JP5231321B2 - 4輪駆動車用駆動力伝達装置 - Google Patents

4輪駆動車用駆動力伝達装置 Download PDF

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Description

本発明は、2輪駆動と4輪駆動を切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に関し、特に、2輪駆動時に駆動力の伝達に関わらない部分の回転を停止する4輪駆動車用駆動力伝達装置に関する。
従来のいわゆるオンデマンド型フルタイム4輪駆動車において、2輪駆動時は前輪を駆動し、4輪駆動時には後輪への駆動力の配分制御を駆動力配分装置で行う4輪駆動車用駆動力伝達装置としては、例えば図18に示すものが知られている。
図18において、駆動力伝達装置200は4輪駆動車202に設けられ、エンジン204からの駆動力を変速機206で変速して駆動力伝達装置200内の前輪差動装置208と駆動力方向変換部210に入力し、駆動力方向変換部210からの出力はプロペラシャフト212を介して電子制御型カップリング装置として知られた駆動力配分装置214に伝達される。
2輪駆動時に駆動力配分装置214が開放(切り離された状態)されている場合は、駆動力は後輪差動装置224に配分されずに前輪差動装置208に伝達され、前輪差動装置208は左前輪216と右前輪218の回転速度差を吸収しつつ左前輪216及び右前輪218に等しいトルクを与え回転させる。
4輪駆動時の駆動力配分装置214が締結(接続された状態)されている場合では、駆動力は駆動力配分装置214に連結されたドライブピニオン220とリングギア222を介して後輪差動装置224にも伝達され、後輪差動装置224は左後輪226と右後輪228の回転速度差を吸収しつつ左後輪226及び右後輪228に等しいトルクを与え回転させる。
一般的に、オンデマンド型フルタイム4輪駆動車には、ドライバーが運転中にスイッチ操作で選択できる駆動モードとして、2輪駆動モード、4輪駆動オートモード、4輪駆動ロックモードが用意されている。
2輪駆動モードは、駆動力伝達装置200の駆動力配分装置214を開放して2輪駆動状態で使用するモードであり、燃費が最も良いことから4輪による駆動力が必要ない乾燥舗装路などを走行する場合に選択する。
4輪駆動オートモードは、走行中の各種車両状態をセンサで検出し、その検出信号に基づいてECU(Electronic control unit)により駆動力配分装置214の前後輪への駆動力配分を最適な状態に自動的に制御するモードであり、路面状態に係わらず常時選択が可能な4輪駆動である。
このモードでは、駆動力配分装置214の締結力はアクチュエータにより連続的に増減され、後輪への駆動力がほぼゼロの2輪駆動状態と最大締結力との間で前後輪の駆動力配分を制御する。
4輪駆動ロックモードは、各種センサが検出した車両状態に係わらず駆動力配分装置214を最大締結力に保持するモードであり、悪路走行などで4輪駆動としての走破性を最大限に発揮したい場合に選択する。
特開平11−125279号公報
しかしながら、このような従来の4輪駆動車用駆動力伝達装置においては、駆動力配分装置214が開放された2輪駆動モードであっても、変速機206からの駆動力は駆動力方向変換部210、プロペラシャフト212及び駆動力配分装置214の駆動側(前輪側)を回転させる。
すなわち、駆動力配分装置214が開放された後輪に駆動力が伝達されない2輪駆動時にも、駆動力方向変換部210、プロペラシャフト212、多板クラッチ機構214、ドライブピニオン220及び後輪差動装置224を含む後輪駆動力系の各構成要素が回転してしまい、この後輪駆動力系におけるオイルの攪拌抵抗や軸受部の摩擦損失等により燃費低下を招いてしまう問題がある。
同時に、駆動力配分装置214が開放された2輪駆動モードであっても、左後輪226及び右後輪228と後輪差動装置224とが直結されているため、左後輪226及び右後輪228が回転することにより、後輪差動装置224、ドライブピニオン220及び駆動力配分装置214の従動側(後輪側)となる後輪駆動伝達系統が回転する。
また、駆動力配分装置214は多板クラッチ機構により駆動力の断接と伝達トルクの制御を行っており、複数のクラッチ板がオイルで潤滑及び冷却されているが、クラッチ切り離し状態にあっても、クラッチ板の駆動側と従動側の回転速度差により発生するオイルの粘性抵抗やクラッチ板同士の接触による摩擦損失で発生する、いわゆる引き摺りトルクがドライブピニオン220及び後輪差動装置224のフリクショントルクより大きいため、駆動力配分装置214の側からドライブピニオン220及び後輪差動装置224を回転させてしまうことで、燃費を悪化させる問題もある。
この引き摺りトルクを減少させるには、駆動力配分装置214の多板クラッチ機構へのオイルの供給を止めるか、あるいはオイルの量を極端に減らした状態で使用すれば、オイルの粘性抵抗により発生する引き摺りトルクを減少させ、又はなくすことができる。しかし、駆動力配分制御時には、十分な潤滑がされないと多板クラッチ機構が焼き付く恐れがある。
また、引き摺りトルクを減少させるには、クラッチ同士の隙間を大きくする方法もあるが、クラッチ締結時の応答性が悪くなるという問題がある。
本発明は、2輪駆動モードでの後輪駆動系の回転を確実に止めることによりオイル粘性抵抗や摩擦損失を減少させて燃費低下を図る4輪駆動車用駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
本発明は、前輪及び後に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
左右後輪へ駆動力を配分する後差動装置と
第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
差動装置の出力の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
2輪駆動モード時は断接装置を非結合とすると共に多板クラッチ機構の締結を解除して第1駆動力伝達方向変換部から第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は断接装置を結合すると共に多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
を備え
引き摺りトルク低減機構は、多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板の隙間を所定値以上広くとると共にクラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
潤滑油供給機構は、多板クラッチ機構を設けた後輪差動装置の、2輪駆動モード時に逆回転し4輪駆動モード時に正回転する出力軸により駆動され、出力軸の逆回転時に多板クラッチ機構への潤滑油の供給を停止し、出力軸の正回転時に多板クラッチ機構に潤滑油を供給するオイルポンプを設けたことを特徴とする。

ここで、オイルポンプはギアポンプであり、ギアポンプの可動側と固定側との摺接面に焼き付き防止処理層を形成する。

また、本発明は、前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
2輪駆動モード時は断接装置を非結合とすると共に多板クラッチ機構の締結を解除して第1駆動力伝達方向変換部から第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は断接装置を結合すると共に多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
を備え、
引き摺りトルク低減機構は、多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板の隙間を所定値以上広くとると共にクラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
潤滑油供給機構は、
多板クラッチ機構を設けた後輪差動装置の、2輪駆動モード時に逆回転し4輪駆動モード時に正回転する出力軸に連結され、出力軸の逆回転時に空転するワンウェイクラッチと、
ワンウェイクラッチに連結され、ワンウェイクラッチ空転時に多板クラッチ機構への潤滑油の供給を停止し、4輪駆動モード時に回転して多板クラッチ機構に潤滑油を供給するオイルポンプと、
を設けたことを特徴とする

また、本発明は、前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
2輪駆動モード時は断接装置を非結合とすると共に多板クラッチ機構の締結を解除して第1駆動力伝達方向変換部から第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は断接装置を結合すると共に多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
を備え、
引き摺りトルク低減機構は、多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
潤滑油供給機構は、
多板クラッチ機構を設けた後輪差動装置の、2輪駆動モード時に逆回転し4輪駆動モード時に正回転する出力軸により駆動され、逆回転と正回転とで潤滑油の吸入方向と吐出方向を反転するオイルポンプと、
2輪駆動モードの逆転時に第1吸入路からオイルポンプに潤滑油を吸入させる第1吸入路チェック弁と、
2輪駆動モードの逆転時にオイルポンプから吐出された潤滑油を多板クラッチ機構以外の部位に吐出させる第1吐出路チェック弁と、
4輪駆動モードの正転時に第2吸入路からオイルポンプに潤滑油を吸入させる第2吸入路チェック弁と、
4輪駆動モードの正転時にオイルポンプから吐出された潤滑油を多板クラッチ機構に吐出させる第2吐出路チェック弁と、
を備えたことを特徴とする。

また、本発明は、前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
2輪駆動モード時は断接装置を非結合とすると共に多板クラッチ機構の締結を解除して第1駆動力伝達方向変換部から第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は断接装置を結合すると共に多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
を備え、
引き摺りトルク低減機構は、多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
潤滑油供給機構は、
多板クラッチ機構を設けた後輪差動装置の、2輪駆動モード時に逆回転し4輪駆動モード時に正回転する出力軸により駆動するオイルポンプと、
2輪駆動モードの逆転時に吸入路からオイルポンプに潤滑油を吸入させて吐出兼吸入路によりタンクに吐出させる吸入路チェック弁と、
4輪駆動モードの正転時に吐出兼用吸入路からオイルポンプに吸入した潤滑を多板クラッチ機構に吐出させる吐出路チェック弁と、
を備えたことを特徴とする。

また、本発明は、前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
2輪駆動モード時は断接装置を非結合とすると共に多板クラッチ機構の締結を解除して第1駆動力伝達方向変換部から第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は断接装置を結合すると共に多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
を備え、
引き摺りトルク低減機構は、多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板の隙間を所定値以上広くとると共にクラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
潤滑油供給機構は、
多板クラッチ機構の出力側で駆動されるオイルポンプと、
2輪駆動モード時は潤滑経路を閉じることでオイルポンプからの潤滑油の供給を停止し、4輪駆動モード時は潤滑経路を開けることでオイルポンプからの潤滑油を供給する開閉機構と、
を備え、
開閉機構は、
多板クラッチ機構を設けた後輪差動装置の出力軸の内部軸方向に形成され、オイルポンプからの潤滑油が供給される弁室と、
弁室に摺動自在に収納され、多板クラッチ機構のクラッチ板の断接を行う軸方向に移動自在なピストンに連動して移動する弁部材と、
多板クラッチ機構のクラッチ板の間に潤滑油を供給する油供給穴と、
を備え、
2輪駆動モード時のピストンのクラッチ非締結位置への移動に連動した弁部材の移動で油供給穴を閉じて潤滑油を遮断し、4輪駆動モード時のピストンのクラッチ締結位置への移動に連動した弁部材の移動で油供給穴を開いて潤滑油を供給するたことを特徴とする

また、本発明は、前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
2輪駆動モード時は断接装置を非結合とすると共に多板クラッチ機構の締結を解除して第1駆動力伝達方向変換部から第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は断接装置を結合すると共に多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
を備え、
引き摺りトルク低減機構は、多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板の隙間を所定値以上広くとると共にクラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
潤滑油供給機構は、
多板クラッチ機構の出力側で駆動されるオイルポンプと、
2輪駆動モード時は潤滑経路を閉じることでオイルポンプからの潤滑油の供給を停止し、4輪駆動モード時は潤滑経路を開けることでオイルポンプからの潤滑油を供給する開閉機構と、
を備え、
開閉機構は、
多板クラッチ機構を設けた後輪差動装置の出力軸の内部軸方向に形成されオイルポンプからの潤滑油が供給される油室と、
多板クラッチ機構を設けた出力軸の外周に形成された山部に対し谷部を広くした外周スプラインと、
出力軸の外周スプラインに嵌合する山部に対し谷部を広くした内周スプラインを形成した多板クラッチ機構のインナーハブと、
2輪駆動モード時の出力軸の逆回転による外周スプラインの内周スプラインに対する当接位置で多板クラッチ機構に対する潤滑油を遮断し、4輪駆動モード時の出力軸の正転による外周スプラインの内周スプラインに対する当接位置で多板クラッチ機構に対し潤滑油を供給する外周スプラインと内周スプラインの谷部に形成された一対の油供給穴と、
を備えたことを特徴とする。

本発明の4輪駆動車用駆動力伝達装置は、後輪差動装置の潤滑油と多板クラッチ機構の潤滑油が混ざらないように後輪差動装置と多板クラッチ機構を別室に分離する構造を備える

引き摺りトルク低減機構は、クラッチ板相互の間隔を広げる方向に付勢するバネ部材を備える。また、引き摺りトルク低減機構は、クラッチ板とクラッチ板を押圧するピストンとの間隔を広げる方向に付勢するバネ部材を備える。

本発明の、コントローラは、2駆動モード時から4駆動モード時への切り替えは多板クラッチ機構を締結させた後に断接装置を締結し、4輪駆動モード時から2駆動モード時への切り替えは多板クラッチ機構を開放した後に断接装置を非結合とする。

本発明によれば、前輪差動装置から後輪駆動系に対する出力軸に断接装置を設けると共に、後輪差動装置のいずれか一方の後輪駆動軸に、駆動力配分装置として機能する多板クラッチ機構を設け、2輪駆動モードで多板クラッチ装置の締結を解除した際のフリクションによる引き摺りトルクを略零まで減らしたことで、4輪駆動モード時の前輪と後輪の駆動力の配分機能、2輪駆動モード時の断接装置の出力側の第1駆動力伝達方向変換部から後輪差動装置の入力側の第2駆動力伝達方向変換部までの後輪駆動系の回転を完全に停止する機能、更に、走行中に2輪駆動モードから4輪駆動モードに切り替える時に停止している後輪駆動系の回転を上昇させて断接装置を結合するための同期をとる機能を、適切に実現することができる。
また、2輪駆動モード時に後輪駆動系の回転を停止させるには、多板クラッチ機構を、後輪差動装置の入力側の第2駆動力伝達方向変換部との間に設けることも可能であるが、従来の後輪差動装置がそのまま使用できないことから構造が複雑となり、クラッチトルク容量が大きくなることで大型化して重くなり、コストも高くなるが、本発明は、後輪差動装置と後輪の間の後輪駆動軸に多板クラッチ機構を設けたことで、クラッチ容量を1/2とし、従来の後輪差動装置をそのまま使用可能とし、多板クラッチ機構の小型化、軽量化及び低コスト化することができる。
また、2輪駆動モード時に、後輪駆動系が完全に停止した状態となるため、フリクションロスが発生せず、燃費悪化を防止でき、4輪駆動車でありながら2輪駆動モードで使用しているときの燃費を2輪駆動車並みの燃費とすることができる。
また、2輪駆動モードに多板クラッチ機構に対する潤滑油の供給が停止されることで、切り離し状態にあるクラッチ板による潤滑油の攪拌で発生する引き摺りトルクを大幅に低減し、後輪駆動系の回転停止を確実に可能とする。
本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の実施形態をスケルトン図で示した説明図 図1の多板クラッチ機構の実施形態をスケルトン図で示したす説明図 図2と同じ機能を実現する多板クラッチ機構の比較例をスケルトン図で示した説明図 本発明で用いる多板クラッチ機構の実施形態を示した断面図 図4の多板クラッチ機構におけるスペース確保用のバネ部材の取付け状態を示した説明図 図5のクラッチ板に対するバネ部材の取付け構造を示した組立分解図 本発明の多板クラッチ機構に設ける潤滑機構をスケルトン図で示した説明図 図7のオイルポンプの2輪駆動モードと4輪駆動モードにおける吸入ポートと吐出ポートの切り替わりを示した説明図 オイルポンプにワンウェイクラッチを使用した他の潤滑機構をスケルトン図で示した説明図 オイルポンプの経路をチェック弁により切り替える多板クラッチ機構の潤滑機構を示した油圧回路図 オイルポンプの経路をチェック弁により切り替える多板クラッチ機構の他の潤滑機構を示した油圧回路図 クラッチ締結力を調整するピストンに連動して潤滑経路を開閉する潤滑機構を設けた多板クラッチ機構の実施形態を示した断面図 図12の多板クラッチ機構における中心線上側のクラッチ切り離し状態の部分を取り出して示した断面図 図12の多板クラッチ機構における中心線下側のクラッチ締結状態の部分を取り出して示した断面図 入出力駆動軸の回転方向の相違を利用して潤滑経路を開閉する潤滑機構を設けた多板クラッチ機構の実施形態を示した 断面図 スプライン嵌合を利用した図15の入出力駆動軸の回転方向の相違を利用して潤滑経路を開閉する潤滑機構を示した説明図 潤滑油の供給を停止した場合の多板クラッチ機構の回転数に対する引き摺りトルクの変化を従来例と対比して示したグラフ図 従来の4輪駆動車用駆動力伝達装置を示した説明図
図1は本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の実施形態をスケルトン図で示した説明図である。図1において、本実施形態の駆動力伝達装置10は、オンデマンド型のフルタイムの4輪駆動車12に搭載され、前輪差動装置18、第1駆動力伝達方向変換部20、プロペラシャフト22、第2駆動力伝達方向変換部24及び後輪差動装置26を備え、更に前輪差動装置18と第1駆動力伝達方向変換部20の間に断接装置28を設けると共に、後輪差動装置26と例えば右後輪82の間の後輪駆動軸76a,76bの間に、駆動力配分装置として機能する多板クラッチ機構30を設けている。
エンジン14からの駆動力は変速機16で変速され、変速機16のドライブギア32及び前輪差動装置18のリングギア34を介して、断接装置28の入力駆動軸45に入力する。
断接装置28はコントローラとして機能するECU(Electronic control unit)25からの制御信号E1により、2輪駆動モードで非結合となり、4輪駆動モードで結合される。断接装置28としては例えば噛合クラッチ機構などが使用される。
変速機16のドライブギア32からの駆動力は、前輪差動装置18のリングギア34、ピニオン36,38及びサイドギア40,42を介して、左前輪駆動軸44及び右前輪駆動軸46を駆動し、左前輪48及び右前輪50を回転させて駆動力を路面に伝達する。コーナリング時や路面状態の変化などにより左前輪48と右前輪50に回転速度差が生じても、前輪差動装置18は、この回転速度差を吸収し、左前輪48及び右前輪50に等しいトルクを与えて回転させることができる。
ドライバが運転中にスイッチ操作で例えば4輪オートモードに切り替えると、ECU25は制御信号E2により、まず多板クラッチ機構30を締結し、続いて断接装置28を結合することで、断接装置28から駆動力が左後輪80及び右後輪82に伝達可能となる。
このように最初に多板クラッチ機構30を締結することで、2輪駆動モードで停止している後輪駆動系の回転を上昇させて断接装置28を結合するための同期をとることができる。
断接装置28の結合で出力された駆動力は、第1駆動力伝達方向変換部20のベベルギア52に伝えられ、ベベルギア52から出力ピニオン54を介して出力駆動軸55を回転する。更に自在継手56、プロペラシャフト22、自在継手58を介し、第2駆動力伝達方向変換部24のドライブピニオン60から後輪差動装置26のリングギア62に伝達され、伝達方向を変換し、リングギア62、ピニオン66,68、及びサイドギア70,72を介して、左後輪駆動軸74及び右後輪駆動軸76aを駆動し、このとき多板クラッチ機構30は締結状態にあることから、右後輪駆動軸76aの駆動力は多板クラッチ機構30の出力側の右後輪駆動軸76bに伝達され、これによって左後輪80及び右後輪82を回転させて駆動力を伝達する。
後輪差動装置26は、コーナリング時や路面状態の変化などにより左後輪80と右後輪82に回転速度差が生じても、この回転速度差を吸収し、左後輪80及び右後輪82に等しいトルクを伝達して回転させることができる。
多板クラッチ機構30の締結力は、ECU25の制御信号E2により、後の説明で明らかにするサーボモータにより連続的に調整することができ、車両の走行条件に応じた締結力の調整で前後輪の駆動力配分を制御する。
4輪駆動モードから2輪駆動モードに切り替える際には、ECU25は多板クラッチ機構30の締結力を解除して、後輪側に対する断接装置28を経由した駆動力の伝達をなくした状態で、断接装置28を非結合に切り離す。
2輪駆動モードにおいて、多板クラッチ機構30の締結を解除し、同時に断接装置28非結合とすることで、本実施形態にあっては、第1駆動力伝達方向変換部20から第2駆動力伝達方向変換部24までの間の後輪駆動系の回転を停止させ、2輪駆動モード時に発生するフリクションロスによる燃費低下を防ぐようにしている。

2輪駆動モード時に第1駆動力伝達方向変換部20から第2駆動力伝達方向変換部24の間の後輪駆動系を停止するためには、この後輪駆動系のフリクションに対し、多板クラッチ機構30の締結を解除した際の引き摺りトルクを小さくするように多板クラッチ機構30を構成する必要がある。
2輪駆動モードにおける後輪駆動系の停止を詳細に説明すると次のようになる。多板クラッチ機構30の切離しにより後輪差動装置26のサイドギア72と右後輪駆動軸76bの連結が断たれると、右後輪82の回転はサイドギア72に伝わらず、そのため左後輪80によるサイドギア70の回転はピニオン66,68を介してサイドギア72を反対方向に回転させる。
このときピニオン66,68及びサイドギア70の回転抵抗よりもリングギア62に繋がるドライブピニオン60からベベルギア52までの回転抵抗のほうが大きいため、リングギア62は回転しない。リングギア62が回転しないということは、断接装置28の出力側のベベルギア52から第2駆動力伝達方向変換部24のドライブピニオン60までの後輪駆動系が回転しないことになり、この場合の駆動力の損失はピニオン66,68及びサイドギア72の回転する部分だけとなり、フリクションロスが大幅に低減して燃費を向上することができる。
図2は図1の多板クラッチ機構30の実施形態をスケルトン図で示した説明図である。図2において、多板クラッチ機構30は、後輪差動装置26のサイドギア72に連結された右後輪駆動軸76aと右後輪82に連結された後輪駆動軸76bの間に設置され、後輪差動装置26からは分離されて後輪駆動軸側に設けられている。このため本実施形態の多板クラッチ機構30は、従来の後輪差動装置26をそのまま使用することが可能である。
多板クラッチ機構30は、後輪差動装置26からの右後輪駆動軸76aの駆動力を入力するアウターハブ86と、右後輪82の後輪駆動軸76bに連結されたインナーハブ84のそれぞれに、交互にクラッチ板を配置しており、クラッチ板の右側にはクラッチ締結力を調整するピストン88が配置され、ピストン88は、後の説明で明らかにするボールカム機構などのアクチュエータ90によりクラッチ板側に押されてクラッチ締結力を調整する。
図3は図2と同じ機能を実現する多板クラッチ機構の比較例をスケルトン図で示した説明図である。図3の比較例にあっては、多板クラッチ機構30を後輪差動装置26に一体化したことを特徴とする。
図3において、多板クラッチ機構30は、後輪差動装置26のリングギア62と、リングギアの回転をピニオン66,68に伝達する収納筒300との間に配置されている。即ち、リングギア62の回転はデフケース64を介して一体化したアウターハブ86に伝えられ、インナーハブ84は収納筒300の回転軸に連結されており、多板クラッチ機構30を締結すると、リングギア62の回転が多板クラッチ機構30を介して収納筒300を回転し、これによってピニオン66,68を回転し、サイドギア70,72を介して右後輪8及び左後輪8に駆動力を伝達する。
図3に示す比較例にあっても、2輪駆動モードで図1に示した断接装置28の非結合と共に多板クラッチ機構30を切り離すと、図1に示した第1駆動力伝達方向変換部20のベベルギア52から第2駆動力伝達方向変換部24のドライブピニオン60の間の後輪駆動系の回転を停止させることができる。
しかしながら、図3に示す比較例にあっては、後輪差動装置26と一体に多板クラッチ機構30を設けていることから、従来の後輪差動装置をそのまま適用することができず、後輪差動装置26と多板クラッチ機構30を一体化した新たな装置を構成する必要があり、その結果、構造が複雑化する。
また多板クラッチ機構30を駆動力入力側の第2駆動力伝達方向変換部24と後輪差動装置26の間に配置しているため、クラッチトルク容量として第2駆動力伝達方向変換部24のギア比倍、例えば約2〜3倍のクラッチトルク容量が必要となり、このため多板クラッチ機構30が大型化し、重量の増大とコストの増加を招く。
更に後輪差動装置26と多板クラッチ機構30がデフケース64とアウターハブ86を一体化した同じケーシング内に配置するため、後輪差動装置26の潤滑油と多板クラッチ機構30の潤滑油はそれぞれ異なった性能のものを使用しているが、両方の潤滑油を混ざらないようにする潤滑油の分離構造が必要であり、これが更に構造を複雑なものとしている。
これに対し図2に示した本実施形態の多板クラッチ機構30にあっては、後輪差動装置26と例えば右後輪82の間の後輪駆動軸に設けていることから、後輪差動装置26内で伝達トルクが配分され、そのため多板クラッチ機構30のクラッチトルク容量は図3の比較例に比べ1/2で済み、多板クラッチ機構30の小型軽量化が図られ、これによってコストの低減を図ることができる。また多板クラッチ機構30を別の装置として設けることができるため、従来の後輪差動装置26をそのまま適用することができ、これによって本実施形態の駆動力伝達装置10を構築する際のコストの低減を図ることができる。
図4は本発明で用いる多板クラッチ機構の実施形態を示した断面図である。図4において、多板クラッチ機構30は、後輪差動装置26側から入力した右後輪駆動軸76aと、右後輪に連結した右後輪駆動軸76bの間に設置される。なお以下の説明にあっては、必要に応じて右後輪駆動軸76aを入力駆動軸とし、右後輪駆動軸76bを出力駆動軸として説明する。
多板クラッチ機構30はインナーハブ84を入力駆動軸76aの右側の軸端にスプライン嵌合により固定し、その外側に出力駆動軸76bの左側の軸端に固定したアウターハブ86を配置しており、インナーハブ84とアウターハブ86の間に、それぞれに嵌め込まれた複数枚のクラッチ板を交互に配置している。
多板クラッチ機構30の断接及び締結力の調整は、左側に設けたボールカム機構92により行われる。ボールカム機構92は多板クラッチ機構30のクラッチ板の左側に軸方向に摺動自在にピストン88を配置し、ピストン88の左側にスラストベアリング110を介して回転カムプレート102と固定カムプレート106を配置し、両者の間にボール104を介在している。
ボール104は固定カムプレート106及び回転カムプレート102の相対する面に円周方向に形成したカム溝に嵌め込まれている。円周方向のカム溝は、図示のボール104の挟み込み状態でカム溝が最も深く、円周方向に向かうにつれてカム溝の深さが浅くなっている。
このため、回転カムプレート102の下側に延在しているアーム部102aの先端側に設けている扇型のギアに対するピニオンギアの噛合いでアクチュエータにより回転カムプレート102を回動すると、深さが変化するカム溝の移動でボール104が回転カムプレート102を右側に移動させ、ピストン88を多板クラッチ機構30側に前進させ、クラッチ板を押圧することで、クラッチ締結力を発生させる。回転カムプレート102の回転によるピストン88の移動に伴う反力は、スラストベアリング112を介して固定プレート108で受け止められている。
ボールカム機構92の左側にはオイルポンプ94が配置されている。オイルポンプ94はロータとして機能するインナーギア116とステータとして機能するアウターギア118で構成され、インナーギア116は後輪差動装置26のサイドギア72に連結されている入力駆動軸76aに固定され、アウターギア118はケーシング101の内壁と、ボルト固定された固定プレート115の間に、挟み込み固定されている。
オイルポンプ94は、インナーギア116のギア数nに対し、アウターギア118の内歯のギア数がn+1と1つ多くなる関係にあり、インナーギア116は入力駆動軸76aと同軸に連結されており、インナーギア116に対し偏心配置されたアウターギア118に対するインナーギア116の回転により、オイルを吸入して吐出するポンプ作用を実現する。
オイルポンプ94はケーシング101内に溜まった油を吸入して吐出し、吐出路12から入力駆動軸76aの内部軸方向に形成した油室120に潤滑油を吐出する。油室120に吐出された潤滑油は、油供給穴122を通って多板クラッチ機構30におけるインナーハブ84側からクラッチ板の間に供給されて、締結力を調整する際のクラッチ板の摩擦接触による発熱の冷却と潤滑を行っている。

多板クラッチ機構30に対する潤滑油の供給は、4輪駆動モードで多板クラッチ機構30を締結もしくは締結力を調整する場合に必要であり、2輪駆動モードにあっては、多板クラッチ機構30は切離し状態にあり、図1に示したベベルギア52からドライブピニオン60までの後輪駆動系を停止させるための引き摺りトルクをなくすため、2輪駆動モードでは、多板クラッチ機構30に対する潤滑油の供給を行わないようにしている。この多板クラッチ機構30に対する4輪駆動モードでの潤滑油の供給と2輪駆動モードでの潤滑油の供給停止については、更に後の説明で明らかにする。
図5は図4の多板クラッチ機構におけるスペース確保用のバネ部材の取付状態を示した説明図である。
図5において、多板クラッチ機構30はインナーハブ84にクラッチ板98のインナー側を係合し、アウターハブ86にクラッチ板100のアウター側を係合し、クラッチ板98と100を交互に配置している。
このクラッチ板98,100の配置状態において、2輪駆動モードの際にはピストン88が後退した締結解除位置にあり、このときのクラッチ板98,100の接触による引き摺りトルクの発生をなくすため、本実施形態にあっては、クラッチ板98,100のインナー側にクラッチ用スペーサバネ130を配置し、クラッチ切離し状態でクラッチ板98,100をクラッチ用スペーサバネ130で間を広げ、クラッチ板98,100の接触によるフリクショントルクの発生をなくしている。
図6は図5のクラッチ板に対するバネ部材の取付構造を示した組立分解図である。アウターハブ86側に配置されるクラッチ板100のインナー側にはスペーサ収納部134が形成され、ここにクラッチ用スペーサバネ130を嵌め入れ、クラッチ用スペーサバネ130は挟み込み部130aの両側に屈曲形成した山型のバネ片130b,130cを形成しており、これによって、相対するクラッチ板98との間を広げて一定の間隔を確保するようにしている。
再び図5を参照するに、多板クラッチ機構30の締結力を調整するボールカム機構32のピストン88とインナーハブ84との間にはピストン用スペーサバネ132を配置し、2輪駆動モード時のクラッチ切離し状態で多板クラッチ機構30のクラッチ板相互の接触を回避するため、両者の間に一定の間隔を確保するようにしている。ピストン用スペーサバネ132としては例えばコイルバネが使用されている。
この図5に示す多板クラッチ機構30におけるクラッチ用スペーサバネ130及びピストン用スペーサバネ132の配置により、2輪駆動モードにおける引き摺りトルクの発生を、潤滑油の供給停止と併せてほぼゼロに低下させる引き摺りトルク低減機構を構成している。
図7は本発明の多板クラッチ機構に設ける潤滑油機構の実施形態をスケルトン図で示した説明図であり、図7(A)に4輪駆動モード時を示し、図7(B)に2輪駆動モード時を示している。
図7(A)の4輪駆動モード時にあっては、多板クラッチ機構30は締結状態にあり、プロペラシャフト22からの駆動力は、ドライブピニオン60から後輪差動装置26のリングギア62に入力し、ピニオン66,68及びサイドギア70,72を介して、左後輪駆動軸74及び多板クラッチ機構30で締結された右後輪駆動軸76a,76bを介して左後輪80及び右後輪82に伝達され、路面に駆動力を伝える。
多板クラッチ機構30に設けたオイルポンプ94は、後輪差動装置26のサイドギア72に連結された右後輪駆動軸76aを入力駆動軸として回転し、多板クラッチ機構30のケーシング外の油を吸入し、クラッチ板の間に潤滑油を供給している。
この4輪駆動モード時にあっては、左後輪駆動軸74、右後輪駆動軸76a,76bは、多板クラッチ機構30が締結状態にあることから、すべて矢印Aに示すように正回転となる方向に回転している。
図8(A)は4輪駆動モード時におけるオイルポンプ94の端面図を示している。オイルポンプ94は、後輪差動装置26からの入力駆動軸76aに同軸配置されたロータとして動作するインナーギア116と、ケーシング側に偏心配置され回転自在に支持されたアウターギア118で構成され、インナーギア116のギア数は6であるのに対し、アウターギア118の内歯の数はそれより1つ多い7となっている。
4輪駆動モード時にあっては、オイルポンプ94のインナーギア116は、入力駆動軸76aにより矢印Aで示す回転方向となる正回転となっており、ケーシング内の潤滑油を吸い込むストレーナ140が下側の吸入ポート141に繋がっており、吸入ポート141から吸入した油を上側の吐出ポート142から吐出し、多板クラッチ機構のクラッチ板の部分に潤滑油を供給している。
図7(B)の2輪駆動モード時にあっては、多板クラッチ機構30は切離し状態となり、右後輪82の右後輪駆動軸76bと後輪差動装置26のサイドギア72を連結した入力駆動軸としての右後輪駆動軸76aの連結が断たれている。このため、右後輪82の回転はサイドギア72に伝達されない。そのため左後輪80によるサイドギア70の回転は、ピニオン66,68を介してサイドギア72を反対方向に回転させる。
即ち2輪駆動モード時にあっては、左後輪駆動軸74及び多板クラッチ機構30により切り離された右後輪82側の右後輪駆動軸76bは矢印Aに示すように正回転となっているが、オイルポンプ94を設けているサイドギア72に連結した右後輪駆動軸76aは矢印Bに示すように逆回転となっている。
このように2輪駆動モード時においてオイルポンプ94に対する入力駆動軸の回転が逆回転になると、図8(B)に示すようにオイルポンプ94における上側が吸入ポート136となり、ストレーナ140に接続している下側が吐出ポート138となってしまう。このため、吸入ポート136側が多板クラッチ機構30におけるクラッチ板の潤滑油流路に繋がっているため、この潤滑油流路から油を吸入することはできず、回転方向Bとなる逆回転により、オイルポンプ94による多板クラッチ機構30に対する潤滑油の供給が停止することになる。
このように2輪駆動モード時にあっては、オイルポンプ94の逆回転によって多板クラッチ機構30に対する潤滑油の供給が停止し、クラッチ切離し状態においてクラッチ板の間に潤滑油が供給されないことで、潤滑油の攪拌によるフリクションロスによる引き摺りトルクをほぼゼロにすることができる。
ところで図7(B)及び図8(B)のように2輪駆動モード時にオイルポンプ94が逆回転されると、潤滑油が吸入できないことで、オイルポンプ94内部での潤滑油不足が起きることになる。オイルポンプ94自身で潤滑油不足が起きると、図4に示したように、ケーシング101の内壁面と固定プレート115のプレート面に接触して回転しているポンプギアが潤滑油不足により焼付きを起こす可能性がある。
そこで本実施形態にあっては、オイルポンプ94に設けているアウターギア118及びインナーギア116の固定側との摺接面にメッキあるいはDLCコーティングなどの表面処理により焼付き防止処理層を形成している。これによって、2輪駆動モード時のオイルポンプ94の逆回転により油の吸入ができずに、オイルポンプ94自身で潤滑油不足を起こしても、ポンプギアの摺接面に焼付き防止処理層を形成したことで、潤滑油不足による焼付きを確実に防止することができる。
図9はオイルポンプにワンウェイクラッチを使用した潤滑油供給機構の他の実施形態をスケルトン図で示した説明図であり、図9(A)に4輪駆動モード時を示し、図9(B)に2輪駆動モード時を示している。
図9(A)の4輪駆動モード時を例に取ると、多板クラッチ機構30の左側に配置したオイルポンプ94は、後輪差動装置26のサイドギア72に連結した入力駆動軸としての右後輪駆動軸76aに対し、インナーギアをワンウェイクラッチ144を介して取り付けている。
ワンウェイクラッチ144は、サイドギア72による右後輪駆動軸76aの矢印A方向の正回転に対し、クラッチが作動してオイルポンプ94のインナーギアを回転させ、逆回転に対してはワンウェイクラッチ144の連結が解除されてワンウェイクラッチ144のみが空転することになる。
このため図9(A)の4輪駆動モード時にあっては、プロペラシャフト22からの駆動力は後輪差動装置26に入力し、多板クラッチ機構30が締結状態にあることから、リングギア62の回転は、ピニオン66,68及びサイドギア70,72を介して左後輪80、及び締結状態にある多板クラッチ機構30を介して右後輪82に伝達され、路面に駆動力を伝える。
このため4輪駆動モード時にあっては、左輪駆動軸74、右後輪駆動軸76a,76bは共に矢印Aに示す正回転となっており、サイドギア72に連結した右後輪駆動軸76aの正回転によりワンウェイクラッチ144がクラッチ動作を行って、オイルポンプ94のインナーギアを回転し、潤滑油を多板クラッチ機構30に供給することができる。

図9(B)は2輪駆動モード時であり、多板クラッチ機構30は切離し状態にあるため、後輪差動装置26のサイドギア72と右後輪82の間の連結は切り離されている。このため、右後輪82の右後輪駆動軸76bによる矢印Aで示す正方向の回転は後輪差動装置26のサイドギア72に伝達されない。
左後輪80による左輪駆動軸74の矢印Aで示す正方向の回転によるサイドギア70の回転はピニオン66,68を介してサイドギア72に伝達され、サイドギア72が矢印Bに示すように後輪駆動軸76aを逆回転させる。この右後輪駆動軸76aの逆回転により、ワンウェイクラッチ144はオイルポンプ94のインナーギアを回転させずに空転する。その結果、2輪駆動モード時にあっては、オイルポンプ94が回転されずに多板クラッチ機構30に対する潤滑油の供給が停止することになる。

図10はオイルポンプの経路をチェック弁により切り替える多板クラッチ機構における潤滑油供給機構の他の実施形態を示した油圧回路図である。図10において、オイルポンプ94は、図7及び図9に示したように、4輪駆動モード時にあっては正回転となり、2輪駆動モード時にあっては逆回転となる。ここでオイルポンプ94の吐出ポートを、正回転時はポート95aと黒塗りの三角形で示し、逆回転時についてはポート95bと白抜きの三角形で示している。
まず2輪駆動モード時にオイルポンプ94が逆回転する際には、オイルポンプ94はケーシング101内の油をストレーナ140から第1吸入路146aに設けた第1吸入路チェック弁146を介してポート95aに吸入し、ポート95bから第1吐出路148aに設けた第1吐出路チェック弁148を介して多板クラッチ機構以外の部分に矢印Aで示す経路で潤滑油を供給しており、このためオイルポンプ94の正回転時には多板クラッチ機構に対する潤滑油の供給は停止している。
一方、4輪駆動モード時のオイルポンプ94が正回転する際には、オイルポンプ94は第2吸入路150aに設けた第2吸入路チェック弁150を介してストレーナ140からケーシング101内の油をポート95bに吸入し、ポート95aから第2吐出路152aに設けた第2吐出路チェック弁152を介して矢印Bで示す経路で多板クラッチ機構に潤滑油を供給する。
このように2輪駆動モード時に逆回転、4輪駆動モード時に正回転するオイルポンプ94に対し、4つのチェック弁による切替回路を設けることで、4輪駆動モード時に多板クラッチ機構に潤滑油を供給し、2輪駆動モード時にあっては多板クラッチ機構に対する潤滑油の供給を停止して引き摺りトルクをほぼゼロとすることができる。
図11はオイルポンプの経路をチェック弁により切り替える潤滑油供給機構の他の実施形態を示した油圧回路図であり、図10の4つのチェック弁を設けた実施形態に対し、2つのチェック弁で済むようにしたことを特徴とする。
図11において、2輪駆動モード時のオイルポンプ94の逆回転の際には、ケーシング101内の油をストレーナ140から吸入路158aに設けた吸入路チェック弁158を介してポート95aに吸入し、ポート95bから吐出兼用吸入路156を介してケーシング101内に油を戻す矢印Aで示す循環ループを形成しており、オイルポンプ94から多板クラッチ機構を含む他の部位に対する潤滑油の供給は行っていない。
一方、4輪駆動モード時にあっては、オイルポンプ94が正回転し、ケーシング101内の油をストレーナ140から吐出兼用吸入路156によりポート95bに吸入し、ポート95aから吐出し、吐出路154aに設けた吐出路チェック弁154を介して矢印Bで示す経路で多板クラッチ機構に潤滑油を供給する。
即ち、輪駆動モード時のオイルポンプ94の回転では矢印Aで示す油の循環が行われ、多板クラッチ機構に対する潤滑油の供給は行われず、潤滑油による多板クラッチ機構の引き摺りトルクをほぼゼロとできる。一方、4輪駆動モード時のオイルポンプ94の正回転にあっては、矢印Bで示す潤滑経路により多板クラッチ機構に対し潤滑油を供給し、クラッチ締結力を調整する際のクラッチ板の潤滑冷却を適切に行うことができる。
図12はクラッチ締結力を調整するピストンに連動して潤滑経路を開閉する潤滑油供給機構を設けた多板クラッチ機構の実施形態を示した断面図である。
図12において、多板クラッチ機構30は後輪差動装置26側のケーシング27に連結されたケーシング101内に収納されており、後輪差動装置26からの入力駆動軸76aと右後輪側からの右後輪駆動軸76bとの突き合せ部分に取り付けられている。多板クラッチ機構30は、左側に配置したボールカム機構92によるピストン88の右方向への移動により締結力を調整することができる。
ボールカム機構92は、回転カムプレート102、ボール104及び固定カムプレート106を備えており、本実施形態にあっては、回転カムプレート102は外周にギアを形成している。

ボールカム機構92による多板クラッチ機構30の締結力の調整は、ケーシング101の下側に配置したサーボモータ164により行われる。サーボモータ164の回転は減速機166で減速された後、駆動軸168に設けたギア170を回転し、ギア170の回転はギア172,174,176を介して回転カムプレート102に伝達され、回転カムプレート102の回転に伴うボール104のカム溝に対する位置の変化で回転カムプレート102を右方向に移動し、これに伴いピストン188を多板クラッチ機構30のクラッチ板に押し付けることで締結力を調整している。

本実施形態にあっては、多板クラッチ機構30の右側の右後輪に連結される右後輪駆動軸76bで回転するようにオイルポンプ94を配置している。即ちオイルポンプ94は、右後輪駆動軸76bにインナーギア116を同軸固定し、その外側の偏心位置にアウターギア118をケーシング内壁と固定プレート115の挟み込みで回転自在に支持されている。

このオイルポンプ94からの潤滑油供給機構として、本実施形態にあっては、オイルポンプ94を回転する右後輪駆動軸76bの内部の油路を、後輪差動装置26に連結している入力駆動軸76aの内部軸方向に形成した段付円筒状の弁室160に連通し、弁室160にオイルポンプ94から潤滑油を供給している。
弁室160には弁部材162が軸方向に移動自在に組み込まれており、弁部材16の多板クラッチ機構30に相対した位置にはポート182が設けられている。弁部材162は、後の説明で明らかにするように、ボールカム機構92により動作するピストン88に連動して軸方向に移動し、これによってポート182を多板クラッチ機構30側の油供給穴に対し開閉することで潤滑油の供給停止を切り替える。

ここで図12の中心線の上側については、ピストン88が後退して多板クラッチ機構30の切離しを行った2輪駆動モード時の動作状態を示し、一方、中心線の下側についてはボールカム機構92によりピストン88を移動して多板クラッチ機構30を締結状態とした4輪駆動モード時の動作状態を示している。
図13は図12の多板クラッチ機構における中心線上側のクラッチ切離し状態の部分を取り出して示した断面図である。図13のクラッチ切離し状態は2輪駆動モード時の動作状態であり、ボールカム機構92によりピストン88は多板クラッチ機構30のクラッチ板の押圧を解除した後退位置に戻っている。
ピストン88には、半径方向から入力駆動軸76aの長穴184を介して連結ピン178が弁部材162に先端を嵌合して連結されている。このため、ボールカム機構92によるピストン88の移動に連動して、弁室160に収納した弁部材162を軸方向に移動することができる。
弁室160を形成した入力駆動軸76aの多板クラッチ機構30に対応した位置には油供給穴122が設けられており、油供給穴122はインナーハブ84の油穴からクラッチ板の間に潤滑油を供給する。
入力駆動軸76a側の油供給穴122に対し、ピストン88がクラッチ切離し状態となる位置で連結ピン178を介して後退させた弁部材162には、ポート182が設けられており、ポート164はクラッチ切離し状態で油供給穴122を外れた位置にあり、油供給穴122を閉じて、オイルポンプ94からの潤滑油の多板クラッチ機構30に対する供給を停止している。
また弁室160の右側には止め125が設けられ、弁部材162の移動位置を規制している。また入力駆動軸76aと右後輪駆動軸76bの先端の同軸嵌合部分の間にはニードルベアリング128が介装されて相対回転を可能としている。

このように図13に示す2輪駆動モード時にあっては、ボールカム機構92によるピストン88の後退で多板クラッチ機構30の締結状態の切離しが行われており、ピストン88の動きが連結ピン178により弁室160に収納された弁部材162を右側の後退位置に移動し、これによってポート182の油供給穴122に対する連通をなくし、オイルポンプ94による多板クラッチ機構30のクラッチ板の間に対する潤滑油の供給を停止し、クラッチ切離し状態での引き摺りトルクをほぼゼロとしている。
図14は図12の多板クラッチ機構における中心線下側のクラッチ締結状態の部分を取り出して示した断面図である。
図14において、4輪駆動モード時にあっては、ボールカム機構92の回転カムプレート102の回転により、ボール104が円周方向の溝の浅い部分に相対移動することで、図示のように回転カムプレート102を右方向に移動し、これに伴い、スラストベアリングを介してピストン88を右側に押すことで、多板クラッチ機構30のクラッチ板を押圧して締結状態としている。

このピストン88の右方向の移動に伴い、連結ピン178を介して弁部材162も右方向に移動し、弁部材162に設けているポート182が、インナーハブ84を固定した入力駆動軸76aに設けた油供給穴122に連通して流路を開き、オイルポンプ94からの潤滑油を締結状態にある多板クラッチ機構30のクラッチ板の間に供給し、クラッチ板の摩擦接触による潤滑冷却を行う。
図15は入出力駆動軸の回転方向の相違を利用して潤滑経路を開閉する潤滑油供給機構を設けた多板クラッチ機構の実施形態を示した断面図である。
図15において、多板クラッチ機構30は左側に配置される後輪差動装置26から分離したケーシング101内に収納されており、後輪差動装置26からの駆動力を入力する入力駆動軸76aと、右後輪に連結される出力駆動軸76bとの間に配置され、ボールカム機構92により断接及び締結力の調整を行う。

ボールカム機構92は図12の実施形態と同様、サーボモータ164からの回転を減速機166で減速し、ギアトレインを介して回転カムプレート102を回転することでピストン88を移動して、クラッチ締結力を調整するようにしている。

オイルポンプ94は出力駆動軸76b側に設けられ、このため2輪駆動モード及び4輪駆動モードのいずれにおいても、矢印Aに示す正方向の回転となり、常時、潤滑油を吐出することができる。オイルポンプ94からの潤滑油の吐出側は、出力駆動軸76b内の連通路を介して、入力駆動軸76aの内部軸方向に形成した段付円筒穴となる油室185に供給されている。油室185の外周側には、ボールカム機構92に対する潤滑油の油供給穴に加え、多板クラッチ機構30のクラッチ板の間に潤滑油を供給する油供給穴122が形成されている。
図15における潤滑油供給機構の4輪駆動モード時の潤滑油の供給と2輪駆動モード時の潤滑油の供給停止は、入力駆動軸76aの右側軸端外周に設けた外周スプラインと、これに嵌合するインナーハブ84の内周スプラインとのスプライン嵌合に対する4輪駆動モード時の入力駆動軸76の矢印Aの正回転と、2輪駆動モード時の矢印Bの逆回転の回転方向の相違を利用して油供給を切り替える。
図16は図15の油供給穴122を形成した部分の入力駆動軸76aとインナーハブ84の軸部断面の一部を取り出して示している。図16(A)は4輪駆動モード時の動作状態である。
図16(A)において、入力駆動軸76aの外周には外周スプライン186が形成されており、外周スプライン186は山部186aの円周方向の長さに対し、谷部186bの円周方向の長さが長くなっている。
入力駆動軸76aの外側に配置されるインナーハブ84には内周スプライン188が形成されている。内周スプライン188は、山部188aの円周方向の長さに対し、谷部188bの円周方向の長さが同じく長くなるように形成されている。
このため入力駆動軸76aとインナーハブ84は、回転方向が変わったとき外周スプライン188の円周方向の隙間分だけ相対回転する動きを生じ、これによって潤滑油供給経路の切替えを行っている。
図16(A)の4輪駆動モード時にあっては、入力駆動軸76aが駆動力を受けてインナーハブ84に駆動力を伝達しており、入力駆動軸76aの矢印Aで示す正方向回転により、周スプライン186の山部186aがインナーハブ84の内周スプライン188の山部188aの右側に当る位置に移動して当接し、これによって入力駆動軸76aと一体にインナーハブ84が矢印a方向に回転されている。

この状態にあっては、入力駆動軸76aの径方向に設けた油供給穴122が、インナーハブ84の谷部188bに設けている油供給穴190に相対しており、入力駆動軸76aの内部の油室185に供給されたオイルポンプ94からの油は、相対した開放位置にある油供給穴122,190を通って、多板クラッチ機構のクラッチ板の間に潤滑油を供給する。
図16(B)は2輪駆動モード時の切替状態を示している。2輪駆動モード時にあっては、多板クラッチ機構30による切離しとなるため、左後輪の回転が後輪差動装置を介して入力駆動軸76aに伝達され、入力駆動軸76aは矢印Bで示す逆回転となる。この逆回転に対し入力駆動軸76aが駆動側となり、内周スプライン186の山部186aがインナーハブ84の内周スプライン188の山部188aの右側に当接した状態で、同じく矢印bで示す逆方向にインナーハブ84を回転する。
このため、2輪駆動モード時の入力駆動軸76aの逆回転の際には、入力駆動軸76aの油供給穴122がインナーハブ84の内周スプライン188の山部188aで閉鎖され、油供給穴190との連通が断たれることで、オイルポンプから多板クラッチ機構に対する潤滑油の供給が停止され、多板クラッチ機構における引き摺りトルクをほぼゼロとすることができる。
図17は2輪駆動モード時に潤滑油の供給を停止した場合の多板クラッチ機構の回転数に対する引き摺りトルクの変化を従来例と対比して示したグラフ図である。
図17において、特性192が本実施形態による2輪駆動モード時に潤滑油の供給を停止した場合の回転数に対する引き摺りトルクの変化であり、ほぼゼロ付近に維持することができる。これに対し潤滑油を供給していた従来特性194にあっては、1000回転付近にピークを持ち、回転の増加に対し減少した後にほぼ安定する大きな引き摺りトルクを発生しており、潤滑油の供給停止による引き摺りトルクの十分な低下が確認されている。
なお、多板クラッチ機構における引き摺りトルクを低減する構造として、潤滑油の供給停止以外に、図5に示したクラッチ板の間隔確保とピストンとクラッチ板の間隔確保を行うためのスペーサバネの組込みについても、図4の実施形態以外の他の実施形態についても同様に適用する。
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:駆動力伝達装置
12:4輪駆動車
14:エンジン
16:変速機
18:前輪差動装置
20:第1駆動力伝達方向変換部
22:プロペラシャフト
24:第2駆動力伝達方向変換部
25:ECU
26:後輪差動装置
27:ケーシング
28:断接装置
30:多板クラッチ機構
32,60:ドライブピニオン
34,62:リングギア
35,64:デフケース
36,38,66,68:ピニオン
40,42,70,72:サイドギア
44:左前輪駆動軸
46:右前輪駆動軸
48:左前輪
50:右前輪
52:ベベルギア
54:出力ピニオン
56,58:自在継手
74:左後輪駆動軸
76a,76b:右後輪駆動軸
80:左後輪
82:右後輪
84:インナーハブ
86:アウターハブ
88:ピストン
90:アクチュエータ
92:ボールカム機構
94:オイルポンプ
98,100:クラッチ板
101:ケーシング
102:回転カムプレー
104:ボール
106:固定カムプレート
108:固定プレート
110,112:スラストベアリング
116:インナーギア
118:アウターギア
120:油室
122,190:油供給穴
124,126:ボールベアリング
128:ニードルベアリング
130:クラッチ用スペーサバネ
132:ピストン用スペーサバネ
134:スペーサ収納部
136,141:吸入ポート
138,142:吐出ポート
140:ストレーナ
144:ワンウェイクラッチ
146:第1吸入路チェック弁
148:第1吐出路チェック弁
150:第2吸入路チェック弁
152:第2吐出路チェック弁
154:吐出路チェック弁
156:吐出兼用吸入路
158:吸入路チェック弁
160:弁室
162:弁部材
164:サーボモータ
166:減速機
168:駆動軸
170,172,174,176:ギア
178:連結ピン
182:ポート
184:長穴
185:油室
186:外周スプライン
188:内周スプライン
300:収納筒

Claims (11)

  1. 前輪及び後に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
    エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
    左右後輪へ駆動力を配分する後差動装置と
    前記第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
    差動装置の出力の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
    前記多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、前記第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
    2輪駆動モード時は前記断接装置を非結合とすると共に前記多板クラッチ機構の締結を解除して前記第1駆動力伝達方向変換部から前記第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は前記断接装置を結合すると共に前記多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
    を備え
    前記引き摺りトルク低減機構は、前記多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板の隙間を所定値以上広くとると共にクラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、前記多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、前記クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
    前記潤滑油供給機構は、前記多板クラッチ機構を設けた前記後輪差動装置の、2輪駆動モード時に逆回転し4輪駆動モード時に正回転する出力軸により駆動され、前記出力軸の逆回転時に前記多板クラッチ機構への潤滑油の供給を停止し、前記出力軸の正回転時に前記多板クラッチ機構に潤滑油を供給するオイルポンプを設けたことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  2. 請求項記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、前記オイルポンプはギアポンプであり、前記ギアポンプの可動側と固定側との摺接面に焼き付き防止処理層を形成したことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  3. 前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
    エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
    左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
    後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
    前記多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、前記第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
    2輪駆動モード時は前記断接装置を非結合とすると共に前記多板クラッチ機構の締結を解除して前記第1駆動力伝達方向変換部から前記第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は前記断接装置を結合すると共に前記多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
    を備え、
    前記引き摺りトルク低減機構は、前記多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板の隙間を所定値以上広くとると共にクラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、前記多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、前記クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
    前記潤滑油供給機構は、
    前記多板クラッチ機構を設けた前記後輪差動装置の、2輪駆動モード時に逆回転し4輪駆動モード時に正回転する出力軸に連結され、前記出力軸の逆回転時に空転するワンウェイクラッチと、
    前記ワンウェイクラッチに連結され、前記ワンウェイクラッチ空転時に前記多板クラッチ機構への潤滑油の供給を停止し、4輪駆動モード時に回転して前記多板クラッチ機構に潤滑油を供給するオイルポンプと、
    を設けたことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  4. 前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
    エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
    左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
    後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
    前記多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、前記第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
    2輪駆動モード時は前記断接装置を非結合とすると共に前記多板クラッチ機構の締結を解除して前記第1駆動力伝達方向変換部から前記第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は前記断接装置を結合すると共に前記多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
    を備え、
    前記引き摺りトルク低減機構は、前記多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、前記多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、前記クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
    前記潤滑油供給機構は、
    前記多板クラッチ機構を設けた前記後輪差動装置の、2輪駆動モード時に逆回転し4輪駆動モード時に正回転する出力軸により駆動され、前記逆回転と前記正回転とで潤滑油の吸入方向と吐出方向を反転するオイルポンプと、
    2輪駆動モードの逆転時に第1吸入路から前記オイルポンプに潤滑油を吸入させる第1吸入路チェック弁と、
    2輪駆動モードの逆転時に前記オイルポンプから吐出された潤滑油を多板クラッチ機構以外の部位に吐出させる第1吐出路チェック弁と、
    4輪駆動モードの正転時に第2吸入路から前記オイルポンプに潤滑油を吸入させる第2吸入路チェック弁と、
    4輪駆動モードの正転時に前記オイルポンプから吐出された潤滑油を多板クラッチ機構に吐出させる第2吐出路チェック弁と、
    を備えたことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  5. 前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
    エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
    左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
    後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
    前記多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、前記第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
    2輪駆動モード時は前記断接装置を非結合とすると共に前記多板クラッチ機構の締結を解除して前記第1駆動力伝達方向変換部から前記第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は前記断接装置を結合すると共に前記多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
    を備え、
    前記引き摺りトルク低減機構は、前記多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、前記多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、前記クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
    前記潤滑油供給機構は、
    前記多板クラッチ機構を設けた前記後輪差動装置の、2輪駆動モード時に逆回転し4輪駆動モード時に正回転する出力軸により駆動され、前記逆回転と前記正回転とで潤滑油の吸入方向と吐出方向を反転するオイルポンプと、
    2輪駆動モードの逆転時に吸入路から前記オイルポンプに潤滑油を吸入させて吐出兼吸入路によりタンクに吐出させる吸入路チェック弁と、
    4輪駆動モードの正転時に吐出兼用吸入路から前記オイルポンプに吸入した潤滑油を前記多板クラッチ機構に吐出させる吐出路チェック弁と、
    を備えたことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  6. 前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
    エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
    左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
    後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
    前記多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、前記第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
    2輪駆動モード時は前記断接装置を非結合とすると共に前記多板クラッチ機構の締結を解除して前記第1駆動力伝達方向変換部から前記第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は前記断接装置を結合すると共に前記多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
    を備え、
    前記引き摺りトルク低減機構は、前記多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板の隙間を所定値以上広くとると共にクラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、前記多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、前記クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
    前記潤滑油供給機構は、
    前記多板クラッチ機構の出力側で駆動されるオイルポンプと、
    2輪駆動モード時は潤滑経路を閉じることで前記オイルポンプからの潤滑油の供給を停止し、4輪駆動モード時は潤滑経路を開けることで前記オイルポンプからの潤滑油を供給する開閉機構と、
    を備え、
    前記開閉機構は、
    前記多板クラッチ機構を設けた前記後輪差動装置の出力軸の内部軸方向に形成され、前記オイルポンプからの潤滑油が供給される弁室と、
    前記弁室に摺動自在に収納され、前記多板クラッチ機構のクラッチ板の断接を行う軸方向に移動自在なピストンに連動して移動する弁部材と、
    前記多板クラッチ機構のクラッチ板の間に潤滑油を供給する油供給穴と、
    を備え、
    2輪駆動モード時の前記ピストンのクラッチ非締結位置への移動に連動した前記弁部材の移動で前記油供給穴を閉じて潤滑油を遮断し、4輪駆動モード時の前記ピストンの前記クラッチ板の締結位置への移動に連動した前記弁部材の移動で前記油供給穴を開いて潤滑油を供給することを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  7. 前輪及び後輪に伝達する駆動力の配分を走行条件に応じて自動的に制御する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を受けて、左右前輪へ駆動力を配分する前輪差動装置と、
    エンジンからの駆動力の回転方向を変えて、後輪に伝達する第1駆動力伝達方向変換部と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部からの駆動力を受けて、回転方向を変えて、後輪差動装置に伝える第2駆動力伝達方向変換部と、
    左右後輪へ駆動力を配分する後輪差動装置と、
    前記第1駆動力伝達方向変換部への駆動力を断接する断接装置と、
    後輪差動装置の出力軸の一方と左右後輪の一方との間に設けられ、連続的に締結力を調整可能な多板クラッチ機構と、
    前記多板クラッチ機構の締結を解除した際の引き摺りトルクを、前記第1駆動力伝達方向変換部と第2駆動力伝達方向変換部との問のフリクショントルクよりも小さくなるように設定する引き摺りトルク低減機構と、
    2輪駆動モード時は前記断接装置を非結合とすると共に前記多板クラッチ機構の締結を解除して前記第1駆動力伝達方向変換部から前記第2駆動力伝達方向変換部の回転を停止させ、4輪駆動モード時は前記断接装置を結合すると共に前記多板クラッチ機構の締結力を車両の走行条件に応じて調整するコントローラと、
    を備え、
    前記引き摺りトルク低減機構は、前記多板クラッチ機構を切り離した2輪駆動モード時に、クラッチ板の隙間を所定値以上広くとると共にクラッチ板への潤滑油の供給を停止又は制限し、前記多板クラッチ機構を締結した4輪駆動モード時に、前記クラッチ板へ潤滑油を供給する潤滑油供給機構を備え、
    前記潤滑油供給機構は、
    前記多板クラッチ機構の出力側で駆動されるオイルポンプと、
    2輪駆動モード時は潤滑経路を閉じることで前記オイルポンプからの潤滑油の供給を停止し、4輪駆動モード時は潤滑経路を開けることで前記オイルポンプからの潤滑油を供給する開閉機構と、
    を備え、
    前記開閉機構は、
    前記多板クラッチ機構を設けた前記後輪差動装置の出力軸の内部軸方向に形成され前記オイルポンプからの潤滑油が供給される油室と、
    前記出力軸の外周に形成された山部に対し谷部を広くした外周スプラインと、
    前記出力軸の外周スプラインに嵌合する山部に対し谷部を広くした内周スプラインを形成した前記多クラッチ機構のインナーハブと、
    2輪駆動モード時の前記出力軸の逆回転による外周スプラインの内周スプラインに対する当接位置で前記多板クラッチ機構に対する潤滑油を遮断し、4輪駆動モード時の前記出力軸の正転による外周スプラインの内周スプラインに対する当接位置で前記多板クラッチ機構に対し潤滑油を供給する前記外周スプラインと内周スプラインの谷部に形成された一対の油供給穴と、
    を備えたことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、前記後輪差動装置の潤滑油と前記多板クラッチ機構の潤滑油が混ざらないように前記後輪差動装置と多板クラッチ機構を別室に分離する構造を備えたことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  9. 請求項1乃至7の何れかに記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、前記引き摺りトルク低減機構は、前記クラッチ板相互の間隔を広げる方向に付勢するバネ部材を備えたことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  10. 請求項1乃至7の何れかに記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、前記引き摺りトルク低減機構は、前記クラッチ板と前記クラッチ板を押圧するピストンとの間隔を広げる方向に付勢するバネ部材を備えたことを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  11. 請求項1乃至7の何れかに記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、前記コントローラは、2駆動モード時から4駆動モード時への切り替えは前記多板クラッチ機構を締結させた後に前記断接装置を締結し、4輪駆動モード時から2駆動モード時への切り替えは前記多板クラッチ機構を開放した後に前記断接装置を非結合とすることを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
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