JP5226350B2 - レーザ加工方法 - Google Patents
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Description
剣山は、例えば、スキッドの上辺部に三角形状に形成されている。
これにより、ワークをワークテーブルの上面部分から離した状態としてワーク下面のレーザ切断部分がワークテーブルに接触して影響を受けるのを防止している。
なお、レーザは、ワーク上面もしくはワーク内部に焦点を合わせた状態、例えば、集光された状態なので、ワーク下面より下に達したレーザは拡散し、ワークから離れれば離れるほどレーザの強度は大きく低下する。
また、ワークの支持部材に接触しているところをレーザで切断加工した場合に、支持部材による熱伝導等の影響で切断不良が発生する場合があり、最悪の場合にレーザがワークを貫通しないこともある。
そこで、レーザを照射する加工ヘッドが支持部材に近づいた際に、加工ヘッドが近づいた支持部材を下降させて、ワークから離すことにより、ワークの支持部材が接触している部分へのレーザの照射による上述のような問題を回避するレーザ加工機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2に記載されたピアス加工方法では、下穴部分で支持部材の大きな損傷を防止できるがレーザによる切断位置と支持部材が重なった場合の問題は解決できない。
前記ワークをレーザで切断加工する本加工工程と、当該本加工工程の前に行われる前加工工程とを備え、
前記前加工工程では、前加工用ワークを前記ワークテーブル上に位置決めして設置した後に、当該前加工用ワークに対してレーザによる切断加工により、本加工工程で前記加工データに基く切断加工により前記ワークから切り離される加工品部分の形状とほぼ相似の関係となり、かつ、当該加工品部分より僅かに大きくなる開口部もしくは切欠部を形成し、
前記本加工工程では、前記前加工工程で切断加工された前加工用ワークをワークテーブル上に位置決めして設置した状態で、当該前加工用ワーク上に前記ワークを載せ、当該ワークに前記加工データに基いてレーザによる切断加工を行い、
前記前加工工程では、前加工用ワークとして本加工工程と同一規格となるワークを用い、前記本加工工程と同じ加工データに基いて前加工用ワークに切断加工を行い、前記加工品部分を切り離した後に、当該加工品部分が切り離された前加工用ワークに対して、前記加工品部分が切り離された開口部もしくは切欠部を僅かに大きくするようにレーザ加工を行うことを特徴とする。
この際に前加工用ワークに設けられた開口部もしくは切欠部は、本加工工程で切り取られる加工品部分より僅かに大きいので、前加工用ワーク上に載せられたワークのレーザにより切断すべき部分の下面に前加工用ワークが接触していない状態となる。また、ワークテーブルの支持部材とワークとの間には、前加工用ワークの厚み分の間隔が空くことになる。
また、上述のように加工品の品質低下や歩留まりの低下を防止できるが、レーザ加工装置に新たな構造を追加する必要はなく、すなわち、従来のように支持部材を昇降する機構や、支持部材の昇降を制御する機構を必要とせず、レーザ加工装置のコスト増加を防止することができる。
したがって、ワークを貫通したレーザが支持部材に達した際には、レーザが上述のように拡散して強度が低下した状態となっており、支持部材の位置と、レーザによるワークの切断位置が重なっても支持部材が損傷するのを防止することができる。
また、前加工用ワークは、基本的に本加工工程と同じワークを使用することができるが、本加工工程で切り取られる加工品部分より大きなワークであれば、本加工工程と同一規格のワークを用いる必要はなく、厚み、長さ、幅、材質の少なくとも一部が異なるワークを用いてもよい。すなわち、前加工用ワークは、本加工の場合と同様のワークであってもよいが、必ずしも本当のワークである必要はなく、擬似的なワークであってもよい。
前記レーザ加工装置には、前記ワークのレーザの照射位置における溶融や蒸発によるワークの消失部分の径の違い等に基いて、前記加工品の形状に対してレーザの照射位置をオフセットする工具補正機能が備えられ、
前記前加工用ワークに前記加工品より僅かに大きな開口部もしくは切欠部を形成するに際し、本加工工程で用いられる前記加工データを用いるとともに、前記工具補正機能を用いることで、前記加工品の外周となるレーザの照射位置を本加工工程における前記加工品の外周となるレーザ照射位置よりも外側に僅かにオフセットした状態で、レーザによる切断加工を行うことを特徴とする。
したがって、前加工工程のためだけに加工データを入力することがなく、データ入力の手間の軽減およびコストの低減を図ることができる。
これにより、加工データやレーザの照射径を変更することなく、実際の加工品より大きな範囲で開口部もしくは切欠部を形成することが可能となる。
また、この際に、たとえば、ワークテーブルにおいて、支持部材を昇降させたり、支持部材の昇降を制御したりする機構を設ける必要がなく、レーザ加工装置のコストの増加を防止することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るレーザ加工方法の前加工工程における多数の支持部材を有するワークテーブル上に位置決め固定された前加工用ワークを示し、図2はワークテーブルの支持部材としてのスキッドに支持されたワークを示し、図3は本加工工程において、ワークテーブル上の前加工用ワーク上にワークをセットした状態を示し、図4はワークテーブルのスキッド上に上下に重ねられた前加工用ワークとワークとを示すものである。
また、レーザ加工ヘッドは、焦点合わせ等のために上下方向(Z軸方向)に移動可能となっている。
なお、レーザ加工ヘッドのレーザが出力される部分にアシストガスを噴出するノズルが設けられている。
そして、各支持部材5,…の頂点が前加工用ワーク2の下面に当接することで、複数の支持部材5,…により前加工用ワーク2が水平に支持されている。
また、レーザ加工ヘッドが移動する場合には、レーザ加工ヘッドをたとえばY軸方向に移動自在に支持する第1の支持部と、当該第1の支持部をX軸方向に移動自在に支持する第2の支持部を備えたものなどを用いることができる。
すなわち、たとえば、レーザの照射範囲の径やレーザの移動速度等に基づくレーザ照射によりワークの消失する部分の径を補正することで、NC機器により導き出されたレーザの照射位置(基準位置)をオフセットすることが可能となる。
なお、この例で用いられるレーザ加工装置は、上述のような支持部材5でワーク3を支持する周知のレーザ加工装置を使用することができる。
なお、この例では、実際に製品等として出荷される加工品をワーク3から切り取る本加工工程と、当該本加工工程の前に行われる前加工工程とを備えている。
先に行われる前加工工程においては、まず、本加工工程で行われるワーク3からの加工品の切断、すなわち、レーザによるワークの切断加工のための加工データの入力が行われる。なお、この際の加工データは、実際に本加工工程でワーク3を切断することを可能とするデータが入力される。そして、加工データは、ワーク3の形状、レーザ加工ヘッドにおける光学系の仕様等のような各種条件に最適された状態とされる。
この際の前加工用ワーク2は、この例では、本加工工程で用いられるワーク3と同じ規格のものが用いられる。すなわち、材質、縦横および厚み等のサイズが同じワーク2が前加工用として用いられる。また、図2に示すように前加工用ワーク2の下面には、複数の支持部材5,…の先端がほぼ点状に接触した状態となる。
そして、前加工工程では、上述のように入力された本加工工程用の加工データを用いて、本加工工程と全く同じ設定で、前加工用ワーク2のレーザによる切断加工が行われる。ここでは、前加工用ワーク2から設定された形状に加工品を切り取るようにレーザ切断加工が行われる。
なお、この前加工工程で前加工用ワーク2から切り取られた加工品では、従来と同様に支持部材5,…の位置とレーザの切断加工位置とが重なると、溶融物(蒸発物含む)の付着、切断不良等の問題が発生しやすくなり、品質の低い加工品が形成される危険性があるが、十分な品質の加工品が得られないわけではない。
ここで、開口部および切欠部の内周と、切り取られた加工品との間には、レーザの切断加工により消失した部分の幅が含まれており、加工品の外周の形状より開口部の内周の形状の方が僅かに大きくなっている。
そして、レーザ加工装置で二度目のレーザ加工を行うことにより前加工用ワーク2に、本加工工程でワーク2から加工品を切り取ることにより形成される開口部もしくは切欠部より例えば外側に2mm程度大きくなった開口部6もしくは切欠部を形成する。
本加工工程においては、図3に示すように、ワークテーブル1に位置決め固定されている前加工用ワーク2上にワーク3をセットする。この際に、ワーク3は、前加工用ワーク2上で位置決めして固定することが好ましい。
なお、前加工用ワーク2およびワーク3の固定は、従来周知のレーザ加工装置のワークテーブル1に設けられているものを用いることができる。たとえば、X方向とY方向とにそれぞれワークを突き当てて位置決めする治具が配置され、当該治具に対向してワークを前記治具に押し付けた状態として挟持する押圧部材が設けられている。
この状態で、上述の加工データを用い本加工用の設定、すなわち、前加工工程における最初のレーザ加工時と同じ設定(上述の工具補正をしていない設定)でレーザ加工を行い、加工品を切り取ることになる。
なお、この場合に、ワーク3を直接ワークテーブル1に載せた状態よりも、ワーク3の高さが前加工用ワーク2の厚み分だけ高くなるので、レーザ加工装置のレーザ加工ヘッドの位置を前加工工程のときより、前加工用ワーク2の厚み分だけ高くする必要がある。
したがって、ワーク3から切り取られる加工品の品質の向上と、歩留まりの向上を図ることができる。
また、前加工工程で本加工工程より大きな開口部6もしくは切欠部を設ける場合に、本加工工程で用いられる加工データに対して、異なる加工データを作成するのではなく、工具補正で、レーザの照射位置を外側にオフセットするものとしたが、前加工工程用の加工データを本加工工程の加工データとは別に作成してもよい。
この際に、ワークテーブル1から取り外された前加工用ワーク2を取っておくことにより、以前と同じ加工データで加工を行う際に、取っておかれた前加工用ワーク2を用いることで、前加工工程を省略することができ、コストの低下と作業時間の短縮を図ることができる。なお、この場合に前加工用ワーク2をワークテーブル上で依然に用いた場合と同様に位置に位置決めして設置する必要がある。
2 前加工用ワーク
3 ワーク(本加工用)
5 支持部材
6 開口部(もしくは切欠部)
Claims (2)
- ワーク下面にほぼ点状に当接する複数の支持部材によりワークを支持するワークテーブルを備え、ワークテーブル上に位置決めされたワークに、予めレーザ照射位置のワーク上の軌跡が設定された加工データに基いてワークに対してレーザの照射位置を相対的に移動してレーザを照射することにより、前記ワークを切断加工して当該ワークから加工品を切り離すレーザ加工装置におけるレーザ加工方法であって、
前記ワークをレーザで切断加工する本加工工程と、当該本加工工程の前に行われる前加工工程とを備え、
前記前加工工程では、前加工用ワークを前記ワークテーブル上に位置決めして設置した後に、当該前加工用ワークに対してレーザによる切断加工により、本加工工程で前記加工データに基く切断加工により前記ワークから切り離される加工品部分の形状とほぼ相似の関係となり、かつ、当該加工品部分より僅かに大きくなる開口部もしくは切欠部を形成し、
前記本加工工程では、前記前加工工程で切断加工された前加工用ワークをワークテーブル上に位置決めして設置した状態で、当該前加工用ワーク上に前記ワークを載せ、当該ワークに前記加工データに基いてレーザによる切断加工を行い、
前記前加工工程では、前加工用ワークとして本加工工程と同一規格となるワークを用い、前記本加工工程と同じ加工データに基いて前加工用ワークに切断加工を行い、前記加工品部分を切り離した後に、当該加工品部分が切り離された前加工用ワークに対して、前記加工品部分が切り離された開口部もしくは切欠部を僅かに大きくするようにレーザ加工を行うことを特徴とするレーザ加工方法。 - 前記レーザ加工装置には、前記ワークのレーザの照射位置における溶融や蒸発によるワークの消失部分の径の違い等に基いて、前記加工品の形状に対してレーザの照射位置をオフセットする工具補正機能が備えられ、
前記前加工用ワークに前記加工品より僅かに大きな開口部もしくは切欠部を形成するに際し、本加工工程で用いられる前記加工データを用いるとともに、前記工具補正機能を用いることで、前記加工品の外周となるレーザの照射位置を本加工工程における前記加工品の外周となるレーザ照射位置よりも外側に僅かにオフセットした状態で、レーザによる切断加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
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