JP2008133749A - カムシャフトの軸受構造及び軸受方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンにおけるバルブリフト量の誤差やカムシャフトの剛性不足やコストアップを生じさせることなく、カムシャフトの複数ある各カム軸受部において、シリンダヘッドの熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができるカムシャフトの軸受構造を提供すること。
【解決手段】シリンダブロック1に取り付けられるシリンダヘッド2に対して一体的に設けられるヘッド側軸受部10(第一の軸受部)と、シリンダヘッド2とは別部材により構成されヘッド側軸受部10とともにカムシャフト4のジャーナル部9を支承するカム軸受部30を構成するカムキャップ20(第二の軸受部)とを備えるカムシャフトの軸受構造であって、ヘッド側軸受部10を、カム軸受部30がカムシャフト4の支持機能を損なわない程度に、カムシャフト4の軸方向に対して垂直な面方向に肉薄とした。
【選択図】図3
【解決手段】シリンダブロック1に取り付けられるシリンダヘッド2に対して一体的に設けられるヘッド側軸受部10(第一の軸受部)と、シリンダヘッド2とは別部材により構成されヘッド側軸受部10とともにカムシャフト4のジャーナル部9を支承するカム軸受部30を構成するカムキャップ20(第二の軸受部)とを備えるカムシャフトの軸受構造であって、ヘッド側軸受部10を、カム軸受部30がカムシャフト4の支持機能を損なわない程度に、カムシャフト4の軸方向に対して垂直な面方向に肉薄とした。
【選択図】図3
Description
本発明は、内燃機関においてシリンダヘッドに支持されるカムシャフトの軸受構造及び軸受方法に関する。
自動車エンジン等の内燃機関(エンジン)においては、その一般的な構成として、クランクシャフトを回転可能に支持するシリンダブロックと、このシリンダブロックに取り付けられるとともにクランクシャフトの回転を機関バルブ(吸・排気バルブ)を開閉させるための動弁機構に伝達するカムシャフトを回転可能に支持するシリンダヘッドとを備える構成(いわゆるオーバーヘッドカムシャフト式のエンジン)がある。
かかる構成においては、エンジンの実働時等において、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に温度差が発生し、熱変形による歪(熱歪)が生じることがある。具体的には、次のとおりである。
かかる構成においては、エンジンの実働時等において、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間に温度差が発生し、熱変形による歪(熱歪)が生じることがある。具体的には、次のとおりである。
すなわち、前記のような構成のエンジンにおいては、クランクシャフトを回転させるためにシリンダブロックのシリンダ内を往復摺動するピストンの上方(シリンダヘッド側)に形成される燃焼室の位置等の関係から、シリンダブロックに対してシリンダヘッド側の温度が高くなる。このため、シリンダブロックよりもシリンダヘッドの熱膨張が大きくなる。なお、熱膨張に関しては、例えば、アルミ合金で構成されるシリンダブロックに対してシリンダヘッドが鋳鉄で構成される場合等のように、シリンダヘッドがシリンダブロックよりも熱膨張率の高い材料で構成されることも、シリンダブロックよりもシリンダヘッドの熱膨張が大きくなる要因となる。
こうしたシリンダヘッドの熱膨張は、例えば直列四気筒エンジン等のように、シリンダヘッドの長手方向がその支持するカムシャフトの軸方向となる構成の場合、シリンダヘッドがその長手方向(カムシャフトの軸方向)に反り返った状態となるという熱歪を生じさせる。つまり、ヘッドボルト等によりシリンダブロックに対して固着されているシリンダヘッドは、熱膨張することにより、その長手方向に湾曲してシリンダブロックに対して凸形状に変形する。
このようなシリンダヘッドの熱膨張による反り返りは、その支持するカムシャフトに対して軸方向に曲げる力(曲げる方向に押し付ける力)を作用させ、カムシャフトの支持部(軸受部)におけるフリクションの増大や偏摩耗を生じさせる要因となる。
このようなシリンダヘッドの熱膨張による反り返りは、その支持するカムシャフトに対して軸方向に曲げる力(曲げる方向に押し付ける力)を作用させ、カムシャフトの支持部(軸受部)におけるフリクションの増大や偏摩耗を生じさせる要因となる。
そこで、前記のようなシリンダヘッドの熱膨張による反り返りにともなう問題を解決するための技術として、例えば特許文献1に示されているものがある。本文献においては、カムシャフトを支持する軸受を、一体結合された複数の軸受部により形成するとともに、その軸受を、弾性部材を介してシリンダヘッド上に支持する構成が示されている。
確かに、本構成においては、エンジンの実働時等に生じるシリンダヘッドの凸形状となる熱変形が弾性部材によって吸収されて軸受部に伝わることを防ぐことができ、カムシャフトの軸受部における偏摩耗等を防止することができると考えられる。
確かに、本構成においては、エンジンの実働時等に生じるシリンダヘッドの凸形状となる熱変形が弾性部材によって吸収されて軸受部に伝わることを防ぐことができ、カムシャフトの軸受部における偏摩耗等を防止することができると考えられる。
しかし、特許文献1に示されているカムシャフトの軸受構造では、カムシャフトが、シリンダヘッド(シリンダヘッドによりその一部が形成される燃焼室)の熱変形に追従しないことにより、バルブリフト量(機関バルブのバルブ開度)に誤差が生じ、エンジンにおける吸・排気制御や燃料噴射制御に支障が生じるおそれがある。また、カムシャフトの軸受部全体が弾性部材を介して支持される構成であるため、カムシャフトの位置がエンジンの振動の影響を受けてしまうこととなり、この点からも、バルブリフト量に誤差が生じると考えられる。
他方、シリンダヘッドの熱変形にともなうカムシャフトの軸受部におけるフリクションの低減を図る観点からは、その軸受部においてボールベアリングを軸受として使用することが考えられる(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、カムシャフトの複数ある軸受部のうち、外力が加わりやすい部分となる、クランクシャフトからの回転がスプロケットやチェーン等を介して伝達される側の端部の軸受部にボールベアリングが用いられている。
しかし、シリンダヘッドにおけるカムシャフトの軸受としてボールベアリングを使用する場合、次のような問題がある。
しかし、シリンダヘッドにおけるカムシャフトの軸受としてボールベアリングを使用する場合、次のような問題がある。
まず、ボールベアリングを使用することで、カムシャフトの径を細くする必要が生じ、カムシャフトの剛性が不足するという問題がある。すなわち、ボールベアリングが使用される軸受部は、そのボールベアリングを支持する側(例えばシリンダヘッドの軸受部等)に、カムシャフトからの荷重でボールベアリングのボールが押圧されることによる窪み(圧痕)が生じる等の関係から、耐荷重が比較的小さい。そこで、ボールベアリングの耐荷重を大きくしようとすると、ベアリングのサイズを大きくする必要が生じる。しかし、シリンダヘッドにおけるカムシャフトの搭載スペースは限られている。
つまり、十分な耐荷重を有するボールベアリングを用いてカムシャフトを支持しようとした場合、カムシャフトの搭載スペースを考慮すると、ベアリングサイズとの関係からカムシャフトを細くせざるを得ない場合が生じ、カムシャフトが剛性不足となる問題が生じる。
つまり、十分な耐荷重を有するボールベアリングを用いてカムシャフトを支持しようとした場合、カムシャフトの搭載スペースを考慮すると、ベアリングサイズとの関係からカムシャフトを細くせざるを得ない場合が生じ、カムシャフトが剛性不足となる問題が生じる。
また、特許文献2に示されている構成について言うと、前記のとおりクランクシャフトからの回転が伝達される側の端部における軸受部についてのみボールベアリングが使用されていることから、それ以外の軸受部については特に考慮されていない。
つまり、フリクション低減の効果が得られるのは、ボールベアリングが使用されている軸受部のみであり、ボールベアリングが使用されてない軸受部については、そのフリクションを低減させるための改良の余地がある。
さらに、ボールベアリングを使用することはコストアップを招くという問題もある。
特開昭58−59306号公報
特開平8−284617号公報
つまり、フリクション低減の効果が得られるのは、ボールベアリングが使用されている軸受部のみであり、ボールベアリングが使用されてない軸受部については、そのフリクションを低減させるための改良の余地がある。
さらに、ボールベアリングを使用することはコストアップを招くという問題もある。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、エンジンにおけるバルブリフト量の誤差やカムシャフトの剛性不足やコストアップを生じさせることなく、カムシャフトの複数ある各カム軸受部において、シリンダヘッドの熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができるカムシャフトの軸受構造を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成され前記第一の軸受部とともにカムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成する第二の軸受部とを備えるカムシャフトの軸受構造であって、前記第一の軸受部を、前記カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度に、カムシャフトの軸方向に対して垂直な面方向に肉薄としたものである。
請求項2においては、前記カム軸受部として、カムシャフトの軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部と、これら端部側軸受部間に位置する内側軸受部とを有し、前記内側軸受部の前記第一の軸受部を、前記端部側軸受部の前記第一の軸受部よりも前記面方向に肉薄としたものである。
請求項3においては、シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成され前記第一の軸受部とともにカムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成する第二の軸受部とを備えるカムシャフトの軸受構造であって、前記第一の軸受部を、前記ジャーナル部に対する軸受面を形成する軸受面部と、該軸受面部を前記シリンダヘッドの本体に対して支持する軸受支持部とを有する構成としたものである。
請求項4においては、前記カム軸受部として、カムシャフトの軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部と、これら端部側軸受部間に位置する内側軸受部とを有し、前記内側軸受部の前記第一の軸受部を、前記軸受面部と前記軸受支持部とを有する構成としたものである。
請求項5においては、シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成され前記第一の軸受部とともにカムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成する第二の軸受部とを備えるカムシャフトの軸受構造であって、前記第一の軸受部を、前記カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度に、カムシャフトの軸方向に肉薄としたものである。
請求項6においては、前記カム軸受部として、カムシャフトの軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部と、これら端部側軸受部間に位置する内側軸受部とを有し、前記内側軸受部の前記第一の軸受部を、前記端部側軸受部の前記第一の軸受部よりもカムシャフトの軸方向に肉薄としたものである。
請求項7においては、前記ジャーナル部は、カムシャフトにおける拡径部であり、前記第一の軸受部及び前記第二の軸受部と、前記ジャーナル部との接触面に、カムシャフトの軸方向に湾曲するR形状部を、カムシャフトの回転方向全周にわたって設けたものである。
請求項8においては、シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成される第二の軸受部とにより、カムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成するカムシャフトの軸受方法であって、前記第一の軸受部に、カムシャフトの軸方向に貫通する孔部を設けることにより、前記カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度に、前記第一の軸受部の剛性を低下させるものである。
請求項9においては、前記カム軸受部は、カムシャフトの軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部と、これら端部側軸受部間に位置する内側軸受部とを有するものであり、前記内側軸受部の前記第一の軸受部の剛性を、前記端部側軸受部のそれよりも低下させるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、エンジンにおけるバルブリフト量の誤差やカムシャフトの剛性不足やコストアップを生じさせることなく、カムシャフトの複数ある各カム軸受部において、シリンダヘッドの熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
すなわち、本発明によれば、エンジンにおけるバルブリフト量の誤差やカムシャフトの剛性不足やコストアップを生じさせることなく、カムシャフトの複数ある各カム軸受部において、シリンダヘッドの熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明に係るカムシャフトの軸受構造は、シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成され前記第一の軸受部とともにカムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成する第二の軸受部とを備える。
本発明に係るカムシャフトの軸受構造は、シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成され前記第一の軸受部とともにカムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成する第二の軸受部とを備える。
第一の軸受部は、例えば、直列複数気筒のエンジンにおいて、シリンダヘッドにおける各気筒に対応する部位に設けられる壁状の部分により構成される。すなわち、シリンダヘッドに対して一体的に形成される壁状の部分の上面に、半円柱状の軸受面が形成されることにより、第一の軸受部が構成される。
第一の軸受部は、ダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)のエンジンのように二本のカムシャフトが平行に支持される構成の場合、カムシャフトの軸方向(以下「カム軸方向」とする。)に複数設けられる各カム軸受部(支持部)において、両カムシャフトに対する二つの軸受面を有する一つの壁状の部分(共通の壁状の部分)によって、あるいはいずれかのカムシャフトに対する軸受面を有する二つの壁状の部分(別々の壁状の部分)によって構成される。
第一の軸受部は、ダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)のエンジンのように二本のカムシャフトが平行に支持される構成の場合、カムシャフトの軸方向(以下「カム軸方向」とする。)に複数設けられる各カム軸受部(支持部)において、両カムシャフトに対する二つの軸受面を有する一つの壁状の部分(共通の壁状の部分)によって、あるいはいずれかのカムシャフトに対する軸受面を有する二つの壁状の部分(別々の壁状の部分)によって構成される。
第二の軸受部は、第一の軸受部に対して固設されるキャップ部材(カムキャップ等と称される。)等により構成される。すなわち、第二の軸受部は、第一の軸受部が有する軸受面と同様の半円柱状の軸受面を有し、第一の軸受部に対して互いの軸受面が対向するように設けられる。
第二の軸受部は、前記のように二本のカムシャフトが平行に支持される構成においては、カム軸方向に複数設けられる各カム軸受部において、両カムシャフトに対する二つの軸受面を有する一体のキャップ部材(共通のキャップ部材)によって、あるいはいずれかのカムシャフトに対する軸受面を有する二つのキャップ部材(別々のキャップ部材)によって構成される。
また、カム軸方向に複数設けられる各カム軸受部を構成する複数の第二の軸受部が、一体のハウジング部材(カムハウジング等と称される。)により構成される場合もある。
第二の軸受部は、前記のように二本のカムシャフトが平行に支持される構成においては、カム軸方向に複数設けられる各カム軸受部において、両カムシャフトに対する二つの軸受面を有する一体のキャップ部材(共通のキャップ部材)によって、あるいはいずれかのカムシャフトに対する軸受面を有する二つのキャップ部材(別々のキャップ部材)によって構成される。
また、カム軸方向に複数設けられる各カム軸受部を構成する複数の第二の軸受部が、一体のハウジング部材(カムハウジング等と称される。)により構成される場合もある。
このように、シリンダヘッド側に設けられる第一の軸受部と、シリンダヘッドとは別部材により構成される第二の軸受部とにより、カムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部が構成される。
つまり、第一の軸受部に対して第二の軸受部が固定されること等により、互いの軸受面同士が対向した状態で、円柱状のトンネル部となる軸受面が形成される。この軸受面に対し、直接あるいは軸受メタルを介する等して、カムシャフトが貫通した状態でそのジャーナル部が支承される。
つまり、第一の軸受部に対して第二の軸受部が固定されること等により、互いの軸受面同士が対向した状態で、円柱状のトンネル部となる軸受面が形成される。この軸受面に対し、直接あるいは軸受メタルを介する等して、カムシャフトが貫通した状態でそのジャーナル部が支承される。
そして、本発明に係るカムシャフトの軸受構造においては、前記第一の軸受部が、カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度に、カム軸方向に対して垂直な面方向あるいはカム軸方向に肉薄とされる。
カム軸方向に対して垂直な面方向(以下「カム軸垂直方向」という。)とは、カムシャフトが垂直方向に貫通するような面の方向であり、この方向に、壁状の部分として構成される第一の軸受部が、カム軸受部のカムシャフトの支持機能を確保する状態で肉薄とされる。
第一の軸受部が、カム軸垂直方向に肉薄とされる態様としては、例えば次のようなものが考えられる。
すなわち、シリンダヘッドにおいて壁状(板状)の部分として構成される第一の軸受部に対してカム軸方向に貫通する孔部が設けられることで、第一の軸受部がシリンダヘッドの本体に対して略門状に構成される。つまりこの場合、第一の軸受部が、カム軸垂直方向に、内側から外側にかけて肉厚が薄くされる。
また、第一の軸受部に対してカム軸方向に貫通する孔部が設けられるに際し、その孔部が複数設けられることで、第一の軸受部が格子状に構成される。かかる構成も、第一の軸受部がカム軸垂直方向に肉厚が薄くされる態様に含まれる。つまり、第一の軸受部に対して設けられる孔部の形状や大きさは特に限定されるものではない。
また、第一の軸受部が、カム軸垂直方向に、外側から内側にかけて肉厚が薄くされる場合も含まれる。つまりこの場合、第一の軸受部に対してカム軸方向視で左右両側に凹部が設けられることで、第一の軸受部がシリンダヘッドの本体に対して略T字状に構成される。
すなわち、シリンダヘッドにおいて壁状(板状)の部分として構成される第一の軸受部に対してカム軸方向に貫通する孔部が設けられることで、第一の軸受部がシリンダヘッドの本体に対して略門状に構成される。つまりこの場合、第一の軸受部が、カム軸垂直方向に、内側から外側にかけて肉厚が薄くされる。
また、第一の軸受部に対してカム軸方向に貫通する孔部が設けられるに際し、その孔部が複数設けられることで、第一の軸受部が格子状に構成される。かかる構成も、第一の軸受部がカム軸垂直方向に肉厚が薄くされる態様に含まれる。つまり、第一の軸受部に対して設けられる孔部の形状や大きさは特に限定されるものではない。
また、第一の軸受部が、カム軸垂直方向に、外側から内側にかけて肉厚が薄くされる場合も含まれる。つまりこの場合、第一の軸受部に対してカム軸方向視で左右両側に凹部が設けられることで、第一の軸受部がシリンダヘッドの本体に対して略T字状に構成される。
また、第一の軸受部が、カム軸方向に肉薄とされる場合は、壁状の部分である第一の軸受部の厚さが、全体的にあるいは部分的に薄くされる。
そして、カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度とは、第一の軸受部が前記のようにカム軸垂直方向あるいはカム軸方向に肉薄とされることによっても、カム軸受部の本来有する支持機能が確保されることを意味する。つまり、カム軸受部によるカムシャフトの支持について、エンジンの正常な運転の妨げとならないように、第一の軸受部がカム軸垂直方向あるいはカム軸方向に肉薄とされる。
ここで、カム軸受部が有するカムシャフトの支持機能には、第一の軸受部に対する第二の軸受部を固定する機能及びその固定を維持する機能が含まれる。つまり、例えば、第二の軸受部が第一の軸受部に対してボルト等の締結具によって締結固定される構成においては、締結具の螺挿に対する強度やその螺挿による締結状態が維持されるように、第一の軸受部がカム軸垂直方向あるいはカム軸方向に肉薄とされる。
ここで、カム軸受部が有するカムシャフトの支持機能には、第一の軸受部に対する第二の軸受部を固定する機能及びその固定を維持する機能が含まれる。つまり、例えば、第二の軸受部が第一の軸受部に対してボルト等の締結具によって締結固定される構成においては、締結具の螺挿に対する強度やその螺挿による締結状態が維持されるように、第一の軸受部がカム軸垂直方向あるいはカム軸方向に肉薄とされる。
このように、第一の軸受部を、カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度に、カム軸垂直方向あるいはカム軸方向に肉厚を薄くすることで、エンジンにおけるバルブリフト量の誤差やカムシャフトの剛性不足やコストアップを生じさせることなく、カムシャフトの複数ある各カム軸受部において、シリンダヘッドの熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
すなわち、第一の軸受部を前記のように肉薄とすることで、その剛性を低下させることができるので、シリンダヘッドの熱膨張による反り返り等の熱変形によって生じる、カムシャフトを軸方向に曲げる方向の押付け力を、第一の軸受部が弾性変形することによってたわみ吸収することができる。つまり、例えばシリンダヘッドの熱変形によって生じるカムシャフトに対する押付け力のうち局部的に強くなる押付け力が、第一の軸受部の弾性変形によって吸収されて低減されることとなる。これにより、カムシャフトの軸受部(ジャーナル部)におけるフリクションや偏摩耗を低減させることができる。
また、第一の軸受部が弾性変形することにより、カム軸受部(の軸受面)の位置自体が、シリンダヘッド全体の変形に追従することとなる。このため、カム軸受部により支持されるカムシャフトもシリンダヘッドの変形に追従することとなり、バルブリフト量への影響を少なくすることができる。つまりは、シリンダヘッドの熱変形にともなうバルブリフト量の誤差を防止することができる。
また、第一の軸受部を肉薄にすることは、シリンダヘッド側に設けられる部分における加工(構造)であるため、ボールベアリングを用いることで生じる問題、即ちカムシャフトの剛性不足や軸受構造のコストアップを生じさせることがない。
さらに、第一の軸受部を肉薄にするという、カム軸受部を構成する部分のうち第一の軸受部のみに対策を講じるだけで、カム軸受部全体つまりカムシャフトのジャーナル部全体のフリクション低減が可能となる。
以下、本発明に係るカムシャフトの軸受構造について、その具体的な実施の形態を図面を参照しながら説明する。
さらに、第一の軸受部を肉薄にするという、カム軸受部を構成する部分のうち第一の軸受部のみに対策を講じるだけで、カム軸受部全体つまりカムシャフトのジャーナル部全体のフリクション低減が可能となる。
以下、本発明に係るカムシャフトの軸受構造について、その具体的な実施の形態を図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係るカムシャフトの軸受構造は、自動車等に搭載される直列四気筒のエンジンに備えられる。図1に示すように、本実施形態に係るエンジンの主な構成として、シリンダブロック1とシリンダヘッド2とを備える。
シリンダブロック1は、一列に並んだ状態となる四個のシリンダボア(シリンダ)1aを有する。シリンダボア1aは、ピストンを摺動可能に内装するものであり、シリンダブロック1においてシリンダヘッド2が組み付けられるシリンダヘッド取付面1bに開口する。
シリンダブロック1には、クランクシャフト(図示略)が、シリンダボア1aの直列方向を軸方向として回転可能に支持される。クランクシャフトは、前記ピストンのシリンダボア1a内における往復運動が、ピストンに連結されるコンロッドを介して回転に変換されて伝達されることにより回転する。
シリンダブロック1には、クランクシャフト(図示略)が、シリンダボア1aの直列方向を軸方向として回転可能に支持される。クランクシャフトは、前記ピストンのシリンダボア1a内における往復運動が、ピストンに連結されるコンロッドを介して回転に変換されて伝達されることにより回転する。
シリンダヘッド2は、シリンダヘッド取付面1bに対してガスケット3を介してヘッドボルト等が用いられて固着されることにより取り付けられる。
シリンダヘッド2には、二本のカムシャフト4が、前記クランクシャフトと軸方向を同じくして平行に回転可能に支持される。つまり、本実施形態に係るエンジンはDOHCであり、一方のカムシャフト4が吸気側のカムシャフト(インテークカムシャフト)、他方のカムシャフト4が排気側のカムシャフト(エキゾーストカムシャフト)となる。
このように、二本のカムシャフト4を支持する本実施形態に係るシリンダヘッド2は、その長手方向がカムシャフト4の軸方向となる。
シリンダヘッド2には、二本のカムシャフト4が、前記クランクシャフトと軸方向を同じくして平行に回転可能に支持される。つまり、本実施形態に係るエンジンはDOHCであり、一方のカムシャフト4が吸気側のカムシャフト(インテークカムシャフト)、他方のカムシャフト4が排気側のカムシャフト(エキゾーストカムシャフト)となる。
このように、二本のカムシャフト4を支持する本実施形態に係るシリンダヘッド2は、その長手方向がカムシャフト4の軸方向となる。
カムシャフト4は、クランクシャフトの回転がチェーンやタイミングベルト等を介して伝達されることで回転する。つまり、例えばクランクシャフトの回転の伝達にチェーンが用いられる場合、カムシャフト4の一端部(図1における手前側端部)には、図示せぬスプロケットが設けられる一方、クランクシャフト側における対応する部分にもスプロケットが設けられ、これらスプロケットにチェーンが巻回される構成により、クランクシャフトの回転が各カムシャフト4に伝達される。
カムシャフト4は、クランクシャフトの回転を機関バルブ(吸・排気バルブ)を開閉させるための動弁機構に伝達する。つまり、各カムシャフト4が回転することにより、吸気バルブと排気バルブとが別々のカムシャフト4によって駆動し所定のタイミングで開閉する。具体的には次のとおりとなる。
すなわち、本実施形態に係るエンジンの場合、各気筒に対して二つずつの吸気通路及び排気通路が設けられる。各吸・排気通路は、シリンダヘッド2に形成され、各シリンダボア1aの上方、つまり各シリンダボア1aに内装されるピストンとシリンダヘッド2との間に形成される燃焼室に対して吸・排気バルブを介して連通する。これら吸・排気バルブの開閉が、吸・排気側それぞれのカムシャフト4の回転により動弁機構を介して行われる。
すなわち、本実施形態に係るエンジンの場合、各気筒に対して二つずつの吸気通路及び排気通路が設けられる。各吸・排気通路は、シリンダヘッド2に形成され、各シリンダボア1aの上方、つまり各シリンダボア1aに内装されるピストンとシリンダヘッド2との間に形成される燃焼室に対して吸・排気バルブを介して連通する。これら吸・排気バルブの開閉が、吸・排気側それぞれのカムシャフト4の回転により動弁機構を介して行われる。
図1に示すように、動弁機構は、カムシャフト4に対して一体的に設けられるカム5と、燃焼室に連通するポート部の開閉を行うバルブ6と、バルブ6と一体的に設けられカム5に当接するとともにカム5の回転運動をバルブ6の往復運動に変換するバルブリフタ7と、バルブ6(バルブリフタ7)を吸・排気バルブが閉じる方向(バルブリフタ7がカム5に押圧される方向)に付勢するバルブスプリング8とを備える。
したがって、本実施形態では、吸気側及び排気側それぞれのカムシャフト4において、各気筒に対応するカム5が、二個ずつ計八個、気筒ごとに異なる角度位置で設けられる。なお、図1においては、便宜上、各カム5に対応して設けられる動弁機構は、カムシャフト4の他端部(図1における奥側端部)についてのみ図示している。
したがって、本実施形態では、吸気側及び排気側それぞれのカムシャフト4において、各気筒に対応するカム5が、二個ずつ計八個、気筒ごとに異なる角度位置で設けられる。なお、図1においては、便宜上、各カム5に対応して設けられる動弁機構は、カムシャフト4の他端部(図1における奥側端部)についてのみ図示している。
このような構成により、クランクシャフトの回転にともないカムシャフト4が回転し、これにともなうカム5の回転によってバルブ6が往復動し、各吸・排気バルブの開閉(吸・排気通路と燃焼室との連通・遮断)が行われる。この際、各気筒における吸・排気バルブの開閉は、吸気側及び排気側それぞれのカムシャフト4におけるカム5の角度位置による所定のタイミングで行われる。
各カムシャフト4は、シリンダヘッド2において各気筒に対応する部位に形成される壁状の部分により構成されるヘッド側軸受部10と、このヘッド側軸受部10に固定されるカムキャップ20とにより回転可能に支持される。
すなわち、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造は、シリンダブロック1に取り付けられるシリンダヘッド2に対して一体的に設けられる第一の軸受部としてのヘッド側軸受部10と、シリンダヘッド2とは別部材により構成されヘッド側軸受部10とともにカムシャフト4のジャーナル部9を支承するカム軸受部30(図3参照)を構成する第二の軸受部としてのカムキャップ20とを備える。
したがって、本実施形態にかかる直列四気筒エンジンにおいては、カム軸方向(カムシャフト4の軸方向)に四つのカム軸受部30が設けられる。
すなわち、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造は、シリンダブロック1に取り付けられるシリンダヘッド2に対して一体的に設けられる第一の軸受部としてのヘッド側軸受部10と、シリンダヘッド2とは別部材により構成されヘッド側軸受部10とともにカムシャフト4のジャーナル部9を支承するカム軸受部30(図3参照)を構成する第二の軸受部としてのカムキャップ20とを備える。
したがって、本実施形態にかかる直列四気筒エンジンにおいては、カム軸方向(カムシャフト4の軸方向)に四つのカム軸受部30が設けられる。
ヘッド側軸受部10は、本実施形態では、吸気側及び排気側の両カムシャフト4に対する二つの軸受面(以下「ヘッド側軸受面」とする。)11を有する一つの壁状の部分(共通の壁状の部分)により構成される。つまり、壁状の部分であるヘッド側軸受部10の上面となる合わせ面12には、シリンダヘッド2において所定の間隔を隔てて平行に支持される両カムシャフト4に対応するように二つのヘッド側軸受面11が形成される。ヘッド側軸受面11は、半円柱状に形成される。
なお、ヘッド側軸受部10は、吸気側及び排気側のいずれかのカムシャフト4に対する軸受面を有する二つの壁状の部分(別々の壁状の部分)からなる構成であってもよい。
なお、ヘッド側軸受部10は、吸気側及び排気側のいずれかのカムシャフト4に対する軸受面を有する二つの壁状の部分(別々の壁状の部分)からなる構成であってもよい。
カムキャップ20は、本実施形態では、吸気側及び排気側の両カムシャフト4に対する二つの軸受面(以下「キャップ側軸受面」とする。)21を有する一体の部材(共通の部材)として構成される。つまり、カムキャップ20は、ヘッド側軸受部10の厚さ(壁厚)に対応する厚さを有する略板状の部材として構成され、その一端側の面となる合わせ面22に、ヘッド側軸受面11と同様の半円柱状の二つのキャップ側軸受面21が、ヘッド側軸受面11に対応するように形成される。
なお、カムキャップ20は、吸気側及び排気側のいずれかのカムシャフト4に対する軸受面を有する二つの部材(別々の部材)からなる構成であってもよい。
なお、カムキャップ20は、吸気側及び排気側のいずれかのカムシャフト4に対する軸受面を有する二つの部材(別々の部材)からなる構成であってもよい。
このように、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造においては、シリンダヘッド2側に設けられるヘッド側軸受部10と、シリンダヘッド2とは別部材により構成されるカムキャップ20とにより、カムシャフト4のジャーナル部9を支承するカム軸受部30が構成される。ここで、ジャーナル部9は、各カムシャフト4において、各気筒に対応する二つのカム5の間の部分に設けられる。
つまり、カムシャフト4の軸受構造における各カム軸受部30においては、ヘッド側軸受部10に対してカムキャップ20がボルト等の締結具により固定されることにより、互いの合わせ面12・22同士が接した状態で、対向するヘッド側軸受面11とキャップ側軸受面21とにより、円柱状のトンネル部となる軸受面が形成される。この軸受面に対し、直接あるいは軸受メタルを介する等して、カムシャフト4が貫通した状態でそのジャーナル部9が支承される。
つまり、カムシャフト4の軸受構造における各カム軸受部30においては、ヘッド側軸受部10に対してカムキャップ20がボルト等の締結具により固定されることにより、互いの合わせ面12・22同士が接した状態で、対向するヘッド側軸受面11とキャップ側軸受面21とにより、円柱状のトンネル部となる軸受面が形成される。この軸受面に対し、直接あるいは軸受メタルを介する等して、カムシャフト4が貫通した状態でそのジャーナル部9が支承される。
以上のような構成を備える本実施形態のエンジンにおいては、クランクシャフトを回転させるためにシリンダブロック1のシリンダボア1a内を往復摺動するピストンの上方(シリンダヘッド2側)に形成される燃焼室の位置等の関係から、シリンダブロック1に対してシリンダヘッド2側の温度が高くなる。このため、シリンダブロック1よりもシリンダヘッド2の熱膨張が大きくなる。
図2の模式図に示すように、こうしたシリンダヘッド2の熱膨張は、本実施形態に係る直列四気筒エンジンのように、シリンダヘッド2の長手方向がカム軸方向となる構成の場合、シリンダヘッド2がその長手方向(カム軸方向)に反り返った状態となるという熱歪を生じさせる(矢印A1参照)。つまり、ヘッドボルト等によりシリンダブロック1に対して固着されているシリンダヘッド2は、熱膨張することにより、その長手方向に湾曲してシリンダブロック1に対して凸形状に変形する。
このようなシリンダヘッド2の熱膨張による反り返りは、その支持するカムシャフト4に対して軸方向に曲げる力(曲げる方向に押し付ける力)を作用させ、カム軸受部30におけるフリクションの増大や偏摩耗を生じさせる要因となる。
具体的には、図2に示すように、シリンダヘッド2の熱膨張による反り返りが生じると、そのシリンダヘッド2の湾曲変形にともない、カムシャフト4に対してカム軸受部30を介して次のような押付け力が作用する。
具体的には、図2に示すように、シリンダヘッド2の熱膨張による反り返りが生じると、そのシリンダヘッド2の湾曲変形にともない、カムシャフト4に対してカム軸受部30を介して次のような押付け力が作用する。
すなわち、カム軸方向に四つあるカム軸受部30のうち、中間(内側)に位置する二つのカム軸受部30(30y参照)においては、ヘッド側軸受部10からヘッド側軸受面11を介してカムシャフト4のジャーナル部9に作用する押付け力が大きくなる(矢印F1参照)。
また、同じく四つあるカム軸受部30のうち、両端(外側)に位置する二つのカム軸受部30(30x参照)においては、カムキャップ20からキャップ側軸受面21を介してカムシャフト4のジャーナル部9に作用する押付け力が大きくなる(矢印F2参照)。
これらの押付け力が、カムシャフト4をその軸方向に曲げる主な押付け力となり、各カム軸受部30においてフリクションの増大や偏摩耗が生じる。つまり、中間に位置する二つのカム軸受部30におけるヘッド側軸受面11、及び両端に位置する二つのカム軸受部30におけるキャップ側軸受面21の、それぞれにおけるジャーナル部9に接する部分が、フリクションが増大する部位となる。
また、同じく四つあるカム軸受部30のうち、両端(外側)に位置する二つのカム軸受部30(30x参照)においては、カムキャップ20からキャップ側軸受面21を介してカムシャフト4のジャーナル部9に作用する押付け力が大きくなる(矢印F2参照)。
これらの押付け力が、カムシャフト4をその軸方向に曲げる主な押付け力となり、各カム軸受部30においてフリクションの増大や偏摩耗が生じる。つまり、中間に位置する二つのカム軸受部30におけるヘッド側軸受面11、及び両端に位置する二つのカム軸受部30におけるキャップ側軸受面21の、それぞれにおけるジャーナル部9に接する部分が、フリクションが増大する部位となる。
そこで、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造においては、ヘッド側軸受部10が、カム軸受部30がカムシャフト4の支持機能を損なわない程度に、カム軸方向に対して垂直な面方向に肉薄とされている。
カム軸方向に対して垂直な面方向(カム軸垂直方向)とは、カムシャフト4が垂直方向に貫通するような面の方向であり、この方向に、壁状の部分として構成されるヘッド側軸受部10が、カム軸受部30のカムシャフト4の支持機能を確保する状態で肉厚が薄くされる。
本実施形態においては、図1及び図3に示すように、シリンダヘッド2において壁状(板状)の部分として構成されるヘッド側軸受部10に対してカム軸方向に貫通する孔部13が設けられることで、ヘッド側軸受部10がシリンダヘッド2の本体に対して略門状に構成されている。つまりこの場合、ヘッド側軸受部10が、カム軸垂直方向に、内側から外側にかけて肉厚が薄くされている。なお、図3はカム軸受部を示すカム軸方向視の一部断面図である。
このように、ヘッド側軸受部10が、カム軸受部30がカムシャフト4の支持機能を損なわない程度、つまりカム軸受部30の本来有する支持機能が確保されるように、カム軸垂直方向に肉薄とされる。
ここで、カム軸受部30が有するカムシャフト4の支持機能には、ヘッド側軸受部10に対するカムキャップ20を固定する機能及びその固定を維持する機能を含む。つまり、本実施形態のように、カムキャップ20がヘッド側軸受部10に対してボルト等の締結具によって締結固定される構成においては、締結具の螺挿に対する強度やその螺挿による締結状態が維持されるように、ヘッド側軸受部10がカム軸垂直方向に肉薄とされる。
ここで、カム軸受部30が有するカムシャフト4の支持機能には、ヘッド側軸受部10に対するカムキャップ20を固定する機能及びその固定を維持する機能を含む。つまり、本実施形態のように、カムキャップ20がヘッド側軸受部10に対してボルト等の締結具によって締結固定される構成においては、締結具の螺挿に対する強度やその螺挿による締結状態が維持されるように、ヘッド側軸受部10がカム軸垂直方向に肉薄とされる。
図3に示すように、ヘッド側軸受部10に設けられる孔部13は、ヘッド側軸受部10の外形に沿う形状を有している。つまり、カム軸方向視で略長方形となる形状を有するヘッド側軸受部10に対し、孔部13は略長方形の孔形状となる。
かかるようにして、カム軸垂直方向に肉薄とされるための孔部13が設けられたヘッド側軸受部10は、カムシャフト4のジャーナル部9に対するヘッド側軸受面11を形成する軸受面部10aと、この軸受面部10aをシリンダヘッド2の本体に対して支持する軸受支持部10bとを有する構成となる。
本実施形態に係るヘッド側軸受部10は、図3に示すように、二本のカムシャフト4に対する二つのヘッド側軸受面11を備える軸受面部10aと、この軸受面部10aの両端部に設けられる二つの軸受支持部10bとを有する構成となる。各軸受支持部10bの下側は、シリンダヘッド2に対して一体的に連結された状態となる。
本実施形態に係るヘッド側軸受部10は、図3に示すように、二本のカムシャフト4に対する二つのヘッド側軸受面11を備える軸受面部10aと、この軸受面部10aの両端部に設けられる二つの軸受支持部10bとを有する構成となる。各軸受支持部10bの下側は、シリンダヘッド2に対して一体的に連結された状態となる。
このように、ヘッド側軸受部10を、カム軸受部30がカムシャフト4の支持機能を損なわない程度に、カム軸垂直方向に肉厚を薄くすることで、エンジンにおけるバルブリフト量の誤差やカムシャフト4の剛性不足やコストアップを生じさせることなく、カムシャフト4の複数ある各カム軸受部30において、シリンダヘッド2の熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
すなわち、図6に示すように、従来におけるカムシャフトの軸受構造のように、ヘッド側軸受部10に対して孔部13を設ける等の肉薄処理が施されていない場合、前述したようなシリンダヘッド2の熱膨張による反り返りが生じると、特に中間(内側)に位置する二つのカム軸受部30においては、ヘッド側軸受部10からヘッド側軸受面11を介してカムシャフト4のジャーナル部9に作用する押付け力が大きくなる(矢印F3参照)。かかる押付け力が、カム軸受部30におけるフリクションの増大や偏摩耗の要因となる。
なお、図6においては、説明の便宜上、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造に対応する部分については共通の符号を用いている。
なお、図6においては、説明の便宜上、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造に対応する部分については共通の符号を用いている。
そこで、図3に示すように、ヘッド側軸受部10を前記のように肉薄とすることで、その剛性を低下させることができるので、シリンダヘッド2の熱膨張による反り返り等の熱変形によって生じる、カムシャフト4を軸方向に曲げる方向の押付け力を、ヘッド側軸受部10が弾性変形することによってたわみ吸収することができる。つまり、例えばシリンダヘッド2の熱変形によって生じるカムシャフト4に対する押付け力のうち局部的に強くなる押付け力が、ヘッド側軸受部10の弾性変形によって吸収されて低減されることとなる。これにより、カムシャフト4のジャーナル部9におけるフリクションや偏摩耗を低減させることができる。
また、ヘッド側軸受部10が弾性変形することにより、カム軸受部30(の軸受面)の位置自体が、シリンダヘッド2全体の変形に追従することとなる。このため、カム軸受部30により支持されるカムシャフト4もシリンダヘッド2の変形に追従することとなり、バルブリフト量、即ち前述した動弁機構におけるバルブ6の移動量(機関バルブの開度)への影響を少なくすることができる。つまりは、シリンダヘッド2の熱変形にともなうバルブリフト量の誤差を防止することができる。
また、ヘッド側軸受部10を肉薄にすることは、シリンダヘッド2側に設けられる部分における加工(構造)であるため、ボールベアリングを用いることで生じる問題、即ちカムシャフト4の剛性不足や軸受構造のコストアップを生じさせることがない。
さらに、ヘッド側軸受部10を肉薄にするという、カム軸受部30を構成する部分のうちヘッド側軸受部10のみに対策を講じるだけで、カム軸受部30全体つまりカムシャフト4のジャーナル部9全体のフリクション低減が可能となる。
さらに、ヘッド側軸受部10を肉薄にするという、カム軸受部30を構成する部分のうちヘッド側軸受部10のみに対策を講じるだけで、カム軸受部30全体つまりカムシャフト4のジャーナル部9全体のフリクション低減が可能となる。
ここで、ヘッド側軸受部10の剛性を低下させることの、カム軸受部30に対する影響について言及すると、シリンダヘッド2側に設けられるヘッド側軸受部10の剛性の低下は特に問題はない。
すなわち、本実施形態に係るエンジンの動弁機構においては、前述したように、バルブ6は、バルブスプリング8によってバルブリフタ7がカム5に押圧される方向に付勢されている。したがって、エンジンにおけるカム作動時(カムシャフトの回転時)等においてカムシャフト4からの反力を受けるのは、カム軸受部30におけるカムキャップ20側となる。このため、カム軸受部30におけるヘッド側軸受部10の剛性の低下は特に問題とはならない。
すなわち、本実施形態に係るエンジンの動弁機構においては、前述したように、バルブ6は、バルブスプリング8によってバルブリフタ7がカム5に押圧される方向に付勢されている。したがって、エンジンにおけるカム作動時(カムシャフトの回転時)等においてカムシャフト4からの反力を受けるのは、カム軸受部30におけるカムキャップ20側となる。このため、カム軸受部30におけるヘッド側軸受部10の剛性の低下は特に問題とはならない。
本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造において、ヘッド側軸受部10がカム軸垂直方向に肉薄とされるための孔部13は、例えば図4に示すような形状とすることもできる。
すなわち、この場合のヘッド側軸受部10に設けられる孔部13は、軸受面部10aがカムシャフト4のジャーナル部9に沿うような湾曲部10cを有する場合の孔部形状となっている。つまり、この場合の孔部13は、図3に示すように孔部13が略長方形の孔形状である場合に対して、カムシャフト4のジャーナル部9に対応する部分がヘッド側軸受面11に沿うように窪んだ形状を有する。
本例のような孔部13の孔部形状を採用することにより、ヘッド側軸受部10のカム軸垂直方向の肉厚を効率的に薄くすることが可能となる。
すなわち、この場合のヘッド側軸受部10に設けられる孔部13は、軸受面部10aがカムシャフト4のジャーナル部9に沿うような湾曲部10cを有する場合の孔部形状となっている。つまり、この場合の孔部13は、図3に示すように孔部13が略長方形の孔形状である場合に対して、カムシャフト4のジャーナル部9に対応する部分がヘッド側軸受面11に沿うように窪んだ形状を有する。
本例のような孔部13の孔部形状を採用することにより、ヘッド側軸受部10のカム軸垂直方向の肉厚を効率的に薄くすることが可能となる。
また、ヘッド側軸受部10の肉厚が薄くされる他の態様としては、例えば次のようなものが考えられる。
すなわち、ヘッド側軸受部10に対してカム軸方向に貫通する孔部13が設けられるに際し、その孔部13が複数設けられることで、ヘッド側軸受部10が格子状に構成される。つまりこの場合、ヘッド側軸受部10を構成する軸受支持部10bが三つ以上設けられる場合が含まれる。このように、孔部13の形状や大きさは特に限定されるものではない。
また、ヘッド側軸受部10が、カム軸垂直方向に、外側から内側にかけて肉厚が薄くされる場合も含まれる。つまりこの場合、ヘッド側軸受部10に対してカム軸方向視で左右両側に凹部が設けられることで、ヘッド側軸受部10がシリンダヘッド2の本体に対して略T字状に構成される。言い換えると、この場合、ヘッド側軸受部10を構成する軸受支持部10bが、軸受面部10aの長手方向略中央部に一つ設けられる態様となる。
すなわち、ヘッド側軸受部10に対してカム軸方向に貫通する孔部13が設けられるに際し、その孔部13が複数設けられることで、ヘッド側軸受部10が格子状に構成される。つまりこの場合、ヘッド側軸受部10を構成する軸受支持部10bが三つ以上設けられる場合が含まれる。このように、孔部13の形状や大きさは特に限定されるものではない。
また、ヘッド側軸受部10が、カム軸垂直方向に、外側から内側にかけて肉厚が薄くされる場合も含まれる。つまりこの場合、ヘッド側軸受部10に対してカム軸方向視で左右両側に凹部が設けられることで、ヘッド側軸受部10がシリンダヘッド2の本体に対して略T字状に構成される。言い換えると、この場合、ヘッド側軸受部10を構成する軸受支持部10bが、軸受面部10aの長手方向略中央部に一つ設けられる態様となる。
以上のように、本実施形態では、カムシャフト4の軸受方法として、シリンダブロック1に取り付けられるシリンダヘッド2に対して一体的に設けられるヘッド側軸受部10と、シリンダヘッド2とは別部材により構成されるカムキャップ20とにより、カムシャフト4のジャーナル部9を支承するカム軸受部30を構成する。
そして、ヘッド側軸受部10に、カム軸方向に貫通する孔部13を設けることにより、カム軸受部30がカムシャフト4の支持機能を損なわない程度に、ヘッド側軸受部10の剛性を低下させる。
これにより、前述したようにシリンダヘッド2の熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
そして、ヘッド側軸受部10に、カム軸方向に貫通する孔部13を設けることにより、カム軸受部30がカムシャフト4の支持機能を損なわない程度に、ヘッド側軸受部10の剛性を低下させる。
これにより、前述したようにシリンダヘッド2の熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
また、図2に示すごとく、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造のように、カム軸受部30として、カム軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部30xと、これら端部側軸受部30x間に位置する内側軸受部30yとを有する構成においては、内側軸受部30yのヘッド側軸受部10が、端部側軸受部30xのヘッド側軸受部10よりもカム軸垂直方向に肉薄とされる構成であってもよい。
つまり、本実施形態の場合にあっては、カム軸方向に四つ設けられるカム軸受部30のうち、二つの内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみが、カム軸垂直方向に肉薄とされる構成や、ヘッド側軸受部10についてのカム軸垂直方向の肉薄の程度が、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yの方が大きい構成となる。かかる構成においては、端部側軸受部30xに比べて、内側軸受部30yの剛性が低くなることとなる。
つまり、本実施形態の場合にあっては、カム軸方向に四つ設けられるカム軸受部30のうち、二つの内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみが、カム軸垂直方向に肉薄とされる構成や、ヘッド側軸受部10についてのカム軸垂直方向の肉薄の程度が、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yの方が大きい構成となる。かかる構成においては、端部側軸受部30xに比べて、内側軸受部30yの剛性が低くなることとなる。
具体的には、図3等に示すように、ヘッド側軸受部10がカム軸垂直方向に肉薄とされるための孔部13が設けられる構成においては次のようになる。
まず、内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみが、カム軸垂直方向に肉薄とされる構成の場合は、カム軸受部30のうち、内側軸受部30yのみのヘッド側軸受部10が、孔部13が設けられることにより軸受面部10aと軸受支持部10bとを有する構成となる。
また、ヘッド側軸受部10についてのカム軸垂直方向の肉薄の程度が、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yの方が大きい構成の場合は、カム軸受部30のうち、内側軸受部30yのみに孔部13が設けられたり、内側軸受部30yの孔部13の大きさが、端部側軸受部30xの孔部13よりも大きく形成されたりする構成となる。
まず、内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみが、カム軸垂直方向に肉薄とされる構成の場合は、カム軸受部30のうち、内側軸受部30yのみのヘッド側軸受部10が、孔部13が設けられることにより軸受面部10aと軸受支持部10bとを有する構成となる。
また、ヘッド側軸受部10についてのカム軸垂直方向の肉薄の程度が、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yの方が大きい構成の場合は、カム軸受部30のうち、内側軸受部30yのみに孔部13が設けられたり、内側軸受部30yの孔部13の大きさが、端部側軸受部30xの孔部13よりも大きく形成されたりする構成となる。
このように、内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみを肉薄としたり、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yのヘッド側軸受部10の肉薄の程度を大きくしたりすることで、内側軸受部30yのヘッド側軸受部10の剛性を、端部側軸受部30xのそれよりも低下させることによっても、端部側軸受部30xを含む各カム軸受部30におけるフリクションを低減させることができる。
すなわち、前述したように、シリンダヘッド2が熱膨張で反り返ることによりカムシャフト4のジャーナル部9に作用する押付け力は、内側軸受部30yにおいてはヘッド側軸受部10からの押付け力が大きくなる(図2矢印F1参照)。そこで、内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10の剛性を低下させると、その弾性変形によってヘッド側軸受部10からの押付け力を小さくすることができ、内側軸受部30yにおけるフリクションを低減させることができる。そして、内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10からの押付け力が小さくなると、その反力の影響で、端部側軸受部30xにおけるカムキャップ20からの押付け力が小さくなる(図2矢印F2参照)。この結果、端部側軸受部30xにおけるフリクションも低減することとなる。
つまり、内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみが肉薄とされること等により、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yの剛性を低下させることによって、端部側軸受部30xを含む各カム軸受部30におけるフリクションが低減する。
つまり、内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみが肉薄とされること等により、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yの剛性を低下させることによって、端部側軸受部30xを含む各カム軸受部30におけるフリクションが低減する。
そして、内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみを肉薄とする構成においては、ヘッド側軸受部10を肉薄とするための孔部13が、例えば鋳造後のシリンダヘッド2に対して加工が施されることで設けられる場合、内側軸受部30yを構成するヘッド側軸受部10のみに加工を施せばよいこととなるので、加工工程の簡略化が図れる。
また、カム軸受部30におけるヘッド側軸受部10の剛性を低下させる構成としては、ヘッド側軸受部10が、カム軸受部30がカムシャフト4の支持機能を損なわない程度に、カム軸方向に肉薄とされる構成であってもよい。
つまりこの場合、ヘッド側軸受部10のカム軸方向の肉厚、即ち壁状の部分であるヘッド側軸受部10の厚さが、全体的あるいは部分的に薄くされる。
ここで、ヘッド側軸受部10において、カム軸方向に肉薄とされる部分や範囲は特に限定されるものではないが、カムシャフト4のジャーナル部9に対する面圧が適切に維持できるようにヘッド側軸受面11の面積(キャップ側軸受面21を含む軸受面の面積)が確保されること等により、カム軸受部30のカムシャフト4の支持機能が確保される構成とする。また、前述したように、カム軸受部30が有するカムシャフト4の支持機能には、ヘッド側軸受部10に対するカムキャップ20を固定する機能及びその固定を維持する機能が含まれる。
つまりこの場合、ヘッド側軸受部10のカム軸方向の肉厚、即ち壁状の部分であるヘッド側軸受部10の厚さが、全体的あるいは部分的に薄くされる。
ここで、ヘッド側軸受部10において、カム軸方向に肉薄とされる部分や範囲は特に限定されるものではないが、カムシャフト4のジャーナル部9に対する面圧が適切に維持できるようにヘッド側軸受面11の面積(キャップ側軸受面21を含む軸受面の面積)が確保されること等により、カム軸受部30のカムシャフト4の支持機能が確保される構成とする。また、前述したように、カム軸受部30が有するカムシャフト4の支持機能には、ヘッド側軸受部10に対するカムキャップ20を固定する機能及びその固定を維持する機能が含まれる。
そして、この場合も、カム軸受部30として、端部側軸受部30xと内側軸受部30yとを有する構成においては、内側軸受部30yのヘッド側軸受部10が、端部側軸受部30xのヘッド側軸受部10よりもカム軸方向に肉薄とされる構成であってもよい。
つまり、カム軸方向に四つ設けられるカム軸受部30のうち、二つの内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみが、カム軸方向に肉薄とされる構成や、ヘッド側軸受部10についてのカム軸方向の肉薄の程度が、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yの方が大きい構成である。かかる構成により、端部側軸受部30xに比べて、内側軸受部30yの剛性が低くなる。
つまり、カム軸方向に四つ設けられるカム軸受部30のうち、二つの内側軸受部30yにおけるヘッド側軸受部10のみが、カム軸方向に肉薄とされる構成や、ヘッド側軸受部10についてのカム軸方向の肉薄の程度が、端部側軸受部30xよりも内側軸受部30yの方が大きい構成である。かかる構成により、端部側軸受部30xに比べて、内側軸受部30yの剛性が低くなる。
続いて、カム軸受部30において支持される部分となるカムシャフト4のジャーナル部9が、カムシャフト4における拡径部である場合の構成について説明する。なお、ここでいうジャーナル部9について拡径部とは、カムシャフト4においてジャーナル部9となる、ヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21に接する部分が、そのカム軸方向両側の部分に比べて拡径された部分であることを意味する。
このように、ジャーナル部9がカムシャフト4における拡径部である場合において、ヘッド側軸受部10及びカムキャップ20と、ジャーナル部9との接触面(以下「軸受接触面」という。)に、カム軸方向に湾曲するR形状部40が、カムシャフト4の回転方向全周にわたって設けられている。
このように、ジャーナル部9がカムシャフト4における拡径部である場合において、ヘッド側軸受部10及びカムキャップ20と、ジャーナル部9との接触面(以下「軸受接触面」という。)に、カム軸方向に湾曲するR形状部40が、カムシャフト4の回転方向全周にわたって設けられている。
図5に示すように、R形状部40は、カムシャフト4のジャーナル部9に設けられるR形状面部41と、このR形状面部41を有するジャーナル部9に対するヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21とから構成される。
R形状面部41は、ジャーナル部9のカム軸方向の両側が、全周にわたって面取りされた状態の部分となる。つまりこの場合、ジャーナル部9におけるカム軸方向両側の角部分が、図5に示すような側面視でR形状となるような曲面として形成される。
なお、本実施形態では、ジャーナル部9におけるカム軸方向の両側がR形状面部41とされているが、これに限定されず、ジャーナル部9の外周面(ヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21に接する面)が、全体的にR形状面部41となるように(側面視で全体的に円弧状となるように)、R形状面部41が設けられてもよい。
なお、本実施形態では、ジャーナル部9におけるカム軸方向の両側がR形状面部41とされているが、これに限定されず、ジャーナル部9の外周面(ヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21に接する面)が、全体的にR形状面部41となるように(側面視で全体的に円弧状となるように)、R形状面部41が設けられてもよい。
R形状面部41を有するジャーナル部9に対し、ヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21は、ジャーナル部9の外周面に沿う形状(略同じ形状)、あるいは図5に示すような側面断面視で全体として円弧形状を有する。
このように、カム軸受部30における軸受接触面に、カム軸方向に湾曲するR形状部40を設けることにより、前述したようなシリンダヘッド2の熱膨張による反り返りにともないカム軸受部30において発生する片当たりを防止することができ、シリンダヘッド2の熱変形にともなうフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
すなわち、図7に示すように、従来におけるカムシャフトの軸受構造のように、軸受接触面にR形状部40が設けられていない場合、つまり軸受接触面が、カム軸方向に平行である場合、前述したようなシリンダヘッド2の熱膨張による反り返りが生じると、特に両端(外側)に位置する二つのカム軸受部30においては、軸受接触面で片当たりが生じる。
具体的には、例えば、図2における左側端部のカム軸受部30について説明すると、シリンダヘッド2に反り返りが生じた場合、図7に示すように、シリンダヘッド2の変形にともない、ヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21がカム軸方向に対して傾くこととなる。これにより、ヘッド側軸受面11とジャーナル部9の外周面との間においては、カム軸方向内側(図7において右側)の部分のみが接触し(図7部分B1参照)、キャップ側軸受面21とジャーナル部9の外周面との間においては、カム軸方向外側(図7において左側)の部分のみが接触する(図7部分B2参照)という片当たりが発生する。かかる軸受接触面における片当たりは、その片当たり部分において軸受荷重が集中することから、カム軸受部30におけるフリクションの増大や偏摩耗の要因となる。
なお、図7においては、説明の便宜上、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造に対応する部分については共通の符号を用いている。
なお、図7においては、説明の便宜上、本実施形態に係るカムシャフト4の軸受構造に対応する部分については共通の符号を用いている。
そこで、図5に示すように、カム軸受部30における軸受接触面に、カム軸方向に湾曲するR形状部40を設けることにより、シリンダヘッド2の熱膨張による反り返りが生じ、ヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21がカム軸方向に対して傾くことによっても、カム軸受部30の軸受接触面における片当たりを防止することができる。
つまり、軸受接触面にR形状部40を設けることで、シリンダヘッド2の熱変形にともなってヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21のカム軸方向に対する傾き(ずれ)が生じても、R形状部40はカム軸方向に湾曲した曲面同士が接触する部分となるので、その曲面同士が互いに摺動することで軸受接触面における局部的な接触が防止される。言い換えると、前記のようなヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21のカム軸方向に対する傾き(ずれ)が生じても、軸受接触面において面接触が保たれる。結果として、カム軸受部30の軸受面部における片当たりが防止される。これにより、カム軸受部30におけるフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
つまり、軸受接触面にR形状部40を設けることで、シリンダヘッド2の熱変形にともなってヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21のカム軸方向に対する傾き(ずれ)が生じても、R形状部40はカム軸方向に湾曲した曲面同士が接触する部分となるので、その曲面同士が互いに摺動することで軸受接触面における局部的な接触が防止される。言い換えると、前記のようなヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21のカム軸方向に対する傾き(ずれ)が生じても、軸受接触面において面接触が保たれる。結果として、カム軸受部30の軸受面部における片当たりが防止される。これにより、カム軸受部30におけるフリクションや偏摩耗の低減を図ることができる。
以上説明した本実施形態においては、カムシャフトの軸受構造を有するエンジンとして、DOHCのエンジンを用いて説明したが、本発明は、一本のカムシャフトを備えるシングルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)のエンジン等においても適用可能である。
また、図3〜図6においては、説明の便宜のため、ヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21とジャーナル部9の外周面とが離れた状態、ヘッド側軸受部10とカムキャップ20の合わせ面12・22同士が離れた状態を示しているが、実際には、これらの面同士は接触した状態となる。
また、図3〜図6においては、説明の便宜のため、ヘッド側軸受面11及びキャップ側軸受面21とジャーナル部9の外周面とが離れた状態、ヘッド側軸受部10とカムキャップ20の合わせ面12・22同士が離れた状態を示しているが、実際には、これらの面同士は接触した状態となる。
1 シリンダブロック
2 シリンダヘッド
4 カムシャフト
9 ジャーナル部
10 ヘッド側軸受部(第一の軸受部)
10a 軸受面部
10b 軸受支持部
11 ヘッド側軸受面
13 孔部
20 カムキャップ(第二の軸受部)
21 キャップ側軸受面
30 カム軸受部
40 R形状部
2 シリンダヘッド
4 カムシャフト
9 ジャーナル部
10 ヘッド側軸受部(第一の軸受部)
10a 軸受面部
10b 軸受支持部
11 ヘッド側軸受面
13 孔部
20 カムキャップ(第二の軸受部)
21 キャップ側軸受面
30 カム軸受部
40 R形状部
Claims (9)
- シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成され前記第一の軸受部とともにカムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成する第二の軸受部とを備えるカムシャフトの軸受構造であって、
前記第一の軸受部を、前記カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度に、カムシャフトの軸方向に対して垂直な面方向に肉薄としたことを特徴とするカムシャフトの軸受構造。 - 前記カム軸受部として、カムシャフトの軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部と、これら端部側軸受部間に位置する内側軸受部とを有し、
前記内側軸受部の前記第一の軸受部を、前記端部側軸受部の前記第一の軸受部よりも前記面方向に肉薄としたことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフトの軸受構造。 - シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成され前記第一の軸受部とともにカムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成する第二の軸受部とを備えるカムシャフトの軸受構造であって、
前記第一の軸受部を、前記ジャーナル部に対する軸受面を形成する軸受面部と、該軸受面部を前記シリンダヘッドの本体に対して支持する軸受支持部とを有する構成としたことを特徴とするカムシャフトの軸受構造。 - 前記カム軸受部として、カムシャフトの軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部と、これら端部側軸受部間に位置する内側軸受部とを有し、
前記内側軸受部の前記第一の軸受部を、前記軸受面部と前記軸受支持部とを有する構成としたことを特徴とする請求項3に記載のカムシャフトの軸受構造。 - シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成され前記第一の軸受部とともにカムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成する第二の軸受部とを備えるカムシャフトの軸受構造であって、
前記第一の軸受部を、前記カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度に、カムシャフトの軸方向に肉薄としたことを特徴とするカムシャフトの軸受構造。 - 前記カム軸受部として、カムシャフトの軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部と、これら端部側軸受部間に位置する内側軸受部とを有し、
前記内側軸受部の前記第一の軸受部を、前記端部側軸受部の前記第一の軸受部よりもカムシャフトの軸方向に肉薄としたことを特徴とする請求項5に記載のカムシャフトの軸受構造。 - 前記ジャーナル部は、カムシャフトにおける拡径部であり、
前記第一の軸受部及び前記第二の軸受部と、前記ジャーナル部との接触面に、カムシャフトの軸方向に湾曲するR形状部を、カムシャフトの回転方向全周にわたって設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載のカムシャフトの軸受構造。 - シリンダブロックに取り付けられるシリンダヘッドに対して一体的に設けられる第一の軸受部と、前記シリンダヘッドとは別部材により構成される第二の軸受部とにより、カムシャフトのジャーナル部を支承するカム軸受部を構成するカムシャフトの軸受方法であって、
前記第一の軸受部に、カムシャフトの軸方向に貫通する孔部を設けることにより、前記カム軸受部がカムシャフトの支持機能を損なわない程度に、前記第一の軸受部の剛性を低下させることを特徴とするカムシャフトの軸受方法。 - 前記カム軸受部は、カムシャフトの軸方向の両端部側に位置する端部側軸受部と、これら端部側軸受部間に位置する内側軸受部とを有するものであり、
前記内側軸受部の前記第一の軸受部の剛性を、前記端部側軸受部のそれよりも低下させることを特徴とする請求項8に記載のカムシャフトの軸受方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006319305A JP2008133749A (ja) | 2006-11-27 | 2006-11-27 | カムシャフトの軸受構造及び軸受方法 |
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JP2006319305A Pending JP2008133749A (ja) | 2006-11-27 | 2006-11-27 | カムシャフトの軸受構造及び軸受方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2767680A4 (en) * | 2011-10-11 | 2015-09-30 | Toyota Motor Co Ltd | SUPPORT STRUCTURE FOR A CAMSHAFT |
EP3375991A4 (en) * | 2015-11-09 | 2019-07-24 | Isuzu Motors Limited | CYLINDER HEAD FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINE AND INTERNAL COMBUSTION ENGINE |
-
2006
- 2006-11-27 JP JP2006319305A patent/JP2008133749A/ja active Pending
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US10690015B2 (en) | 2015-11-09 | 2020-06-23 | Isuzu Motors Limited | Cylinder head structure for internal combustion engine and internal combustion engine |
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