JP6795922B2 - 錠剤 - Google Patents

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本発明は錠剤に関する。
カチオン化セルロース(ヒドロキシエチルセルロース)は香粧品分野で汎用的に使用される化合物であり、例えばシャンプー組成物の成分の一つとして使用されている(例えば、特許文献1)。
特開2015−67582号公報
カチオン化セルロースが有する、すべすべ感やしっとり感を対象に付与する特性を活かすべく、これを錠剤状の入浴剤に含ませることを発明者らは試みた。しかしながら、カチオン化セルロースを含有する粉末混合物を用いて錠剤を作製しようとすると、強度が高く保形性に優れた錠剤を成型できないことや、成型ができたとしても製造時の粉末の飛散抑制が困難な(製造適性が十分でない)ことがあるという課題があった。
そこで本発明は、上記事情に鑑み、カチオン化セルロースを含有し、かつ優れた保形性及び製造適性を有する錠剤を提供することを目的とする。
本発明は、カチオン化セルロース、ポリエチレングリコール及び炭酸ガス発生物を含有し、炭酸ガス発生物が、平均粒子径が50〜150μmである炭酸塩粒子を、炭酸ガス発生物の全質量を基準として2〜52質量%含有する粉末混合物の、圧縮成型物である錠剤を提供する。
本発明において、炭酸ガス発生物の含有量が、カチオン化セルロースの含有量の50倍以上であることが好ましい。これにより、保形性及び製造適性をより向上することができる。
本発明において、粉末混合物はさらに油性成分を含有することができる。油性成分を用いることにより強度が高く保形性に優れる錠剤を成型し易くなる。
なお、油性成分を用いる場合は、油性成分の含有量が、カチオン化セルロースの含有量の10倍以下であることが好ましい。これにより、油性成分を含有していても、錠剤としての保形性を維持し易くなる。
本発明によれば、カチオン化セルロースを含有していても、優れた保形性及び製造適性を有する錠剤を提供することができる。
<錠剤>
本実施形態に係る錠剤は、少なくともカチオン化セルロース、ポリエチレングリコール及び炭酸ガス発生物を含有する粉末混合物の圧縮成型物である。すなわち、本実施形態に係る錠剤は、当該粉末混合物を圧縮成型してなる錠剤である。以下、粉末混合物中に含まれ得る各種成分について詳述する。
(カチオン化セルロース)
カチオン化セルロースとしては、具体的には、塩化o−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(別称「ポリクオタニウム−10」)、塩化o−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース共重合体等が挙げられる。これらの中でも、対象に対してすべすべ感、しっとり感などを付与できるという観点から、塩化o−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが好ましく用いられる。なお、上記カチオン化セルロースは単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
これらの中において、分子量やカチオン化度の異なるものがあるが、本発明の効果を奏する限り適宜選択して用いることができる。分子量としては、例えば、10,000〜3,000,000の範囲が好ましく、さらには50,000〜2,000,000の範囲がより好ましい。またカチオン化度は、窒素原子含有率(質量%)として、例えば、0.1〜5質量%の範囲が好ましい。
カチオン化セルロースの含有量は、対象に対してすべすべ感、しっとり感などを付与できるという観点から、粉末混合物の全質量を基準として、0.01〜3質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。
(ポリエチレングリコール)
本実施形態の粉末混合物は、ポリエチレングリコールを含む。ポリエチレングリコールのグレードに特に限定はないが、重量平均分子量が100〜20,000程度のものを好適に用いることができる。
ポリエチレングリコールの含有量は、保形性に優れる錠剤を成型するという観点から、粉末混合物の全質量を基準として、0.5〜10質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましい。なお、ポリエチレングリコールの含有量は、カチオン化セルロースの含有量との対比において、等倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。
(炭酸ガス発生物)
炭酸ガス発生物は、本実施形態の錠剤が浴水等に投入された際に炭酸ガスを発生させるものである。炭酸ガス発生物は、酸と炭酸塩とを組み合わせたものが好ましい。なお、炭酸ガスを好適に発生させる観点から、炭酸ガス発生物中における酸と炭酸塩との含有量の比は1:0.5〜1:4、好ましくは1:0.7〜1:3程度とすることができる。
酸としては、有機酸及び無機酸のいずれでも使用できる。有機酸としては、例えば、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の点から、フマル酸、コハク酸等が好ましい。一方、無機酸としては、ホウ酸、メタケイ酸、無水ケイ酸等が挙げられる。
これらの酸は、保形性に優れる錠剤の成型性及び保存安定性や良好な溶解性と発泡性の観点から、室温(25℃)で固体のものが好ましい。その場合、酸の平均粒子径(平均二次粒子径)が0.01〜5.0mmであることが好ましく、0.05〜0.5mmであることがより好ましい。なお、本実施形態において平均粒子径とは、粒度分布におけるD50を示す。
炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、保形性に優れる錠剤の成型性や保存安定性の点や良好な溶解性と発泡性の観点から、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムが好ましい。炭酸塩は、保形性に優れる錠剤の成型性や保存安定性の点や良好な溶解性と発泡性の観点から、平均粒子径が0.01〜1mmであることが好ましく、0.05〜0.5mmであることがより好ましい。
炭酸ガス発生物は、少なくとも平均粒子径が50〜150μmである炭酸塩粒子を、炭酸ガス発生物の全質量を基準として2〜52質量%含有する。なお、保形性に優れる錠剤の成型性及び保存安定性や良好な溶解性と発泡性の観点から、当該平均粒子径は50〜120μmであることが好ましい。また、保形性に優れる錠剤の成型性及び保存安定性や良好な溶解性と発泡性の観点から、当該含有量は2〜35質量%であることが好ましい。
なお、炭酸ガス発生物は、異なる平均粒子径を有する炭酸塩粒子を二種以上含有していてもよい。本実施形態においては、上記平均粒子径が50〜150μmである炭酸塩粒子の他、例えば平均粒子径が150μm超500μm以下、好ましくは200〜400μmである炭酸塩粒子をさらに含んでいてもよい。これにより、良好な溶解性と発泡性を有することができる。
炭酸ガス発生物に含まれる酸及び炭酸塩は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、室温(25℃)で固体の有機酸と炭酸塩とを組み合わせて用いるのが好ましい。
炭酸ガス発生物の含有量は、保形性に優れる錠剤の成型性及び保存安定性や良好な溶解性と発泡性の観点から、粉末混合物の全質量を基準として、45〜95質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
なお、炭酸ガス発生物の含有量は、保形性及び製造適性を向上することができるという観点から、カチオン化セルロースの含有量の50倍以上であることが好ましく、80倍以上であることがより好ましい。
(油性成分)
本実施形態において、粉末混合物はさらに油性成分を含有していてもよい。油性成分としては、水に不溶又は難溶であって、常温で液状を又は固体のものが好ましく、例えば次のようなものがあげられる。これらの油性成分は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
油脂類:大豆油、ヌカ油、ホホバ油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、豚脂等の天然油脂、これらの天然油脂を水素添加して得られる硬化油及びミリスチン酸グリセリド、2−エチルヘキサン酸グリセリド等の合成トリグリセリド、ジグリセリド等。
ロウ類:カルナウバロウ、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリン等。
炭化水素類:流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、プリスタン等。
高級脂肪酸類:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等。
高級アルコール類:ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、2−ヘキシルデカノール等。
エステル類:オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール等。
精油類(香料類):ハッカ油、ジャスミン油、ショウ脳油、ヒノキ油、トウヒ油、リュウ油、テレピン油、ケイ皮油、ベルガモット油、ミカン油、ショウブ油、パイン油、ラベンダー油、ベイ油、クローブ油、ヒバ油、バラ油、ユーカリ油、レモン油、タイム油、ペパーミント油、ローズ油、セージ油、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール、リナロール、ゲラーオール、カンファー、チモール、スピラントール、ピネン、リモネン、テルペン系化合物等。これらの香料成分、精油成分は、1種単独で使用することもでき、また2種以上を任意に組み合わせて、調合香料として使用することもできる。さらにこれらの香料成分、精油成分に、溶剤、香料安定化剤等を適宜混合し、香料組成物として使用することもできる。
シリコーン油類:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルトリメチルシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等。
油性成分を用いる場合、その含有量は、油性成分としての機能を発現しつつ、保形性に優れる錠剤を成型するという観点から、粉末混合物の全質量を基準として、0.01〜3.0質量%であることが好ましく、0.05〜1.0質量%であることがより好ましい。ただし、油性成分の含有量は、保形性に優れる錠剤の成型性という観点から、カチオン化セルロースの含有量との対比において、10倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましい。
(その他の成分)
本実施形態において、錠剤は浴用錠剤として使用することができる。その場合、本発明の効果を損なわない限り、粉末混合物はさらに通常浴用剤に用いられている公知の浴用剤原料をその他の成分として配合することができる。その他の成分としては、例えば、無機塩、殺菌剤、界面活性剤、生薬類、色素、顔料・鉱物類、保湿成分、退色防止剤、pH調整剤等が挙げられる。
無機塩:塩化ナトリウム、ホウ砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、塩化カリウム、硫化カリウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン等。
殺菌剤:イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ジクロロイソシアヌル酸、銀ゼオライト、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム、塩化クロルヘキシジン、ヒノキチオール、フェノール、グリチルリチン酸塩及びその誘導体等。
界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系活性剤;石けん用素地などの脂肪酸エステル、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルグルコシドヒドロキシアルキルスルホン酸Na、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム等の陰イオン系活性剤;アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤;アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤等。
生薬類:ウイキョウ、オウバク、カミツレ、桂皮、紅花芍薬、ショウキョウ、菖蒲、センキュウ、トウキ、チンピ、ソウジュツ、カノコソウ、ビャクシ、トウヒ、薄荷、ブクリョウ、人参等。
色素:青色1号、青色2号、赤色102号、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、緑色3号、緑色201号、緑色204号、橙色205号、等のタール色素、クロロフィル、リボフラビン、アンナット、アントシアニン等の天然色素等。
顔料・鉱物類:酸化チタン、タルク、クレー、カオリン、ベンガラ、黄酸化鉄、マイカ、雲母、チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ベントナイト、ゼオライト、無水ケイ酸、メタケイ酸、中性白土等、これらの被覆粒(顆粒)等。これらは、製剤助剤としても含有することができる。
保湿成分:セラミド、セラミド誘導体、セラミド類似物質などのセラミド類等;乳酸ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グルタミン酸二ナトリウム等の有機酸塩類;イソプレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、キシロース、キシリトール、ソルビトール等の多価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子;コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類、コラーゲンやその誘導体、蛋白質、ケラチン、フィブロイン及びその加水分解物;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル、シア脂、スクワラン、プラセンタ、アルブチン、尿素、デキストリン、アミノ酸、カゼイン、シルク、はちみつ等。
退色防止剤:グリシン、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸;サリチル酸及びその塩等。
pH調整剤:リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等。
<錠剤の製造方法>
本実施形態の錠剤は、上記各成分を混合して得られる粉末混合物を打錠機等で圧縮成型して製造することができる。打錠機は、臼の中に粉末混合物を充填し、下杵と上杵の間で圧縮して成型する装置である。打錠機には、1個の臼内で上下一組の杵が上下運動して圧縮する単発打錠機、水平に回転するターンテーブルの外周に、臼が等間隔に埋め込まれ、ターンテーブルが回転する間に、充填・圧縮・排出の一連の操作が連続的に行われるロータリー打錠機がある。周知の打錠機として、単発打錠機には志賀製作所製打錠機などを、ロータリー打錠機には株式会社菊水製作所製打錠機などを用いることができる。なお、打錠機を用いずとも、例えば作製する錠剤の重量に合わせた杵臼と、理研機器株式会社などの油圧式ポンプなどを用いて単発打錠し、錠剤を作製することもできる。圧縮成型方法は制限されるべきでなく、直接粉末圧縮法(直打法)や顆粒圧縮法(間接圧縮法)により製造することができる。また、各成分の混合の順序や混合方法等は適宜選定される。混合条件や、圧縮成型条件についても特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。なお、打錠することにより作製された錠剤を打錠剤といい、特に発泡成分が含まれている錠剤を発泡打錠剤という。また、そのような錠剤を上述のとおり浴用錠剤として使用する場合、打錠入浴剤といい、発泡成分が含まれる場合は、発泡打錠入浴剤という。
錠剤の大きさは、円柱状の場合には底面の直径(多角柱状の場合には底面の多角形に略外接する円の直径)が80mm以下のものが好ましく、70mm以下がより好ましく、また、10mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましい。錠剤の厚みは、20mm以下が好ましく、17mm以下がより好ましく、また、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。錠剤の形状は、特に限定されるものではないが、円柱形状、ブロック形状、球形状、半球形状、多角体形状等が好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(錠剤の作製)
表1及び表2に示す処方に基づき各成分を均一に混合し、粉末混合物を作製した。この粉末混合物を油圧式単発式打錠機を用いて圧縮成型し、1錠あたりの重量が15gの錠剤を作製した。作製した錠剤は、直径が30mmであり厚みが15mmである円柱形状であった。
なお、表1及び表2中の主な成分の詳細は以下のとおりである。
・カチオン化セルロース
塩化o−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース:カチナール LC−100(東邦化学工業株式会社製)
・炭酸ガス発生物
コハク酸:コハク酸(川崎化成工業株式会社製)、平均粒子径:400μm
炭酸ナトリウム:ソーダ灰デンス(株式会社トクヤマ製)、平均粒子径:300μm
炭酸ナトリウム:ソーダ灰ライト(株式会社トクヤマ製)、平均粒子径:80μm
炭酸水素ナトリウム:Sodium Bicarbonate(NOVACARB製)、平均粒子径:290μm
(錠剤の硬度評価)
得られた各錠剤について、錠剤の側面をプッシュプルゲージ(アイコーエンジニアリング株式会社製、条件・仕様等は以下のとおり)を用いて圧縮し、圧縮した時の最大圧力を錠剤の硬度として評価した。計三錠の硬度を測定し、その平均値を測定値とした。評価基準は、硬度が3kgf以上である場合を○、それに満たない場合を×とした。結果を表1及び表2に示す。
フォースゲージ:MODEL−RX
電動スタンド:MODEL−1307
計測用アタッチメント:012B(円形、直径14mm)
計測時の電動スタンド速度:8mm/min
(錠剤の製造適性評価)
錠剤の製造適性(粉末の飛散抑制性)の良否を、粉末混合物の嵩密度を測定することで評価した。嵩密度の測定は以下の手順に従って行った。
1)指定容器(容量100mL)に、高さ15cmの位置から表1及び表2に示す処方に基づき得られた粉末混合物を充てんした(山盛りになるまで)。
2)ガラス棒で山盛り部分をすり切り、満注状態で計量した。
3)嵩密度(g/mL)を算出した。
計三回嵩密度を測定し、その平均値を測定値とした。評価基準は、嵩密度が0.8〜1.1g/mLである場合を○、0.75g/mL以上0.8g/mL未満又は1.1g/mL超1.15g/mL以下である場合を△、いずれにも該当しない場合を×とした。結果を表1及び表2に示す。なお、粉末の飛散は、粒子径の小さい粒子が多いと起こり易く、その場合、嵩密度が低くなる。また、反対に嵩密度が高い場合、すなわち粒子径の大きい粒子が多い場合は、粉末間の結合性が悪くなり、錠剤化し難くなる。このように嵩密度が低過ぎても高過ぎても、錠剤の製造適性の観点からは好ましくない。
Figure 0006795922
Figure 0006795922
表1及び2によれば、実施例に係る錠剤は、カチオン化セルロースを含有しているにもかかわらず、優れた保形性及び製造適性を有する錠剤であることが分かった。特に、実施例に係る錠剤は、カチオン化セルロースを含まない参考例1と比しても、十分に優れた保形性を達成していることは驚くべきことである。これにより、カチオン化セルロースのすべすべ感を付与でき、かつ発泡(二酸化炭素の発生)による温浴効果の得られる発砲打錠入浴剤を製造することができる。なお、上記硬度評価は錠剤の圧縮成型後間もなく行われた。そのため、これらの錠剤が実際に使用に供される際には、経時により錠剤内の粒子間が密になり、硬度はより向上している状態である。

Claims (4)

  1. カチオン化セルロース、ポリエチレングリコール及び炭酸ガス発生物を含有し、前記炭酸ガス発生物が、平均粒子径が50〜150μmである炭酸塩粒子を、前記炭酸ガス発生物の全質量を基準として2〜52質量%含有する粉末混合物の、圧縮成型物である錠剤。
  2. 前記炭酸ガス発生物の含有量が、前記カチオン化セルロースの含有量の50倍以上である、請求項1に記載の錠剤。
  3. 前記粉末混合物がさらに油性成分を含有する、請求項1記載の錠剤。
  4. 前記油性成分の含有量が、前記カチオン化セルロースの含有量の10倍以下である、請求項3記載の錠剤。
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