JP5235311B2 - 環状エステルの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒドロキシカルボン酸オリゴマーの加熱解重合により生成した環状エステルの精製方法の改良に関する。
グリコール酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸のオリゴマーを、ポリアルキレングリコール系の解重合溶媒との共存下に加熱解重合させて、グリコリド、ラクチドなどの環状エステルを製造する方法が知られている(特許文献1)。生成した環状エステルは解重合溶媒とともに留出させ、留出液から析出した環状エステルを、必要に応じて環状エステルの非溶媒を添加して、分離・精製するか、あるいは留出液から解重合溶媒相と分離した環状エステル相を液−液分離により回収することも開示されている(特許文献1)。あるいは酢酸エチル等の有機溶媒からの再結晶による精製(特許文献1)ならびに留出液から析出した環状エステルを、シクロヘキサノン、酢酸エチルなどの解重合溶媒と相溶性の有機溶媒で洗浄する方法も提案されている(特許文献2)。しかしながら、これらの方法による環状エステルの精製によっては、一般に高重合度のポリグリコリド(ポリグリコール酸)、ポリラクチド(ポリ乳酸)などのポリヒドロキシカルボン酸の製造に適した塊状重合原料として適当な高純度環状エステルを得ることは困難である。有機溶媒からの再結晶によれば、高純度の環状エステルを得ることも可能であるが、再結晶は、一般に収率的にも、エネルギー的にも効率が悪く、環状エステルの主たる精製方法としては、工業的に採用し難い。
WO02/14303A1公報 特開2002−128777号公報
上述の事情に鑑み、本発明の主要な目的は、ヒドロキシカルボン酸オリゴマーの加熱解重合により生成した環状エステルの工業的に合理的な精製方法を提供することにある。
本発明者らの研究によれば、上述の目的の達成のためには、解重合溶媒とは別に選択された有機溶媒による洗浄および該有機溶媒の蒸発除去を採用することが極めて有効であることが見出された。すなわち、本発明の環状エステルの精製方法は、下記工程1〜3を順次に含むことを特徴とするものである:
工程1:解重合溶媒存在下でのヒドロキシカルボン酸オリゴマーの加熱解重合反応により生成した環状エステルと解重合溶媒との共留出液を解重合溶媒相と解重合溶媒を含む環状エステル相とに液−液分離する工程、
工程2:得られた解重合溶媒を含む環状エステル相を、環状エステルを析出させることな く、解重合溶媒と相溶性を有し且つ環状エステルよりも低沸点の洗浄用有機溶媒と混合し、得られた混合液を解重合溶媒を含む有機溶媒相と該有機溶媒を含む環状エステル相とに液−液分離する工程、および
工程3:該有機溶媒を含む環状エステル相から該有機溶媒を蒸発させることにより、解重合溶媒を低減した環状エステルを回収する工程。
本発明によれば、前記環状エステルと解重合溶媒との共留出液を洗浄用有機溶媒と混合する工程(工程2)に先立って、共留出液を解重合溶媒相と解重合溶媒を含む環状エステル相とに液−液分離する工程(工程1)を含み、得られた解重合溶媒を含む環状エステル相を該有機溶媒と混合して洗浄する。この解重合溶媒相と粗環状エステル相との液−液分離(工程1)は、解重合系からの共留出液の持つエネルギーを利用して、外部からの追加熱供給を本質的に必要とすることなく実施可能である。また解重合溶媒と相溶性の低沸点有機溶媒による解重合溶媒を含む環状エステル液の洗浄も接触効率のよい液−液混合過程が採用可能であり、解重合溶媒の除去効率も高く、更にその後の低沸点有機溶媒の蒸発 工程3)による除去に際しても、有機溶媒の蒸発熱の供給という最小限の外熱供給が必要なだけで、全体として、極めて熱効率の高い効率的な環状エステルの精製方法が実現される。また精製操作が殆んど液状で行われ、固体の処理が減少するので、処理物が効率的にハンドリングされる利点もある。

以下、本発明を、その好ましい態様について、より詳細に説明する。以下の記載において、量比、含有量あるいは純度に関して用いた「%」および「ppm」は、特に断らない限り重量基準を意味するものとする。
本発明の環状エステルの精製方法の処理対象としての解重合溶媒存在下でのヒドロキシカルボン酸オリゴマーの加熱解重合反応により生成した解重合溶媒と環状エステルを含む解重合系からの共留出液は、上記特許文献1に記載されるものと本質的に異なるものではない。従って、主として特許文献1の記載を要約して、以下にその概容を説明する。
(環状エステルと脂肪族ポリエステル)
環状エステルとしては、グリコール酸、乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸などのα−ヒドロキシカルボン酸の2分子間環状エステル、即ち、二量体環状エステルが挙げられる。例えば、グリコール酸の二量体環状エステルは、グリコリドであり、乳酸の二量体環状エステルは、ラクチド(D−ラクチド及び/またはL−ラクチド)である。
加熱解重合による環状エステルの製造原料としてのヒドロキシカルボン酸オリゴマーの具体例としては、グリコール酸、乳酸、酪酸などのα−ヒドロキシカルボン酸のオリゴマーが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸オリゴマーは、ヒドロキシカルボン酸の繰り返し単位(−O−R−CO−)を2以上、好ましくは5以上含むものが用いられる。すなわち、オリゴマーは、低重合度のものであってもよいが、解重合の際のグリコリドなどの環状エステルの収率の点から、融点(Tm)が通常140℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上のものが好適に用いられる。ここで、Tmは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、不活性ガス雰囲気下、10℃/分の速度で昇温した際に検出される融点である。他方、オリゴマー製造の容易性の観点からは、重量平均分子量(ヘキサイソプロパノール(HFIP)溶媒および分子量標準物質としてポリメチルメタクリレートを用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定値)が4万以下、好ましくは3万以下のものが一般的に用いられる。
各種α−ヒドロキシカルボン酸オリゴマーは、常法に従い、例えばα−ヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜4程度)若しくは塩を、必要に応じて触媒の存在下に、重縮合させることにより得ることができる。
より具体的には、例えば、グリコリドの出発原料として用いるグリコール酸オリゴマーを合成するには、グリコール酸またはそのエステル若しくは塩を、必要に応じて縮合触媒またはエステル交換触媒の存在下に、減圧または加圧下、100〜250℃、好ましくは140〜230℃の温度に加熱し、水、アルコール等の低分子量物質の留出が実質的に無くなるまで縮合反応またはエステル交換反応を行う。縮合反応またはエステル交換反応の終了後、生成したオリゴマーは、そのままで原料として使用することができる。得られたオリゴマーを反応系から取り出して、ベンゼンやトルエンなどの非溶媒で洗浄して、未反応物や触媒などを除去して使用することもできる。オリゴマーの構造は、環状でも鎖状(直鎖状または分岐鎖状)でも良い。直鎖状オリゴマーは、合成が容易である利点があり、分岐鎖状オリゴマーの場合には、比較的低融点となる、という特徴がある。他のα−ヒドロキシカルボン酸オリゴマーも、同様の方法により合成することができる。
(解重合溶媒)
解重合溶媒として、下記式(1)
Figure 0005235311
(式中、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表わし、Xは、炭化水素基を表し、Yは、炭素数2〜20のアルキル基またはアリール基を表わし、pは、1以上の整数を表わし、pが2以上の場合には、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
で表わされ、かつ、230〜450℃の沸点と150〜450の分子量を有するポリアルキレングリコールエーテルが好適に用いられる。
このポリアルキレングリコールエーテルは、ヒドロキシカルボン酸オリゴマーの解重合反応の極性有機溶媒として用いられ、また、生成したグリコリドなどの環状エステルとともに共留出により反応系から取り出される。
ポリアルキレングリコールエーテルの沸点が低すぎると、解重合反応温度を高く設定することができず、グリコリドなどの環状エステルの生成速度が低下してしまう。一方、ポリアルキレングリコールエーテルの沸点が高すぎると、ポリアルキレングリコールエーテルが留出しにくくなり、解重合により生成した環状エステルとの共留出が難しくなる。ポリアルキレングリコールエーテルの沸点は、好ましくは235〜450℃、より好ましくは240〜430℃、最も好ましくは250〜420℃の範囲である。
ポリアルキレングリコールエーテルの分子量は、150〜450である。ポリアルキレングリコールエーテルの分子量が低すぎても高すぎても、グリコリドなどの環状エステルとの共留出が難しくなる。ポリアルキレングリコールエーテルの分子量は、好ましくは180〜420、より好ましくは200〜400の範囲である。
前記式(1)において、Xは、炭化水素基であり、その具体例としては、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールエーテルの両末端のエーテル基(X及びY)の炭素数の合計が21を超える場合には、極性が低下するため、解重合反応時、ヒドロキシカルボン酸オリゴマーと均一な融液相を形成することが難しくなる。
ポリアルキレングリコールエーテルは、両末端のエーテル基(X及びY)がいずれもアルキル基であり、かつ、両末端のエーテル基に含まれるアルキル基の炭素数の合計が好ましくは3〜21、より好ましくは6〜20の範囲にあることが望ましい。このようなアルキル基の例としては、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルが好ましく、その中でも、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、及びテトラエチレングリコールジアルキルエーテルがより好ましい。
ポリアルキレングリコールエーテルの両末端のエーテル基のアルキル基としては、ジブチル、ジヘキシル、ジオクチルなどのように、同じ炭素数のアルキル基を用いることができるが、必ずしも同じ炭素数である必要はなく、例えば、プロピル基とラウリル基、ヘキシル基とヘプチル基、ブチル基とオクチル基などのような異種のアルキル基同士の組み合わせでもよい。
ポリアルキレングリコールエーテルの性質は、式(1)中のアルキレンオキシ単位(−R−O−)の繰り返し数pによっても変化する。本発明では、繰り返し数pが2〜8、好ましくは2〜5のポリアルキレングリコールエーテルを用いる。この繰り返し数pが大きくなると、重付加反応による合成時に重合度分布が広くなりやすく、同一繰り返し単位数のポリアルキレングリコールエーテルの単離が困難となる。特に、繰り返し単位数pが8を超えると、高分子量物のため蒸留による単離も難しくなり、収率も低下してしまう。
アルキレンオキシ単位(−R−O−)は、Rがメチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基であれば、特に限定されるものではないが、その具体例としては、Rの炭素数が2のエチレンオキシ単位からなるポリエチレングリコールエーテル、Rの炭素数が3のプロピレンオキシ単位からなるポリプロピレングリコールエーテル、Rの炭素数が4のブチレンオキシ単位からなるポリブチレングリコールエーテルが挙げられる。これらの中でも、原料が入手しやすく、また、合成しやすい点で、ポリエチレングリコールエーテルが特に好ましい。
ポリアルキレングリコールエーテルは、25℃におけるグリコリドなどの環状エステルの溶解度が0.1%以上であることが好ましい。多くの場合、環状エステルの溶解度が0.1〜10%の範囲にあるポリアルキレングリコールエーテルが好ましい。ここで、25℃における環状エステルの溶解度とは、25℃のポリアルキレングリコールエーテルにグリコリドなどの環状エステルが飽和状態になるまで溶解させたときのポリアルキレングリコールエーテルの容積A(ml)に対する環状エステルの質量B(g)の百分率で示される。すなわち、溶解度は、下式で示される。
溶解度(%)=(B/A)×100
溶解度が低すぎると、ポリアルキレングリコールエーテルと共に留出したグリコリドなどの環状エステルが析出して、回収ラインの閉塞などを起こしやすくなるので好ましくない。溶解度が高すぎると、解重合反応で得られた共留出液から、液−液分離により環状エステルを回収する際に、例えば、0℃以下の温度に冷却したり、非溶媒を加えたりして、環状エステルを単離する必要が生じる。
(可溶化剤)
ポリアルキレングリコールエーテルに対するグリコール酸オリゴマーなどのヒドロキシカルボン酸オリゴマーの溶解特性(溶解度及び/または溶解速度)を改善するために、加熱解重合系に可溶化剤を含めることができる。
可溶化剤は、好ましい特性として、(i)環状エステルと反応するおそれの少ない非塩基性、(ii)解重合溶媒としてのポリアルキレングリコールエーテルおよび原料ヒドロキシカルボン酸オリゴマーの双方と相溶性であり、好ましくはヒドロキシカルボン酸オリゴマーに対しより大なる親和性を有すること、(iii)解重合溶媒よりも高い沸点、好ましくは450℃以上の沸点を有すること、などが挙げられる。このような可溶化剤の具体例として、中でも一価または多価アルコール類が好ましく用いられ、特に下式(2)で表わされるポリアルキレングリコールあるいは下式(3)で表わされるポリアルキレングリコールモノエーテルが好ましく用いられる。
Figure 0005235311
(式中、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表わし、qは、1以上の整数を表わし、qが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
で示されるポリアルキレングリコールが好ましい。
ポリアルキレングリコールモノエーテルとしては、式(3)
Figure 0005235311
(式中、Rは、メチレン基または炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表わし、Xは、炭化水素基を表わし、rは、1以上の整数を表わし、rが2以上の場合、複数のRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
ポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。
ポリアルキレングリコールモノエーテルの具体例としては、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテルなどのポリエチレングリコールモノエーテル;該ポリエチレングリコールモノエーテルにおいて、エチレンオキシ基をプロピレンオキシ基またはブチレンオキシ基に代えたポリプロピレングリコールモノエーテルやポリブチレングリコールモノエーテルなどのポリアルキレングリコールモノエーテル;などが挙げられる。ポリエチレングリコールモノエーテルは、そのエーテル基として炭素数1〜18のアルキル基を有するものが好ましく、炭素数6〜18のアルキル基を有するものがより好ましい。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
可溶化剤を使用する場合には、ヒドロキシカルボン酸オリゴマー100重量部に対して、通常0.1〜500重量部、好ましくは1〜300重量部の割合で使用される。
(加熱解重合)
ヒドロキシカルボン酸オリゴマーの加熱解重合による環状エステルの製造過程は、以下の工程を含んでいる。
(I)ヒドロキシカルボン酸オリゴマーと、解重合溶媒とを含む混合物を、常圧下または減圧下に、ヒドロキシカルボン酸オリゴマーの解重合が起こる200℃以上の温度に加熱する工程。
(II)ヒドロキシカルボン酸オリゴマーの融液相と解重合溶媒からなる液相とが実質的に均一な相を形成した溶液状態とする工程。
(III)該溶液状態で加熱を継続することにより、解重合により生成した環状エステルを解重合溶媒とともに留出させる工程。
(IV)留出物から環状エステルを回収する工程。
本発明の環状エステルの精製方法の前段階として行われる、好ましい態様による製造方法は、脂肪族ポリエステルの解重合を溶液相の状態で行う点に最大の特徴を有する。解重合反応は、通常、200℃以上の温度で行うが、脂肪族ポリエステルの大半が溶媒に溶解しないで融液相を形成する場合には、環状エステルが留出しにくく、しかも融液相が重質物化しやすい。脂肪族ポリエステルの大半を溶液相の状態で加熱することにより、環状エステルの発生及び揮発速度が飛躍的に大きくなる。
前記工程(III)で起る解重合は、ポリグリコール酸(ポリグリコリド)を例にとると、基本的には以下の反応式〔III〕
Figure 0005235311
解重合のための加熱温度は、脂肪族ポリエステルの解重合が起こる温度以上であり、通常、200℃以上の温度である。加熱温度は、通常200〜320℃、好ましくは210〜310℃、より好ましくは220〜300℃、特に好ましくは230〜290℃の範囲である。
加熱により、ヒドロキシカルボン酸オリゴマーの解重合反応が起こり、グリコリド(大気圧下での沸点:240〜241℃)などの環状エステルが溶媒とともに留出する。解重合反応は、可逆反応であるためグリコリドなどの環状エステルを液相から留去することにより、環状エステルの解重合反応が効率的に進行する。
解重合反応時の加熱は、常圧下または減圧下に行うが、0.1〜90kPaの減圧下に行うことが好ましい。圧力が低い程、解重合反応温度が下がり、溶媒の回収率が高くなる。圧力は、好ましくは1〜50kPa、より好ましくは3〜30kPa、特に好ましくは5〜20kPaである。
解重合溶媒として用いられるポリアルキレングリコールエーテルは、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、通常30〜500重量部、好ましくは50〜200重量部の割合で使用する。ポリアルキレングリコールエーテルは、反応系内の混合物が実質的に均一な液相を形成する範囲内で解重合反応途中に連続的または分割的に追加してもよい。また、より均一な液相を形成するために、混合物中に可溶化剤を添加してもよく、また、可溶化剤も、解重合反応中に連続的もしくは分割的に追加してもよい。
上記のようにして得られた加熱解重合系からの環状エステルと解重合溶媒の共留出混合液から、本発明法に従い精製環状エステルを回収する。
(解重合溶媒と粗環状エステルの液−液分離)
そのためには、共留出混合液を、直接、後述する解重合溶媒と相溶性を有し且つ環状エステルよりも低沸点の有機溶媒(洗浄用有機溶媒)と混合して、洗浄することもできるが、洗浄有機溶媒の使用量を低減するために、まず、加熱解重合系からの共留出液を、解重合溶媒相と、解重合溶媒を含む粗環状エステル相に液−液分離する工程を含めることが好ましい。
具体的には、加熱解重合系からの留出物を冷却器(コンデンサー)で冷却して、グリコリドなどの環状エステルと溶媒とを液状のままで相分離させる。留出液を相分離させると、通常、下層に環状エステル相ができ、上層は溶媒相となる。下層の環状エステル相は、液状のままで分離回収することができる。液状で環状エステルと溶媒とを相分離させるには、冷却温度を通常85〜180℃、好ましくは85〜150℃、より好ましくは85〜120℃に制御する。冷却温度が高すぎると、分離操作の間に環状エステル相において開環反応や重合反応などの副反応が生成しやすくなる。冷却温度が低すぎると、液状のままで相分離させることが困難になる。
コンデンサーにより留出物の温度制御を行いながら解重合反応を継続すると、溶媒と共に留出した環状エステルが上層の溶媒相を液滴となって通過し、下層の環状エステル相へと凝縮する。
このような相分離を行うには、解重合溶媒のポリアルキレングリコールエーテルとして、両末端のエーテル基がいずれもアルキル基であり、かつ、そのアルキル基の炭素数の合計が3〜21であるものが好ましい。このような溶媒は、前記冷却温度において、グリコリドなどの環状エステルと相分離しやすい。
上層に分離された解重合溶媒のポリアルキレングリコール中には、少量(例えば0.1〜10重量%程度)の環状エステルが溶解しているが、いずれも熱安定性に優れるため、ほぼ全量を精製等の工程を経ることなく解重合反応系に戻すことができる。この方法によれば、大量の溶媒を回収する必要がなくなり、さらには、反応容器の容積で決定される量を超える溶媒を用意する必要がなくなる。したがって、この方法では、解重合溶媒の損失を最小限に抑制することができる。
(環状エステルの洗浄)
上述の液−液分離工程を経て解重合溶媒相から分離された環状エステルは、未だ0.05〜2%程度の解重合溶媒を含むものであり、これをそのまま開環重合反応に付すのでは、高分子量の脂肪族ポリエステル(ポリヒドロキシカルボン酸)を得ることは困難である。そこで、本発明法に従い、このような解重合溶媒を含む粗環状エステル液を、解重合溶媒と相溶性を有し且つ環状エステルよりも低沸点の有機溶媒で洗浄する。
(洗浄用有機溶媒)
洗浄用有機溶媒は、解重合溶媒として用いるポリアルキレングリコールエーテルと相溶性を有し、精製対象としてのグリコリド(融点約85℃、沸点約240℃)、ラクチド(融点約95℃、沸点約142℃(絶対圧8mmHgの減圧下))等の環状エステルよりも低沸点の有機溶媒である。その好ましい具体例としては、ヘキサン(沸点:約69℃)、ヘプタン(沸点:約98℃)などの飽和脂肪族炭化水素;シクロヘキサン(沸点:約81℃)等の脂環族炭化水素;ジイソプロピルエーテル(沸点:約68℃)などのエーテル類;等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。なかでも熱安定性および解重合溶媒との相溶性に優れる、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素あるいはこれらの混合物が、特に好ましく用いられる。
有機溶媒による洗浄は、必要に応じて機械的あるいはバブリング等による撹拌を伴なう洗浄の効率を高く維持するために、粗環状エステルの融液状態を維持する温度、好ましくは85〜150℃、より好ましくは90〜130℃、において行う必要があり、その温度における洗浄用有機溶媒の蒸発を抑制するべく必要に応じて加圧下で行われる。また洗浄後の、環状エステルからの蒸発による分離除去を容易とするために、有機溶媒の沸点は90℃以下、特に80℃以下であることが好ましい。
洗浄後の環状エステルと有機溶媒の混合液から、有機溶媒を蒸発除去することにより環状エステルが回収される。この際、有機溶媒の蒸発負荷を低減し、且つ環状エステルに随伴する解重合溶媒量をも低減するために、洗浄後の環状エステルと有機溶媒の混合液を一旦、液−液分離に付し、上層をなす有機溶媒相と下層をなす環状エステル相に分離することが好ましい。そして環状エステル相から移行した解重合溶媒を含む有機溶媒相からは、蒸留等により有機溶媒が回収され、残留する解重合溶媒は更に精製回収されるか、あるいは廃棄処理される。
有機溶媒相から分離された環状エステル相からは、環状エステルとの沸点差を利用して低沸点の洗浄用有機溶媒が蒸発により容易に且つ効率的に除去される。この有機溶媒除去効率は、必要に応じて減圧下での操作とすることにより、あるいは不活性ガスによるバブリング等の操作により、向上することができる。
上記により有機溶媒を分離した精製環状エステルは、既に塊状重合による脂肪族ポリエステル(ポリヒドロキシカルボン酸)の製造に適したものであるが、更に精製してより一層高分子量の脂肪族ポリエステルの製造を目指すことも好ましい。
このような更なる精製の好ましい態様の一つは、本発明者らの研究グループが既に提案した2つの円筒をそれらの中心軸が平行となるように重ね合わせた塔型の結晶精製装置を用い、該装置の底部から粗環状エステルを供給して撹拌下に上昇させ、相対的に精製された環状エステルの降下融解液との向流接触下に粗環状エステルの精製を進行させ、塔底部から不純物を排出しつつ精製された環状エステル融解液を塔頂から抜き出す方法(特開2001−278877号公報)である。
本発明者らは、更に上記で有機溶媒を分離した精製環状エステルを晶析に付して、固−液分離後、精製環状エステルの融液による結晶の洗浄工程に付すことが、より純度の高い環状エステルの製造に極めて適していることを見出した。
上記一連の工程を得た精製環状エステルは、純度99.9モル%以上、残留解重合溶媒量10ppm以下、残留洗浄用有機溶媒量10ppm以下となり、塊状重合によるより高重合度の脂肪族ポリエステルの製造に特に適したものとなる。
本発明法を経て得られた精製環状エステルの塊状重合による脂肪族ポリエステルの製造方法としては、従来法が任意に適用可能であるが、例えば「水およびアルコールを含むプロトン源化合物を開始剤または/及び分子量調節剤として含む環状エステルを、環状エステル中の、全プロトン濃度、および水を含むカルボキシル(カルボン酸)源化合物モル濃度とアルコールを含むアルコキシカルボニル(エステル)源化合物モル濃度との比(カルボン酸/エステル・モル比)、を指標として、開環重合することを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。」(WO2005/044894A1公報)が好適に適用可能である。
以下、実施例および比較例により、本発明を更に具体的に説明する。まず、実施例および比較例の評価のために採用した分析方法を説明する。
≪分析方法≫
[解重合溶媒濃度]
環状エステル(グリコリド)サンプル300mg〜1000mgに内部標準物質の4−クロロベンゾフェノンを約40mg添加し、ジメチルエーテル10mlに溶解した。その溶液を1μl採取し、GC装置に注入して、サンプル中の解重合溶媒濃度の測定を行なった。
(GC分析条件)
装置:島津GC−2010
カラム:TC−17(0.25mmφ×30m)
カラム温度:220℃で20分間保持
気化室温度:200℃
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
温度:300℃。
[洗浄用有機溶媒濃度]
環状エステル(グリコリド)サンプル1000mgに内部標準物質の4−クロロベンゾフェノンを約40mg添加し、ジメチルホルムアミド10mlに溶解する。その溶液を1μl採取し、GC装置に注入して、サンプル中の洗浄用有機溶媒(ヘキサン)濃度の測定を行なった。
(GC分析条件)
装置:島津GC−2010
カラム:TC−17(0.25mmφ×30m)
カラム温度:50℃で5分保持、20℃/分で270℃まで昇温して、270℃で4分間保持
気化室温度:200℃
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
温度:300℃。
[グリコリド純度]
低純度(約98モル%未満)のものについては、前記[解重合溶媒濃度]の測定と同様にGC法により、それぞれクロロベンゾフェノン約40mgを含む300〜1000mgの純グリコリド試料および不純物含有グリコリド試料を、それぞれGC装置に注入し、不純物含有試料におけるグリコリドピークの内部標準ピークに対する相対面積の、純グリコリド試料におけるグリコリドピークの内部標準ピークに対する相対面積に対する面積比をもって、グリコリド純度(重量%)とする。
高純度(98モル%以上)のものについては、Van’t Hoffの法則(下式(1))に基づく不純物含有による純物質からの融点降下に基づくDSC純度(モル%)測定を行った:
=T−X・R・T /ΔH (1)、
ここでT=融解中の平衡融点(K),T=主純物質(グリコリド)の融点(K)、X=液相における不純物の合計モル分率(−)、R=ガス定数=8.31J/mol・K、ΔH=主純物質(グリコリド)の融解熱(J/mol)。
測定に当たってはDSC装置(メトラー・トレド社製「DSC20/TC10A」)を用い、約10mgの精秤した不純物含有グリコリド試料をアルミパン(約40μl)中に密閉し、70〜95℃の温度範囲で2℃/分の昇温速度で、グリコリド融解ピーク測定を行って、上記(1)式における不純物の合計モル分率Xを求め、100−100・Xにより、グリコリド純度(モル%)を求めた。
(実施例1)
[工程1]
500mlフラスコにグリコール酸オリゴマー(重量平均分子量約15,000)160g、解重合溶媒としてジエチレングリコールジブチルエーテル(DEG−DB)100g、可溶化剤としてポリエチレングリコール#300の88.9gを投入後、20kPaの減圧条件下で260℃まで加熱して約30時間の解重合反応を行なった。生成したグリコリドはDEG−DBとともに留出させ、冷却機にて85℃まで冷却凝縮した後、静置して液−液分離させ、分離されたDEG−DBは液−液分離槽からオーバーフローさせ、連続的にフラスコ内に戻した。1時間に1回、分離槽下部に溜まったグリコリドの抜き出しを行った(約30g/回)。また回収したグリコリドと同量のグリコール酸オリゴマーの粉砕品をオリゴマー融解槽に投入し、220℃に加熱融解した後、フラスコに添加して解重合反応を継続した。上記操作を30時間継続して、合計1000gのグリコリドを得た。回収したグリコリド中には、DEG−DBが4,500ppm含まれていた。
[工程2]
回収したグリコリドを同重量(1000g)のヘキサンと90℃で混合した後静置し、液−液分離させ下層のグリコリド980gを回収した。なお、ヘキサンの沸点(69℃)より高温であるため、操作は密閉容器内で行い、ヘキサンの蒸発を防止した。回収したグリコリド中のDEG−DB濃度は900ppm、ヘキサン濃度は4,200ppmであった。
[工程3]
工程2で得られたグリコリドを90℃の条件下でNガスで5分間バブリングを行なった。バブリング後のグリコリド中のDEG−DB濃度は900ppm、ヘキサン濃度は30ppmであった。
(実施例2)
[工程1]
解重合溶媒としてトリエチレングリコールブチルヘキシルエーテル(TEG−BH)を用い、15kPaの減圧条件下で解重合を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。30時間の操作で、合計1000gのグリコリドを得た。回収したグリコリド中には、TEG−BHが4,500ppm含まれていた。
[工程2]
実施例1と同様の操作を行ったところ、回収したグリコリド中のTEG−BH濃度は2,200ppm、ヘキサン濃度は4,000ppmであった。
[工程3]
実施例1と同様の操作を行ったところ、バブリング後のグリコリド中のTEG−BH濃度は2,200ppm、ヘキサン濃度は30ppmであった。
(実施例3)
[工程1]
解重合溶媒としてトリエチレングリコールブチルオクチルエーテル(TEG−BO)を用い、10kPaの減圧条件下で解重合を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。30時間の操作で、合計1000gのグリコリドを得た。回収したグリコリド中には、TEG−BOが3,900ppm含まれていた。
[工程2]
実施例1と同様の操作を行ったところ、回収したグリコリド中のTEG−BO濃度は270ppm、ヘキサン濃度は30ppmであった。
[工程3]
実施例1と同様の操作を行ったところ、バブリング後のグリコリド中のTEG−BO濃度は290ppm、ヘキサン濃度は30ppmであった。
(実施例4)
[工程1]
解重合溶媒としてトリエチレングリコールブチルデシルエーテル(TEG−BD)を用い、8kPaの減圧条件下で280℃まで加熱し解重合を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。30時間の操作で、合計1000gのグリコリドを得た。回収したグリコリド中には、TEG−BDが700ppm含まれていた。
[工程2]
実施例1と同様の操作を行ったところ、回収したグリコリド中のTEG−BD濃度は400ppm、ヘキサン濃度は4,200ppmであった。
[工程3]
実施例1と同様の操作を行ったところ、バブリング後のグリコリド中のTEG−BD濃度は410ppm、ヘキサン濃度は30ppmであった。
(実施例5)
[工程1]
解重合溶媒としてジエチレングリコールブチル(2−クロロフェニル)エーテル(DEG−BClPh)を用い、8kPaの減圧条件下で280℃まで加熱し解重合を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。30時間の操作で、合計1000gのグリコリドを得た。回収したグリコリド中には、TEG−BClPhが16,000ppm含まれていた。
[工程2]
実施例1と同様の操作を行ったところ、回収したグリコリド中のDEG−BClPh濃度は4,500ppm、ヘキサン濃度は4,000ppmであった。
[工程3]
実施例1と同様の操作を行ったところ、バブリング後のグリコリド中のDEG−BClPh濃度は4,500ppm、ヘキサン濃度は30ppmであった。
(実施例6)
[工程1]
解重合溶媒としてトリエチレングリコールジブチルエーテル(TEG−DB)を用い、10kPaの減圧条件下で280℃まで加熱し解重合を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。30時間の操作で、合計1000gのグリコリドを得た。回収したグリコリド中には、TEG−DBが10,000ppm含まれていた。
[工程2]
実施例1と同様の操作を行ったところ、回収したグリコリド中のTEG−DB濃度は1,500ppm、ヘキサン濃度は4,000ppmであった。
[工程3]
実施例1と同様の操作を行ったところ、バブリング後のグリコリド中のTEG−DB濃度は1,500ppm、ヘキサン濃度は30ppmであった。
上記実施例1〜6における工程1〜3の各工程の後での残留溶媒濃度を、まとめて下表1に示す。
Figure 0005235311
(実施例7)
[工程1〜3]
実施例3と同様に工程1〜3を実施した。得られたグリコリド中のTEG−BO濃度は300ppm、ヘキサン濃度は10ppm未満であり、GC分析によるグリコリド純度は90.00%であった。
[工程4]
工程3で得られたグリコリドを装置容積1mのオランダ・ガウダ社製横型多段冷却晶析装置(Cooling Disk Crystallizer)に連続的に供給し、70.0℃まで冷却し晶析を行い、結晶化率25%のスラリーを得た。
[工程5]
工程4で得られたスラリーをバスケット内径24インチの縦型遠心分離機に投入して1600rpmで16分間、脱液し、グリコリドの結晶を回収した。回収したグリコリドの純度は99.15%であり、TEG−BO濃度、ヘキサン濃度はいずれも10ppm未満であった。
[工程6]
工程5で得られたグリコリドの結晶を、内径200mm、高さ5300mmの2つの円筒を重ね合わせた塔型の結晶精製装置(特開2001−278877号公報に記載する型式のもの)に20kg/hで投入し、塔頂から15kg/hで工程1で得られたグリコリド量に基づく収率20%で精製グリコリドを得た。得られたグリコリドのDSC測定による純度は99.90モル%であり、TEG−BO濃度およびヘキサン濃度はいずれも10ppm未満であった。
(実施例8)
[工程1〜4]
実施例7と同様に工程1〜4を実施した。
[工程5]
工程4で得られたスラリーをバスケット内径24インチの縦型遠心分離機に投入して1600rpmで3分間脱液した後、1600rpmを維持したまま、バスケット内のグリコリド結晶重量の30%量の純度99.9%以上の精製グリコリド融液を、バスケット内のグリコリド結晶に噴霧し、さらに13分間脱液し、精製グリコリドを工程1の後のグリコリドに基づく収率25%で得た。得られたグリコリドのDSC測定による純度は99.90モル%、TEG−BO濃度およびヘキサン濃度はいずれも10ppm以下であった。
(比較例)
実施例3の工程1で得られたグリコリドを冷却固化したのち、内径37.5mm、高さ1000mmの2つの円筒を重ね合わせた塔型の結晶精製装置(特開2001−278877号公報)に15g/hで投入し、塔頂から8g/hで純度97%の精製グリコリドを収率53%で得た。得られた精製グリコリド中のTEG−BO濃度は2,550ppmであった。
上述したように本発明によれば、解重合溶媒共存下でのヒドロキシカルボン酸オリゴマーの加熱解重合により生成した解重合溶媒と環状エステルとを含む解重合系からの共留出液を、低沸点有機溶媒による洗浄および有機溶媒の蒸発除去、に付すことにより、精製環状エステルを高い熱効率、精製効率且つハンドリング性で回収する環状エステルの精製方法が提供される。

Claims (5)

  1. 下記工程1〜3を順次に含むことを特徴とする環状エステルの精製方法:
    工程1:解重合溶媒存在下でのヒドロキシカルボン酸オリゴマーの加熱解重合反応により生成した環状エステルと解重合溶媒との共留出液を解重合溶媒相と解重合溶媒を含む環状エステル相とに液−液分離する工程、
    工程2:得られた解重合溶媒を含む環状エステル相を、環状エステルを析出させることな く、解重合溶媒と相溶性を有し且つ環状エステルよりも低沸点の洗浄用有機溶媒と混合し、得られた混合液を解重合溶媒を含む有機溶媒相と該有機溶媒を含む環状エステル相とに液−液分離する工程、および
    工程3:該有機溶媒を含む環状エステル相から該有機溶媒を蒸発させることにより、解重合溶媒を低減した環状エステルを回収する工程。
  2. 解重合溶媒がポリアルキレングリコールエーテル溶媒で、洗浄用有機溶媒がヘキサンである請求項1に記載の精製方法。
  3. 共留出液の洗浄用有機溶媒による洗浄が85〜150℃で行われる請求項1または2に記載の精製方法。
  4. 回収された解重合溶媒を低減した環状エステルを晶析に付し、固−液分離後、精製環状エステルの融液によって結晶の洗浄を行う工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。
  5. 環状エステルがグリコリドである請求項1〜4のいずれかに記載の精製方法。
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