JP5234468B2 - インジケータ機能を有する消臭剤 - Google Patents

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Description

本発明は、天然由来の色素を含有するインジケータ機能を有する消臭剤に係り、特に、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄系悪臭ガスや、アンモニア、トリメチルアミン等のアミン系悪臭ガスを除去し、その除去の度合いに応じた色素の色彩変化により、消臭剤の取り替え時を確実に判断することができるものに関する。
従来、トリメチルアミン等のアミン系悪臭ガスやメチルメルカプタン等の硫黄系悪臭ガスを除去する色素系消臭剤として、例えば、特許文献1に示したように、黄色4号(タートラジン)、青色1号(ブリリアントブル−FCF)、黄色203号(キノリンイエローWS)などが知られている。
これらの色素系消臭剤は、化粧品、医薬品、食品などに配合され、消臭効果を発揮すると共に、黄色、赤色、青色等、種々の色彩を付与するもので、用途に応じて一種または二種以上の色素を混合して用いられ、製品に彩りを添えている。
特開2002−104947号公報
しかしながら、上述したような色素系消臭剤にあっては、消臭能力がまだ十分あるのに取り替えてしまったり、消臭能力が消失したにも拘わらず、過剰に長い期間放置してしまったりするなど、悪臭ガスの除去の程度や残存消臭能力の有無を容易に把握し、適時に消臭剤を取り替えることができないという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものである。
請求項1に係る発明は、アントシアニジン系色素、カルコン系色素、アントラキノン系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、ウコン色素、タマリンド色素、ビートレッド色素、クチナシ青色素およびベニコウジ赤色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素を有効成分として含有するインジケータ機能を有する消臭剤である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のインジケータ機能を有する消臭剤において、アントシアニジン系色素は、ブドウ果皮色素、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、エルダーベリー色素、紫イモ色素、紫トウモロコシ色素およびシソ色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、カルコン系色素は、ベニバナ黄色素であり、アントラキノン系色素は、コチニール色素およびラック色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、カロテノイド系色素は、アナトー色素およびクチナシ黄色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、ポルフィリン系色素は、スピルリナ色素およびクロロフィルの中から選ばれた少なくとも1種の色素であるものである。
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載のインジケータ機能を有する消臭剤において、さらに、無臭または微香性の酸を含有するものである。
請求項1に記載のインジケータ機能を有する消臭剤によれば、アントシアニジン系色素、カルコン系色素、アントラキノン系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、ウコン色素、タマリンド色素、ビートレッド色素、クチナシ青色素およびベニコウジ赤色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素を有効成分として含有するため、アミン系ガスおよび/または硫黄系ガスなどの悪臭ガスの吸収度合いに応じた消臭剤自身の色彩変化により、悪臭ガスの吸収の程度や残存消臭能力の有無を可視化して容易に取り替え時を判断することができ、しかも、天然由来の色素であって人体に対する安全性が高く、廃棄後の環境への負荷も抑えることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載のインジケータ機能を有する消臭剤の効果に加え、アントシアニジン系色素は、ブドウ果皮色素、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、エルダーベリー色素、紫イモ色素、紫トウモロコシ色素およびシソ色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、カルコン系色素は、ベニバナ黄色素であり、アントラキノン系色素は、コチニール色素およびラック色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、カロテノイド系色素は、アナトー色素およびクチナシ黄色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、ポルフィリン系色素は、スピルリナ色素およびクロロフィルの中から選ばれた少なくとも1種の色素であるため、消臭の進行に伴う消臭剤自身の色彩変化を際立たせることができ、より一層確実に消臭剤の取り替え時を判断することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2記載のインジケータ機能を有する消臭剤の効果に加え、さらに、無臭または微香性の酸を含有するため、消臭剤自身が悪臭を発することなく、中和反応の助力により、アンモニアやトリメチルアミン等のアミン系ガスを含む塩基性悪臭ガスの吸収能力をより一層に高めることができる。
本発明の実施の形態を以下に説明する。本発明の消臭剤は、アミン系悪臭ガスおよび/または硫黄系悪臭ガスの除去の度合いに応じて消臭剤自身が色彩変化を生じ、この色彩変化から悪臭ガスの除去の度合いを確認することができる所謂インジケータ機能を有するもので、アントシアニジン系色素、カルコン系色素、アントラキノン系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、ウコン色素、タマリンド色素、ビートレッド色素、クチナシ青色素およびベニコウジ赤色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素を有効成分として含有するものである。
ここで、有効成分とは、アミン系悪臭ガスや硫黄系悪臭ガスなどの悪臭ガスと反応して除去する消臭能力を有し、該悪臭ガスの除去の度合いに応じて消臭剤自身に色彩の変化を生じさせる作用を有する成分をいう。
アントシアニジン系色素は、2−フェニルベンゾピリリウム構造を有する色素であり、具体的には、例えば、ブドウ科ブドウの果皮から抽出されエノシアニンおよびマルビジン−3−グルコシドを主成分とするブドウ果皮色素、アブラナ科ダイコンの赤紫根から抽出されペラルゴニジンアシルグルコシドを主成分とする赤ダイコン色素、アブラナ科キャベツの赤い葉から抽出されシアニジンアシルグルコシドを主成分とする赤キャベツ色素、スイカズラ科エルダーベリーの果実から抽出されシアニジングルコシドおよびデルフィニジングルコシドを主成分とするエルダーベリー色素、ヒルガオ科サツマイモの塊根から抽出されシアニジンアシルグルコシドおよびペオニジンアシルグルコシドを主成分とする紫イモ色素、イネ科トウモロコシの種子から抽出されシアニジン−3−グルコシドを主成分とする紫トウモロコシ色素、シソ科赤シソの葉から抽出されシソニンおよびマロニルシソニンを主成分とするシソ色素などである。
カルコン系色素は、カルコン構造を有する色素であり、具体的には、例えば、キク科ベニバナの花から抽出されるサフロミンAおよびサフロミンBを主成分とするベニバナ黄色素などである。
アントラキノン系色素は、アントラキノン構造を有する色素であり、具体的には、例えば、カイガラムシ科エンジムシから抽出されカルミン酸を主成分とするコチニール色素、カイガラムシ科ラックカイガラムシの分泌物質に含まれるラッカイン酸を主成分とするラック色素などである。
カロテノイド系色素は、1重結合と2重結合とが交互に並んだポリエン構造を有するカロチンの誘導体であり、具体的には、例えば、ベニノキ科ベニノキの種子から抽出されるビキシンおよびノルビキシンを主成分とするアナトー色素、アカネ科クチナシの果実から抽出されるクロシンおよびクロセチンを主成分とするクチナシ黄色素などである。
ポルフィリン系色素は、ポルフィリン構造を有する色素や、ポルフィリンの環状構造が開環した鎖状構造の化合物を含む色素であり、具体的には、例えば、スピルリナの全藻から抽出されるフィコシアニンを主成分とするスピルリナ色素、アカザ科ホウレンソウから抽出されるクロロフィルなどである。
ウコン色素は、例えば、ショウガ科ウコンの根茎から抽出されクルクミンを主成分とするものである。
タマリンド色素は、例えば、マメ科タマリンドの種子から抽出されるフラボノイド(1、3−ジフェニルプロパノイド構造を有する化合物群)の重合体を主成分とするものである。
ビートレッド色素は、例えば、アカザ科ビートの根から抽出されるベタニンおよびイソベタニンを主成分とするものである。
クチナシ青色素は、例えば、アカネ科クチナシの果実から抽出されるイリドイド配糖体とタンパク質分解物との混合物に、β-グルコシダーゼを添加して得られたものである。
ベニコウジ赤色素は、例えば、子のう菌類ベニコウジカビの培養液から得られるアンカフラビンおよびモナスコルブリンを主成分とするものである。
次に、上述した色素を有効成分として含有する消臭剤の実施態様について説明すると、これらの色素は、例えば、水に溶かして水溶液として用いたり、この水溶液をグラスフィルターなどの多孔性の担体に染み込ませ、湿式若しくは乾燥させて用いることができるもので、前者にあっては、水溶液を直接悪臭ガス発生源に振りかけたり、後者にあっては、多孔性の担体に通気して悪臭ガスを選択的に除去したりすることができる。なお、水溶液として使用する場合、消臭能力の確保、および、発色ないし変色の視認性を考慮し、色素の濃度は0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であるのがよい。
ところで、本発明の消臭剤にあっては、上述したアントシアニジン系色素、カルコン系色素、アントラキノン系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、ウコン色素、タマリンド色素、ビートレッド色素、クチナシ青色素、ベニコウジ赤色素を単独で含有するものを用いる他、これらを二種以上混合して用いてもよく、消臭剤に所望の着色や悪臭ガスの種類に応じた消臭能力を付与できるように、適宜選択することができる。
また、この消臭剤に、さらに、無臭または微香性の酸を含有するようにしてもよい。酸を添加することで、色素と塩基性悪臭ガスとが直接反応するのに加え、アミン系悪臭ガスなどの塩基性悪臭ガスを酸により中和することで、より一層消臭効果が高めることができる。
なお、無臭または微香性の酸を用いるのは、消臭剤自身が悪臭を発するのを回避するためであり、添加する酸としては、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸が好ましい。
塩基性悪臭ガスの例としてアンモニアガスを、酸性悪臭ガスの例として硫化水素ガスをそれぞれ用いて下記の消臭試験を行った。なお、各実施例で用いた色素は、表1、2中に記載してある。また、使用した色素は、いずれもキリヤ化学株式会社製であり、品名は同表中に示してある。
1.アンモニアガスによる消臭試験
(1)消臭能力の測定
[試験方法]
・実施例1〜15、参考例1、2
色素25mgを少量の水に溶かして水溶液にし、この水溶液をグラスフィルター(面積6cm×6cm)に染み込ませて乾燥させ、試料を作製した。そして、この試料を悪臭ガス(空気+アンモニアガス約55ppm)が封入されたテドラーバッグ内に挿入し、挿入直後および1時間経過後のテドラーバッグ内のガスを採取してアンモニア濃度を測定した。
・実施例16〜19
上述した実施例9、11、13、14の水溶液にクエン酸10mgを加えて溶解させた以外は、該実施例と同様な操作を行い、アンモニア濃度を測定した。
・比較例1
色素を配合しない以外は、上述した実施例1〜15と同様な操作を行い、アンモニア濃度を測定した。
[評価方法]
アンモニア濃度は、アンモニア濃度検知管(株式会社ガステック製、型名:3La)を用いて測定し、式1により消臭率を算出した。
消臭率(%)=(C0−C1)/C0×100 ・・・式1
0:初期濃度(上記挿入直後の濃度)
1:1時間経過後の濃度
(2)色彩の変化の測定
[試験方法および評価方法]
試料の色彩変化は、色素50mgを水10mlに溶解し、その溶液の透過光の色彩を分光色彩計(株式会社島津製作所製、型名:CLR−7100F)を用いてL***表色系のスケールにて測定し、試験前の値とした。そして、その溶液に28質量%アンモニア水を20μl滴下した後、同様に色彩を測定し、試験後の値とした。なお、色差△Eは、試験前後の値を用いて式2により算出した。なお、色差△Eは、値が大きいほど色彩の変化が大きく、概ね12以上であれば色彩の変化を確実に視認することができる。
△E(−)=(△L*2+△a*2+△b*21/2 ・・・式2
*:明度
*、b*:L***表色系色度図上での座標(色相と彩度のスケール)
表1に、アンモニアガスによる消臭試験における実施例、比較例および参考例の結果を示した。
Figure 0005234468
上記表1からも判るように、実施例1〜15に挙げているアントシアニジン系色素、カルコン系色素、アントラキノン系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、ウコン色素、タマリンド色素、ビートレッド色素においては、非常に高いアンモニア消臭能力を示し、消臭に伴う色彩の変化(色差△E)が大きい、すなわち、インジケータ機能が優れていることがわかる。また、酸(クエン酸)を加えた実施例16〜19については、消臭率がいずれも100%であり、酸を加えていない実施例8、10、11、14のものに比べ、より一層消臭能力が向上している。一方、参考例1のクチナシ赤色素と参考例2のベニコウジ黄色素にあっては、消臭率が低く、色差△Eの変化も少ない結果であった。
2.硫化水素ガスによる消臭試験
(1)消臭能力の測定
[試験方法]
・実施例20〜38、参考例3、4
色素25mgを試料とし、この試料と、pH5.5の硫化水素水溶液を50倍に希釈した溶液1mlと、中性リン酸緩衝液(pH6.86、和光純薬製)1mlとを試験管(容量24ml)内で混ぜて蓋をした。そして、30分後に該試験管のヘッドスペースガスを300μl採り、このヘッドスペースガス中における硫化水素ガスの濃度を測定した。
・比較例2
色素を配合しない以外は、実施例20〜38と同様な操作を行い、硫化水素ガスの濃度を測定した。
[評価方法]
硫化水素ガスの濃度は、ガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、型名:GC−14A)を用いて測定し、式3により消臭率を算出した。
消臭率(%)=(C0−C1)/C0×100 ・・・式3
0:ブランク濃度(色素を含まないときの30分経過後の濃度)
1:30分経過後の濃度
(2)色彩の変化の測定
[試験方法および評価方法]
試料の色彩変化は、色素50mgを水7mlに溶解し、その溶液の透過光の色彩を分光色彩計(株式会社島津製作所製、型名:CLR−7100F)を用いてL***表色系のスケールにて測定し、試験前の値とした。その溶液に硫化水素水溶液3ml(pH4.0)を滴下し、1日経過した後、同様に色彩を測定し、試験後の値とした。なお、色差△Eは、試験前後の値を用いて前述の式2により算出した。
表2に、硫化水素ガスによる消臭試験における実施例および比較例の結果を示した。
Figure 0005234468
上記表2からも判るように、実施例20〜38に挙げているアントシアニジン系色素、カルコン系色素、アントラキノン系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、ウコン色素、タマリンド色素、ビートレッド色素、クチナシ青色素およびベニコウジ赤色素においては、高い硫化水素消臭能力を示し、消臭に伴う色彩の変化(色差△E)が大きい、すなわち、インジケータ機能が優れていることがわかる。一方、参考例3のクチナシ赤色素と参考例4のベニコウジ黄色素にあっては、消臭率が低く、色差△Eの変化も少ない結果であった。

Claims (3)

  1. アントシアニジン系色素、カルコン系色素、アントラキノン系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、ウコン色素、タマリンド色素、ビートレッド色素、クチナシ青色素およびベニコウジ赤色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素を有効成分として含有することを特徴とするインジケータ機能を有する消臭剤。
  2. アントシアニジン系色素は、ブドウ果皮色素、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、エルダーベリー色素、紫イモ色素、紫トウモロコシ色素およびシソ色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、
    カルコン系色素は、ベニバナ黄色素であり、
    アントラキノン系色素は、コチニール色素およびラック色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、
    カロテノイド系色素は、アナトー色素およびクチナシ黄色素の中から選ばれた少なくとも1種の色素であり、
    ポルフィリン系色素は、スピルリナ色素およびクロロフィルの中から選ばれた少なくとも1種の色素であることを特徴とする請求項1記載のインジケータ機能を有する消臭剤。
  3. さらに、無臭または微香性の酸を含有することを特徴とする請求項1または2記載のインジケータ機能を有する消臭剤。
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