以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1〜図6を用いて本発明に係るスロットマシン1の構成について説明する。ここで、図1はスロットマシン1の正面図であり、図2はスロットマシン1の制御の概略を示すブロック図であり、図3はリール外周面の図柄配列の一例を示す平面図であり、図4は役と図柄の組み合わせを示す説明図であり、図5はこのスロットマシン1における制御システムを示すブロック図であり、図6は、このスロットマシン1で実行される遊技を制御するための処理の流れを示すフローチャートである。
このスロットマシン1は、リールに表示されている図柄を所定のライン上に揃えることにより、所定の枚数の遊技メダルを獲得する遊技を提供するものであり、図柄を表示する図柄表示手段20と、遊技者の操作を受け付ける操作手段30と、遊技の制御を行うメイン制御基板100と、遊技に対する演出を行う演出手段40と、この演出手段40を制御するサブ制御基板200とから構成されている。
メイン制御基板100は、スロットマシン1における遊技の進行や演出等を含む全体を統括制御する手段であり、役の抽選を行う役抽選手段110、図柄表示手段20の駆動(回転及び停止)制御を行うリール制御手段120、リールが停止したときの図柄の判定を行う停止図柄判定手段130、入賞時の遊技メダルの払い出し等を制御する払出し制御手段140、役抽選手段110で特別役に当選したときに、入賞するまで当選した状態を保持する特別役持ち越し手段150、及び、遊技の進行や状態を制御する遊技状態制御手段160を有して構成されている。このメイン制御基板100は、図5に示すように、演算等を行うメインCPU101と、役の抽選を行うための乱数発生器102と、CPUが各種制御を行うときに、取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM103と、遊技の進行等に必要なプログラムを記憶しておくROM104と、サブ制御基板200と通信を行うI/F回路105とを有しており、これらはバス106で接続されてデータの送受信が可能に構成されている。このメイン制御基板100においては、メインCPU101は、ROM104に記録された遊技用制御プログラムをRAM103に展開して実行し、遊技の制御を行うように構成されている。
メイン制御基板100の出力側(図2中、右側)には、図柄表示手段20が電気的に接続されている。この図柄表示手段20は、円筒外周面に沿って多種の図柄が描かれた回転可能な3個のリール(左リール21a、中リール21b、右リール21c)、リール駆動手段(左リール駆動手段22a、中リール駆動手段22b、右リール駆動手段22c)、及び、リール位置検出手段(左リール位置検出手段23a、中リール位置検出手段23b、右リール位置検出手段23c)を有して構成されている。3個のリール21a〜21cは、左右方向に並列に設けられており、スロットマシン1の前扉3に形成されたリール表示窓11から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、スロットマシン1のリール表示窓11からは、合計9個の図柄が見えるように配置されている。このリール21a〜21cの各々には、例えば、図3に示すように0番から20番までの21個の図柄が表示されており、番号が増加する順で変動表示される。なお、リール駆動手段22a〜22cは、ステッピングモータ等で構成され、リール21a〜21cの各々の回転中心部に連結され、その作動はメイン制御基板100のリール制御手段120により制御される。さらに、リール位置検出手段23a〜23cは、各々のリール21a〜21cの位置を検出し、有効ライン上に表示されている図柄を検出するものであり、このリール位置検出手段23a〜23cによる検出値はメイン制御基板100により読み出され停止図柄判定手段130に送信される。
ここで、図示しないが、スロットマシン1のリール表示窓11を含む部分には、図柄組合せラインが設けられている。この「図柄組合せライン」とは、リール21a〜21cの停止時における図柄の並びラインであって、図柄の組み合わせを形成させるラインである。本実施形態では、上述のようにリール表示窓11に表示される3×3の図柄に対して、水平方向の中段、上段及び下段にそれぞれ設けられたラインと、右下がり及び左下がりの斜め方向の各ラインの合計5本から構成されている。そして、各リール21a〜21cの上下に連続する3図柄は、それぞれ1以上の図柄組合せライン上に位置している。
さらに、5本の図柄組合せラインのうち、遊技者によって投入された遊技メダルの枚数に応じて、図柄組合せラインの中から、有効ラインと無効ラインとが設定される。「有効ライン」とは、本実施形態では、いずれかの役に対応する図柄の組み合わせがそのライン上に停止したときに、その役の入賞となるラインである。一方、「無効ライン」とは、遊技メダルの投入枚数が所定の枚数(例えば3枚)より少ない場合に生じ、図柄組合せラインのうち、有効ラインとして設定されないラインであって、いずれかの役に対応する図柄の組み合わせがそのライン上に停止した場合であっても、その役に応じた利益の付与(遊技メダルの払い出し等)を行わないラインである。すなわち、無効ラインは、そもそも図柄の組み合わせの成立対象となっていないラインである。
メイン制御基板100の入力側(図2中、左側)には、操作手段30が電気的に接続されており、ベットボタン31(ベットボタン31a及びMAXベットボタン31b)、スタートレバー32、及び、ストップボタン33(左ストップボタン33a、中ストップボタン33b、右ストップボタン33c)を有している。ベットボタン31は、遊技者が貯留メダルを投入するときに操作するスイッチであって、その操作によって図柄組合せラインが有効化される。なお、図1に示すメダル投入口51は、ベットボタン31と同様に、有効ラインを有効化するために遊技メダルを投入する部分であり、このメダル投入口51からの遊技メダルの投入は、ベットボタン31の操作に含まれるものである。なお、1回の遊技にベット可能な枚数を超えて遊技メダルが投入された場合には、所定の枚数の範囲内でこのスロットマシン1の内部に貯留されるように構成されている。
本実施形態におけるスロットマシン1においては、1回の遊技で投入可能な遊技メダルの枚数は、1枚〜3枚である。そして、投入枚数が1枚のとき、若しくは、ベットボタン31aが1回操作されたときは、水平方向中段の図柄組合せライン(1本)が有効ラインに設定されるとともに、残りの4本の図柄組合せラインが無効ラインに設定される。また、投入枚数が2枚のとき、若しくは、ベットボタン31aが2回操作されたときは、水平方向中段、上段及び下段の図柄組合せライン(3本)が有効ラインに設定されるとともに、残りの2本の図柄組合せラインが無効ラインに設定される。さらに、投入枚数が3枚のとき、若しくは、ベットボタン31aが3回操作されるか、MAXベットボタン31bが操作されたときは、すべての図柄組合せライン(合計5本)が有効ラインに設定され、無効ラインは存在しない。なお、遊技に投入可能な遊技メダルの枚数は以上の説明に限定されず、例えば、通常遊技においては2枚又は3枚の遊技メダルを投入してベットすることを可能とし、後述する特別遊技(BB遊技)においては1枚の遊技メダルを投入してベットすることが可能なように構成することができる。また、遊技メダルが2枚投入されたときと、3枚投入されたときとで、有効ラインの本数が変化しない(例えば、いずれのベット数でも有効ラインを5本設定する)ように構成することもできる。
また、スタートレバー32は、図柄表示手段20として設けられたリール21a〜21cを始動させるときに操作するレバーであって、始動手段としての機能を有している。また、ストップボタン33(33a〜33c)は、回転しているリール21a〜21cの各々を停止させるときに遊技者が操作するボタンであって、停止手段としての機能を有している。
メイン制御基板100のメインCPU101では、遊技を制御するための遊技用制御手段(遊技用制御プログラム)が実行されており、図6に示すように、この遊技用制御手段は、遊技者によりベット操作がされるのを監視し(ステップS500)、遊技者が、メダル投入口51から遊技メダルを投入してベットするか、若しくは、ベットボタン31(ベットボタン31a又はMAXベットボタン31b)を操作して内部に貯留されている遊技メダルをベットすると、次に、スタートレバー32が操作されるのを監視する(ステップS510)。そして、スタートレバー32が操作されて操作信号がメイン制御基板100に入力されと、遊技用制御手段は、有効ラインを確定するとともに、役抽選手段110により役の抽選を行う(ステップS520)。ここで、役としては、図4に示すように、複数種類の特別役、複数種類の小役、及び、リプレイ(再遊技役)が設けられている。なお、後述するように、本実施の形態に係るスロットマシン1において、特別役と小役の一部は1回の遊技で重複当選可能に構成されており、1回の遊技で2以上の役に当選した状態を「同時当選」と呼ぶ。
特別役とは、その役に入賞すると、通常遊技から特別遊技(通常遊技以上に遊技メダルの獲得が期待できる、遊技者にとって有利となる遊技)に移行されるという役であり、例えば、BB(ビックボーナス)や、MB(ミドルボーナス)が設けられている。BBは、特別遊技の1つであるBB遊技に移行させる役であり、MBは特別遊技の他の1つであるMB遊技に移行させる役である。また、小役とは、予め定められた枚数の遊技メダルが払い出される役であり、小役の種類に応じて、その役に対応する図柄の組み合わせ及び払い出される遊技メダルの枚数が異なるように設定されている。さらに、リプレイとは、再遊技役であって、当該遊技で投入したメダル枚数を維持して再遊技が行える(すなわち、このリプレイに入賞すると、上述のステップS500においては、常に遊技メダルがベットされたものとして処理される)ようにした役である。
役抽選手段110により役の抽選が行われると、遊技用制御手段は、次にリール制御手段120によりリール駆動手段22a〜22cを駆動制御して、すべてのリール21a〜21cを回転させるように制御する(ステップS530)。このようにして、リール21a〜21cがリール駆動手段22a〜22cによって回転されることで、リール21a〜21c上の図柄は、所定の速度でリール表示窓11内で上下方向に変動表示される。
遊技者が、各ストップボタン33a〜33cを操作すると、そのときに発生する操作信号がメイン制御基板100に入力される。リール21a〜21cが変動表示されている状態で、メイン制御基板100の遊技用制御手段は、遊技者の停止操作によりこの操作信号が入力されるのを監視し(ステップS540)、この操作信号を受信すると、リール制御手段120により、ストップボタン33a〜33cに対応するリール駆動手段22a〜22cを駆動制御して、そのリール駆動手段22a〜22cに係るリール21a〜21cの停止制御を行う(ステップS550)。そして、遊技用制御手段は、以上の操作によりすべてのリール21a〜21cの回転が停止したことを検出すると(ステップS560)、停止図柄判定手段130により、有効ライン上に上述の役抽選手段110で当選した役に対応する図柄が停止したか、すなわち役に入賞したか否かを判定し、いずれかの役に入賞した場合は、払出し制御手段140により遊技メダルを払い出すか、若しくは、遊技状態制御手段160により遊技状態を制御する(ステップS570)。
ここで、このスロットマシン1における遊技状態について図7を用いて説明する。この図7は、遊技状態の遷移を示す図であって、このスロットマシン1がリセットされたとき(「RAMクリア」とも呼ばれる)、遊技状態制御手段160は、通常遊技制御手段161を実行し、このスロットマシン1は、通常遊技(非内部中)J1になる。ここで、「非内部中」とは、RAMクリア時のように特別役に当選していない状態のことを指す。そして、役抽選手段110により特別役に当選すると、通常遊技(内部中)J2に移行する。ここで、「内部中」とは、特別役に当選はしているが、有効ライン上にこの特別役に対応する図柄を揃えていない(入賞していない)状態のことであり、遊技状態制御手段160においては、引き続き通常遊技制御手段161が実行されている。なお、通常遊技(内部中)J2に移行すると、特別役持ち越し手段150により、当選した特別役に入賞するまで当選役が持ち越される(すなわち、通常遊技(内部中)J2の状態が継続される)。
通常遊技(内部中)J2において、有効ライン上に当選した特別役に対応する図柄を揃えると、遊技状態制御手段160は特別遊技制御手段162を実行し、このスロットマシン1は、特別遊技J3になる。特別遊技J3に移行すると、所定の終了条件を満たすまで通常遊技以上の遊技メダルの獲得を期待できる遊技者にとって有利な遊技が実行される。ここで、所定の終了条件とは、例えば、遊技者に対して所定の枚数以上の遊技メダルが払い出された場合である。
そして、特別遊技J3において、所定の終了条件を満たすか、若しくは、通常遊技(非内部中)J1にあるときに、所定の条件を満たす(例えば、所定の小役に入賞する)と、遊技状態制御手段160は、再遊技確率変動遊技制御手段163を実行し、このスロットマシン1は、再遊技確率変動遊技(非内部中)J4に移行する。再遊技確率変動遊技とは、再遊技役(リプレイ)の当選確率が通常遊技とは異なるように構成された遊技である(この遊技状態は「リプレイタイム(RT)」とも呼ばれ、この場合、再遊技役の当選確率が通常遊技よりも高く設定される)。この再遊技確率変動遊技(非内部中)J4においても、特別役に当選すると再遊技確率変動遊技(内部中)J5に移行し、この状態で特別役に入賞すると特別遊技J3に移行する。この場合も、再遊技確率変動遊技(内部中)J5に移行すると、特別役持ち越し手段150により、当選した特別役に入賞するまでその当選役が持ち越される。一方、再遊技確率変動遊技(非内部中)J4において所定の役(例えば、所定の小役)に当選し、この役に対応する図柄を有効ライン上に揃えると、遊技状態制御手段160は通常遊技制御手段161を実行し、このスロットマシン1は、通常遊技(非内部中)J1に移行する。
なお、いずれの遊技状態においても、小役に当選して入賞すると払出し制御手段140により所定の枚数の遊技メダルが払い出され、リプレイ(再遊技役)に当選して入賞すると再遊技が実行されるように構成されている。また、以上の遊技状態の説明は一例であり、本発明がこの遊技状態の遷移に限定されることはない。
ところで、このようなスロットマシン1においては、遊技の結果に外部からの影響を加えることができないように、遊技を制御するメイン制御基板100とその遊技に対する演出を制御するサブ制御基板200とは分離して構成されている。そのため、メイン制御基板100は、サブ制御基板200で実行される演出を制御するために、上述の当選結果や遊技状態等の遊技に関する情報(制御状態)を含む制御コマンドをサブ制御基板200に送信するように構成されており、サブ制御基板200は、この制御コマンドを受信してその演出の態様を決定し、演出手段40を構成する画像表示装置41、各種演出用ランプ42、及び、放音部(スピーカー)43により映像、光及び音響効果を用いて演出を行うように構成されている。ここで、サブ制御基板200は、演出を制御する演出制御基板300と、この演出制御基板300により決定された演出の態様に応じて、上述の画像表示装置41、各種演出用ランプ42及び放音部43を制御する画像音響生成基板400とを有して構成されている。
図8は、1回の遊技において、メイン制御基板100から演出制御基板300に送信される制御コマンドの流れの一例を示す説明図である。メイン制御基板100において、遊技の実行が可能になると、遊技状態コマンドC500が送信される。そして、遊技者により遊技メダルが投入されるか若しくはベットボタン38(ベットボタン38a又はMAXベットボタン38b)が操作されると、ベットコマンドC501が送信され、リール21の回転開始を受け付け可能な状態になると、回胴回転開始受付コマンドC502が送信される。さらに、遊技者によりスタートレバー32が操作されると、役の抽選結果や遊技状態を含み演出態様の決定を指示するための条件装置状態番号コマンドC503が送信され、リール21が回転を開始すると、回胴回転開始コマンドC504が送信される。そして、3つのストップボタン33a,33b,33cが遊技者により押されて、対応するリール21(21a,21b,21c)の回転が停止される毎に、第1停止受付コマンドC505及び回胴回転停止コマンドC506、第2停止受付コマンドC507及び回胴回転停止コマンドC508、並びに、第3停止受付コマンドC509及び回胴回転停止コマンドC510が送信され、最後に、全てのリール21が停止したことを示す全回胴回転停止コマンドC511が送信される。
サブ制御基板200において演出制御基板300と画像音響生成基板400は、図5に示すように、バス210に接続されている。演出制御基板300には、サブCPU310、乱数発生器320、RAM330、ROM340及びI/F回路350が設けられており、これらはバス210に接続されている。一方、画像音響生成基板400には、上述のバス210に接続された画像制御IC410及び音源IC440が設けられている。さらに、画像制御IC410には、ビデオRAM420及び画像ROM430と、画像表示装置41が接続されている。また、音源IC440には音源ROM450及びアンプ460が接続され、アンプ460には上部及び下部スピーカー43(43a,43b)が接続されている。また、バス210には、上述の各種演出用ランプ42(42a,42b)も接続されてその点灯・消灯動作が演出制御基板300により制御される。
サブCPU310は、ROM340に記録された演出用制御プログラムをRAM330に展開して実行し、画像音響生成基板400に設けられた画像制御IC410及び音源IC440を制御して、画像表示装置41やスピーカー43(43a,43b)を用いて映像や音響効果による遊技の演出を行うように構成されている。なお、液晶表示装置41に表示される映像は、画像制御IC410が、画像ROM430に記憶された画像情報をビデオRAM420に展開して実行することにより表示され、また、スピーカー43(43a,43b)に出力される音響効果(音楽、音声、効果音等)は、音源IC440が音源ROM450から取り出した音響情報から再生され、アンプ460を介してスピーカー43(43a,43b)から出力される。
なお、このサブCPU310で実行される演出は、上述のように、メイン制御基板100から送信される制御コマンドを、サブCPU310がI/F回路350を介して受信し、この制御コマンドに応じて決定・制御されるが、この演出の態様(パターン)の一部は、演出制御基板300に設けられた乱数発生器320で発生された乱数値を用いて決定されるように構成されており、残りの一部はサブCPU310のプログラムとして実行される、第2乱数発生手段から発生される乱数値が用いられる。
それでは、演出制御基板300において、第2乱数発生手段により発生された乱数値を用いて演出の態様を決定する構成について図9〜図11を用いて説明する。ここで図9は、演出制御基板300における処理の構成を示す説明図であり、図10は、演出抽選テーブルのデータ構造を示す説明図であり、図11は、演算方法テーブルのデータ構造を示す説明図である。図9に示すように、演出制御基板300のサブCPU310にはROM340から読み出された演出制御手段311が実行されている。この演出制御手段311は演出抽選手段312を有し、RAM330の演出抽選テーブル記憶手段311に記憶されている演出抽選テーブルを用いて演出の態様の抽選を行うように構成されている。また、この演出制御基板300において、第2乱数発生手段360は、サブCPU310で実行される乱数値取得手段365、更新手段363、及び、演算方法設定手段364と、RAM330上の記憶領域であるカウンタ手段361、演算方法記憶手段362、及び、演算方法テーブル記憶手段363とから構成される。
図10に示すように、RAM330の演出抽選テーブル記憶手段331に記憶される演出抽選テーブル331aは、演出パターン(演出の態様)と乱数値とが対応付けられている。ここで、図10に示す演出抽選テーブル331aは、第2乱数発生手段360が8ビット(0〜255)の乱数値を発生するように構成されているとして、乱数値の欄に、各演出パターンに対応する乱数値の範囲の最小値が示されている。例えば、演出パターンTには乱数値として248〜251が割り当てられ、演出パターンUには252〜255が割り当てられている。
第2乱数発生手段360のカウンタ手段361は、基準となる乱数値を発生させるものであり、更新手段363が所定のタイミングで繰り返し実行され、このカウンタ手段361の値に1ずつ加算する処理が実行される。なお、カウンタ手段361に記憶可能なビット数(データ長)は予め決められており、更新手段363により1ずつ加算された結果、このデータ長を超えると上位のビットから溢れた数値は無視されるように構成されている(すなわち、このカウンタ手段361はデータ長により取り得る値の最大値が決定され、上述のようにデータ長が8ビットであれば0〜255の値を取り得る)。
また、乱数値取得手段365は、演出抽選手段312からの要求に応じて、カウンタ手段361の値(基準となる乱数値)を取得し、RAM330の演算方法記憶手段362に設定されている演算方法(演算式及び特定値)により基準となる乱数値を加工し、加工された乱数値を演出抽選手段312に渡すように構成されている。また、演算方法設定手段364は、演出制御手段311からの要求に応じて、RAM330の演算方法テーブル記憶手段363から演算方法(演算式及び特定値)を取得して演算方法記憶手段362に設定するように構成されている。ここで、図11に示すように、演算方法テーブル記憶手段363に記憶される演算方法テーブル363aは、制御状態(当選役と遊技状態の組み合わせ)毎に、演算式及び特定値が対応付けられて構成されている(演算式と特手値とによる演算方法については後述する)。
それでは、このような構成の演出制御基板300の処理について、図12を用いて説明する。ここで、図12は、演算方法記憶手段362に演算方法を設定し、演出の態様の抽選を行うための処理フローである。
(演算方法の設定)
演出制御手段311は、図12に示すように、メイン制御基板100から送信される制御コマンドのうち、遊技状態コマンドC500及び条件装置状態番号コマンドC503の受信を検出すると(ステップS600)、この遊技状態コマンドC500から遊技状態を取得し(ステップS610)、さらに、条件装置状態番号コマンドC503から役の抽選結果を取得する(ステップS620)。ここで、遊技状態コマンドC500及び条件装置状態番号コマンドC503には、役抽選手段110による役の抽選結果と、通常遊技状態、特別遊技状態及び再遊技確率変動遊技状態等の遊技状態が含まれる。次に、演出制御手段311は、ステップS620で取得した遊技状態より、通常遊技であるか否かを判断し(ステップS630)、通常遊技である場合にはステップS670に進む。一方、通常遊技で無い場合(すなわち、特別遊技若しくは再遊技確率変動遊技である場合)には、前回の遊技から遊技状態が変化した否かを判断し(ステップS640)、変化した場合には状態継続フラグ(演出制御手段311により管理されるフラグ)に”0”を設定し(ステップS650)、変化しなかった場合には状態継続フラグに”1”を設定する(ステップS660)。
そして、ステップS610で取得した役の抽選結果、ステップS620で取得した遊技状態、及び、ステップS650,S660で設定した状態継続フラグより、メイン制御基板100における遊技の制御状態を決定し、演算方法設定手段364にこの制御状態を送信すると、演算方法設定手段364は、制御状態に対応した演算式及び特定値を演算方法テーブル記憶手段363に記憶された演算方法テーブル363aから取得し演算方法記憶手段362に設定する(ステップS670)。
ここで、遊技の制御状態と演算方法(演算式及び特定値)との関係について説明する。図10に示すようにこのスロットマシン1においては、1つの演出抽選テーブル331aに対して複数の制御状態331bが割り当てられている。すなわち、この例においては、抽選結果が「ハズレ」「小役1」及び「小役2」における、通常遊技状態、再遊技確率変動遊技状態(以下、「RT」と呼ぶ)、及び、これらの状態における特別役(BB1及びBB2)に当選して内部中にあるときにこの演出抽選テーブル331aが使用される。
以上の処理において状態継続フラグを用いている理由は、第1に、このスロットマシン1においては、小役1は特別役(BB1,BB2)と同時当選しないが、小役2は同時当選可能に構成されているため、上述のように状態継続フラグによりBB1またはBB2内部中における1遊技目(これらの特別役に当選したときの遊技)か2遊技目以降かを判断している。また、第2に、このようなスロットマシン1においては、例えば特別役に当選した遊技(1遊技目)と、それ以降の遊技において、演出の態様の当選確率を変化させるように構成されているからである。具体的には、特別役に当選した1遊技目と2遊技目以降において、特別役に当選していることを遊技者に示唆する演出の態様と示唆しない演出の態様の選択確率を変化させる等が行われるため、状態継続フラグによりBB1またはBB2内部中における1遊技目(これらの特別役に当選したときの遊技)か2遊技目以降かを判断している。そのため、1遊技目か2遊技目以降かを判断するフラグではなく、状態が継続する回数をカウントするカウンタにして、継続する遊技数に応じて演算方法を変化させるように構成することも可能である。
このように1つの演出抽選テーブル331aを用いて複数の制御状態における抽選を行う場合に、各制御状態において選択される演出パターンを異なる当選確率にするために、上述のように乱数値取得手段365は、演算方法記憶手段362に設定されている演算式及び特定値でカウンタ手段361に記憶されている基礎となる乱数値を加工する。例えば、「ハズレの時のBB1内部中/2遊技目以降(図10の(1))」は演出パターンA〜Nに割り当てられており、乱数値は0〜191が対応する。そのため、演算式を「余り」にし、特定値を「192」として、カウンタ手段361から取得された基礎となる乱数値を特定値で除してその余りを加工された乱数値とすることにより、0〜191の乱数値を発生させることができる(図11の(1))。また、「小役1の時のRT中(図10の(2))」は演出パターンA〜Fに割り当てられており、乱数値は0〜63が対応する。そのため、演算式を「論理積」にし、特定値を「0011 11112」(下付の2は2進法による表記であることを示す)として、カウンタ手段361から取得された基礎となる乱数値とこの特定値との論理積(AND)を取ることにより、加工された乱数値を0〜63の範囲とすることができる(図11の(2))。同様に、「小役2の時の通常遊技」は演出パターンO〜Uに割り当てられており、乱数値は192〜255が対応する。そのため、演算式を「論理和」にし、特定値を「1100 00002」として、カウンタ手段361から取得された基礎となる乱数値と特定値との論理和(OR)を取ることにより、加工された乱数値を192〜255の範囲とすることができる(図11の(3))。なお、基礎となる乱数値の範囲をすべて割り当てる場合には(図10の(4))、演算式を「なし」にすることにより、乱数値取得手段365において演算を行わないことにより対応することができる(図11の(4))。
(演出の態様の抽選)
次に、演出制御手段311は、演出抽選手段312により、第2乱数発生手段360の乱数値取得手段365から乱数値を取得する(ステップS680)。この乱数値取得手段365を介して取得される乱数値は、上述のように、カウンタ手段361に記憶されている基礎となる乱数値を演算方法記憶手段362に記憶されている演算式及び特定値により演算した結果である加工された乱数値である。そして、演出抽選テーブル331aを参照して第2乱数発生手段360から取得した乱数値(加工された乱数値)に対応する演出の態様(演出のパターン)を決定し(ステップS690)、決定した演出の態様(演出パターン)を画像音響生成基板400に送信してその演出を実行する(ステップS700)。
このように、メイン制御基板100における遊技の制御状態(当選役、遊技状態及び状態継続フラグの組み合わせ)毎に演算方法(演算式及び特定値)を設定するように構成し、当該演算方法により基礎となる乱数値を加工し、加工された乱数値の範囲に所定の演出態様を割り当てることにより、一つの演出抽選テーブル331aを用いて制御状態毎に異なる確率で演出の態様を選択することができる。そのため、遊技状態や役に応じて異なる確率で演出の態様を決定するように構成しても遊技状態毎に異なる演出抽選テーブル331aを設ける必要がなく、この演出抽選テーブル331aのデータ量を小さくすることができるため、演出制御基板300に搭載されるRAM330の容量が大きくなることを防止することができる。また、このような演出の態様の選択確率を、遊技状態等に応じて意図的に変化させることができる。
なお、演出抽選テーブル記憶手段331に記憶される演出抽選テーブルは1つに限定されることはなく複数記憶し、それぞれのテーブルに複数の制御状態を割り当てることができる。また、以上の説明においては、メイン制御基板100における遊技の制御状態に応じて第2乱数発生手段360の演算方法を変化させるように構成した場合について説明したが、例えば、演出制御基板300における演出の制御状態に応じて第2乱数発生手段360の演算方法を変化させるように構成することも可能である。具体的には、小役等の入賞条件に特殊な操作概念を導入したスロットマシンにおいて、それらを入賞させるための操作手順等を演出の態様として遊技者に対して所定回数報知する期間(この期間は「アシストタイム(AT)」と呼ばれる)にあるか、通常の演出状態にあるかを判断して、第2乱数発生手段360の演算方法を変化させるように構成することも可能である。
また、ここでは第2乱数発生手段360により発生される乱数値を用いて演出の態様の抽選を行う場合の処理について説明したが、この乱数値に加えて、乱数発生器320で発生されるハード乱数と組み合わせて演出の態様の抽選を行うように構成することも可能である。さらに、以上の説明は、本発明を遊技機の一種であるスロットマシン1に適用した場合について説明したが、パチンコ機等、その他の遊技機にも適用することができる。