JP5227537B2 - 透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤 - Google Patents

透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤

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Description

本発明は個人用透析機排水の中和処理に利用される透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤に関する。
人工透析を行う病院,診療所等では透析終了後に、例えば水洗−酸洗浄−水洗−薬洗−水洗といった工程を経る透析機の消毒,洗浄がなされる。酸洗浄には酢酸などの酸性洗浄水が、薬洗には次亜塩素酸ナトリウムなどのアルカリ洗浄水が用いられる。これに伴って酸性に傾いた洗浄排水やアルカリ性に傾いた洗浄排水が排出される。この酸性に傾いた洗浄排水を中和処理する一方法を、本出願人は先に提案した(特許文献1参照)。
特開2005−219041公報
特許文献1では水に溶解してアルカリを呈する中和剤として、水酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムを主成分とする粒状物からなる中和剤を提案している。該中和剤はそれまで用いられていた炭酸カルシウムを主成分とする天然岩石粒子の欠点であったアクの発生を解消し、また酸性廃液を中和処理する反応が前記天然岩石粒子に比べて速いので酸中和槽に充填する量が少なくて済むメリットがあった。
しかるに、特許文献1の水酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムを主成分とする粒状物からなる中和剤には次のような問題があった。酸性廃液に該中和剤を投入すると、ケースによっては溶解速度があまりにも速すぎて頻繁に充填補給しなければならない不都合があった。バッチ補給する溶解剤として採用するには労力負担が大きすぎた。さらに、この粒状物は脆くて壊れやすい欠点があった。
本発明は上記問題点を解決するもので、月日をかけて水溶液にゆっくりと溶解し、さらには硬度をも向上させて扱い易くして、洗浄排水等中和処理に有効透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、貝殻の粉末と主成分が無機マグネシウム化合物であるバインダーとで混練固化して塊状体に成形された成形品が、加温することなく炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存されて、前記成形品の溶解速度よりも溶解速度が遅延するようにしたことを特徴とする透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤にある。ここで、無機マグネシウム化合物とは水酸化マグネシウム,炭酸マグネシウム,酸化マグネシウム,塩化マグネシウム,硝酸マグネシウム,硫酸マグネシウム,フッ化マグネシウム等のマグネシウム元素を含む無機化合物をいう。
請求項2の発明たる透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤は、請求項1で、成形品が、加温することなく1分以上48時間の範囲内で炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存されることを特徴とする。請求項3の発明たる透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤は、請求項1又は2で、炭酸ガスのガス圧を大気圧よりも高く保って、充満した炭酸ガス雰囲気下で保存されることを特徴とする。請求項4の発明たる透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤は、請求項1〜3で、貝殻粉末と前記バインダーの比率を、貝殻粉末が100重量部に対しバインダーが5〜50重量部の範囲内とすることを特徴とする。請求項5の発明たる透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤は、請求項1〜4で、成形品が、水分を含む状態または加湿雰囲気下におかれ、且つ前記炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存されることを特徴とする。
本発明の透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤は、貝殻の粉末と主成分が無機マグネシウム化合物であるバインダーとで混練固化して塊状体に成形された成形品を、炭酸ガスが充満した炭酸ガス雰囲気下に保存するだけの簡便処理を加えるだけで、元の粒状体や塊状体の成形品の溶解速度よりも溶解速度が遅くなって、月日をかけて水溶液にゆっくりと溶解し、さらには硬度をも向上させて扱い易くなるなど、酸性に傾いた洗浄排水の中和処理用緩速溶解剤として優れた効果を発揮する。
以下、本発明に係る透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤について詳述する。
(1)参考形態1
図1,図2は透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤の製造方法の一形態で、図1はその製造装置の概略説明図、図2は使用前の透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤(以下、単に「緩速溶解剤」という。)と、この緩速溶解剤を透析機の酸性に傾いた洗浄排水に6ヶ月使用したものとを対比した説明画像図である。
マグネシウム系緩速溶解剤の製造方法(以下、単に「緩速溶解剤の製造方法」という。)は、例えば次のようにして造られる。
緩速溶解剤の製造に先立ち、カルシウム成分を含有して主成分を無機マグネシウム化合物とする粒状体1と、炭酸ガス供給源2と、保存袋3(又は保存容器)と、該炭酸ガス供給源2の炭酸ガスを保存袋3(又は保存容器)に導くホース4を準備する(図1)。
カルシウム成分を含有して主成分を無機マグネシウム化合物とする粒状体1(以下、単に「粒状体」という。)として、ここでは宇部マテリアルズ株式会社製の酸化マグネシウム(型番:UC95−H)を用いた。化学組成(%)は、MgOが>97,CaOが0.55,SiOが0.18,Feが0.05,Alが0.06,Bが0.10,SOが1.35,Ig・lossが1.0である。該酸化マグネシウムは化学組成として酸化カルシウムCaOを0.55%含んで酸化マグネシウムを97%以上とする固形物(主成分を無機マグネシウム化合物とする)である。該固形物は円径約5mmφの円柱状粒子であり、同社カタログにはその嵩密度が0.5g/cmで、平均粒子径が2.1μmとある。該固形物は粉体や細かい粒子も含んでいるため、本実施形態は円径約5mmφ円柱状のなかから長さが3mm〜5mmの範囲のものを選別して、これを粒状体1とした。
炭酸ガス供給源2は炭酸ガスを充満状態にして粒状体1を保存できるもので、ここでは炭酸ガスボンベを用いる。炭酸ガスボンベ2は、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で粒状体1を保存できるようにすべく、炭酸ガスを保存袋3(又は保存容器)へ供給するボンベである。炭酸ガスボンベ2から保存袋3へ供給されるボンベのゲージ圧力は0.2MPaとする。
保存袋3(又は保存容器)は、前記粒状体1を炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存できる大きさの袋(又は容器)である。本実施形態は該酸化マグネシウム(型番:UC95−H)の搬送袋をそのまま保存袋3として利用する。一度に20kgの粒状体1を充填した合成樹脂フィルム製搬送袋が保存袋3になる。
ホース4は炭酸ガスボンベ2から炭酸ガスを保存袋3(又は保存容器)に導くことができるようにした耐圧ホース4である。このホース4の一端を炭酸ガスボンベ2のノズルに接続し、ホース4の他端が保存袋3に穿設した孔から保存袋3内に挿入される。その後、シール部材で該孔周りが封止される。かくして、炭酸ガスボンベ2を使って保存袋3内に炭酸ガスを導く設備が整う。
緩速溶解剤の製造方法は、まず保存袋3を開けて該袋内に前記粒状体1を所定量(ここでは20kg)詰め込む。尚、本実施形態は酸化マグネシウムの搬送袋をそのまま保存袋3に利用するため、保存袋3への粒状体1の詰め込み作業は省略される。
次いで、保存袋3の一部にピンホールを形成し、該ピンホールを開けた状態で、炭酸ガスボンベ2の弁を開にして炭酸ガスを保存袋3内へ導く。そして、袋内の空気をほぼ完全に追い出し、保存袋3内の空気と炭酸ガスと置換した後、該ピンホールを封止する。保存袋3は加温することなく室温のまま、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で、粒状体1が保存袋3内に充填された状態を保つ。保存袋3内の炭酸ガス圧は大気圧より高め(炭酸ガスボンベ2のゲージ圧力の0.2MPaにほぼ等しい。)に保たれる。保存袋3内の炭酸ガス圧が下がれば、炭酸ガスボンベ2から炭酸ガスを補給する。炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で粒状体1を1分以上保存する。炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で粒状体1を1分以上保存すれば、当初の粒状体1の溶解速度よりも溶解速度が遅延する緩速溶解剤が得られる。該粒状体1を1分以上48時間の範囲内で炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存するのが好ましい。48時間を越えると、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で粒状体1を保存しても、緩速溶解剤の製造日数の長期化、炭酸ガスの消費量が増える一方で、溶解速度を遅延させる効果がさほど上昇しないからである。該粒状体1を1時間以上48時間の範囲内で炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存するのがより好ましい。水への溶解速度を前記保存処理前の粒状体よりもより遅く遅延制御できると共に保存処理前の粒状体よりもその硬度を確実に高めた製品を得ることができるからである。硬度が高くなると粒状体1の取扱い,作業性に優れるようになる。
本実施形態は、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で前記粒状体1を24時間保存して所望のマグネシウム系緩速溶解剤を製造した。
上記マグネシウム系緩速溶解剤はカルシウム成分を含有して主成分を無機マグネシウム化合物とする粒状体1が炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存されて、前記粒状体1(炭酸ガスによる保存処理前の粒状体)の溶解速度よりも溶解速度が遅延する緩速溶解剤になっている。
このようにして造られたマグネシウム緩速溶解剤は、酸化マグネシウム(型番:UC95−H)等の単にカルシウム成分を含有して主成分を無機マグネシウム化合物とする粒状体1の溶解速度よりも溶解速度が小さくなる。粒状体1を炭酸ガスで充満した炭酸ガス雰囲気下に保存することにより、水への溶解速度を遅らせることができる。炭酸ガス雰囲気下への粒状体1の保存時間を適宜選定して、水,水溶液への溶解速度を遅延制御できる。該緩速溶解剤は6月〜1年の月日をかけて水溶液にゆっくりと溶解し、さらには硬度も向上しており扱い易くなっている。
炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で前記粒状体1を24時間保存したマグネシウム系緩速溶解剤を、特開2005−219041公報の図1に記載の酸中和槽に充填して、使用前の粒状体1の大きさと使用6ヶ月後の大きさとを対比した説明画像図を図2に示すが、本マグネシウム系緩速溶解剤は長期に亘ってゆっくりと水に溶解するのが判明した。粒状体1は水に入れるとすぐに崩壊し原形をとどめないくらい粉状に変化してしまうのに対し、本マグネシウム系緩速溶解剤は水に浸漬させても、また水をかけても形状を崩さず、さらに水中に沈めた場合はキャンディのようにゆっくりと溶けて粒が縮小しながら月日をかけてなくなっていくのである。
その理由は定かではないが、粒状体1を炭酸ガス雰囲気下で保存すると、粒状体1中のカルシウム成分と炭酸ガスの反応によって炭酸カルシウムが粒状体1の表面に被膜を作るように固化し、さらに一部が内部に浸透して硬化することで、溶解速度を遅らせると推定される。
また、酸化マグネシウムが炭酸マグネシウムMgCOやMgCa(CO),CaMg(CO)などの炭酸マグネシウム塩に変化することで溶解速度を遅らせると推定される。さらにいえば、カルシウム成分とマグネシウム成分の両者の炭酸化が相互に作用して溶解速度を遅らせ、且つ硬度を向上させていると推定される。X線解析(XRD)分析でハンタイト(Huntite)、MgCa(CO)が生成されている可能性が高いのが確認された。東京化学同人刊「化学大辞典」の炭酸マグネシウムカルシウムCaMg(CO)の説明欄には、「カルシウムとマグネシウムは結晶内で炭酸イオンの層をはさみ、互層を成して規則正しく配列している。実験室内における常温・常圧での合成はきわめて困難である。」とあるが、ともかく、炭酸ガスを注入することで確実に硬度を向上させ溶解速度が遅くなることが確認されている。
本緩速溶解剤は粒状体1よりも引き締まった感触が得られ、水への溶解速度を遅延制御できるにとどまらず、該粒状体1の硬度を高めさせることもできる。炭酸化反応によって炭酸マグネシウム塩や炭酸カルシウム塩が粒状体1の微細な空隙を埋め緻密化し、水(水溶液)への溶解度が遅延化するとともに機械的強度(例えば硬度)を高めると考えられる。特に、粒状体1を1時間以上48時間の範囲内で炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存すると、水への溶解速度を遅延させると共に粒状体1に高い硬度が得られるようになる。さらにいえば、カルシウム成分を含有して主成分が無機マグネシウム化合物とする粒状体を、乾燥状態にさせてしまうよりも、該粒状体は、水分を含む状態または該粒状体が加湿雰囲気下におかれて、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存される方が、上記水への溶解速度を遅延させると共に粒状体1に高い硬度が得るための処理時間が短縮されるので、より好ましくなる。
[比較試験1]
炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で前記粒状体1を24時間保存して得たマグネシウム系緩速溶解剤を、酸性排水の中和処理に使用した。中和処理に使用する前の緩速溶解剤の直径寸法、中和処理に使用後1ヶ月,3ヶ月,6ヶ月,12ヶ月に緩速溶解剤の直径を測定した結果を表1に示す。表1は経過月数に対する該緩速溶解剤の円柱径の測定代表値を示す。
Figure 0005227537
粒状体1は酸性排水に使用するとただちに形崩れを起こし、水中で粉状に変化してしまうのに対し、本緩速溶解剤は形が小さくなりながらも6ヶ月後、さらに1年後でも形状を残存させている。
[比較試験2]
炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で前記粒状体1を、1時間保存、12時間保存、24時間保存、48時間、それぞれ保存してマグネシウム系緩速溶解剤を製造した。そして、各マグネシウム系緩速溶解剤を硬度計にて硬度を測定し、表2の測定値を得た。
ここで、硬度計は株式会社テクロックのゴム・プラスチック硬度計GS−710を使用した。緩速溶解剤が円柱形のためそのままでは測定困難なことから、測定方法は次の方法を採った。基台上に円筒状スポンジを置き、該円筒状スポンジの筒内空所に試料になる緩速溶解剤を横置きに配した。次いで、該円筒状スポンジ上にコインを被せて、硬度計の針が該コインを押しつけることで緩速溶解剤の測定値を得た。表2は粒状体1を炭酸ガス雰囲気下に、1時間保存した緩速溶解剤、12時間保存した緩速溶解剤、24時間保存した緩速溶解剤、48時間保存した緩速溶解剤のそれぞれについて、10個の試験粒(試料1〜試料10)を取出し、上記測定方法で測定した。平均値は各条件10個の算術平均値、加圧力の単位は[kPa]である。
Figure 0005227537
炭酸ガスが充満した炭酸ガス雰囲気下に前記粒状体1が1時間以上保存されてなる緩速溶解剤は、該粒状体1に比べ硬度が大きくなることが判明した。粒状体1を炭酸ガス雰囲気下で24時間以上保存した緩速溶解剤は、元の粒状体1と比べて触った感触も硬く、崩壊し難いので、緩速溶解剤を取扱い易くなった。なお、粒状体1は炭酸ガス雰囲気下に48時間を超えて保存しても、硬度はその時間に比例して大きくはならず、硬度の増加は僅かにとどまった。従って、前記粒状体1を1時間以上48時間の範囲内で炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存するのが、溶解速度を遅延させ且つ硬度を高めるうえで好適となる。
(2)実施形態2
本実施形態は、参考形態1の粒状体1に代え、貝殻の粉末と主成分が無機マグネシウム化合物であるバインダーとで混練固化して塊状体に成形された成形品を用いた。
上記貝殻はカキ,アコヤガイ,ホタテガイ,アワビ,アサリ,ハマグリ等の貝類養殖で、むき身にして出荷された後に残る殻を用いる。ここでの貝殻の粉末はカキ殻を粉末化したものである。本実施形態は財団法人鳥羽市開発公社製,有限会社アスク鳥羽販売の商品名「しおさい」を使用した。「しおさい」は収穫されたカキからかき殻だけを集め、これを天日干し,塩分除去した後、粗割,粉砕し粉末化させている。最大粒径が約2mmにして平均粒径が0.5mm程度で粒度分布する。商品名「しおさい」の分析成分結果は、炭酸カルシウムが92.6%,珪酸0.48%,マグネシウム0.20%,リン酸0.10%,カリウム0.10%,窒素0.09%,鉄1750ppm,マンガン66ppm,ヨード49ppm,ホウ素26ppm,亜鉛11ppm,銅2ppmである。
上記バインダーは貝殻の粉末を結合させ所望の塊状体に成形できる無機マグネシウム化合物が主成分の結合剤である。本実施形態は海水法(海水を主原料とする製法)により生成されてなる水酸化マグネシウムのバインダーとする。具体的にはナイカイ塩業株式会社製の商品名「60%水マグ」を使用する。商品名「60%水マグ」の分析成分結果は、MgOが61.30%,CaOが2.58%,Clが0.90%,Feが0.097%,Alが0.096%,SiOが0.58%,H0が0.86%,SOが1.30%である。「60%水マグ」はその平均粒径が190μmで、前記「しおさい」の平均粒径よりも小さい。
塊状体の成形品は、まず前記貝殻の粉末とバインダーとを所定比率で配合すると共に、これに水を必要量加えて攪拌機等で混練し、ペースト状体とする。貝殻粉末とバインダーの比率は貝殻粉末が100重量部に対しバインダーが5〜50重量部が好ましい。バインダーが水酸化マグネシウムであっても5〜50重量部が好ましく、より好ましくは30〜50重量部となる。バインダーがこの数値範囲を越えると成形段階で固化し難くなり、逆にこの数値範囲より小さくても固化し難くなるからである。水の量は、貝殻粉末が100重量部に対し30〜60重量部が好ましく、より好ましくは40〜50重量部となる。斯る水の量が確保されると、貝殻の粉末とバインダーとを所定比率で配合したものをペースト状体に混練一体化できる。
しかる後、前記ペースト状体から所定量を取り出し塊状体に成形する。本実施形態は、そろばん玉した成形型(図示せず)にペースト状体を流し込んで塊状体の成形品を造る。成形品の大きさはそろばん玉の円形が15〜20cmφで、そろばん玉の高さは7cm程である。そろばん玉の貫通孔の径は1cmφ程度である。
このようにして塊状体に成形された成形品を、前記粒状体1に代えて、参考形態1と同様の操作を行って緩速溶解剤を造る。該塊状体にした成形品を炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存して、炭酸ガスと前記マグネシウム成分や前記カルシウム成分とが反応し、前記成形品中に炭酸マグネシウム塩や炭酸カルシウム塩を生成させ、水への溶解速度を遅延制御させて緩速溶解剤を造る。
例えば、参考形態1の保存袋3に代え保存容器を用意する。保存容器は有底筒体の容器の上面開口に上蓋で着脱自在に蓋ができる密封容器である。ホース4の一端を炭酸ガスボンベ2のノズルに接続する一方、上蓋に設けたノズルにホース4の他端を接続する。そして炭酸ガスボンベ2の弁を開にすることにより、保存容器内に炭酸ガスを導けるようにする。有底筒体の底部にはコック付きノズルが設けられる。
緩速溶解剤の製造方法は、まず保存容器に係る有底筒体の上面開口から該有底筒体内に前記塊状体(成形品)を所定量詰め込む。次いで、有底筒体に上蓋で蓋をして密封の保存容器とする。続いて、前記コックを開にしてから炭酸ガスボンベ2の弁を開にして炭酸ガスを保存容器内へ導く。保存容器内の空気をほぼ完全に追い出し、保存容器内の空気と炭酸ガスと置換した後、コックを閉める。保存容器は加温することなく室温のまま、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で、塊状体が保存容器内に充填された状態を保つ。保存容器内の炭酸ガス圧は若干大気圧より高めに保たれる。参考形態1と同様、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で塊状体を1分以上保存する。炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で塊状体を1分以上保存すれば、当初の塊状体の溶解速度よりも溶解速度が遅延する緩速溶解剤が得られる。該塊状体を1分以上48時間の範囲内で炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存するのが好ましい。48時間を越えると、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で塊状体を保存しても、緩速溶解剤の製造日数の長期化、炭酸ガスの消耗量が増える一方で、溶解速度を遅延させる効果がさほど上昇しないからである。該塊状体を1時間以上48時間の範囲内で炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存するのがより好ましい。緩速溶解剤の水への溶解速度をより遅くでき、また該緩速溶解剤の硬度を高めることができるからである。硬度が高くなると緩速溶解剤の取扱い,作業性に優れるようになる。
さらに付け加えると、前記塊状体に成形された成形品は、水分を抜いた乾燥状態のものよりも、水分を含む状態または該成形品を加湿雰囲気下においた状態にして、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で保存される方が、上記水への溶解速度を遅延させると共に成形品に高い硬度を得るための処理時間が短縮される。前記塊状体にした成形品は、水分を含ませると、その後の炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存して、この保存処理前の成形品の溶解速度よりも溶解速度を遅延させる処理において、その処理時間が短縮されることを確認している。
本実施形態は、炭酸ガスが充満する炭酸ガス雰囲気下で前記塊状体を24時間保存して所望のマグネシウム系緩速溶解剤を製造した。
上記マグネシウム系緩速溶解剤は、貝殻の粉末と主成分が無機マグネシウム化合物であるバインダーとで混練固化して塊状体に成形された成形品が炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存されて、この保存処理前の成形品の溶解速度よりも溶解速度が遅い緩速溶解剤になっている。
このように構成した緩速溶解剤は、実施形態の粒状体1の大きさよりも一回り大きいが、参考形態1と同様の効果が得られる。6月〜1年の月日をかけて水溶液にゆっくりと溶解し、さらには硬度をも向上させて扱い易くなり、有効なマグネシウム系緩速溶解剤になることが確認された。
また、本実施形態の緩速溶解剤で、バインダーとして用いた前記水酸化マグネシウムに代えて、参考形態1の酸化マグネシウムを用いた緩速溶解剤でも、6月〜1年の月日をかけて水溶液にゆっくりと溶解し、且つ硬度を向上させて扱い易くなり、個人用透析機排水の中和処理に有効な効果を得た。
ちなみに、本実施形態で用いた前記貝殻の粉末、炭酸カルシウム92.6%の原料に水を加えて塊状体に成形したものに、炭酸ガスと接触させても本実施形態のように溶解度が遅くなることはなかった。
また、前記貝殻の粉末に参考形態1の酸化マグネシウムをバインダーとして重量比30%加えて、水分も重量比10%加えて混練機にかけた後、造粒機でアーモンド形の塊状品を製造した。この塊状品を大気中で放置乾燥させてなる塊状製品を水中に投入したが、十分満足する結果には至らなかった。
しかし、上記塊状製品を袋に入れ、炭酸ガスを注入して50℃〜60℃の発熱(発熱反応)と、実際に炭酸ガスを吸収したのを確認した後、袋から取出したものをマグネシウム系緩速溶解剤として水中に投入したところ、前記塊状製品と違って、水中で崩壊することもなく、溶解速度が遅くなって月日をかけて水にゆっくりと溶解していくのが確認できた。簀を敷いた筒状ケースに充填して水道水を流しても崩壊することがなく、且つ6月〜1年の月日をかけてゆっくり溶解していき、酸性排水の中和剤として有効利用できるのが分かった。
参考形態1の場合と同様、その理由は定かでないが、例えば塊状製品中の水分に炭酸ガスが溶け込んで水が酸性化し、水では溶解し難いマグネシウムを溶解して炭酸マグネシウム塩となり、貝殻粉末の主成分である炭酸カルシウムの粒子を包み込むか、又は連結し合って前記ハンタイトMgCa(CO),炭酸マグネシウムカルシウムCaMg(CO)などの炭酸塩に変化し、互いの粒子同士が繋がることで、水溶液にゆっくりと溶解するようになり且つ硬度も向上させると考えられる。
尚、本発明においては、前記実施形態,実施例に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。貝殻の粉末と主成分が無機マグネシウム化合物であるバインダーとで混練固化して成形された塊状体等の形状,大きさ等は用途に合わせて本発明の範囲内で適宜選択できる。
参考形態1で、マグネシウム系緩速溶解剤の製造装置の概略説明図である。 使用前のマグネシウム系緩速溶解剤と、この緩速溶解剤を酸性排水に6ヶ月使用したものとを対比した説明画像図である。
1 粒状体
2 炭酸ガス供給源(炭酸ガスボンベ)

Claims (5)

  1. 貝殻の粉末と主成分が無機マグネシウム化合物であるバインダーとで混練固化して塊状体に成形された成形品が、加温することなく炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存されて、前記成形品の溶解速度よりも溶解速度が遅延するようにしたことを特徴とする透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤。
  2. 前記成形品が、加温することなく1分以上48時間の範囲内で炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存される請求項1記載の透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤。
  3. 前記炭酸ガスのガス圧を大気圧よりも高く保って、充満した炭酸ガス雰囲気下で保存される請求項1又は2に記載の透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤。
  4. 前記貝殻粉末と前記バインダーの比率を、貝殻粉末が100重量部に対しバインダーが5〜50重量部の範囲内とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤。
  5. 前記成形品が、水分を含む状態または加湿雰囲気下におかれ、且つ前記炭酸ガスを充満した炭酸ガス雰囲気下で保存される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤。
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