JP5228483B2 - 有機化合物で表面処理されたカーボンブラックの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は有機化合物がグラフト化されたカーボンブラックの製造方法に関する。ゴム工業、プラスチック工業や油性インク、塗料、乾電池など多くの業界で広範に使用されているカーボンブラックに関するものであり、特に一次粒子の状態で安定に存在させるためのカーボンブラックの製造方法である。
カーボンブラックは、着色性、導電性、耐候性、耐薬品性等に優れるため、例えばプラスチックやエラストマーの補強剤や充填剤等種々の目的で幅広く使用されている。
通常、カーボンブラックは、複数の基本粒子が化学的及び/又は物理的に結合した二次粒子、すなわち凝集体(ストラクチャ)として存在している(図4)。このストラクチャは、不規則な鎖状に枝分かれした複雑な凝集構造をとっており、その形状が不均一であるため、所望の媒体に分散しても、均一な着色性、導電性等を得ることが困難であった。
従来からカーボンブラックの改良が検討されてはいるが、凝集体の凝集次元(低凝集体、中凝集体、高凝集体など)やその表面物性などを改良するなどにとどまっている。すなわち凝集体としての特性を改良するものであり、凝集体の形状の不均一性を改善する報告はされていない。また、凝集体から一次粒子化に着目することについても、報告されていない。
また、カーボンブラックは、その形状が粉状または粒状のため、単独で使用されていることが少なく、通常、ゴムや樹脂等の固状の基材または水や溶剤等の液体に均一に分散されてその特性を発揮する。しかし、カーボンブラックは、粒子間の凝集力に比べて他の物質、例えば有機高分子、水および有機溶剤等との親和性が弱いために、通常の混合または分散条件では、均一に混合または分散することが極めて困難であった。この問題を解決するために、カーボンブラッック表面を各種の界面活性剤や樹脂で被覆して、固状の基材または液体との親和性を高めることにより、カーボンブラックの分散性を改良する検討が数多くなされている。
例えば、重合性単量体をカーボンブラック(ストラクチャ)共存下に重合させることにより得られる有機化合物をグラフトしたカーボンブラックは、重合性単量体の種類を適当に選択することにより、親水性および/または親油性を適宜変えることができるため注目されている(例えば、米国特許6,417,283)。しかしながら、従来の方法では、媒体に対する分散性を向上させることが出来たとしても、形状を均一化することまでは出来なかった。また、そのようなグラフトしたカーボンブラックは、ストラクチャの表面にグラフトした形態であった。
したがって、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機化合物でグラフト化されたカーボンブラックの新規な製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、有機化合物でグラフト化されたカーボンブラックの一次粒子の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、カーボンブラックの重合体マトリクス内または有機溶剤内における分散性を向上させることが可能なカーボンブラックの製造方法を提供することにある。
上記諸目的は、下記(1)〜(5)により達成される。
(1)活性遊離基を有するかまたは生成することができる有機化合物で少なくとも一次粒子の凝集体(ストラクチャ)からなる二次粒子を含むカーボンブラックの表面を処理する表面処理工程と、少なくとも二次粒子から分離した分離面に前記有機化合物をグラフトするグラフト工程を有するカーボンブラックの製法。
(2)少なくとも前記表面処理工程あるいはグラフト工程に、機械的剪断力を付与する工程を有することを特徴とする上記(1)に記載のカーボンブラックの製造方法。
(3)前記機械的剪断力を付与する工程は、少なくとも前記有機化合物の融点以上の温度であることを特徴とする上記(2)に記載のカーボンブラックの製造方法。
(4)前記有機化合物が、少なくともフェノール系化合物及びまたはアミン系化合物を含むことを特徴とする上記(1)、(2)または(3)に記載のカーボンブラックの製造方法。
(5)カーボンブラック100重量部に対して、前記有機化合物を5〜300重量部添加することを特徴とする上記(1)ないし(4)に記載のカーボンブラックの製造方法。
本発明者らは少なくとも上記問題点を鑑み、研究を重ねた。本発明者らは、カーボンブラックの凝集体を微細化しようとしても、カーボンブラック同士の強い凝集力により、再び凝集し、凝集体となってしまっていたことに着眼した。すなわち、凝集体を微細化しても再凝集しないように、再凝集部位をなくすことを検討した。その結果、凝集体表面を有機化合物で処理して再凝集部位を少なくし、凝集体の基本粒子同士の接合部分に亀裂を入れ、その亀裂部分に有機化合物をグラフトしていき、最終的に安定した一次粒子を得ることができることを見出した。
この安定した一次粒子は、凝集体に比べ、形状が揃っており、形状に起因する粉体特性を制御する上で設計効率をあげることができる。また、本製造過程で、カーボンブラックの分散性をも向上させることができたのは予想外の効果であった。
本願でいう一次粒子について説明する。通常のカーボンブラックは凝集体の形態で存在するが、これらの凝集体は複数の基本粒子が化学的/物理的に凝集した形態である。本願でいう一次粒子は、その基本粒子を指す。しかし凝集体を構成する状態の基本粒子を指すものではなく、凝集体から分離して基本粒子の状態で安定して存在している粒子を指す。本願でいう二次粒子とは、基本粒子が凝集してできた凝集体を指す。ここで、凝集体同士が凝集した二次凝集体も本願では、二次粒子と総称する。
図2は二次粒子と基本粒子の関係を説明する図である。基本粒子が凝集してできた状態を二次粒子としている。また、図3は二次粒子を構成する基本粒子が二次粒子から分離され、安定して存在している状態を指し、この基本粒子単体で存在する粒子を一次粒子とする。
以下、詳細に説明する。
活性遊離基を有するかまたは生成することができる有機化合物で少なくとも一次粒子の凝集体(ストラクチャ)からなる二次粒子を含むカーボンブラックの表面を処理する表面処理工程
本工程では、カーボンブラックの凝集体表面を上記有機化合物で表面処理する工程である。
本工程では、最小凝集単位であるストラクチャの表面上に熱や機械的な力によりラジカルを発生させ、このラジカルを捕捉することが可能である有機化合物で表面処理する。この工程によって、カーボンブラック同士の強い凝集力により、再び凝集していた再凝集部位を効果的に減少させ、ストラクチャやカーボンブラックの一次粒子が凝集付着を防止することができる。
ここで表面処理とは、表面を有機化合物で吸着させる処理、有機化合物をグラフトさせる処理を含んでいる。一次粒子化した後に粒子を安定化させるために、二次粒子から分離した面以外の部分に二次粒子の表面全体に有機化合物がグラフト化されていることが好ましい。後述するグラフト工程後に安定して一次粒子を存在させるために、本工程でカーボンブラック表面に有機化合物をグラフトさせることが好ましい。
表面処理の方法としては、例えば、カーボンブラック凝集体と活性遊離基を有するかまたは生成することができる有機化合物を混合することによって表面処理が可能である。この表面処理に於いては機械的剪断力を付与する混合工程を含むことが好ましい。すなわち、機械的剪断力を付与する工程にてカーボンブラックの二次粒子の表面が活性化され、さらに、有機化合物自体も剪断力にて活性化され、いわゆるラジカル化された状態となりやすく、結果としてカーボンブラック表面に有機化合物のグラフト化が促進されやすくなるものと推定される。
表面処理工程においては、機械的剪断力を付与できる装置が好ましい。本発明において表面処理工程に使用される好ましい混合装置については、ポリラボシステムミキサ(サーモエレクトロン社製)、リファイナ、単軸押出機、二軸押出機、遊星軸押出機、錐形軸押出機、連続混練機、密封ミキサー、Z形ニーダーなどを使用することができる。
表面処理工程時に上記装置を使用する場合には、混合機中の混合ゾーンの混合物充満度が80%以上となるように設定することが好ましい。充満度は下記の式により求められる。
Z=Q/A
Z:充満度(%) Q:充填物体積(m) A:混合部空隙量(m
すなわち、混合時に高い充満状態とすることで機械的な剪断力が粒子全体に均一に付与することができる。この充満度が低い場合には剪断力の伝達が不十分となり、カーボンブラックや有機化合物の活性を高くすることが難しく、グラフト化が進行しにくくなる可能性がある。
混合時は混合ゾーンの温度を、上記有機化合物の融点以上、好ましくは融点+200℃以内、さらには、融点+150℃以内とすることが好ましい。尚、複数種類の有機化合物が混合される場合は最も融点の高い有機化合物の融点に対して温度設定がされることが好ましい。
混合時には、超音波、マイクロ波、紫外線、赤外線などの電磁波の照射、オゾン作用、酸化剤の作用、化学的作用及び/又は機械的剪断力作用などを併用することにより表面処理の程度、工程の時間を変更することが可能である。混合時間は、所望の表面処理の程度にもよるが、15秒から120分程度である。好ましくは1〜100分である。
表面処理に使用する有機化合物は、カーボンブラック100重量部に対して、5〜300重量部の範囲内で添加して表面処理工程を行うことが好ましい。さらに好ましくは、10〜200重量部である。このような範囲で前記有機化合物を添加することにより、カーボンブラック表面に均一に有機化合物を付着させることができ、さらに、二次粒子を形成した時点で生成する分離面に付着できるに充分な量とすることができる。このため、分解された一次粒子が再度凝集することを効果的に防止でき、また、この添加量以上に添加した場合に発生する、出来上がりのカーボンブラックにて過剰に存在する有機化合物によるカーボンブラック固有の特性を喪失させる可能性が低くなる。
グラフト工程とは、少なくとも二次粒子から分離した一次粒子の分離面に前記有機化合物をグラフトする工程である。この工程にて、二次粒子より一次粒子化された粒子に新しく形成された分離面に対して有機化合物をグラフト化させることができ、結果として一次粒子を安定化させて存在させることができ、さらに、表面に均一に有機化合物にて処理された一次粒子を形成することができるため、良好な分散性を確保できるものである。
本工程は、上記表面処理工程を経たカーボンブラックを安定な一次粒子化する工程である。すなわち、前記工程にて表面処理されたカーボンブラックに対して、例えば、機械的剪断力を付与し、二次粒子を開裂させ一次粒子化すると同時にその開裂面、いわゆる分離面に対して前記有機化合物をグラフト化させて一次粒子化させると同時に安定化させるものである。例えば、機械的剪断力を前記有機化合物で表面処理したカーボンブラックに付与し、二次粒子に存在する基本粒子の凝集部に亀裂を生じさせると同時、あるいはその後に、少なくともその部分に有機化合物をグラフト化させ、形成された基本粒子(一次粒子)の再凝集を抑制していくものである。当該カーボンブラックに継続してエネルギー(例えば機械的剪断力)継続して付与することにより亀裂部分を拡大させながら、有機化合物を亀裂部分にグラフト化させ、最終的に基本粒子が一次粒子として分離した時点では、凝集可能な部分がほぼ存在しない状態となり、安定して一次粒子が存在することが可能となる。この場合、添加されている有機化合物にも同様の機械的剪断力が付与されているため、有機化合物自体も機械的剪断力にて活性化されており、グラフト化が促進される。
なお、本明細書でいう「有機化合物をグラフト化させたカーボンブラック」とは、カーボンブラック部分に有機化合物部分がグラフト化されたカーボンブラックをいう。さらに、ここでいう「グラフト化」とは、ドネ(Jean-Baptiste Donnet)らがその著書「カーボンブラック」(1978年 5月 1日株式会社講談社発行)にて定義しているように、カーボンブラックのような基質に対する有機化合物の不可逆的な付加のことである。
上記グラフト工程は、少なくとも亀裂部分に活性遊離基を有するかまたは生成することができる有機化合物をグラフト化させる工程であるが、亀裂部分以外に同時にグラフト化が起こっていてもよい。また、上記の表面処理工程進行中に同時にまたは別工程として実行されても良い。
上記の亀裂をおこすための手段としては、超音波、マイクロ波、紫外線、赤外線などの電磁波の照射、オゾン作用、酸化剤の作用、化学的作用、機械的剪断力作用などさまざまな形態がとりうる。
本発明では、少なくとも機械的剪断力を付与することによって、亀裂を起こさせることが好ましい。有機化合物で表面処理されたカーボンブラック(ストラクチャ)を、機械的剪断力が作用する場におき、表面処理されたカーボンブラックをストラクチャから一次粒子に調整することが望ましい。この機械的剪断力を付与する際には、他の上記に記載された亀裂を起こすための手段を合わせて使用してもよい。
ここでの機械的剪断力とは前述の表面処理工程での機械的剪断力と同様な剪断力を加えることが好ましい。
前述のように、機械的剪断力の作用はカーボンブラックを凝集体から一次粒子に微粒子化させるばかりではなく、カーボンブラック内部の鎖を断裂させて活性遊離基を生成させる事も行うことが可能である。本発明で使用される遊離基を備えているかまたは生成することができる有機化合物は、例えば機械的剪断力場の作用を受けて断裂して活性遊離基を有するかまたは生成することができる有機化合物を含む。機械的剪断力の作用下だけで十分に活性遊離基が形成できない場合には、超音波、マイクロ波、紫外線、赤外線などの電磁波の照射下、オゾンの作用下、または酸化剤の作用下において、活性遊離基数を補完することができる。
機械的剪断力を与える装置としては、ポリラボシステムミキサ(サーモエレクトロン社製)、リファイナ、単軸押出機、二軸押出機、遊星軸押出機、錐形軸押出機、連続混練機、密封ミキサー、Z形ニーダーなどを使用することができる。なお、この機械的剪断力を付与する条件としては前述の表面処理と同様の条件とすることが機械的剪断力を効果的に付与する観点で好ましい。また、これら装置を使用することにより、効果的、且つ、連続的に機械的エネルギーを粒子全体に均一に付与することができるため、グラフト化を効率的、且つ、均一に行うことができる点で好ましい。
上記の表面処理工程とグラフト工程においては、添加する有機化合物は、有機化合物が所定の量となるように、徐々に連続的又は断続的に添加してもよいし、上記表面工程開始時に予め所定量を添加しておき、グラフト工程まで実行してもよい。
表面処理の材料として表面処理工程に使用される有機化合物とグラフト反応させる材料としてグラフト工程に使用される有機化合物は、同じであっても異なっていても良い。
上述のグラフト工程は、使用される有機化合物の融点以上の条件において実施されることが望ましい。温度条件の上限としては特に有機化合物の融点+200℃以内、さらには、融点+150℃以内であることが、グラフト反応、一次粒子の分裂を促進する観点で好ましい。尚、複数種類の有機化合物が混合される場合は最も融点の高い有機化合物の融点に対して温度設定がされることが好ましい。
上述の機械的剪断力作用させる時間は、試料の量やスケールにもよるが、工程を十分に実行するために、1分以上100分以内であることが反応の均一性を向上する観点で好ましい。
上述の本発明の製造方法では、カーボンブラックと後述する有機化合物を溶媒を使用せずに混合させて機械的剪断力を付与することが好ましい。反応として有機化合物の溶融温度以上にて剪断力を付与するため、有機化合物が液状となるため、固体であるカーボンブラック表面に均一になじみ、反応を効果的に進行させることができる。溶媒を使用した場合には、均一性は向上するものの、機械的剪断力を付与する際のエネルギーの伝達が低下するため、活性化のレベルが低下してしまい、グラフト化を効果的に進行させることができにくくなると推定される。
2)カーボンブラック
使用可能なカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等、いずれの市販のものが使用できるが、凝集体構造を有しているカーボンブラックである。この凝集体構造とは、基本粒子である一次粒子が凝集して形成されて、ストラクチャ構造を有するもので、いわゆる一次粒子の凝集体からなる、二次粒子化されたカーボンブラックを意味する。また、カーボンブラックへの有機化合物の表面処理やグラフト反応を円滑にするために、カーボンブラックの表面に十分なカルボキシル基、キノン基、フェノール基やラクトン基などの酸素含有官能基及び層面周縁の活発な水素原子が多く存在していることが望ましい。そのため、本発明で使用されるカーボンブラックについて、酸素含有量が0.1%以上であり、水素含有量は0.2%以上であることが好ましい。特には、酸素含有量が、10%以下、水素含有量は、1%以下である。ここで酸素含有量、水素含有量はそれぞれ、酸素元素数又は水素元素数を全元素数(炭素、酸素、水素の元素の和)で割った値で求められる。
このような範囲を選択することにより、カーボンブラックへの有機化合物の表面処理やグラフト反応を円滑にすることができる。
また、上述の範囲を選択することによって、遊離基を備えているかまたは生成することができる有機化合物を確実にグラフトさせることができ、再凝集防止効果が高くなる。カーボンブラック表面の酸素含有量及び水素含有量が前記範囲を下回る場合には、加熱空気酸化やオゾン酸化などの気相酸化、または硝酸、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、臭素水などによる液相酸化処理によりカーボンブラックの酸素含有量及び水素含有量を増加させてもよい。
3)有機化合物
表面処理工程でカーボンブラックを表面処理するために、もしくはグラフト工程でカーボンブラックにグラフト化するために使用する有機化合物は、遊離基を備えているかまたは生成することができる有機化合物である。
遊離基を生成することができる有機化合物において、遊離基を生成する条件は特に制限がないが、本発明で使用される有機化合物の場合は、グラフト工程中には、遊離基を有している状態となることが必要である。当該有機化合物は、少なくとも電子移動により遊離基を生成可能な化合物、熱分解により遊離基を生成可能な化合物、せん断力等により化合物の構造が断裂された結果、遊離基を生成可能な化合物が好ましい。
本発明で使用される遊離基を備えているかまたは生成することができる有機化合物については、その分子量が50以上であることが好ましく、上限としては1500以下であることが好ましい。このような分子量の範囲の有機化合物を採用することによって、ある程度大きい分子量の有機化合物で表面を置換したカーボンブラックとすることができ、形成された一次粒子の再凝集を抑制することができる。また、分子量として1500以下のものとすることにより、過度な表面改質とならず、表面にグラフト化された有機化合物の特性が過度に発揮されることなく、カーボンブラック自体の保有する特性を十分に発揮させることができる。
上記表面処理工程とグラフト工程で使用される前記有機化合物は同一でも、異なっていても良いし、それぞれの工程に複数種の有機化合物を添加しても良い。反応温度の制御やその他の条件を簡素化するために、表面処理工程とグラフト工程で使用する有機化合物は同一であるほうが望ましい。
前記有機化合物の例としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、リン酸エステル系化合物、チオエーテル系化合物のカーボンブラック表面の遊離基を捕捉することができる有機化合物をあげることができる。
これらの有機化合物としては、いわゆる酸化防止剤、光安定剤が好ましい。さらに好ましくは、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン系をあげることができる。また、リン酸エステル系化合物、チオール系化合物、チオエーテル系化合物の酸化防止剤も使用することができる。これらの有機化合物は複数組み合わせて使用してもよい。その組み合わせにより、表面処理の特性を種々発揮させることもできる。
また、これらの有機化合物は、反応を確実に制御するために、イソシアネート基を持たないことが好ましい。すなわち、過度な反応性を有する有機化合物を使用した場合には均一なグラフト化反応が形成されにくくなってしまい、反応時間や有機化合物量を多量に使用しなくてはならなくなる場合がある。この理由として明確ではないが、前述の様な反応性の高い有機化合物を使用した場合には、表面活性点以外にも反応が進行してしまい、本来の目的である機械的剪断力により形成された活性点への反応が不十分となってしまうためと推定される。
前記有機化合物の具体例を以下に示す。
フェノール系化合物
(有機化合物1〜88)
(有機化合物1)
Figure 0005228483

(有機化合物2)
Figure 0005228483

(有機化合物3)
Figure 0005228483

(有機化合物4)
Figure 0005228483

(有機化合物5)
Figure 0005228483

(有機化合物6)
Figure 0005228483

(有機化合物7)
Figure 0005228483

(有機化合物8)
Figure 0005228483

(有機化合物9)
Figure 0005228483

(有機化合物10)
Figure 0005228483

(有機化合物11)
Figure 0005228483

(有機化合物12)
Figure 0005228483

(有機化合物13)
Figure 0005228483

(有機化合物14)
Figure 0005228483

(有機化合物15)
Figure 0005228483

(有機化合物16)
Figure 0005228483

(有機化合物17)
Figure 0005228483

(有機化合物18)
Figure 0005228483

(有機化合物19)
Figure 0005228483

(有機化合物20)
Figure 0005228483

(有機化合物21)
Figure 0005228483

(有機化合物22)
Figure 0005228483

(有機化合物23)
Figure 0005228483

(有機化合物24)
Figure 0005228483

(有機化合物25)
Figure 0005228483

(有機化合物26)
Figure 0005228483

(有機化合物27)
Figure 0005228483

(有機化合物28)
Figure 0005228483

(有機化合物29)
Figure 0005228483

(有機化合物30)
Figure 0005228483

(有機化合物31)
Figure 0005228483

(有機化合物32)
Figure 0005228483

(有機化合物33)
Figure 0005228483

(有機化合物34)
Figure 0005228483

(有機化合物35)
Figure 0005228483

(有機化合物36)
Figure 0005228483

(有機化合物37)
Figure 0005228483

(有機化合物38)
Figure 0005228483

(有機化合物39)
Figure 0005228483

(有機化合物40)
Figure 0005228483

(有機化合物41)
Figure 0005228483

(有機化合物42)
Figure 0005228483

(有機化合物43)
Figure 0005228483

(有機化合物44)
Figure 0005228483

(有機化合物45)
Figure 0005228483

(有機化合物46)
Figure 0005228483

(有機化合物47)
Figure 0005228483

(有機化合物48)
Figure 0005228483

(有機化合物49)
Figure 0005228483

(有機化合物50)
Figure 0005228483

(有機化合物51)
Figure 0005228483

(有機化合物52)
Figure 0005228483

(有機化合物53)
Figure 0005228483

(有機化合物54)
Figure 0005228483

(有機化合物55)
Figure 0005228483

(有機化合物56)
Figure 0005228483

(有機化合物57)
Figure 0005228483

(有機化合物58)
Figure 0005228483

(有機化合物59)
Figure 0005228483

(有機化合物60)
Figure 0005228483

(有機化合物61)
Figure 0005228483

(有機化合物62)
Figure 0005228483

(有機化合物63)
Figure 0005228483

(有機化合物64)
Figure 0005228483

(有機化合物65)
Figure 0005228483

(有機化合物66)
Figure 0005228483

(有機化合物67)
Figure 0005228483

(有機化合物68)
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(有機化合物69)
Figure 0005228483

(有機化合物70)
Figure 0005228483

(有機化合物71)
Figure 0005228483

(有機化合物72)
Figure 0005228483

(有機化合物73)
Figure 0005228483

(有機化合物74)
Figure 0005228483

(有機化合物75)
Figure 0005228483

(有機化合物76)
Figure 0005228483

(有機化合物77)
Figure 0005228483

(有機化合物78)
Figure 0005228483

(有機化合物79)
Figure 0005228483

(有機化合物80)
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(有機化合物81)
Figure 0005228483

(有機化合物82)
Figure 0005228483

(有機化合物83)
Figure 0005228483

(有機化合物84)
Figure 0005228483

(有機化合物85)
Figure 0005228483

(有機化合物86)
Figure 0005228483

(有機化合物87)
Figure 0005228483

(有機化合物88)
Figure 0005228483


アミン系化合物
(有機化合物89〜144)

(有機化合物89)
Figure 0005228483

(有機化合物90)
Figure 0005228483

(有機化合物91)
Figure 0005228483

(有機化合物92)
Figure 0005228483

(有機化合物93)
Figure 0005228483

(有機化合物94)
Figure 0005228483

(有機化合物95)
Figure 0005228483

(有機化合物96)
Figure 0005228483

(有機化合物97)
Figure 0005228483

(有機化合物98)
Figure 0005228483

(有機化合物99)
Figure 0005228483

(有機化合物100)
Figure 0005228483

(有機化合物101)
Figure 0005228483

(有機化合物102)
Figure 0005228483

(有機化合物103)
Figure 0005228483

(有機化合物104)
Figure 0005228483

(有機化合物105)
Figure 0005228483

(有機化合物106)
Figure 0005228483

(有機化合物107)
Figure 0005228483

(有機化合物108)
Figure 0005228483

(有機化合物109)
Figure 0005228483

(有機化合物110)
Figure 0005228483

(有機化合物111)
Figure 0005228483

(有機化合物112)
Figure 0005228483

(有機化合物113)
Figure 0005228483

(有機化合物114)
Figure 0005228483

(有機化合物115)
Figure 0005228483

(有機化合物116)
Figure 0005228483

(有機化合物117)
Figure 0005228483

(有機化合物118)
Figure 0005228483

(有機化合物119)
Figure 0005228483

(有機化合物120)
Figure 0005228483

(有機化合物121)
Figure 0005228483

(有機化合物122)
Figure 0005228483

(有機化合物123)
Figure 0005228483

(有機化合物124)
Figure 0005228483

(有機化合物125)
Figure 0005228483

(有機化合物126)
Figure 0005228483

(有機化合物127)
Figure 0005228483

(有機化合物128)

Figure 0005228483

(有機化合物129)
Figure 0005228483

(有機化合物130)
Figure 0005228483

(有機化合物131)
Figure 0005228483

(有機化合物132)
Figure 0005228483

(有機化合物133)
Figure 0005228483

(有機化合物134)
Figure 0005228483

(有機化合物135)
Figure 0005228483

(有機化合物136)
Figure 0005228483

(有機化合物137)
Figure 0005228483

(有機化合物138)
Figure 0005228483

(有機化合物139)
Figure 0005228483

(有機化合物140)
Figure 0005228483

(有機化合物141)
Figure 0005228483

(有機化合物142)
Figure 0005228483

(有機化合物143)
Figure 0005228483

(有機化合物144)
Figure 0005228483


チオール系及びチオエーテル系化合物
(有機化合物145〜153)

(有機化合物145)
Figure 0005228483

(有機化合物146)
Figure 0005228483

(有機化合物147)
Figure 0005228483

(有機化合物148)
Figure 0005228483

(有機化合物149)
Figure 0005228483

(有機化合物150)
Figure 0005228483

(有機化合物151)
Figure 0005228483

(有機化合物152)
Figure 0005228483

(有機化合物153)
Figure 0005228483


リン酸エステル系化合物
(有機化合物154〜160)

(有機化合物154)
Figure 0005228483

(有機化合物155)
Figure 0005228483

(有機化合物156)
Figure 0005228483

(有機化合物157)
Figure 0005228483

(有機化合物158)
Figure 0005228483

(有機化合物159)
Figure 0005228483

(有機化合物160)
Figure 0005228483


フェノール系有機化合物
(有機化合物161)
Figure 0005228483
本発明で使用されるカーボンブラックのフェレ径の個数平均粒径は20〜500nmであることが好ましい。また、本発明で得られたカーボンブラックは、フェレ径の個数平均粒径が5〜300nmの範囲になることが好ましい。好ましくは、10〜100nmである。
このような範囲をとることによって、樹脂成型物やゴム組成物などを形成した場合の機械的特性を顕著に得ることが可能となる。
ここでフェレ径の個数平均粒径の測定対象は、安定に存在するカーボンブラックの一次粒子と二次粒子である。凝集体として存在するカーボンブラックの場合は、その凝集体が測定の対象となり、凝集体中の基本粒子を計測するものではない。
また、一次粒子のフェレ径の個数平均粒径としては、2〜100nm、特には3〜80nmであることが好ましい。
この個数平均粒径に制御するには、凝集体として存在するカーボンブラックの基本粒子径が上記の範囲に入るものを適宜選択して処理を行うことや、凝集体を一次粒子に分断する製造時の条件を変更することで達成すること出来る。
このフェレ径の個数平均粒径は、電子顕微鏡により観察することができる。
カーボンブラック単体からこのフェレ径の個数平均粒径を求めるときは、走査型電子顕微鏡(SEM)により、10万倍に拡大して撮影し、100個の粒子を適宜選択して算出する。
尚、樹脂成型物やゴム組成物などからカーボンブラックの平均粒径を求める場合は透過型電子顕微鏡(TEM)により10万倍に拡大して撮影し、100個の粒子を適宜選択して算出してもよい。
本発明で用いられるフェレ径とは、上記電子顕微鏡で撮影された複数のカーボンブラック粒子において、各カーボンブラック粒子の任意の一方向における最大長さを表す。最大長さとは、上記任意の一方向に対して垂直で、粒子の外径に接する2本の平行線を引く場合の平行線間の距離をいう。
例えば、図1において、電子顕微鏡によるカーボンブラック粒子200の撮影写真300について任意の一方向201を定める。前記任意の一方向201に対して垂直で各カーボンブラック粒子200に接する2本の直線202の間の距離がフェレ径203である。
本発明の製造方法により得られたカーボンブラックは、様々な分野の組成物に適用することが可能である。また本発明のカーボンブラックは各種のビヒクル中での分散性が優れていると同時に一次粒子を有しているため、これら各種の組成物も極めて優れた特性を有するものとなる。さらに、優れた機械的特性を引き出すため、優れたゴム組成物を得ることができ、また劣化しにくい樹脂組成物を得ることができる。
なお、様々な分野の組成物を得るには、本発明のカーボンブラックを含有する以外は、公知の各種の方法を採用して所望の組成物を調製することができる。
以下においては実施例に基づき本発明について更に記述する。本実施例は本発明を限定するものではない。
[実施例1]
カーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製:二次粒子径=210nm)100重量部と、同カーボンブラックに対して有機化合物48(分子量=741、融点=125℃)50重量部を添加し、二軸押し出し機に投入した。この二軸押し出し機は、2本のスクリューにて混合するもので、PCM−30(池貝製作所製)を使用した。連続式に混練できる構成とはせず、出口を密閉し2本のスクリューにて攪拌することができるように改造したものである。
第1の処理条件
両者を二軸押し出し機に投入後、第1の温度条件(Tp1):150℃(融点+25℃)に加熱した状態で、攪拌を行った。攪拌時に充満度が94%となるように両材料を装置内に投入した。回転速度(Sv1)は、スクリュー回転で毎分30回転と設定し、処理時間(T1)を10分間に設定して攪拌処理を実施した。この状態でサンプリングをし、ソックスレー抽出にてグラフト化の状態を確認すると、約30%のグラフト化率であることがわかった。すなわち、表面にグラフト化が進行している状態となっていることが確認された。
第2の処理条件
ついで、回転数(Sv2)として、スクリューの回転数で毎分50回転とし、第2の温度条件(Tp2)を170℃(融点+45℃)とし、より機械的剪断力が高い条件へ変更し、処理時間(T2)を30分間として処理を行った。その後、冷却し、処理されたカーボンブラックを取り出した。そのカーブンブラックの表面には前記有機化合物が81%のグラフト化率でグラフト化されており、フェレ径の個数平均粒子径も80nmとなっており、二次粒子の破砕が発生していることが確認された。このカーボンブラックを「本発明カーボンブラック1」とする。
(グラフト化率測定方法)
上記で得られたカーボンブラックと有機化合物との反応物をソックスレー抽出器に入れ、トルエンで72時間抽出し、未反応の有機化合物を抽出し、グラフト化率を算出する。ここでグラフト化率は、反応前有機化合物量をY、抽出された有機化合物をZとするとき、((Y−Z)/Y)×100(%)で表される。
[実施例2]
カーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製)100重量部と同カーボンブラック100部に対して有機化合物47(分子量=784、融点=221℃)を80重量部を攪拌時に充満度が94%となるように両材料を装置内に投入した。装置内温度を第1の温度条件(Tp1)231℃(融点+10℃)に加熱した状態で、攪拌を行った。回転数(Sv1)をスクリュー回転で毎分30回転(Sv1)とし、処理時間(T1)を10分間に設定し攪拌処理を実施した。この状態でサンプリングをし、ソックスレー抽出にてグラフト化の状態を確認すると、約27%のグラフト化率であることがわかった。すなわち、表面にグラフト化が進行している状態となっていることが確認された。ついで、スクリューの回転数(Sv2)を毎分50回転とし、第2の温度条件(Tp2)を260℃(融点+39℃)とし、より機械的剪断力が高い条件へ変更し、処理時間(T2)を30分間として、処理を行った。その後、冷却し、処理されたカーボンブラックを取り出した。そのカーブンブラックの表面には前記有機化合物が67%のグラフト化率でグラフト化されており、フェレ径の個数平均粒子径も80nmまで小さくなっていることから二次粒子の破砕が発生していることが確認された。このカーボンブラックを「本発明カーボンブラック2」とする。
[実施例3]
実施例1において、有機化合物48の代わりに有機化合物88(分子量=545、融点=186℃)とし、その他の条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にして本発明のカーボンブラック3を得た。
[実施例4]
実施例1において、有機化合物48の代わりに有機化合物115(分子量=481、融点=84℃)とし、その他の条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にして本発明のカーボンブラック4を得た。
[実施例5]
実施例1において、有機化合物48の代わりに有機化合物127(分子量=659、融点=195℃)とし、その他の条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にして本発明のカーボンブラック5を得た。
[実施例6]
実施例1において、有機化合物48の代わりに有機化合物128(分子量=791、融点=132℃)とし、その他の条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にして本発明のカーボンブラック6を得た。
[実施例7]
実施例1において、カーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製)の代わりにRaven1035(コロンビア化学工業社製)とし、その他の条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にして本発明のカーボンブラック7を得た。
[実施例8]
実施例2において、カーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製)の代わりにRaven1035(コロンビア化学工業社製)とし、その他の条件を、表1及び表2に示す通りとした以外は同様にして本発明のカーボンブラック8を得た。
[比較例1]
表面処理及びグラフト工程を受けていないカーボンブラック(N220、三菱化学株式会社製)を「比較用カーボンブラック1」とする。
[比較例2]
実施例1において、処理時間T1が1分経過後、装置から試料を取り出した。このものを「比較用カーボンブラック2」とする。
[比較例3]
実施例1において、有機化合物を、遊離基が発生しないステアリン酸(分子量=284、融点=70℃)(比較化合物1)に変更した以外は、同様に処理した。このものを「比較用カーボンブラック3」とする。
Figure 0005228483
Figure 0005228483
[評価]
評価1)分散性
上記の「本発明カーボンブラック1〜11」及び「比較用カーボンブラック1〜3」をそれぞれ1重量部とり、それぞれ100重量部のアセトンを加えて、25℃の温度条件にて10分間超音波分散させ、それぞれのカーボンブラック分散液を得た。その後、5mlの分散液をサンプリングし、遠心分離機を使用して4000rpmで遠心沈降実験を行った。遠心分離を60分間行い、途中、遠心分離機を10分ごとに停止させ、当分散液の分散状態を目視判定した。
60分遠心分離しても沈降がみられなかったものをAとし、沈降がみられたものについては見られた時間を表3に示す。
評価2)一次粒子の存在
上記の「本発明カーボンブラック1〜8」及び「比較用カーボンブラック1〜3」を適量採取し、走査型電子顕微鏡(SEM)により、一次粒子の存在可否を観察した。
これらの結果を表3に示す。
Figure 0005228483
「本発明カーボンブラック1〜8」では、60分遠心沈降実験を行っても均一な分散性が良好に維持されていたのに対し、比較用カーボンブラック1,2,3では、それぞれ、10分、20分、10分でカーボンブラックが沈降しており、比較用カーボンブラック1,2,3については優れた分散性は示されなかった。
また、「本発明カーボンブラック1〜8」では、一次粒子が安定に存在していることが確認されたのに対し、比較用カーボンブラック1,2,3では、それぞれ、一次粒子自体が確認されなかった。
[発明の効果]
本発明では、従来なしえなかった、一次粒子を安定に存在させることが可能となった。これにより、さまざまな工業分野への適用が可能となる。また、本発明のカーボンブラックは比較的良好な分散性及び相容性を備えているばかりではなく、透明導電材料、輻射防止材料、油性インク、粉末インク、塗料など多くの領域で使用することができる。当該カーボンブラックの製造方法は工程が簡単で、コストは低く、汚染は発生しないばかりではなく、大ロットの連続生産も可能である。
フェレ径の説明図 二次粒子と基本粒子の説明図 一次粒子の説明図 従来のカーボンブラックの説明図

Claims (5)

  1. 活性遊離基を有するかまたは生成することができる有機化合物で少なくとも基本粒子の凝集体(ストラクチャ)からなる二次粒子を含むカーボンブラックの表面を処理する表面処理工程と、少なくとも二次粒子から分離した分離面に前記有機化合物をグラフトするグラフト工程を有するカーボンブラックの製造方法であって、グラフト工程に、機械的剪断力を無溶媒下で付与する工程を有し、前記有機化合物が下記化学構造を有する化合物から選ばれるものであることを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
    Figure 0005228483
    Figure 0005228483
  2. 少なくとも前記表面処理工程に、機械的剪断力を無溶媒下で付与する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のカーボンブラックの製造方法。
  3. 前記機械的剪断力を付与する工程は、少なくとも前記有機化合物の融点以上の温度であることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンブラックの製造方法。
  4. 前記有機化合物が、少なくともフェノール系化合物及びまたはアミン系化合物を含むことを特徴とする請求項1、2または3に記載のカーボンブラックの製造方法。
  5. カーボンブラック100重量部に対して、5〜300重量部の前記有機化合物を添加することを特徴とする請求項1記載のカーボンブラックの製造方法。
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