JP5227232B2 - 靴および靴先用カバー - Google Patents
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Description
また、硬い先芯を内蔵した靴の場合、内面に先芯を設けた靴先が硬いものにぶつかったり擦りつけられたりすると、当該部位が先芯との間に挟まれる状態となって他の部位よりも切れたり削れやすくなる。そして、軽度の傷であっても、繰り返し損傷を受け続けると先芯が露出してしまう等の障害が発生する虞がある。当該事情に鑑み、本願出願人は、亀裂や摩耗に強いゴム等の柔軟性のある素材によって先芯カバーを形成し、当該先芯カバーによって先芯を内蔵した靴先部分を覆う靴を開発している。
本発明は、当該事情に鑑み発明されたものであって、靴先の強度をカバーの装着によって高めた靴において、靴底形成時における肉欠けを防止する手段の提供を課題とするものである。
前記アッパー体は、足先部を除く足の甲部およびその周辺を覆う外被と、当該外被の内面に取り付けられるとともに少なくとも前記足先部を覆うように形成された内被と、当該内被の足先部表面を覆うゴムまたは合成樹脂製のカバー体と、当該アッパー体の底面を形成する中底とを有しており、
前記カバー体は前記外被の先端部に取り付けられるとともに、下端に内側に向かう所定幅の折曲片を有しており、
前記カバー体と内被との間に先芯を収容するとともに、前記折曲片を内側に向かって牽引する牽引手段を有することを特徴とする。
前記カバー体との取付部位から所定範囲の前記外被の下端縁に、前記中底との縫い合わせを行わない未縫着部を設けていることを特徴とする。
前記外被の未縫着部に、中底底面との接着を可能とする突出片を設けたことを特徴とする。
前記牽引手段は、前記折曲片に設けた小孔と、当該小孔に挿通する紐によって構成されていることを特徴とする。
足先を覆うように構成されたゴムまたは合成樹脂製の靴先カバーであって、
表面の後端側開口縁に沿った部位に縫い針の貫通を可能とする薄肉部若しくは溝を設けるとともに下端縁に内側に向かう所定幅の折曲片を設け、当該折曲片に複数の小孔を設けたことを特徴とする。
前記折曲片の前記小孔を設けていない部位の全部または一部の形状を、細幅若しくは切り欠きを設けた形状に形成したことを特徴とする。
当該カバー体2は、所定の肉厚を有するゴム製の碗状体として一体的に形成されたものであり、靴先となる先端部から甲面および左右両側面に向かう湾曲面6を有するとともに後端に開口7、底面に開口8を形成したものとなっている。これら開口7および開口8は、概ね半円形状に形成されている。
前記開口8を形成するカバー体2の下端には、フランジ状の折曲片9が内側に向かうように設けられている。なお、当該カバー体2を構成する素材は、ゴムに限るものではなく当該ゴム相当の強度、柔軟性、耐摩耗性を有するものであれば、合成樹脂や他の素材を用いても差し支えない。
後に詳述するように、当該小孔12は紐を挿通させることを主目的とした孔であり、挿通させた紐を引き絞ることによって折曲片9の端縁全体を略中心方向に向かって引く牽引手段を構成するものとなっている。
なお、幅狭部分10を折曲片9の一部を切り取ったような切り欠いた形状に形成しても差し支えがないものである。幅狭部分10は、前記幅広部分11を中央方向に牽引した際に、折曲片9に生じる皺状の重なり合いを防止するとともに素材の変形に伴う抵抗を軽減して牽引を円滑に行うために設けられた部位である。
なお、当該溝13は前記幅および深さが0.5〜1mm程度の凹条としてカバー体2の肉厚を薄くすることにより形成する場合の他、溝13となる部位の両側若しくは片側の肉厚を厚く盛り上げて高低差を設けることで形成してもよいものである。
また、前記溝13は、ミシンを用いてカバー体2とアッパー体3とを結合(縫合)する際にミシン針を誘導するガイドとして機能する他、縫い付けた糸の露出を防止して擦り切れるのを防止する作用を有する。なお、溝13の形状は、角型溝、V型溝等に限ることなく、前記機能または前記作用を有するものであればその形態に限定はない。
なお、折曲片9上に形成した凸条14は、幅の狭い幅狭部分10と幅の広い幅広部分11の上面に設けられているので幅狭部分10においては一部寸断されている。しかし、このように寸断されてはいるものの、見かけ上は一つの凸条として作用するので、先芯5の位置決め手段として機能するようになっている。
なお、上記内被は少なくとも外皮15が途切れている足の先端部を覆うように形成されていればよく、外皮15との間に適宜クッション性のあるシート材を重ね合わせる等、単一素材のみではなく複合的な構造物として形成しても差し支えがないものである。
また、カバー体2と外被15の内面には内被16が設けられており、これにより靴先部分は2重構造になっている。そして、当該2重構造の靴先部分のうち、中底20が縫着されるのは内被16と外被15の一部(先端付近)のみとなっており、カバー体2と中底20は結合しないようになっている。
当該突出部21を設けた部分を中底20に対して縫合しないのは、後述する先芯の装着工程においてカバー体2のめくり上げを可能とするためである。すなわち、外被15の下端縁を全て縫着してしまうと、カバー体2の開口7の直近部分が中底20に固定されることとなり、カバー体2を十分にめくり上げることができないからである。すなわち、突出部21を設けた部位を変形可能な中間部分とすることで、カバー体2の変形を阻害しないようになっている。
なお、突出部21は、カバー体2と内被(先裏)16との間に先芯を装着した後に、中底20の裏面に対して接着剤等を用いて貼り付けられることで、最終的には中底20に固定されるようになっている。
とで、先芯5の内面に内被16を接着させることができ靴の内部における内被16の垂れ下がりを防いでいる。
引いた紐23の末端は、図7に示すように中底20の底面に設けた固定手段24によって固定されるようになっており、紐23によって引き寄せたカバー体2底面の状態を維持することができるようになっている。
図8は、靴底4を形成するためにアッパー体3を成形金型25にセットした状態を表した断面図である。図示した靴は、靴底4をアウトソール26とミッドソール27の2層によって構成した所謂2層底を有する靴である。当該2層底は予めアウトソール(接地部)を形成した後に、当該アウトソール26を形成した金型にアッパー体3をセットし、アウトソール26とアッパー体3の間に形成される空間にミッドソール27を形成するというものである。ミッドソール27は、発泡剤を含むゴムまたはウレタン樹脂等の素材を金型内に注入した後に膨張させ、アウトソール26とアッパー体3の下部を接着しつつクッション層として形成されるものである。
上記図8に示した靴の場合、アッパー体3を金型にセットすると、アッパー体の内部に差し込んだ足の形状を模した金型28(通称「ラスト」という)と、通常の場合成形用金型25の開口部29に挟まれたカバー2が図9(a)に示すように変形する。図9(a)は、前記図8に示したA矢示部における通常の場合の拡大図であり、カバー2の折曲片9が変形して狭窄部30が生じ肉欠け31が生じた状態を表している。
しかし、本実施の形態に係る靴は、カバー2底面の折曲片9を紐23によって牽引しているため、上記のような変形は起こらず、図9(b)に示すようにカバー2は正常な形状を維持するようになっている。
本実施の形態では、このような観点からカバー2の折曲片9を紐23によって牽引し、金型にセットした際のカバー2の変形を防止することで素材流路上における狭窄部の発生を防止し、靴底全域にわたって適切な密度で靴底を形成することができるようになっている。
2 カバー体
3 アッパー体
4 靴底
5 先芯
6 湾曲面
7 開口
8 開口
9 折曲片
10 幅狭部分
11 幅広部分
12 小孔
12a 小孔
13 溝(薄肉部)
14 凸条
15 外被
15a 先端縁
17 縫い糸
16 内被
18 後部体
19 縫い糸
20 中底
21 突出部
23 紐
24 固定手段
25 成形金型
26 アウトソール
27 ミッドソール
28 金型(ラスト)
29 開口部
30 狭窄部
31 肉欠け
Claims (6)
- 靴底と当該靴底上に設けられるアッパー体を有した靴であって、
前記アッパー体は、足先部を除く足の甲部およびその周辺を覆う外被と、当該外被の内面に取り付けられるとともに少なくとも前記足先部を覆うように形成された内被と、当該内被の足先部表面を覆うゴムまたは合成樹脂製のカバー体と、当該アッパー体の底面を形成する中底とを有しており、
前記カバー体は前記外被の先端部に取り付けられるとともに、下端に内側に向かう所定幅の折曲片を有しており、
前記カバー体と内被との間に先芯を収容するとともに、前記折曲片を内側に向かって牽引する牽引手段を有することを特徴とする靴。 - 前記カバー体との取付部位から所定範囲の前記外被の下端縁に、前記中底との縫い合わせを行わない未縫着部を設けていることを特徴とする請求項1記載の靴。
- 前記外被の未縫着部に、中底底面との接着を可能とする突出片を設けたことを特徴とする請求項2記載の靴。
- 前記牽引手段は、前記折曲片に設けた小孔と、当該小孔に挿通する紐によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の靴。
- 足先を覆うように構成されたゴムまたは合成樹脂製の靴先カバーであって、
表面の後端側開口縁に沿った部位に縫い針の貫通を可能とする薄肉部若しくは溝を設けるとともに下端縁に内側に向かう所定幅の折曲片を設け、当該折曲片に複数の小孔を設けたことを特徴とする特徴とする靴先カバー。 - 前記折曲片の前記小孔を設けていない部位の全部または一部の形状を、細幅若しくは切り欠きを設けた形状に形成したことを特徴とする請求項5記載の靴先カバー。
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