JP2004272375A - 遠隔故障予測システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の遠隔故障予測システムによれば、故障予測サーバ100が、ネットワークを介して故障予測対象車両110と接続し、予め故障車両111から取得した故障発生前の車両データを用い、近い将来において故障予測対象車両110に故障が発生するか否かを予測する。具体的には、故障予測対象車両110から車両データを受信し、この受信された車両データと故障車両の車両データとを相関演算する。両者に一定の相関関係があれば、故障車両と同様の故障が発生することになる。この予測結果は故障予測対象車両110の顧客に対して報告されるので、顧客に対して故障前に注意を促すことができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠隔から車両に接続しての故障を予測する遠隔故障予測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ネットワークを介して故障した車両と接続し、その故障個所を診断する故障診断システムが提案されている(例えば、特許文献1)。この従来技術によれば、故障診断システムと車両とを遠隔的に接続することで、顧客がサービス工場に出向かなくとも、車両が故障しているかどうかや故障個所を把握でき、大変便利なものであった。
【0003】
しかしながら、顧客にとってみれば故障してから故障個所を把握できるよりも、故障の前に故障の発生を予知できれば、なおさら便利である。なぜなら、故障が予知できれば、故障する前にサービス工場へと車両を入庫させ、問題の部品を交換することが可能になり、その結果、不意に車両が故障して立ち往生するといった最悪の事態を回避できるからである。
【0004】
従来、故障を予測する遠隔システムとしては、例えば特許文献2に記載された発明がある。この従来技術は、個々の車両に搭載されているセンサの出力を学習させ、学習により得られた学習値が正常範囲にない場合には異常ありと判断するものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−228552号公報
【特許文献2】
特開2002−202003号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、「車両ごとに」学習値を取得し、取得された学習値と正常範囲とを比較する手法であった。すなわち、自己の車両から得られた車両データだけを利用して故障を診断していた。
【0007】
このような判断手法では、他車の車両データは必要ないため、わざわざネットワークを介して遠隔から診断せずとも、車両内において実行可能である。従って、従来技術のようにネットワーク化すればコスト面で有利とはいえない。ネットワークを利用するからにはコストに見合った付加価値が必要である。
【0008】
そこで、本発明では、ネットワークを介して収集された他の車両のデータ(例えば、故障車両のデータなど)を利用することで、ネットワーク接続の利点を生かすとともに、故障予測の信頼性を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る遠隔故障予測システムは、以下の構成を特徴とする。
【0010】
本願の第1の発明は、故障予測対象車両に対して遠隔から故障の発生予測を行い、故障予測結果を顧客に送信する遠隔故障予測システムであり、故障車両の故障発生前における車両状態に関する車両データを記憶する記憶手段と、ネットワークを介して接続された故障予測対象車両から車両データを受信する受信手段と、前記受信された車両データと比較するための、前記故障車両の故障発生前の車両データを前記記憶手段から読み出す読出手段と、前記受信された車両データと前記故障発生前の車両データとを比較し、該比較の結果に基づいて故障の発生を予測する故障予測手段と、前記故障予測手段による予測結果を前記故障予測対象車両の顧客に対して送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、前記受信手段は、さらに、故障していない正常な車両についての車両データを受信し、前記故障予測手段は、前記故障予測対象車両の車両データと前記正常な車両の車両データとを比較し、該比較の結果にも基づいて故障の発生を予測する遠隔故障予測システムも提供される。
【0012】
また、上記の何れかの遠隔故障予測システムにおいて、前記故障予測手段は、データマイニング手法を用いて複数の故障車両についての車両データから故障モデルを作成する作成手段をさらに備え、前記作成された故障モデルと前記故障予測対象車両の車両データとを比較して故障を予測するように構成してもよい。
【0013】
また、前記故障予測手段は、故障予測対象車両と類似の走行状態にあった故障車両又は正常車両の車両データを用いて故障の発生を予測してもよい。
【0014】
また、前記故障予測手段は、故障予測対象車両と同一又は類似の年式の故障車両又は正常車両の車両データを用いて故障の発生を予測してもよい。
【0015】
本願の第2の発明は、車両状態を検出する検出手段と該検出された車両状態に関する経時的な車両データを記憶する記憶手段とを有する車両にネットワークを介して接続して故障の発生を予測する遠隔故障予測システムであって、故障車両から、又は該故障車両の入庫されたサービス工場のコンピュータを経由し、該故障車両について少なくとも故障発生直前の車両状態を含む車両データと、発生した故障の種類を識別するための故障識別コードとを受信する手段と、前記受信された故障車両の車両データと前記故障識別コードとを記憶する故障情報データベースと、故障予測対象となる車両から車両データを受信すると、前記故障情報データベースに記憶されている車両データのなかに、前記故障予測対象となる車両の車両データと同一又は類似の傾向を示すものがあるかを判定する手段と、前記同一又は類似の傾向を示すものがある場合には、前記同一又は類似の傾向を示した車両データに対応する故障識別コードを抽出する手段と、前記抽出された故障識別コードに基づく故障予測結果を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、上記遠隔故障予測システムは、前記故障識別コードの複数についてそれぞれの緊急度を管理する管理手段をさらに備え、前記抽出の結果、複数の故障識別コードが抽出された場合には、抽出された故障識別コードのうち緊急度の高いものを故障予測結果として出力してもよい。
【0017】
また、前記故障情報データベースには、故障発生時刻に関する情報がさらに記憶されており、前記故障車両の車両データのうち前記故障予測対象車両の車両データと一致した部分の時刻から、前記故障発生時刻までの時間を故障発生予測時間として出力してもよい。
【0018】
また、上記のいずれかの遠隔故障予測システムにおいて、前記故障予測対象となる車両の車両データと同一又は類似の傾向を示した前記故障情報データベースに記憶されている車両データとの一致度合いを算出する手段と、前記算出された一致度合いに故障発生確率を算出する手段とをさらに備え、前記算出された故障発生確率も出力するようにしてもよい。
【0019】
本願の第3の発明によれば、上記何れかの遠隔故障予測システムに対して故障予測要求を送信する手段と、前記遠隔故障予測システムから故障予測結果を受信する手段と、前記受信された故障予測結果を報知する手段とを有する車両が提供される。
【0020】
本願の第4の発明によれば、上記何れかに記載された遠隔故障予測システムにネットワークを介して接続されたサービス工場用のコンピュータであって、前記サービス工場に入庫された故障車両から少なくとも故障発生直前の車両状態を含む車両データを受信する手段と、前記受信された車両データを、前記故障識別コードとともに前記遠隔故障予測システムに送信する手段とを有するサービス工場用のコンピュータが提供される。
【0021】
尚、同目的は、上記の各構成を備える遠隔故障予測システムに対応する遠隔故障予測方法によっても達成される。
【0022】
また、同目的は、上記遠隔故障予測システムに含まれる各手段を、コンピュータによって実現するためのプログラム、及びそのプログラムコードが格納されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体によっても達成される。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、従来技術よりも故障予測の信頼性を向上させることが可能な遠隔故障予測システム、遠隔故障予測方法及び遠隔故障予測プログラムが実現される。
【0024】
即ち、請求項1、6、12及び13に記載の発明によれば、ネットワーク接続の利点を生かし、故障予測対象車両の車両データと、実際に故障が発生した車両の故障発生前の車両データとに基づいて故障予測対象車両の故障の発生を予測することで、故障予測の信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、請求項2の発明によれば、故障車両の車両データに加え、正常車両の車両データを用いることで、故障車両の車両データだけを用いる場合よりも故障予測の信頼性を向上させることができる。
【0026】
また、請求項3の発明によれば、複数の故障車両の車両データについてデータマイニング手法によりシステムを運用しながらモデル化を行なうため、事前のモデリングが不要となり、新規の故障データも随時追加でき、故障予測の信頼性を向上させることができる。また、データマイニング手法を用いることで故障車両の車両データと故障予測対象の車両データの一致度合い(故障発生確率)を提供できるため、顧客に対して故障発生確率を報知することもできる。
【0027】
また、請求項4の発明によれば、故障予測対象車両と同一又は類似の走行状態にあった故障車両又は正常車両の車両データを用いて故障の発生を予測するため、類似の走行状態にない車両の車両データをも含めて予測をするよりも、予測の精度を向上させることができる。
【0028】
また、請求項5の発明によれば、故障予測対象車両と類似の年式の故障車両又は正常車両の車両データを用いて故障の発生を予測するため、異なる年式の車両の車両データをも含めて予測をするよりも、予測の精度を向上させることができる。
【0029】
また、請求項7に記載の発明によれば、予測された故障の緊急度に応じて顧客に故障予測結果を通知するため、例えば、緊急度の高い故障が予測されたときには、顧客に対してサービス工場への入庫を強く奨めることができる。
【0030】
また、請求項8に記載の発明によれば、故障情報データベースに記憶されている故障発生時刻に関する情報に基づいて、故障予測車両において同様の故障が発生するであろう故障発生予想時間を顧客に通知できるため、顧客は車両をサービス工場に入庫させるタイミングを決定しやすくなるであろう。
【0031】
また、請求項9に記載の発明によれば、故障予測対象となる車両の車両データと故障車両の車両データの一致度合いから故障発生確率を算出するようにしたので、顧客は特定の故障の発生を定量的なデータとして把握することが可能となる。
【0032】
また、請求項10に記載の発明によれば、上述の遠隔故障予測システムに対応した車両を提供することができる。
【0033】
また、請求項11に記載の発明によれば、上記の遠隔故障予測システムに適したサービス工場用のコンピュータを提供することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る遠隔故障予測システムについての一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、一見すると特許請求の範囲には記載されていないと思われる実施形態が存在するかもしれないが、これらは意識的に除外したものではなく、特許請求の範囲に記載の発明と均等であるためにあえて、特許請求の範囲には記載していないことを理解していただきたい。
【0035】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係るシステムの構成例を示した図である。情報センター100は、顧客の車両110、111やサービス工場120などから送信される各種の情報を蓄積するとともに、故障予測結果を提供するコンピュータ群である。情報センター100は、顧客の車両110、サービス工場120とインターネット130やモバイル通信回線などを経由して接続している。
【0036】
顧客の車両110及び111は、故障の予測に必要なデータを取得して情報センター100に送信する。
【0037】
サービス工場120は、いわゆる修理工場などであり、故障車両111から車両データを読み出したり、故障個所や故障の原因に関する情報を情報センター100に送信したりする。サービス工場にはサービス工場用のクライアント装置が設定されている。このクライアント装置は、一種のコンピュータであり、CPU、メモリ、ハードディスクドライブ及び通信インタフェースなどを備えている。以下の説明では、フローチャートに対応するプログラムをCPUが実行することにより、各種の処理が実行されることになる。
【0038】
情報センター100には、故障の予測処理を実行する故障予測サーバ101と、顧客(全ての顧客又は故障予測サービスの契約者)の情報を格納した顧客情報データベース102と、故障車両111やサービス工場のクライアント装置121から送信された故障データを格納する故障情報データベース103と、顧客の車両110、111から送信されてきた車両データを蓄積する車両情報データベース104と、サービス工場の位置などに関する情報を格納するサービス工場データベース105と、地図データを格納した地図データベース106と、故障を診断又は予測するための各種プログラムを格納した診断プログラムデータベース107とを含んでいる。
【0039】
故障予測サーバ101は、一種のコンピュータであり、CPU、メモリ、ハードディスクドライブ及び通信インタフェースなどを備えている。以下の説明では、フローチャートに対応するプログラムをCPUが実行することにより、各種の処理が実行されることになる。
【0040】
この故障予測サーバ101により、例えば、故障車両111の故障発生前の車両状態に関する車両データを記憶する記憶手段(例:故障予測サーバ101のメモリ、ハードディスクドライブ、故障情報データベース103、車両情報データベース104など)と、ネットワーク130を介して接続された故障予測対象車両110から車両データを受信する受信手段(例:故障予測サーバ101の通信インタフェース)と、前記受信された車両データと比較するための、前記故障車両の故障発生前の車両データを前記記憶手段から読み出す読出手段(例:故障予測サーバ101のCPU)と、前記受信された車両データと前記故障発生前の車両データとを比較し、該比較の結果に基づいて故障の発生を予測する故障予測手段(例:故障予測サーバ101のCPU)と、前記故障予測手段による予測結果を前記故障予測対象車両の顧客に対して送信する送信手段(例:故障予測サーバ101の通信インタフェース)とを有する遠隔故障予測システムが実現される。
【0041】
図2は、本実施形態に係る車両の構成例を示したブロック図である。遠隔車両用クライアント装置200は、CPU、メモリなどからなるメインコントローラであり、各種制御ユニットやセンサから制御データやセンサ出力を取得し、メモリに蓄積したり、蓄積した情報をモバイル端末(モバイル通信インタフェース)250や近距離無線通信インタフェース255を介して情報センター100に送信したり、情報センター100から故障予測結果を受信したりする。近距離無線通信インタフェース225は、無線LAN、ブルートゥース及びETC用の無線規格などを採用できる。また、遠隔車両用クライアント装置200は、故障予測サーバ101に対し、モバイル端末(モバイル通信インタフェース)250や近距離無線通信インタフェース255を介して、故障予測要求を送信したり、故障予測結果を受信する。
【0042】
ボディー系システム210は、パワーウインドウユニット211、ヘッドライトユニット212、オーディオユニット213、エアコンユニット214、ワイパーユニット215及びドアロックユニット216などを含み、制御結果や電流・電圧などのデータを車両用クライアント装置200へと出力する。
【0043】
制御系システム220には、ブレーキがロックしないように制御するABS(アンチロック・ブレーキ・システム)221、車両の挙動を制御するDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントローラ)222、燃料の供給を制御するEGI(エレクトリック・ガス・インジェクション)223、自動変速機を制御するEAT(エレクトリック・オートマティック・トランスミッション)224及び自動走行などドライバの運転を補助するICCW(インテリジェント・クルーズ・コントロール&ワーニング)225などを含み、車両用クライアント装置220に対して制御結果などを通知する。
【0044】
また車両には各種のセンサ群が搭載されている。例えば、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)衛星からの電波を受信して車両の現在位置を算出するGPSセンサ231、渋滞情報などを受信するVICS情報受信機232、車両の速度を検出する車速センサ233、前方の車両など他の車両との距離を計測する車間距離センサ234、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ235、車両の加速度を検出する加速度センサ、車両の操舵角を検出する操舵角センサ237、スロットルの開度を検出するスロットル開度センサ238、ブレーキの踏み込み圧力を検出するブレーキ圧センサ239及びウインカスイッチの動作状態を検出するウインカSWセンサ240などが車両には搭載されている。なお、図示してはいないが、気温センサや雨量センサなどを搭載していてもよい。
【0045】
ナビゲーション・コントローラ260は、GPSセンサ231からの測位データに基づいて、ハードディス・クドライブなどに記憶されている地図情報を検索し、現在位置の地図を表示する装置である。顧客たるドライバへの入出力装置270は、液晶ディスプレイなどの表示装置と音声主力装置などを含んでおり、ナビゲーション・コントローラ260からの地図データを出力したり、情報センター100からの故障予測結果を出力したりする。このように、入出力装置270を通じて、故障予測結果を顧客に報知することが可能となる。
【0046】
図3は、サービス工場120の構成例を示した図である。サービス工場用クライアント121は、テスター301からの故障診断情報や、故障した車両111に搭載されている車両用クライアント装置200に蓄積されている故障発生前の車両データを読み出し、発生した故障を表す故障識別コードとともに情報センター100に送信するコンピュータである。なお、サービス工場用クライアント121は、情報センター100と通信するための通信インタフェースも備えている。なお、車両と通信する際には、例えば、近距離無線通信インタフェース310を介して車両111と接続することができる。テスター301は、故障車両に設けられたコネクターに接続することで詳細な故障診断を行なう装置である。
【0047】
図4は、本実施形態に係る車両データの収集に関するフローチャートである。ステップS400において、車両用クライアント装置200に搭載されているCPUは、各種センサやユニットからの出力を、それぞれ適切なタイミングでサンプリングし、メモリに記憶する。
【0048】
ステップS402において、車両用クライアント装置200に搭載されているCPUは所定のタイミング(例えば、定期的、エンジン始動時、エンジン始動が所定時間経過後、及びドライバによる明示的な指示が入力されたときなど)になったと判断すると、メモリに記憶されている車両データを読み出し、車両又はドライバを特定する情報を付加し、モバイル通信インタフェース250又は近距離無線通信インタフェース255を介して情報センター100に送信する。
【0049】
ステップS410において、情報センター100の故障予測サーバ101は、モバイル通信インタフェースなどを介して車両から送信された車両データを受信する。ステップS412において、故障予測サーバ101は、受信した車両データを、対応する車両又はドライバを特定する情報と関連付けて車両情報データベース104に記憶する。
【0050】
以上の手順により、故障をしていない正常車両についての車両データが車両データベース104に格納される。
【0051】
図5は、故障の予測に使用される故障データの収集に関するフローチャートである。故障データの収集方法は、概ね2通りがある。1つは、故障した車両から故障データを読み出し故障情報データベース103へ書き込む方法である(ステップS500、S502)。もう1つは、故障車両111が入庫されたサービス工場のクライアント装置121により故障車両111から故障データを読み出した後、故障情報データベース103へと書き込む方法である(S510、S512)。
【0052】
ステップS500において、故障車両111に搭載された車両用クライアント装置200は、故障の発生を認識した顧客により故障データの送信が指定されると、故障発生時刻、車両番号(車体番号)及び故障識別コードなどをメモリから読み出し、故障データを作成する。この故障発生時刻と故障識別コードは、顧客が入出力装置270を操作して入力することができる。車両番号などの車両を特定するために役立つ情報は、例えば、ROMなどに記憶されているものを読み出せばよい。
【0053】
なお、車両用クライアント装置200が故障診断プログラムを搭載している場合には、故障診断プログラムを実行することにより常時、定期的又は所定のタイミング(スイッチ操作時など)で各種センサやユニットからのデータを取得して故障の発生を監視し、故障の発生を検出すると、故障発生時刻と、発生した故障に対応する故障識別コードとを決定し、故障データを作成し、情報センター100へとアップロードすることができる。
【0054】
ステップS502において、車両用クライアント装置200は、メモリに記憶されていた車両データと故障データとを情報センター100内の故障予測サーバ101に送信する。ステップS504において、故障予測サーバ101は、インターネット130を経由して車両データと故障データとを受信する。ステップS506において、故障予測サーバ101は、受信した車両データを車両情報データベース104に記憶する。ステップS508において、故障予測サーバ101は、受信した故障データを車両情報データベースに記憶する。
【0055】
以上のようにして、故障予測に使用するための判断要素となる故障データと車両データとが各データベースに記憶される。なお、故障データやその車両データは故障モデルといえるものであるが、データマイニング手法においてはこの故障モデルは、時々刻々とデータが追加されることで絶えず変化しており、他のデータとの比較の段階で確定されるものである。その意味では、故障予測サーバ101が、受信した故障データを故障情報データベース103や車両情報データベース104に登録する処理や、これらから所望の車両データを抽出する処理は、故障モデルの作成処理に該当するといえよう。
【0056】
ところで、故障データや車両データは、サービス工場120から収集してもよい。ステップS510において、テスター301が故障車両111に接続され、故障診断が実行される。この故障診断においては、テスター301及び/又はクライアント装置121が、故障車両111のメモリに記憶されている車両データを読み出して詳細な調査を実行したり、あるいは特定の検査用信号を各種ユニットに送信し、各種ユニットからの応答データを検査したりするなどして、故障データを作成する。
【0057】
なお、サービス工場用クライアント121は、無線通信インタフェース310を介して故障車両111と接続し、メモリに格納されている車両データを読み出してもよく、この場合はさらに、サービス工場用のクライアント装置121において診断プログラムを実行し、故障個所を詳細に診断して故障データを作成してもよい。ステップS512において、サービス工場用のクライアント装置121は、作成された故障データと、故障車両から読み出し車両データとを情報センター100の故障予測サーバ101に送信する。その後は、ステップS504以降の処理を実行する。
【0058】
このように故障データの収集について2つの方法を例示したが、後者の方法では、車載するには高価すぎるような専門の診断装置を使用できるため、より詳細な診断結果が得られる利点があろう。
【0059】
図6は、本実施形態に係る遠隔故障予測処理についてのフローチャートである。
【0060】
ステップS600において、車両側で故障予測がトリガーされる。例えば、車両用クライアント装置200は、車両の搭乗者により入出力装置270が操作され故障予測の要求を受け付ける。ステップS602において、車両用クライアント装置200は、メモリに記憶されていた所定期間の車両データを読み出し、故障予測サーバ101に送信する。
【0061】
ステップS604において、故障予測サーバ101は、インターネット130を経由して車両データを受信する。ステップS606において、故障予測サーバ101は、受信した車両データを用いて故障発生予測処理を実行する。ステップS608において、故障予測サーバ101は、故障予測を要求してきた車両に対して、予測結果を送信する。
【0062】
ステップS610において、車両用クライアント装置200は、故障予測結果を受信する。ステップS612において、車両用クライアント装置200は、受信した故障予測結果を、入出力装置270に出力させる。以上のようなフローで故障の予測が実行される。
【0063】
図7は、本実施形態に故障予測処理に関するフローチャートである。なお、本実施形態ではデータマイニング手法の一種であるMBR(Memory Based Reasoning)を使用する。このMBRでは、過去の既知データ(故障データや正常車両のデータなど)に基づいて、未知データ(故障予測対象の車両データ)の行動(将来故障するか否か)を予測できる。とりわけ、本実施形態では、大量の故障データや車両データを直接使用することで故障モデルや正常モデルを作成しているため、他方式のように事前のモデリングは不要である。従って、システムを変更することなく、新規の故障データを随時追加するだけで、過去に存在しなかった新規の故障の予測も実現できる利点がある。
【0064】
また、過去の故障事実(故障データ)に基づいて予測を実行しているため、故障の根拠も明確であり、従来技術に比べても予測の信頼性が高い。
【0065】
また、データの部分集合(例えば、以下の時間幅Tの車両データ)で推論を実行するためノイズにも強い特徴がある。
【0066】
また、本実施形態では、予測車両の車両データが故障データとどのくらい一致しているかを定量化できるため、顧客は特定の故障がどの程度の確率で発生するかを容易に把握できる利点もある。
【0067】
ステップS700において、故障予測サーバ101は、予測対象車両110の車両識別情報(車両番号など)を検索キーとして、対応する車両データを車両情報データベース104から抽出する。なお、ここで抽出される車両データの時間幅をTとする。このTがあまりに長すぎると、予測処理に時間がかかってしまうため、故障予測精度を十分に保つのに相応しく、かつ、できる限り短い時間幅に設定することが望ましいであろう。
【0068】
例えば、複数の故障識別コードのうち、故障を予測するには最長期間の車両データを必要とする故障識別コードに設定してもよい。また、各故障識別コードごとに必要となる時間幅は異なる可能性があることを考慮し、予測の対象となる故障識別コードごとに時間幅Tを可変とし、適切な値に設定してもよい。この場合は、経験的に各故障識別コードごとに必要となる時間幅Tを決定すればよい。
【0069】
ステップS702において、全故障識別コードのうちi(初期値は0)番目の故障識別コードに関して、故障発生前d〜d−Tまでの故障データを読み出す(dの初期値は0)。
【0070】
図8は、MBRを用いた故障予測処理の概念を示した図である。ここでは、1番目の故障識別コードについて説明する。同一の故障データについて複数の車両が登録されていることもある。図8の故障情報データベース103には、1番目の故障識別コードについては、車両番号XXX123の車両が故障発生時刻2003年8月8日20時20分00秒と登録されている。
【0071】
そこで、車両番号XXX123の車両データであって、故障発生時刻2003年8月8日20時20分00秒のd分前からd+T分前までの車両データを抽出する。例えば、dが1で、Tが2であれば、2003年8月8日20時17分00秒から同19分00秒までの車両データが抽出される。これらがマッチング用の故障データとなる。
【0072】
ステップS704において、故障予測サーバ101は、故障予測対象車両の車両データと故障識別コードiに関する故障データとをマッチング処理する。マッチング処理には、例えば相関演算などを使用する。マッチング処理により双方の一致性(例:相関値)が得られる。
【0073】
例えば、図8に示すように、故障車両の空燃比データを予測対象車両の空燃比データと相関演算する。これにより、故障識別コードごとの一致性(相関値)が得られる。
【0074】
ステップS706において、故障予測サーバ101は、i番目の故障識別コードに対する一致性が所定の閾値以上であるかを判定する。この閾値は経験的に決定してもよいし、あるいは精度を重視するのであれば高めに設定し、事前の注意を重視するのであれば、低く設定すればよい。
【0075】
なお、閾値があまりにも低いと予測精度が悪化し、必要以上に故障予測がドライバに通知されてしまうかもしれない。これでは、いたずらにドライバの不安感を煽る恐れもある。そこで、不安感を煽らない程度に閾値を設定することが肝要であろう。あるいは、具体的な一致度合い(例えば、「1ヶ月以内にワイパーブレードが故障する確率が20%です。」など)をドライバに通知してもよいだろう。このようにしてと双方の車両データが同一又は類似の傾向を示しているかが判定される。ステップS706で判定した結果、一致性が閾値を超えていればステップS708へと進み、一致性が閾値以下であればステップS710へと進む。
【0076】
ステップS708において、故障予測サーバ101は、i番目の故障識別コードを故障リストに追加する。故障リストは、メモリ又はハードディスクドライブなどの記憶手段に格納される。
【0077】
ステップS710において、故障予測サーバ101は、故障データのうち故障時からDiまでの全区間でマッチング処理が終了したかを判定する。
【0078】
図9は、全データの時間幅Diとマッチング区間T(d〜d+T)との関係を示した図である。故障発生時(d=0)からT分前の区間だけでなく、より過去の時間において故障の予兆現象が発生している可能性がある。そこで、マッチング対象となる全データの時間幅Diを長めに設定し、区間Tごとに切り出してそれぞれマッチングを行い、故障予測の精度をあげている。
【0079】
なお、Diは、故障識別コードごとに異なってもよいし、故障識別コードの違いにかかわらず一定であってもよい。故障識別コードごとに必要となる時間幅は異なることもあるため、経験的に故障識別コードごとのDiを設定して記憶しておき、故障識別コードごとに対応するDiを読み出して、故障予測処理に使用してもよい。ステップS710においてd<Diであれば、dの値をインクリメントしてステップS702に戻る。なおインクリメントの幅はTである。
【0080】
ステップS712において、故障予測サーバ101は、全ての故障コードについて故障予測を終了したかを判定する。終了していなければ、iの値をインクリメントしてステップS702へと戻り、次の故障識別コードについて故障予測を行なう。
【0081】
ステップS714において、故障予測サーバ101は、記憶手段に記憶されている故障リストを読み出し、何れかの故障識別コードが登録されているかを判定する。いずれかの故障識別コードが登録されていれば、その故障識別コードに対応する故障が近い将来において発生すると予測されたことになる。故障の発生が予測されていなければステップS714に進む。故障の発生が予測された場合にはステップS716へと進む。
【0082】
ステップS716において、故障予測サーバ101は、ドライバに報告するための故障予測結果(予測レポート)を作成する。例えば、故障リストに登録されている故障識別コードについて、緊急度別にソートし、故障予測結果を作成してもよい。この故障予測結果には、例えば、予測された全ての故障を含ませてもよいし、あるいは運行の支障をきたすようなものや安全性に直結するような緊急度の高い故障のみを含ませてもよい。なぜなら、緊急度の低いものを通知すると、過度に不安になるドライバも存在するかもしれないので、緊急度の高いもののみを通知させる利点がある。
【0083】
また、故障の緊急度が高い場合には、その緊急度を反映させ、ドライバにとって緊急の度合いが分かりやすいような故障予測結果を作成してもよい。
【0084】
ステップS718において、故障予測サーバ101は、故障なしを示す予測結果を作成し記憶手段に記憶する。予測結果としては、例えば、「故障の発生は予測されませんでした。快適なドライビングをお楽しみ下さい。」とか、「現時点では故障の発生は予測されませんでした。この故障予測は、故障しないことを保証するものではありません。」とか、「現時点では故障の発生は予測されませんでした。但し、不意に故障が発生することもありますので、運行前点検や定期点検などは必ず実行しましょう。」などのメッセージとすればよいだろう。
【0085】
以上のように本実施形態によれば、車両状態を検出する検出手段(例:加速度センサ236など)と該検出された車両状態に関する経時的な車両データを記憶する記憶手段(例車両用クライアント装置200内のメモリなど)とを有する車両にネットワークを介して接続して故障の発生を予測する遠隔故障予測システムであって、故障車両111から、又は該故障車両の入庫されたサービス工場のコンピュータ(例:サービス工場用クライアント装置121など)を経由し、該故障車両について少なくとも故障発生直前の車両状態を含む車両データと、発生した故障の種類を識別するための故障識別コードとを受信する手段(例:故障予測サーバ101の通信インタフェースなど)と、前記受信された故障車両の車両データと前記故障識別コードとを記憶する故障情報データベース(例:故障情報データベース103、車両情報データベース104など)と、故障予測対象となる車両から車両データを受信すると、前記故障情報データベースに記憶されている車両データのなかに、前記故障予測対象となる車両の車両データと同一又は類似の傾向を示すものがあるかを判定する手段(例:故障予測サーバ101のCPU)と、前記同一又は類似の傾向を示すものがある場合には、前記同一又は類似の傾向を示した車両データに対応する故障識別コードを抽出する手段(例:故障予測サーバ101のCPUなど)と、前記抽出された故障識別コードに基づく故障予測結果を出力する手段(例:故障予測サーバ101の通信インタフェースなど)とを備えた遠隔故障予測システムが提供される。
【0086】
この構成により、本実施形態にかかる発明では、実際の故障車両の車両データに基づいて故障を予測するため、従来よりも故障予測の精度を上昇させることができる。
【0087】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態に係る遠隔故障予測システムを基本とする第2の実施形態を説明する。以下の説明においては、第1の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0088】
第2の実施形態では、通常の車両データを車両情報データベース103に登録した際にも、故障予測処理を実行するものである。
【0089】
図10は、第2の実施形態にかかる故障予測に関するフローチャートである。図4及び図6と共通のステップについては同一の引用符号を付すことで説明を簡潔にする。本実施形態では、ステップS400からステップS412を実行した後、ステップS1014以降を追加している。
【0090】
ステップS1014において、故障予測サーバ101は、前回の予測処理から所定時間が経過しているかを判定する。このように所定期間が経過したときに予測結果を提供するのは次の理由による。車両の故障はそれほど頻繁に発生するものではないところ、車両データが届くたびに故障の予測処理を実行すれば、無駄にシステムの負荷を増加させてしまう。よって、故障予測をするのに適切なタイミングでのみ実行すれば十分なのである。
【0091】
処理を具体的に説明すると、故障予測サーバ101は、車両データを送信してきた車両について、前回故障予測処理を行なった時刻を顧客データベース102から読み出す一方で、現在の時刻をタイマーから取得し、両者の差分をとる。この差分が所定時間を超えていればステップS606へと進み、故障発生の予測処理を実行する。
【0092】
一方、この差分が所定時間を超えていなければ、すなわち、前回の予測処理から十分に時間が経過していなければ、予測処理を実行せず処理を終了する。
【0093】
なお、ステップS606において得られた故障予測の結果、故障が予測されなかった場合には、ドライバに予測結果を通知することなく処理を終了してもよい。
【0094】
本実施形態では、車両データを送信したタイミングで、故障予測を行なうため、ドライバが故障予測の実行を失念しているときでも、自動で故障予測結果を報告することができる。
【0095】
また、車両データを送信したタイミングであっても、前回の予測処理から十分に時間が経過していなければ、予測処理を実行せず処理を終了するようにしたので、無駄な予測処理の実行を抑制することができる。
【0096】
また、故障が予測されなかった場合には、ドライバに予測結果を通知することなく終了するため、ドライバに無駄な情報が送信されることを抑制できる。本実施形態では、ドライバが意識せずとも、故障予測を実行しているため、故障の発生が予測されない場合には、そのままドライバに意識させないようにする方が運転に集中でき、好ましいかもしれない。
【0097】
[第3の実施形態]
本実施形態は、故障が発生する時刻についても予測結果をドライバに提供するものである。
【0098】
図11は、本実施形態に係る故障予測処理のフローチャートである。図7と同様の個所については同一の引用符号を付すことで説明を省略する。
【0099】
ステップ706において、故障識別コードiについて故障の発生が予測されると、ステップS1109において、故障予測サーバ101は、そのときのdの値から故障識別コードiに対応する故障が発生するであろう時刻を計算により求め、故障識別コードiと対応付けて故障リストに記憶する。そして、ステップS716に代わるステップS1116において、故障予測サーバ101は、故障の種別を表す情報(例:故障識別コード)と故障予想時刻とを含む故障予測結果を作成する。
【0100】
故障予想時刻がdを用いて算出される理由は次のとおりである。ステップS706において故障が発生すると予測された時のdの値は、故障車両において故障が発生した時刻から過去にdだけ遡った時刻と一致している。従って、故障予測対象車両の車両データが、故障発生時刻からd日前の故障データと一致した場合には、車両において車両データを取得した日からd日後に同様の故障が発生する可能性があるといえる。
【0101】
よって、車両データに含まれる車両データの取得日時にdを加えることで故障発生予測時刻を算出できるのであある。
【0102】
以上のように本実施形態では、故障の種別だけでなく、故障の発生時刻をも予測してドライバに把握させることができるため、ドライバは緊急にサービス工場に入庫すべきかどうかを判断しやすくなる。
【0103】
[第4の実施形態]
本実施形態では、故障予測結果の予測精度(故障確率)をドライバに提示することで、故障予測の信頼性を定量的に報告するものである。
【0104】
図12は、本実施形態係る故障予測処理のフローチャートである。図7と同様の個所については同一の引用符号を付すことで説明を省略する。
【0105】
ステップ706において、故障識別コードiについて故障の発生が予測されると、ステップS1207において、故障予測サーバ101は、一致性(相関値)を確率に変換し、故障確率を算出する。ステップS1208において、故障予測サーバ101は、故障識別コード及び故障確率を故障リストに追加する。
【0106】
そして、ステップS1216において、故障予測サーバ101は、故障識別コード及び故障確率を含む故障予測結果を作成する。
【0107】
以上のようにして、故障確率(予測精度)についても定量的にドライバに報告できるため、ドライバは、予測結果の信頼性を容易に判断できる。
【0108】
[他の実施形態]
上述の実施形態では、故障車両を含め、すべての車両データを車両情報データベース104に蓄積していた。しかしながら、故障車両の車両データについては故障情報データベース103に蓄積するようにしてもよい。車両の普及台数を考慮すれば、車両データの量は膨大になるおそれがあるため、古い情報については車両情報データベース103から随時削除する必要がある。そこで、本当に必要な故障車両の車両データだけを故障情報データベース103残すことで、車両情報データベース103の記憶量を削減できよう。
【0109】
また、上述の実施形態ではMBRを用い故障を予測する例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、事前にモデリングを実行するニューラルネットワークや重回帰分析など他のデータマイニング手法を適用してもよい。
【0110】
また、上述のステップS702において故障データを抽出する際に、故障予測サーバ101は、故障予測対象車両110と類似の走行状態にあった故障車両111又は他の正常車両の車両データに絞り込んで抽出してもよい。
【0111】
例えば、車両が高速道路を100kmで走行中であるとか、130Rのカーブを50km/hで走行しているとか、斜度15度の坂を走行しているといった走行状態を、比較対象となる車両間で同一又は類似とすることで、故障予測精度を向上させ、さらには、絞込みにより故障予想時間の短縮効果が得られる。
【0112】
なお、走行状態については、車両データに含まれる時間ごとの緯度経度情報や、速度情報、加速度情報、夜か昼か、気温、雨か晴れかなどによって特定可能である。例えば、故障予測サーバ110は、緯度経度情報から車両データが取得されたときの位置を特定し、さらに地図データベースからその位置が高速道路なのか、130Rのカーブなのか、斜度15度の坂なのかといった走行状態を特定する。同様に、故障車両のデータについても走行状態を特定することで、マッチングの候補を絞り込むことができる。
【0113】
また、故障予測サーバ101は、走行状態だけでなく、顧客データベース102又は車両データベース104に格納されている年式、近接した車体番号、顧客住所などの走行環境に基づいて絞込みをかけてもよい。例えば、顧客の住所が海辺にあれば塩害による腐食の進度が他の地域よりも速いと考えれ、しかも、同一地域であれば車両の同様の傾向を示すと考えられるからである。
【0114】
このように故障予測サーバ110が、故障予測対象車両と走行状態・走行環境が同一又は類似である故障車両又は正常車両の故障データに絞り込んで、故障予測処理を実行することで、故障予測精度を向上させるだけでなく、故障予測の短縮効果も得られよう。
【0115】
故障の予測結果については、故障予測サーバ110から車両用クライアント装置200に対して直接送信してもよいが、電子メールとして顧客に送信してもよい。例えば、故障予測サーバ110は、故障予測対象車両110の車両番号に基づいて顧客データベース102を検索し、顧客の電子メールアドレスを抽出する。そして、故障予測サーバ110は、抽出された電子メールアドレスに対して予測結果を送信する。
【0116】
なお、ドライバの電子メールアドレスだけでなく、そのドライバが所属する会社の電子メールアドレスなどのように複数の電子メールアドレスを顧客データベースに登録しておけば、故障予測サーバ110は、ドライバだけでなく、そのドライバが所属する会社にも予測結果を配信できるため、会社全体として安全管理に役立てられる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態に係るシステムの構成例を示した図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る車両の構成例を示したブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るサービス工場120の構成例を示した図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る車両データの収集に関するフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態に係る故障予測に使用される故障データの収集に関するフローチャートである。
【図6】図6は、本実施形態に係る遠隔故障予測処理のフローチャートである。
【図7】図7は、本実施形態に係る遠隔故障予測処理のフローチャートである。
【図8】図8は、MBRを用いた故障予測処理の概念を示した図である。
【図9】図9は、全データの時間幅Diとマッチング区間T(d〜d+T)との関係を示した図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係る遠隔故障予測処理のフローチャートである。
【図11】図11は、第3の実施形態に係る遠隔故障予測処理のフローチャートである。
【図12】図12は、第4の実施形態に係る遠隔故障予測処理のフローチャートである。
【符号の説明】
100…情報センター
101…故障予測サーバ
110…故障予測対象車両
111…故障車両
120…サービス工場
121…サービス工場用クライアント
Claims (13)
- 故障予測対象車両に対して遠隔から故障の発生予測を行い、故障予測結果を顧客に送信する遠隔故障予測システムにおいて、
故障車両の故障発生前の車両状態に関する車両データを記憶する記憶手段と、
ネットワークを介して接続された故障予測対象車両から車両データを受信する受信手段と、
前記受信された車両データと比較するための、前記故障車両の故障発生前の車両データを前記記憶手段から読み出す読出手段と、
前記受信された車両データと前記故障発生前の車両データとを比較し、該比較の結果に基づいて故障の発生を予測する故障予測手段と、
前記故障予測手段による予測結果を前記故障予測対象車両の顧客に対して送信する送信手段と
を有する遠隔故障予測システム。 - 前記受信手段は、さらに、故障していない正常な車両についての車両データを受信し、前記故障予測手段は、前記故障予測対象車両の車両データと前記正常な車両の車両データとを比較し、該比較の結果にも基づいて故障の発生を予測することを特徴とする請求項1に記載の遠隔故障予測システム。
- 前記故障予測手段は、データマイニング手法を用いて複数の故障車両についての車両データから故障モデルを作成する作成手段をさらに備え、前記作成された故障モデルと前記故障予測対象車両の車両データとを比較して故障を予測することを特徴とする請求項1又は2に記載の遠隔故障予測システム。
- 前記故障予測手段は、故障予測対象車両と類似の走行状態にあった故障車両又は正常車両の車両データを用いて故障の発生を予測することを特徴とする請求項1に記載の遠隔故障予測システム。
- 前記故障予測手段は、故障予測対象車両と同一又は類似の年式の故障車両又は正常車両の車両データを用いて故障の発生を予測することを特徴とする請求項1に記載の遠隔故障予測システム。
- 車両状態を検出する検出手段と該検出された車両状態に関する経時的な車両データを記憶する記憶手段とを有する車両にネットワークを介して接続して故障の発生を予測する遠隔故障予測システムであって、
故障車両から、又は該故障車両の入庫されたサービス工場のコンピュータを経由し、該故障車両について少なくとも故障発生直前の車両状態を含む車両データと、発生した故障の種類を識別するための故障識別コードとを受信する手段と、
前記受信された故障車両の車両データと前記故障識別コードとを記憶する故障情報データベースと、
故障予測対象となる車両から車両データを受信すると、前記故障情報データベースに記憶されている車両データのなかに、前記故障予測対象となる車両の車両データと同一又は類似の傾向を示すものがあるかを判定する手段と、
前記同一又は類似の傾向を示すものがある場合には、前記同一又は類似の傾向を示した車両データに対応する故障識別コードを抽出する手段と、
前記抽出された故障識別コードに基づく故障予測結果を出力する手段と
を備えた遠隔故障予測システム。 - 前記故障識別コードの複数についてそれぞれの緊急度を管理する管理手段をさらに備え、
前記抽出の結果、複数の故障識別コードが抽出された場合には、抽出された故障識別コードのうち緊急度の高いものを故障予測結果として出力することを特徴とする請求項6に記載の遠隔故障予測システム。 - 前記故障情報データベースには、故障発生時刻に関する情報がさらに記憶されており、前記故障車両の車両データのうち前記故障予測対象車両の車両データと概ね一致したとされる部分の時刻から、前記故障発生時刻までの時間を故障発生予測時間として出力することを特徴とする請求項6又は7に記載の遠隔故障予測システム。
- 前記故障予測対象となる車両の車両データと同一又は類似の傾向を示した前記故障情報データベースに記憶されている車両データとの一致度合いを算出する手段と、
前記算出された一致度合いに故障発生確率を算出する手段と
をさらに備え、
前記算出された故障発生確率も出力することを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の遠隔故障予測システム。 - 請求項1乃至9の何れかに記載された遠隔故障予測システムに対して故障予測要求を送信する手段と、
前記遠隔故障予測システムから故障予測結果を受信する手段と、
前記受信された故障予測結果を報知する手段と
を有する車両。 - 請求項1乃至9の何れかに記載された遠隔故障予測システムにネットワークを介して接続されたサービス工場用のコンピュータであって、
前記サービス工場に入庫された故障車両から少なくとも故障発生直前の車両状態を含む車両データを受信する手段と、
前記受信された車両データを、前記故障識別コードとともに前記遠隔故障予測システムに送信する手段と
を有するサービス工場用のコンピュータ。 - 故障予測対象車両に対して遠隔から故障の発生予測を行い、故障予測結果を顧客に送信する遠隔故障予測方法において、
故障車両の故障発生前における車両状態に関する車両データを記憶するステップと、
ネットワークを介して接続された故障予測対象車両から車両データを受信するステップと、
前記受信された車両データと比較するための、前記故障車両の車両データを読み出すステップと、
前記受信された車両データと、前記読み出された故障発生前の車両データとを比較し、比較の結果に基づいて故障の発生を予測するステップと、
前記故予測ステップにおける予測結果を前記故障予測対象車両の顧客に対して送信するステップと
を有する遠隔故障予測方法。 - 故障予測対象車両に対して遠隔から故障の発生予測を行い、故障予測結果を顧客に送信する遠隔故障予測プログラムにおいて、
故障車両の故障発生前における車両状態に関する車両データを記憶するステップと、
ネットワークを介して接続された故障予測対象車両から車両データを受信するステップと、
前記受信された車両データと比較するための、前記故障車両の車両データを読み出すステップと、
前記受信された車両データと、前記読み出された故障発生前の車両データとを比較し、比較の結果に基づいて故障の発生を予測するステップと、
前記故予測ステップにおける予測結果を前記故障予測対象車両の顧客に対して送信するステップと
をコンピュータに実行させるための遠隔故障予測プログラム。
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