以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
図1の模式図を参照して、本発明の実施の形態である硬貨処理装置101の構成を説明する。図1(A)は模式的(以下図面は全て模式的図面であり「模式的」の文言を省略)左側面断面図、図1(B)は正面断面図、図1(C)は後述の循環釣銭補充部11b部分の右側面断面図、図1(D)は後述の釣銭部8a、b部分の右側面断面図、図1(E)は後述の釣銭部8a、b、c、d部分の右側面断面図である。以下図番の後に付した(A)から(E)の意味するところは、図3から図8において同様である。なお、図1(A)、図1(C)から(E)において、構造を理解しやすくするために、適宜各部分の断面を取り、断面の全体は平面とはなっていない(図3から図8において同様)。
硬貨処理装置101は、投入口部1、出金口2、繰出部3、入金搬送部4、検銭部5、振分部6、一時保留部7、釣銭部8、上昇釣銭搬送部9、出金搬送部10、循環釣銭補充部11、上昇補充搬送部12、シャッタ機構14、補充カセット15、リジェクト部16、予備補充部17、金庫部通路18、制御部19を含んで構成される。出金搬送部10の循環釣銭補充部11側にはシャッタ機構14が備えられている。制御部19は、硬貨処理装置101内での各種信号の入出力を行い各部の制御をしている。制御部19は、不図示のインターフェイスを備えており、外部との信号の通信ができる。硬貨処理装置101の下部には、スライドレール20が備えられており、所定のストロークだけ硬貨処理装置101を容易に移動させることができる。さらにスライドレール20の下方には、金庫部21が設置されている(図2参照)。また、金庫部21は、硬貨処理装置101の下部に直接取り付けてもよい。ただし、この場合は、例えば金庫部21を引き出すようにして、収納された硬貨を容易に取り出せるようにすることが好ましい。なお本実施の形態で使用する硬貨は、日本円硬貨で、10円、50円、100円、500円の4金種とする。
投入口部1は、硬貨処理装置101の図1(B)中、左側面のおよそ中央部に設けられ、利用者が複数の硬貨を一括で投入することができ、出金口2は、投入口部1の近傍に設けられ、後述の第1リジェクト硬貨、返却硬貨、釣銭硬貨、異物等が放出できる。
投入口部1の硬貨の流れる方向下流には、ベルトホッパ構造の繰出部3が備えられており、一括で投入された複数の硬貨を1枚ずつに分離して入金搬送部4へ繰り出す。また繰出部3は、一括投入枚数6枚、繰出速度6枚/秒が可能であり、収納可能枚数は、10円が30枚程度とするとよい。分離できない異物は、投入口部1の下部に取り付けられたリジェクトフラッパ22を出金口2に対して閉から開にすることにより出金口2に排出する。
入金搬送部4は、硬貨を挟持して搬送するベルトを含んで構成されている。入金搬送部4は、繰出部3の上部から振分部6まで延設されており、繰出部3より繰り出された硬貨を、検銭部5を通過させ、さらに振分部6まで搬送する。検銭部5は、入金搬送部4の途中に設けられている。よって、その位置は、繰出部3と振分部6との間である。検銭部5は、硬貨が正硬貨か否か、硬貨の金種および枚数を判定し、その判定結果を制御部19へ出力するものである。
そして振分部6は、硬貨を検銭部5の判定結果により金種毎に振り分ける。また振分部6は、金種毎に不図示のフラッパ(振り分け爪)とそれぞれに対応する不図示の穴を有している。また、フラッパは不図示のソレノイドにより駆動される。フラッパにより振り分けられた硬貨は、それぞれに対応する穴を通り、振分部6の下方に備えられた一時保留部7に落下する。
そして振分部6は、硬貨を計数するための不図示の検知器を有しており、振り分けられた硬貨を金種毎に計数できる。さらに振分部6の繰出部3側には、検銭部5により異常硬貨と判定された硬貨や判定されなかった硬貨(以下第1リジェクト硬貨という)を振り分けるための不図示のフラッパが設けられている。このフラッパに対応する不図示の穴の下方には、入金リジェクト通路29が設けられており、出金搬送部10の上方近傍まで延設されている。この入金リジェクト通路29により、第1リジェクト硬貨を、出金搬送部10へ放出することができる。
一時保留部7は、硬貨を収納する収納部7eと、開閉可能なシャッタ7f、gとで構成されている。一時保留部7は、シャッタ7gを開くことにより収納された硬貨を放出できる。一時保留部7は、各金種毎に振分部6のフラッパの下方に設けられ、入金された硬貨を一時保留する。一時保留部7は、例えば1つの取引の終了後に、一時保留された硬貨を、各一時保留部7下部にそれぞれ設けられたシャッタ7gを開とすることで釣銭部8へ搬送するために放出する。
また利用者の返却操作時には、シャッタ7fを開くことにより、各一時保留部7から返却硬貨が排出される。排出された返却硬貨は各一時保留部7の下方で、出金搬送部10の上部近傍まで延設された返却通路23により出金搬送部10へ排出される。釣銭部8への硬貨の放出は、次の取引で投入された硬貨のうち、最初の硬貨が検銭部5で検知された時に行なうようにしてもよい。さらに、このときを1つ前の取引の終了時としてもよい。一時保留部7は、図1(B)中、左側から50円用一時保留部7a、500円用一時保留部7b、100円用一時保留部7c、10円用一時保留部7dのように構成されている(以下、これらを特に区別しない場合には単に一時保留部7という)。また各一時保留部の収納可能枚数は、10円用一時保留部7d、100円用一時保留部7c、50円用一時保留部7aがそれぞれ20枚程度、500円用一時保留部7bが10枚程度とするとよい。
そして釣銭部8は、各金種毎に、硬貨を収納する収納ケース24、収納されている硬貨の量を検出する不図示の検出器、収納した硬貨を1枚ずつ放出できるホッパ25を備えている。ホッパ25は、円板25aを有しており、円板25aを回転させることにより硬貨を1枚ずつ放出できる。釣銭部8は、8枚/秒(500円用釣銭部8aは、6枚/秒)で硬貨を放出することが可能である。
釣銭部8は、一時保留部7の下方に設けられている。さらに釣銭部8には、放出した硬貨を検知するための不図示の検知器を有しており、この検知器により釣銭部8より放出した硬貨を金種毎に計数できる。
釣銭部8は、図1(B)中、左側から50円用釣銭部8a、500円用釣銭部8b、100円用釣銭部8c、10円用釣銭部8dのように構成されている(以下、これらを特に区別しない場合には単に釣銭部8という)。また各釣銭部の収納可能枚数は、100円用釣銭部8c、10円用釣銭部8dがそれぞれ1000枚程度、50円用釣銭部8a、500円用釣銭部8bがそれぞれ500枚程度とするとよい。
上昇釣銭搬送部9は、各釣銭部8に設けられたホッパ25により1枚ずつ放出された硬貨をベルトにより挟持して鉛直方向上方に搬送し、挟持された硬貨は出金搬送部10に搬送される。上昇釣銭搬送部9により挟持され搬送される硬貨の搬送速さを、ホッパ25より放出される硬貨の放出速さ以上にするとよい。本実施の形態では、制御手段である制御部19によって釣銭部8(ホッパ25)から硬貨が放出される硬貨放出速さと、上昇釣銭搬送部9の硬貨搬送速さが同じになりかつ両者が一定となるように制御されている。このようにすると上昇釣銭搬送部9で硬貨の重なりを生じないので、上昇釣銭搬送部9における硬貨の目詰まりが生ぜず、硬貨が上昇釣銭搬送部9のベルトよりはみ出て搬送されるようなことがなく、また上昇釣銭搬送部9のベルトに取り残されることがないので、硬貨の搬送を1枚ずつ確実に行うことができる。
また、硬貨がホッパ25より放出される間隔を十分にとり、上昇釣銭搬送部9で硬貨の重なりを生じないようにすることが望ましい。例えば、放出間隔に上昇釣銭搬送部9の搬送速さをかけたものが最大硬貨の直径より大きくなるようにするとよい。硬貨は、上昇釣銭搬送部9によって、重なりなく1枚ずつ鉛直方向上方へ搬送される。さらに上昇釣銭搬送部9から放出された硬貨は、出金搬送部10に放出される。出金搬送部10は硬貨を水平に搬送するので、そのベルト上に積み重なった状態であっても目詰まり、挟持不足などによる搬送不良が生じにくく硬貨の搬送を確実に行うことができる。
上昇釣銭搬送部9は、釣銭部8の放出口近傍の部分が図1(B)中、P方向に可動に構成され、P方向に動くことにより金庫部21(図2参照)に連通する金庫部通路18に硬貨を振り分けることができる。当該部分がP方向に動かない場合(図に示す場合)は、硬貨は上昇釣銭搬送部9によって、出金搬送部10に振り分けられる。すなわち、釣銭部8は、利用者への釣銭としての硬貨を出金搬送部10へ放出したり、釣銭部8が満杯にならないように、収納した硬貨を金庫部21へ放出することもできる。
出金搬送部10は、釣銭部8の上方であって正面断面図(図1(B))の中央に配置され、出金口2からリジェクト部16まで延設されている。また出金搬送部10は、硬貨を水平方向に搬送するよう構成されている。出金搬送部10は、硬貨を上に載せて搬送するベルトと不図示の駆動手段とを含んで構成されている。
また出金搬送部10は、搬送方向を図1(B)中、左方向とすることで、利用者へ放出すべき釣銭、第1リジェクト硬貨、返却硬貨を出金口2まで搬送する。出金搬送部10は、また図1(B)中、搬送方向を右方向とすることで、釣銭放出時に、例えば未放出や過放出等、所定の放出がなされずに異常となった硬貨(以後第2リジェクト硬貨とする)をリジェクト部16に搬送できるように構成されている。シャッタ機構14は、図1(B)中、出金搬送部10の右側の端部に設けられており、閉の状態において、例えば利用者への釣銭等、出金口2へ搬送すべきものが、リジェクト部16へと送られてしまうことを防ぐことができるものである。リジェクト部16は、10円が20枚程度収納できるようにするとよい。
シャッタ機構14は、開の状態になることによって出金搬送部10によって図1(B)中、右方向に搬送された硬貨をリジェクト部16へ、あるいは同方向に搬送された硬貨を金種毎に循環釣銭補充部11へと振り分ける。
循環釣銭補充部11は、各金種毎に、硬貨を収納する収納ケース26、収納した硬貨を1枚ずつ放出するホッパ27を有している。循環釣銭補充部11は、釣銭部8dの図1(B)中、右側に併設されている。さらに循環釣銭補充部11には、放出した硬貨を検知するための不図示の検知器を有しており、この検知器により循環釣銭補充部11から放出した硬貨を金種毎に計数できる。また循環釣銭補充部11は、釣銭部8と同様に、収納されている硬貨の量を検出する不図示の検出器を備えるようにしてもよい。
さらに循環釣銭補充部11は、2金種の硬貨を収納できるように設定され、図1(B)中、左側が100円用循環釣銭補充部11a、右側が10円用循環釣銭補充部11bである(以下、これらを特に区別しない場合には単に循環釣銭補充部11という)。また各循環釣銭補充部11の収納可能枚数は、100円用循環釣銭補充部11a、10円用循環釣銭補充部11bがそれぞれ1000枚程度とするとよい。
上昇補充搬送部12は、循環釣銭補充部11に設けられたホッパ27により1枚ずつ放出された硬貨をベルトにより挟持して鉛直方向上方に搬送し、挟持された硬貨は、釣銭部8c、dに連通するそれぞれの釣銭補充通路28に搬送される。釣銭補充通路28に搬送された硬貨は、重力により釣銭補充通路28を通過し、釣銭部8c、dに落下する。上昇補充搬送部12により挟持され搬送される硬貨の搬送速さを、ホッパ27より放出される硬貨の放出速さ以上にするとよい。本実施の形態では、制御手段である制御部12によって循環釣銭補充部11(ホッパ27)から硬貨が放出される硬貨放出速さと、上昇補充搬送部12の硬貨搬送速さが同じになりかつ両者が一定となるように制御されている。このようにすると上昇補充搬送部12で硬貨の重なりを生じないので、上昇補充搬送部12における硬貨の目詰まり、硬貨がベルトよりはみ出て搬送されず取り残されるということがなく、硬貨の搬送を1枚ずつ確実に行うことができる。また、硬貨がホッパ27より放出される間隔を十分にとり、上昇補充搬送部12で硬貨の重なりを生じないようにすることが望ましい。例えば、放出間隔に上昇補充搬送部12の搬送速さをかけたものが最大硬貨の直径より大きくなるようにするとよい。
各循環釣銭補充部11は、釣銭部8に収納された硬貨(10円、100円)が不足もしくは無くなった際に、上昇補充搬送部12、釣銭補充通路28を介して釣銭部8c、dに硬貨を補充する。また、循環釣銭補充部11に収納された硬貨(10円、100円)が不足もしくは無くなった際には、上昇釣銭搬送部9、出金搬送部10を介して釣銭部8c、dより、もしくは補充カセット15より硬貨の補充を受けることができる。
補充カセット15は、循環釣銭補充部11の上部に設けられており、硬貨を金種毎に収納できる。さらに補充カセット15は、4金種の硬貨を収納でき、図1(C)から見て左側が10円用補充カセット15a、右側が100円用補充カセット15b、図1(D)から見て左側が50円用補充カセット15e、右側が500円用補充カセット15dから構成されている(以下、これらを特に区別しない場合には単に補充カセット15という)。また各補充カセット15の収納可能枚数は、10円用補充カセット15a、100円用補充カセット15bがそれぞれ1000枚程度、50円用補充カセット15e、500円用補充カセット15dがそれぞれ50枚程度とするとよい。さらに各金種による補充カセット15は、一体に形成されている。各補充カセット15は、循環釣銭補充部11に収納された硬貨が不足もしくは無くなった際に、下部に備えられた不図示のシャッタを手動で開くことにより、循環釣銭補充部11と予備補充部17を介し釣銭部8に硬貨の供給をすることができる。
予備補充部17は、補充カセット15の下方で、釣銭部8の上方に設けられており、予備補充される硬貨を計数して釣銭部8に補充できる。予備補充部17には硬貨を一枚ずつ分離するベルトホッパ32と、放出枚数を計数する図示しない検知器とから構成される。さらに予備補充部17は2金種を補充でき、図1(B)の右側が50円予備補充部17a、左側が500円予備補充部17bから構成されている(以下、これらを特に区別しない場合には単に予備補充部17という)。各予備補充部17は、補充された硬貨を計数して、予備補充通路31を介して釣銭部8に硬貨を供給することができる。
本実施の形態では、上昇釣銭搬送部9と、出金搬送部10と、シャッタ機構14とを含んで、釣銭部8c、dの硬貨を循環釣銭補充部11に搬送する循環釣銭搬送部が構成されている。
図2のブロック図を参照して、硬貨処理装置101の設置について説明する。硬貨処理装置101は、典型的には、図示のような券売機の一角に設置される。図2は、券売機を、利用者が購入操作をする接客面とは反対側の、係員の操作面を示している。このような券売機は、係員が券売機を操作するためのモニタを有した操作盤、プリペイドカード等カード類を処理する原券処理装置、切符等を発行する印刷処理装置、紙幣を処理する紙幣処理装置で構成されており、硬貨処理装置101は、紙幣処理装置と併設される。また、硬貨処理装置101、印刷処理装置、紙幣処理装置は、各装置の下部に備えたスライドレール(硬貨処理装置101ではスライドレール20(図1参照))により、容易に引き出すことができ、各装置の保守が容易に行なえるように券売機内に設置されている。
硬貨処理装置101のさらに下方には、金庫部21が備えられており、金庫部21は、容易に引き出し可能である。金庫部21は、内部が仕切られており、10円、50円、100円、500円を金種毎に収納できる。硬貨処理装置101内の硬貨は、金庫部21より、金種毎に1部もしくはすべてを回収することができる。本実施の形態では、硬貨処理装置101と金庫部21とは別体としたが、運用する条件に合わせて一体に構成してもよい。
図1を参照して硬貨処理装置1の作用例を説明する。業務開始時には、釣銭部8、循環釣銭補充部11、補充カセット15にそれぞれ準備金を収納する。なお釣銭部8、循環釣銭補充部11、補充カセット15のそれぞれ準備金の量は、運用状況等により適宜決めるようにすることが好ましが、例えば、釣銭部8の100円用釣銭部8c、10円用釣銭部8dは、各800枚ずつ、循環釣銭補充部11の100円用循環釣銭補充部11a、10円用循環釣銭補充部11bは、それぞれ空の状態、補充カセット15の10円用補充カセット15a、100円用補充カセット15bは、各1000枚ずつ準備金を収納してもよい。
図1を参照して硬貨処理装置101の入金動作を説明する。ここで、硬貨の経路を図中太線L1(太線L1が通る部品を符号で示すと、符号1→3→4→5→6→7となる)、太破線L2(符号6→29→10→2)で示す。まず利用者により投入口部1へ硬貨が投入される。硬貨処理装置101は、硬貨の投入を不図示の検知器により検知すると購入処理動作を開始する。次に利用者により投入口部1に投入された硬貨は、繰出部3に送られる。繰出部3は、送られてきた硬貨を1枚ずつ入金搬送部4に繰り出す。
そして繰出部3は、硬貨の搬送を所定時間行った後停止する。所定時間は、例えば、投入口部1に投入されうる最大の枚数の最小硬貨を繰り出すことができる時間とするとよい。硬貨処理装置101は、繰出部3の停止後、繰出部3内の残留物の検出を、図示しない検知器により行い、残留物がなければ繰出部3の入金動作を終了する。また硬貨処理装置101は、繰出部3の所定時間の停止後においても検知器による残留物が確認された場合には、繰出部3が入金とは逆方向へのベルト搬送がなされ、リジェクトフラッパ22を出金口2に対して閉から開にすることにより出金口2に異物が排出できる。
次に繰出部3から1枚ずつ搬送されてきた硬貨は、入金搬送部4により検銭部5に搬送される。検銭部5は、搬送されてきた硬貨を識別し、金種および枚数を判定して、判定結果を制御部19に出力する。そして検銭部5を通過した硬貨は、さらに入金搬送部4により振分部6へ搬送される。
振分部6は、検銭部5の判定結果から、正硬貨とされたものを金種毎に一時保留部7へ、第1リジェクト硬貨とされたものを入金リジェクト通路29へと不図示のフラッパによりそれぞれ振り分ける。同時に、入金された正硬貨は、振分部6に備えられた不図示の検知器により計数され、振分部6より入金データとして制御部19へ出力される。また第1リジェクト硬貨は、入金リジェクト通路29から出金搬送部10へ排出され、さらに出金搬送部10により出金口2へ排出される。
次に図3を参照して硬貨処理装置101の出金動作を説明する。ここで、硬貨の経路を図中太線L3(符号8→9→10)・L4(符号10→2)、太破線L5(符号10→14→16)で示す。利用者による入金を確認すると、硬貨処理装置101は、利用者による物品購入等の操作を受け付ける。利用者による物品購入等の操作がなされると、制御部19は、入金された硬貨の金額と、利用者の操作により入力されたサービスに必要な金額とを比較して、釣銭金額すなわち釣銭に必要な硬貨の金種と各々の金種の枚数を算出する。この際釣銭がある場合には、制御部19は、この算出結果に基づいて、必要な硬貨の金種と枚数の放出する信号を釣銭部8へ出力する。これにより釣銭部8は、制御部19からの信号により必要な硬貨を出金搬送部10に放出する。また釣銭が必要ない場合には、制御部19は、物品や伝票を送出し購入処理動作を終了する。
釣銭部8から1枚ずつ放出された硬貨は、上昇釣銭搬送部9に放出される。同時に制御部19は、上昇釣銭搬送部9の不図示の駆動手段を駆動し、ベルト間に挟持された硬貨を出金搬送部10へ放出する。上昇釣銭搬送部9から放出された硬貨は、出金搬送部10に落下する。同時に制御部19は、出金搬送部10を不図示の駆動手段により駆動し、釣銭硬貨を出金口2のある方向に搬送し、出金口2へ放出する。またこのとき硬貨は、出金搬送部10の搬送方向と逆方向に移動するものがある。このような硬貨は、出金搬送部10に備えられたシャッタ機構14により、逆方向への移動が阻止される。このようにして、釣銭部8より放出された全ての釣銭硬貨は、出金搬送部10により出金口2に搬送され、物品や伝票を送出し購入処理動作を終了する。
また、上述の釣銭部8の硬貨の放出時に、例えば過剰に硬貨を放出してしまうような異常が発生する場合がある。この場合、既に釣銭部8より放出され、出金搬送部10にある硬貨は、そのまま必要な硬貨のみを出金口2に搬送することができない。このため、これらの硬貨は、第2リジェクト硬貨として、出金搬送部10を、出金口2の方向と逆方向すなわちリジェクト部16の方向に駆動し、同時にシャッタ機構14を開の状態にするすることにより、リジェクト部16に搬送される。その後、再度釣銭部8より必要な硬貨の放出を行い、前述のように出金口2から釣銭としての硬貨を放出する。またこのとき、過剰放出等の異常が繰り返し発生した場合には、装置異常として処理を停止する。
次に、図4を参照して硬貨処理装置101の返却動作を説明する。ここで、硬貨の経路を図中太線L6(符号7→23→10→2)で示す。制御部19は、利用者が硬貨を投入した後、利用者による取引を取り消す際に返却操作がされた場合には、一時保留部7より返却通路23へ一時保留されている硬貨を放出する。同時に制御部19は、出金搬送部10の不図示の駆動手段を駆動する。返却通路23からの返却硬貨は、駆動手段により出金口2方向への搬送が行われている出金搬送部10上に放出され、出金口2へ返却される。
そして図5を参照して硬貨処理装置101の釣銭部8への収納動作を説明する。ここで、硬貨の経路を図中太線L7(符号7→30→8)で示す。制御部19は、次の取引で投入された硬貨のうち、最初の硬貨が検銭部5で検知されたときに、一時保留部7より、前の取引で一時保留部7に一時保留していた硬貨を、釣銭通路30に放出する。これにより、一時保留部7に一時保留された硬貨は、釣銭通路30より釣銭部8へ収納される。すなわち、一時保留部7は、空になっている状態で、次の取引で投入された硬貨を受け付ける。
図6を参照して硬貨処理装置101の釣銭部8への補充および循環動作を説明する。ここで、硬貨の経路を図中太線L8(符号11→12→28→8)、L9(符号8→9→10→14→11)、L10(符号15→33→8)で示す。ここでいう、釣銭部8は、100円用釣銭部8cまたは10円用釣銭部8d、また循環釣銭補充部11は、100円用循環釣銭補充部11aまたは10円用循環釣銭補充部11bのことをいう。硬貨処理装置101は、運用を行なっている際に、釣銭部8に収納された硬貨の量が所定の量より少なくなった場合、循環釣銭補充部11より釣銭部8に硬貨を補充する。
制御部19は、釣銭部8に備えられた硬貨の量を検出する不図示の検出器と、制御部19で逐次的に計数されている硬貨の枚数との両方、またはどちらか一方より、釣銭部8に収納されている硬貨の量が所定の量より少なくなったと判断すると、循環釣銭補充部11に必要な硬貨を放出させる。また制御部19は、同時に上昇補充搬送部12の不図示の駆動手段を駆動する。
循環釣銭補充部11より1枚ずつ放出された硬貨は、上昇補充搬送部12の駆動手段により駆動される搬送ベルトにより釣銭補充通路28まで搬送され、釣銭補充通路28を介して釣銭部8まで搬送され、釣銭部8に補充される。このとき補充された硬貨の枚数は、循環釣銭補充部11のホッパ27に備えられた不図示の検知器により計数される。このような制御は、金種毎すなわち10円、100円毎に独立して行なわれる。
また硬貨処理装置101は、釣銭部8に収納された硬貨が所定の量より多くなった場合には、釣銭部8より循環釣銭補充部11に硬貨を移動する。制御部19は、釣銭部8に備えられた硬貨の量を検出する不図示の検出器と、制御部19で逐次的に計数されている硬貨の枚数との両方、またはどちらか一方より、釣銭部8に収納されている硬貨の量が所定の量より多くなったと判断すると、所定の量より多い硬貨を釣銭部8より放出させる。また制御部19は、同時に上昇釣銭搬送部9、出金搬送部10を駆動する。
釣銭部8より放出された硬貨は、釣銭放出動作と同様に上昇釣銭搬送部9まで放出され、上昇釣銭搬送部9によって出金搬送部10まで搬送される。出金搬送部10まで搬送された硬貨は、循環釣銭硬貨として、出金搬送部10を釣銭の放出動作とは逆方向に駆動し、同時にシャッタ機構14を駆動することにより、出金搬送部10、シャッタ機構14を経て、循環釣銭補充部11に収納される。すなわち、循環釣銭搬送部として、上昇釣銭搬送部12と出金搬送部10とが兼用され、循環釣銭搬送部はシャッタ機構14をも含んだものである。このとき収納された硬貨の枚数は、釣銭部8のホッパ27に備えられた不図示の検知器より計数される。このような制御は、金種毎すなわち100円、10円毎に独立して行なわれる。また所定の量は、釣銭部8に収納されている硬貨の量が満杯よりやや少ない量例えば、収納ケース24の容量の8割程度とするとよいが、例えば釣銭部8が満杯となる状態としてもよいし、運用状態により適宜決めてよい。
また、釣銭部8に収納されている硬貨の量が所定の量より少なくなったと判断した場合であっても、循環釣銭補充部11に収納されている硬貨の量が必要な量に満たない場合には、係員により、補充カセット15から、補充カセット15と循環釣銭補充部11とを繋ぐ補充通路33を経て、循環釣銭補充部11に硬貨を供給することができる。さらにこのような場合には、補充カセット15から循環釣銭補充部11に供給された硬貨は、直ちに釣銭部8に補充される。
図7を参照して、係員により行われる補充カセット15による補充であって、循環釣銭補充部11に収納される金種以外の金種の硬貨についての補充について説明する。ここで、硬貨の経路を図中太線L11(符号17(32)→31→8)で示す。この場合には補充カセット15により補充される硬貨(50円、500円)は、予備補充部17のベルトホッパ32に一旦収納され、ベルトホッパ32の駆動により分離が行われ、予備補充通路31から釣銭部8に収納される。このとき収納された硬貨の枚数は、予備補充部17のベルトホッパ32の放出口の近傍に設けられた不図示の検知器により計数される。例えば50円の釣銭がない場合では、釣銭が60円の場合に10円の6枚放出に対し、このように補充カセット15から釣銭部8へ補充されることにより、50円の1枚と10円の1枚との放出で済むので、釣銭部8からの釣銭の放出枚数を少なくすることができ、利用者にとっても受け取る小銭の枚数が少なくなる。この予備補充は運用により前述した業務開始時の準備金の作業時に補充カセット15を用いて行っても、また、適宜な事象にて、補充カセット15を用いずに行われてもよい。
図8を参照して硬貨処理装置101の回収動作を説明する。ここで、硬貨の経路を図中太線L12(符号8→18→21)、L13(符号11→12→28→8→18→21)で示す。硬貨処理装置101は、釣銭部8に収納されている硬貨の量が所定の量より多くなったと判断した場合であっても、循環釣銭補充部11が満杯の場合や、業務終了時に係員による回収操作がなされた場合には、金庫部21(図2参照)への回収動作を行なう。
釣銭部8に収納されている硬貨の量が所定の量より多くなったと判断した場合であっても、循環釣銭補充部11が満杯の場合、制御部19は、所定の量より多い硬貨を釣銭部8より金庫部21へ放出させる。これにより循環釣銭補充部11から上昇補充搬送部12によって放出され、釣銭補充通路28を経て釣銭部8に回収され、さらに釣銭部8から放出された硬貨は、金庫部通路18を経て、金庫部21へと落ちることで金庫部21に回収される。
また、業務終了時に係員による回収操作がなされた場合には、まず釣銭部8に収納された硬貨を金庫部21へ放出させて回収した後、循環釣銭補充部11に収納された硬貨を、釣銭部8を介して金庫部21へと回収する。またこのような場合は、前述のように釣銭部8より循環釣銭補充部11に硬貨を移動する動作、または循環釣銭補充部11より釣銭部8に硬貨を補充する動作により、循環釣銭補充部11に収納されている硬貨の量を、前述の所定の量に調整した後、釣銭部8に収納された硬貨を金庫部21に回収する。そして、循環釣銭補充部11に収納されている硬貨を釣銭部8に補充する。これにより係員は、業務終了時の回収操作と同時に、業務開始時の準備金の収納を行なうことができる。
以上の本実施の形態の硬貨処理装置101によれば、上昇釣銭搬送部9は、各釣銭部8に設けられたホッパ25により1枚ずつ放出された硬貨をベルトにより挟持して鉛直方向上方に搬送し、挟持された硬貨は出金搬送部10によって水平に搬送される。そのため上昇釣銭搬送部9で硬貨の重なりが起きにくく、上昇釣銭搬送部9における硬貨の目詰まりが生ぜず、硬貨が上昇釣銭搬送部9のベルトよりはみ出て搬送されるようなことがないようにしっかりと挟持され、また上昇釣銭搬送部9のベルトに取り残されることがないので、硬貨の搬送を1枚ずつ確実に行うことができる。
また、上昇補充搬送部12は、各循環釣銭補充部11に設けられたホッパ27により1枚ずつ放出された硬貨を上昇補充搬送部12のベルトにより挟持して鉛直方向上方に搬送し、挟持された硬貨は出金搬送部10によって水平に搬送される。上昇補充搬送部12で硬貨の重なりを生じないので、上昇補充搬送部12における硬貨の目詰まりが生ぜず、硬貨が上昇補充搬送部12のベルトよりはみ出て搬送されるようなことがないようにしっかりと挟持され、また上昇補充搬送部12のベルトに取り残されることがないので、硬貨の搬送を1枚ずつ確実に行うことができる。
本発明の硬貨処理装置101は、釣銭部8および循環釣銭補充部11に収納された硬貨を循環させて利用することができるので、収納された硬貨を釣銭として効率よく利用することができ、準備金の量を少なくすることも可能になる。釣銭部から循環釣銭補充部11へ硬貨を収納し回収することができるので、金庫部に回収する硬貨の量を減らすことができ、係員の回収の負担を低減することができる。
硬貨処理の継続により、硬貨処理装置101への硬貨の投入枚数が硬貨の釣銭枚数よりも多いときには釣銭部8の硬貨が過剰になりあふれ出すことになるので、釣銭部8の硬貨が所定枚数以上になったときには、硬貨は釣銭部8から循環釣銭補充部11に回収することができる。一方、硬貨の投入枚数が硬貨の放出枚数よりも少ないときには、循環釣銭補充部11から釣銭部8に補充することができる。
また、循環釣銭補充部11によって釣銭部8に硬貨を補充し、あるいは循環釣銭補充部11によって釣銭部8から循環釣銭補充部11に硬貨を回収することにより、釣銭部8内の硬貨を所定の量にすることができる。このことにより、前述したように、業務の終了時の回収操作では、循環釣銭補充部11に準備金として必要な所定枚数を計数して収納しておいて、過剰分の硬貨を釣銭部8から金庫部21に回収する。その上で、業務開始の作業として、準備金として足りない分の硬貨のみ補充し、循環釣銭補充部11から釣銭部8に準備金を移動することで、作業を終了することができる。金庫部21への回収硬貨は、釣銭部8によって計数することが可能であり、係員の一連の作業としては、準備金として足りない分の補充作業を除けば同時に行うことができ、その負担を低減することができる。
また、本発明の硬貨処理装置101は、補充カセット15を備えるので、循環釣銭補充部11で硬貨不足が発生した際に、循環釣銭補充部11あるいは釣銭部8に硬貨を補充することができる。補充カセット15から釣銭部8への補充は、50円、100円硬貨については、釣銭部8に直接に補充することができ、100円、10円については、循環釣銭補充部11を介して釣銭部8に補充することができる。