JP5240018B2 - 内燃機関のラッシュアジャスタ支持構造 - Google Patents

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本発明は、内燃機関のラッシュアジャスタ支持構造に関する。
ローラーロッカーアームを有する動弁機構を備えた内燃機関のシリンダヘッドには、ラッシュアジャスタを取り付けるための取り付け穴や、ラッシュアジャスタにオイルを供給するためのオイル通路などが必要となる。このため、シリンダヘッドの上面が複雑な形状となるので、鋳造が難しくなり、製造コストが高くなり易い。
特開2008−75482号公報には、ラッシュアジャスタ18を装着するための装着凹部21を有するサブハウジング20を、カムハウジング3に固定した構成が開示されている(ここでの符号は、上記公報内でのもの)。このような構成によれば、シリンダヘッドの構造を簡素化することができる。
特開2008−75482号公報 特開2002−38909号公報 特開2006−161656号公報
しかしながら、ラッシュアジャスタの取り付け部をカムハウジングに設ける場合には、ラッシュアジャスタがカムハウジングにぶら下がった状態になる。このため、ラッシュアジャスタの支持剛性が低くなり易い。上述した従来の技術の場合で具体的に説明すると、カムシャフトを支持する梁状のシャフト支持部4Aの中央から下方へ長く伸びたサブハウジング支持部4Bを介してラッシュアジャスタが支持されている。このような構造のため、シャフト支持部4Aやサブハウジング支持部4Bの撓みによってラッシュアジャスタの位置がずれ易い。その結果、バルブのジャンプやバウンスが発生し易い。
また、上記公報の図面では、ラッシュアジャスタ18を保持するサブハウジング20をカムハウジング3(サブハウジング支持部4B)に対して固定するための取り付けボルトが省略されているが、実際上は取り付けボルトが必要である。このため、取り付けボルトによる重量増加を招くという問題もある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ラッシュアジャスタを高い剛性で支持することができ、製造が容易で、重量軽減が図れる内燃機関のラッシュアジャスタ支持構造を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関のラッシュアジャスタ支持構造であって、
内燃機関のシリンダヘッドに重ねて設置され、カムシャフトを前記シリンダヘッド側から支持する軸受部を有するカムシャフト支持部材と、
前記カムシャフト支持部材に対して固定され、前記カムシャフト支持部材との間に前記カムシャフトを保持するカムシャフト保持部材と、
前記カムシャフト支持部材と前記カムシャフト保持部材との間に挟まれた状態でボルトで共締めされることによって前記カムシャフト支持部材に固定される固定部と、ラッシュアジャスタを保持するラッシュアジャスタ保持部とを有するラッシュアジャスタ支持部材と、
前記カムシャフト支持部材に形成され、前記ラッシュアジャスタにオイルを供給する油路と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、シリンダヘッドの構造を簡素化することができるので、容易に製造することができ、製造コストを低減することができる。また、ラッシュアジャスタ支持部材の固定部を、カムシャフト支持部材とカムシャフト保持部材との間に挟んだ状態でボルトで共締めしたことにより、ラッシュアジャスタ支持部材をカムシャフト支持部材に対して高剛性に固定することができる。このため、ラッシュアジャスタを高い剛性で支持することができる。また、ボルト本数を削減することができ、軽量化、低コスト化、組立容易化が図れる。
本発明の実施の形態1におけるカムハウジングにラッシュアジャスタ支持部材およびカムキャップを組み付けた状態を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1におけるカムハウジングを示す斜視図である。 図1に示すカムハウジング組立体にシリンダヘッドおよび運動部品を組み付けることによって構成されるシリンダヘッド組立体を、吸気バルブおよび排気バルブの軸線を含む平面で切断した断面図である。 ラッシュアジャスタ支持部材の平面図である。 ラッシュアジャスタ支持部材の側面図である。 図4中のA−A線での断面図である。 実施の形態1のシリンダヘッド組立体を、カムジャーナル支持部およびカムキャップを通る平面で切断した断面図である。 図7中のS−S線での断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるカムハウジング1にラッシュアジャスタ支持部材2およびカムキャップ3を組み付けた状態を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態1におけるカムハウジングを示す斜視図である。
図1に示すように、カムハウジング1には、ラッシュアジャスタ支持部材2と、カムキャップ3とが組み付けられている。ラッシュアジャスタ支持部材2およびカムキャップ3は、ボルト19によって、カムハウジング1に固定されている。
カムハウジング1は、吸気バルブあるいは排気バルブを駆動するカムシャフト4を支持するための部材である。ただし、図1は、カムシャフト4を組み付けていない状態を示している。カムハウジング1は、カムシャフト4のジャーナルを支持するカムジャーナル支持部5を有している。カムジャーナル支持部5には、カムシャフト4のジャーナルを、後述するシリンダヘッド6側から支持するための軸受7が形成されている。ラッシュアジャスタ支持部材2には、油圧ラッシュアジャスタ8を保持するための挿入穴9が形成されている。カムキャップ3には、カムシャフト4のジャーナルの上半分を保持するための軸受10と、プラグチューブ11(図7参照)を挿通するための挿通孔12とが形成されている。
図2は、ラッシュアジャスタ支持部材2およびカムキャップ3を組み付ける前のカムハウジング1を示している。図2に示すように、カムハウジング1のカムジャーナル支持部5には、取り付けられるラッシュアジャスタ支持部材2に接触する取り付け面13,14が形成されている。取り付け面13は、シリンダ中心線に対し垂直な面であり、取り付け面14は、シリンダ中心線に平行な面である。取り付け面14には、油圧ラッシュアジャスタ8にオイルを供給するための給油孔15が形成されている。給油孔15は、反対側の取り付け面14まで貫通して形成されている。また、カムジャーナル支持部5には、プラグチューブ11(図7参照)を挿通するための挿通孔16が更に形成されている。
図3は、図1に示すカムハウジング組立体にシリンダヘッド6および運動部品を組み付けることによって構成される本実施形態のシリンダヘッド組立体を、吸気バルブおよび排気バルブの軸線を含む平面で切断した断面図である。シリンダヘッド6は、内燃機関のシリンダブロック(図示せず)に対して固定される。図3に示すように、シリンダヘッド6には、吸気ポートおよび排気ポートが形成されている。シリンダヘッド6には、吸気バルブおよび排気バルブが設置される。カムハウジング1は、シリンダヘッド6の上に重ねて設置される。カムシャフト4に設けられたカムは、ロッカーアーム17を介して、吸気バルブあるいは排気バルブを押圧する。ロッカーアーム17の一端は、油圧ラッシュアジャスタ8に支持されている。この油圧ラッシュアジャスタ8は、ラッシュアジャスタ支持部材2に形成された挿入穴9に挿入することにより、ラッシュアジャスタ支持部材2に支持されている。挿入穴9の底部には、エア抜き孔18が形成されている。
図4および図5は、それぞれ、ラッシュアジャスタ支持部材2の平面図および側面図である。図6は、図4中のA−A線での断面図である。図7は、本実施形態のシリンダヘッド組立体を、カムジャーナル支持部5およびカムキャップ3を通る平面で切断した断面図である。図8は、図7中のS−S線での断面図である。
図4に示すように、一個のラッシュアジャスタ支持部材2には、四個の挿入穴9が形成されている。すなわち、一個のラッシュアジャスタ支持部材2は、四個の油圧ラッシュアジャスタ8を支持することができる。ラッシュアジャスタ支持部材2は、固定部20を有している。固定部20には、ボルト19を挿通するためのボルト挿通孔21と、プラグチューブ11(図7参照)を挿通するための挿通孔22とが形成されている。ラッシュアジャスタ支持部材2は、カムハウジング1(カムジャーナル支持部5)とカムキャップ3との間に固定部20が挟まれることによって、カムハウジング1に対して固定される。
一個のラッシュアジャスタ支持部材2が備える四個の挿入穴9は、二個ずつに別れて形成されている。図5に示すように、片側の二個の挿入穴9が設けられた部分と、もう一方の側の二個の挿入穴9が設けられた部分とは、固定部20を介してそれらの上部で連結している。片側の二個の挿入穴9が設けられた部分の裏面23と、もう一方の側の二個の挿入穴9が設けられた部分の裏面23とは、隙間24を挟んで対向している。ラッシュアジャスタ支持部材2がカムハウジング1に組み付けられたときには、この隙間24の間にカムジャーナル支持部5が挿入した状態になる(図8参照)。すなわち、ラッシュアジャスタ支持部材2は、カムジャーナル支持部5を跨ぐようにして組み付けられる。その状態において、固定部20の底面25がカムジャーナル支持部5の取り付け面13に接触し、上記裏面23がカムジャーナル支持部5の取り付け面14に接触する。
図6に示すように、ラッシュアジャスタ支持部材2の裏面23には、油圧ラッシュアジャスタ8にオイルを供給するための給油孔26が開口している。
図7に示すように、ラッシュアジャスタ支持部材2は、カムジャーナル支持部5とカムキャップ3との間に固定部20が挟まれた状態で、ボルト19によって共締めされることによって、カムハウジング1に対して固定されている。カムジャーナル支持部5には、軸受部7と給油孔15との間を連通する油路27が形成されている。オイルは、油路27を通って、給油孔15へ送られる。そして、図8に示すように、オイルは、給油孔15から給油孔26を通って、油圧ラッシュアジャスタ8へ供給される。
カムシャフト4のカムがロッカーアーム17を押圧すると、油圧ラッシュアジャスタ8に下向きの力が作用する。以上説明したような本実施形態のラッシュアジャスタ支持構造によれば、ラッシュアジャスタ支持部材2の固定部20がカムジャーナル支持部5とカムキャップ3との間に挟まれた状態でカムハウジング1に固定されているので、油圧ラッシュアジャスタ8に下向きの力が作用したときにも、油圧ラッシュアジャスタ8を高い剛性で支持することができる。このため、バルブのジャンプやバウンスが発生しにくいので、、振動騒音を悪化させることなく、エンジンを高回転まで使用することができる。また、ボルト19によってカムキャップ3とラッシュアジャスタ支持部材2とを共締めすることにより、ボルト本数を削減することができる。このため、コスト低減および重量軽減が図れ、組み立ても容易となる。
また、カムジャーナル支持部5は、カムシャフト4を支持する部分であるので、特に剛性が高くされている部分である。本実施形態では、そのような高剛性のカムジャーナル支持部5を跨ぐようにしてラッシュアジャスタ支持部材2を組み付けることにより、油圧ラッシュアジャスタ8を特に高い剛性で支持することができる。
更に、本実施形態によれば、次のような種々の効果が得られる。
シリンダヘッドの構造を簡素化することができるので、製造コストを低減することができる。また、設計変更や他機種への設計の流用も容易となる。
シリンダヘッドからラッシュアジャスタ取り付け部への給油路や、複数の油圧ラッシュアジャスタを結ぶ油路などの長い油路を廃止できるので、鋳造や加工のコストを低減することができる。
カムや油圧ラッシュアジャスタ等の動弁系部品をサブライン上でカムハウジングに組み付けることができるので、エンジン組み立てラインの簡素化が図れる。
なお、本実施形態では、ラッシュアジャスタ支持部材2が気筒毎に独立している構成を例に説明したが、本発明では、各気筒のラッシュアジャスタ支持部材2が梁等を介して相互に連結されていてもよい。ただし、その場合であっても、気筒毎の各ラッシュアジャスタ支持部材2をそれぞれカムハウジング1と締結することが剛性上望ましい。
上述した実施の形態1においては、カムハウジング1が前記第1の発明における「カムシャフト支持部材」に、カムキャップ3が前記第1の発明における「カムシャフト保持部材」に、挿入穴9が前記第1の発明における「ラッシュアジャスタ保持部」に、それぞれ相当している。
1 カムハウジング
2 ラッシュアジャスタ支持部材
3 カムキャップ
4 カムシャフト
5 カムジャーナル支持部
6 シリンダヘッド
7 軸受部
8 油圧ラッシュアジャスタ
9 挿入穴
10 軸受部
11 プラグチューブ
12,16,22 挿通孔
13,14 取り付け面
15,26 給油孔
17 ロッカーアーム
19 ボルト
20 固定部
21 ボルト挿通孔
23 裏面
25 底面
27 油路

Claims (1)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドに重ねて設置され、カムシャフトを前記シリンダヘッド側から支持する軸受部を有するカムシャフト支持部材と、
    前記カムシャフト支持部材に対して固定され、前記カムシャフト支持部材との間に前記カムシャフトを保持するカムシャフト保持部材と、
    前記カムシャフト支持部材と前記カムシャフト保持部材との間に挟まれた状態でボルトで共締めされることによって前記カムシャフト支持部材に固定される固定部と、ラッシュアジャスタを保持するラッシュアジャスタ保持部とを有するラッシュアジャスタ支持部材と、
    前記カムシャフト支持部材に形成され、前記ラッシュアジャスタにオイルを供給する油路と、
    を備えることを特徴とする内燃機関のラッシュアジャスタ支持構造。
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