JP5235799B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、地中建造物内と地上との間で無線通信を可能とするアンテナ装置に関するものである。
地下(地中)には、上下水道菅、ガス管、電力ケーブル、光ファイバーケーブル等の各種の地下埋設物が敷設されている。これらの地下埋設物には、RF−IDタグ等が取り付けられており、このRF−IDタグと地上の無線通信装置との間で無線通信を行うことで、地下埋設物が正常に作動しているか否か等の情報がRF−IDタグから無線通信装置に出力され、これらの情報を無線通信装置で監視できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
図16は、従来の地中建造物内に設置されたRF−IDタグと地上の無線通信装置との間の通信状況を示す断面図であり、地中建造物としてマンホールを例に説明するものである。
図16において、1は鉄等からなる円形のマンホール蓋部、2は鉄等かならる円形のマンホール枠部、3はコンクリート等からなる円筒形のマンホール首部、4はコンクリート等からなる直方体形のマンホール本体、5はアスファルト層、6はローム層、7はマンホール内通信設備、8はマンホール内設備に貼付けたRF−IDタグ、9は無線通信装置、10はモノポールアンテナである。
この場合、地上の無線通信装置9から地下のRF−IDタグ8に向けて、RF−IDタグ8の動作に必要な電力を出力することで、RF−IDタグ8を駆動し、RF−IDタグ8で取得した地下埋設物の情報が無線通信装置9に向けて出力されるとされている。
特開平11−85925号公報
しかしながら、地上とマンホール本体4内との間で通信する場合、上述した従来の構成では、例えばRF−IDタグ8から出力される信号が、マンホールの首部3や本体4、蓋部1、枠部2、並びにこれらの周囲のアスファルト層5やローム層6を通過する際に、遮蔽されたり、またこれらマンホール等を通過することで損失が大きくなったりして、無線通信装置9での信号受信レベルが著しく低くなるという課題があった。
これに対して、マンホール設備に何らかの改造を加えて、地上での受信レベルの向上を図る方法も考えられるが、このような方法では、マンホールの改造または新規取り替えの費用が膨大となり商用設備への導入は現実的ではない。
そこで本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、設備コストの低減を図った上で、地中建造物内と地上との間での無線通信の受信レベルの向上を図ることができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のアンテナ装置は、地中に埋設されるとともに、少なくとも一部が地表面に露出した第1の金属導体と、前記第1の金属導体に給電するためのアンテナ給電回路とを備え、前記アンテナ給電回路は、少なくとも一部が地表面に露出し、グランド面を構成する第2の金属導体と、前記第2の金属導体上に配置された第3の金属導体と、前記第3の金属導体に給電する給電端子とを備え、前記第1の金属導体と前記第2の金属導体は上空から見た平面視で重ならないように配置され、前記第3の金属導体は同軸線路を構成し、前記同軸線路の内導体が前記第1の金属導体に接続される一方、外導体が前記第2の金属導体に接続されていることを特徴とするものである。
また、本発明のアンテナ装置は、地中に埋設されるとともに、少なくとも一部が地表面に露出した第1の金属導体と、前記第1の金属導体の上方に、前記第1の金属導体に非接触で近接配置されたアンテナ給電回路とを備え、前記アンテナ給電回路は、前記第1の金属導体に対して間隙を空けた状態で対向配置された誘電体と、前記誘電体の上面及び下面のうち、一方の面上に配置された第2の金属導体と、前記誘電体の上面及び下面のうち、他方の面上に配置された線状の第3の金属導体と、前記第2の金属導体及び前記第3の金属導体に給電するための給電端子と、誘電体材料からなり、地表面と前記誘電体との間に介在するスペーサとを備え、前記第2の金属導体をグランド面として構成するとともに、前記給電端子から前記第2の金属導体及び前記第3の金属導体に給電される電力を前記第1の金属導体に電磁結合給電することを特徴とするものである。
また、本発明に係るアンテナ装置は、前記誘電体の下面には、前記第2の金属導体が配置される一方、前記誘電体の上面には前記第3の金属導体が配置され、前記第2の金属導体には、地表面に向けて開口する開口部が少なくとも1つ形成され、前記第3の金属導体と前記開口部とは、前記第1の金属導体の上方において平面視で交差し、前記給電端子から前記第2の金属導体及び前記第3の金属導体に電力を給電することで、前記開口部を励振させ、前記第1の金属導体に電磁結合給電することを特徴とするものである。
なお、平面視とは、アンテナ装置を上面から観察した様子を意味する。
また、本発明に係るアンテナ装置は、前記誘電体の下面には、前記第3の金属導体が配置される一方、前記誘電体の上面には前記第2の金属導体が配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係るアンテナ装置は、地中に埋設されるとともに、少なくとも一部が地表面に露出した第1の金属導体と、前記第1の金属導体の上方に、前記第1の金属導体に非接触で近接配置されたアンテナ給電回路とを備え、前記アンテナ給電回路は、前記第1の金属導体に対して間隙を空けた状態で対向配置された第2の金属導体と、前記第2の金属導体上に配置された第3の金属導体と、前記第3の金属導体に給電するための給電端子とを備え、前記第2の金属導体をグランド面として構成するとともに、前記第2の金属導体には、地表面に向けて開口する開口部が少なくとも1つ形成され、前記第3の金属導体は同軸線路を構成し、前記同軸線路の内導体及び外導体が前記第2の金属導体に接続されるとともに、前記内導体は前記開口部に平面視で交差し、前記給電端子から前記第3の金属導体に電力を給電することで、前記開口部を励振させ、前記第1の金属導体に電磁結合給電することを特徴とするものである。
また、本発明に係るアンテナ装置は、前記開口部は平面視で十字状に形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係るアンテナ装置は、前記第3の金属導体の上方には、前記第2の金属導体及び前記第3の金属導体から出力される電磁波を、前記第1の金属導体に向けて反射させる反射板が配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係るアンテナ装置は、前記第3の金属導体と前記開口部との交差部分の周囲を囲むように設けられるとともに、前記第1の金属導体に向けて開口する金属導体からなる囲繞部を備えていることを特徴とするものである。
また、本発明に係るアンテナ装置は、複数の前記第3の金属導体を備え、前記複数の第3の金属導体にはそれぞれ前記給電端子が接続されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係るアンテナ装置によれば、アンテナ給電回路の第2の金属導体をグランド面として構成するとともに、給電端子を介して第2の金属導体や第3の金属導体に給電することで、第1の金属導体自体をモノポール型のアンテナとして動作させたり、マイクロストリップ線路やスロット結合を用いて電磁結合給電することにより第1の金属導体自体をマイクロストリップアンテナとして動作させたりすることが可能となる。これにより、第1の金属導体は有限な利得を有する地中に埋没されたアンテナと等価とみなすことができる。すなわち、第1の金属導体によって地中建造物内と地上との間で出力される信号の中継を行うことができるので、地中建造物内と地上との間において信号を高いレベルで受信することが可能となる。この場合、既設のマンホール設備等に何ら改造を加えることないので、アンテナ装置の簡素化及び設備コストの低減を図ることができる。
本発明の第1実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を上空から見た斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。 図2は本発明の第1の実施例の地中埋没型アンテナ装置のリターンロスを示す図である。 Y−Z平面におけるアンテナ装置の放射特性(放射指向性)を示すものである。 本発明の第2実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を示す斜視図、(b)はアンテナ給電回路をマンホールに装着したときの断面図である。 図5は本発明の第2の実施例の地中埋没型アンテナ装置のリターンロスを示す図である。 Y−Z平面におけるアンテナ装置の放射特性(放射指向性)を示すものである。 本発明の第3実施形態におけるアンテナ給電回路を示す斜視図である。 本発明の第4実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を示す斜視図、(b)はアンテナ給電回路をマンホールに装着したときの断面図である。 本発明の第5実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を示す斜視図、(b)はアンテナ給電回路をマンホールに装着したときの断面図である。 本発明の第5の実施例の地中埋没型アンテナ装置のリターンロスを示す図である。 Y−Z平面におけるアンテナ装置の放射特性(放射指向性)を示すものである。 本発明の第6実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を示す斜視図、(b)はアンテナ給電回路をマンホールに装着したときの断面図である。 本発明の第7実施形態におけるアンテナ給電回路を示す斜視図である。 本発明の第8実施形態におけるアンテナ装置を示す斜視図である。 第8実施形態の他の構成を示すアンテナ装置の斜視図である。 従来のアンテナ装置を示す断面図である。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を上空から見た斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。以下の説明において、X軸方向及びY軸方向は水平面上において互いに直交する方向を、Z軸方向は上方(空方向)をそれぞれ示している。
図1に示すように、ローム層6には、コンクリート等からなり、かつ内部に十分な空間を有するマンホール本体4が埋設され、マンホール本体4の上部には、地上のアスファルト層5に向けて延出するマンホール首部3が形成されている。マンホール首部3の上端部には、鉄等からなり、上面が地表面に露出する環状のマンホール枠部(第1の金属導体)2が設けられ、このマンホール枠部2の開口部を閉塞するように、鉄等からなるマンホール蓋部(第1の金属導体)1が配置されている。なお、マンホール枠部2とマンホール蓋部1とは、電気的または物理的に接続または接触している。
そして、マンホール本体4の内部には、マンホール内通信設備7が設置され、このマンホール内通信設備7にはRF−IDタグ8が貼付されている。RF−IDタグ8は、マンホール本体4内に設置された地下埋設物(不図示)に関する各種データを取得するとともに、取得したデータを含む電磁波を地上に向けて出力できるように構成されている。
ここで、アスファルト層5上には、アンテナ給電回路100が設けられている。このアンテナ給電回路100は、マンホールの枠部2に給電を行うためのものであり、グランド面(第2の金属導体)11と、同軸線路(第3の金属導体)15とを備えている。
グランド面11は、アスファルト層5上において、マンホール蓋部1に隣接配置された金属導体からなる平板状の部材である。
同軸線路15は、その軸方向がX軸方向に一致した状態でグランド面11上に配置されている。そして、同軸線路15の外導体12は、その外周面がグランド面11に電気的または物理的に接続されている。一方、同軸線路15の内導体13は、一端がマンホールの枠部2に接続されている。同軸線路15の他端には、給電端子14が電気的に接続されている。なお、図示しないが、給電端子14には通常、高周波用ケーブル(不図示)が接続され、この高周波ケーブルを介してRF−IDタグ8から出力されるデータを受信するための通信装置(不図示)が接続されるようになっている。
この場合、まず高周波ケーブルに通信装置を接続し、高周波ケーブルから給電端子14を介して同軸線路15に給電すると、同軸線路15の内導体13からマンホールの枠部2及び蓋部1を介して、RF−IDタグ8に向けて電磁波が出力される。そして、RF−IDタグ8は、マンホールの枠部2及び蓋部1から出力された電磁波を受信し、この電磁波が電力に変換されることで駆動するようになっている。そして、RF−IDタグ8は、地下埋設物に関するデータを取得し、このデータを電磁波としてマンホールの枠部2及び蓋部1に向けて送り返す。RF−IDタグ8から出力されたデータは、マンホールの枠部2及び蓋部1から同軸線路15の内導体13を介して高周波ケーブルに伝達され、高周波ケーブルに接続された通信装置により受信できるようになっている。すなわち、アンテナ給電回路100及びマンホールにより、RF−IDタグ8と通信装置との間の信号の中継を行うためのアンテナ装置を構成している。
図2は、本実施形態のアンテナ装置の共振特性を示すものであり、横軸が周波数を示し、縦軸がリターンロス(Sパラメータ表示)を示している。なお、図2の共振特性は、マンホール枠部2の直径が約70cmの場合の例である。
この場合、図2に示すように、約430MHzで良好な共振が得られていることがわかる。
また、図3はY−Z平面におけるアンテナ装置の放射特性(指向性)を示すものである。なお、図3において、実線は水平偏波(H_pol.)を、破線は垂直偏波(V_pol.)を示している。
図3に示すように、本実施形態のアンテナ装置では、H_pol.は0度または180度近傍において、最大−10dBi以上の利得が実現されていることがわかる。一方、V_pol.については、−60度近傍で最大−10dBi以上の利得が実現されていることがわかる。
このように、本実施形態では、アスファルト層5表面にグランド面11を設置し、同軸線路15を介してグランド面11及びマンホール枠部2に給電することで、地中に埋没したマンホールの蓋部1または枠部2自体をモノポール型のアンテナとして給電することが可能となる。これにより、従来、遮蔽物であったマンホールの蓋部1及び枠部2は、最大利得が約−10dBiのアンテナと等価とみなすことができる。すなわち、マンホールによって通信装置とRF−IDタグ8との間で出力される信号の中継を行うことができるので、通信装置及びRF−IDタグ8において信号を高いレベルで受信することが可能となる。この場合、既設のマンホール設備に何ら改造を加えることないので、アンテナ装置の簡素化及び設備コストの低減を図ることができる。
なお、本実施形態においては同軸線路15の内導体13をマンホールの枠部2に電気的に接続することにより給電した例を示したが、通常、マンホールの蓋部1と枠部2とは電気的または物理的に接続または接触しているため、内導体13をマンホール蓋部1に接続しても全く同様の効果を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を示す斜視図、(b)はアンテナ給電回路をマンホールに装着したときの断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態のアンテナ装置は、アンテナ給電回路200からマンホールの蓋部1及び枠部2に対して非接触で給電を行う点で上述した実施形態と相違している。
図4に示すように、マンホールには、蓋部1及び枠部2を覆うようにアンテナ給電回路200が装着されている。アンテナ給電回路200は、平面視矩形状の誘電体16と、誘電体16の表面に配置されたマイクロストリップ線路(第3の金属導体)17と、誘電体16の裏面に配置されたグランド面(第2の金属導体)21と、グランド面21の裏面における角部に配置された発泡スチロール等の誘電体からなるスペーサ20とを備えている。なお、誘電体16、マイクロストリップ線路17及びグランド面21は、誘電体16の表裏面にそれぞれ金属導体が積層されてなるプリント基板から形成されている。
スペーサ20は、角柱形状のものであり、マンホール蓋部1の周囲におけるアスファルト層5上に配置されている。そして、誘電体16及びグランド面21は、スペーサ20を間に挟んでマンホール上に配置されることで、マンホール及びアスファルト層5とグランド面21との間に間隙が形成された状態で、近接配置されるようになっている。
プリント基板のグランド面21は、マンホール蓋部1に対して略平行(XY平面に対して略平行)に対向配置された薄板状のものであり、アンテナ給電回路200のグランドとして機能する。グランド面21の中央部には、厚さ方向に貫通するスロット(開口部)19が形成されている。このスロット19は、その延在方向がY方向に一致するように形成され、マンホール蓋部1に向けて開口している。すなわち、スロット19の形成領域では、誘電体16がマンホール蓋部1に向けて露出している。
また、誘電体16は、グランド面21の表面に配置され、平面視(XY平面)における外形がグランド面21と同等に形成されている。誘電体16の表面には、X方向に沿って延在するマイクロストリップ線路17が配置されている。このマイクロストリップ線路17は、プリント基板の表面に形成された金属導体の一部を線状に残存させて形成したものであり、その一端が上述したスロット19と平面視で交差する位置まで延出している。一方、マイクロストリップ線路17の他端及びグランド面21には、給電端子18が接続されており、マイクロストリップ線路17及びグランド面21に給電が行われるようになっている。
この場合、給電端子18を介してマイクロストリップ線路17及びグランド面21に給電することで、スロット19が励振する。すると、スロット19を介してマイクロストリップ線路17からの電力がマンホールの蓋部1及び枠部2に電磁結合給電される。これにより、マンホールの枠部2及び蓋部1を介して、RF−IDタグ8に向けて電磁波が出力される。そして、RF−IDタグ8は、マンホールの枠部2及び蓋部1から出力された電磁波を受信し、この電磁波が電力に変換されることで駆動するようになっている。そして、RF−IDタグ8は、地下埋設物に関するデータを取得し、このデータを電磁波としてマンホールの枠部2及び蓋部1に向けて送り返す。RF−IDタグ8から出力されたデータは、マンホールの枠部2及び蓋部1からマイクロストリップ線路17を介して高周波ケーブルに伝達され、高周波ケーブルに接続された通信装置により受信できるようになっている。
図5は、本実施形態のアンテナ装置の共振特性を示すものであり、横軸が周波数を示し、縦軸がリターンロス(Sパラメータ表示)を示している。なお、図5の共振特性は、マンホール枠部2の直径が約70cmの場合の例である。
この場合、図5に示すように、本実施形態においても約430MHzで良好な共振(約−15dB)が得られていることがわかる。
また、図6はY−Z平面におけるアンテナ装置の放射特性(指向性)を示すものである。なお、図6において、実線は水平偏波(H_pol.)を、破線は垂直偏波(V_pol.)を示している。
図6に示すように、本実施形態のアンテナ装置では、H_pol.は90度近傍(上空)において、最大−4dBi付近の利得が実現されていることがわかる。
このように、本実施形態によれば、アンテナ給電回路200をマンホール上に装着するのみで、地中に埋没したマンホールの蓋部1及び枠部2自体をマイクロストリップアンテナとして動作させることが可能となる。すなわち、マンホールの蓋部1及び枠部2は有限な利得を有する地中に埋没されたアンテナと等価と見なすことができる。したがって、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、上述した第1実施形態のように、ハンダ付け等により同軸線路15の内導体13をマンホール枠部2に接続する作業等を要しないので、設置作業の効率を改善できる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態におけるアンテナ給電回路を示す斜視図である。
図7に示すように、本実施形態のアンテナ給電回路300は、平面視矩形状の金属導体(第2の金属導体)27を備えている。金属導体27の裏面における角部には、上述した第2実施形態と同様のスペーサ20が設けられ、金属導体27とマンホールとの間には間隙を空けた状態で近接配置されている。すなわち、金属導体27は、マンホール蓋部1に対して略平行(XY平面に対して略平行)に対向配置されている。金属導体27の中央部には、厚さ方向に貫通するスロット30が形成されている。このスロット30は、その延在方向がY方向に一致した状態で形成され、マンホール蓋部1に向けて開口している。
また、金属導体27の表面には、X方向に沿って同軸線路(第3の金属導体)15が配置されている。同軸線路15の外導体12は、金属導体27の表面に電気的に接続されている。一方、同軸線路15の内導体13は、一端がスロット30と平面視で交差する位置まで延出し、金属導体27の表面に接続されている。また、同軸線路15の他端は、給電端子14に電気的に接続されている。
この構成によれば、給電端子14を介して同軸線路15に給電することで、スロット30を励振することができるため、スロット30を介してマンホールの蓋部1及び枠部2に電磁結合給電することができる。その結果、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図8は第4実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を示す斜視図、(b)はアンテナ給電回路をマンホールに装着したときの断面図である。上述した第2実施形態では、マイクロストリップ線路17に給電された電力を、スロット19を介してマンホールの鉄蓋1及び枠部2に電磁結合給電する場合を説明したが、本実施形態ではスロット19を設けずにマンホールの鉄蓋1及び枠部2に電磁結合給電する点で第2実施形態と相違している。
図8に示すように、本実施形態のアンテナ給電回路400は、平面視矩形状の誘電体16と、誘電体16の表面に配置されたグランド面(第2の金属導体)21と、誘電体16の裏面に配置されたマイクロストリップ線路(第3の金属導体)17と、誘電体16の裏面における角部に配置されたスペーサ20とを備えている。
スペーサ20は、誘電体16の裏面における角部に配置されており、これにより誘電体16の裏面とマンホール及びアスファルト層5との間に、間隙が形成されるようになっている。
マイクロストリップ線路17は、誘電体16の裏面においてX方向に沿って延在している。具体的に、マイクロストリップ線路17は、一端が誘電体16の平面視中央部に配置されている。一方、マイクロストリップ線路17の他端及びグランド面21には、給電端子18が接続されており、マイクロストリップ線路17及びグランド面21に給電が行われるようになっている。
この構成によれば、誘電体16の裏面に、マンホールの蓋部1及び枠部2と対向するようにマイクロストリップ線路17を配置することで、上述した第2実施形態のようなスロット19を介さずに直接、マイクロストリップ線路17から電磁結合給電することができる。したがって、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図9は第5実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を示す斜視図、(b)はアンテナ給電回路をマンホールに装着したときの断面図である。本実施形態では、アンテナ給電回路500のスロット19の上方を覆うように反射板22が設けられている点で、上述した第2実施形態と相違している。
図9に示すように、本実施形態のアンテナ給電回路500は、誘電体16の表面における角部に発泡スチロール等の誘電体材料からなるスペーサ23が配置されている。このスペーサ23は、角柱形状のものであって、スペーサ23上には金属導体からなる反射板22が設けられている。この反射板22は、平面視で誘電体16と平面視で同形状に形成されたものであり、誘電体16の表面との間に間隙を空けた状態で対向配置されている。
図10は、本実施形態のアンテナ装置の共振特性を示すものであり、横軸が周波数を示し、縦軸がリターンロス(Sパラメータ表示)を示している。なお、図10の共振特性は、マンホール枠部2の直径が約70cmの場合の例である。
この場合、図10に示すように、本実施形態においても約430MHzで良好な共振(約−35dB)が得られていることがわかる。
また、図11はY−Z平面におけるアンテナ装置の放射特性(放射指向性)を示すものである。なお、図11において、実線は水平偏波(H_pol.)を、破線は垂直偏波(V_pol.)を示している。
図11に示すように、本実施形態のアンテナ装置では、H_pol.は−90度近傍において、最大0dBi付近の利得が実現されていることがわかる。これは、マイクロストリップ線路17からZ方向(空方向)に向けて放射された電磁波が反射板22で−Z方向に向けて反射されたためである。これにより、第2実施形態と同様の効果を奏するとともに、マイクロストリップ線路17から放射される電磁波のZ方向への不要な放射を抑圧することができる。その結果、−Z方向における放射レベルを改善することができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図12は第6実施形態におけるアンテナ装置を示す図であり、(a)はアンテナ給電回路を示す斜視図、(b)はアンテナ給電回路をマンホールに装着したときの断面図である。
図12に示すように、本実施形態のアンテナ給電回路600は、金属導体27の表面において、スロット30の周囲及び上方を取り囲むように形成された、箱型形状のキャビティ(囲繞部)24が設けられている。このキャビティ24の一側面の周縁部には、同軸線路15をキャビティ24内に案内するための逃げ溝26が形成されている。
この構成によれば、上述した第5実施形態と同様に、同軸線路15の内導体13から上方に向けて放射された電磁波が、キャビティ24の内壁面で反射される。そのため、同軸線路15から放射される電磁波の不要な放射を抑圧することができる。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。図13は、第7実施形態におけるアンテナ給電回路を示す斜視図である。
図13に示すように、本実施形態のアンテナ給電回路700は、グランド面21を厚さ方向に貫通するスロット25が形成されている。スロット25は、互いに直交する方向に延在する長孔からなり、これら長孔がマンホール蓋部1の上方で十字状(約90度)に交差している。そして、スロット25(各長孔)の交点上にマイクロストリップ線路17が配置されるようになっている。この場合、スロット25の各長孔はマイクロストリップ線路17に対して、それぞれ約45度程度で交わるように配置されている。
この構成によれば、スロット25が十字状に交差しているため、スロット25によってマイクロストリップ線路17から放射される互いに直交する2つの直線偏波または円偏波を励振することが可能となる。これにより、マンホール内通信設備7に任意の方向で貼付されたRF−IDタグ8から出力された電磁波が、任意の方向の直線偏波で出力された場合であっても、アンテナ給電回路700により高い信号レベルで受信が可能となる。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。図14は、第8実施形態におけるアンテナ装置を示す斜視図である。
図14に示すように、本実施形態のアンテナ装置は、複数(例えば、2本)の同軸線路15を備え、各同軸線路15の延在方向が直交するように配置されている。すなわち、一方の同軸線路15は、その延在方向がY方向に一致するように配置され、他方の同軸線路15は、その延在方向がX方向に一致するように配置されている。そして、各同軸線路15の外導体12はアスファルト層5上に設置されたグランド面11に電気的に接続されている。また、各同軸線路15の一端はマンホール枠部2に接続される一方、他端は各同軸線路15に対応して設けられた給電端子14にそれぞれ接続されている。
この構成によれば、各同軸線路15が互いに直交するように配置されているため、各同軸線路15によって互いに直交する2つの直線偏波を送受信することが可能となる。これにより、マンホール内通信設備7に任意の方向で貼付されたRF−IDタグ8から出力された電磁波が、任意の方向の直線偏波で出力された場合であってもアンテナ装置により高い信号レベルで受信が可能となる。なお、図15に示すように、金属導体27上にスロット30を複数形成し、各スロット30に直交するように同軸線路15を複数配置する構成にしても構わない。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や形状などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、マンホールは、作業員の出入れする大型の例を示したが、作業員の手のみが出入りする、いわゆるハンドホールであってもよい。
1…マンホール蓋部(第1の金属導体) 2…マンホール枠部(第1の金属導体) 8…RF−IDタグ 12…外導体 13…内導体 14,18…給電端子 15…同軸線路(第3の金属導体) 17…マイクロストリップ線路(第3の金属導体) 19,25…スロット(開口部) 20…スペーサ 11,21,27…グランド面(第2の金属導体) 22…反射板 24…キャビティ(囲繞部) 100,200,300,400,500,600,700…アンテナ給電回路

Claims (9)

  1. 地中に埋設されるとともに、少なくとも一部が地表面に露出した第1の金属導体と、
    前記第1の金属導体に給電するためのアンテナ給電回路とを備え、
    前記アンテナ給電回路は、少なくとも一部が地表面に露出し、グランド面を構成する第2の金属導体と、
    前記第2の金属導体上に配置された第3の金属導体と、
    前記第3の金属導体に給電する給電端子とを備え、
    前記第1の金属導体と前記第2の金属導体は上空から見た平面視で重ならないように配置され、
    前記第3の金属導体は同軸線路を構成し、前記同軸線路の内導体が前記第1の金属導体に接続される一方、外導体が前記第2の金属導体に接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 地中に埋設されるとともに、少なくとも一部が地表面に露出した第1の金属導体と、
    前記第1の金属導体の上方に、前記第1の金属導体に非接触で近接配置されたアンテナ給電回路とを備え、
    前記アンテナ給電回路は、前記第1の金属導体に対して間隙を空けた状態で対向配置された誘電体と、
    前記誘電体の上面及び下面のうち、一方の面上に配置された第2の金属導体と、
    前記誘電体の上面及び下面のうち、他方の面上に配置された線状の第3の金属導体と、
    前記第2の金属導体及び前記第3の金属導体に給電するための給電端子と、
    誘電体材料からなり、地表面と前記誘電体との間に介在するスペーサとを備え、
    前記第2の金属導体をグランド面として構成するとともに、前記給電端子から前記第2の金属導体及び前記第3の金属導体に給電される電力を前記第1の金属導体に電磁結合給電することを特徴とするアンテナ装置。
  3. 前記誘電体の下面には、前記第2の金属導体が配置される一方、前記誘電体の上面には前記第3の金属導体が配置され、
    前記第2の金属導体には、地表面に向けて開口する開口部が少なくとも1つ形成され、
    前記第3の金属導体と前記開口部とは、前記第1の金属導体の上方において平面視で交差し、
    前記給電端子から前記第2の金属導体及び前記第3の金属導体に電力を給電することで、前記開口部を励振させ、前記第1の金属導体に電磁結合給電することを特徴とする請求項記載のアンテナ装置。
  4. 前記誘電体の下面には、前記第3の金属導体が配置される一方、前記誘電体の上面には前記第2の金属導体が配置されていることを特徴とする請求項記載のアンテナ装置。
  5. 地中に埋設されるとともに、少なくとも一部が地表面に露出した第1の金属導体と、
    前記第1の金属導体の上方に、前記第1の金属導体に非接触で近接配置されたアンテナ給電回路とを備え、
    前記アンテナ給電回路は、前記第1の金属導体に対して間隙を空けた状態で対向配置された第2の金属導体と、
    前記第2の金属導体上に配置された第3の金属導体と、
    前記第3の金属導体に給電するための給電端子とを備え、
    前記第2の金属導体をグランド面として構成するとともに、前記第2の金属導体には、地表面に向けて開口する開口部が少なくとも1つ形成され、
    前記第3の金属導体は同軸線路を構成し、前記同軸線路の内導体及び外導体が前記第2の金属導体に接続されるとともに、前記内導体は前記開口部に平面視で交差し、
    前記給電端子から前記第3の金属導体に電力を給電することで、前記開口部を励振させ、前記第1の金属導体に電磁結合給電することを特徴とするアンテナ装置。
  6. 前記開口部は平面視で十字状に形成されていることを特徴とする請求項または請求項に記載のアンテナ装置。
  7. 前記第3の金属導体の上方には、前記第2の金属導体及び前記第3の金属導体から出力される電磁波を、前記第1の金属導体に向けて反射させる反射板が配置されていることを特徴とする請求項、請求項5及び請求項6の何れか1項に記載のアンテナ装置。
  8. 前記第3の金属導体と前記開口部との交差部分の周囲を囲むように設けられるとともに、前記第1の金属導体に向けて開口する金属導体からなる囲繞部を備えていることを特徴とする請求項、請求項及び請求項6の何れか1項に記載のアンテナ装置。
  9. 複数の前記第3の金属導体を備え、前記複数の第3の金属導体にはそれぞれ前記給電端子が接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のアンテナ装置。
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