JP2004138146A - 逆止弁、補助循環装置、及び補助循環装置の駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケーシング部材11と、ケーシング部材11内に設置した涙滴形状のボール部材12と、ケーシング部材11の内壁面上に形成された係止部材13と、同じくケーシング部材11の内壁面上に形成された密閉部材14とから逆止弁20を構成する。順方向の流速が生じている場合、ボール部材12は係止部材13で確実に固定され、前記流速が安定的に環流するようにする。逆方向の流速が生じている場合、ボール部材12は密閉部材14で係止され、ケーシング部材を密閉して、前記流速を抑止する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆止弁、この逆止弁を利用した補助人工心臓に代表される血液補助循環装置などの補助循環装置及びその補助循環装置の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
機能不全に陥った心臓を補助する補助人工心臓などの血液補助循環装置に用いる逆止弁には、耐久性、並びに血行動態の良好な保持性、血液適合性(抗血栓性、抗溶血性)、及び組織適合性などの諸特性が要求される。これまで、上記逆止弁としては、ボール弁、チルティングディスク弁、及びに二葉弁などの機械式の弁が用いられてきた。
【0003】
現在では、中心流及び有効弁口面積の確保が容易であること、及び開閉に要する空間が小さくて良いことなどの理由から、二葉弁が主として用いられている。しかしながら、前記二葉弁においては、その弁を構成するディスクのヒンジ部分において血液が凝血して固着してしまう場合がある。
【0004】
一方、高い耐久性と高い材質選択の自由度との観点からはボール弁を用いることが好ましい。しかしながら、前記ボール弁においては、ケーシング部材内で球状のボール部材が係止部材で係止されて順方向の流速が生じている場合において、前記ボール部材の係止が不十分で、前記係止部材から剥離してしまう場合があった。このため、血液を安定して流すことができなくなり、血栓塞栓症などを引き起こしてしまう場合があった。
【0005】
図1は、従来のボール弁の構成を概略的に示す図である。図1に示すように、順方向の流速が生じている場合は、逆止弁10のケーシング部材1内に設けられた球状のボール部材2が上流側に移動し、係止部材3で係止される。これによって、順方向の流速はボール部材2の周囲の空間領域を通って流れるようになる。しかしながら、ボール部材2は球状であるために、係止部材3による係止の上流に逆方向の渦流れを生じて離脱するようになる。その結果、安定的な順方向の流速の生成を妨げてしまう場合があり、上述した血栓塞栓症などの問題を引き起こす結果となってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、血液などの環流物質の逆流を防止するともに、前記環流物質の安定した順方向流速を生成することのできる逆止弁、並びにこの逆止弁を用いた補助循環装置及び補助循環装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、ケーシング部材と、
前記ケーシング部材内に設置したボール部材と、
前記ケーシング部材の内壁面上に形成され、前記ボール部材を係止して順方向の流速を生成するための係止部材と、
前記ケーシング部材の内壁面上に形成され、前記ボール部材を係止することにより前記ケーシング部材を密閉して、逆方向の流速の生成を防止するための密閉部材とを具え、
前記ボール部材は、涙滴型の形状を有することを特徴とする、逆止弁に関する。
【0008】
本発明によれば、逆止弁を構成するボール部材の形状を従来の球状から涙滴形状としたので、順方向の流速が生じている場合にボール部材を係止部材で確実に係止し、前記ボール部材の離脱による前記流速の乱れを抑制できる。さらに、逆方向の流速が生じた場合においては、前記ボール部材が前記密閉部材に係止して、前記ケーシング部材を密閉するので、前記逆方向の流速は抑止されるようになる。
この結果、血液などの環流物質を安定的に流すことが可能となる。
【0009】
また、本発明の補助循環装置は、上述した逆止弁を具えることを特徴とする。すなわち、本発明の補助循環装置は、
補助循環装置本体部と、この装置本体部に接続された逆止弁とを具え、
前記逆止弁は、ケーシング部材と、前記ケーシング部材内に設置したボール部材と、前記ケーシング部材の内壁面上に形成され、前記ボール部材を係止して順方向の流速を生成するための係止部材と、前記ケーシング部材の内壁面上に形成され、前記ボール部材を係止することにより前記ケーシング部材を密閉して、逆方向の流速の生成を防止するための密閉部材とを含み、前記ボール部材は、涙滴型の形状を有することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の補助循環装置の駆動方法は、上述した逆止弁を用いることを特徴とする。すなわち、本発明の補助循環装置の駆動方法は、
補助循環装置本体部に対して、ケーシング部材内にボール部材が設置された逆止弁を接続する工程と、
前記ボール部材を前記ケーシング部材の内壁面上に形成された係止部材に係止させることにより順方向の流速を生成する工程と、
前記ボール部材を前記ケーシング部材の内壁面上に形成された密閉部材に係止することによって、前記ケーシング部材を密閉し、逆方向の流速の生成を防止する工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明のその他の特徴及び利点については、以下において詳述する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態に則して詳細に説明する。
図2及び図3は、本発明の逆止弁を概略的に示す図である。図2は、順方向の流速が生じている状態を表し、図3は、逆方向の流速が生じている状態を表している。図2及び図3に示す逆止弁20は、ケーシング部材11と、ケーシング部材11内に設置した涙滴形状のボール部材12と、ケーシング部材11の内壁面上に形成された係止部材13と、同じくケーシング部材11の内壁面上に形成された密閉部材14とを具えている。
【0012】
ボール部材12は、順方向側の部分12Aの傾斜度合いが逆方向側の部分12Bの傾斜度合いよりも小さくなっており、順方向側に向けて滴下したような構成を採っている。ボール部材12は逆方向側に向けて滴下したような構成を採ることもできるが、図2及び図3に示すような順方向側に向けて滴下したような構成を採ることにより、以下に示す係止部材13での係止をより確実に行なうことができる。
【0013】
また、ケーシング部材11は、ボール部材12が存在する部分11Aの形状がボール部材12の外径と略平行になっている。これにより、ボール部材12を係止部材13で係止した際に、ボール部材12の周囲に安定な流速が形成されるようになり、血液などの環流物質を順方向に安定的に流すことができるようになる。
【0014】
次に、図2及び図3に示す逆止弁20の駆動原理について説明する。図2に示すように、順方向の流速が生じている場合は、ボール部材12が前記流速に沿って上流側に移動し、係止部材13に至る。図1に示す球状のボール部材と異なり、図2及び図3に示すボール部材12は涙滴形状を呈するので、ボール部材12は、その先端が係止部材13間で挟持するようにして係止される。したがって、ボール部材12は係止部材13によって確実に係止されるようになるため、ボール部材12の、係止部材13からの離脱に起因した流速の乱れを抑制することができるようになる。
【0015】
また、ケーシング部材11の、ボール部材12が存在する部分11Aの形状がボール部材12の外径と略平行となっているので、前記順方向の流速はケーシング部材11とボール部材12との間に形成された、ほぼ均一な空間を通って流れるようになる。したがって、血液などの目的とする環流物質を前記順方向により安定的に流すことができる。
【0016】
図3に示すように、逆方向の流速が生じている場合は、ボール部材12は前記流速に沿って上流側に移動し、密閉部材14で係止されてケーシング部材11を密閉する。したがって、前記逆方向の流速が逆止弁によって抑止されるようになる。
【0017】
図4は、本発明の補助循環装置の一例を示す上平面図である。図4に示す補助循環装置40は、補助循環装置本体部30と、この本体部30に接続された一対の逆止弁20とを具えている。逆止弁20は上述した図2及び図3に示すものである。図中の矢印は環流物質の流れる方向(順方向)を示している。上述したように、逆止弁20は、その涙滴形状のボール部材12によって順方向の流速を安定的に環流させ、逆方向の流速を抑止するようにするので、目的とする環流物質を本体部30を通じて安定的に環流させることができるようになる。
【0018】
補助循環装置本体部30は、例えば種々の血液環流型装置本体部により構成することができ、これによって上述した本発明の逆止弁の作用効果を享受した種々の血液環流型装置を提供することができるようになる。特に、補助循環装置本体部30を補助人工心臓本体部から構成することにより、血液を安定的に環流させることができる補助人工心臓を提供できるようになる。
【0019】
以上、発明の実施の形態に則して本発明を説明してきたが、本発明の内容は上記に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、血液などの環流物質の逆流を防止するともに、前記環流物質の安定した順方向流速を生成することのできる逆止弁、並びにこの逆止弁を用いた補助循環装置及び補助循環装置の駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のボール弁の構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の逆止弁を概略的に示す図である。
【図3】同じく、本発明の逆止弁を概略的に示す図である。
【図4】本発明の補助循環装置の一例を示す上平面図である。
【符号の説明】
1、11 ケーシング部材
2、12 ボール部材
3、13 係止部材
4、14 密閉部材
10、20 逆止弁
30 補助循環装置本体部
40 補助循環装置
Claims (13)
- ケーシング部材と、
前記ケーシング部材内に設置したボール部材と、
前記ケーシング部材の内壁面上に形成され、前記ボール部材を係止して順方向の流速を生成するための係止部材と、
前記ケーシング部材の内壁面上に形成され、前記ボール部材を係止することにより前記ケーシング部材を密閉して、逆方向の流速の生成を防止するための密閉部材とを具え、
前記ボール部材は、涙滴型の形状を有することを特徴とする、逆止弁。 - 前記ボール部材の前記順方向側に位置する部分の傾斜度合いが、前記逆方向側に位置する部分の傾斜度合いよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の逆止弁。
- 前記ケーシング部材の、前記ボール部材が前記係止部材に係止されて存在する部分の形状が、前記ボール部材の外径と略平行であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の逆止弁。
- 補助循環装置本体部と、この装置本体部に接続された逆止弁とを具え、
前記逆止弁は、ケーシング部材と、前記ケーシング部材内に設置したボール部材と、前記ケーシング部材の内壁面上に形成され、前記ボール部材を係止して順方向の流速を生成するための係止部材と、前記ケーシング部材の内壁面上に形成され、前記ボール部材を係止することにより前記ケーシング部材を密閉して、逆方向の流速の生成を防止するための密閉部材とを含み、前記ボール部材は、涙滴型の形状を有することを特徴とする、補助循環装置。 - 前記逆止弁の、前記ボール部材の前記順方向側に位置する部分の傾斜度合いが、前記逆方向側に位置する部分の傾斜度合いよりも小さいことを特徴とする、請求項4に記載の補助循環装置。
- 前記逆止弁における前記ケーシング部材の、前記ボール部材が前記係止部材に係止されて存在する部分の形状が、前記ボール部材の外径と略平行であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の補助循環装置。
- 前記補助循環装置本体部は血液補助循環装置本体部であり、前記補助循環装置は血液補助循環装置であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一に記載の補助循環装置。
- 前記血液補助循環装置本体部は補助人工心臓本体部であり、前記補助循環装置は人工心臓であることを特徴とする、請求項7に記載の補助循環装置。
- 補助循環装置本体部に対して、ケーシング部材内にボール部材が設置された逆止弁を接続する工程と、
前記ボール部材を前記ケーシング部材の内壁面上に形成された係止部材に係止させることにより順方向の流速を生成する工程と、
前記ボール部材を前記ケーシング部材の内壁面上に形成された密閉部材に係止することによって、前記ケーシング部材を密閉し、逆方向の流速の生成を防止する工程と、
を含むことを特徴とする、補助循環装置の駆動方法。 - 前記逆止弁の、前記ボール部材の前記順方向側に位置する部分の傾斜度合いを、前記逆方向側に位置する部分の傾斜度合いよりも小さくすることを特徴とする、請求項9に記載の補助循環装置の駆動方法。
- 前記逆止弁における前記ケーシング部材の、前記ボール部材が前記係止部材に係止されて存在する部分の形状を、前記ボール部材の外径と略平行にすることを特徴とする、請求項9又は10に記載の補助循環装置の駆動方法。
- 前記補助循環装置本体部は血液補助循環装置本体部であり、前記補助循環装置は血液補助循環装置であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一に記載の補助循環装置の駆動方法。
- 前記血液補助循環装置本体部は補助人工心臓本体部であり、前記補助循環装置は人工心臓であることを特徴とする、請求項12に記載の補助循環装置の駆動方法。
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