JP5227094B2 - 燃料電池車両 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池から電力の供給を受けて駆動する燃料電池車両に関し、性能安定性及びメンテナンス性を向上させる技術に関連する。
車室の下側に燃料電池システムが配置される燃料電池車両は、燃料ガスである水素の漏れを検知する水素センサが、この下側を仕切る下面パネルの裏側に設けられている。つまり、水素は空気よりも比重が軽いため、この水素センサは、燃料電池システムの上方に配置されることになる。
すると水素センサは、車両の外部からの視認が困難であって手や工具を入れにくい位置に配置されることになる。このために、車両メンテナンスの際に、検査用ガスを吹き付けて水素センサの点検をしようとすると、車両から構成部材の一部を取り外す必要が生じ、点検作業が煩雑化する問題がある。
そこで従来技術として、離れた位置から水素センサの近傍に検査用ガスを導くための配管を予め車両に取り付けて、点検作業を容易にする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で、燃料電池車両は、高出力モータから駆動力を得るために、高電力を制御するための各種電力系デバイスを搭載している。そして、この電力系デバイスは、電気的な内部短絡(ショート)の発生を防止するために、水分、ゴミ等の異物侵入を防止する密閉空間に収容されている。そして、この密閉空間には、ジュール熱の発生に伴う内部圧変動を防止するために大気側と連通する通気孔が開口している(例えば、特許文献2参照)。
さらに、この電力系デバイスが、車室の下側にレイアウトされる場合は、車両走行時に路面から水、泥、ゴミ跳ね上げをまともに受けることから、この通気孔が可能な限り上部に位置することが望まれている。
特開2006−329786号公報 特開2007−20238号公報
ところで、跳ね上げられた水、泥、ゴミの電力系デバイスへの内部侵入を防止するために、前記した密閉空間に通じ上方へ延びる呼吸配管を設け、その先端を通気孔とすることが考えられる。しかし、結露などによりこの呼吸配管の内部に液滴が付着し集積すると、電力系デバイスに向かって流入したり、呼吸配管の内部を封止して内部圧変動の防止機能を妨げたりする可能性がある。すると、電力系デバイスの性能安定性を確保するために、この呼吸配管を定期的にクリーニングする必要が生じ、燃料電池車両のメンテナンス性が低下する。
本発明は、前記した問題を解決することを課題とし、性能安定性及びメンテナンス性に優れる燃料電池車両を提供することを目的にする。
前記した課題を解決するために本発明は、燃料電池車両において、車室の下面側を仕切る下面パネルに対し前記車室とは反対側に設けられ燃料ガスを消費して発電する燃料電池を有する燃料電池システムと、前記燃料電池システムに対向する前記下面パネルの表面に設けられ漏洩した前記燃料ガスを検知する検知センサと、前記検知センサに向かって開口する連通孔を有する第1配管と、内部圧変動を防止する通気孔が開口する密閉空間に収容されているとともに前記燃料電池電力制御を担う電力系デバイスと、前記密閉空間に通じるとともに前記通気孔から延びる経路がこの通気孔よりも低い位置を通過してから第1配管に対して自在に連結/分断する第2配管と、を備えることを特徴とする。
このように発明が構成されることにより、検知センサ(水素センサ)を点検するための第1配管を、電力系デバイスの呼吸配管として共用することができる。そして、この検知センサを点検するときは、第1配管及び第2配管の連結する部分を分断するが、このとき第2配管の内部に溜まった水分等がついでに排出されることになる。これにより、検知センサの点検と同時に電力系デバイスの呼吸配管のクリーニングもついでに実行されることになる。
さらに本発明は、燃料電池車両において、前記第1配管の第1接続端及び第2配管の第2接続端に対して両端が接続するとともに可撓性をもたせて対し連結/分断を自在にする連結管を備えることを特徴とする。
このように発明が構成されることにより、検知センサの点検時における第1配管及び第2配管の連結/分断作業が容易となり、また通常時においては当該部分から管内部に水分が侵入しない程度に強固に連結される。
さらに本発明は、燃料電池車両において、前記通気孔から前記連結/分断が自在な部分に至る経路において下り傾斜を含むことを特徴とする。
かかる構成により、第2配管の内部に液滴が付着した場合、傾斜を降りて連結する部分に集積することとなり、この連結を分断した際に第2配管の内部に存在する水分が一掃される。
本発明により、水、泥、ゴミ等の異物が電力系デバイスに内部侵入するのを防止して性能安定性を確保するとともに、メンテナンス性に優れる燃料電池車両が提供される。
以下、図面を参照して本発明の燃料電池車両の実施形態を詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る燃料電池車両10(以下、単に「車両10」と記載する)の第1実施形態を示す断面図であるである。
車両10は、乗員空間であるキャビンC、及びこのキャビンCとの連続空間であるとともに荷物を収納するトランクルームTを含む車室を有している。
この車室は、その下面側を仕切る下面パネル20と、フロントガラス26、ルーフパネル27、リアゲート28及びサイドドア(図示せず)により形成されている。そして、この下面パネル20に対し車室とは反対側には、燃料ガス(水素ガス)を消費して発電する燃料電池システム30の主要部が配置される空間が形成されている。
下面パネル20は、ボンネット25及びフェンダパネル(図示せず)により形成されるモータルームM及びキャビンCを区画するダッシュボードパネル21と、上側に固定されている一対のフロントシート74に挟まれる部分が隆起してセンタコンソールSを形成するフロントフロアパネル22と、上側にリアシート75が固定され下側にリアルームUを形成するリアフロアパネル23と、上側にトランクルームTを形成し下側にボンベルームBを形成するトランクフロアパネル24とが連続して形成されている
そして、下面パネル20の下側に形成されるモータルームM、センタコンソールS、リアルームU及びボンベルームBは、走行中の跳ね上げ(チッピング)を防御するアンダカバー29が車底に配置されていることにより、車両10のフロント側からリア側にかけて連続し燃料電池システム30の主要部が配置される空間を形成している。
また、この燃料電池システム30に対向する下面パネル20の表面には、漏洩した燃料ガス(H2)を検知する検知センサ40(第1検知センサ40A,第2検知センサ40B)が設けられている。
燃料電池システム30は、水素と酸素の電気化学反応により発電して走行モータ41に電力を供給する燃料電池31と、燃料電池31が発電するのに必要な酸素(エア)をアクセルペダル42の踏み込み量に応じて供給するエアコンプレッサ33と、燃料電池31を発電させるための燃料ガス(H2)を高圧圧縮して貯蔵する燃料ボンベ34と、から構成される。
燃料電池31は、図示しないサブフレームに底面側が固定されセンタコンソールSの内部空間に収納されている。そして、カソード系補機36を介してエアコンプレッサ33からエア(酸素)を補給するエア補給路33aに接続し、さらに、アノード系補機35を介して燃料ボンベ34から燃料ガス(H2)を補給する燃料補給路34aに接続している。
そして、この燃料電池31、燃料補給路34a、及びアノード系補機35の接続部分やその他の部分から水素が漏洩した場合、水素の低比重性によりセンタコンソールSの内側上部に滞留することになる。この滞留した水素は第1検知センサ40Aに感知されることになる。
燃料ボンベ34は、ボンベルームBに収容され、この燃料ボンベ34及びこれに接続する燃料補給路34aの部分から漏洩した水素は、水素の低比重性によりボンベルームBの内側上部に滞留することになる。この滞留した水素は第2検知センサ40Bに感知されることになる。
カソード系補機36は、アクセルペダル42の踏み込み量(アクセル開度)に応じて流量が調整されるエアコンプレッサ33からのエアを、燃料電池31のカソード極(図示せず)に供給するものである。
アノード系補機35は、分岐したエア補給路33aが接続し、前記カソード極に供給されるエア流量に対応したパイロット圧(信号圧)が付与されている。そして、このパイロット圧に対応した流量の燃料ガス(H2)を燃料電池31のアノード極(図示せず)に供給するものである。
つまり、アノード系補機35は、このパイロット圧(信号圧)に基づいて水素の供給圧力を機械的に調整し、燃料電池31のアノード極(図示せず)に付与する水素圧力と、カソード極に付与するエア圧力との関係が一定になるようにしている。
電源管理制御部50Aは、燃料電池システム30における電力制御を担う電力系デバイス50であって、燃料電池31、高圧二次電池50B、低圧二次電源(鉛蓄電池;図示せず)及び走行モータ41間の供給電力及び回生電力のやりとりの制御を行うものである。
高圧二次電池50Bも、燃料電池システム30における電力制御を担う電力系デバイス50であって、リチウム蓄電池等から構成される。そして高圧二次電池50B(電力系デバイス50)は、走行モータ41の要求電力のうち燃料電池31の発電のみでは不足する電力を供給したり、走行モータ41で発生した回生電力を充電したりするものである。
PDU(図示せず)も、燃料電池システム30における電力制御を担う電力系デバイス50であって、アクセルペダル42の開度に応じた直流電力を電源管理制御部50Aから供給してもらい3相交流電力に変換してから走行モータ41に出力するものである。さらに、PDU(電力系デバイス50)は、減速時に回生電力を発生させて、今度は逆に直流電力に変換してから電源管理制御部50Aに出力して高圧二次電池50Bに充電させるものである。
これら電力系デバイス50は、高出力の電力が行き交う部分を有するために、内部短絡(電気ショート)を防止するために、外部からゴミや水分が侵入しないよう密閉空間に収容される構成をとる。そしてこの密閉空間を形成する容器には、ジュール熱の発生に伴う内部圧変動を防止するために大気側と連通するために開口する通気孔67が設けられている。
そして、この通気孔67から配管系60が延びて、その先端に位置する連通孔66が検知センサ40に向かって開口している。
図2(a)は電源管理制御部50A(電力系デバイス50)の配管系60の部分を拡大して示す側面図である。
配管系60は、検知センサ40に向かって開口する連通孔66を有し反対側が第1接続端64となっている第1配管61と、電源管理制御部50A(電力系デバイス50)の密閉空間に通じるとともに通気孔67から延びる経路がこの通気孔67よりも低い位置を通過してから第1配管61の第1接続端64に連結する第2配管62と、第1接続端64及び第2接続端65に両端が連結/分断が自在となるように接続する連結管63とから構成されている。
このように配管系60が構成されることにより、車両10(図1参照)が通常状態にあるときは、第1接続端64及び第2接続端65が、実線で示されるように連結した状態となっている。この場合は、電源管理制御部50A(電力系デバイス50)の常温/発熱のサイクルを繰り返しても、連通孔66を介して新鮮な空気が密閉空間に出入りするために、この密閉空間の内圧が変動することがなく、異物侵入も抑制される。そして、長期間にわたる連続使用により、配管系60の内部に結露等によって液滴が付着しても、通気孔67よりも低い位置の経路内に集積するために、電源管理制御部50A(電力系デバイス50)の内部に流入することはない。
この集積する水分が増加すると、配管系60の管内部を封止して電源管理制御部50Aの密閉空間の内部圧変動の防止機能が働かなくなる。しかし、定期的に実施される検知センサ40の点検時に、第1接続端64(又は第2接続端65)の連結部分が図中二点鎖線で示されるように分断され、溜まった水分等がついでに排出されるため、一時的に密閉空間の内部圧が変動しても深刻な事態に発展することはない。
つまり、配管系60が前記したような特徴的な構成を有するために、検知センサ40を点検するための第1配管61を、電源管理制御部50A(電力系デバイス50)の呼吸配管として共用することができる。そして、検知センサ40の点検と同時に第2配管62のクリーニングもついでに実行されることになる。
図2(b)は配管系60の他の実施例を示している。
つまり、第2配管62が、通気孔67から第1接続端64又は第2接続端65の部分までに至る経路において下り傾斜を含むことを特徴としている。
このように配管系60が構成されることにより、内部に付着した液滴は、傾斜を下って配管系60が連結/分断される部分に集積する。そして、この連結を分断した際に配管系60の内部に存在する水分が一掃されることになる。
図2で示した実施形態においては、互いに近接させた第1接続端64又は第2接続端65に対し、全体が可撓性を有し弾性変形するゴムホースの両端で連結させた連結管63を例示しているが、これに限定されるものではない。
連結管63は、胴体が蛇腹状に成形された金属管である場合もある。また全長にわたり可撓性を有する必要はなく、第1接続端64又は第2接続端65の距離を離して、連結管63を長くとって、連結/分断する部分の近傍のみ可撓性をもたせてもよい。さらに、連結管63の接続端のうち一方のみに可撓性をもたせてもよい。
これにより、配管系60のレイアウトの設計自由度が向上するとともに、検知センサ40の点検時における配管系60の連結/分断作業が容易となり、また通常時においては連結/分断する部分が強固に連結されて配管系60の内部への異物侵入が防止される。
なお連結管63は、必須の構成要素ではなく、第1配管61又は第2配管62のいずれか一方の端部が連結管63の機能を担保するように構成されていれば、別体として設ける必要はない。
<第2実施形態>
図3は、電源管理制御部50A(電力系デバイス50)が、リア側に配置されている高圧二次電池50B(電力系デバイス50)と一体化している場合に設けられる配管系60を有する燃料電池車両10の第2実施形態を示している。
この場合も、配管系60は、通気孔67から経路が延びて、この通気孔67よりも低い位置を迂回するように通過してから検知センサ40の近傍に先端部分を配置させ、この先端部分に検知センサ40に向かって開口する連通孔66を形成している。
なお、図示することが省略されているが、連通孔66を有する第1配管と、通気孔67から延びる第2配管とは、適宜連結管63を介して自在に連結/分断するように連絡している。
<第3実施形態>
図4は、燃料ボンベ34の近傍に配置された第2検知センサ40B(40)の点検用配管に、電力系デバイス(図示は高圧二次電池50B)の内部空間に通じる配管としての機能も担わせた燃料電池車両10の第3実施形態を示している。
この場合も、配管系60は、通気孔67から経路が延びて、この通気孔67よりも低い位置を迂回するように通過してから検知センサ40の近傍に先端部分を配置させ、この先端部分に検知センサ40に向かって開口する連通孔66を形成している。
なお、図示することが省略されているが、連通孔66を有する第1配管と、通気孔67から延びる第2配管とは、適宜連結管63を介して自在に連結/分断するように連絡している。
前記した実施形態では、燃料電池システム30が搭載された車両10を例示したが、その他に例えば、自動二輪車、列車、船舶等の移動体に搭載させた場合であってもよい。また、家庭用や業務用の据え置き型の燃料電池システムや、給湯システムに組み込まれた燃料電池システムにも本願発明を適用することができる。
本発明に係る燃料電池車両の第1実施形態を示す断面図である。 (a)は第1実施形態に係る燃料電池車両に適用される電力系デバイスの配管系(呼吸管)の実施例を示す側面図であり、(b)は他の実施例を示す側面図である。 本発明に係る燃料電池車両の第2実施形態を示す断面図である。 本発明に係る燃料電池車両の第3実施形態を示す断面図である。
符号の説明
10 車両(燃料電池車両)
20 下面パネル
30 燃料電池システム
31 燃料電池
33 エアコンプレッサ
34 燃料ボンベ
35 アノード系補機
36 カソード系補機
40,40A 第1検知センサ(検知センサ)
40,40B 第2検知センサ(検知センサ)
41 走行モータ
42 アクセルペダル
50,50A 電源管理制御部(電力系デバイス)
50,50B 高圧二次電池(電力系デバイス)
60 配管系
61 第1配管
62 第2配管
63 連結管
64 第1接続端
65 第2接続端
66 連通孔
67 通気孔
C キャビン(車室)
T トランクルーム(車室)

Claims (3)

  1. 車室の下面側を仕切る下面パネルに対し前記車室とは反対側に設けられ燃料ガスを消費して発電する燃料電池を有する燃料電池システムと、
    前記燃料電池システムに対向する前記下面パネルの表面に設けられ漏洩した前記燃料ガスを検知する検知センサと、
    前記検知センサに向かって開口する連通孔を有する第1配管と、
    内部圧変動を防止する通気孔が開口する密閉空間に収容されているとともに前記燃料電池電力制御を担う電力系デバイスと、
    前記密閉空間に通じるとともに前記通気孔から延びる経路がこの通気孔よりも低い位置を通過してから第1配管に対して自在に連結/分断する第2配管と、を備えることを特徴とする燃料電池車両。
  2. 請求項1に記載の燃料電池車両において、
    前記第1配管の第1接続端及び第2配管の第2接続端に対して両端が接続するとともに可撓性をもたせて前記連結/分断を自在にする連結管を備えることを特徴とする燃料電池車両。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車両において、
    前記通気孔から前記連結/分断が自在な部分に至る経路において下り傾斜を含むことを特徴とする燃料電池車両。
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