JP2005283203A - 衛星航法装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】同期した変調コードL2CMコード及びL2CLコードにて変調されたGPS信号を追尾するため、DLL位相ロックループを用いる場合、L2Cコードが時分割されるので信号強度が半減する。
【解決手段】L2CMコードとL2CLコードのコード位相誤差(6,14)を加算し(17)、双方のコード位相を共通に追尾する(3,11)。
【選択図】図4
【解決手段】L2CMコードとL2CLコードのコード位相誤差(6,14)を加算し(17)、双方のコード位相を共通に追尾する(3,11)。
【選択図】図4
Description
本発明はGPSやその他の衛星航法システムの信号を受信し、現在時刻や利用者の現在位置を計算する衛星航法装置に関するものである。
米国のGPS(Global Positioning system)は現在世界中で広く利用されているが、採用されている技術はGPSの開発が開始された1970年代のものであり、その後の技術発展を取り入れて性能を向上させる必要性が叫ばれてきた。米国政府はGPSの近代化と称して、より高度な信号形式、新たな送信周波数の追加、高精度なシステム制御などの検討を続けており、2004年以降これらの成果を盛り込んだ新形式の衛星が順次打ち上げられる計画となっている。
GPSの近代化では、これまで軍用のP(Y)と呼ばれるコードのみで変調されていたL2と呼ばれる周波数(1227.60MHz)に、L2Cと呼ばれる新たな民間用コードの変調が追加される。この変調はP(Y)コードと直交したBPSK(Bi-Phase Shift Keying)であり、その時系列構造を図1に示す。L2CコードはL2CMとL2CLという2種類の擬似雑音コードを時分割して構成されている。この内、L2CMの部分にはさらに航法データと呼ばれる衛星の軌道情報や時刻情報がBPSKによって乗ぜられている。
GPSで測位計算を行うには、GPS信号の観測によってGPS衛星と利用者受信機間の距離を測定する必要がある。この距離は一般に、擬似雑音コードでスペクトラム拡散されたGPS信号を逆拡散して得られる擬似雑音コードの位相すなわちGPS信号の送信時刻と、利用者受信機で逆拡散した時刻すなわち受信時刻との差から求める。こうして求めた距離には、GPSシステムのマスタークロックと利用者受信機の内蔵時計との時刻差が含まれるので、一般に擬似距離と呼ばれる。測位計算では、衛星を一つ余分に用いることでこの時刻差をも求めることができるので、時刻差が含まれていても問題とはならない。
また、測位計算を継続するためには前述のようにして得た擬似雑音コードの位相を継続的に把握する必要があるため、一般にDelay Lock Loop(DLL)と呼ばれる位相ロックループによってコード位相を追尾することが行われる。以下にDLLの概要を述べる。
DLLではEarlyコードとLateコードと呼ばれるコードを生成して用いる。図2に受信信号のコードとEarlyコードとLateコードの位相関係の一例を示す。図2に示すように、Earlyコードは受信信号のコードのタイミングをτだけ進めたコードであり、Lateコードは受信信号のコードをτだけ遅らせたコードである。これらのコードと受信信号との相関値を図3に示す。図3において、tEはEarlyコードのタイミング、tLはLateコードのタイミング、tPはtEとtLのちょうど中間のタイミングで、追尾点に当たる。また、DE、DL、DPはそれぞれtE、tL、tPにおけるコード相関値である。(1)の状態のように、追尾点と受信信号のタイミングとが一致している場合すなわち最良の状態で追尾ができている場合には、DEとDLが等しくなる。(2)の状態のように、追尾点がずれて受信信号のタイミングよりも進んだ場合には、DEとDLの大きさが変わり(DE−DL)が負になる。逆に(3)の状態のように、追尾点が受信信号のタイミングよりも遅れた場合には(DE−DL)が正になる。(2)・(3)いずれの場合も、追尾点のずれ量に比例して(DE−DL)が増加するので、(DE−DL)を測定することで追尾点のずれ量を推定できる。このずれを減らす方向に追尾点のタイミングを制御することでコード位相を追尾するのがDLLである。
また、測位計算を行うには、航法データに含まれる衛星の軌道情報や時刻情報を取得する必要があるので、GPS受信機では一般に航法データの復調を行う。L2周波数においては、L2CMの部分に乗ぜられている航法データがこれに当たる。航法データの変調方式はBPSKなので、復調のためには搬送波(キャリア)の位相に同期を取ることが必要で、航法データの極性が反転してもキャリア追尾を続けられるように一般にCostas PLLと呼ばれる位相ロックループによってキャリア位相を追尾することが行われる。Costas PLLについては周知の技術であるので説明を割愛する。
前述のL2CMコードとL2CLコードは異なる符号であるため、GPS受信機では一般に独立した信号処理系で処理する。すなわちコード発生器・コード相関器・キャリア相関器・DLL・Costas PLLなどをL2CMコードとL2CLコード用にそれぞれ用意し、それぞれ独立に相関処理および位相追尾を行う。
上記の方法には次のような欠点がある。図1に示すように、L2CコードはL2CMコードとL2CLコードを時分割して構成されている。このため時分割されない場合に比べ、L2CM・L2CL共に信号電力が半分になっており、S/N比も半減する。従来の民生用GPS受信機が使用していたL1と呼ばれる周波数(1575.42MHz)のC/Aと呼ばれるコードは時分割されていないので、L2Cは従来のL1 C/Aに比べてS/Nが3dB低いことになる。また、GPSの規格の一つである"Interface Control Document ICD-GPS-200C-005R1"によれば、たとえば仰角5度の衛星からのL1 C/A信号の受信信号強度は-158.5dBW、L2C信号は-160dBWであるので、L2Cの方が受信信号強度も低く、事情はさらに悪いことがわかる。このような低いS/N比の信号で位相追尾を行うと追尾性能が劣化して、航法データの復調を誤ったり、測位計算で求められる位置や速度の精度が劣化したりする。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、L2Cコードの受信信号のS/N比を改善し、コード追尾とキャリア追尾の性能を向上させることを目的としている。
本発明は上記欠点を除去するため、L2CMコードとL2CLコードのコード位相誤差を加算し、双方のコード位相を共通に追尾するコードDLLと、L2CMコードとL2CLコードのキャリア位相誤差を加算し、双方のキャリア位相を共通に追尾するキャリアPLLと、L2CMコードのコード位相誤差・キャリア位相誤差の同期加算時間を短く、かつ重みを軽くし、L2CLコードのコード位相誤差・キャリア位相誤差の同期加算時間を長く、かつ重みを重くする手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、従来、L2Cコードを利用しようとすると、L2CMコードとL2CLコードが時分割されているためにL1 C/Aコードに比べてS/Nが3dB低く、追尾性能が劣化して、航法データの復調を誤ったり、測位計算で求められる位置や速度の精度が劣化したりしたのに対し、L2CMとL2CL双方の位相誤差測定値を組み合わせ、L2CMとL2CLを共通に追尾するような位相ロックループを構成することによって、L2Cコードの受信信号のS/N比を改善し、コード追尾とキャリア追尾の性能を向上させる、という優れた効果がある。
以下本発明の示す実施形態について説明する。
図4に、コード追尾の性能を向上させる装置の一実施形態を示す。L2CMコードのビットレートは511.5kbps、コード長は10230チップなので繰り返し周期は20msである。これに対し、L2CLコードのビットレートは511.5kbps、コード長は767250チップなので繰り返し周期は1.5秒である。L2CMコードとL2CLコードは異なるコードではあるが、ビットレートが等しく、かつ図1に示すように位相が同期しているので、受信機においてコード相関を取るためにそれぞれのコードを発生させる際に、同一のコード周波数・同一のコード位相で発生させても双方のコード相関を正しく取ることができる。従って、コードDLLについても、測定したL2CMとL2CL双方のコード位相誤差を組み合わせ、適当なフィルタリング処理を行ってL2CMとL2CL双方のコード周波数・コード位相を共通に追尾するような構成とすることが可能である。L2CMとL2CL双方のコード位相誤差測定値を組み合わせることでS/N比が向上するので、L2CM・L2CLそれぞれを独立のDLLで追尾する場合よりも追尾性能を向上させることができる。
以下にこれらの手順の詳細を図4に従って述べる。まずGPSベースバンド信号が1と2のコード相関器に入力される。GPSベースバンド信号とは、受信したGPS信号をダウンコンバートして中心周波数をゼロにした信号のことである。GPSベースバンド信号を得るための処理はGPS技術者にとっては周知の技術であるので割愛し、ここではコード位相追尾に絞って説明する。
1と2のコード相関器は、与えられるコードは異なるが構造は同一である。GPSベースバンド信号の入力と並行して3のL2CMコード発生器でL2CMコードが発生される。発生されるコードの周波数と位相は18のフィルタリング処理部で計算されるが、詳細は後述する。発生されたL2CMコードは4のEarly遅延部によってEarlyコードに変換され、1のコード相関器に与えられる。同様に5のLate遅延部によってLateコードに変換され、2のコード相関器に与えられる。これらのEarlyコードとLateコードは、従来の技術の項で述べたDLLに用いられるEarlyコードとLateコードと同様である。1のコード相関器は、受信信号とEarlyコードとの相関を取りEarly相関値を出力する。同様に2のコード相関器は、受信信号とLateコードとの相関を取りLate相関値を出力する。6の加算器でEarly相関値とLate相関値の差を計算し、コード位相誤差として出力する。このコード位相誤差を7の同期加算部で一定時間に亘って同期加算し、8の重み付加部にて重みkを乗じて、L2CMコード位相誤差として出力する。
一方、GPSベースバンド信号は9と10のコード相関器にも入力される。こちらの処理系では、前述のL2CMコードによる処理と同様の処理により、L2CLコード位相誤差が計算される。L2CMコードによる処理との違いは、11のL2CLコード発生器で発生されるコードがL2CLコードである点、16の重み付加部にて乗ぜられる重みが(1−k)である点である。以上のようにして求められたL2CMコード位相誤差とL2CLコード位相誤差とを17の加算器で加算し、総合コード位相誤差として出力する。
こうして求められた総合コード位相誤差に18のフィルタリング処理部にて適当なフィルタリング処理を施し、総合コード位相誤差が小さくなるように、コード周波数とコード位相を計算する。このコード周波数とコード位相を3のL2CMコード発生器と11のL2CLコード発生器に設定し、L2CMコードとL2CLコードを発生させる。以上の処理は、L2CM、L2CLそれぞれにとっては一般のDLLと同様である。それゆえ、この後も以上述べた処理を繰り返すことで、L2CMとL2CLのコード位相を追尾することができる。
さらに、7および15の同期加算部での同期加算時間、8および16の重み付加部で付加される重みを次のようにすることで、さらに追尾性能を改善することもできる。
図1に示したように、L2CMには航法データと呼ばれる衛星の軌道情報や時刻情報がBPSKによって乗ぜられているが、L2CLには乗ぜられていない。L2CMの航法データのビットレートは50cpsなので、L2CMは20ms以上の時間に亘る同期加算を行うことができず、7の同期加算部でのS/N比改善の効果は限定的なものである。しかし航法データが乗ぜられていないL2CLは20ms以上の時間に亘る同期加算を行うことができるので、15の同期加算部ではS/N比を大きく改善できる。
この性質を利用してL2CLのコード位相誤差のS/N比を改善し、S/N比の良いL2CLコード位相誤差の重みすなわち16の重み付加部で付加される重みを重くし、S/N比の悪いL2CMコード位相誤差の重みすなわち8の重み付加部で付加される重みを軽くすることで、総合コード位相誤差のS/N比をさらに改善し、追尾性能を改善することができる。
また、自動車や航空機などの高速移動体に受信機を搭載した場合には、移動体の急激な運動によりコード位相に急激な変化が生じることがある。このような急激な変化に追従させるためには、同期加算の時間が短い方が有利である。このようにレスポンスを重視した追尾特性は、7および15の同期加算部での同期加算時間を短くすることで実現できる。この場合、8および16の重み付加部で付加される重みについては、たとえば7と15での同期加算時間を等しくしたならば、重みも両者等しくする。
また、GPS衛星の何らかのトラブルによってL2CMあるいはL2CLのいずれか一方のコードに異常が発生して相関が取れなくなった場合などは、正常に相関が取れる方のコードだけを使用して追尾するのが得策である。このようなトラブルに対しては、7および15の同期加算部での同期加算値を常に監視し、8および16の重み付加部で付加される重みを動的に変化させることで対処することができる。たとえば7の同期加算部での同期加算値が異常に小さくなった場合はL2CMの異常と判断し、8の重み付加部で付加される重みkをゼロにし、16の重み付加部で付加される重み(1−k)を1にすることで、正常なL2CLだけを使用して追尾することができる。
また、これまでの説明では8および16の重み付加部で付加される重みの比をk:(1−k)としていたが、受信機の用途により他の比率にしてもよい。
次に、図5にキャリア追尾の性能を向上させる装置の一実施形態を示す。L2CMコードとL2CLコードは異なるコードではあるが、いずれも搬送波(キャリア)周波数はL2信号の周波数である1227.60MHzであり、かつどちらのコードもキャリア位相に対して同位相でBPSK変調されている。それゆえ、受信機においてキャリア相関を取るために局部発振器でキャリア信号を発生させる際に、同一のキャリア周波数・同一のキャリア位相で発生させても双方のキャリア相関を正しく取ることができる。従って、キャリアPLLについても、測定したL2CMとL2CL双方のキャリア位相誤差を組み合わせ、適当なフィルタリング処理を行ってL2CMとL2CL双方のキャリア周波数・キャリア位相を共通に追尾するような構成とすることが可能である。L2CMとL2CL双方のキャリア位相誤差測定値を組み合わせることでS/N比が向上するので、L2CM・L2CLそれぞれを独立のPLLで追尾する場合よりも追尾性能を向上させることができる。
以下にこれらの手順の詳細を図5に従って述べる。まずL2CM相関信号が41と42のキャリア相関器に入力される。L2CM相関信号とは、受信したGPS信号をダウンコンバートして中間周波数に変換し、前述のコード追尾の性能を向上させる装置の技術でL2CMコードと相関を取った信号である。以下、キャリア位相追尾に絞って説明するので、コード位相については相関が最大となる点を正しく追尾している状態であると仮定する。41と42のキャリア相関器は、与えられる信号の位相は異なるが構造は同一である。
L2CM相関信号の入力と並行して43の局部発振器でキャリア信号が発生される。発生されるキャリアの周波数と位相は56のフィルタリング処理部で計算されるが、詳細は後述する。発生されたキャリア信号はそのままの位相でI(In-phase)信号として41のキャリア相関器に与えられる。同様に44の90°遅延部によってQ(Quadra-phase)信号に変換され、42のキャリア相関器に与えられる。I信号とQ信号を用いるのは、前述のようにL2CM相関信号にはBPSKで航法データが乗ぜられており、航法データの極性が反転してもキャリア追尾を続けられるようにCostas PLLを構成するためである。
41のキャリア相関器は、L2CM相関信号とI信号との相関を取りI相関値を出力する。同様に42のキャリア相関器は、L2CM相関信号とQ信号との相関を取りQ相関値を出力する。それぞれの相関値を、45と46の同期加算部で一定時間に亘って同期加算し、47の位相誤差弁別器で位相誤差に変換して、キャリア位相誤差として出力する。I,Q相関値から位相誤差を弁別するにはいくつかの方法が知られているが、ここでは、図6に示すようにI相関値DI,Q相関値DQからΔθ=tan-1(DQ/DI)で位相誤差Δθを求める方法を採る。この位相誤差に48の重み付加部にて重みkを乗じて、L2CMキャリア位相誤差として出力する。
一方、L2CLコードについても、L2CL相関信号が49と50のキャリア相関器に入力される。こちらの処理系では、前述のL2CM相関信号に対する処理と同様の処理により、L2CLキャリア位相誤差が計算される。L2CMに対する処理との違いは、54の重み付加部にて乗ぜられる重みが(1−k)である点である。
以上のようにして求められたL2CMキャリア位相誤差とL2CLキャリア位相誤差とを55の加算器で加算し、総合キャリア位相誤差として出力する。こうして求められた総合キャリア位相誤差に56のフィルタリング処理部にて適当なフィルタリング処理を施し、総合キャリア位相誤差が小さくなるように、キャリア周波数とキャリア位相を計算する。このキャリア周波数とキャリア位相を43の局部発振器に設定し、キャリア信号を発生させる。以上の処理は、L2CM、L2CLそれぞれにとっては一般のCostas PLLと同様である。それゆえ、この後も以上述べた処理を繰り返すことで、L2CMとL2CLのキャリア位相を追尾することができる。
さらに、コード追尾の性能を向上させる装置で述べたと同様に、45、46、51および52の同期加算部での同期加算時間、48および54の重み付加部で付加される重みを調節することにより、さらにS/N比を改善したりレスポンスを改善することもできる。
また、GPS衛星の何らかのトラブルによってL2CMあるいはL2CLのいずれか一方のコードに異常が発生して相関が取れなくなった場合などは、正常に相関が取れる方のコードだけを使用して追尾するのが得策である。このようなトラブルに対しては、コード追尾の性能を向上させる装置で述べたと同様に、45、46、51および52の同期加算部での同期加算値を常に監視し、48および54の重み付加部で付加される重みを動的に変化させることで対処することができる。
また、これまでの説明では48および54の重み付加部で付加される重みの比をk:(1−k)としていたが、受信機の用途により他の比率にしてもよい。また、L2CLコードは航法データで変調されていないので、Costas PLLではなく純粋なPLLを採用することで、より正確な追尾が可能となる。図7に示すように、Costas PLLでは追尾点が2ヶ所あるのに対し、純粋なPLLでは追尾点が1ヶ所なので、純粋なPLLの方が追尾の引き込み範囲が広く、また雑音に対する引き込み能力が高い。純粋なPLLにするには、53の位相誤差弁別器でのΔθ=tan-1(DQ/DI)の式で、DQとDIの符号を判定し、Δθを求める値域を−π〜+πとすればよい。参考に、Costas PLLの場合は、引き込みの目標となる追尾点が2ヶ所なので、Δθを求める値域は−π/2〜+π/2である。
また、本発明の波及効果として、次のような優れた効果もある。GPSの近代化では、L2Cコード追加の後に、L5と呼ばれる周波数(1176.45MHz)にL5I5およびL5Q5と呼ばれるコードが追加される予定である。L5I5およびL5Q5コードはいずれもビットレートが10.23Mbps、コード長が10230チップ、繰り返し周期が1msで、互いに同期している。この関係を図8に示す。従って本発明と同じ技術によって、L5I5とL5Q5双方の位相誤差測定値を組み合わせ、L5I5とL5Q5を共通に追尾するような位相ロックループを構成することによって、これらの受信信号のS/N比を改善し、L5I5とL5Q5を独立に追尾する場合よりもコード追尾とキャリア追尾の性能を向上させることができる。また、L5I5には100cpsの航法データがBPSKによって乗ぜられているので、10ms以上の時間に亘る同期加算を行うことができないが、L5Q5には乗ぜられていないので、10ms以上の時間に亘る同期加算を行ってS/N比を向上できる。このようにL5Q5の同期加算時間を増やした上で、S/N比の良いL5Q5コード位相誤差の重みを重くし、S/N比の悪いL5I5コード位相誤差の重みを軽くすることで、組み合わされた位相誤差のS/N比を改善し、追尾性能をさらに改善できる。
さらに別の効果として、航法データの取得開始を早めることができる。前述のように航法データの復調のためには搬送波(キャリア)の位相に同期を取ることが必要で、航法データの極性が反転してもキャリア追尾を続けられるようにCostas PLLによってキャリア位相を追尾することが行われる。図7に示すようにCostas PLLの追尾点は2ヶ所あり、どちらの追尾点にも位相が引き込まれる可能性があり、実際、どちらの追尾点で位相が安定するかはその場合々々の偶然に任されている。図7の追尾点1を追尾した場合には航法データは正相で復調され、追尾点2を追尾した場合には逆相で復調される。逆相で復調された場合、航法データの情報ビットの0/1がすべて逆転するため、情報を正しく読みとるためには正相で復調しなければならない。しかしCostas PLLでは、原理上どちらの追尾点を追尾しているか区別が付かないため、正相か逆相かの判断は、復調した航法データ内のプリアンブルと呼ばれる特定の0/1パターンを見つけて、そのパターンが正相で復調されているか逆相で復調されているかを検証することによって行っていた。プリアンブルの放送周期は6秒毎なので、追尾が安定し航法データの復調を開始してから正相/逆相が判定できるまで最大で6秒間かかっていた。本発明によれば、L2CLにはCostas PLLではなく純粋なPLLを用いることができるので、図7の追尾点1に確実に位相を引き込むことができる。L2CLで追尾点1を追尾すれば、L2CLとL2CMのキャリアは共通なので、L2CMも自動的に追尾点1を追尾することになり、L2CMに乗ぜられている航法データを正相で復調できる。よって、追尾が安定すると同時に正相/逆相が判定できるので、これまでのように最大で6秒間待つ必要がなくなり、航法データの取得開始を早めることができる。
1 コード相関器、2 コード相関器、3 L2CMコード発生器、4 Early遅延部、5 Late遅延部、6 加算器、7 同期加算部、8 重み付加部、9 コード相関器、10 コード相関器、11 L2CLコード発生器、12 Early遅延部、13 Late遅延部、14 加算器、15 同期加算部、16 重み付加部、17 加算器、18 フィルタリング処理部、41 キャリア相関器、42 キャリア相関器、43 局部発振器、44 90°遅延部、45 同期加算部、46 同期加算部、47 位相誤差弁別器、48 重み付加部、49 キャリア相関器、50 キャリア相関器、51 同期加算部、52 同期加算部、53 位相誤差弁別器、54 重み付加部、55 加算器、56 フィルタリング処理部。
Claims (9)
- 同期した複数の変調コードにより変調された衛星航法信号を追尾するために、DLL位相ロックループを用いて変調コードの位相を追尾する衛星航法装置において、
各変調コードに対して設けられ、各変調コード毎のEarlyコード及びLateコードと衛星航法ベースバンド信号との相関を取り、衛星航法ベースバンド信号に対するEarlyコード及びLateコードの各相関値の差をコード位相誤差として出力する複数のコード相関器と、
前記複数のコード相関器のコード位相誤差を加算して総合コード位相誤差として出力する加算器と、
複数の変調コードに共通であって前記総合コード位相誤差を小さくするコード周波数及びコード位相を求め、これに基づき各変調コードを発生して前記複数のコード相関器に供給する変調コード発生器と、
を含み、複数の変調コードの位相を共通に追尾することを特徴とする衛星航法装置。 - 同期した複数の変調コードにより変調された衛星航法信号を追尾するために、DLL位相ロックループを用いて変調コードの位相を追尾するとともにキャリアの位相追尾を行う衛星航法装置において、
各変調コードに対して設けられ、局部発振器で発生されたキャリア信号と受信キャリア信号との相関を取り、両者の位相差をキャリア位相誤差として出力する複数の位相誤差弁別器と、
前記複数の位相誤差弁別器のキャリア位相誤差を加算して総合キャリア位相誤差として出力する加算器と、を含み、
前記局部発振器は、複数の変調コードに共通であって前記総合キャリア位相誤差を小さくするキャリア周波数及びキャリア位相を求め、これに基づき各変調コードに共通なキャリア信号を前記複数の位相誤差弁別器に供給する局部発振器から成り、
キャリアの位相を共通に追尾することを特徴とする衛星航法装置。 - 複数の変調コードそれぞれについての追従位相誤差の同期加算時間を異ならせることを特徴とする請求項1または2記載の衛星航法装置。
- 複数の変調コードそれぞれについての追従位相誤差にそれぞれ重みをかけることを特徴とする請求項1または2記載の衛星航法装置。
- 複数の変調コードそれぞれについての追従位相誤差にかけるそれぞれの重みを動的に変化させることを特徴とする請求項4記載の衛星航法装置。
- 複数の変調コードとして、第1のコードと第2のコードを含み、第1のコードはさらに第3のコードで多重に変調されていることを特徴とする請求項1または2記載の衛星航法装置。
- 第1のコードの追従位相誤差の同期加算時間を短く、第2のコードの追従位相誤差の同期加算時間を長くすることを特徴とする請求項6記載の衛星航法装置。
- 第1のコードの追従位相誤差の重みを軽く、第2のコードの追従位相誤差の重みを重くすることを特徴とする請求項6記載の衛星航法装置。
- 第2のコードの追尾位相に同期して第3のコードの復調を行うことを特徴とする請求項6記載の衛星航法装置。
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