以下、本発明の好ましい実施の形態および参考例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1参考例における水封装置100が用いられる新幹線1の側面図である。なお、図1では、水封装置100を模式的に示している。
まず、新幹線1の概略構成について説明する。新幹線1は、地面に敷設されたレールR上を高速で走行する高速車両であり、図1に示すように、気密室としての車室(図示せず)を形成する車体2と、その車体2の床下に配設される水封装置100とを主に備え、車室内部の気密を保ちつつ車室内部で発生したドレンを水封装置100によって車室外部へ排出することができるように構成されている。
なお、本参考例では、空調装置(図示せず)で発生したドレンを水封装置100によって車室外部へ排出する場合を説明するが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、洗面所(図示せず)等で発生したドレンを水封装置100によって車室外部へ排出するように構成しても良い。
次いで、図2を参照して、水封装置100の概略構成について説明する。図2は、水封装置100の内部構造を示す断面図である。図2に示すように、水封装置100は、空調装置のドレン配管10に接続され、そのドレン配管10を介して車室内部に連通される第1流路101と、その第1流路101に連通されると共に車室外部に連通される第2流路105と、ドレン配管10と第1流路101との間に設けられる第1弁装置110と、第1流路101と第2流路105との間に設けられる第2弁装置140とを備えて構成されている。
水封装置100によれば、空調装置で発生したドレンは、まず、第1弁装置110に流入し、その後、第1流路101を通じて第2弁装置140に流入する。そして、第2流路105を通じて車室外部へ排出される。
次いで、図2を参照して、第1弁装置110の詳細構成について説明する。第1弁装置110は、車室内部と第1流路101とを遮断または連通するためのものであり、図2に示すように、ドレン配管10(車室内部)及び第1流路101に連通して設けられる第1弁室120と、その第1弁室120内に収容される第1弁体130とを備えて構成されている。
図2に示すように、第1弁室120は、内部空間を有する容器状に構成され、その内部空間は、上層部120aと、その上層部120aよりも下方(図2下側)に位置する下層部120bとに分かれている。これら上層部120a及び下層部120bは、上層部120aの容積が下層部120bの容積よりも大きく、下層部120bの水平断面積が上層部120aの水平断面積よりも小さく構成されている。また、下層部120bは、第1弁体130を収容可能に構成され、後述する弁部132の外周面が内接する形状に形成されている。
図2に示すように、下層部120bには、第1連通口121が開口形成されている。第1連通口121は、第1流路101に連通される開口であり、第1弁室120の側面に設けられると共に、第1弁室120の底面Sからの高さが寸法Aとなる位置に配置されている。
また、図2に示すように、第1弁室120内には、仕切板122が配設されている。仕切板122は、第1弁体130の動作の最高位置を規制するためのものであり、第1弁体130の横方向(図2左右方向)への動作を規制する役割も兼ねている。
第1弁体130は、第1弁室120におけるドレンの液位(第1弁室120の底面Sからの高さ)の変化に追従して動作し、その動作に伴って第1連通口121を開閉するものであり、図2に示すように、浮子部131と、その浮子部131に連結される弁部132とを備えて構成されている。
ここで、図3を参照して、第1弁体130の詳細構成について説明する。図3(a)は、第1弁体130の上面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における第1弁体130の断面図である。
浮子部131は、第1弁室120に流入したドレンの液面に浮かぶ浮子として構成され、図3に示すように、円柱状に形成されている。一方、弁部132は、第1連通口121(図2参照)を開閉するための弁として構成され、図3に示すように、浮子部131の外周を囲む円筒状に形成されている。
図3(b)に示すように、弁部132の内周面には、張出部133が形成されている。張出部133は、浮子部131と弁部132とを連結する部位であり、第1弁体130の動作方向(図3(b)上下方向)と交差する方向へ向けて張り出して形成されると共に、浮子部131の喫水線L(浮子部131がドレンの液面に浮かんだ状態で液面下に沈む部分と液面上に浮かぶ部分との境界線)よりも下方(図3(b)下側)に位置している。この張出部133によって浮子部131と弁部132とが連結された状態において、第1弁体130は、弁部132の下端から喫水線Lまでの高さが寸法Bとなるように設定されている。
また、図3に示すように、張出部133には、4個の貫通孔134が穿設されている。貫通孔134は、ドレンの流路断面積を絞るためのものであり、上面視において円周方向に略等間隔(90°間隔)で配置されている。
図2に戻って説明する。上述したように構成される第1弁装置110によれば、第1弁室120におけるドレンの液位が上述した寸法Aに寸法B(図3参照)を加えた高さXよりも低い場合には、第1弁体130(弁部132)によって第1連通口121が閉塞され、第1弁室120と第1流路101とが遮断される。一方、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高い場合には、第1連通口121が開放され、第1弁室120と第1流路101とが連通される。これにより、第1弁室120におけるドレンの液位に応じて第1弁室120と第1流路101とを遮断または連通することができる。
ここで、第1弁室120は、下層部120bの水平断面積が上層部120aの水平断面積よりも小さく構成されているので、下層部120bにおけるドレンの液位が上層部120aにおけるドレンの液位よりも変化し易く、下層部120bでは、第1弁体130が動作し易い。これに関し、第1連通口121は、下層部120bに設けられているので、第1連通口121の開閉を敏感に行うことができる。これにより、ドレンを効率良く排出することができる。
一方、上層部120aの容積が下層部120bの容積よりも大きく構成されているので、ドレンを一時的に貯留しておくためのバッファ領域(貯留スペース)を確保することができる。これにより、車室内部へのドレンの逆流を抑制することができる。
また、第1連通口121は、第1弁室120の側面に設けられているので、ドレンの水頭圧や車室内部の圧力を第1弁体130の動作方向と異なる方向(交差する方向)へ作用させることができる。これにより、第1弁体130が第1連通口121に固着するのを防止して、ドレンを確実に排出することができる。
また、第1弁体130は、その動作方向と交差する方向へ向けて張り出す張出部133を備え、その張出部133は、喫水線Lよりも下方に位置しているので、張出部133がドレンの液面下に沈み、ドレンの流れに対して抵抗となる。よって、ドレンの流速が速い場合には、その流れの勢いを利用して、第1弁体130を迅速に動作させることができる。更に、張出部133は、ドレンの流路断面積を絞るように構成されているので、ドレンの流速を抑制することができる。これにより、ドレンの流速が速い場合でも、車室内部の気密を確実に保つことができる。
また、第1弁室120内には、第1弁体130の動作の最高位置を規制する仕切板122を備えているので、第1弁体130の浮き上がりを制限して、第1連通口121の開閉を迅速に行うことができる。これにより、車室内部の気密を確実に保つことができる。
次いで、図2を参照して、第2弁装置140の詳細構成について説明する。第2弁装置140は、第1流路101と車室外部とを遮断または連通するためのものであり、図2に示すように、第1流路101及び第2流路105(車室外部)に連通して設けられる第2弁室150と、その第2弁室150内に収容される第2弁体160とを備えて構成されている。
図2に示すように、第2弁室150は、内部空間を有する容器状に構成され、その底面には、第2連通口151が開口形成されている。第2連通口151は、第1流路101に連通される開口であり、第1連通口121よりも上方(図2上側)に位置すると共に、第1弁室120の底面Sからの高さが寸法Cとなる位置に配置されている。なお、本参考例では、寸法Cは、上述した寸法Aに寸法Bを加えた値よりも大きく設定されている。
また、図2に示すように、第2弁室150の側面には、第3連通口152が開口形成されている。第3連通口152は、第2流路105に連通される開口であり、第2連通口151よりも上方(図2上側)に位置すると共に、第1弁室120の底面Sからの高さが寸法Dとなる位置に配置されている。即ち、本参考例では、寸法Dは、上述した寸法Cの値よりも大きく設定されている。
また、図2に示すように、第2弁室150内には、環状溝153が形成されている。環状溝153は、第2弁体160が第3連通口152に近接した場合に第2弁体160と第3連通口152との間に隙間を形成するためのものであり、第3連通口152に連設されると共に、第2弁室150の内周面に沿って環状に凹設されている。
第2弁体160は、第2弁室150におけるドレンの液位の変化に追従して動作し、その動作に伴って第2連通口151を開閉するものであり、第2弁室150に流入したドレンの液面に浮かぶ浮子として構成され、図2に示すように、球状に形成されている。
上述したように構成される第2弁装置140によれば、車室外部の圧力と車室内部の圧力との圧力差がなく、第1弁室120におけるドレンの液位が上述した寸法Cに等しい高さYよりも低い場合には、第2弁体160が重力によって第2連通口151側へ付勢されることで、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断される。一方、第1弁室120におけるドレンの液位が高さYよりも高い場合には、第2弁体160がドレンの水頭圧によって動作することで、第2連通口151が開放され、第1流路101と第2弁室150とが連通される。これにより、第1弁室120におけるドレンの液位に応じて第1流路101と第2弁室150とを遮断または連通することができる。
また、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも高い場合には、第2弁体160が車室外部の圧力によって第2連通口151側へ付勢されることで、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断される。一方、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも低い場合には、第2弁体160がドレンの水頭圧によって動作することで、第2連通口151が開放され、第1流路101と第2弁室150とが連通される。これにより、車室外部の圧力とドレンの水頭圧との圧力差に応じて第1流路101と第2弁室150とを遮断または連通することができる。
ここで、第2弁室150内には、第2弁体160が第3連通口152に近接した場合に第2弁体160と第3連通口152との間に隙間を形成する環状溝153を備えているので、第2弁体160が第3連通口152に固着するのを防止して、ドレンを確実に排出することができる。
次いで、図2を参照して、第1流路101の詳細構成について説明する。図2に示すように、第1流路101内には、ドレンの流路断面積を絞るオリフィス102が形成されている。これにより、ドレンの流速を抑制することができ、ドレンの流速が速い場合でも、車室内部の気密を確実に保つことができる。
次いで、図4を参照して、水封装置100の状態遷移および各状態の作用について説明する。図4は、水封装置100の状態を説明する説明図であり、(a)は第1状態を、(b)は第2状態を、(c)は第3状態を、(d)は第4状態を、(e)は第5状態を、それぞれ示している。なお、図4では、図面の理解を容易とするため、主要な構成のみに符号を付している。
まず、図4(a)を参照して、第1状態について説明する。第1状態は、例えば、空調装置が暖房運転の場合や長期休止していた新幹線1が運転を再開した場合の状態である。この状態では、水封装置100内のドレンが乾燥しており、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低いため、第1弁体130によって第1連通口121が閉塞され、第1弁室120と第1流路101とが遮断される。また、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低いため、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断される。これにより、車室内部の気密が保たれる。
ここで、第1状態において車室外部の圧力が車室内部の圧力よりも低くなった場合でも、第1弁体130によって第1連通口121が閉塞され、第1弁室120と第1流路101とが遮断されているので、車室内部の気密が保たれる。
また、第1状態において車室外部の圧力が車室内部の圧力よりも高くなった場合でも、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断されているので、車室内部の気密が保たれる。
なお、図4(a)に示す第1状態から空調装置でドレンが発生した場合でも、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高くなるまでは、第1状態の場合と同様に、第1弁体130によって第1連通口121が閉塞され、第1弁室120と第1流路101とが遮断されると共に、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断される。これにより、車室内部の気密が保たれる。
この状態において車室外部の圧力が車室内部の圧力よりも低くなった場合でも、第1弁体130によって第1連通口121が閉塞され、第1弁室120と第1流路101とが遮断されているので、車室内部の気密が保たれる。
また、かかる状態において車室外部の圧力が車室内部の圧力よりも高くなった場合でも、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断されているので、車室内部の気密が保たれる。
次いで、図4(b)を参照して、第2状態について説明する。第2状態は、図4(a)に示す第1状態から空調装置でドレンが発生し、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高く且つ高さYよりも低くなった状態である。この状態では、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高いため、第1連通口121が開放され、第1弁室120と第1流路101とが連通される。但し、第1弁室120と第1流路101とが連通された状態であっても、第1弁室120内および第1流路101内に存在するドレンが封水として作用する。一方、第1弁室120におけるドレンの液位が高さYよりも低いため、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断される。これにより、車室内部の気密が保たれる。
ここで、第2状態において車室外部の圧力が車室内部の圧力よりも高くなった場合でも、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断されているので、車室内部の気密が保たれる。
次いで、図4(c)を参照して、第3状態について説明する。第3状態は、図4(b)に示す第2状態において車室外部の圧力が車室内部の圧力よりも低くなった状態である。この状態では、車室内部の圧力によって第1弁室120におけるドレンの液位が押し下げられ、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低くなるため、第1弁体130によって第1連通口121が閉塞され、第1弁室120と第1流路101とが遮断される。これにより、車室内部の気密が保たれる。
次いで、図4(d)を参照して、第4状態について説明する。第4状態は、図4(b)に示す第2状態から引き続き空調装置でドレンが発生し、第1弁室120におけるドレンの液位が高さYよりも高くなった状態である。この状態では、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高いため、第1連通口121が開放され、第1弁室120と第1流路101とが連通される。また、第1弁室120におけるドレンの液位が高さYよりも高いため、第2連通口151が開放され、第1流路101と第2弁室150とが連通される。これにより、第1弁室120におけるドレンの液位が上述した寸法Dに等しい高さZよりも高い場合には、ドレンが第2流路105を通じて車室外部へ排出される。
但し、第1弁室120と第1流路101とが連通された状態であっても、第1弁室120内および第1流路101内に存在するドレンが封水として作用する。また、第1流路101と第2弁室150とが連通された状態であっても、第1流路101内および第2弁室150内に存在するドレンが封水として作用する。これにより、車室内部の気密が保たれる。
なお、図4(d)に示す第4状態からドレンが排出され、第1弁室120におけるドレンの液位が低くなると、図4(c)に示す第3状態となる。よって、第3状態の場合と同様に、第1弁体130によって第1連通口121が閉塞され、第1弁室120と第1流路101とが遮断される。これにより、車室内部の気密が保たれる。
また、第4状態において車室外部の圧力が車室内部の圧力よりも高くなった場合でも、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも高くなるまでは、第4状態の場合と同様に、第1連通口121が開放され、第1弁室120と第1流路101とが連通されると共に、第2連通口151が開放され、第1流路101と第2弁室150とが連通される。これにより、第1弁室120におけるドレンの液位が高さZよりも高い場合には、ドレンが第2流路105を通じて車室外部へ排出される。
但し、第4状態の場合と同様に、第1弁室120と第1流路101とが連通された状態であっても、第1弁室120内および第1流路101内に存在するドレンが封水として作用する。また、第1流路101と第2弁室150とが連通された状態であっても、第1流路101内および第2弁室150内に存在するドレンが封水として作用する。これにより、車室内部の気密が保たれる。
次いで、図4(e)を参照して、第5状態について説明する。第5状態は、図4(d)に示す第4状態において車室外部の圧力が車室内部の圧力よりも高くなり、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも高くなった状態である。この状態では、第2弁体160によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室150とが遮断される。これにより、車室内部の気密が保たれる。
以上説明したように、本参考例における水封装置100によれば、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低い場合、即ち、第1弁室120内にドレンが存在しない場合や第1弁室120内のドレンが比較的少ない場合には、第1弁室120と第1流路101とを遮断すると共に第1流路101と第2弁室150とを遮断することで、車室内部の気密を保つことができる。
一方、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高い場合、即ち、第1弁室120内のドレンが比較的多い場合には、ドレンを排出する必要性が高いと判断されるので、第1弁室120と第1流路101とを連通すると共に第1流路101と第2弁室150とを連通することで、ドレンを排出することができる。また、この場合には、第1弁室120と第1流路101とを連通した状態であっても、第1弁室120内および第1流路101内に存在するドレンを封水として作用させて、気密室内部の気密を保つことができる。同様に、第1流路101と第2弁室150とを連通した状態であっても、第1流路101内および第2弁室150内に存在するドレンを封水として作用させて、気密室内部の気密を保つことができる。
更に、第1弁室120内および第1流路101内に存在するドレンを封水として作用させるので、車室外部の圧力と車室内部の圧力との圧力差が急激に変動した場合でも、車室内部の圧力の急激な変化を防止することができる。
また、本参考例における水封装置100によれば、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも高い場合には、車室内部の気密を保つ必要性が高いと判断されるので、第1流路101と第2弁室150とを遮断することで、車室内部の気密を保つことができる。また、この場合には、第1弁室120内にドレンが存在しない状態であっても、車室内部の気密を保つことができる。
一方、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも低い場合には、第1流路101と第2弁室150とを連通することで、ドレンを排出することができる。また、この場合には、第1流路101と第2弁室150とを連通した状態であっても、第1流路101内および第2弁室150内に存在するドレンを封水として作用させて、気密室内部の気密を保つことができる。
このように、本参考例における水封装置100によれば、ドレンを排出する必要性と車室内部の気密を保つ必要性とに応じてドレンの流路(第1弁室120と第1流路101及び第1流路101と第2弁室150)を遮断または連通するので、ドレンを効率良く排出することができる。また、第1弁室120内にドレンが存在しない状態であっても、車室内部の気密を保つことができる。
次いで、図5を参照して、第2参考例における水封装置200について説明する。図5は、第2参考例における水封装置200の内部構造を示す断面図である。なお、本参考例では、水封装置200が新幹線1に用いられる場合を説明する。また、第1参考例と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
第1参考例における第2弁体160は、第2弁室150におけるドレンの液位の変化に追従して動作し、その動作に伴って第2連通口151を開閉するように構成されていたが、第2参考例における第2弁体260は、ドレンの水頭圧によって動作し、その動作に伴って第2連通口151を開閉するように構成されている。
図5に示すように、第2参考例における第2弁装置240は、第1流路101及び第2流路105(車室外部)に連通して設けられる第2弁室250と、その第2弁室250内に収容される第2弁体260とを備えて構成されている。
図5に示すように、第2弁室250は、内部空間を有する容器状に構成され、その一方(図5左側)の側面には、第2連通口151が開口形成されると共に、他方(図5右側)の側面には、第3連通口152が開口形成されている。
第2弁体260は、ドレンの水頭圧によって動作し、その動作に伴って第2連通口151を開閉するものであり、図5に示すように、弁部材261と、その弁部材261に連結される付勢部材262とを備えて構成されている。
弁部材261は、第2連通口151を開閉するための弁として構成され、図5に示すように、付勢部材262によって第2連通口151側(図5左側)へ付勢されている。付勢部材262は、弾性部材(本参考例ではコイルバネ)によって構成され、その弾性力が、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高い場合のドレンの水頭圧よりも小さく、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低い場合のドレンの水頭圧よりも大きくなるように設定されている。
上述したように構成される第2弁装置240によれば、車室外部の圧力と車室内部の圧力との圧力差がなく、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低い場合には、弁部材261が弾性部材262によって第2連通口151側へ付勢されることで、第2弁体260によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室250とが遮断される。一方、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高い場合には、弁部材261がドレンの水頭圧によって付勢部材262の付勢力に抗して動作することで、第2連通口151が開放され、第1流路101と第2弁室250とが連通される。これにより、第1弁室120におけるドレンの液位に応じて第1流路101と第2弁室250とを遮断または連通することができる。
また、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも高い場合には、弁部材261が車室外部の圧力によって第2連通口151側へ付勢されることで、第2弁体260によって第2連通口151が閉塞され、第1流路101と第2弁室250とが遮断される。一方、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも低い場合には、弁部材261がドレンの水頭圧によって動作することで、第2連通口151が開放され、第1流路101と第2弁室250とが連通される。これにより、車室外部の圧力とドレンの水頭圧との圧力差に応じて第1流路101と第2弁室250とを遮断または連通することができる。
以上説明したように、本参考例における水封装置200によれば、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも高い場合には、車室内部の気密を保つ必要性が高いと判断されるので、第1流路101と第2弁室250とを遮断することで、車室内部の気密を保つことができる。また、この場合には、第1弁室120内にドレンが存在しない状態であっても、車室内部の気密を保つことができる。
一方、車室外部の圧力がドレンの水頭圧よりも低い場合には、第1流路101と第2弁室250とを連通することで、ドレンを排出することができる。また、この場合には、第1流路101と第2弁室250とを連通した状態であっても、第1流路101内および第2弁室250内に存在するドレンを封水として作用させて、気密室内部の気密を保つことができる。
このように、本参考例における水封装置200によれば、第1参考例における水封装置100の場合と同様に、ドレンを排出する必要性と車室内部の気密を保つ必要性とに応じてドレンの流路(第1流路101と第2弁室250)を遮断または連通して、ドレンを効率良く排出することができる。
次いで、図6を参照して、第3参考例における水封装置300について説明する。図6は、第3参考例における水封装置300の内部構造を示す断面図である。なお、本参考例では、水封装置300が新幹線1に用いられる場合を説明する。また、第1参考例と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
第1参考例における第1弁体130は、第1弁室120におけるドレンの液位の変化に追従して動作し、その動作に伴って第1連通口121を開閉するように構成されていたが、第3参考例における第1弁330は、浮子370によって検出された第1弁室120におけるドレンの液位に応じて第1流路101を遮断または連通するように構成されている。
図6に示すように、第3参考例における第1弁装置310は、第1弁室120と、その第1弁室120内に収容される浮子370と、第1流路101中に配設される第1弁330とを主に備えて構成されている。
浮子370は、第1弁室120におけるドレンの液位の変化に追従して動作し、その動作に伴って第1弁室120におけるドレンの液位を検出するためのものであり、第1弁室120に流入したドレンの液面に浮かぶ浮きとして構成され、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低い場合には、スイッチ380をオフする一方、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高い場合には、スイッチ380をオンするように構成されている。
第1弁330は、浮子370によって検出された第1弁室120におけるドレンの液位に応じて第1流路101を遮断または連通するものであり、電磁弁によって構成され、図6に示すように、スイッチ380に電気的に接続されると共に、スイッチ380がオンの場合には、第1流路101を遮断する一方、スイッチ380がオフの場合には、第1流路101を連通するように構成されている。即ち、本参考例では、第1弁330が浮子370の動作に連動して第1流路101を遮断または連通するように構成されている。
上述したように構成される第1弁装置310によれば、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低い場合には、スイッチ380がオフとなり、第1流路101が遮断される。一方、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高い場合には、スイッチ380がオンとなり、第1流路101が連通される。これにより、第1弁室120におけるドレンの液位に応じて第1流路101を遮断または連通することができる。
以上説明したように、本参考例における水封装置300によれば、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも低い場合、即ち、第1弁室120内にドレンが存在しない場合や第1弁室120内のドレンが比較的少ない場合には、第1流路101を遮断することで、車室内部の気密を保つことができる。
一方、第1弁室120におけるドレンの液位が高さXよりも高い場合、即ち、第1弁室120内のドレンが比較的多い場合には、ドレンを排出する必要性が高いと判断されるので、第1流路101を連通することで、ドレンを排出することができる。また、この場合には、第1流路101を連通した状態であっても、第1弁室120内および第1流路101内に存在するドレンを封水として作用させて、気密室内部の気密を保つことができる。
このように、本参考例における水封装置300によれば、第1参考例における水封装置100の場合と同様に、ドレンを排出する必要性と車室内部の気密を保つ必要性とに応じてドレンの流路(第1流路101)を遮断または連通して、ドレンを効率良く排出することができる。
次いで、図7を参照して、第1実施の形態における水封装置400について説明する。図7は、第1実施の形態における水封装置400の内部構造を示す断面図である。なお、本実施の形態では、水封装置400が新幹線1に用いられる場合を説明する。また、第1参考例と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、第1実施の形態における第1弁装置410は、ドレン配管10(車室内部)および第1流路101に連通して設けられる第1弁室420と、その第1弁室420内に収容される第1弁体430とを備えて構成されている。
図7に示すように、第1弁室420は、内部空間を有する容器状に構成され、その底面には、第1連通口121が開口形成されている。また、図7に示すように、第1弁室420内には、仕切板122が配設されている。
第1弁体430は、第1弁室420におけるドレンの液位の変化に追従して動作し、その動作に伴って第1連通口121を開閉するものであり、図7に示すように、浮子部431と、その浮子部431の下方(図7下側)に連結される弁部432とを備えて構成されている。
浮子部431は、第1弁室420に流入したドレンの液面に浮かぶ浮きとして構成され、円柱状に形成されている。一方、弁部432は、第1連通口121を開閉するための弁として構成され、球状に形成されている。
図7に示すように、弁部432の下面には、抵抗部433が形成されている。抵抗部433は、ドレンの液面下に沈み、ドレンの流れに対して抵抗となる部位であり、円錐と半球とを互いの平面が向き合うように組み合わせた形状、いわゆる涙滴型に形成されると共に、第1流路101内に位置してドレンの流路断面積を絞るように構成されている。
上述したように構成される第1弁装置410によれば、第1弁体430は、ドレンの流れに対して抵抗となる抵抗部433を備えているので、ドレンの流速が速い場合には、その流れの勢いを利用して、第1弁体430を迅速に動作させることができる。更に、抵抗部433は、ドレンの流路断面積を絞るように構成されているので、ドレンの流速を抑制することができる。これにより、ドレンの流速が速い場合でも、第1連通口121を閉塞するタイミングの遅れを防止して、第1弁室420からのドレンの流出を防止する機能の向上を図ることができる。その結果、車室内部の気密を確実に保つことができる。
また、抵抗部433は、涙滴型に形成されているので、第1連通口121を通じて第1弁室420から流出するドレンの流れに対する抵抗を、第1連通口121を通じて第1弁室420に流入するドレンの流れに対する抵抗よりも大きくすることができる。
ここで、図8を参照して、抵抗部433の作用について説明する。図8は、抵抗部433の作用を説明する説明図であり、(a)はドレンが第1連通口121を通じて第1弁室420から流出する場合の作用を、(b)はドレンが第1連通口121を通じて第1弁室420に流入する場合の作用を、それぞれ示している。なお、図8の矢印は、ドレンの流れを模式的に示している。
ドレンが第1連通口121を通じて第1弁室420から流出する場合、即ち、抵抗部433における円錐側から半球側へ向かってドレンが流れる場合には、円錐の表面で摩擦抵抗が生じるため、流れに対して抵抗となる。また、図8(a)に示すように、半球の表面では、その表面から流れが剥離して抵抗部433の下方で乱流が発生するため、流れに対して抵抗となる。
一方、ドレンが第1連通口121を通じて第1弁室420に流入する場合、即ち、抵抗部433における半球側から円錐側へ向かってドレンが流れる場合には、抵抗部433の表面で摩擦抵抗が生じるのは不可避であるが、流速が緩やかに減速するので、図8(b)に示すように、流れの剥離は起き難く、ドレンがスムーズに流れ去ることで、流れに対して抵抗となり難い。
よって、第1連通口121を通じて第1弁室420から流出するドレンの流れに対する抵抗を、第1連通口121を通じて第1弁室420に流入するドレンの流れに対する抵抗よりも大きくすることができる。これにより、ドレンの流速が速い場合でも、第1連通口121を閉塞するタイミングの遅れを防止して、第1弁室420からのドレンの流出を防止する機能の向上を図ることができる。その結果、車室内部の気密を確実に保つことができる。
図7に戻って説明する。第1実施の形態における第2弁装置440は、第2弁室150と、その第2弁室150内に収容される第2弁体460とを備えて構成されている。第2弁体460は、第2弁室150におけるドレンの液位の変化に追従して動作し、その動作に伴って第2連通口151を開閉するものであり、第2弁室150に流入したドレンの液面に浮かぶ浮きとして構成され、球状に形成されている。
図7に示すように、第2弁体460の下面には、抵抗部463が形成されている。抵抗部463は、ドレンの液面下に沈み、ドレンの流れに対して抵抗となる部位であり、涙滴型に形成されると共に、第1流路101内に位置してドレンの流路断面積を絞るように構成されている。
上述したように構成される第2弁装置440によれば、第2弁体460は、ドレンの流れに対して抵抗となる抵抗部463を備えているので、車室内部へ逆流するドレンの流速が速い場合には、その流れの勢いを利用して、第2弁体460を迅速に動作させることができる。更に、抵抗部463は、第1流路101の流路断面積を絞るように構成されているので、車室内部へ逆流するドレンの流速を抑制することができる。これにより、車室内部へ逆流するドレンの流速が速い場合でも、第2連通口151を閉塞するタイミングの遅れを防止して、第2弁室150からのドレンの流出を防止する機能の向上を図ることができる。その結果、車室内部へのドレンの逆流を抑制することができる。
また、抵抗部463は、涙滴型に形成されているので、第2連通口151を通じて第2弁室150から流出するドレンの流れに対する抵抗を、第2連通口151を通じて第2弁室150に流入するドレンの流れに対する抵抗よりも大きくすることができる。これにより、車室内部へ逆流するドレンの流速が速い場合でも、第2連通口151を閉塞するタイミングの遅れを防止して、第2弁室150からのドレンの流出を防止する機能の向上を図ることができる。その結果、車室内部へのドレンの逆流を抑制することができる。
以上、実施の形態および各参考例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および各参考例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態および各参考例では、水封装置100,200,300,400が新幹線1に用いられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、他の高速車両(例えばリニアモーターカー)や燃料電池などに用いることは当然可能である。即ち、本発明における水封装置は、内部の圧力と外部の圧力との圧力差が変動する気密室であってその気密室内部で発生したドレンを気密室外部へ排出するためのものであり、気密室の対象(例えば車室)は限定されるものではない。
上記第1参考例では、寸法Cが寸法Aに寸法Bを加えた値よりも大きく設定されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、寸法Cを寸法Aに寸法Bを加えた値と等しく設定しても良く、或いは、寸法Aに寸法Bを加えた値よりも小さく設定しても良い。また、上記第1参考例では、寸法Dが寸法Cの値よりも大きく設定されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、寸法Dを寸法Cの値と等しく設定しても良い。
上記第1参考例では、第2弁体160が第3連通口152に近接した場合に第2弁体160と第3連通口152との間に隙間を形成するべく、第2弁室150内に環状溝153が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、環状溝153に代えて、第3連通口152を覆う網状の部材を第2弁室150内に設けても良い。これにより、第2弁体160が第3連通口152に近接した場合に第2弁体160と第3連通口152との間に隙間が形成されるので、第2弁体160が第3連通口152に固着するのを防止して、ドレンを確実に排出することができる。
上記第3参考例では、浮子370によって第1弁室120におけるドレンの液位を検出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、超音波やレーザ等を用いてドレンの液位を検出する非接触式の検出器、或いは、ドレンに触れてドレンの液位を検出する接触式の検出器によって第1弁室120におけるドレンの液位を検出するように構成しても良い。
上記第3参考例では、単にスイッチ380のオフ又はオンによって第1弁330が動作する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第1弁330の動作を制御する制御装置を設け、スイッチ380のオフ又はオンに加えて、かかる制御装置によって第1弁330の動作を制御しても良い。例えば、スイッチ380がオフからオンに切り替わった場合には、第1弁330の動作にタイムラグを与えて、第1流路101の連通を遅らせる。これにより、ドレンの流速が速い場合でも、車室内部の気密を確実に保つことができる。