JP4179819B2 - 有形物含有固形物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有形物を所定位置に容易に包埋でき、且つ略均一商品を多量に生産できる加圧成形により製造する有形物含有固形物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗浄剤、芳香剤、消臭剤、垢すり剤、害虫忌避剤、足浴剤、制汗剤、固形化粧水、固形乳液、漂白剤、ぬめり取り剤、水質改善剤、汚泥改良剤、撒き餌、肥料等の各種分野において固形形態の市販品が数多く知られている。このような固形物の製造法としては、例えば、液状の原料を所望の型に入れ冷却固化させた後に型抜きする方法、粉末の原料を所望大きさに造粒する方法、所望物をカプセルに内包させる方法、粉末の原料を打錠成型機により加圧成形する方法、原料を手作業により所望形状に固める方法等が知られている。
また、前記固形物に、スポンジ等の洗面道具、玩具、植物、印刷物等の有形物を内包させることも知られている。このような固形物に有形物を内包させる方法としては、原料に有形物を混合した後、加圧成形する方法が提案されている。しかし、加圧成形方法では、商品毎に内包物の内包位置が異なるため、使用時に内包物が現れる時間等が制御できない。また、加圧成形法では、加圧による内包物の変形、破壊等が商品に影響を及ぼすような有形物を内包させることができない。従って、加圧により変形、破壊が生じる有形物を機械的に加圧成形して内包させた固形物については知られていない。有形物が内包された固形物が市販されている場合であっても手作業で製造されたものが知られる程度であり、大量生産には至っていない。
尚、加圧成形法により生産される錠剤は、通常、打錠成形機を用い、100kgf/cm2以上の圧力で成形がなされており、数kgf/cm2程度の低圧力による固形物の製造法は知られていない。更に、従来の打錠成形機による加圧は一方向からのみであり、2方向以上から加圧する方法は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有形物を所定位置に容易に包埋させることができ、且つ略均一商品を多量に生産できる、加圧成形による有形物含有固形物の製造法を提供することにある。
本発明の別の目的は、球状、タマゴ形状、楕円形状又は星型形状等の錠剤形状以外の形状を有する固形物であっても、加圧成形により容易に、且つ大量生産することが可能な有形物含有固形物の製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、変形、破壊、癒着等が商品に影響を及ぼす有形物が内包された固形物であっても、内包される有形物の変形、破壊、癒着等を抑制し、加圧成形法により大量生産することが可能な有形物含有固形物の製造法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、内部に有形物を包埋した固形物の製造法であって、加圧によって成形しうる、粉体を含む原料を容器に所定量投入する工程(A)、工程(A)で投入した原料に所定深度の凹部を形成する工程(B)、工程(B)で形成した凹部の底面に有形物を載置する工程(C)、容器内側面と工程(B)で形成した凹部との間に存在する原料の少なくとも一部を壊落させることによって、工程(C)で載置した有形物を原料で包埋・成形する工程(D)、及び工程(D)で得られた成形物を所望形状に加圧成形する工程(E)を少なくとも含む有形物含有固形物の製造法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明の有形物含有固形物の製造法において、対象となる固形物は、洗浄剤・洗剤(洗濯用、台所用、住居用、トイレ用、お風呂用、入れ歯用、ポット用、眼鏡用当を含む)、芳香剤、消臭剤、垢すり剤、害虫忌避剤、足浴剤、制汗剤、固形化粧水(水に溶解することにより化粧水となるもの)、固形乳液(水に溶解させることにより乳液になるもの)、漂白剤、ぬめり取り剤、水質改善剤、汚泥改良剤、撒き餌、肥料、入浴剤等の各種分野における固形製品が挙げられるが、入浴剤の場合には、有形物が水不溶性である場合は含まない。
本発明の製造法では、まず、加圧によって成形しうる、粉体を含む原料を容器に所定量投入する工程(A)を行う。
前記原料は、加圧成形しうる、粉体原料を主成分とする。例えば、液状原料を用いる場合は、容器に投入する前に予め公知の方法により粉体として使用したり、また、粉体原料と液状原料とを混合撹拌して得た湿潤粉末原料を用いることができ、後述する凹部の形成が容易な点から湿潤粉末原料の使用が好ましい。湿潤粉末原料を調製する際の粉末原料及び液状原料の混合割合は、製造する固形物に対応する原料の種類等に応じて適宜選択できるが、粉末原料:液状原料が質量比で1:0.05〜1程度が好ましい。
前記原料は、水溶性材料が好ましいが、固形物の種類によっては水不溶性材料を含んでいても良い。ここで、主成分とは、加圧成形しうるものであれば、粉体以外の原料を含んでいても良いという意味であり、通常、粉体原料単独、若しくは湿潤粉体原料が使用される。粉体の粒径は特に限定されず、後述の工程(B)における凹部の形成、工程(E)における加圧成形を考慮して選択される。
【0006】
本発明の製造法では、工程(A)の前に、該工程で使用する原料の粒度調整工程を行うことができる。該粒度調整工程は、例えば、前記湿潤粉末原料を、篩によって所定粒度以下に調整する方法が挙げられる。湿潤粉末原料は、その製造時にダマが生じ、粒度が不均一になる恐れがあるので粒度調整することが好ましい。粒度が不均一の場合、後述の工程(B)での凹部形成、並びに工程(D)及び(E)の成形時における不良品発生率が高くなり、且つ得られる固形物の強度が不均一となる恐れがあり好ましくない。
前記調整する粒度の大きさは、原料の種類、得られる固形物の形状及び大きさを考慮して適宜選択できるが、通常、0.5〜5.0mmメッシュの篩を通過する大きさとすることが好ましい。
【0007】
前記原料は、固形物の種類に応じて公知の原料から種々選択することができ、その配合割合も適宜選択することができる。
前記原料の種類は、上述のとおり種々選択できるが、固形物を成形するために固化成分及び該固化成分の溶剤を使用することが好ましい。該固化成分としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖等が挙げられる。後述の加圧成形時において加圧を低圧で行なう場合には、PEGの使用が好ましい。PEGの平均分子量は、成形性が良好な点で500〜3700が好ましい。該所望分子量のPEGとしては、例えば、市販品、又は市販品の混合物が挙げられる。
前記原料固化成分の溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。特に、PEGの溶剤としては、ジプロピレングリコール及び/又は1,3-ブチレングリコールが好ましい。
原料の好適な態様としては、低圧力成形の場合には、成形性の点から固形物の種類に応じた各種原料と、ジプロピレングリコール及び/又は1,3-ブチレングリコールを含む溶剤に溶解したPEGとを含み、その形態が湿潤粉末状態の原料が挙げられる。
【0008】
工程(A)において、前記原料を投入する容器は、加圧成形可能な容器であれば良く、その形状は特に限定されない。
前記原料を容器に投入する所定量は、後述の工程(B)で凹部が形成しうる量であれば良いが、工程を煩雑化させないために、得られる固形物1個分の原料全量が好ましい。しかし、必要に応じて、原料の一部を分割し、他の工程、若しくは各工程間に容器に投入することもできる。
【0009】
本発明の製造法では、工程(A)で投入した原料に所定深度の凹部を形成する工程(B)を行う。ここで、所定深度は、得られる固形物中において、有形物を包埋される位置に応じて適宜選択できる。例えば、該有形物を固形物の略中心部に包埋させる場合には、後述の工程(C)で有形物を載置する位置が、得られる固形物の略中心部になるように所定深度が決定される。前記凹部の形状は特に限定されず、工程(C)で有形物が載置しうる大きさであれば良い。凹部の底面は、有形物を載置しうる平面が好ましい。一方、凹部の側面の形状は、有形物を載置する際に凹部底面の所定位置に誘導されるように、下方に向かってテーパをなす形状、若しくは垂直形状が望ましい。
前記凹部の形成方法は特に限定されないが、例えば、鉛直方向に対して所定角度で傾斜させた棒状の回転体を用い、該回転体の下端が所定大きさの円柱周面又は円錐台周面に沿って下方向に回転するように該回転体を回転させることにより、工程(A)で投入した原料に所定大きさ及び深度の凹部を設ける方法、後述の所望形状の押圧部材を用いて工程(A)で投入した原料を押圧する方法等が挙げられる。
【0010】
本発明の製造法では、工程(B)で形成した凹部の底面に有形物を載置する工程(C)を行う。
前記有形物は、水溶性、水不溶性のいずれでも良く、所望の固形物の種類や目的に応じて適宜選択することができる。有形物としては、例えば、高圧力気体を封入した糖類粒状物;カプセル剤;プルランフィルム等の多糖フィルム;ポプリ乾燥物等の植物乾燥物;スポンジ類等の洗面用具;アクセサリー;玩具及び錠剤等からなる群より選択される1種又は2種以上等が挙げられるがこれらに限定されない。特に、通常の加圧成形によっては変形、破壊若しくは癒着等が生じる有形物の場合には、後述する低圧力による加圧成形を行うことによりこのような現象を抑制し、商品価値の低減を防止することができる。例えば、高圧力気体を封入した糖類粒状物を内包する有形物とした場合、高圧をかけると該粒状物自体が破壊され所望の発音効果が得られなくなる。また、プルランフィルムを内包する有形物とした場合、高圧をかけると癒着が生じ溶解時に所望形状に広がらない恐れがあり、更に、カプセル剤やポプリ等を内包する有形物とした場合、高圧をかけると破壊され商品価値が著しく低下するという問題が生じる。
前記有形物の大きさ及び形状は特に限定されない。本発明では、比較的大きく、また形状が複雑なものでも固形物の所定位置に包埋させることができる。有形物の比重は特に限定されず、固形物の用途に応じて適宜選択することができる。
前記有形物の凹部底面への載置方法は特に限定されないが、上述の凹部内に落下させる方法が工業的に有利である。
【0011】
本発明の製造法では、容器内側面と工程(B)で形成した凹部との間に存在する原料の少なくとも一部を壊落させることによって、工程(C)で載置した有形物を原料で包埋・成形する工程(D)を行う。
前記有形物を原料で包埋させる方法としては、特に限定されず、例えば、後述の加圧成形を行う押圧部材によって容器内側面に存在する原料を壊落させ包埋する方法、容器を振動させて容器内側面に存在する原料を壊落させ包埋する方法が挙げられる。
工程(D)の成形は、後述の押圧部材によって包埋させながら連続して行うことができる他、容器を振動させ入浴剤原料の上面を水平にして有形物を包埋させた後に、所望形状の押圧部材によっても行うことができる。この際、工程(D)の成形を工程(E)の加圧成形と連続して行うこともできる。工程(D)の成形と、工程(E)の成形とを連続的に行わない場合の工程(D)の成形圧力は、0.5〜1.5kgf/cm2程度であって、工程(E)の加圧成形よりも低圧で行なうことが、有形物の隅々まで原料成分を充填させる点から好ましい。
【0012】
本発明の製造法では、工程(D)で得られた成形物を所望形状に加圧成形する工程(E)を行う。
工程(E)の加圧成形は、上述のとおり、工程(D)の成形と同じ形状のまま加圧成形する場合には連続で行なうことができる。工程(D)の成形と工程(E)の加圧成形とを連続で行わない場合には、例えば、工程(D)で得られた成形物を容器から一旦取出して別の加圧成形用の容器に入れ替えてから加圧成形する方法、容器はそのままで、押圧部材を取替えて加圧成形する方法が挙げられる。また、最終的な固形物の形状を、例えば、球状、タマゴ形状、楕円形状とする場合の加圧成形方法は、半球形状の凹部を有する押圧部材を用いて、上下方向等の2方向から押圧して成形する方法、若しくは加圧成形容器の底面を予め半球状の凹部を有する形状として、上方から半球状の凹部を有する押圧部材を用いて1方向から押圧して成形する方法が挙げられる。更に、押圧する際の押圧部材の形状を適宜選択し、星型形状等の複雑形状の固形物を得ることもできる。
工程(E)の加圧成形時の圧力は、有形物の種類、固形物の最終形状等に応じて適宜選択できる。特に、内包する有形物の変形、破壊、癒着等が商品に影響を及ぼす場合には、これらがほとんど生じない1〜5kgf/cm2の範囲が望ましい。
【0013】
本発明の製造法では、工程(E)の後、乾燥することにより固形物を得ることができるが、必要に応じて、例えば、保存時における空気との接触による表面の劣化、工程(E)の後の乾燥前又は乾燥中の取扱い性を向上させるために、例えば、有形物含有固形物が有機酸及び炭酸塩を含む場合には、表面に蒸気等の水分を反応させ、表面のみを中性塩とする加湿工程を行うことができる。表面を中性塩とすることにより、含有される有機酸及び炭酸塩の反応を防止し、且つ乾燥工程の初期の段階で表面硬度を速やかに向上させることができる。
また、原料としてPEG等の原料固化成分を配合し、工程(E)における加圧成形を1〜5kgf/cm2程度の低圧で行う場合、得られる成形物は、前記原料固化成分の乾燥前においては非常に脆く、前記表面を中性塩等としたのみでは表面硬度の速やかな向上が望めない場合がある。そこで、前記表面のみを中性塩とする加湿工程を行った後、若しくは有機酸及び炭酸塩を含まない場合には加湿工程を行わずに成形物の表面を、通常0〜−10℃、特に−2〜−5℃程度の温度で冷却する工程を行うことが好ましい。冷却時間は、長い方が好ましいが、生産効率を考慮した場合、通常1〜30分間、好ましくは2〜20分間程度である。
【0014】
更に、有形物含有固形物の保存時、輸送時、使用時における割れや欠損を有効に防止するために、該固形物を個別にシュリンク処理することができる。シュリンク処理は公知の材料を用いて行なうことができる。シュリンク処理は、特に、工程(E)において1〜5kgf/cm2の低圧による加圧成形を行ったものに有効である。
本発明の製造法では、有形物含有固形物を長期保存する際に変色及び変臭を抑制又は防止し、商品価値を持続するために、光不透過性であり、且つ密閉可能な袋状又は通気性を有する袋状の包装材により得られた固形物を包装できる。該包装材としては、例えば、アルミ箔等の袋状物、細孔を有する袋状物が挙げられる。また、固形物を袋状の包装材中に入れ、食品分野で使用される減圧装置により減圧し、密封包装することもできる。
本発明の製造法では、本発明の所望の目的が損なわれない範囲で、更に所望の効果や他の効果を向上させるために上記各工程以外の工程又は操作を含んでいても良い。
【0015】
以下、図を参照して本発明の製造法の例を説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は、本発明の製造法によって、上部が半球状であり、その下方が円柱状の外形を有する高圧力気体を封入した糖類粒状物を有形物として内包する洗剤固形物15を製造する一例を示す工程説明図である。尚、原料は、所望の粉体原料と液状原料とを混合撹拌して得た湿潤粉末原料を、篩により2mmメッシュ以下の粒度に調整したものを用いた。
まず、工程(A)として、得られる洗剤固形物15の1個分に使用する所望組成の原料11を容器10に投入する。次いで、工程(B)として、原料11を押圧部材12により上方から押圧し、底面が平面で且つ側面が下方に向かってテーパをなした凹部12aを形成し、押圧部材12を上方へ引抜く。続いて、工程(C)として、複数の高圧力気体を封入した糖類粒状物13を上方から落下させ、工程(B)で形成した凹部12aの底面に高圧力気体を封入した糖類粒状物13を載置する。
次に、工程(D)として、図示するような半球面凹部を有する押圧部材14により、容器10の内側面と工程(B)で形成した凹部との間に存在する原料11aを壊落させながら高圧力気体を封入した糖類粒状物13を原料11により包埋する。続いて、図示するように成形すると共に、工程(E)として、押圧部材14により、好ましくは圧力1〜5kgf/cm2で加圧成形する。その後、容器の下方面を開放し、高圧力気体を封入した糖類粒状物13を含有する洗剤固形物15を取出す。得られた洗剤固形物15を取出した後、所望によりシュリンク処理又は包装を行っても良い(図示せず)。
【0016】
図2は、図1における工程(E)において、押圧部材14による圧力を0.5kgf/cm2以上、1kgf/cm2未満で加圧成形し、成形物15aを容器から取出した後、別の容器20に導入して高圧力気体を封入した糖類粒状物13含有のタマゴ形状の洗剤固形物22を製造する一例を示す工程説明図である。
まず、図1において、圧力条件を代えて得られた成形物15aを容器20に導入する。次いで、略半球形状の凹部を有する押圧部材(21a,21b)により、上下方向から好ましくは圧力1〜5kgf/cm2でタマゴ形状に加圧成形する。その後、上方の押圧部材21bを容器から取外し、下方の押圧部材21aを上昇させて高圧力気体を封入した糖類粒状物13を含有するタマゴ形状の洗剤固形物22を取出す。得られた洗剤固形物22を取出した後、所望によりシュリンク処理や密封包装を行っても良い(図示せず)。また、図1に示す容器10の代わりに、図2に示す押圧部材21aを備える容器20を用い図1に示す工程を行い、最終段階で固形物を取出す際に押圧部材21aにより上方に押し出すことによって、上方の1方向からの加圧成形によってもタマゴ形状の洗剤固形物を得ることができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の製造法では、特に、上述の工程(B)〜工程(E)を少なくとも含むので、加圧成形により製造する固形物内に、有形物を所定位置に容易に包埋させることができ、略均一商品を多量に生産することが可能であり工業的に有用である。
また、工程(A)において、得られる固形物の1個分の原料全量を容器に投入することにより工程を簡略化できる。工程(B)において、凹部の所定深度を、得られる固形物の略中心部に有形物が配置するように工程(C)で有形物を載置しうる深度とすることにより、有形物を略中心部に有する固形物を効率良く且つ均一に得ることができる。
更に、工程(B)で形成する凹部の底面を、有形物が載置しうる底面とし、且つ凹部の側面を下方に向かってテーパをなす形状とすることにより有形物の載置を上方から有形物を落下させるという簡易な方法で実現することができる。
更にまた、加圧を2方向以上から行うことにより、球状、タマゴ形状、楕円形状等の固形物を容易に効率良く得ることができる。また、工程(E)の加圧成形時の圧力を1〜5kgf/cm2とすることにより、加圧による内包物の変形、破壊、癒着等を抑制又は防止でき、商品価値を低下させることなく加圧成形により有形物含有固形物が得られる。
更に、光不透過性であり、且つ袋状の包装材中に包装することにより、長期保存する際の変色や変臭が抑制又は防止され、商品価値を長期間持続させる効果を有する固形物を容易に得ることができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
平均分子量500のPEG 6.0質量部及び平均分子量3700のPEG 6.0質量部を、温度60℃でジプロピレングリコール6.0質量部に溶解し、平均分子量2100のPEG溶液を調製した。次いで、ラウリル硫酸ナトリウム20.0質量部、ポリオキシエチレンオレイルエーテル5質量部、エデト酸二ナトリウム1質量部及び炭酸ナトリウム56.0質量部に、前記PEG溶液を混合撹拌し、水溶性湿潤粉末の固形洗浄剤原料を調製した。
得られた固形洗浄剤原料を用いて上述の図1及び図2を参照して説明した方法に準じて複数の高圧力気体を封入した糖類粒状物を包埋したタマゴ型の固形洗浄剤を10個製造した。この際、最終の加圧成形時の圧力は3kgf/cm2とした。得られたタマゴ型の固形洗浄剤は、いずれも略同じ箇所に高圧力気体を封入した糖類粒状物が包埋されていた。固形洗浄剤を溶解したところ、外側の洗浄剤が溶解した後、高圧力気体を封入した糖類粒状物が所望の発音による発泡を伴いながら溶解した。更に、得られた固形洗浄剤をアルミ箔製の袋に入れ、密封した後、常温で6ヶ月間保存した。6ヶ月後に袋を開封し、製造時の臭い及び色と比較した結果、ほとんど変化は認められず、また成形物の亀裂や割れも認められなかった。
【0019】
実施例2
平均分子量500のPEG 6.0質量部及び平均分子量3700のPEG 6.0質量部を、温度60℃でジプロピレングリコール6.0質量部に溶解し、平均分子量2100のPEG溶液を調製した。次いで、マルトース81.8質量部、植物エキス0.1質量部、ヒアルロン酸ナトリウム0.01質量部及び香料0.09質量部に、前記PEG溶液を混合撹拌し、水溶性湿潤粉末の固形化粧水原料を調製した。
得られた固形化粧水原料を用いて上述の図1及び図2を参照して説明した方法に準じてポプリ乾燥物を包埋した楕円状の固形化粧水を10個製造した。この際、最終の加圧成形時の圧力は1kgf/cm2とした。得られた楕円状の固形化粧水はいずれも略同じ箇所にポプリ乾燥物が包埋されていた。また、固形化粧水を溶解した後のポプリ乾燥物の破壊等は認められなかった。更に、得られた固形化粧水をアルミ箔製の袋に入れ、密封した後、常温で6ヶ月間保存した。6ヶ月後に袋を開封し、製造時の臭い及び色と比較した結果、ほとんど変化は認められず、また成形物の亀裂や割れも認められなかった。
【0020】
実施例3
平均分子量500のPEG 6.0質量部及び平均分子量3700のPEG 6.0質量部を、温度60℃でジプロピレングリコール6.0質量部に溶解し、平均分子量2100のPEG溶液を調製した。次いで、ポリオキシエチレンオレイルエーテル2質量部及び過炭酸ナトリウム80.0質量部に、前記PEG溶液を混合撹拌し、水溶性湿潤粉末の固形漂白剤原料を調製した。
得られた固形漂白剤原料を用いて上述の図1及び図2を参照して説明した方法に準じて複数の高圧力気体を封入した糖類粒状物を包埋したタマゴ型の固形漂白剤を10個製造した。この際、最終の加圧成形時の圧力は3kgf/cm2とした。得られたタマゴ型の固形漂白剤は、いずれも略同じ箇所に高圧力気体を封入した糖類粒状物が包埋されていた。固形漂白剤を溶解したところ、外側の漂白剤が溶解した後、高圧力気体を封入した糖類粒状物が所望の発音による発泡を伴いながら溶解した。更に、得られた固形漂白剤をアルミ箔製の袋に入れ、密封した後、常温で6ヶ月間保存した。6ヶ月後に袋を開封し、製造時の臭い及び色と比較した結果、ほとんど変化は認められず、また成形物の亀裂や割れも認められなかった。
【0021】
実施例4
平均分子量500のPEG 8.0質量部及び平均分子量3700のPEG 8.0質量部を、温度60℃でジプロピレングリコール8.0質量部に溶解し、平均分子量2100のPEG溶液を調製した。次いで、エデト酸四ナトリウム10質量部、ラウリル硫酸ナトリウム5.0質量部及び炭酸ナトリウム61.0質量部に、前記PEG溶液を混合撹拌し、水溶性湿潤粉末の固形浴槽つけおき洗剤原料を調製した。
得られた固形浴槽つけおき洗剤原料を用いて上述の図1及び図2を参照して説明した方法に準じて圧縮したスポンジを包埋したタマゴ型の固形浴槽つけおき洗剤を10個製造した。この際、最終の加圧成形時の圧力は2kgf/cm2とした。得られたタマゴ型の固形浴槽つけおき洗剤は、いずれも略同じ箇所に圧縮スポンジが包埋されていた。固形浴槽つけおき洗剤を溶解したところ、洗剤が溶解した後、圧縮スポンジが水分を含み通常のスポンジ形態として浴槽水面に現れた。更に、得られた固形浴槽つけおき洗剤をアルミ箔製の袋に入れ、密封した後、常温で6ヶ月間保存した。6ヶ月後に袋を開封し、製造時の臭い及び色と比較した結果、ほとんど変化は認められず、また成形物の亀裂や割れも認められなかった。
【0022】
実施例5
平均分子量500のPEG 6.0質量部及び平均分子量3700のPEG 6.0質量部を、温度60℃でジプロピレングリコール6.0質量部に溶解し、平均分子量2100のPEG溶液を調製した。次いで、ショ糖60.0質量部、グルタミン酸ナトリウム20.9質量部、リボフラビン0.1質量部及び香料1.0質量部に、前記PEG溶液を混合撹拌し、水溶性湿潤粉末の入浴剤原料を調製した。
得られた入浴剤原料を用いて上述の図2を参照して説明した方法に準じて複数のプルランフィルムを包埋した球状の固体入浴剤を10個製造した。この際、最終の加圧成形時の圧力は1.6kgf/cm2とした。得られた球状の固体入浴剤は、いずれも略同じ箇所にプルランフィルムが包埋されていた。また、固体入浴剤を溶解させたところ、外側の入浴剤が溶解した後プルランフィルムが現われ、癒着等がなくその後浴湯に溶解した。更に得られた固体入浴剤をアルミ箔製の細孔を有する袋に入れた後、常温で6ヶ月間保存した。6ヶ月後袋を開封し、製造時の臭い及び色と比較した結果、ほとんど変化は認められず、また成形物の亀裂や割れも認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造法の一例を説明するための工程説明図である。
【図2】本発明の製造法の他の例を説明するための工程説明図である。
【符号の説明】
10、20:容器
11:原料
12、14、21a,21b:押圧部材
12a:凹部
13:高圧力気体を封入した糖類粒状物
15、22:洗剤固形物
Claims (11)
- 内部に有形物を包埋した固形物の製造法であって、加圧によって成形しうる、粉体を含む原料を容器に所定量投入する工程(A)、工程(A)で投入した原料に所定深度の凹部を形成する工程(B)、工程(B)で形成した凹部の底面に有形物を載置する工程(C)、容器内側面と工程(B)で形成した凹部との間に存在する原料の少なくとも一部を壊落させることによって、工程(C)で載置した有形物を原料で包埋・成形する工程(D)、及び工程(D)で得られた成形物を所望形状に加圧成形する工程(E)を少なくとも含む有形物含有固形物の製造法。
- 工程(A)の原料を容器に投入する所定量が、得られる固形物の1個分の原料全量であり、且つ工程(B)の凹部の所定深度が、得られる固形物の略中心部に有形物が位置するように工程(C)で有形物を載置しうる深度である請求項1記載の製造法。
- 工程(B)の凹部の底面が、有形物を載置しうる平面であり、且つ凹部の側面が下方に向かってテーパをなしているか、若しくは垂直である請求項1又は2記載の製造法。
- 工程(E)において、加圧成形を半球面状の凹部を有する押圧部材を用いて行い、球状、タマゴ形状又は楕円形状に加圧成形する請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
- 工程(D)の成形時の圧力が0.5〜1.5kgf/cm2である請求項1〜4のいずれか1項記載の製造法。
- 工程(E)の加圧成形時の圧力が、工程(D)の成形時の圧力以上であり、且つ1〜5kgf/cm2である請求項1〜5のいずれか1項記載の製造法。
- 原料が、溶剤により溶解したポリエチレングリコールを含む液状原料及び粉体原料からなる湿潤粉末原料である請求項1〜6のいずれか1項記載の製造法。
- 粉体原料及び液状原料からなる原料を混合撹拌して得た湿潤粉末原料を、篩により所定粒度以下に調整する、工程(A)に用いる原料の調製工程を更に含む請求項1〜7のいずれか1項記載の製造法。
- 固形物が、洗浄剤、芳香剤、消臭剤、垢すり剤、害虫忌避剤、足浴剤、制汗剤、固形化粧水、固形乳液、漂白剤、ぬめり取り剤、水質改善剤、汚泥改良剤、撒き餌及び肥料からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の製造法。
- 有形物が水溶性有形物であって、且つ固形物が入浴剤である請求項1〜8のいずれか1項記載の製造法。
- 有形物が、高圧力気体を封入した糖類粒状物、カプセル剤、多糖フィルム、植物乾燥物、スポンジ類、アクセサリー、玩具及び錠剤からなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1〜10のいずれか1項記載の製造法。
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