーレントのコード位相追尾回路を用いることで、C/Nによらず低損失にコード位相を追尾することができる。これにより、GPS信号の受信状態によらず、従来よりも良好なコード位相追尾を実現するコード位相追尾回路を実現することができる。また、本実施形態の図9に示すコヒーレントのコード位相追尾回路を用いることで、C/Nが強ければ低損失にコード位相を追尾することができる。そして、この図9に示すコード位相追尾回路は図8に示すコード位相追尾回路と比較して回路構成が簡素であるので、信号強度が強い状態で良好なコード位相追尾を実現するコード位相追尾回路を簡素な構造で実現することができ、且つ容易な制御でコード位相追尾を実現することができる。
また、図11に示すように、本実施形態の図10に示すノンコヒーレントのコード位相追尾回路を用いることでC/Nが強ければ、従来よりも低損失にコード位相を追尾することができる。
次に、第4の実施形態に係るGPS受信機について図を参照して説明する。
図12は本実施形態のGPS受信機の概略構成を示すブロック図である。
図13は図12に示す信号処理部の概略構成を示すブロック図である。
GPS受信機は、アンテナ200、高周波処理部300、信号処理部400、測位演算部500、および、表示操作部600を備える。
アンテナ200は、GPS衛星からのL2Cコードで変調されたL2波を受信して、ケーブル等の伝送路を介して高周波処理部300に出力する。高周波処理部300は、入力されたL2波を中間周波数にダウンコンバートして、この信号をサンプリング化してディジタル処理する。そして、ディジタル処理された中間周波数の信号の同相成分(中間I信号)と直交成分(中間Q信号)と、サンプリングクロック信号SCLとを信号処理部400に出力する。
信号処理部400は、複数(本実施形態ではn個)の信号捕捉追尾部401a〜401nと、基本パルス発生器402とを備える。
基本パルス発生器402は、サンプルクロック信号SCLに基づき、信号捕捉追尾部401a〜401nの相関器(後述する図14の102a〜102h)の積算時間を制御する基準パルスPbを生成して、各信号捕捉追尾部401a〜401nに出力する。
信号捕捉追尾部401a〜401nは、それぞれ、基準パルスPbに従い、高周波処理部300から入力される中間I信号、中間Q信号、および、予め記憶されているCMコードおよびCLコードを用いて、信号の捕捉、追尾して、コード位相およびキャリア位相を測位演算部500に出力する。なお、信号捕捉追尾部401a〜401nの具体的な構成については図14を用いて後述する。
測位演算部500は、L2C信号(L2Cコードで変調されたL2波)に含まれる航法メッセージの復調とデコードとを行うとともに、信号処理部400から入力されたコード位相(擬似距離)およびキャリア位相を用いて測位する。そして、この測位結果、すなわち受信機の位置を表すデータを表示操作部600に出力する。表示操作部600は操作部と表示部とからなり、表示部は測位演算部500から入力された測位結果に基づき受信機の位置を表示する。また、操作部はオペレータから所定の操作入力が行われると、入力操作コマンドを生成して測位演算部500に出力する。測位演算部500はこの入力操作コマンドに基づき信号処理コマンドを生成して信号処理部400に出力する。信号処理部400に入力された信号処理コマンドは各信号捕捉追尾部401a〜401nに入力され、信号捕捉追尾部401a〜401nはこのコマンドに従い、信号の捕捉、追尾を行う。
次に、信号捕捉追尾部の具体的な構成について図14を参照して説明する。
図14は図13に示す信号捕捉追尾部の構成を示すブロック図である。
信号捕捉追尾部は、キャリアNCO2、キャリアループフィルタ3、コードNCO7、CMコード発生器10a、CLコード発生器10b、コードループフィルタ6、フェーズローテータ11、相関器102a〜102h、信号レベル推定器103、ノイズレベル推定器104、キャリア追尾誤差検出器105、コード追尾誤差検出器106、ミキサ110、加算器111を備える。そして、フェーズローテータ11、相関器102a〜102h、信号レベル推定器103、ノイズレベル推定器104、およびキャリア追尾誤差検出器105でキャリア位相誤差追尾部151を構成し、フェーズローテータ11、相関器102a〜102h、信号レベル推定器103、ノイズレベル推定器104、およびコード追尾誤差検出器106でコード位相誤差追尾部152を構成する。
なお、キャリアNCO2、キャリアループフィルタ3、コードNCO7、CMコード発生器10a、CLコード発生器10b、コードループフィルタ6、フェーズローテータ11については、前述の各実施形態に示したものと同じであるので説明は省略する。
CM同相相関器102aは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCMコード発生器10aから出力された正確なタイミングのCMコード信号CMpとをミキシングして、基準パルスPbに基づく周期で積算することで相関処理を行う。
微分CM同相相関器102bは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCMコード発生器10aから出力された微分CMコード信号CMelとをミキシングして、基準パルスPbに基づく周期で積算することで相関処理を行う。ここで、微分CMコード信号CMelは、前述のように正確なタイミングのCMコード信号CMpをチップ長の半値で進ませた信号とチップ長の半値で遅らせた信号との平均値の信号により近似した信号である。
CL同相相関器102cは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCLコード発生器10bから出力された正確なタイミングのCLコード信号CLpとをミキシングして、基準パルスPbに基づく周期で積算することで相関処理を行う。
微分CL同相相関器102dは、フェーズローテータ11から入力されたI信号とCLコード発生器10bから出力された微分CLコード信号CLelとをミキシングして、基準パルスPbに基づく周期で積算することで相関処理を行う。ここで、微分CLコード信号CLelは、前述のように正確なタイミングのCLコード信号CLpをチップ長の半値で進ませた信号とチップ長の半値で遅らせた信号との平均値の信号により近似した信号である。
CM直交相関器102eは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCMコード発生器10aから出力された正確なタイミングのCMコード信号CMpとをミキシングして、基準パルスPbに基づく周期で積算することで相関処理を行う。
微分CM直交相関器102fは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCMコード発生器10aから出力された微分CMコード信号CMelとをミキシングして、基準パルスPbに基づく周期で積算することで相関処理を行う。
CL直交相関器102gは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCLコード発生器10bから出力された正確なタイミングのCLコード信号CLpとをミキシングして、基準パルスPbに基づく周期で積算することで相関処理を行う。
微分CL直交相関器102hは、フェーズローテータ11から入力されたQ信号とCLコード発生器10bから出力された微分CLコード信号CLelとをミキシングして、基準パルスPbに基づく周期で積算することで相関処理を行う。
CM同相相関器102aの出力信号と、CL同相相関器102cの出力信号と、CM直交相関器102eの出力信号と、CL直交相関器102gの出力信号とは、信号レベル推定器103、ノイズレベル推定器104、キャリア追尾誤差検出器105、コード追尾誤差検出器106に入力される。また、微分CM同相相関器102bの出力信号と、微分CL同相相関器102dの出力信号と、微分CM直交相関器102fの出力信号と、微分CL直交相関器102hの出力信号とは、コード追尾誤差検出器106に入力される。
信号レベル推定器103は、入力された信号に基づき受信したL2C信号の信号レベル(振幅)を推定演算して、キャリア追尾誤差検出器105およびコード追尾誤差検出器106に出力する。また、ノイズレベル推定器104は、入力された信号に基づき受信したL2C信号のノイズレベル(分散)を推定演算して、キャリア追尾誤差検出器105およびコード追尾誤差検出器106に出力する。
キャリア追尾誤差検出器105は、入力された信号に基づきキャリア追尾誤差(キャリア位相誤差やキャリア周波数誤差に相当)を演算してキャリアループフィルタ105およびミキサ110に出力する。
コード追尾誤差検出器106は、入力された信号に基づきコード追尾誤差(コード位相誤差に相当)を演算して、コードループフィルタ6に出力する。
ミキサ110は入力されたキャリア追尾誤差と、キャリア信号とコード信号との周期から設定される定数1/1200とを乗算して加算器111に出力する。加算器111はこの信号と、コードループフィルタ6から出力される信号とを加算してコードNCO7に出力する。
このような構成において、次に示すように、キャリア追尾誤差検出器105やコード追尾誤差検出器106を適当な構成とすることで、キャリア位相、キャリア周波数、コード位相の観測(追尾)を行うことができる。
(1)キャリア位相を追尾する場合
この場合、キャリア位相追尾誤差検出器105は図15に示すような構成を用いる。
図15はキャリア位相追尾の場合のキャリア位相追尾誤差検出器105の構成例を示すブロック図である。そして、(a)は双曲正接関数演算を用いる場合を示し、(b)はシグモイド関数演算を用いる場合を示す。
図15(a)に示すように、双曲正接関数演算を用いる場合、キャリア位相追尾誤差検出器105は、CM同相相関器102aの出力とノイズレベル推定器104の出力とをミキシングするミキサ701と、このミキサ701の出力と信号レベル推定器103の出力とをミキシングするミキサ702と、このミキサ702の出力信号を双曲正接関数演算するtanh演算部703と、tanh演算部703の出力とCM直交相関器102eの出力とをミキシングするミキサ704と、ミキサ704の出力とCL直交相関器102gの出力とを加算してキャリア位相誤差を出力する加算器705とを備える。この回路構成は、前述の第1の実施形態の図1に示したキャリア位相誤差演算部1に相当する。すなわち、キャリア位相誤差検出器105を図15(a)に示す構成とすることで、受信信号の状態によることなく、従来よりも低損失で確実にキャリア位相を追尾することができる。
そして、図15(b)に示すように、シグモイド関数演算を用いる場合には、図15(a)に示したミキサ701,702およびtanh演算部703からなる回路をsign演算回路706に置き換える。この回路構成は、前述の第1の実施形態の図2に示したキャリア位相誤差演算部1に相当する。すなわち、キャリア位相誤差検出回路105を図15(b)に示す構造にすることで、ノイズに対する信号強度が強い場合に簡素な構造で高速にキャリア位相を追尾することができる。
(2)キャリア周波数を追尾する場合
この場合、キャリア位相追尾誤差検出器105は図16に示すような構成を用いる。
図16はキャリア周波数追尾の場合のキャリア位相追尾誤差検出器105の構成例を示すブロック図である。そして、(a)は双曲正接関数演算を用いる場合を示し、(b)はシグモイド関数演算を用いる場合を示す。
図16(a)に示すように、双曲正接関数演算を用いる場合、キャリア位相追尾誤差検出器105は、図15(a)に示したミキサ701の前段に、次に示す回路が形成されている。図16(a)のキャリア位相追尾誤差検出器105には、CM同相相関器102aからの出力、CM直交相関器102eの出力、CL同相相関器102cの出力、およびCL直交相関器102gの出力をそれぞれに遅延させる遅延部707a〜707dと、CM同相相関器102aの出力、CM直交相関器102eの出力、および遅延部707a,707bの出力を用いて、式(11)に示す内積演算を行うDot演算器708と、CM同相相関器102aの出力、CM直交相関器102eの出力、および遅延部707a,707bの出力を用いて、式(10)に示す外積演算を行うCross演算器709と、CL同相相関器102cの出力、CL直交相関器102gの出力、および遅延部707c,707dの出力を用いて、式(12)に示す外積演算を行うCross演算器710とが備えられている。この回路構成は、前述の第2の実施形態の図5に示したキャリア周波数誤差演算部4に相当する。すなわち、キャリア位相誤差検出器105を図16(a)に示す構成とすることで、従来よりも低損失で確実にキャリア周波数を追尾することができる。
そして、図16(b)に示すように、シグモイド関数演算を用いる場合には、図16(a)に示したミキサ701,702およびtanh演算部703からなる回路をsign演算回路706に置き換える。この回路構成は、前述の第2の実施形態の図6に示したキャリア周波数誤差演算部4に相当する。すなわち、キャリア位相誤差検出回路105を図16(b)に示す構造にすることで、ノイズに対する信号強度が強い場合に簡素な構造で高速にキャリア周波数を追尾することができる。
(3)コヒーレントにコード位相を追尾する場合
この場合、コード位相追尾誤差検出器106は図17に示すような構成を用いる。
図17はコード位相追尾誤差検出器106の構成例を示すブロック図である。そして、(a)は双曲正接関数演算を用いる場合を示し、(b)はシグモイド関数演算を用いる場合を示す。
図17(a)に示すように、双曲正接関数演算を用いる場合、コード位相追尾誤差検出器106は、CM同相相関器102aの出力とノイズレベル推定器104の出力とをミキシングするミキサ701と、このミキサ701の出力と信号レベル推定器103の出力とをミキシングするミキサ702と、このミキサ702の出力信号を双曲正接関数演算するtanh演算部703と、tanh演算部703の出力と微分CM同相相関器102bの出力とをミキシングするミキサ704と、ミキサ704の出力と微分CL同相相関器102dの出力とを加算してコード位相誤差を出力する加算器705とを備える。この回路構成は、前述の第3の実施形態の図8に示したコード位相誤差演算部5に相当する。すなわち、コード位相誤差検出器106を図17(a)に示す構成とすることで、受信信号の状態によることなく、従来よりも低損失で確実にコード位相を追尾することができる。
そして、図17(b)に示すように、シグモイド関数演算を用いる場合には、図17(a)に示したミキサ701,702およびtanh演算部703からなる回路をsign演算回路706に置き換える。この回路構成は、前述の第3の実施形態の図9に示したコード位相誤差演算部5に相当する。すなわち、コード位相誤差検出回路106を図17(b)に示す構造にすることで、ノイズに対する信号強度が強い場合に簡素な構造で高速にコード位相を追尾することができる。
(4)ノンコヒーレントにコード位相を追尾する場合
この場合、コード位相追尾誤差検出器106は図18に示すような構成を用いる。
図18はコード位相追尾誤差検出器106の構成例を示すブロック図である。
図17(a)に示すように、コード位相追尾誤差検出器106は、CM同相相関器102aの出力と微分CM同相相関器102bの出力とをミキシングするミキサ711aと、CL同相相関器102cの出力と微分CL同相相関器102dの出力とをミキシングするミキサ711bと、CM直交相関器102eの出力と微分CM直交相関器102fの出力とをミキシングするミキサ711cと、CL直交相関器102gの出力と微分CL直交相関器102hの出力とをミキシングするミキサ711dと、ミキサ711aの出力とミキサ711bの出力とを加算する加算器712aと、ミキサ711cの出力とミキサ711dの出力とを加算する加算器712bと、加算器712aの出力と加算器712bの出力とを加算してコード位相誤差を出力する加算器712cとを備える。この回路構成は、前述の第3の実施形態の図10に示したコード位相誤差演算部8に相当する。すなわち、コード位相誤差検出回路106を図18に示す構造にすることで、ノンコヒーレントでコード位相を追尾することができる。
そして、キャリア追尾誤差検出器105およびコード追尾誤差検出器106をソフトウェア処理による構成とすることで、キャリア追尾誤差検出器105およびコード追尾誤差検出器106の構成を容易に設定変更することができる。
以上のような構成とすることにより、必要な状況に応じて、キャリア位相、キャリア周波数、およびコード位相を確実に追尾するGPS受信機を構成することができる。これにより、GPS衛星からの信号レベルや雑音比に応じて、確実に相対測位を行うGPS受信機を構成することができる。
なお、前述の実施形態では、各構成要素をハードウェアで実現する例を説明したが、これらの構成要素をソフトウェアで実現してもよい。例えば、図14に示す実線で囲まれたキャリア位相誤差追尾部151、コード位相誤差追尾部152や、他の図における各演算器や推定器や相関器等をDSPやASICにプログラムされたソフトウェアにより実現してもよい。
また、前述の各実施形態では、フェーズローテータを用いたキャリア位相追尾回路を例に説明したが、図19に示すように、ディジタルコンバータを用いてもよい。
図19は他の構成のキャリア位相追尾回路を示す部分ブロック図である。
図19に示すキャリア位相追尾回路では、フェーズローテータに替わりディジタルコンバータ11’によりベースバンドのL2C信号の同相成分と直交成分を生成している。この際、ディジタルコンバータ11’は1つの中間周波数のL2C信号、すなわち、同相成分と直交成分とに分離されていない中間周波数のL2C信号からベースバンドのL2C信号の同相成分と直交成分とを生成する。この際、このディジタルコンバータ11’が本発明の「ベースバンド信号生成手段」に相当する。このようにディジタルコンバータを用いても前述の構成を適用することができ、前述の効果を奏することができる。
第1の実施形態のL2C信号追尾装置のキャリア位相追尾回路を示すブロック図 第1の実施形態のL2C信号追尾装置のキャリア位相追尾回路の他の構成を示すブロック図 第1の実施形態のキャリア位相追尾回路の追尾ループ性能を示すグラフ 第1の実施形態に示す図1のキャリア位相追尾回路の追尾ループ性能を従来のキャリア追尾回路と比較した結果を示す図 第2の実施形態に係るL2C信号追尾装置のキャリア周波数追尾回路の構成を示すブロック図 第2の実施形態のL2C信号追尾装置のキャリア周波数追尾回路の他の構成を示すブロック図 第2の実施形態のキャリア周波数追尾回路の追尾ループ性能を示すグラフ 第3の実施形態のL2C信号追尾装置のコード位相追尾回路を示すブロック図 第3の実施形態のL2C信号追尾装置のコード位相追尾回路の他の構成を示すブロック図 ノンコヒーレントのコード位相追尾回路の構成を示すブロック図 第3の実施形態のコード位相追尾回路の追尾ループ性能を示すグラフ 第4の実施形態のGPS受信機の概略構成を示すブロック図 図12に示す信号処理部の概略構成を示すブロック図 図13に示す信号捕捉追尾部の構成を示すブロック図 キャリア位相追尾の場合のキャリア位相追尾誤差検出器105の構成例を示すブロック図 キャリア周波数追尾の場合のキャリア位相追尾誤差検出器105の構成例を示すブロック図 コヒーレントのコード位相追尾誤差検出器106の構成例を示すブロック図 ノンコヒーレントのコード位相追尾誤差検出器106の構成例を示すブロック図 他の構成のキャリア位相追尾回路を示す部分ブロック図 L2C信号のコード構成を示す概念図 CLコードとC(t)との関係、およびCMコードとC(t)との関係を示す波形図
符号の説明
1−キャリア位相誤差演算部
2−キャリアNCO
3−キャリアループフィルタ
4−キャリア周波数誤差演算部
5−コード位相誤差演算部
6−コードループフィルタ
7−コードNCO
8−ノンコヒーレントコード位相誤差演算部
10a−CMコード発生器
10b−CLコード発生器
11−フェーズローテータ
11’−ディジタルコンバータ
12a〜12h−相関器
121a〜121h−ミキサ
122a〜122h−積算器
13−信号変換回路
131−ミキサ
132−双曲正接関数(tanh関数)演算器
14−乗加算器
141−ミキサ
142−加算器
15−信号変換回路
150−シグモイド関数演算器
16a〜16d−遅延部
17a,17c−Cross演算器
17b−Dot演算器
160−乗加算器
161a〜161d−ミキサ
162−加算器
200−アンテナ
300−高周波処理部
400−信号処理部
401a〜401n−信号捕捉追尾部
402−基本パルス発生器
500−測位演算部
600−表示操作部
102a〜102h−相関器
103−信号レベル推定器
104−ノイズレベル推定器
105−キャリア追尾誤差検出器
106−コード追尾誤差検出器
110−ミキサ
111−加算器
151−キャリア位相誤差追尾部
152−コード位相誤差追尾部

Claims (14)

  1. CMコードおよびCLコードの2つの異なる擬似雑音符号を用いて位相変調され、これらが時分割多重化されてなるL2C信号の追尾を行うL2C信号追尾装置において、
    前記L2C信号の信号レベルを推定する信号レベル推定部と、
    推定した信号レベルとノイズレベルに応じて重み付けを行った前記CMコードと前記L2C信号の同相成分との相関信号と、前記CMコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果と前記CLコードの相関信号とを加算した結果に基づいて、キャリア位相を追尾するキャリア追尾処理部と、備えたことを特徴とするL2C信号追尾装置。
  2. CMコードおよびCLコードの2つの異なる擬似雑音符号を用いて位相変調され、これらが時分割多重化されてなるL2C信号の追尾を行うL2C信号追尾装置において、
    前記L2C信号の信号レベルを推定する信号レベル推定部と、
    推定した信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った前記CMコードと前記L2C信号の同相成分の相関信号と、前記CMコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果と前記CLコードの相関信号とを加算した結果に基づいて、コード位相を追尾するコード追尾処理部と、を備えたことを特徴とするL2C信号追尾装置。
  3. 前記キャリア追尾処理部は、
    キャリア位相誤差に基づきキャリア位相を生成するキャリアNCOと、
    前記キャリア位相を用いて得られる前記ベースバンドのL2C信号をそれぞれ同相成分と直交成分とに分けて前記CMコード相関処理するとともに前記ベースバンドのL2C信号の直交成分に前記CLコードを相関処理し、前記CMコードと前記L2C信号の同相成分との相関信号に前記信号レベルおよびノイズレベルに応じた重み付けを行った上で、前記CMコードと前記L2C信号の同相成分の相関信号と、前記CMコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果と前記CLコードと前記L2C信号の直交成分との相関信号を加算することで、前記L2C信号のキャリア位相誤差の演算を行うキャリア位相誤差演算手段と、
    該キャリア位相誤差演算手段からのキャリア位相誤差をフィルタリングして前記キャリアNCOに出力するキャリアループフィルタと、を備え、
    前記キャリアNCOと、前記キャリア位相誤差演算手段と、前記キャリアループフィルタとで前記L2C信号のキャリア位相推定演算ループを形成したことを特徴とする請求項1に記載のL2C信号追尾装置。
  4. 前記キャリア位相誤差演算手段は、前記CMコードの遅延と前記CLコードの遅延とを生成する遅延手段を備え、前記L2C信号をそれぞれ同相成分と直交成分とに分けて、前記CMコード、前記CMコードの遅延と相関処理するとともに、前記L2C信号の直交成分に前記CLコード、および前記CLコードの遅延を相関処理し、前記CMコードと前記L2C信号の同相成分の相関信号と、前記CMコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果に前記CLコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号および前記CLコードの遅延と前記L2C信号の直交成分との相関信号を加算することで、前記L2C信号のキャリア位相誤差を演算し、
    前記キャリアNCOと、前記キャリア位相誤差演算手段と、前記キャリアループフィルタとで前記L2C信号のキャリア周波数推定演算ループを形成したことを特徴とする請求項3に記載のL2C信号追尾装置。
  5. 前記キャリア位相の追尾を行いながら、推定した信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った前記CMコードと前記L2C信号の同相成分の相関信号と、前記CMコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、乗算結果と前記CLコードと前記L2C信号の相関信号とを加算した結果に基づいて、コード位相を追尾する統合追尾処理部を備えたことを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4のいずれかに記載のL2C信号追尾装置。
  6. コードクロックイネーブル信号を生成するコードNCO、該コードNCOの出力に基づくCMコードおよび微分CMコードと前記コードNCOの出力に基づくCLコードおよび微分CLコードを生成するコード生成手段と、
    前記ベースバンドのL2C信号をそれぞれ同相成分と直交成分とに分けて、前記CMコード、前記微分CMコード相関処理するとともに、前記ベースバンドのL2C信号の直交成分に前記CLコードおよび前記微分CLコードを相関処理し、前記CMコードと前記L2C信号の同相成分の相関信号と、前記CMコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、前記微分CMコードと前記L2C信号の同相成分の相関信号と、前記微分CMコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号とを乗算し、各乗算結果と前記CLコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号および前記微分CLコードと前記L2C信号の直交成分の相関信号を加算することで、前記L2C信号のコード位相誤差を演算するコード位相誤差演算手段と、
    該コード位相誤差演算手段から出力されるコード位相誤差をフィルタリングして、前記コード生成手段に出力するコードループフィルタと、を備え、
    前記コード生成手段と、前記コード位相誤差演算手段と、前記コードループフィルタとで前記L2C信号のコード位相推定演算ループを形成した請求項2、または請求項5に記載のL2C信号追尾装置。
  7. 前記キャリア位相誤差演算手段は、
    中間周波数のL2C信号から前記キャリア位相を用いて、ベースバンドのL2C信号の同相成分および直交成分を生成するベースバンド信号生成手段と、
    サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記CMコードとの相関処理を行うCMコード同相相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の直交成分と前記CMコードとの相関処理を行うCMコード直交相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の直交成分と前記CLコードとの相関処理を行うCLコード直交相関処理手段と、
    前記CMコード同相相関処理手段から出力されるCMコード同相相関信号に、前記信号レベルに比例した重みとノイズレベルに反比例した重みとを乗算し、該乗算されたCMコード同相相関信号の双曲正接関数信号を出力する第1CMコード同相相関信号変換手段と、
    該第1CMコード同相相関信号変換手段からの出力信号と、前記CMコード直交相関処理手段からの出力信号とを乗算し、この乗算信号と前記CLコード直交相関処理手段からの出力信号とを加算することで前記キャリア位相誤差を生成して前記キャリアループフィルタに出力する乗加算手段と、を備え、
    キャリア位相追尾ループ処理を行う請求項3に記載のL2C信号追尾装置。
  8. 前記キャリア位相誤差演算手段は、
    中間周波数のL2C信号から前記キャリア位相を用いて、ベースバンドのL2C信号の同相成分および直交成分を生成するベースバンド信号生成手段と、
    サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記CMコードとの相関処理を行うCMコード同相相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の直交成分と前記CMコードとの相関処理を行うCMコード直交相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の直交成分と前記CLコードとの相関処理を行うCLコード直交相関処理手段と、
    前記CMコード同相相関処理手段から出力される前記信号レベルと前記ノイズレベルに応じて決定されたCMコード同相相関信号のシグモイド関数信号を出力する第2CMコード同相相関信号変換手段と、
    該第2CMコード同相相関信号変換手段からの出力信号と、前記CMコード直交相関処理手段からの出力信号とを乗算し、この乗算信号を前記CLコード直交相関処理手段からの出力信号とを加算することで前記キャリア位相誤差を生成して前記キャリアループフィルタに出力する乗加算手段と、
    を備えてキャリア位相追尾ループ処理を行う請求項3に記載のL2C信号追尾装置。
  9. 前記キャリア位相誤差演算手段は、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記CLコードとの相関処理を行うCLコード同相相関処理手段と、
    前記CMコード同相相関処理手段、前記CMコード直交相関処理手段、前記CLコード同相相関処理手段、および、前記CLコード直交相関処理手段のそれぞれから出力される信号を遅延処理する遅延手段と、
    前記CMコード同相相関処理手段からのCMコード同相相関信号と前記CMコード直交相関処理手段からのCMコード直交相関信号とからなるCMコード信号対と、前記遅延手段からのCMコード同相相関遅延信号とCMコード直交相関遅延信号とからなるCMコード遅延信号対とを用いて内積処理を行ってCMコード内積処理信号を出力するCMコード内積処理手段と、
    前記CMコード信号対と前記CMコード遅延信号対とを用いて外積処理を行ってCMコード外積処理信号を出力するCMコード外積処理手段と、
    前記CLコード同相相関処理手段からのCLコード同相相関信号と前記CLコード直交相関処理手段からのCLコード直交相関信号とからなるCLコード信号対と、前記遅延手段からのCLコード同相相関遅延信号とCLコード直交相関遅延信号とからなるCLコード遅延信号対とを用いて外積処理を行ってCLコード外積処理信号を出力するCLコード外積処理手段と、
    前記CMコード内積処理信号に、前記信号レベルに比例した重みと、ノイズレベルに反比例した重みとを乗算し、該乗算されたCMコード内積処理信号の双曲正接関数信号を出力する第1CMコード内積処理信号変換手段と、
    該第1CMコード内積処理信号変換手段からの出力信号と、前記CMコード外積処理信号とを乗算し、この乗算信号と前記CLコード外積信号とを加算することで前記キャリア位相誤差を生成して前記キャリアループフィルタに出力する乗加算手段と、を備え、
    キャリア周波数追尾ループ処理を行う請求項4に記載のL2C信号追尾装置。
  10. 前記キャリア位相誤差演算手段は、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記CLコードとの相関処理を行うCLコード同相相関処理手段と、
    前記CMコード同相相関処理手段、前記CMコード直交相関処理手段、前記CLコード同相相関処理手段、および、前記CLコード直交相関処理手段のそれぞれから出力される信号を遅延処理する遅延手段と、
    前記CMコード同相相関処理手段からのCMコード同相相関信号と前記CMコード直交相関処理手段からのCMコード直交相関信号とからなるCMコード信号対と、前記遅延手段からのCMコード同相相関遅延信号とCMコード直交相関遅延信号とからなるCMコード遅延信号対とを用いて内積処理を行ってCMコード内積処理信号を出力するCMコード内積処理手段と、
    前記CMコード信号対と前記CMコード遅延信号対とを用いて外積処理を行ってCMコード外積処理信号を出力するCMコード外積処理手段と、
    前記CLコード同相相関処理手段からのCLコード同相相関信号と前記CLコード直交相関処理手段からのCLコード直交相関信号とからなるCLコード信号対と、前記遅延手段からのCLコード同相相関遅延信号とCLコード直交相関遅延信号とからなるCLコード遅延信号対とを用いて外積処理を行ってCLコード外積処理信号を出力するCLコード外積処理手段と、
    前記信号レベルと前記ノイズレベルに応じて決定された前記CMコード内積処理信号のシグモイド関数信号を出力する第2CMコード内積処理信号変換手段と、
    該第2CMコード内積処理信号変換手段からの出力信号と、前記CMコード外積処理信号とを乗算し、この乗算信号と前記CLコード外積信号とを加算することで前記キャリア位相誤差を生成して前記キャリアループフィルタに出力する乗加算手段と、
    を備えて、キャリア周波数追尾ループ処理を行う請求項4に記載のL2C信号追尾装置。
  11. 前記CMコード、該CMコードを微分した微分CMコード、前記CLコード、および該CLコードを微分した微分CLコードを生成するコード生成手段と、
    コード位相誤差をフィルタリングして、前記コード生成手段に出力するコードループフィルタと、
    サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記微分CMコードとの相関処理を行う微分CMコード同相相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記微分CLコードとの相関処理を行う微分CLコード同相相関処理手段と、
    前記第1CMコード同相相関信号変換手段からの出力信号に信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った信号と、前記微分CMコード同相相関処理手段からの出力信号とを乗算し、この乗算信号と前記微分CLコード同相相関処理手段からの出力信号とを加算して、前記コードループフィルタに出力する乗加算手段と、
    を備えて、コード追尾ループ処理を行う請求項7〜10のいずれかに記載のL2C信号追尾装置。
  12. 前記CMコード、該CMコードを微分した微分CMコード、前記CLコード、および該CLコードを微分した微分CLコードを生成するコード生成手段と、
    コード位相誤差をフィルタリングして、前記コード生成手段に出力するコードループフィルタと、
    サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記微分CMコードとの相関処理を行う微分CMコード同相相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記微分CLコードとの相関処理を行う微分CLコード同相相関処理手段と、
    前記第2コードCM同相相関信号変換手段からの出力信号に信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った信号と前記微分CMコード同相相関処理手段からの出力信号とを乗算し、この乗算信号と前記微分CLコード同相相関処理手段からの出力信号とを加算して、前記コードループフィルタに出力する乗加算手段と、
    を備えて、コード追尾ループ処理を行う請求項7〜10のいずれかに記載のL2C信号追尾装置。
  13. 前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記微分CMコードとの相関処理を行う微分CMコード同相相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の直交成分と前記微分CMコードとの相関処理を行う微分CMコード直交相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の同相成分と前記微分CLコードとの相関処理を行う微分CLコード同相相関処理手段と、
    前記サンプリング周波数により設定される周期を基準として、前記ベースバンドのL2C信号の直交成分と前記微分CLコードとの相関処理を行う微分CLコード直交相関処理手段と、
    前記CMコード同相相関処理手段から出力されるCMコード同相相関信号に信号レベルとノイズレベルに応じた重み付けを行った信号と前記微分CMコード同相相関処理手段から出力される微分CMコード同相相関信号とを乗算する乗算器と、前記CMコード直交相関処理手段から出力されるCMコード直交相関信号と前記微分CMコード直交相関処理手段から出力される微分CMコード直交相関信号とを乗算する乗算器と、前記CLコード同相相関処理手段から出力されるCLコード同相相関信号と前記微分CLコード同相相関処理手段から出力される微分CLコード同相相関信号とを乗算する乗算器と、前記CLコード直交相関処理手段から出力されるCLコード直交相関信号と前記微分CLコード直交相関処理手段から出力される微分CLコード直交相関信号とを乗算する乗算器と、これら4つの乗算器の出力を加算して、前記コードループフィルタに出力する乗加算手段と、
    を備え、コード追尾ループ処理を行う請求項7〜請求項10のいずれかに記載のL2C信号追尾装置。
  14. 測位衛星からのL2C信号を受信するアンテナと、
    該アンテナからのL2C信号を中間周波数に変換する高周波処理手段と、
    中間周波数のL2C信号に基づきコード位相およびキャリア位相を推定演算する信号処理手段と、
    前記コード位相および前記キャリア位相に基づき、測位演算を行う測位演算手段と、
    前記測位演算の結果を表示するとともに操作入力を受け付ける表示操作手段とを備え、
    前記信号処理手段に、請求項1〜請求項13のいずれかに記載のL2C信号追尾装置を用いることを特徴とするGPS受信機。
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