JP5237906B2 - 車両用ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
車両用ブレーキ液圧制御装置としては、内部にブレーキ液路およびリザーバが形成された基体と、リザーバに貯溜されたブレーキ液を吸引および吐出するポンプと、ポンプを作動させるためのモータと、基体に取り付けられた電磁弁およびモータの作動を制御する制御部と、を備えているものがある。
前記した車両用ブレーキ液圧制御装置において、ポンプの吐出側に接続された吐出液路には、ポンプから吐出されたブレーキ液の脈動を減衰させるための脈動減衰機構が設けられている。
従来の脈動減衰機構としては、吐出液路に連通するダンパ室と、ダンパ室内に摺動自在に挿入されたピストンと、ダンパ室よりも吐出液路の下流側に設けられたオリフィスと、を備え、吐出液路から分岐された液路にダンパ室が接続されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような従来の脈動減衰機構では、ピストンを付勢する皿ばねがダンパ室内に収容されており、ダンパ室内にブレーキ液に脈動が伝わると、ピストンがダンパ室内で弾性移動することでブレーキ液の脈動が減衰される。
特開2000−177565号公報(段落0040、図8)
前記した従来の脈動減衰機構において、ダンパ室内でブレーキ液の脈動を減衰させることができる圧力範囲は皿ばねの弾性領域のみであるため、ダンパ室におけるブレーキ液の脈動の減衰効果が低いという問題がある。
また、前記した従来の脈動減衰機構では、オリフィスとダンパ室とが別々に配置されているため、脈動減衰機構の設置スペースが大きくなるという問題がある。
さらに、前記した従来の脈動減衰機構では、通常のブレーキ操作時のように、吐出液路内のブレーキ液圧が緩やかに大きくなる場合でも、ピストンがダンパ室内で弾性移動してブレーキ液圧を吸収するため、通常のブレーキ操作時の操作感覚に影響を与える可能性がある。
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、ブレーキ液の脈動の減衰効果を高めるとともに、脈動減衰機構の設置スペースを小さくすることができ、さらに、通常のブレーキ操作時の操作感覚を確保することができる車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置であって、基体と、ブレーキ液を吸引および吐出するポンプと、を備え、前記基体には、前記ポンプの吐出側に接続された吐出液路が設けられ、前記吐出液路には、前記ポンプから吐出されたブレーキ液の脈動を減衰させる脈動減衰機構が設けられており、前記脈動減衰機構は、前記吐出液路の上流側に連通する流入室と前記吐出液路の下流側に連通する流出室とが形成されたダンパ室と、前記ダンパ室を前記流入室と前記流出室とに仕切る仕切り部材と、を備え、前記仕切り部材は、板状の弾性部材であり、前記流入室と前記流出室とを連通させるオリフィスが設けられていることを特徴としている。
前記した車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記仕切り部材が、前記ダンパ室に摺動自在に内挿される枠部材と、前記枠部材の内周面に嵌め込まれた板状の前記弾性部材と、を備えているように構成してもよい。
これらの構成では、ダンパ室内の仕切り部材にオリフィスが設けられていることにより、仕切り部材がダンパ室内で弾性変形または弾性移動してブレーキ液圧を吸収することが可能になるため、オリフィスの上流側でブレーキ液圧が大きくなるのを防ぐことができる。したがって、オリフィスによるブレーキ液の脈動の減衰効果を高めることができ、ブレーキ液の脈動をダンパ室内で確実に減衰させることができる。
また、ダンパ室内にオリフィスが設けられているため、脈動減衰機構の設置スペースを小さくすることができる。
また、流入室と流出室とはオリフィスを通じて連通しているため、通常のブレーキ操作時のように、吐出液路内のブレーキ液圧が緩やかに大きくなる場合には、仕切り部材の下流側および上流側でダンパ室の内圧が均衡状態となり、仕切り部材がブレーキ液圧を吸収しないため、通常のブレーキ操作時の操作感覚を確保することができる。
また、仕切り部材にオリフィスを設けることで、脈動減衰機構の部品点数を少なくすることができる。
本発明の車両用ブレーキ液圧制御装置では、オリフィスの上流側でブレーキ液圧が大きくなるのを防ぐことができるため、オリフィスによるブレーキ液の脈動の減衰効果を高めることができ、ブレーキ液の脈動をダンパ室内で確実に減衰させることができる。また、ダンパ室内にオリフィスが設けられているため、脈動減衰機構の設置スペースを小さくすることができる。また、通常のブレーキ操作時に仕切り部材がブレーキ液圧を吸収しないため、通常のブレーキ操作時の操作感覚を確保することができる。
実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置を示した側面図である。 実施形態の脈動減衰機構を示した分解斜視図である。 実施形態の脈動減衰機構を示した側断面図である。 実施形態の脈動減衰機構を示した説明図である。 実施形態の脈動減衰機構の変形例を示した側断面図である。 参考例の脈動減衰機構を示した分解斜視図である。 参考例の脈動減衰機構を示した側断面図である。 参考例の脈動減衰機構の変形例を示した側断面図である。
次に、本発明の実施形態および参考例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、実施形態および参考例の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
また、以下の説明における各方向は、車両用ブレーキ液圧制御装置の構成を分かり易く説明するために便宜上設定したものであり、車両用ブレーキ液圧制御装置の構成を限定するものではない。
[実施形態]
図1に示す実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、車輪ブレーキに装着されたホイールシリンダに付与するブレーキ液圧を適宜制御することで、ホイールシリンダのアンチロックブレーキ制御が可能になっている。
車両用ブレーキ液圧制御装置Uは、内部にブレーキ液路A(図4参照)およびリザーバ10f(図4参照)が形成された基体10と、基体10の後面10bに一体的に固着されたモータ20と、基体10の前面10aに一体的に固着された制御部30と、リザーバからブレーキ液を吸引および吐出するプランジャポンプ40(特許請求の範囲における「ポンプ」)と、プランジャポンプ40から吐出されたブレーキ液の脈動を減衰させる脈動減衰機構50(図4参照)と、を主に備えている。
基体10は、図1に示すように、略直方体の金属部品であり、前面10a、後面10b、左右の側面10c、上面10dおよび下面10eが形成され、内部にはブレーキ液路A(図4参照)が形成されている。
基体10の後面10bには、モータ20の出力軸が挿入される軸受穴(図示せず)が開口し、基体10の前面10aには、電磁弁が挿入される電磁弁装着穴(図示せず)が複数開口している。
また、基体10の前面10aには、リザーバ10f(図4参照)を構成する部品が挿入されるリザーバ穴(図示せず)が開口している。リザーバ10fは、車両用ブレーキ液圧制御装置Uによるブレーキ制御に応じて、ブレーキ液を一時的に貯溜する部位である。
基体10の左右の側面10cには、プランジャポンプ40が挿入されるシリンダ10gが開口している。
プランジャポンプ40は、シリンダ10g内に摺動自在に装着されたプランジャ(図示せず)を備えており、モータ20の出力軸に設けられた偏心カムによって、プランジャをシリンダ10g内で軸方向に往復動させることで、リザーバ10f(図4参照)からブレーキ液を汲み上げるものである。また、プランジャポンプ40の吐出側には、ブレーキ液路A(図4参照)の吐出液路A1が接続されている。
図1に示す制御部30は、車輪速度センサからの出力に基づいて、基体10に取り付けられた電磁弁(図示せず)やモータ20の作動を制御することで、ブレーキ液路A(図4参照)内のブレーキ液圧を変動させるものである。
脈動減衰機構50は、図3に示すように、吐出液路A1の上流側(プランジャポンプ40側)A2に連通する流入室52と、吐出液路A1の下流側(マスタシリンダ側)A3に連通する流出室53とが形成されたダンパ室51と、ダンパ室51を流入室52と流出室53とに仕切る板状の仕切り部材54と、ダンパ室51内において仕切り部材54よりも開口部側に内挿されるプラグ55と、を備えている。また、仕切り部材54には、流入室52と流出室53とを連通させるオリフィス56が設けられている。
ダンパ室51は、図2に示すように、基体10の前面10aに開口している有底の円形の穴部であり、仕切り部材54およびプラグ55が挿入される部位である。
図3に示すように、ダンパ室51の底面51aには、円形の凹部51bが形成されており、凹部51bの底面51cの中心部には、吐出液路A1の上流側A2が開口している。また、ダンパ室51の内周面51dには、吐出液路A1の下流側A3が開口している。
仕切り部材54は、図3に示すように、弾性を有する円板状の部品であり(図2参照)、ダンパ室51の底部に摺動自在に内挿されており、その中心部には貫通孔によってオリフィス56が形成されている。
仕切り部材54の外周縁部には、外側(図3の右側)に向けて立ち上げられた周壁部54aが形成されており、周壁部54aの外周面がダンパ室51の内周面51dに接している。
そして、ダンパ室51の内部空間において、ダンパ室51の凹部51bの底面51cから仕切り部材54の上流側(図3の左側)の側面54bまでの間に流入室52が形成されている。
プラグ55は、図3に示すように、ダンパ室51内に内挿される円形断面の金属部品であり、仕切り部材54よりも外側(図3の右側)に配置される蓋部材である。
プラグ55の外周面には、取付溝55aが全周に亘って形成されている(図2参照)。取付溝55aには、プラグ55に外嵌された環状のシール部材55bが嵌め込まれている。このシール部材55bの外周縁部がダンパ室51の内周面51dに接することで、ダンパ室51の内周面51dとプラグ55の外周面との間が液密にシールされている。
プラグ55の外側(図3の右側)の端部に形成された円錐台形状の取付部55eには、ダンパ室51の開口部の内周面に形成された係止溝に係止されたC形状のクリップ55fが外嵌されることで、ダンパ室51に対するプラグ55の抜け止めが構成されている。
そして、ダンパ室51の内部空間において、仕切り部材54の下流側(図3の右側)の側面54cからプラグ55の内側(図3の左側)の端面55cまでの間に流出室53が形成されている。なお、仕切り部材54の下流側の端部とプラグ55の内側の端面55cとの間には隙間が設けられており、この隙間は仕切り部材54がダンパ室51内で摺動可能なストロークとなっている。また、流出室53には吐出液路A1の下流側A3が連通している。
前記した実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置Uでは、図3に示すように、弾性部材である仕切り部材54にオリフィス56が設けられていることにより、仕切り部材54がダンパ室51内で弾性変形または摺動してブレーキ液圧を吸収することが可能になるため、オリフィス56の上流側でブレーキ液圧が大きくなるのを防ぐことができる。したがって、オリフィス56によるブレーキ液の脈動の減衰効果を高めることができ、ブレーキ液の脈動をダンパ室51内で確実に減衰させることができる。
また、流入室52と流出室53とはオリフィス56を通じて連通しており、通常のブレーキ操作時のように、吐出液路A1内のブレーキ液圧が緩やかに大きくなる場合には、仕切り部材54の下流側および上流側でダンパ室51の内圧が均衡状態となり、仕切り部材54がブレーキ液圧を吸収しないため、通常のブレーキ操作時の操作感覚を確保することができる。
また、ダンパ室51内にオリフィス56が設けられているため、脈動減衰機構50の設置スペースを小さくすることができる。また、仕切り部材54にオリフィス56が形成されているため、脈動減衰機構50の部品点数を少なくすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、図5に示す脈動減衰機構50の仕切り部材57は、ダンパ室51の底部に摺動自在に内挿される環状の枠部材57aと、枠部材57aの内周面に嵌め込まれた円板状の弾性部材57bと、を備え、弾性部材57bの中心部にオリフィス56が設けられている。この構成では、柔軟な弾性部材57bの外周縁部に枠部材57aが取り付けられているため、仕切り部材57をダンパ室51内に簡単に取り付けることができる。
参考例
参考例の車両用ブレーキ液圧制御装置は、前記した実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置と略同様の構成であり、脈動減衰機構における仕切り部材の構成が異なっている。
参考例の車両用ブレーキ液圧制御装置の脈動減衰機構70は、図7に示すように、吐出液路A1の上流側A2に連通する流入室72と吐出液路A1の下流側A3に連通する流出室73とが形成されたダンパ室71と、ダンパ室71を流入室72と流出室73とに仕切る仕切り部材74と、流出室73内に収容されたコイルばね78と、ダンパ室71内において仕切り部材74よりも外側(図7の右側)に内挿されるプラグ75と、を備えている。
仕切り部材74は、図6に示すように、ダンパ室71の底部に摺動自在に挿入される円形断面の金属部品であり、中心部にオリフィス76が設けられている。
また、仕切り部材74の外周面には、取付溝74aが全周に亘って形成されている。取付溝74aには、図7に示すように、仕切り部材74に外嵌された環状のシール部材74bが嵌め込まれている。このシール部材74bの外周縁部がダンパ室71の内周面71dに接することで、ダンパ室71の内周面71dと仕切り部材74の外周面との間が液密にシールされている。
そして、ダンパ室71の内部空間において、ダンパ室71の凹部71bの底面71cから仕切り部材74の上流側(図7の左側)の側面74cまでの間に流入室72が形成されている。
また、ダンパ室71の内部空間において、仕切り部材74の下流側(図7の右側)の側面74dからプラグ75の内側(図7の左側)の端面75cまでの間に流出室73が形成されている。また、流出室73には吐出液路A1の下流側A3が連通している。
コイルばね78は、流出室73内に収容されており、一端部が仕切り部材74の下流側の側面74dに当接し、他端部がプラグ75の内側の端面75cに当接している。そして、コイルばね78の弾性力によって仕切り部材74はダンパ室71の底面71a側に付勢されている。
参考例の脈動減衰機構70では、プランジャポンプ40(図4参照)から吐出されたブレーキ液の脈動が流入室72内に伝わると、ブレーキ液の脈動がオリフィス76を通過することで、ブレーキ液の脈動が減衰される。
また、仕切り部材74がコイルばね78の弾性力に抗して、ダンパ室71の開口部側(図7の右側)に弾性移動してブレーキ液圧を吸収することで、オリフィス76の上流側でブレーキ液圧が大きくなるのを防ぐことができるため、オリフィス76によるブレーキ液の脈動の減衰効果を高めることができる。
また、コイルばね78のばね定数を変化させることで、ブレーキ液の脈動を減衰させるときの特性を簡単に変化させることができる。
以上、本発明の参考例について説明したが、本発明は前記参考例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、前記した参考例の脈動減衰機構70では、図7に示すように、コイルばね78によって仕切り部材74がダンパ室71の底面71a側に付勢されているが、図8に示すように、流出室73内に収容された皿ばね77によって仕切り部材74がダンパ室71の底面71a側に付勢されているように構成してもよい。
この構成では、皿ばね77のばね定数を変化させることで、ブレーキ液の脈動を減衰させるときの特性を簡単に変化させることができる。
また、皿ばね77を用いることで、コイルばね78(図7参照)を用いた場合と比べて、ダンパ室71を小さくすることができ、脈動減衰機構70の設置スペースを小さくすることができる。
10 基体
10f リザーバ
20 モータ
30 制御部
40 プランジャポンプ
50 脈動減衰機構(実施形態)
51 ダンパ室
52 流入室
53 流出室
54 仕切り部材
55 プラグ
56 オリフィス
70 脈動減衰機構(参考例
71 ダンパ室
72 流入室
73 流出室
74 仕切り部材
75 プラグ
76 オリフィス
77 皿ばね
78 コイルばね
A ブレーキ液路
A1 吐出液路
U 車両用ブレーキ液圧制御装置

Claims (2)

  1. 基体と、
    ブレーキ液を吸引および吐出するポンプと、を備え、
    前記基体には、前記ポンプの吐出側に接続された吐出液路が設けられ、
    前記吐出液路には、前記ポンプから吐出されたブレーキ液の脈動を減衰させる脈動減衰機構が設けられており、
    前記脈動減衰機構は、
    前記吐出液路の上流側に連通する流入室と前記吐出液路の下流側に連通する流出室とが形成されたダンパ室と、
    前記ダンパ室を前記流入室と前記流出室とに仕切る仕切り部材と、を備え、
    前記仕切り部材は、板状の弾性部材であり、前記流入室と前記流出室とを連通させるオリフィスが設けられていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  2. 前記仕切り部材は、
    前記ダンパ室に摺動自在に内挿される枠部材と、
    前記枠部材の内周面に嵌め込まれた板状の前記弾性部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
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