JP5238894B1 - X線ct装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望のMPR画像を容易に表示させることが可能なX線CT装置を提供する。
【解決手段】実施形態のX線CT装置は、被検体をX線でスキャンした結果に基づきボリュームデータを作成する装置である。X線CT装置は、指定部と、記憶部と、表示制御部とを含む。指定部は、第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域を指定する。記憶部は、指定された画像領域の位置を記憶する。表示制御部は、第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、記憶部に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部に表示させる。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、X線CT装置、画像表示装置及び画像表示方法に関する。
X線CT(Computed Tomography)装置は、X線を利用して被検体をスキャンし、収集されたデータをコンピュータにより処理することで、被検体の内部を画像化する装置である。
具体的には、X線CT装置は、被検体に対してX線を異なる方向から複数回曝射し、被検体を透過したX線をX線検出器にて検出して複数の検出データを収集する。収集された検出データはデータ収集部によりA/D変換された後、コンソール装置に送信される。コンソール装置は、当該検出データに前処理等を施し投影データを作成する。そして、コンソール装置は、投影データに基づく再構成処理を行い、断層画像データ、或いは複数の断層画像データに基づくボリュームデータを作成する。ボリュームデータは、被検体の三次元領域に対応するCT値の三次元分布を表すデータセットである。
X線CT装置は、上記ボリュームデータを任意の方向にレンダリングすることによりMPR(Multi Planar Reconstruction)表示を行うことができる。以下、ボリュームデータをレンダリングすることによりMPR表示された断面画像を「MPR画像」という場合がある。MPR画像には、たとえば、体軸に対する直交断面を示すアキシャル像、体軸に沿って被検体を縦切りした断面を示すサジタル像、及び体軸に沿って被検体を横切りした断面を示すコロナル像がある。更には、ボリュームデータにおける任意断面の画像(オブリーク像)もMPR画像に含まれる。作成された複数のMPR画像は、表示部等に同時に表示することができる。
また、X線CT装置を用いて行うCT透視(CTF:Computed Tomography Fluoroscopy)という撮影方法がある。CT透視とは、被検体にX線を連続的に照射することにより、被検体の関心部位に関する画像をリアルタイムに得る撮影方法である。CT透視では、検出データの収集レートを短くし、再構成処理に要する時間を短縮することで、画像をリアルタイムに作成している。CT透視は、たとえば、生検中に穿刺針の先端と検体を採取する部位との位置関係を確認する場合や、ドレナージ法を行うときのチューブの位置確認等に用いられる。なお、ドレナージ法とは、体腔内に貯まった体液をチューブ等により廃出する方法である。
特開2005−261932号公報
ここで、CT透視で得られたボリュームデータに基づくMPR画像を参照しながら被検体に対して生検を行う場合、たとえば、スキャンと穿刺とを交互に行うことがある。具体的には、まず、CT透視により被検体のMPR画像を取得する。医師等は、MPR画像を参照しながら穿刺を行う。この際、たとえば、穿刺針の先端と検体を採取する部位との位置関係を確認するため、ある程度、穿刺を行った段階で再度のCT透視を行う。再度のCT透視で得られたMPR画像を参照しながら、医師等は更に穿刺を進める。この動作を生検が完了するまで繰り返し行うことで、確実に生検を行うことが可能となる。
このように、生検においては、穿刺針の先端と検体を採取する部位との位置関係を把握することが重要となる。このためには、所望の位置(たとえば、検体を採取する部位)における断面のMPR画像を常に表示させておくことが望ましい。
しかし、ボリュームデータに基づくMPR画像を表示させるためには、断面位置をその都度指定する必要がある。従って、上述のような生検を行う場合、スキャンを行う度に所望の位置を指定する必要があり、検査を行う医師等にとって煩わしく、検査効率の低下を招くという問題があった。
実施形態は、前述の問題点を解決するためになされたものであり、所望のMPR画像を容易に表示させることが可能なX線CT装置を提供することを目的とする。
実施形態のX線CT装置は、スキャンと穿刺とを繰り返して生検を行うために用いられるものであって、被検体をX線でスキャンした結果に基づきボリュームデータを作成するX線CT装置において、第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定する指定部と、指定された前記画像領域の位置を記憶する記憶部と、第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、前記記憶部に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部に表示させる表示制御部と、前記穿刺の前後に前記第1スキャンと前記第2スキャンとを行うように制御するスキャン制御部と、を有することを特徴とする。
第1実施形態に係るX線CT装置のブロック図である。 第1実施形態に係る表示部の表示画面を示す図である。 第1実施形態に係る表示部の表示画面を示す図である。 第1実施形態に係る表示部の表示画面を示す図である。 第1実施形態に係る表示部の表示画面を示す図である。 第1実施形態に係るX線CT装置の動作の概要を示すフローチャートである。 第2実施形態に係るX線CT装置のブロック図である。 第2実施形態に係るX線CT装置の動作の概要を示すフローチャートである。 変形例1に係る表示部の表示画面を示す図である。 変形例3に係る表示部の表示画面を示す図である。
(第1実施形態)
図1から図3を参照して、第1実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。なお、「画像」と「画像データ」は一対一に対応するので、本実施形態においては、これらを同一視する場合がある。
<装置構成>
図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを含んで構成されている。
[架台装置]
架台装置10は、被検体Eに対してX線を曝射し、被検体Eを透過した当該X線の検出データを収集する装置である。架台装置10は、X線発生部11と、X線検出部12と、回転体13と、高電圧発生部14と、架台駆動部15と、X線絞り部16と、絞り駆動部17と、データ収集部18とを有する。
X線発生部11は、X線を発生させるX線管球(たとえば、円錐状や角錐状のビームを発生する真空管。図示なし)を含んで構成されている。発生したX線は被検体Eに対して曝射される。X線検出部12は、複数のX線検出素子(図示なし)を含んで構成されている。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データ(以下、「検出データ」という場合がある)をX線検出素子で検出し、その検出データを電流信号として出力する。X線検出部12は、たとえば、検出素子が互いに直交する2方向(スライス方向とチャンネル方向)にそれぞれ複数配置された2次元のX線検出器(面検出器)が用いられる。複数のX線検出素子は、たとえば、スライス方向に沿って320列設けられている。このように多列のX線検出器を用いることにより、1回転のスキャンでスライス方向に幅を有する3次元の撮影領域を撮影することができる(ボリュームスキャン)。なお、スライス方向は被検体Eの体軸方向に相当し、チャンネル方向はX線発生部11の回転方向に相当する。
回転体13は、X線発生部11とX線検出部12とを被検体Eを挟んで対向するよう支持する部材である。回転体13は、スライス方向に貫通した開口部13aを有する。架台装置10内において、回転体13は、被検体Eを中心とした円軌道で回転するよう配置されている。
高電圧発生部14は、X線発生部11に対して高電圧を印加する。X線発生部11は、当該高電圧に基づいてX線を発生させる。架台駆動部15は、回転体13を回転駆動させる。X線絞り部16は、所定幅のスリット(開口)を有し、スリットの幅を変えることで、X線発生部11から曝射されたX線のファン角(チャンネル方向の広がり角)とX線のコーン角(スライス方向の広がり角)とを調整する。絞り駆動部17は、X線発生部11で発生したX線が所定の形状となるようX線絞り部16を駆動させる。
データ収集部18(DAS:Data Acquisition System)は、X線検出部12(各X線検出素子)からの検出データを収集する。また、データ収集部18は、収集した検出データ(電流信号)を電圧信号に変換し、この電圧信号を周期的に積分して増幅し、デジタル信号に変換する。そして、データ収集部18は、デジタル信号に変換された検出データをコンソール装置40(処理部42(後述))に送信する。なお、CT透視を行う場合、データ収集部18で収集された検出データに基づき、再構成処理部42b(後述)が短時間で再構成処理を行い、リアルタイムにCT画像を取得することが望ましい。従って、データ収集部18は、検出データの収集レートを短くする。
[寝台装置]
寝台装置30は、撮影対象の被検体Eを載置・移動させる装置である。寝台装置30は、寝台31と寝台駆動部32とを備えている。寝台31は、被検体Eを載置するための寝台天板33と、寝台天板33を支持する基台34とを備えている。寝台天板33は、寝台駆動部32によって被検体Eの体軸方向及び体軸方向に直交する方向に移動することが可能となっている。すなわち、寝台駆動部32は、被検体Eが載置された寝台天板33を、回転体13の開口部13aに対して挿抜させることができる。基台34は、寝台駆動部32によって寝台天板33を上下方向(被検体Eの体軸方向と直交する方向)に移動させることが可能となっている。
[コンソール装置]
コンソール装置40は、X線CT装置1に対する操作入力に用いられる。また、コンソール装置40は、架台装置10によって収集された検出データから被検体Eの内部形態を表すCT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を再構成する機能等を有している。コンソール装置40は、スキャン制御部41と、処理部42と、指定部43と、表示制御部44と、記憶部45と、表示部46と、入力部47と、制御部48とを含んで構成されている。
スキャン制御部41、処理部42、指定部43、表示制御部44及び制御部48は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの図示しない処理装置と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)や、又はHDD(Hard Disc Drive)などの図示しない記憶装置とによって構成されている。記憶装置には、各部の機能を実行するための制御プログラムが記憶されている。CPUなどの処理装置が、記憶装置に記憶されている各プログラムを実行することで各部の機能を実行する。
スキャン制御部41は、X線スキャンに関する各種動作を制御する。たとえば、スキャン制御部41は、X線発生部11に対して高電圧を印加させるよう高電圧発生部14を制御する。スキャン制御部41は、回転体13を回転駆動させるよう架台駆動部15を制御する。スキャン制御部41は、X線絞り部16を動作させるよう絞り駆動部17を制御する。スキャン制御部41は、寝台31を移動させるよう寝台駆動部32を制御する。
処理部42は、架台装置10(データ収集部18)から送信された検出データに対して各種処理を実行する。処理部42は、前処理部42aと、再構成処理部42bと、レンダリング処理部42cとを含んで構成されている。
前処理部42aは、架台装置10(X線検出部12)で検出された検出データに対して対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する。
再構成処理部42bは、前処理部42aで作成された投影データに基づいて、CT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を作成する。断層画像データの再構成には、たとえば、2次元フーリエ変換法、コンボリューション・バックプロジェクション法等、任意の方法を採用することができる。ボリュームデータは、再構成された複数の断層画像データを補間処理することにより作成される。ボリュームデータの再構成には、たとえば、コーンビーム再構成法、マルチスライス再構成法、拡大再構成法等、任意の方法を採用することができる。上述のように多列のX線検出器を用いたボリュームスキャンにより、広範囲のボリュームデータを再構成することができる。また、CT透視を行う場合には、検出データの収集レートを短くしているため、再構成処理部42bによる再構成時間が短縮される。従って、スキャンに対応したリアルタイムのCT画像データを作成することができる。
レンダリング処理部42cは、再構成処理部42bで作成されたボリュームデータに対するレンダリング処理を行う。たとえば、レンダリング処理部42cは、再構成処理部42bで作成されたボリュームデータを任意の方向にレンダリングすることによりMPR表示する(すなわち、レンダリング処理部42cは、MPR画像を作成する)。
具体例として、320枚の断層画像データを含むボリュームデータにおいて、その中心位置における断面のMPR画像を作成する処理について述べる。この場合、まず、レンダリング処理部42cは、ボリュームデータの中心位置(三次元の位置)を特定する。すなわち、レンダリング処理部42cは、160枚目の断層画像データをスライス方向における中心であると特定する。また、レンダリング処理部42cは、160枚目の断層画像データの画像中心を特定する。そして、レンダリング処理部42cは、特定された中心位置を元に三次元処理エンジンでボリュームデータを処理することにより、中心位置における断面のMPR画像を作成することができる。本実施形態では、レンダリング処理部42cは、直交三断面であるアキシャル像AI、サジタル像SI、コロナル像CIの3つのMPR画像を作成する。作成されたMPR画像は、表示制御部44により表示部46(表示画面46a、表示画面46b、表示画面46c)に表示される(図2A等参照)。なお、レンダリング処理部42cにより作成されるMPR画像(表示部46に表示されるMPR画像)は、少なくとも一つあればよい。
レンダリング処理部42cは、MPR画像としてボリュームデータにおける任意断面の画像であるオブリーク像を作成することも可能である。たとえば、表示部46に表示されたMPR画像において断面を示したい部分に線分を引く。線分は、たとえば、入力部47等により手動で入力することが可能である。レンダリング処理部42cは、その線分を基準として所定の方向にボリュームデータをレンダリングすることでオブリーク像を作成する。作成されたオブリーク像は、たとえば、表示部46に表示されたオブリークアイコンObi(図2A参照)を選択することにより、表示部46に他のMPR画像と並列で表示される。なお、レンダリング処理部42cは、複数のオブリーク像(所謂、ダブルオブリーク像を含む)を作成することも可能である。
指定部43は、ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定する。「注目対象」とは、生検において検体を採取する部位(病変部等)や穿刺針の先端等、MPR画像において注目すべき部分をいう。本実施形態では、検体を採取する部位を注目対象とする例について述べる。
注目対象の画像領域の位置の指定は、たとえば、指定部43がボリュームデータにおける座標値を求めることにより行われる。指定部43は、表示部46に表示されたボリュームデータの中心位置における断面のMPR画像において、入力部47等により選択された領域の座標値を注目対象の画像領域の座標値として指定する。具体的には、図2Aに示すアキシャル像AIに表示されている注目対象Sが入力部47等によって選択されると、指定部43は、MPR画像(アキシャル像AI)における注目対象Sの座標値を求める。更に、指定部43は、当該MPR画像のスライス方向における座標値をボリュームデータに基づいて求める。このように、指定部43は、注目対象Sの画像領域の位置を三次元の座標値として指定する。指定された画像領域の位置は、記憶部45に記憶される。なお、画像領域の位置には、領域の一番狭い形態である点も含まれる。
複数のMPR画像が表示されている場合に注目対象の画像領域の位置を指定するためには、少なくとも一つのMPR画像中に注目対象が表示されていればよい。一方、表示されたMPR画像全てに注目対象が表示されていない場合、MPR画像を作成する断面の位置を変えることで、注目対象が表示されたMPR画像を作成することができる。すなわち、入力部47等の指示入力に基づいて、レンダリング処理部42cは、ボリュームデータをレンダリングする位置や方向を変えることにより、先に表示されたMPR画像とは異なるMPR画像を作成する。
表示制御部44は、画像表示に関する各種制御を行う。たとえば、レンダリング処理部42cにより作成されたMPR画像(アキシャル像、サジタル像、コロナル像、オブリーク像)等を表示部46に表示させる制御を行う。或いは、表示制御部44は、指定部43で指定された画像領域における断面のアキシャル像AI、サジタル像SI、コロナル像CIをレンダリング処理部42cに作成させ、当該MPR画像を表示部46に表示させる(図2B参照)。表示制御部44がMPR画像を複数表示させることにより、たとえば、穿刺針の穿刺状態(角度、方向性)や穿刺針と注目対象との位置関係をより把握し易くなる。
また、本実施形態において、表示制御部44は、スキャンにより得られたボリュームデータにおいて、記憶部45に記憶された画像領域の位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させる。
具体例として、あるタイミングで行われたスキャン(第1スキャン)により得られたボリュームデータ(第1ボリュームデータ)に基づいて、指定部43が、注目対象Sの画像領域(図2A等参照)を指定した場合について述べる。指定された画像領域の位置は、記憶部45に記憶されている。ここで、第1スキャンとは異なるタイミングで行われたスキャン(第2スキャン)により得られたボリュームデータ(第2ボリュームデータ)に基づいてMPR画像を表示させる場合、表示制御部44は、第1ボリュームデータにおいて指定された画像領域の位置を記憶部45から読み出す。そして、表示制御部44は、読み出された位置における断面のMPR画像をレンダリング処理部42cに作成させる。そして、表示制御部44は、作成されたMPR画像を表示部46に表示させる(図2C参照)。すなわち、第2ボリュームデータに基づいてMPR画像を作成する場合にも、表示制御部44は指定部43で指定された注目対象Sにおける断面のMPR画像を表示させる。このように、第2ボリュームデータにおいてMPR画像を表示させる場合に、第1ボリュームデータで指定された位置と同じ位置における断面のMPR画像を表示させることにより、常に注目対象をMPR画像で確認することが可能となる。たとえば、図2Bに示すように、第1スキャンのタイミングにおいて、穿刺針PNはアキシャル像AI、サジタル像SI、コロナル像CIのいずれにも表示されていない。ここで、当該MPR画像を元に術者が被検体Eに対して穿刺針PNを挿入した後に第2スキャンを行うと、図2Cに示すように、穿刺針PNがMPR画像に表示される。従って、注目対象Sと穿刺針PNとの位置関係(注目対象Sに対して穿刺針PNがどの位置にあるのか)を確認することができる。見方を変えると、第1ボリュームデータで指定された位置における断面のMPR画像(図2B参照)と、第2ボリュームデータの同じ位置における断面のMPR画像(図2C参照)とは、同じ断面の画像であって、穿刺針PNの有無だけが異なる画像である。すなわち、表示制御部44によれば、タイミングの異なるスキャンによって得られるボリュームデータに基づくMPR画像であっても、常に同じ位置(注目対象)を表示させることができる。
なお、本実施形態において、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータは、その元となる断層画像データの枚数や画像のピクセル数は等しいものとする。また、第1スキャンと第2スキャンの撮影条件(撮影位置、回転体13のローテーションスピード等)も等しいものとする。つまり、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータは、同じ座標体系にあるものとする。
記憶部45は、RAMやROM等の半導体記憶装置によって構成される。記憶部45は、検出データや投影データ、或いは再構成処理後のCT画像データ等を記憶する。また、本実施形態における記憶部45は、上述の通り、指定部43で指定された注目対象の画像領域の位置を記憶する。
表示部46は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意の表示デバイスによって構成される。たとえば、表示部46の表示画面46a〜46cには、ボリュームデータをレンダリング処理して得られるMPR画像(アキシャル像AI、サジタル像SI、コロナル像CI)が表示される。
また、図2A等に示すように、表示部46には、MPR画像に対応するビューイングボックスVa〜Vcが表示される。ビューイングボックスVa〜Vcは、表示されているMPR画像がボリュームデータのどの断面に該当するかを模式的に表す画像である。図2A等では、アキシャル像AIに対応するビューイングボックスVaが表示画面46aに表示されている。また、サジタル像SIに対応するビューイングボックスVbが表示画面46bに表示されている。また、コロナル像CIに対応するビューイングボックスVcが表示画面46cに表示されている。各ビューイングボックスにおいて、破線で示した領域が、ボリュームデータの断面位置を示す。各ビューイングボックスにおける破線矢印は、レンダリングの方向を示している。なお、図2B等に示すように、ビューイングボックス内に注目対象Sに対応する表示(S´)を表示させてもよい。ビューイングボックスの表示に係る制御は、表示制御部44により行われる。
入力部47は、コンソール装置40に対する各種操作を行う入力デバイスとして用いられる。入力部47は、たとえばキーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック等により構成される。また、入力部47として、表示部46に表示されたGUI(Graphical User Interface)を用いることも可能である。
制御部48は、架台装置10、寝台装置30およびコンソール装置40の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。たとえば、制御部48は、スキャン制御部41を制御することで、架台装置10に対して予備スキャン及びメインスキャンを実行させ、検出データを収集させる。また、制御部48は、処理部42を制御することで、検出データに対する各種処理(前処理、再構成処理、MPR処理等)を行わせる。或いは、制御部48は、表示制御部44を制御することで、記憶部45に記憶された画像データ等に基づき、CT画像を表示部46に表示させる。
<CT透視>
ここで、CT透視の一例について述べる。以下では、CT透視を用いた生検について説明する。
まず、スキャン制御部41は、被検体Eが載置された寝台天板33が開口部13aに挿入された状態で、X線スキャンを開始させる(第1スキャン)。X線スキャンは、たとえば、架台装置10に設けられたスイッチ(図示なし)や、X線CT装置1と接続されるハンドスイッチ(図示なし)からの指示入力に基づいて開始される。なお、入力部47がスイッチの機能を兼ねてもよい。
第1スキャンが完了すると、スイッチ等からの指示入力に基づき、スキャン制御部41は、寝台駆動部32を制御し、寝台天板33を一旦、開口部13aから抜き出す。術者は、第1スキャンで得られたボリュームデータに基づく画像を参照しながら、注目部位に対する穿刺を行う。このように、穿刺を行う場合にX線スキャンを止め、被検体Eを開口部13aから抜き出すことで、被曝量を低減させることができる。更に、被検体Eが開口部13a内に配置されている場合に比べ、広い施術スペースを確保することができる。
ある程度穿刺を進めた後、術者が穿刺針の状態(注目対象のある方向に穿刺針が確実に進んでいるか等)を確認したい場合がある。このとき、スキャン制御部41は、寝台駆動部32を制御し、再度、寝台天板33を開口部13aに挿入させる。そして、スキャン制御部41は、X線スキャンを開始させる(第2スキャン)。すなわち、スキャン制御部41は、第1スキャンのタイミングと第2スキャンのタイミングの間に、寝台天板33を開口部13aから抜き出すよう寝台駆動部32を制御する。
スキャン制御部41は、術者等の指示入力に基づき、生検が完了するまで開口部13aに対する寝台天板33の挿抜の動作を繰り返す。
なお、開口部13aに寝台天板33が挿入された状態で、穿刺を行うことも可能である(寝台天板33の挿抜を行わない)。この場合にも、第1スキャンと第2スキャンの間にX線の曝射を止めることで被曝量の低減を図ることができる。
<動作>
次に、図3を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、CT透視と穿刺とを交互に行い、注目対象Sに対して穿刺針PNを穿刺する場合の動作について説明する。
穿刺を開始するにあたり、まずX線CT装置1は、被検体Eに対してX線スキャン(第1スキャン)を行い、ボリュームデータ(第1ボリュームデータ)を作成する。
具体的には、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S10)。本実施形態では、1回転分の検出データを取得する。X線検出部12で検出された検出データは、データ収集部18で収集され、処理部42(前処理部42a)に送られる。
前処理部42aは、S10で取得された検出データに対して、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する(S11)。作成された投影データは、制御部48の制御に基づき、再構成処理部42bに送られる。
再構成処理部42bは、S11で作成された投影データに基づいて、複数の断層画像データを作成する。また、再構成処理部42bは、複数の断層画像データを補間処理することにより第1ボリュームデータを作成する(S12)。
レンダリング処理部42cは、S12で作成された第1ボリュームデータを任意の方向にレンダリングすることによりMPR画像を作成する。本実施形態において、レンダリング処理部42cは、第1ボリュームデータの中心位置における直交三断面のMPR画像(アキシャル像AI、サジタル像SI、コロナル像CI)を作成する。作成されたMPR画像は、表示制御部44により表示部46に表示される(S13。図2A参照)。
表示部46に表示されたMPR画像を参照しながら、術者は注目対象を確認し、入力部47等によってその注目対象(たとえば、図2Aにおける注目対象S)の領域を選択する。指定部43は、選択された領域の位置を注目対象の画像領域の位置として指定する(S14)。指定された画像領域の位置は、指定部43により記憶部45に送られ、記憶される(S15)。更に、本実施形態では、表示制御部44は、指定部43で指定された画像領域の位置における断面のMPR画像をレンダリング処理部42cに作成させ、当該MPR画像を表示部46に表示させる(図2B参照)。
S14で指定された画像領域における断面のMPR画像を参照しながら、術者は穿刺を進める。
ある程度、穿刺を進めた後、穿刺の状態(穿刺針PNと注目対象Sとの位置関係等)を確認するため、X線CT装置1は、再度、被検体Eに対してX線スキャン(第2スキャン)を行い、ボリュームデータ(第2ボリュームデータ)を作成する。
すなわち、第1スキャンと同様、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S16)。なお、上述の通り、第1スキャンと第2スキャンの撮影条件等は等しいものとする。
前処理部42aは、S16で取得された検出データに対して、前処理を行い、投影データを作成する(S17)。再構成処理部42bは、S17で作成された投影データに基づいて作成された複数の断層画像データを補間処理することにより、第2ボリュームデータを作成する(S18)。
ここで、表示制御部44は、S18で作成された第2ボリュームデータにおいて、S15で記憶された注目対象Sの画像領域における断面のMPR画像を表示部46に表示させる(S19)。具体的には、表示制御部44は、レンダリング処理部42cに対し、注目対象Sにおける断面のMPR画像を作成する処理を行うよう指示する。作成されたMPR画像は、表示制御部44により表示部46に表示される(図2C参照)。
図2Cに示すように、第2スキャンにおいても第1スキャンと同じく注目対象Sにおける断面のMPR画像を作成することで、注目対象Sと穿刺針PNとの位置関係(第2スキャンの時点で注目対象Sに対して穿刺針PNがどの位置にあるのか)を把握することができる。
S16〜S19の動作は、第1スキャン、第2スキャンと異なるタイミングで行われた第3スキャンにより第3ボリュームデータを取得する場合も同様である。すなわち、第3スキャンの結果による第3ボリュームデータに基づきMPR画像を作成する場合であっても、レンダリング処理部42cは、指定部43で指定された位置における断面のMPR画像を作成する。このMPR画像は、第2スキャンのMPR画像と同じ断面のMPR画像であって、穿刺針PNの位置だけが異なる画像となる(図2D参照)。
このように、CT透視と穿刺とを穿刺針PNが注目対象Sに到達するまで交互に行うことで生検を確実に行うことができる。また、注目対象Sにおける断面のMPR画像が常に表示されるため、注目対象Sと穿刺針PNの位置関係を容易に把握することができる。
なお、本実施形態では、X線CT装置1の構成について説明を行ったが、本実施形態における作用を果たす構成は、X線CT装置1に限られない。たとえば、X線CT装置で取得されたボリュームデータをX線CT装置とは異なる装置(たとえば、画像ビューワ等の画像表示装置)に送信し、その装置内で同様の処理を行うことによって、実施形態と同様の機能を実現することができる。この場合、画像表示装置内に、指定部43、表示制御部44、記憶部45及び表示部46が設けられていることが望ましい。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1は、被検体EをX線でスキャンした結果に基づきボリュームデータを作成する装置である。X線CT装置1は、指定部43と、記憶部45と、表示制御部44とを含む。指定部43は、第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定する。記憶部45は、指定された画像領域の位置を記憶する。表示制御部44は、第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、記憶部45に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させる。
具体的には、本実施形態のX線CT装置1は、入力部47を更に有する。表示制御部44は、第1ボリュームデータの中心位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させる。指定部43は、当該MPR画像において入力部47により選択された領域を注目対象の画像領域の位置として指定する。
このように、第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータ(第1ボリュームデータの中心位置における断面のMPR画像)に基づいて、指定部43が注目対象の画像領域の位置を指定し、指定された画像領域の位置を記憶部45に記憶する。そして、表示制御部44が、第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、記憶部45に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させる。よって、異なるスキャンのタイミングであっても、所望の位置におけるMPR画像を常に表示させておくことができる。すなわち、所望のMPR画像を容易に表示させることができる。また、スキャンを行う度に所望の位置を指定する手間が省けることから、検査効率の低下を抑えることが可能となる。
また、本実施形態のX線CT装置1における表示制御部44は、MPR画像として被検体Eのアキシャル像、サジタル像、コロナル像、オブリーク像の少なくとも一つを表示部46に表示させる。
このように、所望の位置において異なる断面のMPR画像を表示させることにより、たとえば、穿刺を行う際に穿刺針がどの方向に向かって穿刺されているかを容易に把握することができる。すなわち、所望のMPR画像を容易に表示させることができることから、検査効率の低下をより抑えることが可能となる。
また、本実施形態のX線CT装置1は、寝台天板33と、架台装置10と、寝台駆動部32と、スキャン制御部41とを有する。寝台天板33は、被検体Eを載置するために用いられる。架台装置10は、開口部13aに寝台天板33が配置された状態で被検体Eに対してX線のスキャンを行う。寝台駆動部32は、開口部13aに対して寝台天板33を挿抜させる。スキャン制御部41は、第1スキャンのタイミングと第2スキャンのタイミングの間に、寝台天板33を開口部13aから抜き出すよう寝台駆動部32を制御する。
このように、第1スキャンのタイミングと第2スキャンのタイミングの間に、寝台天板33を開口部13aから抜き出すことにより、被曝量の低減や施術スペースを確保することができる。
また、本実施形態の構成を画像表示装置に応用することも可能である。そのような画像表示装置は、指定部43と、記憶部45と、表示部46と、表示制御部44とを含む。指定部43は、被検体EをX線でスキャンした結果に基づきボリュームデータを作成するX線CT装置による第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定する。記憶部45は、指定された画像領域の位置を記憶する。表示制御部44は、第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、記憶部45に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させる。
また、本実施形態の構成を画像表示方法として実現することも可能である。この画像表示方法は、X線CT装置1が、被検体EをX線でスキャンし、第1ボリュームデータを得るステップを有する。また、指定部43が、第1ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定するステップを有する。また、記憶部45が、指定された画像領域の位置を記憶するステップを有する。また、X線CT装置1が、前記スキャンとは異なるタイミングで被検体EをX線でスキャンし、第2ボリュームデータを得るステップを有する。また、表示制御部44が、第2ボリュームデータに基づいて、記憶部45に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させるステップを有する。
このような画像表示装置、或いは画像表示方法であっても、第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、指定部43が注目対象の画像領域の位置を指定し、指定された画像領域の位置を記憶部45に記憶する。そして、表示制御部44が、第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、記憶部45に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させる。よって、異なるスキャンのタイミングであっても、所望の位置におけるMPR画像を常に表示させておくことができる。すなわち、所望のMPR画像を容易に表示させることができる。また、スキャンを行う度に所望の位置を指定する手間が省けることから検査効率の低下を抑えることが可能となる。
(第2実施形態)
次に、図4及び図5を参照して、第2実施形態に係るX線CT装置1´の構成について説明する。本実施形態においては、注目対象を自動で指定する場合について述べる。なお、第1実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する場合がある。
<装置構成>
図4に示すように、X線CT装置1´は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを含んで構成されている。
[コンソール装置]
コンソール装置40は、X線CT装置1´に対する操作入力に用いられる。また、コンソール装置40は、架台装置10によって収集された検出データから被検体Eの内部形態を表すCT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を再構成する機能等を有している。コンソール装置40は、スキャン制御部41と、処理部42と、指定部43と、表示制御部44と、記憶部45と、表示部46と、入力部47と、制御部48とを含んで構成されている。
指定部43は、ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定する。本実施形態において、指定部43は、特定部43aを含んで構成されている。
特定部43aは、ボリュームデータ、又はそのボリュームデータを構成する断層画像データに基づいて特定領域の位置を特定する。「特定領域」とは、ボリュームデータ、又はそのボリュームデータを構成する断層画像データに含まれる領域であって、注目対象に対応する領域をいう。特定領域の位置は、特定部43aにより自動で特定される。指定部43は、特定部43aで特定された領域の位置を注目対象の画像領域の位置として指定する。
たとえば、ボリュームデータに基づいて特定領域の位置を特定する場合、特定部43aはボリュームデータを構成する各ボクセルのCT値と予め設定された閾値とを比較する。そして、特定部43aは、閾値よりも大きい(或いは小さい)ボクセルの座標値を特定領域の位置として特定する。閾値は、特定領域に対応して定まる値(たとえば、病変部のCT値や、穿刺針のCT値)であって、ボクセル内に特定領域が含まれているか否かを判断するための値である。なお、特定部43aは、ボリュームデータに基づいて作成されるMPR画像データの輝度値と閾値とを比較することにより、ピクセルの座標値を特定領域の位置として特定することも可能である。指定部43は、特定部43aで特定されたボクセル(ピクセル)の座標値を注目対象の画像領域の位置として指定する。
また、ボリュームデータを構成する断層画像データに基づいて特定領域の位置を特定する場合、特定部43aは、断層画像データ間の差分を取ることにより特定領域の位置を特定することができる。具体的には、特定部43aは、断層画像データ間の差分を取り、差分の大きい断層画像データを特定する。そして、特定部43aは、特定された断層画像データに対してエッジ検出等の画像処理を行い、特定領域の位置を特定する。指定部43は、特定部43aで特定された領域の位置を注目対象の画像領域の位置として指定する。
<動作>
次に、図5を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1´の動作について説明する。ここでは、CT透視と穿刺とを交互に行い、注目対象Sに対して穿刺針PNを穿刺する場合の動作について説明する。また、ここでは、特定領域がボリュームデータに基づいて特定される例について述べる。
穿刺を開始するにあたり、まずX線CT装置1´により、被検体Eに対してX線スキャン(第1スキャン)を行い、ボリュームデータ(第1ボリュームデータ)を作成する。
具体的には、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S20)。本実施形態では、1回転分の検出データを取得する。X線検出部12で検出された検出データは、データ収集部18で収集され、処理部42(前処理部42a)に送られる。
前処理部42aは、S20で取得された検出データに対して、前処理を行い、投影データを作成する(S21)。作成された投影データは、制御部48の制御に基づき、再構成処理部42bに送られる。
再構成処理部42bは、S21で作成された投影データに基づいて、複数の断層画像データを作成する。また、再構成処理部42bは、複数の断層画像データを補間処理することにより第1ボリュームデータを作成する(S22)。
特定部43aは、S22で作成された第1ボリュームデータに基づいて、注目対象Sに対応する特定領域の位置を特定する(S23)。具体的には、特定部43aは、第1ボリュームデータを構成する各ボクセルのCT値と閾値とを比較し、閾値よりも大きい(或いは小さい)ボクセルの座標値を特定領域の位置として特定する。
指定部43は、S23で特定された特定領域の位置を注目対象の画像領域の位置として指定する(S24)。指定された画像領域の位置は、指定部43により記憶部45に送られ、記憶される(S25)。
レンダリング処理部42cは、S22で作成された第1ボリュームデータを任意の方向にレンダリングすることによりMPR画像を作成する。本実施形態において、レンダリング処理部42cは、S24で指定された画像領域の位置における直交三断面のMPR画像(アキシャル像AI、サジタル像SI、コロナル像CI)を作成する。作成されたMPR画像は、表示制御部44により表示部46に表示される(S26。図2B参照)。
S26で表示されたMPR画像を参照しながら、術者は穿刺を進める。ある程度、穿刺を進めた後、穿刺の状態(穿刺針PNと注目対象Sとの位置関係等)を確認するため、X線CT装置1´は、再度、被検体Eに対してX線スキャン(第2スキャン)を行い、ボリュームデータ(第2ボリュームデータ)を作成する。
すなわち、第1スキャンと同様、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S27)。なお、上述の通り、第1スキャンと第2スキャンの撮影条件は等しいものとする。
前処理部42aは、S27で取得された検出データに対して、前処理を行い、投影データを作成する(S28)。再構成処理部42bは、S28で作成された投影データに基づく複数の断層画像データを補間処理することにより、第2ボリュームデータを作成する(S29)。
ここで、表示制御部44は、S29で作成された第2ボリュームデータにおいて、S25で記憶された注目対象Sの画像領域の位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させる(S30)。具体的には、表示制御部44は、レンダリング処理部42cに対し、注目対象Sにおける断面のMPR画像を作成する処理を行うよう指示する。作成されたMPR画像は、表示制御部44により表示部46に表示される(図2C参照)。
第1実施形態と同様、第2スキャンにおいても第1スキャンと同じく注目対象Sにおける断面のMPR画像を作成することで、注目対象Sと穿刺針PNとの位置関係(第2スキャンの時点で注目対象Sに対して穿刺針PNがどの位置にあるのか)を把握することができる(図2C参照)。従って、CT透視と穿刺とを穿刺針PNが注目対象Sに到達するまで交互に行うことで生検を確実に行うことができる。また、注目対象Sにおける断面のMPR画像が常に表示されるため、注目対象Sと穿刺針PNの位置関係を容易に把握することができる。
なお、本実施形態では、X線CT装置1´の構成について説明を行ったが、本実施形態における作用を果たす構成は、X線CT装置1´に限られない。たとえば、X線CT装置で取得されたボリュームデータをX線CT装置とは異なる装置(たとえば、画像ビューワ等の画像表示装置)に送信し、その装置内で同様の処理を行うことによって、実施形態と同様の機能を実現することができる。この場合、画像表示装置内に、指定部43、表示制御部44、記憶部45及び表示部46が設けられていることが望ましい。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1´は、被検体EをX線でスキャンした結果に基づきボリュームデータを作成する装置である。X線CT装置1は、指定部43と、記憶部45と、表示制御部44とを含む。指定部43は、特定部43aを有する。特定部43aは、第1ボリュームデータ、又は第1ボリュームデータを構成する断層画像データに基づいて前記注目対象に対応する特定領域の位置を特定する。指定部43は、特定部43aで特定された領域の位置を注目対象の画像領域の位置として指定する。
このように、第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータ、又は第1ボリュームデータを構成する断層画像データに基づいて、指定部43(特定部43a)が注目対象の画像領域の位置を自動的に指定し、指定された画像領域の位置を記憶部45に記憶する。そして、表示制御部44が、第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、記憶部45に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部46に表示させる。よって、異なるスキャンのタイミングであっても、所望の位置におけるMPR画像を常に表示させておくことができる。すなわち、所望のMPR画像を容易に表示させることができる。また、スキャンを行う度に所望の位置を指定する手間が省けることから検査効率の低下を抑えることも可能となる。更に、指定部43(特定部43a)により、自動で注目対象の画像領域を指定することができる。従って、より簡易に所望のMPR画像を表示させることができる。
(変形例1)
表示部46に表示されたMPR画像の表示位置や向きを変えたい場合がある。たとえば、MPR画像における注目対象Sに対して穿刺を行う場合には、注目対象Sを表示画面の中心に配置することで、穿刺針PNとの位置関係をより把握し易くなる。或いは、架台装置10に対して被検体が斜めに固定されたままスキャンをした場合には、得られたMPR画像の向きを変えて穿刺針PNの状態を確認したいことがある。
このため、表示制御部44は、MPR画像の向き又は位置を変更して表示させる機能を有していてもよい。
たとえば、注目対象の画像領域を表示画面の中心に表示させる場合、入力部47等からの指示入力に基づき、表示制御部44は、表示部46の表示画面の中心座標と、MPR画像における注目対象の画像領域の中心座標とが一致するように、MPR画像を移動させる処理を行う。その結果、表示制御部44は、注目対象の画像領域が表示画面の中心に位置するMPR画像を表示させることができる(図6参照)。或いは、表示制御部44は、MPR画像を表示させる際に、上記処理を自動で行うことも可能である。また、斜めに表示されたMPR画像の向きを変える場合、入力部47等からの指示入力に基づき、表示制御部44は入力された方向にMPR画像を回転させる処理を行う。表示制御部44による処理は、たとえばアフィン変換の手法等を用いることができる。
上記実施形態では、被検体Eの情報をボリュームデータで取得している。従って、本変形例のように、表示制御部44は、ボリュームデータに基づいて表示されたMPR画像の位置や向きを任意に変更することができる。よって、穿刺等を行うときに参照するMPR画像をより見やすい状態で表示させることが可能となる。
(変形例2)
MPR画像のような二次元画像の表示条件の設定においては、コントラストの低い画像を識別可能とするために表示の階調に係るウインドウレベル(WL/Window Level)、ウインドウ幅(WW/Window Width)が設定されている。このウインドウレベル、ウインドウ幅が設定されると、X線CT装置等が二次元画像を表示しようとする時に、画像データに含まれたピクセルごとの画素値のうち、階調表示される当該画素値の範囲がある範囲に留められる。この画像データにおいて階調表示される画素値の範囲がウインドウ幅である。また、階調表示の中央値に対応する画素値をウインドウレベルという。ウインドウ幅及びウインドウレベルは、スキャン対象となる部位(たとえば、骨、肺等)により最適な値が存在する。
そこで、予め記憶部45は、スキャン対象となる部位毎にウインドウレベル、ウインドウ幅を表示条件として記憶しておく。そして、入力部47等により、スキャン前にスキャ対象となる部位の表示条件(たとえば、肺スキャンの表示条件)を選択し、スキャンを行う。表示制御部44は、選択された表示条件を記憶部45から読み出し、レンダリング処理部42cで作成されたMPR画像に対してその表示条件に基づく処理を施し、表示させることができる。
或いは、ボリュームデータをレンダリング処理して表示されるMPR画像は、その画像厚を任意に設定することができる。
そこで、予め記憶部45は、異なる画像厚のパターンを表示条件として記憶しておく。そして、MPR画像を作成するときに、入力部47等により任意の画像厚が選択されると、表示制御部44は、選択された画像厚のパターンを記憶部45から読み出し、レンダリング処理部42cにその画像厚でMPR画像を作成させることができる。
このように、ウインドウレベル、ウインドウ幅及びMPR画像の画像厚の少なくとも一つを表示条件とし、その表示条件に基づいてMPR画像を作成することにより、穿刺等を行うときに参照するMPR画像をより見やすい状態で表示させることが可能となる。
なお、記憶部45が第1スキャンを行う場合に設定した表示条件を記憶する。そして、その表示条件に基づいて、レンダリング処理部42cは、第2スキャンにより得られたボリュームデータからMPR画像を作成することも可能である。すなわち、第1スキャンと第2スキャンにおける表示条件を等しく設定することもできる。
(変形例3)
通常、CT透視を用いて生検等を行う場合には、被検体Eに対してどのように穿刺針を挿入していくかをシミュレーションした穿刺計画を予め立てることが多い。具体的には、CT透視を行う前に、スキャノ像等、予め撮影されたCT画像(断層画像)を表示部46に表示させ、入力部47等を用いてその画像上で穿刺針の挿入経路L、挿入角度θ等を描く。
表示制御部44は、穿刺針の挿入経路L等が描かれた画像を計画画像DIとして表示部46に表示させることが可能である。たとえば、表示制御部44は、図7に示すように、直交三断面のMPR画像(アキシャル像AI、サジタル像SI、コロナル像CI)と並べて表示画面46dに計画画像DIを表示させることができる。計画画像DIは、穿刺の計画を示すものであるため、少なくとも穿刺が行われる前に表示部46に表示されることが望ましい。このように、計画画像とMPR画像とを表示させることにより、術者は、計画画像とMPR画像とを比較しながら、穿刺等が的確に行われているかどうかを確認することができる(この場合、計画画像とMPR画像は位置関係が等しいものであることが望ましい)。なお、計画画像DIは、図7に示すアキシャル像に限らず、サジタル像やコロナル像であってもよい。或いは、計画画像DIは、レンダリング表示されたMPR画像や、断層画像の一部をキャプチャーした画像であってもよい。
(変形例4)
また、第1スキャンと第2スキャンは、上記実施形態のように連続的に行われる場合に限られない。たとえば、注目対象である病変部に対して穿刺により薬剤を注入することで病変部を治療する場合にX線CT装置を使用する方法が考えられる。この場合には、第1スキャンと第2スキャンのタイミングが日単位で空く可能性もある。このような場合にも上記実施形態の構成を適用可能である。すなわち、第1スキャンを行ったときに、注目対象の画像領域の位置を記憶部45に記憶しておく。そして、数日後に行われる第2スキャンにより得られたボリュームデータをMPR表示する場合に、記憶部45に記憶された画像領域の位置における断面のMPR画像を表示させることも可能である。このように上記実施形態の構成を病変部の治療に適用する場合であっても、容易に所望のMPR画像を表示させることができる。また、薬剤注入により病変部が小さくなっている等、注目対象の状態が変化している場合であっても、第2スキャンの際には病変部があった位置における断面のMPR画像を表示することができる。よって、治療の効果を容易に確認することができる。
<実施形態に共通の効果>
以上述べた少なくともひとつの実施形態のX線CT装置によれば、第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、指定部が注目対象の画像領域の位置を指定し、指定された画像領域の位置を記憶部45に記憶する。そして、表示制御部が、第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、記憶部に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部に表示させる。よって、異なるスキャンのタイミングであっても、所望の位置におけるMPR画像を常に表示させておくことができる。すなわち、所望のMPR画像を容易に表示させることができる。また、スキャンを行う度に所望の位置を指定する手間が省けることから検査効率の低下を抑えることも可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 X線CT装置
10 架台装置
11 X線発生部
12 X線検出部
13 回転体
13a 開口部
14 高電圧発生部
15 架台駆動部
16 X線絞り部
17 絞り駆動部
18 データ収集部
30 寝台装置
32 寝台駆動部
33 寝台天板
34 基台
40 コンソール装置
41 スキャン制御部
42 処理部
42a 前処理部
42b 再構成処理部
42c レンダリング処理部
43 指示部
44 表示制御部
45 記憶部
46 表示部
47 入力部
48 制御部

Claims (9)

  1. スキャンと穿刺とを繰り返して生検を行うために用いられるものであって、
    被検体をX線でスキャンした結果に基づきボリュームデータを作成するX線CT装置において
    第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定する指定部と、
    指定された前記画像領域の位置を記憶する記憶部と、
    第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、前記記憶部に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部に表示させる表示制御部と、
    前記穿刺の前後に前記第1スキャンと前記第2スキャンとを行うように制御するスキャン制御部と、
    を有することを特徴とするX線CT装置。
  2. スキャンと穿刺とを繰り返して生検を行うために用いられるものであって、
    被検体をX線でスキャンした結果に基づきボリュームデータを作成するX線CT装置において
    第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定する指定部と、
    指定された前記画像領域の位置を記憶する記憶部と、
    第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、前記記憶部に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部に表示させる表示制御部と、
    開口部を有する架台装置と、
    前記被検体を載置するための寝台天板と、
    前記開口部に前記寝台天板が配置された状態で前記被検体に対して前記第1スキャンを行い、
    前記寝台天板と前記開口部との相対位置が変化した場合に、変化後の状態で前記第2スキャンを行うスキャン制御部と、
    を有することを特徴とするX線CT装置。
  3. スキャンと穿刺とを繰り返して生検を行うために用いられるものであって、
    被検体をX線でスキャンした結果に基づきボリュームデータを作成するX線CT装置において、
    第1スキャンにより得られた第1ボリュームデータに基づいて、注目対象の画像領域の位置を指定する指定部と、
    指定された前記画像領域の位置を記憶する記憶部と、
    第1スキャンとは異なるタイミングで行われた第2スキャンにより得られた第2ボリュームデータにおいて、前記記憶部に記憶された位置における断面のMPR画像を表示部に表示させる表示制御部と、
    前記被検体を載置するための寝台天板と、
    開口部に前記寝台天板が配置された状態で前記被検体に対してX線のスキャンを行う架台装置と、
    前記開口部に対して前記寝台天板を挿抜させる寝台駆動部と、
    前記第1スキャンのタイミングと前記第2スキャンのタイミングの間に、前記寝台天板を前記開口部から抜き出すよう前記寝台駆動部を制御するスキャン制御部と、
    を有することを特徴とするX線CT装置。
  4. 入力部を更に有し、
    前記表示制御部は、前記第1ボリュームデータの中心位置における断面のMPR画像を前記表示部に表示させ、
    前記指定部は、当該MPR画像において前記入力部により選択された領域を前記注目対象の画像領域として指定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のX線CT装置。
  5. 前記指定部は、
    前記第1ボリュームデータ、又は前記第1ボリュームデータを構成する断層画像データに基づいて前記注目対象に対応する特定領域の位置を特定する特定部を有し、
    前記特定領域の位置を前記注目対象の画像領域の位置として指定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のX線CT装置。
  6. 前記表示制御部は、前記MPR画像の向き又は位置を変更して表示させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のX線CT装置。
  7. 前記記憶部は、予め定められた表示の階調に係るウインドウレベル、ウインドウ幅及び前記MPR画像の画像厚の少なくとも一つを表示条件として記憶しており、
    前記表示制御部は、前記記憶部に記憶された表示条件に基づいて前記MPR画像を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のX線CT装置。
  8. 前記表示制御部は、前記MPR画像として前記被検体のアキシャル像、サジタル像、コロナル像、オブリーク像の少なくとも一つを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のX線CT装置。
  9. 前記表示制御部は、穿刺の計画が示された計画画像を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のX線CT装置。
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