JP5228019B2 - 評価装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、製品稼動状況の評価装置に係る。

パーソナルコンピュータ(PC)などの電子情報機器について、振動や温度を計測し、これら電子情報機器の性能低下や疲労度合を算出する技術の研究が進められている。また、電子情報機器の情報をセンサ等で取得して個々の部品あるいは電子情報機器本体の障害発生の危険度を顧客に提示する装置も提案されている。一方、ハードウェアの品質管理部門では、修理データから製品の修理率を評価する技術も蓄積されてきている。
特表2007−501975号公報
企業向けに出荷されたPCの稼働データは、顧客企業の情報システム部門の方針などにより社外提供されることが少ないため、メーカー側で十分なデータを収集できない場合がある。
以下に示す実施形態では、十分なデータを収集できない場合においても、稼動データに
基づいた保守サービスの提供が可能となる、評価装置を提供することを目的とする。

本実施形態によれば、中央演算装置を備える評価装置であって、サービス提供業者が備える第1の中央演算装置が、第1の製品群の観測値を含む第1の稼働データと、前記第1の製品群のうち故障した製品情報を含む第1の修理データとを用いて、前記観測値を故障または非故障に分類するための第1の故障予兆モデルが有する第1のパラメータを更新し、更新後の第1のパラメータを第2のパラメータとして有する第2の故障予兆モデルを得る第1のモデル学習部と、サービス提供業者が備える第2の中央演算装置が、特定組織が有し、かつ前記第1の製品群には含まれない第2の製品群のうち、サービス提供業者において過去に修理されたことのある製品から得られるものであって、前記第2の製品群のうち故障した製品情報を含む第2の修理データ及び前記製品の修理以前の観測値を含む第3の稼動データを更に用いて、前記第2の故障予兆モデルの前記第2のパラメータを更新し、更新後の第2のパラメータを第3のパラメータとして有する第3の故障予兆モデルを得る第2のモデル学習部と、特定組織が備える第3の中央演算装置が、前記第3の故障予兆モデルと、前記第2の製品群の観測値を含む第2の稼働データとを用いて、前記第2の製品群の故障予兆の有無または故障確率を算出する評価算出部と、を備えることを特徴とする評価装置が提供される。
第1実施形態に係る評価装置のブロック図。 第1実施形態に係る評価装置の構成図。 第2実施形態に係る評価装置のブロック図。 第2実施形態に係る評価装置の部分構成図。 第2実施形態に係る秘匿計算のブロック図。 第2実施形態に係る秘匿計算のフロー図。 第3実施形態に係る評価装置のブロック図。 第3実施形態に係る学習方法のブロック図。 第3実施形態に係る学習方法のフロー図。 第3実施形態に係る評価装置の部分構成図。 第3実施形態の変形例に係る評価装置のブロック図。 第3実施形態の変形例に係るラベル付与のフロー図。 第3実施形態の変形例に係る学習方法のフロー図。 第3実施形態の変形例に係る評価装置の部分構成図。 第4実施形態に係る評価装置の構成図。 第4実施形態の変形例に係る評価装置の構成図。 第1の稼動データの例を示す概念図。 第1の修理データの例を示す概念図。 ラベル付与に関する概念図。 観測した稼働データ数の例を示す概念図。 図17の稼働データに対する荷重値の例を示す概念図。 連続値における初期モデル設定処理部の説明図。 離散値における初期モデル設定処理部の説明図。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態として評価装置を図1〜2を用いて説明する。
図1は第1実施形態に係る評価装置100を示すブロック図である。
第1実施形態に係る評価装置100は、第1の製品群101から得られる第1の稼動データ、第1の製品群101から得られる第1の修理データを用いて第1の製品群101の第1の故障予兆モデルを学習する第1のモデル学習部11と、第1の故障予兆モデルを用いて第2の製品群102から得られる第2の稼動データの評価を行う評価算出部51と、を備える。なお、ここで第2の稼動データは、例えば、特定組織内で稼動している製品の稼働データを用いることができる。使用環境や条件によっては、サービス提供事業者はこの第2の稼動データを見ることができない場合がある。
(故障予兆モデル学習部)
第1のモデル学習部(故障予兆モデル学習部)11では、第1の製品群101から得られる第1の稼働データ、第1の製品群101から得られる第1の修理データを用いて、第1の製品群101の故障予兆モデルを学習する。
第1の製品群101は、第2の製品群102には含まれない、製品群を意味する。ここで第2の製品群102とは、例えば企業や役所など、第1実施形態に係る評価装置により評価したい組織(以下、特定組織という場合がある)が有する製品を意味する。これに対し、第1の製品群101とは、第1実施形態の評価装置により評価したい組織が有する複数の製品を含まない製品を意味する。
すなわち、第1の稼動データとして、特定組織を含まない、多くの一般ユーザの製品の稼働データが例示される。第1の稼働データは観測時刻と観測値からなるデータであり、製品一台ごとに記憶される。この第1の稼動データの例を図17に示す。
(故障予兆モデル記憶部)
第1実施形態に係る評価装置100は、第1の記憶部(故障予兆モデル記憶部)21を有してもよい。第1の記憶部23は、第1の学習部11で学習した第1の故障予兆モデルのパラメータを記憶する。
(評価算出部)
評価算出部51は、第1のモデル学習部11が学習した第1の故障予兆モデルを用いて、第2の稼動データの評価を行う。第2の稼動データは第2の製品群から得られる。具体的には事前に構築した第1の故障予兆モデルに対して、故障予兆評価の対象である製品の第2の稼働データを入力し、故障予兆の有無や故障確率を出力として得る。言い換えれば、ある機器の稼働データを用いて、その機器の故障予兆の評価(故障するかしないか、故障確率はどれくらいか)を行う。第1の故障予兆モデルとしては後述するブースティングモデルやナイーブベイズモデルが適用できる。
第1実施形態に係る評価装置100は、評価した結果(評価値)を記憶する第4の記憶部(評価値記憶部)61を有してもよい。
(予兆発生時稼動データ評価結果送信部)
第1実施形態に係る評価装置100は、第1の送受信部(稼働データ評価結果受信部)12、第2の送受信部(予兆発生時稼働データ評価結果送信部)53、出力部14を有してもよい。
第2の送受信部53は、評価算出部51により故障予兆の有無を判定した結果を第1の送受信部12に送信する。
(稼動データ記憶部、修理データ記憶部)
第1実施形態に係る評価装置100は、第2の記憶部(稼動データ記憶部)22、第3の記憶部(修理データ記憶部)23を有してもよい。第2の記憶部(稼動データ記憶部)22、第3の記憶部(修理データ記憶部)23は第1の学習部(故障予兆モデル学習部)11に接続している。第1の製品群101から得られる第1の稼動データは第2の記憶部(稼動データ記憶部)22に記憶される。第1の製品群101から得られる第1の修理データは修理センターで修理された部品が登録され、修理データとして第3の記憶部23に記憶される。第1の修理データの例を図18に示す。
第1の稼動データ、第1の修理データはそれぞれ第1の製品群101に接続された第1のデータ収集部(データ収集部)13に収集され、それぞれ第2の記憶部(稼動データ記憶部)22、第3の記憶部(修理データ記憶部)23に記憶されてもよい。
(稼動データ収集部)
第1実施形態に係る評価装置100は第2の製品群102から得られる第2の稼動データを収集する、第2のデータ収集部(稼動データ収集部)52を有しても良い。これら第2の製品群に含まれる製品は、例えば特定組織内のLANなどによりネットワークを介して第2のデータ収集部52に接続され、モニタリングされている場合が例示される。
(稼動データ記憶部)
第1実施形態に係る評価装置100は第5の記憶部(特定組織稼働データ記憶部)62を有してもよい。第5の記憶部62は第2のデータ収集部(稼動データ収集部)52が収集した第2の稼動データを記憶する。
(評価装置の構成)
第1実施形態に係る評価装置100の構成を図2に示す。
第1の学習部11、評価算出部51、第1のデータ収集部13、第2のデータ収集部52には中央演算装置(CPU)を用いることができる。
第1の記憶部21、第2の記憶部22、第3の記憶部23、第4の記憶部61、第5の記憶部62にはHDD、NAND型フラッシュメモリーなどの汎用の記録媒体を用いることができる。
第1の送受信部12、第2の送受信部53にはデータを有線または無線でやりとりする、ネット端末等を用いることができる。出力部14は評価結果を人間に知覚させるための装置を適用できる。この例としてディスプレイやプリンター等が挙げられる。
第1の学習部11、第1の送受信12、第1のデータ収集部13、出力部14、第1〜3の記憶部21〜23は相互にデータのやり取りが出来るように信号線L1で接続されている。
評価算出部51、第2のデータ収集部52、第2の送受信部53、第4の記憶部61、第5の記憶部62は相互にデータのやり取りが出来るように信号線L2で接続されている。
なお、図1において、破線Aで囲われている範囲の構成要素はサービス提供事業者が使用する第1の評価ユニット、破線Bで囲われている範囲は特定組織が使用する第2の評価ユニットとすることができる。
(第1実施形態に係る効果)
第1実施形態に係る評価装置100は、評価のサービスを提供するサービス提供事業者がAの部分を、特定組織がBの部分を有することにより、特定組織は稼働データ(第1の稼動データ)を特定組織外に提供することがなく、保守メンテナンスのサービスを受けることができるため、セキュリティや情報漏洩の面で利点がある。また、サービス提供事業者にとっては、故障予兆モデルを他社に提供する必要が無く、データ収集時の負荷やコストの削減できる利点がある。
(第2実施形態)
第2実施形態として評価装置200を図3〜6を用いて説明する。
図3は第2実施形態に係る評価装置200の構成を示すブロック図である。
第2実施形態に係る評価装置200は、第1実施形態に係る評価装置100と比較し、
第1の故障予兆モデルの有するパラメータを暗号化する暗号化部15と、乱数を発生させる乱数発生部55と、第2の稼動データ及び暗号化部15でパラメータが暗号化された第1の故障予兆モデルを用いて第2の稼働データに対して演算を行い、この演算の結果に乱数発生部55で発生させた乱数を加算する暗号演算部54と、暗号演算部54により演算された結果を復号化する復号化部16と、を有する点、及び評価算出部51は復号化された情報から先に加算した乱数を減算する点、が異なる。
(公開鍵作成部、秘密鍵作成部)
第2実施形態に係る評価装置200は、公開鍵生成部31、秘密鍵生成部32を有してもよい。公開鍵生成部31は公開鍵pkを生成する。秘密鍵生成部32は秘密鍵prを生成する。ここで、公開鍵暗号とは対になる2つの鍵(公開鍵pk、秘密鍵pr)を使ってデータの暗号化・復号化を行なう暗号方式である。公開鍵暗号では暗号化に使う鍵と復号化に使う鍵が分離されており、暗号化に使った鍵で復号化を行なうことはできず、片方からもう一方を割り出すことも容易にはできないようになっている。鍵の持ち主は復号化に使う鍵のみを他人に知られないように管理し、暗号化に使う鍵は公開する。このため、暗号化に使う鍵は公開鍵、復号化に使う鍵は秘密鍵と呼ばれる。それぞれの鍵の生成方法は次の通りである。公開鍵暗号を実装するための具体的な暗号方式はいくつかの方式が提案されていて、巨大な整数の素因数分解の困難さを利用したRSA暗号、離散対数問題の解の困難さを利用したElGamal暗号、楕円曲線上の離散対数問題を利用した楕円曲線暗号などがある。
生成された公開鍵pkは暗号演算部54に送られる。生成された秘密鍵prは復号化部16に送られる。
(公開鍵記憶部、秘密鍵記憶部)
また、第2実施形態に係る評価装置200は、第6の記憶部(公開鍵記憶部)41、第7の記憶部(秘密鍵生成部)42を有してもよい。第6の記憶部41は公開鍵生成部31で生成された公開鍵公開鍵pkを記憶する。第7の記憶部42は秘密鍵生成部32で生成された公開鍵公開鍵pkを記憶する。
(故障予兆モデルパラメータ暗号化部)
暗号化部15は、第1の学習部11が学習した第1の故障予兆モデルのパラメータを、準同型性公開鍵暗号と公開鍵を用いて暗号化する。暗号化されたパラメータは暗号演算部(稼動データ暗号演算部)54に送られる。
(暗号化済故障予兆モデル記憶部)
第2実施形態は、暗号化されたパラメータを記憶する第8の記憶部(暗号化済故障予兆モデル記憶部)63を有しても良い。
(乱数発生部、乱数記憶部)
乱数発生部55は乱数を発生させる。第2実施形態に係る評価装置200は、発生した乱数を記憶する第9の記憶部(乱数記憶部)64を有してもよい。
(稼動データ暗号演算部)
暗号演算部(稼働データ暗号演算部)54は、以下の(a)〜(d)を用いて演算を行う。具体的な演算について後述するが、このとき、準同型性公開鍵暗号を用いることによって暗号文のままで行われる演算によって得られた値は、暗号化されている。
(a)暗号化部15で暗号化されたパラメータ
(b)第2の稼働データ
(c)公開鍵生成部31により生成した公開鍵
(d)乱数発生部55により発生した乱数
(復号化部)
復号化部16は、暗号演算部54で演算された結果を秘密鍵を用いて復号化する。なお、復号化部16にて得られる結果には、乱数発生部55で発生させた乱数が加えられている。
(評価算出部)
評価算出部51は復号化部16で復号化された結果から乱数を減算する。これにより、第2の稼働データの評価結果を得ることができる。この評価結果は第4の記憶部(評価値記憶部)62に記憶してもよい。
(評価装置の構成)
第2実施形態に係る評価装置200の構成を図4に示す。図4では第1実施形態に係る評価装置100と相違する構成要素について主に示している。
暗号化部15、復号化部16、公開鍵生成部31、秘密鍵生成部32、乱数発生部55、暗号演算部54には中央演算装置(CPU)を用いることができる。
第6の記憶部41、第7の記憶部42、第8の記憶部63、第9の記憶部64にはHDD、NAND型フラッシュメモリーなどの汎用の記録媒体を用いることができる。
暗号化部15、復号化部16、公開鍵生成部31、秘密鍵生成部32、第6の記憶部41、第7の記憶部42は相互にデータのやり取りが出来るように信号線L1で接続されている。乱数発生部55、暗号演算部54、第8の記憶部63、第9の記憶部64は相互にデータのやり取りが出来るように信号線L2で接続されている。
なお、図3において、破線Aで囲われている範囲の構成要素はサービス提供事業者が使用する第1の評価ユニット、破線Bで囲われている範囲は特定組織が使用する第2の評価ユニットとすることができる。
(秘匿計算の方法)
暗号化及び復号化に係る秘匿計算の詳細を図5に示す。また、図6に秘匿計算のフローチャートを示す。ここでは、多項式演算の例について説明する。このときのフローは以下のようになる。
Figure 0005228019
ここで述べた多項式演算の場合の秘匿計算方法は、Naor,Benny,1999、Oblivious transfer and polynomial evaluation に述べられている。
(第2実施形態に係る効果)
一般に、各企業内または組織内で稼働データの評価を行うためには、故障予兆モデル(プログラム)を外部の第三者に提供(公開)しなくてはならない。これに対し、第2実施形態に係る評価装置200は、評価のサービスを提供するサービス提供事業者がAの部分を、特定組織がBの部分を有することにより、サービス提供事業者にとっては、故障予兆モデルを他社に提供/顧客企業に公開する必要が無い。これは、故障予兆モデルのパラメータが暗号化されているためである。また、稼動データに対する演算結果を送信する際は、暗号化・乱数加算されているのでセキュリティ上の問題がない。すなわち、サービス提供事業者は故障予兆モデルを特定組織に公開することなく、サービスを提供することができ、特定組織はモニタリングデータ(第1の稼動データ)をサービス提供事業者に公開することなく、稼働データの評価を行える、という利点がある。
(第3実施形態)
第3実施形態として評価装置を図7〜10を用いて説明する。
第3実施形態に係る評価装置300は、第2の製品群の第2の修理データ、及び第2の製品群に含まれる製品であって過去に修理されたことのある製品の第3の稼動データを更に用いて第2の故障予兆モデルを学習する第2のモデル学習部を有する点が第1及び第2実施形態と異なる。ここで、第3の稼動データには、例えば、サービス提供事業者が修理センターで修理品から抽出した、修理発生以前の過去の稼働データを用いることができる。
図7は第3実施形態に係る評価装置の構成を示すブロック図である。
なお、図7において、図3にて示した公開鍵生成部31、秘密鍵生成部32、第6の記憶部41、第7の記憶部42は省略している。
第3実施形態は第1のモデル学習部に加え、第2のモデル学習部を有する。第1のモデル学習部11は、第1の荷重設定部(稼働データ荷重値設定処理部)11−1とモデル設定部とを有する。第2のモデル学習部17は、第2の荷重設定部(稼働データ荷重値設定処理部)17−1とモデル更新部17−2を有する。
(特定組織向け故障予兆モデル学習部)
第2のモデル学習部(特定組織向け故障予兆モデル学習部)17は、第2の製品群の第2の稼働データ、第2の製品群の第2の修理データを用いて、故障予兆モデルを第2の製品群に含まれる製品の特性に合わせて修正したパラメータを学習する。第2のモデル学習部17の詳細について説明する。
(稼動データ荷重値設定処理部)
第1及び第2の荷重設定部(稼働データ荷重値設定処理部)11−1、17−1は、第1または第2の稼働データの観測数に応じて、各観測データに対して荷重値を設定する。故障予兆モデルを構築する際に用いるデータのうち、故障製品の一台の稼働期間が非常に長く、他の故障製品の稼働時間が非常に短いとき、構築されるモデルは、稼働データの観測数が多い一台の故障製品に対して偏ったモデルになってしまう。このような場合であっても、稼働データの観測数が多い製品、すなわち、長期間稼働した製品に偏ったモデルが構築されないようにしたいからである。
図20は観測した稼働データ数の例を示したものである。図21はこのときの各製品の稼働データに対する荷重値を示したものである。荷重値は以下の式で計算される。
Figure 0005228019
図20の製品1の例では、全製品の稼働データ観測数=1000、製品1の稼働データ観測数=80である。
第3実施形態の1つとして、ブースティング学習をモデル学習に用いることができる。図8にブースティング学習をモデル学習に用いた場合のブロック図を示す。
ブースティング学習を用いるとき、第2のモデル学習部(特定組織向け故障予兆モデル学習部)17では、第1の故障予兆モデルで第2の稼動データの故障予兆を判定し、予兆が誤りとなる場合(すなわち、予兆発生後に故障が発生しない場合)の第2の稼動データに重みを付けを行った上で、第1の故障予兆モデルを修正するパラメータを学習する。すなわち、第1の故障予兆モデルを特定組織向けの第2の故障予兆モデルに補正する。
ここでは、ブースティング学習のアルゴリズムとしてAdaboostの場合について説明する。図9にフローを示す。まず、第1の故障予兆モデルによって第2の稼動データの評価を行い、それに基づく荷重値を算出する。なお、第1の故障予兆モデルを
Figure 0005228019
と表現しているが、1は故障、-1は非故障を意味している。第1の故障予兆モデルの構築手順はここでは省略するが、任意の判別モデルで良い。
Figure 0005228019
上記のように第1の故障予兆モデルで誤りとなる第2の稼動データに重みを付けた上で、次に、第2の故障予兆モデルを学習する。なお、第2の学習部17での学習には第3の稼動データ、第2の修理データのみを用いる。例えば、下記[数5]に示す弱学習モデルには、深さ1の決定木などを用いることができる。
Figure 0005228019
(特定組織修理データ記憶部)
第3実施形態に係る評価装置300は、第11の記憶部(特定組織修理データ記憶部)24を有してもよい。第11の記憶部24は、第2の製品群に含まれる製品が修理センターで修理されたときの修理部品を記憶する(図18)。
(特定組織修理製品稼働データ記憶部)
第3実施形態に係る評価装置300は、第12の記憶部(特定組織修理製品稼働データ記憶部)25を有してもよい。第12の記憶部25は、第2の製品群に含まれる製品の第3の稼働データを記憶する(図17)。
(特定組織向け出荷データ記憶部)
第3実施形態に係る評価装置300は、第13の記憶部(特定組織向け出荷データ記憶部)26を有してもよい。第13の記憶部26は、第2の製品群に含まれる製品の出荷データを記憶する。
(特定組織向け故障予兆モデル記憶部)
第3実施形態に係る評価装置300は、第14の記憶部(特定組織向け故障予兆モデル記憶部)27を有してもよい。第14の記憶部27は、第2の学習部17で学習した、第2の故障予兆モデルのパラメータを記憶する。
(評価装置の構成)
第3実施形態に係る評価装置300の構成を図10に示す。図10では第2実施形態に係る評価装置200と相違する構成要素について主に示している。
第2のモデル学習部17には中央演算装置(CPU)を用いることができる。
第11の記憶部24、第12の記憶部25、第13の記憶部26にはHDD、NAND型フラッシュメモリーなどの汎用の記録媒体を用いることができる。
第2のモデル学習部17、第11の記憶部24、第12の記憶部25、第13の記憶部26は相互にデータのやり取りが出来るように信号線L1で接続されている。
なお、図7において、破線Aで囲われている範囲の構成要素はサービス提供事業者が使用する第1の評価ユニット、破線Bで囲われている範囲は特定組織が使用する第2の評価ユニットとすることができる。
(第3実施形態に係る効果)
第3実施形態に係る評価装置300では、サービス提供事業者は、特定組織対し、当該特定組織向けに、カスタマイズされたサービスを提供できる。このカスタマイズされたサービスでは、第1実施形態、第2実施形態に比較して、精度の高い予兆モデルに基づく保守サービスを提供できるという利点を有する。
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態の変形例は、第3実施形態と比較して、第2の学習部17の学習方法が異なる。具体的には、第2のモデル学習部17として、ナイーブベイズ学習を用いる点が異なる。図11にブロック図を示す。
第1の稼動データ、第1の故障データに基づいて、故障製品・非故障製品のそれぞれに対して、第1の稼働データの各項目の分布を学習し、事前分布に設定する。その際に、故障製品の分布と、非故障製品の分布の2種類を求める。
図22、図23は、第1の製品群のデータ(第1の稼動データ、第1の修理データ)を用いて、第1の故障予兆モデルを構築する第1のモデル学習部(故障予兆モデル学習部)11の説明図である。ラベル生成処理部11−3は、稼働データ記憶部22に記憶された第1の稼働データと修理データ記憶部23に記憶された第1の修理データを用いて、稼働データ記憶部22に記憶された第1の稼働データの各観測時点に対して、故障ラベル、非故障ラベルのいずれかのラベルを付与する。稼働データ確率分布学習部11−4は、故障ラベル、非故障ラベルが付与された第1の稼働データのそれぞれについて、第1の稼働データの各項目(例:温度、加速度、電流など)の取る値の分布を第1の稼働データの観測項目ごとに求める。図12は、第1の稼働データの各観測時点に対して故障・非故障のラベル付与を行うフローである。まず、第1の稼働データの観測から指定期間以内に故障が発生していれば故障ラベルを付与し、第1の稼働データの観測から指定期間以内に故障が発生していなければ非故障ラベルを付与する。図19にラベル付与に関する説明図を示す。図19の例では、上記の指定期間を30日としている。すなわち、稼働データ観測から30日以内に故障が起こった稼働データに対して、「故障」ラベルを付与する。図19では記号「◆」が故障発生を意味する。図19の例では、第1の製品群に含まれる製品1ではすべての観測日の稼働データに対して、「故障」ラベルが付与される。また、第1の製品群に含まれる製品2の故障発生日を含め30日以内の期間の稼働データについては、「故障」ラベルが付与される。一方、製品2のうち故障から30日より前の観測日の稼働データについては、「非故障」ラベルが付与される。故障製品の分布を求める際には、モデル構築に用いるデータのうち、全ての故障製品の全ての観測時刻での第1の稼働データを用いる。非故障製品の分布を求める際も同様である。
図22の例のように、連続値を取る項目の場合は、値を区分してヒストグラムを求めても良いし、正規分布のようなパラメトリックな分布を適用しても良い。一方、図23のような離散値を取る項目の場合は、ヒストグラムの適用が適している。
ここで、稼働データの各項目の値別の出現頻度をカウントする際に、稼働データの分布は「稼働データ荷重値設定処理部」17−1で算出した荷重値を用いて頻度をカウントする。そして、全区間で積分して1になるように規準化した頻度分布を求める。
以下にアルゴリズムを説明する。用いる記号は以下である。
Figure 0005228019
Figure 0005228019
次に、第2のモデル学習部(特定組織向け故障予兆モデル学習部)17では、ベイズの
定理に従って、第1の故障予兆モデルの分布パラメータを更新する。
Figure 0005228019
ここで、Doldは第1の製品群のデータ(第1の稼動データ、第1の修理データ)、Dnew
は第2の製品群のデータ(第3の稼動データ、第2の修理データ)である。稼動データ確
率分布更新部17−3は、第2の製品群のデータ(第3の稼動データ、第2の修理データ
)を用いて第1の製品群の第1の故障予兆モデル(確率分布のパラメータ)を更新する。

第2のモデル学習部17で求める故障予兆モデルのパラメータは、第2の稼働データの各項目についてそれぞれ独立に求める。第14の記憶部(特定組織向け故障予兆モデル記憶部)27では、それらのパラメータを記憶する。
本変形例ではナイーブベイズ判別を用いた判別を行い、評価対象の第2の稼働データが、故障・非故障のどちらの分布に近いかを求める。ここで、各稼働データの項目が独立であると仮定する。すなわち、
Figure 0005228019
とする。なお、Dは観測データの項目数であり、
Figure 0005228019
である。このとき、あるj番目の観測点での第2の稼働データの故障・非故障の判別結果は、
Figure 0005228019
である。
Figure 0005228019
図13はナイーブベイズによる学習のフローを示したものである。
(第3実施形態の変形例に係る効果)
本実施例で得られるモデルは、稼働データの値の分布を見て、製品が故障に近いことを警告することに活用できる。従って、時系列稼働データの「値」の監視に使える。その際、値の時間変化に関する情報は用いていないが、時系列データの監視で広く用いられている上限値、下限値といった閾値との比較による監視よりは、高度の監視が可能である。
(第4実施形態)
第4実施形態として、サービス提供事業者を別企業にした場合が考えられる(図15)。
図15と図1の差異は、復号化部16と第1の送受信部12を、モデル提供事業者とは別のサービス提供事業者に設けている点である。一方、暗号化済みの第2の故障予兆モデルを特定組織に渡す点は図1と同じである。
図15において、破線A、B、Cで囲われている領域がそれぞれモデル提供事業者、特定組織、サービス提供事業者に対応する。
これにより、モデル提供事業者Aはモデルの内容を特定組織B、サービス提供事業者Cに知られることなく、また、特定組織Bはモニタリングデータの内容をモデル提供事業者A、サービス提供事業者Cに知られることなく、サービス提供事業者Cは特定組織Bに対して保守メンテナンス等のサービスを提供することができる。
(第4実施形態の変形例)
サービス提供事業者を別企業にした、別の形態が考えられる(図16)。図16と図1の差異は、第8の記憶部63と第1の送受信部12を、モデル提供事業者とは別のサービス提供事業者に設けている点である。一方、復号化部16をモデル提供事業者が持つ点は図1と同じである。
図16において、破線A、B、Cで囲われている領域がそれぞれモデル提供事業者、特定組織、サービス提供事業者に対応する。
これにより、モデル提供事業者Aはモデルの内容を特定組織B、サービス提供事業者Cに知られることなく、また、特定組織Bはモニタリングデータの内容をモデル提供事業者A、サービス提供事業者Cに知られることなく、サービス提供事業者Cは特定組織Bに対して保守メンテナンス等のサービスを提供することができる。
これまで説明した各実施形態に記載されている方法の各ステップは、コンピュータにこれらのステップを実行させるプログラムとすることが可能である。また、これらのプログラムはコンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録することが可能である。
これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
11 ・・・ 第1の学習部(故障予兆モデル学習部)
12 ・・・ 第1の送受信部
13 ・・・ 第1のデータ収集部(データ収集部)
15 ・・・ 暗号化部(故障予兆モデルパラメータ暗号化部)
16 ・・・ 複合化部
21 ・・・ 第1の記憶部(故障予兆モデル記憶部)
22 ・・・ 第2の記憶部(第1の稼動データ記憶部)
23 ・・・ 第3の記憶部(第1の修理データ記憶部)
24 ・・・ 第11の記憶部(特定組織修理データ記憶部)
25 ・・・ 第12の記憶部(特定組織修理製品稼働データ記憶部)
26 ・・・ 第13の記憶部(特定組織向け出荷データ記憶部)
27 ・・・ 第14の記憶部(特定組織向け故障予兆モデル記憶部)
31 ・・・ 公開鍵生成部
32 ・・・ 秘密鍵生成部
41 ・・・ 第6の記憶部(公開鍵記憶部)
42 ・・・ 第7の記憶部(秘密鍵記憶部)
51 ・・・ 評価算出部(稼動データ評価値算出部)
52 ・・・ 第2のデータ収集部(稼動データ収集部)
53 ・・・ 第2の送受信部
54 ・・・ 暗号演算部(稼動データ暗号演算部)
55 ・・・ 乱数発生部
61 ・・・ 第4の記憶部(評価値記憶部)
62 ・・・ 第5の記憶部(特定組織稼動データ記憶部)
63 ・・・ 第8の記憶部(暗号化済故障予兆モデル記憶部)
64 ・・・ 第9の記憶部(乱数記憶部)
100、200、300 ・・・ 評価装置
101 ・・・ 第1の製品群
102 ・・・ 第2の製品群

Claims (4)

  1. 中央演算装置を備える評価装置であって、
    サービス提供業者が備える第1の中央演算装置が、第1の製品群の観測値を含む第1の稼働データと、前記第1の製品群のうち故障した製品情報を含む第1の修理データとを用いて、前記観測値を故障または非故障に分類するための第1の故障予兆モデルが有する第1のパラメータを更新し、更新後の第1のパラメータを第2のパラメータとして有する第2の故障予兆モデルを得る第1のモデル学習部と、
    サービス提供業者が備える第2の中央演算装置が、特定組織が有し、かつ前記第1の製品群には含まれない第2の製品群のうち、サービス提供業者において過去に修理されたことのある製品から得られるものであって、前記第2の製品群のうち故障した製品情報を含む第2の修理データ及び前記製品の修理以前の観測値を含む第3の稼動データを更に用いて、前記第2の故障予兆モデルの前記第2のパラメータを更新し、更新後の第2のパラメータを第3のパラメータとして有する第3の故障予兆モデルを得る第2のモデル学習部と、
    特定組織が備える第3の中央演算装置が、前記第3の故障予兆モデルと、前記第2の製品群の観測値を含む第2の稼働データとを用いて、前記第2の製品群の故障予兆の有無または故障確率を算出する評価算出部と、
    を備えることを特徴とする評価装置。
  2. 特定組織が備える第4の中央演算装置が、乱数を発生させる乱数発生部と、
    サービス提供業者が備える第5の中央演算装置が、前記第3のパラメータを暗号化する暗号化部と、
    特定組織が備える第6の中央演算装置が、前記第2の稼動データ及び前記暗号化部で暗号化された前記第3の故障予兆モデルを用いて前記第2の稼働データに対して演算を行い、この演算の結果に前記乱数発生部で発生させた乱数を加算する暗号演算部と、
    サービス提供業者が備える第7の中央演算装置が、前記暗号演算部により演算された結果を復号化する復号化部と、
    を有し、
    前記評価値算出部は前記復号化された情報から前記乱数を減算することを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
  3. 特定組織が備え、前記評価算出部により算出された結果を送信する送信部と、
    サービス提供業者が備え、前記送信部から送信された結果を受信する受信部と、
    を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の評価装置。
  4. サービス提供業者が備え、前記評価算出部により算出された評価結果を表示する出力部と、
    を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の評価装置。
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