JP5229519B2 - π共役ポリマー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また繰り返し単位としてアリールアミンユニットを含む高分子材料も検討されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、非特許文献2)。
また炭素−炭素三重結合を有するポリマーも精力的に検討されている(特許文献6、特許文献7、非特許文献3、非特許文献4)
すなわち、上記課題は本発明の下記(1)〜(5)によって解決される。
(1)「下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有することを特徴とするπ共役ポリマー。
(式中、YおよびArは置換または無置換の、芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わし、Y1は置換または無置換の、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わす。Rは水素原子、置換または無置換のアルキル基あるいは芳香族炭化水素基を表わす。)」;
(2)「前記π共役ポリマーが、下記一般式(II)で表わされる繰り返し単位を有することを特徴とする前記(1)に記載のπ共役ポリマー。
(式中、YおよびArは置換または無置換の、芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わし、Y1は置換または無置換の、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わす。)」;
(3)「前記π共役ポリマーが、下記一般式(III)で表わされる繰り返し単位を有することを特徴とする前記(2)に記載のπ共役ポリマー。
(式中、Yは置換または無置換の、芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わし、Y1は置換または無置換の、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わす。R1は水素原子、置換または無置換のアルキル基あるいはアルコキシ基を表わす)」;
(4)「前記π共役ポリマーが、下記一般式(IV)で表わされる繰り返し単位を有することを特徴とする前記(1)に記載のπ共役ポリマー。
(式中、Yは置換または無置換の、芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わし、Y1は置換または無置換の、不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わす。R2およびR3は水素原子あるいは置換または無置換のアルキル基を表わし、同一でも異なっていてもよい。)」;
(5)「前記(1)に記載のπ共役ポリマーの製造方法であって、下記一般式(V)で表わされるジアルデヒド化合物と下記一般式(VI)で表わされるジホスホン酸エステル化合物とを重合反応させることを特徴とするπ共役ポリマー製造方法。
前記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有するπ共役ポリマーは、例えばアルデヒドとホスホネートを用いたWittig−Horner反応、アルデヒドとホスホニウム塩を用いたWittig反応、ビニル置換体とハロゲン化物を用いたHeck反応等により製造されるが、特にWittig−Horner反応およびWittig反応は反応操作の簡便さから有効である。また立体選択性の観点からトランス型が優先するWittig−Horner反応がさらに好ましい。
その合成反応を示す。
上記重合反応に使用する塩基は、ホスホネートカルボアニオンが形成されるものであれば特に限定されず、金属アルコシド、金属ヒドリド、有機リチウム化合物等が挙げられ、例えばカリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムナフチリド、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等を挙げることができる。
反応に用いる塩基の量は、通常ホスホン酸エステル化合物の重合活性点に対して同量使用するだけでよいが、さらに過剰量用いても支障ない。
上記重合反応における反応温度は特に制御する必要なく室温において良好に重合反応が進行するが、反応効率をより上げるために加熱したり、または冷却してより温和な条件にすることも可能である。
本発明の重合体の好ましい分子量はポリスチレン換算数平均分子量で1000〜1000000であり、より好ましくは2000〜500000である。分子量が小さすぎる場合にはクラックの発生等成膜性が悪化し実用性に乏しくなる。また分子量が大きすぎる場合には、一般の有機溶媒への溶解性が悪くなり、溶液の粘度が高くなって塗工が困難になり、やはり実用上問題になる。
前記一般式(I)中、Y1が置換または無置換の不飽和脂肪族炭化水素の2価基としては、−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−等が挙げられる。
また、前記一般式(I)中、Y、Y1およびArが置換または無置換の芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環の2価基を表わす場合、以下のものを挙げることができる。
また置換もしくは無置換のアルコキシ基である場合は、上記アルキル基の結合位に酸素原子を挿入してアルコキシ基としたものが具体例として挙げられる。
ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
アルキルチオ基又はアリールチオ基。(アルキルチオ基又はアリールチオ基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。)
アルキル置換アミノ基。(具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。)
アシル基。(アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。)
一般式(I)および一般式(VI)におけるRおよびR’、一般式(III)におけるR1、および一般式(IV)におけるR2およびR3が置換もしくは無置換のアルキル基である場合は、上記の置換または無置換の芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環における置換もしくは無置換のアルキル基の定義と同様である。また一般式(III)におけるR1がアルコキシ基である場合は上記の置換または無置換の芳香族炭化水素あるいは芳香族複素環における置換もしくは無置換のアルコキシ基の定義と同様である。
限り、これら実施例によって制限されるものではない。
合成例1
4−ホルミルフェニルアセチレン(W.B.Austin et al. J.Org.Chem.46 2280(1981)に準ずる)1.56g、表1中V’−12で表わされる2,5−ジブロモチオフェン1.21g、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム84mgおよびヨウ化銅46mgをTHF60mlとともにアルゴン気流下攪拌し、これに0.5Mアンモニア水溶液40mlを加えた。60℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却し、内容物を水に注いだ。酢酸エチルを加え、不溶物をろ過除去したのち有機層を分離し溶媒を留去した。これをシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン/酢酸エチル=4/1体積比)したのち、トルエン/酢酸エチルの混合溶媒から再結晶して黄色葉状晶の下記構造式で示されるジアルデヒド1.12gを得た。
元素分析値(%)実測値(計算値)
C 78.16(77.63)
H 3.33(3.55)
S 9.10(9.42)
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図1に示した。
炭素−炭素三重結合伸縮2197cm−1 CO(アルデヒド)伸縮1702cm−1
4−ホルミルフェニルアセチレン1.25g、表1中V’−13で表わされる2,5−ジブロモ−3,4−ジフェニルチオフェン1.58g、塩化パラジウム166mg、トリフェニルホスフィン0.33gおよび酢酸銅26mgをTHF11mlおよびトリエチルアミン22mlとともに窒素気流下8時間加熱還流した。室温まで冷却した後、不溶物をろ過除去したのち溶媒を留去した。これをトルエンに溶解し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去した。これをシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン/酢酸エチル=4/1体積比)したのち、トルエン/エタノールの混合溶媒から再結晶して黄色針状晶の下記構造式で示されるジアルデヒド1.17gを得た。
元素分析値(%)実測値(計算値)
C 83.11(82.90)
H 3.95(4.09)
S 6.35(6.51)
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図2に示した。
炭素−炭素三重結合伸縮2202cm−1 CO(アルデヒド)伸縮1701cm−1
4−ホルミルフェニルアセチレン1.72g、表1中V’−22で表わされる4,4’−ジブロモ−4”−メチルトリフェニルアミン2.50g、塩化パラジウム250mg、トリフェニルホスフィン0.50gおよび酢酸銅40mgをTHF18mlおよびトリエチルアミン34mlとともに窒素気流下11時間加熱還流した。室温まで冷却した後、不溶物をろ過除去したのち溶媒を留去した。これをトルエンに溶解し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去した。これをシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン)したのち、トルエン/エタノールの混合溶媒から再結晶して橙色針状晶の下記構造式で示されるジアルデヒド0.70gを得た。
元素分析値(%)実測値(計算値)
C 86.01(86.19)
H 4.69(4.89)
N 2.77(2.72)
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図3に示した。
炭素−炭素三重結合伸縮2204cm−1 CO(アルデヒド)伸縮1698cm−1
4−ホルミルフェニルアセチレン2.29g、表1中V’−27で表わされる4,4’−ジヨード−4”−(2−エチルヘキシルオキシ)トリフェニルアミン5.0g、塩化パラジウム332mg、トリフェニルホスフィン0.66gおよび酢酸銅52mgをTHF22mlおよびトリエチルアミン44mlとともに窒素気流下9時間加熱還流した。室温まで冷却した後、不溶物をろ過除去したのち溶媒を留去した。これを酢酸エチルに溶解し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去した。これをシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;酢酸エチル/ヘキサン=1/4体積比)し、黄色ガラス質の下記構造式で示されるジアルデヒド3.53gを得た。
C 84.18(83.91)
H 6.01(6.24)
N 2.11(2.22)
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図4に示した。
炭素−炭素三重結合伸縮2210cm-1 CO(アルデヒド)伸縮1699cm-1
合成例1で得られた上記構造式で表されるジアルデヒド0.68g(2.0mmol)、表2中(VI−6)のジホスホネート1.13g(2.0mmol)およびベンズアルデヒド8.0mgをN,N,−ジメチルホルムアミド50mlに溶解し、これに窒素気流下、カリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液6.0ml(6.0mmol)を30分を要して滴下し、滴下後室温で2時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチルを10mg加え、さらに30分撹拌した。酢酸を加えて中和したのち、反応内容物を水に滴下し橙色のポリマーを得た。得られたポリマーをメタノール/水の混合溶媒、メタノールついでアセトン中で加熱還流することにより精製をおこない、下記構造式で示される橙色のポリマー0.89gを得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図5に示した。
νcc三重結合 2193cm−1 δt−CH=CH 965cm−1
νCOC 1201,1030cm−1
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量
(数平均分子量及び重量平均分子量は、得られたポリマーが分子量測定溶媒のテトラヒドロフランに不溶のため、測定不可能)
合成例2で得られた上記構造式で表わされるジアルデヒド0.985g(2.0mmol)、表2中(VI−6)のジホスホネート1.130g(2.0mmol)およびベンズアルデヒド8.0mgをテトラヒドロフラン70mlに溶解し、これに窒素気流下、カリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液6.0ml(6.0mmol)を30分を要して滴下し、滴下後室温で2時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチルを10mg加え、さらに30分撹拌した。酢酸を加えて中和したのち、反応内容物を水に滴下し橙色のポリマーを得た。得られたポリマーをメタノール中で加熱還流することにより精製をおこない、下記構造式で示される橙色のポリマー0.90gを得た。
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図6に示した。
νCC三重結合 2193cm−1 δt−CH=CH 963cm−1
νCO 1203,1030cm−1
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量
(数平均分子量及び重量平均分子量は、得られたポリマーが分子量測定溶媒のテトラヒドロフランに不溶のため、測定不可能)
合成例3で得られた上記構造式で表わされるジアルデヒド0.773g(1.5mmol)、表2中(VI−6)のジホスホネート0.847g(1.5mmol)およびベンズアルデヒド6.0mgをテトラヒドロフラン40mlに溶解し、これに窒素気流下、カリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液4.5ml(4.5mmol)を30分を要して滴下し、滴下後室温で3時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチルを10mg加え、さらに30分撹拌した。酢酸を加えて中和したのち、反応内容物を水に滴下し黄色のポリマーを得た。これをテトラヒドロフラン/水で再沈精製し、ついでテトラヒドロフラン/メタノールで2回再沈精製し、得られたポリマーをメタノール中で加熱還流することにより精製をおこない、下記構造式で示される黄色のポリマー0.87gを得た。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図7に示した。
νCC三重結合 2210cm−1 δt−CH=CH 965cm−1
νCOC 1206,1037cm−1
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量
数平均分子量 9535、重量平均分子量 37949
合成例4で得られた上記構造式で表わされるジアルデヒド0.945g(1.5mmol)、表2中(VI−6)のジホスホネート0.847g(1.5mmol)およびベンズアルデヒド4.3mgをテトラヒドロフラン50mlに溶解し、これに窒素気流下、カリウムt−ブトキシドの1.0mol dm−3テトラヒドロフラン溶液4.5ml(4.5mmol)を30分を要して滴下し、滴下後室温で3時間撹拌した後、ベンジルホスホン酸ジエチルを10mg加え、さらに30分撹拌した。酢酸を加えて中和したのち、反応内容物を水に滴下し黄色のポリマーを得た。これをテトラヒドロフラン/水で再沈精製し、ついでテトラヒドロフラン/メタノールで2回再沈精製した。得られたポリマーを塩化メチレンに溶解し、これをイオン交換水で、洗浄液がイオン交換水の伝導度とほぼ同じになるまで洗浄した。塩化メチレン溶液をメタノール中に滴下して、下記構造式で示される黄色のポリマー0.95gを得た。
赤外吸収スペクトル(NaClキャスト膜)を図8に示した。
νCC三重結合 2209cm−1 δt−CH=CH 965cm−1
νCOC 1240,1034cm−1
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量
数平均分子量 19362、重量平均分子量 55814
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